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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-01
(45)【発行日】2023-06-09
(54)【発明の名称】両面試聴イヤホン
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/10 20060101AFI20230602BHJP
【FI】
H04R1/10 104B
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2019099948
(22)【出願日】2019-05-29
(65)【公開番号】P2020195072
(43)【公開日】2020-12-03
【審査請求日】2022-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】518338552
【氏名又は名称】東京音響株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100211122
【弁理士】
【氏名又は名称】白石 卓也
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(72)【発明者】
【氏名】張 学彦
(72)【発明者】
【氏名】田中 雅路
【審査官】冨澤 直樹
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-035098(JP,A)
【文献】特開2008-283398(JP,A)
【文献】米国特許第09591398(US,B1)
【文献】特開2018-006784(JP,A)
【文献】特開2010-157787(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/10
H04R 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動膜と、前記振動膜を支持するヨークと、を有し、前記振動膜の振動によって発音するスピーカと、
前記スピーカを収容するケースと、
前記スピーカの前記振動膜の側に設けられ、前記ケースにおいて前記振動膜に面する部分から前記振動膜の前記ヨークとは反対側へ向けて突出する筒状をなすとともに、前記スピーカによって発音された音を使用者の耳における外耳道に伝搬させるための第一音通筒体と、
前記スピーカの前記ヨークの側に設けられ、前記ケースにおいて前記ヨークに面する部分から前記ヨークの前記振動膜とは反対側へ向けて突出する筒状をなすとともに、前記スピーカによって発音された音を前記外耳道に伝搬させるための第二音通筒体と、を備え
前記第一音通筒体および前記第二音通筒体の一方を前記外耳道に挿入した使用状態において、
前記第一音通筒体および前記第二音通筒体の前記一方は、前記ヨークの軸線において前記ケースと重なる部分よりも片側にオフセットするとともに、前記ケースから前記外耳道に向けて傾斜して延びていることを特徴とする両面試聴イヤホン。
【請求項2】
前記第一音通筒体および前記第二音通筒体の一方を前記外耳道に挿入した第一使用状態において第一音声帯域の音質とするとともに、前記第一音通筒体および前記第二音通筒体の他方を前記外耳道に挿入した第二使用状態において前記第一音声帯域とは異なる第二音声帯域の音質とすることを特徴とする請求項1に記載の両面試聴イヤホン。
【請求項3】
前記第一音通筒体は、
前記第一音通筒体を前記外耳道に挿入した第一使用状態において前記外耳道の内壁に当接するための外耳道当接部が設けられ、前記外耳道に指向する第一支持筒部と、
前記ケースにおいて前記振動膜に面する部分と前記外耳道当接部との位置関係を保持するように前記第一支持筒部と前記ケースとを連結する第一連結筒部と、を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の両面試聴イヤホン。
【請求項4】
前記第二音通筒体は、
前記第二音通筒体を前記外耳道に挿入した第二使用状態において前記外耳道の内壁に当接するための外耳道当接部が設けられ、前記外耳道に指向する第二支持筒部と、
前記ケースにおいて前記ヨークに面する部分と前記外耳道当接部との位置関係を保持するように前記第二支持筒部と前記ケースとを連結する第二連結筒部と、を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の両面試聴イヤホン。
【請求項5】
前記第一音通筒体の中心を通る第一中心線と前記ヨークの軸線とのなす角度をA1とし、前記第二音通筒体の中心を通る第二中心線と前記軸線とのなす角度をA2とし、前記第一中心線と前記第二中心線とのなす角度をA3としたとき、
前記角度A1および前記角度A2のそれぞれは0度以上90度以下であり、
前記角度A3は90度以上150度以下であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の両面試聴イヤホン。
【請求項6】
前記第一音通筒体および前記第二音通筒体の一方に設けられ、前記外耳道の内壁に当接するための外耳道当接部と、
前記第一音通筒体および前記第二音通筒体の他方に設けられ、前記スピーカとは反対側に向けて凸の湾曲状をなして膨出するとともに、前記使用者の耳甲介腔に面する対珠に連なる耳甲介に当接するための耳甲介当接部と、を更に備えることを特徴とする請求項に記載の両面試聴イヤホン。
【請求項7】
前記耳甲介当接部は、前記第一音通筒体および前記第二音通筒体の前記他方の開口を塞ぐ閉塞部を有することを特徴とする請求項に記載の両面試聴イヤホン。
【請求項8】
前記耳甲介当接部は、複数の凹部を有することを特徴とする請求項またはに記載の両面試聴イヤホン。
【請求項9】
前記第一音通筒体および前記第二音通筒体の一方に着脱可能に設けられ、前記外耳道当接部を有する第一イヤーチップと、
前記第一音通筒体および前記第二音通筒体の他方に着脱可能に設けられ、前記耳甲介当接部を有する第二イヤーチップと、を更に備えることを特徴とする請求項からのいずれか一項に記載の両面試聴イヤホン。
【請求項10】
前記第一音通筒体および前記第二音通筒体の一方は、複数種類のサイズの前記第一イヤーチップが着脱可能とされ、
前記第一音通筒体および前記第二音通筒体の他方は、複数種類のサイズの前記第二イヤーチップが着脱可能とされていることを特徴とする請求項に記載の両面試聴イヤホン。
【請求項11】
前記外耳道当接部は、前記第一音通筒体および前記第二音通筒体の一方と一体に形成され、
前記耳甲介当接部は、前記第一音通筒体および前記第二音通筒体の他方と一体に形成されていることを特徴とする請求項からのいずれか一項に記載の両面試聴イヤホン。
【請求項12】
前記外耳道当接部および前記耳甲介当接部は、弾性材料で形成されていることを特徴とする請求項から11のいずれか一項に記載の両面試聴イヤホン。
【請求項13】
前記弾性材料は、シリコーンゴムであることを特徴とする請求項12に記載の両面試聴イヤホン。
【請求項14】
前記弾性材料のゴム硬度は、A70以下であることを特徴とする請求項12または13に記載の両面試聴イヤホン。
【請求項15】
前記ヨークの軸線に沿う方向における前記外耳道当接部の外端と前記耳甲介当接部の外端との間の距離は、18mm以上であることを特徴とする請求項から14のいずれか一項に記載の両面試聴イヤホン。
【請求項16】
前記第一音通筒体および前記第二音通筒体の一方に設けられた前記外耳道当接部を前記外耳道に挿入した使用状態において、
前記一方の延在方向から見て、前記外耳道当接部は、前記使用者の耳珠と対珠とが対向する方向と直交する方向に延びる楕円形状を有することを特徴とする請求項から15のいずれか一項に記載の両面試聴イヤホン。
【請求項17】
前記第一音通筒体および前記第二音通筒体の一方を前記外耳道に挿入した第一使用状態においてコードが前記使用者の耳に対して頭頂部側に引き出されるように前記コードを支持するとともに、前記第一音通筒体および前記第二音通筒体の他方を前記外耳道に挿入した第二使用状態において前記コードが前記使用者の耳に対して顎部側に引き出されるように前記コードを支持するコード支持部を更に備えることを特徴とする請求項から16のいずれか一項に記載の両面試聴イヤホン。
【請求項18】
前記ケースは、
前記スピーカを前記振動膜の側から覆うとともに、前記第一音通筒体が連結される第一カバーと、
前記スピーカを前記ヨークの側から覆うとともに、前記第二音通筒体が連結される第二カバーと、を備えることを特徴とする請求項1から17のいずれか一項に記載の両面試聴イヤホン。
【請求項19】
コードを支持する筒状をなし、前記コードを一端側から引き出すコード支持部と、
前記コード支持部において前記コードが引き出される側とは反対側の端部に設けられたマイクロフォンと、を更に備えることを特徴とする請求項1から18のいずれか一項に記載の両面試聴イヤホン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両面試聴イヤホンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、イヤホンとしては、イヤホンを使用者の耳の外耳道に挿入して使用するカナル型イヤホン(挿入式イヤホン)と、イヤホンを使用者の耳の耳介に装着して使用するイントラコンカ型イヤホンとが知られている。例えば、特許文献1には、振動膜を支持するヨークと、ヨークを収容するケース本体と、を備え、ケース本体においてヨークに面する部分に音通孔を設けた構造が開示されている。特許文献1では、ケース本体において使用者の耳に装着される部分(装着部)を振動膜よりも小径にすることで、装着安定性を良くしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5288556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このようなイヤホンにおいては、装着安定性のみならず、イヤホンの試聴態様の多様化が望まれている。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、挿入式イヤホンとしてスピーカの振動膜側とヨーク側との両方から試聴可能な両面試聴イヤホンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の解決手段として、本発明の態様は以下の構成を有する。
(1)本発明の態様に係る両面試聴イヤホンは、振動膜と、前記振動膜を支持するヨークと、を有し、前記振動膜の振動によって発音するスピーカと、前記スピーカを収容するケースと、前記スピーカの前記振動膜の側に設けられ、前記ケースにおいて前記振動膜に面する部分から前記振動膜の前記ヨークとは反対側へ向けて突出する筒状をなすとともに、前記スピーカによって発音された音を使用者の耳における外耳道に伝搬させるための第一音通筒体と、前記スピーカの前記ヨークの側に設けられ、前記ケースにおいて前記ヨークに面する部分から前記ヨークの前記振動膜とは反対側へ向けて突出する筒状をなすとともに、前記スピーカによって発音された音を前記外耳道に伝搬させるための第二音通筒体と、を備え、前記第一音通筒体および前記第二音通筒体の一方を前記外耳道に挿入した使用状態において、前記第一音通筒体および前記第二音通筒体の前記一方は、前記ヨークの軸線において前記ケースと重なる部分よりも片側にオフセットするとともに、前記ケースから前記外耳道に向けて傾斜して延びている
【0007】
(2)上記(1)に記載の両面試聴イヤホンでは、前記第一音通筒体および前記第二音通筒体の一方を前記外耳道に挿入した第一使用状態において第一音声帯域の音質とするとともに、前記第一音通筒体および前記第二音通筒体の他方を前記外耳道に挿入した第二使用状態において前記第一音声帯域とは異なる第二音声帯域の音質としてもよい。
【0008】
(3)上記(1)または(2)に記載の両面試聴イヤホンでは、前記第一音通筒体は、前記第一音通筒体を前記外耳道に挿入した第一使用状態において前記外耳道の内壁に当接するための外耳道当接部が設けられ、前記外耳道に指向する第一支持筒部と、前記ケースにおいて前記振動膜に面する部分と前記外耳道当接部との位置関係を保持するように前記第一支持筒部と前記ケースとを連結する第一連結筒部と、を備えてもよい。
【0009】
(4)上記(1)から(3)のいずれか一項に記載の両面試聴イヤホンでは、前記第二音通筒体は、前記第二音通筒体を前記外耳道に挿入した第二使用状態において前記外耳道の内壁に当接するための外耳道当接部が設けられ、前記外耳道に指向する第二支持筒部と、前記ケースにおいて前記ヨークに面する部分と前記外耳道当接部との位置関係を保持するように前記第二支持筒部と前記ケースとを連結する第二連結筒部と、を備えてもよい。
【0011】
)上記(1)から(4)のいずれか一項に記載の両面試聴イヤホンでは、前記第一音通筒体の中心を通る第一中心線と前記ヨークの軸線とのなす角度をA1とし、前記第二音通筒体の中心を通る第二中心線と前記軸線とのなす角度をA2とし、前記第一中心線と前記第二中心線とのなす角度をA3としたとき、前記角度A1および前記角度A2のそれぞれは0度以上90度以下であり、前記角度A3は90度以上150度以下であってもよい。
【0012】
)上記()に記載の両面試聴イヤホンでは、前記第一音通筒体および前記第二音通筒体の一方に設けられ、前記外耳道の内壁に当接するための外耳道当接部と、前記第一音通筒体および前記第二音通筒体の他方に設けられ、前記スピーカとは反対側に向けて凸の湾曲状をなして膨出するとともに、前記使用者の耳甲介腔に面する対珠に連なる耳甲介に当接するための耳甲介当接部と、を更に備えてもよい。
【0013】
)上記()に記載の両面試聴イヤホンでは、前記耳甲介当接部は、前記第一音通筒体および前記第二音通筒体の前記他方の開口を塞ぐ閉塞部を有してもよい。
【0014】
)上記()または()に記載の両面試聴イヤホンでは、前記耳甲介当接部は、複数の凹部を有してもよい。
【0015】
)上記()から()のいずれかに記載の両面試聴イヤホンでは、前記第一音通筒体および前記第二音通筒体の一方に着脱可能に設けられ、前記外耳道当接部を有する第一イヤーチップと、前記第一音通筒体および前記第二音通筒体の他方に着脱可能に設けられ、前記耳甲介当接部を有する第二イヤーチップと、を更に備えてもよい。
【0016】
10)上記()に記載の両面試聴イヤホンでは、前記第一音通筒体および前記第二音通筒体の一方は、複数種類のサイズの前記第一イヤーチップが着脱可能とされ、前記第一音通筒体および前記第二音通筒体の他方は、複数種類のサイズの前記第二イヤーチップが着脱可能とされていてもよい。
【0017】
11)上記()から()のいずれかに記載の両面試聴イヤホンでは、前記外耳道当接部は、前記第一音通筒体および前記第二音通筒体の一方と一体に形成され、前記耳甲介当接部は、前記第一音通筒体および前記第二音通筒体の他方と一体に形成されていてもよい。
【0018】
12)上記()から(11)のいずれかに記載の両面試聴イヤホンでは、前記外耳道当接部および前記耳甲介当接部は、弾性材料で形成されていてもよい。
【0019】
13)上記(12)に記載の両面試聴イヤホンでは、前記弾性材料は、シリコーンゴムであってもよい。
【0020】
14)上記(12)または(13)に記載の両面試聴イヤホンでは、前記弾性材料のゴム硬度は、A70以下であってもよい。
【0021】
15)上記()から(14)のいずれかに記載の両面試聴イヤホンでは、前記ヨークの軸線に沿う方向における前記外耳道当接部の外端と前記耳甲介当接部の外端との間の距離は、18mm以上であってもよい。
【0022】
16)上記()から(15)のいずれかに記載の両面試聴イヤホンでは、前記第一音通筒体および前記第二音通筒体の一方に設けられた前記外耳道当接部を前記外耳道に挿入した使用状態において、前記一方の延在方向から見て、前記外耳道当接部は、前記使用者の耳珠と対珠とが対向する方向と直交する方向に延びる楕円形状を有してもよい。
【0023】
17)上記()から(16)のいずれかに記載の両面試聴イヤホンでは、前記第一音通筒体および前記第二音通筒体の一方を前記外耳道に挿入した第一使用状態においてコードが前記使用者の耳に対して頭頂部側に引き出されるように前記コードを支持するとともに、前記第一音通筒体および前記第二音通筒体の他方を前記外耳道に挿入した第二使用状態において前記コードが前記使用者の耳に対して顎部側に引き出されるように前記コードを支持するコード支持部を更に備えてもよい。
【0024】
18)上記(1)から(17)のいずれかに記載の両面試聴イヤホンでは、前記ケースは、前記スピーカを前記振動膜の側から覆うとともに、前記第一音通筒体が連結される第一カバーと、前記スピーカを前記ヨークの側から覆うとともに、前記第二音通筒体が連結される第二カバーと、を備えてもよい。
【0025】
19)上記(1)から(18)のいずれかに記載の両面試聴イヤホンでは、コードを支持する筒状をなし、前記コードを一端側から引き出すコード支持部と、前記コード支持部において前記コードが引き出される側とは反対側の端部に設けられたマイクロフォンと、を更に備えてもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明の上記(1)に記載の両面試聴イヤホンによれば、スピーカの振動膜の側に設けられ、ケースにおいて振動膜に面する部分から振動膜のヨークとは反対側へ向けて突出する筒状をなすとともに、スピーカによって発音された音を使用者の耳における外耳道に伝搬させるための第一音通筒体と、スピーカのヨークの側に設けられ、ケースにおいてヨークに面する部分からヨークの振動膜とは反対側へ向けて突出する筒状をなすとともに、スピーカによって発音された音を外耳道に伝搬させるための第二音通筒体と、を備えることで、以下の効果を有する。
イヤホンを使用する際、第一音通筒体および第二音通筒体のいずれかを選択して外耳道に挿入することができる。したがって、挿入式イヤホンとしてスピーカの振動膜側とヨーク側との両方から試聴可能な両面試聴イヤホンを提供することができる。
【0027】
本発明の上記(2)に記載の両面試聴イヤホンによれば、第一音通筒体および第二音通筒体の一方を外耳道に挿入した第一使用状態において第一音声帯域の音質とするとともに、第一音通筒体および第二音通筒体の他方を外耳道に挿入した第二使用状態において第一音声帯域とは異なる第二音声帯域の音質とすることで、以下の効果を有する。
イヤホンを使用する際、2種類の音質が得られる。例えば、一方から試聴する場合は再生音帯域の広い音楽試聴用の音質とし、他方から試聴する場合は音声帯域が聞きやすい語学学習用の音質とすることができる。
【0028】
本発明の上記(3)に記載の両面試聴イヤホンによれば、第一音通筒体は、第一音通筒体を外耳道に挿入した第一使用状態において外耳道の内壁に当接するための外耳道当接部が設けられ、外耳道に指向する第一支持筒部と、ケースにおいて振動膜に面する部分と外耳道当接部との位置関係を保持するように第一支持筒部とケースとを連結する第一連結筒部と、を備えることで、以下の効果を有する。
イヤホンを第一使用状態で使用する際、第一連結筒部の長さ分だけ、第一支持筒部を外耳道の奥へ入り込ませることができるため、外部雑音の侵入を更に抑制することができる。例えば、弾性材料で形成された耳甲介当接部を有する場合、対珠側の耳甲介側壁に対する耳甲介当接部の弾性反発力により、第一支持筒部を外耳道側へ押し込むことができる。
【0029】
本発明の上記(4)に記載の両面試聴イヤホンによれば、第二音通筒体は、第二音通筒体を外耳道に挿入した第二使用状態において外耳道の内壁に当接するための外耳道当接部が設けられ、外耳道に指向する第二支持筒部と、ケースにおいてヨークに面する部分と外耳道当接部との位置関係を保持するように第二支持筒部とケースとを連結する第二連結筒部と、を備えることで、以下の効果を有する。
イヤホンを第二使用状態で使用する際、第二連結筒部の長さ分だけ、第二支持筒部を外耳道の奥へ入り込ませることができるため、外部雑音の侵入を更に抑制することができる。例えば、弾性材料で形成された耳甲介当接部を有する場合、対珠側の耳甲介側壁に対する耳甲介当接部の弾性反発力により、第二支持筒部を外耳道側へ押し込むことができる。
【0030】
本発明の上記()に記載の両面試聴イヤホンによれば、第一音通筒体および第二音通筒体の一方を外耳道に挿入した使用状態において、第一音通筒体および第二音通筒体の前記一方は、ヨークの軸線においてケースと重なる部分よりも片側にオフセットするとともに、ケースから前記外耳道に向けて傾斜して延びていることで、以下の効果を有する。
イヤホンを使用する際、使用者の外耳道に沿って自然な角度で第一音通筒体および第二音通筒体の一方を外耳道へ挿入することができるため、装着安定性を向上することができる。
【0031】
本発明の上記()に記載の両面試聴イヤホンによれば、第一音通筒体の中心を通る第一中心線とヨークの軸線とのなす角度をA1とし、第二音通筒体の中心を通る第二中心線と前記軸線とのなす角度をA2とし、第一中心線と第二中心線とのなす角度をA3としたとき、角度A1および角度A2のそれぞれは0度以上90度以下であり、角度A3は90度以上150度以下であることで、以下の効果を有する。
角度A3が90度以上150度以下の範囲で使用者のニーズに合わせて角度を設定することができる。
【0032】
本発明の上記()に記載の両面試聴イヤホンによれば、第一音通筒体および第二音通筒体の一方に設けられ、外耳道の内壁に当接するための外耳道当接部と、第一音通筒体および第二音通筒体の他方に設けられ、スピーカとは反対側に向けて凸の湾曲状をなして膨出するとともに、使用者の耳甲介腔に面する対珠に連なる耳甲介に当接するための耳甲介当接部と、を更に備えることで、以下の効果を有する。
イヤホンを使用する際、外耳道当接部を外耳道の内壁に当接させつつ、耳甲介当接部を耳甲介に広い範囲で接触させやすいため、装着安定性を更に向上することができる。
【0033】
本発明の上記()に記載の両面試聴イヤホンによれば、耳甲介当接部は、第一音通筒体および第二音通筒体の他方の開口を塞ぐ閉塞部を有することで、以下の効果を有する。
閉塞部によってスピーカから発音された音が遮断されるため、第一音通筒体および第二音通筒体の他方の開口からの音漏れを抑制することができる。
【0034】
本発明の上記()に記載の両面試聴イヤホンによれば、耳甲介当接部は、複数の凹部を有することで、以下の効果を有する。
複数の凹部によって耳甲介当接部を耳甲介により一層柔らかく接触させることができるため、装着安定性を更に向上することができる。加えて、複数の凹部の分だけ肉が取られるため、材料費を低減することができる。
【0035】
本発明の上記()に記載の両面試聴イヤホンによれば、第一音通筒体および第二音通筒体の一方に着脱可能に設けられ、外耳道当接部を有する第一イヤーチップと、第一音通筒体および第二音通筒体の他方に着脱可能に設けられ、耳甲介当接部を有する第二イヤーチップと、を更に備えることで、以下の効果を有する。
イヤホンを使用する際、第一音通筒体および第二音通筒体の一方を選択して第一イヤーチップを装着し外耳道に挿入するとともに、第一音通筒体および第二音通筒体の他方を選択して第二イヤーチップを装着し耳甲介に接触させることができる。したがって、使用者のニーズに合わせてスピーカの振動膜側とヨーク側との両方から試聴可能となる。
【0036】
本発明の上記(10)に記載の両面試聴イヤホンによれば、第一音通筒体および第二音通筒体の一方は、複数種類のサイズの第一イヤーチップが着脱可能とされ、第一音通筒体および第二音通筒体の他方は、複数種類のサイズの第二イヤーチップが着脱可能とされていることで、以下の効果を有する。
イヤホンを使用する際、使用者の耳の大きさに合うように第一イヤーチップおよび第二イヤーチップを任意に選択することができるため、使用者にとって快適な装着感を得ることができる。
【0037】
本発明の上記(11)に記載の両面試聴イヤホンによれば、外耳道当接部は、第一音通筒体および第二音通筒体の一方と一体に形成され、耳甲介当接部は、第一音通筒体および第二音通筒体の他方と一体に形成されていることで、以下の効果を有する。
外耳道当接部(第一イヤーチップ)および耳甲介当接部(第二イヤーチップ)が第一音通筒体および第二音通筒体の一方に着脱可能に設けられた場合と比較して、外耳道当接部および耳甲介当接部の紛失を防止することができる。加えて、外耳道当接部および耳甲介当接部の耳への接触面積を増やすことができるため、装着安定性が向上する。
【0038】
本発明の上記(12)に記載の両面試聴イヤホンによれば、外耳道当接部および耳甲介当接部は、弾性材料で形成されていることで、以下の効果を有する。
イヤホンを使用する際、耳の形状(外耳道、対珠および耳甲介の形状)に沿うように外耳道当接部および耳甲介当接部を弾性変形させることができるため、装着安定性がより一層向上する。
【0039】
本発明の上記(13)に記載の両面試聴イヤホンによれば、弾性材料は、シリコーンゴムであることで、以下の効果を有する。
シリコーンゴムは、生体適合性、耐熱性、耐薬品性、撥水性、電気絶縁性などに優れているため、弾性材料として好適である。
【0040】
本発明の上記(14)に記載の両面試聴イヤホンによれば、弾性材料のゴム硬度は、A70以下であることで、以下の効果を有する。
イヤホンを使用する際、耳の形状(外耳道、対珠および耳甲介の形状)に沿うように外耳道当接部および耳甲介当接部をより柔軟に弾性変形させることができるため、耳への圧迫感を軽減し、装着安定性がより一層向上する。
【0041】
本発明の上記(15)に記載の両面試聴イヤホンによれば、ヨークの軸線に沿う方向における前記外耳道当接部の外端と前記耳甲介当接部の外端との間の距離は、18mm以上であることで、以下の効果を有する。
前記距離が18mm未満の場合と比較して、外耳道当接部が外耳道の入口外縁部により強く押し付けられ、外耳道の入口外縁部と外耳道当接部とが密着するため、音漏れの原因となる隙間が生じることを抑制することができる。
【0042】
本発明の上記(16)に記載の両面試聴イヤホンによれば、第一音通筒体および第二音通筒体の一方に設けられた外耳道当接部を前記外耳道に挿入した使用状態において、前記一方の延在方向から見て、外耳道当接部は、使用者の耳珠と対珠とが対向する方向と直交する方向に延びる楕円形状を有することで、以下の効果を有する。
外耳道当接部が前記楕円形状を有する場合、一般的な外耳道の形状に合うため、前記一方の延在方向から見て外耳道当接部が真円形状を有する場合と比較して、外耳道への圧迫感を軽減し、装着安定性をより一層向上することができる。
【0043】
本発明の上記(17)に記載の両面試聴イヤホンによれば、第一音通筒体および第二音通筒体の一方を外耳道に挿入した第一使用状態においてコードが使用者の耳に対して頭頂部側に引き出されるようにコードを支持するとともに、第一音通筒体および第二音通筒体の他方を外耳道に挿入した第二使用状態においてコードが使用者の耳に対して顎部側に引き出されるようにコードを支持するコード支持部を更に備えることで、以下の効果を有する。
イヤホンを使用する際、コードを使用者の耳たぶに掛けたり、コードを下側に出したりする等、任意の使用方法に対応することが可能となる。例えば、コードを耳たぶに掛けた場合は、コードの機械的な伝導ノイズを大幅に減らすことが可能となるため、語学学習時など集中して試聴したいときに好適である。
【0044】
本発明の上記(18)に記載の両面試聴イヤホンによれば、ケースは、スピーカを振動膜の側から覆うとともに、第一音通筒体が連結される第一カバーと、スピーカをヨークの側から覆うとともに、第二音通筒体が連結される第二カバーと、を備えることで、以下の効果を有する。
第一カバーと第二カバーとを別個独立に製造することができるため、製造効率を向上することができる。
【0045】
本発明の上記(19)に記載の両面試聴イヤホンによれば、コードを支持する筒状をなし、前記コードを一端側から引き出すコード支持部と、前記コード支持部において前記コードが引き出される側とは反対側の端部に設けられたマイクロフォンと、を更に備えることで、以下の効果を有する。
マイクロフォンによって、周囲から収音した音を増幅したり、周囲から外耳道に侵入した主に高音域の雑音を低減したりすることができる。
例えば、マイクロフォンによって周囲から収音した音を増幅し、音声帯域が明瞭に聞こえるような周波数特性で試聴する場合は、難聴者の会話、テレビ視聴等に有効である。
例えば、マイクロフォンをアクティブ・ノイズ・キャンセルに応用した場合、以下の(1)、(2)の効果を有する。
(1)外耳道当接部と外耳道の内壁との安定的な接触により、高音域の周囲雑音は基本的に低減される。
(2)アクティブ・ノイズ・キャンセルにより主に低音域の雑音を低減するよう構成することにより、マイクロフォンとスピーカとの位相差により発生する高音域の雑音の影響を受けることなく、一般的なノイズキャンセル・イヤホンと比較して、良好なノイズ・キャンセル効果を得ることができる。
加えて、イヤホンを使用する際、外耳道当接部と外耳道の内壁との接触が安定している場合、さらに良好なノイズ・キャンセル効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】実施形態に係る左右のイヤホンの斜視図である。
図2】実施形態に係るイヤホンを振動膜側から見た図である。
図3】実施形態に係るイヤホンをヨーク側から見た図である。
図4】実施形態に係るイヤホンをコード引き出し側とは反対側から見た図である。
図5】実施形態に係るイヤホンをコード支持部の側から見た図である。
図6】実施形態に係るイヤホンをコード支持部とは反対側から見た図である。
図7図2のVII-VII断面図である。
図8図4のVIII-VIII断面図である。
図9図4のIX-IX断面図である。
図10図4のX-X断面図である。
図11】実施形態に係るイヤホンを振動膜側から試聴するときの等価回路図である。
図12】実施形態の係るイヤホンをヨーク側から試聴するときの等価回路図である。
図13】実施形態に係るイヤホンを試聴した際の音波の周波数特性を示す図である。
図14】実施形態に係るイヤホンの左耳での第一使用状態の説明図である。
図15】実施形態に係るイヤホンの左耳での第二使用状態の説明図である。
図16】比較例に係るイヤホンの左耳での使用状態の説明図である。
図17】実施形態に係るイヤホンを左耳への装着した状態の一例を示す図である。
図18】実施形態に係るイヤホンを左耳への装着した状態の他の例を示す図である。
図19】実施形態の変形例に係る外耳道当接部の図10に相当する断面図である。
図20】実施形態の変形例に係るイヤホンを示す図4に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。各図において、同一構成については同一の符号を付す。実施形態においては、イヤホンを使用者の耳の外耳道に挿入して使用する挿入式イヤホンについて説明する。以下、挿入式イヤホンを単に「イヤホン」ともいう。
【0048】
<左右のイヤホン>
図1は、実施形態に係る左右のイヤホンの斜視図である。
図1は、実施形態のイヤホンを左耳用および右耳用のそれぞれに適用した一対のイヤホンであって、左耳用と右耳用とでイヤホンの一部の色を互いに異ならせた例を示している。図1においては、左耳用の要素の符号末尾に「L」を付し、右耳用の要素の符号末尾に「R」を付している。
【0049】
図1に示すように、左耳用のイヤホン1Lは、右耳用のイヤホン1Rをミラー反転した形状を有する。すなわち、左耳用のイヤホン1Lと右耳用のイヤホン1Rとは、左右対称構造(左右勝手違い部品)とされている。左耳用のイヤホン1Lにおけるコード支持部6L(以下「左側コード支持部6L」ともいう。)は、右耳用のイヤホン1Rにおけるコード支持部6R(以下「右側コード支持部6R」ともいう。)とは異なる色を有していてもよい。左側コード支持部6Lの一端部は、第一の色(例えば青色)を有する。右側コード支持部6Rの一端部は、第一の色とは異なる第二の色(例えば赤色)を有する。
【0050】
<イヤホン全体>
以下、実施形態のイヤホン1として左耳用のイヤホン1Lを挙げて説明する。右耳用のイヤホン1Rは、左耳用のイヤホン1Lをミラー反転した形状を有する以外は左耳用のイヤホン1Lと同様の構成を有するため詳細説明は省略する。
図2は、実施形態に係るイヤホン1を振動膜側から見た図である。図3は、実施形態に係るイヤホン1をヨーク側から見た図である。図4は、実施形態に係るイヤホン1をコード引き出し側とは反対側から見た図である。図5は、実施形態に係るイヤホン1をコード支持部の側から見た図である。図6は、実施形態に係るイヤホン1をコード支持部とは反対側から見た図である。図7は、図2のVII-VII断面図である。図8は、図4のVIII-VIII断面図である。図9は、図4のIX-IX断面図である。図10は、図4のX-X断面図である。
【0051】
図1に示すように、イヤホン1は、スピーカ2(図7参照)と、スピーカ2を収容するケース3と、ケース3から突出する第一音通筒体4(図7参照)および第二音通筒体5(図7参照)と、コード60を支持するコード支持部6と、マイクロフォン90(図9参照)と、第一イヤーチップ7(図7参照)および第二イヤーチップ8と、を備える。
【0052】
イヤホン1は、第一音通筒体4および第二音通筒体5の一方を外耳道100に挿入することにより使用される。イヤホン1は、第一音通筒体4を外耳道100に挿入した第一使用状態(図14参照)と、第二音通筒体5を外耳道100に挿入した第二使用状態(図15参照)と、を任意に変更可能である。第一使用状態は、第一音通筒体4に第一イヤーチップ7が装着され、かつ、第二音通筒体5に第二イヤーチップ8が装着された状態である(図14参照)。第二使用状態は、第一音通筒体4に第二イヤーチップ8が装着され、かつ、第二音通筒体5に第一イヤーチップ7が装着された状態である(図15参照)。イヤホン1は、第一使用状態において第一音声帯域の音質とするとともに、第二使用状態において第一音声帯域とは異なる第二音声帯域の音質とする。図2から図10では、第二使用状態におけるイヤホン1を図示している。
【0053】
<スピーカ2>
図8に示すように、スピーカ2は、振動膜9と、振動膜9を支持するヨーク10と、を備える。スピーカ2は、振動膜9の振動によって発音する。
ヨーク10は、円筒状の筒壁部11を有するカップ状をなしている。以下、ヨーク10の軸線Lyに沿う方向を「軸方向」、軸線Lyに直交する方向を「径方向」、軸線Ly周りの方向を「周方向」とする。
【0054】
例えば、ヨーク10は、磁性材料で形成されている。ヨーク10は、筒壁部11、フランジ部12および底部13を備える。
フランジ部12は、筒壁部11の第一端部(開放端部)に結合されている。フランジ部12は、筒壁部11の外径よりも大きい環状を有する。フランジ部12は、筒壁部11と同軸に設けられている。フランジ部12の外周縁部は、筒壁部11の第一端部から離れる方向にオフセットしている。
底部13は、筒壁部11の第二端部(軸方向で開放端部とは反対側の端部)に結合されている。底部13は、筒壁部11と同軸に設けられた貫通孔13aを有する。
【0055】
例えば、振動膜9は、絶縁性を有するフィルム材料で形成されている。振動膜9は、筒壁部11の外径よりも大きい円盤状を有する。振動膜9の中央部9aは、ドーム状に膨らんでいる。振動膜9の外周部9bは、中央部9aよりも小さく膨らんでいる。振動膜9は、空間を介してヨーク10を覆っている。振動膜9の外周縁部は、全周にわたってヨーク10のフランジ部12に接着されている。図中符号9cは、振動膜9において中央部9aと外周部9bとの間に位置する環状の境界部を示す。
【0056】
スピーカ2は、マグネット14およびコイル15を更に備える。
マグネット14は、ヨーク10内に収容されている。マグネット14は、筒壁部11と同軸の円筒状を有する。マグネット14は、底部13の貫通孔13aと実質的に同じ大きさの中空部14aを有する。マグネット14は、中空部14aを底部13の貫通孔13aに揃えるようにして底部13の第一面に配置されている。マグネット14は、底部13の第一面から筒壁部11の第一端部まで延びている。マグネット14の一端部には、マグネット14と略同じ内径、略同じ外径を有する環状のポールピース(不図示)が取り付けられている。例えば、ポールピースは、ヨーク10と同じ材料、略同じ厚さで形成されている。
【0057】
コイル15は、導線を円筒状に巻いて一体化したものである。コイル15は、振動膜9の第二面(ヨーク10と対向する面)に固定されている。軸方向から見て、コイル15は、振動膜9における境界部9cと重なっている。コイル15は、振動膜9の中央部9aを囲むように配置されている。コイル15は、ヨーク10の筒壁部11およびマグネット14のそれぞれと間隔をあけて径方向で対向している。
コイル15からは、リード線(不図示)が引き出されている。リード線は、マグネット14の中空部14aを介して、底部13の第二面側の端子部16に接続されている。
【0058】
<ケース3>
図7に示すように、ケース3は、スピーカ2を振動膜9の側から覆うとともに、第一音通筒体4が連結される第一カバー20と、スピーカ2をヨーク10の側から覆うとともに、第二音通筒体5が連結される第二カバー30と、を備える。例えば、ケース3(第一カバー20および第二カバー30)は、合成樹脂で形成されている。
【0059】
断面視で、第一カバー20は、第二カバー30を挟んでヨーク10の径方向外側から振動膜9のヨーク10とは反対側にかけてスピーカ2を覆うドーム状をなしている。第一カバー20は、スピーカ2を収容した状態で第二カバー30に取り付けられている。例えば、第一カバー20は、接着剤などで第二カバー30に固定されている。
図2に示すように、第一カバー20は、軸方向から見て円形状の外縁を有する。第一音通筒体4を使用者の外耳道100に挿入した使用状態(第一使用状態)で、第一カバー20は、耳珠102と対珠103との間の空間に収まる外形形状を有する(図14参照)。
【0060】
図7に示すように、第一カバー20は、スピーカ2を振動膜9の側から覆うドーム状をなす第一カバー本体22と、第一カバー本体22の外周からヨーク10の振動膜9とは反対側へ向けて突出する環状をなす第一環状部23と、を備える。第一カバー本体22、第一環状部23および第一音通筒体4は、同一の合成樹脂で一体に形成されている。図中において、符号24は第一カバー本体22に形成された第一貫通孔、符号25は第一貫通孔24を覆うように第一カバー本体22の内側に設けられた不織布、メッシュ等の第一音響抵抗材をそれぞれ示す。
【0061】
断面視で、第二カバー30は、ヨーク10の径方向外側からヨーク10の振動膜9とは反対側へ向けて延びている。第二カバー30は、軸方向から見て第一カバー20と実質的に同じ円形状の外縁を有する(図3参照)。
【0062】
第二カバー30は、スピーカ2をヨーク10の側から覆うドーム状をなす第二カバー本体32と、第二カバー本体32の内周からヨーク10を収容するように振動膜9の側へ向けて突出する環状をなす第二環状部33と、を備える。第二カバー本体32、第二環状部33および第二音通筒体5は、同一の合成樹脂で一体に形成されている。図中において、符号34は第二カバー本体32に形成された第二貫通孔、符号35は第二貫通孔34を覆うように第二カバー本体32の内側に設けられた不織布、メッシュ等の第二音響抵抗材をそれぞれ示す。
【0063】
<第一音通筒体4>
図7に示すように、第一音通筒体4は、ケース3において振動膜9に面する部分から振動膜9のヨーク10とは反対側へ向けて突出する筒状をなしている。第一音通筒体4は、第一使用状態においてスピーカ2によって発音された音を使用者の耳における外耳道100に伝搬させる機能を有する(図14参照)。以下、第一音通筒体4の中心(軸心)を通る仮想直線L1を「第一中心線L1」ともいう。
【0064】
第一音通筒体4は、第一イヤーチップ7および第二イヤーチップ8の一方(図では第二イヤーチップ8)を着脱可能に支持する第一支持筒部41と、ケース3において振動膜9に面する部分と第二イヤーチップ8との位置関係を保持するように第一支持筒部41とケース3とを連結する第一連結筒部42と、を備える。第一支持筒部41および第一連結筒部42は、同一の部材で一体に形成されている。
【0065】
第一支持筒部41は、第一連結筒部42の外径よりも小さい外径を有する。第一支持筒部41は、第二イヤーチップ8を着脱可能に支持する第一爪部41aを備える。
【0066】
第一音通筒体4は、第一カバー20において軸方向(ヨーク10の軸線Lyに沿う方向)で振動膜9の約半分と重なるように形成されている。第一音通筒体4は、ケース3の外側に向けてヨーク10の軸線Lyと交差するように斜めに突出している。第一音通筒体4は、ケース3の内部空間と外部空間とを連通する第一音通孔40を有する。第一音通孔40は、第一使用状態において、ケース3の内部空間と外部空間とを遮断し、外耳道100に連通し、音声信号を伝えるための音通孔である(図14参照)。
【0067】
第一音通筒体4を外耳道100に挿入した第一使用状態(図14参照)において、第一音通筒体4は、ヨーク10の軸線Lyにおいてケース3と重なる部分Lr(図4参照)よりも外耳道100の側(片側)にオフセットしている(図14参照)。ヨーク10の軸線Lyにおいてケース3と重なる部分Lrは、軸線Lyにおいてケース3の第一面(第一カバー20の第一面)と第二面(第二カバー30の第二面)との間の部分を意味する(図4参照)。第一音通筒体4は、ケース3(耳珠102とは反対側の部分)から外耳道100に向けて傾斜して延びている(図14参照)。
【0068】
<第二音通筒体5>
図7に示すように、第二音通筒体5は、ケース3においてヨーク10に面する部分からヨーク10の振動膜9とは反対側へ向けて突出する筒状をなしている。第二音通筒体5は、第二使用状態においてスピーカ2によって発音された音を使用者の耳における外耳道100に伝搬させる機能を有する(図15参照)。以下、第二音通筒体5の中心(軸心)を通る仮想直線L2を「第二中心線L2」ともいう。
【0069】
第二音通筒体5は、第一イヤーチップ7および第二イヤーチップ8の一方(図では第一イヤーチップ7)を着脱可能に支持する第二支持筒部51と、ケース3においてヨーク10に面する部分と第一イヤーチップ7との位置関係を保持するように第二支持筒部51とケース3とを連結する第二連結筒部52と、を備える。第二支持筒部51および第二連結筒部52は、同一の部材で一体に形成されている。
【0070】
第二支持筒部51は、第二連結筒部52の外径よりも小さい外径を有する。第二支持筒部51は、第一イヤーチップ7を着脱可能に支持する第二爪部51aを備える。
【0071】
第二音通筒体5は、第二カバー30において軸方向でヨーク10の約半分と重なるように形成されている。第二音通筒体5は、ケース3の外側に向けてヨーク10の軸線Lyと交差するように第一音通筒体4とは反対側に向けて斜めに突出している。第二音通筒体5は、ケース3の内部空間と外部空間とを連通する第二音通孔50を有する。第二音通孔50は、第二使用状態において、ケース3の内部空間と外部空間とを遮断し、外耳道100に連通し、音声信号を伝えるための音通孔である(図15参照)。
【0072】
第二音通筒体5を外耳道100に挿入した第二使用状態(図15参照)において、第二音通筒体5は、ヨーク10の軸線Lyにおいてケース3と重なる部分Lr(図4参照)よりも外耳道100の側(片側)にオフセットしている(図15参照)。第二音通筒体5は、ケース3(耳珠102とは反対側の部分)から外耳道100に向けて傾斜して延びている(図15参照)。
【0073】
図7に示すように、第一音通筒体4の中心を通る第一中心線L1とヨーク10の軸線Lyとのなす角度をA1とする。第二音通筒体5の中心を通る第二中心線L2とヨーク10の軸線Lyとのなす角度をA2とする。第一中心線L1と第二中心線L2とのなす角度をA3とする。
例えば、角度A1および角度A2のそれぞれは、0度以上90度以下に設定される。例えば、角度A3は、90度以上150度以下に設定される。
本実施形態において、角度A1および角度A2のそれぞれは30度である。すなわち、角度A3は120度である。
【0074】
<コード支持部6>
図7に示すように、コード支持部6は、ケース3において第一音通筒体4および第二音通筒体5が設けられた側とは反対側に設けられている。コード支持部6は、第一使用状態において、コード60が使用者の耳に対して頭頂部側(例えば上側)に引き出されるようにコード60を支持する(図18参照)。コード支持部6は、第二使用状態において、コード60が使用者の耳に対して顎部側(頭頂部とは反対側、例えば下側)に引き出されるようにコード60を支持する(図17参照)。
【0075】
図9に示すように、コード支持部6は、第一カバー20に結合されている。例えば、コード支持部6は、第一カバー20と同一の部材で一体に形成されていてもよい。コード支持部6は、ヨーク10の軸線Lyと実質的に直交する方向(図の紙面下方向)に向けて延在している。コード支持部6には、電子機器(不図示)に接続されるコード60が挿通されている。コード60は、コード支持部6内で抜け防止用に結び目60aが形成されている。コード60には、スピーカ2に音声信号を供給するための配線61が内蔵されている。配線61は、底部13の第二面側の端子部16(図8参照)に接続されている。図中符号62は、ケース3(第一カバー20)に設けられた配線通過孔(配線61を通過させるための貫通孔)を示す。
【0076】
例えば、電子機器(不図示)からコード60を介して音声信号が供給されると、リード線(不図示)を介して音声信号がコイル15に供給される。すると、コイル15が変位することにより、振動膜9が振動する。これにより、スピーカ2が発音する。スピーカ2によって発音された音は、音通孔40,50(第一使用状態では第一音通孔40、第二使用状態では第二音通孔50)を通じて使用者の耳における外耳道100へ伝搬される(図14図15参照)。
【0077】
<マイクロフォン90>
図9に示すように、マイクロフォン90は、コード支持部6においてコード60が引き出される側とは反対側の端部(一端部)に設けられている。図中符号91は、マイクロフォン90を収容するマイク収容部を示す。マイク収容部91は、マイクロフォン90を収容した状態で、コード支持部6の一端部に取り付けられている。例えば、マイク収容部91は、コート支持部6の一端部に着脱可能とされていてもよい。
【0078】
<第一イヤーチップ7>
図7に示すように、第一イヤーチップ7は、第一音通筒体4および第二音通筒体5の一方(図では第二音通筒体5)に着脱可能に設けられている。第一イヤーチップ7は、外耳道100の内壁に当接するための外耳道当接部70を有する(図14図15参照)。外耳道当接部70は、第二音通筒体5の延在方向と直交する断面視で真円形状を有する(図10参照)。
【0079】
第一イヤーチップ7は、ケース3よりも剛性が低い。第一イヤーチップ7は、弾性材料で形成されている。例えば、弾性材料は、シリコーンゴムである。タイプAデュロメータによる弾性材料のゴム硬度は、A5以上A70以下である(JIS K 6253)。
【0080】
第一イヤーチップ7は、筒状(図では第二中心線L2と同軸の筒状)をなす第一接続筒部71と、第一接続筒部71の先端部(第二中心線L2に沿う方向でスピーカ2とは反対側の端部)からスピーカ2へ向けて折り返された第一折り返し部72と、を備える。第一接続筒部71および第一折り返し部72は、同一の部材で一体に形成されている。
【0081】
第一接続筒部71の長さ(図では第二中心線L2に沿う方向における長さ)は、第二音通筒体5よりも長い。図中符号71aは、第一接続筒部71を第二支持筒部51に装着した際に、第一接続筒部71が第二爪部51aに沿って弾性変形する部分(図では弾性変形後の凹部)を示す。第二支持筒部51への第一接続筒部71の装着時、第一接続筒部71は、第二音通筒体5と第二音通孔50を共有する。第一接続筒部71は、第一接続筒部71の延在方向(図では第二中心線L2)と直交する断面視で真円形状(真円環状)を有する(図10参照)。
【0082】
第一折り返し部72は、外耳道100に挿入可能なチューリップ型を有する。第一折り返し部72は、第一接続筒部71の先端部からスピーカ2へ近づくに従って漸次拡径する第一拡径筒部72aと、第一拡径筒部72aにおいてスピーカ2側の端部からスピーカ2に近づくに従って漸次縮径する第一縮径筒部72bと、を備える。第一折り返し部72は、第一接続筒部71の延在方向(図では第二中心線L2)と直交する断面視で、第一接続筒部71よりも大きい外径を有する真円形状(第一接続筒部71よりも大径かつ薄肉の真円環状)を有する(図10参照)。
【0083】
<第二イヤーチップ8>
図7に示すように、第二イヤーチップ8は、第一音通筒体4および第二音通筒体5の他方(図では第一音通筒体4)に着脱可能に設けられている。第二イヤーチップ8は、耳甲介腔101に面する対珠103に連なる耳甲介104に当接するための耳甲介当接部80を備える(図14図15参照)。耳甲介当接部80は、スピーカ2とは反対側に向けて凸の湾曲状をなして膨出している。耳甲介当接部80は、第一音通筒体4の延在方向と直交する断面視で真円形状を有する。
【0084】
第二イヤーチップ8は、ケース3よりも剛性が低い。第二イヤーチップ8は、第一イヤーチップ7と同一の弾性材料で形成されている。第二イヤーチップ8は、第一イヤーチップ7と略同一のゴム硬度を有する。
【0085】
第二イヤーチップ8は、筒状(図では第一中心線L1と同軸の筒状)をなす第二接続筒部81と、第二接続筒部81の先端部(第一中心線L1に沿う方向でスピーカ2とは反対側の端部)からスピーカ2へ向けて折り返された第二折り返し部82と、を備える。第二接続筒部81および第二折り返し部82は、同一の部材で一体に形成されている。
【0086】
第二接続筒部81の長さ(図では第一中心線L1に沿う方向における長さ)は、第一音通筒体4よりも長い。図中符号81aは、第二接続筒部81を第一支持筒部41に装着した際に、第二接続筒部81が第一爪部41aに沿って弾性変形する部分(図では弾性変形後の凹部)を示す。第一支持筒部41への第二接続筒部81の装着時、第二接続筒部81は、第一音通筒体4の第一音通孔40を遮断する。第二接続筒部81は、有底円筒状を有する、第二接続筒部81は、第二接続筒部81の延在方向(図では第一中心線L1)と直交する断面視で真円形状を有する。
【0087】
第二折り返し部82は、外甲介腔101に収容可能なチューリップ型を有する。第二折り返し部82は、第二接続筒部81の先端部からスピーカ2へ近づくに従って漸次拡径する第二拡径筒部82aと、第二拡径筒部82aにおいてスピーカ2側の端部からスピーカ2に近づくに従って漸次縮径する第二縮径筒部82bと、を備える。第二折り返し部82は、第二接続筒部81の延在方向(図では第一中心線L1)と直交する断面視で、第二接続筒部81よりも大きい外径を有する真円形状(第二接続筒部81よりも大径かつ薄肉の真円環状)を有する。
【0088】
耳甲介当接部80は、第一音通筒体4の開口を塞ぐ閉塞部83と、複数の凹部84と、を有する。
閉塞部83は、第二接続筒部81において第一音通孔40を塞ぐ部分である。すなわち、閉塞部83は、第二接続筒部81において第一音通孔40と外部空間とを仕切る部分である。
【0089】
図2に示すように、凹部84は、3つ設けられている。第二接続筒部81の延在方向(図では第一中心線L1)に沿う方向から見て、凹部84は円形状を有する。3つの凹部84は、互いに実質的に同じ形状を有する。3つの凹部84は、第一中心線L1の回りに実質的に等間隔に配置されている。3つの凹部84は、第二接続筒部81の中心を対称軸として3回転対称に配置されている。すなわち、3つの凹部84は、デルタ配置(トライアングル配置)とされている。
【0090】
図4に示すように、ヨーク10の軸線Lyに沿う方向における外耳道当接部70の外端と耳甲介当接部80の外端との間の距離H1を「軸方向全長H1」ともいう。軸方向全長H1は、第一音通筒体4に第二イヤーチップ8を装着し、第二音通筒体5に第一イヤーチップ7を装着したときのイヤホン1の軸方向の全長を意味する。軸方向全長H1は、18mm以上30mm以下に設定されている。イヤホン1の装着安定性向上および外部雑音侵入抑制の効果を発揮する観点からは、軸方向全長H1は、23mm以上25mm以下に設定されることが好ましい。例えば本実施形態では、軸方向全長H1は24mm程度に設定されている。
【0091】
<等価回路>
図11は、実施形態に係るイヤホン1を振動膜側から試聴するときの等価回路図である。図12は、実施形態の係るイヤホン1をヨーク側から試聴するときの等価回路図である。
図中において、符号C1は振動膜9と第一カバー20とで囲まれた振動膜9側の容積(電気回路における容量)、符号C2は軸方向において振動膜9とは反対側の容積(ヨーク10内部の容積を含む振動膜9の後ろ側の容積)、符号R1は第一カバー20の内側に設けられた第一音響抵抗材25の抵抗(電気回路における抵抗)、符号R2は第二カバー30の内側に設けられた第二音響抵抗材35の抵抗、符号Imは使用者の耳側のインピーダンス、符号Trは理想トランスをそれぞれ示す。容積C2にはヨーク10内部の容積も含まれるため、容積C2は容積C1よりも必然的に大きくなる(C2>C1)。
【0092】
<周波数特性>
C2>C1により、振動膜9側(R1,C1側)から試聴した時とヨーク10側(R2,C2側)から試聴した時とで異なる周波数特性を有する。
まず、R1をR2と実質的に同じとした場合(R1≒R2)について説明する。
R1≒R2の場合に振動膜9側から試聴した時は、低音域から中音域にかけてフラットな周波数特性を有する。このようなフラット型は、一般的に、クラシック音楽等を再生する際に好適である。
R1≒R2の場合にヨーク10側から試聴した時は、中音域が低下し、低音域および高音域が盛り上がる、いわゆるドンシャリ型の周波数特性を有する。ドンシャリ型は、低音域および高音域が強調されるため、例えばロックミュージック型の比較的派手な音楽を再生する際に好適である。
【0093】
次に、R1をR2よりも小さくした場合(R1<R2)について説明する。
R1<R2の場合に振動膜9側から試聴した時は、低域が低下することにより、音声帯域の明瞭度が増す周波数特性を有する。そのため、語学学習等の音声帯域の試聴に好適である。
R1<R2の場合にヨーク10側から試聴した時は、R2の音響抵抗値を大きくするに従って低音域の量感が増す。
【0094】
図13は、実施形態に係るイヤホン1を試聴した際の音波の周波数特性を示す図である。図13は、同じスピーカ2を両面側から試聴したときの音波の周波数特性の測定結果を示す。図13は、R1<R2の場合の周波数特性を示す。周波数測定器は、使用者の耳の形状を模造した人工耳において音波の周波数を測定するものを用いた。図13において、横軸は音波の周波数[Hz]、縦軸は音波の音圧レベル[dB]である。図13において、グラフS1(実線)は振動膜9側から試聴したときの周波数特性、グラフS2(破線)はヨーク側から試聴したときの周波数特性をそれぞれ示す。
【0095】
図13に示すように、振動膜9側から試聴したとき、2~4KHz付近の音圧レベルが最も高く、低音域、高音域共に音圧レベルが低く、音声帯域が明瞭に聞こえるような周波数特性を有する(グラフS1参照)。
一方、ヨーク10側から試聴したとき、低音域、高音域が盛り上がり、いわゆるドンシャリ型の周波数特性を有する(グラフS2参照)。
【0096】
<作用>
以下、本実施形態のイヤホン1の作用について説明する。
図14は、実施形態に係るイヤホン1の左耳での第一使用状態の説明図である。図15は、実施形態に係るイヤホン1の左耳での第二使用状態の説明図である。図16は、比較例に係るイヤホン1Xの左耳での使用状態の説明図である。
まず、比較例について説明する。
図16に示すように、比較例に係るイヤホン1Xは、使用者の耳珠102、対珠103、耳甲介104で囲まれた耳甲介腔101内に、ヨーク10Xを耳甲介104に近接させるようにしてケース3Xを挿入する構成を有する。比較例では、振動膜9Xを支持するヨーク10Xと、ヨーク10Xを収容するケース3Xと、を備える。ケース3Xは、ヨーク10Xに面する部分に封数の音通孔18Xを有する。図中符号19Xは、ケース3Xにおいて使用者の耳に装着される部分(装着部)を示す。
【0097】
次に、本実施形態について図7図14図15を参照して説明する。
本実施形態においては、イヤホン1は、第一中心線L1を有する第一音通筒体4と、第二中心線L2を有する第二音通筒体5と、を備える(図7参照)。第一中心線L1と第二中心線L2とのなす角度A3は、120度である(図7参照)。外耳道100には第一イヤーチップ7が装着されるとともに、耳甲介腔101に面する対珠103に連なる耳甲介104には第二イヤーチップ8が装着されるため、比較例よりも良好な装着安定性が得られる(図14図15参照)。
加えて、本実施形態においては、イヤホン1を使用する際、第一連結筒部42の長さ分だけ、第一音通筒体4を外耳道100の奥へ入り込ませることができる。そのため、比較例よりも外耳道100の奥の部分でイヤーチップ7を当接させることができる(図14図15参照)。
【0098】
以上説明したように、本実施形態に係るイヤホン1は、振動膜9と、振動膜9を支持するヨーク10と、を有し、振動膜9の振動によって発音するスピーカ2と、スピーカ2を収容するケース3と、スピーカ2の振動膜9の側に設けられ、ケース3において振動膜9に面する部分から振動膜9のヨーク10とは反対側へ向けて突出する筒状をなすとともに、スピーカ2によって発音された音を使用者の耳における外耳道100に伝搬させるための第一音通筒体4と、スピーカ2のヨーク10の側に設けられ、ケース3においてヨーク10に面する部分からヨーク10の振動膜9とは反対側へ向けて突出する筒状をなすとともに、スピーカ2によって発音された音を外耳道100に伝搬させるための第二音通筒体5と、を備える。
この構成によれば、イヤホン1を使用する際、第一音通筒体4および第二音通筒体5のいずれかを選択して外耳道100に挿入することができる。したがって、挿入式イヤホンとしてスピーカ2の振動膜9側とヨーク10側との両方から試聴可能な両面試聴イヤホン1を提供することができる。
【0099】
上記実施形態では、第一音通筒体4および第二音通筒体5の一方を外耳道100に挿入した第一使用状態において第一音声帯域の音質とするとともに、第一音通筒体4および第二音通筒体5の他方を外耳道100に挿入した第二使用状態において第一音声帯域とは異なる第二音声帯域の音質とすることで、以下の効果を有する。
イヤホン1を使用する際、2種類の音質が得られる。例えば、一方から試聴する場合は再生音帯域の広い音楽試聴用の音質とし、他方から試聴する場合は音声帯域が聞きやすい語学学習用の音質とすることができる。
【0100】
上記実施形態では、第一音通筒体4は、第一音通筒体4を外耳道100に挿入した第一使用状態において外耳道100の内壁に当接するための外耳道当接部70が設けられ、外耳道100に指向する第一支持筒部41と、ケース3において振動膜9に面する部分と外耳道当接部70との位置関係を保持するように第一支持筒部41とケース3とを連結する第一連結筒部42と、を備えることで、以下の効果を有する。
イヤホン1を第一使用状態で使用する際、第一連結筒部42の長さ分だけ、第一支持筒部41を外耳道100の奥へ入り込ませることができるため、外部雑音の侵入を更に抑制することができる。例えば、弾性材料で形成された耳甲介当接部80を有する場合、対珠側の耳甲介側壁に対する耳甲介当接部80の弾性反発力により、第一支持筒部41を外耳道側へ押し込むことができる。
【0101】
上記実施形態では、第二音通筒体5は、第二音通筒体5を外耳道100に挿入した第二使用状態において外耳道100の内壁に当接するための外耳道当接部70が設けられ、外耳道に指向する第二支持筒部51と、ケース3においてヨーク10に面する部分と外耳道当接部70との位置関係を保持するように第二支持筒部51とケース3とを連結する第二連結筒部52と、を備えることで、以下の効果を有する。
イヤホン1を第二使用状態で使用する際、第二連結筒部52の長さ分だけ、第二支持筒部51を外耳道100の奥へ入り込ませることができるため、外部雑音の侵入を更に抑制することができる。例えば、弾性材料で形成された耳甲介当接部80を有する場合、対珠側の耳甲介側壁に対する耳甲介当接部80の弾性反発力により、第二支持筒部51を外耳道側へ押し込むことができる。
【0102】
上記実施形態では、第一音通筒体4および第二音通筒体5の一方を外耳道100に挿入した使用状態において、第一音通筒体4および第二音通筒体5の前記一方は、ヨーク10の軸線Lyにおいてケース3と重なる部分Lyよりも片側にオフセットするとともに、ケース3から外耳道100に向けて傾斜して延びていることで、以下の効果を有する。
イヤホン1を使用する際、使用者の外耳道100に沿って自然な角度で第一音通筒体4および第二音通筒体5の一方を外耳道100へ挿入することができるため、装着安定性を向上することができる。例えば、図7に示すように、外耳道当接部70および耳甲介当接部80を有する場合、対珠側の耳甲介側壁に対して耳甲介当接部80が第一中心線L1に沿う方向の力を受けると、第一中心線L1と第二中心線L2とがなす角度A3に応じて紙面右方向(外耳道へ向かう方向)へ力(第一中心線L1に沿う方向の力の分力)が作用する。使用者の耳の形状は多種多様であるが、第一中心線L1に沿う方向の力およびその分力を外耳道当接部70および耳甲介当接部80で受けることにより、装着安定性を向上することができる。
【0103】
上記実施形態では、第一音通筒体4の中心を通る第一中心線L1とヨーク10の軸線Lyとのなす角度をA1とし、第二音通筒体5の中心を通る第二中心線L2と前記軸線Lyとのなす角度をA2とし、第一中心線L1と第二中心線L2とのなす角度をA3としたとき、角度A1および角度A2のそれぞれは0度以上90度以下であり、角度A3は90度以上150度以下であることで、以下の効果を有する。
角度A3が90度以上150度以下の範囲で使用者のニーズに合わせて角度を設定することができる。
【0104】
上記実施形態では、第一音通筒体4および第二音通筒体5の一方に設けられ、外耳道100の内壁に当接するための外耳道当接部70と、第一音通筒体4および第二音通筒体5の他方に設けられ、スピーカ2とは反対側に向けて凸の湾曲状をなして膨出するとともに、使用者の耳甲介腔101に面する対珠103に連なる耳甲介104に当接するための耳甲介当接部80と、を備えることで、以下の効果を有する。
イヤホン1を使用する際、外耳道当接部70を外耳道100の内壁に当接させつつ、耳甲介当接部80を耳甲介104に広い範囲で接触させやすいため、装着安定性を更に向上することができる。
【0105】
上記実施形態では、耳甲介当接部80は、第一音通筒体4および第二音通筒体5の他方の開口を塞ぐ閉塞部83を有することで、以下の効果を有する。
閉塞部83によってスピーカ2から発音された音が遮断されるため、第一音通筒体4および第二音通筒体5の他方の開口からの音漏れを抑制することができる。
【0106】
上記実施形態では、耳甲介当接部80は、複数の凹部84を有することで、以下の効果を有する。
複数の凹部84によって耳甲介当接部80を耳甲介104により一層柔らかく接触させることができるため、装着安定性を更に向上することができる。加えて、複数の凹部84の分だけ肉が取られるため、材料費を低減することができる。
【0107】
上記実施形態では、第一音通筒体4および第二音通筒体5の一方に着脱可能に設けられ、外耳道当接部70を有する第一イヤーチップ7と、第一音通筒体4および前記第二音通筒体5の他方に着脱可能に設けられ、耳甲介当接部80を有する第二イヤーチップ8と、を備えることで、以下の効果を有する。
イヤホン1を使用する際、第一音通筒体4および第二音通筒体5の一方を選択して第一イヤーチップ7を装着し外耳道に挿入するとともに、第一音通筒体4および第二音通筒体5の他方を選択して第二イヤーチップ8を装着し耳甲介に接触させることができる。したがって、使用者のニーズに合わせてスピーカ2の振動膜9側とヨーク10側との両方から試聴可能となる。
【0108】
上記実施形態では、外耳道当接部70および耳甲介当接部80は、弾性材料で形成されていることで、以下の効果を有する。
イヤホン1を使用する際、耳の形状(外耳道100、対珠103および耳甲介104の形状)に沿うように外耳道当接部70および耳甲介当接部80を弾性変形させることができるため、装着安定性がより一層向上する。
【0109】
上記実施形態では、弾性材料は、シリコーンゴムであることで、以下の効果を有する。
シリコーンゴムは、生体適合性、耐熱性、耐薬品性、撥水性、電気絶縁性などに優れているため、弾性材料として好適である。
【0110】
上記実施形態では、弾性材料のゴム硬度は、A70以下であることで、以下の効果を有する。
イヤホン1を使用する際、耳の形状(外耳道100、対珠103および耳甲介104の形状)に沿うように外耳道当接部70および耳甲介当接部80をより柔軟に弾性変形させることができるため、耳への圧迫感を軽減し、装着安定性がより一層向上する。
【0111】
上記実施形態では、ヨーク10の軸線Lyに沿う方向における外耳道当接部70の外端と耳甲介当接部80の外端との間の距離H1は、18mm以上であることで、以下の効果を有する。
前記距離H1が18mm未満の場合と比較して、外耳道当接部70が外耳道100の入口外縁部により強く押し付けられ、外耳道100の入口外縁部と外耳道当接部70とが密着するため、音漏れの原因となる隙間が生じることを抑制することができる。
【0112】
上記実施形態では、第一音通筒体4および第二音通筒体5の一方を外耳道100に挿入した第一使用状態においてコード60が使用者の耳に対して頭頂部側に引き出されるようにコード60を支持するとともに、第一音通筒体4および第二音通筒体5の他方を外耳道100に挿入した第二使用状態においてコード60が使用者の耳に対して顎部側に引き出されるようにコード60を支持するコード支持部6を備えることで、以下の効果を有する。
イヤホン1を使用する際、コード60を使用者の耳たぶに掛けたり、コード60を下側に出したりする等、任意の使用方法に対応することが可能となる(図17図18参照)。例えば、コード60を耳たぶに掛けた場合(図18参照)は、コード60の機械的な伝導ノイズを大幅に減らすことが可能となるため、語学学習時など集中して試聴したいときに好適である。
【0113】
上記実施形態では、ケース3は、スピーカ2を振動膜9の側から覆うとともに、第一音通筒体4が連結される第一カバー20と、スピーカ2をヨーク10の側から覆うとともに、第二音通筒体5が連結される第二カバー30と、を備えることで、以下の効果を有する。
第一カバー20と第二カバー30とを別個独立に製造することができるため、製造効率を向上することができる。
【0114】
上記実施形態では、コード支持部6は、左耳用と右耳用とで異なる色を有することで、以下の効果を有する。
コード支持部6を視認することにより、左耳用か右耳用かを容易に判別することができる。
【0115】
上記実施形態では、コード60を支持する筒状をなし、コード60を一端側から引き出すコード支持部6と、コード支持部6においてコード60が引き出される側とは反対側の端部に設けられたマイクロフォン90と、を備えることで、以下の効果を有する。
マイクロフォン90によって、周囲から収音した音を増幅したり、周囲から外耳道100に侵入した主に高音域の雑音を低減したりすることができる。
例えば、マイクロフォン90によって周囲から収音した音を増幅し、音声帯域が明瞭に聞こえるような周波数特性で試聴する場合は、難聴者の会話、テレビ視聴等に有効である。
例えば、マイクロフォン90をアクティブ・ノイズ・キャンセルに応用した場合、以下の(1)、(2)の効果を有する。
(1)外耳道当接部70と外耳道100の内壁との安定的な接触により、高音域の周囲雑音は基本的に低減される。
(2)アクティブ・ノイズ・キャンセルにより主に低音域の雑音を低減するよう構成することにより、マイクロフォン90とスピーカ2との位相差により発生する高音域の雑音の影響を受けることなく、一般的なノイズキャンセル・イヤホンと比較して、良好なノイズ・キャンセル効果を得ることができる。
本実施形態では、外耳道当接部70と外耳道100の内壁との安定的な接触により、本来持っている主に高音域の雑音を低減することに加え、マイクロフォン90によって周囲から収音した音を増幅することができる。
【0116】
<変形例>
上記実施形態では、第一音通筒体4および第二音通筒体5の一方に着脱可能に設けられ、外耳道当接部70を有する第一イヤーチップ7と、第一音通筒体4および前記第二音通筒体5の他方に着脱可能に設けられ、耳甲介当接部80を有する第二イヤーチップ8と、を備える例を挙げて説明したが、これに限らない。
例えば、外耳道当接部70(第一イヤーチップ7)は、第一音通筒体4および第二音通筒体5の一方と同一の部材で一体に形成されていてもよい。例えば、耳甲介当接部80(第二イヤーチップ8)は、第一音通筒体4および第二音通筒体5の他方と同一の部材で一体に形成されていてもよい。
この構成によれば、外耳道当接部70(第一イヤーチップ7)および耳甲介当接部80(第二イヤーチップ8)が第一音通筒体4および第二音通筒体5の一方に着脱可能に設けられた場合と比較して、外耳道当接部70および耳甲介当接部80の紛失を防止することができる。加えて、外耳道当接部70および耳甲介当接部80の耳への接触面積を増やすことができるため、装着安定性が向上する。
【0117】
上記実施形態では、外耳道当接部70は、第二音通筒体5の延在方向と直交する断面視で真円形状を有する例を挙げて説明したが、これに限らない。
例えば、図19に示すように、外耳道当接部270(第一接続筒部271)は、外耳道当接部270を外耳道に挿入した使用状態において、第二音通筒体5の延在方向から見て、使用者の耳珠102と対珠103とが対向する方向と直交する方向(図の紙面上下方向)に延びる楕円形状を有していてもよい。
この構成によれば、外耳道当接部270が前記楕円形状を有する場合、一般的な外耳道100の形状に合うため、前記延在方向から見て外耳道当接部70が真円形状を有する場合(図10参照)と比較して、外耳道100への圧迫感を軽減し、装着安定性をより一層向上することができる。
【0118】
上記実施形態では、第一折り返し部72は、第一接続筒部71の延在方向と直交する断面視で真円形状(真円環状)を有する例を挙げて説明したが、これに限らない。
例えば、図19に示すように、第一折り返し部272は、外耳道当接部270を外耳道100に挿入した使用状態において、第一接続筒部271の延在方向から見て、使用者の耳珠102と対珠103とが対向する方向と直交する方向(図の紙面上下方向)に延びる楕円形状を有していてもよい。これにより、装着安定性をより一層向上することができる。
【0119】
上記実施形態では、コード支持部6は、左耳用と右耳用とで互いに異なる色を有する例を挙げて説明したが、これに限らない。
例えば、ケース3は、左耳用と右耳用とで互いに異なる色を有していてもよい。例えば、イヤホン全体は、左耳用と右耳用とで互いに異なる色を有していてもよい。すなわち、イヤホンの少なくとも一部は、左耳用と右耳用とで互いに異なる色を有していてもよい。
または、イヤホン全体は、左耳用と右耳用とで互いに同じ色を有していてもよい。
【0120】
上記実施形態では、イヤホン1は、コード支持部6においてコード60が引き出される側とは反対側の端部に設けられたマイクロフォン90を備える例を挙げて説明したが、これに限らない。
例えば、イヤホン1は、マイクロフォン90を有しなくてもよい。例えば、コード支持部6においてコード60が引き出される側とは反対側の端部には、キャップが着脱可能に取り付けられていてもよい。
【0121】
上記実施形態では、第一音通筒体4および第二音通筒体5の一方を外耳道100に挿入した使用状態において、第一音通筒体4および第二音通筒体5の前記一方は、ヨーク10の軸線Lyにおいてケース3と重なる部分Lyよりも片側にオフセットする例を挙げて説明したが、これに限らない。
例えば、第一音通筒体4および第二音通筒体5の前記一方は、ヨーク10の軸線Lyにおいてケース3と重なる部分Lyからオフセットしていなくてもよい。例えば、第一音通筒体4および第二音通筒体5の前記一方は、ヨーク10の軸線Lyと全体的に重なっていてもよい。
【0122】
上記実施形態では、第一音通筒体4および第二音通筒体5の一方は、単一のサイズの第一イヤーチップ7が着脱可能とされ、第一音通筒体4および第二音通筒体5の他方は、単一のサイズの第二イヤーチップ8が着脱可能とされている例を挙げて説明したが、これに限らない。
例えば、図20に示すように、第一音通筒体4および第二音通筒体5の一方は、複数種類のサイズの第一イヤーチップ7Sm,7Mi,7Laが着脱可能とされていてもよい。複数種類のサイズの第一イヤーチップ7Sm,7Mi,7Laは、Sサイズの第一イヤーチップ7Sm、Mサイズの第一イヤーチップ7Mi、およびLサイズの第一イヤーチップ7Laである。図では、Mサイズの第一イヤーチップ7Miを実線で示し、Sサイズの第一イヤーチップ7SmおよびLサイズの第一イヤーチップ7Laを二点鎖線でそれぞれ示している。
第一音通筒体4および第二音通筒体5の他方は、複数種類のサイズの第二イヤーチップ8Sm,8Mi,8Laが着脱可能とされていてもよい。複数種類のサイズの第二イヤーチップ8Sm,8Mi,8Laは、Sサイズの第二イヤーチップ8Sm、Mサイズの第二イヤーチップ8Mi、およびLサイズの第二イヤーチップ8Laである。図では、Mサイズの第二イヤーチップ8Miを実線で示し、Sサイズの第二イヤーチップ8SmおよびLサイズの第二イヤーチップ8Laを二点鎖線でそれぞれ示している。
これにより、イヤホンを使用する際、使用者の耳の大きさに合うように第一イヤーチップ7Sm,7Mi,7Laおよび第二イヤーチップ8Sm,8Mi,8Laを任意に選択することができるため、使用者にとって快適な装着感を得ることができる。
なお、複数種類のサイズの第一イヤーチップおよび第二イヤーチップは、上記サイズ(S、M、L)に限らず、SSサイズ、LLサイズなどの他のサイズを含んでいてもよい。
【0123】
なお、上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更が可能である。上記実施形態とその変形は、発明の範囲と発明の要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0124】
1…イヤホン(両面試聴イヤホン)
2…スピーカ
3…ケース
4…第一音通筒体
5…第二音通筒体
6…コード支持部
7…第一イヤーチップ
7Sm…Sサイズの第一イヤーチップ(第一イヤーチップ)
7Mi…Mサイズの第一イヤーチップ(第一イヤーチップ)
7La…Lサイズの第一イヤーチップ(第一イヤーチップ)
8…第二イヤーチップ
8Sm…Sサイズの第二イヤーチップ(第二イヤーチップ)
8Mi…Mサイズの第二イヤーチップ(第二イヤーチップ)
8La…Lサイズの第二イヤーチップ(第二イヤーチップ)
9…振動膜
10…ヨーク
20…第一カバー
30…第二カバー
41…第一支持筒部
42…第一連結筒部
51…第二支持筒部
52…第二連結筒部
60…コード
70…外耳道当接部
80…耳甲介当接部
83…閉塞部
84…凹部
90…マイクロフォン
100…外耳道
101…耳甲介腔
102…耳珠
103…対珠
104…耳甲介
270…外耳道当接部
A1…第一中心線とヨークの軸線とのなす角度
A2…第二中心線とヨークの軸線とのなす角度
A3…第一中心線と第二中心線とのなす角度
H1…軸方向全長(ヨークの軸線に沿う方向における外耳道当接部の外端と耳甲介当接部の外端との間の距離)
Lr…ヨークの軸線においてケースと重なる部分
Ly…ヨークの軸線
L1…第一中心線
L2…第二中心線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20