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特許7288891埋め込み可能な分析物センサと共に使用する経皮的リーダ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-31
(45)【発行日】2023-06-08
(54)【発明の名称】埋め込み可能な分析物センサと共に使用する経皮的リーダ
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/1459 20060101AFI20230601BHJP
   G01N 21/64 20060101ALI20230601BHJP
   A61B 10/00 20060101ALI20230601BHJP
【FI】
A61B5/1459
G01N21/64 Z
A61B10/00 E
【請求項の数】 2
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020218416
(22)【出願日】2020-12-28
(62)【分割の表示】P 2017567164の分割
【原出願日】2016-06-27
(65)【公開番号】P2021073444
(43)【公開日】2021-05-13
【審査請求日】2021-01-21
(31)【優先権主張番号】62/184,785
(32)【優先日】2015-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/239,536
(32)【優先日】2015-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515247783
【氏名又は名称】プロフサ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】コルヴィン,アーサー イー.,ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】マクミラン,ウィリアム エー.
(72)【発明者】
【氏名】プリンス,スティーブン
【審査官】藤原 伸二
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0275869(US,A1)
【文献】特開平10-216115(JP,A)
【文献】特開平07-308312(JP,A)
【文献】特表2012-528686(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0270953(US,A1)
【文献】特開2004-337605(JP,A)
【文献】特開平05-049625(JP,A)
【文献】特表2000-506410(JP,A)
【文献】特開2007-044512(JP,A)
【文献】特開2012-095803(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0324383(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/1455-5/1459
A61B 5/00
A61B 10/00
G01N 21/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リーダ基板と、
組織内に埋め込まれたセンサにより放出された光を受信するよう構成され、前記リーダ基板の中央部分に接続された光検出器と、
複数のエミッタからのそれぞれのエミッタが、前記リーダ基板の前記中央部分に対して放射状の位置で前記リーダ基板に接続された複数のエミッタと、
前記光検出器及び前記複数のエミッタの周囲において前記リーダ基板に接続され、前記複数のエミッタのそれぞれから放出された光を前記センサに向けて反射するよう構成された光学分離部材と、を備える、
機器。
【請求項2】
前記光学分離部材が第1の光学分離部材であり、前記機器がさらに、
前記複数のエミッタと前記光検出器の間の前記リーダ基板に接続された第2の光学分離部材を備える、
請求項1に記載の機器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本出願は、2015年6月25日出願の米国特許仮出願第62/184,785号“Sensor Interrogation System”、および2015年10月9日出願の米国特許仮出願第62/239,536号“Transcutaneous Reader for Use with Implantable Analyte Sensors”の受益を主張し、これらのそれぞれの内容の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
[0002] 本明細書に記載されるいくつかの実施形態は、埋め込み可能な分析物センサに関する。とりわけ本明細書に記載されるいくつかの実施形態は、分析物レベルを経皮的に測定するそのようなセンサと併せて使用されるリーダに関する。本明細書で使用されるセンサは、対象の分析物または限定要素の濃度または量に関連しうる信号を放出するよう構成されたあらゆる装置、化学薬品、または構造である。
【0003】
[0003] 人体内の種々の物質のレベルを測定する埋め込み可能なセンサが、当業界で公知である。例えば米国特許第6,304,766号は、その全体が参照により本明細書に組み込まれるが、筐体内に埋め込まれ、筐体が導波管として機能するアクリルポリマーのような素材で作られた発光器、光検出器および送信器を有する錠剤形または豆形の検出装置を開示する。筐体は、皮下、例えば皮膚と皮下組織層の間に埋め込まれるよう構成される。
【0004】
[0004] 米国特許第6,304,766号に記載された装置の筐体は、内部の発光器により生成された放射を受けたときに蛍光を発する素材(“蛍光インジケータ分子”)で外部コーティングされており、インジケータ分子により放出された蛍光は筐体内入り内部で反射される。光検出器は、蛍光に感応して、検出する蛍光の量に対応する信号を生成する。さらに、インジケータ分子が蛍光を放出する程度、および従って内部で反射された蛍光により内部で照明される筐体の程度は、対象の特定の分析物、例えばグルコース、酸素、毒素、薬剤などの人体内の濃度レベルで変わる。従って、光検出器が生成する信号は、少なくとも装置の近くの組織および/または体液内の分析物のレベルを示す。
【0005】
[0005] 外部電源および外部のリーダが、米国特許第6,304,766号に開示された検出装置と併せて使用される。電源はインダクタを介して検出装置に経皮的に電力を供給し、インダクタは発光器、光検出器、および送信器に電力を供給する検出装置の回路内に電流を誘発する。送信器は次に、光検出器が生成する信号の強度を示す信号、つまり、感知される分析物のレベルを示す信号を送信する。送信器の信号は例えば、さらにインダクタンス、RFIDタイプの信号などであることが可能であり、リーダは送信された信号を感知するよう構成され、分析物のレベルを測定可能にする。
【0006】
[0006] 他の埋め込み可能なセンサがWisniewskiの米国特許公開第2012/0265034号に開示され、その全体の内容が参照により組み込まれる。この参照文献に開示されたセンサ(本明細書では“Wisniewskiタイプセンサ”と呼ぶ)は、いずれの内部の電子装置も有さない。それどころか米国特許公開第2012/0265034号に開示されたセンサは、センサへの組織の統合を助長する種々の生体適合性基礎材構造、または、基礎材構造により支持され、基礎材構造を通して分散された種々の”感知部分”またはインジケータ分子を有する。インジケータ分子は励起放射(例えば光)に応え検出可能なフォトニック信号を生じ、励起放射が加えられおよび/または取り除かれるとき、応答信号の(一部のケースで)振幅または(他のケースで)崩壊特性は、センサが曝露される分析物の濃度に応じて変わる。
【0007】
[0007] 米国特許公開第2012/0265034号によるセンサとともに、センサが埋め込まれた領域上に外部“リーダ”が位置し、リーダ上の個別の光源が皮膚を通ってセンサへ貫通する特定の波長の光を放出する。特定の波長の光に励起されると、それぞれの励起されたインジケータ分子は次に、より長いより低エネルギー波長の光を発し(放出し)、それらのいくぶんかは皮膚を通って出る。埋め込み可能なセンサと同様にリーダ光源から外れたリーダ内の光検出器は、皮膚を通って出る光に反応して信号を生成し、その振幅は埋め込まれたセンサから発出し皮膚から出る光の量に対応する。インジケータ分子により放出された光の振幅を観察することにより、対象の特定の分析物の濃度を測定可能である。
【0008】
[0008] 重要なことは、それぞれの放出点(インジケータ構成要素)が、全ての方向、すなわち点光源として光を発することが可能なことである。従って、埋込物(またはその部分)の励起で、埋込物の発光は全ての方向に発する。しかし、発光が通る組織は、発光を散乱する傾向がある。さらに、検出器により捕捉可能で電流または電圧に変換可能な放出光のみが、有益な信号情報の生成に有効である。放射状に広がり光検出器により捕捉されない放出光全体のあらゆる部分は”無効”であり、対象の分析物の濃度について説得力のある明白な(すなわち正確な)指標を提供する観点からは実際上は無駄になる。結果として、信号対ノイズ比は次善である。
【発明の概要】
【0009】
[0009] 本明細書に記載されたいくつかの実施形態は、分散された放射源および光検出器を持つリーダに関する。光検出器は、埋め込まれたセンサにより放出された放射(例えば光)を感知するよう作動可能でありうる。分散された放射源は、光検出器を少なくとも部分的に取り囲むことが可能である。分散された放射源は、皮膚内に励起放射の光子雲を発生させることが可能であり、それは1センチメートル以下の単位の深さで皮膚内に埋め込まれたセンサを実質的に包むことが可能である。結果として、実質的にセンサ全体が分析物の濃度を示すのに使用される。例えば、光子雲はセンサの長さ全体を励起可能であり、センサ励起の持続時間を短縮可能で、それが(例えば個々のインジケータ分子の光退色速度を減少することにより)センサの有用な寿命を延ばし、ならびにセンサに生成された光信号の信号対ノイズ比を向上することが可能である。それはまた、より低電力レベルの放出された励起放射を用いてリーダがうまく作動し、それによってリーダの電池の有用な寿命または電池の再充電間隔を延ばすことが可能にする。
【0010】
[0010] 特定の実施形態で、リーダは光検出器上に配置された光学フィルタを有し、例えばセンサからの光が光検出器に到達するのを可能にし、一方で分散された放射源からの光を除くことを可能にしてもよい。例えば、本明細書に記載されたいくつかの実施形態は、米国特許出願公開第2014/0275869号に記載された実施形態の1つまたは複数の機能を有することが可能であり、その開示は全ての内容が参照により本明細書に組み込まれる。分散された放射源に、複数の個別の光源またはエミッタの目的で、例えばLEDを設けてもよく、それは(角度位置に関して)光検出器に対して実質的に均一に離間可能である。本明細書でさらに詳述するように、源内の間隔はそれぞれの源により身体内で生成される光の球が融合または重なる、すなわち後述するようにセンサを包む光子雲を形成するのに十分でありうる。身体の外側では(例えば散乱がない場合)光の球は重ならなくてもよく、および/または完全に重ならなくてもよい。適切に、リーダは皮膚温を測定する温度センサを有し、それは無線でデータを送信するよう構成されるのが望ましい。
【0011】
[0011] いくつかの実施形態では、光検出器を、筐体、支持体プレート、プリント回路基板などのようなリーダ基板の中央部分に接続することが可能である。2つ以上のエミッタを、リーダ基板の周辺部分に接続することが可能である。基板、光検出器、およびエミッタを総称して“リーダ”と呼ぶことができる。それぞれのエミッタは、予め規定されたパターンでエミッタから発する信号(例えば光)を生成可能である。例えば、エミッタからの距離が増加するにつれてそれぞれのエミッタがより多くの断面領域を照明するように、エミッタは光の球体、突出部または円錐を生成可能である。センサが特定の埋め込みの深さで配置されたとき、エミッタの照明パターンおよび基板上の間隔を、センサと相互作用するよう選択、調節または構成することが可能である。例えばいくつかの実施形態では、組織が誘発する散乱がない場合、エミッタからの照明範囲が埋め込みの深さで重ならないように、エミッタを集合的に構成可能である。述べたのと同様に、埋め込みの深さでのエミッタ群の遠方界照明パターンは、光が組織により散乱または反射されないとき、中央の暗いゾーンをもつ環状の形状を形成しうる。リーダが埋め込まれたセンサと併せて使用されるとき、組織は、エミッタにより送信された光を、センサの長さ全体を照明可能な光子雲を生成するよう散乱させることが可能である。
【0012】
[0012] 本明細書に記載されたいくつかの実施形態では、1つまたは複数の光学分離部材をリーダ基板に連結可能である。例えば、周囲の光学分離部材は、1つまたは複数のエミッタから放出された光の少なくとも一部をリーダの中央領域に向けて反射するよう作動可能である。例えば、本明細書でさらに詳述するように、光検出器を埋め込まれたセンサおよびエミッタのすぐ上に取り付けることで、エミッタがいくぶんか横方向の距離で離間されるように、リーダを構成可能である。そのためエミッタは、それらの光の一部をセンサを有さない組織の領域に送信することがあり、実際上は光の一部が無駄になる。周囲の光学分離部材は、センサに向けないと無駄になるであろう光の少なくとも一部を反射するよう作動可能である。他の例では、レンズ、導波管、またはあらゆる他の適切な光学構成要素が、エミッタからセンサへの光を集束するよう作動可能である。
【0013】
[0013] 本明細書に記載されたいくつかの実施形態は、生物の身体の組織内に埋め込まれた分析物センサ(単に“センサ”とも呼ぶ)の問い合わせ方法に関する。方法は、生物の身体内でセンサ上のインジケータ分子に光化学反応を示させるのに十分な励起放射の光子雲でセンサを実質的に包むことを含みうる。述べたのと同様に、全体の長さおよび/または表面領域の全体、またはその相当の部分をリーダにより放出された放射に曝露可能である。例えば、リーダは2つ以上のエミッタを有することが可能である。それぞれのエミッタは、光を放出することが可能である。それぞれのエミッタを、埋め込みの深さ(例えば埋込物が組織内に埋め込まれた深さ)で予め定義された断面領域を有する遠方界照明パターンを持つ光を放出するよう構成することが可能である。それぞれのエミッタからの照明パターンの断面領域および/または直径は、散乱および/または反射がない場合、センサの表面領域および/または長さ(または他の特性の大きさ)未満であることが可能である。加えてまたは代わりに、散乱および/または反射がない場合、それぞれのエミッタからの照明パターンは少なくとも中央領域において他のいずれのエミッタの照明パターンと重ならなくてもよい。リーダが皮膚に使われるとき、エミッタから放出された光を、中にセンサが埋め込まれた組織により散乱することが可能である。このようにして、そうでなければ重なるであろう、および/またはほかの状態になるであろう光は、センサを照明するのに十分な表面領域を持ち、センサ全体を照明する光子雲内に拡散可能である。エミッタから発する光による照明に応じて、センサは分析物に依存した放出信号を生成可能である。(例えば、エミッタが埋め込み部位から横方向の距離で離間されるように)エミッタ間の中心に位置し埋込物の上に取り付け可能なリーダの光検出器は、放出信号を検出可能である。放出信号は、エミッタから散乱された光により照明される表面領域の全体および/または長さに関連する強度を持つことが可能である。リーダおよび/またはスマートフォンのような計算装置は、光検出器により検出された信号を処理し、対象の分析物の濃度を測定することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】[0014]実施形態による、埋め込まれたセンサと共に使用されるリーダを示す概略図である。
図2】[0015]図2は実施形態による、経皮的リーダの放射-放出(例えば光放出)および放射-検出部分の平面図である。
図3[0015]図3図2の線3-3に沿って切り取った断面図であり、リーダの 付加的な電気構成要素も示す。
図4】[0016]図2および図3に示される経皮的リーダの放射-放出(例えば光放出)および放射-検出部分の概略断面図であり、どのようにそれによって放出される放射が埋め込まれた分析物センサへ向けられまたは集中されるかを示す。
図5】[0017]図1図4に示される経皮的リーダの電子構成要素の配置および相互接続を示す図である。
図6】[0018]経皮的リーダが埋め込まれた分析物センサと相互作用する好都合な方法を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[0019] 図1に示されるように、特定の分析物および/または対象の組織部位によって、ユーザの前腕104(図示)、腹部、上腕、脚、大腿、頸部、足などの皮膚表面の下約1センチメートル(例えば数ミリメートル、2~5mm、1~10mm、またはあらゆる他の適切な深さ)内に埋め込まれた分析物センサ102の問い合わせに、リーダ100を使用可能である。示されるように、リーダ100を、パッチ、ワンド、帯具、またはユーザの皮膚表面と密接な接触をもたらしうる多数の他の要素のいずれかとして構成することが可能である。その構成にかかわらず、リーダ100は皮膚内に、センサ102のインジケータ分子による光化学反応を誘発するのに適切な波長の励起放射(例えば光)106を放出し、これに応えてセンサ102により放出された光108の一部が皮膚から出る。リーダ100内の光検出器(図1では示さず)が放出された光108を感知し、それに応えて無線信号のような信号110を、アプリを実行するタブレットコンピュータまたはスマートフォン112、またはプログラム全体を実行するデスクトップコンピュータ114のような計算装置へ送信する。計算装置は、リーダ100に問い合わせ、分析物の濃度を示すリーダからの信号を受信し、および/または光検出器により検出された放射を示す信号を受信するよう作動可能である。計算装置は、光検出器により受信された信号に基づき分析物の濃度を計算、および/または特定の分析物を監視可能である。後でより詳しく述べるように、光検出器により感知された放出された光108の量、強度、および/または崩壊特性は対象の分析物の濃度に対応し、それらを対象の分析物の濃度の測定に使用可能である。応答信号の処理を、リーダ100上で、または外部の装置112または114により実行可能である。
【0016】
[0020] 図2図5に示されるように、リーダ100は、光検出器116および分散された励起放射(例えば光)源118を有し、それらはプリント回路基板120または他の適切な基板上に据え付け可能である。分散された励起放射源118は、光検出器116を少なくとも部分的に取り囲む。光検出器116は、分散された励起放射源118内の基本的に中央に位置する。分散された放射源118は、2つ以上のLEDを有することが可能であり、それらは光がセンサ102が埋め込まれた深さへ皮膚を通って貫通するのを可能にする波長で光を放出可能である。センサ102が照明されるとき、それはセンサ102上または中のインジケータ分子による光化学反応、または励起/放出状態を起こすことが可能である。例えば図2で最もよく示されるように、分散された放射源118を4つの”スーパーレッド”LEDで実装してもよく、それらは、Vishay Intertechnologyから入手可能であり、630nmで光を放出し、互いから均一に離間し、光検出器116周辺で均一に分散、すなわち光検出器116を中心として互いに90°離れて分散される。光検出器116に関しては、適切に、SensLから入手可能な種類の作用面積が3平方ミリメートルのシリコン光電子増倍管(SiPM)であってもよい。あらゆる他の適切な放射源および/または検出器もまた、使用可能である。
【0017】
[0021] 適切に、リーダ100はさらに、光検出器116の作用する受光面上に配置された光バンドパスフィルタ122を有し、バンドパスフィルタ122は、光検出器116に光センサ102により放出された光を通すが、一方で分散された放射源118より放出された”漂遊”光を排除する。バンドパスフィルタ122を、Epotek 301-2光エポキシで共に接合したSchott RG715コロイド着色ガラス(およそ715nm以上の通過波長)およびLee HT090カラーフィルタフィルム(およそ450nmから575nmの間の通過波長)を使用して、積層板として構成してもよい。
【0018】
[0022] 光検出器116、分散された放射源118、および光バンドパスフィルタ122は、実質的に反射する光分離リング124に適切に取り囲まれ、光分離リング124は、分散された放射源118により放出された光を阻止し、図4に示されるようにそれをセンサ埋込物102へ向けてより多く集中させる。(光の散乱は皮膚内/皮膚を通って通過するので、図4では光の錯乱については示さず、それについては後述する。)光分離リング124は、濃い灰色または黒のPVC(または他の素材)から適切に形成され、分離リング124の反射/集光の利点を強化するようその内表面を滑らかにし、または反射素材で覆ってもよい。光検出器116および分散された放射源118を、プリント回路基板120に据え付け、それらの周囲に光分離リング124を設置した後、黒の収容用化合物または例えばMC Electronicsから入手可能なようなもので部分的に封入してもよいが、封入は分散された放射源118の光放出点を残し、受光する光検出器116の作用面は、放射(光)を放出および受信をそれぞれするように露出される。収容用化合物(または他の適切な素材)は、分散された放射源118を光検出器116から光学的に分離するよう作動可能でありえ、例えば、光が最初に組織を通ることなく分散された放射源118から光検出器116に漏れることを防ぐ。
【0019】
[0023] 一部のケースで、分散された放射源118のそれぞれを、特定の遠方界放出パターンで光を生じさせるよう構成可能である。例えば、分散された放射源118のそれぞれが特定の深さで特定の断面領域を照明するよう構成されるように、分散された放射源118のそれぞれは、光の球、突出部または円錐を生じさせることが可能である。散乱および/または反射がない場合、いくつかの実施形態では、分散された放射源118のそれぞれは、埋込物より小さい埋込物が埋め込まれた深さ(例えば埋め込みの深さ、およそ2~5mmであることが可能)で遠方界放出パターンを有してもよい。述べたのと同様に、いくつかの実施形態では、散乱または反射がない場合、放出源はどれも埋め込みの深さで埋込物の全体を照明するのに十分な断面領域および/または特徴的な長さを有しないかもしれない。また、本明細書に記載されたように、いくつかの実施形態では分散された放射源118は直接センサ上に配置されなくてもよい。よっていくつかの実施形態では、散乱または反射がない場合、それぞれの放出源からの遠方界放出パターンは埋込物の中心に位置する必要がない。例えば組織に誘発された散乱、および/または例えば光分離リング124からの反射がある場合、例えば図6に示されおよび関連して記載されるように、分散された放射源118からの遠方界放出パターンは、埋込物を実質的に包む光子雲に融合してもよい。散乱および/または反射がない場合、センサの全体を照明するのに十分大きくない埋め込みの深さで、互いに重ならずおよび/または少なくとも中央領域で重ならない遠方界放出パターンを生成するエミッタの使用は、リーダの電力消費量を減少、および/または光退色作用を減少することが可能である。述べたのと同様に、散乱がない場合、分散された放射源118は埋め込みの深さにおいて暗い中心を有する環状照明パターンを生成してもよい(例えば散乱がない場合、照明パターンの中央は最も明るい照明パターンより少なくとも10%、25%、75%および/またはあらゆる他の適切なパーセンテージ暗くてもよい)。そのような実施形態は、埋込物を十分に照明する組織により誘発される散乱によることが可能で、それは公知のリーダに明暗差を示し、照明電力を増すことにより補正された障害として通常は散乱して見える。
【0020】
[0024] リーダ100は適切に、センサ102の近くの皮膚温を測定する温度センサ126を有する。皮膚温は、発光センサ102からの量子収量に関する計算を正すのに使用される。適切に、温度センサは、Texas Instrumentsから入手可能な非接触赤外線デジタル温度センサTMP006として提供される。
【0021】
[0025] 種々の電子構成要素の動作はマイクロプロセッサ128により制御され、これもまたプリント回路基板120に据え付けられる。理想的には、マイクロプロセッサ128は、リーダ100と監視装置、すなわち、スマートフォンまたはタブレットコンピュータ112またはデスクトップコンピュータ114の間のデータ/操作コマンドの無線送信および受信を可能にする組込または一体型無線機能を有する。よって、組込のARM Cortex M0マイクロコントローラを持つブルートゥース(登録商標)の低エネルギーが可能なモジュールSimblee(登録商標)RFD77101が、マイクロプロセッサ128としての使用に現在望ましい装置である。
【0022】
[0026] 種々の電気構成要素の全体的配置および相互接続が、図5で概略的に示される。前述の構成要素に加え、リーダ回路は、分散された放射源118の出力を制御するドライバ130を有する。例えば出力を、段階的に1ミリワットから1.5ミリワットへ、2ミリワットへ、2.5ミリワットへ分散された放射源118を備える4つのLEDからの全体の出力を調節してもよい。バイアス電圧制御回路132が、光子を示す信号を生成するのに使用するため、装置電力供給回路134からの電力供給電圧を(前述のように適切に光電子増倍管である)光検出器116に対し27ボルトへ上げる。電力供給回路134は、DC電圧源、例えば、3ボルトのコイン形(または他の)電池で作動するよう構成される。アナログ-デジタル変換器136は、光検出器116からの出力信号をマイクロプロセッサ128による処理のためにデジタル化し、リアルタイムクロック138は日付および時間トラッキング機能を提供する。EEPROM140は、コード、データのトラッキングなどの記憶装置を提供し、ステータスインジケータ142は、単純なLEDであってもよいが、装置の運用面のステータスをユーザに通知するよう構成される。
【0023】
[0027] 一部のケースで、図6で概略的に示されるように、リーダは埋め込まれた分析物センサと相互作用することが可能である。一般に、皮膚に入る光は迅速に(すなわち表面から短距離内で)散乱し、皮膚内に拡散されることが知られる。結果として、いくつかの公知のリーダは励起放射の個別の源を使用し、皮膚内に小さな極度に局在的な放射の”光の球”を生成し、その放射の”光の球”は埋め込まれたセンサの小さな部分のみを励起する。従って、センサ上の1パーセントのインジケータ分子のみが時間内のあらゆる所与の時点で放射により励起されるので、分析者が専念した有意義な測定値を得るよう大規模な測定値の複数サンプル平均を通して充分に正確な読取を得るために、そのような公知のリーダが、より長い時間放射を放出、またはセンサにより多くのパルス読み取りサイクルを行わせることが必要になる。しかし、インジケータ分子個体群が、放射への暴露の連続で励起する放射に反応する能力を徐々におよび最終的に失う(光退色)。十分なインジケータ分子がそれに反応する能力を失ったとき、センサはリーダ内の光検出器により認識できるのに十分に強力な十分な信号対ノイズ比の光信号をもはや放出可能ではなくなり、分析物センサはその有用な寿命を失う。従って、いくつかの公知のリーダに関して、より長い時間励起放射を放出し、よって起こるインジケータ分子に対しより長い時間の光を暴露する必要性は、”読み取る”よう構成された分析物センサの寿命に有害である。
【0024】
[0028] さらになお、いくつかの公知のリーダでは、個別の放射源および光検出器がそれらを支持する回路基板上または光学構体全体の内で並列して位置するので、分析物センサの一部のみが読み取り可能である。この構成の結果として、これらの2つの構成要素は埋め込まれた分析物センサに対してそれらのそれぞれの最適位置に同時に至らされることは不可能で、センサの一部のみが励起放射に励起され、放出された応答放射の一部のみが検出される。従って、(リーダにより感知/検出される光の次善の信号対ノイズ比につながる)この状況を解消するため、公知のリーダ内の放射源は、例えば200ミリワットの照明電力と同量を生み出すため明らかに過電力になる傾向がある。そしてそれが次に、(前述のようにセンサの寿命を減少させるのに加え)リーダの電池の有用な寿命および/または充電間隔を大幅に減少させうる。
【0025】
[0029] 対照的に、リーダ100は分散された放射源118を有し、それが光検出器116を少なくとも部分的に取り囲み、およびそれが光検出器116に対して中央に位置する。結果として、分散された放射源118が複数の個別の放射源(例えばLED)から形成される開示された実施形態のような実施形態でさえ、図6に示されるように、それぞれの個別の源の近くの皮膚内で生成された光の”球体”144が、皮膚内の光の散乱により光子”雲”146に融合し、それが実質的にセンサ102を包む。そして、これが次に多数の理由により好都合である。
【0026】
[0030] まず、センサ102が実質的に光子雲146に包まれるので、センサ102全体上のインジケータ分子が分析物濃度表示処理にかかわる。これは、検出された光信号の信号対ノイズ比を著しく向上する。さらに、より多くのインジケータ分子が時間内のあらゆる所与の時点で処理にかかわるので、公知のリーダのケースのようにセンサが長い時間励起される必要がない。結果として、インジケータ分子は公知のリーダに関するケースと同じようには迅速に光退色されない。さらにまた、より多くのインジケータ分子が処理にかかわるので、および放射源がセンサ102に対して分散されるので、個々の源(すなわちLED)は、公知のリーダに関するケースのような高い電力レベルで光を生じるよう駆動される必要がない。
【0027】
[0031] また、分散した様式で放射源を提供することは、光検出器を直接センサの上の中心に位置付け、そこで光検出器は放出された反応光を最大限に感知することが可能である。よって、このようにしても、本明細書に記載されたリーダの構成は、リーダの感度およびそれが取る測定値の正確性を最適化しえる。
【0028】
[0032] 前述の開示は、例示のみであることが意図される。開示された実施形態への種々の改良および開示された実施形態からの展開は、本明細書中に開示される特許の概念から逸脱することなく当業者に起こりうる。
【0029】
[0033] 1つの例では、一致するリーダを、インジケータの発光寿命が周囲の組織酸素レベルにより変化する酸素に感応するインジケータ構成要素で組み立てられたWisniewskiタイプの埋込物から組織酸素を読み取るよう構成可能である。動作時には、励起配置(すなわち、分散された放射源)を同期的にパルスを発することが、埋込物からの対応する発光放出リターンパルスと、インジケータの発光寿命により量的に影響されるパルスの立ち下がり区間の信号振幅の低下をもたらす。この適用に適した信号処理の1つの方法が一般的に時間領域として知られ、その初期値(Io)を1/e(~36.8%)へ値を減少するパルスのような、ステップ応答にかける時間として定義される。供給電圧に比例した信号処理を使用してもよく、強度タイプ(すなわち崩壊時間が非常に短い)のインジケータ分子に対し、一方が分析物に感応し、他方が分析物に感応しない、2つのチャネルが比として取られる。
【0030】
[0034] また、いくつかの実施形態では、リーダを組織結合型埋込物または非組織結合型発光埋込物に一致した異なる適用のための種々の方法で構成可能である。例えば装置を、複数の励起および/または放出波長で作動するよう構成可能である。取り囲む配置内により多くのLEDが含まれることが可能であり、それぞれの波長を個々にまたはシステム電子コントローラからの組み合わせで選択可能である。LEDは、単色または複数色タイプの構成、SMTタイプ、ダイ、マルチダイ、または組み合わせであってよい。LEDは配置内で分離してもよく、またはそれらを継ぎ目なく配置するため検出器を取り囲むリングタイプの構造への伝達可能な導波管の使用により構成してもよい。同様に、検出器は単一チャネル装置でありえ、またはそれを、それぞれの検出器セグメントに設置された個別のパスフィルタを持つ複数チャネル検出器の対または4個セット(またはそれ以下)に分割してもよい。光検出器は、シリコン光電子増倍管チップ(望ましい)またはフォトダイオード、PINダイオード、アバランシェフォトダイオード、またはあらゆる光学チップベースの構成であることが可能である。光学フィルタは、ハイパス、バンドパス、厚いまたは薄いフィルム、無機性の構成、有機性の構成またはそれらの組み合わせであってもよく、接着、スパッタリング、真空蒸着、またはこれらの組み合わせの使用により組み立ておよび設置してもよい。本明細書に記載されたリーダをさらに、より多くの分析物さえも同時に読み取るよう追加のチャネルを生成するために、対またはそれ以上に構成可能であることもまた想定される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6