(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-31
(45)【発行日】2023-06-08
(54)【発明の名称】鮨用包装容器
(51)【国際特許分類】
B65D 1/36 20060101AFI20230601BHJP
B65D 85/50 20060101ALI20230601BHJP
A23L 7/10 20160101ALI20230601BHJP
【FI】
B65D1/36
B65D85/50 140
A23L7/10 F
(21)【出願番号】P 2022580487
(86)(22)【出願日】2022-06-10
(86)【国際出願番号】 JP2022023418
【審査請求日】2022-12-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390041058
【氏名又は名称】シーピー化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000707
【氏名又は名称】弁理士法人市澤・川田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平山 学
(72)【発明者】
【氏名】大石 修嗣
(72)【発明者】
【氏名】猪原 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 尚子
【審査官】杉田 剛謙
(56)【参考文献】
【文献】意匠登録第1408940(JP,S)
【文献】特開2005-008254(JP,A)
【文献】登録実用新案第3062105(JP,U)
【文献】特開2016-084151(JP,A)
【文献】特開2018-095306(JP,A)
【文献】特開2019-142559(JP,A)
【文献】特開2012-176773(JP,A)
【文献】特開2001-171770(JP,A)
【文献】特開2010-208650(JP,A)
【文献】意匠登録第1124892(JP,S)
【文献】特開2018-193089(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0297310(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 1/34-36
B65D 85/50-52
A23L 7/10
B65D 65/10-12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面部に個々の鮨を載せ置く個別載置面部を複数有する、合成樹脂シートからなる鮨用包装容器であって、
当該底面部の周囲に設けた周壁部と、
当該周壁部と前記底面部との境を段状に形成してその上面を段差面部とした段差部と、
当該段差面部と同等の高さにし、各々の前記個別載置面部の周囲に設けた突条部と、
各々の前記個別載置面部における周囲の一部を、前記底面部と同等の高さ又はそれ以下の高さに形成した凹欠部と、
当該個別載置面部内において前記段差部の内側で前記段差部に沿い前記底面部を下方に凹ませて形成した脚部と、
を備え
、
前記突条部を、前記段差部から連続して延び、並列状に配列された並列突条部と、当該並列突条部と直交する向きに配し、前記並列突条部よりも幅広とした交差突条部と、からなる構成にし、
前記凹欠部を、前記並列突条部と前記交差突条部との間に設けた、
鮨用包装容器。
【請求項2】
前記凹欠部を、各々の前記個別載置面部において対面する位置に設けた請求項
1に記載の鮨用包装容器。
【請求項3】
前記脚部を、細長直線状凹部として形成した請求項1又は2に記載の鮨用包装容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成樹脂シートからなり、鮨を詰め合わせる鮨用包装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
百貨店、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの小売店では、握り鮨や手巻き鮨を包装容器に詰め合わせた、いわゆるパック鮨が店頭に陳列され、販売されていることがよく見かけられる。このようなパック鮨の容器には、様々な工夫がなされているものがある。
【0003】
例えば、パック鮨の容器において、詰め合わせた鮨が隣同士でくっつくことや、運搬したり持ち上げたりした際に、鮨がずれ動くことがあり、これを防ぐため、底面部を区切って載置部を形成し、各載置部に鮨を載せることができるようにしたものがある。
より具体的には、底部に鮨形状をなす窪み部を設けた包装容器(下記特許文献1参照)、鮨を個別に収容するために鮨の下部が丁度入る大きさの凹部を設けた鮨用包装容器(下記特許文献2参照)、収容物載置部における周縁よりも外側に、部分的に高さの異なる周縁壁を設けた包装用容器(下記特許文献3参照)、鮨を載置する底面部に、1個ずつ斜めに行列配置させる鮨の間に入り込む突出部を設けた鮨用包装容器(下記特許文献4参照)などが開発されている。
【0004】
また、パック鮨の容器において、来店者の注意を惹くため、容器本体の外周にネタ台を設け、ネタ台に鮨ネタの先端部が載るようにしてボリューム感を持たせるようにした鮨用容器がある(下記特許文献5参照)。
この他にも、上げ底にしたり、脚部を設けたりして鮨が上方に配置されて目に留まりやすくし、ボリューム感を持たせるようにした容器が開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実用新案登録第3062105号公報
【文献】特開2002-95429号公報
【文献】特開2012-101816号公報
【文献】特開2012-176773号公報
【文献】特開2011-157113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
パック鮨の容器の底面部を区切って載置部を形成した場合には、鮨がずれ動きにくくなるように、各載置部の周囲を囲むように突起部を設けることがある。
しかし、突起部で囲まれると鮨を箸で摘まみ上げる際に箸の先端部が突起部に当たり摘まみにくいことがあった。
【0007】
また、パック鮨の容器に脚部を設ける場合には、鮨を載せる載置面の外側で、かつフランジ部の内側の位置に設けることが多い。このときには、脚部を設けるスペースが必要になるため、容器の外形形状が大きくなりやすいものであった。
容器の外形形状が大きくなると、鮨を詰め合わせても空いた空間が多くなり、また、相対的に鮨を載せる載置部の面積が小さくなるので、収容量が少なく見え、購買力を削ぐおそれがあった。
【0008】
そこで、本発明の目的は、脚部を備えながらも外形形状を小さく保ち、さらには、個々の鮨を載せ置く載置部を設けても詰め合わせた鮨を箸で摘まみ上げやすくした鮨用包装容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一形態の鮨用包装容器は、底面部に個々の鮨を載せ置く個別載置面部を複数有する、合成樹脂シートからなる鮨用包装容器であって、当該底面部の周囲に設けた周壁部と、当該周壁部と前記底面部との境を段状に形成してその上面を段差面部とした段差部と、当該段差面部と同等の高さにし、各々の前記個別載置面部の周囲に設けた突条部と、各々の前記個別載置面部における周囲の一部を、前記底面部と同等の高さ又はそれ以下の高さに形成した凹欠部と、当該個別載置面部内において前記段差部の内側で前記段差部に沿い前記底面部を下方に凹ませて形成した脚部と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
上記形態の鮨用包装容器は、個別載置面部の周囲を突条部で囲ったため、載せた鮨がずれ動きにくいだけでなく、全部囲むのではなく一部に凹欠部を設けたため、この部分では箸の先端部が当たりにくく鮨を箸で摘み上げやすくなる。また、脚部を個別載置面部内に形成してあるため、従来のように外形形状を大きくする必要がなく、容器の大きさをコンパクトにできる。さらには、段差部を設けることにより、外形がコンパクトでありながら、握り鮨の鮨ネタの先端部が段差面部上に配されて潰されにくく、鮨のネタを見栄えよく見せることができる。
【0011】
上記形態の鮨用包装容器において、前記突条部を、前記段差部から連続して延び、並列状に配列された並列突条部と、当該並列突条部と直交する向きに配した交差突条部と、からなる構成にすることができる。このような構成にすることにより、並列突状部と交差突状部とで個別載置面部を囲み、鮨を縦横にマトリックス状に配列することができるだけでなく、段差部から突条部を延ばし、並列状に配列させてあるため、容器の周縁が変形しにくくなり、持ち上げやすくなる。
【0012】
上記形態の鮨用包装容器において、前記凹欠部を、前記並列突条部と前記交差突条部との間に前記凹欠部を設けることができる。このような構成にすることにより、箸の先端部を交差突条部に沿わせて鮨を摘まむことができ、摘まみ上げやすくなる。
【0013】
上記形態の鮨用包装容器において、前記凹欠部を、各々の前記個別載置面部において対面する位置に設けることができる。このような構成にすることにより、鮨の両側に凹欠部があるので、箸で両側から鮨を摘まみやすくなる。
【0014】
上記形態の鮨用包装容器において、前記脚部を細長直線状凹部として形成することができる。このような構成にすることにより、脚部が容器を支持する機能を有するだけでなく、鮨ネタから滲出した水分などを貯めることができる貯留部としての機能も有するものになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第一の実施形態の鮨用包装容器を示し、開蓋状態での斜視図である。
【
図2】
図1の鮨用包装容器の容器本体及び蓋体の正面図である。
【
図3】
図1の鮨用包装容器の容器本体の平面図である。
【
図5】
図1の鮨用包装容器において、中心付近の端面図である。
【
図6】
図1の鮨用包装容器において、鮨を詰め合わせた状態を示した端面図である。
【
図7】本発明の第二の実施形態の鮨用包装容器を示した平面図である。
【
図8】本発明の第三の実施形態の鮨用包装容器を示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の鮨用包装容器の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
本発明の第一の実施形態の鮨用包装容器1は、
図1又は
図2に示すとおり、容器本体2と、容器本体2を被覆する蓋体3とを備える。
本実施形態では、蓋体3を設けてあるが、蓋体3を設けない構成としてもよい。
【0018】
鮨用包装容器1は、横長直方体状に形成してあり、特に限定するものではないが、高さ50mm、長さ200mm、幅150mm程度の大きさにすることができ、握り鮨、巻き鮨、いなり鮨、押し鮨などの鮨を収容することができる。
なお、握り鮨とは、酢飯(酢をきかせた飯、以下同様)に生の魚介類の切り身や卵焼(以下、鮨ネタという。)などを載せて、握った鮨をいい、押し鮨とは、方形の型の中に酢飯を詰め、その上に鮨ネタを載せて押しかためて作る鮨をいい、いなり鮨とは、甘煮の油揚げ(薄切りにした豆腐を油で揚げたもの)の中に、酢飯に様々な食材を混ぜたものをつめた料理をいい、巻き鮨とは、乾海苔(藻類を板状に乾燥させたもの)や卵焼きなどで鮨ネタを巻いた鮨をいう。
これら各鮨の形状は、特に限定するものではないが、立方体状、直方体状、円柱状などにすることができる。
【0019】
鮨用包装容器1は、上記形状に限定されるものではなく、例えば、平面視において、円形状、長円形状の他、三角形状、正方形・長方形・平行四辺形・台形などの四角形状、五角形状、六角形状や八角形状などの平面視多角形状にすることができる。
【0020】
容器本体2は、
図3に示すように、平面視において一対の角部を面取り状にし、他の一対の角部を丸隅状にした長方形平皿状に形成してあり、
図1,3及び5に示すように、底面部21と、底面部21を囲うように配し、上向きに立ち上がる周壁部22と、周壁部22と底面部21との境を段差状にした段差部23と、底面部21を区画して設けた個別載置面部24と、個別載置面部24を囲う突条部25(25a~c)と、個別載置面部24の周囲の一部に設けた凹欠部26と、個別載置面部24から下方に凹ませて形成した脚部27とを備える。
【0021】
底面部21は、
図1又は
図3に示すように、鮨を載せることができる平面視長方形の水平面状としてあり、面上を突条部25で長方形乃至平行四辺形状に区切り、個々の鮨を載せ置ける個別載置面部24を設けてある。底面部21は、平滑面にすることができるが、全面又は一部を微小な凹凸が繰り返す波状又はローレット状などの凹凸面としてもよい。底面部21を凹凸面とすることにより、鮨と底面部21との接地面積が小さくなり、鮨の貼りつきを抑えることができ、鮨が取り出しやすくなる。
【0022】
個別載置面部24は、
図2又は
図3の向きにおいて、左右方向に4列、前後方向に2列設けてあり、個別載置面部24のそれぞれを容器本体2の縁部に対して傾いた斜め状に配列してある。個別載置面部24は、本実施形態では容器本体2の縁部に対して約45°に傾けた斜め状としてあるが、これに限定されるものではなく、容器本体2の縁部に対して垂直又は並行状などにしてもよい。
個別載置面部24内の底面部21の一部を凹凸面とし、残りの部分を平滑面とすれば、鮨の貼り付きを抑えつつ、平滑面との接地による鮨の固定(滑り止め)を図ることができる。このときの凹凸面の面積占有率は、個別載置面部24において、70%以下が好ましく、50%以下がより好ましい。
【0023】
周壁部22は、
図5に示すように、底面部21の周縁から立ち上がり、上方に向かい拡開するように形成してある。周壁部22の上縁部には、容器本体2の外側に張り出すフランジ部22aを設け、フランジ部22aの外縁には、断面J字状に外側に拡開するように形成したスカート部22bが設けてある。
周壁部22と底面部21との境には、段状に形成した段差部23が設けてあり、その上面を水平面状の段差面部23aとしてある。
段差部23を設けることにより、容器本体2の剛性を高め、容器本体2を持ち上げた際に撓みにくくなる。また、個別載置面部24に握り鮨を載せた場合に、鮨ネタの先端部が段差面部23a上の空間に延び、ネタが圧縮され潰れることなく容器内に配することができる。
【0024】
突条部25は、底面部21を上方に膨らませて形成し、各個別載置面部24の周囲に設けて区画するようにしてある。各個別載置面部24は周囲全部を突条部25で囲まれるのではなく一部は凹欠部26として切り通し状にした部分も形成してある。
突条部25は、段差面部23aと同等の高さとし、段差面部23aの高さの±3mmの範囲内が好ましく、±1mmの範囲内がより好ましく、同じ高さ(設計誤差の範囲内を含む)が特に好ましい。
【0025】
突条部25は、
図3に示すように、段差部23から連続して延び、斜め向きに並列状に略等間隔で配列され、容器本体2の左右方向を区切る並列突条部25aと、容器本体2の中心横断線上に配し、並列突条部25aと直交する向きとして容器本体2の前後方向を区切る交差突条部25bと、からなる構成にしてある。
並列突状部25aは、
図3に示すように、手前側及び奥側の縁部それぞれから斜め(約45°)に延びる直線状の突条部25で形成され、各突条部25の基端側は平面視三角形状で幅広になるように形成してある。並列突状部25aの各突条部25は、容器本体2の前後幅の約1/3の長さとしてある。本実施形態では、手前側及び奥側の縁部にそれぞれ3本の突条部25を設けて並列突状部25aを形成してあるがこれに限定されるものではない。
並列突条部25aを手前側及び奥側の縁部に設けることにより、容器本体2が撓みにくくなり、両側の短手縁部を把持して容器本体2を持ち上げやすくなる。
【0026】
交差突条部25bは、
図3に示すように、並列突状部25aよりも幅広とした直線状に形成し、並列突状部25aとは直交する向きに配してあり、並列突条部25a、交差突状部25b及び容器本体2の周壁部22で各個別載置面部24を囲み、区画するようにしてある。
【0027】
本実施形態では、容器本体2の左右側の縁部それぞれから横向きに舌片状に延びる端部突条部25cがさらに設けてあり、中心横断線沿いに配し、左右端部に設けた個別載置面部24を区切るようにしてある。
【0028】
凹欠部26は、各個別載置面部24の周囲に少なくとも1箇所設けてあり、底面部21と同等の高さ又はそれよりも低くして形成してある。凹欠部26を設けることにより、箸の先端部が突条部25に引っ掛かることなく鮨を挟むことができ、摘まみ上げやすくなる。本実施形態では、並列突条部25aの先端部と交差突状部25bの端部との間を切り通し状の凹部とし、その部分を底面部21よりも低くして凹欠部26を設けてある。また、凹欠部26を2か所に設けて対面するように設けることにより、箸を両側から通しやすくなり、より一層に鮨を摘まみ上げやすくなる。
【0029】
凹欠部26の開口幅は、特に限定するものではないが、15mm~5mmが好ましく、12mm~8mmがより好ましい。また、凹欠部26を設けた部分の高さは、底面部21に対して±1mmの範囲内の高さにするのが好ましく、同じ高さ(設計誤差の範囲内を含む)にするのがより好ましい。
【0030】
脚部27は、底面部21を横長逆台形台状に凹ませて凹状に形成してあり、本実施形態では、各個別載置面部24内に、1箇所又は2箇所設けてある。本実施形態では、段差部23のすぐ内側に容器本体2の縁部に沿い設けてあり、各脚部27は同じ突出幅で下方に凹ませ、容器本体2を支持できるようにしてある。また、脚部27は、凹状に形成してあるため貯留部の機能も兼ね、鮨から滲出した水分を貯めておくことができる。
脚部27を個別載置面部24内に形成したため、容器本体2の外形形状を大きくする必要がなく、容器本体2の外形形状をコンパクトサイズにすることができる。
【0031】
蓋体3は、
図1、
図2又は
図4に示すように、概略台形台状に形成してあり、
図5に示すように、天面部31と、天面部31の周縁から下方に向かう側壁面部32と、側壁面部32の下縁部から蓋体外側に張り出すフランジ部33と、フランジ部33から下方に向かい突出するスカート部33aと、スカート部33aに設け、容器本体2の外縁部に嵌め合わせる嵌合部34とを備える。
【0032】
天面部31は、
図4に示すように、平面視において変形長方形状を呈した水平面状としてある。
側壁面部32は、天面部31の周縁から下方に向かい傾斜する傾斜面としてある。
【0033】
フランジ部33は、
図5に示すように、蓋体外側に向かい上昇する傾斜面状に形成してある。フランジ部33の外縁部には、下方に向かうスカート部33aが形成してあり、スカート部33aには蓋体3の内側に突出し、容器本体2の外縁部の下側に係止する嵌合部34が設けてある。
嵌合部34は、周方向に延びる適宜長さで形成し、蓋体3の周方向に間隔を開けて設けてある。本実施形態では、蓋体3が容器本体2に外側から嵌まる外嵌合構造としてあるが、これに限定されるものではなく、内嵌合構造、内外嵌合構造などいずれの嵌合構造を採用してもよい。また、嵌合せずに蓋体3が容器本体2に載る構造としてもよい。
【0034】
以下、鮨用包装容器1の製造方法の一例を説明する。
容器本体2及び蓋体3は、特に限定するものではないが、合成樹脂シートを熱成形して製造することができる。合成樹脂シートは、非発泡樹脂シート、発泡樹脂シートのいずれでもよいが、容器本体2を発泡樹脂シート、蓋体3を非発泡樹脂シートにするのが好ましい。
【0035】
非発泡樹脂シートの場合には、具体的には、厚みが0.1mm~2.0mmの範囲内、特に0.2mm~1.2mmの範囲内のシートを用いるのが好ましい。
発泡樹脂シートの場合には、厚みが0.5mm~4.0mmの範囲内、特に0.7mm~2.2mmの範囲内のシートを用いるのが好ましい。また、発泡樹脂シートの場合には、発泡倍率を1.05倍~20.0倍、特に1.5倍~15.0倍にするのが好ましい。
【0036】
非発泡樹脂シートとしては、例えば、ポリエチレン系樹脂シート・ポリプロピレン系樹脂シートなどのポリオレフィン系樹脂シート、ポリスチレン系樹脂シート、ポリエチレンテレフタレート系樹脂シート・耐熱性を付与した変性ポリエチレンテレフタレート系樹脂シートなどのポリエステル系樹脂シートなどの熱可塑性樹脂シートを用いることができる。また、電子レンジの加熱に耐え得るもの、例えば、耐熱性ポリスチレン系樹脂シート、ポリプロピレン系樹脂シート、耐熱性を付与した変性ポリエチレンテレフタレート系樹脂シートを用いてもよい。
【0037】
発泡樹脂シートとしては、例えば、発泡ポリオレフィン系樹脂シート、発泡ポリスチレン系樹脂シート、発泡ポリエチレンテレフタレートなどの発泡ポリエステル系樹脂シートを用いることができる。
合成樹脂シートを積層した積層シートを用いることもでき、積層シートとしては、例えば、非発泡樹脂シート又は発泡樹脂シートに樹脂フィルムを熱ラミネートした積層シート、共押出法による積層シート、押出ラミネート法による積層シートなどを挙げることができる。
【0038】
非発泡樹脂シート、発泡樹脂シート及び積層シートとして、バイオマスプラスチックを用いてもよい。
バイオマスプラスチックとは、原料として再生可能な有機資源由来の物質を含み,化学的又は生物学的に合成することにより得られる高分子材料をいう。バイオマスプラスチックは、石油由来の樹脂と比して、大気中への二酸化炭素の排出量を抑えることができ、環境への負荷を低減できる。
バイオマスプラスチックとしては、例えば、ポリ乳酸樹脂、バイオマスポリエチレン、バイオマスポリエチレンテレフタレートなどが挙げられる。
【0039】
熱成形としては、真空成形、圧空成形、真空圧空成形、熱板成形などを挙げることができる。
【0040】
容器本体2及び蓋体3は、黒色や白色などの有色であるのが好ましいが、内部が視認できるように透明乃至半透明にしてもよい。蓋体3は透明であるのが好ましい。また、容器本体2及び蓋体3の表面に、透明乃至半透明の場合は視認性を妨げない程度に、文字、絵柄などの印刷や刻印を施してもよい。
さらには、補強のためのリブを適宜位置に設けることや滑り止めのためのシボ加工を施してもよい。また、容器本体2及び蓋体3の適宜位置に、立方体乃至直方体状などに膨出させたスタック用突起を設けることもできる。
【0041】
以下、鮨用包装容器1の使用方法の一例として握り鮨Sを詰め合わせる場合を説明する。なお、握り鮨Sは、直方体状の米飯S1上に長方形状の魚の切り身S2を載せたものである。
図6に示すように、容器本体2の個別載置面部24に各握り鮨Sを載せ、蓋体3を容器本体2に被せ、蓋体3を上方から押圧することにより、嵌合部34が容器本体2の外縁部に嵌まり、握り鮨Sを鮨用包装容器1に詰め合わせることができる。
鮨用包装容器1を開封するには、蓋体3のスカート部33aの下端部に指先などを掛けて拡げ、嵌合部34の嵌合状態を外し、蓋体3を持ち上げることにより開封することができる。
【0042】
鮨用包装容器1は、
図6に示すように、各握り鮨Sが突条部25及び容器本体2の周壁部22で囲まれているため容器1を持ち上げても握り鮨Sがずれ動きにくくなる。
また、脚部27を個別載置面部24内に設けてあるため、容器本体2の外形形状をコンパクトにすることができる。さらに、段差部23を設けることにより、握り鮨Sのネタの先端部が段差面部23a上に配され、ネタの先端部が潰されることなく、握り鮨Sのネタを見栄えよく見せることができる。
【0043】
握り鮨Sを箸などで摘まむ際には、凹欠部26が設けてあるため、箸が突条部25に引っ掛からずに握り鮨Sを摘まむことができ、摘まみ上げやすくなる。また、脚部27を凹部として形成してあるため、握り鮨Sから滲出した水分がここに貯まるため、水分が飛び散りにくいものである。
【0044】
図7には、第二の実施形態の鮨用包装容器1aが示される。
鮨用包装容器1aの容器本体2aは、
図7に示すように、左右に4列、前後に1列の個別載置面部24を設けたものであり、脚部27が手前側及び奥側において、個別載置面部24と周壁部22との間に設けてあり、左右側は個別載置面部24内に設けてある。これにより、容器1aの前後の幅は大きくなるが、左右の長さは従来に比べて小さくすることができ、容器1a全体としては、従来よりもコンパクトな形状にすることができる。
【0045】
図8には、第三の実施形態の鮨用包装容器1bが示される。
鮨用包装容器1bの容器本体2bは、
図8に示すように、左右に4列、前後に3列の個別載置面部24を設けたものであり、中央付近の個別載置面部24は交差突条部25bで囲むようにしたものである。また、脚部27が全部の個別載置面部24には設けていないものである。このようにしても、第一の実施形態の容器1と同様に、握り鮨がずれ動きにくくなり、外形形状をコンパクトにすることができるものである。
【0046】
上記実施形態の構成態様は、本発明を限定するものとして挙げたものではなく、技術目的を共通にする限り変更は可能であり、本発明はそのような変更を含むものである。
【要約】
脚部を備えながらも外形形状を小さく保ち、さらには、個々の鮨を載せ置く載置部を設けても詰め合わせた鮨を箸で摘まみ上げやすくした鮨用包装容器を提供する。
鮨用包装容器1は、底面部21に個々の鮨を載せ置く個別載置面部24を複数有する、合成樹脂シートからなり、底面部21の周囲に設けた周壁部22と、それと底面部21との境を段状に形成してその上面を段差面部23aとした段差部23と、それと同等の高さにし、各々の個別載置面部24の周囲に設けた突条部25と、各々の個別載置面部24における周囲の一部を、底面部21と同等の高さ又はそれ以下の高さに形成した凹欠部26と、個別載置面部24内から底面部21を下方に凹ませて形成した脚部27と、を備えたことを特徴とする。