(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-31
(45)【発行日】2023-06-08
(54)【発明の名称】保安管理システム、保安管理方法及び符号化撮像装置
(51)【国際特許分類】
H04N 7/18 20060101AFI20230601BHJP
H04N 23/55 20230101ALI20230601BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20230601BHJP
【FI】
H04N7/18 D
H04N23/55
G06T1/00
(21)【出願番号】P 2021179881
(22)【出願日】2021-11-03
【審査請求日】2021-11-03
(73)【特許権者】
【識別番号】521482770
【氏名又は名称】美木 克貴
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】美木 克貴
【審査官】秦野 孝一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-46193(JP,A)
【文献】特開2021-57848(JP,A)
【文献】国際公開第2021/075527(WO,A1)
【文献】特表2013-512612(JP,A)
【文献】国際公開第2018/221025(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
H04N 23/55
G06T 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
面に所定パターンが形成された符号化マスクにより
PSF(Point Spread Function)を用いて逆解析可能に符号化され撮像素子に投影された投影像を撮像して画像データを取得する符号化撮像装置と、
前記所定パターンに対応
する前記PSFであり前記画像データの復号に用いられる復号化キーを前記符号化撮像装置に固有のIDに関連付けて記憶する管理装置と、
前記IDを特定する特定情報に基づいて、前記符号化撮像装置の前記IDに対応する前記復号化キーを前記管理装置から取得するキー取得部と、
前記キー取得部により取得された前記復号化キーを用いて前記画像データを復号する復号化部と、
を備える保安管理システム。
【請求項2】
前記特定情報を前記キー取得部に通知する特定情報通知部をさらに備える、請求項1に記載の保安管理システム。
【請求項3】
前記キー取得部が取得した前記復号化キーを前記復号化部に通知するキー通知部をさらに備える、請求項1又は2に記載の保安管理システム。
【請求項4】
前記符号化撮像装置が撮像し取得した前記画像データを前記復号化部に通知するデータ通知部をさらに備える、請求項1-3の何れか一項に記載の保安管理システム。
【請求項5】
前記保安管理システムは、
前記符号化撮像装置が設置される設備を管理する民間の設備管理者と、民間のセキュリティ関連業者と、公的機関である警察との間に構成され、
前記符号化撮像装置及び前記特定情報は、前記設備管理者により管理され、
前記管理装置、及び前記キー取得部は、前記セキュリティ関連業者により管理され、
前記復号化部は、前記警察により管理される、請求項1-4の何れか一項に記載の保安管理システム。
【請求項6】
前記保安管理システムは、
前記符号化撮像装置が設置される設備を管理する民間の設備管理者と、民間のセキュリティ関連業者との間に構成され、
前記符号化撮像装置は、前記設備管理者により管理され、
前記特定情報、前記管理装置、前記キー取得部及び前記復号化部は、前記セキュリティ関連業者により管理される、請求項1-4の何れか一項に記載の保安管理システム。
【請求項7】
前記保安管理システムは、
前記符号化撮像装置が設置される設備を管理する民間の設備管理者と、公的機関である警察との間に構成され、
前記符号化撮像装置、前記特定情報、前記管理装置、及び前記キー取得部は、前記設備管理者によって管理され、
前記復号化部は、前記警察によって管理される、請求項1-4の何れか一項に記載の保安管理システム。
【請求項8】
前記符号化マスクの前記所定パターンは、前記符号化マスクそれぞれに対応する固有のパターンであり、
前記符号化撮像装置が撮像し取得した前記画像データは、前記固有のパターンに応じた前記復号化キーによって復号される、請求項1-7の何れか一項に記載の保安管理システム。
【請求項9】
前記所定パターンは、ベースとなる基準パターンを、前記基準パターンの前記面と平行に任意の方向に任意の量だけ変位させること、又は前記基準パターンの前記面に直交する軸周りに任意の角度だけ回転させることにより、変位ごと又は回転ごとに異なる前記固有のパターンとして設定される、請求項8に記載の保安管理システム。
【請求項10】
前記所定パターンは、前記符号化マスク内を複数の領域に分割し、前記複数の領域のうち少なくとも一つの領域のパターンを他の領域のパターンとは異なるパターンとするごとに異なる前記固有のパターンとして設定される、請求項8又は9に記載の保安管理システム。
【請求項11】
請求項1-10の何れか一項に記載の前記保安管理システムを用いた保安管理方法であって、
前記符号化撮像装置と、前記管理装置とを備え、
前記IDを特定する前記特定情報に基づいて、前記符号化撮像装置の前記IDに対応する前記復号化キーを前記管理装置から取得するキー取得工程と、
前記キー取得部により取得された前記復号化キーを用いて前記画像データを復号する復号化工程と、
を備える保安管理方法。
【請求項12】
請求項1-7の何れか一項に記載の前記保安管理システムに用いられる前記符号化撮像装置であって、
前記面に前記所定パターンが形成され、透過するデータを前記所定パターンにより符号化する前記符号化マスクと、
前記符号化マスクにより符号化され投影された前記投影像を撮像する撮像素子と、
を備え、
前記符号化マスクの前記所定パターンは、前記符号化マスクそれぞれに対応する固有のパターンであり、
前記符号化撮像装置が撮像し取得した前記画像データは、前記固有のパターンに応じた前記復号化キーによって復号される、符号化撮像装置。
【請求項13】
前記所定パターンは、ベースとなる基準パターンを、前記基準パターンの前記面と平行に任意の方向に任意の量だけ変位させること、又は前記基準パターンの前記面に直交する軸周りに任意の角度だけ回転させることにより、変位ごと又は回転ごとに異なる前記固有のパターンとして設定される、請求項12に記載の符号化撮像装置。
【請求項14】
前記所定パターンは、前記符号化マスク内を複数の領域に分割し、前記複数の領域のうち少なくとも一つの領域のパターンを他の領域のパターンとは異なるパターンとするごとに異なる前記固有のパターンとして設定される、請求項12又は13に記載の符号化撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は保安管理システム、保安管理方法及び符号化撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、防犯上の観点から街中の至る所に、例えば、特許文献1に記載の防犯カメラが設置されている。通常、これらの防犯カメラの多くは、民間人が各々自費で設置し、撮像した映像データはカメラ設置者(管理者)が保管するとともに閲覧可能である。つまり、撮像した映像データの管理は、カメラの設置者(管理者)に委ねられており、個人情報(プライバシー)の保護性は決して高いものとはいえない。ところが、最近では、防犯カメラによる犯罪抑止効果、及び犯罪発生時における事件解決に対する効果に対して多くの人々が一定の理解を示すようになってきており、個人情報保護に対する問題を有しながらも街中での防犯カメラの設置の必要性がある程度認められる状況となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば会社等のロッカールームや、デパート等のトイレ内といった比較的犯罪が起きやすい所定の屋内では、防犯カメラの設置の要望はあるものの個人情報保護の観点より依然として大きな反対があり、容易に設置可能な状況には至っていない。設置に対する阻害要因の一つとしては、撮像された映像が、その場で容易に不特定多数の人間によって閲覧される虞がある点が挙げられる。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、個人情報の保護性を高め、個人情報の保護性に対する要求が高い場所にも適用可能な保安管理システム、保安管理方法及び符号化撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために保安管理システムは、面に所定パターンが形成された符号化マスクにより符号化され撮像素子に投影された投影像を撮像して画像データを取得する符号化撮像装置と、前記所定パターンに対応し前記画像データの復号に用いられる復号化キーを前記符号化撮像装置に固有のIDに関連付けて記憶する管理装置と、前記IDを特定する特定情報に基づいて、前記符号化撮像装置の前記IDに対応する前記復号化キーを前記管理装置から取得するキー取得部と、前記キー取得部により取得された前記復号化キーを用いて前記画像データを復号する復号化部と、を備える。
【0007】
このように、保安管理システムは、符号化撮像装置によって撮像した画像データを視認可能な映像(画像)とするために、管理装置に記憶された復号化キーを用いて復号する必要がある。そして、このとき、復号化キーは各符号化撮像装置に対応する固有のIDに対応するものであるとともに、特定情報に基づいて、キー取得部が管理装置から取得する必要がある。つまり、保安管理システムは、画像データを視認可能な映像(画像)とするためには、非常に手間がかかり、個人情報の保護性が高いシステムとなっている。これにより、個人情報の保護性に対する人々の信用を得ることができ、個人情報の保護性に対する要求が高い場所にも適用可能とすることができる。
【0008】
また、上記課題を解決するために、保安管理方法は、上記保安管理システムを用いた保安管理方法であって、前記符号化撮像装置と、前記管理装置とを備え、前記IDを特定する前記特定情報に基づいて、前記符号化撮像装置の前記IDに対応する前記復号化キーを前記管理装置から取得するキー取得工程と、前記キー取得部により取得された前記復号化キーを用いて前記画像データを復号する復号化工程と、を備える。これにより、上記保安管理システムと同様の効果が得られる。
【0009】
また、上記課題を解決するために、上記保安管理システムに用いられる前記符号化撮像装置は、前記面に前記所定パターンが形成され、透過するデータを前記所定パターンにより符号化された前記投影像とする前記符号化マスクと、前記符号化マスクにより符号化され投影された前記投影像を撮像する撮像素子とを備え、前記符号化マスクの前記所定パターンは、前記符号化マスクそれぞれに対応する固有のパターンであり、前記符号化撮像装置が撮像し取得した前記画像データは、前記固有のパターンに応じた前記復号化キーによって復号される。
【0010】
このように、符号化撮像装置は、符号化撮像装置が撮像し取得した画像データを復号する装置を備えていないとともに、符号化マスクの所定パターンは、符号化マスクそれぞれに対応する固有のパターンであり、符号化撮像装置が撮像し取得した画像データは、固有のパターンに応じた復号化キーによってのみ、人が視認可能な映像(画像)に変換できる。このため、画像データを視認可能な映像(画像)に変換するためには、少なくとも従来のレンズ付きカメラに対してひと手間かかるため、個人情報の保護性を向上させることができる。これにより、個人情報の保護性に対する人々の信用を得ることができ、個人情報の保護性に対する要求が高い場所にも適用可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第一実施形態に係る保安管理システムS1の構成を説明するブロック図である。
【
図3】符号化撮像装置の符号化マスクに形成された所定パターン、及び基準パターンの一例を例示する図である。
【
図4】
図3における基準パターンを変位させることによって設定する固有の所定パターンの説明図である。
【
図5】変形例4の説明図であり、
図3における基準パターンを任意の角度だけ回転させることにより設定する固有の所定パターンの説明図である。
【
図6】変形例5の説明図であり、符号化マスクの面を複数の領域に分割することにより設定する固有の所定パターンの説明図である。
【
図7】第一実施形態に係る保安管理方法を説明するフローチャート1である。
【
図8】第二実施形態に係る保安管理システムS2の構成を説明するブロック図である。
【
図9】第三実施形態に係る保安管理システムS3の構成を説明するブロック図である。
【
図10】第四実施形態に係る保安管理システムS4の構成を説明するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<1.保安管理システムの概要>
本明細書が開示する保安管理システムは、防犯カメラに符号化撮像装置を適用することにより保安管理性の向上を図る。上記の符号化撮像装置として公知のレンズレスカメラは、一般的なレンズ付きカメラとは異なり、光学系にレンズを有さないカメラである。レンズレスカメラは、被写体像を符号化マスクにより符号化し、CMOSイメージセンサやCCDイメージセンサ等の撮像素子に投影された投影像を撮像する。
【0013】
レンズレスカメラの撮像により取得された画像データは、符号化マスクに対応する復号化キーを用いて逆解析により復号され、本来の被写体像を視認可能な映像とする。このように、レンズレスカメラでは、複雑な逆解析を行なうことにより人が視認可能な映像(画像)データに変換する。このため、少なくとも、撮像素子から取得した画像データを視認可能なデータに変換するためには、ひと手間かるため個人情報の保護性を向上させることができる。
【0014】
しかしながら、例えば、特開2021-57848号公報に記載のレンズレスカメラでは、光学系の小型化を目的とするものであることから、撮像の直後に復号化キーによって画像データの逆解析を行ない復号する工程を実行し、被写体像を人が視認可能な映像として記録する構成となっている。このため、公知のレンズレスカメラを防犯カメラにそのまま適用したのでは、防犯カメラにより記録された映像を、防犯カメラの管理者に閲覧されることを防止することはできない。これでは、ロッカールームや、トイレ内に防犯カメラを設置することに対して多くの人々の理解は得られにくい。
【0015】
そこで、本明細書の保安管理システムは、復号化前の画像データにおいて本来の被写体像を視認できない符号化撮像装置を防犯カメラに適用することが個人情報の保護性を向上させることができるという着想によりなされたものである。保安管理システムは、さらに復号化撮像装置および復号化キーを適切に管理することによって保安管理性の向上を図る構成を採用する。以下に、保安管理システムの具体化した実施形態を例示する。
【0016】
<2.第一実施形態>
(2-1.保安管理システム)
以下に、保安管理システムの第一実施形態について説明する。
図1のブロック図に示すように第一実施形態に係る保安管理システムS1は、設備管理者C1と、民間のセキュリティ関連業者C2と、公的機関である警察C3との間で構成され、設備管理者C1、セキュリティ関連業者C2、及び警察C3の三者の相互間におけるデータの授受等を、高い情報保護性(保安性)を保持しながら行なうシステムである。
【0017】
まず、設備管理者C1、セキュリティ関連業者C2及び警察C3について説明する。設備管理者C1は、例えば、ショッピングセンタ-を経営する民間業者(民間ユーザー)である。セキュリティ関連業者C2は、設備管理者C1とは異なる別の管理者であり、例えば、符号化撮像装置10を民間ユーザである設備管理者C1に販売(又はレンタル)する民間業者であり、保安管理システムS1全体を構築する。
【0018】
また、警察C3は、犯罪を取り締まる権限を有する公的機関であり、個人情報の保護に対して、民間業者よりも高い秘密保持義務を負う機関である。このように、本実施形態では、公的機関である警察C3をシステム内に加える構成とすることにより、個人情報の保護性がより高い保安管理システムを構築することができる。
【0019】
保安管理システムS1は、
図1に示すように、符号化撮像装置10と、特定情報通知部20と、管理装置30と、キー取得部40と、キー通知部50と、データ通知部60と、復号化部70とを備える。本実施形態においては、符号化撮像装置10、特定情報通知部20及びデータ通知部60は、設備管理者C1によって管理される。また、管理装置30、キー取得部40、及びキー通知部50は、セキュリティ関連業者C2によって管理され、復号化部70は、警察C3によって管理される。
【0020】
(2-1-1.符号化撮像装置10)
図2に示すように、符号化撮像装置10は、符号化マスク11と、撮像素子12とを備える。そして、撮像素子12は、後述する記憶装置13と接続されている。符号化撮像装置10は、レンズを備えない、所謂、レンズレスカメラである。符号化マスク11は、従来のレンズ付きカメラにおいてレンズに相当する部位である。符号化マスク11は、フィルムによって形成される。
図3に示すように、符号化マスク11は、外形が例えば矩形に形成され、面11aに所定パターンPが形成され、透過する光を所定パターンPにより符号化された投影像に変換する。
【0021】
所定パターンPはフィルムの面11a上に印刷されて形成される。そして、面11aを撮像したい被写体像に対向させることにより、被写体像の情報が、所定パターンPを透過し、符号化されたデータ(投影像)に変換される。
【0022】
面11aに形成される所定パターンPは、例えば、
図3に示す形状で形成される。所定パターンPは、どのような形状であってもよいが、形成される符号化マスク11のみに対応する固有のパターンである。つまり、所定パターンPは、符号化マスク11ごと、即ち符号化撮像装置10ごとに、それぞれ異なるパターンで形成される。そして、所定パターンPは、他に同様のパターンが存在しないことが好ましい。但し、この態様に限らず、所定パターンPは、符号化撮像装置10の総製造数に対して所定の割合で同じパターンが存在してもよい。なお、このとき、所定の割合は、十分小さな値であることが好ましく任意に設定すればよい。
【0023】
符号化マスク11を透過し得られる符号化されたデータは、符号化マスク11ごとに異なる所定パターンPに応じた固有のシステム関数である復号化キーfが畳み込まれたデータである。なお、復号化キーfは、レンズレスカメラに関する文献の説明において、通常、PSF(Point Spread Function:点広がり関数)、又はインパルス関数と称される関数と同意であり、公知であるため詳細な説明については省略する。符号化されたデータは、復号化キーfに応じて変換されたデータであり、そのままでは人が映像(画像)として認識することが困難なデータである。
【0024】
つぎに、所定パターンPの形成について説明する。上述したように、本実施形態では、符号化撮像装置10(符号化マスク11)ごとに異なる固有のパターンとなるように所定パターンPが設定される。このため、例えば、
図3に示すパターンをベースとなる基準パターンPBとする。そして、基準パターンPBを基準パターンPBの面と平行に、任意の方向(X軸方向及びY軸方向)に任意の量だけ変位させることにより、変位ごとに異なる複数の固有のパターンとして設定する。
【0025】
例えば、基準パターンPBを、
図4に示すように、X軸方向及びY軸方向にそれぞれX1、Y1ずつ変位させることにより、基準パターンPBとは異なる固有のパターンP1を設定する。同様にして、基準パターンPBを任意の方向(X軸方向及びY軸方向)に、任意の量だけ変位させることにより、それぞれ固有のパターンである複数の所定パターンP2-PX(図略)を容易、且つ低コストに得ることができる。
【0026】
撮像素子12は、符号化マスク11により符号化され投影された投影像を撮像する。撮像素子12は、例えば、CMOSイメージセンサやCCDイメージセンサ等の二次元イメージセンサである。
図2に示すように撮像素子12は、符号化マスク11に対し、被写体像側とは反対側であって、符号化されたデータの入射面が符号化マスク11と対向するよう配置される。
【0027】
そして、撮像素子12は、符号化マスク11を透過し符号化された投影像を撮像し、例えばLAN(Local Area Network)接続される記憶装置13に出力する。本実施形態において、記憶装置13は、設備管理者C1によって管理されるサーバであり、HDDやSSD等の記憶媒体によって構成される。しかし、記憶装置13は、USBやSDカード等によって構成されるものであってもよい。記憶装置13は、撮像素子12から出力されるデータを、撮像した日付及び時間と対応させながら随時記憶する。
【0028】
なお、上記態様に限らず、記憶装置13は、符号化撮像装置10に設けてもよいし、セキュリティ関連業者C2が管理するサーバ又はクラウド上に設けてもよい。そして、後に詳述するが、撮像素子12に撮像され記憶装置13に記憶された画像データdは、固有の符号化撮像装置10の符号化マスク11の固有のパターンPに応じた復号化キーfによって復号可能である。復号化キーfは、セキュリティ関連業者C2が管理する管理装置30に予め記憶されている。
【0029】
(2-1-2.特定情報通知部20)
図1に示すように、特定情報通知部20は、キー取得部40と、例えばインターネット回線で接続される。特定情報通知部20では、特定情報SIが、設備管理者C1の操作によって、セキュリティ関連業者C2が管理するキー取得部40に通知される。なお、本実施形態において、特定情報SIは、記憶装置13に記憶された画像データdのうち、復号が必要となった所定期間における画像データd1を撮像した符号化撮像装置10に対応するIDそのものである。当該IDは、セキュリティ関連業者C2から購入(又はレンタル)し取得した複数の符号化撮像装置10に対し、それぞれ一対一で対応するよう付与されている個別識別番号である。本実施形態において特定情報SIは、設備管理者C1によって管理される。
【0030】
IDは、例えば、符号化撮像装置10にそれぞれ表示されている。IDは、符号化撮像装置10における符号化マスク11の所定パターンPごとに発行されるか、または所定パターンPに固有(一対一)のものである。IDの表示方法及び表示位置は、例えば、符号化撮像装置10の所定の位置に刻印することにより設けてもよい。また、IDが記載されたシールが符号化撮像装置10の所定の位置に貼付されていてもよい。これにより、設備管理者C1は、対象となる符号化撮像装置10のIDを容易に確認できる。設備管理者C1は、対象となるID(特定情報SI)を確認した後、インターネット回線を介して、特定情報通知部20からキー取得部40にアクセスし、確認したIDを手動で入力しキー取得部40に通知する。
【0031】
(2-1-3.管理装置30)
管理装置30は、キー取得部40と例えばLAN(Local Area Network)接続される。管理装置30は、各符号化撮像装置10の符号化マスク11が備える固有の所定パターンPに対応し画像データdの復号に用いられる復号化キーfを各符号化撮像装置10に固有のIDに関連付けて記憶している。
【0032】
(2-1-4.キー取得部40)
キー取得部40は、管理装置30及びキー通知部50と、例えばLAN接続される。キー取得部40は、特定情報通知部20から通知されたIDを特定する特定情報SI(ID)を取得し、取得したIDに基づいて、符号化撮像装置10のIDに対応する復号化キーfを管理装置30から取得する。なお、上述したように、本実施形態においては、特定情報SIはIDそのものである。
【0033】
(2-1-5.キー通知部50)
キー通知部50は、キー取得部40と例えばLAN接続されるとともに、復号化部70と例えばインターネット回線で接続される。キー通知部50は、キー取得部40が管理装置30から取得した復号化キーfを取得する。そして、キー通知部50は、当該復号化キーfを復号化部70に送信(通知)する。
【0034】
(2-1-6.データ通知部60)
データ通知部60は、記憶装置13と例えばLAN接続されるとともに、復号化部70と例えばインターネット回線で接続されている。データ通知部60は、符号化撮像装置10が撮像し記憶装置13に記憶された画像データdのうち、復号を行なう必要がある所定期間の画像データd1を記憶装置13から取得し、取得した画像データd1を復号化部70に送信(通知)する。
【0035】
具体的には、所定期間の画像データd1を記憶装置13から取得するため、まず設備管理者C1がデータ通知部60に対し、対象となる符号化撮像装置10及び所定期間の情報Gを手動で操作し入力する。これにより、データ通知部60が記憶装置13にアクセスし、所定期間の画像データd1を取得する。その後、データ通知部60は、取得した所定期間における画像データd1を復号化部70に送信(通知)する。
【0036】
(2-1-7.復号化部70)
復号化部70は、キー取得部40により取得され、キー通知部50によって送信(通知)された復号化キーfを用いて、データ通知部60により送信(通知)された画像データd1を復号する。画像データd1の復号方法については上記で説明した通りである。但し、画像復号の方法は、上記で説明したものに限らず、現在も世界中で様々な方法が開発中であり、どのような方法であってもよい。
【0037】
(2-2.その他)
(2-2-1.変形例1)
上記実施形態では、保安管理システムS1が特定情報通知部20を備える構成としたが、この態様には限らず、変形例1(図略)として、保安管理システムS1は特定情報通知部20を備えない構成としてもよい。この場合、例えば、設備管理者C1から、直接、セキュリティ関連業者C2に特定情報SIであるIDを電話、メール等によって通知する。そして、セキュリティ関連業者C2が、IDを直接、手動で入力することによりキー取得部40に通知する。これによっても、上記実施形態と同様の効果が得られる。
【0038】
なお、特定情報通知部20を備えない別の場合として、例えば、符号化撮像装置10には特定情報SIであるIDが一切表示されておらず、セキュリティ関連業者C2が符号化撮像装置10の現物を確認することにより、セキュリティ関連業者C2しか知り得ない方法によってIDを特定する場合を想定することもできる。このとき、特定情報SIは、符号化撮像装置10そのものである。この場合には、セキュリティ関連業者C2が、キー取得部40に、特定したIDを直接、手動で入力することによりキー取得部40に通知する。これによっても、上記実施形態と同様の効果が得られる。
【0039】
(2-2-2.変形例2)
また、上記実施形態では、保安管理システムS1がキー通知部50を備える構成としたが、この態様には限らず、変形例2(図略)として、保安管理システムS1は、キー通知部50を備えない構成としてもよい。この場合、セキュリティ関連業者C2は、キー取得部40が管理装置30から取得した復号化キーfを手動で取得し、例えば復号化部70と接続されたPCから復号化部70に送信すればよい。これによっても、上記実施形態と同様の効果が得られる。
【0040】
(2-2-3.変形例3)
また、上記実施形態では、保安管理システムS1がデータ通知部60を備える構成としたが、この態様には限らず、変形例3(図略)として、保安管理システムS1は、データ通知部60を備えない構成としてもよい。この場合、設備管理者C1は、手動で記憶装置13から所定期間の画像データd1を取得し、例えば復号化部70と接続されたPCから復号化部70に送信すればよい。これによっても、上記実施形態と同様の効果が得られる。
【0041】
(2-2-4.変形例4)
また、上記実施形態では、符号化撮像装置10における所定パターンPを、符号化撮像装置10毎に異なるパターンとするため、基準パターンPBを基準パターンPBの面と平行に、任意の方向(X軸方向及びY軸方向)に任意の量だけ変位させることにより、変位ごとに異なる複数の固有のパターンとして設定した。しかしこの態様には限らず、変形例4として所定パターンPは、
図5に示すように、ベースとなる基準パターンPBを、基準パターンの面11aに直交する任意の軸周りに任意の角度α°だけ回転させる回転ごとに異なる固有のパターンとして設定してもよい。これによっても、第一実施形態と同様の効果が期待できる。
【0042】
(2-2-5.変形例5)
さらに、所定パターンPを、符号化撮像装置10毎に異なる固有のパターンとするため、変形例5として、
図6に示すように、符号化マスク11の面11a内を複数の領域に分割し、複数の領域のうち少なくとも一つの領域のパターンを他の領域のパターンとは異なるパターンPaとするごとに異なる固有のパターンとして設定してもよい。これによっても、第一実施形態と同様の効果が期待できる。
【0043】
(2-3.保安管理方法)
次に、上記第一実施形態における保安管理システムの保安管理方法について
図7のフローチャート1に基づき説明する。まず前提について説明する。本実施形態においては、設備管理者C1は、セキュリティ関連業者C2から、複数の符号化撮像装置10を購入又はレンタルすることにより取得する。そして、符号化撮像装置10を、例えば、符号化撮像装置10が設置される設備であるショッピングセンタ-内のトイレ内又は従業員のロッカールーム内の任意の位置に設置する。
【0044】
但し、設置場所は、あくまで設備管理者C1が所望する任意の場所であって、トイレ内又はロッカールーム内に限らずどこでもよい。また、符号化撮像装置10の設置は、ピント等に対する初期調整が難しいため、購入又はレンタル先のセキュリティ関連業者C2によって行なわれることが好ましい。
【0045】
なお、符号化撮像装置10を、トイレ内又はロッカールーム内に設置する場合には、「防犯カメラ(レンズレスカメラ)作動中」との貼り紙を貼り、被写体となりうる人々に防犯カメラの存在を周知することが好ましい。符号化撮像装置10は、上述したように、レンズを有さないレンズレスカメラである。従って、非常に薄く小型化できるため、現場にいる人が認識できない状態で設置することも可能である。
【0046】
このため、設置を認識できていなかった人たちが、後から設置されていることを知った場合には、不快な思いをしたり、設置の適法性の観点から訴訟に発展したりする虞があるため、上述したように予め、設備利用者に周知しておくことが好ましい。但し、このとき、レンズレスカメラは、個人情報の保護性が高いカメラであることが設備利用者に認識されていることが好ましい。
【0047】
そして、例えば、符号化撮像装置10を設置したロッカールーム内において盗難事件が発生すると、設備管理者C1は、警察C3に対し、被害を報告するとともに、以下に示すように保安管理システムS1により各種処理が処理される。
【0048】
(2-3-1.ステップS11)
ステップS11(特定情報通知工程)では、特定情報通知部20がキー取得部40に特定情報SI(ID)を通知する。具体的には、設備管理者C1が、盗難が発生したロッカールームを撮像した符号化撮像装置10の特定情報SI(本実施形態ではID)を確認するとともに、特定情報通知部20からインターネット回線を介してキー取得部40にアクセスし、確認したID(特定情報SI)を手動で入力し、これによって、特定情報SI(ID)をキー取得部40に通知する。
【0049】
(2-3-2.ステップS12)
ステップS12(キー取得工程)では、キー取得部40が、設備管理者C1から通知された特定情報SIに基づきIDを特定するとともに、管理装置30にアクセスし、符号化撮像装置10のIDに対応する復号化キーfを取得する。このとき、本実施形態においては、特定情報SIはIDであるため、キー取得部40は、IDを特定するための特別な処理を行なわない。しかしながら、例えば、特定情報SIがIDそのものではなく、IDと関連付けられた別の要素(例えば暗号、または、利用者、設置場所、カメラ番号およびこれらの組み合わせ等)である場合、キー取得部40は、特定情報SIからIDを特定するための処理を行なったのちIDを特定する。
【0050】
(2-3-3.ステップS13)
ステップS13(キー通知工程)では、キー通知部50がキー取得部40にアクセスし、キー取得部40が取得した復号化キーfをキー取得部40から取得し、警察C3が管理する復号化部70に送信(通知)する。
【0051】
(2-3-4.ステップS14)
ステップS14(データ通知工程)では、設備管理者C1が、データ通知部60に対し盗難事件が発生したと推定される日時の範囲(所定期間)を手動で入力することにより、データ通知部60が記憶装置13から盗難事件が発生したと推定される所定期間、即ち復号を行なう必要がある所定期間の画像データd1を取得し、警察C3が管理する復号化部70に送信(通知)する。
【0052】
(2-3-5.ステップS15)
ステップS15(復号化工程)では、復号化部70が、データ通知工程S14においてデータ通知部60から送信された画像データd1に対し、キー通知部50から送信された復号化キーを用いて、画像データd1を復号する。そして、復号されたデータはモニタに送信され、人が認識可能な映像(画像)としてモニタに映し出される。これにより、これまで、個人情報保護の観点より撮影が困難であった窃盗事件発生当時のロッカールーム内の様子が明らかとなり事件解決に対し大きく貢献可能となる。
【0053】
このように、本実施形態における保安管理方法においては、再生した映像の確認ができるのは、公的機関である「警察C3」のみであり、民間人である、設備管理者C1及びセキュリティ関連業者C2は容易に確認できない。このため、再生された映像が外部に流出する虞は極めて低い。従って、人々は保安管理システムS1に対し個人情報の保護性が高いシステムであると認識するようになるため、さらに個人情報の保護性に対する人々の信用を得ることができ、個人情報の保護性に対する要求が高い場所に適用可能とすることができる。
【0054】
但し、この態様に限らず、警察C3の要望で、映像の再生時に設備管理者C1、及びセキュリティ関連業者C2の少なくとも一方が立ち会う態様であってもよい。これによっても、警察C3立会いの下での立会いであるので、十分高い個人情報の保護性が保持される。また、このような態様であっても、保安管理システムS1が作動しない期間、即ち、犯罪が発生しない期間においては、符号化撮像装置10が撮像した画像データdは相変わらず符号化されたままであるため、公的機関の警察C3にも閲覧されないとともに、セキュリティ関連業者C2、及び設備管理者C1にも閲覧されず、高い個人情報の保護性が維持される。
【0055】
また、加えて、保安管理システムS1では、符号化された画像データdが記憶される記憶装置13へのアクセスを制限することによっても、保安管理システムS1における個人情報の保護性を高めることができる。このように、符号化マスク11の所定パターンPの複雑化や記憶装置13へのアクセス制限などのデータ管理等を行なうことによっても高い個人情報の保護性を維持することができる。
【0056】
<3.実施形態による効果>
上記第一実施形態によれば、保安管理システムS1は、面11aに所定パターンPが形成された符号化マスク11により符号化され撮像素子12に投影された投影像を撮像して画像データdを取得する符号化撮像装置10と、所定パターンPに対応し画像データdの復号に用いられる復号化キーfを符号化撮像装置10に固有のIDに関連付けて記憶する管理装置30と、IDを特定する特定情報SIに基づいて、符号化撮像装置10のIDに対応する復号化キーfを管理装置30から取得するキー取得部40と、キー取得部40により取得された復号化キーfを用いて画像データd1を復号する復号化部70と、備える。
【0057】
このように、保安管理システムS1は、符号化撮像装置10によって撮像した画像データdを視認可能な映像(画像)とするために、管理装置30に記憶された復号化キーfを用いて復号する必要がある。そして、このとき、復号化キーfは各符号化撮像装置10に対応する固有のIDに対応するものであるとともに、特定情報SIに基づいて、キー取得部40が管理装置30から取得する必要がある。つまり、保安管理システムS1は、画像データdを視認可能な映像(画像)とするためには、非常に手間がかかり、個人情報の保護性が高いシステムとなっている。これにより、個人情報の保護性に対する人々の信用を得ることができ、個人情報の保護性に対する要求が高い場所にも適用可能とすることができる。
【0058】
また、上記第一実施形態によれば、保安管理システムS1は、特定情報SIをキー取得部40に通知する特定情報通知部20を備える。これにより、特定情報通知部20に特定情報SIを入力することで自動的にキー取得部40に特定情報SIが送信され、送信された特定情報SIに基づいてIDが特定されるので効率的である。
【0059】
また、上記第一実施形態によれば、保安管理システムS1は、キー取得部40が取得した復号化キーfを復号化部70に通知するキー通知部50をさらに備える。これにより、キー取得部40が復号化キーfを取得した場合、キー通知部50が自動的に復号化部70に送信(通知)するので効率的である。
【0060】
また、上記第一実施形態によれば、保安管理システムS1は、符号化撮像装置10が撮像し取得した画像データdのうち所定期間の画像データd1を復号化部70に通知するデータ通知部60をさらに備える。具体的には、設備管理者C1が、データ通知部60に対し、対象となる符号化撮像装置10の情報及び所定期間の情報Gを手動で操作し入力すると、自動的にデータ通知部60が記憶装置13にアクセスし、所定期間の画像データd1を取得する。そして、データ通知部60は、取得した所定期間における画像データd1を復号化部70に自動的に送信(通知)する。このため、効率的である。
【0061】
また、上記第一実施形態によれば、保安管理システムS1は、符号化撮像装置10が設置される設備を管理する民間の設備管理者C1と、民間のセキュリティ関連業者C2と、公的機関である警察C3との間に構成され、符号化撮像装置10及び特定情報SIは、設備管理者C1によって管理され、管理装置30、及びキー取得部40は、セキュリティ関連業者C2によって管理され、復号化部70は警察C3によって管理される。このように、保安管理システムS1は、秘密保持性が非常に高い警察C3を含む三者間で構成されている。そして、撮像された映像が閲覧できるのは警察C3だけであるよう構成されている。これにより、個人情報の保護性が高く、個人情報の保護性に対する要求が高い場所にも適用可能である。
【0062】
また、上記第一実施形態によれば、符号化マスク11の所定パターンPは、符号化マスク11それぞれに対応する固有のパターンであり、符号化撮像装置10が撮像し取得した画像データdは、固有のパターンに応じた復号化キーfによって復号される。このように、符号化撮像装置10が撮像し取得した画像データdは、符号化マスク11それぞれに対応する固有のパターンに対応する復号化キーfのみによってしか復号できないため、個人情報の保護性を高めることができる。
【0063】
また、上記第一実施形態によれば、符号化マスク11の所定パターンPは、ベースとなる基準パターンPBを、基準パターンPBの面と平行に任意の方向に任意の量だけ変位させることにより、又は基準パターンPBの面に直交する軸周りに任意の角度だけ回転させることにより、変位ごと又は回転ごとに異なる固有のパターンとして設定される。このように、容易に固有の所定パターンPを形成できるので効率的でありコスト低減に寄与する。
【0064】
また、上記第一実施形態によれば、保安管理方法は、符号化撮像装置10と、管理装置30とを備え、IDを特定する特定情報SIに基づいて、符号化撮像装置10のIDに対応する復号化キーfを管理装置30から取得するキー取得工程S12と、キー取得部40により取得された復号化キーfを用いて画像データd1を復号する復号化工程S15と、を備える。これにより、保安管理システムS1と同様の効果が得られる。
【0065】
また、上記第一実施形態によれば、保安管理システムS1に用いられる符号化撮像装置10は、面11aに所定パターンPが形成され、透過するデータを所定パターンPにより符号化する符号化マスク11と、符号化マスク11により符号化され投影された投影像を撮像する撮像素子12と、を備え、符号化マスク11の所定パターンPは、符号化マスク11それぞれに対応する固有のパターンであり、符号化撮像装置10が撮像し取得した画像データdは、固有のパターンに応じた復号化キーfによって復号される。
【0066】
このように、符号化撮像装置10は、符号化撮像装置10が撮像し取得した画像データdを復号する装置を備えていないとともに、符号化マスク11の所定パターンPは、符号化マスク11それぞれに対応する固有のパターンであり、符号化撮像装置10が撮像し取得した画像データdは、固有のパターンに応じた復号化キーfによってのみ、人が視認可能な映像(画像)に変換できる。このため、画像データdを視認可能な映像(画像)に変換するためには、少なくとも従来のレンズ付きカメラに対してひと手間かかるため、個人情報の保護性を向上させることができる。これにより、個人情報の保護性に対する人々の信用を得ることができ、個人情報の保護性に対する要求が高い場所にも適用可能とすることができる。
【0067】
<4.第二実施形態>
上記第一実施形態における保安管理システムS1は、設備管理者C1と、民間のセキュリティ関連業者C2と、公的機関である警察C3との間によって構成された。しかしながら、この態様に限らず、
図8に示すように、第二実施形態として、保安管理システムS2は、符号化撮像装置10が設置される設備を管理する民間の設備管理者C1と、警察C3との二者間で構成されてもよい。
【0068】
保安管理システムS2の説明においては、保安管理システムS1と同様の構成については同様の符号を付して説明する。保安管理システムS2の場合、民間の設備管理者C1によって、符号化撮像装置10、特定情報SI、記憶装置13、特定情報通知部120、管理装置130、キー取得部140、キー通知部150、及びデータ通知部160が管理される。そして、警察C3によって、復号化部170が管理される。
【0069】
このように構成される保安管理システムS2を作動させる場合、まず設備管理者C1が、対象となる符号化撮像装置10に対応するID(特定情報SI)を特定情報通知部120に手動で入力する。これにより、上述したようにキー取得部140、及びキー通知部150が順次作動し、キー通知部150が、警察C3が管理する復号化部170に復号化キーfを送信(通知)する。
【0070】
また、設備管理者C1が、データ通知部160に対し、対象となる符号化撮像装置10の情報(ID等)及び所定期間の情報Gを手動で入力する。これにより、データ通知部160が、記憶装置13から盗難事件が発生したと推定される所定期間、即ち復号を行なう必要がある所定期間の画像データd1を取得し、警察C3が管理する復号化部170に送信(通知)する。その後、復号化部170が、データ通知部160から送信された画像データd1に対し、キー通知部150から送信された復号化キーfを用いて画像データd1を復号する。
【0071】
このように、保安管理システムS2は、設備管理者C1及び警察C3の二者で管理される。このため、第一実施形態における保安管理システムS1よりは、個人情報の保護性において若干劣るが、画像データd1を映像化する復号化部170は、公的機関である警察C3によって管理されているため、その保護性は、相応に高いものが期待できる。
【0072】
なお、保安管理システムS2は、上記態様に限らず、警察C3によって、復号化部170以外に記憶装置13、特定情報通知部120、管理装置130、キー取得部140、キー通知部150、及びデータ通知部160の一部または全部が管理される態様としてもよい。これによっても、同様の効果が期待できる。
【0073】
<5.第三実施形態>
また、上記第一、第二実施形態の態様に限らず、
図9に示すように、第三実施形態として、保安管理システムS3は、符号化撮像装置10が設置される設備を管理する民間の設備管理者C1と、民間のセキュリティ関連業者C2との二者間で構成されてもよい。この場合、設備管理者C1は、符号化撮像装置10及び特定情報SIを管理し、セキュリティ関連業者C2は、記憶装置213、管理装置230、キー取得部240、キー通知部250、データ通知部260及び復号化部270を管理する。
【0074】
保安管理システムS3の説明においては、保安管理システムS1と同様の構成については、同様の符号を付して説明する。保安管理システムS3の場合、符号化撮像装置10により撮像され取得された画像データdは、セキュリティ関連業者C2が管理するサーバのクラウドに記憶されるものとし、当該クラウドを記憶装置213とする。そして、セキュリティ関連業者C2が、設備管理者C1から画像データdの復号の依頼を受けたときに、保安管理システムS3を作動させる。
【0075】
保安管理システムS3を作動させる場合、設備管理者C1が、対象となる符号化撮像装置10に対応するID(特定情報SI)を特定情報通知部220に手動で入力する。これにより、上述したようにキー取得部240、及びキー通知部250が順次作動し、キー通知部250が復号化部270に復号化キーfを送信(通知)する。
【0076】
また、セキュリティ関連業者C2が、データ通知部260に対し、対象となる符号化撮像装置10の情報(ID等)及び所定期間の情報Gを手動で入力する。これにより、データ通知部260が、記憶装置213から復号を所望する所定期間、即ち復号を行なう必要がある所定期間の画像データd1を取得し、復号化部270に送信(通知)する。その後、復号化部270が、データ通知部260から送信された画像データd1に対し、キー通知部250から送信された復号化キーを用いて画像データd1を復号する。
【0077】
このように、保安管理システムS3は、民間の設備管理者C1及び民間のセキュリティ関連業者C2の二者で管理される。このため、第一実施形態及び第二実施形態における保安管理システムS1、S2よりは、個人情報の保護性において劣る。しかしながら、符号化撮像装置10により撮像され取得した画像データd1を復号化する工程は非常に多く手間である。このため、個人情報保護の観点より、従来のレンズ付きカメラよりも高い保護性を有する。これにより、保安用のカメラ(防犯カメラ)としては、レンズ付きカメラよりも広い範囲で適用可能である。
【0078】
なお、保安管理システムS3は、上記態様に限らず、設備管理者C1が、符号化撮像装置10及び特定情報SI以外に、記憶装置213、管理装置230、キー取得部240、キー通知部250、データ通知部260の一部または全部を管理する態様としてもよい。これによっても、同様の効果が期待できる。
【0079】
<6.第四実施形態>
また、上記第一、第二、第三実施形態の態様に限らず、
図10に示すように、第四実施形態として、保安管理システムS4は、設備管理者C1のみにおいて構成されてもよい。つまり、保安管理システムS4は、
図10に示すように、符号化撮像装置10、記憶装置13、特定情報通知部320、管理装置330、キー取得部340、キー通知部350、データ通知部360、及び復号化部370を備える。
【0080】
このように、保安管理システムS4は、民間の設備管理者C1のみによって管理される。このため、第一実施形態及び第二実施形態における保安管理システムS1、S2及びS3よりは、個人情報の保護性において劣る。しかしながら、撮像した画像データd1を復号化する工程は、非常に多く手間であるため、個人情報保護の観点より、従来のレンズ付きカメラよりも相応に高い保護性を有する。これにより、保安用のカメラ(防犯カメラ)としては、レンズ付きカメラよりも広い範囲で適用可能である。
【0081】
なお、上記第二、第三及び第四実施形態においては、保安管理システムS2-S4が、特定情報通知部120、220、320、キー通知部150、250、350及びデータ通知部160、260、360を備える態様とした。しかしながら、これに限らず、特定情報通知部120、220、320、キー通知部150、250、350及びデータ通知部160、260、360の一部または全部を備えていない態様としてもよい。この場合、それぞれが自動で行っていた機能を、各部を管理する設備管理者C1、セキュリティ関連業者C2又は警察C3の何れかが手動によって操作し成立させればよい。これによっても同様の効果が期待できる。
【0082】
また、上記第一~第4実施形態においては、符号化マスク11は、フィルムで形成され、面11a上に印刷を行ない所定のパターンPを形成するものとして説明したが、この態様には限らない。符号化マスク11は、光を透過すれば他の材質でもよいとともに、所定のパターンPは、例えば凹凸によって形成する等、どのように形成してもよい。このとき、画像データdの復号化についても、上述したようにどのような方法によって行ってもよい。これによっても本実施形態と同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0083】
10;符号化撮像装置、 11;符号化マスク、 12;撮像素子、 13、213;記憶装置、 20、120、220、320;特定情報通知部、 30、130、230、330;管理装置、 40、140、240、340;キー取得部、 50、150、250、350;キー通知部、 60、160、260、360;データ通知部、 70、170、270、370;復号化部、 C1;設備管理者、 C2;セキュリティ関連業者、C3;警察、 P;所定パターン、 S1、S2、S3、S4;保安管理システム、 S11;特定情報通知工程、 S12;キー取得工程、 S13;キー通知工程、 S14;データ通知工程、 S15;復号化工程、 SI;特定情報、 d;画像データ、 f;復号化キー。