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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-31
(45)【発行日】2023-06-08
(54)【発明の名称】がんを治療するための新規アプローチ
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/113 20100101AFI20230601BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230601BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20230601BHJP
   A61P 35/04 20060101ALI20230601BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20230601BHJP
   A61K 31/712 20060101ALI20230601BHJP
【FI】
C12N15/113 140Z
A61P35/00 ZNA
A61P35/02
A61P35/04
A61K31/7088
A61K31/712
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019540692
(86)(22)【出願日】2017-10-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-10-17
(86)【国際出願番号】 EP2017075511
(87)【国際公開番号】W WO2018065589
(87)【国際公開日】2018-04-12
【審査請求日】2020-10-05
(31)【優先権主張番号】16002166.3
(32)【優先日】2016-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519125450
【氏名又は名称】セカルナ・ファーマシューティカルズ・ゲーエムベーハー・ウント・コ・カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】タマラ・ヒルメンユク
(72)【発明者】
【氏名】フランク・ヤシンスキー
(72)【発明者】
【氏名】リヒャルト・クラール
【審査官】山本 匡子
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-523162(JP,A)
【文献】特表2004-515214(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0172476(US,A1)
【文献】国際公開第2016/057933(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/138278(WO,A2)
【文献】特表2010-514791(JP,A)
【文献】国際公開第2015/181343(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-90
C12Q
MEDLINE/BIOSIS/CAPLUS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号42、配列番号106、配列番号86、配列番号28、配列番号110、配列番号74、配列番号94、配列番号108、配列番号88、配列番号56、配列番号46、配列番号96、配列番号48、配列番号50、配列番号62、配列番号114、配列番号34、配列番号98、配列番号84、配列番号82、配列番号4、配列番号12、配列番号92、配列番号102、配列番号100、配列番号58、配列番号16、配列番号76、配列番号72、配列番号54、配列番号66、配列番号68、配列番号112、及び配列番号104からなる群から選択される配列を含む、10から20ヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドであって、前記オリゴヌクレオチドの配列は、配列番号115のPD-L1核酸コード配列とハイブリダイズし、前記オリゴヌクレオチドの1つ又は複数のヌクレオチドは修飾され、修飾ヌクレオチドは前記オリゴヌクレオチドの5'又は3'末端あるいはそれらの組み合わせにおける5ヌクレオチドの鎖内に位置する、オリゴヌクレオチド。
【請求項2】
前記オリゴヌクレオチドが、HDLM-2細胞におけるPD-L1の発現を、未処理細胞と比べて少なくとも80%又は少なくとも85%、具体的には少なくとも90%、最も具体的には少なくとも95%阻害する、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項3】
前記オリゴヌクレオチドにおける1つ又は複数のヌクレオチドが修飾されており、修飾ヌクレオチドが、LNA、c-ET、ENA、ポリアルキレンオキシド-、2'-フルオロ-、2'-O-メトキシ-、FANA、及び/又は2'-O-メチル修飾ヌクレオチドである、請求項1又は2に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項4】
前記オリゴヌクレオチドが、前記オリゴヌクレオチドの5'末端における5ヌクレオチドの鎖内に少なくとも1つのLNAヌクレオチド、及び前記オリゴヌクレオチドの3'末端における5ヌクレオチドの鎖内に少なくとも1つのLNAヌクレオチドを含むギャップマーである、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチドを含む医薬組成物。
【請求項6】
悪性腫瘍及び良性腫瘍のリストから選択される疾患又は障害を予防及び/又は治療する方法での使用のための、請求項1から4のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチド又は請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記腫瘍が、固形腫瘍、血液性腫瘍、白血病、腫瘍転移、血管腫、聴神経腫、神経線維腫、トラコーマ、化膿性肉芽腫、乾癬、星状細胞腫、聴神経腫、芽細胞腫、ユーイング腫瘍、頭蓋咽頭腫、脳室上衣腫、髄芽腫、神経膠腫、血管芽細胞腫、ホジキンリンパ腫、髄芽腫、白血病、中皮腫、神経芽細胞腫、神経線維腫、非ホジキンリンパ腫、松果体腫、網膜芽細胞腫、肉腫、セミノーマ、トラコーマ及びウィルムス腫瘍からなる群から選択されるか、又は胆管癌、膀胱癌、脳腫瘍、乳がん、気管支原性癌、腎臓の癌、子宮頸がん、絨毛癌、脈絡膜癌、嚢胞腺癌、胎児性癌、上皮癌、食道がん、子宮頸癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜がん、胆嚢がん、胃がん、頭部がん、肝臓癌、肺癌、髄様癌、頚部がん、非小細胞気管支原性/肺癌、卵巣がん、膵臓癌、乳頭状癌、乳頭状腺癌、前立腺がん、小腸癌、前立腺癌、直腸がん、腎細胞癌、網膜芽細胞腫、皮膚がん、小細胞気管支原性/肺癌、扁平上皮癌、脂腺癌、精巣癌及び子宮がんからなる群から選択される、請求項6に記載の使用のためのオリゴヌクレオチド又は医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PD-L1mRNAを標的化することに基づく、腫瘍を治療するための新規アプローチに関する。本発明は、PD-L1mRNAの特異的に選択された領域に相補的な10から20の修飾又は非修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドを対象とする。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
過去数十年のがん研究において、免疫系が有効な抗腫瘍応答の惹起及び解除に不可欠であることが明らかになった。したがって、通常のがん療法に組み込むことが必要である。しかし、がん細胞は、例えば、抗原提示障害を導くHLA分子の下方制御によって、IL-10又はアデノシン等の阻害性可溶性メディエータの分泌によって、又はT細胞阻害性リガンドの発現によって、抗腫瘍免疫応答を回避する機構を発達させた。
【0003】
抗原提示細胞及びがん細胞の表面上に発現した最も顕著な阻害性リガンドは、プログラム死リガンド1及び2(PD-L1/PD-L2)である。表面抗原分類274(CD274)又はB7ホモログ1(B7-H1)としても知られるプログラム死リガンド1(PD-L1)は、ヒトにおいてCD274遺伝子によってコードされるタンパク質である。PD-L2(B7-DC又はCD273)は、専門的な抗原提示細胞(B細胞及び樹状細胞等)上で主に発現され、PD-L1は実質細胞、ウイルス感染細胞及び腫瘍細胞等の非リンパ系細胞、並びにその他の免疫細胞上で発現される。
【0004】
2つのリガンドは、末梢における活性化T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞及び骨髄系細胞等のいくつかの免疫細胞上で発現したそれらの受容体プログラム死1(PD-1)と相互作用する。負の受容体PD-1とそのリガンドとの相互作用の最初の役割は、末梢におけるT細胞及びB細胞の抗原応答の閾値を制御することであると考えられる。正常組織における感染又は炎症中のPD-1のそのリガンドによる活性化は、自己免疫を防ぐために免疫応答の恒常性を維持するのに極めて重要である。しかし、腫瘍微小環境におけるそれらの相互作用は、主に、エフェクターT細胞の免疫応答媒介疲弊又はアネルギーの後期において、抗原に遭遇した後のT細胞受容体の下流の重要なタンパク質を脱リン酸化することによって、腫瘍細胞の免疫逃避をもたらす。抗原認識中のPD-1のそのリガンドによる嵌合は、抗原受容体複合体のPD-1との架橋反応を誘導する。これは、免疫受容体チロシンベーススイッチモチーフ(ITSM)のチロシン残基のリン酸化を媒介し、T細胞におけるZap70等の近位エフェクター分子を脱リン酸化して不活性化するチロシンホスファターゼの動員を導く。これらの分子機構は、TCRシグナル伝達の減少を導き、次に、エフェクターT細胞の増殖及びサイトカイン産生の低下を起こさせる。
【0005】
マウスにおけるPD-1の欠乏は、ウイルス感染に対して抵抗性にさせ、様々な腫瘍モデルにおいては腫瘍増殖及び転移の抑制を誘導する。したがって、PD-1/PD-L1相互作用をブロックすると、細胞傷害性T細胞による腫瘍細胞殺滅の改善が導かれるので、腫瘍を有するマウスにおいて治療上の利益をもたらすことができる。更に、マウスにおけるPD-1発現の欠乏は、末梢寛容の欠如及び狼瘡様糸球体腎炎、関節炎、肝炎又は心筋症等の自己免疫疾患のその後の発症を引き起こす。
【0006】
ヒトにおいて、PD-1コード遺伝子(PDCD1)の遺伝子変化は、全身性エリテマトーデス、1型糖尿病、多発性硬化症、関節リウマチ、グレーブス病及び強直性脊椎炎等のいくつかの自己免疫疾患に対する感受性の増加と関連する。しかし、その他の負の免疫制御因子とは異なり、PD-1欠乏は抗原特異的自己免疫応答だけに特異的に影響を及ぼすが、一方、その他の負の制御因子の欠乏は全身に非抗原特異的な自己免疫表現型を引き起こす。
【0007】
現在まで、モノクローナル抗体による、又はPD-1発現の遺伝子操作によるPD-1/PD-L1相互作用の遮断は腫瘍根絶を向上させた。更に、臨床データは、腫瘍におけるPD-L1発現の増強は様々ながん患者の生存予後不良と相関することを示唆する。これらの結果は、PD-1又はPD-L1のいずれかを標的化するいくつかの様々な完全ヒト化モノクローナル抗体の開発を導いた。それらの抗体の適用は、例えば、患者の一部に薬物関連有害事象を有する非小細胞肺がん、メラノーマ、腎細胞癌及びホジキンリンパ腫の臨床試験において、ヒトにおける良好な応答率を示した。それにも関わらず、PD-1経路の治療による遮断は、現在のところ臨床における免疫学的抗腫瘍療法の最も強力な標的である。
【0008】
しかし、がん患者の大部分(>70%)は、モノクローナル抗体療法を使用したPD-1の治療による遮断にあまり応答しない。これらのデータは、抗腫瘍免疫療法を改善するために、さらなる負の制御因子を遮断し、相加及び/又は相乗効果を有する可能性がある正の制御因子を活性化する薬剤を使用した組み合わせ療法の利用の重要性を示唆する。その他の公知の負の(例えば、LAG-3;TIM-3;2B4;CD160)又は正の(例えば、CD137;CD40)免疫制御経路を標的化する療法と組み合わせた、mRNAレベルでPD-L1発現を標的化するアンチセンスオリゴヌクレオチドの適用は、PD-1経路のみを標的化するよりも優れた治療的有効性を提供することができた。
【0009】
いくつかの研究は、疾患重症度及び悪い患者生存成績と相関する、がん患者の血清中における免疫阻害性可溶型PD-L1(sPD-L1)の存在を示す。したがって、可溶型PD-L1が、全身レベルでPD-L1に対する従来のモノクローナル抗体によって完全に捕捉できないことは十分にあり得る。
【0010】
更に、抗体の分子サイズは巨大であることから、多くの様々な腫瘍の場合のように、高密度で凝縮された組織で発現された標的に到達できない場合がある。
【0011】
したがって、PD-L1の標的化は、様々ながんに対する新規免疫療法を開発し改善する有望なアプローチであると考えられるが、それを実現するための満足のいく解決法はまだ発見されていない。したがって、PD-L1発現及び/又は活性を低下させるか又は阻害する治療薬が、科学的及び医学的に依然として強く必要とされている。
【0012】
類似のシグナル伝達相互作用による経験に基づいて、腫瘍細胞は、遺伝子発現の阻害によって、例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドによって標的化するのにより利用しやすい可能性があると考えられる。したがって、標的発現の阻害は、様々ながんに対する新規免疫療法を開発し改善するために、従来の抗体療法よりも有望なアプローチであり得る。現在、mRNA発現の特異的抑制のために、2つの競合する技術:アンチセンスオリゴヌクレオチド及びsiRNAが主に使用されている。
【0013】
2本鎖の性質のため、siRNAはそれ自体では細胞膜を横断せず、インビトロ及びインビボにおける活性のために送達系が必要である。インビボにおいてsiRNAを肝細胞に効率的に送達するsiRNAの送達系は存在するが、現在、インビボにおいてsiRNAを腫瘍等の肝臓外組織に十分な有効性で送達することができる系はない。したがってPD-L1を標的化するsiRNAアプローチは現在、例えば、樹状細胞をベースにした腫瘍ワクチンの作製のためのエキソビボアプローチに限定されている。
【0014】
アンチセンスオリゴヌクレオチドについては、細胞培養における有効性は典型的に、トランスフェクション試薬又はエレクトロポレーションを使用したトランスフェクション後に判定される。PD-L1を対象とするアンチセンスアプローチは、例えば、国際公開第2006/042237号パンフレット又は国際公開第2016/057933号パンフレット、又はMazanet等、J. Immunol. 169 (2002) 3581~3588に記載されている。
【0015】
2',4'-LNA(例えば、国際公開第2014/154843号パンフレット参照)又は拘束エチル架橋核酸(c-ET)等のいわゆる第3世代化学物質によって修飾されるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、インビトロ及びインビボにおいて標的下方制御を実現する送達系が無くても細胞に入ることができることが最近発見された。
【0016】
更に、2本鎖RNA分子(国際公開第2011/127180号パンフレット)及び5'末端を介して結合した2つのアンチセンス構造物を含むいわゆる「第3世代アンチセンス化合物」(国際公開第2016/138278号パンフレット)をPD-L1阻害剤として試験した。
【0017】
しかし、先行技術で記載されたアプローチでは、中程度の標的抑制レベルしか達成されず、効率的な標的抑制のためには比較的高濃度のオリゴヌクレオチドが必要であった。例えば、米国特許第8,563,528号では、10μMの濃度がちょうど70%の標的阻害を引き起こした。トランスフェクション試薬無しでは第3世代オリゴヌクレオチドのIC50値は典型的に、300から600nMの間の範囲である(Zhang等、Gene Therapy (2011) 18、326~333)。
【0018】
インビボにおける全身投与後、関連する標的組織において比較的低いオリゴヌクレオチド濃度のみが達成され得る。したがって、低濃度で高い最大標的抑制に到達するアンチセンスオリゴヌクレオチドが明らかに治療効果増強を引き起こす。
【0019】
更に、LNA修飾アンチセンス分子を使用する遺伝子サイレンシングの場合、アンチセンス構築物の除去後、標的タンパク質発現レベルが急速に再上昇し、24時間で基準発現の50%に達し、72時間で100%に達することが観察された(Stein等、Nucleic Acids Res. 38 (2010) e3 [doi:10.1093/nar/gkp841]参照)。
【0020】
したがって、PD-L1の標的化は、様々ながんに対する新規免疫療法を開発し改善する有望なアプローチであると考えられるが、それを実現するための満足のいく解決法はまだ発見されていない。したがって、特に期間延長のために、PD-L1発現及び/又は活性を効率的に低下させるか又は阻害する治療薬が、科学的及び医学的に依然として強く必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【文献】国際公開第2006/042237号パンフレット
【文献】国際公開第2016/057933号パンフレット
【文献】国際公開第2014/154843号パンフレット
【文献】国際公開第2011/127180号パンフレット
【文献】国際公開第2016/138278号パンフレット
【文献】米国特許第8,563,528号
【文献】米国特許第4,704,295号
【文献】米国特許第4,556,552号
【文献】米国特許第4,309,406号
【文献】米国特許第4,309,404号
【文献】米国特許第7,622,453号
【非特許文献】
【0022】
【文献】Mazanet等、J. Immunol. 169 (2002) 3581~3588
【文献】Zhang等、Gene Therapy (2011) 18、326~333
【文献】Stein等、Nucleic Acids Res. 38 (2010) e3 [doi:10.1093/nar/gkp841]
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
疾患に起因する標的をアンチセンスアプローチで抑制するという先行技術で記載されたアプローチで得られた結果が不十分であるにも関わらず、本発明者等は、驚くべきことに、ある種の特定のアンチセンス構築物が、HDLM-2細胞におけるPD-L1の発現の阻害を未処理対照と比べて少なくとも80%、いくつかの候補では85%を上回る、90%を上回る、若しくは95%を上回る阻害を実現することができ、且つ/又はU-87MG細胞において未処理対照と比べて少なくとも50%、いくつかの候補では75%を上回る、より具体的には80%を上回る阻害を実現することができることを確認した。HDLM-2細胞におけるIC50値は、いくつかの候補では100nM未満であり、又は選択された候補では更に20nM未満である。最も重要なことに、PD-L1発現の阻害は抗PD-L1構築物を除去した後、特に少なくとも96時間継続した。
【課題を解決するための手段】
【0024】
したがって、第1の態様では、本発明は、10から20ヌクレオチド、特に13から18ヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドであって、前記オリゴヌクレオチドの配列は、配列番号115のPD-L1核酸コード配列のアンチセンス鎖に対応し、オリゴヌクレオチドの1つ又は複数のヌクレオチドは、任意選択で修飾され、前記オリゴヌクレオチドは、HDLM-2細胞におけるPD-L1の発現を、未処理対照と比べて少なくとも80%阻害する、オリゴヌクレオチドに関する。
【0025】
第2の態様では、本発明は、本発明によるオリゴヌクレオチドを含む医薬組成物に関する。
【0026】
第3の態様では、本発明は、悪性腫瘍及び良性腫瘍のリストから選択される疾患又は障害を予防及び/又は治療する方法において使用するための、本発明によるオリゴヌクレオチド又は医薬組成物に関する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】実施例2において記載されるように、HDLM-2細胞におけるPD-L1阻害について第1のオリゴヌクレオチドスクリーニングの結果を示した図である:各構築物について、棒の組みを示す:左、淡色の棒:PD-L1発現;右、濃色の棒:HPRT1発現、陽性対照(左から3番目の組)及び陰性対照オリゴヌクレオチド及びオリゴヌクレオチド無し対照(右の2組)を含む。
図2】実施例2において記載されるように、U-87MG細胞におけるPD-L1阻害の第1のオリゴヌクレオチドスクリーニングの結果を示した図である:各構築物について、棒の組みを示す:左、淡色の棒:PD-L1発現;右、濃色の棒:HPRT1発現、陽性対照(左から15番目の組)及び陰性対照オリゴヌクレオチド(右から17番目の組)及びオリゴヌクレオチド無し対照(右の最後の組)を含む。
図3】実施例3において記載されるように、選択したオリゴヌクレオチド(A03021;A03053;A03043;A03037;A03014)の様々な濃度(10μM;1μM;0.5μM;0.1μM)のHDLM-2細胞への添加の結果を示した図である。PD-L1タンパク質レベルは、オリゴ処理後の様々な時点(24時間=黒色の棒;48時間=淡灰色の棒;72時間=濃灰色の棒;96時間=白色の棒)でフローサイトメトリーによって判定した。細胞当たりのPD-L1タンパク質発現は、平均蛍光強度(MFI)として示す。
図4】実施例3において記載されるように、オリゴヌクレオチドA03043Hの様々な濃度(10μM;5μM;1μM;0.5μM;0.1μM;0.05μM)の初代ヒト樹状細胞への添加の結果を示した図である。PD-L1タンパク質レベルは、オリゴ処理後72時間にフローサイトメトリーによって判定した。細胞当たりのPD-L1タンパク質発現は、蛍光強度中央値(MFI)として示す。
図5A】本発明の文脈において使用することができるいくつかの様々な修飾ヌクレオチドを示した図である。
図5B】本発明の文脈において使用することができるいくつかの様々な修飾ヌクレオチドを示した図である。
図5C】本発明の文脈において使用することができるいくつかの様々な修飾ヌクレオチドを示した図である。
図6】実施例5において記載されるように、RENCA細胞におけるマウスPD-L1阻害についてオリゴヌクレオチドスクリーニングの結果を示した図である:各構築物について、棒の組みを示す:左、淡色の棒:マウスPD-L1発現;右、濃色の棒:マウスHPRT1発現、いずれもオリゴ無し対照(=1.00)と比べ、陰性対照オリゴヌクレオチドの棒(右の棒の組)を含む。
図7】実施例5において記載されるように、4T1細胞におけるマウスPD-L1阻害について第1のオリゴヌクレオチドスクリーニングの結果を示した図である:各構築物について、棒の組みを示す:右、淡色の棒:マウスPD-L1発現;左、濃色の棒:マウスHPRT1発現、いずれもオリゴ無し対照(=1.00)と比べ、陰性対照オリゴヌクレオチドの棒(右から2番目の棒の組)を含む。
図8A】PD-L1オリゴヌクレオチド処理樹状細胞によるT細胞の抗原特異的刺激は、抗原特異的T細胞の頻度を増加させることを示した図である。
図8B】PD-L1オリゴヌクレオチド処理樹状細胞によるT細胞の抗原特異的刺激は、抗原特異的T細胞の頻度を増加させることを示した図である。
図9】ヒト骨髄由来サプレッサー細胞(MDSC)におけるヒトPD-L1のノックダウンの結果を示した図である。
図10】選択したオリゴヌクレオチドの除去後1、2、3及び4日のHDLM-2細胞におけるフローサイトメトリーによるPD-L1タンパク質発現の分析を示した図である。PD-L1タンパク質発現は、平均蛍光強度(MFI)として示され、PD-L1のMFIから非特異的アイソタイプ対照のMFIを差し引くことによって算出された。未処理対照細胞(1として設定)と比較した相対的発現を示す。PD-L1発現は、各条件(特異的染色及びアイソタイプ対照)について2連で分析した。データは、両側スチューデントt検定を使用して分析した、P≦0.0001(****)。
【発明を実施するための形態】
【0028】
したがって、第1の態様では、本発明は、10から20ヌクレオチド、特に13から18ヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドに関し、前記オリゴヌクレオチドの配列は配列番号115(Table15)のPD-L1核酸コード配列のアンチセンス鎖に対応し、オリゴヌクレオチドの1つ又は複数のヌクレオチドは任意選択で修飾され、前記オリゴヌクレオチドは、HDLM-2細胞におけるPD-L1の発現を、未処理対照と比べて少なくとも80%阻害する。
【0029】
本発明の特定の実施形態では、前記オリゴヌクレオチドは、HDLM-2細胞におけるPD-L1の発現を、未処理対照と比べて少なくとも85%、より具体的には少なくとも90%、最も具体的には少なくとも95%阻害する。
【0030】
このような特定の実施形態では、前記オリゴヌクレオチドは、HDLM-2細胞におけるPD-L1の発現を、未処理対照と比べて前記オリゴヌクレオチドの除去後少なくとも24時間、特に少なくとも48時間、少なくとも72時間、又は特に少なくとも96時間阻害する。
【0031】
本発明の特定の実施形態では、前記オリゴヌクレオチドにおける1つ又は複数のヌクレオチドは修飾されている。
【0032】
ヌクレオチドはオリゴヌクレオチドの構成要素を形成し、例えば、核酸塩基(窒素塩基、例えば、プリン若しくはピリミジン)、5炭糖(例えば、リボース、2-デオキシリボース、アラビノース、キシロース、リキソース、アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、タロース若しくはそれらの糖の安定化修飾体)、及び1つ又は複数のリン酸基から構成される。修飾リン酸基の例は、ホスホロチオエート又はメチルホスホネートである。ヌクレオチドのそれぞれの化合物は、修飾可能であり、天然に生じるか、又は天然に生じない。後者の例は、ロックド核酸(LNA)、2',4'拘束エチル核酸(c-ET)、2'-0,4'-C-エチレン架橋核酸(ENA)、ポリアルキレンオキシド-(トリエチレングリコール(TEG)等)、2'-フルオロ-、2'-デオキシ-2'-フルオロ-ベータ-D-アラビノ核酸(FANA)、2'-O-メトキシ-、及び2'-O-メチル-修飾ヌクレオチドである。図5は、本発明の文脈において使用することができるいくつかの様々な修飾ヌクレオチドの例を示す。
【0033】
「LNA」は、修飾RNAヌクレオチドであり、リボース部分は、2'酸素及び4'炭素を連結する追加の架橋で修飾されている(2'-4'リボヌクレオシド)。架橋は、3'-エンド(North)立体構造でリボースをロックし、これは、A型二重鎖に見出されることが多い。LNAヌクレオシド及びヌクレオチドは、それぞれ、例えば、アルファ-D又はベータ-L立体配置のチオ-LNA、オキシ-LNA又はアミノ-LNAの形態を含み、オリゴヌクレオチド中のDNA又はRNAの残基と、それぞれ混合するか又は組み合わせることができる。
【0034】
「架橋核酸」は、修飾RNAヌクレオチドであり、時には拘束又は隔絶(inaccessible)RNA分子とも呼ばれ、これは、「固定」C3'-エンド糖パッカリングを有する5員、6員、又は更には7員架橋構造を含有してもよい。架橋は、リボースの2',4'位に合成により組み込まれ、2',4'-BNA単量体がもたらされる。特定の例は、「ENA」ヌクレオチドであり、架橋は、エチレン架橋である。図5は、本発明の文脈において使用することができるいくつかのBNAヌクレオチドを示す。
【0035】
特定の実施形態では、前記オリゴヌクレオチドにおける1つ又は複数のヌクレオチドは修飾されており、修飾ヌクレオチドは、特にホスホロチオエート及びメチルホスホネート、特にホスホロチオエートから選択される修飾リン酸基を含有する。特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドのリン酸基は全て、特にホスホロチオエート及びメチルホスホネートから独立して選択される修飾リン酸基であり、特に、リン酸基は全て、ホスホロチオエートである。
【0036】
特定の実施形態では、前記オリゴヌクレオチドにおける1つ又は複数のヌクレオチドは修飾されており、修飾ヌクレオチドは、LNA、c-ET、ENA、ポリアルキレンオキシド-、2'-フルオロ-、2'-O-メトキシ-、FANA及び/又は2'-O-メチル修飾ヌクレオチドである。
【0037】
特定の実施形態では、修飾ヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの5'及び/又は3'末端における5ヌクレオチドの鎖内、特に、オリゴヌクレオチドの5'及び/又は3'末端に位置する。
【0038】
特定の実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの5'及び/又は3'末端に少なくとも1つの修飾ヌクレオチド、特に、少なくとも1つのLNA、c-ET、及び/又はENAを含む。特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、5'末端における最大5ヌクレオチドの鎖内に1、2、3又は4つのLNA又はc-ET又はENA、及び3'末端における最大5ヌクレオチドの鎖内に1、2、3又は4つのLNA又はc-ET又はENAを含む。別の特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、5'末端又は3'末端における5ヌクレオチドの鎖内に1、2、3又は4つのLNA、c-ET、又はENA、及び3'又は5'末端における5ヌクレオチドの鎖内にTEG等のポリアルキレンオキシドを含む。
【0039】
特定の実施形態では、前記オリゴヌクレオチドは、前記オリゴヌクレオチドの5'末端における5ヌクレオチドの鎖内に少なくとも1つのLNAヌクレオチド、及び前記オリゴヌクレオチドの3'末端における5ヌクレオチドの鎖内に少なくとも1つのLNAヌクレオチドを含むギャップマー(Gapmer)である。特定の実施形態では、前記ギャップマーは、前記オリゴヌクレオチドの5'末端における5ヌクレオチドの鎖内に2つ又は3つのLNAヌクレオチド、及び前記オリゴヌクレオチドの3'末端における5ヌクレオチドの鎖内に2つ又は3つのLNAヌクレオチドを含む。
【0040】
本発明の文脈では、用語「ギャップマー」とは、RNアーゼH切断を誘導するために十分に長いデオキシヌクレオチド単量体の中央構成要素を含有するキメラアンチセンスオリゴヌクレオチドを意味する。ギャップマーの中央構成要素には、2'-O修飾リボヌクレオチド又は内側の構成要素をヌクレアーゼ分解から保護する架橋核酸(BNA)等のその他の人工的に修飾されたリボヌクレオチド単量体の構成要素が隣接する。多くの以前の研究において、修飾DNA類似体は、生体液中でのそれらの安定性について調査された。これらの実験の大多数において、ホスホロチオエートDNA類似体が使用された。より最近では、BNA単量体を含むいくつかの種類の人工ヌクレオチド単量体は、ギャップマーの設計におけるそれらの有用性について調査されたことがある。ギャップマーは、ホスホロチオエート結合の数を低下させると同時に、標的RNAのRNアーゼ-H媒介性切断を達成するために使用されたことがある。ホスホロチオエートは、未修飾DNAと比較して、ヌクレアーゼに対する抵抗性が増加している。しかし、それらにはいくつかの不都合がある。これらには、相補的な核酸に対する低い結合能力及び毒性の副作用を引き起こしてそれらの適用を制限する、タンパク質への非特異的結合が含まれる。オフターゲット効果を引き起こす非特異的結合と一緒に毒性の副作用が発生したことにより、毒性の副作用を示すことなく、インビボにおいて効率的で特異的なアンチセンス活性をもたらす修飾オリゴヌクレオチドの開発のための新たな人工核酸の設計が促された。
【0041】
LNAギャップマーは、タンパク質、mRNA及びlncRNAの機能喪失研究のための強力なツールである。これらの単鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドは、相補的なRNA標的のRNアーゼH依存性分解を触媒する。LNAギャップマーは、典型的に12~20ヌクレオチド長で、隣接領域にはLNAが、LNAがない中央ギャップにはDNAが豊富であり、したがってギャップマーと名付けられた。LNA含有隣接領域は、アンチセンスオリゴにヌクレアーゼ抵抗性を与え、同時に、GC含有量にかかわらず標的結合親和性を増加させる。中央DNA「ギャップ」は、結合時に標的RNAのRNアーゼH切断を活性化する。
【0042】
本発明の特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは配列番号42、配列番号106、配列番号86、配列番号28、配列番号110、配列番号74、配列番号94、配列番号108、配列番号88、配列番号56、配列番号46、配列番号96、配列番号48、配列番号50、配列番号62、配列番号114、配列番号34、配列番号98、配列番号84、配列番号82、配列番号4、配列番号12、配列番号92、配列番号102、配列番号100、配列番号58、配列番号16、配列番号76、配列番号72、配列番号54、配列番号66、配列番号68、配列番号112、及び配列番号104からなる群、具体的には、配列番号42、配列番号106、配列番号86、配列番号28、配列番号110、配列番号74、配列番号94、配列番号108、配列番号88、配列番号56、配列番号46、配列番号96、配列番号48、配列番号50、配列番号62、配列番号114、配列番号34、配列番号98、配列番号84、配列番号82、配列番号4、配列番号12、配列番号92、配列番号102、配列番号100、配列番号58、及び配列番号16からなる群、より具体的には、配列番号42、配列番号106、配列番号86、配列番号28、配列番号110、配列番号74、配列番号94、配列番号108、配列番号88、配列番号56、配列番号46、配列番号96、配列番号48、配列番号50、配列番号62、配列番号114、配列番号34、配列番号98、及び配列番号84からなる群、より具体的には、配列番号42、配列番号106、配列番号86、配列番号28、配列番号110及び配列番号74からなる群、より具体的には配列番号42、配列番号106、配列番号86及び配列番号28からなる群から選択される配列を含む。
【0043】
特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、配列番号42、配列番号106、配列番号86、配列番号28、配列番号110、配列番号74、配列番号94、配列番号108、配列番号88、配列番号56、配列番号46、配列番号96、配列番号48、配列番号50、配列番号62、配列番号114、配列番号34、配列番号98、配列番号84、配列番号82、配列番号4、配列番号12、配列番号92、配列番号102、配列番号100、配列番号58、配列番号16、配列番号76、配列番号72、配列番号54、配列番号66、配列番号68、配列番号112、及び配列番号104からなる群、具体的には配列番号42、配列番号106、配列番号86、配列番号28、配列番号110、配列番号74、配列番号94、配列番号108、配列番号88、配列番号56、配列番号46、配列番号96、配列番号48、配列番号50、配列番号62、配列番号114、配列番号34、配列番号98、配列番号84、配列番号82、配列番号4、配列番号12、配列番号92、配列番号102、配列番号100、配列番号58、及び配列番号16からなる群、より具体的には配列番号42、配列番号106、配列番号86、配列番号28、配列番号110、配列番号74、配列番号94、配列番号108、配列番号88、配列番号56、配列番号46、配列番号96、配列番号48、配列番号50、配列番号62、配列番号114、配列番号34、配列番号98、及び配列番号84からなる群、より具体的には配列番号42、配列番号106、配列番号86、配列番号28、配列番号110及び配列番号74からなる群、より具体的には配列番号42、配列番号106、配列番号86及び配列番号28からなる群から選択される配列のバリアントであり、このようなバリアントにおいてホスホロチオエートの1つ又は複数は独立して、ホスホロチオエート以外の修飾リン酸、特にメチルホスホネートの未修飾リン酸によって置換される。
【0044】
特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、配列番号42、配列番号106、配列番号86、配列番号28、配列番号110、配列番号74、配列番号94、配列番号108、配列番号88、配列番号56、配列番号46、配列番号96、配列番号48、配列番号50、配列番号62、配列番号114、配列番号34、配列番号98、配列番号84、配列番号82、配列番号4、配列番号12、配列番号92、配列番号102、配列番号100、配列番号58、配列番号16、配列番号76、配列番号72、配列番号54、配列番号66、配列番号68、配列番号112、及び配列番号104からなる群、具体的には配列番号42、配列番号106、配列番号86、配列番号28、配列番号110、配列番号74、配列番号94、配列番号108、配列番号88、配列番号56、配列番号46、配列番号96、配列番号48、配列番号50、配列番号62、配列番号114、配列番号34、配列番号98、配列番号84、配列番号82、配列番号4、配列番号12、配列番号92、配列番号102、配列番号100、配列番号58、及び配列番号16からなる群、より具体的には配列番号42、配列番号106、配列番号86、配列番号28、配列番号110、配列番号74、配列番号94、配列番号108、配列番号88、配列番号56、配列番号46、配列番号96、配列番号48、配列番号50、配列番号62、配列番号114、配列番号34、配列番号98、及び配列番号84からなる群、より具体的には配列番号42、配列番号106、配列番号86、配列番号28、配列番号110及び配列番号74からなる群、より具体的には配列番号42、配列番号106、配列番号86及び配列番号28からなる群から選択される配列のバリアントであり、ミスマッチを含むこのような任意のバリアントが、実施例1で記載した生物情報学的ツールで分析したとき、関連種に対する相同性を維持しながらヒト全ゲノムスクリーニングに対して少なくとも1つのミスマッチを含有するという条件で、このようなバリアントは1つ又は複数のヌクレオチドミスマッチ、具体的には1つ又は2つのミスマッチ、より具体的には1つのミスマッチを含む。
【0045】
第2の態様では、本発明は、本発明によるオリゴヌクレオチドを含む医薬組成物に関する。
【0046】
特定の実施形態では、医薬組成物は更に薬学的に許容される担体を含む。
【0047】
特定の実施形態では、医薬組成物は更に、さらなるアンチセンス化合物、抗体、化学療法化合物、抗炎症化合物、抗ウイルス化合物、免疫調節化合物、薬学的に許容される結合剤及び補助剤から選択される少なくとも1つの追加成分を含む。
【0048】
一実施形態では、オリゴヌクレオチド及び医薬組成物はそれぞれ、カプセル、錠剤及び丸剤等の形態をした投薬単位として製剤化され、例えば、以下の化合物:結合剤としての結晶セルロース、ガム又はゼラチン;賦形剤としてのデンプン又はラクトース;潤滑剤としてのステアリン酸塩、様々な甘味料又は香味料をそれぞれ含有する。カプセルについては、投薬単位は、脂肪油のような液状担体を含有していてもよい。同様に、糖又は腸溶剤のコーティングは、投薬単位の一部であってもよい。
【0049】
オリゴヌクレオチド及び/又は医薬組成物は、様々な経路を介して投与することができる。これらの投与経路は、限定はされないが、エレクトロポレーション、上皮、皮膚中への陥入、動脈内、関節内、頭蓋内、皮内、病巣内、筋肉内、鼻内、眼内、髄腔内、前房内、腹腔内、前立腺内、肺内、脊髄内、気管内、腫瘍内、静脈内、膀胱内、直腸、身体の腔内への留置、経鼻吸入、経口、肺吸入(例えば、ネブライザーによるものを含む、粉剤若しくはエアロゾルの吸入若しくはガス注入によるもの)、皮下、真皮下、局所(眼並びに膣及び直腸送達を含む粘膜を含む)又は経皮投与を含む。
【0050】
非経口、皮下、皮内又は局所投与については、オリゴヌクレオチド及び/又は医薬組成物は、例えば、滅菌希釈剤、緩衝液、毒性の調節剤及び抗菌薬を含む。好ましい実施形態では、オリゴヌクレオチド又は医薬組成物は、放出制御特性を有する移植片又はマイクロカプセルを含む、分解又は身体からの即座の排出を防ぐ担体と共に調製される。静脈内投与については、好ましい担体は、例えば、生理的食塩水又はリン酸緩衝食塩水である。経口投与のためのそのようなオリゴヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド及び/又は医薬組成物は、例えば、粉剤又は顆粒剤、微小粒子、ナノ粒子、水性若しくは非水性溶媒中の懸濁剤若しくは液剤、カプセル、ゲルカプセル、サシェ、錠剤又は小型錠剤を含む。非経口、髄腔内、前房内又は脳室内投与のためのものを含むオリゴヌクレオチド及び/又は医薬組成物は、例えば、緩衝液、希釈剤、及び/又は透過促進剤等のその他の適切な添加剤、担体化合物及び/又はその他の薬学的に許容される担体若しくは賦形剤を任意選択で含有する滅菌水溶液を含む。
【0051】
薬学的に許容される担体は、例えば、液体又は固体であり、所与の医薬組成物の核酸及びその他の成分と組み合わせた場合に、所望の容積、堅牢性等を提供するために考えられた投与計画方法により選択される。典型的な薬学的に許容される担体は、限定はされないが、結合剤(例えば、アルファ化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドン若しくはヒドロキシプロピルメチルセルロース等);充填剤(例えば、ラクトース及びその他の糖、結晶セルロース、ペクチン、ゼラチン、硫酸カルシウム、エチルセルロース、ポリアクリレート若しくはリン酸水素カルシウム等);潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、滑石、シリカ、コロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸、ステアリン酸金属塩、硬化植物油、コーンスターチ、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム等);崩壊剤(例えば、デンプン、デンプングリコール酸ナトリウム等);又は湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム等)を含む。経口投与される投薬形態のための徐放性経口送達系及び/又は腸溶コーティングは、米国特許第4,704,295号;第4,556,552号;第4,309,406号;及び第4,309,404号において記載されている。補助剤はこれらの語句に含まれる。
【0052】
ヒト疾患予防及び/又は治療の方法において使用される以外に、本発明に記載したオリゴヌクレオチド及び/又は医薬組成物はまた、家畜動物、爬虫類、鳥、外来の動物、及び哺乳動物、げっ歯動物等を含む飼育動物を含むその他の対象の予防及び/又は治療のための方法において使用される。哺乳動物は、例えば、ウマ、イヌ、ブタ、ネコ又は霊長類(例えば、サル、チンパンジー若しくはキツネザル)を含む。げっ歯動物は、例えば、ラット、ウサギ、マウス、リス又はモルモットを含む。
【0053】
第3の態様では、本発明は、悪性腫瘍及び良性腫瘍のリストから選択される疾患又は障害を予防及び/又は治療する方法において使用するための、本発明によるオリゴヌクレオチドを含む医薬組成物に関する。
【0054】
本発明の特定のその他の実施形態では、腫瘍は、固形腫瘍、血液性腫瘍、白血病、腫瘍転移、血管腫、聴神経腫、神経線維腫、トラコーマ、化膿性肉芽腫、乾癬、星状細胞腫、聴神経腫、芽細胞腫、ユーイング腫瘍、頭蓋咽頭腫、脳室上衣腫、髄芽腫、神経膠腫、血管芽細胞腫、ホジキンリンパ腫、髄芽腫、白血病、中皮腫、神経芽細胞腫、神経線維腫、非ホジキンリンパ腫、松果体腫、網膜芽細胞腫、肉腫、セミノーマ、トラコーマ及びウィルムス腫瘍からなる群から選択されるか、又は胆管癌、膀胱癌、脳腫瘍、乳がん、気管支原性癌、腎臓の癌、子宮頸がん、絨毛癌、脈絡膜癌、嚢胞腺癌、胎児性癌、上皮癌、食道がん、子宮頸癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜がん、胆嚢がん、胃がん、頭部がん、肝臓癌、肺癌、髄様癌、頚部がん、非小細胞気管支原性/肺癌、卵巣がん、膵臓癌、乳頭状癌、乳頭状腺癌、前立腺がん、小腸癌、前立腺癌、直腸がん、腎細胞癌、網膜芽細胞腫、皮膚がん、小細胞気管支原性/肺癌、扁平上皮癌、脂腺癌、精巣癌及び子宮がんの群から選択される。
【0055】
明確及び簡潔に説明するために、本明細書では特徴は同じ又は別々の実施形態の一部として記載するが、本発明の範囲は、記載される特徴の全て又はいくつかの組み合わせを有する実施形態を含んでいてもよいことが十分に理解されるであろう。
【0056】
以下の実施例は、本発明を更に例証するために役立つこととなるが、同時に本発明を何ら限定するものとはみなされない。それどころか、本発明の範囲は、本明細書の記載を読み終えた後に本発明の精神から逸脱することなく当業者等に示唆され得るそれらの様々なその他の実施形態、変形及び等価物を意味することは明白に理解されると予想される。
【実施例
【0057】
(実施例1)
配列選択及びオリゴヌクレオチド修飾プロセス
最初に、可能性のある標的部位を表す適切な配列を専用の生物情報学的ツールを使用して同定した。第2の工程では、これらの配列に対する化学修飾の効果について、修飾パターンを最適化するためにインシリコで予測した。
【0058】
段階的な配列選択プロセス
13merの長さから17merの長さの範囲の配列長について考察した。
【0059】
一次分析では、ヒトPD-L1mRNA(NM_014143.3)及びカニクイザルmRNAに対する可能性のある標的部位の交差反応性を調査した。非ヒト霊長類に対する交差反応性は、過剰薬理学の評価のために重要であると考えられた。最初に分析した16,380配列のうち、約50%がカニクイザルPD-L1mRNAに対して100%相同性を示した。
【0060】
これらの配列は更に、以下のフィルターを適用して、スプライシングしたヒト及びカニクイザルトランスクリプトームに対する特異性を分析した:
・どの配列もヒト又はサルの任意のオフターゲット領域に完全にマッチ(100%)するべきではない。
・15mer及び16merと比較してより短い配列(例えば、13mer及び14mer)との1つのミスマッチを許容することによって、多数のオフターゲットmRNAマッチが許容された。
・どの17merも、1つのミスマッチを許容して、ヒト及びサルの任意の予測されたオフターゲット結合を示すべきではない。
【0061】
これらの基準を満たす配列は更に、スプライシングしていない1次ヒト及びサルトランスクリプトームにおける特異性を分析した。以下のフィルターを設定した:
・どの配列も任意のプレ-mRNAオフターゲット領域に完全に(100%)マッチするべきではない。
・どの17merも、1つのミスマッチを許容して、プレ-mRNAの任意の予測されたオフターゲット結合を示すべきではない。
【0062】
化学修飾の効果の分析
融解温度及びヘアピン又は二量体の形成傾向等の物理化学的特性に対する化学修飾の効果は、利用可能な予測ツールを使用して評価した。全体で、最高の予測特異性を有する配列をベースにした217個の可能性のあるオリゴヌクレオチドをこれらのツールを使用して分析した。
【0063】
最も好都合な予測された物理化学的特性を有するオリゴヌクレオチドを合成(Table3(表003)参照)及びインビトロスクリーニング(実施例2から4参照)のために選択した。
【0064】
(実施例2)
アンチセンスオリゴヌクレオチドのインビトロスクリーニング
材料:
HDLM-2細胞株-DSMZ(Deutsche Sammlung fur Mikroorganismen und Zelllinien、Braunschweig、Germany/ACC-17)
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】
【表3A】
【0068】
【表3B】
【0069】
【表3C】
【0070】
【表3D】
【0071】
プロトコール:
HDLM-2細胞株はDSMZから購入し、マスター及びワーキング細胞バンクのために増やし、さらなる実験全てのために補足RPMI1640培地(5%CO2及び37℃)で培養した。U-87MG細胞株はATCCから購入し、マスター及びワーキング細胞バンクのために増やし、さらなる実験全てのために補足DMEM培地(5%CO2及び37℃)で培養した。ワーキング細胞バンクから解凍した各細胞バッチの培養期間は2から3週間の間とした。
【0072】
オリゴヌクレオチドは全てExiqon社(Vedbaek/Denmark)に注文した。凍結乾燥オリゴヌクレオチドは、DEPC処理水により1mMの濃度まで復元した。
【0073】
RNAレベルでの標的発現の阻害を判定する最初のスクリーニングは、各ヌクレオチドについて10μMの単一濃度で実施した。
【0074】
したがって、HDLM-2細胞は丸底96ウェルプレートにおいて補足RPMI1640に細胞15,000個/50μl/ウェルで接種した。U-87MG細胞は丸底96ウェルプレートにおいて補足DMEM培地に細胞7,000個/50μl/ウェルで接種した。オリゴヌクレオチドはそれぞれ、補足RPMI1640又はDMEMで希釈した。開始濃度20μMのために、オリゴヌクレオチド保存溶液4μlを培地196μlで希釈した。更に、20μM(2×)オリゴヌクレオチド50μlを各ウェルの細胞に添加して、最終濃度を10μMとした。各オリゴヌクレオチドは3連でスクリーニングした(図1/図2)。
【0075】
1スクランブル(陰性)対照、Neg1及びオリゴヌクレオチド処理していない細胞(「オリゴ無し対照」)を対照として使用した。「オリゴ無し対照」3連は、各96ウェルプレートで設定した。補足培地50μlを「オリゴ無し」対照に添加した。残りのウェルは全て、いかなる蒸発効果も防ぐために培地150μlで満たした。
【0076】
細胞は、培地交換せずに37℃、5%CO2で3日間インキュベートした。3日後、bDNAアッセイを介したmRNA定量のために細胞を溶解した。細胞溶解のために、各ウェルにワーキング溶解混合物50μlを補足し、50~55℃で30分間インキュベートした。溶解物はbDNAアッセイで直接使用するか、又は凍結保存した。ワーキング溶解混合物は溶解混合物及びタンパク質分解酵素Kから構成された。HPRT1及びPD-L1についてのbDNAアッセイは、製造元のプロトコールに従って実施した。
【0077】
(実施例3)
選択したアンチセンスオリゴヌクレオチドによるPD-L1タンパク質発現の下方制御
タンパク質レベルでの標的下方制御に対するオリゴヌクレオチドの可能性を調べるために、両細胞株においてRNAレベルでの標的阻害に対する最高の有効性によって判定して、最も活性のあるオリゴヌクレオチドの5つを選択した。(選択したオリゴヌクレオチド:A03021;A03053;A03043;A03037;A03014)。したがって、選択した各オリゴヌクレオチド及びスクランブル(陰性)対照の様々な濃度を、各ヌクレオチドについて10μM;1μM;0.5μM;0.1μMで開始して3連で使用した。対照として、細胞を前述の通り未処理のままにした(「オリゴ無し」)。残りのウェルは全て、いかなる蒸発効果も防ぐために培地150μlで満たした。
【0078】
したがって、HDLM-2細胞は丸底96ウェルプレートにおいて補足RPMI1640に細胞15,000個/50μl/ウェルで接種した。開始濃度20μMのために、オリゴヌクレオチド保存溶液8μlを培地392μlで希釈した。更に、20μM(2×)オリゴヌクレオチド50μlを各ウェルの細胞に添加して、最終濃度を10μMとした。各ウェルに最終濃度1μMを入れるために、各オリゴヌクレオチド1.6μLを培地798.4μLに溶解し、2μM(2×)溶液50μlを細胞50μlに添加した。2μM保存溶液400μlを更に培地400μlで希釈し(c=1μM)、1μM(2×)溶液50μlを細胞50μlに添加した(最終濃度0.5μM)。1μM保存溶液400μlを更に培地1600μlで希釈し(c=0.2μM)、0.2μM(2×)溶液50μlを細胞50μlに添加した(最終濃度0.1μM)。
【0079】
PD-L1タンパク質発現レベルは、HDLM-2細胞で、オリゴヌクレオチド処理後様々な時点(24時間、48時間、72時間及び96時間)でACEA Novocyte3000を使用したフローサイトメトリーによって判定した。したがって、細胞は以下の抗体:抗-ヒトPDL-1-PE(クローン29E.2A3);マウスIgG2b、κ-PEアイソタイプ対照(クローンMPC-11);及び7-AADで染色して死細胞を除外した(全てBioLegend社製)。各ウェルの細胞をFACS緩衝液(1×PBS中5%FCS;EDTA2mM)50μlで染色した。蛍光抗体はFACS緩衝液による1:200希釈;7_AADは1:100希釈で使用した。
【0080】
【表4】
【0081】
【表5】
【0082】
プロトコール:
1.末梢血単核細胞(PBMC)の精製
BC#2 25mlをPBSで希釈して最終体積350mlとした。希釈物35mlを50mlファルコンチューブ中でBiocoll 15ml上に重層した。800gで20分間中断せずに遠心分離(室温)後、単核細胞層を注意深く新たな50mlファルコンチューブに移した。チューブをPBSで50mlになるまで満たし、500gで5分間遠心分離した(室温)。洗浄を1回繰り返し、細胞ペレットをその後プールして計数した。
【0083】
2.未成熟樹状細胞(iDC)の作製
プラスティック接着をベースにした単核球濃縮のために、100 Mio PBMCを80cm2フラスコ中においてRPMIf 12mlに接種した。37℃で2時間インキュベーション後、非接着細胞を除去し、単核球層を注意深くRPMIfで2回洗浄した。最後に、IL-4 10ng/ml及びGM-CSF 40ng/mlを補足RPMIf 12mlを添加し、細胞を37℃で72時間インキュベートした。
【0084】
3.未成熟樹状細胞の成熟化及びアンチセンスオリゴヌクレオチド処理
iDC(非接着及び弱い接着)を収集し、計数した。50000iDCを48ウェルプレートのウェル当たりに、GM-CSF(最終濃度:40ng/ml)、IL-4(最終濃度:10ng/ml)、IFN-g(最終濃度:1000U/ml)及びLPS(最終濃度:1μg/ml)を補足RPMIf 250μl中に接種した。未処理対照について、RPMIf 250μlをウェル当たりに添加し、その他の条件全てについて、250μlにそれぞれアンチセンスオリゴヌクレオチドを補足し、Table 9(表009)で示した最終濃度にした。細胞を37℃で72時間インキュベートした。
【0085】
4.PD-L1タンパク質発現のフローサイトメトリーによる分析
成熟DC(mDC)を収集し、PBS/1%FCS(FACS緩衝液)で1回洗浄した。Fc受容体をTrue stain FcX 1μlを補足PBS50μlで5分間ブロックした。染色のために、それぞれの抗体及び生死判別色素をPBS50μlに添加し、それぞれ1:25及び1:2000に希釈した。4℃で20分インキュベーション後、細胞をFACS緩衝液で2回洗浄し、フローサイトメトリーによって分析した。
【0086】
結果:
HDLM-2細胞(図1)及びU-87MG細胞(図2)におけるアンチセンスオリゴヌクレオチドの最初の選択によって、いくつかの高い活性の分子を得た。HPRT1(ハウスキーピング遺伝子)及びPD-L1の相対的発現レベルを算出し、HDLM-2細胞(図1/Table 6(表006))及びU-87MG細胞(図2/Table 7(表007))において全アンチセンスオリゴヌクレオチド及び未処理対照についてプロットした。
【0087】
【表6A】
【0088】
【表6B】
【0089】
【表6C】
【0090】
【表7A】
【0091】
【表7B】
【0092】
【表7C】
【0093】
PD-L1 RNAに対して選択された5つのオリゴヌクレオチド(A03021;A03053;A03043;A03037;A03014)は、PD-L1タンパク質の下方制御に大いに可能性を示し、「Negオリゴ」又は「オリゴ無し」処理細胞と比較したとき、様々な濃度(10~0.5μM)で処理後72時間で、95%の最大阻害をもたらした(図3/Tab. 8(表008))。
【0094】
【表8】
【0095】
オリゴヌクレオチドA03043は、未処理樹状細胞又はNegオリゴ処理樹状細胞と比較して、成熟1次樹状細胞上のPD-L1の下方制御に大いに可能性を示す(Table 9(表009)及び図4)。
【0096】
【表9】
【0097】
(実施例4)
選択したアンチセンスオリゴヌクレオチドのIC50値の判定
RNアーゼH活性アンチセンスオリゴヌクレオチドの典型的な標的活性は、トランスフェクション試薬を使用した、又はエレクトロポレーション後のオリゴヌクレオチドの細胞へのトランスフェクション後の標的mRNAレベルの測定によって判定する。
【0098】
例えば、Bcl-2特異的LNA修飾オリゴヌクレオチドSPC2996(Santaris Pharma社、現在はRoche Innovation Center Copenhagen社)の活性は、トランスフェクション後のみ示された(米国特許第7,622,453号)。
【0099】
トランスフェクション試薬無しでのLNA-又はc-ET-修飾オリゴヌクレオチドの標的活性は、以前に示されており(いわゆるジムノティック(gymnotic)送達/ジムノシス(gymnosis)又は非支援トランスフェクション)、強力な標的抑制には比較的高いオリゴヌクレオチド濃度が必要であった。
【0100】
例えば、PCSK9に特異的なLNA修飾オリゴヌクレオチド(米国特許第8,563,528号)はトランスフェクション試薬無しでは中程度の活性のみを示した、(米国特許第8,563,528号、図3)。最も効率の良いオリゴヌクレオチド(配列番号4)のみが、10μMの濃度で約70%の標的抑制を実現した。
【0101】
文献では、トランスフェクション無しのがん標的に対するLNA修飾オリゴヌクレオチドについて、300から600nMの間のIC50値が記載されたことがある(Zhang等、Gene Therapy (2011) 18、326~333)。
【0102】
プロトコール:
最も効力のあるPDL-1オリゴヌクレオチドのIC50値はHDLM-2細胞で判定された(細胞15,000個/ウェル)。したがって、HDLM-2細胞は前述のように選択されたPD-L1オリゴヌクレオチドの様々な濃度(10;3.33;1.11;0.37;0.12;0.041;0.0045μM)で3日間処理された。培養して3日後に、細胞を溶解し、RNAレベルをbDNAアッセイによって製造元のプロトコールに従って判定した。相対的IC50値は、GraphPadPrism 6ソフトウェアを使用して算出した(Table 10(表010)を参照)。
【0103】
【表10】
【0104】
結果:
前記で論じた先行技術とは対照的に、本発明で記載したオリゴヌクレオチドは、トランスフェクション試薬又はエレクトロポレーションを必要としない強力で特異的な標的抑制を示す。先行技術の報告とは対照的に、本発明におけるオリゴヌクレオチドの大部分は10μMでPD-L1 mRNAを90%を上回って抑制した。
【0105】
更に、本発明で記載した最も効率の良いオリゴヌクレオチドのIC50値は驚くべきことに20nMを下回った。
【0106】
(実施例5)
マウスアンチセンスオリゴヌクレオチドの作製
ヒト及びマウスPD-L1の配列は、少し低い程度の相同性を示す。したがって、交差反応するアンチセンスオリゴヌクレオチドを作製することはできなかった。インビボモデルのマウスにおけるPD-L1ベースアンチセンスアプローチの概念実証を示すことができるようにするために、マウスPD-L1に特異性を有するアンチセンスオリゴヌクレオチドはインビボにおける有効性を示すための代替として開発されなければならなかった。
【0107】
プロトコール:
マウスRenca及び4T1細胞株はATCCから購入し、マスター及びワーキング細胞バンクのために増やされ、補足DMEM培地(5%CO2及び37℃)でさらなる全実験のために培養した。ワーキング細胞バンクから解凍した各細胞バッチの培養期間は2から3週間の間であった。
【0108】
マウスPD-L1(CD274)配列(NM_021893.3);配列番号116、Table 16参照)のmRNA配列に基づいて設計された全オリゴヌクレオチドは、Exiqon社(Vedbaek/Denmark)に注文した。凍結乾燥オリゴヌクレオチドは、DEPC処理水により1mMの濃度まで復元した。
【0109】
RNAレベルで標的発現の阻害を判定する最初のスクリーニングは、各ヌクレオチドについて10μMの単一濃度で実施した。
【0110】
したがって、丸底96ウェルプレートにおいて補足DMEM中でRenca細胞は細胞15000個/50μl/ウェルで培養し、4T1細胞は細胞6000個/50μl/ウェルで培養した。開始濃度20μMのために、オリゴヌクレオチド保存溶液4μlを培地196μlで希釈した。更に、20μM(2×)オリゴヌクレオチド50μlを各ウェルの細胞に添加して、最終濃度を10μMにした。各オリゴヌクレオチドは3連でスクリーニングした(図6/図7)。
【0111】
1スクランブル(陰性)対照、Neg1及びオリゴヌクレオチド処理していない細胞(「オリゴ無し対照」)を対照として使用した。「オリゴ無し対照」3連は、各96ウェルプレートで設定した。補足培地50μlを「オリゴ無し」対照に添加した。残りのウェルは全て、いかなる蒸発効果も防ぐために培地150μlで満たした。
【0112】
細胞は、培地交換せずに37℃、5%CO2で3日間インキュベートした。3日後、細胞をbDNAアッセイを介したmRNA定量のために溶解した。細胞溶解のために、各ウェルにワーキング溶解混合物50μlを補足し、50~55℃で30分間インキュベートした。溶解物はbDNAアッセイで直接使用するか、又は凍結保存した。ワーキング溶解混合物は溶解混合物及びタンパク質分解酵素Kから構成された。HPRT1及びPD-L1についてのbDNAアッセイは、製造元のプロトコールに従って実施した。
【0113】
結果:
RENCA細胞(図6)及び4T1細胞(図7)におけるアンチセンスオリゴヌクレオチドの最初の選択は、いくつかの活性の高い分子をもたらした。HPRT1(ハウスキーピング遺伝子)及びPD-L1の相対的発現レベルを算出し、RENCA細胞(図6/Table 12(表012))及び4T1細胞(図7/Table 13(表013))において全アンチセンスオリゴヌクレオチド及び未処理対照についてプロットした。
【0114】
【表11A】
【0115】
【表11B】
【0116】
【表12】
【0117】
【表13】
【0118】
(実施例6)
PD-L1オリゴヌクレオチド処理樹状細胞によるT細胞の抗原特異的刺激
樹状細胞(DC)におけるPD-L1ノックダウンの初回刺激能力に対する効果を調べるために、サイトメガロウイルスモデル系を使用した(実験形式:図8A))。したがって、HLA-B07陽性の健康な血液ドナーのCD14+単核球は、末梢血単核細胞(PBMC)から単離し、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF、最終濃度:20ng/ml)及びインターロイキン-4(IL-4、最終濃度:100ng/ml)を含有する培地中で48時間未成熟DCに分化させた。DCの成熟化は、以下からなるサイトカインカクテルの添加によって48時間後に誘導された:
【0119】
【表14】
【0120】
DCは、成熟化カクテル及び最終濃度1μMのHLA-B07-拘束CMVペプチド「TPRVTGGGAM」で24時間インキュベートした。細胞は全期間中、対照オリゴヌクレオチドS6若しくはPD-L1特異的オリゴヌクレオチドA03014H 6.25μMで処理するか、又は未処理のままにした。
【0121】
成熟した、CMVペプチドが付加された樹状細胞を収集し、同じ健康なドナーのナイーブCD8+T細胞と一緒に、インターロイキン-21(IL-21、最終濃度:30ng/ml)、インターロイキン-7(IL-7、最終濃度:5ng/ml)及びインターロイキン-15(IL-15、最終濃度:5ng/ml)を含有する培地中で7日間培養した。同時培養中、DCにおけるPD-L1のノックダウンを維持するために、新鮮なオリゴヌクレオチドを最終濃度5μMで添加した。
【0122】
CMVペプチド特異的T細胞の頻度を測定するために、T細胞を初回刺激期間の最後に収集し、CMVペプチド「TPRVTGGGAM」を1μMの濃度で付加した同じドナーのCD14+単核球と一緒にインキュベートした。1時間後、ゴルジ阻害剤ブレフェルジンAを同時培養物に添加し、細胞を更に4時間インキュベートした。細胞をT細胞マーカーCD3及びCD8に特異的な抗体で染色し、その後IFN-γ特異的抗体で細胞内染色した。衝撃的なことに、図8Bに示されるように、CMVペプチドを付加したナイーブT細胞を初回刺激すると、PD-L1オリゴヌクレオチド処理DCは、未処理DC(平均頻度:1.48%)と比較して、IFN-γを産生する、CMVペプチド特異的CD8+T細胞の頻度を、2倍を上回って増加させた(平均頻度:3.79%)。重要なことに、DCの対照オリゴヌクレオチドS6による処理は、CMVペプチド特異的T細胞の頻度に影響を及ぼさなかった(平均頻度:1.84%)。
【0123】
(実施例7)
ヒト骨髄由来サプレッサー細胞(MDSC)におけるヒトPD-L1のノックダウン
MDSCは、抑制性サイトカイン、抑制性酵素の産生によって、重要なことに、例えば、PD-1/PD-L1軸を介したエフェクター細胞との直接相互作用によっても、抗腫瘍エフェクター細胞を抑制することにおいて重要な役割を担う。したがって、インビトロにおいて単核球由来MDSCを作製した。CD14陽性単核球はヒト末梢血単核細胞(PBMC)から単離し、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF、最終濃度:100ng/ml)、インターロイキン-4(IL-4、最終濃度:200ng/ml)及びプロスタグランジンE2(PGE2、最終濃度:1μM)による7日間の処理によってMDSCに分化させた。細胞は分化期間中、対照オリゴヌクレオチドS6若しくはヒトPD-L1特異的オリゴヌクレオチドA03014H 2.5μMで処理するか、又は未処理のままにした。細胞を収集し、PD-L1特異的抗体で染色して、フローサイトメトリーによって分析した。図9で示したように、MDSCのPD-L1特異的オリゴヌクレオチドA03014Hによる処理は、未処理細胞と比較してPD-L1タンパク質発現の83%抑制を引き起こした。重要なことに、対照オリゴヌクレオチドS6はPD-L1タンパク質発現に対して最小限の影響しか及ぼさなかった(未処理細胞と比較して10%抑制)。
【0124】
(実施例8)
がん細胞におけるPD-L1タンパク質発現に対するhPD-L1特異的ASOの効果の調査及びオリゴヌクレオチド除去後の効果の持続の調査
PD-L1 mRNA発現の低下に非常に効力のあるアンチセンスオリゴヌクレオチドA03014H、A03021H、A03037H、A03043H、A03047H及びA03053Hは更に、PD-L1タンパク質発現に対するノックダウンの有効性に関して詳細に特徴づけられた(図10、Table 14(表015))。更に、アンチセンスオリゴヌクレオチド除去後の効果の持続を調べた。したがって、HDLM-2(ホジキンリンパ腫)細胞を全処理時間3日で、選択されたPD-L1特異的アンチセンスオリゴヌクレオチド又はいかなるヒトmRNAとも相補的でない対照オリゴヌクレオチドneg1 5μMで処理した。その後、オリゴヌクレオチドを除去し、hPD-L1タンパク質発現をオリゴヌクレオチド除去後1、2、3及び4日でフローサイトメトリーによって分析した(図10、Table 14(表015))。
【0125】
衝撃的なことに、図10及びTable 14(表015)に示したように、オリゴヌクレオチドA03014H、A03021H、A03037H、A03043H、A03047H及びA03053Hはアンチセンスオリゴヌクレオチド除去後少なくとも4日間、hPD-L1タンパク質発現を著しく抑制し、一方neg1による処理は、未処理対照細胞と比較したときPD-L1タンパク質発現に対して阻害効果を有さなかった(図10、Table 14(表015))。
【0126】
要約すると、これらの結果は、PD-L1タンパク質発現の抑制はオリゴヌクレオチド除去後も継続することを示す。したがって、PD-L1アンチセンスオリゴヌクレオチドは、インビボ及びエキソビボにおける治療適用のために適切な化合物である。
【0127】
【表15】
【0128】
Table 15:完全なヒトPD-L1 mRNA配列(NM_014143.3);配列番号115
1 ggcgcaacgc tgagcagctg gcgcgtcccg cgcggcccca gttctgcgca gcttcccgag
61 gctccgcacc agccgcgctt ctgtccgcct gcagggcatt ccagaaagat gaggatattt
121 gctgtcttta tattcatgac ctactggcat ttgctgaacg catttactgt cacggttccc
181 aaggacctat atgtggtaga gtatggtagc aatatgacaa ttgaatgcaa attcccagta
241 gaaaaacaat tagacctggc tgcactaatt gtctattggg aaatggagga taagaacatt
301 attcaatttg tgcatggaga ggaagacctg aaggttcagc atagtagcta cagacagagg
361 gcccggctgt tgaaggacca gctctccctg ggaaatgctg cacttcagat cacagatgtg
421 aaattgcagg atgcaggggt gtaccgctgc atgatcagct atggtggtgc cgactacaag
481 cgaattactg tgaaagtcaa tgccccatac aacaaaatca accaaagaat tttggttgtg
541 gatccagtca cctctgaaca tgaactgaca tgtcaggctg agggctaccc caaggccgaa
601 gtcatctgga caagcagtga ccatcaagtc ctgagtggta agaccaccac caccaattcc
661 aagagagagg agaagctttt caatgtgacc agcacactga gaatcaacac aacaactaat
721 gagattttct actgcacttt taggagatta gatcctgagg aaaaccatac agctgaattg
781 gtcatcccag aactacctct ggcacatcct ccaaatgaaa ggactcactt ggtaattctg
841 ggagccatct tattatgcct tggtgtagca ctgacattca tcttccgttt aagaaaaggg
901 agaatgatgg atgtgaaaaa atgtggcatc caagatacaa actcaaagaa gcaaagtgat
961 acacatttgg aggagacgta atccagcatt ggaacttctg atcttcaagc agggattctc
1021 aacctgtggt ttaggggttc atcggggctg agcgtgacaa gaggaaggaa tgggcccgtg
1081 ggatgcaggc aatgtgggac ttaaaaggcc caagcactga aaatggaacc tggcgaaagc
1141 agaggaggag aatgaagaaa gatggagtca aacagggagc ctggagggag accttgatac
1201 tttcaaatgc ctgaggggct catcgacgcc tgtgacaggg agaaaggata cttctgaaca
1261 aggagcctcc aagcaaatca tccattgctc atcctaggaa gacgggttga gaatccctaa
1321 tttgagggtc agttcctgca gaagtgccct ttgcctccac tcaatgcctc aatttgtttt
1381 ctgcatgact gagagtctca gtgttggaac gggacagtat ttatgtatga gtttttccta
1441 tttattttga gtctgtgagg tcttcttgtc atgtgagtgt ggttgtgaat gatttctttt
1501 gaagatatat tgtagtagat gttacaattt tgtcgccaaa ctaaacttgc tgcttaatga
1561 tttgctcaca tctagtaaaa catggagtat ttgtaaggtg cttggtctcc tctataacta
1621 caagtataca ttggaagcat aaagatcaaa ccgttggttg cataggatgt cacctttatt
1681 taacccatta atactctggt tgacctaatc ttattctcag acctcaagtg tctgtgcagt
1741 atctgttcca tttaaatatc agctttacaa ttatgtggta gcctacacac ataatctcat
1801 ttcatcgctg taaccaccct gttgtgataa ccactattat tttacccatc gtacagctga
1861 ggaagcaaac agattaagta acttgcccaa accagtaaat agcagacctc agactgccac
1921 ccactgtcct tttataatac aatttacagc tatattttac tttaagcaat tcttttattc
1981 aaaaaccatt tattaagtgc ccttgcaata tcaatcgctg tgccaggcat tgaatctaca
2041 gatgtgagca agacaaagta cctgtcctca aggagctcat agtataatga ggagattaac
2101 aagaaaatgt attattacaa tttagtccag tgtcatagca taaggatgat gcgaggggaa
2161 aacccgagca gtgttgccaa gaggaggaaa taggccaatg tggtctggga cggttggata
2221 tacttaaaca tcttaataat cagagtaatt ttcatttaca aagagaggtc ggtacttaaa
2281 ataaccctga aaaataacac tggaattcct tttctagcat tatatttatt cctgatttgc
2341 ctttgccata taatctaatg cttgtttata tagtgtctgg tattgtttaa cagttctgtc
2401 ttttctattt aaatgccact aaattttaaa ttcatacctt tccatgattc aaaattcaaa
2461 agatcccatg ggagatggtt ggaaaatctc cacttcatcc tccaagccat tcaagtttcc
2521 tttccagaag caactgctac tgcctttcat tcatatgttc ttctaaagat agtctacatt
2581 tggaaatgta tgttaaaagc acgtattttt aaaatttttt tcctaaatag taacacattg
2641 tatgtctgct gtgtactttg ctatttttat ttattttagt gtttcttata tagcagatgg
2701 aatgaatttg aagttcccag ggctgaggat ccatgccttc tttgtttcta agttatcttt
2761 cccatagctt ttcattatct ttcatatgat ccagtatatg ttaaatatgt cctacatata
2821 catttagaca accaccattt gttaagtatt tgctctagga cagagtttgg atttgtttat
2881 gtttgctcaa aaggagaccc atgggctctc cagggtgcac tgagtcaatc tagtcctaaa
2941 aagcaatctt attattaact ctgtatgaca gaatcatgtc tggaactttt gttttctgct
3001 ttctgtcaag tataaacttc actttgatgc tgtacttgca aaatcacatt ttctttctgg
3061 aaattccggc agtgtacctt gactgctagc taccctgtgc cagaaaagcc tcattcgttg
3121 tgcttgaacc cttgaatgcc accagctgtc atcactacac agccctccta agaggcttcc
3181 tggaggtttc gagattcaga tgccctggga gatcccagag tttcctttcc ctcttggcca
3241 tattctggtg tcaatgacaa ggagtacctt ggctttgcca catgtcaagg ctgaagaaac
3301 agtgtctcca acagagctcc ttgtgttatc tgtttgtaca tgtgcatttg tacagtaatt
3361 ggtgtgacag tgttctttgt gtgaattaca ggcaagaatt gtggctgagc aaggcacata
3421 gtctactcag tctattccta agtcctaact cctccttgtg gtgttggatt tgtaaggcac
3481 tttatccctt ttgtctcatg tttcatcgta aatggcatag gcagagatga tacctaattc
3541 tgcatttgat tgtcactttt tgtacctgca ttaatttaat aaaatattct tatttatttt
3601 gttacttggt acaccagcat gtccattttc ttgtttattt tgtgtttaat aaaatgttca
3661 gtttaacatc ccagtggaga aagttaaaaa a
【0129】
Table 16:マウスPD-L1(CD274)配列(NM_021893.3)の完全なmRNA配列;配列番号116
1 gaaatcgtgg tccccaagcc tcatgccagg ctgcacttgc acgtcgcggg ccagtctcct
61 cgcctgcaga tagttcccaa aacatgagga tatttgctgg cattatattc acagcctgct
121 gtcacttgct acgggcgttt actatcacgg ctccaaagga cttgtacgtg gtggagtatg
181 gcagcaacgt cacgatggag tgcagattcc ctgtagaacg ggagctggac ctgcttgcgt
241 tagtggtgta ctgggaaaag gaagatgagc aagtgattca gtttgtggca ggagaggagg
301 accttaagcc tcagcacagc aacttcaggg ggagagcctc gctgccaaag gaccagcttt
361 tgaagggaaa tgctgccctt cagatcacag acgtcaagct gcaggacgca ggcgtttact
421 gctgcataat cagctacggt ggtgcggact acaagcgaat cacgctgaaa gtcaatgccc
481 cataccgcaa aatcaaccag agaatttccg tggatccagc cacttctgag catgaactaa
541 tatgtcaggc cgagggttat ccagaagctg aggtaatctg gacaaacagt gaccaccaac
601 ccgtgagtgg gaagagaagt gtcaccactt cccggacaga ggggatgctt ctcaatgtga
661 ccagcagtct gagggtcaac gccacagcga atgatgtttt ctactgtacg ttttggagat
721 cacagccagg gcaaaaccac acagcggagc tgatcatccc agaactgcct gcaacacatc
781 ctccacagaa caggactcac tgggtgcttc tgggatccat cctgttgttc ctcattgtag
841 tgtccacggt cctcctcttc ttgagaaaac aagtgagaat gctagatgtg gagaaatgtg
901 gcgttgaaga tacaagctca aaaaaccgaa atgatacaca attcgaggag acgtaagcag
961 tgttgaaccc tctgatcgtc gattggcagc ttgtggtctg tgaaagaaag ggcccatggg
1021 acatgagtcc aaagactcaa gatggaacct gagggagaga accaagaaag tgttgggaga
1081 ggagcctgga acaacggaca ttttttccag ggagacactg ctaagcaagt tgcccatcag
1141 tcgtcttggg aaatggattg agggttcctg gcttagcagc tggtccttgc acagtgacct
1201 tttcctctgc tcagtgccgg gatgagagat ggagtcatga gtgttgaaga ataagtgcct
1261 tctatttatt ttgagtctgt gtgttctcac tttgggcatg taattatgac tggtgaattc
1321 tgacgacatg atagatctta agatgtagtc accaaactca actgctgctt agcatcctcc
1381 gtaactactg atacaagcag ggaacacaga ggtcacctgc ttggtttgac aggctcttgc
1441 tgtctgactc aaataatctt tatttttcag tcctcaaggc tcttcgatag cagttgttct
1501 gtatcagcct tataggtgtc aggtatagca ctcaacatct catctcatta caatagcaac
1561 cctcatcacc atagcaacag ctaacctctg ttatcctcac ttcatagcca ggaagctgag
1621 cgactaagtc acttgcccac agagtatcag ctctcagatt tctgttcttc agccactgtc
1681 ctttcaggat agaatttgtc gttaagaaat taatttaaaa actgattatt gagtagcatt
1741 gtatatcaat cacaacatgc cttgtgcact gtgctggcct ctgagcataa agatgtacgc
1801 cggagtaccg gtcggacatg tttatgtgtg ttaaatactc agagaaatgt tcattaacaa
1861 ggagcttgca ttttagagac actggaaagt aactccagtt cattgtctag cattacattt
1921 acctcatttg ctatccttgc catacagtct cttgttctcc atgaagtgtc atgaatcttg
1981 ttgaatagtt cttttatttt ttaaatgttt ctatttaaat gatattgaca tctgaggcga
2041 tagctcagtt ggtaaaaccc tttcctcaca agtgtgaaac cctgagtctt atccctagaa
2101 cccacataaa aaacagttgc gtatgtttgt gcatgctttt gatcccagca ctagggaggc
2161 agaggcaggc agatcctgag ctctcattga ccacccagcc tagcctacat ggttagctcc
2221 aggcctacag gagctggcag agcctgaaaa acgatgccta gacacacaca cacacacaca
2281 cacacacaca cacacacaca cacaccatgt actcatagac ctaagtgcac cctcctacac
2341 atgcacacac atacaattca aacacaaatc aacagggaat tgtctcagaa tggtccccaa
2401 gacaaagaag aagaaaaaca ccaaaccagc tctattccct cagcctatcc tctctactcc
2461 ttcctagaag caactactat tgtttttgta tataaattta cccaacgaca gttaatatgt
2521 agaatatata ttaaagtgtc tgtcaatata tattatctct ttctttcttt cttcctttct
2581 ttctttcttt ctttctttct ttctttcttt ctttctttct ttcttccttc cttccttcct
2641 tccttccttc cttccttcct ttctttcttt ctttcttttt ttctgtctat ctgtacctaa
2701 atggttgctc actatgcatt ttctgtgctc ttcgcccttt ttatttaatg tatggatatt
2761 tatgctgctt ccagaatgga tctaaagctc tttgtttcta ggttttctcc cccatccttc
2821 taggcatctc tcacactgtc taggccagac accatgtctg ctgcctgaat ctgtagacac
2881 catttataaa gcacgtactc accgagtttg tatttggctt gttctgtgtc tgattaaagg
2941 gagaccatga gtccccaggg tacactgagt taccccagta ccaaggggga gccttgtttg
3001 tgtctccatg gcagaagcag gcctggagcc attttggttt cttccttgac ttctctcaaa
3061 cacagacgcc tcacttgctc attacaggtt ctcctttggg aatgtcagca ttgctccttg
3121 actgctggct gccctggaag gagcccatta gctctgtgtg agcccttgac agctactgcc
3181 tctccttacc acaggggcct ctaagatact gttacctaga ggtcttgagg atctgtgttc
3241 tctgggggga ggaaaggagg aggaacccag aactttctta cagttttcct tgttctgtca
3301 catgtcaaga ctgaaggaac aggctgggct acgtagtgag atcctgtctc aaaggaaaga
3361 cgagcatagc cgaacccccg gtggaacccc ctctgttacc tgttcacaca agcttattga
3421 tgagtctcat gttaatgtct tgtttgtatg aagtttaaga aaatatcggg ttgggcaaca
3481 cattctattt attcatttta tttgaaatct taatgccatc tcatggtgtt ggattggtgt
3541 ggcactttat tcttttgtgt tgtgtataac cataaatttt attttgcatc agattgtcaa
3601 tgtattgcat taatttaata aatattttta tttattaaaa aaaaaaaaaa aaa
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
【配列表】
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