(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-31
(45)【発行日】2023-06-08
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
F24C 3/02 20210101AFI20230601BHJP
F24C 15/18 20060101ALI20230601BHJP
F24C 15/16 20060101ALI20230601BHJP
F24C 3/12 20060101ALI20230601BHJP
A47J 37/06 20060101ALI20230601BHJP
【FI】
F24C3/02 E
F24C15/18 A
F24C15/16 B
F24C3/12 A
A47J37/06 361
(21)【出願番号】P 2019201808
(22)【出願日】2019-11-06
【審査請求日】2022-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111257
【氏名又は名称】宮崎 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100110504
【氏名又は名称】原田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】水上 裕人
(72)【発明者】
【氏名】根笹 典政
(72)【発明者】
【氏名】杉本 喜輝
【審査官】西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-067326(JP,A)
【文献】特開2016-054929(JP,A)
【文献】特開2014-214968(JP,A)
【文献】特開2010-042075(JP,A)
【文献】特開2016-195707(JP,A)
【文献】特開2014-119243(JP,A)
【文献】特開2016-016300(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 3/02- 3/14
F24C 15/16-15/36
A47J 37/00-37/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方に開放し、浅型の第1調理容器と、第1調理容器より深い深型の第2調理容器とが入れ替え可能に収容されるグリル庫と、
グリル庫の前面開口部を開閉するグリル扉と、
グリル庫内を加熱する加熱手段と、
第1調理容器をグリル庫内に収容させたときに、第1調理容器の下面に当接して、第1調理容器の下面の温度を検出する第1温度センサと、
第2調理容器をグリル庫内に収容させたときに、第2調理容器の下面に当接して、第2調理容器の下面の温度を検出する第2温度センサと、を備え、
グリル庫は、グリル庫の底壁の後壁側に上方に突出する段部を有し、
第1温度センサは、段部上に配設され、
第2温度センサは、第1温度センサより前方のグリル扉側であって、第1温度センサよりも下方に配設されている加熱調理器。
【請求項2】
請求項1に記載の加熱調理器において、
第1調理容器及び第2調理容器はそれぞれ、兼用の支持体に支持されてグリル庫内に収容される加熱調理器。
【請求項3】
請求項2に記載の加熱調理器において、
グリル庫は、グリル庫内に支持体で支持された第1調理容器及び第2調理容器をそれぞれ収容させるとき、支持体が乗り上げる隆起部を有し、
支持体が隆起部に乗り上げると、支持体に支持された第1調理容器及び第2調理容器の下面がそれぞれ、第1温度センサ及び第2温度センサよりも上方に位置し、
支持体が隆起部を乗り越えると、支持体に支持された第1調理容器及び第2調理容器の下面がそれぞれ、第1温度センサ及び第2温度センサのセンサ上面に当接するように構成されている加熱調理器。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の加熱調理器は、さらに、
加熱手段の加熱開始から所定の判定時間経過後、第1温度センサで検出される第1温度または第2温度センサで検出される第2温度の少なくともいずれか一方の温度に基づき、グリル庫内に収容された調理容器が第1調理容器であるか、第2調理容器であるかを判定する調理容器識別手段を備える加熱調理器。
【請求項5】
請求項4に記載の加熱調理器は、さらに、
グリル庫内に収容する調理容器の種類を選択する操作部を備え、
操作部で選択された調理容器の種類に応じた調理容器モードで自動調理が行われる加熱調理器であって、
操作部で選択された調理容器の種類と、調理容器識別手段で判定された調理容器の種類とが異なる場合、加熱手段を停止して自動調理を終了させるか、または調理容器識別手段で判定された調理容器の種類に応じた修正モードに変更して自動調理を継続させる制御構成を有する加熱調理器。
【請求項6】
請求項4または5に記載の加熱調理器は、さらに、
グリル庫内に収容する調理容器の種類及び調理メニューを選択する操作部と、
調理メニューに対応した調理容器の種類を記憶する調理容器記憶部と、を備え、
操作部で選択された調理容器の種類及び調理メニューに応じた調理容器モードで自動調理が行われる加熱調理器であって、
操作部で選択された調理容器の種類と、調理容器識別手段で判定された調理容器の種類とが異なる場合、加熱手段を停止して自動調理を終了させるか、加熱手段の火力及び調理時間を手動で調整するマニュアルモードに変更して調理を継続させるか、または加熱手段の火力を自動で調整し、調理時間を手動で調整する補正モードに変更して自動調理を継続させる制御構成を有する加熱調理器。
【請求項7】
請求項4~6のいずれか1項に記載の加熱調理器は、さらに、
調理メニューを選択する操作部と、
1つの調理メニューに対応した複数の調理容器の種類を記憶する調理容器記憶部と、
調理容器の種類及び調理メニューに応じた加熱手段の制御条件を記憶する制御条件記憶部と、を備え、
操作部で調理メニューが選択されて自動調理が開始されると、調理容器識別手段により、グリル庫内に収容された調理容器が第1調理容器であるか、第2調理容器であるかを判定し、
調理容器識別手段で判定された調理容器の種類及び操作部で選択された調理メニューに応じた制御条件を制御条件記憶部に記憶された制御条件の中から取得して自動調理を行う制御構成を有する加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、深さの異なる調理容器をグリル庫内に収容し、加熱調理する加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、グリル庫と、グリル庫内を加熱するバーナなどの加熱手段と、グリル庫内の庫内温度を検出する温度センサとを有し、グリル庫内に魚などの被調理物が載置された調理容器を収容して、温度センサで検出される庫内温度に基づき加熱手段の火力を自動で調整して加熱調理する自動調理が可能な加熱調理器が知られている。この種の加熱調理器では、調理中、使用者が被調理物の調理の進行状態を頻繁に監視する必要がないため、使い勝手に優れる。
【0003】
上記のようなグリル庫内に収容される調理容器としては、グリルプレートなどの浅型の調理容器やダッチオーブンなどの深型の調理容器が使用されている。これらの調理容器を用いて自動調理で被調理物を適切な温度で加熱するためには、温度センサを調理容器に当接させて、調理容器の温度を直接、検出することが好ましい。かかる観点から、グリル庫の後壁から前方に温度センサを突出させた加熱調理器が提案されている(例えば、特許文献1~3)。
【0004】
ところで、浅型の調理容器を用いる場合、通常、被調理物は調理容器の中央に載置される。そのため、調理容器の後方部分の温度に被調理物の加熱状態が反映され難い。また、深型の調理容器を用いる場合、被調理物の形状や調理量によって調理容器の側面の上下位置で温度が異なる。そのため、深型の調理容器の側面に当接する温度センサでは、被調理物の加熱状態が正確に検出されていない場合がある。従って、特許文献1~3のようにグリル庫の後壁に温度センサを設けた場合、いずれの調理容器を用いる場合でも、適切な温度で被調理物を加熱することができないという問題がある。
【0005】
グリル庫の底壁に温度センサを配設し、調理容器の下面の温度を検出する加熱調理器も提案されている(例えば、特許文献4)。
【0006】
しかしながら、浅型の調理容器に載置された被調理物を加熱調理する場合、被調理物の下面は調理容器からの伝熱により加熱されるため、調理容器を下方から均一に加熱することが望ましい。それゆえ、グリル庫内に浅型の調理容器を収容して加熱調理する場合、バーナなどの加熱手段から噴出される燃焼排気が浅型の調理容器の下方を流れるように、グリル庫の底壁と浅型の調理容器との間に一定の高さの空間を確保する必要がある。一方、上記のようなグリル庫の底壁と調理容器との間に一定の高さの空間を設けると、グリル庫の上壁と調理容器との間の空間が狭くなる。その結果、グリル庫内に深型の調理容器を収容できなくなるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2012-200394号公報
【文献】特開2016-16300号公報
【文献】特開2019-10131号公報
【文献】特開2016-22331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、浅型の調理容器と深型の調理容器とをグリル庫内に入れ替え可能に収容して加熱調理すること、各調理容器の温度を正確に検出すること、及び検出された調理容器の温度に基づいて、被調理物を適切に加熱調理することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、
前方に開放し、浅型の第1調理容器と、第1調理容器より深い深型の第2調理容器とが入れ替え可能に収容されるグリル庫と、
グリル庫の前面開口部を開閉するグリル扉と、
グリル庫内を加熱する加熱手段と、
第1調理容器をグリル庫内に収容させたときに、第1調理容器の下面に当接して、第1調理容器の下面の温度を検出する第1温度センサと、
第2調理容器をグリル庫内に収容させたときに、第2調理容器の下面に当接して、第2調理容器の下面の温度を検出する第2温度センサと、を備え、
グリル庫は、グリル庫の底壁の後壁側に上方に突出する段部を有し、
第1温度センサは、段部上に配設され、
第2温度センサは、第1温度センサより前方のグリル扉側であって、第1温度センサよりも下方に配設されている加熱調理器である。
【0010】
上記加熱調理器によれば、浅型の第1調理容器の下面の温度をグリル庫の底壁の後壁側で上方に突出する段部上に配設された第1温度センサにより検出することができる。また、段部はグリル庫の底壁の後壁側で上方に突出するように設けられているから、第1調理容器の下面が第1温度センサに当接したとき、段部よりもグリル庫の前方の第1調理容器の下面とグリル庫の底壁との間に一定の高さの空間が形成される。これにより、第1調理容器を下方から均一に加熱することができる。また、上記加熱調理器によれば、第2温度センサは、第1温度センサより前方のグリル扉側であって、第1温度センサよりも下方に配設されているから、段部よりも前方のグリル庫内には後壁側よりも高い一定の高さの空間が形成される。これにより、グリル庫内に深型の第2調理容器を収容させることができる。また、第2温度センサは第1温度センサよりもグリル庫内の前方であって、且つ下方に配設されているから、グリル庫内で段部よりも前方に収容される深型の第2調理容器の下面の温度を第2温度センサにより検出することができる。
【0011】
好ましくは、上記加熱調理器において、
第1調理容器及び第2調理容器はそれぞれ、兼用の支持体に支持されてグリル庫内に収容される。
【0012】
上記加熱調理器によれば、2つの調理容器に対して単一の支持体を使用することができる。これにより、支持体の選択ミスが起こらないから使い勝手に優れる。また、2つの調理容器と1つの支持体の収納スペースを確保すればよいので、収納スペースを小さくすることができる。
【0013】
好ましくは、上記加熱調理器において、
グリル庫は、グリル庫内に支持体で支持された第1調理容器及び第2調理容器をそれぞれ収容させるとき、支持体が乗り上げる隆起部を有し、
支持体が隆起部に乗り上げると、支持体に支持された第1調理容器及び第2調理容器の下面がそれぞれ、第1温度センサ及び第2温度センサよりも上方に位置し、
支持体が隆起部を乗り越えると、支持体に支持された第1調理容器及び第2調理容器の下面がそれぞれ、第1温度センサ及び第2温度センサのセンサ上面に当接するように構成される。
【0014】
上記加熱調理器によれば、いずれの調理容器をグリル庫内に収容させる場合でも、第1温度センサ及び第2温度センサへの調理容器の衝突を防止することができる。これにより、第1温度センサ及び第2温度センサの損傷を防止することができる。また、上記加熱調理器によれば、支持体が隆起部を乗り越えると、各温度センサの上面に対応する調理容器の下面が当接するから、調理容器の下面の温度を正確に検出することができる。
【0015】
好ましくは、上記加熱調理器は、さらに、
加熱手段の加熱開始から所定の判定時間経過後、第1温度センサで検出される第1温度または第2温度センサで検出される第2温度の少なくともいずれか一方の温度に基づき、グリル庫内に収容された調理容器が第1調理容器であるか、第2調理容器であるかを判定する調理容器識別手段を備える。
【0016】
上記加熱調理器によれば、第1温度センサ及び第2温度センサは、グリル庫の前後及び高さ方向の異なる位置で対応する調理容器の下面に当接するように配設されているから、一方の温度センサに調理容器が当接していれば、他方の温度センサはグリル庫内の庫内温度を検出する。従って、第1温度センサで検出される第1温度または第2温度センサで検出される第2温度の少なくともいずれか一方の温度を検出すれば、いずれの温度センサに調理容器が当接しているかを判定することができる。これにより、使用者にグリル庫内に収容されている調理容器の種類を認識させることができるとともに、グリル庫内に収容されている調理容器に応じて調理を行うことができる。
【0017】
好ましくは、上記加熱調理器は、さらに
グリル庫内に収容する調理容器の種類を選択する操作部を備え、
操作部で選択された調理容器の種類に応じた調理容器モードで自動調理が行われる加熱調理器であって、
操作部で選択された調理容器の種類と、調理容器識別手段で判定された調理容器の種類とが異なる場合、加熱手段を停止して自動調理を終了させるか、または調理容器識別手段で判定された調理容器の種類に応じた修正モードに変更して自動調理を継続させる制御構成を有する。
【0018】
浅型の調理容器と深型の調理容器とでは熱容量が相違するため、自動調理では調理容器の種類に応じて異なる制御条件で加熱調理する必要がある。従って、調理容器の種類に応じた調理容器モードで自動調理が行われるときに、操作部で選択された調理容器の種類と、調理容器識別手段で判定された調理容器の種類とが異なる場合、加熱手段を停止させれば、誤った制御条件で自動調理が実行されるのを防止することができる。また、調理容器の種類が異なる場合、調理容器識別手段で判定された調理容器の種類に応じた修正モードで自動調理を継続させれば、誤った調理容器の種類が選択されていた場合でも、被調理物を適切に自動調理により加熱調理することができる。これにより、調理の失敗を防止することができる。
【0019】
好ましくは、上記加熱調理器は、さらに、
グリル庫内に収容する調理容器の種類及び調理メニューを選択する操作部と、
調理メニューに対応した調理容器の種類を記憶する調理容器記憶部と、を備え、
操作部で選択された調理容器の種類及び調理メニューに応じた調理容器モードで自動調理が行われる加熱調理器であって、
操作部で選択された調理容器の種類と、調理容器識別手段で判定された調理容器の種類とが異なる場合、加熱手段を停止して自動調理を終了させるか、加熱手段の火力及び調理時間を手動で調整するマニュアルモードに変更して調理を継続させるか、または加熱手段の火力を自動で調整し、調理時間を手動で調整する補正モードに変更して自動調理を継続させる制御構成を有する。
【0020】
調理容器の種類及び調理メニューに応じた調理容器モードで自動調理を行うときに、操作部で選択された調理容器の種類と、調理容器識別手段で判定された調理容器の種類とが異なる場合、加熱手段を停止させれば、誤った制御条件で自動調理が実行されるのを防止することができる。また、調理容器の種類が異なる場合、加熱手段の火力を手動で調整するマニュアルモードに変更すれば、使用者が火力を調整して調理を継続させることができるから、途中まで加熱された被調理物の温度が低下してから調理が再開される場合よりも、食味の低下を防止することができる。また、調理容器の種類が異なる場合、加熱手段の火力を調理容器識別手段で判定された調理容器の種類に応じて自動で調整し、調理時間を手動で調整する補正モードに変更すれば、ダッチオーブンのような調理容器の内部が見えない蓋付きの調理容器が用いられる場合でも、適切に被調理物を加熱することできる。これにより、調理容器の選択が誤っていた場合でも、調理の失敗を防止することができる。
【0021】
好ましくは、上記加熱調理器は、さらに、
調理メニューを選択する操作部と、
1つの調理メニューに対応した複数の調理容器の種類を記憶する調理容器記憶部と、
調理容器の種類及び調理メニューに応じた加熱手段の制御条件を記憶する制御条件記憶部と、を備え、
操作部で調理メニューが選択されて自動調理が開始されると、調理容器識別手段により、グリル庫内に収容された調理容器が第1調理容器であるか、第2調理容器であるかを判定し、
調理容器識別手段で判定された調理容器の種類及び操作部で選択された調理メニューに応じた制御条件を制御条件記憶部に記憶された制御条件の中から取得して自動調理を行う制御構成を有する。
【0022】
上記加熱調理器によれば、第1調理容器及び第2調理容器のいずれでも調理可能な共通の調理メニューがある場合、使用者が調理容器の種類を選択することなく、調理容器識別手段で判定された調理容器の種類及び操作部で選択された調理メニューに応じて適切な制御条件が取得されて自動調理が行われる。これにより、グリル庫内に収容されている調理容器に応じて適切な火力で自動調理を行うことができる。また、上記加熱調理器によれば、調理容器の種類の選択が不要となるため、操作部を小さくできるとともに、操作メニューを削減できる。従って、コストを低減できるとともに、使用者の使い勝手を向上させることができる。
【発明の効果】
【0023】
以上のように、本発明によれば、浅型の第1調理容器と、第1調理容器より深い深型の第2調理容器とを入れ替え可能にグリル庫内に収容して加熱調理することができる。また、本発明によれば、各調理容器の温度を正確に検出することができる。さらに、本発明によれば、いずれの調理容器が使用される場合でも、第1温度センサ及び第2温度センサで検出される第1温度及び第2温度を利用して、適切に被調理物を加熱調理することができるから、食味の良好な被調理物を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の一例を示す概略斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の一例を示す側方視概略縦断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の一例を示す前方視概略縦断面図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の一例を示す要部概略斜視図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の一例を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器のグリル用操作ユニットの一例を示す概略構成図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器でグリルプレートを用いて加熱調理を行ったときの温度特性を示すグラフである。
【
図8】
図8は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器でダッチオーブンを用いて加熱調理を行ったときの温度特性を示すグラフである。
【
図9】
図9は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の制御動作の一例を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の制御動作の他の一例を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、本発明の実施の形態2に係る加熱調理器のグリル用操作ユニットの一例を示す概略構成図である。
【
図12】
図12は、本発明の実施の形態2に係る加熱調理器の制御動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(実施の形態1)
以下、本実施の形態に係る加熱調理器を、添付図面を参照しながら具体的に説明する。
図1は、本実施の形態に係る加熱調理器の一例であるガスコンロを示す概略斜視図である。
図1に示すように、ガスコンロは、天板11の上面に設けられた複数のコンロバーナ1と、調理容器上に被調理物を載置して加熱調理可能なグリル2とを備える。グリル2は、コンロ本体10の内部に搭載され、前方に開口する矩形箱状のグリル庫20と、グリル庫20の前面開口部100を前方から被閉するグリル扉5を備える。調理容器としては、浅型の第1調理容器であるグリルプレート80や深型の第2調理容器であるダッチオーブン90(以下、これらを総称する場合、単に「調理容器80,90」という)などを用いることができ、これらの調理容器80,90は、被調理物の種類などに応じて、入れ替えられてグリル庫20内に収容される。なお、浅型の第1調理容器または深型の第2調理容器として、ココットなど他の調理容器を使用することもできる。グリルプレート80としては、例えば、平面視略長方形状の浅皿状であって、金属製や陶器製のものが使用される。また、例えば、ダッチオーブン90の本体としては、グリルプレート80よりも一回り小さな平面視略長方形状の深皿状であって、金属製や陶器製のものが使用される。図示しないが、ダッチオーブン90は、ダッチオーブン90の本体の上方開口部を被閉する蓋体を有する。
【0026】
図1及び
図2に示すように、グリル扉5は、前後にスライド開閉するようにコンロ本体10に連結支持されている。グリル扉5の後面下方には、グリル庫20内へ向かって連結板210が延設されており、連結板210に調理容器80,90を支持する支持体220が連結されている。これにより、グリル扉5を手前に引くことで、支持体220とともに調理容器80,90がグリル庫20の前方に引き出され、グリル扉5を後方に押すことで、支持体220とともに調理容器80,90がグリル庫20内に収容されるように構成されている。なお、本明細書では、グリル扉5が設けられている面を正面とし、グリル扉5側から見たときのグリル扉5とグリル庫20の奥側とが対向する方向を前後方向、グリル庫20の幅方向を左右方向、グリル庫20の高さ方向を上下方向という。
【0027】
図2~
図4に示すように、調理容器80,90は、1つの支持体220により下方から支持されてグリル庫20内に収容される。支持体220は、グリルプレート80の下面の形状及びダッチオーブン90の側面及び下面の形状に合わせて、複数の線材を所定形状に変形させ、それらを所定の高さで固定することにより、グリルプレート80及びダッチオーブン90をそれぞれ所定の高さ及び所定の水平方向位置に配置できるようになっている。具体的には、支持体220は、連結板210の後面から後方に向かって延設され、グリル庫20の底壁23の上面に前後摺動可能に当接支持される上方視略コ字状の下枠体220aと、下枠体220aの上部に連結支持され、グリルプレート80を下方から支持する上方視略矩形状の上枠体220bと、下枠体220aの上部における上枠体220bより下方位置に連結支持され、ダッチオーブン90を下方から支持する上方視略矩形状の中枠体220cとを有する。これら下枠体220a、上枠体220b、及び中枠体220cは一体的に構成される。
【0028】
上枠体220bは、中枠体220cより前後及び左右の幅が大きく形成されている。従って、支持体220の上方からダッチオーブン90を下方に移動させると、ダッチオーブン90は上枠体220bの内側の空間にて中枠体220cに支持される。また、上枠体220bは、グリルプレート80の前後及び左右の側面の幅よりも若干小さく形成されている。従って、支持体220の上方からグリルプレート80を下方に移動させると、グリルプレート80は、中枠体220cに支持されるダッチオーブン90の下面高さより上方位置にて上枠体220bに支持される。また、下枠体220aの後枠部の左右中央部は上方に折り曲げられている。
【0029】
グリル庫20の底壁23の後方左右中央部には、底壁23の一部を成形することによって、上方に突出する高さの異なる2つの段部23a,23bが前後に並んで形成されている。後側段部23bは、前側段部23aの頂面部よりも高く、上枠体220bに支持されるグリルプレート80の後部下面と対向する位置に頂面部を有する。また、前側段部23aは、後側段部23bの頂面部より低く、中枠体220cに支持されるダッチオーブン90の後部下面と対向する位置に頂面部を有する。
【0030】
後側段部23bの頂面部の左右中央部には、グリルプレート80の下面に当接し、グリルプレート80の下面の温度を検出する第1温度センサ71bが、センサカバー72bで覆われた状態で頂面部より上方に突出するように配設されている。前側段部23aの頂面部の左右中央部には、ダッチオーブン90の下面に当接し、ダッチオーブン90の下面の温度を検出する第2温度センサ71aが、センサカバー72aで覆われた状態で頂面部より上方に突出するように配設されている。従って、グリルプレート80の下面の温度を検出する第1温度センサ71bと、ダッチオーブン90の下面の温度を検出する第2温度センサ71aとは、第2温度センサ71aが第1温度センサ71bよりもグリル庫20の前方のグリル扉5側に位置し、且つ第1温度センサ71bよりも下方に位置するように、前後及び上下方向で異なる位置に配設されている。これらの第1温度センサ71b及び第2温度センサ71aは、後述するガスコンロの制御装置Cと接続されており、第1温度センサ71b及び第2温度センサ71aの検出信号は制御装置Cに出力される。なお、第1温度センサ71bと第2温度センサ71aの上記位置関係が維持されれば、前側段部23aを形成することなく、底壁23の平面部に第2温度センサ71aを設けてもよい。
【0031】
グリル庫20の底壁23の後方左右両端部にはそれぞれ、前後方向に延び、前側段部23aの頂面部よりも低い突出高さを有する隆起部23cが形成されている。また、隆起部23cは、前端部が前側段部23aの前端部よりも若干前方に位置し、後端部がグリル庫20の後壁25よりも前方に位置するように形成されている。従って、グリル扉5を閉じていくと、下枠体220aの後枠部の左右両端部が隆起部23cに乗り上げ、それに伴って調理容器80,90の後部が所定高さまで上方に持ち上げられる。これにより、調理容器80,90をそれぞれグリル庫20内に収容させるとき、調理容器80,90が第1温度センサ71b及び第2温度センサ71aのセンサカバー72b,72aに衝突することなく後方に移動される。そして、さらにグリル扉5を閉じていき、下枠体220aの後枠部の左右両端部が隆起部23cを乗り越えると、支持体220が略水平状態となり、それに伴って略水平状態のグリルプレート80の後部下面が第1温度センサ71bのセンサカバー72bの上面に、ダッチオーブン90の後部下面が第2温度センサ71aのセンサカバー72aの上面に上方から当接する。なお、下枠体220aの後枠部の左右中央部は上方に折り曲げられているため、上記のようにグリル扉5が閉じられても、支持体220はセンサカバー72b,72aに衝突することなく後方に移動される。なお、隆起部23cの形成位置は、グリル庫20の底壁23の段部23a,23bの左右方向外方に限定されず、調理容器80,90とセンサカバー72b,72aとの衝突を回避することができれば、任意の位置に設けることができる。
【0032】
図2及び
図3に示すように、グリル庫20の上壁24には上火バーナ56が設けられている。上火バーナ56は、例えば、下面がセラミック製の板体で構成された表面燃焼式のセラミックバーナであり、上記板体の下面に炎孔560が開設されている。従って、混合管(図示せず)から燃料ガスと一次空気とが供給されて、上火バーナ56が点火されると、板体の下面に燃料ガスの燃焼炎が形成され、その輻射熱や燃焼排気により、グリル庫20内の所定の高さ位置にて支持される調理容器80,90が上方から加熱される。上火バーナ56の炎孔560には、燃料ガスを点火させるための点火電極65の電極部と、燃焼炎を検出するための熱電対66とが臨んでいる(
図5参照)。
【0033】
グリル庫20の左右側壁21,22の下方領域には、前後方向に長い導入口201,202が開口されている。これらの導入口201,202は、グリル庫20内にグリルプレート80が収容されたとき、導入口201,202の下端がグリルプレート80の下面よりも若干下方に位置するように設けられている。また、グリル庫20の左右側壁21,22の外側には、左右側壁21,22に沿って前後方向に延びる左右一対の下火バーナ55a,55bが配設されている。各下火バーナ55a,55bは、細長平板状に形成されたバーナ本体500の内側縁部に複数の炎孔550を有し、炎孔550が導入口201,202に臨んでいる。各下火バーナ55a,55bは、例えば、所定箇所を打ち抜き加工してスリット状の炎孔550を構成する開口部が複数、穿設された一枚の金属板を開口部近傍で折り曲げるとともに、略直管状に成形し、金属板の端部を接合させることにより形成される。各下火バーナ55a,55bの炎孔550には、燃料ガスを点火させるための点火電極61,63の電極部と、燃焼炎を検出するための熱電対62,64とが臨んでいる(
図5参照)。
【0034】
複数の炎孔550は、バーナ本体500の左右方向内側縁部に沿って前後方向に所定の間隔でグリル庫20の左右方向内方に向かって開口しており、混合管551から一次空気とともにバーナ本体550内に供給される燃料ガスをグリル庫20の左右方向内方に向かって噴出する。従って、各下火バーナ55a,55bを点火させると、バーナ本体500の炎孔550に燃焼炎が形成され、その燃焼排気は、グリル庫20の左右側壁21,22の導入口201,202を介して左右中央部に向けて噴出される。
【0035】
このとき、既述したように、グリルプレート80は、支持体220の上枠体220bによって下方から支持され、グリルプレート80の後部下面は、前側段部23aの頂面部よりも高い後側段部23bの頂面部に設けられた第1温度センサ71bのセンサカバー72bの上面に当接しているため、後側段部23bよりも前方のグリルプレート80の下面とグリル庫20の底壁23との間には、一定の高さの空間が形成される。そして、導入口201,202の下端はグリルプレート80の下面よりも若干下方に位置するように設けられているため、下火バーナ55a,55bから噴出される燃焼排気の一部は、グリルプレート80の下方の空間を流れる。これにより、グリルプレート80の下面を下方から均一に加熱することができる。
【0036】
また、前側段部23aより高い頂面部を有する後側段部23bはグリル庫20の底壁23の後壁25側に形成されているため、グリル庫20内の後側段部23bの前方には、後側段部23bが形成されている後壁25側よりも高い一定の高さの空間が形成される。また、ダッチオーブン90は、支持体220の中枠体220cによって下方から支持され、ダッチオーブン90の後部下面は後側段部23bの頂面部よりも低い前側段部23aの頂面部に設けられた第2温度センサ71aのセンサカバー72bの上面に当接するため、グリルプレート80より深いダッチオーブン90をグリル庫20内に収容させることができる。これにより、ダッチオーブン90を用いて加熱調理するときの被調理物の大きさや調理量の制限を緩和させることができる。また、ダッチオーブン90をグリル庫20内に収容させるとき、支持体220が隆起部23cに乗り上げてダッチオーブン90が上方に持ち上げられても、グリル庫20の上壁24とダッチオーブン90との接触を防止することができる。そして、下火バーナ55a,55bの炎孔550はグリル庫20の左右側壁21,22の下方領域に形成された導入口201,202に臨んでおり、ダッチオーブン90は支持体220の中枠体220cによって下方から支持され、ダッチオーブン90の下面は前側段部23aの頂面部に設けられた第2温度センサ71aのセンサカバー72aに当接しているため、下火バーナ55a,55bから噴出される燃焼排気によって、ダッチオーブン90の側面を均一に加熱することができる。
【0037】
グリル庫20の後壁25には、グリル庫20内に放射された燃焼ガスの排気通路300を構成する排気ダクト30が連設されている。排気ダクト30は、グリル庫20の後壁25から天板11の下面側に向かって延設されており、その上端開口は天板11の上面に開設された排気用開口13に下方から臨んでいる。
【0038】
図5は、本実施の形態のガスコンロのブロック図である。なお、制御装置Cは、上下バーナ56,55a,55bだけでなく、コンロバーナ1の燃焼も制御するが、以下では上下バーナ56,55a,55bのみについて説明し、コンロバーナ1については説明及び図示を省略する。
【0039】
図5に示すように、ガスコンロには、メインガス供給路から分岐したグリル庫用ガス供給路Lgと、図示しないコンロ用ガス供給路とが設けられており、グリル庫用ガス供給路Lgは、さらに上火バーナ56に燃料ガスを供給する上部ガス供給路Lhと、左右の両下火バーナ55a,55bに燃料ガスを供給する主下部ガス供給路Lsとに分岐している。グリル庫用ガス供給路Lgには、上下バーナ56,55a,55bへの燃料ガスの供給を遮断するグリル庫用電磁弁501が介設されており、上部ガス供給路Lhには、上火バーナ56への燃料ガスの供給量を調整する上部流量調整弁502が介設されている。
【0040】
主下部ガス供給路Lsは、左下火バーナ55aに燃料ガスを供給する第1下部ガス供給路L1と、右下火バーナ55bに燃料ガスを供給する第2下部ガス供給路L2とに分岐している。主下部ガス供給路Lsには、両下火バーナ55a,55bへの燃料ガスの供給量を調整する下部流量調整弁503が介設されている。
【0041】
グリル庫用電磁弁501、上部流量調整弁502、及び下部流量調整弁503は、制御装置Cと図示しない電気配線を介して接続されており、制御装置Cからの制御信号により、その開閉や開度が制御される。具体的には、本実施の形態では、上下バーナ56,55a,55bを燃焼させている状態で、グリル庫用電磁弁501を閉弁させることにより、全ての上下バーナ56,55a,55bが消火される。また、上火バーナ56を燃焼させている状態で、上部流量調整弁502の開度を調整することにより、上火バーナ56の火力が強火と弱火との間で切り替えられる。また、両下火バーナ55a,55bを燃焼させている状態で、下部流量調整弁503の開度を調整することにより、両下火バーナ55a,55bの火力が強火と弱火との間で切り替えられる。なお、上下バーナ56,55a,55bの火力は3段階以上で切り替えられてもよい。
【0042】
図1に戻って、グリル扉5の左側前面部には、上下バーナ56,55a,55bの点・消火と火力調整機能を兼備したグリル用スイッチ41と、その下方のカンガルー式のグリル用操作ユニット(操作部)40とが設けられている。グリル用操作ユニット40は、使用者が下方の前面パネル401を押し操作することにより、手前に傾斜して使用者が操作可能に構成されている。また、使用者が前面パネル401を閉じると、グリル用操作ユニット40がコンロ本体10内に格納される。コンロ本体10のグリル扉5の右側前面部には、電源スイッチ46と、コンロバーナ1の点・消火と火力調整機能を兼備したコンロ用スイッチと、その下方のカンガルー式のコンロ操作ユニット(図示せず)とが設けられている。
【0043】
図6に示すように、グリル用操作ユニット40には、自動調理による調理容器の種類を選択し設定する容器選択スイッチ402と、調理容器の種類に応じた自動調理による調理メニューを選択し設定する調理メニュー選択スイッチ403と、被調理物の焼き加減や仕上がりを設定するための焼き上げ条件やタイマー調理における調理時間を設定するアップダウンスイッチ404と、表示部405とを備える。具体的には、容器選択スイッチ402が押し操作されるごとに、「グリルプレート」または「ダッチオーブン」の調理容器モードが択一的に選択設定されて、表示部405の上部領域にハイライト表示される。また、「グリルプレート」の調理容器モードが選択設定された状態で調理メニュー選択スイッチ403が押し操作されるごとに、「タイマー調理」や、「焼き魚」、「トースト」、「ピザ」、「ノンフライから揚げ」、「焼き鳥」の調理メニューが択一的に選択設定されて、表示部405の中央領域にハイライト表示される。また、「ダッチオーブン」の調理容器モードが選択設定された状態で調理メニュー選択スイッチ403が押し操作されるごとに、「タイマー調理」や、「グラタン」、「肉じゃが」、「ポトフ」、「蒸し野菜」、「パウンドケーキ」の調理メニューが択一的に選択設定されて、表示部405の中央領域にハイライト表示される。また、「焼き魚」や「グラタン」等の各調理メニューが選択設定された状態でアップダウンスイッチ404が押し操作されると、「強め」、「標準」、「弱め」などの焼き加減や仕上がりが択一的に選択されて、表示部405の下方領域に表示される。また、図示しないが、「タイマー調理」が選択設定された状態でアップダウンスイッチ404が押し操作されると、調理時間が増減されて、表示部405の下方領域に表示される。
【0044】
図示しないが、グリル庫20を制御する制御装置Cには、制御プログラムが格納されたマイクロコンピュータが組み込まれている。マイクロコンピュータは、グリル用操作ユニット40で調理容器の種類、調理メニュー、焼き上げ条件等が選択設定された場合、制御プログラムに従って、上下バーナ56,55a,55bの火力や調理時間などを制御する。また、制御装置Cは、機能構成として、グリル用操作ユニット40で設定される調理容器の種類、調理メニュー、焼き上げ条件等に応じて上下バーナ56,55a,55bの火力や調理時間の制御条件を設定する自動調理設定部、自動調理中にグリル庫用電磁弁501、上部流量調整弁502、及び下部流量調整弁503を作動させて、上下バーナ56,55a,55bの火力を調整する燃焼制御部、自動調理中に第1温度センサ71bで検出される第1温度や第2温度センサ71aで検出される第2温度、調理時間に基づき、上下バーナ56,55a,55bの火力の増減を燃焼制御部に指示する調整指示部、自動調理中に第1温度センサ71bで検出される第1温度や第2温度センサ71aで検出される第2温度、調理時間に基づき、調理の終了を判断する調理判定部、自動調理中に第1温度センサ71bで検出される第1温度と第2温度センサ71aで検出される第2温度とに基づき、グリル庫20内に収容された調理容器がグリルプレート80であるかダッチオーブン90であるかを判定する調理容器識別部(調理容器識別手段)、容器選択スイッチ402で選択設定された調理容器の種類と、調理容器識別部により判定された調理容器の種類とが一致しない場合、グリル用操作ユニット40の表示部405や図示しない音声出力部から容器誤設定を報知させる報知制御部、容器選択スイッチ402で選択設定された調理容器の種類と、調理容器識別部により判定された調理容器の種類とが一致しない場合、使用者が調理容器モードの修正を選択すると、調理容器識別部で判定された調理容器の種類に応じた調理容器モードに修正して自動調理を継続するモード修正部、容器選択スイッチ402で選択設定された調理容器の種類と、調理容器識別部により判定された調理容器の種類と一致しない場合、使用者がマニュアルモードを選択すると、自動調理を中止し、以後の上下バーナ56,55a,55bの火力をグリル用スイッチ41の手動操作に応じて燃焼制御部で調整して加熱調理を継続する手動変更部、計時部などを有している。
【0045】
また、マイクロコンピュータのメモリには、自動調理が選択された場合に調理容器識別部でグリル庫20内に収容されている調理容器の種類を判定するための所定の判定時間や閾値、グリル用操作ユニット40で選択設定される調理容器の種類、調理メニュー、焼き上げ条件等に応じた上下バーナ56,55a,55bの設定火力、各切替温度、調理完了温度、異常過熱防止温度、調理終了時間などの制御条件や、所定の調理メニューに対応する調理容器の種類などが記憶されたデータテーブルが格納されている。従って、本実施の形態では、メモリに格納されているデータテーブルが、制御条件記憶部及び調理容器記憶部を構成する。これらの設定値は、予め実験により求めることができる。
【0046】
図7は、本実施の形態のガスコンロで、グリルプレート80を用いて加熱調理を行ったときの第1温度センサ71bで検出される第1温度Tp及び第2温度センサ71aで検出される第2温度Tdの温度変化の一例を示すグラフである。また、
図8は、本実施の形態のガスコンロで、ダッチオーブン90を用いて加熱調理を行ったときの第1温度Tp及び第2温度Tdの温度変化の一例を示すグラフである。なお、調理容器の種類による温度変化を対比するため、調理開始の初期段階における上下バーナ56,55a,55bの火力は同一条件に設定されている。
【0047】
図7及び
図8に示すように、グリルプレート80及びダッチオーブン90のいずれがグリル庫20内に収容されているときでも、加熱開始から一定時間内では、調理容器80,90が当接している温度センサで検出される温度(
図7における第1温度Tp、
図8における第2温度Td)は、調理容器80,90が当接していない温度センサで検出される温度(
図7における第2温度Td、
図8における第1温度Tp)よりも低いことが分かる。これは、調理容器80,90が当接している温度センサは、熱容量が大きく、初期加熱によって温度の上昇し難い調理容器80,90からの伝導熱を検出しているのに対し、調理容器80,90が当接していない温度センサは、グリル庫20内の下方の空間を流れる燃焼排気の温度を検出しているためである。従って、加熱調理が開始されてから所定の判定時間X(例えば、5分間)が経過した時点における第1温度Tp(x)と第2温度Td(x)とを対比することにより、グリル庫20内に収容されている調理容器の種類を判定することができる。なお、
図7及び
図8に示すように、第1温度センサ71b及び第2温度センサ71aのいずれの温度センサでも、調理容器に温度センサが当接している場合と、調理容器に温度センサが当接していない場合とでは、所定の判定時間が経過したときの温度上昇の程度が異なる。従って、調理容器に温度センサが当接しているときと当接していないときとを識別する閾値を設定すれば、いずれか一方の温度センサの温度のみからでも、グリル庫20内に収容されている調理容器の種類を判定することができる。
【0048】
また、グリルプレート80やダッチオーブン90などの一定の熱容量を有する調理容器をグリル庫20内に収容して加熱調理が行われる場合、庫内温度や調理容器80,90の温度を上昇させるため、加熱調理の開始から一定時間、上下バーナ56,55a,55bを強火で燃焼させることが好ましい。従って、後述するように、上下バーナ56,55a,55bの火力が強火に設定されている調理時間内にグリル庫20内に収容されている調理容器の種類を判定して、グリル庫20内に収容されている調理容器の種類に応じた制御条件で自動調理を実行すれば、被調理物を適切に加熱調理することができる。
【0049】
次に、本実施の形態の加熱調理器における自動調理で行われるときの制御動作を説明する。
図9は、グリルプレート80及びダッチオーブン90のいずれでも設定されている同種の調理メニューであるタイマー調理で、調理容器の種類を選択して自動調理が行われるときの制御動作の一例を示す。使用者が電源スイッチ46をオン操作した後、例えば、容器選択スイッチ402で、「ダッチオーブン」を選択設定し(ステップS1で、Yes)、調理メニュー選択スイッチ403で、「タイマー調理」を選択設定し、アップダウンスイッチ404で、調理時間を設定し、グリル用スイッチ41で点火操作を行うと(ステップS2~S4)、上下バーナ56,55a,55bが点火され、「ダッチオーブン」の調理容器モードで、調理メニュー「タイマー調理」に応じて設定されている制御条件が読み込まれて、自動調理が開始される(ステップS5)。
【0050】
自動調理が開始されると、上下バーナ56,55a,55bが所定の強火で燃焼され、調理開始から所定の判定時間Xが経過すると(ステップS6で、Yes)、第1温度Tp(x)と第2温度Td(x)との温度が対比される(ステップS7)。このとき、第1温度Tp(x)と第2温度Td(x)との温度差(Tp(x)-Td(x))が所定の閾値A(例えば、20℃)よりも高ければ(ステップS7で、Yes)、既述したようにグリル庫20内に収容された調理容器はダッチオーブン90であり、容器選択スイッチ402で選択された調理容器の種類と、調理容器識別部で判定された調理容器の種類とは一致している。このため、設定された制御条件に基づいて自動調理が継続される(ステップS12)。
【0051】
一方、第1温度Tp(x)と第2温度Td(x)との温度差(Tp(x)-Td(x))が所定の閾値Aよりも低ければ(ステップS7で、No)、グリル庫20内に収容された調理容器はグリルプレート80であり、容器選択スイッチ402で選択された調理容器の種類と、調理容器識別部で判定された調理容器の種類とが異なる。このため、容器誤設定を示す表示や音声をグリル用操作ユニット40の表示部405や図示しない音声出力部から報知させるとともに、使用者に自動調理を中止させるか、調理容器モードを変更した修正モードにより自動調理を継続させるかの中止/継続選択メニューを表示部405に表示させる(ステップS8~S9)。このとき、所定時間内に使用者が自動調理の中止を選択すると(ステップS10で、Yes)、上下バーナ56,55a,55bを消火させて、自動調理を終了させる(ステップS13)。また、所定時間内に使用者が修正モードを選択すると(ステップS11で、Yes)、「ダッチオーブン」の調理容器モードで、調理メニュー「タイマー調理」に応じて設定されている制御条件における加熱量よりも低い加熱量が設定されている「グリルプレート」の調理容器モードで、調理メニュー「タイマー調理」に応じて設定されている制御条件に変更されて、以後の自動調理が継続される(ステップS12)。
【0052】
また、使用者が電源スイッチ46をオン操作した後、例えば、容器選択スイッチ402で、「グリルプレート」を選択設定し(ステップS21で、Yes)、調理メニュー選択スイッチ403で、「タイマー調理」を選択設定し、アップダウンスイッチ404で、調理時間を設定し、グリル用スイッチ41で点火操作を行うと(ステップS22~S24)、上記と同様に、自動調理が開始される。そして、調理開始から所定の判定時間Xが経過すると(ステップS26で、Yes)、第1温度Tp(x)と第2温度Td(x)との温度が対比される(ステップS27)。このとき、第1温度Tpと第2温度Tdとの温度差(Tp(x)-Td(x))が所定の閾値Aよりも低ければ(ステップS27で、No)、グリル庫20内に収容された調理容器はグリルプレート80であり、容器選択スイッチ402で選択された調理容器の種類と、調理容器識別部で判定された調理容器の種類とは一致している。このため、設定された制御条件に基づいて自動調理が継続される(ステップS32)。一方、第1温度Tp(x)と第2温度Td(x)との温度差(Tp(x)-Td(x))が所定の閾値Aよりも高ければ(ステップS27で、Yes)、グリル庫20内に収容された調理容器はダッチオーブン90であり、容器選択スイッチ402で選択された調理容器の種類と、調理容器識別部で判定された調理容器の種類とが異なる。このため、上記と同様に、所定の容器誤設定の報知を行い、所定時間内に使用者が自動調理の中止を選択すると、自動調理を終了させる(ステップS28~S30,S13)。また、使用者が修正モードを選択すると(ステップS31で、Yes)、「グリルプレート」の調理容器モードで、調理メニュー「タイマー調理」に応じて設定されている制御条件における加熱量よりも高い加熱量が設定されている「ダッチオーブン」の調理容器モードで、調理メニュー「タイマー調理」に応じて設定されている制御条件に変更されて、以後の自動調理が継続される(ステップS32)。
【0053】
図10は、調理容器の種類及び一方の調理容器に専用の調理メニューを選択設定して、自動調理が行われるときの制御動作の一例を示す。使用者が電源スイッチ46をオン操作した後、例えば、容器選択スイッチ402で、「ダッチオーブン」を選択設定し、調理メニュー選択スイッチ403で、「グラタン」を選択設定し、アップダウンスイッチ404で、仕上がりに「標準」を選択設定し、グリル用スイッチ41で点火操作を行うと、上下バーナ56,55a,55bが点火されて、「ダッチオーブン」の調理容器モードで、調理メニュー「グラタン」、及び仕上り「標準」に応じて設定されている制御条件が読み込まれて、自動調理が開始される(ステップS41~S45)。
【0054】
自動調理が開始されると、上記と同様に、調理容器の種類の判定が実行される(ステップS46~S47)。そして、容器選択スイッチ402で選択された調理容器の種類と、調理容器識別部で判定された調理容器の種類とが一致している場合(ステップS47で、Yes)、設定された制御条件に基づいて自動調理が継続される(ステップS52)。また、調理容器の種類が不一致の場合(ステップS47で、No)、所定の容器誤設定の報知を行い、所定時間内に使用者が自動調理の中止を選択すると、自動調理を終了させる(ステップS48~S50,S53)。一方、既述したように調理メニュー「グラタン」は、「ダッチオーブン」の調理容器モード専用の調理メニューであり、「グリルプレート」の調理容器モードには設定されていない調理メニューである。このため、表示部405に使用者が手動で上下バーナ56,55a,55bの火力を調整するマニュアルモードに変更して調理を継続するかどうかの選択メニューを表示させる(ステップS49)。そして、所定時間内に使用者がマニュアルモードを選択すれば(ステップS51で、Yes)、グリル用スイッチ41の手動操作による上下バーナ56,55a,55bの火力の調整を可能とし、調理が継続される。なお、マニュアルモードにおいて、使用者は手動で火力だけでなく、調理時間も設定してもよい。
【0055】
以上詳細に説明したように、上記実施の形態によれば、浅型の調理容器であるグリルプレート80の下面の温度をグリル庫20の底壁23の後壁25側の後側段部23b上に配設された第1温度センサ71bにより検出することができる。また、後側段部23bはグリル庫20の底壁23の後壁25側で上方に突出するように設けられているから、第1温度センサ71bがグリルプレート80の下面に当接すると、後側段部23bよりもグリル庫20の前方のグリルプレート80の下面とグリル庫20の底壁23との間に一定の高さの空間が形成される。これにより、グリルプレート80を下方から均一に加熱することができる。また、上記実施の形態によれば、第2温度センサ71aは、第1温度センサ71bより前方のグリル扉5側であって、第1温度センサ71bよりも下方に配設されているから、後側段部23bよりも前方のグリル庫20内には後壁25側よりも高い一定の高さの空間が形成される。これにより、グリル庫20内に深型の第2調理容器であるダッチオーブン90を収容させることができる。また、第2温度センサ71aは第1温度センサ71bよりもグリル庫20内の前方であって、且つ第1温度センサ71bよりも下方に配設されているから、グリル庫20内で後側段部23bよりも前方に収容されるダッチオーブン90の下面の温度を第2温度センサ71aにより検出することができる。
【0056】
また、上記実施の形態によれば、2つの調理容器80,90に対して単一の支持体220を使用することができる。これにより、支持体220の選択ミスが起こらないから使い勝手に優れる。また、2つの調理容器80,90と1つの支持体220の収納スペースを確保すればよいので、収納スペースを小さくすることができる。
【0057】
また、上記実施の形態によれば、グリル庫20の底壁23に隆起部23cが形成されているため、いずれの調理容器80,90をグリル庫20内に収容させる場合でも、第1温度センサ71b及び第2温度センサ71aへの調理容器80,90の衝突を防止することができる。これにより、第1温度センサ71b及び第2温度センサ71aの損傷を防止することができる。また、支持体220が隆起部23cを乗り越えると、各温度センサの上面に対応する調理容器80,90の下面が当接するから調理容器80,90の下面の温度を正確に検出することができる。
【0058】
また、上記実施の形態によれば、第1温度センサ71b及び第2温度センサ71aは、グリル庫20の前後及び高さ方向の異なる位置で対応する調理容器80,90の下面に当接するように配設されているから、一方の温度センサに調理容器80,90が当接していれば、他方の温度センサはグリル庫20内の庫内温度を検出する。従って、第1温度センサ71bで検出される第1温度または第2温度センサ71aで検出される第2温度の少なくともいずれか一方の温度を検出すれば、いずれの温度センサに調理容器80,90が当接しているかを判定することができる。これにより、使用者にグリル庫20内に収容されている調理容器の種類を認識させることができるとともに、グリル庫20内に収容されている調理容器80,90に応じて調理を行うことができる。
【0059】
また、タイマー調理などの調理容器の種類に関わらず同種の調理メニューが自動調理に設定されていると、使用者が調理容器の種類の選択を誤る場合がある。一方、グリルプレート80などの浅型の調理容器とダッチオーブン90などの深型の調理容器とは熱容量が相違するため、自動調理では各調理容器を異なる制御条件で加熱調理する必要がある。従って、調理容器の種類に応じた調理容器モードで自動調理が行われるときに、グリル用操作ユニット40で選択された調理容器の種類と、調理容器識別部で判定された調理容器の種類とが異なる場合、加熱調理を中止させれば、誤った制御条件で自動調理が実行されるのを防止することができる。また、調理容器の種類が異なる場合、調理容器識別部で判定された調理容器の種類に応じた修正モードで自動調理を継続させれば、誤った調理容器の種類が選択されていた場合でも、被調理物を適切に自動調理により加熱調理することができる。これにより、調理の失敗を防止することができる。なお、調理容器の種類が異なると初期の加熱による被調理物の調理の進行状態が異なる場合がある。このため、修正モードは、調理容器識別部で判定された調理容器の種類に応じた調理モードで設定されている制御条件と完全に一致している必要はなく、異なる制御条件を有してもよい。
【0060】
また、調理容器の種類及び調理メニューに応じた調理容器モードで自動調理を行うときに、グリル用操作ユニット40で選択された調理容器の種類と、調理容器識別部で判定された調理容器の種類とが異なる場合、加熱調理を中止させれば、誤った制御条件で自動調理が実行されるのを防止することができる。また、調理容器の種類が異なる場合、上下バーナ56,55a,55bの火力を手動で調整するマニュアルモードに変更すれば、使用者が火力を調整して調理を継続させることができるから、途中まで加熱された被調理物の温度が低下してから調理が再開される場合よりも、食味の低下を防止することができる。これにより、調理容器の選択が誤っていた場合でも、調理の失敗を防止することができる。
【0061】
なお、調理容器の種類及び調理メニューに応じた調理容器モードで自動調理を行うときに、グリル用操作ユニット40で選択された調理容器の種類と、調理容器識別部で判定された調理容器の種類とが異なる場合、上下バーナ56,55a,55bの火力を調理容器識別部で判定された調理容器の種類に応じて自動で調整し、調理時間を使用者が手動で調整する補正モードに変更すれば、ダッチオーブン90のような調理容器の内部が見えない蓋付きの調理容器が用いられる場合でも、適切に被調理物を加熱することできる。
【0062】
(実施の形態2)
本実施の形態に係るガスコンロは、グリル用操作ユニットの構成及び自動調理における制御動作が異なる以外は、実施の形態1のガスコンロと同一の構成を有する。このため、同一の構成については同一の引用番号を使用して説明を省略する。
【0063】
図11は、本実施の形態におけるグリル用操作ユニット(操作部)400を示す概略構成図である。このグリル用操作ユニット400には、調理容器の種類を選択し設定する容器選択スイッチが設けられておらず、グリル用操作ユニット400は、調理メニューを選択し設定する調理メニュー選択スイッチ4030と、被調理物の焼き加減や仕上がりを選択し設定するための焼き上げ条件設定スイッチ4031と、タイマー調理における調理時間を設定するアップダウンスイッチ4032と、調理時間やエラー表示を表示する表示部4033とを備える。このガスコンロでは、調理メニュー選択スイッチ4030が押し操作されるごとに、グリルプレート80専用の調理メニューである「焼き魚」、「鶏もも焼き」、「トースト」や、ダッチオーブン90専用の調理メニューである「ケーキ」、「オーブン」、「根菜蒸し」、グリルプレート80及びダッチオーブン90共通の調理メニューである「タイマー調理」、「やきいも」が選択設定される。また、実施の形態1と同様に、焼き上げ条件設定スイッチ4031が押し操作されるごとに、焼き加減や仕上がりが選択設定され、アップダウンスイッチ4032が押し操作されると、調理時間が設定される。なお、表示部4033は、
図6と同様の表示部であってもよい。
【0064】
図示しないが、ガスコンロのマイクロコンピュータのメモリは、実施の形態1と同様の制御プログラムなど以外に、グリルプレート80及びダッチオーブン90共通の調理メニューでは、1つの調理メニューに対応して2つの調理容器80,90が記憶された調理容器記憶部を備えている。
【0065】
図12は、種類の異なる調理容器で、共通する調理メニューを選択設定して、自動調理が行われるときの制御動作の一例を示す。使用者が電源スイッチ46をオン操作した後、例えば、調理メニュー選択スイッチ4030で、「やきいも」を選択設定し、焼き上げ条件設定スイッチ4031で、焼き加減に「標準」を選択設定し、グリル用スイッチ41で点火操作を行うと、上下バーナ56,55a,55bが点火され、所定の強火で自動調理が開始される(ステップS61~S63)。従って、本実施の形態では、調理容器の種類が選択されないため、調理容器モードが設定されることなく、自動調理が開始される。
【0066】
自動調理が開始されて所定の判定時間Xが経過すると、実施の形態1と同様に、調理容器識別部により調理容器の種類の判定が実行される(ステップS64~S65)。そして、第1温度Tp(x)と第2温度Td(x)との温度差(Tp(x)-Td(x))が所定の閾値Aよりも高ければ(ステップS65で、Yes)、グリル庫20内にダッチオーブン90が収容されていると判定され、調理容器「ダッチオーブン」、調理メニュー「やきいも」、及び焼き加減「標準」に応じて設定されている制御条件が読み込まれて自動調理が継続される(ステップS66)。一方、第1温度Tp(x)と第2温度Td(x)との温度差(Tp(x)-Td(x))が所定の閾値Aよりも低ければ(ステップS65で、No)、グリル庫20内にグリルプレート80が収容されていると判定され、調理容器「グリルプレート」、調理メニュー「やきいも」、及び焼き加減「標準」に応じて設定されている制御条件が読み込まれて自動調理が継続される(ステップS67)。
【0067】
上記実施の形態によれば、グリルプレート80及びダッチオーブン90のいずれでも調理可能な共通の調理メニューがある場合、使用者が調理容器の種類を選択することなく、調理容器識別部で判定された調理容器の種類及び選択された調理メニューに応じて適切な制御条件が取得されて自動調理が行われる。これにより、グリル庫20内に収容されている調理容器80,90に応じて適切な火力で自動調理を行うことができる。また、上記実施の形態によれば、調理容器の種類の選択が不要となるため、グリル用操作ユニット400を小さくできるとともに、操作メニューを削減できる。従って、コストを低減できるとともに、使用者の使い勝手を向上させることができる。
【0068】
(その他の実施の形態)
(1)上記実施の形態では、第1温度センサ及び第2温度センサはそれぞれ、後側段部及び前側段部の頂面部に配設されている。しかしながら、第1温度センサ及び第2温度センサをそれぞれ、浅型の調理容器及び深型の調理容器の下面に当接させることができれば、第1温度センサ及び第2温度センサをそれぞれ、段部上の任意の位置に配設してもよい。
(2)上記実施の形態では、下火バーナはグリル庫の左右側壁の外側に配設されている。しかしながら、下火バーナはグリル庫の内側に配設してもよい。
(3)上記実施の形態では、グリルプレートは、略平皿状に形成されている。しかしながら、グリルプレートは、グリルプレートの上方を覆うカバー体を使用してもよい。
(4)上記実施の形態では、加熱調理開始から所定の判定時間、上下バーナを強火で燃焼させた後、第1温度センサで検出される第1温度または第2温度センサで検出される第2温度の少なくともいずれか一方の温度に基づき、グリル庫内に収容された調理容器が第1調理容器であるか、第2調理容器であるかが判定されている。しかしながら、調理容器の種類を判定するときの加熱手段の火力は特に限定されない。すなわち、調理容器と当接していない一方の温度センサはグリル庫内の庫内温度を検知しているため、一方の温度センサで検知される温度と調理容器と当接している他方の温度センサで検知される温度とは、加熱手段の火力を変化させたときの温度変化の挙動が異なる。従って、調理容器の種類の判定のために加熱手段を一定の火力とするだけでなく、火力を変更すれば、より正確に調理容器の種類を判定することができる。例えば、加熱調理開始から一定時間、上下バーナを強火で燃焼させた後、上下バーナを消火または弱火で燃焼させ、再度上下バーナを強火で燃焼させてもよいし、加熱調理開始から一定時間、上下バーナを弱火で燃焼させた後、上下バーナを強火で燃焼させ、再度上下バーナを弱火で燃焼させてもよい。また、加熱調理開始から一定時間、上下バーナを弱火で燃焼させた後、上下バーナを強火で燃焼させてもよい。さらに、このような加熱手段の火力を変更した調理容器の種類の判定は、上記実施の形態における調理容器の種類の判定と併せてまたは別に行ってもよい。
【符号の説明】
【0069】
2 グリル
5 グリル扉
20 グリル庫
23 底壁
23b 後側段部
23c 隆起部
40 グリル用操作ユニット(操作部)
71a 第2温度センサ
71b 第1温度センサ
80 グリルプレート(第1調理容器)
90 ダッチオーブン(第2調理容器)
220 支持体