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特許7289096位置情報取得システム、受信機、管理システム、位置情報取得方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-01
(45)【発行日】2023-06-09
(54)【発明の名称】位置情報取得システム、受信機、管理システム、位置情報取得方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01S 5/02 20100101AFI20230602BHJP
   G01S 5/14 20060101ALI20230602BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20230602BHJP
【FI】
G01S5/02 Z
G01S5/14
G01C21/26 P
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019065090
(22)【出願日】2019-03-28
(65)【公開番号】P2020165736
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2022-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中西 真理
(72)【発明者】
【氏名】松本 一弘
(72)【発明者】
【氏名】柴野 伸之
(72)【発明者】
【氏名】菱川 哲也
【審査官】梶田 真也
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-147536(JP,A)
【文献】特開平09-098474(JP,A)
【文献】特開2018-087810(JP,A)
【文献】特開2018-124258(JP,A)
【文献】特開2016-217931(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0316692(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 5/00 - 5/14
G01S 19/00 - 19/55
G01C 21/00 - 21/36
G01C 23/00 - 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設に設けられて、発信機から発信される無線信号である発信機信号を受信する1以上の受信機と、
前記1以上の受信機の各々と通信可能な管理システムと、
前記発信機から受信した前記発信機信号に基づく前記発信機に固有の固有情報を記憶する記憶部と、を備え、
前記固有情報は、前記発信機信号を発信した前記発信機の識別子と、前記1以上の受信機のうち前記発信機信号を受信した受信機の識別情報と、を少なくとも含み、
前記管理システムは、特定の発信機の所在を検索するための検索入力を受け付けると、前記受信機に対して前記特定の発信機の前記固有情報を要求する要求処理を実行する機能を有し、
前記受信機は、前記管理システムからの要求を受け付けると、前記記憶部に記憶されている前記特定の発信機の前記固有情報を前記管理システムへ送信し、
前記管理システムは、
前記受信機から受信した前記特定の発信機の前記固有情報に含まれる前記受信機の識別情報に基づいて、前記1以上の受信機のうち前記発信機信号を受信した受信機の位置情報である受信位置情報を取得し、
少なくとも前記受信位置情報に基づいて、前記特定の発信機の位置情報である発信位置情報を取得する、
位置情報取得システム。
【請求項2】
前記受信機は、所定の記憶条件を満たした場合に、前記固有情報を前記記憶部に記憶する、
請求項1記載の位置情報取得システム。
【請求項3】
前記所定の記憶条件は、前記発信機が前記管理システムに登録されていることである、
請求項2記載の位置情報取得システム。
【請求項4】
前記受信機は、所定の破棄条件を満たした場合に、前記記憶部に記憶している前記固有情報を破棄する、
請求項1~3のいずれか1項に記載の位置情報取得システム。
【請求項5】
前記所定の破棄条件は、前記記憶部に前記固有情報を記憶した時点から一定時間が経過することである、
請求項4記載の位置情報取得システム。
【請求項6】
前記管理システムは、前記要求処理において、前記発信位置情報の過去の取得結果に基づいて、要求先の前記受信機を決定する、
請求項1~5のいずれか1項に記載の位置情報取得システム。
【請求項7】
前記管理システムは、前記要求処理により前記特定の発信機の前記固有情報を取得できない場合、前記要求処理の結果に基づいて、次回の要求処理における要求先の前記受信機を決定する、
請求項6記載の位置情報取得システム。
【請求項8】
前記管理システムは、前記要求処理において、前記発信位置情報の過去の取得結果が最も多い場所に基づいて、要求先の前記受信機を決定する、
請求項6又は7に記載の位置情報取得システム。
【請求項9】
前記管理システムは、前記要求処理において、前記検索入力を受け付けた時刻に基づいて、要求先の前記受信機を決定する、
請求項8記載の位置情報取得システム。
【請求項10】
前記管理システムは、前記検索入力に依らず前記固有情報を前記管理システムへ送信するように前記受信機の動作を切り替える切替処理を実行する機能を更に有する、
請求項1~9のいずれか1項に記載の位置情報取得システム。
【請求項11】
前記発信機を更に備える、
請求項1~10のいずれか1項に記載の位置情報取得システム。
【請求項12】
管理システムが、特定の発信機の所在を検索するための検索入力を受け付けると、施設に設けられて発信機から発信される無線信号である発信機信号を受信する受信機に対して、前記特定の発信機からの前記発信機信号に基づく前記特定の発信機に固有の固有情報を要求する要求ステップと、
前記管理システムが、前記要求ステップでの要求に応じた前記受信機から受信した前記特定の発信機の前記固有情報に基づいて、前記特定の発信機の位置情報である発信位置情報を取得する取得ステップと、を有し、
前記固有情報は、前記発信機信号を発信した前記発信機の識別子と、1以上の受信機のうち前記発信機信号を受信した受信機の識別情報と、を少なくとも含み、
前記取得ステップでは、前記管理システムが、前記受信機から受信した前記特定の発信機の前記固有情報に含まれる前記受信機の識別情報に基づいて、前記1以上の受信機のうち前記発信機信号を受信した受信機の位置情報である受信位置情報を取得し、少なくとも前記受信位置情報に基づいて、前記発信位置情報を取得する、
位置情報取得方法。
【請求項13】
1以上のプロセッサに、
請求項12記載の位置情報取得方法を実行させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に位置情報取得システム、受信機、管理システム、位置情報取得方法、及びプログラムに関する。より詳細には、本開示は、発信機の位置情報を取得する位置情報取得システム、位置情報取得システムに用いられる受信機及び管理システム、位置情報取得方法、並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、受信部と、LPSサーバと、を備えるローカル測位システム(LPS:Local Positioning System)が開示されている。ローカル測位システムは、対象空間(エリア)内での携帯端末の位置を計測する。受信部は、複数の受信機を有している。複数の受信機は、対象空間又はその周辺に配置されている。受信機は、携帯端末と無線通信を行うように構成されている。ここで、受信機は、少なくとも対象空間に存在する携帯端末から、識別情報を無線通信にて受信する。受信機は、受信した無線信号に基づいて、無線信号の受信信号強度(RSSI:Received Signal Strength Indication)に関する受信情報を生成する。各受信機は、携帯端末からの無線信号を受信した後に、携帯端末から受信した識別情報に加えて、受信機情報及び受信情報をLPSサーバに送信する。
【0003】
LPSサーバは、複数の受信機の各々から、識別情報、受信機情報及び受信情報を受信する。そして、LPSサーバは、LPSデータ(識別情報、受信機情報及び受信情報)に基づいて、対象空間内に存在する携帯端末の対象空間における位置を特定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-182705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のようなローカル測位システム(位置情報取得システム)では、受信機からLPSサーバ(管理システム)に常時情報が送信されていることから、通信トラフィックが増大しがちである、という問題があった。
【0006】
本開示は、上記の点に鑑みてなされており、通信トラフィックの低減を図ることのできる位置情報取得システム、受信機、管理システム、位置情報取得方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る位置情報取得システムは、1以上の受信機と、管理システムと、記憶部と、を備える。前記1以上の受信機は、施設に設けられて、発信機から発信される無線信号である発信機信号を受信する。前記管理システムは、前記1以上の受信機の各々と通信可能である。前記記憶部は、固有情報を記憶する。前記固有情報は、前記発信機から受信した前記発信機信号に基づく前記発信機に固有の情報である。前記固有情報は、前記発信機信号を発信した前記発信機の識別子と、前記1以上の受信機のうち前記発信機信号を受信した受信機の識別情報と、を少なくとも含む。前記管理システムは、特定の発信機の所在を検索するための検索入力を受け付けると、前記受信機に対して前記特定の発信機の前記固有情報を要求する要求処理を実行する機能を有する。前記受信機は、前記管理システムからの要求を受け付けると、前記記憶部に記憶されている前記特定の発信機の前記固有情報を前記管理システムへ送信する。前記管理システムは、前記受信機から受信した前記特定の発信機の前記固有情報に含まれる前記受信機の識別情報に基づいて、前記1以上の受信機のうち前記発信機信号を受信した受信機の位置情報である受信位置情報を取得し、少なくとも前記受信位置情報に基づいて、前記特定の発信機の位置情報である発信位置情報を取得する。
【0010】
本開示の一態様に係る位置情報取得方法は、要求ステップと、取得ステップと、を有する。前記要求ステップは、管理システムが、特定の発信機の所在を検索するための検索入力を受け付けると、受信機に対して、前記特定の発信機の固有情報を要求するステップである。前記受信機は、施設に設けられて発信機から発信される無線信号である発信機信号を受信する。前記固有情報は、前記発信機信号に基づく前記発信機に固有の情報である。前記取得ステップは、前記管理システムが、前記要求ステップでの要求に応じた前記受信機から受信した前記特定の発信機の前記固有情報に基づいて、前記特定の発信機の位置情報である発信位置情報を取得するステップである。前記固有情報は、前記発信機信号を発信した前記発信機の識別子と、1以上の受信機のうち前記発信機信号を受信した受信機の識別情報と、を少なくとも含む。前記取得ステップでは、前記管理システムが、前記受信機から受信した前記特定の発信機の前記固有情報に含まれる前記受信機の識別情報に基づいて、前記1以上の受信機のうち前記発信機信号を受信した受信機の位置情報である受信位置情報を取得し、少なくとも前記受信位置情報に基づいて、前記発信位置情報を取得する。
【0011】
本開示の一態様に係るプログラムは、1以上のプロセッサに、上記の位置情報取得方法を実行させる。
【発明の効果】
【0012】
本開示は、通信トラフィックの低減を図ることができる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本開示の一実施形態に係る位置情報取得システムの概略構成を示すブロック図である。
図2図2は、同上の位置情報取得システムを適用した施設の概略図である。
図3図3は、同上の位置情報取得システムの動作の一例を示すシーケンス図である。
図4図4は、比較例の位置情報取得システムの動作を示すシーケンス図である。
図5図5A及び図5Bは、それぞれ本開示の一実施形態の変形例に係る位置情報取得システムの動作の一例を示す概要図である。
図6図6は、同上の位置情報取得システムの動作の他の一例を示す概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(1)概要
本実施形態の位置情報取得システム10は、図1及び図2に示すように、施設100に設置されている1以上の受信機20を用いて、施設100における発信機40の位置を測定する測位システム((LPS:Local Positioning System))を利用する。
【0015】
本開示でいう「施設」は、例えば、オフィスビル、工場、複合商業施設、美術館、博物館、遊戯施設、テーマパーク、空港、鉄道駅、ドーム球場、ホテル、住宅等であって、敷地とその敷地に建てられた建物とを含む。その他、「施設」は、例えば、船舶、鉄道車両等の移動体であってもよい。また、本開示でいう「発信機」は、例えば施設100を利用する利用者A1によって携帯される携帯端末であり、例えば、スマートフォンのような通信端末である。また、本開示でいう「発信機」は、スマートフォンに限定されず、タブレット型の携帯端末でもよいし、タグ等の測位システム専用の発信機でもよい。本実施形態では、施設100がオフィスビル、発信機40が利用者A1の携帯するスマートフォンである場合を例に説明する。
【0016】
位置情報取得システム10は、図1に示すように、1以上の受信機20と、管理システム30と、記憶部50と、を備えている。
【0017】
受信機20は、施設100に設けられて、発信機40から発信される無線信号である発信機信号Sig1を受信する。本実施形態では、発信機信号Sig1は、発信機40から定期的に発信される無線信号である。また、発信機信号Sig1には、例えば発信機40の識別子(Identification)等、発信機40に固有の情報である固有情報の一部が含まれている。
【0018】
管理システム30は、1以上の受信機20の各々と通信可能である。管理システム30は、1以上の受信機20から受信した固有情報に基づいて、発信機40の位置情報を取得する。つまり、管理システム30は、受信機20から送信される受信機信号Sig2を受信することにより、受信機20で受信した発信機信号Sig1に基づく発信機40の固有情報を、発信機信号Sig1を受信した受信機20から取得する。そして、管理システム30は、測位システムを利用することで、発信機40の位置情報を取得する。発信機40の位置情報の取得方法については、後述する「(2)詳細」にて説明する。
【0019】
記憶部50は、発信機40の固有情報を記憶する。本実施形態では、記憶部50は、1以上の受信機20の各々が有している。受信機20は、発信機40から発信機信号Sig1を受信すると、受信した発信機信号Sig1に基づく発信機40の固有情報を記憶部50に記憶させる。発信機40の固有情報には、上述の発信機40の識別子の他、この発信機40からの発信機信号Sig1を受信した受信機20の識別情報、及び発信機信号Sig1の受信信号強度(RSSI:Received Signal Strength Indication)が含まれる。
【0020】
管理システム30は、検索入力を受け付けると、受信機20に対して特定の発信機40の固有情報を要求する要求処理を実行する機能を有している。本開示でいう「検索入力」は、位置情報取得システム10の利用者(発信機40の利用者A1以外の利用者を含む)による、特定の発信機40の所在を検索するための入力である。検索入力は、例えば位置情報取得システム10の利用者の所持するスマートフォンの他、パーソナルコンピュータ等のデバイスを用いて、インターネット等のネットワークを経由して行われる。要求処理においては、管理システム30は、受信機20に対して要求信号Sig3を送信する。ここで、管理システム30は、位置情報取得システム10に属する全ての受信機20に対して要求信号Sig3を送信してもよいし、一部の受信機20に対して要求信号Sig3を送信してもよい。本実施形態では、管理システム30は、要求信号Sig3をブロードキャストする。
【0021】
受信機20は、要求信号Sig3を受信する、つまり管理システム30からの要求を受け付けると、記憶部50に記憶されている特定の発信機40の固有情報を含む受信機信号Sig2を管理システム30へ送信する。つまり、受信機20は、要求信号Sig3を受信すると、記憶部50に特定の発信機40の固有情報が記憶されているか否かを探索する。記憶部50に特定の発信機40の固有情報が記憶されていれば、受信機20は、受信機信号Sig2を管理システム30へ送信する。
【0022】
そして、管理システム30は、測位システムを利用することで、受信機20から受信した特定の発信機40の固有情報に基づいて、特定の発信機40の位置情報を取得する。
【0023】
上述のように、本実施形態では、管理システム30は、検索入力を受け付けた場合に、要求処理を実行する。そして、受信機20は、管理システム30からの要求を受け付けた場合に、特定の発信機40の固有情報を管理システム30へ送信する。このため、本実施形態では、発信機40から発信機信号Sig1を受信するごとに固有情報を管理システム30へ送信する場合と比較して、管理システム30との通信回数が低減され、結果として通信トラフィックの低減を図ることができる、という利点がある。
【0024】
(2)詳細
以下、本実施形態の位置情報取得システム10の詳細について図1及び図2を参照して説明する。以下では、施設100に1以上の発信機40(つまり、1以上の利用者A1)が存在する場合を例に説明する。位置情報取得システム10は、図1に示すように、1以上の受信機20と、管理システム30と、を備えている。
【0025】
まず、発信機40について説明する。本実施形態では、発信機40は、位置情報取得システム10の構成要素に含まれていないが、位置情報取得システム10の構成要素に含まれていてもよい。言い換えれば、位置情報取得システム10は、発信機40を更に備えていてもよい。
【0026】
発信機40は、図1に示すように、通信部41と、記憶部42と、制御部43と、を備えている。発信機40は、図2に示すように、利用者A1が携帯する。なお、発信機40は、利用者A1の所有物であってもよいし、借り物であってもよい。
【0027】
通信部41は、電波を利用した無線通信を行う通信機能を有する。本実施形態では、通信部41は、制御部43に制御されることにより、無線信号である発信機信号Sig1を発信する機能を有する。通信部41は、所定の通信方式で無線通信を行っており、本実施形態では、例えばBluetooth(登録商標) Low Energyの通信方式で無線通信を行う。通信部41は、例えばアドバタイズメント・パケットと呼ばれる無線信号(ビーコン信号)を、発信機信号Sig1として所定の時間間隔及び所定の送信電力で無線送信する。なお、通信部41の通信方式はBluetooth(登録商標) Low Energyに限定されず、WiFi(登録商標)等の通信方式でもよい。
【0028】
記憶部42は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等の不揮発性メモリである。記憶部42には、発信機40の固有情報が記憶されている。固有情報は、例えば、Bluetooth(登録商標) Device Addressである。固有情報は、発信機信号Sig1に含まれる。ここで、施設100を複数の利用者A1が利用する場合、複数の利用者A1は個別の発信機40を携帯することになる。そして、発信機40と利用者A1とは一対一に対応し、発信機40の固有情報は利用者A1に対応付けられる。
【0029】
制御部43は、一例として、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するコンピュータシステムを主構成とする。プロセッサは、メモリに記録されているプログラムを実行することにより、制御部43の機能を実現する。プログラムは、予めメモリに記録されていてもよいし、メモリカードのような非一時的記録媒体に記録されて提供されたり、電気通信回線を通して提供されたりしてもよい。制御部43は、プログラムを実行することにより、発信機40が有する種々の機能を実現する。本実施形態では、制御部43は、通信部41を制御することにより、発信機信号Sig1を定期的に通信部41から発信させる機能を少なくとも有している。
【0030】
次に、受信機20及び管理システム30について説明する。
【0031】
受信機20は、図1に示すように、第1通信部21と、第2通信部22と、制御部23と、記憶部50と、を備えている。受信機20は、例えば図2に示すように、施設100の部屋101の天井102に配置されている。もちろん、受信機20は、部屋101の壁、又はデスク110等の什器の天面上に配置されていてもよい。
【0032】
第1通信部21は、電波を利用した無線通信を行う通信機能を有する。本実施形態では、第1通信部21は、制御部23に制御されることにより、発信機40からの発信機信号Sig1を受信する機能を有する。第1通信部21の通信方式は、発信機40の通信部41と同様に、例えばBluetooth(登録商標) Low Energy、又はWiFi(登録商標)等である。
【0033】
第2通信部22は、施設100内の通信ネットワークNT1を介して、管理システム30と通信する通信機能を有する。第2通信部22の通信方式は、例えば、LAN(Local Area Network)ケーブル等を用いた有線通信であるが、これに限らず、電力線を用いた電力線通信等でもよい。また、第2通信部22の通信方式は、イーサネット(登録商標)の規格に準拠した通信方式でもよいし、WiFi(登録商標)等の規格に準拠した無線通信方式でもよい。また、第2通信部22は、ルータ又はハブ等の中継装置を介して、管理システム30と通信可能であってもよい。
【0034】
制御部23は、一例として、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するコンピュータシステムを主構成とする。プロセッサは、メモリに記録されているプログラムを実行することにより、制御部23の機能を実現する。プログラムは、予めメモリに記録されていてもよいし、メモリカードのような非一時的記録媒体に記録されて提供されたり、電気通信回線を通して提供されたりしてもよい。
【0035】
制御部23は、発信機40からの発信機信号Sig1を受信すると、受信した発信機信号Sig1に基づく固有情報を記憶部50に記憶させる機能を有する。固有情報は、既に述べたように、受信した発信機信号Sig1に含まれる発信機40の識別子の他、発信機信号Sig1を受信した受信機20の受信機20の識別情報、及び発信機信号Sig1の受信信号強度が含まれる。受信機20の識別情報は、例えば受信機20の識別子である。発信機信号Sig1の受信信号強度は、制御部23により測定される。
【0036】
本実施形態では、制御部23(受信機20)は、所定の記憶条件を満たした場合に、固有情報を記憶部50に記憶させる。所定の記憶条件は、一例として、発信機40が管理システム30に登録されていることである。具体的には、制御部23は、登録されている発信機40の識別子のリストを含む登録情報を、あらかじめ管理システム30から受信し、受信した登録情報をメモリに記憶している。そして、制御部23は、発信機信号Sig1を受信すると、受信した発信機信号Sig1に含まれる識別子が登録情報に含まれているか否かを判定する。識別子が登録情報に含まれていれば、制御部23は、固有情報を記憶部50に記憶させる。一方、識別子が登録情報に含まれていなければ、制御部23は、固有情報を記憶部50に記憶させずに破棄する。
【0037】
また、制御部23(受信機20)は、所定の破棄条件を満たした場合に、記憶部50に記憶している固有情報を破棄する機能を有する。所定の破棄条件は、一例として、記憶部50に固有情報を記憶した時点から一定時間が経過することである。具体的には、制御部23は、記憶部50に固有情報を記憶させた時刻をメモリに記憶しており、この時刻から一定時間をタイマにて計時する。そして、制御部23は、一定時間が経過すると、記憶部50に記憶されている固有情報を削除することにより、固有情報を破棄する。
【0038】
また、制御部23は、受信機信号Sig2を、第2通信部22を介して管理システム30へ送信する機能を有する。受信機信号Sig2には、発信機40の固有情報が含まれる。本実施形態では、制御部23(受信機20)は、第2通信部22にて管理システム30からの要求信号Sig3を受信すると、要求信号Sig3により指定されている特定の発信機40の固有情報が記憶部50に記憶されているか否かを探索する。特定の発信機40の固有情報が記憶部50に記憶されている場合、制御部23は、特定の発信機40の固有情報を記憶部50から読み出し、読み出した特定の発信機40の固有情報を含む受信機信号Sig2を生成する。その後、制御部23は、生成した受信機信号Sig2を、第2通信部22を介して管理システム30へ送信する。なお、特定の発信機40の固有情報が記憶部50に記憶されていない場合、制御部23は、受信機信号Sig2を生成せず、したがって受信機信号Sig2を管理システム30へ送信しない。
【0039】
記憶部50は、発信機40の記憶部42と同様に、例えばEEPROM等の不揮発性メモリである。記憶部50は、既に述べているように、主として発信機40から受信した発信機信号Sig1に基づく発信機40の固有情報を記憶する。
【0040】
管理システム30は、図1に示すように、通信部31と、記憶部32と、制御部33と、を備えている。管理システム30は、例えば、サーバである。管理システム30は、施設100内に設置されていてもよいし、施設100外に設置されていてもよい。
【0041】
通信部31は、通信ネットワークNT1を介して受信機20と通信する機能を有する。本実施形態では、通信部31は、制御部33に制御されることにより、受信機20からの受信機信号Sig2に含まれる情報を受信する機能を有する。通信部31の通信方式は、受信機20の第2通信部22と同様に、例えば、LANケーブル等を用いた有線通信である。
【0042】
記憶部32は、例えば、ハードディスクドライブ、光学ディスクドライブ、メモリカード等を備える。記憶部32は、施設100に設置された受信機20の識別情報と、その設置位置に関する位置情報と、を記憶する。ここにおいて、受信機20の設置位置に関する位置情報は、例えば施設100内の所定の位置を原点とした三次元座標系において、受信機20の設置位置を表した座標の情報を含む。また、記憶部32は、受信機20を介して受信した発信機40の固有情報を記憶する。さらに、記憶部32は、後述する取得処理により取得された発信機40の位置情報を記憶する。発信機40の位置情報は、受信機20の位置情報と同様に、例えば施設100内の所定の位置を原点とした三次元座標系において、各々の設置位置を表した座標の情報を含む。
【0043】
制御部33は、一例として、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するコンピュータシステムを主構成とする。プロセッサは、メモリに記録されているプログラムを実行することにより、制御部33の機能を実現する。プログラムは、予めメモリに記録されていてもよいし、メモリカードのような非一時的記録媒体に記録されて提供されたり、電気通信回線を通して提供されたりしてもよい。
【0044】
制御部33は、要求処理と、取得処理と、を実行する機能を有している。要求処理は、検索入力を受け付けると、受信機20に対して固有情報を要求する処理である。具体的には、制御部33は、検索入力を受け付けると、通信部31を介して要求信号Sig3をブロードキャストする。要求信号Sig3には、受信機20に対して特定の発信機40の固有情報を要求する指令が含まれている。ここで、検索入力にて特定される特定の発信機40は、1台であってもよいし、複数台であってもよい。また、検索入力においては、特定の発信機40を直接的に指定していなくてもよい。例えば、検索入力において特定の場所、部署、又は時間等を入力した場合、入力された場所、部署、又は時間等に関連する発信機40が間接的に特定の発信機40として入力される。
【0045】
取得処理は、要求処理での要求に応じた受信機20から受信した特定の発信機40の固有情報に基づいて、特定の発信機40の位置情報を取得する処理である。本実施形態では、制御部33は、取得処理において、特定の発信機40の固有情報を用いた測位演算を行うことで、特定の発信機40の位置情報を取得する。具体的には、制御部33は、特定の発信機40からの発信機信号Sig1を受信した1以上の受信機20の位置情報と、1以上の受信機20の各々で測定された発信機信号Sig1の受信信号強度と、を用いた測位演算により、特定の発信機40の位置情報を推定する。受信機20の位置情報は、固有情報に含まれる受信機20の識別情報に基づいて、記憶部32から読み出される。なお、特定の発信機40の位置情報の推定精度の観点からすれば、測位演算は、3つの受信機20の位置情報と、これらの受信機20の各々で測定された発信機信号Sig1の受信信号強度と、を用いた3点測位演算であるのが好ましい。
【0046】
(3)動作
以下、本実施形態の位置情報取得システム10の動作について図3を用いて説明する。以下では、施設100の部屋101に位置情報取得システム10が適用されると仮定して説明する。また、以下では、部屋101の天井102に予め複数の受信機20が設置されていると仮定して説明する。また、図3では、複数の発信機40のうちの1台の発信機40を代表として図示しているが、複数の発信機40の各々が以下に説明するように動作する。同様に、図3では、複数の受信機20のうちの1台の受信機20を代表として図示しているが、複数の受信機20の各々が以下に説明するように動作する。
【0047】
発信機40は、発信機信号Sig1を定期的に発信している。そして、発信機信号Sig1を受信した受信機20は、所定の記憶条件を満たした場合に、受信した発信機信号Sig1に基づく固有情報を記憶部50に記憶させる(S1)。以下、上記の処理が繰り返されることにより、各受信機20の記憶部50には、1以上の発信機40ごとに固有情報が記憶される。また、上記の処理を繰り返す過程において、所定の破棄条件を満たした場合には、受信機20は、記憶部50に記憶している固有情報を破棄する。上記の処理を繰り返す過程においては、管理システム30は特に動作しない。
【0048】
次に、管理システム30が検索入力を受け付けると、管理システム30は、要求処理を実行する(S2)。これにより、管理システム30から要求信号Sig3がブロードキャストされる。要求信号Sig3を受信した受信機20は、要求信号Sig3により指定されている特定の発信機40の固有情報が記憶部50に記憶されているか否かを探索する。特定の発信機40の固有情報が記憶部50に記憶されている場合、制御部23は、特定の発信機40の固有情報を記憶部50から読み出し、読み出した特定の発信機40の固有情報を含む受信機信号Sig2を管理システム30へ送信する。
【0049】
管理システム30は、受信機信号Sig2を受信すると、取得処理を実行する(S3)。これにより、管理システム30は、受信した受信機信号Sig2に含まれる特定の発信機40の固有情報を用いた測位演算を行うことで、特定の発信機40の位置情報を取得する。
【0050】
以下、本実施形態の位置情報取得システム10の利点について、比較例の位置情報取得システム200との比較を交えて説明する。比較例の位置情報取得システム200は、図4に示すように、受信機202が発信機201からの発信機信号Sig1に含まれる固有情報を記憶する機能を有していない点で、本実施形態の位置情報取得システム10と相違する。言い換えれば、比較例の位置情報取得システム200は、記憶部50を備えていない点で、本実施形態の位置情報取得システム10と相違する。また、比較例の位置情報取得システム200は、管理システム203が要求処理を実行する機能を有していない点で、本実施形態の位置情報取得システム10と相違する。なお、図4においても、図3と同様に、複数の発信機201のうちの1台の発信機201を、複数の受信機202のうちの1台の受信機202をそれぞれ代表として図示している。
【0051】
比較例の位置情報取得システム200では、受信機20は、発信機201から定期的に発信される発信機信号Sig1を受信すると、受信した発信機信号Sig1に基づく固有情報を含む受信機信号Sig2を送信する。つまり、比較例の位置情報取得システム200では、受信機20は、発信機信号Sig1を受信すると、固有情報を記憶することなく、管理システム203へと転送する。そして、比較例の位置情報取得システム200では、管理システム203は、受信機信号Sig2を受信するごとに、取得処理を実行する(S10)。
【0052】
上述のように、比較例の位置情報取得システム200では、受信機202が発信機信号Sig1を受信するごとに管理システム203へ受信機信号Sig2が送信されるため、受信機202と管理システム203との通信回数が増大しがちである。特に、受信機202の台数が増えれば増えるほど、通信回数が増大し、結果として通信トラフィックが増大してしまう。また、比較例の位置情報取得システム200では、管理システム203が受信機信号Sig2を受信するごとに取得処理を実行するため、管理システム203での処理負荷が増大しがちである。特に、受信機202の台数が増えれば増えるほど、処理負荷が増大してしまう。
【0053】
これに対して、本実施形態の位置情報取得システム10では、管理システム30は、検索入力を受け付けた場合に、要求処理及び取得処理を実行する。このため、本実施形態では、比較例の位置情報取得システム200と比較して、管理システム30での処理負荷を低減することができる、という利点がある。また、本実施形態では、受信機20は、管理システム30からの要求を受け付けた場合に、受信機信号Sig2を管理システム30へ送信する。このため、本実施形態では、比較例の位置情報取得システム200と比較して、受信機20と管理システム30との通信回数が低減され、結果として通信トラフィックの低減を図ることができる、という利点がある。
【0054】
(4)変形例
上述の実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上述の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、位置情報取得システム10と同様の機能は、方法、(コンピュータ)プログラム、又はプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。
【0055】
一態様に係る位置情報取得方法は、要求ステップと、取得ステップと、を有する。要求ステップは、特定の発信機40の所在を検索するための検索入力を受け付けると、受信機20に対して、特定の発信機40の固有情報を要求するステップである。受信機20は、施設100に設けられて発信機40から発信される無線信号である発信機信号Sig1を受信する。固有情報は、発信機信号Sig1に基づく発信機40に固有の情報である。取得ステップは、要求ステップでの要求に応じた受信機20から受信した特定の発信機40の固有情報に基づいて、特定の発信機40の位置情報を取得するステップである。
【0056】
一態様に係るプログラムは、1以上のプロセッサに、上記の位置情報取得方法を実行させる。
【0057】
以下、上述の実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0058】
本開示における位置情報取得システム10は、例えば、受信機20の制御部23及び管理システム30の制御部33等に、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における位置情報取得システム10としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0059】
また、位置情報取得システム10の少なくとも一部の機能が、1つの筐体内に集約されていることは位置情報取得システム10に必須の構成ではなく、位置情報取得システム10の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。さらに、位置情報取得システム10の少なくとも一部の機能、例えば、制御部33の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【0060】
上述の実施形態において、管理システム30は、要求処理において、要求信号Sig3をブロードキャストする態様に限らず、要求信号Sig3の送信範囲を絞ってもよい。例えば、管理システム30は、要求処理において、特定の発信機40の位置情報の過去の取得結果に基づいて、要求先の受信機20を決定してもよい。一例として、図5Aに示すように、管理システム30は、要求処理において、特定の発信機40の前回の位置B0を基準とした所定の範囲B1内にある1以上の受信機20を要求先として決定してもよい。
【0061】
また、管理システム30は、要求処理により特定の発信機40の固有情報を取得できない場合、要求処理の結果に基づいて、次回の要求処理における要求先の受信機20を決定してもよい。ここでいう「特定の発信機40の固有情報を取得できない場合」とは、受信機信号Sig2を受信できているが、受信信号強度が所定の強度以下である場合も含む。一例として、図5Bに示すように、管理システム30が、所定の範囲B1内にある1以上の受信機20を要求先として要求処理を実行し、特定の発信機40の固有情報を取得できなかった、と仮定する。この場合、管理システム30は、再度の要求処理において、所定の範囲B1よりも更に広い範囲B2内にある1以上の受信機20を要求先として決定してもよい。
【0062】
その他、1回目の要求処理において、管理システム30が複数の受信機20からの受信機信号Sig2を受信しており、かつ、いずれかの受信機信号Sig2の受信信号強度が、他の受信機信号Sig2の受信信号強度よりも大きい場合があり得る。この場合、管理システム30は、図6に示すように、の比較的受信信号強度が大きい受信機20(図6では、範囲B1内の右上の受信機20)に偏った範囲B3内にある1以上の受信機20を要求先として決定してもよい。
【0063】
また、管理システム30は、要求処理において、特定の発信機40の位置情報の過去の取得結果が最も多い場所に基づいて、要求先の受信機20を決定してもよい。一例として、管理システム30は、過去の取得処理の履歴(例えば、1ヶ月)を参照して、特定の発信機40が存在していた頻度が最も大きい場所及びその近傍に存在する1以上の受信機20を要求先として決定してもよい。
【0064】
また、管理システム30は、要求処理において、検索入力を受け付けた時刻に基づいて、要求先の受信機20を決定してもよい。一例として、管理システム30は、過去の取得処理の履歴(例えば、1ヶ月)を参照して、検索入力を受け付けた時間帯において特定の発信機40が存在していた頻度が最も大きい場所及びその近傍に存在する1以上の受信機20を要求先として決定してもよい。
【0065】
上述の実施形態において、管理システム30は、検索入力に依らず固有情報を管理システム30へ送信するように受信機20の動作を切り替える切替処理を実行する機能を更に有していてもよい。一例として、管理システム30は、切替信号をブロードキャストすることにより、切替処理を実行する。切替信号を受信した受信機20は、以降、再度切替信号を受信するまで、比較例の位置情報取得システム200と同様に、発信機信号Sig1を受信するごとに受信機信号Sig2を管理システム30へ送信するように動作する。切替処理のトリガは、例えば位置情報取得システム10の管理者による特定の操作を受け付けること、又は所定の条件(例えば、通信トラフィックが所定量以下である等)を満たすこと等である。
【0066】
上述の実施形態において、所定の記憶条件は、一例として、発信機信号Sig1の受信信号強度が所定の強度以上であることであってもよい。また、所定の記憶条件は、発信機40から発信機信号Sig1が送信された時刻と、受信機20にて発信機信号Sig1を受信した時刻との差分が所定時間以下であることであってもよい。その他、発信機40が加速度センサを有しており、加速度センサの検知結果を発信機信号Sig1に含めて送信している場合、所定の記憶条件は、発信機40が所定の加速度以下であることであってもよい。この場合、受信機20は、発信機40が移動中であれば固有情報を記憶しないことになる。
【0067】
上述の実施形態において、所定の破棄条件は、一例として、管理システム30から要求を受けて固有情報を送信することであってもよい。この場合、受信機20は、送信した固有情報を記憶部50から破棄する。その他、所定の破棄条件は、記憶部50に記憶している発信機40の識別子と同じ識別子を含む発信機信号Sig1を受信することであってもよい。この場合、固有情報の一部が重複することになるので、受信機20は、記憶部50から固有情報を破棄した上で、発信機信号Sig1に含まれる固有情報を記憶する(つまり、固有情報を更新する)。
【0068】
上述の実施形態では、受信機20が記憶部50を有しているが、この態様に限られない。例えば、受信機20以外に記憶装置(記憶部50)を設置しておき、この記憶装置に1以上の受信機20にて受信した発信機信号Sig1に基づく固有情報を記憶する態様であってもよい。
【0069】
上述の実施形態において、管理システム30は、発信機40の位置情報を測位演算により推定しなくてもよい。例えば、管理システム30は、発信機40からの発信機信号Sig1を受信した受信機20の位置情報を、発信機40の位置情報と推定してもよい。
【0070】
上述の実施形態において、受信機20は、位置情報取得システム10に用いられる装置として、単独で市場に流通し得る。同様に、管理システム30は、位置情報取得システム10に用いられる装置として、単独で市場に流通し得る。
【0071】
(まとめ)
以上述べたように、第1の態様に係る位置情報取得システム(10)は、受信機(20)と、管理システム(30)と、記憶部(50)と、を備える。受信機(20)は、施設(100)に設けられて、発信機(40)から発信される無線信号である発信機信号(Sig1)を受信する。管理システム(30)は、受信機(20)と通信可能である。記憶部(50)は、固有情報を記憶する。固有情報は、発信機(40)から受信した発信機信号(Sig1)に基づく発信機(40)に固有の情報である。管理システム(30)は、特定の発信機(40)の所在を検索するための検索入力を受け付けると、受信機(20)に対して特定の発信機(40)の固有情報を要求する要求処理を実行する機能を有する。受信機(20)は、管理システム(30)からの要求を受け付けると、記憶部(50)に記憶されている特定の発信機(40)の固有情報を管理システム(30)へ送信する。管理システム(30)は、受信機(20)から受信した特定の発信機(40)の固有情報に基づいて、特定の発信機(40)の位置情報を取得する。
【0072】
この態様によれば、通信トラフィックの低減を図ることができる、という利点がある。
【0073】
第2の態様に係る位置情報取得システム(10)では、第1の態様において、受信機(20)は、所定の記憶条件を満たした場合に、固有情報を記憶部(50)に記憶する。
【0074】
この態様によれば、不要な固有情報を記憶しなくて済むので、記憶部(50)の記憶容量を有効に活用できる、という利点がある。
【0075】
第3の態様に係る位置情報取得システム(10)では、第1又は第2の態様において、所定の記憶条件は、発信機(40)が管理システム(30)に登録されていることである。
【0076】
この態様によれば、管理システム(30)に登録されていない発信機(40)の固有情報を記憶しないので、記憶部(50)の記憶容量を有効に活用できる、という利点がある。
【0077】
第4の態様に係る位置情報取得システム(10)では、第1~第3のいずれかの態様において、受信機(20)は、所定の破棄条件を満たした場合に、記憶部(50)に記憶している固有情報を破棄する。
【0078】
この態様によれば、不要となった固有情報を破棄するので、記憶部(50)の記憶容量を有効に活用できる、という利点がある。
【0079】
第5の態様に係る位置情報取得システム(10)では、第4の態様において、所定の破棄条件は、記憶部(50)に固有情報を記憶した時点から一定時間が経過することである。
【0080】
この態様によれば、時間経過に伴い古くなった固有情報を破棄するので、記憶部(50)の記憶容量を有効に活用できる、という利点がある。
【0081】
第6の態様に係る位置情報取得システム(10)では、第1~第5のいずれかの態様において、管理システム(30)は、要求処理において、特定の発信機(40)の位置情報の過去の取得結果に基づいて、要求先の受信機(20)を決定する。
【0082】
この態様によれば、受信機(20)が多数存在する場合に、要求先の受信機(20)を限定することができるので、通信トラフィックの低減、並びに受信機(20)及び管理システム(30)での処理負荷の低減を図ることができる、という利点がある。
【0083】
第7の態様に係る位置情報取得システム(10)では、第6の態様において、管理システム(30)は、要求処理により特定の発信機(40)の固有情報を取得できない場合、要求処理の結果に基づいて、次回の要求処理における要求先の受信機(20)を決定する。
【0084】
この態様によれば、特定の発信機(40)の固有情報を取得できるまでに要する要求処理の回数を低減しやすい、という利点がある。
【0085】
第8の態様に係る位置情報取得システム(10)では、第6又は第7の態様において、管理システム(30)は、要求処理において、特定の発信機(40)の位置情報の過去の取得結果が最も多い場所に基づいて、要求先の受信機(20)を決定する。
【0086】
この態様によれば、初回の要求処理において特定の発信機(40)の固有情報を取得できる可能性が向上しやすい、という利点がある。
【0087】
第9の態様に係る位置情報取得システム(10)では、第8の態様において、管理システム(30)は、要求処理において、検索入力を受け付けた時刻に基づいて、要求先の受信機(20)を決定する。
【0088】
この態様によれば、初回の要求処理において特定の発信機(40)の固有情報を取得できる可能性が更に向上しやすい、という利点がある。
【0089】
第10の態様に係る位置情報取得システム(10)では、第1~第9のいずれかの態様において、管理システム(30)は、切替処理を実行する機能を更に有する。切替処理は、検索入力に依らず固有情報を管理システム(30)へ送信するように受信機(20)の動作を切り替える処理である。
【0090】
この態様によれば、例えば発信機(40)の動線をリアルタイムに監視する等の用途に応じて、発信機(40)の位置情報を取得する態様を切り替えることができる、という利点がある。
【0091】
第11の態様に係る位置情報取得システム(10)は、第1~第10のいずれかの態様において、発信機(40)を更に備える。
【0092】
この態様によれば、通信トラフィックの低減を図ることができる、という利点がある。
【0093】
第12の態様に係る受信機(20)は、第1~第11のいずれかの態様の位置情報取得システム(10)に用いられる。
【0094】
この態様によれば、通信トラフィックの低減を図ることができる、という利点がある。
【0095】
第13の態様に係る管理システム(30)は、第1~第11のいずれかの態様の位置情報取得システム(10)に用いられる。
【0096】
この態様によれば、通信トラフィックの低減を図ることができる、という利点がある。
【0097】
第14の態様に係る位置情報取得方法は、要求ステップと、取得ステップと、を有する。要求ステップは、特定の発信機(40)の所在を検索するための検索入力を受け付けると、受信機(20)に対して、特定の発信機(40)の固有情報を要求するステップである。受信機(20)は、施設(100)に設けられて発信機(40)から発信される無線信号である発信機信号(Sig1)を受信する。固有情報は、発信機信号(Sig1)に基づく発信機(40)に固有の情報である。取得ステップは、要求ステップでの要求に応じた受信機(20)から受信した特定の発信機(40)の固有情報に基づいて、特定の発信機(40)の位置情報を取得するステップである。
【0098】
この態様によれば、通信トラフィックの低減を図ることができる、という利点がある。
【0099】
第15の態様に係るプログラムは、1以上のプロセッサに、第14の態様の位置情報取得方法を実行させる。
【0100】
この態様によれば、通信トラフィックの低減を図ることができる、という利点がある。
【0101】
第2~第13の態様に係る構成については、位置情報取得システム(10)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0102】
10 位置情報取得システム
20 受信機
30 管理システム
40 発信機
50 記憶部
100 施設
Sig1 発信機信号
図1
図2
図3
図4
図5
図6