(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-31
(45)【発行日】2023-06-08
(54)【発明の名称】回折光学素子の格子を最適に形成するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
G02B 5/18 20060101AFI20230601BHJP
【FI】
G02B5/18
(21)【出願番号】P 2021500736
(86)(22)【出願日】2019-06-27
(86)【国際出願番号】 US2019039384
(87)【国際公開番号】W WO2020013995
(87)【国際公開日】2020-01-16
【審査請求日】2021-03-04
(32)【優先日】2018-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500324750
【氏名又は名称】バリアン・セミコンダクター・エクイップメント・アソシエイツ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】エヴァンズ, モーガン
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー ティマーマン タイセン, ラトガー
(72)【発明者】
【氏名】オルソン, ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】クルンチ, ピーター エフ.
【審査官】池田 博一
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-309441(JP,A)
【文献】特開2005-004068(JP,A)
【文献】特開平10-096807(JP,A)
【文献】特開平08-015510(JP,A)
【文献】特開2001-290015(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0059297(US,A1)
【文献】米国特許第06517734(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0231478(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2002/0135876(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0035539(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0033784(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0003505(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学格子構成要素を形成する方法であって、
基板の上にエッチング停止層を設けることと、
前記エッチング停止層の上に光学格子層を設けることと、
前記光学格子層の上にパターニングされたマスク層を設けることと、
前記光学格子層及び前記パターニングされたマスク層をエッチングし、前記光学格子層内に光学格子を形成すること
を含み、前記光学格子が、前記基板の平面に対する垂直線に対して非ゼロ角度の傾斜で配置された複数の角度付けられた構成要素を含み、前記エッチングが、前記光学格子間の前記エッチング停止層の全域に亘ってオーバーエッチの領域を生じさ
せ、前記複数の角度付けられた構成要素に沿ってヒーリング及びフーチングを除去する、方法。
【請求項2】
前記複数の角度付けられた構成要素の第1の側壁の角度が、前記複数の角度付けられた構成要素の第2の側壁の角度と実質的に同一である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の側壁と前記第2の側壁とが、互いに対しておおよそ平行である、請求項
2に記載の方法。
【請求項4】
前記エッチングが、前記光学格子層内への角度付けられた反応性イオンエッチングを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記エッチングが、イオンビームによって実行され、前記基板が、
前記光学格子を形成するための処理レシピを使用して、前記イオンビームに対して走査方向に沿って走査され、前記イオンビームが、ビーム角度平均値及びビーム広がりを有し、前記ビーム広がりが、収束又は発散のうちの1つである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記処理レシピが、前記複数の角度付けられた構成要素の形状又は寸法を変更する効果を有する
前記光学格子を形成するための複数の
処理パラメータを含む、請求項
5に記載の方法。
【請求項7】
前記複数の処理パラメータが、前記光学格子層の材料、前記光学格子層の化学的性質及び前記光学格子層の上に形成された前記マスク層に対する前記イオンビームの化学的性質、前記光学格子層の下方に形成された前記エッチング停止層、イオンビーム強度、前記イオンビームを形成するために使用される種々のガスの相対的圧力、前記イオンビームを形成するための温度、イオンビーム角度、並びにイオンビーム広がりのうちの1つ又は複数を含む、請求項
6に記載の方法。
【請求項8】
光学格子構成要素を形成する方法であって、
基板の上にエッチング停止層を設けることと、
前記エッチング停止層の上に光学格子層を設けることと、
前記光学格子層の上にパターニングされたマスク層を設けることと、
前記光学格子層及び前記パターニングされたマスク層をエッチングし、前記光学格子層内に光学格子を形成すること
を含み、前記光学格子が、前記基板の平面に対する垂直線に対して非ゼロ角度の傾斜で配置された複数の角度付けられた構成要素を含み、前記エッチングが、前記複数の角度付けられた構成要素間の前記エッチング停止層の全域に亘ってオーバーエッチの領域を形成
して、
前記複数の角度付けられた構成要素に沿ってヒーリング及びフーチングを除去する、方法。
【請求項9】
前記オーバーエッチの領域が前記エッチング停止層において形成された後、前記複数の角度付けられた構成要素の第1の側壁の角度が、前記複数の角度付けられた構成要素の第2の側壁とおおよそ平行である、請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
前記エッチングが、前記光学格子層内への角度付けられた反応性イオンエッチングを含む、請求項
8に記載の方法。
【請求項11】
前記エッチングが、イオンビームによって実行され、前記基板が、光学格子を形成するための処理レシピを使用して、前記イオンビームに対して走査方向に沿って走査され、前記イオンビームが、ビーム角度平均値及びビーム広がりを有し、前記ビーム広がりが、収束又は発散のうちの1つである、請求項
8に記載の方法。
【請求項12】
拡張リアリティ/バーチャルリアリティデバイスを形成するための方法であって、
基板の上にエッチング停止層を設けることと、
前記エッチング停止層の上に光学格子層を設けることと、
前記光学格子層の上にパターニングされたマスク層を設けることと、
前記光学格子層及び前記パターニングされたマスク層をエッチングし、前記光学格子層内に光学格子を形成すること
を含み、前記光学格子が、前記基板の平面に対する垂直線に対して非ゼロ角度の傾斜で配置された複数の角度付けられた構成要素を含み、前記エッチングが、前記複数の角度付けられた構成要素間の前記エッチング停止層内の全域に亘って凹設されたオーバーエッチの領域を形成
して、
前記複数の角度付けられた構成要素に沿ってヒーリング及びフーチングを除去する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は、光学素子に関し、より具体的には、回折光学素子において格子を最適に形成するためのアプローチに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]光学レンズのような光学素子は、様々な利点のため、光を操作するために長い間使用されてきた。最近、ホログラフィック及び拡張/バーチャルリアリティ(AR及びVR)デバイスにおいて微小回折格子が利用されている。
【0003】
[0003]ある特定のAR及びVRデバイスは、人間の目から短距離内に画像を表示するように構成されたウェアラブルなディスプレイシステム(例えば、ヘッドセット)である。このようなウェアラブルなヘッドセットは、ヘッドマウントディスプレイと呼ばれることもあり、ユーザの目から数センチメートル以内で画像を表示するフレームが設けられている。この画像は、マイクロディスプレイなどのディスプレイ上でコンピュータが生成した画像であり得る。所望の画像の光を移送するために光学構成要素が配置されており、画像がユーザにとって視認可能であるように、ユーザの目に対して光がディスプレイ上で生成される。画像が生成されるディスプレイは、光エンジンの一部を形成することができるので、画像は、光学構成要素によって導かれるコリメートされた光ビームを生成し、視認可能な画像をユーザにもたらす。
【0004】
[0004]ディスプレイから人間の目へと画像を伝達するために、様々な種類の光学構成要素が使用されてきた。光学格子の形状は、拡張現実レンズ又はコンバイナにおいて正常に機能するために、様々な効果を実現するように設計され得る。幾つかのデバイスでは、複数の異なる領域(例えば、2つ以上の異なる領域)がレンズの表面に形成され、ある領域の格子の形状は、他の領域の格子の形状と異なる。例えば、多くの既知のデバイスは、3つの素子、すなわち、インカップラ(incoupler)、水平エキスパンダ、及びアウトカプラ(outcoupler)の3つの素子を含む。こうした種々の領域を設けるために、種々の領域の格子をエッチングするように種々のエッチングが用いられており、その結果、格子の形状は種々の領域間で異なる場合がある。プロセスが複雑であるために、角度付きの格子を備えた光学構成要素を実現するための最適なパラメータは知られていない。
【0005】
[0005]したがって、少なくとも上記の欠点に関連して本開示が提供される。
【発明の概要】
【0006】
[0006]一実施形態では、光学格子構成要素を形成する方法は、基板の上にエッチング停止層を設けることと、エッチング停止層の上に光学格子層を設けることと、光学格子層の上にパターニングされたマスク層を設けることを含み得る。当該方法は、光学格子層及びパターニングされたマスク層をエッチングし、光学格子層内に光学格子を形成することをさらに含み得る。光学格子は、基板の平面に対する垂直線に対して非ゼロ角度の傾斜で配置された複数の角度付けられた構成要素を含み、エッチングは、エッチング停止層においてオーバーエッチの領域を生じさせる。
【0007】
[0007]別の実施形態では、光学格子構成要素を形成する方法は、基板の上にエッチング停止層を設けることと、エッチング停止層の上に光学格子層を設けることと、光学格子層の上にパターニングされたマスク層を設けることを含み得る。当該方法は、光学格子層及びパターニングされたマスク層をエッチングし、光学格子層内に光学格子を形成することをさらに含み得る。光学格子は、基板の平面に対する垂直線に対して非ゼロ角度の傾斜で配置された複数の角度付けられた構成要素を含む。このエッチングは、複数の角度付けられた構成要素間のエッチング停止層においてオーバーエッチの領域を形成する。
【0008】
[0008]さらに別の実施形態では、拡張リアリティ/バーチャルリアリティデバイスを形成するための方法は、基板の上にエッチング停止層を設けることと、エッチング停止層の上に光学格子層を設けることと、光学格子層の上にパターニングされたマスク層を設けることを含み得る。当該方法は、光学格子層及びパターニングされたマスク層をエッチングし、光学格子層内に光学格子を形成することをさらに含み得る。光学格子は、基板の平面に対する垂直線に対して非ゼロ角度の傾斜で配置された複数の角度付けられた構成要素を含む。このエッチングは、複数の角度付けられた構成要素間のエッチング停止層内に凹設されたオーバーエッチの領域を形成する。
【0009】
[0009]添付の図面は、本開示の例示的なアプローチを示しており、これには、以下のような本開示の原理の実際的な適用例が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1A】本開示の実施形態に係る光学格子構成要素の側断面図を示す。
【
図1B】本開示の実施形態に係る、
図1Aの光学格子構成要素の上面図を示す。
【
図2A】本開示の実施形態に係る、概略的な形態で描かれた処理装置を示す。
【
図2B】本開示の実施形態に係る、抽出プレート構成要素及び基板の上面図を示す。
【
図3】本開示の実施形態に係る、光学格子構成要素の光学格子層内に形成された角度付けられた構造体の側断面図を示す。
【
図4】本開示の実施形態に係る、角度付けられた構造体の側壁に対する、選択性入力対出力角度を示すグラフである。
【
図5A-D】本開示の実施形態に係る、光学格子の製造の様々な段階を示す。
【
図6A-B】本開示の実施形態に係る、
図5Dの光学格子構成要素の形成を示す。
【
図7A】本開示の実施形態に係る、様々なイオンビーム角度広がりを示す側断面図である。
【
図7B】本開示の実施形態に係る、
図7Aの様々なイオンビーム角度広がりを用いて形成される複数の角度付けられた構造体を示す側断面図である。
【
図8】本開示の実施形態に係る、処理フローを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0021]図面は、必ずしも縮尺どおりではない。図面は、単なる表現であり、本開示の特定のパラメータを表すことを意図していない。図面は、本開示の例示的な実施形態を示すことが意図されており、したがって、範囲を限定するものと見なすべきではない。図面では、同様の番号が同様の要素を表す。
【0012】
[0022]以下では、幾つかの実施形態が示されている添付の図面を参照して、本実施形態がより完全に説明される。本開示の主題は、多くの異なる形態で具現化され得、本明細書で提示された実施形態に限定されると解釈するべきではない。これらの実施形態が提供されるのは、本開示が網羅的且つ完全となり、当業者に主題の範囲を完全に伝えるためである。図面では、同様の番号は、全体を通して同様の要素を指す。
【0013】
[0023]本明細書で使用されるように、単数形で列挙され、冠詞「a」又は「an」が付いた要素又は動作は、他に示されない限り、複数の要素又は動作を含む可能性があると理解される。さらに、本開示の「一実施形態」又は「幾つかの実施形態」への言及は、列挙された特徴も組み込む追加的な実施形態の存在を含むものとして解釈してよい。
【0014】
[0024]さらに、「約」又は「およそ」といった用語は、幾つかの実施形態では交換可能に使用することができ、当業者によって許容可能な任意の相対的な尺度を使用して説明することができる。例えば、こうした用語は、意図された機能を実現可能な偏差を示すため、基準パラメータとの比較として役立つことができる。非限定的ではあるが、基準パラメータからの偏差は、例えば、1%未満、3%未満、5%未満、10%未満、15%未満、20%未満等の量であり得る。
【0015】
[0025]本明細書の実施形態は、新規な光学構成要素、並びに光学構成要素を形成するためのシステム及び方法を提供する。様々な実施形態は、回折光学素子に関連しており、「光学格子構成要素」という用語は、光学格子を有するデバイス又は部品のことを指しており、これには、AR及びVRヘッドセット、AR及びVR用の接眼レンズ、又は眼鏡などの接眼レンズ用の光学格子を形成するためのマスタが含まれる。
【0016】
[0026]
図1Aは、本開示の実施形態に係る、光学格子構成要素100の側断面図を示す。
図1Bは、光学格子構成要素100の上面図を示す。光学格子構成要素100は、本開示の様々な実施形態に係る、眼鏡上に配置されるか又は眼鏡に一体的に形成される光学格子として使用することができる。光学格子構成要素100は、基板102、及び基板102上に配置された光学格子106を含む。幾つかの実施形態では、基板102は、公知のガラスなどの光学的に透明な材料である。幾つかの実施形態では、基板102はシリコンである。後者の場合、基板102はシリコンであり、別の光学基板(例えば、ガラス又は石英)の表面上の膜に格子パターンを転写するために別のプロセスが使用される。実施形態は、この文脈に限定されない。以下でさらに説明されるように、光学格子106は、光学格子層107内に配置され得る。
図1A及び
図1Bの実施形態では、光学格子構成要素100は、基板102と光学格子層107との間に配置されたエッチング停止層104をさらに含む。本開示の幾つかの実施形態によれば、光学格子層107は、光学的に透明な材料(例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素、ガラス、TiO
2、又は他の材料)であってもよい。
【0017】
[0027]本開示の幾つかの実施形態によれば、光学格子106は、100nmから1000nmの範囲の格子高さHを含み得る。したがって、光学格子106は、AR及びVR装置の接眼レンズに使用するのに適切であり得る。本明細書の実施形態は、この文脈に限定されない。幾つかの実施形態によれば、エッチング停止層104は、光学的に透明な材料であってもよく、10nmから100nmの厚さを有し得る。実施形態は、この文脈に限定されない。エッチング停止層104のための適切な材料の例には、SiN、SiO2、TiN、SiC、及び他の材料が含まれる。光学格子106が眼鏡の接眼レンズに適用されるか又は組み込まれる実施形態で特に適切な材料は、光学的に透明な材料である。光学格子構成要素100が接眼レンズ用の光学格子を製造するためのマスタを形成している実施形態では、エッチング停止層104は、光学的に透明である必要はない。さらに、エッチング停止層104は、幾つかの実施形態では省略されてもよい。
【0018】
[0028]
図1Aにさらに示されるように、光学格子106は、基板102の平面に対する垂直線に対して非ゼロ角度の傾斜で配置された、角度付けられた構造体112として示される複数の角度付けられた構造体を含み得る。角度付けられた構造体112が、傾斜した格子の1つ又は複数のフィールド内に含まれてもよく、傾斜した格子は共に「マイクロレンズ」を形成する。以下でより詳細に説明されるように、各角度付けられた構造112の側壁113及び115は、ビーム選択性、ビーム角度広がり、ビーム角度平均値などが修正されるにつれて、角度(例えば、基板102の平面に対する垂直線に対する角度)及び形状が変動し得る。以下でより詳細に説明するように、各角度付けられた構造体112の側壁113及び115は、角度付けられた構造体112と角度付けられた構造体112の上に形成されたマスク層との間の選択性に基づいて、さらに角度が変動し得る。本明細書で使用される選択性は、角度付けられた構造112が形成される光学格子層の1つ又は複数の材料、エッチングイオンの化学的性質、及びツールパラメータ(例えば、ビーム強度、種々のガスの相対圧力、及び温度)の積であり得る。
【0019】
[0029]角度付けられた構造体112の間には、複数のトレンチ114がある。角度付けられた構造体112は、第1の方向に沿って均一又は可変な高さを画定するように配置されてもよい。
図1Aの例では、角度付けられた構造体112は、図示された直交座標系のY軸に平行な方向に沿って均一な高さを画定しており、第1の方向(Y軸)は、基板102の平面、すなわち、X-Y平面に平行である。他の実施形態では、角度付けられた構造体112は、Y軸に平行な方向に沿った可変な高さを画定し得る。
【0020】
[0030]Y方向に沿った光学格子106の幅は、およそ数ミリメートルから数センチメートルであってもよく、格子高さHは、およそ1マイクロメートル以下であってもよい。したがって、格子高さHの変動は、およそ数百ナノメートル以下の範囲であり得る。格子高さH又は深さdの円滑な変化の例としては、格子の互いに隣接する線の間の格子高さH又は深さdの変化が、10%未満、5%未満、又は1%未満である場合が挙げられる。実施形態は、この文脈に限定されない。したがって、接眼レンズの場合、格子高さHは、例えば、ミリメートル単位からセンチメートル単位の長さにわたって、接眼レンズの表面に沿った所与の方向で連続的な且つ急激ではない態様で変動し得る。より具体的には、5mmの距離にわたる格子高さHの50%の変化は、1マイクロメートルのピッチを有する約5x103ラインにわたって格子高さHを連続的に変動させることが伴い得る。この変動には、0.5/5×104又は約0.01%の、互いに隣接する線の相対的高さの平均的な変動が伴う。
【0021】
[0031]ここで
図2Aを参照すると、概略的な形態で描かれた処理装置200が示されている。処理装置200は、例えば、本実施形態の光学格子を生成するために、基板の部分をエッチングするか又は基板上に堆積するための処理装置を表す。処理装置200は、当技術分野で知られている任意の便利な方法によって内部にプラズマ204を生成するためのプラズマチャンバ202を備えた、プラズマベースの処理システムであり得る。図示のように、抽出開孔208を有する抽出プレート206を設けることができ、光学格子層107を反応的にエッチング又は堆積するために、不均一なエッチング又は不均一な堆積を行うことができる(
図1A~
図1B)。例えば、上述の光学格子構造を含む基板102が、処理チャンバ224内に配置される。基板102の基板平面は、図示された直交座標系のX-Y平面によって表されるが、基板102の平面に対する垂直線は、Z軸(Z方向)に沿って延びる。
【0022】
[0032]
図2Aにさらに示されるように、既知のシステムにように、処理チャンバ202と、基板102又は基板プラテン214との間のバイアス供給部220を使用して電圧差が印加されたときに、イオンビーム210が抽出され得る。バイアス供給部220が処理チャンバ224に連結されてもよく、この場合、例えば、処理チャンバ224及び基板102が同じ電位で保持される。
【0023】
[0033]様々な実施形態によれば、イオンビーム210は、垂線線226に沿って抽出されてもよく、又は垂直線226に対する、Φで示される非ゼロ入射角で抽出されてもよい。
【0024】
[0034]イオンビーム210内の複数のイオンの軌道は、互いに平行であってもよく、又は、狭い角度広がり範囲内(例えば、互いに対して10度以内)にあってもよい。他の実施形態では、以下で説明するように、イオンビーム210内の複数のイオンの軌道は、例えば、扇形に、互いに収束又は互いから発散し得る。したがって、Φという値は、個々の軌跡が平均値から数度まで変化する入射角の平均値を表し得る。様々な実施形態では、イオンビーム210は、公知のシステムにおけるように、連続ビームとして、又はパルス化されたイオンビームとして抽出され得る。例えば、バイアス供給部220は、プラズマチャンバ202と処理チャンバ224との間に電圧差をパルス化されたDC電圧として供給するように構成され得る。この場合、電圧、パルス周波数、及びパルス化された電圧のデューティサイクルを個々に調整することができる。
【0025】
[0035]様々な実施形態では、反応性ガスなどのガスを、源222によってプラズマチャンバ202に供給することができる。プラズマ204は、プラズマチャンバ202に供給される核種の厳密な組成に応じて、様々なエッチング種又は堆積種を生成することができる。
【0026】
[0036]様々な実施形態では、イオンビーム210は、
図2Bに示される直交座標系のX方向に沿って延在する長軸を有するリボン反応性イオンビームとして供給され得る。基板102を含む基板プラテン214を、抽出開孔208に対して、ひいては、イオンビーム210に対して、走査方向230に沿って走査することによって、イオンビーム210は、基板102をエッチングし、又は基板102上に堆積し得る。イオンビーム210は、不活性ガスや反応性ガスを含む任意の便利な混合ガスから構成され得、幾つかの実施形態では、他のガス種と共に供給され得る。特定の実施形態では、イオンビーム210及び他の反応種は、エッチングレシピとして基板102へ供給され得る。これにより、光学格子層107のような層の指向性の反応性イオンエッチングが行われる。当技術分野で知られているように、このようなエッチングレシピは、材料(例えば、酸化物又は他の材料)をエッチングするために、既知の反応性イオンエッチング化学を使用し得る。他の実施形態では、イオンビーム210は、不活性種から形成されてもよい。この場合、基板102がイオンビーム210に対して走査される際に、イオンビーム210は、物理的スパッタリングによって基板102(より具体的には、光学格子層107)をエッチングするために供給される。
【0027】
[0037]
図2Bの例では、イオンビーム210は、X方向に沿ったビーム幅まで延びるリボン反応性イオンビームとして供給される。ここで、ビーム幅は、基板102の全幅を露出するのに十分であり、X方向に沿った最も広い部分でさえも露出するのに十分である。例示的なビーム幅は、10cm、20cm、30cm、又はそれ以上の範囲であり得るが、Y方向に沿った例示的なビーム長は、2mm、3mm、5mm、10mm、又は20mmの範囲であり得る。実施形態は、この文脈に限定されない。
【0028】
[0038]とりわけ、走査方向230は、Y方向に沿った2つの対向(180度)方向における基板102の走査、又は単に左方向への走査若しくは右方向への走査を表し得る。
図2Bに示すように、イオンビーム210の長軸は、走査方向230に対して垂直に、X方向に沿って延在する。したがって、基板102の走査が、走査方向230に沿って、基板102の左側から右側へと適切な長さで行われるとき、基板102全体がイオンビーム210に露出され得る。
【0029】
[0039]様々な実施形態では、以下に詳述するように、角度、厚さ、及び深さなどの特徴が変動する光学格子層を形成するために処理装置200を使用することができる。格子の特徴は、処理レシピを使用して、基板102をイオンビーム210に対して走査することによって達成することができる。簡潔に言えば、処理レシピには、プロセスパラメータのセットのうちの少なくとも1つのプロセスパラメータを変更することが伴い得る。プロセスパラメータは、例えば、基板102の走査中にイオンビーム210によって引き起こされるエッチング速度又は堆積速度などを変更する効果を有する。このようなプロセスパラメータは、基板102の走査速度、イオンビーム210のイオンエネルギー、パルス化されたイオンビームとして供給されるときのイオンビーム210のデューティサイクル、イオンビーム210の広がり角度、及び基板102の回転位置を含み得る。本明細書の少なくとも幾つかの実施形態では、処理レシピは、光学格子層107の1つ又は複数の材料、及びエッチングイオン130の化学的性質をさらに含み得る。さらに他の実施形態では、処理レシピには、寸法とアスペクト比を含む光学格子層107の開始ジオメトリ、及びエッチング停止層104の存在(エッチング停止層104内へのアンダーエッチング又はオーバーエッチングが意図されているかどうかを含む)が含まれ得る。実施形態は、この文脈に限定されない。イオンビーム210によって引き起こされる堆積速度又はエッチング速度は、基板102の走査中に変化し得るので、光学格子層107の厚さ又は高さは、走査方向(Y軸)に沿って変動する場合があり、(以下に詳述する、さらなる処理動作の後に)
図1Aに示される結果として生じる構造が生成される。
【0030】
[0040]次に、
図3を参照して、本明細書の実施形態のエッチング処理によって光学格子層107内に形成されたフィン又は角度付けられた構造体112のセットの例について、より詳細に説明する。固有の位置、形状、三次元配向等を有する角度付けられた構造体112を製造するために、上述のエッチング処理のいずれかによって角度付けられた構造体112を形成することができる。幾つかの実施例では、エッチング処理は、角度付けられた構造体112のセットの任意の格子パラメータ、すなわち、ピッチ、マスク層108の厚さ、フィンの高さ、フィン厚さ(CD)、コーナー半径β及びα、エッチング停止層104内へのオーバーエッチ、ヒーリング、第1の側壁角度ρ、第2の側壁角度θ、及びフーチングのいずれかを制御又は修正することが可能である。
【0031】
[0041]選択性の入力角度ρと出力角度θとの間の関係は、
図4のグラフ250に示されている。例示的な実施形態では、選択性を高めることによって、第1の側壁の角度ρ及び第2の側壁の角度θがより平行になる。理論的な実施例では、選択性は50になるように最適に選択され、したがって、それぞれの角度付けられた構成要素に対して平行な又はほぼ平行な側壁が設けられる。図示するように、S>10の場合、第1の側壁の角度ρと第2の側壁の角度θは、概して平行になる。
【0032】
[0042]
図5Aから5Dの実施形態は、種々の選択性値(S)を有する様々な光学格子構成要素を示す。例えば、
図5Aの光学格子構成要素300AについてはS=2、
図5Bの光学格子構成要素300BについてはS=5、
図5Cの光学格子構成要素300CについてはS=10、
図5Dの光学格子構成要素300DについてはS=20である。選択性が増加するにつれて、傾斜した構成要素の側壁は、より平行になる。さらに図示されるように、より高い選択性の値により、光学格子層307のそれぞれの角度付けられた構造体の上にマスク層308が残る結果となる。
【0033】
[0043]次に、
図6Aから6Bを参照して、
図5Dの光学格子構成要素300Cの形成をより詳細に説明する。前述のように、光学格子構成要素300Cは、選択性値が20であり得る。図示の非限定的な実施形態では、高選択性マスク層308と平行エッチング(低BAS)を組み合わせることにより、各フィン312の第1の側壁341と第2の側壁342とが平行又はほぼ平行となる。さらに、より高い選択性は、処理全体にわたるマスク層308の存在により、各フィン312の間にオーバーエッチ350の領域(
図6B)を形成することを可能にする。図示の実施例では、光学格子構成要素300Cには、エッチングイオンを用いた処理が施され、エッチングイオンが、光学格子層307内にトレンチ314を形成させる。
図6Aは、部分的にエッチングされた状態の光学格子構成要素300Cを示す。アンダーエッチにより、各フィン312に沿ってヒーリング(healing)343及びフーチング(footing)345が存在する。
図6Bは、追加のエッチングサイクルの完了後の光学格子構成要素300Cを示す。この処理段階では、各フィン312に沿ったヒーリング343及びフーチング345は、除去されるか又は実質的に低減される。幾つかの実施形態では、ハードマスク及び反応性イオンビームの化学的性質は、>~20:1の材料選択性(例えば、マスク層308対光学格子層307)と組み合わされて、第1の側壁341及び第2の側壁342を平行又は実質的に平行に形成するように選択される。
【0034】
[0044]
図6Bに示すように、マスク層308が光学格子層307の上に残り、複数のトレンチ314がエッチング停止層304内に形成される。言い換えると、エッチングイオンは、エッチング停止層304内に凹設されたオーバーエッチ350の領域を形成し得る。これにより、第1の側壁341の角度θと第2の側壁342の角度ρがより平行になり、各フィン312のヒーリング343及びフーチング345(
図6A)が低減されるか、又はなくなる。幾つかの実施形態では、第1の側壁341の角度θ及び第2の側壁342の角度ρは、オーバーエッチ350の領域に起因して、互いに等しいか、又はほぼ等しい。しかしながら、他の実施形態では、第1の側壁341の角度θと第2の側壁342の角度ρとは等しくない。
【0035】
[0045]光学格子構成要素300Cは、エッチングイオンによって形成され得る。エッチング化学物質は、エッチングイオン及び他の非イオン種を含んでもよく、マスク層308ではなく光学格子層307を選択的にエッチングするための公知の反応性イオンエッチング組成に従って選択されてもよい。例えば、エッチング化学物質は、一例では、炭素に対してSiO2を選択的にエッチングするように選択されてもよい。他の実施形態では、エッチング化学物質及びエッチング角度は、光学格子層307及びマスク層308の両方を選択的にエッチングするために、公知の反応性イオンエッチング組成に従って選択され得る。さらに他の実施形態では、エッチング化学物質及びエッチング角度は、マスク層308よりも高い速度で光学格子層307を選択的にエッチングするために、公知の反応性イオンエッチング組成に従って選択され得る。
【0036】
[0046]エッチングイオンは、リボン反応性イオンビームとして設けられ得る。この場合、リボン反応性イオンビームのイオン軌道は、エッチング停止層304の上面344に対する非ゼロ角度の傾斜を画定する。非ゼロ入射角は、既知の技法(例えば、抽出開孔208に隣接するビームブロッカを使用すること、Y軸に沿って抽出開孔幅を調整すること、及びガス圧力を含むプラズマ204内のプラズマ条件を調整して、抽出開孔208に近接するプラズマシース境界228の曲率を変化させること)に従って生成されてもよい。
【0037】
[0047]別の実施形態では、
図7Aに示すように、光学格子構成要素400に衝突するイオンビーム角度広がり(BAS)及び/又はビーム角度平均が変動し得る。例えば、エッチングイオン430Aによって表される指向性の反応性イオンエッチングは、発散ビーム広がりであってもよいが、エッチングイオン430Bによって表される指向性の反応性イオンエッチングは、収束ビーム広がりであってもよい。
図7Bに示されるように、BASを収束性又は発散性のいずれかに変動させることによって、各フィン412の第1の側壁441及び第2の側壁442は、湾曲状又は凹状となり得る。幾つかの実施形態では、各フィン412の中央部445は、上部446及び下部447のそれぞれよりも(例えば、+-y方向で)狭い。BASを増加させることにより、各フィン412の曲率が大きくなり得る。他の実施形態では、BASを過剰に増加させ、さらにエッチング停止層404のオーバーエッチを選択することにより、過剰に湾曲したフィン、及び/又は下部に沿って薄くなったフィンが生じる可能性がある。したがって、BAS及びオーバーエッチは、処理レシピの一部として共に選択されるときに最適化される。
【0038】
[0048]本開示のさらなる実施形態によれば、複数の光学格子の製造は、上述した光学格子層の処理の変形例を行うことによって容易に達成することができる。幾つかの実施形態では、複数の光学格子領域が、1つの又は複数の基板において予めパターン化されてもよく、ここでは、1つの又は複数の基板は、基板プラテン214上に配置される(
図2A~2B)。特定の実施形態では、ある光学格子フィールドにおける角度付けられたフィーチャの方向が別の光学格子フィールドと異なる、複数の異なる光学格子フィールドを有する基板を製造することができる。背景として、複数の異なる光学格子が透明接眼レンズ上に配置されて「マイクロレンズ」を形成する場合、既知のAR接眼レンズが形成され得る。第1の光学格子は、接眼レンズの上部から下部へと配向された角度付けられた構造体を有し得るが、第2の光学格子は、接眼レンズの左から右へと配向された角度付けられた構造体を有し得る。
【0039】
[0049]上記の実施形態は、光学格子を直接接眼レンズにおいて形成することに関連してほとんど詳述されているが、他の実施形態では、同じ格子構造を使用して、マスタを形成することができる。言い換えると、エッチング停止層及びマスク層の有無にかかわらず、光学格子構成要素、又はSiウエハなどの同様の格子構成要素は、接眼レンズ上の光学格子層に格子パターンをインプリントするマスタ又は接眼レンズに適用するマスタとして機能し得る。特に、光学格子構成要素がマスタとして機能する実施形態では、基板、エッチング停止層(含まれる場合)、及び光学格子層は、光学的に透明である必要はない。
【0040】
[0050]さらに、前述の実施形態は、処理を実行するためのリボン反応性イオンビーム、及び角度付けられたエッチングに注目しているが、様々な実施形態では、ビーム(例えば、ラジカルビーム)を使用して、エッチングを実行することができる。
【0041】
[0051]さらに、本明細書の実施形態は、コンピュータ実装型であってもよい。例えば、処理装置200は、論理演算、計算タスク、制御機能などを実行するコンピュータプロセッサを含み得る。幾つかの実施形態では、コンピュータプロセッサは、プロセッサの構成要素であり得る。コンピュータプロセッサは、1つ又は複数のサブシステム、構成要素、モジュール、及び/又は他のプロセッサを含んでもよく、様々な論理構成要素を含んでもよい。この様々な論理構成要素は、クロック信号を使用して、データをラッチし、論理状態を前進させ、計算及び論理動作を同期させ、且つ/又は他のタイミング機能を提供するように動作可能である。動作中、コンピュータプロセッサは、LAN及び/又はWAN(例えば、T1、T3、56kb、X.25)、広帯域接続(ISDN、フレームリレー、ATM)、無線リンク(802.11、Bluetooth等)などを介して送信される信号を受信し得る。幾つかの実施形態では、信号は、例えば、信頼できる鍵ペア暗号化を使用して暗号化され得る。種々のシステムは、種々の通信経路(例えば、イーサネット又はワイヤレスネットワーク、直列接続又は並列接続、USB、Firewire(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、又はその他の固有インターフェース)を使用して情報を送信することができる。(Firewireは、Apple Computer, Inc.の登録商標であり、Bluetoothは、Bluetooth Special Interest Group(SIG)の登録商標である)。
【0042】
[0052]概して、コンピュータプロセッサは、メモリユニット及び/又は記憶システムに記憶されたコンピュータプログラム指令又はコードを実行する。例えば、コンピュータプログラム指令を実行すると、コンピュータプロセッサは、処理装置200に入力(例えば、本明細書に記載された処理パラメータのいずれか)を受信させ、コンピュータプロセッサから出力を提供させる。幾つかの実施形態では、コンピュータプロセッサは、処理レシピを実行且つ運用して、光学格子構成要素100、300、及び400を形成する。
【0043】
[0053]コンピュータプログラムコードを実行する間、コンピュータプロセッサは、メモリユニット及び/又は記憶システムからデータを読み取り、且つ/又はそれらにデータを書き込むことができる。記憶システムは、VCR、DVR、RAIDアレイ、USBハードドライブ、光ディスクレコーダ、フラッシュ記憶デバイス、並びに/又はデータを格納及び/若しくは処理するための任意の他のデータ処理素子及び記憶素子を含み得る。図示されていないが、処理装置200は、さらにコンピュータインフラストラクチャの1つ又は複数のハードウェアコンポーネントと通信するI/Oインターフェースを含んでもよく、それにより、ユーザが、処理装置200(例えば、キーボード、ディスプレイ、カメラ等)と相互作用することが可能になる。
【0044】
[0054]ここで
図8を参照すると、本開示の実施形態に係る方法500が、より詳細に説明される。具体的には、ブロック502では、基板が設けられる。幾つかの実施形態では、基板はシリコンである。他の実施形態では、基板は、ガラスなどの透明な材料であってもよい。
【0045】
[0055]ブロック504では、エッチング停止層が基板の上に設けられる。エッチング停止層は、光学的に透明な材料であってもよく、10nmから100nmの厚さを有し得る。実施形態は、この文脈に限定されない。エッチング停止層のための適切な材料の例には、SiN、SiO2、TiN、SiC、及び他の材料が含まれる。光学格子が眼鏡の接眼レンズに適用されるか又は組み込まれる実施形態で特に適切な材料は、光学的に透明な材料である。光学格子構成要素が接眼レンズ用の光学格子を製造するためのマスタを形成している実施形態では、エッチング停止層は、光学的に透明である必要はない。
【0046】
[0056]ブロック506では、光学格子層がエッチング停止層の上に配置される。幾つかの実施形態では、光学格子層は、光学的に透明な材料(酸化ケイ素、窒化ケイ素、ガラス、又は他の材料を含むが、これらに限定されない)を含み得る。
【0047】
[0057]ブロック508では、マスク層が、光学格子層上に配置される。幾つかの実施形態では、マスクは線形パターンを含む。線形パターンは、第2の方向に沿って、第1の方向に対して垂直に、又は走査方向に沿って延びる線形マスク要素を有してもよい。他の実施形態では、マスクは非線形パターンを含む。例えば、マスキングパターンは、1つ又は複数の湾曲要素を含んでもよい。
【0048】
[0058]ブロック510では、光学格子が光学格子層内に形成される。幾つかの実施形態では、光学格子は、基板の平面に対する垂直線に対して非ゼロ角度の傾斜で配置された複数の角度付けられた構成要素を含み、エッチングは、エッチング停止層において形成されるオーバーエッチの領域を生じさせる。
【0049】
[0059]ブロック512では、オーバーエッチの領域は、複数の角度付けられた構成要素間のエッチング停止層内に凹設される。幾つかの実施形態では、それぞれの角度付けられた構成要素の第1の側壁の第1の角度及び第2の側壁の第2の角度は、互いに平行又はほぼ平行であり得る。さらに、エッチング停止層内にオーバーエッチの領域を形成することにより、光学格子のそれぞれの角度付けられた構成要素の底部に沿ったヒーリング及びフーチングが低減するか、又はなくなる。
【0050】
[0060]要約すると、本明細書に記載される様々な実施形態は、AR及びVR用の接眼レンズを含む光学格子構成要素を形成するためのアプローチ、又はAR及びVR接眼レンズ用の光学格子を形成するためのマスタを提供する。基板及び/又はパターンを対象の基板に転写するために使用されるマスクの上に角度付けられたイオンを直接印加することによって、製造が実現し得る。後続の処理(例えば、ナノインプリントリソグラフィ(NIL))にとって、望ましくない形状が幾つかあるので、本実施形態の第1の技術的利点は、後処理の最適化を含む。第2の技術的利点は、光学格子の形状及びサイズの最適化であり、これは、光学的な「湾曲」力につながる。本明細書の実施形態に係る2次元投影システムには、より複雑で、多数の、分散された光学が伴う。
【0051】
[0061]本開示は、本明細書に記載された特定の実施形態によって範囲が限定されるべきではない。実際のところ、本明細書に記載された実施形態に加えて、本開示の他の様々な実施形態及び本開示の変形例は、当業者であれば、上述の説明及び添付図面から明らかであろう。したがって、このような他の実施形態及び変形例は、本開示の範囲内に含まれることが意図されている。さらに、本明細書において、本開示は、特定の目的の特定の環境における特定の実装形態に関連して説明されてきた。当業者は、有用性がこれに限定されることなく、本開示は、任意の数の目的のために任意の数の環境において有益に実施され得ることを認識するであろう。したがって、以下に提示される特許請求の範囲は、本明細書に記載される本開示の全範囲及び精神の観点から解釈するべきである。