(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-31
(45)【発行日】2023-06-08
(54)【発明の名称】無線品質情報提供装置、ナビゲーションシステム、無線品質情報提供方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
H04B 17/391 20150101AFI20230601BHJP
G01C 21/34 20060101ALI20230601BHJP
G09B 29/10 20060101ALI20230601BHJP
G09B 29/00 20060101ALI20230601BHJP
H04B 17/309 20150101ALI20230601BHJP
B25J 19/06 20060101ALI20230601BHJP
【FI】
H04B17/391
G01C21/34
G09B29/10 A
G09B29/00 Z
H04B17/309
B25J19/06
(21)【出願番号】P 2020163589
(22)【出願日】2020-09-29
【審査請求日】2022-07-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】神谷 尚保
(72)【発明者】
【氏名】稗圃 泰彦
(72)【発明者】
【氏名】川田 亮一
【審査官】前田 典之
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-253446(JP,A)
【文献】特開2019-149652(JP,A)
【文献】特開2008-011039(JP,A)
【文献】国際公開第2008/062819(WO,A1)
【文献】特開2017-050797(JP,A)
【文献】特開2006-254056(JP,A)
【文献】特開2019-216377(JP,A)
【文献】特開2017-069799(JP,A)
【文献】特開2017-167625(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 17/391
G01C 21/34
G09B 29/10
G09B 29/00
H04B 17/309
B25J 19/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置と当該位置における無線通信品質とが関連付けて記録された位置無線品質情報を格納する位置無線品質格納部と、
前記位置無線品質情報に無線通信品質が記録されていない位置で撮像された映像ファイルを取得する映像取得部と、
前記映像取得部が取得した前記映像ファイルに対して画像解析を行う映像解析部と、
前記映像解析部が前記映像ファイルに対して行った画像解析の結果に基づいて、前記位置無線品質情報に無線通信品質が記録されていない位置における無線通信品質を推定する無線品質推定部と、
を備える無線品質情報提供装置。
【請求項2】
前記位置無線品質格納部は、無線周波数帯ごとに前記位置無線品質情報を格納する、
請求項1に記載の無線品質情報提供装置。
【請求項3】
前記位置無線品質情報に記録されていない無線通信品質の無線周波数帯に応じて、前記映像取得部が取得する対象の前記映像ファイルが撮像されたタイミングに制約を設ける、
請求項2に記載の無線品質情報提供装置。
【請求項4】
前記位置無線品質情報に記録されていない無線通信品質の無線周波数帯が所定の高周波数帯である場合、前記映像取得部は、移動しながら無線通信を行う移動体が、前記位置無線品質情報に無線通信品質が記録されていない位置を通る予定のタイミングに該当するタイミングで撮像された前記映像ファイルを取得する、
請求項3に記載の無線品質情報提供装置。
【請求項5】
映像収集装置に格納される映像ファイルの撮像時刻及び撮像位置を示すメタ情報を、当該映像収集装置を識別する映像収集装置識別情報に関連付けて格納するメタ情報格納部と、
前記メタ情報に基づいて、前記映像取得部が取得する対象の前記映像ファイルと、当該映像ファイルを取得する対象の前記映像収集装置とを特定する映像収集装置ファイル特定部と、をさらに備える、
請求項1から4のいずれか1項に記載の無線品質情報提供装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の無線品質情報提供装置と、
移動しながら無線通信を行う移動体に対して、前記無線品質情報提供装置から提供される各位置の無線通信品質に基づいて、出発地から目的地に到達する経路を示す経路情報を提供するナビゲーション装置と、
を備えるナビゲーションシステム。
【請求項7】
位置と当該位置における無線通信品質とが関連付けて記録された位置無線品質情報を位置無線品質格納部に格納する位置無線品質格納ステップと、
前記位置無線品質情報に無線通信品質が記録されていない位置で撮像された映像ファイルを取得する映像取得ステップと、
前記映像取得ステップで取得した前記映像ファイルに対して画像解析を行う映像解析ステップと、
前記映像解析ステップで前記映像ファイルに対して行った画像解析の結果に基づいて、前記位置無線品質情報に無線通信品質が記録されていない位置における無線通信品質を推定する無線品質推定ステップと、
を含む無線品質情報提供方法。
【請求項8】
コンピュータに、
位置と当該位置における無線通信品質とが関連付けて記録された位置無線品質情報を位置無線品質格納部に格納する位置無線品質格納ステップと、
前記位置無線品質情報に無線通信品質が記録されていない位置で撮像された映像ファイルを取得する映像取得ステップと、
前記映像取得ステップで取得した前記映像ファイルに対して画像解析を行う映像解析ステップと、
前記映像解析ステップで前記映像ファイルに対して行った画像解析の結果に基づいて、前記位置無線品質情報に無線通信品質が記録されていない位置における無線通信品質を推定する無線品質推定ステップと、
を実行させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線品質情報提供装置、ナビゲーションシステム、無線品質情報提供方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自律的に移動するロボットを無線通信により遠隔で監視する遠隔監視システムが検討されている。例えば特許文献1には、ロボットに取り付けられたロボット状態監視端末がロボットの状態データを監視サーバに送信し、監視サーバがロボット状態監視端末から受信した状態データに基づいてロボットの状態を判定する、ロボット状態監視システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した特許文献1のロボット状態監視システムでは、ロボットが移動中に無線通信が切断されると、現在移動しているロボットを遠隔で監視することができなくなってしまい、不都合である。この課題の解決のために、無線通信が切断されないように、ロボットに対して無線通信品質が良好な経路を移動するようにナビゲーションを行うことが考えられる。しかしながら、そのようなナビゲーションを行う際に、出発地から目的地に到達する経路の全ての候補について、必ずしも無線通信品質が分かっているとは限らないので、適切なナビゲーションを行うことができない可能性がある。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、無線通信品質が不明な位置の無線通信品質を推定してナビゲーション装置等に提供することを図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の一態様は、位置と当該位置における無線通信品質とが関連付けて記録された位置無線品質情報を格納する位置無線品質格納部と、前記位置無線品質情報に無線通信品質が記録されていない位置で撮像された映像ファイルを取得する映像取得部と、前記映像取得部が取得した前記映像ファイルに対して画像解析を行う映像解析部と、前記映像解析部が前記映像ファイルに対して行った画像解析の結果に基づいて、前記位置無線品質情報に無線通信品質が記録されていない位置における無線通信品質を推定する無線品質推定部と、を備える無線品質情報提供装置である。
(2)本発明の一態様は、前記位置無線品質格納部は、無線周波数帯ごとに前記位置無線品質情報を格納する、上記(1)の無線品質情報提供装置である。
(3)本発明の一態様は、前記位置無線品質情報に記録されていない無線通信品質の無線周波数帯に応じて、前記映像取得部が取得する対象の前記映像ファイルが撮像されたタイミングに制約を設ける、上記(2)の無線品質情報提供装置である。
(4)本発明の一態様は、前記位置無線品質情報に記録されていない無線通信品質の無線周波数帯が所定の高周波数帯である場合、前記映像取得部は、移動しながら無線通信を行う移動体が、前記位置無線品質情報に無線通信品質が記録されていない位置を通る予定のタイミングに該当するタイミングで撮像された前記映像ファイルを取得する、上記(3)の無線品質情報提供装置である。
(5)本発明の一態様は、映像収集装置に格納される映像ファイルの撮像時刻及び撮像位置を示すメタ情報を、当該映像収集装置を識別する映像収集装置識別情報に関連付けて格納するメタ情報格納部と、前記メタ情報に基づいて、前記映像取得部が取得する対象の前記映像ファイルと、当該映像ファイルを取得する対象の前記映像収集装置とを特定する映像収集装置ファイル特定部と、をさらに備える、上記(1)から(4)のいずれかの無線品質情報提供装置である。
【0007】
(6)本発明の一態様は、上記の無線品質情報提供装置と、移動しながら無線通信を行う移動体に対して、前記無線品質情報提供装置から提供される各位置の無線通信品質に基づいて、出発地から目的地に到達する経路を示す経路情報を提供するナビゲーション装置と、を備えるナビゲーションシステムである。
【0008】
(7)本発明の一態様は、位置と当該位置における無線通信品質とが関連付けて記録された位置無線品質情報を位置無線品質格納部に格納する位置無線品質格納ステップと、前記位置無線品質情報に無線通信品質が記録されていない位置で撮像された映像ファイルを取得する映像取得ステップと、前記映像取得ステップで取得した前記映像ファイルに対して画像解析を行う映像解析ステップと、前記映像解析ステップで前記映像ファイルに対して行った画像解析の結果に基づいて、前記位置無線品質情報に無線通信品質が記録されていない位置における無線通信品質を推定する無線品質推定ステップと、を含む無線品質情報提供方法である。
【0009】
(8)本発明の一態様は、コンピュータに、位置と当該位置における無線通信品質とが関連付けて記録された位置無線品質情報を位置無線品質格納部に格納する位置無線品質格納ステップと、前記位置無線品質情報に無線通信品質が記録されていない位置で撮像された映像ファイルを取得する映像取得ステップと、前記映像取得ステップで取得した前記映像ファイルに対して画像解析を行う映像解析ステップと、前記映像解析ステップで前記映像ファイルに対して行った画像解析の結果に基づいて、前記位置無線品質情報に無線通信品質が記録されていない位置における無線通信品質を推定する無線品質推定ステップと、を実行させるためのコンピュータプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、無線通信品質が不明な位置の無線通信品質を推定してナビゲーション装置等に提供することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】一実施形態に係るナビゲーションシステムの構成例を示すブロック図である。
【
図2】一実施形態に係る位置・無線品質格納部の構成例を示す図である。
【
図3】一実施形態に係るナビゲーション方法の手順の例を示すフローチャートである。
【
図4】経路探索方法の一例を説明するための説明図である。
【
図5】一実施形態に係る経路探索方法を説明するための説明図である。
【
図6】一実施形態に係る無線品質情報提供方法の手順の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。本実施形態では、自律的に移動するロボット(以下、移動ロボットと称する)を使用して配送を行う配送サービスシステムにおけるナビゲーションシステムを例に挙げて説明する。
【0013】
図1は、一実施形態に係るナビゲーションシステムの構成例を示すブロック図である。
図1において、移動ロボット2は、無線品質情報提供装置5、ナビゲーション装置6及び遠隔監視装置20との間で無線通信回線を介して通信を行う。移動ロボット2は、移動体の一例である。ナビゲーション装置6は、移動ロボット2に対して出発地から目的地に到達する経路を示す経路情報を提供する。
【0014】
遠隔監視装置20は、移動ロボット2を無線通信により遠隔で監視するための装置である。例えば、遠隔監視装置20は、移動ロボット2が撮像する画像や収音する音を移動ロボット2から無線通信回線を介して受信し、受信した画像や音を表示や再生する。監視者が当該画像や当該音を視聴することにより、リアルタイムで移動ロボット2の移動の状況の監視が行われる。このため、本実施形態に係る遠隔監視システムにおいては、移動ロボット2と遠隔監視装置20との間の安定的な無線通信の実現が要求される。本実施形態では、ナビゲーション装置6が、移動ロボット2と遠隔監視装置20との間の安定的な無線通信の実現を図るための経路情報を提供する。
【0015】
ここで、ナビゲーション装置6が移動ロボット2に対して、無線通信が切断されないように、無線通信品質が良好な経路を移動するようにナビゲーションを行う際に、出発地から目的地に到達する経路の全ての候補について、必ずしも無線通信品質が分かっているとは限らない。そこで、本実施形態では、無線品質情報提供装置5が、ナビゲーション装置6に対して、無線通信品質が不明な位置の無線通信品質を推定して提供する。
【0016】
以下、
図1を参照して本実施形態に係るナビゲーションシステム10の構成を説明する。
【0017】
[利用者端末]
利用者端末1は、本実施形態に係る配送サービスシステムの利用者(以下、配送サービス利用者と称する)が利用する端末である。配送サービス利用者は、荷物を配送する宛先である目的地を指定して配送を依頼する。利用者端末1は、スマートフォンやタブレット型のコンピュータ(タブレットPC)等の携帯通信端末装置であってもよく、又は据置き型の通信端末装置(例えば据置き型のパーソナルコンピュータ等)であってもよい。
【0018】
利用者端末1は、商品発注部101と、目的地情報入力部102とを備える。商品発注部101は、配送サービス利用者による操作に応じて、商品の選択及び選択した商品の発注を行う。
【0019】
なお、商品発注部101は、配送サービス利用者が所有する物品の残量をリアルタイムに管理し、物品の残量が予め設定された閾値以下になったときに、補充用の商品を自動的に発注してもよい。
【0020】
目的地情報入力部102は、商品発注部101が商品を発注する際に、住所等の目的地を示す目的地情報を入力する。目的地情報は、配送サービス利用者が毎回指定してもよく、又は目的地情報入力部102が過去に配送サービス利用者から指定された目的地情報を記録しておき当該記録の目的地情報を自動的に再利用してもよい。
【0021】
また、目的地情報入力部102は、利用者端末1が備えるGPS(Global Positioning System)による測位機能を用いて、GPSで取得した現在位置を目的地としてもよい。また、目的地情報入力部102は、利用者端末1のカメラで撮影した利用者端末1の周囲の景色の画像を目的地の参考情報として目的地情報に付加してもよい。
【0022】
[移動ロボット]
移動ロボット2は、自律走行可能なロボットである。移動ロボット2は、例えば、街中を走行し、配送サービス利用者が指定した目的地まで荷物を配送する。
【0023】
移動ロボット2は、現在位置取得部201と、無線品質取得部202と、状態取得部203と、無線通信部204と、経路情報格納部205と、撮像部206と、動作判断部207と、動作制御部208とを備える。
【0024】
現在位置取得部201は、GPS等の測位システムによって、現在位置(位置情報)を取得する。無線品質取得部202は、無線通信部204が対応する無線通信方式及び無線周波数帯ごとに、無線通信部204が無線品質情報提供装置5やナビゲーション装置6との間で無線通信を行う際の無線通信品質(無線通信品質情報)を取得する。状態取得部203は、移動ロボット2に備わっている各種センサから、バッテリー残量や温度や移動速度等の状態データ(状態情報)を取得する。
【0025】
無線通信部204は、遠隔監視装置20や無線品質情報提供装置5やナビゲーション装置6との間で無線通信を行う。無線通信部204は、例えばLTE(Long Term Evolution)や5G(第5世代移動通信システム)等の無線通信方式に対応し、自己が対応する無線通信方式の基地局を介して無線通信を行う。また、無線通信部204は、Wi-Fi(登録商標)等のアンライセンス系の無線通信方式に対応し、当該アンライセンス系の無線通信方式により無線通信を行ってもよい。
【0026】
無線通信部204は、現在位置取得部201や無線品質取得部202や状態取得部203により得られた情報を無線品質情報提供装置5の運用監視部501へ送信する。また、無線通信部204は、ナビゲーション装置6の経路配信部605から送信された経路情報を受信して経路情報格納部205に格納する。経路情報格納部205に格納された経路情報は、移動ロボット2の動作の判断に活用される。
【0027】
撮像部206は、移動ロボット2の進行方向を撮像する。動作判断部207は、移動ロボット2の次の動作を判断する。動作判断部207は、経路情報格納部205に格納されている経路情報に示される経路を移動する際に、現在位置取得部201で取得した現在位置や撮像部206で撮像した撮像画像等を用いて、移動ロボット2の周囲の環境に合わせた動作を判断する。
【0028】
動作制御部208は、動作判断部207で判断した動作を移動ロボット2に実行させる。動作制御部208は、移動ロボット2の前進や後退や右左折等の走行種別及び走行速度、並びに撮像部206の撮像方向の変更等の走行以外の動作種別を制御する。
【0029】
[携帯端末]
携帯端末3は、スマートフォンやタブレットPC等の携帯通信端末装置である。携帯端末3は、利用者端末1として利用されるものであってもよく、又は利用者端末1とは別個のものであってもよい。携帯端末3として、例えば、特定の無線通信キャリアに加入した加入者により当該無線通信キャリアとの間で位置情報取得の合意が取れている全ての加入者の携帯端末を対象としてもよい。
【0030】
携帯端末3は、自己が対応する無線通信方式及び無線周波数帯ごとに、現在位置(位置情報)と当該現在位置における無線通信品質(無線通信品質情報)とを定期的に無線品質情報提供装置5へ報告する。
【0031】
[映像収集装置]
映像収集装置4は、撮像部401を備え、撮像部401が撮影した映像を収集する。映像収集装置4は、自動車等の車両や飛行体などの移動体に搭載される装置であってもよく、人が携帯する装置であってもよく、又は街中や路側帯等に設置された装置であってもよい。車両は、自動車であってもよく、又は、自転車であってもよい。映像収集装置4は、例えば、車両に搭載されるカーナビゲーション装置やドライブレコーダであってもよい。映像収集装置4は、例えば、車両に乗車する者が携帯するスマートフォンであってもよい。映像収集装置4は、例えば、人が装着するスマートグラスに搭載されてもよい。以下の説明では、映像収集装置4として、車両に搭載されるものを例に挙げるが、これに限定されない。映像収集装置4は飛行体に搭載され、上空から撮影した映像を収集してもよい。
【0032】
本実施形態に係るナビゲーションシステム10は、複数の映像収集装置4を備えてもよい。それら複数の映像収集装置4はそれぞれ別個の車両に搭載されるものである。各映像収集装置4は、通信ネットワークを介して、無線品質情報提供装置5と通信を行う。
【0033】
映像収集装置4は、撮像部401と、位置計測部402と、映像ファイル格納部403と、メタ情報格納部404と、メタ情報送信部405と、ファイル検索部406と、映像ファイル送信部407とを備える。
【0034】
撮像部401は、映像収集装置4が搭載される車両(自車両)の外部を撮像する。撮像部401は、映像収集装置4が搭載される車両(自車両)の外部を撮像するように、撮像方向が設定される。撮像方向は、自車両の進行方向、自車両の進行方向の逆方向、自車両の側方などである。例えば、撮像部401は、自車両の進行方向を撮像するものであってもよい。また、撮像部401は、同時に複数の撮像方向を撮像することができるものであってもよい。例えば、撮像部401は、自車両の進行方向及び進行方向の逆方向を同時に撮像するものであってもよい。
【0035】
撮像部401は、撮像した撮像データを一時的に撮像バッファに保持し、一定の周期または一定の保持容量になったタイミングで、撮像バッファに保持する撮像データをMPEG-4等の形式でファイル化する。撮像部401は、例えば、自動車に搭載されたドライブレコーダに備えられるものであって、撮像データは当該自動車の進行方向等の周囲の状況が撮像された撮像データである。
【0036】
位置計測部402は、撮像部401の撮像時の位置(撮像位置)を計測する。位置計測部402は、例えば、ドライブレコーダがGPS受信機を備える場合、GPSにより測定された位置を撮像位置として取得する。
【0037】
映像ファイル格納部403は、撮像部401が撮像しファイル化した映像ファイルを格納する。映像ファイル格納部403には、映像ファイルの識別情報(映像ファイルID)と、当該映像ファイルとが関連付けて格納される。
【0038】
メタ情報格納部404は、撮像部401が撮像しファイル化した映像ファイルに対応するメタ情報を、当該映像ファイルの映像ファイルIDに関連付けて格納する。映像ファイルに対応するメタ情報は、当該映像ファイルについての撮像時刻と位置計測部402の計測結果の撮像位置とを含む情報である。
【0039】
メタ情報送信部405は、自己の映像収集装置4を識別する映像収集装置識別情報(映像収集装置ID)をメタ情報に付加した映像収集装置ID付きメタ情報を、無線品質情報提供装置5へ送信する。映像収集装置ID付きメタ情報を無線品質情報提供装置5へ送信するタイミングは、一定の周期であってもよく、又は、通信ネットワークに接続したタイミングであってもよい。メタ情報送信部405は、例えば、一定の周期でLTE通信により映像収集装置ID付きメタ情報を送信してもよいし、無線LAN(Local Area Network)等の無線通信ネットワークに接続したタイミングで映像収集装置ID付きの複数のメタ情報を一括して送信してもよい。
【0040】
ファイル検索部406は、無線品質情報提供装置5から受信した映像ファイル要求が示す撮像時刻及び撮像位置に該当するメタ情報を、メタ情報格納部404から検索する。ファイル検索部406は、当該検索の結果のメタ情報に関連付けられた映像ファイルIDを、映像ファイル送信部407へ通知する。
【0041】
映像ファイル送信部407は、ファイル検索部406から通知された映像ファイルIDに関連付けられた映像ファイルを映像ファイル格納部403から取得し、取得した映像ファイルを無線品質情報提供装置5へ送信する。
【0042】
[無線品質情報提供装置]
無線品質情報提供装置5は、運用監視部501と、運用情報格納部502と、位置・無線品質格納部503と、地図情報格納部504と、無線品質移動コスト変換部505と、携帯端末位置情報格納部506と、屋外人口密度推計部507と、基地局情報格納部508と、建物3次元情報格納部509と、メタ情報受信部510と、メタ情報格納部511と、映像収集装置・ファイル特定部512と、映像取得部513と、映像解析部514と、無線品質推定部515とを備える。
【0043】
無線品質情報提供装置5の各機能は、無線品質情報提供装置5がCPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)及びメモリ等のコンピュータハードウェアを備え、CPUがメモリに格納されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。なお、無線品質情報提供装置5として、汎用のコンピュータ装置を使用して構成してもよく、又は、専用のハードウェア装置として構成してもよい。例えば、無線品質情報提供装置5は、インターネット等の通信ネットワークに接続されるサーバコンピュータを使用して構成されてもよい。また、無線品質情報提供装置5の各機能はクラウドコンピューティングにより実現されてもよい。また、無線品質情報提供装置5は、単独のコンピュータにより実現するものであってもよく、又は無線品質情報提供装置5の機能を複数のコンピュータに分散させて実現するものであってもよい。また、無線品質情報提供装置5として、例えばWWWシステム等を利用してウェブサイトを開設するように構成してもよい。
【0044】
運用監視部501は、一又は複数の移動ロボット2に対して運用監視を行う。運用監視部501は、移動ロボット2からリアルタイムに受信した位置情報や無線通信品質情報や状態情報を当該移動ロボット2の個体を識別する情報(移動ロボットID)と関連付けて、運用監視を行う。運用監視部501は、定期的に、例えば1秒間隔で更新される情報(位置情報や無線通信品質情報や状態情報)に基づいて運用監視する。運用監視部501は、移動ロボット2から受信した位置情報や無線通信品質情報や状態情報を解析し、移動ロボット2の障害を検出した場合には、例えば、監視者に対して警報を発出する。運用情報格納部502は、障害発生時の原因究明や将来の対策検討のために、運用監視部501が移動ロボット2から受信した情報(位置情報や無線通信品質情報や状態情報)を格納する。
なお、運用監視部501は、遠隔監視装置20が備えていてもよい。この場合、移動ロボット2から無線品質情報提供装置5へ送信された位置情報及び無線通信品質情報は、運用監視部501を介さずに、位置・無線品質格納部503へ渡される。
【0045】
位置・無線品質格納部503は、無線通信方式及び無線周波数帯ごとに、位置情報と無線通信品質情報とが関連付けて記録された位置無線品質情報を格納する。位置無線品質情報は、日付や曜日や時間帯やイベントごとに、それぞれ設けられてもよい。例えば、平日(月曜から金曜まで)の位置無線品質情報と、休日(土曜、日曜及び祝日)の位置無線品質情報とがそれぞれ設けられてもよい。例えば、昼間の時間帯の位置無線品質情報と、夜間の時間帯の位置無線品質情報とがそれぞれ設けられてもよい。例えば、お正月やゴールデンウィークやお盆の期間の位置無線品質情報が設けられてもよい。
【0046】
図2は、本実施形態に係る位置・無線品質格納部503の構成例を示す図である。
図2の例では、位置・無線品質格納部503は、無線通信方式「LTE」について、無線周波数帯_LTE_aの位置無線品質情報5031や無線周波数帯_LTE_bの位置無線品質情報5032等を格納している。また、位置・無線品質格納部503は、無線通信方式「5G」について、無線周波数帯_5G_aの位置無線品質情報5033や無線周波数帯_5G_bの位置無線品質情報5034等を格納している。
【0047】
なお、LTEの無線周波数帯として、例えばBand1(2.1GHz)やBand18(800MHz)等が利用される。また、5Gの無線周波数帯として、例えば28GHz帯等が利用される。
【0048】
例えば、位置無線品質情報5031は、無線通信方式「LTE」の無線周波数帯_LTE_a(例えば800MHz帯)の各位置における各無線通信品質が関連付けて記録された情報である。但し、
図2の例では、位置無線品質情報5031には、位置_bにおける無線通信品質が記録されていない。
【0049】
例えば、位置無線品質情報5034は、無線通信方式「5G」の無線周波数帯_5G_b(例えば28GHz帯)の各位置における各無線通信品質が関連付けて記録された情報である。但し、
図2の例では、位置無線品質情報5034には、位置_aにおける無線通信品質が記録されていない。
【0050】
本実施形態では、位置・無線品質格納部503は、少なくとも本配送サービスシステムのサービス対象エリアを含む地域の位置無線品質情報を格納する。本配送サービスシステムのサービス対象エリアは、ナビゲーション装置6が経路情報を提供する対象の地域(対象地域)である。本実施形態に係る位置・無線品質格納部503は、ナビゲーション装置6が経路情報を提供する対象地域で無線通信サービスが提供されている無線通信方式(LTEや5G等)及び無線周波数帯(無線周波数帯_LTE_a,無線周波数帯_LTE_bや無線周波数帯_5G_a,無線周波数帯_5G_b等)ごとに、当該対象地域に含まれる位置と当該位置における無線通信品質とが関連付けて記録された位置無線品質情報を格納する。
【0051】
位置無線品質情報に記録される位置情報及び無線通信品質情報は、例えば移動ロボット2や携帯端末3から無線品質情報提供装置5へ送信された情報である。なお、移動ロボット2や携帯端末3以外の装置によって測定された位置情報及び無線通信品質情報が位置無線品質情報に記録されてもよい。
【0052】
また、位置情報は、例えばGPS座標である。GPS座標を取得することができない屋内施設等に対しては、IMES(Indoor MEssaging System)等の屋内測位技術により取得された絶対位置情報を位置情報に利用してもよい。また、無線通信品質情報は、例えばLTEの受信電力を示すRSRP(Reference Signal Received Power)である。
【0053】
地図情報格納部504は、全国の道路地図データや、それに付随する各種施設や店舗等の施設データや、地形情報等を格納する。道路地図データは、例えば、地図上の道路を、交差点等をノードとして複数の部分に分割し、各ノード間の部分をリンクとして規定したリンクデータとして与えられる。このリンクデータは、リンク固有の識別子(リンクID)、リンク長、リンクの始点・終点(ノード)の位置情報(経度、緯度)、角度(方向)データ、道路幅、道路種別などのデータを含んで構成される。道路地図データは、移動ロボット2が通行可能なレーンを示すレーン情報を含んでもよい。また、地図情報格納部504は、さらに屋内地図データを格納してもよい。
【0054】
無線品質移動コスト変換部505は、位置・無線品質格納部503に無線通信方式及び無線周波数帯ごとに格納されている各位置無線品質情報に基づいて、無線通信方式及び無線周波数帯ごとに、各道路に該当する位置情報に関連付けて記録されている無線通信品質情報を無線品質リンクコストに変換する。無線品質移動コスト変換部505によって求められた無線品質リンクコストは、地図情報格納部504の道路地図データ内の該当するリンクデータに関連付けて地図情報格納部504に格納される。
【0055】
無線品質移動コスト変換部505は、例えば、無線品質リンクコストの値を3段階に分けて、無線通信品質が十分に良い場合は無線品質リンクコスト「0」、無線通信が切断される程ではないが無線通信品質が悪い場合は無線品質リンクコスト「大」、無線通信が切断される可能性がある場合は無線品質リンクコスト「∞」、とする。
なお、ある程度以上に良好な無線通信品質である場合、無線通信が切断される可能性が十分に低くなる。このことから、無線通信が切断される可能性が十分に低いと判断することができる所定の無線通信品質を満たす場合には(例えば受信電力が所定値以上である場合には)無線品質リンクコストを小さくし(例えば無線品質リンクコスト「0」とし)、そうではない場合には無線品質リンクコストを大きくする(例えば無線品質リンクコスト「大」又は「∞」とする)ようにしてもよい。
【0056】
無線品質移動コスト変換部505は、例えば、各リンクデータに対応する無線通信品質情報群の中から、無線通信品質情報の最低値や外れ値を考慮した無線通信品質情報の最低値付近の値を無線品質リンクコストの変換の対象にしてもよい。これは、移動ロボット2が当該リンクデータの道路を走行した際に、無線通信が切断される可能性をリスクとして算出するためである。
【0057】
なお、後述するナビゲーション装置6の経路探索部604では、出発地から目的地へ向けて、次に到達できる交差点(ノード)までの道路(リンク)のコストの計算(積算)を順次行なっていき、出発地から目的地までが最小コストとなる経路を選択する。したがって、道路に小さな無線品質リンクコストの値を設定すると、その道路は経路として選択され易くなる。
【0058】
携帯端末位置情報格納部506は、各携帯端末3の位置情報の履歴を格納する。例えば、各携帯端末3のGPS座標を時刻に関連付けて格納する。
【0059】
屋外人口密度推計部507は、携帯端末位置情報格納部506に格納されている位置情報の履歴に基づいて各々の携帯端末3が屋内にいたか又は屋外にいたかを判定し、この判定結果に基づいて、予め設定されたエリアごとに屋外人口密度を推計する。屋外人口密度は、屋外に存在する人の単位面積あたりの人数である。屋外人口密度推計部507によって求められた屋外人口密度は、地図情報格納部504の道路地図データ内の該当するリンクデータに関連付けて地図情報格納部504に格納される。
【0060】
屋外人口密度推計部507は、例えば、ある携帯端末3について、位置情報の変化が一定未満であってほとんど変化がないと判断される場合には屋内にいたと判定し、当該位置情報の変化が一定以上であってある程度変化していると判断される場合には屋外にいたと判定する。
【0061】
また、屋外人口密度推計部507は、各々の携帯端末3の位置情報と、地図情報格納部504に格納されている道路地図データとを比較してマップマッチングを行い、携帯端末3が道路を利用していたと推定してもよい。マップマッチングは、GPSによって得られた、誤差を含んでいる可能性のある位置情報を、地図情報を用いて道路上になるように補正する処理である。マップマッチングは、例えばカーナビゲーションシステムなどで利用されている。
【0062】
また、屋外人口密度推計部507は、携帯端末3の移動速度に基づいて、当該携帯端末3の移動手段が歩行であるか又は車両であるかを判定してもよい。
【0063】
なお、屋外人口密度推計部507は、月や曜日や時間帯ごとに、それぞれの屋外人口密度を推計してもよい。これは、同じエリアであっても、月や曜日や時間帯等によって屋外人口密度が大きく変化する場合があるからである。
【0064】
また、屋外人口密度推計部507は、携帯端末3の位置情報を用いる方法とは異なる他の方法によって、屋外人口密度を推計してもよい。例えば、屋外人口密度推計部507は、後述する映像取得部513が取得した映像ファイルに対する人の画像認識結果に基づいて、屋外人口密度を推計してもよい。また、屋外人口密度推計部507は、移動ロボット2が撮影した映像を利用し、撮影された映像に対する人の画像認識結果に基づいて屋外人口密度を推計してもよい。
【0065】
基地局情報格納部508は、基地局の位置や無線通信方式や無線周波数帯等の基地局情報を格納する。基地局情報は、基地局が設置されている高度や基地局のアンテナ構成に関する情報を含んでもよい。基地局情報格納部508は、少なくとも本配送サービスシステムのサービス対象エリアを含む地域に存在する基地局の基地局情報を格納する。
【0066】
建物3次元情報格納部509は、地図上に存在する各建物について、建物の縦方向の長さ等のサイズ情報を含む建物の3次元情報を格納する。基地局情報格納部508は、少なくとも本配送サービスシステムのサービス対象エリアを含む地域に存在する建物の3次元情報を格納する。
【0067】
メタ情報受信部510は、映像収集装置4から映像収集装置ID付きメタ情報を受信する。メタ情報格納部511は、メタ情報受信部510が映像収集装置4から受信した映像収集装置ID付きメタ情報を基に、当該メタ情報を当該映像収集装置IDに関連付けて格納する。メタ情報格納部511に格納されるメタ情報は、映像収集装置4が映像ファイル格納部403に格納する映像ファイルのメタ情報であって、映像ファイルについての撮像時刻及び撮像位置を示す情報を含む情報である。
【0068】
映像収集装置・ファイル特定部512は、位置・無線品質格納部503内の位置無線品質情報に無線通信品質が記録されていない位置(無線品質未記録位置)で撮像された映像ファイルを取得するために、無線品質未記録位置と映像ファイル取得対象時刻とに該当するメタ情報格納部511内のメタ情報に基づいて、映像ファイル取得先の映像収集装置4及び取得対象映像ファイルを特定する。このとき、位置無線品質情報に記録されていない無線通信品質の無線周波数帯に応じて、映像ファイルが撮像されたタイミングに制約を設けてもよい。
【0069】
無線周波数帯として例えば5Gで利用される28GHz帯等の直進性が強い高周波数帯では、建物以外の人や車両等の障害物も電波伝搬に大きな影響を及ぼす可能性がある。このことから、28GHz帯等の所定の高周波数帯に対しては、人や車両の混雑状況により電波伝搬状態が大きく変化する可能性があるので、無線品質未記録位置におけるどのタイミングでの無線通信品質を取得したいのかによって、映像ファイルが撮像されたタイミングを限定する。
【0070】
例えば、移動ロボット2が無線品質未記録位置を通る予定のタイミング(例えば曜日や時間帯等)に該当するタイミングで撮像された映像ファイルを取得対象映像ファイルに決定する。このため、映像収集装置・ファイル特定部512は、移動ロボット2が移動する予定の移動範囲と移動時間帯を、後述するナビゲーション装置6のオーダー情報格納部602から取得する。オーダー情報格納部602には、移動ロボット2が商品を配送する際の出発地や目的地や時間帯等の予定配送情報が格納されている。映像収集装置・ファイル特定部512は、移動ロボット2の予定の移動範囲に含まれる無線品質未記録位置と、当該移動ロボット2の予定の移動時間帯(映像ファイル取得対象時刻)とに該当するメタ情報格納部511内のメタ情報に基づいて、映像ファイル取得先の映像収集装置4及び取得対象映像ファイルを特定する。
【0071】
一方、無線周波数帯として例えばLTEで利用される800MHz帯等の低周波数帯では、人や車両の混雑状況による電波伝搬への影響が少ないので、映像ファイルが撮像されたタイミングに制約を設けなくてもよい。
【0072】
映像収集装置・ファイル特定部512は、特定した映像ファイル取得先の映像収集装置4及び取得対象映像ファイルを示す映像収集装置ID及びメタ情報をメタ情報格納部511から取得する。映像収集装置・ファイル特定部512は、当該映像収集装置IDと当該メタ情報が示す撮像時刻及び撮像位置とを映像取得部513へ通知する。
【0073】
映像取得部513は、映像収集装置・ファイル特定部512から通知された映像収集装置IDと撮像時刻及び撮像位置とに基づいて、当該映像収集装置IDの映像収集装置4に対して、当該撮像時刻及び撮像位置に該当する映像ファイルを要求(映像ファイル要求)する。映像取得部513は、当該映像ファイル要求の応答として、当該撮像時刻及び撮像位置に該当する映像ファイルを当該映像収集装置IDの映像収集装置4から受信する。
【0074】
映像解析部514は、映像取得部513が取得した映像ファイルに対して画像解析を行う。この画像解析では、例えば、建物の占有率及び平均高や、車両の占有率及び平均高や、人の密度などの各種の情報を取得する。
【0075】
無線品質推定部515は、映像解析部514による映像ファイルの画像解析結果に基づいて、無線品質未記録位置における無線通信品質を推定する。無線品質推定部515は、無線品質未記録位置の無線通信品質の推定結果を、無線品質未記録位置に関連付けて位置・無線品質格納部503内の位置無線品質情報に記録する。これにより、位置・無線品質格納部503内の位置無線品質情報において、無線通信品質が記録されていなかった位置(無線品質未記録位置)に関連付けて、無線品質推定部515が推定した無線通信品質が記録される。
【0076】
以下、本実施形態に係る無線通信品質推定方法の例を説明する。
【0077】
(無線通信品質推定方法の例1)
無線品質推定部515は、無線品質未記録位置で撮像された映像ファイルに対する映像解析部514の画像解析結果として、無線品質未記録位置における障害物の密度を示す障害物密度情報を取得する。障害物密度情報は、建物の占有率や車両の占有率や人の密度などである。無線品質推定部515は、障害物密度情報に基づいて、無線品質未記録位置における無線通信品質を推定する。
【0078】
例えば、無線品質推定部515は、障害物密度情報と所定の障害物密度許容上限閾値とを比較し、障害物密度情報が障害物密度許容上限閾値超過である場合に、無線品質未記録位置における無線通信品質として「無線通信が切断される可能性がある」と推定する。また、無線品質推定部515は、障害物密度情報と所定の障害物密度許容上限閾値及び障害物密度基準閾値とを比較し、障害物密度情報が障害物密度許容上限閾値以下且つ障害物密度基準閾値超過である場合に、無線品質未記録位置における無線通信品質として「無線通信が切断される程ではないが無線通信品質が悪い」と推定する。また、無線品質推定部515は、障害物密度情報と所定の障害物密度基準閾値を比較し、障害物密度情報が障害物密度基準閾値以下である場合に、無線品質未記録位置における無線通信品質として「無線通信品質が十分に良い」と推定する。
【0079】
(無線通信品質推定方法の例2)
無線品質推定部515は、無線品質未記録位置で撮像された映像ファイルに対する映像解析部514の画像解析結果として、無線品質未記録位置における障害物の平均高を示す障害物平均高情報を取得する。障害物平均高情報は、建物の平均高や車両の平均高などである。無線品質推定部515は、障害物平均高情報に基づいて、無線品質未記録位置における無線通信品質を推定する。
【0080】
例えば、無線品質推定部515は、障害物平均高情報と所定の障害物平均高許容上限閾値とを比較し、障害物平均高情報が障害物平均高許容上限閾値超過である場合に、無線品質未記録位置における無線通信品質として「無線通信が切断される可能性がある」と推定する。また、無線品質推定部515は、障害物平均高情報と所定の障害物平均高許容上限閾値及び障害物平均高基準閾値とを比較し、障害物平均高情報が障害物平均高許容上限閾値以下且つ障害物平均高基準閾値超過である場合に、無線品質未記録位置における無線通信品質として「無線通信が切断される程ではないが無線通信品質が悪い」と推定する。また、無線品質推定部515は、障害物平均高情報と所定の障害物平均高基準閾値を比較し、障害物平均高情報が障害物平均高基準閾値以下である場合に、無線品質未記録位置における無線通信品質として「無線通信品質が十分に良い」と推定する。
【0081】
(無線通信品質推定方法の例3)
無線品質推定部515は、無線品質未記録位置で撮像された映像ファイルに対する映像解析部514の画像解析結果として、無線品質未記録位置における障害物密度情報及び障害物平均高情報を取得する。無線品質推定部515は、障害物密度情報及び障害物平均高情報に基づいて、無線品質未記録位置における無線通信品質を推定する。
【0082】
例えば、無線品質推定部515は、障害物密度情報及び障害物平均高情報を総合する所定の関数により、障害物密度情報及び障害物平均高情報の総合値(以下、単に総合値と称する)を算出する。無線品質推定部515は、総合値と所定の障害物総合値許容上限閾値とを比較し、総合値が障害物総合値許容上限閾値超過である場合に、無線品質未記録位置における無線通信品質として「無線通信が切断される可能性がある」と推定する。また、無線品質推定部515は、総合値と所定の障害物総合値許容上限閾値及び障害物総合値基準閾値とを比較し、総合値が障害物総合値許容上限閾値以下且つ障害物総合値基準閾値超過である場合に、無線品質未記録位置における無線通信品質として「無線通信が切断される程ではないが無線通信品質が悪い」と推定する。また、無線品質推定部515は、総合値と所定の障害物総合値基準閾値を比較し、総合値が障害物総合値基準閾値以下である場合に、無線品質未記録位置における無線通信品質として「無線通信品質が十分に良い」と推定する。
【0083】
(無線通信品質推定方法の例4)
無線品質推定部515は、基地局情報格納部508内の基地局情報と、地図情報格納部504内の地形情報と、建物3次元情報格納部509内の建物の3次元情報と、無線品質未記録位置で撮像された映像ファイルに対する映像解析部514の画像解析結果とを使用して、レイトレーシング法により、無線品質未記録位置における無線通信品質を推定する。
【0084】
レイトレーシング法は、電波を直進するレイとみなし、送受信点間の到達可能なレイの経路を幾何学的にトレースすることにより電波伝搬特性を推定する方法である。レイトレーシング法を用いた電波伝搬特性の推定では、送信点から出射されたレイは、構造物などによって反射、回折、透過して入射点に到達する。ここで、各レイの伝搬距離と受信点への入射角度の情報を用いることにより、伝搬損失(受信電力)、伝搬遅延(遅延スプレッド)、到来角度(角度スプレッド)の特性を推定する。
【0085】
無線品質推定部515は、レイトレーシング法により、無線品質未記録位置における無線通信品質として、例えば無線品質未記録位置における受信電力(RSRP)を推定する。
【0086】
(無線通信品質推定方法の例5)
無線品質推定部515は、建物3次元情報格納部509内の建物の3次元情報に基づいた機械学習により、無線品質未記録位置における無線通信品質を推定する。無線品質推定部515は、さらに、無線品質未記録位置で撮像された映像ファイルに対する映像解析部514の画像解析結果を機械学習に使用してもよい。機械学習では、位置・無線品質格納部503内の位置無線品質情報に無線通信品質が記録されている位置(無線品質既記録位置)と無線品質未記録位置との間の建物分布の類似度に基づいて、無線品質未記録位置における無線通信品質を推定するように、ニューラルネットワーク等の機械学習モデルの学習を行う。
【0087】
映像取得部513が取得した映像ファイルは、例えば車両に搭載されたドライブレコーダによって撮像及び記録された映像ファイルであって、無線品質未記録位置における実際の建物の状況が反映されている。このため、映像取得部513が取得した無線品質未記録位置の映像ファイルに対する映像解析部514の画像解析結果は、建物3次元情報格納部509内の建物の3次元情報には含まれない無線品質未記録位置の実情を示すと考えられる。このことから、無線品質未記録位置で撮像された映像ファイルに対する映像解析部514の画像解析結果を機械学習に使用することにより、無線品質未記録位置における無線通信品質を推定する精度を向上させることができる。
【0088】
また、無線品質未記録位置で撮像された映像ファイルに対する映像解析部514の画像解析結果としてさらに車両の占有率や人の密度を機械学習に使用して、車両の占有率や人の密度の傾向を学習させてもよい。これにより、例えば5Gで利用される28GHz帯など、建物以外の車両や人等の障害物の影響を受けやすい高周波数帯に対して、無線品質未記録位置における無線通信品質を推定する精度を向上させる効果が得られる。
【0089】
なお、上述した無線通信品質推定方法の例以外の方法として、映像解析部514による映像ファイルの画像解析結果を使用しない方法により、無線品質未記録位置における無線通信品質を推定してもよい。
【0090】
例えば、無線品質推定部515は、奥村-秦モデル等の電波伝搬モデルを使用して、無線品質未記録位置における無線通信品質を推定してもよい。例えば、電波伝搬モデルを使用して受信電力を推定する場合、地図情報格納部504内の地形情報に基づいて、複数の電波伝搬モデルの中から無線品質未記録位置の地形に最も合う電波伝搬モデルを選択し、その選択した電波伝搬モデルを使用して無線品質未記録位置の受信電力を推定する。
【0091】
また、無線品質推定部515は、無線品質既記録位置の無線通信品質に基づいて、無線品質未記録位置における無線通信品質を推定してもよい。例えば、無線品質既記録位置の無線通信品質と、無線品質既記録位置と基地局間の距離との関係から、無線品質未記録位置における無線通信品質を推定する。
【0092】
[ナビゲーション装置]
ナビゲーション装置6は、一又は複数の移動ロボット2に対して出発地から目的地までのナビゲーションを行う。
【0093】
ナビゲーション装置6は、移動コスト算出部601と、オーダー情報格納部602と、目的地取得部603と、経路探索部604と、経路配信部605とを備える。ナビゲーション装置6は、通信により無線品質情報提供装置5との間で情報を送受する。
【0094】
ナビゲーション装置6の各機能は、ナビゲーション装置6がCPU及びメモリ等のコンピュータハードウェアを備え、CPUがメモリに格納されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。なお、ナビゲーション装置6として、汎用のコンピュータ装置を使用して構成してもよく、又は、専用のハードウェア装置として構成してもよい。例えば、ナビゲーション装置6は、インターネット等の通信ネットワークに接続されるサーバコンピュータを使用して構成されてもよい。また、ナビゲーション装置6の各機能はクラウドコンピューティングにより実現されてもよい。また、ナビゲーション装置6は、単独のコンピュータにより実現するものであってもよく、又はナビゲーション装置6の機能を複数のコンピュータに分散させて実現するものであってもよい。また、ナビゲーション装置6として、例えばWWWシステム等を利用してウェブサイトを開設するように構成してもよい。
【0095】
移動コスト算出部601は、定期的に、無線品質情報提供装置5の地図情報格納部504に格納されている情報を使用して、各道路の各リンクに対して、無線通信方式及び無線周波数帯ごとに総合リンクコストを算出する。移動コスト算出部601は、少なくとも無線品質リンクコストを使用して総合リンクコストを算出する。移動コスト算出部601によって求められた総合リンクコストは、地図情報格納部504の道路地図データ内の該当するリンクデータに関連付けて地図情報格納部504に格納される。
【0096】
移動コスト算出部601は、無線品質リンクコストに基づいて、無線通信品質が悪いと低評価になるように、各道路の各リンクに対して重み付けを行う。例えば、移動コスト算出部601は、無線品質リンクコストに基づいて、無線通信が切断される可能性が高いと判断される道路のリンクに対して、総合リンクコストが最も大きくなるように重み付けを行ってもよい。これにより、移動ロボット2と遠隔監視装置20との間の安定的な無線通信の実現を図る。
【0097】
また、移動コスト算出部601は、屋外人口密度に基づいて総合リンクコストを算出してもよい。移動コスト算出部601は、屋外人口密度が閾値以上である道路のリンクに対して、総合リンクコストが大きくなるように重み付けを行ってもよい。これにより、移動ロボット2が人が少ない道路を走行することを図る。
【0098】
また、移動コスト算出部601は、移動ロボット2の種類と移動ロボット2による配送の内容とのうち少なくとも一方と、各道路の各リンクの道路状態とに基づいて、総合リンクコストを算出してもよい。移動ロボット2の種類は、移動ロボット2のサイズや構造等によって分類される。また、移動ロボット2の種類は、移動ロボット2が利用可能な無線通信方式及び無線周波数帯によって分類される。移動ロボット2による配送の内容は、例えば、移動ロボット2が配送する荷物の種類や積載見込み量等である。
【0099】
例えば、移動コスト算出部601は、閾値未満の道幅の道路のリンクに対して、小型の移動ロボット2の場合には安全に走行することができるので総合リンクコストを大きくしないが、大型の移動ロボット2の場合には総合リンクコストを大きくする。また、移動コスト算出部601は、移動ロボット2の構造によっては道路の段差を乗り越えることが困難である場合が想定されるので、該当する種類の移動ロボット2には、段差が存在する道路のリンクに対して、総合リンクコストを大きくする。また、移動コスト算出部601は、移動ロボット2が配送する荷物の種類が割れ物である場合には、凸凹が少ない道路を走行することが好ましいので、凸凹が少ない道路のリンクの総合リンクコストを小さくする一方、凸凹が多い道路のリンクの総合リンクコストを大きくする。
【0100】
また、移動コスト算出部601は、総合リンクコストの算出に使用する情報として、公知のナビゲーションシステムで使用されている評価要素を使用してもよい。公知のナビゲーションシステムで使用されている評価要素は、例えば、リンクの所要距離、移動にかかる所要時間、道路状況や道幅による重み付け、信号頻度による重み付け、渋滞傾向による重み付け等である。
【0101】
オーダー情報格納部602は、利用者端末1から商品発注のオーダー情報を受信し、受信したオーダー情報を格納する。オーダー情報格納部602は、購買システム(図示せず)と連携して購買処理を行い、商品配送計画を策定する。オーダー情報格納部602は、策定した商品配送計画により、移動ロボット2が商品を配送する出発地や目的地や時間帯等の予定配送情報を格納する。目的地取得部603は、オーダー情報格納部602に格納されたオーダー情報から目的地情報を取得する。
【0102】
経路探索部604は、移動コスト算出部601が算出した総合リンクコストに基づいて、移動ロボット2が走行する予定の経路として、移動ロボット2の出発地から目的地に到達する経路を探索する。移動ロボット2の目的地は、目的地取得部603がオーダー情報から取得した目的地情報が示す場所である。移動ロボット2の出発地は、予め設定される。例えば、商品の配送拠点(例えば、商品が貯蔵されている物流倉庫や目的地の最寄りの配送取り扱い店舗等)が、移動ロボット2の出発地として予め設定される。また、移動ロボット2が車両により目的地付近まで運送される場合には、当該移動ロボット2の運送先の場所が当該移動ロボット2の出発地として予め設定される。
【0103】
経路探索部604が利用する経路探索方法として、例えば、ダイクストラ法やA*アルゴリズムや遺伝的アルゴリズム等が利用可能である。
【0104】
経路配信部605は、経路探索部604が探索した結果の経路を示す経路情報を移動ロボット2へ送信する。
【0105】
次に
図3を参照して本実施形態に係るナビゲーション方法を説明する。
図3は、本実施形態に係るナビゲーション方法の手順の例を示すフローチャートである。
【0106】
(ステップS1) 経路探索部604は、移動ロボット2が走行を開始する出発地と、当該移動ロボット2が走行する行先である目的地とを取得する。
【0107】
(ステップS2) 経路探索部604は、移動ロボット2の種類及び配送の内容を取得する。
【0108】
(ステップS3) 経路探索部604は、ステップS2で取得した移動ロボット2の種類から、当該移動ロボット2が利用可能な無線通信方式及び無線周波数帯を認識する。移動ロボット2の種類と、利用可能な無線通信方式及び無線周波数帯との対応関係は、予め、ナビゲーション装置6に設定される。
【0109】
(ステップS4) 経路探索部604は、移動コスト算出部601に対して、ステップS1で取得した移動ロボット2の出発地及び目的地を含む探索範囲と、リンクコスト算出条件とを指定し、当該探索範囲内の各道路の各リンクの総合リンクコストを算出するように指示する。リンクコスト算出条件は、移動ロボット2の種類や配送の内容等である。リンクコスト算出条件は、少なくとも移動ロボット2の利用可能な無線通信方式及び無線周波数帯を示す情報を含む。
【0110】
移動コスト算出部601は、経路探索部604からの総合リンクコスト算出指示に応じて、探索範囲内の各道路の各リンクに対して、無線通信方式及び無線周波数帯ごとに総合リンクコストを算出する。この総合リンクコストの算出では、無線通信品質が悪いと低評価になるように、各道路の各リンクに対して重み付けが行われる。移動コスト算出部601は、算出結果の総合リンクコストを、地図情報格納部504の道路地図データ内の該当するリンクデータに関連付けて地図情報格納部504に格納する。なお、移動コスト算出部601は、移動ロボット2が利用可能な無線通信方式及び無線周波数帯が複数存在する場合には、各道路の各リンクに対して、最良の無線通信品質が得られる無線通信方式及び無線周波数帯についての総合リンクコストを該当するリンクデータに関連付けて地図情報格納部504に格納してもよい。
【0111】
移動コスト算出部601は、総合リンクコストの算出完了を経路探索部604へ応答する。
【0112】
(ステップS5) 経路探索部604は、ステップS1で取得した移動ロボット2の出発地及び目的地に対して、ステップS4で移動コスト算出部601により算出した総合リンクコストに基づいて、出発地から目的地に到達する経路を探索する。この経路探索では、出発地から目的地に到達するまでに通る各リンクの総合リンクコストの合計が最小になる経路の探索が行われる。
【0113】
(ステップS6) 経路配信部605は、ステップS5の探索結果の経路を示す経路情報を移動ロボット2へ送信する。
【0114】
図4は、経路探索方法の一例を説明するための説明図である。
図5は、本実施形態に係る経路探索方法を説明するための説明図である。
図4及び
図5において、丸印がノードを示し、ノード間を結ぶ線がリンクを示す。また、出発地のノードがSであり、目的地のノードがGである。また、リンク上に記された数字がリンクコストを示す。
図4には、無線通信品質が考慮されない場合のリンクコストが示される。一方、
図5には、無線通信品質が考慮される場合であって本実施形態に係る総合リンクコストが示される。また、ここでは、リンクL2は、無線通信品質が悪く、無線通信が切断される可能性が高いとする。
【0115】
図4のリンクコストの場合、経路探索の結果、出発地「ノードS」から目的地「ノードG」に到達する経路として、リンクコストの合計が最小になる経路である「L1→L2→L3」が選択される。
図4のリンクコストでは、無線通信品質が考慮されていないので、無線通信が切断される可能性が高いリンクL2が経路として選択されてしまう。この結果、当該選択された経路において、移動ロボット2と遠隔監視装置20との間の無線通信が切断されてしまうと、移動ロボット2が遠隔監視不能になる可能性がある。
【0116】
一方、
図5では、リンクL2に対して、無線品質リンクコスト「∞」が
図4のリンクコスト「4」に加算された総合リンクコスト「4+∞」が設定される。これにより、
図5の総合リンクコストによれば、無線通信が切断される可能性が高いリンクL2が経路として選択されない。そして、
図5のリンクコストの場合、経路探索の結果、出発地「ノードS」から目的地「ノードG」に到達する経路として、リンクコストの合計が最小になる経路である「L4→L5」が選択される。この選択された経路「L4→L5」によれば、移動ロボット2と遠隔監視装置20との間の安定的な無線通信の実現を図ることができる。
【0117】
なお、無線通信が切断される可能性が高いリンクを通過しなければ出発地から目的地に到達することができない場合、当該リンクを、出発地から目的地に到達する経路として選択してもよい。経路探索部604は、探索結果の経路の中に無線通信が切断される可能性が高いリンクが存在する場合、当該リンクを示す無線切断アラート情報を出力する。遠隔で監視する監視者は、当該無線切断アラート情報によって、移動ロボット2と遠隔監視装置20との間の無線通信が切断される可能性が高い箇所を事前に認識することができる。
【0118】
次に
図6を参照して本実施形態に係る無線品質情報提供方法を説明する。
図6は、本実施形態に係る無線品質情報提供方法の手順の例を示すフローチャートである。
【0119】
(ステップS101) 無線品質情報提供装置5は、無線品質未記録位置で撮像された映像ファイルを取得する。
【0120】
(ステップS102) 無線品質情報提供装置5は、ステップS101で取得した映像ファイルに対して画像解析を行う。
【0121】
(ステップS103) 無線品質情報提供装置5は、ステップS102で映像ファイルに対して行った画像解析の結果に基づいて、無線品質未記録位置における無線通信品質を推定する。
【0122】
上述した実施形態によれば、無線通信品質が不明な位置の無線通信品質を推定してナビゲーション装置6に提供することができる。これにより、ナビゲーション装置6は、移動ロボット2に対してナビゲーションを行う際に、出発地から目的地に到達する経路の各候補の無線通信品質を考慮することができるので、移動ロボット2と遠隔監視装置20との間の安定的な無線通信の実現を図るための経路情報を提供することができる。これにより、無線通信により遠隔で移動ロボット2を監視する際に安定的な無線通信の実現を図ることができるという効果が得られる。
【0123】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0124】
上述した実施形態では、無線品質情報提供装置とナビゲーション装置とを別個の装置として構成したが、無線品質情報提供装置とナビゲーション装置とを同じ装置として構成してもよい。
【0125】
上述した実施形態では、ナビゲーションシステムを、配送サービスシステムに適用したが、配送サービスシステム以外の他のシステムに適用してもよい。例えば、移動ロボットにより道路を検査する道路検査サービスシステムに、上述した実施形態に係るナビゲーションシステムを適用してもよい。
【0126】
上述した実施形態では、無線品質情報提供装置がナビゲーション装置に無線通信品質情報を提供したが、無線通信品質情報が利用される先はナビゲーションに限定されない。例えば、無線通信品質情報は、通信エリア設計等に利用されてもよい。
【0127】
また、上述した実施形態では、移動体として移動ロボットを例に挙げたが、これに限定されない。移動体として、自動運転を行う車両(自動運転車両)や、自律的に飛行する飛行体等を適用してもよい。
【0128】
また、上述した各装置の機能を実現するためのコンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、DVD(Digital Versatile Disc)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0129】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0130】
1…利用者端末、2…移動ロボット、3…携帯端末、5…無線品質情報提供装置、6…ナビゲーション装置、10…ナビゲーションシステム、20…遠隔監視装置、501…運用監視部、502…運用情報格納部、503…位置・無線品質格納部、504…地図情報格納部、505…無線品質移動コスト変換部、506…携帯端末位置情報格納部、507…屋外人口密度推計部、508…基地局情報格納部、509…建物3次元情報格納部、510…メタ情報受信部、511…メタ情報格納部、512…映像収集装置・ファイル特定部、513…映像取得部、514…映像解析部、515…無線品質推定部、601…移動コスト算出部、602…オーダー情報格納部、603…目的地取得部、604…経路探索部、605…経路配信部