(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-31
(45)【発行日】2023-06-08
(54)【発明の名称】脈管構造をイメージングする装置および方法
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20230601BHJP
A61B 1/313 20060101ALI20230601BHJP
A61B 1/01 20060101ALI20230601BHJP
A61B 1/06 20060101ALI20230601BHJP
A61B 1/045 20060101ALI20230601BHJP
【FI】
A61B1/00 512
A61B1/00 524
A61B1/313 510
A61B1/00 732
A61B1/00 731
A61B1/00 551
A61B1/00 521
A61B1/01 512
A61B1/06 520
A61B1/045 631
(21)【出願番号】P 2020531425
(86)(22)【出願日】2018-08-17
(86)【国際出願番号】 US2018000268
(87)【国際公開番号】W WO2019035987
(87)【国際公開日】2019-02-21
【審査請求日】2021-08-10
(32)【優先日】2017-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520056556
【氏名又は名称】ヴェナ メディカル ホールディングス コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】フィリップス マイケル
(72)【発明者】
【氏名】クーパー フィリップ
【審査官】高松 大
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0198081(US,A1)
【文献】国際公開第2016/168605(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0038123(US,A1)
【文献】特開2013-046760(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00
A61B 1/313
A61B 1/01
A61B 1/06
A61B 1/045
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イメージング装置であり、
ハウジングと、
表示デバイスと、
近位端および、脈管構造に挿入するための遠位端を有するイメージングプローブであって、
前記イメージングプローブの前記遠位端から血液を通して前記脈管構造に向けて赤外光を放出し、
前記脈管構造から前記血液を通して反射された前記赤外光の少なくとも一部を含む反射光を集め、
前記反射光を前記イメージングプローブの前記近位端に伝送する、イメージングプローブと、
前記ハウジングに配置される赤外光源であって、
前記イメージングプローブの前記近位端に光学的に結合されて、前記脈管構造に向けて放出するための前記赤外光を前記イメージングプローブに提供し、構造化光イメージングプロセスでは、前記脈管構造の3次元表現を生成し前記表示デバイスに表示するために、グリッドまたは形状を有するパターンを投影するパターン生成光源を含む、赤外光源と、
前記ハウジングに配置される赤外光検出器であって、
前記イメージングプローブの前記近位端に光学的に結合されて、前記イメージングプローブからの前記反射光を受け入れ、前記反射光からイメージング信号を生成する、赤外光検出器と、
前記赤外光源に結合され、かつ前記赤外光検出器に結合されて、前記イメージング信号から前記脈管構造の画像を生成するコントローラであって、
前記構造化光イメージングプロセスにしたがって、前記脈管構造の3次元表現を含む前記画像を生成するために前記赤外光源および前記赤外光検出器を制御する、コントローラと、
を備え、
前記イメージングプローブは、
前記近位端から前記遠位端まで延びる照明用光ファイバ束であって、前記イメージングプローブの前記遠位端から前記赤外光を放出する、照明用光ファイバ束を有し、前記照明用光ファイバ束は前記脈管構造上に投影するためのパターンを含む前記赤外光を放出するコヒーレント照明用光ファイバを含む、照明用光ファイバ束と、
前記近位端から前記遠位端まで延びるイメージング光ファイバ束であって、前記反射光を集め、前記反射光を前記イメージングプローブの前記近位端に伝送する、イメージング光ファイバ束と、
前記イメージング光ファイバ束によって集められる前記反射光を前記遠位端に収集する光学系であって、レンズを含む光学系と、を有する、
イメージング装置。
【請求項2】
前記イメージングプローブの前記遠位端において、前記反射光から散乱光子を除去するために前記反射光をフィルタリングする角度ゲートフィルタをさらに備え、
前記コントローラはさらに、弾道光子イメージングプロセスにしたがって前記画像を生成するために前記赤外光源および前記赤外光検出器を制御する、
請求項1に記載のイメージング装置。
【請求項3】
前記赤外光検出器は、シャッタを有する赤外光カメラを含み、
前記コントローラはさらに、ゲート化イメージングプロセスにしたがって前記画像を生成するために前記赤外光源および前記赤外光カメラを制御する、
請求項1に記載のイメージング装置。
【請求項4】
前記反射光をフィルタリングして前記反射光から偏光を除去する偏光フィルタをさらに含み、
前記コントローラはさらに、偏光イメージングプロセスにしたがって前記画像を生成するために前記赤外光源および前記赤外光検出器を制御する、
請求項1に記載のイメージング装置。
【請求項5】
前記イメージングプローブは、前記脈管構造を通して前記イメージングプローブをナビゲートするためのガイドワイヤシースを含む、請求項1に記載のイメージング装置。
【請求項6】
前記ガイドワイヤシースは、前記イメージングプローブの遠位端付近に変形可能なコイルシース部分、前記イメージングプローブの近位端付近にハイポチューブ部分、および、前記変形可能なコイルシース部分と前記ハイポチューブ部分との間に成形不可能なコイルシース部分、を含む、請求項5に記載のイメージング装置。
【請求項7】
前記イメージングプローブは、押し込み可能かつ追跡可能なシースを含む、請求項1に記載のイメージング装置。
【請求項8】
前記イメージングプローブは長手方向軸を画定し、前記イメージング光ファイバ束は前記長手方向軸に沿って延び、前記照明用光ファイバ束は前記イメージング光ファイバ束の周りにリング状に配置される、請求項1に記載のイメージング装置。
【請求項9】
前記イメージングプローブは長手方向軸を画定し、前記照明用光ファイバ束は前記長手方向軸に沿って延び、前記イメージング光ファイバ束は前記照明用光ファイバ束の周りにリング状に配置される、請求項8に記載のイメージング装置。
【請求項10】
前記イメージングプローブは走査ファイバ内視鏡を含む、請求項9に記載のイメージング装置。
【請求項11】
前記イメージングプローブの前記近位端を前記赤外光源および前記赤外光検出器に可逆的かつ回転可能に結合する結合機構をさらに備える、請求項1に記載のイメージング装置。
【請求項12】
前記赤外光源は、約1050nm、約1300nm、約1550nm、および約1650nmからなるリストから選択される1つ以上の波長を含む前記赤外光を提供する、請求項1に記載のイメージング装置
。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2017年8月18日に出願された米国仮特許出願第62/547,317号の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[技術分野]
本開示は、介入医療(interventional medicine)に関し、特に、脈管構造(vasculature)のイメージングに関する。
【背景技術】
【0003】
介入医療は、介入心臓専門医、介入放射線専門医、介入神経放射線専門医、血管内神経外科医などの医師が画像誘導技術を使用して低侵襲手術を行う専門医療である。医師は、脈管構造を通して医療機器をナビゲートして医療処置が実行される目標位置に到達するために、画像誘導技術を使用し得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書の一態様によれば、イメージング装置が提供される。イメージング装置は、近位端および遠位端を有するイメージングプローブを含み、遠位端は脈管構造に挿入するためのものである。イメージングプローブは、イメージングプローブの遠位端から血液を通して脈管構造に向けて赤外光を放出し、血液を通して脈管構造から反射した赤外光の少なくとも一部を含む反射光を集め、反射光をイメージングプローブの近位端に送信する。イメージング装置は、脈管構造に向けて放出するための赤外光をイメージングプローブに提供するために、イメージングプローブの近位端に光学的に結合された赤外光源をさらに含む。イメージング装置は、反射光からイメージング信号を生成するようにイメージングプローブからの反射光を受け入れるためにイメージングプローブの近位端に光学的に結合された赤外光検出器をさらに含む。イメージング装置は、イメージング信号から脈管構造の画像を生成するために、赤外光源に結合されかつ赤外光検出器に結合されたコントローラをさらに含む。
【0005】
本明細書の別の態様によれば、脈管構造をイメージングする方法が提供される。この方法は、イメージングプローブから血液を通して脈管構造に向けて赤外光を放出するステップと、血液を通して脈管構造からの反射光を集めるステップと、反射光からイメージング信号を生成するステップと、イメージング信号から脈管構造の画像を生成するステップと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、脈管構造をイメージングするための例示的な装置の概略図を示し、さらに一部が切り取られた例示的なイメージングプローブの例示的な遠位端の斜視図を示す。
【
図2】
図2は、
図1の装置のイメージングプローブの遠位端の斜視図を示す。
【
図3】
図3は、脈管構造をイメージングするための別の例示的な装置の概略図を示し、さらに別の例示的なイメージングプローブの別の例示的な近位端の拡大断面図を示す。
【
図4】
図4は、
図3の装置の赤外光源および赤外光検出器から切り離された
図3のイメージングプローブの近位端の概略図を示す。
【
図5】
図5は、例示的なイメージングガイドワイヤの例示的なシースの平面図を示す。
【
図6】
図6は、脈管構造をイメージングするための別の例示的な装置の概略図を示し、さらに一部が切り取られた別の例示的なイメージングプローブの別の例示的な遠位端の斜視図を示す。
【
図7】
図7は、別の例示的なイメージングプローブの遠位端にある例示的な角度ゲートフィルタの概略図を示す。
【
図8】
図8は、脈管構造をイメージングするための例示的な方法のフローチャートである。
【
図9A】
図9Aは、例示的なコヒーレントファイバ束の角度ゲートフィルタの概略図である。
【
図9B】
図9Bは、例示的なコヒーレントファイバ束の角度ゲートフィルタの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
介入処置を行う医師は、患者の脈管構造(血管)内の適切な場所に医療機器を配置するのを支援するために、画像誘導技術を使用し得る。通常、医師がガイドワイヤを挿入し、続いてカテーテルまたはマイクロカテーテルを挿入することにより、医療機器は適切な場所にもたらされ得る。医療機器が目標位置に到達するのを確実にするための一般的な画像誘導技術は、蛍光透視法を使用して患者の脈管構造を通してガイドワイヤおよびカテーテルを操縦することである。蛍光透視法は、造影剤の使用を必要とするパルスベースのX線イメージングである。造影剤は通常、カテーテルまたはマイクロカテーテルを介して投与され、医師がX線画像で脈管構造を視覚化することを可能にする。介入医が脈管構造における適切な場所にアクセスすると、さまざまな手順を実行することができる。これらの手技には、膨張可能なバルーンおよびステントを使用して狭くまたは閉塞した動脈または静脈を広げる血管形成術、腫瘍または子宮筋腫への血流を制限することにより病変の虚血を引き起こす塞栓手技、または、ステントベースの回収ツールおよび脳卒中治療では血栓を除去するために吸引カテーテルを使用する血栓切除手技が含まれ得る。
【0008】
脈管構造内ナビゲーションのための標準的な蛍光透視法は、通常の脈管構造内の処置には十分であり得るが、蛍光透視法に基づくナビゲーション技術は、曲がりくねった解剖学的構造のナビゲーションには不十分である。透視X線の2次元の性質は、分岐が発生する角度を正確に決定するのに十分な遠近感を与えることができない場合がある。また、蛍光透視法では、脳血管介入で使用される小さなステントやコイルなどの小さな血管内機器を医師が正確に見ることができない場合がある。神経介入では、患者の転帰と余分な機器の使用を制限することによる医療費の削減の両方のために、小型で高価な機器の正確な配置が重要である。蛍光透視法では、医師が血栓や塞栓などの軟部組織を正確に特性評価できない場合もある。例えば、血管内脳卒中治療では、蛍光透視法は、凝固が柔らかい、最近形成された、硬い、または石灰化しているかどうかなど、凝固(血塊)の品質に関する情報を医師に提供しない場合がある。この欠陥は、治療アルゴリズムにおける機器の選択に影響を与えることがあり得る。間違った機器を選択すると、治療時間が長くなり、成功率が低下する場合があり得る。さらに、蛍光透視法は凝固のそのような特性または凝固の位置に関する情報を伝えないので、蛍光透視法を使用する医師は、視覚化の欠如に起因して身体からツールが完全に引き出されるまで、凝固が回収ツールによって正常に除去されているかどうかを判断できない場合があり得る。最後に、蛍光透視法は、罹患した血管の完全な血行再建が達成されたかどうか、またはすべての血塊が除去されたかどうかを確実に確認できない場合があり得る。
【0009】
さらに、蛍光透視法はヨウ素などの造影剤の使用を必然的に伴うが、造影剤は手術器具に付着しやすく、ワークフローを乱す可能性があるので、介入一式でも問題を引き起こす可能性があり得る。造影剤は腎毒性のある場合もあり、これは小さな子供や高齢者などの腎機能が弱いまたは障害のある患者にとって有害であり、低侵襲手術の候補プールを制限する。蛍光透視法の別の問題は、放射線の照射に伴うリスクである。これらの手順を実行する介入医、看護師、および技術者は、高レベルのX線を長期間にわたって受け、通常、平均的な市民の年間放射線量の3~10倍を受ける。さまざまな研究が、X線放射にさらされた医療従事者におけるいくつかのタイプの癌の高いインスタンスと白内障のような他の苦痛を定量化しようと試みている。放射線被ばくを軽減するために、蛍光透視法の周りで働く個人は、多くの場合1日8時間以上、鉛のベスト、エプロン、および甲状腺シールドを着用する必要がある。重い鉛は不快で人間工学に基づかない。彼らのキャリアの過程で、介入医の半数以上が、少なくとも部分的には鉛のベストに起因すると考えられる整形外科の問題を報告している。また、患者はさまざまな量の放射線を受け、小さな子供の最大処置時間を制限し、場合によっては放射線火傷を引き起こす可能性がある。
【0010】
標準的な蛍光透視法の増強として、コンピュータ断層撮影(CT)スキャンおよびコーンビームコンピュータ断層撮影(CBCT)スキャンが使用され得る。これらの技術では、患者の体の軸方向の画像スライスをコンパイルし、患者の解剖学的構造の3次元モデルを再作成する。蛍光透視法と併用する場合、患者の脈管構造の3次元視覚化がガイドワイヤナビゲーション用に作成され得る。残念ながら、スキャンが行われている間、患者は静止したまま息を止めなければならない。スキャンが完了すると、脈管構造の仮想モデルは静的になり、患者の呼吸による動きのためにすぐに古くなってしまう。CTまたはCBCTで生成された画像はリアルタイムではなく、患者の脈管構造を通過する際にガイドワイヤの先端を表示できない。リアルタイムイメージングの欠如により、そのような技術は、ステント留置術、血管形成術、または血栓切除などの介入を支援できなくなる。蛍光透視法は、CTやCBCT技術によって増強された場合でも、患者の血管内からの視界を提供しない。
【0011】
光コヒーレンストモグラフィー(OCT)や血管内超音波(IVUS)などの一部の技術では、患者の血管内からの視界が得られ得る。ただし、これらの技術は診断ツールであり、ガイドワイヤナビゲーションには役立たない。OCTおよびIVUSはどちらもカテーテルベースのユニットであり、プローブをスキャンして動脈または静脈内で回転させるにつれて前進および後退させる必要がある。したがって、これらの技術は、血管内ナビゲーションイメージング装置の2つの有益な属性である、前方視界を提供せず、リアルタイム視界を提供しない。たとえば、リアルタイムイメージングの欠如により、動脈瘤のコイル形成、血栓切除、およびステント留置を支援する際の使用を不可能にする。
【0012】
患者の血管内からの眺めを提供する他の技術には、血管内視鏡(angioscope)が含まれる。血管内視鏡は、血管内イメージングのために血管に挿入される可視光内視鏡である。血管内視鏡は、コヒーレントファイバ束(CFB)または走査型ファイバ内視鏡(SFE)ベースのいずれであっても、血液は可視光に対して不透明であるので、血液を含む血管のナビゲーションには適していない。血管内のカテーテルベースのバルーンを膨らませて一時的に血管を閉塞し、血管を透明な生理食塩水で洗い流し、血流が逆行を開始する前に血管内視鏡を使用して画像を撮影することにより、患者の血管内から視界を提供するために血管内視鏡が使用され得る。そのような技術は、診断または検査の目的には適し得るが、膨張したバルーンが展開された状態でカテーテルを進めることができないので、ナビゲーションの目的には適していない。
【0013】
脈管構造に挿入され、脈管構造に向けて血液を通して赤外光を放出し、イメージングのために脈管構造から反射される光を集めるイメージングプローブを含む、脈管構造をイメージングするための装置が提供され得る。イメージング装置は、脈管構造に向けて放出するためにイメージングプローブに光学的に結合された赤外光源をさらに含む。イメージング装置は、反射光からイメージング信号を生成するためにイメージングプローブに光学的に結合された赤外光検出器と、イメージング信号から脈管構造の画像を生成するために、赤外光源に結合されかつ赤外光検出器に結合されたコントローラと、をさらに含む。コントローラは、弾道光子イメージング技術、ゲート化(gated)イメージング技術、偏光イメージング技術、構造化(structured)光イメージング技術などを含む多くのイメージング技術を使用してよい。イメージングプローブは、カテーテルを通してナビゲートされる押し込み可能かつ追跡可能なシースを含んでよい。イメージングプローブは、脈管構造を通したセルフナビゲーションのためのガイドワイヤシースを含んでもよい。イメージングプローブは、別のカテーテル装置の一部として含まれてもよい。したがって、介入医療処置は、血液で満たされた脈管構造の内側から画像を提供するイメージング装置によって導かれてよい。したがって、そのようなイメージング装置を使用する医師は、脈管構造を通してナビゲートするのを支援するために、脈管構造の内部から、血液を通して、リアルタイムで脈管構造の特徴を見てもよい。
【0014】
さらに、イメージングプローブから血液を通して脈管構造に向けて赤外光を放出するステップと、血液を通して脈管構造からの反射光を集めるステップと、反射光からイメージング信号を生成するステップと、イメージング信号から脈管構造の画像を生成するステップと、を含む、脈管構造をイメージングするための方法が提供され得る。画像は、弾道イメージング、ゲート化イメージング、構造化光イメージング、偏光イメージング技術などにしたがって生成されてよい。
【0015】
図1は、脈管構造をイメージングするための例示的な装置100を示す。装置100は、脈管構造102を通ってナビゲート可能なイメージングプローブ110を含む。イメージングプローブ110は、近位端114と、近位端114の反対側の遠位端112とを含む。遠位端部112は、脈管構造102への挿入のために構成され、近位端部114は、ハウジング130内に配置され得る赤外光源132および赤外光検出器134との接続のために構成される。いくつかの例では、脈管構造102は、患者の血液で満たされた脈管構造を含んでよい。
【0016】
いくつかの例では、イメージングプローブ110は、カテーテルを通して押し込み可能であってよく、カテーテルを通して追跡可能であってよい。いくつかの例では、イメージングプローブ110は、走査ファイバ内視鏡を含んでよい。いくつかの例では、イメージングプローブ110は、カテーテルに組み込まれてよい。いくつかの例では、イメージングプローブ110は、
図5を参照して以下でより詳細に議論されるように、ガイドワイヤシースを含んでよい。
【0017】
イメージングプローブ110は、それに応じて寸法設定されることにより、脈管構造102への挿入、および脈管構造102を介したナビゲーションのために構成されてよい。イメージングプローブ110がカテーテルに組み込まれる例では、イメージングプローブ110は、約1.5Fr(フレンチゲージ)から約3Frの間の直径を有してよい。イメージングプローブ110がガイドワイヤシースを含む例では、イメージングプローブ110は、約14/1000インチ(0.014インチ)から約38/1000インチ(0.038インチ)の間の直径を有してよい。イメージングプローブ110が走査ファイバ内視鏡を含む例では、イメージングプローブ110は、約3Frから約5Frの間の直径を有してよい。一般に、いくつかの例では、イメージングプローブ110は、約1Frから約12Frの間、またはいくつかの例では約1.5Frから約3Frの間の直径を有してよい。イメージングプローブ110は、ナビゲートされる脈管構造のサイズに応じて適切な曲げ半径を有するようにさらに構成されてよい。例えば、曲がりくねった脈管構造を介したナビゲーションの場合、イメージングプローブ110は、約2.5mmから約5mmの間の曲げ半径を有してよい。イメージングプローブ110は、より大きな脈管構造を通ってナビゲーションするためにより大きな曲げ半径を有してよい。そのような寸法は例であり、他の適切な寸法も考慮されることを理解されたい。
【0018】
イメージングプローブ110は、赤外光をイメージングプローブ110の遠位端112から血液を通して脈管構造102に伝送するために、照明用光ファイバ束116を含む。イメージングプローブ110は、反射光を集めるためにイメージング光ファイバ束118をさらに含み、反射光は、脈管構造102から血液を通して反射された赤外光の少なくとも一部を含む。イメージング光ファイバ束118は、さらに、イメージング用の反射光をイメージングプローブ110の近位端114に伝送するものである。束116、118は、各々、イメージングプローブ110の近位端114から遠位端112まで延びる。束116、118内の繊維は、ポリマー繊維、ガラス繊維、または他の任意の適切な光ファイバを含んでよい。
【0019】
赤外光源は、脈管構造102への伝送用に照明用光ファイバ束116に赤外光を提供するものである。赤外光検出器134は、イメージング光ファイバ束118から反射光を受け入れて、反射光からイメージング信号を生成するために、赤外光カメラまたは別のイメージングセンサを含んでよい。
【0020】
装置100は、赤外光源132および赤外光検出器134に結合されたコントローラ160をさらに含む。脈管構造602の画像を生成するために、コントローラ160は、赤外光検出器134によって捕捉されたイメージング信号を処理する。コントローラ160は、中央処理装置(CPU)、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などのプロセッサ、揮発性および/または不揮発性ストレージを含むメモリストレージユニット、および1つ以上のコンピューティングネットワークを介した通信用のネットワークインターフェース、の任意の量および組み合わせを含んでよい。コントローラ160は、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、スマートフォン、リモートサーバーなどのコンピューティングデバイスを備えてよく、またはそれらに接続されてもよい。コントローラ160は、ハウジング130に収容されてよく、ハウジング130の外部にあってもよい。
【0021】
コントローラ160は、イメージング目的のために血液を適切に透過し得る波長、すなわち、1050nm、1300nm、1550nm、および1650nmのいずれかまたはそれらの任意の組み合わせ、を含む赤外光を提供するために、赤外光源132を制御してよい。コントローラ160は、これらの波長の1つ以上を中心とする波長分布を提供するために赤外光源132を制御してもよい。
【0022】
さらに、コントローラ160は、脈管構造102の画像を生成するために、イメージングプロセスにしたがって赤外光源132および赤外光検出器134を制御してよい。イメージングプロセスは、イメージング目的に使用される脈管構造102から反射された反射光子の一部のみを選択することに基づいてもよい。例えば、イメージングプロセスは、イメージングから弾道光子、蛇光子、および散乱光子を選択または除外することを含んでよい。イメージングプロセスは、弾道光子イメージング、ゲート化イメージング、構造化光イメージング、偏光イメージングなどを含んでよい。
【0023】
弾道光子イメージングプロセスでは、装置100は、反射光をフィルタリングして反射光から散乱光子を除去するために、イメージングプローブ110の遠位端に角度ゲートフィルタをさらに含んでよく、コントローラ160は、弾道光子イメージングプロセスにしたがって画像を生成するために、赤外光源132および赤外光検出器134を制御してよい。したがって、散乱光子および一部の蛇光子は、フィルタリングされてイメージングから除外されてよい。散乱光子や蛇光子など、少なくとも部分的に散乱を返す入力光子は、それにより生成される脈管構造の画像の品質を低下させる可能性があるが、一方、弾道光子は、イメージングの目的のために明確な光を提供してよい。
【0024】
図7を参照すると、レンズ720と、イメージングプローブ710の遠位端712に結合されたイメージング光ファイバ束718との間に、例えば、角度ゲートフィルタ770が位置する。角度ゲートフィルタ770は、散乱光子772を吸収または遮断する壁771、および弾道光子774を通過させるチャネル773を含み、それにより反射光をフィルタリングする。したがって、散乱光子によって歪まされていない脈管構造の画像が生成されてよい。いくつかの例では、蛇光子776の一部が通過を許可されてもよい。レンズ720上に配置されたフィルムが散乱光子および蛇光子の一部を同様にフィルタリングしてよいことも考慮される。
【0025】
別の例として、
図9Aおよび9Bを参照すると、イメージングプローブ910の遠位端912に、コヒーレントファイバ束の角度ゲートフィルタ970が位置する。イメージングプローブ910は、照明用光ファイバ束916、イメージング用光ファイバ束918、およびイメージングプローブ910の遠位端912にあるレンズ920を含む。イメージング光ファイバ918は、個々の光ファイバ間にスペース919を有する。イメージングプローブ910のフィルタリング部分971に沿って、空間919は、エチレンメチルアクリレートクラッドなどのフィルタリング材料973で充填される。フィルタリング材料は、散乱光子972を吸収または遮断し、弾道光子974および蛇光子976の一部がイメージング光ファイバ束918を通過することを許容する。したがって、散乱光子と蛇光子の一部は、脈管構造のより鮮明な画像が生成され得るように、イメージングに使用される反射光からフィルタリングされてよい。
【0026】
引き続き
図1を参照すると、ゲート化イメージングプロセスでは、赤外光検出器134は、シャッタを有する赤外光カメラを含んでよく、コントローラ160は、ゲート化イメージングプロセスにしたがって画像を生成するために、赤外光源132および赤外光カメラを制御してよい。したがって、コントローラ160は、イメージング用の弾道光子を受け入れながらイメージングから散乱された光子を赤外光カメラが除外するように、赤外光源132からの赤外光の伝送を制御してよく、同時に赤外光カメラの露出を制御するシャッタを制御してよい。換言すれば、赤外光源132と赤外カメラのシャッタとは、散乱光子を遮断するために同期されてよい。赤外光カメラにより集められてイメージングされた反射光子の分布は、弾道光子が最も早く集められ、その後に蛇光子、さらに散乱光子が続く傾向があることを示し得る。したがって、赤外光のパルスが脈管構造102に伝送された後、散乱した光子の排除するために、赤外光カメラは、弾道光子、または弾道および蛇光子の分布、に対応すると予想される所定の期間中にキャプチャされた光子のみを使用するように構成されてもよい。
【0027】
構造化光イメージングプロセスでは、赤外光源132は、脈管構造102の3次元表現を生成する際に使用するために、グリッドまたは形状などのパターンを脈管構造102上に投影するパターン生成光源を含んでよい。照明用光ファイバ束116は、脈管構造102上に投影するためのパターンを含む、赤外光を放出するコヒーレント照明用光ファイバをさらに含んでよい。したがって、コントローラ160は、構造化光イメージングプロセスにしたがって画像を生成するために、赤外光源132および赤外光検出器134を制御してよい。いくつかの例では、動作中、赤外光が脈管構造102に向けて放出されると、イメージングプローブ110は、脈管構造102を通って前進、後退、または移動してよい。いくつかの例では、複数の赤外光パルスが脈管構造102に向けて放出される。そのような例のいくつかでは、ゲート化イメージングまたは弾道イメージング技術も使用されてよく、それにより散乱反射光子は、処理される反射光から除外される。赤外光からの反射光は、連続したイメージング信号および/または画像を生成するためにイメージングプローブ110によって収集されてよい。画像は、赤外光のパルス、シャッタタイミング、または画像をセグメント化するための別の技術に基づいて連続的に生成されてよい。連続する画像は、脈管構造102の3次元モデルを生成するためにコントローラ160によって組み合わされてよい。したがって、コントローラ160は、構造化光イメージングプロセスにしたがって脈管構造102の3次元モデルを生成するために、赤外光源132および赤外光検出器134を制御してよい。
【0028】
偏光イメージングプロセスでは、装置100は、反射光をフィルタリングして反射光から偏光を除去する偏光フィルタをさらに含んでよく、コントローラ160は、偏光イメージングプロセスにしたがって画像を生成するために赤外光源132および赤外光検出器134を制御するように構成されてよい。特に、コントローラ160は、偏光された赤外光を照明用光ファイバ束116に提供するために、赤外光源132を制御するように構成されてよい。脈管構造102内の血液によって散乱される光の偏光は変化するが、一方、脈管構造102から反射される光の偏光は同じままである。偏光フィルタは、イメージングプローブ110の遠位端112と近位端114との間に配置されてよい。いくつかの例では、偏光がイメージングプローブ110を下るのを阻止するために、イメージングプローブ110の遠位端112に偏光フィルタが配置されてよい。他の例では、イメージングプローブ110の近位端114またはハウジング130内に偏光フィルタが配置されてよい。いくつかの例では、偏光フィルタは、レンズ120上に配置されたフィルム、またはレンズ120と束116、118との間のイメージングプローブ110の遠位端112に光学的に結合されたフィルタを含んでよい。
【0029】
イメージングプローブ110は、照明用光ファイバ116およびイメージング光ファイバ118を収容するために、近位端114から遠位端112まで延びる導管124をさらに含む。
【0030】
いくつかの例では、導管124は、脈管構造102を介してイメージングプローブ110がナビゲートできるようにするためのコード、チューブ、可撓性シャフト、コイルと編組、または他の構造を含んでよい。したがって、導管124は、カテーテルを通してイメージングプローブ110の押し込みおよび追跡を可能にするために、押し込み可能で追跡可能なシースを含んでよい。いくつかの例では、導管124は、イメージングプローブ110が組み込まれるカテーテルの内壁を含んでよい。
【0031】
いくつかの例では、導管124は、脈管構造102を通してイメージングプローブ110をナビゲートするためのガイドワイヤシースを含んでよい。ガイドワイヤシースは、脈管構造102を通るナビゲーションを容易にするために、イメージングプローブ110を操縦可能、成形可能、およびトルク伝達可能にし得る。ガイドワイヤシースは、
図5に関してより詳細に議論される。
【0032】
図2は、装置100のイメージングプローブ110の遠位端112の斜視図を示す。
図2を参照し、引き続き
図1を参照すると、イメージング光ファイバ束118によって集められる反射光を収集するために、イメージングプローブ110は、遠位端112に光学系をさらに含むことが分かる。例えば、光学系は、イメージングプローブ110の遠位端112に光学的に結合されたマイクロレンズまたはグレーデッドインデックス(GRIN)レンズなどのレンズ120を含んでよい。
【0033】
さらに、
図2を参照すると、本例では、イメージングプローブ110は長手方向軸122を規定し、イメージング光ファイバ束118は長手方向軸122に沿って延び、照明用光ファイバ束116は、イメージング光ファイバ束118の周りにリング状に配置されることが分かる。言い換えると、イメージング光ファイバ束118は円形に配置され、照明用光ファイバ束116は円の周りにリング状に配置され、円およびリングは、イメージングされている脈管構造102に向けられている長手方向軸122の周りにほぼ同心である。
【0034】
他の例では、イメージング光ファイバ束118は、照明用光ファイバ束116の周りにリング状に配置されてよく、レンズ120は、リング付きレンズを含んでよい。いくつかの例では、イメージング光ファイバ118は、走査ファイバ内視鏡のように、長手方向軸122の周りを回転可能であってよい。
【0035】
光学系は、散乱光または望ましくない波長の光をイメージング光ファイバ束118による収集から除去し得る角度ゲートフィルタ、または反射光から偏光をフィルタリングする偏光フィルタ、などのフィルタをさらに含んでよい。
【0036】
図3は、脈管構造をイメージングするための別の例示的な装置300の概略図を示す。装置300は、同様の番号を有する同様のコンポーネントを有する装置100に実質的に類似しているが、「100」シリーズではなく「300」シリーズである。
図3を参照すると、装置300は、したがって、近位端314、照明用光ファイバ束316、およびイメージング用光ファイバ束318を有するイメージングプローブ310を含む。装置300は、ハウジング330内に配置され得る赤外光源332および赤外光検出器334をさらに含む。図示されていないが、装置300は、コントローラ160と同様のコントローラを含むことを理解されたい。装置300の上記要素のさらなる説明については、
図1の装置100の説明を参照されたい。明確にするために、装置300と装置100との違いのみが詳細に説明される。
【0037】
装置100とは対照的に、装置300は、イメージングプローブ310の近位端314をハウジング330ならびに赤外光源332および赤外光検出器334に可逆的かつ回転可能に結合する結合機構をさらに含む。結合機構は、回転可能なチャック342、回転ハブ340、光源結合固定ファイバ束344、および光カプラ346を含む。回転可能なチャック342および回転ハブ340は、イメージングプローブ310の近位端314をハウジング330に結合する光源結合固定ファイバ束344は、赤外光源332から照明用光ファイバ316に赤外光を提供するために、照明用光ファイバ316に光学的に結合する。光カプラ346は、イメージング光ファイバ318からの光を受け入れて赤外光検出器334へ伝送するために、イメージング光ファイバ318に結合する。
【0038】
イメージングプローブ310の近位端314が回転ハブ340から延びるように、イメージングプローブ310は、回転可能なチャック342および回転ハブ340を通って延びる。イメージングプローブ310は、イメージングプローブ310がハウジング330に対してイメージングプローブ310の長手方向軸322の周りに回転できるように、回転可能なチャック342および回転ハブ340に固定される。したがって、照明用光ファイバ束316およびイメージング光ファイバ束318は、長手方向軸322の周りを自由に回転する一方、光源結合固定ファイバ束344および光カプラ346は固定されたままである。
【0039】
イメージングプローブ310とハウジング330とが一緒に結合されるときに、光源結合固定ファイバ束344および照明用光ファイバ束316は、接触フィットを形成する。同様に、イメージングプローブ310とハウジング330とが一緒に結合されるときに、光カプラ346およびイメージング光ファイバ束318は、接触フィットを形成する。 結合機構は、イメージングプローブ310をハウジング330から切り離す「迅速な解放」機能を提供するように構成される。
【0040】
イメージング光ファイバ束318は、長手方向軸322の方向に距離348だけ照明用光ファイバ束316を越えて突出してよい。言い換えれば、照明用光ファイバ束316は、長手方向軸322の方向に距離348だけイメージング光ファイバ318に対して凹んでいてよい。この配置は、赤外光源332および赤外光検出器334との接触を維持しながら、イメージングプローブ310が所定位置で回転するのを支援し得る。この配置は、照明用光ファイバ束316とイメージング光ファイバ束318とが回転中に絡まることを抑制するのをさらに支援し得る。
【0041】
赤外光検出器334は、イメージング光ファイバ318からの反射光を検知面上に伝送する光学系を含んでよい。いくつかの例では、光学系は、反射光の波長シフトなしでの検知面による受け入れのための反射光の収束を高めるために、1つ以上の無色ダブレットを含んでよい。
【0042】
図4は、ハウジング330から切り離されたイメージングプローブ310の近位端314の概略図を示し、長手方向軸322の周りのイメージングプローブ310の回転を示す。
【0043】
図5は、別の例示的なイメージングプローブ510の平面図を示し、イメージングプローブ510は、ガイドワイヤシースを含む。イメージングプローブ510は、装置100のイメージングプローブ110と実質的に同様であり、同様のコンポーネントは同様の番号を有するが、「100」シリーズではなく「500」シリーズである。
図5を参照すると、イメージングプローブ510は、遠位端512、近位端514、照明用光ファイバ束516、およびイメージング用光ファイバ束518を含む。イメージングプローブ510の上記要素のさらなる説明については、
図1のイメージングプローブ110の説明を参照されたい。明確にするために、イメージングプローブ510とイメージングプローブ110との違いのみを詳細に説明する。
【0044】
イメージングプローブ110とは対照的に、イメージングプローブ510は、遠位端512の近くの先端部分550、近位端514の近くの後端部分554、および先端部分550と後端部554との間の中間部分552を有するシース524をさらに含む。ガイドワイヤシースを含むイメージングプローブ110は、約14/1000インチ(0.014インチ)から約38/1000インチ(0.038インチ)の間の直径を有してよい。
【0045】
先端部分550は、特定の脈管構造の輪郭に適合するように、所望の方法で成形されるイメージングプローブ510の遠位端512での柔軟性のための成形可能なコイルシース部分を含んでよい。成形可能なコイルは、白金タングステンまたはニチノールの先端コイルを含んでよく、密接に巻かれたコイルであってもよい。いくつかの例では、先端部分550は、所望の方法で成形される柔軟性のために、成形可能な記憶ポリマーを含んでよい。
【0046】
中間部分552は、イメージングプローブ510の中間部分用の柔軟性を有する構造的安定性のために、成形不可能なコイルシース部分を含んでよい。成形不可能なコイルは、ステンレス鋼を含んでよく、緊密に巻かれたコイルであってもよい。
【0047】
後端部分554は、イメージングプローブ510の近位端514の近くに構造的安定性および押し込み可能性のためのハイポチューブ部分を含んでよい。ハイポチューブは、ステンレス鋼、合金などのステンレス鋼、または別の適切な剛性材料を含んでよい。
【0048】
いくつかの例では、イメージングプローブ510は、遠位端512から近位端514まで約1500mmの長さを有してよい。先端部分550は約150mmの長さを有し、中間部分552は約200mmの長さを有し、後端部分554は約1150mmの長さを有してよい。
【0049】
図6は、脈管構造をイメージングするための別の例示的な装置600の概略図を示す。装置600は、装置100と実質的に同様であり、同様のコンポーネントは同様の番号を有するが、「100」シリーズではなく「600」シリーズである。
図6を参照すると、装置600は、したがって、遠位端612および近位端614を有するイメージングプローブ610、照明用光ファイバ束616、および脈管構造602をイメージングするイメージング光ファイバ束618、レンズ620、光方向622、コントローラ660、および導管624を含む。装置600は、赤外光源632および赤外光検出器634を有するイメージング装置630をさらに含む。装置600の上記要素のさらなる説明については、
図1の装置100の説明を参照されたい。明確にするために、装置600と装置100との違いのみを詳細に説明する。
【0050】
装置100とは対照的に、装置600は、コントローラ660に結合された表示デバイス662をさらに含む。表示デバイス662は、赤外光検出器634により生成された画像を表示するものである。表示デバイス662は、リモート表示デバイスであってよい。コントローラ660は、表示デバイス662上でレンダリングするために、脈管構造602の画像を表示デバイス662に送信してよい。表示デバイス662は、陰極線管ディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機液晶ディスプレイ、発光ダイオードディスプレイなどを含む任意の適切な表示デバイスを含んでよい。
【0051】
図8は、脈管構造をイメージングするための例示的な方法800のフローチャートである。方法800は、脈管構造がイメージングされ得る1つの方法である。ただし、方法800のブロックは、示されているとおりの正確な順序で実行する必要はないことを強調しておく。さらに、方法800は、装置100、300、または600などの上述の装置によって実行され得る。明確にするために、方法800は装置100を参照して説明されたが、これは限定的ではなく、方法800は他の装置によって実行されてもよい。
【0052】
ブロック802で、イメージングプローブ110から脈管構造102に向けて血液を通して赤外光が放出される。ブロック804で、脈管構造102から血液を通して反射光が集められる。ブロック806で、反射光からイメージング信号が生成される。ブロック808で、脈管構造102の画像がイメージング信号から生成される。上述のように、画像は、弾道イメージング、ゲート化イメージング、構造化光、偏光イメージング技術などにしたがって生成され得る。
【0053】
いくつかの例では、方法800は、弾道光子イメージングプロセスを含んでよく、イメージングプローブ110は、角度ゲートフィルタを含む。弾道光子イメージングプロセスにおいて、方法800は、反射光から血液によって散乱された散乱光子をフィルタリングすること、および反射光から弾道光子を収集することを含む。イメージング信号は、弾道光子を用いて生成されてよい。
【0054】
いくつかの例では、方法800は、ゲート化イメージングプロセスを含んでよく、赤外光検出器134は、シャッタを有する赤外光カメラを含む。ゲート化イメージングプロセスでは、方法800は、血液により散乱された散乱光子が赤外光カメラによって受け入れられるのを阻止し、弾道光子が赤外光カメラによって受け入れられることを可能にするシャッタのタイミングをさらに含む。イメージング信号は、弾道光子を用いて生成されてよい。
【0055】
いくつかの例では、方法800は、脈管構造102の3次元モデルを生成するために構造化光イメージングプロセスを含んでよい。構造化光イメージングプロセスでは、イメージングプローブ110から放出される赤外光は、脈管構造102上に投影するためのパターンを含む。構造化光イメージングプロセスにしたがって脈管構造102の3次元モデルを生成するために、方法800は、脈管構造102を通してイメージングプローブ110を移動させ、イメージングプローブ110が脈管構造102を通して移動するにつれて反射光から複数のイメージング信号を生成し、複数のイメージング信号から脈管構造102の3次元モデルを生成する、ことを含む。
【0056】
いくつかの例では、方法800は、偏光イメージングプロセスを含んでよい。偏光イメージングプロセスでは、装置100は偏光フィルタを含む。偏光イメージングプロセスでは、方法800は、反射光から偏光を除去するために、反射光をフィルタリングすることを含む。イメージング信号は、非偏光を用いて生成されてよい。
【0057】
例えば、動作中、イメージングプローブ110は、脈管構造102に挿入されてよい。例えば、医師は、イメージングプローブ110の遠位端112を患者の脈管構造102に挿入してよい。次いで、医師は、脈管構造102を通してイメージングプローブ110を所望の位置まで押してよい。ナビゲーション中、イメージングプローブ110の照明用光ファイバ束116に血液を浸透させるように有効波長の赤外光を提供するために、コントローラ160は、赤外光源132を制御してよい。赤外光は、照明用光ファイバ束116に沿って近位端114から遠位端112まで進み、脈管構造102に赤外光を提供する。脈管構造602から反射された光は、イメージングのためにイメージング光ファイバ束118によって収集され得る。
【0058】
いくつかの例では、画像は、イメージングプローブ110のナビゲーションを支援するために、表示デバイス662と同様のディスプレイを介してリアルタイムでキャプチャおよび表示されてよい。
【0059】
いくつかの例では、医師が所望の場所で医療処置を行うことができるように、次に、カテーテルなどの追加の医療機器が所望の場所にもたらされてよい。血液で満たされた脈管構造を通したリアルタイムのイメージングおよびナビゲーションを提供するイメージングプローブ110からのガイダンスは、他の画像ガイダンス技術が使用された場合よりも迅速に医療処置を開始し得る。
【0060】
したがって、脈管構造に挿入され、脈管構造に向けて血液を通して赤外光を放出し、イメージングのために脈管構造からの反射光を集める、イメージングプローブを含む脈管イメージング装置が提供され得る。イメージング装置は、脈管構造に向けて放出するためにイメージングプローブに光学的に結合された赤外光源をさらに含む。イメージング装置は、反射光からイメージング信号を生成するためにイメージングプローブに光学的に結合された赤外光検出器、および、イメージング信号から脈管構造の画像を生成するために赤外光源に結合されかつ赤外光検出器に結合されたコントローラをさらに含む。コントローラは、弾道光子イメージング技術、ゲート化イメージング技術、偏光イメージング技術、構造化光イメージング技術などを含む多くのイメージング技術を使用してよい。イメージングプローブは、カテーテルを通してナビゲートされる押し込み可能および追跡可能なシースを含んでよい。イメージングプローブは、脈管構造を介したナビゲーションのためのガイドワイヤシースを含んでもよい。イメージングプローブは、別のカテーテル装置の一部として含まれてもよい。したがって、そのようなイメージングプローブは、迅速な医療介入を促進するために、脈管構造を介したリアルタイムのナビゲーションを支援し得る。
【0061】
この明細書では、要素は、1つまたは複数の機能を実行するように「構成される」、またはそのような機能のために「構成される」と説明され得る。一般に、機能を実行するように構成された、または機能の実行のために構成された要素は、機能を実行することができるか、機能の実行に適しているか、機能を実行するように適合されるか、機能を実行するように動作可能であるか、そうでなければ機能を実行できる。
【0062】
この明細書の目的上、「X、Y、およびZの少なくとも1つ」および「X、Y、およびZの1つ以上」の用語は、Xのみ、Yのみ、Zのみ、または、2つ以上のアイテムX、Y、およびZの任意の組み合わせ(たとえば、XYZ、XY、YZ、XZなど)として解釈できると理解される。同様のロジックは、「少なくとも1つ...」および「1つ以上...」という用語が任意に出現する2つ以上のアイテムに適用できる。
【0063】
「約」、「実質的に」、「本質的に」、「およそ」などの用語は、例えば当業者に理解されるように、「近い」と定義される。いくつかの実施形態では、用語は「10%以内」、他の実施形態では「5%以内」、さらに別の実施形態では「1%以内」、さらに別の実施形態では「0.5%以内」であると理解される。
【0064】
当業者は、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の装置および/または方法および/またはプロセスの機能は、事前にプログラムされたハードウェアまたはファームウェア要素(たとえば、特定用途向け集積回路(ASIC)、電気的に消去可能なプログラム可能な読み取り専用メモリ(EEPROM)など)、またはその他の関連コンポーネントを使用して実施できることを理解するであろう。他の実施形態では、本明細書で説明する装置および/または方法および/またはプロセスの機能は、コンピューティング装置の動作のためのコンピュータ可読プログラムコードを格納するコードメモリ(図示せず)へのアクセスを有するコンピューティング装置を使用して達成することができる。コンピュータ可読プログラムコードは、これらのコンポーネントによって固定、有形および直接読み取り可能なコンピュータ可読記憶媒体(たとえば、リムーバブルディスケット、CD-ROM、ROM、固定ディスク、USBドライブ)に格納できる。さらに、コンピュータ可読プログラムは、コンピュータ使用可能媒体を含むコンピュータプログラム製品として保存できることが理解される。さらに、永続的記憶装置は、コンピュータ可読プログラムコードを含むことができる。さらに、コンピュータ可読プログラムコードおよび/またはコンピュータ使用可能媒体は、非一時的コンピュータ可読プログラムコードおよび/または非一時的コンピュータ使用可能媒体を含むことができることをさらに理解されたい。あるいは、コンピュータ可読プログラムコードは、リモートに格納することもできるが、伝送媒体を介してネットワーク(インターネットを含むがこれに限定されない)に接続されたモデムまたは他のインターフェースデバイスを介してこれらのコンポーネントに伝送可能である。伝送媒体は、非移動媒体(たとえば、光学および/またはデジタルおよび/またはアナログ通信回線)または移動媒体(たとえば、マイクロ波、赤外光、自由空間光学または他の伝送方式)、またはそれらの組み合わせのいずれかが可能である。
【0065】
当業者は、さらに別の実施形態および修正が可能であり、上記の例が1つまたは複数の実施形態の単なる例示であることを理解するであろう。したがって、範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ制限されるものとする。