(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-01
(45)【発行日】2023-06-09
(54)【発明の名称】漏電保護装置、及び分電盤
(51)【国際特許分類】
H01H 83/02 20060101AFI20230602BHJP
【FI】
H01H83/02 D
(21)【出願番号】P 2019134784
(22)【出願日】2019-07-22
【審査請求日】2022-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原田 航
(72)【発明者】
【氏名】中道 義也
(72)【発明者】
【氏名】山添 宏一
【審査官】高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-076554(JP,A)
【文献】特開平10-050192(JP,A)
【文献】特開2007-317362(JP,A)
【文献】特開2007-172980(JP,A)
【文献】特開2008-159456(JP,A)
【文献】特開平08-185787(JP,A)
【文献】特開2009-009759(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0232144(US,A1)
【文献】特開平08-264097(JP,A)
【文献】特開2006-092977(JP,A)
【文献】実開平05-081932(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 69/00 - 69/01
71/00 - 83/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数相の電路に挿入された複数の接点部とそれぞれ一対一に対応し、対応する接点部を開極することで対応する相の電路を導通状態から遮断状態に切り替える、複数の開閉部と、
1又は複数の電子部品が実装された基板と、
前記複数相の電路に関する漏電を検出する漏電検出部と、
前記漏電検出部における漏電の検出結果に応じて作動し、前記複数の接点部を開極する駆動部と、
を備え、
前記複数の開閉部は、一の方向に並んで配置されて、開閉ユニットを構成し、
前記基板、前記漏電検出部、及び前記駆動部のうちの
、少なくとも前記漏電検出部と前記駆動部とは、前記一の方向における前記開閉ユニットの両側に分離して配置される、
漏電保護装置。
【請求項2】
複数相の電路に挿入された複数の接点部とそれぞれ一対一に対応し、対応する接点部を開極することで対応する相の電路を導通状態から遮断状態に切り替える、複数の開閉部と、
1又は複数の電子部品が実装された基板と、
前記複数相の電路に関する漏電を検出する漏電検出部と、
前記漏電検出部における漏電の検出結果に応じて作動し、前記複数の接点部を開極する駆動部と、
複数の負荷端子と、
を備え、
前記複数の開閉部は、一の方向に並んで配置されて、開閉ユニットを構成し、
前記基板、前記漏電検出部、及び前記駆動部のうちのいずれか1つと、その残りの2つとは、前記一の方向における前記開閉ユニットの両側に分離して配置され、
前記複数の負荷端子は、前記複数相の電路にそれぞれ対応して設けられ、負荷側の電線が接続され
、
前記複数の負荷端子は、前記開閉ユニットを正面から見て、前記開閉ユニットの、前記一の方向と直交する直交方向における一方の側に配置される、
漏電保護装置。
【請求項3】
前記複数相の電路にそれぞれ対応して設けられ、系統電源側の電線が電気的に接続される複数の電源端子を更に備え、
前記複数の負荷端子の各々と、対応する電源端子とは、前記直交方向に沿って並んでいる、
請求項2に記載の漏電保護装置。
【請求項4】
複数相の電路に挿入された複数の接点部とそれぞれ一対一に対応し、対応する接点部を開極することで対応する相の電路を導通状態から遮断状態に切り替える、複数の開閉部と、
1又は複数の電子部品が実装された基板と、
前記複数相の電路に関する漏電を検出する漏電検出部と、
前記漏電検出部における漏電の検出結果に応じて作動し、前記複数の接点部を開極する駆動部と、
器体と、
を備え、
前記複数の開閉部は、一の方向に並んで配置されて、開閉ユニットを構成し、
前記基板、前記漏電検出部、及び前記駆動部のうちのいずれか1つと、その残りの2つとは、前記一の方向における前記開閉ユニットの両側に分離して配置され、
前記器体は、前記一の方向における前記開閉ユニットの両側のうちの一方の側に配置されて、中性相の電路の一部を覆
い、
前記基板、前記漏電検出部、及び前記駆動部のうち、少なくとも前記漏電検出部と前記駆動部とは、前記一の方向における前記開閉ユニットの両側に分離して配置され、
前記駆動部は、前記器体の内部に収容される、
漏電保護装置。
【請求項5】
前記一の方向における前記開閉ユニットの両側のうちの少なくとも一方の側に配置される熱緩衝部を更に備える、
請求項1~4のいずれか1項に記載の漏電保護装置。
【請求項6】
前記熱緩衝部は、周壁で囲まれた空間により構成される、
請求項5に記載の漏電保護装置。
【請求項7】
前記熱緩衝部と前記複数の開閉部のうち前記熱緩衝部に隣接する開閉部との間に配置される隔壁を更に備える、
請求項5又は6に記載の漏電保護装置。
【請求項8】
前記複数の開閉部の各々は、温度上昇に応じて前記対応する接点部を開極する熱動素子を有し、
前記複数の開閉部の複数の熱動素子は、前記一の方向において、所定のピッチ間隔で配置され、
前記一の方向における前記熱緩衝部の寸法は、前記ピッチ間隔と等しい、又は前記ピッ
チ間隔よりも大きい、
請求項5~7のいずれか1項に記載の漏電保護装置。
【請求項9】
複数相の電路に挿入された複数の接点部とそれぞれ一対一に対応し、対応する接点部を開極することで対応する相の電路を導通状態から遮断状態に切り替える、複数の開閉部と、
1又は複数の電子部品が実装された基板と、
前記複数相の電路に関する漏電を検出する漏電検出部と、
前記漏電検出部における漏電の検出結果に応じて作動し、前記複数の接点部を開極する駆動部と、
を備え、
前記複数の開閉部は、一の方向に並んで配置されて、開閉ユニットを構成し、
前記基板、前記漏電検出部、及び前記駆動部のうちのいずれか1つと、その残りの2つとは、前記一の方向における前記開閉ユニットの両側に分離して配置され、
前記基板、前記漏電検出部、及び前記駆動部のうち、前記基板と前記漏電検出部とは、前記一の方向における前記開閉ユニットの両側のうちの同じ一方の側に配置される、
漏電保護装置。
【請求項10】
複数相の電路に挿入された複数の接点部とそれぞれ一対一に対応し、対応する接点部を開極することで対応する相の電路を導通状態から遮断状態に切り替える、複数の開閉部と、
1又は複数の電子部品が実装された基板と、
前記複数相の電路に関する漏電を検出する漏電検出部と、
前記漏電検出部における漏電の検出結果に応じて作動し、前記複数の接点部を開極する駆動部と、
を備え、
前記複数の開閉部は、一の方向に並んで配置されて、開閉ユニットを構成し、
前記基板、前記漏電検出部、及び前記駆動部のうちのいずれか1つと、その残りの2つとは、前記一の方向における前記開閉ユニットの両側に分離して配置され、
前記1又は複数の電子部品は、前記駆動部を制御する制御部を構成する制御用電子部品を含み、
前記基板は、その厚み方向が前記一の方向に沿うように配置され、
前記制御用電子部品は、前記基板の、前記開閉ユニットと対向する第1面とは反対側の第2面に実装される、
漏電保護装置。
【請求項11】
前記複数の開閉部と機械的に接続されて、前記駆動部の作動に応じて前記複数の接点部を相互に連動させて開極する連動リンクを、更に備える、
請求項1~10のいずれか1項に記載の漏電保護装置。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載の漏電保護装置と、前記漏電保護装置を収容する筐体と、を備える、
分電盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、漏電保護装置、及び分電盤に関する。より詳細には、本開示は、漏電の検出結果に応じて接点部を開極する漏電保護装置、及び、当該漏電保護装置を備える分電盤に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、住宅等に設置され、系統電源と負荷との間の電路において、負荷側の漏電を検出すると、当該電路を遮断するように構成された漏電保護装置を開示する。漏電保護装置は、ブレーカと、漏電検出装置と、保護カバーとで構成される。漏電検出装置は、ブレーカの側方に配置される。漏電検出装置は、検出装置筐体と、負荷側端子部と、漏電検出部と、駆動部と、を備える。漏電検出部は、零相変流器、及び2つの基板等によって構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の漏電保護装置では、その左右方向(一の方向)における寸法が比較的大きいことから、漏電保護装置の小型化が望まれる場合もある。
【0005】
本開示は上記事由に鑑みてなされ、小型化を図ることができる、漏電保護装置、及び分電盤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様の漏電保護装置は、複数の開閉部と、基板と、漏電検出部と、駆動部と、を備える。前記複数の開閉部は、複数相の電路に挿入された複数の接点部とそれぞれ一対一に対応し、対応する接点部を開極することで対応する相の電路を導通状態から遮断状態に切り替える。前記基板には、1又は複数の電子部品が実装される。前記漏電検出部は、前記複数相の電路に関する漏電を検出する。前記駆動部は、前記漏電検出部における漏電の検出結果に応じて作動し、前記複数の接点部を開極する。前記複数の開閉部は、一の方向に並んで配置されて、開閉ユニットを構成する。前記基板、前記漏電検出部、及び前記駆動部のうちの、少なくとも前記漏電検出部と前記駆動部とは、前記一の方向における前記開閉ユニットの両側に分離して配置される。
本開示の別の一態様の漏電保護装置は、複数の開閉部と、基板と、漏電検出部と、駆動部と、複数の負荷端子と、を備える。前記複数の開閉部は、複数相の電路に挿入された複数の接点部とそれぞれ一対一に対応し、対応する接点部を開極することで対応する相の電路を導通状態から遮断状態に切り替える。前記基板には、1又は複数の電子部品が実装される。前記漏電検出部は、前記複数相の電路に関する漏電を検出する。前記駆動部は、前記漏電検出部における漏電の検出結果に応じて作動し、前記複数の接点部を開極する。前記複数の開閉部は、一の方向に並んで配置されて、開閉ユニットを構成する。前記基板、前記漏電検出部、及び前記駆動部のうちのいずれか1つと、その残りの2つとは、前記一の方向における前記開閉ユニットの両側に分離して配置される。前記複数の負荷端子は、前記複数相の電路にそれぞれ対応して設けられ、負荷側の電線が接続される。前記複数の負荷端子は、前記開閉ユニットを正面から見て、前記開閉ユニットの、前記一の方向と直交する直交方向における一方の側に配置される。
本開示の更に別の一態様の漏電保護装置は、複数の開閉部と、基板と、漏電検出部と、駆動部と、器体と、を備える。前記複数の開閉部は、複数相の電路に挿入された複数の接点部とそれぞれ一対一に対応し、対応する接点部を開極することで対応する相の電路を導通状態から遮断状態に切り替える。前記基板には、1又は複数の電子部品が実装される。前記漏電検出部は、前記複数相の電路に関する漏電を検出する。前記駆動部は、前記漏電検出部における漏電の検出結果に応じて作動し、前記複数の接点部を開極する。前記複数の開閉部は、一の方向に並んで配置されて、開閉ユニットを構成する。前記基板、前記漏電検出部、及び前記駆動部のうちのいずれか1つと、その残りの2つとは、前記一の方向における前記開閉ユニットの両側に分離して配置される。前記器体は、前記一の方向における前記開閉ユニットの両側のうちの一方の側に配置されて、中性相の電路の一部を覆う。前記基板、前記漏電検出部、及び前記駆動部のうち、少なくとも前記漏電検出部と前記駆動部とは、前記一の方向における前記開閉ユニットの両側に分離して配置される。前記駆動部は、前記器体の内部に収容される。
本開示の更に別の一態様の漏電保護装置は、複数の開閉部と、基板と、漏電検出部と、駆動部と、を備える。前記複数の開閉部は、複数相の電路に挿入された複数の接点部とそれぞれ一対一に対応し、対応する接点部を開極することで対応する相の電路を導通状態から遮断状態に切り替える。前記基板には、1又は複数の電子部品が実装される。前記漏電検出部は、前記複数相の電路に関する漏電を検出する。前記駆動部は、前記漏電検出部における漏電の検出結果に応じて作動し、前記複数の接点部を開極する。前記複数の開閉部は、一の方向に並んで配置されて、開閉ユニットを構成する。前記基板、前記漏電検出部、及び前記駆動部のうちのいずれか1つと、その残りの2つとは、前記一の方向における前記開閉ユニットの両側に分離して配置される。前記基板、前記漏電検出部、及び前記駆動部のうち、前記基板と前記漏電検出部とは、前記一の方向における前記開閉ユニットの両側のうちの同じ一方の側に配置される。
本開示の更に別の一態様の漏電保護装置は、複数の開閉部と、基板と、漏電検出部と、駆動部と、を備える。前記複数の開閉部は、複数相の電路に挿入された複数の接点部とそれぞれ一対一に対応し、対応する接点部を開極することで対応する相の電路を導通状態から遮断状態に切り替える。前記基板には、1又は複数の電子部品が実装される。前記漏電検出部は、前記複数相の電路に関する漏電を検出する。前記駆動部は、前記漏電検出部における漏電の検出結果に応じて作動し、前記複数の接点部を開極する。前記複数の開閉部は、一の方向に並んで配置されて、開閉ユニットを構成する。前記基板、前記漏電検出部、及び前記駆動部のうちのいずれか1つと、その残りの2つとは、前記一の方向における前記開閉ユニットの両側に分離して配置される。前記1又は複数の電子部品は、前記駆動部を制御する制御部を構成する制御用電子部品を含む。前記基板は、その厚み方向が前記一の方向に沿うように配置される。前記制御用電子部品は、前記基板の、前記開閉ユニットと対向する第1面とは反対側の第2面に実装される。
【0007】
本開示の一態様の分電盤は、上記のいずれかの漏電保護装置と、前記漏電保護装置を収容する筐体と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、小型化を図ることができる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る漏電保護装置の概念図である。
【
図2】
図2は、同上の漏電保護装置の上方から見た外観斜視図である。
【
図3】
図3は、同上の漏電保護装置の下方から見た外観斜視図である。
【
図4】
図4は、同上の漏電保護装置における第1ブロックと第2ブロックとを分離させた状態の斜視図である。
【
図5】
図5は、同上の漏電保護装置の断面図である。
【
図6】
図6は、同上の漏電保護装置における一部を取り外した状態の、右方から見た斜視図である。
【
図7】
図7は、同上の漏電保護装置における一部を取り外した状態の、右方から見た斜視図である。
【
図8】
図8は、同上の漏電保護装置における一部を取り外した状態の、左方から見た斜視図である。
【
図9】
図9は、同上の漏電保護装置における要部の斜視図である。
【
図10】
図10は、同上の漏電保護装置における要部の断面図である。
【
図11】
図11は、一実施形態に係る分電盤の模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(1)概要
以下の実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、各図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0011】
本実施形態に係る漏電保護装置1(
図1参照)は、複数の開閉部2と、基板B1と、漏電検出部3と、駆動部4と、を備える。また本実施形態に係る分電盤100(
図11参照)は、漏電保護装置1と、漏電保護装置1を収容する筐体101と、を備える。分電盤100は、一例として、住宅用の分電盤であり、宅内の壁T1(
図11参照)等の造営面T11に取り付けられるが、住宅用の分電盤に限定されない。分電盤100は、オフィスビル、商業施設、ホテル、病院、工場、及び学校等の、非住宅用の分電盤であってもよい。
【0012】
漏電保護装置1の複数の開閉部2(ここでは3つ)は、複数相の電路に挿入された複数の接点部P0とそれぞれ一対一に対応する。各開閉部2は、対応する接点部P0を開極することで対応する相の電路を導通状態から遮断状態に切り替える。ここでは一例として、系統電源からの電力供給方式が三相4線方式であるものとし、漏電保護装置1は、三相4線方式の電力供給方式に適用可能に構成される。したがって、「複数相の電路」は、
図1に示すように、例えば、R相(第一相)の電路L1と、S相(第二相)の電路L2と、T相(第三相)の電路L3と、から構成されるものとする。以下、R相の電路L1に挿入された接点部P0を、第1接点部P1と呼び、S相の電路L2に挿入された接点部P0を、第2接点部P2と呼び、T相の電路L3に挿入された接点部P0を、第3接点部P3と呼ぶこともある。
【0013】
漏電保護装置1の基板B1には、
図1に示すように、複数の電子部品E1(1つでもよい)が実装される。漏電検出部3は、複数相の電路(L1~L3)に関する漏電を検出する。漏電検出部3は、零相変流器30(ZCT:Zero-phase-sequence Current Transformer)を含む。
【0014】
駆動部4は、漏電検出部3における漏電の検出結果に応じて作動し、複数の接点部P0を開極する。複数の開閉部2は、一の方向(
図1では左右方向)に並んで配置されて、開閉ユニット(第1開閉ユニットU1)を構成する。なお、漏電保護装置1は、第1開閉ユニットU1の左横に隣接して第2開閉ユニットU2(開閉部X0)を備えている。開閉部X0は、N相(第四相:中性相)の電路L4に挿入された接点部P0(第4接点部P4と呼ぶ)を開極することでN相の電路L4を導通状態から遮断状態に切り替える。
【0015】
ここで本実施形態では、基板B1、漏電検出部3、及び駆動部4のうちのいずれか1つと、その残りの2つとは、一の方向における第1開閉ユニットU1の両側に分離して配置される。ここでは一例として、駆動部4が、一の方向における第1開閉ユニットU1の両側の一方側(
図1では左側)に配置され、漏電検出部3及び
基板B1が他方側(
図1では右側)に配置される。
図1は、漏電保護装置1における配置関係をより理解し易くするための模式的な概念図であり、一部の構成要素の図示を適宜に省略している。
【0016】
この構成によれば、基板B1、漏電検出部3、及び駆動部4のうちのいずれか1つと、その残りの2つとは、一の方向における第1開閉ユニットU1の両側に分離して配置される。そのため、例えば特許文献1に記載の漏電保護装置に比べて、小型化を図ることができる。
【0017】
特にここでは、駆動部4が、N相の電路L4に対応する開閉部X0の器体X1内に配置されるため、小型化を更に図ることができる。
【0018】
(2)詳細
以下、本実施形態に係る漏電保護装置1の全体構成について、
図1~
図10を参照しながら詳しく説明する。
【0019】
(2.1)全体構成
以下の説明では、
図2等においてX軸に沿った方向を左右方向とし、X軸の正の向きを右側と規定する。またY軸に沿った方向を前後方向とし、Y軸の正の向きを前側と規定する。さらにZ軸に沿った方向を上下方向とし、Z軸の正の向きを上側と規定する。ただし、これらの方向は一例であり、漏電保護装置1の使用時の方向を限定する趣旨ではない。また、図面中の各方向を示す矢印は説明のために表記しているに過ぎず、実体を伴わない。
【0020】
漏電保護装置1は、
図2及び
図3に示すように、全体として略直方体形状の外郭を有している。漏電保護装置1は、上述の通り、例えば三相4線方式の電力供給方式に適用可能に構成される。
【0021】
漏電保護装置1は、第1開閉ユニットU1、第2開閉ユニットU2、制御ユニットU3、及び負荷端子ユニットU4を備えている(
図1~
図3参照)。また漏電保護装置1は、連動リンク9(
図9参照)、連動ハンドル10、及び化粧カバー11を更に備えている。
【0022】
(2.2)第1開閉ユニット
第1開閉ユニットU1は、3つの開閉部2により構成される。3つの開閉部2は、一の方向(左右方向)に並んで配置される。3つの開閉部2は、
図1に示すように、(左から順に)R相、S相、及びT相の電路L1~L3に挿入された第1~第3接点部P1~P3とそれぞれ一対一に対応し、対応する接点部P0を開極することで対応する相の電路を導通状態から遮断状態に切り替える。3つの開閉部2は、互いに、実質的に同じ構成を有しているため、ここでは、3つの開閉部2のうち、T相の電路L3における第3接点部P3に対応する開閉部2についてのみ、主に
図6を参照しながら説明する。
図6では、制御ユニットU3等が外されている。
【0023】
開閉部2は、左右方向に厚み方向を有した、扁平な器体20を有している。器体20は、例えば、電気絶縁性を有した合成樹脂材料により形成されている。器体20は、左右方向に略半分に分割された半割ケースが互いに組み付けられることで構成される。
図6は、右側の半割ケースが外された状態のT相の開閉部2を示す。
【0024】
開閉部2は、一対のねじ端子21(ねじ付き端子)を更に有している。一対のねじ端子21のうち一次側(系統電源側)の第1ねじ端子211(
図6参照)は、器体20内における上部に配置される。すなわち、第1ねじ端子211は、本実施形態における「電源端子6」に相当する。言い換えると、漏電保護装置1は、複数の電源端子6を備えている。器体20は、電源端子6のねじの頭部を外部に露出するための貫通孔213(
図2~
図4参照)を有している。器体20は、その上面において、系統電源側の電線W2(
図11参照)を差し込むための差込口214(
図2及び
図4参照)を有している。電線W2は、導体からなる心線が絶縁被覆で覆われた絶縁電線である場合、絶縁被覆が剥かれた電線の先端部、つまり心線のみが、差込口214から挿入さ得る。電線W2は、心線が1本の導体からなる単線と、心線が複数本の導線からなる撚り線とのいずれであってもよい。電線W2が差込口214から差し込まれた状態で、ドライバー等の工具の先端を貫通孔213から挿入して、電源端子6のねじを締め付けることで、電線W2が電源端子6に接続される。要するに、3つの開閉部2の3つの電源端子6は、R相、S相、T相の電路L1~L3にそれぞれ対応して設けられ、系統電源側の電線W2が電気的に接続される。
【0025】
一対のねじ端子21のうち二次側の第2ねじ端子212は、器体20内における下部に配置される。第2ねじ端子212は、後述する負荷端子ユニットU4の4つの負荷端子5のうちの対応する1つの負荷端子5と接続線(接続線J1~J4のいずれか)を介して電気的に接続される。器体20は、第2ねじ端子212のねじの頭部を外部に露出するための貫通孔215(
図6~
図8参照)を有している。
【0026】
各開閉部2の貫通孔215は、化粧カバー11(
図4参照)によって覆われる。化粧カバー11は、全体として左右方向の長尺の矩形板状となっている樹脂成型品である。化粧カバー11は、その背面の下端部付近に設けられた一対の鉤状の引っ掛け片111と、一対の引っ掛け片111の間に配置された突起112とを有している。また化粧カバー11は、その背面における左右両端付近からそれぞれ突出する一対のガイド筒113を更に有している。化粧カバー11は、一対の引っ掛け片111及び突起112が負荷端子ユニットU4の(後述する)カバーH3に引っ掛けられて、一対のガイド筒113が(N相とT相の)2つの貫通孔215に嵌入することで保持される。
【0027】
また開閉部2は、
図6に示すように、接点部P0、リンク機構12(操作ハンドル)、トリップ機構13、及び消弧装置14等を更に有していて、これらは器体20内に収容、又は器体20に保持される。
【0028】
接点部P0は、一対のねじ端子21間を繋ぐ電路に設けられている。接点部P0は、
図6に示すように、固定接点A1と、固定接点A1に対して接触又は離間する可動接点A2と、を有している。固定接点A1は、例えば、固定接点板15に固着されている。しかし、固定接点A1は、固定接点板15の一部として一体となっていてもよい。可動接点A2は、アーム16(可動接触子)の一端にある。可動接点A2は、アーム16の一部として一体となっている。ただし、可動接点A2は、アーム16と別部材となっていて、アーム16の一端に固着されてもよい。アーム16は、その他端の側に設けられた軸を支点として、可動接点A2が固定接点A1と接触する位置と、固定接点A1から離れる位置との間で回転可能となっている。固定接点板15及びアーム16は、一対のねじ端子21間を繋ぐ電路の一部を構成する。
【0029】
リンク機構12は、
図6に示すように、操作ハンドル120と、複数のリンク部材121とを有している。リンク機構12は、操作ハンドル120への開操作(オフ操作)又は閉操作(オン操作)に応じて、接点部P0を、開極又は閉極させるように構成される。ただし、連動ハンドル10によって3つの開閉部2及び1つの開閉部X0の全ての接点部P0は、連動して開極又は閉極させるように構成される。
【0030】
操作ハンドル120は、器体20の前壁に設けた窓孔からレバー(操作摘み)を器体20の外部に突出させた状態で、器体20に回転可能に支持される。レバーには、左右方向に長尺の連動ハンドル10が係合している。各リンク部材121は、操作ハンドル120とアーム16とを連結し、操作ハンドル120の回転動作に伴ってアーム16を連動させる。操作ハンドル120は、接点部P0を閉極させるオン位置と、接点部P0を開極させるオフ位置との間で回転可能となっている。またリンク部材121は、トリップ機構13によるトリップ時に、連動リンク9を連動させる。
【0031】
図1~
図9は、全て接点部P0が開極状態にある漏電保護装置1を示していて、操作ハンドル120のレバーは、下方に傾いた状態にある。
【0032】
トリップ機構13は、過電流(短絡電流及び過負荷電流)が検知されると、上述したリンク機構12を駆動して、接点部P0を、強制的に開極させる(すなわち、トリップさせる)ように構成される。トリップ機構13は、
図5及び
図6に示すように、コイル130と、ヨーク131と、固定鉄心と、可動鉄心135と、プッシングピン134(
図5参照)と、復帰ばねとを有していて、これらが電磁式引き外し装置を構成する。またトリップ機構13は、バイメタル板132を有していて、バイメタル板132が熱動式引き外し装置を構成する。ここではバイメタル板132が「熱動素子8」に相当する。言い換えると、各開閉部2は、熱動素子8を備えている。熱動素子8は、温度上昇に応じて対応する接点部P0を開極する。
【0033】
まず電磁式引き外し装置について説明する。コイル130は、その軸方向を上下方向に向けて器体20内に収容されている。コイル130の第1端は、ヨーク131の一部を介して、固定接点板15と電気的に接続され、コイル130の第2端は、第2ねじ端子212と電気的に接続される。すなわち、コイル130は、一対のねじ端子21間を繋ぐ電路の一部を構成する。
【0034】
固定鉄心は、磁性材料から形成されていて、コイルボビン133内に収容されている。可動鉄心135は、磁性材料から形成されていて、コイルボビン133内において、固定鉄心と接触する位置と、固定鉄心から離れる位置との間でスライド可能に配置される。復帰ばねは、例えばコイルばねから構成され、コイルボビン133内において可動鉄心135と固定鉄心との間に収容されている。復帰ばねは、可動鉄心135が固定鉄心に接触する向きに移動すると撓み、可動鉄心135を固定鉄心から離れる向きに移動させる弾性力を発生する。プッシングピン134は、可動鉄心135に結合しており、その先端がコイルボビン133の外側に突出する。そして、プッシングピン134は、可動鉄心135が固定鉄心に吸引されると、その先端がリンク部材121の一部と協働するように構成されている。ヨーク131は、磁性材料から形成されており、コイル130の周囲を覆うように湾曲して形成されている。
【0035】
短絡電流が、電路の一部を構成するコイル130に流れると、ヨーク131や可動鉄心135等によって形成される磁路の磁気抵抗を小さくするように、復帰ばねのばね力に抗して可動鉄心135が上方に変位する。これに連動してプッシングピン134が上方に突出する。この時プッシングピン134の押力がリンク機構12を介して、アーム16に伝達されることで、可動接点A2を固定接点A1から引き離すようにアーム16が駆動される。すなわち、接点部P0がトリップされる。これと同時にリンク機構12が連動リンク9を連動させる。連動リンク9は、シャフト91を中心に回転することで、他の開閉部2及び開閉部X0においても接点部P0をトリップさせる。また各操作ハンドル120のレバーもオン位置からオフ位置に回転する(下方に傾いた状態へ移行)。短絡電流が停止すると、復帰ばねのばね力により、可動鉄心135が下方に変位して、プッシングピン134も元の位置に復帰する。その後、4つの操作ハンドル120を一体的に連結している連動ハンドル10を手動で上方に移動させることで、全ての接点部P0を一斉に元の閉極状態に戻すことができる。
【0036】
次に熱動式引き外し装置について説明する。バイメタル板132(熱動素子8)としては、自己発熱によって湾曲する形式の直熱型、又はヒータによる加熱で湾曲する傍熱型のものを用いることができる。バイメタル板132(熱動素子8)は、一対のねじ端子21間を繋ぐ電路に設けられている。バイメタル板132の一端は、バイメタル板132が湾曲すると、リンク部材121の一部と協働するように構成されている。バイメタル板132の一端側は、例えば編組線等の導線を介して、アーム16と電気的に接続される。またバイメタル板132の他端は、固定板19(
図9参照)を介して、電源端子6(第1ねじ端子211)と電気的に接続される。
【0037】
バイメタル板132は、例えば過負荷による過電流が流れると、バイメタル板132の温度が上昇し、その一端が上側へ変位させる方向に曲がるように変形する。バイメタル板132の一端が変形すると、バイメタル板132の押力が、リンク機構12を介してアーム16に伝達されることで、可動接点A2を固定接点A1から引き離すようにアーム16が駆動される。すなわち、接点部P0がトリップされる。これと同時にリンク機構12が連動リンク9を連動させる。連動リンク9は、シャフト91を中心に回転することで、他の開閉部2及び開閉部X0においても接点部P0をトリップさせる。また各操作ハンドル120のレバーもオン位置からオフ位置に回転する(下方に傾いた状態へ移行)。過負荷による過電流が停止すると、バイメタル板132の温度が低下して元の形状に復帰する。その後、連動ハンドル10を手動で上方に移動させることで、全ての接点部P0を一斉に元の閉極状態に戻すことができる。
【0038】
消弧装置14は、接点部P0の開極時に発生するアークを速やかに消弧するように構成される。消弧装置14は、
図6に示すように、アーク走行板140と、消弧グリッド141とを有している。アーク走行板140は、帯板状の金属板を折り曲げることによって形成され、その一端は、バイメタル板132の後端と結合されている。消弧グリッド141は、複数枚の消弧板と、支持部とを有している。複数枚の消弧板は、導電性材料によって形成されており、前後方向に沿って間隔をおいて平行配置される。支持部は、電気絶縁性材料によって形成されており、複数枚の消弧板を支持する。消弧装置14は、可動接点A2が固定接点A1から引き離されたときに発生したアークを引き伸ばすと共に分断して消弧する。器体20の背壁には、上記のアークにより発生したガスを排出するための排気口が設けられている。
【0039】
(2.3)第2開閉ユニット
第2開閉ユニットU2は、
図1に示すように、1つの開閉部X0により構成される。開閉部X0は、3つの開閉部2が並ぶ並び方向(左右方向)に沿って並んで配置される。
【0040】
開閉部X0は、N相の電路L4に挿入された第4接点部P4と対応し、第4接点部P4を開極することで対応するN相の電路L4を導通状態から遮断状態に切り替える。
【0041】
以下、開閉部X0について、主に
図8を参照しながら説明する。ただし、3つの開閉部2と実質的に共通する構成要素については、同じ参照符号を付与して適宜に説明を省略する場合もある。
図8では、
図6と同様に、制御ユニットU3等が外されている。
【0042】
開閉部X0は、左右方向に厚み方向を有した、扁平な器体X1を有している。器体X1は、例えば、電気絶縁性を有した合成樹脂材料により形成されている。器体X1は、一の方向(左右方向)における第1開閉ユニットU1の両側のうちの一方の側(左側)に配置されて、N相(中性相)の電路L4の一部を覆う。言い換えると、ここでは開閉部X0は、R相の開閉部2の左側に配置される。器体X1は、左右方向に略半分に分割された半割ケースが互いに組み付けられることで構成される。
図8では、左側の半割ケースが外された状態の開閉部X0を示す。ここでは、器体X1の外郭は、各開閉部2の器体20と略同形で同寸法である。したがって、同じ幅寸法(左右方向の寸法)の開閉部X0及び3つの開閉部2が、
図1に示すように、横一列に隣接して配置されることで、一体感のある漏電保護装置1が提供される。
【0043】
開閉部X0は、各開閉部2と同様に、一対のねじ端子21(ねじ付き端子)、すなわち一次側(系統電源側)の第1ねじ端子211と、二次側の第2ねじ端子212と、を有している。第1ねじ端子211は、電源端子6に相当する。器体X1は、電源端子6のねじの頭部を外部に露出するための貫通孔213を有している。器体X1は、その上面において、系統電源側の電線W2を差し込むための差込口214を有している。第2ねじ端子212は、負荷端子ユニットU4の4つの負荷端子5のうちの対応する1つの負荷端子5と接続線(接続線J1~J4のいずれか)を介して電気的に接続される。器体X1は、第2ねじ端子212のねじの頭部を外部に露出するための貫通孔215を有している。開閉部X0の貫通孔215は、化粧カバー11によって覆われる。
【0044】
また開閉部X0は、
図8に示すように、接点部P0(第4接点部P4)、リンク機構X2(操作ハンドル)、及びトリップ機構X3等を更に有していて、これらは器体X1内に収容、又は器体X1に保持される。なお、開閉部X0は、消弧装置を備えていない。
【0045】
第4接点部P4は、一対のねじ端子21間を繋ぐ電路に設けられている。第4接点部P4は、各開閉部2の接点部P0と同様に、固定接点A1と可動接点A2とを有している。固定接点A1は固定接点板15に固着され、可動接点A2はアーム16の一端にある。なお、固定接点板15は、例えば編組線等の導線を介して、第2ねじ端子212と電気的に接続されている。
【0046】
リンク機構X2は、
図8に示すように、操作ハンドル120と、トーションばね等の複数のリンク部材X21とを有している。リンク機構X2は、操作ハンドル120への開操作(オフ操作)又は閉操作(オン操作)に応じて、第4接点部P4を、開極又は閉極させるように構成される。操作ハンドル120は、器体X1の前壁に設けた窓孔からレバーを器体X1の外部に突出させた状態で、器体X1に回転可能に支持される。各リンク部材X21は、操作ハンドル120とアーム16とを連結し、操作ハンドル120の回転動作に伴ってアーム16を連動させる。操作ハンドル120は、第4接点部P4を閉極させるオン位置と、第4接点部P4を開極させるオフ位置との間で回転可能となっている。またリンク部材X21は、トリップ機構X3によるトリップ時に、連動リンク9を連動させる。
【0047】
トリップ機構X3は、漏洩電流(漏電)が検知されると、上述したリンク機構X2を駆動して、第4接点部P4を、強制的に開極させる(すなわち、トリップさせる)ように構成される。つまり、トリップ機構X3が、本実施形態における「駆動部4」に相当する。言い換えると、駆動部4は、漏電検出部3における漏電の検出結果に応じて作動し、第1接点部P1~第3接点部P3を開極するように構成される。ただしここでは、駆動部4は、第4接点部P4も開極するように構成される。
【0048】
トリップ機構X3は、
図8に示すように、漏電引き外しコイルX31、コイルボビンX32、トリップピン、及び可動プランジャX33等を有していて、これらが電磁式引き外し装置を構成する。トリップ機構X3は、各開閉部2のトリップ機構13と異なり、バイメタル板(熱動素子)を有していない。開閉部X0では、アーム16は、例えば編組線等の導線を介して、電源端子6に電気的に接続されている。
【0049】
漏電引き外しコイルX31は、その軸方向を上下方向に向けて器体X1内に収容されている。漏電引き外しコイルX31の両端は、(後述する)制御ユニットU3の制御部C1と電気的に接続されている。トリップピン及び可動プランジャX33は、漏電引き外しコイルX31内に収容されている。可動プランジャX33は、磁性材料から形成されていて、トリップピンに結合されている。トリップピンの先端は、漏電引き外しコイルX31の外側に突出し、リンク部材X21の一部と対向する。
【0050】
漏洩電流が制御ユニットU3の漏電検出部3にて検出されると、制御ユニットU3の制御部C1は、漏電引き外しコイルX31に駆動電流を流す。その結果、可動プランジャX33は、漏電引き外しコイルX31内に形成される磁力によって、トリップピンを押し上げるように上方に変位する。この時トリップピンの押力が、リンク機構X2を介して、アーム16に伝達されることで、可動接点A2を固定接点A1から引き離すようにアーム16が駆動される。すなわち、第4接点部P4がトリップされる。これと同時にリンク機構X2が連動リンク9を連動させる。連動リンク9は、シャフト91を中心に回転することで、3つの開閉部2においても接点部P0をトリップさせる。また各操作ハンドル120のレバーもオン位置からオフ位置に回転する(下方に傾いた状態へ移行)。漏洩電流が停止すると、制御ユニットU3の制御部C1は、駆動電流を停止させるため、トリップピン及び可動プランジャX33は、自重により元の位置に復帰する。その後、これらの操作ハンドル120を一体に連結している連動ハンドル10を手動で上方に移動させることで、第4接点部P4を含む全ての接点部P0を一斉に元の閉極状態に戻すことができる。
【0051】
ところで、漏電保護装置1は、試験機能を有している。具体的には、開閉部X0は、
図8に示すように、擬似漏電発生部X4を更に有している。擬似漏電発生部X4は、試験ボタンX41(操作部)と、試験ボタンX41への押し操作により閉極する接点部X42と、を有している。接点部X42は、常時開極である。試験ボタンX41は、その一部が器体X1の前壁に形成されている窓孔から突出し、器体X1によって後退可能に保持される。接点部X42は、トーションばねX43、及び擬似的な漏電電流が通る擬似漏電用電路の一部を構成する一対の導体ピンX44等を有している。擬似漏電用電路は、制御部C1と電気的に繋がっている。擬似漏電用電路の一部を構成する配線は、零相変流器30の孔を通っている。トーションばねX43の一端は、一対の導体ピンX44の一方と常時接触している。試験ボタンX41への押し操作により、試験ボタンX41がトーションばねX43の他端を押し下げて、トーションばねX43が一対の導体ピンX44の他方と接触する。その結果、接点部X42は閉極して、擬似的な漏電電流が、擬似漏電用電路を流れる。制御部C1は、漏電が発生していると判断して、駆動電流を漏電引き外しコイル31に流す。要するに、試験ボタンX41を押すことで、漏電保護装置1に、漏電の発生時と同様の動作を実行させることができる。
【0052】
(2.4)制御ユニット
制御ユニットU3は、
図1及び
図5に示すように、基板B1、制御部C1、漏電検出部3、器体G1、及びホルダー17等を有している。
【0053】
器体G1は、全体として、左右方向に厚み方向を有した扁平な矩形の箱状となっている。器体G1は、例えば、電気絶縁性を有した合成樹脂材料により形成されている。器体G1は、ベースG2とカバーG3とを有している。器体G1は、右面が開放された矩形の箱状のベースG2に、左面が開放された矩形の箱状のカバーG3を組み付けることで構成される。器体G1は、基板B1、制御部C1、及び漏電検出部3等を内部に収容する。器体G1は、第1開閉ユニットU1の右側に配置される。言い換えると、ここでは制御ユニットU3は、T相の開閉部2の右側に配置される。
【0054】
器体G1の外郭は、その左右方向の寸法(幅)と前後方向の寸法とが、各開閉部2の器体20及び開閉部X0の器体X1と、略同寸法である。したがって、器体X1、3つの器体20、及び器体G1が、
図2及び
図3に示すように、横一列に隣接して配置されることで、一体感のある漏電保護装置1が提供される。
【0055】
基板B1は、例えば1枚のプリント配線板である。ただし、基板B1の枚数は特に限定されない。基板B1上には、導体のパターン配線が形成されている。
図1に示すように、基板B1には、複数の電子部品E1(1つでもよい)が実装される。複数の電子部品E1は、2枚以上の基板B1に、分散的に実装されてもよい。
【0056】
基板B1は、その厚み方向が左右方向に沿うように配置される。基板B1は、ベースG2の内面から右方に突出する支柱G5(
図7参照)等により位置決めされている。
図7では、カバーG3が外されている。
【0057】
基板B1は、左右方向における中央よりも器体G1の右壁寄りの位置で保持されている(
図1及び
図5参照)。基板B1上に実装される複数の電子部品E1は、制御部C1を構成する制御用電子部品E10、及び電源回路を構成する電子部品等を含む。ここでは制御用電子部品E10は、ICチップである。
【0058】
制御用電子部品E10は、基板B1の第1面B11とは反対側の第2面B12(右面)に実装される。すなわち、制御用電子部品E10の本体が、第2面B12上に配置される。第1面B11は、(器体G1の壁を介して)第1開閉ユニットU1と対向する面(左面)である。その他の電子部品E1は、第1面B11又は第2面B12に分散的に実装される。その他の電子部品E1のうち、背高部品は、第1面B11に実装されてもよい。背高部品の例としては、端子台、コンデンサ、及び雷サージ等から回路を保護するサージ吸収素子(ZNR:Zinc oxide Nonlinear Resistor)等が挙げられる。
【0059】
漏電検出部3は、複数相の電路L1~L3に関する漏電を検出するセンサである。漏電検出部3は、物理量として漏洩電流を検出する。漏電検出部3は、上述の通り、零相変流器30を含む。零相変流器30は、全体として円環状に形成されていて軸方向を有する。零相変流器30の出力線は、制御部C1に電気的に接続される。零相変流器30の孔には、4本の接続線J1~J4と、上述した擬似漏電用電路の一部を構成する配線とが通されている。零相変流器30は、器体G1内の下部において、軸方向が左右方向に沿うように収容される。ただし、零相変流器30は、その左側面が器体G1から露出するように配置される。言い換えると、器体G1は、その左側面に、零相変流器30の一部を露出するための開口部G4(
図5参照)を有している。ホルダー17は、例えば樹脂製の成型品であり、カバーG3に固定されている。ホルダー17は、器体G1内で、零相変流器30を安定的に保持する。
【0060】
制御部C1は、例えば、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしての1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを主構成とする。コンピュータシステムの1以上のメモリに記録されたプログラムを1以上のプロセッサが実行することによって、制御部C1の機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムの1以上のメモリに予め記録されている。なお、プログラムは、電気通信回線を通じて提供されてもよいし、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。また制御部C1は、プロセッサ等のデジタルICによる構成に限定されず、アナログICにより構成されてもよい。
【0061】
制御部C1は、駆動部4(トリップ機構X3)を制御するように構成される。具体的には、制御部C1は、零相変流器30を介して漏電電流を検出した場合に、開閉部X0内の漏電引き外しコイルX31に駆動電流を流して、第4接点部P4を含めた4つの接点部P0を、強制的に開極させる。
【0062】
制御部C1は、系統電源から、基板B1にある電源回路を介して、動作電源を受け取る。具体的には、電源回路が、系統電源から受け取った交流電源を所定電圧値の直流電圧に変換して、制御部C1に供給する。
【0063】
ここで、漏電保護装置1の使用中で、漏電が発生していない場合、電気機器等の負荷に対する往復電流によって発生する磁束が相殺されて、零相変流器30の出力線から制御部C1への出力がゼロになる。一方、漏電が発生した場合、2つの電路(4つの接続線J1~J4のいずれか2つ)に流れる電流が不平衡になり、零相変流器30の出力線には不平衡度合いに応じた電流が流れる。したがって、制御部C1は、零相変流器30の出力に基づいて漏電(漏洩電流)が発生しているか否かを検知できる。制御部C1は、漏電を検知すると、駆動電流(励磁電流)を生成させて漏電引き外しコイルX31に流し、駆動部4(トリップ機構X3)にトリップ動作を行わせる。試験ボタンX41が押された場合においても、零相変流器30の出力線には不平衡度合いに応じた電流が流れるため、制御部C1は、同様に、駆動部4にトリップ動作を行わせる。
【0064】
(2.5)負荷端子ユニット
負荷端子ユニットU4は、
図4~
図8に示すように、複数の負荷端子5(ここでは4つ)と、保持部材18と、器体H1と、を有している。
【0065】
4つの負荷端子5は、N相、R相、S相、T相の電路L1~L4にそれぞれ対応して設けられ、負荷側の電線W1(
図11参照)が接続される。各負荷端子5は、ねじ端子(ねじ付き端子)である。4つの負荷端子5のうち3つの負荷端子5は、第1開閉ユニットU1を正面から見て、第1開閉ユニットU1の、一の方向(左右方向)と直交する直交方向における一方の側(下側)に配置され、残り1つの負荷端子5は、第2開閉ユニットU2の下側に配置される。
【0066】
4つの負荷端子5は、4本の接続線J1~J4を介して、4つの第2ねじ端子212と、それぞれ一対一で電気的に接続される。接続線J1~J3は、R相、S相、T相の開閉部2の第2ねじ端子212にそれぞれ接続される。接続線J4は、N相の開閉部2の第2ねじ端子212に接続される。
【0067】
器体H1は、全体として、左右方向に長尺の矩形の箱状となっている。器体H1は、例えば、電気絶縁性を有した合成樹脂材料により形成されている。器体H1は、ケースH2と、カバーH3とを有している。なお、
図6~
図8では、ケースH2及びカバーH3の図示を省略している。
【0068】
ケースH2は、その前面が開放されていて、各負荷端子5を個別に収容するための収容部を有している。カバーH3は、ケースH2の開放された前面を覆うように、ケースH2に組み付けられる。カバーH3は、4つの負荷端子5のねじの頭部をそれぞれ露出するための4つの窓孔H30を有している。ケースH2は、その下面において、負荷側の電線W1を差し込むための差込口H20(
図3参照)を有している。電線W2は、導体からなる心線が絶縁被覆で覆われた絶縁電線である場合、絶縁被覆が剥かれた電線の先端部、つまり心線のみが、差込口H20から挿入さ得る。電線W1は、心線が1本の導体からなる単線と、心線が複数本の導線からなる撚り線とのいずれであってもよい。電線W1が差込口H20から差し込まれた状態で、ドライバー等の工具の先端を窓孔H30から挿入して、負荷端子5のねじを締め付けることで、電線W1が負荷端子5に接続される。要するに、4つの負荷端子5は、R相、S相、T相、N相の電路L1~L4にそれぞれ対応して設けられ、負荷側の電線W1が電気的に接続され得る。
【0069】
またカバーH3は、その前面に3つの係止孔H31(
図4参照)を有している。化粧カバー11の一対の引っ掛け片111及び突起112が3つの係止孔H31に引っ掛けられた状態で、化粧カバー11の一対のガイド筒113が(N相とT相の)2つの貫通孔215に嵌入することで、化粧カバー11が保持される。この状態で、化粧カバー11は、4つの貫通孔215を覆い隠す。
【0070】
保持部材18は、
図5~
図8及び
図10に示すように、4つの接続線J1~J4を保持するように構成された部材である。保持部材18は、例えば樹脂成型品である。保持部材18は、左右方向に長尺で扁平な略矩形の箱状となっている。保持部材18は、その上面が開放されている。保持部材18は、その厚み方向が上下方向に沿うように器体H1内に収容される。保持部材18は、4つの負荷端子5と4つの第2ねじ端子212との間に介在するように配置される。
【0071】
保持部材18は、
図10に示すように、4本の接続線J1~J4をそれぞれ個別に収容するための収容凹部181~184を有している。収容凹部181~184は、第2ねじ端子212から離れる方向に凹んでいる。
図10は、漏電保護装置1を保持部材18より少し上で水平面に沿って切断した断面を上側から見た図である。
【0072】
接続線J1は、その一端がR相の開閉部2の第2ねじ端子212に接続されて、収容凹部181内に収容された状態で、零相変流器30に向かって右方(X軸の正の向き)へ延びている。そして接続線J1は、零相変流器30の孔を通った後に、下方に曲げられて保持部材18の下部の溝185に沿って再び左方(X軸の負の向き)に延びている。接続線J1の他端J11は、R相の第2ねじ端子212の真下にある負荷端子5と接続されている。具体的には、保持部材18は、負荷端子5の端子板51の先端を保持部材18の上側へ導出するための凹所186を有している。接続線J1の他端J11は、凹所186から導出された端子板51の先端に接続されている。
【0073】
接続線J2は、その一端がS相の開閉部2の第2ねじ端子212に接続されて、収容凹部182内に収容された状態で、零相変流器30に向かって右方(X軸の正の向き)へ延びている。そして接続線J2は、零相変流器30の孔を通った後に、上方に曲げられて保持部材18の上部のスリット187に沿って再び左方(X軸の負の向き)に延びている。接続線J2の他端J21は、S相の第2ねじ端子212の真下にある負荷端子5の端子板51(
図6参照)と接続されている。
【0074】
接続線J3は、その一端がT相の開閉部2の第2ねじ端子212に接続されて、収容凹部183内に収容された状態で、零相変流器30に向かって右方(X軸の正の向き)へ延びている。そして接続線J3は、零相変流器30の孔を通った後に、下方に曲げられて保持部材18の下部のスリット188に沿って再び左方(X軸の負の向き)に延びている。接続線J3の他端J31は、T相の第2ねじ端子212の真下にある負荷端子5の端子板51(
図6参照)と接続されている。
【0075】
接続線J4は、その一端がN相の開閉部X0の第2ねじ端子212に接続されて、収容凹部184内に収容された状態で、零相変流器30に向かって右方(X軸の正の向き)へ延びている。そして接続線J4は、零相変流器30の孔を通った後に、上方に曲げられて保持部材18の上部の溝189に沿って再び左方(X軸の負の向き)に延びている。接続線J4の他端J41は、N相の第2ねじ端子212の真下にある負荷端子5と接続されている。具体的には、保持部材18は、負荷端子5の端子板51の先端を保持部材18の上側へ導出するための凹所190を有している。接続線J4の他端J41は、凹所190から導出された端子板51の先端に接続されている。
【0076】
要するに、4つの接続線J1~J4は、4つの負荷端子5と4つの第2ねじ端子212とを単に電気的に接続するだけでなく、途中で、制御ユニットU3に配置された零相変流器30の孔を通る必要がある。そのため、4本の接続線J1~J4は、迂回するように引き回しされる。保持部材18は、4本の接続線J1~J4を引き回しされた状態で安定的に保持するように構造される。
【0077】
特に保持部材18においては、4つの接続線J1~J4が零相変流器30の孔内における四隅をそれぞれ通るように(
図6及び
図7参照)、収容凹部181~184等の位置関係が規定されている。したがって、4つの接続線J1~J4が、迂回するように引き回されているにも関わらず、それらが互いに干渉し合う可能性を低減できる。
【0078】
ケースH2は、例えば複数の係止片を、背壁に有している。負荷端子ユニットU4は、複数の係止片が第1開閉ユニットU1の背壁に形成されている係止溝に引っ掛けられることで、第1開閉ユニットU1に固定される。またケースH2及びカバーH3は、それぞれ右端部に、差込片H21及びH32を有している(
図4参照)。各開閉部2の器体20、開閉部X0の器体X1、及び制御ユニットU3の器体G1は、2本のリベットK1がそれぞれ挿通される貫通孔を有している。また各開閉部2の器体20、及び開閉部X0の器体X1は、4本のリベットK2がそれぞれ挿通される貫通孔を有している。
【0079】
例えば、4本のリベットK2を3つの器体20及び器体X1の貫通孔に挿通し、先端をかしめることで、3つの開閉部2及び1つの開閉部X0が一体的に組み付けられる。さらに例えば、負荷端子ユニットU4の差込片H21及びH32が制御ユニットU3のカバーG3より内側に差し込まれた状態で、2本のリベットK1を3つのユニットU1~U3の貫通孔に通し、先端をかしめることで、これらのユニットU1~U4が組み付けられる。
【0080】
(2.6)連動リンク
連動リンク9(
図9参照)は、3つの開閉部2と機械的に接続されて、駆動部4の作動に応じて第1接点部P1~第3接点部P3を相互に連動させて開極する。ここでは連動リンク9は、更に開閉部X0とも機械的に接続されて、4つの接点部P0を相互に連動させて開極する。
【0081】
連動リンク9は、
図9に示すように、4つの樹脂製のブロック体90と、4本のシャフト91とから構成される。
図9は、説明の便宜上、漏電保護装置1のうち、連動リンク9及びその周辺の部位のみを示す。
【0082】
各ブロック体90は、左右方向に沿って見て、略円弧状に湾曲した部材である。3つの開閉部2の器体20及び1つの開閉部X0の器体X1の各々は、1つのブロック体90を収容する。4本のシャフト91は、各々の軸が互いに一致するように左右方向に並ぶ。各シャフト91は、隣り合う2つの器体に設けられている挿通孔を貫通している。隣り合う2つのブロック体90は、シャフト91により連結されている。
【0083】
そして、4つのブロック体90は、3つの開閉部2の器体20及び1つの開閉部X0の器体X1内において、シャフト91を中心軸として、一体となって所定の角度の範囲内で回転可能に保持されている。
【0084】
各器体20内のブロック体90は、トリップ機構13によるトリップ時に、リンク機構12のリンク部材121によって回転する。また器体X1内のブロック体90は、トリップ機構X3によるトリップ時に、リンク機構X2のリンク部材X21によってシャフト91を軸として所定の角度内で回転する。
【0085】
要するに3つの開閉部2及び1つの開閉部X0のうち、どの開閉部でトリップ動作が開始されても、連動リンク9が回転することで、他の3つの開閉部でも連動して即座にトリップ動作が実行される。したがって、複数の接点部P0を略同時に開極させることができ、回路保護に関する信頼性が向上される。
【0086】
(2.7)配置構造
ここで漏電保護装置1における配置構造について説明する。漏電保護装置1では、
図1に示すように、駆動部4と、基板B1及び漏電検出部3とは、左右方向における第1開閉ユニットU1の両側に分離して配置される。したがって、例えば、駆動部4、基板B1及び漏電検出部3に関する配線を引き回すための空間が、第1開閉ユニットU1の両側の間で確保され易くなる。そのため、例えば特許文献1に記載の漏電保護装置に比べて、小型化を図ることができる。
【0087】
ここでN相(中性相)の開閉部X0は、3つの開閉部2とは異なり、過電流(短絡電流及び過負荷電流)用のトリップ機構13(バイメタル板132及びコイル130等)を備えていない。そこで本実施形態では、開閉部X0の器体X1内に、駆動部4を配置するスペースを確保して、駆動部4が、器体X1内に配置される。したがって、漏電保護装置1におけるR相、S相、T相、及びN相の4相分の器体の幅寸法が、例えば、特許文献1に記載の漏電保護装置における4相分の器体の幅寸法と略同じである場合、漏電保護装置1全体で見れば小型化を図ることができる。
【0088】
また基板B1と漏電検出部3とは、左右方向における第1開閉ユニットU1の両側のうちの同じ一方の側(右側)に配置される。したがって、小型化を図りつつ、基板B1と漏電検出部3と間における配線距離を短くできる。
【0089】
また4つの負荷端子5が、第1開閉ユニットU1を正面から見て、第1開閉ユニットU1の下側に配置されているため、例えば特許文献1に記載の漏電保護装置に比べて更に小型化を図ることができる。
【0090】
特に、4つの負荷端子5の各々と、対応する電源端子6とが、上下方向に沿って並んでいる(
図2及び
図3参照)。したがって、更に小型化を図りつつ、外観上の見栄えを向上できる。また負荷端子5と電源端子6との対応関係が分かり易いため、結線作業等の作業性も向上される。
【0091】
(2.8)熱緩衝部
ところで、第1開閉ユニットU1について、接点部P0及びその周辺の電路(熱動素子8等)は、発熱源となり得る。そこで本実施形態の漏電保護装置1は、
図1に示すように、一対の熱緩衝部7を更に備えている。一対の熱緩衝部7は、左右方向における第1開閉ユニットU1の両側に配置される。
【0092】
各熱緩衝部7は、周壁Q1で囲まれた空間SP1により構成される。左側の熱緩衝部7(空間SP1)に関して、周壁Q1は、開閉部X0の器体X1の周壁に相当する。つまり、左側の熱緩衝部7は、器体X1で囲まれた空間である。右側の熱緩衝部7(空間SP1)に関して、周壁Q1は、制御ユニットU3の器体G1の周壁に相当する。つまり、右側の熱緩衝部7は、器体G1で囲まれた空間である。
【0093】
このように熱緩衝部7が第1開閉ユニットU1の両側に配置されることで、上記の発熱源からの側方に対する熱の伝導を抑制できる。したがって、小型化を図りつつ、漏電保護装置1全体としての左右の両側面における温度上昇を低減できる。また熱緩衝部7が空間SP1により構成されることで、簡素な構成でありながら、温度上昇を低減できる。
【0094】
特に左右方向の幅寸法が各開閉部2と略同じであるN相の開閉部X0及び制御ユニットU3で、第1開閉ユニットU1の左右両側を挟むように配置しているため、外観上の見栄えを向上しつつ、漏電保護装置1の左右の両側面における温度上昇を低減できる。
【0095】
また本実施形態の漏電保護装置1は、
図1に示すように、一対の隔壁F1を更に備える。各隔壁F1は、熱緩衝部7と、熱緩衝部7に隣接する開閉部2との間に配置される。ただしここでは、左側の隔壁F1は、N相の開閉部X0の器体X1の右壁とR相の開閉部2の器体20の左壁とから構成される。また右側の隔壁F1は、T相の開閉部2の器体20の右壁と制御ユニットU3の器体G1の左壁とから構成される。
【0096】
このように隔壁F1が設けられていることで、漏電保護装置1の左右の両側面における温度上昇を更に低減できる。
【0097】
また3つの開閉部2の3つの熱動素子8(バイメタル板132)は、
図1に示すように、左右方向において、所定のピッチ間隔D1で配置される。ピッチ間隔D1は、例えばR相とS相との相間距離(又はS相とT相との相関距離)に相当する。そしてここでは、左右方向における熱緩衝部7の寸法D2は、ピッチ間隔D1と等しい。ここで言う「等しい」とは、肉眼で見て概ね等しいと判断できる程度の「等しい」に相当し、例えば数ミリ程度に僅かに小さい又は大きい場合も該当する。
【0098】
このように寸法関係が規定されることで、外観上の見栄えを向上しつつ、漏電保護装置1の左右の両側面における温度上昇を更に低減できる。また開閉部2を増設する場合にも容易に行える。
【0099】
ところで、制御用電子部品E10は、上述の通り、基板B1の第1面B11とは反対側の第2面B12(右面)に実装される。そのため、制御用電子部品E10は、第1面B11に実装される場合に比べて、第1開閉ユニットU1の上記発熱源からの熱の影響を受け難くなる。したがって、小型化を図りつつ、制御用電子部品E10における温度上昇を低減できる。
【0100】
(2.9)分電盤
本実施形態の分電盤100は、
図11に示すように、上述した漏電保護装置1と、漏電保護装置1を収容する筐体101と、を備えている。また分電盤100は、漏電保護装置1、及び分岐回路用の複数の遮断器が固定される1又は複数のDINレール102(
図11では1つのみ)を更に備えている。本実施形態においては、小型化を図ることが可能な漏電保護装置1を備えた分電盤100を提供できる。
【0101】
(3)変形例
上記実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下、上記実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。以下では、上記実施形態を「基本例」と呼ぶこともある。
【0102】
基本例では、R相、S相、T相の電路に準じて開閉部2の数は3つであるが、開閉部2の数は特に限定されない。
【0103】
基本例では、基板B1、漏電検出部3、及び駆動部4のうちの、駆動部4と、基板B1及び漏電検出部3とが、左右方向における第1開閉ユニットU1の両側に分離して配置される。しかし、この組み合せに限定されない。ただし、少なくとも漏電検出部3と駆動部4とは、第1開閉ユニットU1の両側に分離して配置されることが望ましい。そして、駆動部4は、開閉部X0の器体X1の内部に収容されることが望ましい。この場合、比較的寸法が大きい可能性の高い漏電検出部3と駆動部4とを分離して配置することで、第1開閉ユニットU1の両側に配置される器体X1及び制御ユニットU3の幅寸法を揃えやすくなる。したがって、漏電保護装置1全体として見たときに、外観上の見栄えの良い配置構造を提供できる。
【0104】
基本例では、熱緩衝部7は、左右方向における第1開閉ユニットU1の両側の各々に配置される。しかし、熱緩衝部7は、第1開閉ユニットU1の両側のうちの一方のみに配置されてもよい。
【0105】
基本例では、熱緩衝部7が周壁Q1で囲まれた空間SP1により構成される。しかし、熱緩衝部7は、例えば、断熱材等の熱緩衝部材により構成されてもよい。
【0106】
基本例では、熱緩衝部7の寸法D2は、3つの熱動素子8(バイメタル板132)のピッチ間隔D1と等しい。しかし、熱緩衝部7の寸法D2は、ピッチ間隔D1よりも大きくてもよく、この場合、漏電保護装置1の左右の両側面における温度上昇を更に低減できる。特に熱緩衝部7の寸法D2は、ピッチ間隔D1の整数倍であることで、外観上の見栄えを向上しつつ、温度上昇を更に低減できる。
【0107】
(4)まとめ
以上説明したように、第1の態様に係る漏電保護装置(1)は、複数の開閉部(2)と、基板(B1)と、漏電検出部(3)と、駆動部(4)と、を備える。複数の開閉部(2)は、複数相の電路(L1~L3)に挿入された複数の接点部(P1~P3)とそれぞれ一対一に対応し、対応する接点部を開極することで対応する相の電路を導通状態から遮断状態に切り替える。基板(B1)には、1又は複数の電子部品(E1)が実装される。漏電検出部(3)は、複数相の電路(L1~L3)に関する漏電を検出する。駆動部(4)は、漏電検出部(3)における漏電の検出結果に応じて作動し、複数の接点部(P1~P3)を開極する。複数の開閉部(2)は、一の方向に並んで配置されて、開閉ユニット(第1開閉ユニットU1)を構成する。基板(B1)、漏電検出部(3)、及び駆動部(4)のうちのいずれか1つと、その残りの2つとは、一の方向における開閉ユニット(第1開閉ユニットU1)の両側に分離して配置される。第1の態様によれば、小型化を図ることができる。
【0108】
第2の態様に係る漏電保護装置(1)は、第1の態様において、複数の負荷端子(5)を更に備える。複数の負荷端子(5)は、複数相の電路(L1~L3)にそれぞれ対応して設けられ、負荷側の電線(W1)が接続される。複数の負荷端子(5)は、開閉ユニット(第1開閉ユニットU1)を正面から見て、開閉ユニットの、一の方向と直交する直交方向における一方の側に配置される。第2の態様によれば、更に小型化を図ることができる。
【0109】
第3の態様に係る漏電保護装置(1)は、第2の態様において、複数の電源端子(6)を更に備える。複数の電源端子(6)は、複数相の電路(L1~L3)にそれぞれ対応して設けられ、系統電源側の電線(W2)が電気的に接続される。複数の負荷端子(5)の各々と、対応する電源端子(6)とは、上記直交方向に沿って並んでいる。第3の態様によれば、更に小型化を図りつつ、外観上の見栄えが向上される。
【0110】
第4の態様に係る漏電保護装置(1)は、第1~第3の態様のいずれか1つにおいて、器体(X1)を更に備える。器体(X1)は、一の方向における開閉ユニット(第1開閉ユニットU1)の両側のうちの一方の側に配置されて、中性相の電路(L4)の一部を覆う。基板(B1)、漏電検出部(3)、及び駆動部(4)のうち、少なくとも漏電検出部(3)と駆動部(4)とは、一の方向における開閉ユニットの両側に分離して配置される。駆動部(4)は、器体(X1)の内部に収容される。第4の態様によれば、比較的寸法が大きい可能性の高い漏電検出部(3)と駆動部(4)とを分離して配置することで、漏電保護装置(1)全体として見たときに、外観上の見栄えの良い配置構造を提供できる。
【0111】
第5の態様に係る漏電保護装置(1)は、第1~第4の態様のいずれか1つにおいて、
熱緩衝部(7)を更に備える。熱緩衝部(7)は、一の方向における開閉ユニット(第1開閉ユニットU1)の両側のうちの少なくとも一方の側に配置される。第5の態様によれば、小型化を図りつつ、漏電保護装置(1)全体としての上記一方の側における温度上昇を低減できる。
【0112】
第6の態様に係る漏電保護装置(1)に関して、第5の態様において、熱緩衝部(7)は、周壁(Q1)で囲まれた空間(SP1)により構成される。第6の態様によれば、簡素な構成でありながら、上記一方の側における温度上昇を低減できる。
【0113】
第7の態様に係る漏電保護装置(1)は、第5の態様又は第6の態様において、隔壁(F1)を更に備える。隔壁(F1)は、熱緩衝部(7)と複数の開閉部(2)のうち熱緩衝部(7)に隣接する開閉部(2)との間に配置される。第7の態様によれば、隔壁(F1)によって、上記一方の側における温度上昇を更に低減できる。
【0114】
第8の態様に係る漏電保護装置(1)に関して、第5~第7の態様のいずれか1つにおいて、複数の開閉部(2)の各々は、温度上昇に応じて対応する接点部を開極する熱動素子(8)を有する。複数の開閉部(2)の複数の熱動素子(8)は、一の方向において、所定のピッチ間隔(D1)で配置される。一の方向における熱緩衝部(7)の寸法(D2)は、ピッチ間隔(D1)と等しい、又はピッチ間隔(D1)よりも大きい。第8の態様によれば、上記一方の側における温度上昇を更に低減できる。
【0115】
第9の態様に係る漏電保護装置(1)に関して、第1~第8の態様のいずれか1つにおいて、基板(B1)、漏電検出部(3)、及び駆動部(4)のうち、基板(B1)と漏電検出部(3)とは、次の通りである。すなわち、基板(B1)と漏電検出部(3)とは、一の方向における開閉ユニット(第1開閉ユニットU1)の両側のうちの同じ一方の側に配置される。第9の態様によれば、小型化を図りつつ、基板(B1)と漏電検出部(3)と間における配線距離を短くできる。
【0116】
第10の態様に係る漏電保護装置(1)に関して、第1~第9の態様のいずれか1つにおいて、1又は複数の電子部品(E1)は、駆動部(4)を制御する制御部(C1)を構成する制御用電子部品(E10)を含む。基板(B1)は、その厚み方向が一の方向に沿うように配置される。制御用電子部品(E10)は、基板(B1)の、開閉ユニット(第1開閉ユニットU1)と対向する第1面(B11)とは反対側の第2面(B12)に実装される。第10の態様によれば、小型化を図りつつ、制御用電子部品(E10)における温度上昇を低減できる。
【0117】
第11の態様に係る漏電保護装置(1)は、第1~第10の態様のいずれか1つにおいて、連動リンク(9)を、更に備える。連動リンク(9)は、複数の開閉部(2)と機械的に接続されて、駆動部(4)の作動に応じて複数の接点部(P1~P3)を相互に連動させて開極する。第11の態様によれば、複数の接点部(P1~P3)を略同時に開極させることができ、回路保護に関する信頼性が向上される。
【0118】
第12の態様に係る分電盤(100)は、第1~第11の態様のいずれか1つにおける漏電保護装置(1)と、漏電保護装置(1)を収容する筐体(101)と、を備える。第12の態様によれば、小型化を図ることが可能な漏電保護装置(1)を備えた分電盤(100)を提供できる。
【0119】
第2~第11の態様に係る構成については、漏電保護装置(1)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0120】
1 漏電保護装置
100 分電盤
101 筐体
2 開閉部
3 漏電検出部
4 駆動部
5 負荷端子
6 電源端子
7 熱緩衝部
8 熱動素子
9 連動リンク
B1 基板
B11 第1面
B12 第2面
C1 制御部
D1 ピッチ間隔
D2 (熱緩衝部)の寸法
E1 電子部品
E10 制御用電子部品
F1 隔壁
L1~L3 電路
L4 中性相の電路
P1~P3 接点部
Q1 周壁
U1 第1開閉ユニット(開閉ユニット)
W1 負荷側の電線
W2 系統電源側の電線
X1 器体
SP1 空間