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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-31
(45)【発行日】2023-06-08
(54)【発明の名称】レーザ溶接方法及びレーザ溶接装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/21 20140101AFI20230601BHJP
   B23K 26/02 20140101ALI20230601BHJP
   B23K 26/70 20140101ALI20230601BHJP
【FI】
B23K26/21 W
B23K26/02 A
B23K26/70
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019066120
(22)【出願日】2019-03-29
(65)【公開番号】P2020163423
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2022-03-11
(73)【特許権者】
【識別番号】712004783
【氏名又は名称】株式会社総合車両製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(72)【発明者】
【氏名】及川 昌志
【審査官】黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-169278(JP,A)
【文献】特開昭61-108485(JP,A)
【文献】特開2002-116119(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00 - 26/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道車両構体を構成するワークに参照光を照射して溶接予定ラインを設定し、設定された前記溶接予定ラインに沿って溶接を行うレーザ溶接方法であって、
前記ワークに比べて前記参照光に対する反射率及び散乱の少なくとも一方が小さいマーカを前記ワークに付与する付与工程と、
前記ワークに向けて前記参照光を照射し、当該参照光の反射光に基づいて前記マーカの付与位置を検出するマーカ検出工程と、
前記マーカ検出工程で検出された前記マーカの付与位置に基づいて設定された溶接予定ラインに沿って、溶接用のレーザビームを照射する溶接作業工程と、を備え
前記マーカ検出工程で検出された前記マーカの付与位置に基づいてプローブの可動範囲を設定し、前記ワークに前記プローブを接触させて前記ワークの配置を検出する接触検出工程を更に備え、
前記溶接作業工程では、前記接触検出工程で検出された前記ワークの配置に応じて設定された前記溶接予定ラインに沿って、前記溶接用のレーザビームを照射する、レーザ溶接方法。
【請求項2】
前記溶接作業工程では、前記マーカの付与位置に対して予め決められた位置関係にある前記溶接予定ラインに基づいて、前記溶接用のレーザビームを照射する、請求項1に記載のレーザ溶接方法。
【請求項3】
前記溶接作業工程では、前記マーカ検出工程で検出された前記マーカの付与位置と、前記溶接予定ラインに予め対応付けられたマーカの配置モデルとを比較し、比較結果に応じて設定された、前記マーカ検出工程で検出された前記マーカの付与位置に対応する前記溶接予定ラインに基づいて、前記溶接用のレーザビームを照射する、請求項2に記載のレーザ溶接方法。
【請求項4】
前記マーカ検出工程では、前記プローブの可動範囲よりも広い範囲において、前記マーカの付与位置を検出する、請求項1~3のいずれか一項に記載のレーザ溶接方法。
【請求項5】
鉄道車両構体を構成するワークに参照光を照射して溶接予定ラインを設定し、設定された前記溶接予定ラインに沿って溶接を行うレーザ溶接方法であって、
前記ワークに比べて前記参照光に対する反射率及び散乱の少なくとも一方が小さいマーカを前記ワークに付与する付与工程と、
前記ワークに向けて前記参照光を照射し、当該参照光の反射光に基づいて前記マーカの付与位置を検出するマーカ検出工程と、
前記マーカ検出工程で検出された前記マーカの付与位置に基づいて設定された溶接予定ラインに沿って、溶接用のレーザビームを照射する溶接作業工程と、を備え、
前記溶接作業工程では、前記マーカ検出工程で検出された前記マーカの付与位置と、前記溶接予定ラインに予め対応付けられたマーカの複数の配置モデルとを比較し、比較結果に応じて設定された、前記マーカ検出工程で検出された前記マーカの付与位置に対応する前記溶接予定ラインに基づいて、前記溶接用のレーザビームを照射する、レーザ溶接方法。
【請求項6】
前記付与工程では、貫通孔を有する治具を前記ワークに配置し、前記貫通孔から露出する前記ワークの露出部分に前記マーカを付与する、請求項1~5のいずれか一項に記載のレーザ溶接方法。
【請求項7】
鉄道車両構体を構成するワークに向けて参照光を照射する照射部と前記参照光の反射光を検出する光検出部とを有し、前記光検出部の検出結果に基づいて、前記ワークに付与され且つ前記ワークに比べて前記参照光に対する反射率及び散乱の少なくとも一方が小さい複数のマーカの付与位置を検出するマーカ検出部と、
前記マーカ検出部によって検出された前記マーカの付与位置に基づいて、溶接用のレーザビームを照射する溶接予定ラインを設定する制御部と、
前記ワークにプローブを接触させることで前記ワークの配置を検出する接触検出部と、を備え、
前記制御部は、前記マーカ検出部で検出された前記マーカの付与位置に基づいて前記プローブの可動範囲を制御し、
前記マーカ検出部の検出結果と前記接触検出部の検出結果とに基づいて、前記溶接予定ラインを設定する、レーザ溶接装置。
【請求項8】
前記マーカの付与位置と前記溶接予定ラインとの位置関係に関する情報を予め格納している記憶部を更に備え、
前記制御部は、前記マーカ検出部で検出された前記マーカの付与位置と、前記記憶部に格納されている前記情報とに基づいて、前記溶接予定ラインを設定する、請求項7に記載のレーザ溶接装置。
【請求項9】
前記記憶部は、予め決定された前記マーカの配置モデルと、前記マーカの配置モデルに対応付けられた前記溶接予定ラインとを格納しており、
前記制御部は、前記マーカ検出部で検出された前記マーカの付与位置と、前記記憶部に格納されている前記マーカの配置モデルとを比較し、比較結果に基づいて、前記マーカ検出部で検出された前記マーカの付与位置に対応する溶接予定ラインを設定する、請求項8に記載のレーザ溶接装置。
【請求項10】
前記マーカ検出部は、前記プローブの可動範囲よりも広い範囲において、前記マーカの付与位置を検出する、請求項7~9のいずれか一項に記載のレーザ溶接装置。
【請求項11】
鉄道車両構体を構成するワークに向けて参照光を照射する照射部と前記参照光の反射光を検出する光検出部とを有し、前記光検出部の検出結果に基づいて、前記ワークに付与され且つ前記ワークに比べて前記参照光に対する反射率及び散乱の少なくとも一方が小さい複数のマーカの付与位置を検出するマーカ検出部と、
前記マーカ検出部によって検出された前記マーカの付与位置に基づいて、溶接用のレーザビームを照射する溶接予定ラインを設定する制御部と、
前記マーカの付与位置と前記溶接予定ラインとの位置関係に関する情報を予め格納している記憶部と、を備え、
前記記憶部は、予め決定された前記マーカの配置モデルと、前記マーカの配置モデルに対応付けられた前記溶接予定ラインとを格納しており、
前記制御部は、前記マーカ検出部で検出された前記マーカの付与位置と、前記記憶部に格納されている前記マーカの配置モデルとを比較し、比較結果に基づいて、前記マーカ検出部で検出された前記マーカの付与位置に対応する溶接予定ラインを設定する、レーザ溶接装置。
【請求項12】
前記マーカの付与位置を決定する貫通孔を有すると共に、前記ワークに配置される治具を更に備える、請求項7~11のいずれか一項に記載のレーザ溶接装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ溶接方法及びレーザ溶接装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ワークのレーザ溶接を自動で行う溶接装置がある(例えば特許文献1)。自動の溶接装置では、溶接の始点から終点までのライン(溶接予定ライン)を検出し、溶接ヘッドを溶接予定ラインに倣わせることが重要となる。溶接予定ラインの検出としては、例えばワークに直接プローブを接触させる接触方式と、光を用いて非接触で検出を行う光学方式とが挙げられる。上述した特許文献1には、ワークに参照光を照射し、ワークからの反射光に基づいて溶接予定ラインの検出が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平5-69133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
接触方式では、溶接予定ラインを検出可能な領域がプローブの可動域に制限される。このため、ワークの配置ずれ等に起因して溶接予定ラインがプローブの可動域から外れてしまうと溶接予定ラインの検出ができなくなるおそれがある。この問題は、小型のワークでは生じにくいが、鉄道車両構体などのように大型のワークの溶接が必要な場面では特に顕著となる。
【0005】
光学方式では、一般に、機械方式に比べて広範囲の検出が可能である。しかしながら、光学方式では、ワーク自体の光の反射率や散乱が大きすぎる場合、十分な検出精度が確保されにくいという問題がある。
【0006】
本発明は、大型のワークに対して、簡便且つ精度の良いレーザ溶接を実現できるレーザ溶接方法及びレーザ溶接装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面に係るレーザ溶接方法は、鉄道車両構体を構成するワークに参照光を照射して溶接予定ラインを設定し、設定された溶接予定ラインに沿って溶接を行うレーザ溶接方法であって、ワークに比べて参照光に対する反射率及び散乱の少なくとも一方が小さいマーカをワークに付与する付与工程と、ワークに向けて参照光を照射し、当該参照光の反射光に基づいてマーカの付与位置を検出するマーカ検出工程と、マーカ検出工程で検出されたマーカの付与位置に基づいて設定された溶接予定ラインに沿って、溶接用のレーザビームを照射する溶接作業工程と、を備える。
【0008】
上記レーザ溶接方法では、ワークに比べて参照光に対する反射率及び散乱の少なくとも一方が小さいマーカをワークに付与する。このため、例えば、ワークの参照光に対する反射率が大きすぎる場合、又は、ワークの表面形状に起因して参照光が散乱する場合にも、マーカの付与位置に基づいて溶接予定ラインを設定できる。したがって、大型のワークに対しても、ワークの表面の状態に依らずに、簡便且つ精度良くレーザ溶接を実現できる。
【0009】
溶接作業工程では、マーカの付与位置に対して予め決められた位置関係にある溶接予定ラインに基づいて、溶接用のレーザビームを照射してもよい。この場合、マーカの付与位置を検出することで、より簡便に溶接予定ラインを設定できる。
【0010】
溶接作業工程では、マーカ検出工程で検出されたマーカの付与位置と、溶接予定ラインに予め対応付けられたマーカの配置モデルとを比較し、比較結果に応じて設定された、マーカ検出工程で検出されたマーカの付与位置に対応する溶接予定ラインに基づいて、溶接用のレーザビームを照射してもよい。この場合、マーカの付与位置を検出することで、より簡便にレーザ溶接を実現できる。
【0011】
マーカ検出工程で検出されたマーカの付与位置に基づいてプローブの可動範囲を設定し、ワークに前記プローブを接触させてワークの配置を検出する接触検出工程を更に備え、溶接作業工程では、接触検出工程で検出されたワークの配置に応じて設定された溶接予定ラインに沿って、溶接用のレーザビームを照射してもよい。この場合、プローブの接触によって、より精度良くレーザ溶接を実現できる。
【0012】
マーカ検出工程では、プローブの可動範囲よりも広い範囲において、マーカの付与位置を検出してもよい。この場合、大型のワークに対して、より適切にプローブをワークに接触させることができる。
【0013】
付与工程では、貫通孔を有する治具をワークに配置し、貫通孔から露出するワークの露出部分にマーカを付与してもよい。この場合、ワークに対してマーカを精度良く配置することができる。このため、より精度良くレーザ溶接を実現できる。
【0014】
本発明の別側面に係るレーザ溶接装置は、鉄道車両構体を構成するワークに向けて参照光を照射する照射部と参照光の反射光を検出する光検出部とを有し、光検出部の検出結果に基づいて、ワークに付与され且つワークに比べて参照光に対する反射率及び散乱の少なくとも一方が小さい複数のマーカの付与位置を検出するマーカ検出部と、マーカ検出部によって検出されたマーカの付与位置に基づいて、溶接用のレーザビームを照射する溶接予定ラインを設定する制御部と、を備える。
【0015】
上記レーザ溶接装置では、ワークに比べて参照光に対する反射率及び散乱の少なくとも一方が小さいマーカの付与位置を検出するマーカ検出部を備える。さらに、当該レーザ溶接装置は、マーカ検出部によって検出されたマーカの付与位置に基づいて、溶接用のレーザビームを照射する溶接予定ラインを設定する。このため、例えば、ワークの参照光に対する反射率が大きすぎる場合、又は、ワークの表面形状に起因して参照光が散乱する場合にも、マーカの付与位置に基づいて溶接予定ラインを設定できる。したがって、大型のワークに対しても、ワークの表面の状態に依らずに、簡便且つ精度良くレーザ溶接を実現できる。
【0016】
マーカの付与位置と溶接予定ラインとの位置関係に関する情報を予め格納している記憶部を更に備え、制御部は、マーカ検出部で検出されたマーカの付与位置と、記憶部に格納されている上記情報とに基づいて、溶接予定ラインを設定してもよい。この場合、マーカの付与位置を検出することで、より簡便に溶接予定ラインを設定できる。
【0017】
記憶部は、予め決定されたマーカの配置モデルと、マーカの配置モデルに対応付けられた溶接予定ラインとを格納しており、制御部は、マーカ検出部で検出されたマーカの付与位置と、記憶部に格納されているマーカの配置モデルとを比較し、比較結果に基づいて、マーカ検出部で検出されたマーカの付与位置に対応する溶接予定ラインを設定してもよい。この場合、マーカの付与位置を検出することで、より簡便にレーザ溶接を実現できる。
【0018】
ワークにプローブを接触させることでワークの配置を検出する接触検出部を更に備え、制御部は、マーカ検出部で検出されたマーカの付与位置に基づいてプローブの可動範囲を制御し、マーカ検出部の検出結果と接触検出部の検出結果とに基づいて、溶接予定ラインを設定してもよい。この場合、プローブの接触によって、より精度良くレーザ溶接を実現できる。
【0019】
マーカ検出部は、プローブの可動範囲よりも広い範囲において、マーカの付与位置を検出してもよい。この場合、大型のワークに対して、より適切にプローブをワークに接触させることができる。
【0020】
マーカの付与位置を決定する貫通孔を有すると共に、ワークに配置される治具を更に備えてもよい。この場合、ワークに対してマーカを精度良く配置することができる。このため、より精度良くレーザ溶接を実現できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、大型のワークに対して、簡便且つ精度の良いレーザ溶接を実現できるレーザ溶接方法及びレーザ溶接装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本実施形態に係るレーザ溶接装置の概略図である。
図2】レーザ溶接装置のブロック図である。
図3】マーカの配置モデルと配置モデルに対応する溶接予定ラインとを示す概念図である。
図4】マーカ検出部の検出結果の一例を示す概念図である。
図5】複数のマーカと記憶部に格納された情報との比較の一例を示す概念図である。
図6】治具を説明するための図である。
図7】レーザ溶接方法を示すフローチャートである。
図8】溶接工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態が詳細に説明される。図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号が用いられ、重複する説明は省略される。
【0024】
図1及び図2を参照して、本実施形態に係るレーザ溶接装置について説明する。図1は、本実施形態に係るレーザ溶接装置の概略図である。図2は、レーザ溶接装置のブロック図である。
【0025】
レーザ溶接装置1は、ワーク10に参照光を照射して溶接予定ラインを設定し、設定された溶接予定ラインに沿って溶接を行う。図1に示されているように、レーザ溶接装置1は、マーカ検出部2と、接触検出部3と、溶接作業部4と、制御部5とを備えている。マーカ検出部2は、ワーク10に付与されたマーカ13を光学的に検出する。接触検出部3は、ワーク10に物理的に接触して溶接予定ラインを検出する。溶接作業部4は、設置された溶接予定ラインに沿って溶接作業を行う。制御部5は、マーカ検出部2、接触検出部3、及び、溶接作業部4をそれぞれ制御する。
【0026】
ワーク10は、鉄道車両構体を構成する部材であり、比較的大型である。ワーク10は、一対の金属板11,12を含んでいる。例えば、金属板11は、例えば、側構体を構成する外板であり、金属板12はドアフレームである。一対の金属板11,12は、例えば、ステンレス鋼又はアルミニウム合金からなる。本実施形態では、一対の金属板11,12の表面は、デザイン加工が施されている。例えば、一対の金属板11,12の表面には、凹凸加工又は所定方向にキズを付けたツヤ消し加工などが施されている。
【0027】
レーザ溶接装置1は、一対の金属板11,12をレーザビームによって溶接する。本実施形態では、ワーク10は一対の金属板11,12を重ね合わせることによって構成されており、一対の金属板11,12の端部によって段差部15が形成されている。本実施形態では、レーザ溶接装置1は、段差部15に対して、いわゆる重ね隅肉溶接を行う。
【0028】
マーカ検出部2は、ワーク10に付与されたマーカ13を検出する。図1及び図2に示されているように、マーカ検出部2は、照射部6と光検出部7とを有する。照射部6は、ワーク10に向けて参照光L1を照射する。照射部6が参照光L1を照射する範囲は、少なくとも接触検出部3が検出する範囲よりも広い。光検出部7は、ワーク10における参照光L1の反射光L2を検出する。光検出部7が検出する範囲は、少なくとも接触検出部3が検出する範囲よりも広い。
【0029】
マーカ検出部2は、照射部6によってワーク10に参照光L1を照射し、光検出部7によって検出された反射光L2に基づいてマーカ13の付与位置を検出する。本実施形態では、マーカ検出部2は、照射部6及び光検出部7によってラインスキャンを行う。具体的には、マーカ検出部2は、照射部6からライン状の参照光L1を照射した状態で、照射部6を光検出部7と共に、ワーク10に沿った方向に移動させる。これによって、マーカ検出部2は、ライン状の参照光L1の幅に応じた範囲の反射光L2を、逐次、光検出部7によって検出する。マーカ検出部2は、照射部6からワーク10に参照光L1を照射した状態で、光検出部7によってワーク10の全体又は一部を一度に取得してもよい。
【0030】
マーカ検出部2と制御部5とは物理的に分離して構成されていてもよいし、マーカ検出部2の一部が制御部5によって構成されていてもよい。例えば、光検出部7で検出された反射光L2に基づいて、制御部5がマーカ13の付与位置を検出してもよい。
【0031】
マーカ13は、ワーク10に比べて、参照光L1に対する反射率及び散乱の少なくとも一方が小さい。マーカ13は、参照光L1に対して適切な反射率及び散乱を有し、参照光L1の入射に応じて光検出部7でマーカ13の付与位置を特定可能な反射光L2を発する。本発明において「散乱」とは、ワーク10の表面形状に応じた拡散反射を意味する。「散乱が小さい」とは、拡散反射の程度が小さく正反射の程度が大きいことを意味する。本実施形態では、上述したようにワーク10にデザイン加工が施されており、ワーク10の表面において参照光L1に対する散乱がマーカ13よりも大きい。
【0032】
マーカ13は、金属板11,12の少なくとも一方に付与される。本実施形態では、マーカ13は、ワーク10の金属板11に対して剥離可能に付与されたシールである。マーカ13は、抹消可能に印刷又は描画された印であってもよい。本実施形態では、マーカ13は、円形状であり、マーカ13自体の向きを判別可能な模様が付されている。
【0033】
接触検出部3は、プローブ8を有する。接触検出部3は、ワーク10の段差部15にプローブ8を接触させることでワーク10の配置を検出する。本実施形態では、接触検出部3は、段差部15のうち、金属板11と金属板12との境界にプローブ8の先端を配置し、当該境界に沿ってプローブ8を摺動させる。接触検出部3は、プローブ8の先端位置の情報から金属板11と金属板12との境界の位置を検出する。本実施形態では、制御部5が、金属板11と金属板12との境界線上に溶接予定ラインを設定する。
【0034】
接触検出部3と制御部5とは物理的に分離して構成されていてもよいし、接触検出部3の一部が制御部5によって構成されていてもよい。例えば、プローブ8の先端位置の情報に基づいて、制御部5が溶接予定ラインを検出してもよい。
【0035】
溶接作業部4は、制御部5からの指示に応じて、溶接用のレーザビームL3をワーク10に照射する。溶接作業部4から照射されたレーザビームL3によって、金属板11と金属板12とが溶接される。溶接作業部4は、レーザビームL3をワーク10に照射した状態で、制御部5からの指示に応じて、溶接予定ラインに沿って移動する。この結果、溶接作業部4から照射されたレーザビームL3は溶接予定ラインに沿って移動し、溶接予定ラインに沿った溶接が行われる。
【0036】
制御部5は、マーカ検出部2の検出結果と接触検出部3の検出結果とに基づいて溶接予定ラインを設定し、設定された溶接予定ラインに応じて、溶接作業部4にレーザ溶接を指示する。本実施形態では、制御部5は、マーカ検出部2におけるマーカ13の付与位置の検出結果に基づいて溶接予定ラインを設定し、当該溶接予定ラインに応じて接触検出部3のプローブ8の可動範囲を制御する。制御部5は、接触検出部3におけるワーク10の配置の検出結果に基づいて溶接予定ラインを再び設定し、当該溶接予定ラインに沿って溶接作業部4にレーザビームL3を照射させる。なお、本発明において、「設定」には、修正の意味も含まれる。
【0037】
本実施形態の変形例として、制御部5は、マーカ検出部2の検出結果から溶接予定ラインを設定せずに、マーカ検出部2の検出結果に基づいてプローブ8の可動範囲を設定してもよい。この場合、制御部5は、設定されたプローブ8の可動範囲に基づいて、接触検出部3のプローブ8を動作させる。
【0038】
図2に示されているように、制御部5は、記憶部21と、溶接予定ライン設定部22と、指示部23とを有する。記憶部21は、マーカ13の付与位置と溶接予定ラインとの位置関係に関する情報を予め格納している。本実施形態では、記憶部21は、予め決定されたマーカ13の配置モデルと、マーカ13の配置モデルに対応付けられた溶接予定ラインとを格納している。図3は、記憶部21に格納されているマーカ13の配置モデル31と、当該配置モデル31に対応する溶接予定ライン32とを示す概念図である。例えば、記憶部21は、配置モデル31のマーカ13の位置に対応して溶接予定ライン32の位置を格納している。すなわち、配置モデル31は、溶接予定ライン32に予め対応付けられている。記憶部21は、複数の配置モデル31と、それぞれに対応付けた溶接予定ライン32とを格納していてもよい。
【0039】
溶接予定ライン設定部22は、マーカ検出部2によって検出されたマーカ13の付与位置と、記憶部21に格納されている上記位置関係に関する情報とに基づいてレーザビームL3を照射する溶接予定ラインを設定する。本実施形態では、溶接予定ライン設定部22は、マーカ検出部2で検出されたマーカ13の付与位置と、記憶部21に格納されているマーカ13の配置モデルとを比較する。溶接予定ライン設定部22は、当該比較結果に基づいて、マーカ検出部2で検出されたマーカ13の付与位置に対応する溶接予定ラインを設定する。溶接予定ライン設定部22は、更に、接触検出部3におけるワーク10の配置の検出結果に基づいて溶接予定ラインを再設定する。
【0040】
図3から図5を参照して、溶接予定ライン設定部22における、マーカ13の付与位置とマーカ13の配置モデルとの比較による溶接予定ラインの設定の一例を説明する。図3は、上述したように、記憶部21に格納されているマーカ13の配置モデル31と、当該配置モデル31に対応付けられた溶接予定ライン32とを示す概念図である。図4は、本実施形態においてマーカ検出部2で検出された複数のマーカ13を示している。本実施形態では、マーカ検出部2は、予め決められた溶接範囲について複数のマーカ13を一度に検出する。図5は、マーカ検出部2で検出された複数のマーカ13と記憶部21に格納された情報との比較の一例を示す概念図である。
【0041】
本実施形態では、溶接予定ライン設定部22は、図3に示されている配置モデル31及び当該配置モデル31に対応する溶接予定ライン32の情報と、図4に示されている各マーカ13の付与位置の情報とを取得する。溶接予定ライン設定部22は、図5に示されているように、上記溶接範囲においてマーカ検出部2で検出された複数のマーカ13と配置モデル31とを比較し、当該複数のマーカ13と配置モデル31とが重なる場合の配置モデル31の配置を演算する。
【0042】
この際、溶接予定ライン設定部22は、演算された配置モデル31の配置に応じて、当該配置モデル31に対応付けられている溶接予定ライン32の配置を演算する。このように、溶接予定ライン設定部22は、マーカ検出部2で検出された複数のマーカ13の付与位置に基づいて、溶接予定ライン32の配置を演算する。このように、溶接予定ライン設定部22は、マーカ検出部2の検出結果に基づいて溶接予定ラインを設定する。
【0043】
溶接予定ライン設定部22は、記憶部21に格納されている複数の配置モデルから、マーカ検出部2によって検出されたマーカ13の付与位置に最も近い配置モデルを選択してもよい。この場合、溶接予定ライン設定部22は、選択された配置モデルと、マーカ検出部2で検出されたマーカ13の付与位置との比較結果に基づいて、溶接予定ラインを設定してもよい。
【0044】
指示部23は、マーカ検出部2、接触検出部3、及び溶接作業部4の動作を指示する。指示部23は、溶接予定ライン設定部22において最終的に設定された溶接予定ラインに沿って、溶接作業部4にレーザビームL3を照射させる。
【0045】
本実施形態では、指示部23は、マーカ検出部2の検出結果に基づいて溶接予定ラインが設定されると、当該溶接予定ラインにプローブ8を移動させる。具体的には、指示部23は、マーカ検出部2の検出結果に基づいて、段差部15がプローブ8の可動範囲に含まれるようにプローブ8を移動させる。指示部23は、接触検出部3の検出結果に基づいて再設定された溶接予定ラインに沿って、溶接作業部4にレーザビームL3を照射させる。
【0046】
本実施形態では、指示部23は、予め決められた溶接範囲についてマーカ検出部2の照射部6に参照光L1を照射させた後に、接触検出部3にワーク10の配置を検出させる。指示部23は、上記溶接範囲において金属板11と金属板12との境界に対してプローブ8を摺動させた後に、溶接作業部4にレーザビームL3を照射させる。レーザ溶接装置1において、マーカ検出部2、接触検出部3、及び溶接作業部4の動作のタイミングは、これに限定されない。
【0047】
例えば、指示部23は、照射部6に参照光L1を照射させている間に、参照光L1の照射に追従するようにプローブ8を摺動させてもよい。この場合、溶接予定ライン設定部22は、上記溶接範囲の全体について溶接予定ラインをマーカ検出部2の検出結果に基づいて逐次、再設定してもよいし、上記溶接範囲を分割した分割範囲ごとにそれぞれの分割範囲に対応する溶接予定ラインを設定してもよい。
【0048】
また、例えば、指示部23は、プローブ8を摺動させている間に、プローブ8の摺動に追従するようにレーザビームL3を照射させてもよい。この場合、溶接予定ライン設定部22は、上記溶接範囲の全体について溶接予定ラインを接触検出部3の検出結果に基づいて逐次、再設定してもよいし、上記溶接範囲を分割した分割範囲ごとにそれぞれの分割範囲に対応する溶接予定ラインを再設定してもよい。
【0049】
図6に示されているように、レーザ溶接装置1は、更に、マーカ13の付与位置を決定する治具30を備えていてもよい。治具30は、板形状を有している。治具30には、所定間隔で設けられた複数の貫通孔30aを有している。複数の貫通孔30aは、マーカ13の付与位置を決定する。
【0050】
治具30は、ワーク10に配置される。本実施形態では、治具30は、金属板11の上に、金属板11の縁に沿って配置される。ワーク10に配置された治具30の貫通孔30aを通して、ワーク10にマーカ13を付与することで、ワーク10に対するマーカ13が位置決めされる。治具30は、手作業によってワーク10に対して位置決めされてもよいし、制御部5によって位置決め制御されてもよい。
【0051】
次に、図1及び図6から図8を参照して、本実施形態に係るレーザ溶接方法について説明する。図7及び図8は、レーザ溶接方法を示すフローチャートである。図7に示されているように、レーザ溶接方法は、準備工程S1と、溶接工程S2とを備える。
【0052】
準備工程S1では、図6に示されているように、金属板11と金属板12とを重ね合わせ、治具30を金属板11に配置し、貫通孔30aから露出する金属板11の露出部分に複数のマーカ13を付与する。マーカ13を付与する付与工程は、金属板11と金属板12とを重ね合わせる前に行われてもよい。マーカ13は、ワーク10に比べて参照光に対する反射率及び散乱の少なくとも一方が小さい。溶接工程S2では、制御部5が、溶接予定ラインを設定し、設定された溶接予定ラインに沿ってレーザビームL3を溶接作業部4に照射させる。これによって、金属板11と金属板12とに対して、重ね隅肉溶接が行われる。
【0053】
本実施形態では、溶接工程S2は、図8に示されているように、マーカ検出工程S21と、接触検出工程S22と、溶接作業工程S23とを含んでいる。マーカ検出工程S21と、接触検出工程S22と、溶接作業工程S23とによって、溶接予定ラインが設定される。
【0054】
まず、マーカ検出工程S21において、制御部5の指示部23は、マーカ検出部2に、図1に示されているように、ワーク10に向けて参照光L1を照射し、参照光L1の反射光L2を検出させ、検出された反射光L2に基づいてマーカ13の付与位置を検出させる。参照光L1が照射される範囲、及び、反射光L2が検出される範囲は、少なくともプローブ8の可動範囲よりも広い。本実施形態では、図4に示されているように、予め決められた溶接範囲について複数のマーカ13を一度に検出する。
【0055】
続いて、接触検出工程S22において、制御部5は、マーカ検出工程S21で検出されたマーカ13の付与位置に基づいてプローブ8の可動範囲を設定し、接触検出部3に、プローブ8をワーク10に接触させることでワーク10の配置を検出させる。本実施形態では、制御部5が、溶接予定ライン設定部22においてマーカ検出部2におけるマーカ13の付与位置の検出結果に基づいて溶接予定ラインを設定し、当該溶接予定ラインに応じて接触検出部3のプローブ8の可動範囲を制御する。この際、制御部5は、例えば、マーカの付与位置に対して予め決められた位置関係にある溶接予定ラインを設定する。
【0056】
例えば、制御部5は、上述したように、記憶部21に、予め決定されたマーカ13の配置モデル31と、マーカ13の配置モデルと予め対応付けられている溶接予定ライン32とを格納している。制御部5は、マーカ検出工程S21で検出されたマーカ13の付与位置と、溶接予定ライン32に予め対応付けられたマーカ13の配置モデル31とを比較する。制御部5の溶接予定ライン設定部22は、比較結果に応じて、マーカ検出工程S21で検出されたマーカ13の付与位置に対応する溶接予定ラインを設定する。
【0057】
制御部5の指示部23は、接触検出部3に、マーカ検出部2の検出結果に基づいて設定された溶接予定ラインにプローブ8を移動させる。制御部5の指示部23は、接触検出部3にワーク10の段差部15にプローブ8を接触させることでワーク10の配置を検出させる。
【0058】
続いて、溶接作業工程S23において、制御部5の溶接予定ライン設定部22は、接触検出部3の検出結果に基づいて溶接予定ラインを設定する。制御部5の指示部23は、設定された溶接予定ラインに沿って、溶接作業部4に溶接用のレーザビームL3を照射させる。
【0059】
本実施形態では、制御部5の指示部23は、接触検出工程S22で検出されたワーク10の配置に応じて設定された溶接予定ラインに沿って、溶接作業部4にレーザビームL3を照射させる。制御部5の指示部23は、接触検出部3の検出結果を用いずに、マーカ検出部2におけるマーカ13の付与位置の検出結果に基づいて設定された溶接予定ラインに沿って溶接用のレーザビームL3を溶接作業部4に照射させてもよい。以上により、ワーク10に対してレーザ溶接が行われる。
【0060】
本実施形態では、溶接工程S2において、マーカ検出工程S21と、接触検出工程S22と、溶接作業工程S23とが別々に一回ずつ行われる。しかし、溶接工程S2において、マーカ検出工程S21と、接触検出工程S22と、溶接作業工程S23とが並列して行われてもよい。この場合、図8に示されているフローは、溶接範囲を分割した分割範囲ごとに行われる。例えば、マーカ検出部2の照射部6及び光検出部7に追従して接触検出部3のプローブ8が摺動する場合、第1の分割範囲で接触検出工程S22が行われている間に、第1の分割範囲に隣接する第2の分割範囲でマーカ検出工程S21が行われてもよい。同様に、例えば、プローブ8の摺動に追従してレーザビームL3が照射される場合、第1の分割範囲で溶接作業工程S23が行われている間に、第1の分割範囲に隣接する第2の分割範囲で接触検出工程S22が行われてもよい。
【0061】
次に、上述したレーザ溶接方法及びレーザ溶接装置1の作用効果について説明する。上述したレーザ溶接方法では、ワーク10に比べて参照光L1に対する反射率及び散乱の少なくとも一方が小さいマーカ13をワーク10に付与する。レーザ溶接装置1は、マーカ13の付与位置を検出するマーカ検出部2を備える。このため、例えば、ワーク10の参照光L1に対する反射率が大きすぎる場合、又は、ワーク10の表面形状に起因して参照光L1が散乱する場合にも、マーカ13の付与位置に基づいて溶接予定ラインを設定できる。したがって、ワーク10が大型であっても、ワーク10の表面の状態に依らずに、簡便且つ精度良くレーザ溶接を実現できる。
【0062】
記憶部21は、マーカ13の付与位置と溶接予定ラインとの位置関係に関する情報を予め格納している。溶接作業工程S23では、制御部5の指示部23が、マーカ13の付与位置に対して予め決められた位置関係にある溶接予定ラインに基づいて、溶接作業部4に溶接用のレーザビームL3を照射させる。この場合、マーカ13の付与位置を検出することで、より簡便に溶接予定ラインを設定できる。
【0063】
記憶部21は、予め決定されたマーカ13の配置モデルと、マーカ13の配置モデル31に対応付けられた溶接予定ラインとを格納している。制御部5は、マーカ検出部2で検出されたマーカ13の付与位置と、記憶部21に格納されているマーカ13の配置モデル31とを比較する。制御部5の溶接予定ライン設定部22は、比較結果に応じて、マーカ検出部2で検出されたマーカ13の付与位置に対応する溶接予定ラインを設定する。溶接作業工程S23では、制御部5の指示部23が、当該比較結果に応じて設定された溶接予定ラインに基づいて、溶接作業部4に溶接用のレーザビームL3を照射させる。この場合、マーカ13の付与位置を検出することで、より簡便にレーザ溶接を行うことができる。
【0064】
接触検出工程S22では、接触検出部3が、ワーク10にプローブ8を接触させることでワーク10の配置を検出する。制御部5は、マーカ検出部2で検出されたマーカ13の付与位置に基づいてプローブの可動範囲を制御する。溶接作業工程S23では、溶接予定ライン設定部22が、マーカ検出部2の検出結果と接触検出部3の検出結果とに基づいて、溶接予定ラインを設定する。溶接作業工程S23では、指示部23が、検出されたワーク10の配置に応じて設定された溶接予定ラインに沿って、溶接用のレーザビームL3を照射する。この場合、プローブの接触によって、より精度良く溶接予定ラインを設定できる。
【0065】
マーカ検出工程S21では、マーカ検出部2が、プローブ8の可動範囲よりも広い範囲において、マーカの付与位置を検出する。この場合、ワーク10が大型であっても、より適切にプローブ8をワーク10に接触させることができる。
【0066】
治具30は、マーカ13の付与位置を決定する貫通孔30aを有する。治具30は、ワーク10に配置される。付与工程では、貫通孔30aを有する治具30をワーク10に配置し、貫通孔30aから露出するワーク10の露出部分にマーカ13を付与する。この場合、ワーク10に対してマーカ13を精度良く配置することができる。このため、溶接予定ラインをより精度良く設定できる。
【0067】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0068】
例えば、本実施形態では、制御部5は、マーカ検出部2で検出されたマーカ13の付与位置と、予め格納されたマーカ13の配置モデルとの比較結果に基づいて、溶接予定ラインを設定した。しかし、制御部5は、マーカ13の配置モデルを用いずに、マーカ検出部2の検出結果から溶接予定ラインを設定してもよい。例えば、制御部5は、マーカ検出部2で検出された複数のマーカ13の付与位置から当該複数のマーカ13の付与位置の近似曲線を演算し、当該近似曲線に対応する線上に溶接予定ラインを設定してもよい。この場合、演算された近似曲線を予め決められた距離及び方向にずらした線上に、溶接予定ラインを設定してもよい。この場合、制御部5は、マーカ検出部2におけるマーカ13の検出に応じて、逐次、上記近似曲線を演算し、溶接予定ラインを設定してもよい。
【0069】
本実施形態では、溶接作業部4がレーザ溶接装置1に含まれているが、レーザ溶接装置1は溶接作業部4を含まなくてもよい。すなわち、レーザ溶接装置1は、溶接予定ラインン検出装置として機能してもよい。レーザ溶接装置1の外部に、レーザ溶接用のレーザビームL3を照射する溶接作業部が設けられ、当該外部の溶接作業部を制御部5が制御してもよい。
【符号の説明】
【0070】
1…レーザ溶接装置、2…マーカ検出部、3…接触検出部、4…溶接作業部、5…制御部、6…照射部、7…光検出部、8…プローブ、10…ワーク、13…マーカ、21…記憶部、22…溶接予定ライン設定部、23…指示部、31…配置モデル、32…溶接予定ライン、L1…参照光、L2…反射光、L3…レーザビーム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8