(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-31
(45)【発行日】2023-06-08
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
F24C 3/12 20060101AFI20230601BHJP
A47J 37/06 20060101ALI20230601BHJP
【FI】
F24C3/12 A
A47J37/06 361
(21)【出願番号】P 2019093852
(22)【出願日】2019-05-17
【審査請求日】2021-12-21
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡田 宏直
(72)【発明者】
【氏名】山川 智子
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-046338(JP,A)
【文献】特開2002-195576(JP,A)
【文献】特開平10-339444(JP,A)
【文献】特開2017-003245(JP,A)
【文献】特開2004-308982(JP,A)
【文献】特開平02-187522(JP,A)
【文献】特開平06-307647(JP,A)
【文献】特開2014-105961(JP,A)
【文献】特開2018-179372(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 3/12
A47J 37/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動調理を実行可能な加熱調理器であって、
加熱対象を収容する収容庫と、
前記収容庫内の前記加熱対象を加熱する加熱部と、
前記加熱部を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記自動調理のメニュー情報の中から特定の調理情報が選択された後に、前記加熱部による加熱を開始するための開始指示が入力される場合に、前記特定の調理情報に従って前記加熱部を制御し、
前記特定の調理情報に従った調理が終了する場合に、前記加熱対象を追加で加熱するための追加加熱指示が入力されるときに、前記特定の調理情報を用いて得られる追加加熱情報に従って前記加熱部を制御し、
前記開始指示と前記追加加熱指示は、同じ操作部が操作されることによって入力され、
前記追加加熱指示は、前記操作部を2回操作することであ
り、
前記操作部は、前記加熱部を点火するための点火操作と、前記加熱部を消火するための消火操作と、の双方を受け付け可能に構成されており、
前記追加加熱指示は、前記2回の操作として前記消火操作と前記点火操作を実行することである、
加熱調理器。
【請求項2】
前記制御部は、
前記特定の調理情報に従った調理が終了する場合に、前記加熱部による加熱を停止し、
前記特定の調理情報に従った調理が終了する場合に、計時手段による計測を開始し、
前記計時手段による計測時間が所定の第1時間に達する前に、前記操作部が操作される場合に、前記加熱対象の加熱を前記加熱部に開始させるとともに前記追加加熱情報に従って前記加熱部を制御し、
前記計測時間が前記第1時間に達した後に、前記操作部が操作される場合に、前記追加加熱情報に従った制御を実行することなく、前記加熱対象の加熱を前記加熱部に開始させる、請求項
1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記自動調理を実行することなく、前記加熱部が前記加熱対象を加熱している間に、前記加熱部による加熱を停止するための停止指示が入力される場合に、前記加熱調理器の電源は自動的に遮断され、
前記制御部は、
前記特定の調理情報に従った調理が終了する場合に、計時手段による計測を開始し、
前記特定の調理情報に従った調理が終了する場合に、前記加熱部による加熱を停止し、
前記計時手段による計測時間が所定の第2時間に達するまで、前記電源を遮断しない、請求項1
又は2に記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記制御部は、前記特定の調理情報に従った調理が終了する場合に、前記追加加熱指示と前記加熱対象に対する加熱量とが入力されるときに、前記追加加熱情報と、入力済みの加熱量と、に従って前記加熱部を制御する、請求項1から
3のいずれか一項に記載の加熱調理器。
【請求項5】
前記制御部は、前記特定の調理情報に従った調理が終了する場合に、前記追加加熱指示と前記加熱対象の加熱箇所を示す情報とが入力されるときに、前記追加加熱情報と、入力済みの加熱箇所を示す情報と、に従って前記加熱部を制御する、請求項1から
4のいずれか一項に記載の加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、自動調理を実行可能な加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されている加熱調理器は、グリルを備え、グリル内の食材(例えば魚)に対する自動調理を実行可能である。加熱調理器は、魚種の選択を受け付けると、データテーブルから選択された魚種の調理データを読み込む。加熱調理器は、読み込んだ調理データを利用して、グリル内の魚の調理を実行する。加熱調理器は、焼き上げ完了に近づくとユーザに報知する。加熱調理器は、報知後の所定時間内に焼き足し時間を設定するためのスイッチが操作されると、バーナを消火することなく、設定された時間だけ追加で食材を加熱する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術によれば、ユーザは、焼き足し時間を手動で設定する。ユーザが何ら基準を持たないままに自由に焼き足し時間を設定すると、食材が焦げて、調理が失敗する場合がある。
【0005】
本明細書は、追加加熱によって自動調理が失敗することを抑制するための技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書が開示する加熱調理器は、加熱対象を収容する収容庫と、前記収容庫内の前記加熱対象を加熱する加熱部と、前記加熱部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記自動調理のメニュー情報の中から特定の調理情報が選択される場合に、前記特定の調理情報に従って前記加熱部を制御し、前記特定の調理情報に従った調理が終了する場合に、前記加熱対象を追加で加熱するための追加加熱指示が入力されるときに、前記特定の調理情報を用いて得られる追加加熱情報に従って前記加熱部を制御する。
【0007】
上記の構成によれば、加熱調理器は、追加加熱指示が入力される場合に、自動調理のメニュー情報の中から選択された特定の調理情報を用いて得られる追加加熱情報に従って加熱部を制御する。これにより、ユーザによって選択された特定の調理情報の内容に従った適切な条件(例えば、火力、時間)で、追加加熱を実行することができる。この結果、ユーザが何ら基準を持たないままに追加加熱の条件を自由に設定する構成と比較して、追加加熱によって自動調理が失敗することを抑制することができる。
【0008】
また、制御部は、メニュー情報の中から特定の調理情報が選択された後に、加熱部による加熱を開始するための開始指示が入力される場合に、特定の調理情報に従って加熱部を制御し、開始指示と追加加熱指示は、同じ操作部が操作されることによって入力される。追加加熱指示は、操作部を2回操作することである。この構成によれば、ユーザは、自動調理を開始するための指示と、追加加熱を開始するための指示と、を同じ操作部を操作することによって入力することができる。ユーザの利便性が向上する。前記操作部は、前記加熱部を点火するための点火操作と、前記加熱部を消火するための消火操作と、の双方を受け付け可能に構成されている。前記追加加熱指示は、前記2回の操作として前記消火操作と前記点火操作を実行することである。
【0009】
また、制御部は、特定の調理情報に従った調理が終了する場合に、加熱部による加熱を停止し、特定の調理情報に従った調理が終了する場合に、計時手段による計測を開始し、計時手段による計測時間が所定の第1時間に達する前に、操作部が操作される場合に、加熱対象の加熱を加熱部に開始させるとともに追加加熱情報に従って加熱部を制御し、計測時間が第1時間に達した後に、操作部が操作される場合に、追加加熱情報に従った制御を実行することなく、加熱対象の加熱を加熱部に開始させてもよい。この構成によれば、計測時間が第1時間に達するまでは、追加加熱指示の入力を待機することができ、計測時間が第1時間に達した後には、追加加熱の指示は入力されないと判断して、追加加熱によらず、加熱対象の加熱を実行することができる。
【0010】
また、自動調理を実行することなく、加熱部が加熱対象を加熱している間に、加熱部による加熱を停止するための停止指示が入力される場合に、加熱調理器の電源は自動的に遮断され、制御部は、特定の調理情報に従った調理が終了する場合に、計時手段による計測を開始し、特定の調理情報に従った調理が終了する場合に、加熱部による加熱を停止し、計時手段による計測時間が所定の第2時間に達するまで、電源を遮断しなくてもよい。即ち、加熱の停止に応じて電源が自動的に遮断される加熱調理器において、自動調理が終了し、加熱が停止する場合に、計測時間が第2時間に達するまで、電源が遮断されない。これにより、第2時間の間、追加加熱指示の入力を待機することができる。
【0011】
また、制御部は、特定の調理情報に従った調理が終了する場合に、追加加熱指示と加熱対象に対する加熱量とが入力されるときに、追加加熱情報と、入力済みの加熱量と、に従って加熱部を制御してもよい。この構成によれば、ユーザの好みに応じて、追加加熱の加熱量を調整することができる。
【0012】
また、制御部は、特定の調理情報に従った調理が終了する場合に、追加加熱指示と加熱対象の加熱箇所を示す情報とが入力されるときに、追加加熱情報と、入力済みの加熱箇所を示す情報と、に従って加熱部を制御してもよい。この構成によれば、ユーザの好みに応じて、追加加熱をすべき加熱箇所を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1実施例)
(加熱調理器2の構成;
図1、
図2、
図3)
本実施例の加熱調理器2は、システムキッチンに組み込んで使用されるガス燃焼式のビルトインコンロである。加熱調理器2は、前面4aがシステムキッチンの手前側に露出する本体4と、本体4の上部に配置されており、システムキッチンのカウンタトップに露出する天板6と、を備えている。天板6には、五徳(符号省略)上の調理容器(例えば鍋)を加熱する3個のコンロバーナ10が設けられている。
【0015】
また、本体4は、本体4の内部に設けられて食材を収容するグリル庫8と、本体4の前面4aに配置されてグリル庫8を開閉するグリル扉8aと、を備える。グリル庫8の内部には、グリル庫8に収容した加熱対象(例えば食材)を加熱する2個のグリルバーナ20、22(即ち、表面グリルバーナ20と裏面グリルバーナ22)が設けられている。
【0016】
本体4の前面4aにおいてグリル扉8aの右側には、コンロ操作部14と、コンロパネル18と、が設けられている。コンロ操作部14は、加熱調理器2の電源スイッチ14aと、3個の加熱量操作部14bと、を備える。3個の加熱量操作部14bは、それぞれ、3個のコンロバーナ10に対応する。加熱量操作部14bは、コンロバーナ10の点火及び消火を行うとともに、コンロバーナ10の加熱量の調整を行うための操作部である。加熱量操作部14bは、オルタネイト型のスイッチである。ユーザによって加熱量操作部14bを消火位置から点火位置に移動させるための操作(以下では、「点火操作」と呼ぶ)が実行されると、コンロバーナ10が点火され、ユーザによって加熱量操作部14bを点火位置から消火位置に移動させるための操作(以下では、「消火操作」と呼ぶ)が実行されると、コンロバーナ10が消火される。点火位置とは、加熱量操作部14bの前面が本体の前面4aよりも前方に突出している位置であり、消火位置とは、加熱量操作部14bが本体4内に収容されている位置である。なお、ユーザは、加熱量操作部14bが点火位置に位置している状態において、加熱量操作部14bを時計回り又は反時計回りに操作(以下では、「火力調整操作」と呼ぶ)することで、コンロバーナ10の加熱量を調整することができる。
【0017】
コンロパネル18は、表示部18aと、操作部18bと、を備える。表示部18aには、コンロバーナ10の動作状態などが表示される。ユーザは、操作部18bを操作することで、コンロバーナ10によって加熱される調理容器の温度の設定などをすることができる。
【0018】
本体4の前面4aにおいてグリル扉8aの左側には、グリル操作部24と、グリルパネル28と、が設けられている。グリル操作部24は、グリルバーナ20、22の点火及び消火を行うとともに、グリルバーナ20、22の加熱量の調整を行うための操作部である。グリル操作部24の構成は、コンロバーナ10の加熱量操作部14bと同様である。
【0019】
グリルパネル28は、表示部28aと、操作部28bと、を備える。表示部28aには、グリルバーナ20、22の動作状態及び自動調理のメニュー情報などが表示される。ユーザは、操作部28bを操作することで、メニュー情報の中から希望する調理情報を選択すること及び自動調理に関する設定(例えば加熱量、時間)を入力することなどができる。
【0020】
図3に示すように、表面グリルバーナ20は、グリル庫8内の天井(即ちグリル庫8内の焼き網8bの上側)に設けられている。また、裏面グリルバーナ22は、グリル庫8内の底側(即ち焼き網8bの下側)に設けられている。表面グリルバーナ20と裏面グリルバーナ22のそれぞれには、ガス供給路(図示省略)が接続されている。表面グリルバーナ20のガス供給路には、開閉弁として機能する電磁弁21(
図1参照)と、表面グリルバーナ20へのガスの供給量を調整するための流量調整弁(図示省略)とが設けられている。裏面グリルバーナ22のガス供給路にも、同様に、電磁弁23(
図1参照)と流量調整弁(図示省略)とが設けられている。グリル操作部24で点火操作が実行されることによって、電磁弁21、23が開き、イグナイタ(図示省略)によってグリルバーナ20、22が点火する。また、グリル操作部24で消火操作が実行されることによって、電磁弁21、23が閉じ、グリルバーナ20、22が消火する。
【0021】
また、加熱調理器2は、制御部50を備える。制御部50は、メモリ52と、タイマ54と、を備える。制御部50は、メモリ52に記憶されているプログラム60に従って、加熱調理器2の動作を制御する。例えば、制御部50は、ユーザによってグリル操作部24が操作されることに応じて、流量調整弁の開度を調整する。また、制御部50は、後述の自動調理処理(
図4)を実行する。
【0022】
また、メモリ52は、自動調理のメニュー情報62を記憶する。メニュー情報62は、複数種類の調理(例えば焼き魚、トースト)に対応する複数個の調理情報を含む。各調理情報は、対応する自動調理の工程(即ち加熱量、加熱時間)を示す。また、各調理情報は、追加加熱の工程を示す追加加熱情報も含む。なお、例えば、第1調理情報(例えば焼き魚)内の追加加熱情報と、第2調理情報(例えばトースト)内の追加加熱情報は、異なる。
【0023】
また、加熱調理器2の電源(図示省略)は、乾電池である。加熱調理器2は、電源スイッチ14aが操作されることによって起動し、電源から各部に電力が供給される。また、加熱調理器2の電源は、電源から各部に電力が供給されている状態で、電源スイッチ14aが操作されることによって遮断される。また、加熱調理器2の電源は、電源から各部に電力が供給されており、かつ、全てのバーナ(即ち、コンロバーナ10、グリルバーナ20、22)が消火している状態で、ユーザによる操作が実行されずに所定時間(例えば1分)が経過する場合に、自動的に遮断される。これにより、乾電池の電力消費を抑制することができる。なお、変形例では、加熱調理器2の電源は、商用電源であってもよい。
【0024】
(自動調理処理;
図4)
図4を参照して、制御部50によって実行される自動調理処理について説明する。自動調理処理は、加熱調理器2の起動により開始する。
【0025】
S10では、制御部50は、グリルパネル28の表示部28aに表示されるメニュー情報62の中から特定の調理情報(例えば焼き魚)が選択されることを監視する。制御部50は、メニュー情報62の中から特定の調理情報が選択される場合(S10でYES)に、S12に進む。
【0026】
S12では、制御部50は、グリル操作部24に点火操作が実行されることによって点火指示が入力されることを監視する。制御部50は、点火指示が入力される場合(S12でYES)に、S14に進む。
【0027】
S14では、制御部50は、S10で選択された特定の調理情報に従った自動調理制御(即ちグリルバーナ20、22の加熱量と加熱時間の制御)を開始する。
【0028】
S16では、制御部50は、S14で開始した自動調理が終了することを監視する。制御部50は、自動調理が終了する場合(S16でYES)に、S20に進む。
【0029】
S20では、制御部50は、電磁弁21、23を閉じて、グリルバーナ20、22を消火する。なお、現時点では、加熱量操作部14bは点火位置に維持される。
【0030】
S22では、制御部50は、追加加熱が実行可能であることをユーザに通知するための通知画面を表示部18aに表示する。
【0031】
S24では、制御部50は、タイマ54による計測(即ち計時)を開始する。そして、S30では、制御部50は、タイマ54による計測時間が所定の待機時間(例えば15秒)に達することを監視する。制御部50は、計測時間が待機時間に達した場合(S30でYES)に、通知画面を削除して、S42において、グリル操作部24に消火操作と点火操作が実行されることによって、点火指示が入力されることを監視する。制御部50は、点火指示が入力される場合(S42でYES)に、後述する追加加熱処理(S40参照)を実行することなく、グリルバーナ20、22を点火して、加熱対象の加熱を開始し、消火操作の入力を監視するとともに、S10に戻る。
【0032】
また、制御部50は、計測時間が待機時間に達するまでの間に、S34の監視を実行する。S34では、制御部50は、グリル操作部24に消火操作と点火操作が実行されることによって、追加加熱指示が入力されることを監視する。制御部50は、追加加熱指示が入力される場合(S34でYES)に、電磁弁21、23を開いて、グリルバーナ20、22を点火し、S40に進む。
【0033】
S40では、制御部50は、後述する追加加熱処理(
図5参照)を実行する。追加加熱処理が終了すると、S10に戻る。なお、変形例では、S40が終了した後に、S30に戻ってもよい。これにより、2度目の追加加熱を実行することができる。
【0034】
(追加加熱処理;
図5)
図5を参照して、追加加熱処理(
図4のS40参照)について説明する。S50では、制御部50は、
図4のS24で開始された計時をリセットする(即ちカウントをゼロに戻し、再び計測を開始する)。
【0035】
S60では、制御部50は、
図4のS10で選択された特定の調理情報から追加加熱情報を取得する。そして、制御部50は、取得済みの追加加熱情報によって示されるデフォルトの消火時間(例えば30秒)をグリルパネル28の表示部28aに表示する。
【0036】
S62では、制御部50は、グリルパネル28の操作部28bが操作されることによって、デフォルトの消火時間が変更(即ち延長又は短縮)されたのか否かを判断する。制御部50は、デフォルトの消火時間が変更されたと判断する場合(S62でYES)に、S64に進み、制御部50は、デフォルトの消火時間が変更されないと判断する場合(S62でNO)に、S68に進む。
【0037】
S64では、制御部50は、計測時間が変更後の消火時間に達するのか否かを監視する。制御部50は、計測時間が変更後の消火時間に達する場合(S64でYES)に、S66に進む。S66では、制御部50は、電磁弁21、23を閉じて、グリルバーナ20、22を消火し、
図5の処理が終了する。
【0038】
また、S68では、制御部50は、計測時間がデフォルトの消火時間に達するのか否かを監視する。制御部50は、計測時間がデフォルトの消火時間に達する場合(S68でYES)に、S70に進む。S70は、S66と同様である。これにより、
図5の処理が終了する。
【0039】
(本実施例の効果)
上記の構成によれば、加熱調理器2は、追加加熱指示が入力される場合(
図4のS34)に、メニュー情報62の中から選択された特定の調理情報に含まれる追加加熱情報によって示されるデフォルトの消火時間又は変更後の消火時間に従って、追加加熱を実行する(
図5のS62~S70)。これにより、ユーザによって選択された特定の調理情報の内容に従った適切な消火時間で、追加加熱を実行することができる。この結果、ユーザが何ら基準を持たないままに追加加熱の時間を自由に設定する構成(以下では、「比較例」と記載)と比較して、追加加熱によって自動調理が失敗することを抑制することができる。特に、近年、グリル庫8内で調理を実行する際に、具材の上下を覆うプレート(図示省略)が利用される。この場合、ユーザは、自動調理の終了後に、グリル庫8を開けても、プレートによって具材の焼き加減を見ることができない。比較例では、焼き加減を見て追加加熱の時間を調整するのが一般的である。このため、比較例においてプレートが利用される場合には、ユーザは焼き加減を見ることができず、ユーザが適切な時間を設定することができず、自動調理が失敗する可能性が高まる。これに対して、本実施例の構成によれば、ユーザが焼き加減を見なくても、適切な消火時間で追加加熱を実行することができるので、自動調理が失敗することを抑制することができる。
【0040】
また、上記の構成によれば、自動調理を開始するための点火指示(
図4のS12)と、追加加熱を開始するための追加加熱指示(S34)と、を同じグリル操作部24を操作することによって入力することができる。ユーザの利便性が向上する。
【0041】
また、上記の構成によれば、加熱調理器2は、計測時間が待機時間に達するまでの間に、
図4のS34の監視を実行する。これにより、加熱調理器2は、計測時間が待機時間に達するまでは、追加加熱指示の入力を待機することができ(S34でYES)、計測時間が待機時間に達した後には、追加加熱の指示は入力されないと判断して、追加加熱によらず、加熱対象の加熱を実行することができる(S42でYES)。
【0042】
(対応関係)
グリル庫8が、「収容庫」の一例である。表面グリルバーナ20及び裏面グリルバーナ22が、「加熱部」の一例である。グリル操作部24、制御部50、タイマ54、メニュー情報62が、それぞれ、「操作部」、「制御部」、「計時手段」、「メニュー情報」の一例である。
図4のS12の点火指示、S34の追加加熱指示が、それぞれ、「開始指示」、「追加加熱指示」の一例である。消火指示が、「停止指示」の一例である。待機時間が、「第1時間」の一例である。
【0043】
(第2実施例)
第2実施例は、追加加熱処理においてS50の後にS52及びS54の処理が追加されることを除き、第1実施例と同様である。
【0044】
(追加加熱処理;
図5)
S52では、制御部50は、追加加熱の加熱量を決定する。具体的には、制御部50は、取得済みの追加加熱情報によって示される3段階の加熱量(例えば、「弱」、「中」、「強」)をグリルパネル28の表示部28aに表示する。制御部50は、グリルパネル28の操作部28bが操作されることによって、3段階の加熱量のうちのいずれかが選択される場合には、選択済みの加熱量を追加加熱の加熱量として決定する。なお、仮に、操作部28bが操作されない場合には、制御部50は、例えば、加熱量「中」を追加加熱の加熱量として決定する。そして、制御部50は、決定済みの加熱量に従って、グリルバーナ20、22の加熱量を調整する(即ち流量調整弁を制御する)。これにより、ユーザの好みに応じて、追加加熱の加熱量を調整することができる。
【0045】
S54では、制御部50は、追加加熱の加熱箇所を決定する。具体的には、制御部50は、3パターンの加熱箇所(即ち、「両面」、「表面」、「裏面」)をグリルパネル28の表示部28aに表示する。制御部50は、操作部28bが操作されることによって、3パターンの加熱箇所のうちのいずれかが選択される場合には、選択済みの加熱箇所を追加加熱の加熱箇所として決定する。なお、仮に、操作部28bが操作されない場合には、制御部50は、例えば、加熱箇所「両面」を追加加熱の加熱箇所として決定する。ここで、加熱箇所「両面」が選択される場合には、制御部50は、電磁弁21、23が開いている状態を維持する。また、加熱箇所「表面」が選択される場合には、制御部50は、表面グリルバーナ20の電磁弁21が開いている状態を維持する一方、裏面グリルバーナ22の電磁弁23を閉じる。また、加熱箇所「裏面」が選択される場合には、制御部50は、裏面グリルバーナ22の電磁弁23が開いている状態を維持する一方、表面グリルバーナ20の電磁弁21を閉じる。これにより、ユーザの好みに応じて、追加加熱をすべき加熱箇所を調整することができる。
【0046】
(第3実施例)
第3実施例は、電源スイッチ14aを備えず、かつ、加熱調理器2の電源に関する処理が異なる点を除いて、第1実施例と同様である。本実施例では、加熱調理器2は、コンロ操作部14又はグリル操作部24に点火操作が実行されること、若しくは、コンロパネル18又はグリルパネル28が操作されることによって起動する。また、加熱調理器2の電源は、コンロバーナ10又はグリルバーナ20、22が点火している状態でコンロ操作部14又はグリル操作部24に消火操作が実行されることによって遮断される。
【0047】
本実施例でも、
図4の自動調理処理が実行される。ここで、制御部50は、自動調理が終了する場合(S16でYES)に、グリルバーナ20、22を消火する(S20)。この場合に、本実施例では、制御部50は、グリルバーナ20、22を消火するものの、加熱調理器2の電源を遮断することなく、電源から各部への給電を維持する。そして、制御部50は、S34の追加加熱指示又はS42の点火指示が入力されることなく、計測時間が所定の最大時間(例えば1分)に達する場合に、加熱調理器2の電源を自動で遮断する。即ち、加熱調理器2は、自動調理が終了し、グリルバーナ20、22を消火する場合に、加熱調理器2の電源を遮断することなく、電源から各部への給電を維持する。そして、給電の維持は、最大で、計測時間が最大時間に達するまで継続する。これにより、最大時間の間、追加加熱指示の入力を待機することができる。上記の最大時間が、「第2時間」の一例である。
【0048】
以上、各実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。上記の各実施例の変形例を以下に列挙する。
【0049】
(変形例1)「加熱調理器」は、ガス燃焼式のビルトインコンロに限らず、例えば、IH調理器、電気オーブンでもよい。本変形例によれば、IH調理器のグリル庫又は電気オーブンの収容庫が、「収容庫」の一例である。
【0050】
(変形例2)
図4のS20の処理は実行されなくてもよい。即ち、自動調理が終了した後に、グリルバーナ20、22を消火することなく、追加加熱処理が実行されてもよい。
【0051】
(変形例3)追加加熱指示は、グリル操作部24に限らず、例えば、グリルパネル28の操作部28bが操作されることによって入力されてもよい。一般的に言えば、開始指示と追加加熱指示は、異なる操作部が操作されることによって入力されてもよい。
【0052】
(変形例4)
図4のS30の判断は実行されなくてもよい。例えば、制御部50は、S24の後に、計測時間が所定時間(例えば1分)に達することを監視し、計測時間が所定時間に達するまでの間に、追加加熱指示が入力されることを監視してもよい。そして、制御部50は、計測時間が所定時間に達した場合に、S10に戻ってもよい。本変形例では、「第1時間」を省略可能である。
【0053】
(変形例5)上記の各実施例では、制御部50は、通知画面を表示する(
図4のS22)。これに代えて、通知画面は表示されなくてもよい。また、他の変形例として、制御部50は、追加加熱を実行することをユーザに確認するための確認画面を表示部18aに表示してもよい。そして、制御部50は、確認画面内のYESボタンが選択され、かつ、追加加熱指示が入力される場合に、S40の追加加熱処理を実行してもよい。さらに、制御部50は、確認画面内のNOボタンが選択される場合に、S42に進んでもよい。
【0054】
(変形例6)上記の各実施例では、
図4のS12の点火指示は、グリル操作部24に点火操作が実行されることによって入力され、S34の追加加熱指示は、グリル操作部24に消火操作と点火操作が実行されることによって入力される(
図4のS34)。これに代えて、点火指示及び追加加熱指示は、グリルパネル28の操作部28bで同じ操作が実行されることによって入力されてもよい。また、他の変形例として、グリル操作部24は、グリルバーナ20、22が消火されると、点火位置から消火位置に自動的に移動してもよい。そして、追加加熱指示は、グリル操作部24に点火操作のみが実行されることによって入力されてもよい。これら変形例では、操作部28b又はグリル操作部24が、「操作部」の一例である。
【0055】
(変形例7)
図5のS52及びS54のいずれか一方の処理は実行されなくてもよい。本変形例では、「加熱量」の入力及び「加熱箇所を示す情報」の入力のいずれか一方を省略可能である。
【0056】
(変形例8)
図5のS62の処理は実行されなくてもよい。この場合、制御部50は、S50の後に、S68及びS70を実行すればよい。
【0057】
(変形例9)上記の各実施例では、調理情報は追加加熱情報を含む。これに代えて、調理情報は追加加熱情報を含まず、制御部50は、特定の調理情報によって示される加熱量から追加加熱の加熱量を算出し、さらに、特定の調理情報によって示される加熱時間から追加加熱の加熱時間を算出してもよい。本変形例によれば、算出済みの加熱量及び加熱時間が、「特定の調理情報を用いて得られる追加加熱情報」の一例である。
【0058】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0059】
2:加熱調理器、4:本体、4a:前面、6:天板、8:グリル庫、8a:グリル扉、8b:焼き網、10:コンロバーナ、14:コンロ操作部、14a:電源スイッチ、14b:加熱量操作部、18:コンロパネル、18a:表示部、18b:操作部、20:表面グリルバーナ、21:電磁弁、22:裏面グリルバーナ、23:電磁弁、24:グリル操作部、28:グリルパネル、28a:表示部、28b:操作部、50:制御部、52:メモリ、54:タイマ、60:プログラム、62:メニュー情報