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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-31
(45)【発行日】2023-06-08
(54)【発明の名称】塗装装置
(51)【国際特許分類】
   B05C 11/10 20060101AFI20230601BHJP
   B05B 3/02 20060101ALI20230601BHJP
   B05B 5/04 20060101ALI20230601BHJP
【FI】
B05C11/10
B05B3/02 L
B05B5/04 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021574382
(86)(22)【出願日】2020-01-30
(86)【国際出願番号】 JP2020003534
(87)【国際公開番号】W WO2021152794
(87)【国際公開日】2021-08-05
【審査請求日】2021-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】519190746
【氏名又は名称】エービービー シュヴァイツ エージー
【氏名又は名称原語表記】ABB Schweiz AG
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 6, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100097490
【弁理士】
【氏名又は名称】細田 益稔
(74)【代理人】
【識別番号】100113354
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 総
(72)【発明者】
【氏名】寺田 勝
(72)【発明者】
【氏名】小川 拓海
(72)【発明者】
【氏名】野村 真也
【審査官】河内 浩志
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-001155(JP,A)
【文献】特開2015-054311(JP,A)
【文献】特開平10-216605(JP,A)
【文献】特開2008-207120(JP,A)
【文献】特開2001-239190(JP,A)
【文献】特開2000-202338(JP,A)
【文献】特開2018-094630(JP,A)
【文献】特開2004-138627(JP,A)
【文献】特開2013-238161(JP,A)
【文献】特開昭54-005488(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 7/00-21/00
B05B 1/00- 3/18
5/00- 5/16
7/00- 9/08
12/00-12/14
13/00-13/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗装対象に向かって塗料を出力する塗料出力部と、
前記塗料が流れる配管と、
前記配管の外部に配置され、前記配管中の前記塗料の流量を測定する流量計と、
前記流量計の測定結果に基づき、前記塗料の状態が正常であるか否かを判定する判定部と、
を備え、
前記配管が、前記塗料を前記塗料出力部の内部に導入する導入配管を有し、
前記塗料出力部が、
前記導入配管に接続され、空気により回転するエアモータと、
前記導入配管に接続され、前記塗料を前記エアモータに与えるか否かを切り替えるバルブと、
を有し、
前記流量計が、前記導入配管の外部に配置され、かつ前記エアモータと前記バルブとの間に配置され、
前記判定部が、前記塗料の流量が正常であるか否かを判定する塗装装置。
【請求項2】
塗装対象に向かって塗料を出力する塗料出力部と、
前記塗料が流れる配管と、
前記配管の外部に配置され、前記配管中の前記塗料の流量を測定する流量計と、
前記流量計の測定結果に基づき、前記塗料の状態が正常であるか否かを判定する判定部と、
を備え、
前記塗料が、主剤、硬化剤、および前記主剤と前記硬化剤との混合物であり、
前記配管が、
前記塗料を前記塗料出力部の内部に導入する導入配管と、
前記主剤が流れる主剤配管と、
前記硬化剤が流れる硬化剤配管と、
を有し、
前記導入配管と、前記主剤配管と、前記硬化剤配管とが接続され、
前記流量計が、前記主剤配管の外部に配置されたものと、前記硬化剤配管の外部に配置されたものとを有し、
前記判定部が、前記主剤配管の外部に配置された前記流量計の測定結果と、前記硬化剤配管の外部に配置された前記流量計の測定結果とに基づき、前記塗料における前記主剤と前記硬化剤との混合比が正常であるか否かを判定する塗装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の車体などを塗装する塗装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車の車体などを色替えしながら塗装する塗装装置が知られている(例えば、特許文献1の要約を参照)。このような塗装装置には、塗料が通過する配管が設けられている。また、塗料の流量は想定して、塗装を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-344889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、塗料の流量を想定しても、実際の塗料の流量とは異なる場合もある。このような場合、塗料の流量が異常となり、ひいては塗装に不具合が生じる場合もある。
【0005】
そこで、本発明は、塗装装置における塗料の状態(流量など)が正常か否かを判定することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる塗装装置は、塗装対象に向かって塗料を出力する塗料出力部と、前記塗料が流れる配管と、前記配管の外部に配置され、前記配管中の前記塗料の流量を測定する流量計と、前記流量計の測定結果に基づき、前記塗料の状態が正常であるか否かを判定する判定部とを備えるように構成される。
【0007】
上記のように構成された塗装装置によれば、塗料出力部が、塗装対象に向かって塗料を出力する。配管には、前記塗料が流れる。流量計が、前記配管の外部に配置され、前記配管中の前記塗料の流量を測定する。判定部が、前記流量計の測定結果に基づき、前記塗料の状態が正常であるか否かを判定する。
【0008】
なお、本発明にかかる塗装装置は、前記配管が、前記塗料を前記塗料出力部の内部に導入する導入配管を有するようにしてもよい。
【0009】
なお、本発明にかかる塗装装置は、前記塗料出力部が、前記導入配管に接続され、空気により回転するエアモータと、前記導入配管に接続され、前記塗料を前記エアモータに与えるか否かを切り替えるバルブと、を有し、前記流量計が、前記導入配管の外部に配置され、かつ前記エアモータと前記バルブとの間に配置され、前記判定部が、前記塗料の流量が正常であるか否かを判定するようにしてもよい。
【0010】
なお、本発明にかかる塗装装置は、前記流量計が、前記導入配管に接続されている接続要素の上流側および下流側に配置されており、かつ前記導入配管の外部に配置され、前記判定部が、前記上流側に配置された前記流量計の測定結果と、前記下流側に配置された前記流量計の測定結果との比較結果に基づき、前記塗料の流量が正常であるか否かを判定するようにしてもよい。
【0011】
なお、本発明にかかる塗装装置は、前記導入配管に接続され、空気により回転するエアモータを備え、前記接続要素が、前記塗料を前記エアモータに与えるか否かを切り替えるバルブであるようにしてもよい。
【0012】
なお、本発明にかかる塗装装置は、前記接続要素が、前記導入配管と前記塗料出力部とを連結する継手であるようにしてもよい。
【0013】
なお、本発明にかかる塗装装置は、前記接続要素が、前記塗料出力部へ前記塗料を送り出すポンプであるようにしてもよい。
【0014】
なお、本発明にかかる塗装装置は、前記配管が、前記導入配管に色替えバルブを介して接続され、前記塗料の色ごとに設けられた接続配管を有するようにしてもよい。
【0015】
なお、本発明にかかる塗装装置は、前記流量計が、前記接続配管に接続されている接続要素の上流側および下流側に配置されており、かつ前記接続配管の外部に配置され、前記判定部が、前記上流側に配置された前記流量計の測定結果および前記下流側に配置された前記流量計の測定結果の一方または双方に基づき、前記塗料の流量が正常であるか否かを判定するようにしてもよい。
【0016】
なお、本発明にかかる塗装装置は、前記接続要素が、前記色替えバルブであるようにしてもよい。
【0017】
なお、本発明にかかる塗装装置は、前記塗料が、主剤、硬化剤、および前記主剤と前記硬化剤との混合物であり、前記配管が、前記塗料を前記塗料出力部の内部に導入する導入配管と、前記主剤が流れる主剤配管と、前記硬化剤が流れる硬化剤配管と、を有し、前記導入配管と、前記主剤配管と、前記硬化剤配管とが接続され、前記流量計が、前記主剤配管の外部に配置されたものと、前記硬化剤配管の外部に配置されたものとを有するようにしてもよい。
【0018】
なお、本発明にかかる塗装装置は、前記判定部が、前記主剤配管の外部に配置された前記流量計の測定結果と、前記硬化剤配管の外部に配置された前記流量計の測定結果とに基づき、前記塗料における前記主剤と前記硬化剤との混合比が正常であるか否かを判定するようにしてもよい。
【0019】
なお、本発明にかかる塗装装置は、前記流量計が、前記塗料の流れの方向を検知するようにしてもよい。
【0020】
なお、本発明にかかる塗装装置は、前記判定部が、前記主剤配管の外部に配置された前記流量計の測定結果と、前記主剤配管における前記塗料の流量の設定値との比較結果に基づき、前記塗料の流量が正常であるか否かを判定するようにしてもよい。
【0021】
なお、本発明にかかる塗装装置は、前記判定部が、前記硬化剤配管の外部に配置された前記流量計の測定結果と、前記硬化剤配管における前記塗料の流量の設定値との比較結果に基づき、前記塗料の流量が正常であるか否かを判定するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の第一の実施形態にかかる塗装装置1の正面断面図である。
図2】流量計F1の測定結果(実線)および塗装装置1の塗料の吐出量の設定値(点線)を示す図である。
図3】第二の実施形態にかかる塗装装置1の色替えバルブ40近傍の拡大図である。
図4】色替えバルブ(CCV)40の動作が正常な場合(図4(a))および色替えバルブ(CCV)40の動作が異常な場合(図4(b))における流量計FP1aの測定結果(点線)および流量計FP1bの測定結果(実線)を示す図である。
図5】本発明の第三の実施形態にかかる塗装装置1の正面断面図である。
図6】本発明の第一の実施形態において、ポンプ30のリーク量が大きいときの流量計F1の測定結果(実線)および塗装装置1の塗料の吐出量の設定値(点線)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0024】
第一の実施形態
図1は、本発明の第一の実施形態にかかる塗装装置1の正面断面図である。第一の実施形態にかかる塗装装置1は、判定部2、塗料出力部10、配管(導入配管20)、継手21、ポンプ30、色替えバルブ(CCV)40、流量計F1、F2、F3、F4を備える。
【0025】
塗料出力部10は、塗装対象に向かって塗料を出力する。塗装対象は、例えば、自動車の車体である。塗料出力部10は、リアプレート12、バルブ13、エアモータ14、ベルカップ16を有する。
【0026】
リアプレート12は、塗料出力部10の後方(ベルカップ16とは反対側)に配置されたプレートである。エアモータ14は、圧縮空気によって、高速(例えば3000~150000rpm)で回転することにより、ベルカップ16を回転させる。また、導入配管20から塗料出力部10内に導入された塗料が、リアプレート12およびバルブ13を通過し、エアモータ14の回転軸に沿って、ベルカップ16に与えられる。ベルカップ16は、高速回転することにより、与えられた塗料を霧状にする。霧状になった塗料は、塗装対象に向かい、塗装が行われる。
【0027】
バルブ13は、導入配管20により塗料出力部10に導入された塗料をエアモータ14に与えるか否かを切り替える弁である。
【0028】
配管(導入配管20)には、塗料が流れる。導入配管20は、塗料を塗料出力部10の内部に導入する配管であり、例えば、樹脂チューブである。なお、バルブ13、エアモータ14、継手21およびポンプ30は、導入配管20に接続されている。
【0029】
色替えバルブ40は、複数種類の色の塗料のいずれかを選択して、導入配管20に流すバルブである。
【0030】
流量計F1、F2、F3、F4は、配管(導入配管20)の外部に配置されている(例えば、配管に外接している)。流量計F1、F2、F3、F4は、例えば、レーザを配管内の塗料に照射し、反射されたものの周波数の変動(ドップラー効果)に基づき、配管中の塗料の流速ひいては流量を測定するものである。また、レーザにかえて超音波を用いてもよい。
【0031】
判定部2は、流量計F1、F2、F3、F4の測定結果に基づき、塗料の状態が正常であるか否かを判定する。なお、判定部2は、流量計F1~F4の測定結果を、無線通信によって、流量計から受信する。ただし、判定部2と流量計F1~F4とを通信ケーブルにより接続し、判定部2が、有線通信によって、測定結果を流量計から受信するようにしてもよい。
【0032】
流量計F1は、導入配管20の外部に配置され(例えば、導入配管20に外接している)、かつエアモータ14とバルブ13との間に配置されている。判定部2が、流量計F1の測定結果に基づき、塗料の流量が正常であるか否かを判定する。
【0033】
図2は、流量計F1の測定結果(実線)および塗装装置1の塗料の吐出量の設定値(点線)を示す図である。ただし、図2において、塗料の吐出量の単位はミリリットル/分であり、時間の単位は秒である。バルブ13を開いた時間t0から少し時間が経過すると、流量計F1が配置された導入配管20の位置に塗料が流れはじめ、流量が設定値に近づいていく(流量計F1の測定結果(実線)参照)。そこで、時間t0からある程度時間が経過するか、または流量計F1の測定結果(実線)がほぼ一定になった時点で、設定値と測定結果とを対比し、測定結果が設定値から所定の範囲内(例えば、設定値から±5%以内)であれば、流量が正常であると判定する。なお、判定部2が上記のような判定を行えれば充分ということであれば、塗装装置1は、流量計F1を備えていればよく、流量計F2、流量計F3および流量計F4を備えていなくてもよい。
【0034】
図6は、本発明の第一の実施形態において、ポンプ30のリーク量が大きいときの流量計F1の測定結果(実線)および塗装装置1の塗料の吐出量の設定値(点線)を示す図である。ポンプ30がギヤポンプである場合、ギヤおよびギヤケースの一方または双方の摩耗等により、ポンプ30から塗料が漏れ(リーク)、流量が設定値を大きく超えることがある(例えば、測定結果が、設定値を、設定値の10~20%超える)。このような場合、判定部2は流量が異常であると判定する。さらに、塗装装置1は、このような場合にポンプ30の交換を促す警報を発する警報部を備えるようにしてもよい。
【0035】
ここで、接続要素を、導入配管20に接続されているものと定義すると、バルブ13、継手21およびポンプ30は、接続要素である。継手21は、導入配管20と塗料出力部10とを連結する。ポンプ30は、色替えバルブ(CCV)40から塗料出力部10へ塗料を送り出す。
【0036】
流量計F1、F2、F3、F4は、接続要素(バルブ13、継手21およびポンプ30)の上流側および下流側に配置されており、かつ導入配管20の外部に配置されている(例えば、導入配管20に外接している)。なお、塗料は、上流側から下流側へと流れている。接続要素は、下流側から順に、バルブ13、継手21、ポンプ30と配置されている。なお、バルブ13の下流側にエアモータ14が、ポンプ30の上流側に色替えバルブ40が配置されている。
【0037】
また、流量計F2は、バルブ13と継手21との間に配置されている。流量計F3は、継手21とポンプ30との間に配置されている。流量計F4は、ポンプ30と色替えバルブ40との間に配置されている。
【0038】
すなわち、バルブ13の上流側および下流側に、それぞれ流量計F2および流量計F1が配置されている。継手21の上流側および下流側に、それぞれ流量計F3および流量計F2が配置されている。ポンプ30の上流側および下流側に、それぞれ流量計F4および流量計F3が配置されている。
【0039】
判定部2は、上流側に配置された流量計の測定結果と、下流側に配置された流量計の測定結果との比較結果に基づき、塗料の流量が正常であるか否かを判定する。
【0040】
例えば、流量計F2の測定結果および流量計F1の測定結果を比較し、流量計F1の測定結果が、流量計F2の測定結果から所定の範囲内(例えば、流量計F2の測定結果から±5%以内)であれば、流量が正常であると判定する。もし、流量計F1の測定結果が、流量計F2の測定結果から5%を超えて低いのであれば、バルブ13で塗料漏れが発生していると考えられる。なお、判定部2が上記のような判定を行えれば充分ということであれば、塗装装置1は、流量計F1および流量計F2を備えていればよく、流量計F3および流量計F4を備えていなくてもよい。
【0041】
例えば、流量計F3の測定結果および流量計F2の測定結果を比較し、流量計F2の測定結果が、流量計F3の測定結果から所定の範囲内(例えば、流量計F3の測定結果から±5%以内)であれば、流量が正常であると判定する。もし、流量計F2の測定結果が、流量計F3の測定結果から5%を超えて低いのであれば、継手21で塗料漏れが発生していると考えられる。なお、判定部2が上記のような判定を行えれば充分ということであれば、塗装装置1は、流量計F2および流量計F3を備えていればよく、流量計F1および流量計F4を備えていなくてもよい。
【0042】
例えば、流量計F4の測定結果および流量計F3の測定結果を比較し、流量計F3の測定結果が、流量計F4の測定結果から所定の範囲内(例えば、流量計F4の測定結果から±5%以内)であれば、流量が正常であると判定する。もし、流量計F3の測定結果が、流量計F4の測定結果から5%を超えて低いのであれば、ポンプ30で塗料漏れが発生していると考えられる。なお、判定部2が上記のような判定を行えれば充分ということであれば、塗装装置1は、流量計F3および流量計F4を備えていればよく、流量計F1および流量計F2を備えていなくてもよい。
【0043】
次に、第一の実施形態の動作を説明する。
【0044】
色替えバルブ40を開き、かつポンプ30を作動させることにより、色替えバルブ40から塗料出力部10へと塗料が送り出される。塗料は、導入配管20を流れる。
【0045】
流量計F4および流量計F3の測定結果が、判定部2に送られる。判定部2は、ポンプ30で塗料漏れが発生しているか否かを判定する。流量計F3および流量計F2の測定結果が、判定部2に送られる。判定部2は、継手21で塗料漏れが発生しているか否かを判定する。流量計F2および流量計F1の測定結果が、判定部2に送られる。判定部2は、バルブ13で塗料漏れが発生しているか否かを判定する。さらに、判定部2は、流量計F1の測定結果に基づき、塗料の流量が正常であるか否かを判定する。
【0046】
第一の実施形態によれば、塗装装置1における塗料の状態(導入配管20における流量)が正常か否かを判定することができる。
【0047】
第二の実施形態
第二の実施形態にかかる塗装装置1は、接続要素を、バルブ13、継手21およびポンプ30にかえて、色替えバルブ40とし、色替えバルブ(接続要素)40の上流側および下流側に、それぞれ流量計FP1a~FP6aおよびFP1b~FP6bを配置した点が第一の実施形態と異なる。
【0048】
図3は、第二の実施形態にかかる塗装装置1の色替えバルブ40近傍の拡大図である。第二の実施形態にかかる塗装装置1は、判定部2、塗料出力部10、配管(導入配管20(図1参照)および接続配管P1IN、P1OUT~P6IN、P6OUT(図3参照))、継手21、ポンプ30、色替えバルブ(CCV)40、流量計F1、F2、F3、F4(図1参照)、流量計FP1a、FP1b~FP6a、FP6b(図3参照)を備える。以下、第一の実施形態と同様な部分は、同一の符号を付して説明を省略する。
【0049】
塗料出力部10、導入配管20、継手21、ポンプ30、色替えバルブ(CCV)40、流量計F1、F2、F3、F4は、第一の実施形態と同様であり、説明を省略する。
【0050】
配管(導入配管20および接続配管P1IN、P1OUT~P6IN、P6OUT)には、塗料が流れる。
【0051】
接続配管P1IN、P1OUT、P2IN、P2OUT、P3IN、P3OUT、P4IN、P4OUT、P5IN、P5OUT、P6IN、P6OUTは、導入配管20に色替えバルブ40を介して接続され、塗料の色ごとに設けられている。
【0052】
すなわち、接続配管P1IN、P1OUTは色P1の塗料が流入、流出する配管である。色替えバルブ40が閉じている場合は、色P1の塗料が接続配管P1INから流入し、色替えバルブ40を経由して、接続配管P1OUTへと流出していく。色替えバルブ40が開いている場合は、色P1の塗料が接続配管P1INから流入し、色替えバルブ40を経由して、導入配管20へと流出し、接続配管P1OUTへは流出しない。
【0053】
また、接続配管P2IN、P2OUTは色P2の塗料が流入、流出する配管であり、接続配管P3IN、P3OUTは色P3の塗料が流入、流出する配管であり、接続配管P4IN、P4OUTは色P4の塗料が流入、流出する配管であり、接続配管P5IN、P5OUTは色P5の塗料が流入、流出する配管であり、接続配管P6IN、P6OUTは色P6の塗料が流入、流出する配管である。色替えバルブ40が閉じている場合および開いている場合の塗料の流入および流出の態様は、接続配管P1IN、P1OUTと同様である(ただし、塗料の色は異なる)。ただし、上記は、6色の例であるが、6色以外の場合も考えられる。
【0054】
流量計FP1a、FP1b~FP6a、FP6bは、配管(接続配管P1IN、P1OUT~P6IN、P6OUT)の外部に配置されている(例えば、配管に外接している)。流量計FP1a、FP1b~FP6a、FP6bは、例えば、レーザを配管内の塗料に照射し、反射されたものの周波数の変動(ドップラー効果)に基づき、配管中の塗料の流速ひいては流量を測定するものである。また、レーザにかえて超音波を用いてもよい。
【0055】
流量計FP1aは、接続配管P1INの外部に配置されている(例えば、接続配管P1INに外接している)。流量計FP1bは、接続配管P1OUTの外部に配置されている(例えば、接続配管P1OUTに外接している)。
【0056】
流量計FP2aは、接続配管P2INの外部に配置されている(例えば、接続配管P2INに外接している)。流量計FP2bは、接続配管P2OUTの外部に配置されている(例えば、接続配管P2OUTに外接している)。
【0057】
流量計FP3aは、接続配管P3INの外部に配置されている(例えば、接続配管P3INに外接している)。流量計FP3bは、接続配管P3OUTの外部に配置されている(例えば、接続配管P3OUTに外接している)。
【0058】
流量計FP4aは、接続配管P4INの外部に配置されている(例えば、接続配管P4INに外接している)。流量計FP4bは、接続配管P4OUTの外部に配置されている(例えば、接続配管P4OUTに外接している)。
【0059】
流量計FP5aは、接続配管P5INの外部に配置されている(例えば、接続配管P5INに外接している)。流量計FP5bは、接続配管P5OUTの外部に配置されている(例えば、接続配管P5OUTに外接している)。
【0060】
流量計FP6aは、接続配管P6INの外部に配置されている(例えば、接続配管P6INに外接している)。流量計FP6bは、接続配管P6OUTの外部に配置されている(例えば、接続配管P6OUTに外接している)。
【0061】
ここで、接続要素を、接続配管P1IN、P1OUT~P6IN、P6OUTに接続されているものと定義すると、色替えバルブ(CCV)40が、接続要素である。すると、流量計FP1a、FP1bが、色替えバルブ(CCV)40の上流側および下流側に、それぞれ配置されている。流量計FP2a、FP2bが、色替えバルブ(CCV)40の上流側および下流側に、それぞれ配置されている。流量計FP3a、FP3bが、色替えバルブ(CCV)40の上流側および下流側に、それぞれ配置されている。流量計FP4a、FP4bが、色替えバルブ(CCV)40の上流側および下流側に、それぞれ配置されている。流量計FP5a、FP5bが、色替えバルブ(CCV)40の上流側および下流側に、それぞれ配置されている。流量計FP6a、FP6bが、色替えバルブ(CCV)40の上流側および下流側に、それぞれ配置されている。
【0062】
判定部2は、上流側に配置された流量計の測定結果および下流側に配置された流量計の測定結果の一方または双方に基づき、塗料の流量が正常であるか否かを判定する。
【0063】
すなわち、判定部2は、流量計FP1a、FP1b~FP6a、FP6bの測定結果に基づき、塗料の状態が正常であるか否かを判定する。なお、判定部2は、流量計FP1a、FP1b~FP6a、FP6bの測定結果を、無線通信によって、流量計から受信する。ただし、判定部2と流量計FP1a、FP1b~FP6a、FP6bとを通信ケーブルにより接続し、判定部2が、有線通信によって、測定結果を流量計から受信するようにしてもよい。
【0064】
図4は、色替えバルブ(CCV)40の動作が正常な場合(図4(a))および色替えバルブ(CCV)40の動作が異常な場合(図4(b))における流量計FP1aの測定結果(点線)および流量計FP1bの測定結果(実線)を示す図である。ただし、図4において、塗料の吐出量の単位はミリリットル/分であり、時間の単位は秒である。
【0065】
色替えバルブ(CCV)40の動作が正常な場合は、図4(a)を参照して、色替えバルブ40を閉じている間は、流量計FP1aの測定結果(点線)および流量計FP1bの測定結果(実線)は、同じ値である。しかし、色替えバルブ40を開いてから少し時間が経過すると、流量計FP1bの測定結果(実線)は、0となる。
【0066】
色替えバルブ(CCV)40の動作が異常な場合(例えば、色替えバルブ40が閉じたまま固着して開かない場合)は、図4(b)を参照して、色替えバルブ40を開いても(より正確には、開くための制御信号を色替えバルブ40に送っても)、流量計FP1bの測定結果(実線)は、流量計FP1aの測定結果(点線)と同じ値のままとなる。
【0067】
よって、色替えバルブ40が閉じたまま固着して開かない場合は、流量計FP1bの測定結果に基づいて、または、流量計FP1bの測定結果を流量計FP1aの測定結果と比較して、色替えバルブ40の異常(ひいては、塗料の流量の異常)を判定することができる。
【0068】
また、そもそも、色替えバルブ40が、開く前から異常であれば、流量計FP1aの測定結果(点線)が異常な値をとる。よって、色替えバルブ40が、開く前から異常であれば、流量計FP1aの測定結果に基づいて、色替えバルブ40の異常(ひいては、塗料の流量の異常)を判定することができる。
【0069】
また、そもそも、色替えバルブ40が、開く前から異常であれば、流量計FP1bの測定結果(実線)も異常な値をとる。よって、色替えバルブ40が、開く前から異常であれば、流量計FP1bの測定結果に基づいて、色替えバルブ40の異常(ひいては、塗料の流量の異常)を判定することができる。
【0070】
なお、流量計FP2a、FP2bの測定結果に基づいても、流量計FP3a、FP3bの測定結果に基づいても、流量計FP4a、FP4bの測定結果に基づいても、流量計FP5a、FP5bの測定結果に基づいても、流量計FP6a、FP6bの測定結果に基づいても、上記と同様に、色替えバルブ40の異常(ひいては、塗料の流量の異常)を判定することができる。
【0071】
次に、第二の実施形態の動作を説明する。
【0072】
色替えバルブ40は、閉じられているが、接続配管(例えば、P1INおよびP1OUT)に接続されている部分を開く。すると、色P1の塗料が、導入配管20へと流れ出る。すると、流量計FP1aおよび流量計FP1bの測定結果が、判定部2に送られる。判定部2は、色替えバルブ40の異常(ひいては、塗料の流量の異常)を判定する。
【0073】
第二の実施形態によれば、塗装装置1における塗料の状態(接続配管P1IN、P1OUT~P6IN、P6OUTにおける流量)が正常か否かを判定することができる。
【0074】
第三の実施形態
第三の実施形態にかかる塗装装置1は、主剤配管20mおよび硬化剤配管20hの流量を測定する点が、第一の実施形態と異なる。
【0075】
図5は、本発明の第三の実施形態にかかる塗装装置1の正面断面図である。第三の実施形態にかかる塗装装置1は、判定部2、塗料出力部10、配管(導入配管20、主剤配管20mおよび硬化剤配管20h)、継手21、主剤ポンプ30m、硬化剤ポンプ30h、主剤色替えバルブ40m、硬化剤色替えバルブ40h、バルブ50、ミキサ60、流量計F1、F2、流量計Fm、Fhを備える。以下、第一の実施形態と同様な部分は、同一の符号を付して説明を省略する。
【0076】
塗料出力部10、導入配管20、継手21、流量計F1、F2は、第一の実施形態と同様であり、説明を省略する。ただし、導入配管20を流れる塗料は、主剤と硬化剤との混合物である。
【0077】
主剤色替えバルブ40mは、複数種類の色の塗料(主剤)のいずれかを選択して、主剤配管20mに流すバルブである。硬化剤色替えバルブ40hは、複数種類の色の塗料(硬化剤)のいずれかを選択して、硬化剤配管20hに流すバルブである。
【0078】
主剤配管20mは、主剤が流れる配管である。硬化剤配管20hは、硬化剤が流れる配管である。
【0079】
主剤ポンプ30mは、主剤配管20mに接続されており、主剤色替えバルブ40mからバルブ50へ塗料を送り出す。硬化剤ポンプ30hは、硬化剤配管20hに接続されており、硬化剤色替えバルブ40hからバルブ50へ塗料を送り出す。
【0080】
バルブ50は、導入配管20と、主剤配管20mと、硬化剤配管20hとが接続している部位に設けられた弁である。
【0081】
ミキサ60は、バルブ50と継手21との間に配置され、導入配管20に接続されており、主剤と硬化剤とを混合する。
【0082】
流量計Fmは、主剤配管20mの外部に配置されている(例えば、配管に外接している)。流量計Fmは、例えば、レーザを配管内の塗料に照射し、反射されたものの周波数の変動(ドップラー効果)に基づき、主剤配管20m中の塗料の流速ひいては流量を測定するものである。また、レーザにかえて超音波を用いてもよい。なお、流量計Fmは、主剤配管20m中の塗料の流れの方向を検知できるようなものであってもよい。
【0083】
流量計Fhは、硬化剤配管20hの外部に配置されている(例えば、配管に外接している)。流量計Fhは、例えば、レーザを配管内の塗料に照射し、反射されたものの周波数の変動(ドップラー効果)に基づき、硬化剤配管20h中の塗料の流速ひいては流量を測定するものである。また、レーザにかえて超音波を用いてもよい。なお、流量計Fhは、硬化剤配管20h中の塗料の流れの方向を検知できるようなものであってもよい。
【0084】
判定部2が、主剤配管20mの外部に配置された流量計Fmの測定結果と、硬化剤配管20hの外部に配置された流量計Fhの測定結果とに基づき、塗料における主剤と硬化剤との混合比が正常であるか否かを判定する。なお、判定部2は、流量計Fmおよび流量計Fhの測定結果を、無線通信によって、流量計から受信する。ただし、判定部2と流量計Fmおよび流量計Fhとを通信ケーブルにより接続し、判定部2が、有線通信によって、測定結果を流量計から受信するようにしてもよい。
【0085】
また、判定部2は、主剤配管20mの外部に配置された流量計Fmの測定結果と、主剤配管20mにおける塗料の流量の設定値との比較結果に基づき、塗料の状態が正常であるか否かを判定する。例えば、設定値と測定結果とを対比し、測定結果が設定値から所定の範囲内(例えば、設定値から±5%以内)であれば、流量が正常であると判定する。
【0086】
さらに、判定部2は、硬化剤配管20hの外部に配置された流量計Fhの測定結果と、硬化剤配管20hにおける塗料の流量の設定値との比較結果に基づき、塗料の状態が正常であるか否かを判定する。例えば、設定値と測定結果とを対比し、測定結果が設定値から所定の範囲内(例えば、設定値から±5%以内)であれば、流量が正常であると判定する。
【0087】
次に、第三の実施形態の動作を説明する。
【0088】
主剤色替えバルブ40mを開き、かつ主剤ポンプ30mを作動させることにより、主剤色替えバルブ40mからバルブ50へ塗料(主剤)が送り出される。塗料は、主剤配管20mを流れる。
【0089】
硬化剤色替えバルブ40hを開き、かつ硬化剤ポンプ30hを作動させることにより、硬化剤色替えバルブ40hからバルブ50へ塗料(硬化剤)が送り出される。塗料は、硬化剤配管20hを流れる。
【0090】
バルブ50を開くと、主剤および硬化剤が導入配管20を流れ、ミキサ60により混合され、塗料出力部10に与えられる。
【0091】
流量計Fmおよび流量計Fhの測定結果が、判定部2に送られる。判定部2は、流量計Fmの測定結果および流量計Fhの測定結果の一方または双方に基づき、塗料の状態が正常であるか否かを判定する。
【0092】
第三の実施形態によれば、塗装装置1における塗料(主剤および硬化剤の一方または双方)の状態が正常か否かを判定することができる。
【0093】
なお、本発明の実施形態における塗装装置1は回転霧化型塗装機であるが、エア霧化型塗装機でも、カートリッジ塗装機でもよい。
【符号の説明】
【0094】
1 塗装装置
2 判定部
10 塗料出力部
12 リアプレート
13 バルブ
14 エアモータ
16 ベルカップ
20 導入配管
P1IN、P1OUT~P6IN、P6OUT 接続配管
20m 主剤配管
20h 硬化剤配管
21 継手
30 ポンプ
30m 主剤ポンプ
30h 硬化剤ポンプ
40 色替えバルブ(CCV)
40m 主剤色替えバルブ
40h 硬化剤色替えバルブ
F1、F2、F3、F4 流量計
FP1a、FP1b~FP6a、FP6b 流量計
Fm、Fh 流量計
図1
図2
図3
図4
図5
図6