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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-31
(45)【発行日】2023-06-08
(54)【発明の名称】点検口
(51)【国際特許分類】
   E04F 19/08 20060101AFI20230601BHJP
【FI】
E04F19/08 101K
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019078220
(22)【出願日】2019-04-17
(65)【公開番号】P2020176412
(43)【公開日】2020-10-29
【審査請求日】2022-03-01
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 展示会名 建築・建材展2019 開催日 平成31年3月5日~平成31年3月8日 開催場所 東京国際展示場東展示棟(東京都江東区有明三丁目10番1号) [刊行物等]展示会名 第41回ジャパン建材フェア 開催日 平成31年3月15日~平成31年3月16日 開催場所 東京国際展示場西展示棟(東京都江東区有明三丁目11番1号)
(73)【特許権者】
【識別番号】000133319
【氏名又は名称】株式会社ダイケン
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤川 克信
(72)【発明者】
【氏名】穴田 佳子
【審査官】吉村 庄太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-105525(JP,A)
【文献】特開2015-200100(JP,A)
【文献】特開2018-204369(JP,A)
【文献】特開平08-184242(JP,A)
【文献】米国特許第04998381(US,A)
【文献】実開昭55-074347(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 19/08
A47K 3/02
B66B 9/00- 9/193
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内側空間と室外側空間とを連通する開口部に臨む箇所に固定される外枠と、この外枠内に開閉自在に設けられる内枠と、を備えた点検口であって、
外枠に係合して内枠を閉姿勢にロックするロック位置と、外枠に係合せず内枠を開けることが可能なロック解除位置とにわたって、スライド自在のロック体が、内枠に、この内枠を構成する枠材の長手方向に沿って移動自在に取り付けられ、
このロック体に、室内側空間に露出して操作可能な操作部が設けられ、
内枠における室内側空間に露出可能な箇所にスリットが形成され、
ロック体がロック位置にある場合に、ロック体の操作部によりスリットを覆ってスリットが室内側空間に露出しないよう構成され
ロック体がロック位置にない場合には、ロック体の操作部がスリットを覆わないことでスリットが室内側空間に露出するように構成されている
ことを特徴とする点検口。
【請求項2】
ロック体の操作部が、内枠に設けられている前記スリットを通して室内側空間に突出されていることを特徴とする請求項1に記載の点検口。
【請求項3】
ロック体の操作部の厚みが、内枠の室内側空間に露出する箇所の厚みに合わせて設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の点検口。
【請求項4】
室内側空間と室外側空間とを連通する開口部に臨む箇所に固定される外枠と、この外枠内に開閉自在に設けられる内枠と、を備えた点検口であって、
内枠に係合して内枠を閉姿勢にロックするロック位置と、内枠に係合せず内枠を開けることが可能なロック解除位置とにわたって、スライド自在のロック体が、外枠に、この外枠を構成する枠材の長手方向に沿って移動自在に設けられ、
このロック体に、室内側空間に露出して操作可能な操作部が設けられ、
外枠における室内側空間に露出可能な箇所にスリットが形成され、
ロック体がロック位置にある場合に、ロック体の操作部によりスリットを覆ってスリットが室内側空間に露出しないよう構成され
ロック体がロック位置にない場合には、ロック体の操作部がスリットを覆わないことでスリットが室内側空間に露出するように構成されている
ことを特徴とする点検口。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井点検口などの点検口に関する。
【背景技術】
【0002】
室内側空間と室外側空間とを連通する開口部に臨む箇所に外枠が固定され、この外枠内に内枠が開閉自在に設けられている、天井点検口などの点検口は広く知られている。また、この種の点検口において、内枠を閉状態にロックするロック位置と、内枠を開可能状態にするロック解除位置と、にわたって移動するロック体が、内枠や外枠を構成する枠材の長手方向に沿ってスライド自在に構成された、いわゆるスライド式のロック体を有する構成も、例えば特許文献1等に開示されているように、既に知られている。
【0003】
この特許文献1に開示されている従来の点検口では、図15図16に示すように、内枠81にスライド自在にロック体82が取り付けられ、ロック体82の操作部82aの一部にロック判別用の貫通孔82bが形成されている。そして、点検口の内枠81を閉じた状態においてロック体82がロック位置である場合には、図16に示すように、貫通孔82bを通して、外枠83の折り返し片(ロック受け部)83aを視認できるよう構成されている。一方、ロック体82がロック解除位置(または、ロック解除位置に寄った位置)である場合には、外枠83に切欠かれたロック逃がし部(判別空間部)84を通して、暗い室外側空間91しか見えないように構成されている。
【0004】
この構成によれば、点検口の内枠81を閉じた状態においてロック判別用の貫通孔82b内を覗くことで、ロック体82が完全にロック位置までスライドされているかどうかを確認可能である。
【0005】
なお、ロック体82は、外枠83と内枠81との間の隙間93を通して、室内側空間92と室外側空間91とにわたって上下に延びる姿勢で設けられている。また、ロック体82の操作部82aは室内側空間92に露出して設けられているが、この操作部82aは、内枠81と、外枠83と、これらの間の隙間93とにわたって、その長手方向だけでなく、厚み方向(長手方向に対して横に直交する方向)に大きな寸法で形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2015-200100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように、特許文献1等に開示されている従来の点検口の構成では、ロック体82の操作部82aに形成された貫通孔82bを通して、貫通孔82bより奥まった箇所の様子を視認することで、ロック状態を確認できる。しかしながら、貫通孔82bは、ロック体82の操作部82aで囲まれているとともに奥まった位置であるため、貫通孔82bの内部が暗くて確認し難い場合が多くなる。特に、貫通孔82b内の一部だけ、外枠83の折り返し片(ロック受け部)83aがあるような、不完全なロック状態(いわゆる半ロック位置)である場合には、貫通孔82bを覗いて、このような不完全なロック状態(いわゆる半ロック位置)であることを認識することが非常に困難となる恐れがある。
【0008】
本発明は上記課題を解決するもので、いわゆるスライド式のロック体を有する構成において、ロック状態を容易かつ確実に確認することができる点検口を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、室内側空間と室外側空間とを連通する開口部に臨む箇所に固定される外枠と、この外枠内に開閉自在に設けられる内枠と、を備えた点検口であって、外枠に係合して内枠を閉姿勢にロックするロック位置と、外枠に係合せず内枠を開けることが可能なロック解除位置とにわたって、スライド自在のロック体が、内枠に、この内枠を構成する枠材の長手方向に沿って移動自在に取り付けられ、このロック体に、室内側空間に露出して操作可能な操作部が設けられ、内枠における室内側空間に露出可能な箇所にスリットが形成され、ロック体がロック位置にある場合に、ロック体の操作部によりスリットを覆ってスリットが室内側空間に露出しないよう構成され、ロック体がロック位置にない場合には、ロック体の操作部がスリットを覆わないことでスリットが室内側空間に露出するように構成されていることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、スリットが、内枠における室内側空間に露出可能な箇所に形成されているので、ロック体の操作部によりスリットが覆われない限り、室内の光がスリットに良好に到達してスリットを明るい状態で良好に視認することができる。すなわち、点検口が閉じられている状態であるにもかかわらず、スリットが室内側空間に露出している場合には、暗くて視認し難いなどの不具合を発生することなく、スリットを容易かつ確実に確認することができ、ロック体がロック位置まで移動されていないこと(いわゆる半ロック状態であること)を、容易かつ確実に認識することができる。また、点検口を閉じて操作部をスライドさせた際に、完全なロック位置まで移動できたことを容易かつ確実に視認できる。
【0011】
また、本発明は、ロック体の操作部が、内枠に設けられている前記スリットを通して室内側空間に突出されていることを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、従来のようにロック体の操作部が、内枠と外枠との間の隙間を通しては室外側空間から室内側空間に突出されておらず、内枠に設けた前記スリットを通して突出されているので、従来のようにロック体の操作部を通すために内枠と外枠との間の隙間を広げなくても済み、内枠と外枠との間の隙間を最小限に抑えることができる。したがって、内枠と外枠との間の隙間を目立ち難くすることができるとともに、室外側空間と室内側空間との間で隙間風などが出入りすることを最小限に抑えることができる。
【0013】
また、本発明は、ロック体の操作部の厚みが、内枠の室内側空間に露出する箇所の厚みに合わせて設けられていることを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、ロック体の操作部の厚みを内枠の室内側空間に露出する箇所の厚みよりも大きくした場合と比較して、ロック体の操作部を目立ち難い状態で配設できる。また、ロック体の操作部の厚みを内枠の室内に露出する箇所の厚みよりも小さくし過ぎると、操作部の剛性が低下するおそれがあるが、このような不具合を生じることを防止できる。さらに、ロック体の操作部を、内枠の室内側空間に露出する箇所の厚みに合わせて設けることにより、ロック体の操作部の厚み方向端部となる辺と内枠の厚み方向端部となる辺とを合わせることもできるため、この場合には、さらに、ロック体の操作部を目立ち難い状態で配置できる。
【0015】
また、本発明は、室内側空間と室外側空間とを連通する開口部に臨む箇所に固定される外枠と、この外枠内に開閉自在に設けられる内枠と、を備えた点検口であって、内枠に係合して内枠を閉姿勢にロックするロック位置と、内枠に係合せず内枠を開けることが可能なロック解除位置とにわたって、スライド自在のロック体が、外枠に、この外枠を構成する枠材の長手方向に沿って移動自在に設けられ、このロック体に、室内側空間に露出して操作可能な操作部が設けられ、外枠における室内側空間に露出可能な箇所にスリットが形成され、ロック体がロック位置にある場合に、ロック体の操作部によりスリットを覆ってスリットが室内側空間に露出しないよう構成され、ロック体がロック位置にない場合には、ロック体の操作部がスリットを覆わないことでスリットが室内側空間に露出するように構成されていることを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、スリットが、外枠における室内側空間に露出可能な箇所に形成されているので、ロック体の操作部によりスリットが覆われない限り、室内の光がスリットに良好に到達してスリットを明るい状態で良好に視認することができる。すなわち、点検口が閉じられている状態であるにもかかわらず、スリットが室内側空間に露出している場合には、暗くて視認し難いなどの不具合を発生することなく、スリットを容易かつ確実に確認することができ、ロック体がロック位置まで移動されていないこと(いわゆる半ロック状態であること)を、容易かつ確実に認識することができる。また、点検口を閉じて操作部をスライドさせた際に、完全なロック位置まで移動できたことを容易かつ確実に視認できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、スライド自在のロック体を内枠に移動自在に取り付け、このロック体に、室内側空間に露出して操作可能な操作部を設け、内枠における室内側空間に露出可能な箇所にスリットを形成し、ロック体がロック位置にある場合に、ロック体の操作部によりスリットを覆ってスリットが室内側空間に露出しないよう構成し、ロック体がロック位置にない場合には、ロック体の操作部がスリットを覆わないことでスリットが室内側空間に露出するように構成することにより、ロック体の操作部によりスリットが覆われない限り、室内の光がスリットに良好に到達してスリットを明るい状態で良好に視認することができ、例え、ロック体がロック位置まで完全には移動されていない(いわゆる半ロック状態である)場合でも、この状況を容易かつ確実に認識することができ、ひいては点検口の信頼性を向上させることができる。また、点検口を閉じて操作部をスライドさせた際に、完全なロック位置まで移動できたことを容易かつ確実に視認でき、これによっても点検口の信頼性を向上させることができる。
【0018】
また、スライド自在のロック体を外枠に移動自在に取り付け、このロック体に、室内側空間に露出して操作可能な操作部を設け、外枠における室内側空間に露出可能な箇所にスリットを形成し、ロック体がロック位置にある場合に、ロック体の操作部によりスリットを覆ってスリットが室内側空間に露出しないよう構成し、ロック体がロック位置にない場合には、ロック体の操作部がスリットを覆わないことでスリットが室内側空間に露出するように構成することにより、ロック体の操作部によりスリットが覆われない限り、室内の光がスリットに良好に到達してスリットを明るい状態で良好に視認することができ、例え、ロック体がロック位置まで完全には移動されていない(いわゆる半ロック状態である)場合でも、この状況を容易かつ確実に認識することができ、ひいては点検口の信頼性を向上させることができる。また、点検口を閉じて操作部をスライドさせた際に、完全なロック位置まで移動できたことを容易かつ確実に視認でき、これによっても点検口の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施の形態に係る点検口の底面図である。
図2】同点検口のA-A線で切断した要部拡大縦断面図であり、内枠を閉め、外枠の外側に天井材を組み付け、内枠に閉鎖材を取り付けた状態を示す。
図3】同点検口の側面図で、内枠を開け始めた状態を示す。
図4】同点検口の正面図で、内枠を閉めた状態を示す。
図5】同点検口のロック体およびその近傍箇所を示す要部拡大底面図で、左側領域にロック体が閉鎖位置にある状態を示し、右側領域にロック体を開放側に移動した状態を示す。
図6図5のB-B線矢視縦断面図である。
図7図6の位置Cより矢視したロック体およびその近傍箇所の正面図であり、ロック体がロック位置にある状態を示す。
図8図6の位置Cより矢視したロック体およびその近傍箇所の正面図であり、ロック体がロック解除位置にある状態を示す。
図9図8のD-D線矢視縦断面図である。
図10図6の位置Eより矢視したロック受けおよびその近傍箇所の背面図である。
図11図10のE-E線矢視縦断面図である。
図12】第2ロック分割体を第1ロック分割体に組み付ける状態を示す斜視図である。
図13】ロック押えをロック体に組み付ける状態を示す斜視図である。
図14】ロック押えをロック体に組み付けた状態を示す斜視図である。
図15】従来の点検口の斜視図である。
図16】同従来の点検口の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る実施の形態の点検口を図面に基づき説明する。
図1図4などは本発明の実施の形態に係る点検口を示し、図1図2図4は内枠を閉めた状態を示し、図3は内枠を開ける途中の状態を示す。
【0021】
図1図4において、1は点検口であり、これらの図においては、点検口1が、天井に設けられる点検口(天井点検口)である場合を示している。図1図4に示すように、点検口1は、室内側空間2と室外側空間3とを連通する開口部4に臨む箇所(開口部4を囲む箇所)に固定される略四角枠形状の外枠5と、この外枠5内に開閉自在に設けられる略四角枠形状の内枠6と、を備えている。なお、図示しないが、外枠5は、吊り金具などの取付具を介して野縁などに取り付けられて支持されており、図2などに示すように、外枠5の外側には天井材7(7A、7B)などの壁面体をなす板材が組み付けられる。また、図2に示すように、内枠6の内側には、ねじ12などで取り付けられた取付材8などを介して、閉鎖材9(9A、9B)が取り付けられる。
【0022】
図3に示すように、内枠6は、ヒンジ体10を介して、外枠5に対して開閉自在に支持されている。なお、例えば、ヒンジ体10は外枠5に対して回転軸10aを介して回転できるだけでなく長溝などを介してスライド自在に構成すると好適であるが、この構造に限るものではなく、ヒンジ体10に設けられている回転軸10aなどを介して内枠6を開閉自在に支持できる構造であればよい。
【0023】
図2などに示すように、内枠6には、上下に延びて内側に取付材8が取り付けられる上縦板部6fと、上縦板部6fの上端部から外側に突出するとともに下側に湾曲する上屈曲片6aと、上縦板部6fの下端部から外側に突出するとともに上側に屈曲してスライド溝6dを形成する上屈曲片6bと、上縦板部6fの下端部から外側、すなわち外枠5に近接する方向に延びる横板部6gと、この横板部6gの外側端部から下方に延びて内側に閉鎖材9Bが当てられる下板部6hとなど、が設けられて一体形成されている。そして、内枠6は、閉鎖材9が組み付けられた状態では、ほぼ下板部6hの下端部だけが室内側空間2に露出されている。
【0024】
外枠5には、上下に延びて外側に天井材7(7A、7B)が組み付けられる縦板部5aと、縦板部5aの上端部から内側(内枠6側)に向けて延びる上横板部5bと、縦板部5aの下部寄り箇所から内側に突出するとともに上側に屈曲して溝5dが形成された屈曲片5cと、縦板部5aの下方から外側に突出して天井材7Bに下方から当てられる保持用突部5fとなど、が設けられて一体形成されている。そして、内枠6が閉じられた状態では、内枠6と外枠5とが近接して(詳しくは、内枠6の下板部6hと、外枠5の縦板部5aと保持用突部5fとの接続部分とが近接して)これらの間の隙間13が極めて小さい状態で配設される。外枠5は、天井材7(7A、7B)が組み付けられた状態では、ほぼ保持用突部5fだけが室内側空間2に露出されている。また、内枠6が閉じられる際には、内枠6の横板部6gと下板部6hとの接続部分が外枠5の屈曲片5cに下方から当接して、内枠6の閉鎖時の位置が規制される。
【0025】
図5図8などに示すように、内枠6には、この内枠6の長手方向a、bに沿ってスライド自在のロック体11が取り付けられている。ロック体11は、外枠5に係合して内枠6を閉姿勢にロックするロック位置(図5の左側領域および図6図7参照)と、外枠5に係合せず内枠6を開けることが可能なロック解除位置(図5の右側領域および図8図9参照)とにわたって、移動自在(スライド自在)とされている。なお、この実施の形態では、図6などに示すように、ロック体11の上端に設けられた上摺接部11bが内枠6の上屈曲片6aの下端部に摺接し、ロック体11の下側寄り箇所に設けられた下摺接部11dが内枠6の下屈曲片6dの上端部に摺接し、ロック体11の下側寄り箇所に突設されたスライド用凸部11cが内枠6のスライド溝6dに嵌り込んだ状態で、ロック体11が内枠6に沿って横方向(内枠6の長手方向)にスライド自在とされているが、この構造に限るものではない。
【0026】
また、この実施の形態では、ロック体11が内枠6から外れないように、外側からロック押え14が複数のリベットなどの固定部材15により内枠6に取り付けられ、このロック押え14と内枠6によって、ロック体11が挟まれた状態でスライド自在に保持されている。なお、ロック押え14には左右に延びる腕部14aが形成され、ロック体11がスライドされる際には、スライド位置の両端部で、ロック押え14の腕部14aに、ロック体11の上摺接部11bや下摺接部11dが上下に設けられている側端部11nにおけるその下部が当接されて、スライド範囲が規制される(決められる)。
【0027】
ここで、図5図9などに示すように、ロック体11には、室内側空間2に露出して操作可能な操作部11aが設けられている。また、内枠6における室内側空間2に露出可能な箇所にスリット(凹状溝部であり切欠部でもある)16が形成されている。そして、ロック体11がロック位置にある場合に、ロック体11の操作部11aによりスリット16を覆ってスリット16が室内側空間2に露出しないよう構成されている。この実施の形態では、ロック体11の操作部11aが、内枠6に設けられているスリット16を通して室内側空間2に突出されている。また、図6に示すように、ロック体11の操作部11aの厚み(内枠6の長手方向に直交する横方向に沿う寸法)tが、内枠6の室内側空間2に露出する箇所(下板部6hの下端面)の厚み(内枠6の長手方向に直交する横方向の寸法)tに合わせて設けられている。すなわち、ロック体11の操作部11aの厚みtと内枠6の室内側空間2に露出する箇所(下板部6hの下端面)の厚みとがほぼ同じとされている。
【0028】
また、外枠5の屈曲片5cおよび溝5dの、一部には、樹脂製などのロック受け17が取り付けられており、ロック体11には、ロック受け17に係合可能なロック部11fが設けられている。また、外枠5のロック受け17が取り付けられている箇所の近傍には屈曲片5cが切欠かれた切欠部18が設けられている。すなわち、内枠6を閉じた状態で、ロック体11の操作部11aを操作して、ロック体11をロック位置にスライドさせることで、図6に示すように、ロック部11fがロック受け17に係合して、内枠6が開くことを阻止されるロック状態となる。一方、内枠6を閉じた状態で、ロック体11の操作部11aを操作して、ロック体11をロック解除位置にスライドさせると、ロック部11fが、外枠5の切欠部18に対応する位置まで移動して、切欠部18を通り抜けることが可能となり、内枠6を開けることが許容される(ロック解除される)。
【0029】
なお、この実施の形態では、図12図14などに示すように、ロック体11が、第1ロック分割体11Aと第2ロック分割体11Bとを組み合わせて形成されている。第1ロック分割体11Aは、ロック部11fが、第1ロック分割体11Aの中央に設けられている分割体中央部11mから側方(内側)および下方に延びるように形成され、分割体中央部11mの左右に、下端にスライド用突部11cが設けられている柱部11jと、この柱部11jよりさらに左右に延びるアーム部11kなどが形成されている。そして、アーム部11kの左右両端が側端部11nに接続され、側端部11nが上下に延びて上端に上摺動部11bが、下端に下摺動部11dが形成されている。また、第2ロック分割体11Bには、第1ロック分割体11Aの分割体中央部11mが上方から覆うように組み付けられる中央連結部11hと、中央連結部11hの左右から上方に延びるように形成されて、第1ロック分割体11Aの柱部11jに外側から被せられて組み付けられる左右の上延部11iと、中央連結部11hから下方に延びる操作部11aの基部(操作基部)11gなどが形成されている。そして、操作部11aの基部(操作基部)11gがスリット16を通されて操作部11aが室内側空間2に突出されている。
【0030】
しかしながら、ロック体11やロック押え14などが、このような構成に限るものではなく、ロック体11が、内枠6に対してスライド自在に支持され、外枠5に対して(この実施の形態では外枠5に取り付けられたロック受け17に対して)係合可能とされて、操作部11aが上述の構成(ロック体11がロック位置にある場合に、ロック体11の操作部11aによりスリット16を覆ってスリット16が室内側空間2に露出しないよう構成されているなど)とされていればよい。
【0031】
上記構成によれば、スリット16が、内枠6における室内側空間2に露出可能な箇所に形成されているので、ロック体11の操作部11aによりスリット16が覆われない限り、室内の光がスリット16に良好に到達してスリット16を明るい状態で良好に視認することができる。すなわち、点検口1の内枠6などが閉じられている状態であるにもかかわらず、スリット16が室内側空間2に露出している場合には、暗くて視認し難いなどの不具合を発生することなく、スリット16を容易かつ確実に確認することができ、ロック体11がロック位置まで移動されていないこと(いわゆる半ロック状態であること)を、容易かつ確実に認識することができ、ひいては点検口の信頼性を向上させることができる。また、点検口1の内枠6などを閉じて操作部11aをスライドさせた際には、スリット16が見えなくなるまでスライドさせることにより、完全なロック位置まで移動できたことを容易かつ確実に視認できるので、信頼性を向上できるとともに便利である。
【0032】
また、上記構成によれば、ロック体11の操作部11aが、内枠6と外枠5との間の隙間13を通しては室外側空間3から室内側空間2に突出されておらず、ロック体11の操作部11a(操作部11aの基部11g)は、内枠6に設けたスリット16を通して突出されている。これにより、ロック体11の操作部11aを通すために内枠6と外枠5との間の隙間13を広げなくても済み、内枠6と外枠5との間の隙間13を最小限に抑えることができる。
【0033】
つまり、図16に示すように、従来の点検口の構成では、ロック体82が、外枠83と内枠81との間の隙間を通して上下に延びて室内側空間に突出する構成とされている。したがって、外枠83と内枠81との間の隙間をある程度大きくしなければならず、外枠83と内枠81との間の隙間が目立ってしまうとともに、室外空間から室内に隙間風などが入り易くなってしまい、室内側空間の密閉性などを阻害してしまうおそれもあった。
【0034】
これに対して、上述したように、本点検口1では、ロック体11の操作部11a(操作部11aの基部11g)は、内枠6に設けたスリット16を通して突出されているので、ロック体11の操作部11aを通すために内枠6と外枠5との間の隙間13を広げなくても済み、内枠6と外枠5との間の隙間13を最小限に抑えることができる。したがって、内枠6と外枠5との間の隙間13を目立ち難くすることができるとともに、室外側空間3と室内側空間2との間で隙間風などが出入りすることを最小限に抑えることができる。
【0035】
また、上記構成によれば、ロック体11の操作部11aの厚みtが、内枠6の室内側空間2に露出する箇所(内枠6の下板部6hの下端面)の厚みに合わせて設けられているので、図15図16に示す従来の点検口のように、ロック体の操作部の厚みを内枠の室内側空間に露出する箇所の厚みよりも大きくした場合と比較して、ロック体11の操作部11aを目立ち難い状態で配設できる。また、ロック体の操作部の厚みを内枠の室内に露出する箇所の厚みよりも小さくし過ぎると、操作部の剛性が低下するおそれがあるが、このような不具合を生じることを防止できる。さらに、上記のように、ロック体11の操作部11aを、内枠6の室内側空間2に露出する箇所(内枠6の下板部6hの下端面)の厚みに合わせて設けることにより、図5に示すように、ロック体11の操作部11aの厚み方向端部となる辺11a’と内枠6の厚み方向端部となる辺6h’とを合わせることもできるため、この場合には、さらに、ロック体11の操作部11aを目立ち難い状態で配置できて、点検口1として極めて良好な外観を得ることができる。
【0036】
なお、上記の実施の形態では、ロック体11を内枠6にスライド自在に取り付け、ロック受け17を外枠5に取り付けた場合を述べたが、これに限るものではなく、ロック体11を外枠5にスライド自在に取り付け、ロック受け17を内枠6に取り付けてもよい。この場合でも、ロック体11に、室内側空間2に露出して操作可能な操作部11aを設け、外枠5における室内側空間2に露出可能な箇所にスリット16を形成し、ロック体11がロック位置にある場合に、ロック体11の操作部11aによりスリット16を覆ってスリット16が室内側空間2に露出しないよう構成すると、上記実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。また、この場合には、ロック体11の操作部11aを、外枠5に設けられているスリット16を通して室内側空間2に突出させたり、ロック体11の操作部11aの幅を、外枠5の室内側空間2に露出する箇所の幅に合わせて設けたりすると好適である。
【0037】
また、上記の実施の形態では、点検口1が天井点検口である場合を述べたが、これに限るものではなく、側壁に設けられる点検口や、床部に設けられる点検口などにも同様な構成を適用することが可能となる。なお、床部に設けられる点検口に設ける場合には、操作部を、内枠や外枠の室内側空間に露出する箇所と同じ面(いわゆる面一)とすると好適であるが、これに限るものではない。
【符号の説明】
【0038】
1 点検口
2 室内側空間
3 室外側空間
4 開口部
5 外枠
6 内枠
7、7A、7B 天井材
8 取付材
9、9A、9B 閉鎖材
10 ヒンジ体
11 ロック体
11a 操作部
13 隙間
14 ロック押え
16 スリット(凹状溝部、切欠部)
図1
図2
図3
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