(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-31
(45)【発行日】2023-06-08
(54)【発明の名称】治療薬の送達のための方法および装置
(51)【国際特許分類】
A61N 1/30 20060101AFI20230601BHJP
A61N 1/32 20060101ALI20230601BHJP
【FI】
A61N1/30
A61N1/32
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021106878
(22)【出願日】2021-06-28
(62)【分割の表示】P 2018549291の分割
【原出願日】2017-03-28
【審査請求日】2021-07-27
(32)【優先日】2016-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518328678
【氏名又は名称】イコル メディカル システムズ,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】ハンナマン,アンドリュー ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】バーナード,ロバート エム.
(72)【発明者】
【氏名】モース,スティーブン エー.
(72)【発明者】
【氏名】ラック,オリバー
(72)【発明者】
【氏名】ハートマン,アダム
(72)【発明者】
【氏名】コックス,トーマス デイビッド
【審査官】山口 賢一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0078161(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0252515(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0156082(US,A1)
【文献】特表2008-503292(JP,A)
【文献】特表2007-527779(JP,A)
【文献】特表2005-521538(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/30
A61N 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験体内の予め決められた組織部位への治療薬の制御された送達のための装置であって、該装置は、
針ハブと、治療薬を含む容器を受け入れるように構成された容器レシーバーとを含むカートリッジアセンブリ、
カートリッジアセンブリレシーバーと容器挿入検出器とを含むアプリケーターであって、前記容器挿入検出器は、前記容器レシーバー内への容器の装着を感知するように構成される、アプリケーター、
注射針の少なくとも1つの注入オリフィスであって、そこを通って治療薬が投与される、注入オリフィス
、
ある標的組織深度まで前記被検体中に挿入されるように構成された、複数の貫通電極、
複数のアパーチャを含む電極支持体であって、前記複数のアパーチャは前記貫通電極の所定の空間的関係に対応し、および前記貫通電極は前記複数のアパーチャを通って伸長し、前記電極支持体は、摺動可能に複数の前記貫通電極に係合され、前記貫通電極が標的組織深度まで挿入されるときに
互いの前記貫通電極との空間的関係又は前記注射針と前記貫通電極
との空間的関係を維持するために少なくとも一つの位置、サイズおよび
形態の変化を受けるように構成されており、
前記貫通電極に動作可能に接続され、電気信号を生成するように構成された電界発生装置、および
容器から前記注入オリフィスを通って被験体内の予め決められた部位へと、所定の速度で治療薬の所定量を運ぶのに十分な制御されたエネルギー源、
を含む、装置。
【請求項2】
前記装置はさらに針を含むことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記装置が、電極挿入バネまたは針挿入バネをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記貫通電極の近位部は、電極肩部または電極屈曲部によって前記貫通電極の遠位部から分離されることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記電極支持体は注射針の通過を可能にするように位置づけられた針穴を含むことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記電極支持体は前記貫通電極の伸縮配向に対して垂直に位置づけられた平面構造を含むことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記複数のアパーチャのうちの少なくとも1つのアパーチャが、平面構造に垂直に配置された少なくとも1つの管状構造を含む、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記平面構造は前記貫通電極の長手方向軸に垂直に配向される、請求項6に記載の装置。
【請求項9】
前記電極支持体が、前記貫通電極の展開中に前記貫通電極の相対位置に厳密に一致する、適応性のある電極支持体である、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
適応性のある前記電極支持体が圧縮バネである、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記圧縮バネは金属、ポリマーまたはエラストマー材料から作られる、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記電極支持体が、少なくとも1つの入れ子式チューブを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記電極支持体が、金属、ポリマー、セラミック、複合材料、または圧縮性マトリックス材料を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記圧縮可能なマトリックス材料は、セルロース、発泡プラスチック、ゴムポリマー、マイクロセルラープラスチック、発泡シリコン、発泡ポリクロロプレン、炭素発泡体マトリックスから成る群から選択される、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記電極支持体は非導電性材料で作られる、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記電極支持体は熱可塑性材料で作られる、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
熱可塑性材料は、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、またはポリエチレンから成る群から選択される、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記電極支持体が前記貫通電極の経皮的配置を支持し、および、最大60mmの前記標的組織深度を維持する、請求項1に記載の装置。
【請求項19】
制御装置と力接触回路をさらに含む装置であって、ここで前記予め決められた組織部位への複数の前記貫通電極の挿入に際して、適用された力における変化を検知することで、電極が前記予め決められた組織部位
で配置され続けているかどうかのチェックが開始されるように促されるように、フィードバックループが前記制御装置と前記力接触回路との間に存在する、請求項1に記載の装置。
【請求項20】
前記カートリッジアセンブリは、各貫通電極の近位部分に動作可能に接続された1つまたは複数の電極接触部をさらに含み、各前記電極接触部は、アプリケーター上の電極接触部との電力通信のために構成された外側カートリッジ接触部を含み、前記アプリケーター上の電極接触部および各前記外側カートリッジ接触部は、それらの間に静的インターフェースを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項21】
前記アプリケーターは、注射駆動モーターおよび注射駆動プランジャーを含み、ここで、制御されたエネルギー源は注射駆動モーターであり、前記注射駆動モーターは、治療薬の移動を可能にするように前記注射駆動プランジャーを動かすように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項22】
前記カートリッジアセンブリは、スティックシールドおよびスティックシールド支持体をさらに含み、前記スティックシールドは前記貫通電極または/および前記注射針を覆うことができ、前記スティックシールド支持体は、前記スティックシールドに当接し、前記スティックシールドがラチェット式に近位方向に移動するのを防止する、請求項1に記載の装置。
【請求項23】
前記電極支持体が、前記スティックシールドに対応するバネをさらに備える、請求項
22に記載の装置。
【請求項24】
前記スティックシールド支持体は、少なくとも5Nの力が前記スティックシールドに加えられたときに、前記スティックシールドが近位方向に移動するのを防止する、請求項22に記載の装置。
【請求項25】
前記スティックシールドは、第1の選択された深さで前記装置が放電された場合に前記スティックシールドの近位方向の動きを防ぐことができる第1の擁壁と、被検体内の第2の選択された深さで前記装置が放電された後に前記スティックシールドの近位方向の動きを防ぐことができる第2の擁壁を備えた、請求項22に記載の装置。
【請求項26】
前記カートリッジアセンブリは、被験体の皮膚と係合し、組織部位への治療薬の投与のために、前記注射針の配置の方向に垂直に引っ張り装置を配置するリブおよびエッジを含むスプレイシールドをさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項27】
被験体に対して加えられた力を感知し、不十分な力が加えられたときに被検体への治療薬の投与を防止する力インターロックをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項28】
前記力インターロックが、前記アプリケーター内に電気ロックをさらに形成する、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
力が、少なくとも1つのカートリッジ力センサーとの接触点をさらに含む、請求項27に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願への相互参照>
本出願は、全体において参照により本明細書に組み込まれる、2016年3月28日出願の米国仮特許出願第62/314,286号の利益を主張する。
【0002】
本開示は、患者への予防薬および治療薬の投与を対象とし、およびとりわけ、核酸、薬物、ペプチド、およびタンパク質、またはそれらの組み合わせなどの予防薬および治療薬の、対象の選択された組織内の画定された領域への、再現可能かつ一貫した効果的な送達であって、最小限のユーザートレーニングにより、異質なレシピエント集団にわたって、安全かつ効果的で一貫した方法での電界の局所的適用によって促進される、送達を対象とする。
【背景技術】
【0003】
予防薬および治療薬は長らく、局所的、経口、静脈内、非経口などの様々な従来の投与経路を使用して、患者に送達されてきた。一旦、選択された経路によって患者に投与されたならば、対象の組織への薬剤の送達および組織とのその有用な相互作用は、大部分がその固有の物理化学的要素に左右されるが、例えば、担体、アジュバント、緩衝剤および添加剤などの送達組成物の選択された構成要素によって促進され得る。
【0004】
電気信号の局所的適用は、生きている組織内での巨大分子の分散と取込みを増強することが示されてきた。予防薬または治療薬の投与に伴う組織へのそのような電気信号の適用は、組織および/または送達される薬剤に望ましい効果を有し得る。具体的には、電気穿孔およびイオン導入などの技術は、組織内での様々な薬剤の分散および/または取込みを有意に改善するために使用されてきた。そのような薬剤は、調合薬、タンパク質、ペプチド、およびDNAとRNAの配列の両方を含む核酸、を含む。そのような技術の可能性のある臨床応用には、腫瘍内での化学療法薬の送達、予防的および治療的な免疫化のための核酸配列の送達、および治療用のタンパク質またはペプチドをコードする核酸配列の送達が含まれる。
【0005】
多くのデバイスが、薬剤送達を増強する目的で、組織内での電気信号の適用に関して記載されてきた。これらの大部分は、組織の標的領域内で電気信号を効果的に適用するための手段に焦点を置いてきた。様々な表面電極および貫通電極のシステムが、望ましい電気生理学的効果を生み出すために開発されてきた。
【0006】
これらの手法には、薬剤の送達、分散および/または効力への望ましい効果を誘発するために、十分な大きさと持続期間を備えた電界の適用と併用して、標的組織部位への対象薬剤の投与が含まれる。電界は、組織との導電性の伝達において、2つ以上の電極によって伝搬する。これらの技術を用いる用途に適した電極の構成は、組織貫通電極、表面接触電極、空隙電極を含む。特定の電極構成は、限定されないが、細長い針またはロッドの電極、点電極、蛇行電極(すなわち異形ワイヤー[shaped wire])、平面電極、およびそれらの組み合わせを含む。標的組織の種類および手法の目的に基づいて、電極の特定の種類および構成を選択する。
【0007】
これらの技術を用いた用途に関する重要な考察は、電界と対象薬剤の空間的および時間的な共局在が達成されるか否かに、薬剤活性の増強が左右されるということである。具体的には、電界が対象薬剤の存在下において標的組織内に伝搬する時に、望ましい結果が最も達成される。
【0008】
多種多様な方法とデバイスが、皮膚と筋組織内での薬剤送達を増強する目的で、対象薬剤の存在下において組織内に電界を適用することに関して記載されてきた。デバイスは、表面電極と貫通電極の両方の使用、およびそれらの組み合わせを含む。電気的に媒介された薬剤送達およびこれらの技術の可能性のある臨床応用に関する将来性にもかかわらず、これらの技術を使用した効果的で確実な薬剤送達の全体的な目的を達成する効果的な手段の欠如によって、進歩が妨げられてきた。現行システムの最も重大な欠点の1つは、被験体から被験体への確実で一貫した適用を達成することができないことである。このような変動が起こる重大な要因は、技術差とオペレーターの技能レベルの差にある。現行システムによって対処されない変動の他の要因には、手法の適用に影響を与え得る、患者間の生理学的特性の違いが含まれる。適切なデバイスの開発に関する他の考察は、使用の容易さ、およびユーザーによる可能性のある過失の頻度と重要性を減らす設計の実装を含む。
【0009】
安全、確実、正確かつ一貫した臨床治療の適用が非常に望ましいことを考慮すれば、改善された適用システムの開発は大いに正当なものである。そのような開発は、電気的に媒介された薬剤送達の広範な臨床応用中に遭遇するであろう患者特性における違いに適応する手段を提供しながら、オペレーターに関係した変動性を最小化するための手段を含むべきである。言い換えれば、改良すべき特定の領域は、異質なレシピエント集団にわたって一貫した運用を維持する能力、およびユーザーによる効果的な使用に求められる訓練と技能のレベルの軽減を含む。加えて、デバイスは、ユーザーまたはデバイスによる過失の回避を容易にし、かつそれらが起こった場合の影響を最小化するように設計されるべきである。
【0010】
この背景技術は、以下の概要と詳細な説明のための、簡潔な前後関係を紹介するために提供される。この背景技術は、請求される主題の範囲を決定する助けとなることを意図しておらず、および先に提示された欠点または問題のいずれかまたはすべてを解決する実装に、請求される主題が限定されると見なされることを意図しない。
【発明の概要】
【0011】
本開示は、患者または被験体への、電気的に媒介された治療薬送達(EMTAD)を使用した、核酸、薬剤、ペプチド、およびタンパク質、またはそれらの組み合わせなどの治療薬の、再現可能で一貫した効果的な送達のための方法と装置を提供する。本明細書において使用されるように、患者は被験体とも呼ばれ、逆もまた然りである。用語「患者」の使用は、被験体が医者の治療下にあることを要件としないが、そうである場合もある。
【0012】
1つの態様では、患者または被験体内の予め決められた部位への治療薬の送達用の装置が提供され、該装置は、被験体への治療薬の制御された投与のためのアセンブリを含み、該アセンブリは、治療薬用のリザーバ、そこを通って薬物が投与される少なくとも1つのオリフィス、および被験体内のリザーバからオリフィスを通って予め決められた被験体内の部位まで所定の速度で治療薬の所定量を運ぶのに十分な制御されたエネルギー源を含む。加えて、装置は、オリフィスに対して予め決められた空間的関係で配置された複数の貫通電極、および電極に動作可能に連結された電気信号を生成するための手段を含み得る。
【0013】
本開示の他の態様は、電気信号投与(ESA)との制御された空間的および時間的な関係にある治療薬投与(TEA)を含む方法を含む。
【0014】
本発明の原理による特定の実装の有益性および利点は多方面にわたる。いくつかの実装は、針および電極が挿入される深さの選択を可能にし、様々な体重および体組成の異質な集団にわたって、様々な種類の所望の組織(例えば真皮、筋肉等)への挿入を可能にする。これらの実装はさらに、例えば限定されないが、男性への前立腺癌治療薬などの癌治療薬用、妊婦へのジカ-ウイルスのワクチン注射または処置などの、個体へのワクチン注射および/または処置用、癌ワクチンを含む小児への小児ワクチン用などの、特定の標的集団における使用のための方法の応用を容易にする。本明細書では、システムおよび方法が、暴発または可能性のある誤用、例えば落下、振動、および/または転倒に対して耐性を有するようにする設計特徴を含むシステムおよび方法が提供される。いくつかの実施形態では、多数の注入深さ用に構成されたデバイスが提供される。本発明の原理によるシステムおよび方法は、ユーザーによる過失の頻度および/または影響を減らすための多数の安全インターロックを許容する。これらは、レシピエントの組織にデバイスを必要とされる力で確実に適用し、安全キャップが確実に取り除かれるようにする等の、投与される用量の適切な調製および構成を促すための特徴を含む。本発明の原理によるシステム、装置および方法は、アドミニストレーターまたはレシピエントの種類に関わらず、高度に一貫した治療が送達されることを可能にし得る。本明細書に記載のシステム、装置および方法は、例えば、治療の送達に先立って、およびその最中に得られる一貫した力のプロフィールを可能にし、その結果、様々な皮膚および筋肉特性を有するレシピエントは一貫した投与量を受けることができる。
【0015】
本明細書では、被験体内の予め決められた組織部位への治療薬の制御された送達のための装置が提供され、該装置は:外側カートリッジ、内側カートリッジ、針ハブ、治療薬を含むように構成された容器を含み、外側カートリッジは容器を受けるように構成された容器レシーバーを提供する、カートリッジアセンブリ;カートリッジアセンブリまたはその一部を受けるように構成されたカートリッジアセンブリレシーバー部分、および容器レシーバーへの容器の装填を感知するように構成された挿入検知器、を含むアプリケーター;容器が容器レシーバーに適切に装填されるまで、装置の作動をロックアウトするように構成された容器インターロック;薬剤が容器に装填された時に治療薬と流体連通し、およびそこを通って治療薬が投与される、少なくとも1つの注入オリフィス;オリフィスに対して所定の空間的関係で配置された複数の貫通電極;電極に動作可能に連結された、電気信号を生成するように構成された電界発生装置;および容器からオリフィスを通って被験体内の予め決められた部位へと、所定の速度で治療薬の所定量を運ぶのに十分な制御されたエネルギー源、を含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、装置はさらに針を含む。いくつかの実施形態では、電極は複数の細長い電極である。別の実施形態では、容器インターロックは、カートリッジ機能の不注意による作動を防ぐように構成される。容器インターロックは機械的なインターロックを含んでもよい。いくつかの実施形態では、装置は、発光体/集光器、カートリッジ尾部、力インターロック、位置合わせガイド、および外広がりシールドを含む第2のインターロック、トリガーロック、安全スイッチ、外部カートリッジキャップ、またはそれらの組み合わせを含む。特定の実施形態では、機械的なインターロックは、容器が適切に装填された時に容器によって第1の位置から第2の位置へと動かされるタブを含み、タブが第2の位置にある時にデバイスは作動し得る。別の実施形態では、容器インターロックはさらに少なくとも1つの容器ロックアウト穴を含む。さらに別の実施形態では、カートリッジ尾部は容器ロックアウト穴を通る光学的見通し線を提供する。さらに別の実施形態では、容器検知キャップは、容器検知バネを介してカートリッジ尾部と係合し得る。いくつかの実施形態では、容器検知バネは、針ハブと係合するようにリザーバを押し込むように構成される。いくつかの実施形態では、容器インターロックはさらに、カートリッジ表面から伸長するタブを含み、および、タブが適切に装填された容器によって偏向させられなければアプリケーターへのカートリッジの装填が物理的に妨害されるように、タブはアプリケーターに位置する対応する移動止め特徴部と相互に作用するように構成される。
【0017】
いくつかの実施形態では、第1のインターロックは外広がりシールドを含み、ここで前記外部カートリッジキャップは、前記外広がりシールドの近位に内側表面を含み、および前記内側表面はさらに、前記外広がりシールド上に画定された対応する壁部に係合可能な少なくとも1つのフックを含む。特定の例では、装置はさらに第3のインターロックを含む。別の例では、第3のインターロックは力インターロックである。さらに別の例では、力インターロックは、被験体の予め決められた組織部位に加えられた力を検知し、および不十分な力が加えられた時には被験体への治療薬の投与を妨げる。いくつかの実施形態では、力インターロックはさらに、アプリケーター内に電気的ロックを形成する。力インターロックはさらに、少なくとも1つのカートリッジ力センサー接触部を含み得る。
【0018】
いくつかの例では、本明細書で提供される装置はさらに、容器の鍵を含み、鍵は、カートリッジアセンブリ内での適切な接合を確実にするために容器の胴体上を摺動するように構成される。特定の例では、第1のインターロックはリブと端部を含む外広がりシールドを含み、リブと端部は被験体の予め決められた組織部位に係合するように構成され、および治療薬の投与のための針配置の方向に対して垂直な張力を装置にかけるように構成される。本明細書で提供される装置の第1のインターロックは、力接触ピックアップを含む外広がりシールドを含んでもよい。力接触ピックアップは、少なくとも1つの第1のパッド、少なくとも1つの第2のパッド、およびフレキシブル回路を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第1のインターロックはさらに外広がりシールドを含み、前記外広がりシールドは、少なくとも1つの力接触バネによって機械的に付勢される。
【0019】
本明細書で提供されるような装置のカートリッジアセンブリはさらに、スティックシールドを含み得る。いくつかの実施形態では、スティックシールドはさらに、スティックシールドこぶ、スティックシールド穴およびスティックシールドバネを含む。いくつかの実施形態では、第1のインターロックは、スティックシールドの摺動可能な動作のための少なくとも1つの穴を含む外広がりシールドを含む。特定の実施形態では、本明細書で提供される装置はさらに、外側カートリッジと接続するための少なくとも1つのスティックシールド支持体を含む。典型的な実施形態では、スティックシールド支持体は、型押しされた金属支持アームである。別の典型的な実施形態では、スティックシールド支持体は、少なくとも1つの保定壁部上で連続して移動する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される装置は、第1の選択された深さにおける前記装置の放出の場合にスティックシールドの近位の動きを妨げることができる第1の保定壁部と、被験体の第2の選択された深さにおいて前記装置の放出後にスティックシールドの近位の動きを妨げることができる第2の保定壁部を含む。いくつかの実施形態では、スティックシールド支持体は、外側カートリッジキャップの射出成形プラスチック特徴部として一体化される。
【0020】
別の実施形態では、スティックシールド支持体はスティックシールドに当接し、およびスティックシールドが、ラチェット式に近位方向に移動するのを防ぐ。さらに別の実施形態では、本明細書で提供される装置はさらに、近位の動きを減らすためにスティックシールド上に実装されたギアラックを含む。特定の場合には、スティックシールド支持体は、少なくとも5Nの力が加えられた時に、スティックシールドが近位方向に移動するのを防ぐ。別の場合には、スティックシールド支持体は、少なくとも15Nの力が加えられた時に、スティックシールドが近位方向に移動するのを防ぐ。いくつかの場合には、スティックシールド支持体は、位置合わせガイドおよび外広がりシールドの射出成形プラスチック特徴部として統合される。いくつかの実施形態では、アプリケーターへのカートリッジアセンブリの装填に際して、容器は前進して針ハブと合体し、および治療薬の投与時に針にカートリッジを接触させる。別の実施形態では、内側カートリッジは、一般的な長手方向軸に沿って外側カートリッジと関係して摺動可能な方法で動く。いくつかの例では、内側カートリッジは遠位端で内側カートリッジキャップと係合し、ここで内側カートリッジキャップは適所に電極をロックし、およびスティックシールド用のベアリング面を提供する。
【0021】
本明細書で提供される装置はさらにセンサーを含み得る。いくつかの実施形態では、センサーは、カートリッジ装填センサー、カートリッジ装填済センサー、カートリッジ力センサー、挿入機構位置センサー、挿入検知器、光学検波器、および電気センサーから成る群から選択される。いくつかの実施形態では、装填駆動機構サブアセンブリはカートリッジ装填センサーとカートリッジ装填済センサーを含む。いくつかの実施形態では、装填駆動機構サブアセンブリはさらに、少なくとも1つのカートリッジガイドレールおよび装填モーターを含む。いくつかの実施形態では、装填駆動機構サブアセンブリはさらに、外側カートリッジの基部上のラックを介して、カートリッジアセンブリレシーバーにカートリッジアセンブリを押し込むピニオンギアアセンブリへの接続部を含む。いくつかの実施形態では、ピニオンギアアセンブリは外側カートリッジ上のラックに係合する。いくつかの実施形態では、ラックは少なくとも1つの第1のラック歯を含む。いくつかの実施形態では、第1のラック歯は、カートリッジアセンブリがカートリッジアセンブリ受入容積に挿入された時に触覚的感触を提供する。いくつかの実施形態では、第1のラック歯はねじり力の安定性を提供する。いくつかの実施形態では、カートリッジ装填センサーは、装填を開始するためにカートリッジアセンブリ上の開始フラグを検知する。いくつかの実施形態では、カートリッジ装填済センサーは、装填を止めるためにカートリッジアセンブリ上の開始フラグを検知する。特定の実施形態では、装置はさらに、カートリッジ装填を続けるための持続フラグを含む。いくつかの実施形態では、装置はさらに、発光体/集光器IRセンサーを含む挿入検知器を含む。いくつかの実施形態では、センサーは容器ラベルを検知し、および治療薬を確認する。
【0022】
本明細書では、被験体内の予め決められた組織部位への治療薬の制御された送達のための装置が提供され、該装置は:ハウジング、針ハブ、治療薬を含むように構成された容器を含み、ハウジングは容器を受けるように構成された容器レシーバーを含む、カートリッジアセンブリ;カートリッジアセンブリレシーバーを含むアプリケーター、および容器レシーバーへの容器の装填を感知するように構成される挿入検知器;および治療薬がそこを通って投与される、注射針の少なくとも1つの注入オリフィス;オリフィスに対して所定の空間的関係で配置された複数の貫通電極;複数のアパーチャを含む電極支持体であって、複数のアパーチャは電極の所定の特別な関係に対応し、およびそこを通って電極が伸長し、電極支持体構造は電極配置の方向に対して電極の不注意による垂直運動を妨げる、電極支持体;電極に動作可能に連結された、電気信号を生成するように構成された電界発生装置;およびリザーバからオリフィスを通って被験体内の予め決められた部位へと、所定の速度で治療薬の所定量を運ぶのに十分な制御されたエネルギー源、を含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、装置はさらに針を含む。いくつかの実施形態では、装置はさらに電極挿入バネまたは針挿入バネを含む。いくつかの実施形態では、電極の近位部は、電極肩部または電極屈曲部によって電極の遠位部から分離される。いくつかの実施形態では、電極支持体は、電極が被験体内の予め決められた組織部位に配置された時、電極の末端領域に位置する導電性接触領域と制御されたエネルギー源との間に、動作可能な接続部を提供する。いくつかの実施形態では、電極支持体は、注射針が通過できるように位置づけられた針孔を含む。いくつかの実施形態では、電極支持体は、電極の伸縮配向に対して垂直に位置づけられた平面構造を含む。いくつかの実施形態では、平面構造はさらに、予め決められた組織部位へと電極が通過できるように構成された穴またはスロットであるアパーチャを含む。いくつかの実施形態では、アパーチャは、平面構造に対して垂直に配置された少なくとも1つの管状構造を含む。いくつかの実施形態では、平面構造は、電極の長手方向軸に垂直に配向される。いくつかの実施形態では、電極支持体は適応性のある電極支持体である。いくつかの実施形態では、適応性のある電極支持体は圧縮バネである。いくつかの実施形態では、圧縮バネは金属、ポリマーまたはエラストマー材料から作られる。いくつかの実施形態では、電極支持体は、少なくとも1つの入れ子式チューブを含む。いくつかの実施形態では、電極支持体はさらにスティックシールドバネを含む。いくつかの実施形態では、電極支持体はさらに、少なくとも1つの随意のヒンジ特徴部を用いて電極に取り付けられた、少なくとも1つの側部支持部材を含む。いくつかの実施形態では、電極支持体は、金属、ポリマー、セラミック、化合物、または圧縮可能なマトリックス材料を含む。いくつかの実施形態では、圧縮可能なマトリックス材料は、セルロース、発泡プラスチック、ゴムポリマー、マイクロセルラープラスチック、発泡シリコン、発泡ポリクロロプレン、炭素発泡体マトリックスから成る群から選択される。いくつかの実施形態では、電極支持体は非導電性の材料から作られる。いくつかの実施形態では、電極支持体は熱可塑性の材料から作られる。いくつかの実施形態では、熱可塑性材料は、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、またはポリエチレンから成る群から選択される。
【0024】
いくつかの実施形態では、電極支持体は、電極の経皮的配置を支持し、および最大60mmの組織深度において維持する。いくつかの実施形態では、各電極の電極近位部は、電極接触部に連結される、または接触し、各電極はカートリッジアセンブリの内側カートリッジの外部に位置づけられ、電極接触部はアプリケーター上の対応する接続部との力伝達のために構成される。いくつかの実施形態では、電極接触部はさらに、外側カートリッジの外部接触部を含む。いくつかの実施形態では、電極接触部は、内側カートリッジ上に据え付けられた電極の前進を妨害することなく、対応する電極との導電性界面を提供する。いくつかの実施形態では、カートリッジアセンブリはさらに容器装填ポートを含む。いくつかの実施形態では、外側カートリッジは内側カートリッジ格納容積を含む。いくつかの実施形態では、アプリケーターはさらに注入駆動アセンブリを含み、注入駆動アセンブリはカートリッジアセンブリと合体する。いくつかの実施形態では、アプリケーターはさらに、アプリケーターカートリッジアセンブリ受け入れポートを含む。いくつかの実施形態では、アプリケーターはさらに、手順活動化トリガーを含む。いくつかの実施形態では、アプリケーターはさらに、制御装置への接続用のコネクター、トップハウジング、側面ハウジング、および内側保護シェルを含む。いくつかの実施形態では、容器はさらに容器キャップを含む。いくつかの実施形態では、装置はさらに出口ポートを含む。いくつかの実施形態では、装置はさらにプランジャストッパを含む。いくつかの実施形態では、装置はさらに多心ケーブルを含む。いくつかの実施形態では、装置はさらに外側カートリッジキャップ面取り表面を含む。いくつかの実施形態では、装置はさらに外側カートリッジキャップフックを含む。いくつかの実施形態では、装置はさらに主電源ポートを含む。いくつかの実施形態では、装置はさらに、主電源スイッチ、電力ボタン、および電力表示器を含む。いくつかの実施形態では、装置はさらに、スイッチ用の少なくとも1つのコネクターを含む。
【0025】
本明細書で提供される実施形態では、本明細書に記載される装置は、前記注入オリフィスの少なくとも1つ、または前記複数の電極を前記予め決められた組織部位に接触させるために、ハイブリッドモーター/バネ機構を含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、装置はさらに、スイッチ用の少なくとも1つのコネクターを含む。いくつかの実施形態では、装置はさらにUSBポートを含む。いくつかの実施形態では、装置はさらにリマインダータブを含む。いくつかの実施形態では、装置はさらにバッテリー表示器を含む。いくつかの実施形態では、装置はさらにミュートボタンを含む。いくつかの実施形態では、装置はさらに、少なくとも1つのメニューナビゲーションボタンを含む。いくつかの実施形態では、装置はさらにカートリッジ排出ボタンを含む。いくつかの実施形態では、装置はさらにディスプレイ画面を含む。いくつかの実施形態では、装置はさらにトレーを含む。いくつかの実施形態では、装置はさらにアプリケーターコネクターポートを含む。いくつかの実施形態では、装置はさらにアプリケータークレードルを含む。いくつかの実施形態では、装置はさらにクレードルを含む。いくつかの実施形態では、装置はさらに貯蔵ビンを含む。いくつかの実施形態では、装置はさらにハンドルを含む。いくつかの実施形態では、装置はさらに当接壁部を含む。いくつかの実施形態では、装置はさらに、少なくとも1つのアプリケーター電気穿孔電極接触部を含む。いくつかの実施形態では、装置はさらに、少なくとも1つの電気コネクターを含む。いくつかの実施形態では、装置はさらにカートリッジ装填サブアセンブリを含む。いくつかの実施形態では、装置はさらに、モーター駆動用のモーター駆動装置と少なくとも1つの電気接触部を含む。いくつかの実施形態では、装置はさらに装填駆動機構モーターを含む。いくつかの実施形態では、装置はさらにモータートリガーコネクターを含む。いくつかの実施形態では、装置はさらにモーター駆動シャフトを含む。いくつかの実施形態では、装置はさらに、少なくとも1つの電気機械サブアセンブリを含む。いくつかの実施形態では、装置はさらに、少なくとも1つのカートリッジ装填、電極挿入、および注入サブアセンブリを含む。いくつかの実施形態では、装置はさらに、少なくとも1つの注入深さ選択ボタンおよび注入深さ選択表示器を含む。いくつかの実施形態では、装置はさらにカウントダウン手順タイマーを含む。いくつかの実施形態では、装置はさらに、少なくとも1つのギアカバーブラケットおよび少なくとも1つの取り付けブラケットを含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、装置はさらにシステムトリガースイッチを含む。いくつかの実施形態では、装置はさらにシステムトリガースイッチを含む。いくつかの実施形態では、装置はさらに、手順欠陥表示器および手順完了表示器を含む。いくつかの実施形態では、装置はさらに深さ選択ボタンを含む。いくつかの実施形態では、深さ選択ボタンは、トグル、スイッチおよび摺動スイッチから成る群から選択される。いくつかの実施形態では、装置はさらに、複数のチャネルおよび複数の保定ポストを含む。いくつかの実施形態では、装置はさらに、挿入機構ギア駆動環および挿入ギア環を含む。いくつかの実施形態では、挿入機構ギア環の回転はチャネル内へと保定ポストを回転させる。
【0028】
いくつかの実施形態では、装置はさらに、挿入機構フラグ、挿入機構駆動モーター、挿入機構位置センサー、注入駆動プランジャ、注入駆動モーター、または注入駆動ギア環を含む。いくつかの実施形態では、装置はさらにカートリッジロック環を含む。いくつかの実施形態では、カートリッジロック環の回転は、保定ポストを回転させる。いくつかの実施形態では、カートリッジアセンブリは一回用である。いくつかの実施形態では、アプリケーターは複数回使用できる。いくつかの実施形態では、アプリケーターはさらに、トップハウジング、側部ハウジング、内側保護シェル、正面キャップ、およびエンドキャップを含む。いくつかの実施形態では、アプリケーターはさらに、ユーザーインタフェース、手順活動化トリガー、手順カウントダウンタイマー、手順欠陥表示器、または適用配置表示器を含む。いくつかの実施形態では、装置はさらに制御装置を含む。いくつかの実施形態では、制御装置は制御装置アセンブリを含む。いくつかの実施形態では、アプリケーターはさらに、制御装置への接続のためのコネクターを含む。いくつかの実施形態では、制御装置はさらに電界制御装置を含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、貫通電極および/または注射針は、少なくとも50mm/秒の速度で予め決められた組織部位に接触する。いくつかの実施形態では、貫通電極および/または注射針は、少なくとも500mm/秒の速度で予め決められた組織部位に接触する。いくつかの実施形態では、治療薬は核酸である。いくつかの実施形態では、核酸はDNAである。いくつかの実施形態では、予め決められた組織部位は被験体の骨格筋に位置する。いくつかの実施形態では、被験体の骨格筋は内側の三角筋または外側広筋である。いくつかの実施形態では、内側の三角筋における注入深度は約19-30mmである。いくつかの実施形態では、外側股筋における注入深度は約25-38mmである。
【0030】
いくつかの実施形態では、前記注入オリフィスの少なくとも1つ、または前記複数の電極を、前記予め決められた組織部位に接触させるためのハイブリッドモーター/バネ機構を含む装置が提供される。場合によっては、装置はさらに、注入中にモーターの電流使用をモニタリングし、かつ前記使用を予め決められた基準と比較するための、測定・論理回路を含む。
【0031】
本明細書に記載される装置が提供され、該装置はさらに制御装置と力接触回路を含み、ここで前記予め決められた組織部位への前記複数の電極の挿入に際して、適用された力における変化を検知することで、電極が前記予め決められた組織部位で適切に配置され続けているかどうかのチェックが開始されるように促されるように、フィードバックループが前記制御装置と前記力接触回路との間に存在する。
【0032】
場合によっては、本明細書に記載される装置では、複数の電極および/または1つ以上の針が回転運動によって配置される。
【0033】
必要としている被験体の予め決められた組織部位に治療薬を提供する方法が提供され、該方法は、本明細書に記載される装置に前記被験体を接触させる工程を含む。必要としている被験体の予め決められた組織部位に治療薬を提供するためのシステムが提供され、該システムは本明細書に記載される装置を含む。
【0034】
この概要は、単純化された形態で、厳選された概念を紹介するために提供される。それらの概念は、発明の詳細な説明の部分でさらなる記載がなされる。この概要に記載されたもの以外の要素または工程が可能であり、および要素または工程は必ずしも必要ではない。この概要は、請求される主題の主な特長または本質的な特徴を特定するようには意図されておらず、および請求される主題の範囲を決定する助けとして使用されることも意図されていない。請求される主題は、本開示のいずれかの部分に示されたいずれかのまたはすべての欠点を解決する実装に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0035】
本開示の特徴は、特に添付の特許請求の範囲に明記される。本開示の特徴と利点についてのよりよい理解は、本開示の原則が用いられている例証的な実施形態と添付の図面を説明する以下の詳細な記載を参照することによって得られる。
【
図1】従来のシリンジ注入に関係する空間的な変動性の可能性のある源を例示する。
【
図2】カートリッジアセンブリ(100)、アプリケーター(400)および制御装置システム(700)を含む、本発明の原理によるシステムの概観である。
【
図3A】本明細書に記載されるデバイスの態様の図である。本発明の原理に係るカートリッジアセンブリ(100)の側面図を示す。
【
図3B】本明細書に記載されるデバイスの態様の図である。本発明の原理に係る、シリンジとして具体化されたリザーバ(101)の側面図を示す。
【
図4】本発明の原理に係るカートリッジアセンブリ(100)の様々な典型的コンポーネントを示す。
【
図5A】本明細書に記載されるデバイスの内側カートリッジおよびカートリッジ尾部の態様の図である。本発明の原理に係る内側カートリッジ(103)の上面図を例示する。
【
図5B】本明細書に記載されるデバイスの内側カートリッジおよびカートリッジ尾部の態様の図である。本発明の原理に係る内側カートリッジ(103)およびカートリッジ尾部の下面図を例示する。
【
図5C】本明細書に記載されるデバイスの内側カートリッジおよびカートリッジ尾部の態様の図である。本発明の原理に係る内側カートリッジ(103)の詳細な側面斜視図を例示する。
【
図5D】本明細書に記載されるデバイスの内側カートリッジおよびカートリッジ尾部の態様の図である。本発明の原理に係るカートリッジ尾部(112)の側面図を示す。
【
図5E】本明細書に記載されるデバイスの内側カートリッジおよびカートリッジ尾部の態様の図である。カートリッジ尾部(112)が不注意に前進するのを防ぐために改善されたロック機構を有する容器インターロック(120)を例示する。
【
図6】カートリッジアセンブリの詳細を例示し、本発明の原理に係るラック(154)、開始フラグ(172)および持続フラグ(174)示す。
【
図7A】本明細書に記載されるデバイスの電極および/または1つ以上の電極接触部の態様の図を示す。本発明の原理に係る1つ以上の電極(130)および様々な電極接触部の詳細を示す。
【
図7B】本明細書に記載されるデバイスの電極および/または1つ以上の電極接触部の態様の図を示す。本発明の原理に係る電極(122)および様々な電極接触部の詳細を示す。
【
図8A】本明細書に記載されるデバイスの力接触インターロックシステムの態様の図を示す。本発明の原則に係る力接触インターロックシステムの上面図を示す。
【
図8B】本明細書に記載されるデバイスの力接触インターロックシステムの態様の図を示す。本発明の原理に係る力接触インターロックシステムの詳細を例示する。
【
図9A】本明細書に記載されるデバイスの態様の図を示す。本発明の原理に係る、組織挿入用の針(105)と遠位の内側カートリッジ電極(137)を示す。
【
図9B】本明細書に記載されるデバイスの態様の図を示す。本発明の原理に係るスティックシールド(134)の詳細を例示する。
【
図9C】本明細書に記載されるデバイスの態様の図を示す。本発明の原理に係る位置合わせガイド(108)および外広がりシールド(168)を例示する。
【
図9D】本明細書に記載されるデバイスの態様の図を示す。外側カートリッジキャップ(106)に必須のスティックシールド支持体を例示する。
【
図10A】本明細書に記載されるデバイスの外側カートリッジキャップの態様の図を示す。本発明の原理に係る外側カートリッジキャップ(110)を示す。
【
図10B】本明細書に記載されるデバイスの外側カートリッジキャップの態様の図を示す。本発明の原理に係る外側カートリッジキャップ(110)の側面図を示す。
【
図10C】本明細書に記載されるデバイスの外側カートリッジキャップの態様の図を示す。本発明の原理に係る位置合わせガイド(108)および外広がりシールドで使用されている外側カートリッジキャップ(110)を示す。
【
図10D】本明細書に記載されるデバイスの外側カートリッジキャップの態様の図を示す。操作と装填の間に内側カートリッジ(103)を適所に保持するために設計された拡張部材を有する外側カートリッジ(110)を示す。
【
図11A】本明細書に記載されるデバイスの態様におけるスティックシールドの詳細を示す。本発明の原理に係るスティックシールド(134)のスティックシールド保定フック(182)を示す。
【
図11B】本明細書に記載されるデバイスの態様におけるスティックシールドの詳細を示す。本発明の原理に係るスティックシールド(134)の詳細を示す。
【
図11C】本明細書に記載されるデバイスの態様におけるスティックシールドの詳細を示す。本発明の原理に係る、スティックシールド(134)を適所に保っているスティックシールド支持体(132)を示す。
【
図12】本発明の原理に係る電極支持体(124)の詳細を示す。
【
図13A】本明細書に記載されるデバイスのアプリケーターの図を示す。本発明の原理に係るアプリケーター(400)の側面図を示す。
【
図13B】本明細書に記載されるデバイスのアプリケーターの図を示す。本発明の原理に係るアプリケーター(400)の上面図を示す。
【
図14】本発明の原理に係るアプリケーター(400)の分解組立図である。
【
図15】本発明の原理に係るアプリケーター(400)の側部ハウジングおよび電気穿孔電極接続部(496)の詳細を示す。
【
図16】本発明の原理に係るアプリケーターの分解組立図であり、カートリッジ装填サブアセンブリ(456)を示す。
【
図17A】本明細書に記載されるデバイスのアプリケーターの図を示す。本発明の原理に係るアプリケーターの分解組立図であり、装填駆動機構サブアセンブリ(454)を示す。
【
図17B】本明細書に記載されるデバイスのアプリケーターの図を示す。本発明の原理に係る装填駆動機構サブアセンブリ(454)内のラック(154)を示す。
【
図18A】本明細書に記載されるデバイスのアプリケーターの態様の図を示す。本発明の原理に係るカートリッジ装填サブアセンブリ(456)の詳細を示し、アプリケーターの挿入/注入駆動アセンブリがカートリッジアセンブリと合体するのを示す。
【
図18B】本明細書に記載されるデバイスのアプリケーターの態様の図を示す。本発明の原理に係るカートリッジアセンブリの断面図を示し、アプリケーターの挿入/注入駆動アセンブリがカートリッジアセンブリと合体するのを示す。
【
図18C】本明細書に記載されるデバイスのアプリケーターの態様の図を示す。本発明の原理に係るアプリケーター(400)の、カートリッジ装填、電極挿入、および注入サブアセンブリ(452)の詳細を示す。
【
図19】本発明の原理に係る制御装置システムの様々なコンポーネントを示す。
【
図20A】本明細書に記載されるデバイスの図を示す。本発明の原理に係る制御装置システムの様々なコンポーネントを示す。
【
図20B】本明細書に記載されるデバイスの図を示す。本発明の原理に係る制御装置システムのアプリケーターコネクターポート(708)およびトレー(710)の詳細を示す。
【
図20C】本明細書に記載されるデバイスの図を示す。本発明の原理に係る制御装置システムの刺激装置ディスプレイの詳細を示す。
【
図20D】本明細書に記載されるデバイスの図を示す。本発明の原理に係る制御装置システムの背面図の詳細を示す。
【
図21】本発明の原理に係る操作の方法を示すフローチャートである。
【0036】
全体に渡って、同じ参照番号は同じ要素を指す。要素は、記載がなければ、一定の比率で縮尺されてはいない。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下の説明および実施例は、本発明の実施形態を詳細に例示する。本発明は、本明細書に記載される特定の実施形態に限定されず、それゆえに変化し得ることが理解されよう。当業者は、本発明の多数の変形および修正が存在し、それらが本発明の範囲内に含まれることを認識するだろう。
【0038】
全ての用語は、当業者によって理解されるであろうように理解されることを意図される。別段の定めのない限り、本明細書に記載される技術的かつ科学的な用語はすべて、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。
【0039】
本明細書で使用されるセクションの表題は、構成上の目的のみにあり、記載される主題を限定すると解釈されるものではない。
【0040】
本発明の様々な特徴は単一の実施形態の文脈において記載され得るが、それらの特徴はさらに個別にまたは任意の適切な組み合わせで提供され得る。逆に、明確性の目的で本発明は別々の実施形態の文脈で本明細書に記載され得るが、本発明は単一の実施形態でも実施され得る。
【0041】
以下の定義は当技術分野における定義を補足し、本出願を対象とし、および関連するまたは無関係の事例、例えば一般に保有されている特許または出願に帰するものではない。本明細書に記載される方法および物質と類似するまたは同等のものを、本開示の試験の実施に使用することができるが、好ましい材料および方法が本明細書に記載される。従って、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを記載するためのものであり、限定を意図してはいない。
【0042】
本出願では、単数の使用は、特別に別記しない限り、複数を含む。明細書で用いられる通り、単数形の「a」、「an」および「the」は、文脈が明確にそうではないと定めていない限り、複数の指示対象を含む。本出願において、「または」の使用は特に明記しない限り、「および/または」を意味する。さらに、用語「含んでいる(including)」の使用は、「含む(include)」、「含む(includes)」、および「含まれる(included)」といった他の形態と同じく、限定的なものではない。
【0043】
本明細書における「いくつかの実施形態」、「実施形態」、「一実施形態」または「他の実施形態」への言及は、実施形態と関連して記載される特定の特徴、構造または特性が、本発明の少なくともいくつかの実施形態に含まれるが、必ずしもすべての実施形態には含まれないことを意味する。
【0044】
本明細書および特許請求の範囲で使用されるように、単語「含んでいる(comprising)」(および「含む(comprise)」と「含む(comprises)」等の「(含んでいる)comprising」の語形)、「有している(having)」(および「有する(have)」と「有する(has)」等の、「有している(having)」の語形)、「含んでいる(including)」(および「含む(includes)」と「含む(include)」等の語形)、または「含んでいる(containing)」(および「含む(contains)」と「含む(contain)」等の「含んでいる(containing)」の語形)は、包括的または無制限であり、および追加の列挙されていない要素または方法工程を除外しない。本明細書で論じられるいかなる実施形態も、本発明の方法または組成物に関して実施することができ、および逆もまた真である。さらに、本発明の組成物は、本発明の方法を達成するために使用することができる。
【0045】
本明細書において使用される、参照の数値およびその文法的な同等物に関係する用語「約」は、数値自体、およびその数値の前後10%の範囲を含み得る。例えば、「約10」の量は、10と、9から11までの任意の量を含む。例えば、参照の数値に関係する用語「約」はさらに、その値から前後10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、または1%の範囲の値を含み得る。
【0046】
本開示は、電気的に媒介された治療薬送達(EMTAD)を使用して、核酸、薬剤、ペプチド、およびタンパク質、およびそれらの組み合わせなどの治療薬の、再現可能で一貫した効果的な送達のための改善されたシステムと方法と装置を提供する。
【0047】
一態様では、本開示は、被験体内の予め決められた部位への治療薬の送達用の装置を提供し、該装置は、被験体への治療薬の制御された投与のためのアドミニストレーターを含み、該アドミニストレーターは、治療薬用のリザーバまたは容器、そこを通って薬物が投与される少なくとも1つのオリフィス、およびリザーバまたは容器からオリフィスを通って被験体内の予め決められた部位まで所定の速度で治療薬の所定量を運ぶのに十分な制御されたエネルギー源を含む。加えて、装置は、オリフィスに対して予め決められた空間的関係で配置された複数の貫通電極、および電極に動作可能に連結された電気信号発生装置を含む。リザーバおよび容器という用語は、治療薬用の容器を指し、本明細書全体にわたって区別なく使用される。
【0048】
本開示の特定の態様では、EMTADは、対象の生体組織への治療薬の投与、および前記組織における治療薬の移動および/または取込みを高めるための、生体組織への電気信号の以前、同時または以後の適用として言及され得る。EMTADのプロセスは2つの要素で構成される:1)治療薬投与(TAA)、および2)所望のEMTAD効果を誘発するのに十分な電気信号適用(ESA)。本開示では、治療薬投与は、例えば制御された治療薬投与(CTAA)と名付けられた制御可能な方法で行うことができる。本明細書で使用される用語CTAAは、EMTAD効果の誘発に対して、治療薬の投与に対する空間的および/または時間的な制御を提供する方法および装置を指す。制御可能な投与技術は、従来の針-シリンジ(例えば自動注射器具)、および/または針を用いない様々な方法(例えば、ジェットインジェクター、経皮的なパッチ、経口、ゲル、クリーム、または吸入投与)における変形を利用することができる。本明細書で使用される用語ESAは、組織内での前記薬剤の移動および/または取込みを改善することによって治療薬の送達を促すまたは増強し、それによってEMTAD効果を誘発するための、電気信号の適用を指す。治療薬の送達を促すまたは増強するために使用される場合、電気穿孔、イオン導入、電気浸透、電気透過(electropermeabilization)、電気刺激、電気移動、および電気対流などのESAプロセスは全て、EMTADの様々なモードを表す。
【0049】
本明細書に記載される装置およびシステムの特定の用途は、限定されないが、ワクチン、治療用タンパク質および化学療法薬の送達を含む。従来、そのような用途において、EMTADは従来の針-シリンジを使用した治療薬注入によって開始される。薬剤が投与された後、ESAに適したデバイスが指定の位置で被験体に適用される。最後に、適切なESAプロトコルが、治療薬送達に望ましい促進または増強を提供するために利用される。しかしながら、従来のEMTADでは、薬剤の投与とESAとの望ましい空間的・時間的な関係は実現されないだろう。
【0050】
<空間的なパラメータ>
本明細書に記載されるシステム、方法および装置のいくつかの実施形態では、治療薬投与は従来の針-シリンジを使用して行なわれる。EMTADを用いて特定の薬剤を送達する必要は、TAAの問題にさらなるレベルの複雑さをもたらす。
図1に図解されるように、従来の針-シリンジ注入では、針(5)が組織に挿入されると、組織(3)の表面に対する挿入の深さ(1)および角度(2)を制御するのは困難であり得る。付加的に、組織表面(3)における針の貫通点(4)は、標的組織内のオリフィス(6)の位置、および薬剤投与領域(7)を表すものではないかもしれない。例示的な例のように、経皮的な筋肉内注射は、2つの組織がしばしば互いに対して動き得るために、皮膚上の挿入部位に対応しないかもしれない。
【0051】
この従来のアプローチは一般的に、EMTADを必要としない多くの様々な治療の送達に適切であるが、これらの可変性は、しばしば一貫せずおよび/または不確定な注入後の治療薬の分配をもたらし、および効果的なEMTADを妨げ得る。本明細書に記載される特定の実施形態では、EMTADの最も効果的な使用は、被験体内での治療薬とESAのあらかじめ定められた関係を利用する。その結果、標的組織におけるTAAに対する空間的制御がない状態では、従来の針-シリンジの使用は、空間的および時間的制御を提供する装置、方法またはシステムと比較して、EMTAD適用の効果の減少をもたらし得る。この概念の例示的な1つの例は、治療薬の送達を促すための電気穿孔の使用である。電気穿孔は典型的に、TAAとESAが組織の標的領域内で共局在している場合、治療薬送達を高めるのに最も効果的である。多くの事例において、送達される薬剤および誘発された電気穿孔効果は、組織の標的領域内で共局在することはなく、前記薬剤の送達は最適以下である。
【0052】
EMTADにおけるTAAの適切な空間的制御の必要の別の例は、イオン導入である。EMTADのこのモードは、電気を帯びた分子の移動を引き起こすために電界を使用する。薬剤の望ましい移動を達成するために、電極と治療薬との適切な空間的関係を実現しなければならない。もし陰電気を帯びた薬剤が、陽電極の位置に近接して配置されれば、組織を通る薬剤の移動はほとんどまたは全く観察されないだろう。対照的に、陰電極の近くにある前記陰電気を帯びた薬剤の局在は、組織を介した陽電極の方向への薬剤のかなりの移動をもたらすだろう。
【0053】
先の例によって例示されるように、望ましい効果を達成するために、ESAの適用に対してTAAの正確な位置を制御することが重要である。かくして、本明細書に記載される装置と方法の実施形態は、ESAの適用に対してTAAの正確な位置の制御を提供し、および1つ以上の治療薬の再現可能かつ一貫した、およびよく特徴づけられた分配を達成するのに有用である。
【0054】
<時間的なパラメータ>
従来の針-シリンジ注入によるTAAの場合には、注入速度は手術者間で異なり、それによって組織内での一貫しない薬剤分配を引き起こし得る。多数のデバイス配置がEMTADプロセスを完了するために求められる場合、追加の時間的な変動性がもたらされる。例えば、EMTADの1つの適用は、治療用タンパク質をコードするプラスミドDNAの投与、続いて電気穿孔を誘導する電界の生成を必要とする。EMTADの従来の方法を使用して、プラスミドは針-シリンジを用いて注入され、続いて電気穿孔デバイスが配置および活性化される。2つの別個のデバイス配置(最初の針-シリンジ、続くESAデバイス)が求められることで、この手順は、手術者による各デバイスの一貫しない時間的な適用から生じる被験体間の変動性をこうむりやすい。付加的に、2つの別個のデバイス配置の使用は、臨床医による各デバイスの配置と活性化との間に、避けることのできない時間間隔をもたらす。標的組織内の特定の領域への薬剤の適切な送達を達成するために、多数の適用部位が必要とされる場合、これはいっそうひどくなる。
【0055】
これらの問題は、細胞外の環境で劣化または不活性化され得る、核酸などの薬剤にとって特に重大である。治療薬の劣化は、結果として治療の適用における有効性と一貫性を減じ得る。さらに、被験体間での治療薬の劣化速度は一定ではなく、よってESAと併用した、より具体的には電気穿孔治療と併用した、従来の針-シリンジ注入の全体的な治療の不一致に帰結する。
【0056】
ESAと併用される従来の針-シリンジ注入に伴う空間的および時間的な変動性に固有の困難ゆえに、ESAに対するTAAの正確な配置およびタイミングは多くの場合不明である。その結果、EMTADを用いた治療薬の効果的な投与および投薬は、一貫性がなく、および再現不可能であり得る。従来の針-シリンジ注入は、時には治療薬投与に適切であるが、再現可能かつ一貫した薬剤送達は、治療薬の投与と望ましいEMTAD効果の誘発との間の空間的および時間的な関係を制御することで、有意に増強される。
【0057】
したがって、従来のEMTAD手順は特定の適用には適切であろうが、時間的および空間的な制御は、典型的に高度の一貫性および再現性を要求する臨床応用にとって非常に望ましい。従来のEMTADアプローチとは対照的に、本明細書に記載される方法、システム、および装置の実施形態は、EMTADの臨床応用のためにより有利な方法と装置を提供するために、CTAAとESAを促進する。本開示は、再現可能かつ一貫した効果的な治療薬送達を提供するために、ESAと併用したCTAAの様々な態様を利用する。本開示は、電気信号の適用に対する治療薬の投与の空間的および時間的な制御を提供し、それによって標的組織における前記薬剤の移動および/または取込みを改善するための方法と装置を記載する。
【0058】
いくつかの実施形態では、電気信号の適用に対して治療薬投与のための制御可能な空間的関係が存在する方法および装置が提供される。処置に先立って、ESAに対するTAAの最適な配置が判定される。TAAとESAのこの空間的関係は、投与されている薬剤の性質、および薬剤が投与される標的組織の特性を含む処置パラメータによって、規定される。典型的な実施形態では、電気信号は治療薬投与の部位から遠位にある位置に優先的に適用される。特定の他の実施形態では、空間的関係は、薬剤投与の部位の近位にEMTADを誘導する電気信号を適用することである。特定の場合には、TAAとESAの共局在が望ましい。これは、所望のEMTAD効果の誘発のために電気穿孔および/またはイオン導入が利用される場合によくあてはまる。
【0059】
本開示の別の態様では、本明細書に記載の装置は、ESAに対するTAAの順序およびタイミングに関する制御可能な時間的関係を提供する。処置に先立って、TAAとESAの組み合わせに関する最適な順序およびタイミングが判定される。空間的関係に関しては、TAAとESAの望ましい時間的関係は、投与されている薬剤の性質、および薬剤が投与される標的組織の特性などのパラメータによって規定される。特定の適用では、ESAに関係する電界への接触は、治療薬に不利に影響し得る。そのような適用の実施では、そのような電界の生成の後にCTAAが続く。しかしながら、典型的な時間的関係は、CTAA後にESAが続くものである。
【0060】
本開示は、核酸塩基構成物、医薬化合物、薬剤、およびタンパク質などの治療薬の、EMTADを用いた、再現可能かつ一貫した効果的な送達のための改良された方法と装置を提供する。この目的は、電気信号の適用に対する治療薬投与の空間的および時間的な制御によって成就される。EMTADのための典型的な治療薬は、限定されないが、ワクチン、治療用タンパク質、および化学療法薬の送達を含む。特定の実施形態では、EMTADは従来の針-シリンジを使用した治療薬注入によって開始される。薬剤が投与された後、ESAに適したデバイスが指定の位置で被験体に適用される。適切なESAプロトコルが、治療薬送達に望ましい促進または増強を提供するために利用される。実質的に全ての細胞型に効果的であると証明された典型的なESA法は、電気穿孔である。電気的に媒介した送達の他の典型的な方法は、限定されないが、イオン導入、電気浸透、電気透過(electropermeabilization)、電気刺激、電気移動、および電気対流を含む。これらの用語は、例示的目的のみに使用され、および本開示を限定すると解釈されるべきではない。
【0061】
電気穿孔の技術は、細胞膜の透過性の一時的な増大を誘発し、かつ荷電粒子を移動させるために、電界の適用を利用する。標的組織内の細胞膜を透過性にすることによって、電気穿孔は、標的組織に投与された外因性物質の細胞内への取込みを劇的に改善する。電気穿孔による細胞膜の透過性および分子の移動の増大は、治療薬送達に対する障壁である細胞膜に打ち勝つ方法を提示する。EMTADを誘発するための技術として電気穿孔を適用することは、この技術の物理的性質ゆえに電気穿孔が実質的に全ての種類の組織に適用可能であるという点で、有利である。従って、本開示の様々な態様および実施形態は、限定されないが、EMTADの誘発のための技術として電気穿孔を論じる。
【0062】
<治療薬>
用語「治療薬」は、生きている組織に望ましいまたは有益な効果を提供することができる薬剤を含む、その最も広い意味で、本明細書において使用される。したがって、該用語は、予防薬と治療薬の両方、およびそのような望ましい効果を有する他のカテゴリーの薬剤をも含む。明らかに、本開示の範囲は、分類されてはいるが、薬剤の制御された送達を含むだけ十分に広い。治療薬は、限定されないが、医薬薬剤およびワクチン、および核酸配列(超らせん構造を有する弛緩型の直鎖プラスミドDNA、RNA、アンチセンス構成物、人工染色体、または他の核酸塩基治療薬)、およびそれらの製剤を含む。そのような薬剤の処方は、限定されないが、カチオン性脂質、陽イオンおよび/または非イオンポリマー、リポソーム、食塩水、ヌクレアーゼ阻害剤、麻酔剤、ポロキサマー、保存剤、リン酸ナトリウム溶液、または治療薬の投与、安定性、および/または効果を改善することができる他の化合物を含む。さらなる処方は、投与された薬剤の粘度および電気的なインピーダンスを制御する性能を付与する薬剤と添加物を含む。
【0063】
核酸の場合には、治療薬の一例は、薬剤に添加されたオーリントリカルボン酸(ATA)などの競合的ヌクレアーゼ阻害剤を伴う、リン酸緩衝塩化ナトリウム溶液に溶解したプラスミドDNAであろう。核酸塩基治療を使用するいくつかの実施形態では、構成物上にシグナルペプチドを組み込むのも有利であり得る。潜在的に有用なペプチドは、限定されないが、核移行シグナル、エンドソームリリックペプチド(endosomal lyric peptides)、および転写調節エレメントを含む。これらのシグナルは、EMTADを介して、細胞に送達される治療薬の送達および/または処理を改善することを可能にし得る。このシグナル伝達は、米国特許第6,165,720号に記載される方法を使用することで成就することができる(その全開示が参照により本明細書に組み込まれる)。これらの技術は他の送達システムと共に使用可能であるため、標的組織への核酸構成物の送達を増加させるEMTADの性能は、そのようなシグナルと共に使用するのに特によく適している。
【0064】
<標的組織>
本明細書に記載される方法、装置およびシステムの使用によるEMTADによく適した標的組織は、例えば表皮、真皮、下皮、結合組織、および筋組織に位置する、健康な細胞と罹病細胞の両方を含む。当該技術はさらに、最小限の侵襲的な方法または他の外科的方法によってアクセスされなければならない、健康な器官または罹病器官での適用のために利用することができる。そのような標的組織は、肝臓、肺、心臓、血管、リンパ、脳、腎臓、膵臓、胃、腸、結腸、膀胱、および生殖器を含む。いくつかの実施形態では、所望の治療効果は、通常は標的組織内に位置する細胞型への、および前記組織内に例外的に見つかった他の細胞型への、ある量の薬剤の送達のために(例えば腫瘍の化学療法処置)、本明細書に記載の方法または装置を使用することによって導き出され得る。
【0065】
上記で論じられ、および
図1に図示されたように、従来のEMTADは、治療薬の投与と電気信号の空間的および時間的な関係における正確さと再現性の不足に苦しむ。従来のEMTADアプローチとは対照的に、本開示は、より有利なEMTADの臨床応用を提供するための、CTAAとESAを併用する方法と装置を記載する。本開示は、再現可能かつ一貫した効果的な治療薬送達を提供するために、ESAと併用したCTAAの様々な態様を利用する。本明細書に提供される方法と装置は、電気信号の適用に対する治療薬の投与の空間的および時間的な制御を提供し、それによって標的組織における前記薬剤の移動および/または取込みを改善する。
【0066】
<方法>
一態様では、本明細書に記載される本開示は、治療薬の制御された投与と続くESAのための方法で使用されるシステムおよび装置を提供する。別の態様では、本明細書に記載される本開示は、ESA後の治療薬の制御された投与のための方法で使用されるシステムおよび装置を提供する。さらなる態様では、本明細書に記載される本開示は、ESAを伴う治療薬の制御された投与のための方法で使用されるシステムおよび装置を提供する。これらの方法は、範囲または連続的関係の点で限定されないが、処置パラメータの判定、被験体の準備手順、CTAA、ESA、および追加措置を含む。
【0067】
<処置パラメータの判定>
いくつかの実施形態では、処置パラメータは、治療薬の望ましい量および/または投与の持続期間に基づく。治療薬投与は、例えば、特定の徴候または処置適用(標的組織の種類および位置など)、および様々な被験体パラメータ(年齢と体重など)に依存し得る。治療薬の投与は、治療薬の投与とESAに関するパラメータによって制御され得る。CTAAに関する典型的な制御可能パラメータは、限定されないが、薬剤の量、薬剤の粘度、および注入量を含む。ESAに関する典型的な制御可能パラメータは、限定されないが、電気信号の特性、電気信号に曝される組織量、および電極列フォーマットを含む。CTAAとESAの相対的なタイミングおよび位置は、治療薬投与に対するさらなる制御を提供するパラメータである。
【0068】
<患者/被験体の準備>
本明細書に記載の実施形態では、本明細書に記載される方法は、患者/被験体の準備工程を含んでもよい。被験体の準備工程は、限定されないが、消毒清浄、および局部または局所的、神経ブロック、脊髄ブロック、硬膜外ブロックまたは全身麻酔を含む麻酔投与を含んでもよい。筋肉内(IM)ESAの典型的な事例では、筋肉の電気刺激の効果を最小化するプロトコルが本明細書に記載の方法に含まれてもよく、例えば、熱制御(例えば筋肉を冷やす)、麻酔剤の投与、および/または不快感の緩和に十分な代替的な刺激パターンを含む。容認可能な代替手段が存在する場合、選ばれた被験体の準備技術は、治療の有効性に不利に影響しないことが理解されるよう。例えば、場合によっては、アミド系麻酔剤の筋内投与は、推定ではこれらの薬剤の軽い筋毒性、すなわち投与されたDNA塩基配列によってコードされるタンパク質を発現する筋細胞の性能を阻害することができる筋毒性ゆえに、筋肉内送達プラスミドDNA系治療に望ましくない効果を有し得ることが示されてきた。
【0069】
<CTAAとESA>
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、CTAAとESAが併用される方法は、一貫したおよび再現可能な治療薬送達を可能にする。場合によっては、CTAAに適した装置が提供され、例えば、自動注射器具およびジェットインジェクターの少なくとも1つを含む装置が含まれる。
【0070】
本開示は、核酸、調合薬、抗体、ペプチド、タンパク質、またはそれらの組み合わせ等の治療薬または予防薬の筋肉内投与、皮内投与および/または皮下投与を増強するための、組織内での電界の適用を支持するために、皮膚の厚みと組成が不均質なレシピエントにおける薬剤分配の標的部位に関して、安全かつ一貫した方法で、複数の細長い電極を標的深度へと経皮的に配置することを可能にする方法と装置を提供する。
【0071】
本原理に係るシステムおよび方法は、皮膚、皮下組織、および/または骨格筋に電界を伝播させるために、複数の細長く、予め決められた標的組織部位まで組織を貫通する電極の、一貫した経皮的配置を可能にする。本明細書に提供される本開示は、最小限の訓練によってユーザーが、様々な皮膚特性を有する部位に手順を適用する時でさえ、複数の電極間の適切な空間的関係を維持しながら標的深度まで一貫して電極を配置できるように設計される。そのような変動は、個体内または異質なレシピエント集団間いずれかの、異なる部位における皮膚特性の変動に起因し得る。言い換えれば、本原理に係るシステムおよび方法は、アドミニストレーターまたはレシピエントに関係なく一貫したプロフィールを可能にするべきである。特定の実施形態では、電極の配置には、組織の標的部位への治療薬の投与のために構成され、およびESAのために使用される電極との所定の空間的関係に配置された1つ以上の注射針の挿入が伴う。典型的な実施形態では、電極からの電気信号が、1つ以上の注射針の挿入による治療薬投与の部位の遠位に優先的に適用されるように、前記電極は配置される。別の実施形態では、電気信号が、1つ以上の注射針の挿入による治療薬投与の部位の近位に優先的に適用されるように、電極は配置される。
【0072】
本開示の態様は、核酸、小分子薬、抗体、ペプチド、タンパク質、およびそれらの組み合わせの筋肉内投与、皮内投与、および/または皮下投与を増強するための、電界のインビボでの適用のための電極の経皮的な挿入を支持するために、単独でまたは併用して使用することができる。いくつかの実施形態では、電極の配置と続く電界の伝播は、標的組織部位への対象薬剤の分配と協調する方法で行なわれる。典型的な実施形態では、薬剤の分配と電界適用部位との空間的および時間的な共局在を達成する確率が最大化されるように、薬剤の投与および1つ以上の電界の適用は、制御されおよびモニタリングされた方法で行なわれる。
【0073】
総括すると、本開示は、対象薬剤の投与、および薬剤の送達、取込みおよび/または生物学的作用を改善する電界の局部適用と併せて、レシピエントの皮膚、皮下組織、および/または骨格筋内の予め決められた部位への電極の経皮的配置のための方法と装置を提供する。いくつかの実施形態では、最小限の訓練を受けたユーザーによってデバイスの設定と使用が効果的および確実に行われ得るように、本開示は実装される。別の実施形態において、本開示はさらに、デバイスの設定と使用の最中に犯される可能性のあるユーザー過失の頻度および/または潜在的な影響を減らすために、多数のインターロック、センサーおよびフィードバックループの実装を含む。
図2を参照すると、本明細書に記載される装置の一実施形態は、電極の活性化と続く電界の生成のための、および診断ルーチンと他の制御ルーチンのための電気エネルギー源として働く、制御装置(700)に接続するように構成される「アプリケーター」(400)に着脱式に接続された「カートリッジアセンブリ」(100)を含む。制御装置(700)はさらに、ユーザーインタフェース、トレー、アプリケーター(400)用ホルスターを備え、および他の様々な特徴が記載される。
図2に見られるように、適切な均一サイズかつ一般的形状のリザーバまたは容器(101)は、使用の方法でカートリッジアセンブリ(100)に挿入され得る。
【0074】
本明細書に記載の装置のいくつかの実施形態に存在するカートリッジアセンブリ(100)の詳細は、例えば
図3A-12に記載され、
図13A-18Cにアプリケーター(400)の対応する協同部分が、続いて
図19-20Dに制御装置(700)の関連する部分が記載される。アプリケーター(400)の残りの部分が次に記載され、続いて制御装置(700)の残りの部分が記載される。
【0075】
加えて
図3A-4を参照すると、本明細書に記載のいくつかの実施形態では、カートリッジアセンブリ(100)は、アプリケーター(400)と接続するように構成された支持構造を含んでもよく、および列を形成するように当該構造上に据え付けられた2つ以上の細長い電極(122)を収容する。デバイス内での電流の望ましくない伝播を避けるために、電極取り付け構造の設計と材料は、デバイス内で反極性の電極間に適切な誘電性バリアが存在するように指定されるべきである。細長い電極の末端領域(137)は、電極取り付け構造と電極の物質組成に適した、標準的な機械的機構および/または結合剤を使用して取り付け構造と係合する。
【0076】
典型的な実施形態では、カートリッジ外側ハウジング構造(102)は、対象薬剤を含む流体リザーバまたは容器(101)と接続するように構成され、ここでリザーバまたは容器(101)およびカートリッジハウジング構造(102)は、そこを通って標的組織に薬剤が投与される少なくとも1つの注入オリフィス(針105)に動作可能に連結するように構成される。いくつかの実施形態では、この構成は、対象薬剤の分配と電界適用部位との共局在を促進する。別の実施形態では、この構成は、ESAとCTAA用の装置間の所定の空間的関係の実装を容易にする。さらに別の典型的な実施形態では、シリンジ(101)はカートリッジ(100)に挿入され、アプリケーター(400)内へのカートリッジの装填に際して、シリンジ(101)は前進して針ハブ(152)と合体し、かつ針にカートリッジを連結する。
【0077】
本開示の特定の実施形態は、1つ以上の治療薬を収容するためのシリンジ、バイアル、アンプル、カートリッジまたは同等の構築物の使用を含み得る。いくつかの実施形態では、リザーバまたは容器は、対象薬剤との適合性で選択された物質を有する少なくとも1つのガラスとプラスチックを含み得る。望ましい滑らかさまたは保護特性を提供するために使用されるコーティングをリザーバまたは容器に適用してもよい。上記で開示されたように、電極(122)は空洞でもよく、場合によっては流体容器に動作可能に連結可能な注入オリフィスを伴って構成されてもよい。代替的に、注入オリフィスは、1つ以上の皮下注射針および/または電極に対して配置された針を用いない注入ポートを含み得る。注入オリフィスの種類およびサイズの選択は、対象薬剤の望ましい投与経路、組織内分布、および物理的特性に依存し得る。特定の実施形態では、カートリッジ構造は、複数の電極の導電性領域によって限定された組織において対象薬剤の分配が実質的に行われるように、配置された状態での注入オリフィスと電極との予め決められた空間的関係を確かなものにするように設計される。特定の実施形態では、ユーザーによる鋭器の取扱いの必要を最小化するために、皮下注射針と共に使用するために設計されたカートリッジ(100)は、使用時に針がシリンジと合体するより一般的な慣行ではなく、製造時に皮下注射針がカートリッジと合体することを可能にするように構成される。特定の実施形態では、本開示の態様は、使用に先立ってリザーバまたは容器が針と適切に合体することを保証するための特徴と共に、製造、分配、取り扱い、および使用中に針を確実に保持するための特徴を、カートリッジおよび/または針に組み込み得る。いくつかの実施形態では、そのような特徴は、破損または不適当な合体によるリザーバまたはリザーバオリフィス界面からの薬剤の漏出のリスクを最小化することができる。
【0078】
特定の実施形態では、カートリッジは、サブアセンブリの遠位端に位置する組織接触界面を含み得る。特定の実施形態では、組織接触界面は、電極の伸縮配向に対して垂直に配向され、および電極が組織接触界面を通過できるように構成された1つ以上のアパーチャを有する、実質的に平らな構造を含む。一体化リザーバまたは容器および注入オリフィスを組み込む実施形態の場合、界面はさらに、注入オリフィスまたは針を用いない注入に適したアパーチャを有する。電極と注射針の汚染のリスク、およびユーザーまたはレシピエントへの意図しない鋭器の接触が発生するリスクを最小化するために、特定の実施形態では、電極と注射針の通過に適応したアパーチャは、電極と注射針との偶発的な接触を防ぐのに適したサイズである。最も一般的には、組織接触界面は、少なくとも短期間の組織接触に適している1つ以上のプラスチックで構成される。
【0079】
レシピエント間での可能性のある生体物質の相互汚染を回避するために、カートリッジアセンブリ(100)は一回用として構成され得る。場合によっては、カートリッジは、カートリッジの使用を一回投与に制限する1つ以上の機械的要素、電気的要素、および/または識別エレメントを含む。この性質の機械的要素の例には、限定されないが、例えば、使用後の配置された状態において電極取り付け構造および/またはスティックシールドを固定するロックアウトおよび/または移動止めが含まれる(以下を参照)。電気的要素の例には、例えば、カートリッジの第1の使用の終了時に電気エネルギー源によって非活性化される1つ以上の電極を有する、連続して構成されたヒューズまたはリンクが含まれる。識別エレメントの例には、例えば、シリアル化された無線周波数識別装置、バーコード、またはアプリケーターおよび/または電気エネルギー源によって読み取られるように構成されたクイックレスポンスコードが含まれる。その後、特定のカートリッジに関する識別情報は、アプリケーターおよび/またはエネルギー源によるカートリッジの偶発的または故意の再使用を防ぐために使用され得る。一実施形態では、1つ以上の余分な特徴が、カートリッジの再使用の可能性を最小化するために組み込まれる。
【0080】
本明細書に記載の装置の一実施形態では、
図2に示されるように、アプリケーター(400)は、カートリッジアセンブリ(100)と接続するように構成された支持構造、ユーザーインタフェース(410-418)(
図13B)、電極がレシピエントの標的組織内に配置された時に細長い電極の末端領域に位置する導電性接触領域と電気エネルギー源を動作可能に連結するように構成された導電性の電気的接続部、を含む。場合によっては、ユーザーインタフェースは、ハンドル、ユーザーに情報を伝えるために設計された1つ以上のディスプレイ機構、およびユーザー入力を受け取ることができる1つ以上の機構を含む。特定の実施形態では、ディスプレイ機構は、設定および使用中に、デバイスの操作状態および関連する警告/エラーメッセージを伝えるように構成される。そのようなディスプレイは、機械的機構、ライト、英数字ディスプレイ、および/または電子表示装置スクリーンを含み得る。場合によっては、ユーザー入力を受け取ることができる機構は、手順の適切な段階においてユーザーが暴発を防ぐデバイス内の安全機構を非活性化する、手順の特定のパラメータに関する選択をする(例えば意図した注入深さ)、および手順投与を開始できるように構成され、およびボタン、引き金、機械的スライド、および/またはレバーを含み得る。
【0081】
特定の実施形態では、アプリケーター(400)はさらに、カートリッジアセンブリに接続する作動機構を含み、該作動機構は、電極の経皮的配置、標的組織に対する注入オリフィスの位置づけ、リザーバまたは容器からオリフィスを通り標的組織部位へと入る対象薬剤の放出、および/または制御装置(700)などの電界発生装置からカートリッジ(100)への電気信号の伝達のために構成される。アプリケーター(400)は、機構を作動させるエネルギーがユーザーによって供給されるように、またはより好ましくはアプリケーター内の作動機構に動作可能に連結された1つ以上の無生エネルギー源を装置が組み込み得るように、構成され得る。そのような無生エネルギー源には、例えば電気機械的装置(ソレノイド、モーター、主ネジ)、機械的コンポーネント(バネおよび関連するデバイス)、および圧縮ガスが含まれる。
【0082】
カートリッジアセンブリ(100)の典型的な実装は
図3Aに記載される通りであり、カートリッジアセンブリ(100)は、薬剤のリザーバまたは容器(101)を受け取りおよび包含するための、リザーバまたは容器装填ポート(140)およびリザーバまたは容器格納容積(142)を含む。電界が生成されおよび治療の一部として使用されるデバイスでは、制御装置(700)などの電界発生装置が、標的組織に接触するように構成された電極を含むデバイスと電気的に接続する必要があるため、カートリッジアセンブリ(100)が必要である。制御装置は複数回使用できるように構成され、およびリザーバまたは容器(101)は一回用として意図され得るため、カートリッジアセンブリ(100)は電極(122)を保持するために、およびリザーバまたは容器(101)は再使用可能なデバイスと接続するために存在し得、およびカートリッジアセンブリ(100)は一回用に構成され得る。したがって、アプリケーター(400)は再使用可能なコンポーネントであり得、およびカートリッジアセンブリ(100)は一回用に構成され得る。カートリッジアセンブリ(100)はさらに、過失または不正な干渉がリザーバまたは容器(101)の挿入に現われた場合、または欠陥が存在する場合、その後の使用を妨げる状態になり得る。
【0083】
用語リザーバまたは容器(101)は、薬剤または治療薬を含むことができ、およびオリフィスを有するデバイスと接続することができる、針ハブ(152)を有する針(105)として
図4に示される針などの、シリンジ、バイアルまたは他の任意のデバイスを指すことができる。所与の種類のカートリッジアセンブリ(100)用のリザーバ(101)は、概して一般的な形状およびサイズである。カートリッジアセンブリ(100)内の様々なコンポーネントには、実寸での余地および/または製作公差が認められているが、カートリッジ(100)での使用に関するラベルを付されていない薬剤がデバイスによって誤って送達されるリスクを減らすために、概して一般的な形状とサイズが要求される。適切な大きさのリザーバ(101)がユーザーから提供されなければ、カートリッジアセンブリ(100)内の1つ以上のインターロックを非活性化することができず、および適切な大きさのリザーバ(101)が挿入されるまでシステムは使用不可能となり得る。
【0084】
図3Bに見られるように、リザーバ(101)は通常、プランジャと、薬剤が出ていくためのポート(156)を装備し得る。除去可能なキャップ(158)がさらに、リザーバが挿入されおよび使用される時まで薬剤の無菌性と完全性を保全するために、提供され得る。薬剤が出ていくためのポートは、針ハブ(152)の近位で使用され、およびプランジャは、薬剤が出ていくためのこのポートの反対側にあり得る。薬剤が出ていくための開放ポートの代替として、いくつかの実施形態では、リザーバまたは容器は、プランジャに対向する容器の端部を覆いおよび密閉する中隔コンポーネントを用いて構成され得る。中隔は、安定性と、リザーバまたは容器内に含まれる薬剤との適合性により選択された物質の特定の配合とコーティングを用いて、シリコンまたはブチルゴムなどのエラストマー配合物で作ることができる。中隔コンポーネントは典型的には、クリンプシールまたは他の固定機構によって適所に保持される。この中隔シール構成は、除去可能なキャップの必要を回避するが、リザーバまたは容器に含まれる流体にアクセスするための針、スパイクまたは他の特徴部などの適切な貫通部材を針(105)に装備する必要がある。この構成に関する特定の実装は、両側針構成およびスパイクバイアルアダプターを含む。
【0085】
カートリッジアセンブリ(100)は、リザーバまたは容器(101)を受け入れるためだけでなく、ポート(401)を受け入れるアプリケーターカートリッジアセンブリ内に、アプリケーター(400)によって受け入れられるために構成される(
図2)。したがって、カートリッジアセンブリ(100)は、少なくとも部分的に、内部容積内でアプリケーター(400)によって牽引され、および保持されることを可能にするデバイスを含む。特定の実施形態では、該デバイスは、アプリケーター(400)内の対応するモーター付きピニオンアセンブリに係合する、カートリッジアセンブリ(100)の表面上にある1つ以上のラックである。他の実装では、アプリケーター(400)は、内部容積内へとカートリッジアセンブリ(100)を牽引する必要なく、カートリッジアセンブリ(100)と接続することができる。さらに他の実装では、カートリッジアセンブリ(100)をアプリケーター(400)と係合させるために他の技術を使用してもよく、例えばモーター付きトラックまたはブラケットなどであり、その上にカートリッジアセンブリ(100)を接続することができる。
【0086】
アプリケーター(400)はさらに、カートリッジアセンブリ(100)内での特定の動作をアプリケーター(400)に制御させる界面要素を備える。特に、アプリケーター(400)は、様々なサブシステムを使用して、針挿入、薬剤送達、電極挿入および電極活性化を制御するように構成され得る。場合によっては、これらの工程は関連づけられ、その結果、アプリケーター(400)の単一の動作によってこれらの工程のうち複数が開始される。いくつかの実装では、これらの工程のうち薬剤送達と電極活性化のみが、以下の典型的な実装に記載されるように、単一の動作によって引き起こされる。
【0087】
カートリッジアセンブリ(100)の機械的要素、電気的要素、または光学的要素に伝えられた電気的信号または光信号の使用などの、適切な活性化に際して、アプリケーター(400)は、カートリッジアセンブリ(100)内のサブシステムを試験することができるようになり、電界適用を伴う薬剤送達のためにそれが適切に作動し、および適切に構成されることを確実にする。例えば、そのようなサブシステムには、カートリッジアセンブリ(100)が以前に使用されていないこと、リザーバまたは容器がカートリッジアセンブリ内に適切に配置されていること、被験体の体に適用された適切な力が位置合わせガイド/外広がりシールド(108)を介して適用されたこと、深さがユーザーによって肯定的に選択されたことの試験、および外側カートリッジキャップ(110)が取り除かれたこと、を確実にするためにアプリケーター(400)が試験をし得ることが含まれる。さらに、アプリケーター(400)は、手順の実行中にカートリッジ機能の状態をモニタリングするように構成され得る。例えば、そのようなサブシステムは、薬剤の投与が開始される前に電極(122)が適切に被験体内に配置されていること、電界の適用に先立ってリザーバまたは容器のプランジャが適切に作動されたこと、投与手順中に被験体の体に対して適用される適切な力をユーザーが維持していることなどを確実にするためにアプリケーター(400)が試験をし得ることが含まれる。
【0088】
アプリケーター(400)によって作動されるサブシステムに加えて、カートリッジアセンブリ(100)は、アプリケーター(400)と相互に作用するもの、およびそのように相互作用をしないものを含む、適切なサブシステムを組み込むことができ、それによって薬剤送達および電界適用治療の目的を成就する。これらは、針と電極の挿入を引き起こすためのサブシステム、治療の適用後に鋭器からユーザーを保護するためのサブシステム、針/電極の挿入の様々な深さを提供するためのサブシステム、手順の開始の許可に先立ちおよびその後の投与手順の適用中にレシピエントの組織に対して適用された適切な力を保証するためのシステム、などを含む。配置可能な針と電極の文脈でしばしば記載される一方で、本明細書では、それらが厳密に必要とされるわけではなく、および配置不可能または固定された針と電極もまた、記載されるサブシステムを含む、本発明の原理に係るシステムと方法から利益を得ることが、記される。
【0089】
1つの典型的な実装では、
図4に示されるように、カートリッジアセンブリ(100)は外側カートリッジ(102)を含み、これは場合によってはハウジングとも称される。外側カートリッジ(102)は外側カートリッジキャップ(106)によって遠位端で終端となる。外側カートリッジ(102)は、内側カートリッジ(103)を受け入れるための内側カートリッジ格納容積(150)を含み、内側カートリッジ(103)は受け入れられ、および外側カートリッジ(102)と関係して摺動可能な方法で動く。内側カートリッジ(103)は、リザーバまたは容器の格納容積(142)を含み、そこにリザーバまたは容器(101)が位置している場合もある。内側カートリッジ(103)は遠位端で内側カートリッジキャップ(104)と係合する。内側カートリッジキャップ(104)は多数の機能を有し、該機能には、適所に電極(122)をロックすること(内側カートリッジ(103)自体が電極(122)の入る継ぎ目を有する)、およびスティックシールド(134)用のベアリング面を提供することが含まれる。内側カートリッジキャップ(104)は内側カートリッジ(103)上へとロックする。
【0090】
カートリッジ尾部(112)は、内側カートリッジ(103)内のリザーバまたは容器の格納容積(142)の部分に、すなわち内側カートリッジキャップ(104)の反対部分に、受け入れられる。容器検知キャップ(118)は、容器検知バネ(116)を介してカートリッジ尾部(112)と係合する。カートリッジロック環(114)は、システムを適所にロックし、内側カートリッジ(103)へのカートリッジ尾部(112)を含む。容器検知バネ(116)はさらに、リザーバ(101)を押して針ハブ(152)と係合させる働きをし、さらにリザーバ(101)のサイズに公差を適合する働きをする。
【0091】
容器インターロック(120)は、カートリッジ機能の偶発的または望まれない作動を防ぐために、機械的なインターロックを提供する。特に、容器インターロック(120)またの名を第1のリザーバ挿入トリガーは、内側カートリッジ(103)の下に配置され、および内側カートリッジ(103)内に画定されたスロットまたは穴を通って伸長するフィンガーを有する(
図5Bを参照)。フィンガーは、カートリッジ尾部(112)が内側カートリッジ(103)に対して摺動可能に移動するのを防ぎ、およびとりわけリザーバが容器格納容積(142)に挿入される前に内側カートリッジ内でカートリッジ尾部(112)が内側カートリッジキャップ(104)に向かって動くのを防ぐ。
【0092】
リザーバまたは容器(101)が、リザーバまたは容器の格納容積(142)に適切に挿入された時、リザーバまたは容器インターロック(120)が押し下げられ、およびフィンガーが押し下げられ、もはや容器格納容積(142)内には伸長していない。このような容器インターロック(120)の押し下げまたは低下はさらに、ユーザーに適切な挿入を通知することができる聴覚式、触覚的、またはハプティック「クリック」を提供するように構成されてもよい。一旦押し下げられると、もはやリザーバまたは容器インターロック(120)のフィンガーによってブロックされていないカートリッジ尾部(112)は、動くことができるようになり、およびとりわけ内側カートリッジキャップ(104)の方向に動くことができる。
【0093】
カートリッジアセンブリ(100)が下記の方法でアプリケーター(400)に挿入された時に、カートリッジ尾部(112)はスプリングキャップ/カートリッジ界面(470)の動作によって動くようになる。カートリッジ尾部(112)が十分に前進した時、それは適所にロックし、リザーバまたは容器格納容積(142)にリザーバまたは容器(101)を固定し、およびリザーバ(101)から針(105)のオリフィスへの完全な流体経路を保証するために針ハブ(152)に対して適切に位置づけられることを保証する。
【0094】
注射針がカートリッジ(100)に組み込まれるデバイスの実施形態の場合、標準的な「既製の」一回用皮下注射針の使用が、デバイス内で使用されてもよい。しかしながら、デバイスの操作上の特性と信頼性特性は、従来の非経口投与手順を意図した皮下注射針には存在しないカスタマイズされた設計要素の組み込みによって改善され得る。針ハブ(152)の特定の態様は、それが含む物質、分配と使用の間に針ハブ(152)が内側カートリッジ(103)から移動してしまうのを防ぐ保持機構の包含、および針にある斜面機構のハブに対する配向、を含み得る。
【0095】
従来の一回用のディスポーザブル注射針は一般に、射出成形ポリプロピレン熱可塑性物質で構成される。しかしながら、多くの応用については、このデバイスでの針の配置と注入の力特性にさらされた時に、ポリプロピレンの衝撃強さ、引っ張り強さおよび曲げ強さは、ハブの完全性を保証するのに適切ではない場合もある。懸念される特定の欠陥には、衝撃または注入力によるハブ壁部での欠陥とハブ針ジョイントの欠陥が含まれる。形状と壁部の厚さを含むハブの設計における調整が、これらの欠陥に対処しかつ欠陥を防ぐために使用され得る一方で、国際標準化機構(ISO)ISO 80369-7:2016「ヘルスケア分野の液体及び気体用小口径コネクター- 第7部:血管内または皮下注射器用途のコネクター」によって公表された関連する基準に記載されるように、ハブが円錐形の雄のルアースリップコネクターと適切に合体するのに求められる寸法特性を確実に保持させながら、ハブの欠陥を防ぐのに十分な設計の修正を行うことは、必ずしも実現可能だとは限らない。特に、シリンジ針とハブが配置中にさらされる力を考慮して、特定の実施形態では、改善された衝撃強さ、引っ張り強さおよび曲げ強さを有する物質が使用される。一例として、射出成形ポリカーボネートプラスチック(ZELUX(登録商標)GS、Makrolon、またはレクサンなど)、またはコポリエステル(Eastman Tritan(商標)Copolyester MX731、MX711、およびMX 730)の使用があげられる。ISO 180:2000プラスチック-アイゾット衝撃試験に従って評価すると、本用途には少なくとも70kJ/m2のノッチ付衝撃強さが適していると考えられる。ISO527-1:2012プラスチック-引張特性の試験方法 第1部 通則に従って評価すると、本用途には少なくとも30のMPaの引張強さが適していると考えられる。ISO178:2010プラスチック-曲げ特性の求め方に従って評価すると、本用途には少なくとも50MPaの曲げ強さが適していると考えられる。いくつかの実施形態では、選択された特定の樹脂は、その機能を損ない得る物理的特性への有害な変化を示すことなく、意図された滅菌方法(例えばガンマ線)との適合性を示す。
【0096】
カスタム注射針が利用される実施形態の場合、デバイスを内側カートリッジ(103)に挿入可能にする、従来のシリンジハブ上には通常存在しない1つ以上の機械的な特徴が含まれる。そのような特徴は、内側カートリッジ(103)上に配置された対応する機械的特徴を備えたタブ、スナップまたは隆起を含み得る。場合によっては、ハブが一貫した配向で内側カートリッジ(103)と合体するように、該特徴が実装される。斜面または他の針オリフィス特徴を一貫して配向させることが可能な針製造プロセスと組み合わせて、これは、オリフィスの位置とデザインに起因する注入位置または薬剤分配の偏りが、デバイスのデザインにおいて考慮され得ることを保証する。例えば、非対称の貫通先端特徴(例えばベベル切断)を有する針は、針にある非対称の貫入特徴と組織との間の相互作用に起因する、組織内への配置中の方向偏りを示し得る。電極が対称的な貫通先端特徴(例えばトロカールチップ)を有する場合、電極はその配置特性に相応する偏りを示さないだろう。したがって、内側カートリッジ(103)上の針ハブ(152)用の取り付け特徴は、配置に先立って、針の非対称斜面の予期される配置特性を考慮する(account for)ために、電極(122)に対して、針(105)上の注入オリフィスの位置にオフセットを含み得る。オフセットの正確な寸法は、標的組織の性質および貫通深さの期待範囲に依存し得るが、特定の実施形態では、針は10mmの貫通深さごとに0.5-1mmずつオフセットされる。異なる先端プロフィールを有する電極と注射針を使用する場合、または先端プロフィールが互いに一貫して配向されなければならない場合、そのような特徴は、薬剤分配と電界適用の共局在を保証するのに有利である。
【0097】
シリンジ検知バネ(116)に取り付けられたシリンジ検知キャップ(118)の組み込みは、シリンジ(101)に期待された製作公差の範囲にわたってカートリッジアセンブリ(100)が確実にシリンジ(101)を受け入れ、かつ針ハブ(152)に対して適切に位置づけることができるようにする。アプリケーター(400)内のバネキャップ/カートリッジ界面(470)が、カートリッジアセンブリ(100)に対して遠位に移動する場合、アプリケーター(400)はカートリッジ尾部(112)を装填手順中に前進させる。この動作は、カートリッジアセンブリ(100)がアプリケーター(400)に装填され、および例えば装填機構、例えば以下に記載のラックアンドピニオン機構の動作によって、カートリッジアセンブリ(100)がアプリケーター(400)内に牽引される場合に、起こる。
【0098】
カートリッジ尾部(112)の動きは、第2のインターロックとして作動し得る。特に、一実装では、
図5C-5Dに見られるように、適切に構成されたセンサーによってカートリッジアセンブリ受入容積(403)内に、一連のリザーバまたは容器ロック穴(144’)を介して、見通し線が目視可能かつ検知可能である(
図5D)。カートリッジアセンブリ(100)がアプリケーター(400)に装填された時に、この見通し線は目視可能である。目視可能な見通し線またはその閉塞は、第2のインターロックの一部として作動することができ、それは針と電極の挿入、薬剤送達および電極活性化を含むデバイスの活性化および始動を制御装置(700)によって可能にするために、非活性化されなければならない。
【0099】
例えば、一実装では、リザーバまたは容器ロック穴(144’)(
図5D)は、デバイスが作動するために閉塞されなければならない。目視可能な見通し線が存在する場合、例えばIRまたは可視光エミッタ、およびアプリケーターのカートリッジアセンブリ受入容積(403)内部に対になった検知器によって検知される場合、デバイスは操作不能になり得、およびデバイスの状態と推奨されるエラー対処工程をユーザーに通知するために、ディスプレイ(404)および/または制御装置ディスプレイ(712)を含む制御装置(700)でエラーメッセージを生成かつ表示し得る。
【0100】
したがって、この実装では、エラー状態とは、リザーバ(101)がカートリッジ(100)に装填されていなかった、またはシリンジが内側カートリッジ(103)内に適切に取り付けられてなかったことであり得る。この場合、容器インターロック(120)を押し下げることはできず、なぜならこの動作を行うリザーバ(101)が存在しないからである。この場合は、カートリッジ尾部(112)を内側カートリッジキャップ(104)に向かって遠位方向に前進させることはできない。これらのコンポーネントの構造は、開いた尾部状態が第1のリザーバロック穴(144’)(
図5D)を通る見通しの良い見通し線(146)をもたらすようなものであり得る。付随的なチェックは、カートリッジ尾部(112)が閉じられないことであり、これは、カートリッジアセンブリ受入容積(403)内へと、後方または遠位の必要な距離に移動することができないことを示す。これらの状況はシステムによってエラー状態と定義されるため、それらはエラーメッセージの生成時にも識別され、および使用され得、例えば、制御装置ディスプレイ(712)を含むアプリケーターディスプレイ(404)および/または制御装置(700)のユーザーインタフェース上に、ユーザーに対する適切なメッセージを伴う。リザーバ(101)が不適切に装填されている場合、または容器インターロック(120)が破損している場合、類似のエラー状態が現われ得る。この場合は通常、適切なエラーメッセージには、カートリッジを取り除き、新しいリザーバを再度取り付け、およびアプリケーター(400)へのカートリッジアセンブリ(100)の再導入を試みるための、ユーザーへの指示が添えられてもよい。
【0101】
別のエラー状態は、リザーバ(101)のない状態でカートリッジ尾部(112)をユーザーが手動で前進させることであり得、これはユーザーが容器格納容積(142)から容器インターロック(120)を手動で押し出すことによって起こる。この状態もまたエラー状態として定義することができ、および別の(第2の)リザーバロック穴(144)のセット(
図5C)が外側カートリッジ(102)の一部に配置されるため、それを検知することができる。リザーバが適所にないが、押し下げられた容器インターロック(120)の動作によってカートリッジ尾部(112)が前進する場合、リザーバロック穴(144’)(
図5D)はリザーバロック穴(144)(
図5C)と一直線になり、再び見通しの良い見通し線(146)および続くエラー状態を生成する。リザーバまたは容器インターロック(120)が破損しており、かつそのフィンガーがもはや容器格納容積(142)内にない場合にも、このエラー状態が起こり得る。特定の実施形態では、このエラー状態は、リザーバの再取り付けを試みることによって処置可能である必要はなく、なぜならカートリッジ尾部(112)のロックされた容器格納容積(142)にリザーバが嵌合しないかもしれないからである。特定の実施形態では、新たなカートリッジアセンブリ(100)が必要である。
【0102】
対照的に、適切なサイズのリザーバまたは容器(101)が適切に適所に位置づけられている場合は、容器検知キャップ(118)は容器検知バネ(116)へと押し戻され、および容器検知キャップ(118)の移動がリザーバロック穴(144)(
図5C)とリザーバロック穴(144’)(
図5D)を閉塞する。この場合、エラー状態はなく、デバイスの作動を認める。閉塞および閉塞の検知は、カートリッジアセンブリ(100)の挿入後にアプリケーター(400)の本体内で起こり、したがってこのインターロックを打破しようとするユーザーの試みに、それが故意か偶発的か欠陥によるものかにかかわらず、影響されることはない。カートリッジ(100)の操作中にユーザーが故意または偶然にカートリッジ尾部(112)自体を閉じた場合であっても、この「エラーなし」の状態が起こることに留意されたい。
【0103】
カートリッジアセンブリ(100)が依然として使用可能であるか否かは、どのエラー状態が起こるかに左右される。カートリッジ尾部(112)が適所にロックされている場合、カートリッジアセンブリ(100)は使用不能になる。しかしながら、カートリッジ尾部(112)が適所にロックされていない場合、カートリッジアセンブリ(100)はアプリケーター(400)から取り除かれ、および新たなリザーバ(101)が挿入され得る。
【0104】
上記の2つのインターロックのセット(容器インターロック(120)を使用する機械的なもの、および発光体と集光器、およびリザーバまたは容器のロックアウト穴(144)と(144’)を使用するもの)は、いくつかの実装において特に有用であることがわかっているが、他のタイプのインターロックを使用可能であることが理解されよう(
図5C-5D)。例えば、リザーバロック穴(144)が閉塞していない時にエラー状態が起こる代わりに、リザーバロック穴(144)が閉塞した(および明確な見通し線(146)が非エラー状態に対応する)時に、(リザーバロック穴の位置とプログラムロジックの変化によって)エラー状態が起こるように構成されてもよい。容器インターロック(120)は、インターロックが作動している時にカートリッジに押し下げられているが、シリンジ(101)が適切に挿入されており、かつ容器インターロック(120)がその解除位置に押し下げられている時に、適切に構成されたセンサーに見えるようになる、追加の機械的フラグ機構を組み込むことができる。他の変化形体では、適切なエミッタおよびコレクターがアプリケーター(400)内に位置づけ可能である限りにおいて、例えば光学的、聴覚性、電気的などの、見通し線の存在を判定するための他の方法を使用してもよい。リザーバまたは容器(101)が適切に装填されているかを判定するために、本教示を与えられた当業者によって理解されるような、例えば機械技術などの、他の使用をさらに使用してもよい。実装に応じて、エラー状態が検知されると、アプリケーター(400)が適所にあるカートリッジアセンブリ(100)と共に作動することを妨げ、またはアプリケーター(400)が第1の位置にカートリッジアセンブリ(100)を受け入れることさえも妨げ得る。例えば、カートリッジは、1つ以上のカートリッジ表面から伸長する機械的タブまたはロック機構を容器インターロック(120)が有するように設計され得、したがってシリンジ(101)などの適切な容器が適切にカートリッジ(100)に挿入されるまで、不適切な容器が使用されるのを防ぎ、または適切な容器の不適切な位置づけを防ぐ。容器インターロック(120)が解放されなければ、すなわちタブが適切に装填された容器によって偏向または移動されなければ、アプリケーター(400)へのカートリッジ(100)の装填が物理的に妨害されるように、機械的タブはアプリケーター(400)にある対応する移動止め特徴部と相互に作用するように設計されている。この機械的な相互作用は、アプリケーター(400)へのカートリッジ(100)の装填に進む前に、エラー状態が解決されなければならないという、ユーザーまたはシステムへのフィードバックを提供するだろう。他の変化形体では、多かれ少なかれ2つのインターロックが提供されてもよく、付随してそれは異なる安全性プロフィールに関連付けられてもよい。
【0105】
特定の実装では、他の特徴も上記の判定に使用することができ、または上記の判定を向上させるために使用することができる。例えば、アプリケーター(400)内にカートリッジアセンブリ(100)を牽引するためにモーターを使用する場合、以下に記載されるように、挿入中にカートリッジアセンブリ(100)の空間的位置を検知するためにセンサーを使用してもよい。別の方法では、アプリケーター(400)は、カートリッジアセンブリ(100)がカートリッジアセンブリ受入容積(403)内のどこにあるのかを検知し得る。場合によっては、デバイスの状態を評価するために、直接的に、または追加のセンサーの作動を促すことによってのいずれかによって、追加のエラー状態の判定が可能になり得る。例えば、使用済カートリッジでは、カートリッジ尾部(112)は位置にロックされる。使用済カートリッジアセンブリ(100)の再使用が試みられると、光学検波器は、未使用のカートリッジアセンブリ(100)の場合とは異なる点でカートリッジアセンブリ(100)を検知する。1つ以上のシステム機能のための電気的なモーターの使用はさらに、モーターに供給される電圧と電流レベル、および特定の動作中にモーターが行った回転の数を含むその動作状態をモニタリングする機会を提供する。システム動作中のこれらの数量の測定は、潜在的または事実上の欠陥状態を検知するための1次的または2次的方法として使用され得る。例えば、カートリッジ(100)が適切に構成されない時に、装填手順を遮断するように設計された機械的インターロックの使用は、アプリケーター(400)へのカートリッジ(100)の適切な装填を確実にするために、モーターをモニタリングするセンサーと論理回路に連結され得る。例えば、適切に挿入されたリザーバまたは容器(102)なしにはカートリッジ(100)が装填されないように設計された上記の機械的機構の相互作用は、結果としてモーター駆動機構の負荷を増やし、より高い電流の流れをもたらすだろう。モーターによって上昇した電流の流れの検知は、装填手順を停止するように促し、および欠陥状態を、例えば刺激装置ディスプレイ(712)および/またはアプリケーターディスプレイ(404)に表示するだろう。
【0106】
この方法による投与を意図されていない薬剤も、類似のサイズのリザーバまたはこの送達方法による使用を意図した構成に包含され得る。したがって、本システムのさらなる態様は、ユーザーによってカートリッジ(100)に挿入されたリザーバまたは容器(101)が特別に本デバイスでの使用を意図されていることを保証する1つ以上の方法を組み込む。そのような特徴の実装は、間違った薬剤が所与の被験体に投与されるというリスクを減らすだろう。慣習的に、薬剤の取扱説明書およびラベルにおける具体的情報は、投与の経路および方法を含む。しかしながら、可能性あるユーザーエラーをさらに減らすために、リザーバまたは容器およびデバイス内に、機械的、光学的、および/または電気的な特徴を組み込むことが望ましい場合もある。一実施形態では、シリンジは、本発明の送達方法での使用のために設計されたものと類似しているかもしれない他のリザーバには存在しない、1つ以上の独自の機会的特徴を組み込むように設計されてもよい。例えば、リザーバまたは容器は、リザーバのフランジまたはバレル上に、リブまたは他の細長い特徴を組み込むように規定されてもよい。本実施形態において、相当する合体特徴部が容器インターロック(120)に含まれ、それによって容器インターロックは、適切な合体特徴部を備えたリザーバがデバイスに適切に挿入された場合にのみ非活性化される。リザーバの設計に該特徴部を直接実装することができない場合、代替的な実施形態では、本デバイスでの使用を意図したリザーバに特有のリザーバに、第2の機械的コンポーネントを配置してもよい。例えば、リザーバのバレル上を摺動するように設計された環または他の適切に構成された特徴部は、外側カートリッジ(102)、内側カートリッジ(103)、容器インターロック(120)、容器検知キャップ(118)、またはカートリッジ(100)内の他の適切な特徴部にある、対応する特徴部と合体することによってデバイスと共に使用されるリザーバに「鍵をかける」ために使用されてもよい。さらなる実施形態では、適切なサイズ、色、および/または電導性のカスタムラベルが、本デバイスでの使用を意図したリザーバの外側表面にある予め決められた位置に適用された。アプリケーター(400)の相当する光学的または電気的なセンサーが、カートリッジに挿入された薬剤がデバイスでの使用を意図されていることを確認するために、リザーバの表面にあるラベルの有無を評価するように構成されてもよい。検知法には、ラベルの有無を評価するための、ラベル表面に適用された光学的または電気的信号の使用が含まれてもよい。このように、本デバイスでの使用を意図されていない(したがって関連するラベルのない)薬剤を含むリザーバの、可能性の誤用が検知および排除され得る。
【0107】
ここで、上記のカートリッジ装填およびシリンジの検知判定を行なうためのセンサーの構成が記載され、そのようなセンサーはさらにアプリケーター(400)内のカートリッジ装填サブアセンブリの一部を形成する。より詳細には、加えて
図6、17Bおよび18Cを参照すると、カートリッジアセンブリ(100)の位置を検知する典型的な方法は、カートリッジ装填センサー(436)およびカートリッジ装填済センサー(438)を使用するものであり、それは装填駆動サブアセンブリ(454)の一部を形成し、該サブアセンブリ(454)はさらに、外側カートリッジ(102)の基部にあるラック(154)を介してカートリッジアセンブリ受入容積(403)にカートリッジアセンブリ(100)を引き入れるピニオンギアアセンブリ(448)に接続しているカートリッジガイドレール(442)および装填モーター(444)を含む。より詳細には、カートリッジ装填センサー(436)がカートリッジアセンブリ(100)の開始フラグ(172)を検知すると(
図6を参照)、モーターによる装填が開始され得る。カートリッジ装填済センサー(438)が同じフラグを検知すると、装填が停止され得る。持続的なフラグ(174)を利用してもよく、それは装填を続行するために求められる。
【0108】
ラック(154)の第1の「歯」は、カートリッジアセンブリ受入容積(403)にカートリッジアセンブリ(100)を挿入している時に、ユーザーに触覚的(または聴覚的、またはハプティック)感触を提供するように構成され得る。そのような構成には、ラック歯(154)の形状および/またはサイズ、および外側カートリッジにおける位置づけによって許容された屈曲の量が含まれ得る。ラック歯の実装を応用することによって、カートリッジアセンブリ(100)の受け入れおよび装填から、望ましい度合の触覚フィードバックを達成することができ、他方で装填モーター(444)に対して著しい力を与えないようにすることを保証する。
【0109】
加えて
図17Aを参照すると、および上記のように、カートリッジアセンブリ(100)は、アプリケーター(400)内のカートリッジアセンブリ受入容積(403)に挿入される。この挿入を行うために様々な方法を使用してもよいが、特に有用であることがわかっている1つの方法は、外側カートリッジ(102)上のラック(154)と係合するピニオンギアアセンブリ(448)によるものである。1つ以上のラックを使用することで、装填段階中のさらなる安定性、とりわけねじれの安定性がもたらされる。
図18Aの挿入/注入駆動アセンブリ(456)をさらに参照すると、カートリッジアセンブリ受入容積(403)内のカートリッジアセンブリ(100)を引き寄せるのに加えて、挿入動作はさらに、バネキャップ/カートリッジ界面(470)を介して電極/針挿入バネ(472)を圧縮する。電極/針挿入バネ(472)は、薬剤送達中に、針と電極の挿入のための1次的な駆動力として使用される。
【0110】
このハイブリッドモーター/バネ動作は多数の利点を備えている。モーター駆動は、高度に制御可能であり、および半自動方法で、ユーザーに求められる機械的な力の入力は最小限で、カートリッジ(100)がアプリケーター(400)内に装填されるのを可能にするので、有用である。上記のように、モーター駆動を基盤にした機構の実装は、システムの動作状態のモニタリングを提供する。例えば、電流の流れと回転数をシステムの論理回路および制御回路に伝えることで、可能性のある欠陥状態の検知および診断のための補助的方法が提供される。これらの利点にもかかわらず、特定の場合には、電動モーターは、複数の細長い電極を含む、および選ばれた実施形態では皮下注射針を含むアレイの効果的な経皮的配置のために最も望ましい十分に短い時間尺度にわたって必要な直線力をかけるのには、十分に適してはいない。特に、被包組織の貫通は、短い時間尺度での大きな直線力の適用によって、最も一貫して達成される。いくつかの実施形態では、最も有利な挿入特性は、貫通電極および注射針がある場合は注射針が、より高い速度で皮膚に接触する時に達成される。これは、皮膚接触点において増加速度で移動する鋭器によって、組織を切断または貫通する際にもたらされる組織変形がより少なくなるからである。したがって、いくつかの実施形態では、皮膚との接触に先立って鋭器を急速に加速させることが望ましい。いくつかの実施形態では、複数の電極と1つの注射針がしばしば使用される。別の実施形態では、電極の速度は、皮膚との接触に先立って少なくとも50mm/秒である。さらに別の実施形態では、電極の速度は、皮膚との接触に先立って少なくとも500mm/秒である。この配置アプローチは、電極貫通中に被験体によって知覚される不快感を最小化し、および複数の電極間の一貫した空間的関係を保全するのに最も都合がよい。電気機械モーターとは対照的に、バネ駆動機構は、経皮的な電極の埋め込みに好ましい、電極と注射針に対する急速な衝撃力を付与することができるより有利な放出プロフィールを示す。特に、圧縮バネによってかけられた力は、最初の放出時にピークである。これは、皮膚接触点での高速度が望まれ、および特に複数の電極および/または注射針に皮膚を接触させる場合、皮膚組織の粘弾性ゆえに皮膚の貫通に最大の力が必要とされる経皮的配置に有利である。加えて、バネを基盤とする機構は、ハンドヘルド型デバイスに容易に一体化することができる単純で、永続性で、コンパクトな形状の要素からこの力を生成することができる。しかしながら、バネを基盤とする機構の欠点は、特に高い力の定数および/または広範な変位を有するバネに関しては、その動作を刺激するために、ユーザーによる実質的に機械的な力の入力が典型的に求められることである。ハイブリッドモーターとバネ機構の使用は、本開示に記載されるように、望ましい配置力を達成し、他方でユーザーにとっては操作が単純である。ハイブリッドモーターとバネ機構が好ましい実施形態である一方で、実装によっては2つ以上の駆動機構を組み込む他のハイブリッド機構であり、駆動機構の1つは急速な衝撃を生成することができ、もう1つは衝撃力機構を刺激することができ、それは例えばチャンバー内にガスを圧縮し、次に電極および適用可能であれば皮下注射針の配置のための衝撃力を適用するために圧縮ガスを放出することができるポンプである。
【0111】
いかなる場合でも、一旦装填されると、望ましい深さでの電極配置および/または薬剤投与は、医師または他の薬剤アドミニストレーターによって肯定的に選択され、およびそれはアプリケーター(400)に送信される。加えて
図13Bを参照すると、深さは深さ選択ボタン(409)(またはトグルスイッチまたは摺動スイッチなどの他の同等のインターフェース)によって選択され、およびその結果は注入深さ選択表示器(408)(または上記と同様に他の同等のインターフェース)に表示され得る。利用可能な注入深さは、アプリケーター(400)および/またはカートリッジ(100)の適切なラベルによってユーザーに伝えられる。いくつかの実施形態では、注入深さに関するラベルは、カートリッジ(100)上に配置され、アプリケーター(400)への取り付け後もユーザーに見えるままである。例えば、利用可能な注入深さは、位置合わせガイド/外広がりシールド(108)の上部表面上にラベル付けされてもよい。ユーザーが注入深さの選択を忘れるまたは怠る状況を回避するために、そのような肯定的選択がなされるまで、デバイスはユーザーによる投与手順の続行を認めないのが望ましい。これは、有効な深さ選択がユーザーによって入力されるまで、続くデバイスの設定または使用のエレメントにアクセスできないようにする、システムへの適切な制御論理の実装によって達成され得る。特定の実施形態では、ユーザーが肯定的に注入深さを選択するように促される場合、制御装置ディスプレイはユーザーに、被験体を評価するための、および選択された投与部位に対する適切な注入深さを判定するための適切な方法に関する情報を伝えてもよい。
【0112】
加えて
図18A-18Bを参照すると、適切なカートリッジアセンブリの挿入に際して、バネキャップ/カートリッジ界面(470)が係合し、およびさらにバネカバー穴(471)とタブ(491)に向かって押す。大きなバネ力が内側カートリッジ(103)を押す一方で、内側カートリッジ(103)は、外側カートリッジ(102)の壁部(494)に対して、一連の保定ポスト(488)の係合によって、前進を妨げられる。しかしながら、(470)によってかけられた力は、タブ(491)(これは操作中のロック環の意図しない回転を防ぐ)を広げ、それによってモーター駆動機構によるカートリッジロック環(114)の回転を可能にする。カートリッジロック環(114)の回転は、保定ポスト(488)の回転を引き起こす。保定ポスト(488)は、第1の深さ用チャネル(490)または第2の深さ用のチャネル(492)のいずれかの中へと回転され得る。第1の深さ用のチャネル(490)の長さは選択された深さの一方に対応し、および第2の深さ用のチャネル(492)の長さはもう一方に対応し、深さの一方またはもう一方は、ユーザーによってボタン(409)を使用して選択される。例えば、チャネル(490)の長さは20-30mmの範囲にあってもよく、およびチャネル(492)の長さは12-20mmの範囲にあってもよい。肯定的に深さを選択するようユーザーに要求することで、さらに別のインターロックが提供される。肯定的選択なしでは、アプリケーターは活性化/針挿入を認められない場合もある。したがってカートリッジロック環(114)の回転は、ユーザーの命令に従い、アプリケーター(400)によって方向づけられた右回りまたは左回りの回転によって引き起こされる。電極の配置を達成するためのそのようなチャネル内への一連のポストの回転運動の必要は、注射針の暴発の確率を、もしあったとしても、激しい振動または落下に際してさえ大幅に減らす。
【0113】
より詳細には、カートリッジロック環(114)の回転は、保定ポスト(488)によってカートリッジアセンブリ(100)に伝達され、それは挿入機構歯ギア駆動環(478)上のスロットへのカートリッジアセンブリ(100)の適切な挿入に際して配置される。
図18Aでは、挿入機構ギア駆動環(478)上のスロットは、3時と9時の位置に配される。挿入機構ギア駆動環(478)は、部分的挿入ギア環(479)に取り付けられ、それは挿入機構駆動モーター(482)によって駆動される。部分的挿入ギア環(479)を駆動すると、挿入機構ギア駆動環(478)が右回りまたは左回りのいずれかに回転する。環(480)上のフラグ(481)および付随する挿入機構位置センサー(483)は、挿入機構ギア駆動環(478)の位置を判定するために使用され、さらにアプリケーター(400)が別のカートリッジと共に再使用された時に、正確に3時と9時の位置にそれを戻すために使用される。
【0114】
上記の実装は様々な利点を備えている。例えば、ユーザーは、投与手順を続ける前に深さを選択する工程を能動的に行う必要がある。そうすることで、ユーザーは、選択された注入部位に対する適切な注入深さを算定し、使用のための手引き書または説明書に言及されるように部位を調製する必要がある。記されるように、配置のために回転運動を要する挿入機構は、落下、転倒、振動などによって偶発的に配置されないように大幅に硬化する。
【0115】
変化形体は、当業者によって理解される。例えば、2つのチャネルと2つの保定ポストが各深さに対して使用される一方で、1つのチャネルと1つの保定ポストがさらに使用されてもよい。様々な種類のモーターと機構が、チャネル内にポストを回転させるのに必要な回転運動を伝えるのに使用されてもよい。ソレノイドなどの使用を含む他の変化形体がさらに理解されよう。チャネルを使用する代わりに、調整可能な深さを提供するためにモーター駆動の配置を使用してもよく、配置を駆動するために単にどの程度モーターを制御するかによって深さは制御され得る。好ましくは、この文脈では、衝動放出機構(例えば、バネ)が最初の配置のために真皮を介して使用され、次にモーター駆動機構が望ましい深さに電極を前進させるために使用されるように、記載されるハイブリッド駆動機構は構成されるだろう。
【0116】
1つ以上のインターロックが適所にあってもよく、それは挿入機構ギア駆動環(478)が回転させられる前に非活性化されなければならず、チャネル内へと保定ポスト(488)を回転させる。
【0117】
まず、力検知インターロックサブシステムが適所にあってもよく、それは投与手順の開始が認められる前に、予め決められた量より大きな力でデバイスを被験体に適用することを要求する。この力は、適切な機械的または電気機械的システムによって測定されてもよく、その結果は制御装置(700)にフィードバックされ、および不十分な力が提供されているデバイスの活性化を防ぐためにインターロックとして使用される。いくつかの実施形態では、制御装置(700)は、不適当な力の状態を修正することができ、およびユーザーが投与を続けられるように、視覚的、触覚的、または聴覚的信号を通じてユーザーに力検知インターロックの状態を伝えることができる。ユーザーが不適当な力接触の状態で投与を続けようと試みれば(例えば、トリガー(407)または他の活性化ボタンを押し下げることによって)、追加の視覚的、触覚的、または聴覚的信号がアプリケーター(400)または制御装置(700)によって提供され、投与を続ける前にインターロックが非活性化されなければならないことをユーザーに通知する。
【0118】
被験体に適用された力の検知は、多数の方法で行うことができる。
図4および8A-8Bの特定の実装を参照すると、位置合わせガイド/外広がりシールド(108)は、力接触ピックアップ(128)を装備している。位置合わせガイド/外広がりシールド(108)は、1つ以上の力接触バネ(126)-その4つが
図4に示される-を使用して、遠位方向に(被験体に向かって)機械的に付勢され得る。力接触ピックアップ(128)は、位置合わせガイド/外広がりシールド(108)に加えられた力によってその位置を変更する。そうすることで、力接触ピックアップ(128)、一連の第1のパッド(162)、一連の第2のパッド(164)、およびフレキシブル回路(160)によって形成された電気回路の状態を変化させる。特に、1つ以上のパッド(162)と1つ以上のそれぞれのパッド(164)との間の連続性を試験することによって、位置合わせガイド/外広がりシールド(108)が、適用された力によってどの程度後方または近位に移動したかを、したがって適切な送達のための十分な力が存在したかどうかを、判定することができる。回路の状態は、センサー接触部(434)を使用して、アプリケーター(400)によって読み取られる(
図16を参照)。十分な力が示された場合、力接触インターロックは非活性化され、ユーザーによるデバイスの操作が可能になる。
【0119】
1つの実装では、第1の接触点において、システムは特定の力が適用されたことを記録し得る。第2の接触点において、システムは、部分的な(しかし十分でない)圧力であることを記録し得る。第3の接触点において、システムは、手順投与を続けるのに必要な圧力の規定されたレベルが達成されたことを記録し、およびインターロックが非活性化し得る。好ましくは、力接触回路の状態はアプリケーターディスプレイ(404)を介してユーザーに提供される。
【0120】
変化形体は、当業者によって理解されるだろう。例えば、力接触インターロックは、制御装置(700)内、またはアプリケーター(400)自体の内部のいずれかで非活性化された電気的ロックを形成し得る。別の変化形体では、力接触回路は、手順投与の全体にわたるデバイスの状態に関する情報を提供するように構成されてもよい。特に、システムは、力接触回路と制御装置(700)間のフィードバックループを含んでもよく、ここで、ユーザーによって適用された力の減少は、制御装置(700)および/またはアプリケーター(400)による視覚的、触覚的、または聴覚的信号の生成を促し、それによって減少した力の状態を修正することができる。特定の実施形態では、適用された力の変化を検知すると、例えば電極間のインピーダンスまたは抵抗のチェックによって、被験体の組織内へと電極が適切に配置されているかどうかのチェックを開始するようシステムに促すように、フィードバックループが力接触回路と制御装置(700)との間に存在する。チェックを通過すると、手順を通常通りに続行する。電極の位置がもはや容認可能ではない場合、手順は異常終了し、および制御装置(700)および/またはアプリケーター(400)によって、視覚的、触覚的、または聴覚的信号の生成を通じてユーザーにデバイスの状態が通知される。このフィードバックループは、薬剤の注入中にはとりわけ重要である。デバイスの位置と電極の状態のモニタリングによって、力接触回路と電極抵抗/インピーダンスモニターとの間のフィードバックループをシステムが検知し、電極(およびしたがって注射針)がもはや被験体内にない場合、システムに注入駆動機構(456)の動作を停止させ、リザーバプランジャ(484)を押し下げるのを止め、かつ薬剤の注入を終了させ得る。この実施形態は、モーターで駆動される注入駆動(456)で最も容易に実装されるが、手動操作の駆動機構またはバネ駆動機構の場合には他の変化形体も実装可能であり、ここで機械的インターロックの活性化が、欠陥状態の検知に続いてリザーバプランジャの作動を停止させるために使用され得る。この特徴は、例えばアプリケーター(400)が薬剤送達の完了に先立って被験体の組織から取り出された場合に、治療薬が周囲に不注意に噴射されるのを止めるのに特に有用であり得る。ユーザーまたは環境への接触に関して潜在的に危険な薬剤または治療薬については、そのような設計は不注意による放出/接触を回避し得る。
【0121】
部分的投与の状況にある被検体に送達される投与量は、さらなる処置に関する臨床医の意思決定を通知するのに重要であり得るため、欠陥状態または注入を停止する必要がある他の状況の検知によって注入が停止された時に、注入駆動プランジャ(484)の位置を判定するために、注入駆動機構(456)は適切なセンサーおよび制御機構を含むのが望ましい。好ましくは、これは、注入駆動プランジャ(484)を駆動するために使用されるモーターの回転数のモニタリングによって達成されるが、光学的または電気的センサーを含む、注入駆動プランジャ(484)の位置をモニタリングする他の方法を使用してもよい。注入駆動プランジャ(484)の既知の寸法、挿入の深さ、およびリザーバ(101)に基づいて、適切な論理回路および制御回路の使用することで、注入駆動プランジャの位置を、注入ストロークが終了した点でシリンジに残っている薬剤の量の推定に変換することができる。そのような情報はディスプレイ(712)を介してユーザーに伝えることができる。
【0122】
故障状態が検出された場合に注入ストロークを終了させるための停止機能を提供することに加えて、モーター注入駆動装置(456)の使用は、故障状態または他の動作上の問題を検出するための補助的な検出器を提供することもできる。具体的には、注入ストローク中にモーターによって引き出される回路をモニタリングするための適切な測定および論理回路の組み込みを使用して、注入が規定された仕様内で行われたことを確認することができる。モーターによって引き出される電流の予想範囲が、注入ストロークの様々な段階について確立され得、この段階には、注入駆動プランジャ(484)がプランジャストッパ(159)に接触する前の初期準備と、注入駆動プランジャ(484)とプランジャストッパ(159)との間の初期界面と、プランジャストッパ(159)のリザーバ(101)のバレル内への作動と、プランジャストッパ(159)がリザーバ(101)のバレルの端部に接触するときの注入ストロークの終了と、が含まれる。注入駆動プランジャ(484)の位置と、モーターによって期待値にまで引き出される測定電流とを、薬剤の注入の各フェーズ中に相関させることによって、システムは、潜在的な故障状態を識別し、それらをユーザーに伝達することができる。例えば、ユーザーが、プランジャストッパ(159)が部分的に作動した(したがって、薬品の完全な投与量を含まない)リザーバ(101)をカートリッジ(100)内に誤って挿入した場合、注入駆動プランジャ(484)がプランジャの位置決めのための外側の公差に達したときに、システムは、モーター注入駆動装置(456)によって引き出される予想される電流の増加が生じなかったことを検出することができるであろう。この状況下では、システムは管理手順を終了し、検出された障害をユーザーに通知することができる。アプリケーター(400)内の故障部品、リザーバ(101)の破損、および/または欠陥カートリッジ(100)を含む(ただしこれに限定されない)さらなる故障状態が、この方法によって潜在的に検出可能である。
【0123】
管理手順の適切な実行を容易にするための別の「インターロック」が、
図9Cに例証される位置合わせガイド/外広がりシールド(108)によって提供される。この図では、位置合わせガイド/外広がりシールド(108)は、スティックシールド(134)の摺動可能な移動のために、外広がり特徴部(168)およびその中に画定された穴(170)を備えて示されている。スティックシールド(134)は
図9B中で例示され、電極穴(167)も例示されている。電極の経皮的な挿入のために、および、関連するところで、一貫的に皮膚と接続する注射針は、複数の部材間の望ましい空間的関係を維持しながら、標的組織への電極の配置を容易にする。特に、皮膚が配置の方向に対して垂直に位置している場合、適切な配置が最も良く一貫して達成される。加えて、皮膚が配置の方向に対して垂直な方向に引っ張られると、電極および注射針の位置ずれが低減される。確認されるように、外広がりシールド(108)は、皮膚と係合するため、および、皮膚を配置の方向に垂直に引っ張るためのリブおよびエッジを含む機械的な特徴を含む。皮膚に加えられる一貫した力を確実にする上述の力接触回路ピックアップシステム(force contact circuit pick up system)と組み合わされて、位置合わせガイド/外広がりシールド(108)は、皮膚が、電極配置の方向に垂直な方向に配向され、引っ張られることを確かにする。この実施形態は、デバイス界面で皮膚に係合するために機械的リブ特徴部を利用するが、皮膚と接触して位置づけられた際に高い摩擦係数を有する代替的な材料(例えば、ゴム製インセット、接着剤パッチなど)の使用、または、皮膚を引っ張ることができるモールドテクスチャ、切り欠き、および鋸歯状の特徴部を含む代替的な機械的特徴部、を含む、他の多くの設計および特徴部が係合のために利用されうる。
【0124】
確認されるように、位置合わせガイド/外広がりシールド(108)は、優先方向が定められている。上述されるように、薬剤分布および電界印加の空間的および時間的な共局在が望ましい。明白に、骨格筋の固有の構造的特性は、楕円体の長軸が筋線維の横紋と整列している、筋肉内注射の特徴的な楕円体分布パターンをもたらす。したがって、筋肉内注射に関する適用については、楕円面の電界プロフィールを生成するために電極を配置することが望ましい。電極アレイおよび結果として得られる電界プロフィールが標的骨格筋の横紋に対して適切に配向されることを確実にするために、位置合わせガイド特徴部の使用は、筋肉内投与のために特に有用である。位置合わせガイド特徴部の目的は、電極アレイの配向が、筋肉の横紋および注入後に生じる薬剤の分布に対して最も好都合であるように、デバイスの配置を容易にすることである。腕での注入については、位置合わせガイド/外広がりシールド(108)はアームバンドのように腕を水平に包むことが望ましい。脚の周りに外広がりシールドが水平に巻き付いている脚にとっては、同様の配向が望ましい。このように位置合わせガイド/外広がりシールド(108)を構成することで、口頭の指示がない場合でさえ、98%を超えるユーザーによる正確な薬剤送達をもたらすことが分かった。好ましい方向が示され、結果として生じる皮膚の配置は、筋肉内注射に特に有用であり、というのも、電極のダイヤモンド形状のアレイ(スティックシールド(134)の形状およびその関連する穴(167)とおおまかに一致する、
図9Aの電極(137)の遠位端のアレイを参照されたい)が、次いで、薬剤を送達し、好ましい筋横紋の方向に沿って薬剤の電気穿孔を引き起こすために適切に配向されるからである。主な特徴部は、適切に位置合わせされたときに、オリフィスが位置する皮膚界面、例えば針が出現する場所、と皮膚が同一面にあるべきということである。このようにして、皮膚への一貫した界面が得られる。
【0125】
標的筋肉に対する位置合わせが不適切である場合、アークは、一般に、位置合わせガイド/外広がりシールド(108)と皮膚との間に視覚的に明らかな、例えば2~5mmの、隙間を生じさせる。視覚的に明らかな隙間は、アプリケーター(400)を再配向させることをユーザーに思い出させるために利用されてもよい。加えて、アプリケーター(400)は、不適当に位置合わせされたときに被験体の皮膚に対してあまり安定しない可能性がある。位置合わせガイド特徴部の「ウイング」のエッジ間の距離が特徴部の垂直高さの少なくとも1.3倍である位置合わせガイド特徴部が、適切な配置を容易にするのに好ましい。加えて、場合によっては、特徴部の設計は、所望の配向に対して90度の角度で配置されたときに、少なくとも2mmの空隙を示しながら、組織界面を皮膚に対して同一平面上に位置づけることができるようなものである。
【0126】
位置合わせガイドの設計上の変形は当業者によって理解されよう。例えば、アーク形状の位置合わせガイド/外広がりシールド(108)の代わりに、「V」字状のものが使用されうる。デバイスは、所望の配向で皮膚に対して直接配置することができるが、デバイスが標的筋肉の横紋に対してずれている場合には、組織界面とレシピエントの皮膚との間の2mm以上の視覚的に明らかな隙間が存在する、という主要な特徴を有する他の変形例もまた理解されよう。
【0127】
上述のように、電極アレイのダイヤモンド形対称性は、それに付随する一定の分布を有し、この分布は、位置合わせガイド/外広がりシールド(108)の形状に対してある所定の関係を有するため、位置合わせガイド/外広がりシールド(108)の配向は、いくつかの実施においては、電極アレイの形状に関係している。
図9A-9Bを参照すると、電極およびとりわけ遠位部(137)が示され、これは4つある。電極はダイヤモンド形状のアレイに配置されており、これは、電極が二次対称性を有する、すなわち、電極が回転し2つの異なる位置で同じように見えるという点で二回転対称である、ということを意味する。電極は、スティックシールド(134)中で画定される穴(167)からこのアレイ中で伸長する。ダイヤモンド形状のアレイの使用は、上述した筋肉内注射に一般的に望ましいので、特に有用である。再配向のために、二次対称アレイは、二次対称の印加電界をもたらす。このタイプの印加電界は、位置合わせガイド/外広がりシールド(108)が適切に配向されている場合、筋肉の横紋に沿った好ましい方向を有することができる。したがって、位置合わせガイド/外広がりシールド(108)と二次電界配向とが相乗的に作用して、筋肉の横紋の方向に沿って薬剤の伝播を達成する。
【0128】
おおまかに言えば、ダイヤモンド形状、または他の二次対称形状では、一般に、長径(長軸)および短径(短軸)が存在する。当該軸は、位置合わせガイド/外広がりシールド(108)の好ましい軸との所定の関係を有しうる。例えば、位置合わせガイド/外広がりシールド(108)がウイングを有しており、ウイングの円弧形状が腕を取り囲んでいると考えられる場合、ウイングの中心を結ぶ線分はダイヤモンド形状のアレイの長軸に垂直である。
【0129】
変形が当業者に理解されよう。例えば、ダイヤモンドは電極アレイの可能な形状の1つであるが、別の例示的な形状は、二次対称性のある矩形である。電極は、適切な位置に配置することができるが、例えば、5%、10%などの所定または所望の公差内で移動させることができる。電極は、二次回転対称電界を生成する限り、他の様々な形状であってもよい。
【0130】
別の変形では、非筋肉内注射について、他の次数対称が使用されてもよい。例えば、皮膚については、一般的に薬剤伝播の望ましい方向はなく、したがって、たとえ円形の電極アレイであっても、皮内注射に使用することができる。
【0131】
電極アレイの他の考察は以下のとおりである。最も単純なアレイ構成は、電気エネルギー供給源の対向する極に接続された2つの電極を含む。米国特許第5,873,549号および第6,041,252号(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に開示されているように、多要素アレイに配置された3つ以上の同時活性電極の利用は、組織の標的体積を増加させ、標的組織内の電界伝播の均一性を向上させるために使用され得る。組織における電界印加のために、広範囲の幾何学的電極配置および活性化パターンが開発されている。これらは、略楕円形、直方体、円筒形、または回転楕円体の形状の組織の体積内に電界を伝播させることができる線形、長方形、円形または三角形の構成で配置された電極を含む。最も一般的には、電極は、互いに平行に配置され、皮膚表面に実質的に垂直な配向で経皮的に挿入されるように構成される。組織の標的体積および形状が電界の印加によって影響されることを確かにするために、アレイ内の電極の各々の間に意図した空間的関係が、経皮的な挿入後に達成されることが望ましい。具体的には、電極間の間隔の意図しない変化は、標的組織内を伝搬する電界の大きさの変化を引き起こす可能性があるので避けなければならず、処置の安全性および/または有効性に否定的な結果をもたらす可能性がある。
【0132】
別のインターロックは、外部のカートリッジキャップ(110)の使用を含む。特に、位置合わせガイド/外広がりシールド(108)は外部のカートリッジキャップ(110)で保管中に覆われる。外部カートリッジキャップ(110)は、使用するまでデバイスの遠位端を全体的に保護するだけでなく、インターロック特徴部自体にも役立つように構成されている。カートリッジアセンブリ(100)の遠位端の保護は、針および電極を周囲環境から保護するのに役立つが、一般に遭遇する問題として、ユーザーがそのようなキャップを取り外すことをしばしば忘れることがある。1つの解決策は、キャップを、カートリッジ(100)内の他の構成要素の色とは異なる明るい色にして、その存在をユーザーに知らせ、それによりユーザーに取り外しを思い出させることである。この解決策の別の部分は、矩形のセクションに隣接する円弧状のセクションによって示されるように、伸長部またはリマインダタブ(190)を含むことであり、該円弧状のセクションは、カートリッジアセンブリ(100)が被験体に対して位置づけられているときでさえ目に見える。このリマインダタブ(190)は目に見えるので、外部カートリッジキャップ(110)の残りの部分が見えなくても外部カートリッジキャップ(110)を取り外すことを思い出させるように働きうる。
【0133】
図10A-10Bをさらに詳細に参照すると、外部カートリッジキャップ(110)は、被験体に向かって遠位に面する外側表面と、位置合わせガイド/外広がりシールド(108)に面する内側表面とを含む。内側表面には、位置合わせガイド/外広がりシールド(108)上に画定された対応する壁部(180)に係合するいくつかのフック(176)が設けられている。フックは外部カートリッジキャップ(110)を適所に保持する。
【0134】
しかしながら、外部カートリッジキャップ(110)が不用意に定位置に残っていて、アプリケーター(400)が無理に挿入部位に押し付けられた場合、位置合わせガイド/外広がりシールド(108)の外部カートリッジキャップ(110)に対する力により、外部カートリッジキャップ(110)が、位置合わせガイド/外広がりシールド(108)によって、その引っかかった位置から押し出されることにより「弾け飛ぶ」ことになる傾向があり得る。しかしながら、面取りされた表面(178)をフック(176)に設け、これは圧力が加えられた時にスティックシールド(134)に作用する傾向があり、フック(176)を外側に広げ、位置合わせガイド/外広がりシールド(108)に対してそれらの保持力を増加させ、外部カートリッジキャップ(110)が弾け飛ぶことを防止する。加えて、面取りされた表面は、スティックシールドに対してさらに作用し、位置合わせガイド/外広がりシールド(108)がスティックシールド(134)に対して動くことを防止する。位置合わせガイド/外広がりシールド(108)がスティックシールド(134)に対して移動できない場合、力接触ピックアップ(128)が、全圧力が検出される上述した第3の力接触点に(または、加えて言うなら第2の力接触点にさえも)移動することができないため、力検出インターロックを不活化することができない。これが制御装置に発生したとき、制御装置はレポートを提供することができる。例えば、「外部カートリッジキャップを取り外す必要があります」などのユーザーインタフェースの表示が表示されてもよく、同じことが、適切な力が無い状態で実行された引き金の牽引を検出することによって引き起こされる。
【0135】
特定のインターロックが上記で説明されているが、より多くのまたはより少ないインターロックが任意の所与の実施において提供されてもよい。例えば、力の検出およびインターロックのためのトリガー信号としての使用のために他の方法を採用することができる。トリガーロック、安全スイッチなどを含む他のタイプのインターロックも使用することができる。この教示を考慮すると、さらに他のタイプも当業者に理解されよう。
【0136】
挿入深さがユーザーによって肯定的に選択され、外部カートリッジキャップ(110)が取り外され、力インターロックによって適切な力が検出されると、トリガーの作動により、カートリッジロック環(114)の時計回りまたは反時計回りの回転が引き起こされ、回転の方向は、ユーザーによって選択された挿入深さに依存する。この回転により、保持ポスト488が選択された深さのチャネル内に移動させられ、これにより針および電極が順に配置する。特に、電極/針挿入バネ(472)の作用により、内側カートリッジ(103)、カートリッジ尾部(112)、リザーバ(101)、内側カートリッジキャップ(104)、針ハブ(152)、針(105)、電極(122)および関連する要素が前方に移動する。本実施形態では、これらの要素は互いに強固に接続され、したがって1単位として前方に移動する。
【0137】
ユーザーへの鋭器傷害の危険性をさらに最小限にするために、カートリッジアセンブリは、レシピエントの組織から電極および注射針を取り外す後に、それらを覆うための機構も組み込むことが好ましい。これは、電極および(存在する場合は)注射針の使用に先立ってそれらを収容し、次いで、それらの配置および被験体の組織からの取り外し後に、電極および(存在する場合は)注射針へと延びる、スティックシールド特徴部を組み込むことによって達成されうる。一般に、組織接触界面は、シールド特徴部の遠位表面を含む。手動で操作されるシールド特徴部の使用が考慮されてもよいが、好ましくは、デバイスは、シールド特徴部を自動的に伸長して電極を覆い、さらに、一旦それがレシピエントの組織から取り外されると、シールド特徴部を伸長状態のまま維持するために、ロック特徴部を係合する、機構を組み込む。例としては、カートリッジ外側ハウジングに摺動可能に係合し、および、レシピエントの組織から電極を引き抜いたときにシールドを前方にスライドさせるバネなどの貯蔵エネルギー源に作動可能に接続される、シールド特徴部が含まれる。あるいは、この機構は、アプリケーター内に収容され、電極配置ステップを逆にするように構成され、それによって、組織接触界面の背後の電極および任意の関連する注射針を後退させることができる。これは、モーターやソレノイドのような直線運動のための簡単な電気機械的機構を使用して達成することができる。
【0138】
特定の実施においては、
図11Aおよび11Cならびに
図4も参照すると、スティックシールド(134)は、薬物送達が起こる間は定位置にとどまるように構成されているが、薬剤送達中に内部カートリッジ(103)および他の関連する構成要素が前方に移動することで、スティックシールドバネ(138)の圧縮が引き起こされる。この圧縮されたスティックシールドバネ(138)は、アプリケーター(400)が被験体から取り外される時にスティックシールド(134)が前方に動かされるので、アプリケーターが被験体から取り外されるときに弛緩し、針と電極を覆い、覆われていない鋭器に対して被験体および他を保護する。顕著に、この特徴部はまた、引き出し中の鋭器特徴部の視覚化を防止し、針に関連する不安を経験している被験者からの受け入れを容易にすることができる。
【0139】
弛緩したバネは、他の方法で再圧縮可能であるが、特に、ユーザーがスティックシールド(134)を近位方向に動かす場合、外部カートリッジ(102)の内部に取り付けられ、スティックシールド(134)が前方に移動するつれラチェット機能を果たすスティックシールド支持アーム(132)の作用によってスティックシールド(134)を近位方向に動くのが防止される。特に、
図11Aおよび11Cを参照すると、スティックシールド支持アーム(132)は、様々な連続的な保定壁部の上を移動し、スティックシールド(134)が遠位に移動している時にこれを容易に行うことができる。しかしながら、近位の方向では、スティックシールド支持アーム(132)がこの方向でラチェット的な態様で保定壁部に当接し、通過を許さないので、スティックシールド(134)は移動することが防止される。
【0140】
保定壁部(188)の初期のセットは、カートリッジアセンブリ(100)の使用前のスティックシールド(134)の近位方向の動きを防止する。第1の深さの保定壁部(184)のセットは、第1の選択された深さでの放電後のスティックシールド(134)の近位方向の動きを防止する。第2の深さの保定壁部(186)のセットは、第2の選択された深さでの放電後のスティックシールド(134)の近位方向の動きを防止する。スティックシールド(134)は、内部カートリッジ(103)に作用するスティックシールド保持フック(182)の作用によって、カートリッジアセンブリ(100)から完全に取り外されることが防止される。いくつかの実施形態では、スティックシールドの最終端で最終的なロックアウトが生じる(final lock out)。
【0141】
変形が当業者によって理解されよう。例えば、ある実施においては、スティックシールド支持アーム(132)は、外側カートリッジ(102)と接する、型押しされた金属の支持アームによって提供されてもよい。いくつかの実施形態では、
図9Dで示されるように、例えば、支持アーム特徴部は、例えば、外側カートリッジキャップ(106)および/または位置合わせガイド/外広がりシールド(108)における射出成形されたプラスチックの特徴部など、スティックシールド保定特徴部として直接一体化される。荷重下での構成要素の破損を防止するのに十分な弾性を保持しながら、細長い電極を支持するのに十分な剛性を達成するように、特定の材料を選択することができる。材料の選択は、滅菌後に特徴部が十分な材料特性を保持することを確実にするために、電極アレイの意図された滅菌方法(例えば、ガンマ線、蒸気滅菌、エチレンオキシドまたは電子ビーム)も考慮する必要がある。典型的な実施形態では、実施されるような特徴部は、少なくとも5N、より好ましくは少なくとも15Nの力が加えられたときに、スティックシールド(134)を近位移動に対して保持することができなければならない。スティックシールドの近位方向への移動を防止するためのラチェット機能を提供する他の方法も利用することができ、これはスティックシールド(134)に実装された歯車ラックと、外部カートリッジキャップ(106)に実装された対応するラチェット特徴部とを含む。
【0142】
図4を参照すると、アレイ内の各細長い電極(122)は、導通している遠位部分(137)および近位部分(135)を含む。遠位部分は、組織への貫通および組織における電界の伝播のために構成されており、かつ、近位部分は、適切な電気エネルギー源を用いてアプリケーター内に含まれる電気接続との導通を確実に達成することができる導電性接触領域で構成されている。電気エネルギー源は、個々の電極に印加される電力の時間変化によって、被験体の体内で空間的および時間的に変化し、一般的に薬剤分布の領域の周りの体積に閉じ込められる、電界を生じさせることができ、および、電気穿孔療法においても同じことを利用することができる。
【0143】
電極の関連する特性には、形状、直径、先端形状、長さ、材料組成、および導電性が含まれ、その特性は意図された用途に基づいて選択される。最も一般的には、電極は、0.1~1.5mmの直径を有する曲線断面を有する導電性の細長いロッドを含む。電極は、中実な芯または中空であってもよい。最も一般的な中空の電極は、1つ以上のオリフィスおよび流体リザーバへの作動可能な接続部を組込み、それによって、麻酔薬、界面活性剤、タンパク質、アジュバントまたはエンハンサーを含む対象の薬剤または他の関連する薬剤を電極自体から投与できるようにする。適用に応じて、適切な金属の電極材料は、チタン、金、銀、アルミニウム、銅、タンタル、タングステン、モリブデン、タングステン、ステンレススチール、MP35N、およびその合金、を含むが、これに限定されない。電極はまた、導電性のセラミックまたはプラスチックで構成することもできる。組織電極界面での望ましくない電気化学反応を最小にするために、1つ以上の電極を導電性材料で被覆して、電極材料自体と比較して改善された電気化学的安定性を提供することがしばしば望ましい。そのような被覆材料は、プラチナ、プラチナ、イリジウム、パラジウム、オスミウム、金、銀、チタンおよびその合金を含むが、これに限定されない。
【0144】
上述されるように、遠位部の先端は組織への貫通のために形成される。一般的な先端形状には、トロカール状、傾斜状(bevel)、コーン状、ブレード状、槍状(lance)、テーパ状などがあるが、これらに限定されない。経皮的な電極の配置については、1つ以上の切れ刃を有する先端形状が好ましい。貫通先端形状が必要な電界を生成するために望ましくない場合がある特定の用途では、先端は、電極の遠位先端に固定された非導電性材料から構成されてもよく、または、貫通先端は、ポリ(p-キシリレン)ポリマー、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリエステル、ポリイミド、シリコーンゴム、熱可塑性エラストマー/ゴム、エチレンテトラフロオルエチレン、フッ素化エチレンプロピレン、および/または、ペルフルオロアルコキシプラスチック、などの生体適合性の電気絶縁材料からなる接着性のコーティングまたは管材料で覆われてもよい。
【0145】
貫通先端の近位は、組織内の電界の伝播のために構成された1つ以上の導電性領域である。一般に、特に皮下および筋肉内投与についての、電界の伝播を組織の標的領域に限定するために、組織に貫通するように構成された電極の長さの少なくとも一部分は、ポリ(p-キシリレン)ポリマー、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリエステル、ポリイミド、シリコーンゴム、熱可塑性エラストマー/ゴム、エチレンテトラフロオルエチレン、フッ素化エチレンプロピレン、および/または、ペルフルオロアルコキシプラスチック、などの生体適合性の電気絶縁材料からなる接着性のコーティングまたは管材料で覆われる。このようにして、電極は組織内の特定の深さでのみ活性化するように構成することができる。
【0146】
集合的に、電極の数およびそれらの電極間距離ならびに電極の貫通深さおよびそれらの導電領域の長さは、電界が印加される組織の体積を画定する。これらのパラメータは、標的組織部位、ならびに送達される薬剤の容量、用量、および粘性、ならびに意図されるレシピエント集団における皮膚および皮下組織の厚さの変動を含む、投与手順の具体的な対象に基づいて選択される。概して、ヒトレシピエントにおける皮内投与のために、アレイは、直径が0.2~0.7mm、電極間距離が2~8mm、電極の貫通深さが0.5~4mm、導電長が0.5~4mmの、2-16個の電極を含む。概して、ヒトレシピエントにおける皮下投与のために、アレイは、直径が0.3~0.8mm、電極間距離が4~10mm、電極の貫通深さが5~15mm、導電長が2~8mmの、2-8個の電極を含む。概して、ヒトレシピエントにおける筋内投与のために、アレイは、直径が0.3~1.2mm、電極間距離が4~12mm、電極の貫通深さが10~60mm、導電長が2~20mmの、2-8個の電極を含む。
【0147】
デバイスの使用中に望ましくない可視化および電極への露出を回避するために、カートリッジアセンブリ(100)は、好ましくは、電極(122)がレシピエントの組織内に挿入される前にデバイス内で窪んでいるように構成されている。最も一般的には、これは、一実施形態では、内部に電極が配置された外観(seems)を中に形成している内部カートリッジ(103)を含む、電極取り付け支持体に摺動可能に係合された外側ハウジング構造(102)を提供することによって達成される。使用前は、電極は外側ハウジング(102)内の凹所に置かれている。使用中は、電極取り付け構造、例えば内側カートリッジ(103)と外側ハウジングとの摺動係合により、電極(122)を外側ハウジング(102)の遠位先端に対して前方に摺動させることができ、それによって、電極(122)を外部ハウジング(102)から配置する。電極取り付け構造と外部ハウジングとの間の摺動係合の長さは、所与の適用のための最大の所望の電極貫通の深さに対応する。
【0148】
図4で見られるように、電極(122)は、近位部分(135)および遠位部分(137)を有する。近位部分は、肩部または屈曲部(139)によって遠位部分から分離されている。肩部または屈曲部(139)は、内側カートリッジキャップ(104)と内側カートリッジ(103)との間で固定される。肩部または屈曲部(139)は、多くの機能を提供する。最初に、カートリッジアセンブリ(100)の遠位端の電極は、上述したような特定のサイズおよび形状のアレイを形成するために必要とされるが、電極(122)をカートリッジアセンブリ(100)の近位端で所望のアレイサイズおよび形状にすることは、リザーバ(101)が存在するため、実用的ではない。言いかえれば、電極(122)はリザーバ(101)のための余地を作るために「途中で」屈曲しなければならない。加えて、屈曲部を有することで、特に、屈曲部が内部カートリッジ(103)と内部カートリッジキャップ(104)との間に摩擦的に適所にロックされていると、電極(122)がその配置中に組織と相互作用すると、針および電極を挿入する力が遠位方向に反り返る時に、電極(122)が当接する表面を提供する。屈曲部は軸回転に耐えることができ、これは電極が顕著なねじれ運動を示さず、電気接点パッド(130)(後述)から離れる方向に回転するように有益である。加えて、複数の電極が軸方向に分離された同軸リングに接する従来技術とは対照的に、各電極に対して異なる構成を必要とするので、本システムは、共通電極タイプを4つの電極のすべてに使用することを可能にする。
【0149】
本原理に係るシステムおよび方法は、レシピエントの皮膚、皮下組織、および/または骨格筋における電界の伝播を提供し、これはレシピエントの組織内の治療剤の細胞内送達を促進する。この態様では、装置は、所定の空間的関係で配置され、かつ、対象の薬剤が分配されたまたは分配される標的組織内に配置するように構成された、2つ以上の細長い電極(122)を含む。薬剤活性の所望の増強は、所望の生理学的効果を誘発するのに十分な大きさの電界の伝播と薬剤分布部位の共局在を達成することを条件とする。したがって、装置は、標的とする深さまで、指定された電極間間隔で一貫して電極の配置を達成することが望ましい。具体的には、これは、電界が適切な組織部位で伝播することを保証し、および、組織内を伝播する電界の大きさは電極間の間隔に応じるので、安全かつ有効な電界強度ことを保証する。しかしながら、所与のレシピエントおよびレシピエント集団の部位の間の皮膚および皮下組織の厚さ、密度および組成の変動は、電極配置特性の著しい変動をもたらしうる。例えば、皮膚の厚さが増加したレシピエントは、電極のひずみに対する感受性が増し、および/または貫通の深さが不十分であり、このことは薬剤分布部位との共局在に影響を与え得る。
【0150】
本原理に係るシステムおよび方法は、さらに、皮膚が不均一な厚さ、組成および状態であるレシピエントにおいて、電極間距離が2~12mm、電極の貫通深さが0.5~60mmである、2-16本の、直径が0.2~1.3mmの電極を含む、電極アレイの一貫した経皮挿入を容易にする。経皮的挿入を可能にするために、組織貫通電極は、最も一般的には細長く、組織貫通性の先端および組織の接触領域を遠位部分に、電気接触領域を近位部分に、備えるように構成される。それらの細長い構成を考慮すると、それらは、レシピエントへの経皮挿入中に発生する圧縮力にさらされたときに、湾曲、屈曲および/または座屈(総称して歪みと呼ばれる)を受けやすい。電極の挿入中のそのような歪みは、不十分な貫通深さおよび/または電極間の間隔の過度の変化を特徴とする不適切な電極の挿入につながり得るので、望ましくない。注目すべきは、ヒトおよび動物は、皮膚の厚さ、組成および状態において有意な種内および種間の差異を示しており、そのいずれも、経皮的挿入中に電極に印加される力に重大な影響を及ぼし得る。いくつかの実施形態では、細長い電極を経皮的に挿入するためのデバイスは、標的のレシピエント集団において遭遇するであろう、最も厳しい電極挿入条件下に存在する力に耐えるように設計されている。電極の歪みの発生は、電極材料の選択ならびにアレイ内の電極の長さの短縮および直径の増加によって部分的に軽減することができる。しかしながら、材料選択は、性能、コスト、製造可能性、および生体適合性の問題によって制約を受ける可能性がある。加えて、電極の長さの短縮は、不均一な組織厚さを有する標的集団の適切な被覆を妨げることがあり、一方、より大きな直径の電極は、不快感および組織外傷の増加を伴う。したがって、本開示は、これらの変数とは無関係に電極の経皮的挿入を容易にする方法および装置を提供するように設計される。
【0151】
本開示の第1の実施形態では、電極アレイを収容するサブアセンブリカートリッジは、組織挿入中に1つ以上の電極と物理的に接触する1つ以上の支持動的支持体部材を組み込み、かつ、挿入方向に対して垂直な電極の動きを抑制し、電極間の所望の空間的関係を維持するように構成されている。例えば、
図12を参照すると、電極支持体(124)が示され、ここでは、電極穴(192)が電極に設けられ、針穴(194)が針の通過のために設けられている。負荷の下で細長い電極が歪む、または座屈する傾向は、製造または組み立て中に入れられた電極の屈曲、偏心または湾曲によって悪化する。したがって、静置時に示されうる屈曲、偏心または湾曲を防止または修正し、かつ、組織内への配置中に生じる荷重の結果としての電極の望ましくない垂直運動を防止するように電極を拘束するために、電極支持体(124)のようなデバイスを使用することが有利である。
【0152】
本開示の文脈では、動的支持部材は、レシピエントの組織への挿入中に細長い電極との摺動係合を提供し、電極が標的組織深度に展開されるときに電極の望ましい空間関係を維持するために、電極挿入中に位置、サイズ、および/または形態の変化を受けるように構成されている構造要素として定義されている。電極は皮膚との最初の接触時に最大の負荷力を受けるので、アレイを構成する電極と動的支持部材の係合は、レシピエントの組織との最初の接触前に影響を受け、電極が完全な浸透深度まで展開するときに支持を提供し続けることが好ましい。また、動的支持部材は、摩擦による電極の貫通力の損失を最小限に抑えながら、電極と注射針に支持を与えるように設計されていることが好ましい。
【0153】
動的支持部材の主な機能は、アレイ内の複数の電極の、互いおよび注射針に対する所望の空間的関係を維持することであるが、動的支持部材の設計がアレイ全体を安定化することができる特徴部を含むことも望ましい。これは、好ましくは、支持部材の側方移動を制限する追加の構造支持特徴部を提供することによって達成される。特定の実施形態では、これらの支持特徴部は、鋭利物保護シールド(sharps protection shield)に一体化されており、これは電極および/または注射針への偶発的な暴露からユーザーを保護する働きをする。以下に、本開示と一貫する動的支持部材の様々な実施形態を開示する。
【0154】
電極支持体(124)として上述された本開示の一実施形態は、電極の細長い配向に対して垂直に配置された平面構造の使用を含む。平面構造は、指定された空間的関係内の電極の位置に対応する1つ以上のアパーチャ(192)を有するように構成される。アパーチャのサイズ、形状、および位置は、支持構造がアレイ内の電極の細長い長さに沿って円滑に摺動し、一方で電極の配置方向に対して垂直な望ましくない動きを抑制できるように構成される。一般に、アパーチャは、電極に対して十分なクリアランス(任意のコーティングまたは他の接着材料を含む、電極の最大断面積より少なくとも10%大きい)を有する平面構造内に穴またはスロット(192)として構成されてもよい。しかしながら、特定の電極に対してより多くの実質的な支持が必要な場合、1つ以上のアパーチャは、平面構造に垂直に配置された管状構造(196)を含むことができる。このような管状構造を含むアパーチャは、電極と接触する表面領域を増大させ、それによって細長い電極に提供される支持を増加させる。平面構造は、金属、ポリマー、セラミック、または複合材料を含む適切な構造特性を有する任意の材料から作製されてもよく、他の方法で形成、機械加工、成形または製造されてもよい。電極との望ましくない電気的相互作用を避けるために、電極と平面構造との間の界面は導電性ではないことが好ましい。材料と製造方法はまた、電極と動的支持部材との間の界面における摩擦の量を最小にするように選択されるべきである。低コスト、製造容易性、および好ましい電気的特性を含む多くの要因のために、電極支持体は、一般に、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリプロピレン、アクリル樹脂またはポリエチレンなどの加熱可塑性物で作られている。荷重下での構成要素の破損を防止するのに十分な弾性を保持しながら、細長い電極を支持するのに十分な剛性を達成するように、特定の材料を選択するべきである。材料の選択は、動的支持部材が適合性を持つことを確実にするために、電極アレイの意図された滅菌方法(例えば、ガンマ線、蒸気滅菌、エチレンオキシドまたは電子ビーム)も考慮する必要がある。支持構造の特定の寸法および設計は、選択された材料の特性に依存する。しかしながら、電極が配置される距離を過度に制限しないように支持構造体の寸法を最小化すること、または、デバイスの他の機能特性を妨害することが望ましい。厚さ0.5mm×2mmの剛性の平面構造が、典型的には十分である。
【0155】
動的支持部材の別の実施形態は、電極を収容し、それらの側方移動を制限するアパーチャを有する圧縮バネの使用である。圧縮バネは、金属、ポリマー、またはエラストマー材料から作製されてもよく、他の方法で形成、機械加工、成形または製造されてもよい。静止時では、バネは、圧縮されていないか、または電極がバネの長さに沿ってアパーチャに挿入された状態で最小限に圧縮される。電極が配置されると、バネは、配置方向に圧縮し、アパーチャは、バネのコイルに対して垂直な電極の摺動運動を収容する。この実施形態は、組織部位からの除去後の貫通電極/針を収容するために使用されるシールドまたはシースと組み合わせた場合に特に有用である。これらの実施形態では、電極を前方に配置することによってバネに付与される力は、デバイスが組織から取り外される時に電極上にシースまたはシールドを配置するために使用され得る。
【0156】
図4の実施では、スティックシールドバネ(138)を使用して電極支持体(124)を部分的に支持してもよく、また、特に、バネの半径は、電極支持体(124)の壁部(198)の半径に一致する(またはわずかに大きい)ように構成されてもよい。このようにして、電極支持体(124)は、使用中にスティックシールドバネ(138)の中央に挿入されてもよい。その後、電極支持体(124)はスティックシールド(134)の内部内を摺動してもよい。バネの中央に配置されることにより、電極支持体(124)は当然、バネの中央の位置を維持し、電極の支持のための所望の「中間点」、すなわち、内部カートリッジキャップ(104)における支持点と組織界面における貫通点との間のほぼ中間、を提供する。
【0157】
他のバネに基づく電極支持体が考えられる。例えば、形成された圧縮バネが電極の領域に配置され、適応する電極支持体を提供する。形成された圧縮バネは、それらの側方移動を制限するために、電極の相対位置に密接に一致するように形作られ割り当てられる。オプションの付勢要素は、形成された圧縮バネと共に配置され、形成された圧縮バネに対して電極を外側に付勢する働きをしてもよい。形成された圧縮バネは、金属、ポリマー、またはエラストマー材料から作製されてもよく、他の方法で形成、機械加工、成形または製造されてもよい。付勢要素は、金属、ポリマー、またはエラストマー材料から作製されてもよく、他の方法で形成、機械加工、成形または製造されてもよい。
【0158】
他の機構に基づく電極支持体、例えば入れ子式チューブ(telescoping tubes)も考えられる。入れ子式チューブは、被験体への挿入中に電極を支持する役割を果たす。入れ子式チューブは、互いに対して自由に動くような大きさであってもよく、軸方向の力がそれらに加えられたときにのみ動くような大きさであってもよい。
【0159】
他の支持構造、例えば、可動性、可撓性、またはピボット支持部材に基づく支持構造、が考えられる。側部支持部材を、任意のヒンジ特徴部で電極に取り付けてもよい。側部支持部材は、電極を収容する構造体と一体に形成されてもよく、または従来の手段(スナップ、溶接、接着剤、締結具など)によって取り付けられた別個の構成要素であってもよい。
【0160】
別の実施形態は、電極が埋め込まれた圧縮可能なマトリックス材料の使用である。電極が配置されると、該材料は配置の方向に圧縮され、移動方向に沿って側部の支持を提供する。圧縮可能なマトリックス材料の例には、セルロース、マイクロセルプラスチックまたは発泡シリコンまたは発泡ポリクロロプレンなどの、発泡プラスチックまたはゴムポリマー、または発泡炭素マトリックスが含まれる。材料は電極および/または(適用可能な場合は)注射針と接触するように設計されているので、材料は間接的な組織接触と適合するように選択されるべきである。
【0161】
上述の構造はしたがって、最大60mmの組織深さでの複数の細長い電極の経皮配置を支持しつつ、複数の電極、及び特異的な実施形態においては皮下注射針のオリフィス間の望ましい空間関係を維持するそのような支持部材は、経皮挿入中に複数の細長い電極に係合し、それらの伸縮配向に垂直な1つ以上の方向で電極の偏向を抑制する。本開示の別の態様は、最大60mmの深さへの複数の細長い電極の一貫した経皮配置の達成に必要な作用力を減らすために、複数の電極の表面への生物適合性の潤滑性化合物の適用を利用するための方法及び装置を提供する。典型的な実施形態において、Dow Corning 360 Medical Fluid又はDow Corning MDX4-4159などの生物適合性のシリコン化合物は、電極の挿入特性を改善するために、アレイを含む複数の電極への従来の噴霧又はディップコーティングによって適用され得る。コーティング方法及び厚みなどの、コーティング及び適用の条件の特異的な選択は、電極の数、大きさ、組成、及び先端構成の他に、電極が配置される標的組織に依存する。
【0162】
図4及び7A-7Bを参照すると、各電極の近位部(135)は、カートリッジアセンブリ(100)の内側カートリッジ(103)の外部に位置決めされてもよい(
図7B)。このように、内側カートリッジ(103)が外側カートリッジ(102)内に摺動自在に配置されると(
図7A)、各電極の近位部(135)は、対応する電極接触部(130)、及び具体的には、電極接触部(130)の外側カートリッジ内部(133)と接触する。内部(133)は、各電極の近位部(135)との電力通信のために構成される。電極の近位部(
図7Aに指し示される単一の近位部(135))の長さ、及び外側カートリッジ内部(133)の長さにより、電気通信は、外側カートリッジに対する内側カートリッジの長手方向位置にかかわらず、それらの連続的な界面に沿って多くの場所で行うことができる。各電極接触部(130)は更に、アプリケーター(400)上の対応する接続部(496)との電力通信のために構成された外側カートリッジ外部接触部(131)を含む(
図18Cを参照)。図には指し示されていないが、電極が電気的に結合される時に電極の1つに接触する単一の電極接触部、或いは、電極の各々に対応する電極接触部、及び装置の各電極と対応する外側カートリッジの内部(133)などの付加的な対応する特徴が存在し得る。故に、複数又は単一の様式で言及されているにもかかわらず、様々な実施形態が、1つ及び複数の意味と併せて考慮される。電極接触部(130)はそれぞれ、電気信号を伝えるのに十分な伝導性材料で構成される。特定の実施形態において、設計と材料の選択は、電極及び接触部の位置における予期された製造変動の範囲にわたり対応する電極との導電性の接続を確実にし、その一方で内側カートリッジ(103)の上に取り付けられる電極(122)の前進を妨害又は干渉しないために、接触部が適切な結合を提供することを確実にする。設計の大半はまた、生成物の標識された貯蔵寿命にわたり予期された貯蔵条件に晒された時に、この係合が持続することを可能にする。特定の実施形態において、電気接触部(130)は、電極との係合を促すために適切な調質度を持つ、打ち抜きされた又は形成された金属で作られ、且つ、電気接触部の完全性を確保して腐食を回避するために金又は銅などのコーティングを含んでもよい。電気接触部がそれらの連続的な界面に沿って多くの場所で電極と共に維持され得るのを確実にすることに加えて、この構成における外側カートリッジ(102)への1つ以上の電極接触部の組み込みは、電極(122)と電極接触部(130)との間の摺動相互作用による摩耗が、単回使用のために設計されたカートリッジ(100)内に生じることを確実にし、それにより、複数回使用のために設計されたアプリケーターの電極接続部(496)上で起こり得る機械的摩耗を最小限にする、外側カートリッジ接触部(131)とアプリケーター電気接触部(496)との間の静的接続を可能にする。この構成には、複数回用のアプリケーターの有用な機能寿命を延ばすという利益がある。
【0163】
アプリケーター(400)の残りの部分をここで説明する。これらの部分は通常、カートリッジアセンブリ(100)での操作からは独立している。まず
図13Aを参照すると、アプリケーター(400)は、ハンドル(402)、及び、電力及び制御信号の他に、組織に適用される電気信号を運ぶように設計された多心ケーブル(406)を含む。ケーブル(406)は通常、制御装置(700)において対応するコネクターインターフェースを持つコネクターにおいて終端となる。アプリケーター(400)は更にユーザーインターフェース(404)を含み、そこでは手順の態様はユーザーによって視認され得、ユーザーは様々な機能、具体的には深さの選択を実行するためにアプリケーターを配向することができる。アプリケーター(400)は更に、手順を始めるために被験体によって使用される手順活動化トリガー(407)を含む。
【0164】
加えて
図13Bを参照すると、アプリケーター(400)は、手順の残りの時間をユーザーに通知する手順カウントダウンタイマー(410)を含み、カウントダウントリガーによるカウントダウンがゼロになる時間まで被験体からアプリケーター(400)を外してはならないことをユーザーに黙示的に示す。制御装置(700)との満足な且つ電力供給された接続を示すために、電力表示器(418)が設けられる。欠陥が生じたかどうか、例えば、上述のインターロックのうち1つが停止したかどうかをユーザーに示すために、手順欠陥表示器(414)が設けられる。被験体の組織に対して適切な手順が得られ、それにより手順の開始を可能にするかどうかをユーザーに通知するために、アプリケーション配置表示器(412)が設けられる。
【0165】
図14は、制御装置(700)、上部ハウジング(420)、側部ハウジング(422)及び(424)、並びに内側保護シェル(432)との接続のためのコネクター(426)(正確な縮尺ではない)を含む、アプリケーター(400)の多くの構造部品を示す。前部キャップ(430)が端部キャップ(428)と共に設けられる。様々な電気機械のサブアセンブリ(450)も提供され、その幾つかは上述されるものである。
【0166】
図15Aはアプリケーター(400)のより詳細な図を例示しており、カートリッジ圧力センサー接触部(434)、及び、カートリッジ装填部、電極挿入部、並びに注入機能に対応するサブアセンブリ(452)の他、関連するセンサーも示している。
【0167】
図16は、装填駆動サブアセンブリ(loading drives subassemblies)(454)及びカートリッジ装填サブアセンブリ(456)を含む、サブアセンブリ(452)の群のより詳細な図を例示する。サブアセンブリの操作は上述されている。
【0168】
図17Aは、装填駆動サブアセンブリ(454)のより詳細な図を例示し、その操作に対する概要は上述されている。ここで、装填はカートリッジアセンブリ(100)上のフラッグにより引き起こされること、及びフラッグの検出はスイッチ(464)で引き起こされるシステムに通じることに、注意されたい。装填駆動サブアセンブリは、ブラケット(466)と(468)を使用してアプリケーターハウジングに取り付けられる。モーター(444)の動作は、モーター駆動シャフト(462)によってピニオンギアアセンブリ(448)に伝達される。
【0169】
図17Bは、挿入/注入駆動アセンブリ(456)の詳細な図を例示する。これらの構成部分の多くは上述されている。ここで、操作上の構成部分は、マウンティングブラケット(476)によってアプリケーターハウジングに取り付けられることに、注意されたい。電極(122)及び針(105)の挿入後、針(105)のプランジャは、注入駆動プランジャ(484)によって押し下げられ、その動作は針のオリフィスから薬物を排出する。注入駆動プランジャは、射出駆動モーター及びギアアセンブリ(486)により駆動される。
【0170】
一般に、注入駆動アセンブリ(486)により駆動される注入駆動プランジャは、それがこれ以上前方に、即ち遠位に移動することができない点まで前方に移動し、このことは、前記プランジャが各ストロークの端部に到達することを示している。この指標は通常、実質的に上昇する注入駆動モーター(486)に使用される電流によって与えられ、このことは、リザーバプランジャがリザーバの端部に到達し、注入が完了したことを示している。しかし、場合によっては、モーターの巻数が、どれだけの薬物が送達されたかを判定するために利用されてもよい。そのような特徴は、薬物の測定された投薬を支援するために、或いは、送達の量が予測された合計内になかった場合、例えば、リザーバー(101)の完全な量が注入されると予測されるが、プランジャロッドの位置に基づいて空にならなかった場合に、ユーザーに通知するために、使用され得る。このような状況は、手順が完了するまで、例えば、カウントダウンタイマーがゼロまでカウントダウンするまで、ユーザーが被験体の身体に対してアプリケーター(400)を保持できない場合に生じ得る。上述のように、中間の手順のタイムフレームにおいて、被験体に対する力がこれ以上検出されていない場合、インピーダンスのチェックが、電極がまだ被験体内にあるかどうかを判定するために実行されてもよい。電極が被験体内にない場合、その後、アプリケーターが早めに取り外され、注入を止めて被験体の外部に排出される薬物の量を制限するために、信号が注入駆動モーター(486)に送られ得ることが、推定され得る。
【0171】
図19を参照すると、制御装置システム/アセンブリ(700)を確認することができ、電界制御装置/発生器(750)、ハンドル(702)、アプリケータークレードル(706)が含まれている。制御装置は、テーブルトップの他、カート搭載の用途のために構成され得る。カート搭載の構成において、貯蔵ビン(704)を含めることが好ましい。カート搭載の構成における制御装置の詳細は
図20A-20Dに示されており、操作上のセッティングにおける動作に対して制御装置アセンブリを守るためのホイールロック、被験体調製供給物を含む調製物を配するためのトレー(710)、リザーバ/バイアル/シリンジなどが含まれる。アプリケーターコネクターポート(708)は、制御装置アセンブリ(700)にアプリケーター(400)を接続すると例示されている。ディスプレイ(712)は、特に取り付けられたIFUに関する、投与手順の状況を表示する。
【0172】
アプリケーター(400)からカートリッジアセンブリ(100)の排出を引き起こすためにカートリッジ排出ボタン(714)が設けられる。メニューナビゲーションボタン(716)は、ディスプレイ(712)上で見られるような構成部分のナビゲーション及び操作を可能にする。望ましい場合に警報又は他の可聴指示器をミュートにするために、ミュートボタン(718)が設けられる。ユニットに電力を供給するために電源ボタン(722)が設けられ、これは、メイン電源スイッチ(726)(
図20D)がつけられている場合に起動可能である。
【0173】
ディスプレイはまた、バッテリーバックアップシステムが設けられるバッテリーレベルの指標を提供する、バッテリー指示器(720)を含む。そのようなバッテリーバックアップシステムは、電力損失によりメイン電源がユニットに電力を供給するのを妨げられる状況を提供するために制御装置/発生器(750)に含まれてもよい。これは、手順が主な電力下で開始されるが主な電力損失に遭遇するバックアップとして利用されてもよい。この場合、論理回路及び制御回路は、バッテリーバックアップを使用して手順が終了され得るように、メインからバッテリー電源への実質的にシームレスな移行を提供するために実装される。バッテリーがメイン電力の損失の後に手順を終えるのに十分な電荷を有するかどうかをモニタリングすることができるバッテリーモニタリング回路を制御装置が含むことが、好ましい。幾つかの実施形態において、制御装置は、バッテリーの電流充電状況がメイン電力の損失の事象において手順を完了するのに十分でない場合に、ユーザーに通知するためのディスプレイも含む。
【0174】
図20Dを参照すると、そこでは制御装置(750)の背面図が例示されており、USBポート(724)、メイン電源スイッチ(726)、及びメイン電力入力部(728)を含むことが確認できる。
【0175】
図21を参照すると、1つの使用方法において、フローチャート(800)により示されるように、制御装置/発生器(750)は電力供給され、そのプログラムは自動的に開始される(工程(802))。アプリケーターが接続され(工程(804))、アプリケーターがまだ接続されていない場合、ユーザーにこの動作を実行させる指標又は指示がディスプレイスクリーン(712)に表示される。システムは自己試験を行ってもよく(工程(806))、自己試験は、制御装置/発生器(750)の適切な操作を確保するだけでなく、制御装置/発生器(750)へのアプリケーター(400)の正確な接続も確保する。
【0176】
プログラムは、ディスプレイスクリーンに、投与の部位の調製時のユーザーへの説明書を提供させてもよい(工程(808))。この工程は、正確な薬物が送達されていること、それが期限切れでないこと、禁忌が調べられたこと、及び警告/使用上の注意に従うことを確実にする工程を含み得る。
【0177】
その後、ユーザーは容器のキャップを取り外し、カートリッジアセンブリ(100)にリザーバー(101)を挿入する(工程(810))。幾つかの実施形態において、ユーザーは、カートリッジアセンブリ中のリザーバの適切な配置を示す、可聴式、触知式、又は触覚型のクリックを経験する(工程(811))。
【0178】
その後、ユーザーは、アプリケーター(400)にカートリッジアセンブリ(100)を挿入する(工程(816))。その後、エラー状態が、例えば適切なリザーバ配置について試験され(工程(818))、1つが検出される場合、手順は止められ、エラーメッセージが表示され、ユーザーは是正措置をとるよう指示される。エラー状態が修正され得る場合、例えば、ユーザーがリザーバを不適当に挿入したが、カートリッジ尾部を係合させず又はそれを閉じなかった場合、ユーザーは、カートリッジを取り外し、且つリザーバを適切に再挿入するように指示され得る(工程(820))。場合によっては、カートリッジが自動的に排出され、他の場合には、ユーザーはこれを遂行するために「カートリッジ排出」ボタンを押さなければならないこともある。他のエラー状態において、例えば、カートリッジ尾部が閉じられた場合、ユーザーは新しいカートリッジを使用するように指示され得る。いかなる場合も、一旦、セットアップされたデバイスが完成し、「エラー無し」の状態が達成されると、ユーザーは、薬物の投与及び電気穿孔療法に移ることができる(工程(822))。
【0179】
制御装置の主な機能は、薬物の望ましい送達を達成するのに必要な電界を生成すること、セットアップ及び使用中にシステムの操作を制御すること、セットアップ及び使用中にシステムの状態をモニタリングすること、及び、セットアップ及び使用中にユーザーにシステムの状態を伝えることである。幾つかの実施形態において、制御装置は、ユーザー訓練の状況において、その他に通常の使用中の故障状態の解消中に、デバイスの使用のための推奨及び指示を提供することができる。
【0180】
操作の制御装置システム及び制御装置方法は、マイクロプロセッサー、マイクロ制御装置、プログラマブル論理制御装置を含む、あらゆる数のコンピューティングデバイスを利用して完全に実施され得る。典型的に、指示はコンピューター可読媒体上に置かれ、このような支持は、コンピューティングデバイス中のプロセッサーが本開示の方法を実施することを可能にするほど十分なものである。コンピューター可読媒体は、実行時にランダムアクセスメモリーにロードされる指示を有する、ハードドライブ又はソリッドステートストレージであってもよい。例えば、複数のユーザーから、又は1人のユーザーからの、アプリケーションへの入力が、あらゆる数の適切なコンピューター入力デバイスによって行われてもよい。例えば、ユーザーは、キーパッド、キーボード、マウス、タッチスクリーン、ジョイスティック、トラックパッド、他のポインティングデバイス、或いは、計算に関連するデータを入力するための他のそのようなコンピューター入力デバイスを利用し得る。データはまた、挿入されたメモリーチップ、ハードドライブ、フラッシュドライブ、フラッシュメモリー、光媒体、磁気媒体、或いはあらゆるタイプのファイル記憶媒体によって入力され得る。出力は、ユーザーにより確認され得るディスプレイに結合される、ビデオグラフィックスカード又は統合グラフィックスチップセットによって、ユーザーに送達され得る。代替的に、システムは、電子文書の1つ以上のフォーマットを出力し、或いは、結果のハードコピーを出力するためにプリンターが利用され得る。この教示を考慮すると、あらゆる数の他の触知可能な出力は、本開示によっても考慮されると理解される。例えば、出力は、メモリーチップ、ハードドライブ、フラッシュドライブ、フラッシュメモリー、光媒体、磁気媒体、或いはあらゆるタイプの他の出力に記憶され得る。本開示は、あらゆる数の異なるタイプのコンピューティングデバイス、例えば、パーソナルコンピューター、ラップトップコンピュータ、ノートブックコンピュータ、ネットブックコンピューター、ハンドヘルドコンピューター、携帯情報端末、携帯電話、スマートフォン、タブレットコンピューターの上で、及び、これらの目的のために特異的に設計されたデバイス上でも実行され得ることにも、留意されたい。1つの実装において、スマートフォン又はwi-fi接続されたデバイスのユーザーは、無線インターネット接続を使用してサーバーから自身のデバイスへと、アプリケーションのコピーをダウンロードする。適切な認証手続及び安全なトランザクションプロセスは、販売者に行なわれるべき支払いを提供し得る。アプリケーションは、モバイル接続、又はWiFi或いは他の無線ネットワーク接続上でダウンロードされ得る。その後、そのアプリケーションはユーザーによって実行され得る。そのようなネットワーク化されたシステムは、複数のユーザーがシステム及び方法に別個の入力を提供する実装のための、適切なコンピューティング環境を提供し得る。アプリケーターの制御が考慮される以下のシステムにおいて、複数の入力により、複数のユーザーが同時に関連データを入力することが可能となり得る。
【0181】
【0182】
【0183】
【0184】
【実施例】
【0185】
以下の実施例は、例示目的のためのみに提供され、本明細書で提供される請求項の範囲を制限するものではない。
【0186】
実施例1.TriGrid Delivery System(TDS-IM)のデバイスを用いた、核酸ベースの生物薬品の電気穿孔を媒介とした筋内投与
上肢又は下肢の骨格筋における核酸配列の細胞内輸送は、典型的なデバイス、例えば、本明細書で提供されるようなTriGrid Delivery System(TDS-IM)model IIの使用により増強され得る。幾つかの実施形態において、TDS-IMデバイスは、TDS-IMデバイスでの研究目的の使用のために承認された薬剤と共に使用される。典型的な実施形態において、承認された薬剤は、核酸、即ちDNA又はRNAである。幾つかの実施形態において、TDS-IMデバイスの使用は、必要とする被験体に制限される。
【0187】
投与のためのシステムを開始するために、デバイスのメイン電力を刺激装置に接続し、システムのバッテリーは使用のために適当に充電する。メイン電源スイッチをつけて、フロントパネルの電源ボタンを押す。アプリケーターをアプリケーターコネクターに接続する。アプリケーターの適切な接続を、アプリケーター電力表示器の照明により確認する。一旦システムが全てのセルフチェックを完了すると、開始のスクリーンが現われる。OKボタンを押して、手順の投与を進める。
【0188】
TDS-IMカートリッジにシリンジを挿入するために、シリンジキャップをシリンジから取り外し、シリンジフランジを、TDS-IMカートリッジシリンジ装填ポートと位置を合わせる。シリンジは適所に折れ、TDS-IMカートリッジに完全に据え付けられなければならない。一旦シリンジが装填されると、パルス刺激装置上でOKボタンを押し、継続する。カートリッジがアプリケーターに装填されるまで、カートリッジキャップはカートリッジに付けたままでなければならない。
【0189】
シリンジを装填したカートリッジをアプリケーターに装填するために、カートリッジを、上方に面するカートリッジシリンジ装填ポートを持つアプリケーターと位置を合わせる。カートリッジをアプリケーターに挿入すると、カートリッジは、アプリケーター中のその完全に装填された位置へと自動的に引っ張られる。カートリッジの装填の成功は刺激装置に示される。一旦カートリッジが装填されると、アプリケーターはそのクレードルへと戻り、被験体上の適切な注入部位が選択される。幾つかの実施形態において、筋肉内の核酸輸送のための注入部位は、およそ指三本の幅分、肩峰突起(肩甲骨)の縁の下にある、内側三角筋である。典型的な実施形態において、内側三角筋の注入深さは、約0.75”-1.25”(19-30mm)である。幾つかの実施形態において、筋肉内の核酸輸送のための注入部位は、臀部と膝のほぼ中間にある外側広筋(外側大腿)である。典型的な実施形態において、外側広筋の注入深さは、約1.0”-1.5”(25-38mm)である。一旦、注入部位が選択されると、アプリケーターの深さ選択ボタン、その後、注入部位/深さに対応する注入深さ選択ボタンが押される。幾つかの実施形態において、注入深さの選択表示器を固体照明に切り換え、選択された注入深さを確認する。幾つかの実施形態において、右側の深さ選択ボタンは、より深い注入深さに相当する。1つの実施形態において、最初に選択された注入部位が変更されると、他の注入深さに対応する選択ボタンが押され、選択した注入深さのスクリーンが戻ると、他の注入深さが選択される。
【0190】
TDS-IMデバイスを介した承認された薬物の被験体への投与を始めるために、カートリッジキャップを取り外して捨てる。デバイスを、標的注入部位と位置を合わせ、それに対して堅く押す。デバイスが標的注入部位に対して堅く押されると、アプリケーター配置表示器の全て4つのバーが光り、手順カウントダウンタイマーは「8」秒で光り、投与手順の残り時間を示す。アプリケータートリガーを、投与される薬剤に対して押し下げ、その一方で圧力は一貫して維持される。手順カウントダウンタイマーが「0」に達すると、電気刺激が送達される。一旦投与手順が完了すると、手順完了表示器が光り、デバイスを注入部位から引き抜くことができる。手順が完了する、或いは手順欠陥表示器が光るまで、デバイスは注入部位から引き抜いてはならない。幾つかの実施形態において、デバイスが投与手順中に問題を検出すると、デバイスは投与手順を中断し、手順欠陥表示器を光らせる。典型的な実施形態において、デバイスが投与手順を中断し、デバイスが被験体から速やかに取り外されると、デバイスの刺激装置ディスプレイは更なる指示を提供する。
【0191】
必要とする被験体への薬剤投与の完了後にアプリケーターからカートリッジを排出するために、刺激装置上に位置付けられた排出ボタンを押す。アプリケーターは、カートリッジをアプリケーターから手動で取り外すことができる位置へと、カートリッジを自動的に進める。一旦カートリッジが移動を止めると、矢印により示されるようなカートリッジの側部は、アプリケーターからカートリッジを引くために把持することができる。カートリッジを取り外した後、完全な注入の完了を、シリンジプランジャ位置の検査によって検証することができる。デバイスの電源を切るために、アプリケーターをホルスターに配し、フロントパネルの電源ボタンを5秒間押す。
【0192】
本開示の好ましい実施形態が、本明細書に示され且つ記載されている一方で、このような実施形態が、ほんの一例として提供されることは当業者に明白であろう。多数の変形、変更、及び置換は、本開示から逸脱することなく、当業者によって現在想到されるものである。本栄最初に記載される実施形態の様々な代替物、或いはこれら実施形態又はその中に記載される態様のうち1つ以上の組み合わせは、本開示を実行する際に利用され得ることを、理解されたい。以下の特許請求の範囲は本開示の範囲を定義するものであり、この特許請求の範囲及びそれらの同等物の範囲内の方法及び構成は、それによって包含されることが、意図される。