(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-01
(45)【発行日】2023-06-09
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
D06F 33/43 20200101AFI20230602BHJP
D06F 39/08 20060101ALI20230602BHJP
【FI】
D06F33/43
D06F39/08 301B
(21)【出願番号】P 2020036700
(22)【出願日】2020-03-04
【審査請求日】2022-02-18
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】真銅 勝利
(72)【発明者】
【氏名】林 雄希
【審査官】遠藤 邦喜
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-030626(JP,A)
【文献】特開2018-157958(JP,A)
【文献】特開2019-129998(JP,A)
【文献】特開2009-039318(JP,A)
【文献】特開2009-106330(JP,A)
【文献】特開2018-138151(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0194806(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第102628205(CN,A)
【文献】国際公開第2014/016879(WO,A1)
【文献】特開2004-321306(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 33/43
D06F 39/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
前記本体内に垂下防振支持された水槽と、
前記水槽に回転自在に内包された洗濯兼脱水槽と、
前記洗濯兼脱水槽の中央内底部に回転自在に配設され裏面側に複数の下羽根を形成したパルセータと、
前記パルセータおよび前記洗濯兼脱水槽を回転駆動するモータと、
前記水槽に給水する給水弁と、
前記水槽内の水を排水する排水弁と、
前記本体の上部に設けられた上部枠体に配設され運転コースのモードや各種機能を選択して入力する操作手段とその入力情報などを表示する表示手段とを有する操作表示部と、
前記洗濯兼脱水槽の内壁に対向して設けられ、縦長形状に形成された循環水路カバーと、前記洗濯兼脱水槽と前記循環水路カバーにより形成された循環水路と、
前記洗濯兼脱水槽の内底部に形成され前記パルセータの下羽根が収容されるポンプ室と、前記循環水路カバーに形成され、前記パルセータの回転により前記ポンプ室から前記循環水路に達した水が前記洗濯兼脱水槽内に広角的に吐出される吐出部と、
前記モータ、前記給水弁、前記排水弁などの動作を制御し、洗い、すすぎ、脱水の各行程を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、
前記水槽および前記洗濯兼脱水槽をすすぐ槽すすぎコースを実行可能とし、
前記槽すすぎコース
において、所定水位において前記パルセータを
衣類洗濯時のON時間より長いON時間にわたって所定の回転数で回転させ、前記吐出部より水を吐出することで、前記洗濯兼脱水槽の内面をすすぎ、
その後、前記洗濯兼脱水槽を所定の回転数で回転しながら排水することで、前記洗濯兼脱水槽の外面および前記水槽の内面をすすぐようにした洗濯機。
【請求項2】
前記制御手段は、前記槽すすぎコー
スにお
ける前記パルセータの回転駆動
時に、前記パルセータの回転数を回転途中で上昇させるようにした請求項1に記載の洗濯機。
【請求項3】
前記吐出部は、前記循環水路の上部と中部に設けた請求項1または2に記載の洗濯機。
【請求項4】
前記循環水路カバーは、側面カバーと前記側面カバーと連通する上部カバーとで構成され、前記吐出部は、前記側面カバーの上部と、前記上部カバーの左右端部に設けた請求項1または2に記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、洗濯機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、使用水量を抑えて、短時間で槽内を洗う洗濯機を開示する。この洗濯機は、筐体と、前記筐体内に防振支持され、内部に洗濯水を貯留する外槽と、前記外槽内に回転自在に支持され、洗濯物が収容される洗濯兼脱水槽と、前記洗濯兼脱水槽を回転駆動させる駆動装置と、前記洗濯兼脱水槽に洗濯水を供給する給水手段と前記洗濯兼脱水槽の洗濯水を排水する排水手段とを備え、洗い、すすぎ、脱水の各工程の実行を制御する制御手段を備える洗濯機において、前記制御手段は前記洗濯兼脱水槽内を洗浄する槽内洗浄コースを実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、少ない水で、水飛びを防止しつつ、水槽の槽内、洗濯兼脱水槽の槽内・槽外を効果的にすすぐ専用のコースを設けた洗濯機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示における洗濯機は、本体と、本体内に垂下防振支持された水槽と、水槽に回転自在に内包された洗濯兼脱水槽と、洗濯兼脱水槽の中央内底部に回転自在に配設され裏面側に複数の下羽根を形成したパルセータと、パルセータおよび洗濯兼脱水槽を回転駆動するモータと、水槽に給水する給水弁と、水槽内の水を排水する排水弁と、本体の上部に設けられた上部枠体に配設され運転コースのモードや各種機能を選択して入力する操作手段とその入力情報などを表示する表示手段とを有する操作表示部と、洗濯兼脱水槽の内壁に対向して設けられ、縦長形状に形成された循環水路カバーと、洗濯兼脱水槽と循環水路カバーにより形成された循環水路と、洗濯兼脱水槽の内底部に形成されパルセータの下羽根が収容されるポンプ室と、循環水路カバーに形成され、パルセータの回転によりポンプ室から循環水路に達した水が洗濯兼脱水槽内に広角的に吐出される吐出部と、モータ、給水弁、排水弁などの動作を制御し、洗い、すすぎ、脱水の各行程を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記水槽および前記洗濯兼脱水槽をすすぐ槽すすぎコースを実行可能とし、前記槽すすぎコースにおいて、所定水位において前記パルセータを衣類洗濯時のON時間より長いON時間にわたって所定の回転数で回転させ、前記吐出部より水を吐出することで、前記洗濯兼脱水槽の内面をすすぎ、その後、前記洗濯兼脱水槽を所定の回転数で回転しながら排水することで、前記洗濯兼脱水槽の外面および前記水槽の内面をすすぐようにしたものである。
【発明の効果】
【0006】
本開示における洗濯機は、少ない水で、水槽の内面、および、洗濯兼脱水槽の内面、外面を効果的にすすぐ専用のコースを設けることで、清潔感を向上させ、使用者の要求を満足させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】(a)実施の形態1における洗濯機の循環水路の正面図、(b)実施の形態1における洗濯機の循環水路の裏面図
【
図3】実施の形態1における洗濯機の槽すすぎコースの動作フローチャート
【
図5】実施の形態2における洗濯機の循環水路部を正面視した要部断面図
【
図6】実施の形態2における洗濯機の循環水路部の上部水路部のA-A断面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
(本開示の基礎となった知見等)
発明者らが本開示に想到するに至った当時、洗濯権脱水槽の槽内をすすぐ際には、水が接触する部分しかすすげないため、洗濯していた水位やすすぎたいと考えている水位より、すすぐ水位を高く設定する技術があった。これにより多くの水を必要としていた。
【0009】
また、少ない水で洗濯権脱水槽の槽内をすすぐ方法としては、特許文献1のように、排水弁を開いた後、洗濯兼脱水槽を規定の回転数まで略一定時間で加速するとともに、左右両方向に回転させ、給水を洗濯兼脱水槽の停止から回転上昇時、あるいは回転上昇時に行う技術があった。これは、給水時の水の飛び跳ねを利用し、回転数を高くするほど、水の飛び跳ねの位置が高くなることを利用したもので、水の飛び跳ねが洗濯兼脱水槽の槽内に限ることで、洗濯兼脱水槽の外面や水槽の内面はすすげないものであった。そして、水槽の内面、洗濯兼脱水槽の内面、外面を均一にすすぐことが困難であり、ムラができること、内蓋がないと機外への水飛びが発生しやすいこと等の課題を発明者らは発見し、その課題を解決するために、本開示の主題を構成するに至った。
□そこで本開示は、専用のコースとして、少ない水で、水飛びを防止しつつ、水槽の内面、洗濯兼脱水槽の内面、外面を効果的にすすぐことができ、清潔感を向上させ、使用者の要求を満足させることができる洗濯機を提供する。
【0010】
以下、図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が必要以上に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0011】
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0012】
(実施の形態1)
以下、
図1~
図3を用いて、実施の形態1を説明する。
【0013】
[1-1.構成]
[1-1-1.洗濯機の構成]
図1において、洗濯機1の本体2は、内部に複数のサスペンション13によって防振支持した水槽3を設け、脱水時の振動をサスペンション13によって吸収する構成としている。
【0014】
水槽3の内部には、洗濯物を収容する洗濯兼脱水槽7を中空で2重構造とした洗濯・脱水軸4を中心に回転可能に配設し、洗濯兼脱水槽7の内底部に衣類(洗濯物)を攪拌するパルセータ8を回転自在に配設し、底部には排水口25と排水弁26を設けている。そして、水槽3の上部開放部側には、内蓋29が設けられている。
【0015】
洗濯兼脱水槽7は、側壁に多数の脱水孔5を多数設け、上部には脱水振動低減用の環状の流体バランサ6が取り付けられている。また、側壁には複数の循環水路カバー14が設
けられ、循環水路カバー14と洗濯兼脱水槽7の側壁とで、循環水路10が構成されている。パルセータ8が回転することで、洗濯兼脱水槽7内の水は、パルセータ8の裏面に形成した下羽根18の回転による遠心力でポンプ室19から循環水路10を上昇し、洗濯兼脱水槽7の上部に形成した上部吐出口11および中部に形成した中部吐出口12から、洗濯兼脱水槽7内に洗濯液を吐出、散水する。なお、循環水路10周りの構成については、
図2以降で詳述する。
【0016】
モータ9は、水槽3の底部に取り付けられ、クラッチ機構およびブレーキ機構を内蔵しており、洗濯時では洗濯・脱水軸4の脱水軸を制動させ、洗濯・脱水軸4の洗濯軸を駆動しパルセータ8を回転駆動させ、脱水時は脱水軸の制動を解除し、排水弁26を開放し、洗濯兼脱水槽7を回転駆動させるとともに、水槽3内の洗濯液を排水口25から排水弁26を介して機外に排水する。
【0017】
また、上部枠体21は、本体2の上部を覆うもので、略中央部に洗濯物投入口27を覆う開閉蓋28を開閉自在に有し、後部内方には洗濯兼脱水槽7内に給水する給水弁22を設けている。また、上部枠体21には、標準コースや槽すすぎコース等の運転コースのモードや各種機能を選択して入力する操作手段(図示せず)とその入力情報などを表示する表示手段(図示せず)とを有する操作表示部23を設けている。そして、操作表示部23の内方には制御装置24を設けている。
【0018】
制御装置24は、マイクロコンピュータから成る制御手段(図示せず)を具備し、モータ9、給水弁22、排水弁26などを制御するとともに、洗い、すすぎ、脱水の一連の工程を逐次制御するように構成している。
【0019】
[1-1-2.循環水路の構成]
図1において、循環水路カバー14は、洗濯兼脱水槽7の内壁に対向して2ヶ所設けられている。そして、
図2(b)に示すように、循環水路カバー14の裏面には、循環水路10内の水の流れを規定する循環水路リブ15が設けてあり、循環水路リブ15の先端部が、洗濯兼脱水槽7の側壁に当接することで、循環水路10を形成し、この循環水路リブ15の形状を変化させることで、流量をコントロールすることができる。
【0020】
また、
図2(a)、
図2(b)に示すように、循環水路カバー14の上部には、上部吐出口11が形成されており、循環水路カバー14の中部には、中部吐出口12が形成されている。そして、
図1に示すように、パルセータ8の裏面には下羽根18が一体に形成されており、この下羽根18の外周に形成したポンプ室19を循環水路10に連通させている。
【0021】
さらに、上部吐出口11は、両端部の開口幅11bが中央部の開口幅11aより上下方向に広くなっており、中部吐出口12は、両端部の開口幅12bが中央部の開口幅12aより上下方向に広くなっている。これにより、上部吐出口11および中部吐出口12からの吐出水を広角的に吐出させることができ、洗濯兼脱水槽7内の広範囲に渡ってシャワー状に吐出させることができる。
【0022】
[1-2.動作、作用]
以上のように構成した洗濯機において、以下、その動作、作用を説明する。
【0023】
なお、ここで、
図1における水位H1~水位H5を以下の通り設定する。
【0024】
水位H1は、パルセータ8の上縁部が浸かる水位、水位H2は、パルセータ8の上縁部と中部吐出口12の間に位置する水位、水位H3は、中部吐出口12より若干上、すなわ
ち中部吐出口12が浸かる水位、水位H4は、上部吐出口11と中部吐出口12の間に位置する水位、水位H5は、上部吐出口11より若干下の水位としている。
【0025】
通常の洗濯コースにおいては、洗濯物の量によって、水位を設定するが、洗濯物の量が多い場合、水位H5で洗濯を行い、洗濯物の量が中位の場合、水位H4で洗濯を行い、洗濯物の量が少ない場合、水位H3にて洗濯を行う。
【0026】
図3に基づいて、洗濯機1の槽すすぎコースの動作を説明する。
【0027】
図3において、洗濯兼脱水槽7内が空の状態で、操作表示部23に表示されている槽すすぎコース(図示せず)を選択し、スタートボタン(図示せず)を押して、槽すすぎコースをスタートする(ステップS100)。
【0028】
スタートすると、排水弁26が閉じた状態で給水弁22が動作して第1の所定水位(例えば、水位H3)まで給水する(ステップS101)。給水が始まると、給水途中の第2の所定水位(例えば、水位H2)でパルセータ8を回転させ、給水しながら攪拌動作を行う(ステップS102)。ここでは、給水しながら、中部吐出口12から洗濯兼脱水槽7内に向かって散水し、洗濯兼脱水槽7の内面の下部を洗浄してすすいでいる。
【0029】
そして、第1の所定時間(例えば、30秒)が経過すると、パルセータ8の攪拌は停止するが、給水はそのまま継続し(ステップS103)、第1の所定水位になると給水弁22を閉じて、給水を停止する(ステップS104)。
【0030】
次に、パルセータ8による攪拌が始まる(ステップS105)が、パルセータ8が回転すると、洗濯兼脱水槽7内および水槽3内の水は、下羽根18の回転による遠心力でポンプ室19から循環水路10を上昇し、上部吐出口11および中部吐出口12から洗濯兼脱水槽7内に向かって散水される。なお、パルセータ8が停止状態では、中部吐出口12は水中にあるが、パルセータ8が回転することにより、洗濯兼脱水槽7内の水位が下がるため、中部吐出口12は水面上に現れ、中部吐出口12からの吐出水も洗濯兼脱水槽7の内面をすすぎ、洗浄することができる。
【0031】
上部吐出口11および中部吐出口12から水をシャワー状に吐出させ、洗濯兼脱水槽7の内面に広範囲に渡って当てることによって、洗濯兼脱水槽7の内面をきれいに洗浄してすすぐことができる。なお、ON時間が短ければ、掻き揚げられる水量が少なく、吐出口に到達せずに終了してしまうため、パルセータ8の回転駆動時のON時間を長くとることにより、吐出する水量を増加させることが可能であり、ON時間は、実験によると2秒以上が望ましい。また、パルセータ8の回転駆動時の初期においては、水は勢いよく吐出されるが、その後、そのまま連続して回転し続けても、吐出される水の勢いは弱まり、広範囲に吐出し続けることができない。
【0032】
そこで、パルセータ8の回転数を上げることで吐出範囲を狭めることなく連続して吐出することが可能である。パルセータ8の回転数は80r/min~150r/minの範囲が望ましい。一例として、0~0.6秒間で80r/min、0.6秒~2秒で120r/minなどがある。初めから高い回転数で吐出した場合、吐出口が対抗する位置に配置されていた場合に、吐出水同士がぶつかり、内蓋29を設けない洗濯機の場合、水槽3外への水飛びに繋がる危険があり、吐出水がぶつからないように回転数を制御する。
【0033】
パルセータ8による攪拌が第2の所定時間(例えば、1分)行われると、排水弁26が開き、水槽3内の水が機外へ排水される(ステップS106)。
【0034】
また、排水途中の第3の所定水位(例えば、水位H1)において、モータ9が駆動して、排水しながら水と共に洗濯兼脱水槽7が第1の所定回転数(例えば、170r/min)で回転する槽回転を行う(ステップS107)。この槽回転による遠心力にて、水槽3と洗濯兼脱水槽7の間の水位を上昇させ、水槽3の内面および洗濯兼脱水槽7の外面に付着した汚れを洗い流すことができる。水槽3の内面および洗濯兼脱水槽7の外面を洗った水は、水槽3と洗濯兼脱水槽7の間から下へ落ちて、排水口25から排水弁26を介して機外へ排水される。なお、第3の所定水位は、上記のように、例えば、水位H1としたが、水槽3の内面および洗濯兼脱水槽7の外面を洗浄できる水量であればよい。但し、水量が多くなりすぎると、モータ9にかかる負荷が大きくなるので、好ましくない。
【0035】
その後、ブレーキによる反動での水飛びを防止するために、排水弁26を開いたままモータ9を停止して、洗濯兼脱水槽7を惰性回転させ、第2の所定回転数(例えば、35r/min以下)に低下したらブレーキをかける(ステップS108)。
【0036】
そして、洗濯兼脱水槽7内、水槽3内に残る水滴を除去するために、モータ9が駆動して、洗濯兼脱水槽7を第3の所定回転数(例えば、780r/min)で高速回転させ、脱水を行ない(ステップS109)、第3の所定時間(例えば、0.5分)が経過すると、洗濯兼脱水槽7の回転を終了し、槽すすぎコースが終了する(ステップS110)。
【0037】
[1-3.効果等]
以上のように、本実施の形態において、洗濯機1は、本体2と、本体2内に垂下防振支持された水槽3と、水槽3に回転自在に内包された洗濯兼脱水槽7と、洗濯兼脱水槽7の中央内底部に回転自在に配設され裏面側に複数の下羽根を形成したパルセータ8と、パルセータ8および洗濯兼脱水槽7を回転駆動するモータ9と、水槽3に給水する給水弁22と、水槽3内の水を排水する排水弁26と、本体2の上部に設けられた上部枠体21に配設され運転コースのモードや各種機能を選択して入力する操作手段とその入力情報などを表示する表示手段とを有する操作表示部23と、洗濯兼脱水槽7の内壁に対向して設けられ、縦長形状に形成された循環水路カバー14と、洗濯兼脱水槽7と循環水路カバー14により形成された循環水路10と、洗濯兼脱水槽7の内底部に形成されパルセータ8の下羽根が収容されるポンプ室19と、循環水路カバー14に形成され、パルセータ8の回転により19ポンプ室から循環水路10に達した水が洗濯兼脱水槽7内に広角的に吐出される上部吐出口11と、モータ9、給水弁22、排水弁26などの動作を制御し、洗い、すすぎ、脱水の各行程を制御する制御手段と、を備えている。制御手段は、水槽3および洗濯兼脱水槽7をすすぐ槽すすぎコースを実行可能とし、槽すすぎコースは、所定水位においてパルセータ8を所定の回転数で回転させ、上部吐出口11より水を吐出することで、洗濯兼脱水槽7の内面をすすぎ、その後、洗濯兼脱水槽7を所定の回転数で回転しながら排水することで、洗濯兼脱水槽7の外面および水槽3の内面をすすぐようにしたものである。
【0038】
これにより、槽すすぎコースは、所定水位においてパルセータ8を所定の回転数で回転させ、上部吐出口11より水を吐出することで、洗濯兼脱水槽7の内面をすすぎ、その後、洗濯兼脱水槽7を所定の回転数で回転しながら排水することで、洗濯兼脱水槽7の外面および水槽3の内面をすすぐことができる。そのため、専用のコースとして、少ない水で、水飛びを防止しつつ、水槽3の内面、洗濯兼脱水槽7の内面、外面を効果的にすすぐことができ、清潔感を向上させ、使用者の要求を満足させることができる。
【0039】
本実施の形態のように、洗濯機1における制御手段は、槽すすぎコースの所定水位においてパルセータ8を所定の回転数で回転させる際、パルセータ8の回転駆動時のON時間を衣類洗濯時のON時間より長くするとともに、パルセータ8の回転数を回転途中で上昇させるようにしたようにしてもよい。
【0040】
これにより、パルセータ8の下羽根で掻き揚げられたすすぎ水を、ポンプ室19から循環水路10を通して、洗濯兼脱水槽7の内方に吐出する水量を増加させることが可能となる。通常の洗濯時にパルセータ8のON時間を延ばして、洗濯兼脱水槽7の内面をすすぐのは、パルセータ8の回転により衣類が勢いよく回りすぎ、水飛びしやすくなる課題と、すすぐことで浮遊した汚れが衣類に付着してしまうために、通常の洗濯とは分けた槽すすぎコースを持つことが重要である。ON時間が短ければ、掻き揚げられる水量が少なく、上部吐出口11に到達せずに終了してしまうといった現象が発生してしまう。また、パルセータ8の回転駆動時の初期においては、水は勢いよく吐出されるが、その後、そのままパルセータ8を連続して回転し続けても吐出される勢いは弱まり、広範囲に吐出し続けることができない。そこで、パルセータ8の回転数を回転途中で上昇させることで範囲を狭めることなく連続して吐出することが可能となる。なお、初めから高い回転数で吐出した場合、上部吐出口11が対向して設けられているので、吐出水同士がぶつかり、機外への水飛びに繋がる危険があり、回転駆動時は、吐出水がぶつからない回転数に設定し、その後、回転数を上昇させることで、吐出水がぶつからず、また、連続して吐出水を吐出させることができる。
【0041】
本実施の形態のように、洗濯機1における吐出部は、循環水路10の上部に上部吐出口11と中部に設けた中部吐出口12としてもよい。
【0042】
これにより、洗濯兼脱水槽7の内面上部から内面中部と、内面中部から内面下部とをそれぞれすすぐことができるので、内面の上から下の全面にわたってすすぐことができる。そのため、清潔感を向上させ、使用者の要求を満足させることができる。
【0043】
(実施の形態2)
以下、
図4~
図6を用いて、実施の形態2を説明する。
【0044】
[2-1.構成]
[2-1-1.洗濯機の構成]
実施の形態1と同じ構成については、同一符号を付し、説明を省略する。
【0045】
[2-1-2.循環水路の構成]
図4~
図6において、循環水路カバー34は、洗濯兼脱水槽7の内壁に対向して2ヶ所設けられており、洗濯兼脱水槽7内壁部の側面カバー35と、洗濯兼脱水槽7上部で流体バランサ6下面側の上部カバー36で構成されている。そして、この循環水路カバー34で循環水路30が形成されており、循環水路30は側面水路37と、側面水路37と連通し上部カバー36内に形成された上部水路38とで構成されている。
【0046】
そして、パルセータ8の裏面には下羽根18が一体に形成されており、この下羽根18の外周に形成したポンプ室19を循環水路10に連通させている。
【0047】
循環水路カバー14は、全体が略T字形状をしており、側面カバー35は縦長形状で、上部カバー36は横長形状であり、上部カバー36の中央部で側面カバー35の上部には、洗濯兼脱水槽7内を臨むような開口部である中央吐出口31が形成され、中央吐出口31の左右には、開口部である左吐出口32、右吐出口33が形成されている。
【0048】
[2-2.動作、作用]
実施の形態1と同じ動作、作用については、説明を省略する。
【0049】
[2-3.効果等]
以上のように、本実施の形態において、洗濯機1の循環水路カバー34は、側面カバー35と側面カバー35と連通する上部カバー36とで構成され、吐出部は、側面カバー35の上部に設けた中央吐出口31と、上部カバーの左端部に設けた左吐出口32と、右端部に設けた右吐出口33とからなるものである。
【0050】
これにより、洗濯兼脱水槽7の内面の広範囲にわたってすすぐことができるので、内面の全面にわたってすすぐことができる。そのため、清潔感を向上させ、使用者の要求を満足させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本開示は、専用のコースを設けることで、少ない水で、水槽の内面、および、洗濯兼脱水槽の内面、外面を効果的にすすぎ、清潔感を向上させる洗濯機に適用可能である。具体的には、縦型洗濯機、ドラム式洗濯機などに、本開示は適用可能である。
【符号の説明】
【0052】
1 洗濯機
2 本体
3 水槽
4 洗濯・脱水軸
5 脱水孔
6 流体バランサ
7 洗濯兼脱水槽
8 パルセータ
9 モータ
10 循環水路
11 上部吐出口(吐出部)
12 中部吐出口(吐出部)
13 サスペンション
14 循環水路カバー
15 循環水路リブ
18 下羽根
19 ポンプ室
21 上部枠体
22 給水弁
23 操作表示部
24 制御装置(制御手段)
25 排水口
26 排水弁
27 洗濯物投入口
28 開閉蓋
29 内蓋
30 循環水路
31 中央吐出口(吐出部)
32 左吐出口(吐出部)
33 右吐出口(吐出部)
34 循環水路カバー
35 側面カバー
36 上部カバー
37 側面水路
38 上部水路