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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-31
(45)【発行日】2023-06-08
(54)【発明の名称】ファスナーチェーン縫着装置
(51)【国際特許分類】
   D05B 33/00 20060101AFI20230601BHJP
   D05B 35/06 20060101ALI20230601BHJP
【FI】
D05B33/00
D05B35/06
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022063959
(22)【出願日】2022-04-07
(65)【公開番号】P2023020867
(43)【公開日】2023-02-09
【審査請求日】2022-04-25
(31)【優先権主張番号】202110870561.7
(32)【優先日】2021-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】000006828
【氏名又は名称】YKK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095430
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 勲
(72)【発明者】
【氏名】仲田 佳史
(72)【発明者】
【氏名】庄 佳之
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-289313(JP,A)
【文献】特開平06-121888(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111820516(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D05B 33/00
D05B 35/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スライドファスナーのファスナーチェーン(12)を連続的に供給するファスナーチェーン供給部(14)、前記ファスナーチェーン(12)に縫い付けられる複数の生地片(22)を順次連続して供給する生地片供給部(20)、前記ファスナーチェーン(12)に前記生地片(22)を縫い付けるミシン(16)、及び前記ファスナーチェーン(12)に前記生地片(22)が縫い付けられた状態で前記ファスナーチェーン(12)を引き出すファスナーチェーン引出部(50)を備え、
前記生地片供給部(20)と前記ミシン(16)、及び前記ファスナーチェーン引出部(50)は、一台の駆動モータ(30)により駆動され、
前記生地片供給部(20)と前記ファスナーチェーン引出部(50)は、各々無段変速機(32,52)を介して前記駆動モータ(30)により駆動されることを特徴とするファスナーチェーン縫着装置。
【請求項2】
前記駆動モータ(30)は連続的に回転し、前記無段変速機(32,52)が間欠駆動して、前記ミシン(16)により前記ファスナーチェーン(12)に前記生地片(22)を縫い付ける請求項1記載のファスナーチェーン縫着装置。
【請求項3】
前記生地片供給部(20)は、前記駆動モータ(30)により一方の前記無段変速機(32)を介して駆動される供給側プーリ(34)と、前記供給側プーリ(34)により回動する供給側無端ベルト(38)とを備え、
前記生地片(22)は、前記供給側無端ベルト(38)の回動により搬送される請求項1又は2記載のファスナーチェーン縫着装置。
【請求項4】
前記供給側プーリ(34)により回動する前記供給側無端ベルト(38)は、前記供給側無端ベルト(38)を押圧する押圧部材(42)と対向し、
前記生地片(22)は、前記供給側無端ベルト(38)と前記押圧部材(42)により挟持されて前記ミシン(16)に供給される請求項3記載のファスナーチェーン縫着装置。
【請求項5】
前記ファスナーチェーン引出部(50)は、前記駆動モータ(30)により他方の前記無段変速機(52)を介して駆動される引出側プーリ(54)と、前記引出側プーリ(54)と対向した支持部材(60)とを備え、
前記生地片(22)が縫着された前記ファスナーチェーン(12)は、前記引出側プーリ(54)と前記支持部材(60)により挟持されて引き出される請求項3記載のファスナーチェーン縫着装置。
【請求項6】
前記引出側プーリ(54)は、他方の前記無段変速機(52)と引出側無端ベルト(58)により連結されている請求項5記載のファスナーチェーン縫着装置。
【請求項7】
前記生地片供給部(20)の前記供給側プーリ(34)と、前記ファスナーチェーン引出部(50)の前記引出側プーリ(54)は、前記各無段変速機(32,52)を調節して、前記ファスナーチェーン引出部(50)の前記引出側プーリ(54)の回転数が、前記生地片供給部(20)の前記供給側プーリ(34)よりも低く設定されている請求項5又は6記載のファスナーチェーン縫着装置。
【請求項8】
前記ミシン(16)のミシン側プーリ(72)と、前記各無段変速機(32,52)の各駆動プーリ(46,66)は、前記駆動モータ(30)の回転軸に対して、各々無端ベルト(44,64,70)により回転可能に連結されている請求項1又は2記載のファスナーチェーン縫着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スライドファスナーのファスナーチェーンに、衣類用の布等の他の部材を連続的に縫い付けるファスナーチェーン縫着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されている様に、ズボンの前立などの生地片を、スライドファスナーのファスナーチェーンに連続的に縫い付ける縫製機があった。この縫製機は、生地片の補給部とミシンとの間の移送路の、上流側に配された移送部と、その下流側に配された移送速度調節部とを備えている。移送部は、上下に対向して配された駆動ローラ及び支持ローラを有し、この間に生地片を保持して移送している。移送速度調節部の生地片の移送速度は、移送部の生地片の移送速度よりも低く、ミシンの縫製速度は、移送速度調節部の移送速度よりも低く設定されている。これらの速度制御は、各駆動ローラを各々サーボモータにより同期させて送り速度を調節している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-158705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記背景技術の場合、ミシンの駆動速度と、生地片の送り速度、ファスナーチェーンの送り速度を、各部に設けられた複数のサーボモータを各々制御することにより調節しているので、制御が難しく装置の構造も複雑であり、メンテナンス等も難しいという問題もあった。この他、生地片をファスナーチェーンに縫い付ける際、生地片やファスナーチェーンのテープ部の縮みがあり、生地片と生地片との間に隙間が生じる問題もあった。
【0005】
本発明は、上記背景技術の問題点に鑑みてなされたものであり、構造が簡単で確実且つ綺麗な縫製が可能なファスナーチェーン縫着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、スライドファスナーのファスナーチェーンを連続的に供給するファスナーチェーン供給部、前記ファスナーチェーンに縫い付けられる複数の生地片を順次連続して供給する生地片供給部、前記ファスナーチェーンに前記生地片を縫い付けるミシン、及び前記ファスナーチェーンに前記生地片が縫い付けられた状態で前記ファスナーチェーンを引き出すファスナーチェーン引出部を備え、前記生地片供給部と前記ミシン、及び前記ファスナーチェーン引出部は、一台の駆動モータにより駆動され、前記生地片供給部と前記ファスナーチェーン引出部は、各々無段変速機を介して前記駆動モータにより駆動されるファスナーチェーン縫着装置である。
【0007】
前記駆動モータは連続的に回転し、前記無段変速機が間欠駆動して、前記ミシンにより前記ファスナーチェーンに前記生地片を縫い付けるものである。
【0008】
前記生地片供給部は、前記駆動モータにより一方の前記無段変速機を介して駆動される供給側プーリと、前記供給側プーリにより回動する供給側無端ベルトとを備え、前記生地片は、前記供給側無端ベルトの回動により搬送される。
【0009】
前記供給側プーリにより回動する前記供給側無端ベルトは、前記供給側無端ベルトを押圧する押圧用無端ベルト等の押圧部材と対向し、前記生地片は、前記供給側無端ベルトと前記押圧用無端ベルトにより挟持されて前記ミシンに供給される。
【0010】
前記ファスナーチェーン引出部は、前記駆動モータにより他方の前記無段変速機を介して駆動される引出側プーリと、前記引出側プーリと対向した従動ローラ等の支持部材とを備え、前記生地片が縫着された前記ファスナーチェーンは、前記引出側プーリと前記支持部材により挟持されて引き出される。前記引出側プーリは、他方の前記無段変速機と引出側無端ベルトにより連結されている。
【0011】
前記生地片供給部の前記供給側プーリと、前記ファスナーチェーン引出部の前記引出側プーリは、前記各無段変速機を調節して、前記ファスナーチェーン引出部の前記引出側プーリの回転数が、前記生地片供給部の前記供給側プーリよりも低く設定されている。
【0012】
前記ミシンのミシン側プーリと、前記各無段変速機の各駆動プーリは、前記駆動モータの回転軸に対して、各々無端ベルトにより回転可能に連結されている。
【発明の効果】
【0013】
本発明のファスナーチェーン縫着装置は、一台の駆動モータで、生地片供給部、ファスナーチェーン引出部、及びミシンを各々駆動し、簡単な構成であり、装置のメンテナンスも容易なものである。生地片供給部とファスナーチェーン引出部の駆動速度は、各々無段変速機により正確に調節することができ、生地片の供給速度と、ファスナーチェーンの引出速度を各々個別に最適制御することができる。特に、ファスナーチェーン引出部の引出側プーリの回転数を、生地片供給部の供給側プーリよりも僅かに低く設定することにより、生地片とファスナーチェーンの縫製時の縮み吸収し、綺麗に縫製することができ、縫製されたスライドファスナーの生地片間の隙間も空きにくい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態のファスナーチェーン縫着装置の概略斜視図である。
図2】本発明の一実施形態のファスナーチェーン縫着装置の概略正面図である。
図3】本実施形態のファスナーチェーン縫着装置の駆動モータと無段変速機を示す概略平面図である。
図4】本実施形態のファスナーチェーン縫着装置の主要部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。図1図4は本発明の一実施形態のファスナーチェーン縫着装置を示すもので、この実施形態のファスナーチェーン縫着装置10は、ファスナーテープにエレメントが取り付けられたスライドファスナーが長手方向に繋がったファスナーチェーン12を、連続的に供給するファスナーチェーン供給部14を有する。ファスナーチェーン供給部14は、長尺のファスナーチェーン12が図示しないロール等に巻回され、後述するミシン16に対して、上方からファスナーチェーン12を連続的に供給可能に設けられている。ミシン16の近傍には、ファスナーチェーン12の張力を調節して安定に供給するための3個の調節プーリ18を備えている。
【0016】
ミシン16は、上方から供給されるファスナーチェーン12が、下端の調節プーリ18により水平方向に転向された位置の近傍に設けられている。ここでは、ミシン16について、ミシン針やその他の構成を省略する。ミシン16は、送り機構を備えていないもので、後述するファスナーチェーン引出部50により、ファスナーチェーン12が間欠的に引き出されて、後述する生地片22の縫い付け及び移動を繰り返すものである。ミシン16の図示しない針は、ファスナーチェーン12が載せられて水平方向に移動する摺動面17に形成された縫製用針孔17aに貫通して、ファスナーチェーン12と生地片22の縫製が可能に設けられている。
【0017】
生地片供給部20は、例えばファスナーチェーン12に縫い付けられるズボンの前立て部の生地片22を、ミシン16の所定位置に送られたファスナーチェーン12に重なるように、連続的に供給するものである。生地片供給部20は、ミシン16の下方に位置した駆動モータ30に連結され、図示しない多数の生地片22を水平方向に1枚ずつ送り出し、ミシン16側に供給する。
【0018】
生地片供給部20は、無段変速機32を介して駆動される一対の供給側プーリ34と、供給側プーリ34の下方に位置した転向プーリ35、及び無段変速機32に設けられた駆動プーリ36を備える。一対の供給側プーリ34、転向プーリ35、及び無段変速機32に設けられた駆動プーリ36には、供給側無端ベルト38が掛け渡されている。
【0019】
一対の供給側プーリ34はその回転軸が水平面上に配置され、一対の供給側プーリ34間の供給側無端ベルト38も水平面上に位置している。一対の供給側プーリ34間の供給側無端ベルト38の表面に対向して、一対の従動プーリ40間に掛け渡されて、供給側無端ベルト38を押圧する押圧用無端ベルト42が設けられている。
【0020】
生地片供給部20の生地片22の供給方向に対して上流側であって、供給側プーリ34の上流側に近接して、生地片22の生地片送り部24が設けられている。生地片送り部24には、送り用無端ベルト26により駆動される複数の搬入ローラ28が設けられ、搬入ローラ28のうちの、送り方向上流端の搬入ローラ28は、搬入用無端ベルト37を介して搬入モータ33に接続されている。搬入ローラ28の上方には、従動ローラ29が設けられ、搬入される生地片22を押圧挟持可能に対向している。
【0021】
無段変速機32は、駆動モータ30と同軸のモータプーリ31に、供給側駆動ベルト44を介して連結された駆動プーリ46を備える。モータプーリ31と駆動プーリ46間には、供給側駆動ベルト44のテンションを調節する調節プーリ45が設けられている。駆動プーリ36,46は、駆動モータ30から駆動プーリ46に伝達された回転が、無段変速機32内で所定の減速比に減速されて、駆動プーリ36から供給側無端ベルト38に伝達されるように設定されている。無段変速機32には、減速比を手動で調節する調節ハンドル48が設けられている。
【0022】
ファスナーチェーン12の搬送方向のミシン16の下流側には、ファスナーチェーン12に生地片22が縫い付けられた状態で、ファスナーチェーン12を引き出すファスナーチェーン引出部50が設けられている。
【0023】
ファスナーチェーン引出部50も、駆動モータ30に連結され、無段変速機52を介して駆動される一対の引出側プーリ54と、引出側プーリ54の下方に位置したテンション調節用の調節プーリ55、及び無段変速機52に設けられた駆動プーリ56を備える。引出側プーリ54と無段変速機52の駆動プーリ56には、引出側無端ベルト58が掛け渡されている。
【0024】
引出側プーリ54に対向して、従動ローラ60が引出側プーリ54の上方に位置している。従動ローラ60は、レバー62により、引出側プーリ54に圧接する位置と、上方に退避する位置とで上下方向に進退自在に設けられている。
【0025】
無段変速機52も、駆動モータ30と同軸のモータプーリ31に、引出側駆動ベルト64を介して連結された駆動プーリ66を備える。モータプーリ31と駆動プーリ66間には、引出側駆動ベルト64のテンションを調節する調節プーリ65が設けられている。駆動プーリ56,66は、駆動モータ30から駆動プーリ66に伝達された回転が、無段変速機52内で所定の減速比に減速されて、駆動プーリ56から供給側無端ベルト58に伝達されるように設定されている。無段変速機52にも、減速比を手動で調節する調節ハンドル68が設けられている。
【0026】
駆動モータ30の回転軸と同軸に固定されたモータプーリ31には、供給側駆動ベルト44,64が巻回されているとともに、ミシン16側に掛け渡されたミシン用無端ベルト70が巻回されている。ミシン用無端ベルト70は、モータプーリ31とミシン16を駆動するミシン側プーリ72との間に巻回され、ミシン用無端ベルト70の途中には、ミシン用無端ベルト70のテンションを調節する調節プーリ75が設けられている。ミシン側プーリ72には、同軸に操作円盤74が固定され、ミシン16の針の位置等を手動により調節操作可能に設けられている。
【0027】
無段変速機32,52、駆動モータ30等の駆動機構は、生地片供給部20とファスナーチェーン引出部50の側方に位置し、機構を保護する収容ボックス76内に設けられ、保護されている。
【0028】
上記構成により、駆動モータ30は、2つの無段変速機32,52とミシン16に連結され、各々を駆動するもので、生地片供給部20とファスナーチェーン引出部50、及びミシン16は、一台の駆動モータ30により各々所定の動作を行うように構成されている。ここで、モータ30は所定の回転数で連続的に回転し、無段変速機32,52の駆動プーリ46,66は、ミシン16の針の動きに合わせて間欠駆動するように、各々設定されている。
【0029】
次に、この実施形態のファスナーチェーン縫着装置10の動作及び作用について以下に説明する。このファスナーチェーン縫着装置10は、上流側の図示しない生地片搬出装置から生地片送り部24に生地片22が1枚ずつ順次送り込まれ、生地片送り部24の搬入ローラ28と従動ローラ29に1枚の生地片22が挟持されて、搬入ローラ28の回転により生地片22が送られる。
【0030】
送られた生地片22は、生地片供給部20で供給側無端ベルト38と押圧用無端ベルト42間に1枚ずつ挿入される。生地片供給部20は、駆動モータ30の回転により、無段変速機32を介して、所定の回転数で回転する駆動プーリ36により、供給側無端ベルト38が駆動されている。生地片供給部20の生地片22の搬送速度は、無段変速機32と搬入モータ33の回転数の設定により、上流側の生地片送り部24の生地片22の送り速度よりも僅かに低く設定されている。
【0031】
このときファスナーチェーン引出部50でも、同じ駆動モータ30により、無段変速機52を介して、駆動プーリ56が回転し、ファスナーチェーン12のファスナーテープと生地片22を引き出す。このときファスナーチェーン12と生地片22の縫い付けによる縮みを考慮して、駆動プーリ56の回転数を、例えば5%程度駆動プーリ36よりも遅い回転数に設定する。駆動プーリ56の回転により、引出側プーリ54と従動ローラ60により挟持されたファスナーチェーン12は、ミシン16の縫製に同期して生地片22とともに下方摺動ガイド78に沿って下方に摺動し、次工程に向かって引き出される。
【0032】
ファスナーチェーン12と生地片22の縫着時の、駆動モータ30と無段変速機32,52の動作は、駆動モータ30が連続的に回転するとともに、無段変速機32,52は、ミシン16の針の動きに同期して間欠駆動する。間欠駆動は、ミシン16の針がファスナーチェーン12のファスナーテープ及び生地片22に挿入されている期間は動きを停止し、ミシン16の針がファスナーテープと生地片22から抜けると、駆動モータ30により無段変速機32,52が所定の角度だけ回転する。これにより、ミシン16による運針の1ピッチ分だけファスナーチェーン12及び生地片22を移動させ、再び無段変速機32,52が停止し、ミシン16の針がファスナーテープ及び生地片22に挿入される。この動作を繰り返して、ミシン16によりファスナーチェーン12に生地片22が縫い付けられる。
【0033】
この実施形態のファスナーチェーン縫着装置10によれば、一台の駆動モータ30で、生地片供給部20、ファスナーチェーン引出部50、及びミシン16の3箇所を各々駆動し、駆動用のモータの数を最小限とした簡単な構成であり、装置のメンテナンスも容易なものである。しかも、生地片供給部20とファスナーチェーン引出部50の駆動速度は、各々無段変速機32,52により正確に別々に調節することができ、生地片22の供給速度と、ファスナーチェーン12の引出速度を個別に最適制御することができる。特に、ファスナーチェーン引出部50の引出側プーリ54の回転数を、生地片供給部20の供給側プーリ34よりも所定の割合だけ低く設定することにより、生地片22とファスナーチェーン12を綺麗に縫製することができ、縫製されたスライドファスナーの生地片間の隙間も空きにくい。
【0034】
なお、本発明のファスナーチェーン縫着装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、各部材の駆動モータと無段変速機との連結は、無端ベルト以外の動力伝達機構でも良く、無段変速機と供給側プーリや引出側プーリとの連結も無端ベルト以外の動力伝達機構でも良い。また、生地片の供給やファスナーテープの引出ために圧接する押圧用無端ベルトや従動ローラは、ベルトやローラ以外の圧接部材やガイド部材、摺動部材でも良い。
【符号の説明】
【0035】
10 ファスナーチェーン縫着装置
12 ファスナーチェーン
14 ファスナーチェーン供給部
16 ミシン
17 摺動面
17a 縫製用針孔
18,45,55,65,75 調節プーリ
20 生地片供給部
22 生地片
24 生地片送り部
26 送り用無端ベルト
28 搬入ローラ
29,60 従動ローラ
30 駆動モータ
31 モータプーリ
32,52 無段変速機
33 搬入モータ
34 供給側プーリ
35 転向プーリ
36,46,56,66 駆動プーリ
37 搬入用無端ベルト
38 供給側無端ベルト
40 従動プーリ
42 押圧用無端ベルト
44 供給側駆動ベルト
48,68 調節ハンドル
50 ファスナーチェーン引出部
54 引出側プーリ
58 引出側無端ベルト
62 レバー
64 引出側駆動ベルト
70 ミシン用無端ベルト
72 ミシン側プーリ
74 操作円盤
図1
図2
図3
図4