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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-01
(45)【発行日】2023-06-09
(54)【発明の名称】撮影装置及びドライブレコーダー等
(51)【国際特許分類】
   G07C 5/00 20060101AFI20230602BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20230602BHJP
   G03B 17/56 20210101ALI20230602BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20230602BHJP
【FI】
G07C5/00 Z
G03B15/00 W
G03B15/00 V
G03B17/56 A
B60R11/02 A
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2019178856
(22)【出願日】2019-09-30
(65)【公開番号】P2021056746
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-04-05
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ▲1▼ 販売日 平成31年2月17日 ▲2▼ 販売した場所 アマゾンジャパン合同会社(https://www.amazon.co.jp/) ▲1▼ 販売日 平成31年2月27日 ▲2▼ 販売した場所 Yupiteruダイレクト(https://direct.yupiteru.co.jp/) ▲1▼ ウェブサイトの掲載日 平成31年2月20日 ▲2▼ ウェブサイトのアドレス https://www.yupiteru.co.jp/products/drive_recorder/sn-hq90d/ https://www.yupiteru.co.jp/products/drive_recorder/sn-hq90d/spec.html https://www.yupiteru.co.jp/products/drive_recorder/sn-hq90d/app.html https://www.yupiteru.co.jp/products/drive_recorder/sn-hq90d/option.html https://www.yupiteru.co.jp/products/drive_recorder/sn-hq90d/support.html https://my.yupiteru.co.jp/upload/save_image/manual/pdf/SN-HQ90d.pdf
(73)【特許権者】
【識別番号】391001848
【氏名又は名称】株式会社ユピテル
(74)【代理人】
【識別番号】100115808
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 真司
(74)【代理人】
【識別番号】100113549
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 守
(74)【代理人】
【識別番号】230125313
【弁護士】
【氏名又は名称】新藤 圭介
(72)【発明者】
【氏名】服部 哲也
(72)【発明者】
【氏名】石橋 英樹
(72)【発明者】
【氏名】小山 正吾
(72)【発明者】
【氏名】依藤 勇規
(72)【発明者】
【氏名】根橋 成昌
(72)【発明者】
【氏名】荒谷 良彦
(72)【発明者】
【氏名】山下 裕
【審査官】平野 貴也
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-032720(JP,A)
【文献】特開2017-062830(JP,A)
【文献】特開2018-122651(JP,A)
【文献】[最新ドライブレコーダーインプレ]超広角レンズ&スーパーナイトで確実な映像記録 ユピテルSN-HQ90d,モーターファン,日本,2019年05月22日,[online],[検索日12月21日],インターネット:<URL:https://car.motor-fan.jp/article/10009673>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07C 1/00 - 15/00
B60R 1/00 - 1/04,
1/08 - 1/31,
9/00 - 11/06
G03B 15/00 - 15/035,
15/06 - 15/16,
17/56 - 17/58
G08G 1/00 - 99/00
H04N 5/222- 5/257,
7/18,
23/00,
23/40 - 23/76,
23/90 - 23/959
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影装置であって、
所定の取付位置に固定される固定手段と、
広角レンズを用いて撮影する撮影手段と、
前記広角レンズを保持し、前記固定手段に対する相対的な姿勢を変化させることによりユーザーが目測で確認可能な方向に対する前記広角レンズの光軸の角度を調整可能な保持手段と、
前記保持手段に設けられ、前記保持手段が正姿勢にあることをユーザーが目測で確認可能にするための確認手段と、
を備え、
前記広角レンズの光軸は、前記保持手段が前記正姿勢にあるときに、前記目測で確認可能な方向に対して異なる方向に所定の角度だけ傾き、
前記広角レンズは、前記保持手段に対して固定されており、前記保持手段が前記固定手段に対して回転することで前記保持手段の角度を調整可能である、撮影装置。
【請求項2】
撮影装置であって、
所定の取付位置に固定される固定手段と、
広角レンズを用いて撮影する撮影手段と、
前記広角レンズを保持し、前記固定手段に対する相対的な姿勢を変化させることによりユーザーが目測で確認可能な方向に対する前記広角レンズの光軸の角度を調整可能な保持手段と、
前記保持手段に設けられ、前記保持手段が正姿勢にあることをユーザーが目測で確認可能にするための確認手段と、
を備え、
前記広角レンズの光軸は、前記保持手段が前記正姿勢にあるときに、前記目測で確認可能な方向に対して異なる方向に所定の角度だけ傾き、
前記保持手段は、前記正姿勢であるときの前記広角レンズの光軸を挟んだ両側に前記光軸の角度を調整可能である、撮影装置。
【請求項3】
前記目測で確認可能な方向が鉛直下方向であり、
前記広角レンズの光軸は、前記保持手段が前記正姿勢にあるときに、鉛直下方向から前記確認手段が存在する側と反対側に前記所定の角度だけ傾く、請求項1又は2に記載の撮影装置。
【請求項4】
前記保持手段が前記正姿勢にあるとき、前記広角レンズは、前記目測で確認可能な方向を挟んだ両側にわたる200°より大きな画角を有する、請求項1から3のいずれかに記載の撮影装置。
【請求項5】
前記保持手段は、前記固定手段と接続される部分が前記広角レンズとともに前記目測で確認可能な方向と交差する方向に延びる軸周りに回転することにより、前記角度を調整可能である、請求項1からのいずれかに記載の撮影装置。
【請求項6】
前記保持手段が前記正姿勢にあるとき、前記撮影手段は水平方向よりも上の領域を撮影領域に含む、請求項1からのいずれかに記載の撮影装置。
【請求項7】
前記広角レンズの画角をX°とすると、前記所定の角度は、((X-200)×0.5)°である、請求項1からのいずれかに記載の撮影装置。
【請求項8】
前記X°は、240°である、請求項に記載の撮影装置。
【請求項9】
前記広角レンズは、前記保持手段に対して、前記目測で確認可能な方向を挟んだ両側に所定の可変角度範囲内で角度調整が可能である、請求項1に記載の撮影装置。
【請求項10】
前記確認手段は、前記保持手段が前記正姿勢にあるときに水平方向を向く平坦面を有する、請求項1からのいずれかに記載の撮影装置。
【請求項11】
前記確認手段は、前記保持手段が前記正姿勢にあるときに水平方向を向く操作手段又は表示手段を有する、請求項1からのいずれかに記載の撮影装置。
【請求項12】
前記確認手段は、前記保持手段が前記正姿勢にあるときに、水平方向を向く部材又は標記を有する、請求項1からのいずれかに記載の撮影装置。
【請求項13】
アンテナモジュールをさらに備え、
前記撮影手段は、前記広角レンズを通過した光をデータに変換する撮像素子を有し、
前記保持手段は、前記撮像素子と前記アンテナモジュールとを収容するケースである、
請求項1から12のいずれかに記載の撮影装置。
【請求項14】
前記アンテナモジュールは、前記正姿勢のときの前記撮影手段の撮影範囲が存在する方向に感度を有するGPSアンテナモジュールを含む、請求項13に記載の撮影装置。
【請求項15】
前記アンテナモジュールは、前記固定手段よりも前記広角レンズに近い位置に配置された無線アンテナモジュールを含む、請求項13又は14に記載の撮影装置。
【請求項16】
前記アンテナモジュールは、第1のアンテナモジュールを含み、
前記ケースから露出し、前記第1のアンテナモジュールから離れる方向に突き出すことが可能な第2のアンテナモジュールをさらに備える、請求項13から15のいずれかに記載の撮影装置。
【請求項17】
前記第1のアンテナモジュールは、前記保持手段が前記正姿勢にあるときに、前記ケースの上側内側面に収容される、請求項16に記載の撮影装置。
【請求項18】
前記ケースに収容され、前記広角レンズの光軸が法線となる平面に平行な基板をさらに備え、
前記ケースは、前記正姿勢にある前記ケースの上側及び下側に放熱のための放熱穴を備え、前記ケース内には、前記ケースの下側の放熱穴から上側の放熱穴に熱が伝搬するための空間が確保されている、請求項13から17のいずれかに記載の撮影装置。
【請求項19】
広角レンズを用いて撮影する撮影手段を収容するケースを有し、前記ケースがブラケットを介して車両のフロントガラスに取り付けられた状態で姿勢を調整可能な撮影装置であって、
あらかじめ決められた撮影姿勢である正姿勢にあるときに前記車両の所定の乗車領域の方向を向く確認手段を有し、
前記正姿勢にあるときに、前記広角レンズは前記乗車領域の位置から目視できない位置にあり、かつ前記撮影手段の撮影領域に前記車両の前方向及び運転席が含まれ
前記広角レンズは、前記ケースに対して固定されており、前記ケースが前記ブラケットに対して回転することで前記ケースの角度を調整可能である、撮影装置。
【請求項20】
広角レンズを用いて撮影する撮影手段を収容するケースを有し、前記ケースがブラケットを介して車両のフロントガラスに取り付けられた状態で姿勢を調整可能な撮影装置であって、
あらかじめ決められた撮影姿勢である正姿勢にあるときに前記車両の所定の乗車領域の方向を向く確認手段を有し、
前記正姿勢にあるときに、前記広角レンズは前記乗車領域の位置から目視できない位置にあり、かつ前記撮影手段の撮影領域に前記車両の前方向及び運転席が含まれ、
前記ケースは、前記正姿勢であるときの前記広角レンズの光軸を挟んだ両側に前記光軸の角度を調整可能である、撮影装置。
【請求項21】
前記撮影手段は、前記正姿勢にあるときの撮影領域が前記車両の幅方向よりも前記車両の前後方向に長くなるように構成されている、請求項19又は20に記載の撮影装置。
【請求項22】
請求項1から21のいずれかに記載の撮影装置を有するドライブレコーダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影装置及びドライブレコーダー等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ドライブレコーダーは、自家用自動車、事業用自動車等のフロントガラス等に取り付けられ、例えば、事故発生時の前後の所定時間について、車両の前方向等を撮影し、交通事故等の際の検証に有益な情報を提供している。
【0003】
例えば、特許文献1には、1台のカメラで車両前方及び左右を撮影可能にした撮影装置、撮影システム及び撮影方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-297405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の撮影装置及びドライブレコーダーでは、例えば、車両の前方向及び車両内を含む車両の後方向(以下、「車両の後方向」ともいう。)を撮影するための広角レンズを備えていたとしても、車両の前方向及び後方向が均等に撮影され、車両の前方向又は後方向を広く撮影できなかった。
【0006】
本発明は、所望の範囲を広く撮影することに適した撮影装置及びドライブレコーダーを提供することを目的の一つとする。例えば、ユーザーが目測で確認可能な方向を挟んで両側の範囲、又は車両の前方向を含む範囲を広く撮影することに適した撮影装置及びドライブレコーダーを提供することを目的の一つとする。
【0007】
また、本願の発明の目的はこれに限定されず、本明細書および図面等に開示される構成の部分から奏する効果を得ることを目的とする構成についても分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。例えば本明細書において「~できる」と記載した箇所を「~が課題である」と読み替えた課題が本明細書には開示されている。課題はそれぞれ独立したものとして記載しているものであり、各々の課題を解決するための構成についても単独で分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。課題が明細書の記載から黙示的に把握されるものであっても、本出願人は本明細書に記載の構成の一部を補正または分割出願にて特許請求の範囲とする意思を有する。またこれら独立の課題を組み合わせた課題を解決する構成についても開示しているものであり、権利取得する意思を有する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明の一態様の撮影装置は、撮影装置であって、所定の取付位置に固定される固定手段と、広角レンズを用いて撮影する撮影手段と、前記広角レンズを保持し、前記固定手段に対する相対的な姿勢を変化させることによりユーザーが目測で確認可能な方向に対する前記広角レンズの光軸の角度を調整可能な保持手段と、前記保持手段に設けられ、前記保持手段が正姿勢にあることをユーザーが目測で確認可能にするための確認手段と、を備え、前記広角レンズの光軸は、前記保持手段が前記正姿勢にあるときに、前記目測で確認可能な方向に対して異なる方向に所定の角度だけ傾く。
【0009】
このようにすれば、撮影装置は、広角レンズを用いて撮影範囲を広くできる。また、広角レンズの光軸が、保持手段が正姿勢にあるときに、ユーザーが目測で確認可能な方向に対して異なる方向に所定の角度だけ傾くため、撮影装置は、当該異なる方向を広く撮影できる。また、撮影装置が備える確認手段があることで、ユーザーは、当該確認手段を目測することにより撮影装置を正姿勢に調整しやすくなる。
【0010】
(2)前記目測で確認可能な方向が鉛直下方向であり、前記広角レンズの光軸は、前記保持手段が前記正姿勢にあるときに、鉛直下方向から前記確認手段が存在する側と反対側に前記所定の角度だけ傾いてもよい。
【0011】
このようにすれば、ユーザーが目測で確認可能な方向を挟んで、確認手段が存在する側とその反対側との両側にわたる広範な領域を撮影できる。
【0012】
(3)前記保持手段が前記正姿勢にあるとき、前記広角レンズは、前記目測で確認可能な方向を挟んだ両側にわたる200°より大きな画角を有してもよい。
【0013】
このようにすれば、ユーザーが目測で確認可能な方向を挟んだ両側にわたる広範な領域を撮影できる。
【0014】
(4)前記保持手段は、前記固定手段と接続される部分が前記広角レンズとともに前記目測で確認可能な方向と交差する方向に延びる軸周りに回転することにより、前記角度を調整可能でもよい。
【0015】
このようにすれば、撮影装置のユーザーが目測で確認可能な方向における寸法の増大を抑えられる。例えば、撮影装置を有するドライブレコーダーは、ユーザーが目測で確認可能な方向における寸法の増大を抑えられるため、例えば車両のフロントガラスの上端側付近(例えば、上端側20%以内の範囲)に撮影装置を有するドライブレコーダーを容易に取り付けられる。
【0016】
(5)前記保持手段が前記正姿勢にあるとき、前記撮影手段は水平方向よりも上の領域を撮影領域に含んでもよい。
【0017】
このようにすれば、広角レンズを用いて、水平方向よりも上の領域を含む、上下に広範な領域を撮影できる。
【0018】
(6)前記広角レンズの画角をX°とすると、前記所定の角度は、((X-200)×0.5)°でもよい。
【0019】
このようにすれば、広角レンズの光軸が、ユーザーが目測で確認可能な方向に対して異なる方向に((X-200)×0.5)°傾くことにより、水平方向よりも上の(X-190)°の領域を含む、上下に広範な領域を撮影できる。
【0020】
(7)前記X°は、240°でもよい。
【0021】
このようにすれば、広角レンズの光軸が、ユーザーが目測で確認可能な方向に対して異なる方向に20°傾くことにより、水平方向よりも上の50°の領域を含む、上下に広範な領域を撮影できる。広角レンズでは、撮影された像の端が歪むため、歪みを小さく撮影できる画角として10°小さい画角を設定したとしても、水平方向よりも上の40°の領域を含む、上下に広範な領域を撮影できる。例えば、撮影装置を有するドライブレコーダーは、運転しているユーザーから見たときに斜め上方向に見える信号機や道路標識等も撮影できる。
【0022】
(8)前記広角レンズは、前記保持手段に対して、前記目測で確認可能な方向を挟んだ両側に所定の可変角度範囲内で角度調整が可能でもよい。
【0023】
このようにすれば、保持手段が正姿勢にあるときに、ユーザーが目測で確認可能な方向に対して異なる方向に所定の角度だけ傾いている広角レンズの光軸を、保持手段に対して所定の可変角度範囲内で角度調整できる。
【0024】
(9)前記確認手段は、前記保持手段が前記正姿勢にあるときに水平方向を向く平坦面を有してもよい。
【0025】
このようにすれば、ユーザーは、確認手段が有する平坦面が水平方向を向くように撮影装置を取り付けることによって、保持手段が正姿勢にあることを目測で確認し、撮影装置を容易に取り付けられる。
【0026】
(10)前記確認手段は、前記保持手段が前記正姿勢にあるときに水平方向を向く操作手段又は表示手段を有してもよい。
【0027】
このようにすれば、ユーザーは、確認手段が有する操作手段又は表示手段が水平方向を向くように撮影装置を取り付けることによって、保持手段が正姿勢にあることを目測で確認し、撮影装置を容易に取り付けられる。
【0028】
(11)前記確認手段は、前記保持手段が前記正姿勢にあるときに、水平方向を向く部材又は標記を有してもよい。
【0029】
このようにすれば、ユーザーは、確認手段が有する部材又は標記が水平方向を向くように撮影装置を取り付けることによって、保持手段が正姿勢にあることを目測で確認し、撮影装置を容易に取り付けられる。
【0030】
(12)アンテナモジュールをさらに備え、前記撮影手段は、前記広角レンズを通過した光をデータに変換する撮像素子を有し、前記保持手段は、前記撮像素子と前記アンテナモジュールとを収容するケースでもよい。
【0031】
このようにすれば、撮影装置と外部装置との間でデータ通信ができる。
【0032】
(13)前記アンテナモジュールは、前記正姿勢のときの前記撮影手段の撮影範囲が存在する方向に感度を有するGPSアンテナモジュールを含んでもよい。
【0033】
このようにすれば、撮影装置は、GPS(Global Positioning System)機能を利用して撮影装置の位置を特定でき、また、GPSアンテナモジュールを撮影範囲が存在する方向に指向性をもったアンテナモジュールにできる。
【0034】
(14)前記アンテナモジュールは、前記固定手段よりも前記広角レンズに近い位置に配置された無線アンテナモジュールを含んでもよい。
【0035】
このようにすれば、広角レンズの周囲は撮影の障害物がないため、無線アンテナモジュールを障害物から離れた位置に配置して通信の妨害を避けることができる。例えば、撮影装置を有するドライブレコーダーでは、無線LANアンテナモジュールを固定手段よりも広角レンズに近い位置に配置すると、車両の天井鉄板による通信の妨害を極力避けることができる。これにより、無線LANアンテナモジュールを車外及び車両内に対して指向性をもったアンテナモジュールにできる。
【0036】
(15)前記アンテナモジュールは、第1のアンテナモジュールを含み、前記ケースから露出し、前記第1のアンテナモジュールから離れる方向に突き出すことが可能な第2のアンテナモジュールをさらに備えてもよい。
【0037】
このようにすれば、第1のアンテナモジュールと第2のアンテナモジュールとが離れ、例えば、GND(接地)の距離が長くなりアンテナ長を短くできる。
【0038】
(16)前記第1のアンテナモジュールは、前記保持手段が前記正姿勢にあるときに、前記ケースの上側内側面に収容されてもよい。
【0039】
このようにすれば、ケースが正姿勢にあるときに、アンテナモジュールをケース内部で比較的温度が低い上側内側面に収容し、熱によるアンテナモジュールの故障の可能性を低くすることができる。
【0040】
(17)前記ケースに収容され、前記広角レンズの光軸が法線となる平面に平行な基板をさらに備え、前記ケースは、前記正姿勢にある前記ケースの上側及び下側に放熱のための放熱穴を備え、前記ケース内には、前記ケースの下側の放熱穴から上側の放熱穴に熱が伝搬するための空間が確保されてもよい。
【0041】
このようにすれば、ケースに収容されている基板が傾き、基板が水平の場合と比較してケースの下側から上側に抜ける空気の流路が確保されているため、撮影装置が駆動することによって発生する熱の放熱効率を高め、熱による撮影装置の故障の可能性を低くすることができる。
【0042】
(18)本発明の他の態様の撮影装置は、広角レンズを用いて撮影する撮影手段を有し、車両のフロントガラスに取り付けられた状態で姿勢を調整可能な撮影装置であって、あらかじめ決められた撮影姿勢である正姿勢にあるときに前記車両の所定の乗車領域の方向を向く確認手段を有し、前記正姿勢にあるときに、前記広角レンズは前記乗車領域の位置から目視できない位置にあり、かつ前記撮影手段の撮影領域に前記車両の前方向及び運転席が含まれる。
【0043】
このようにすれば、撮影装置は、車両の前方向を含む広い範囲を撮影できる。また、乗車領域に存在するユーザーが広角レンズの位置を目視できない場合であっても、確認手段を手掛かりに、撮影装置の姿勢を正姿勢に調整しやすくすることができる。
【0044】
(19)前記撮影手段は、前記正姿勢にあるときの撮影領域が前記車両の幅方向よりも前記車両の前後方向に長くなるように構成されていてもよい。
【0045】
このようにすれば、車両の運転中に撮影することが特に必要な範囲を広い範囲にわたって撮影できる。例えば、他車両が煽り運転その他の危険運転をしているときの自車両の前方向や運転者の様子を撮影した画像は、後の対処において有用な場合がある。
【0046】
(20)本発明の一態様のドライブレコーダーは、上述したいずれかの撮影装置を有する。
【0047】
このようにすれば、上述したいずれかの撮影装置を有し、取付位置が車両内における所定箇所であるドライブレコーダーを提供できる。なお、所定箇所は、例えば、車両のフロントガラス、天井、サンバイザ、リアガラス等を含んでよい。
【0048】
上述した(1)から(20)に示した発明は、任意に組み合わせることができる。例えば、(1)に示した発明の全てまたは一部の構成に、(2)以降の少なくとも1つの発明の少なくとも一部の構成を加える構成としてもよい。特に、(1)に示した発明に、(2)以降の少なくとも1つの発明の少なくとも一部の構成を加えた発明とするとよい。また、(1)から(20)に示した発明から任意の構成を抽出し、抽出された構成を組み合わせてもよい。本願の出願人は、これらの構成を含む発明について権利を取得する意思を有する。また「~の場合」「~のとき」という記載があったとしても、その場合やそのときに限られる構成として記載はしているものではない。これらはよりよい構成の例を示しているものであって、これらの場合やときでない構成についても権利取得する意思を有する。また順番を伴った記載になっている箇所もこの順番に限らない。一部の箇所を削除したり、順番を入れ替えたりした構成についても開示しているものであり、権利取得する意思を有する。
【発明の効果】
【0049】
本発明によれば、所望の範囲を広く撮影することに適した撮影装置及びドライブレコーダーを提供することができる。例えば、ユーザーが目測で確認可能な方向を挟んで両側の範囲、又は車両の前方向を含む範囲を広く撮影することに適した撮影装置及びドライブレコーダーを提供することができる。
【0050】
また、本願の発明の効果はこれに限定されず、本明細書および図面等に開示される構成の部分から奏する効果についても開示されており、当該効果を奏する構成についても分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。例えば本明細書において「~できる」と記載した箇所などは奏する効果を明示する記載であり、また「~できる」と記載がなくとも効果を示す部分が存在する。またこのような記載がなくとも当該構成よって把握される効果が存在する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1】(a)は、本発明に係る第1の実施の形態のドライブレコーダーを正面方向から見たときの斜視図である。(b)本発明に係る第1の実施の形態のドライブレコーダーを背面方向から見たときの斜視図である。
図2】(a)は、本発明に係る第1の実施の形態のドライブレコーダーの正面図である。(b)は、本発明に係る第1の実施の形態のドライブレコーダーの背面図である。
図3】(a)は、本発明に係る第1の実施の形態のドライブレコーダーの左側面図である。(b)は、本発明に係る第1の実施の形態のドライブレコーダーの右側面図である。
図4】(a)は、本発明に係る第1の実施の形態のドライブレコーダーの平面図である。(b)は、本発明に係る第1の実施の形態のドライブレコーダーの底面図である。
図5】本発明に係る第1の実施の形態のドライブレコーダーを左側面方向から見たときの、操作面と広角レンズの光軸との位置関係を示す図である。
図6】(a)は、本発明に係る第1の実施の形態のドライブレコーダーであって、ブラケット及びケースを備えているときの斜視図である。(b)は、本発明に係る第1の実施の形態のドライブレコーダーであって、ブラケット及びケースの上半面を備えていないときの斜視図である。
図7】(a)本発明に係る第1の実施の形態のドライブレコーダーの広角レンズの光軸を通る断面を含む斜視図である。(b)は、本発明に係る第1の実施の形態のドライブレコーダーの広角レンズの光軸を通る断面を含む右側面図である。
図8】本発明に係る第1の実施の形態のドライブレコーダーの構成を示す図である。
図9】(a)は、本発明に係る第1の実施の形態のドライブレコーダーが水平方向から上側に角度φ1傾いたフロントガラスに取り付けられたときの左側面方向から見たときの図である。(b)は、本発明に係る第1の実施の形態のドライブレコーダーが水平方向から上側に角度φ1より大きい角度φ2傾いたフロントガラスに取り付けられたときの左側面方向から見たときの図である。
図10】(a)は、本発明に係る第2の実施の形態のドライブレコーダーが車両のフロントガラスに取り付けられたときの左側面方向から見たときの図である。(b)は、本発明に係る第3の実施の形態のドライブレコーダーが車両のフロントガラスに取り付けられたときの左側面方向から見たときの図である。(c)は、本発明に係る第4の実施の形態のドライブレコーダーが車両のフロントガラスに取り付けられたときの左側面方向から見たときの図である。
図11】(a)は、本発明に係る第5の実施の形態のドライブレコーダーの正面図である。(b)は、本発明に係る第5の実施の形態のドライブレコーダーの背面図である。
図12】(a)は、本発明に係る第5の実施の形態のドライブレコーダーの左側面図である。(b)は、本発明に係る第5の実施の形態のドライブレコーダーの右側面図である。
図13】(a)は、本発明に係る第5の実施の形態のドライブレコーダーの平面図である。(b)は、本発明に係る第5の実施の形態のドライブレコーダーの底面図である。
図14】本発明に係る第6の実施の形態のドライブレコーダーの広角レンズを通る断面を含む左側側面図である。
図15】(a)は、本発明に係るドライブレコーダーを用いて撮影した画像の一例を示す図である。(b)は、当該画像の歪みを少なくする補正をした後の画像の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、本発明を実施する場合の一例を示すものであって、本発明を以下に説明する具体的構成に限定するものではない。本発明の実施にあたっては、実施の形態に応じた具体的構成が適宜採用されてもよい。
【0053】
また、以下の説明で用いられる用語として、例えば、水平方向は、厳密に水平でなくても実質的に水平方向であればよい。鉛直下方向、垂直、平行、法線等についても、同様である。
【0054】
(第1の実施の形態の構成)
図1(a)は、本発明に係る第1の実施の形態のドライブレコーダー100を正面方向から見たときの斜視図である。図1(b)は、本発明に係る第1の実施の形態のドライブレコーダー100を背面方向から見たときの斜視図である。また、図2から図4は、本発明に係る第1の実施の形態のドライブレコーダーの正面図(図2(a))、背面図(図2(b))、左側面図(図3(a))、右側面図(図3(b))、平面図(図4(a))、底面図(図4(b))である。
【0055】
撮影装置100を有するドライブレコーダー(以下、「ドライブレコーダー100」ともいう。)は、ブラケット112と、広角レンズ114と、ケース116と、穴118と、操作面120と、操作ボタン124と、LTEアンテナモジュール122(以下、「第2のLTEアンテナモジュール122」ともいう。)と、発光部129と、を備える。以下では、ドライブレコーダー100の取付位置が、車両内のフロントガラスである場合を説明する。ドライブレコーダー100は、車両の前方向や運転席が撮影されるように取り付けられる。車両は、本実施の形態では一般的な四輪の乗用車であるが、バス等の中型以上の乗用自動車やトラック等の貨物自動車等でもよい。
【0056】
ブラケット112は、ドライブレコーダー100を所定の取付位置に固定するブラケットである。ブラケット112は、本発明の固定手段に相当する。ブラケット112は、リング部112Aと固定板112Bとを備える。リング部112Aと固定板112Bとは、リング部112Aの外周面に起立した連結部を介して連結されている。
【0057】
リング部112Aの内側には、ケース116が嵌っている。そして、ケース116のうちリング部112Aに対向する部分よりも一方側の部分にはネジ溝(図示略)が形成されている。当該部分には、締め付け部材113が装着されている。締め付け部材113は、扁平な円板状の部材である。締め付け部材113の内側には、ケース116に形成されたネジ溝に適合するネジ溝(図示略)が形成されている。締め付け部材113の中央部には円形の貫通孔が形成されている。この貫通孔に、ケース116のうちの上記ネジ溝が形成された部分が嵌っている。締め付け部材113を緩めた状態では、ケース116は、リング部112Aに対して回転できる。締め付け部材113を締めた状態では、ケース116は、リング部112Aに対する回転が抑止される。
【0058】
固定板112Bの上面には、両面テープその他の接着部材が取り付けられている。ドライブレコーダー100は、固定板112Bがフロントガラスに接着することによりフロントガラスに固定され取り付けられる。ユーザーは、車両の所定の乗車領域である運転席または助手席が存在する領域にいる状態で、ドライブレコーダー100の取り付けを行う。取り付けに際して、締め付け部材113を緩めた状態で、固定板112の上面をフロントガラスに接触させる。次に、ユーザーは、ケース116をリング部112Aの内周面に沿って回転させることにより、ケース116の姿勢を調整する。ケース116は筒状(本実施の形態では円筒状)であるから、ケース116の回転方向は、この筒の軸周り方向である。ケース116の姿勢の調整が完了すると、ユーザーは、締め付け部材113を締める。なお、ブラケット112は、例えば、固定板112Bを備え、ケース116がリング部を備えてもよい。このとき、ブラケット112が備える固定板112Bがケース116のリング部に嵌り、ブラケット112がケース116に対して回転できてもよい。
【0059】
広角レンズ114は、撮影に用いられる広角レンズである。広角レンズ114は、標準のレンズよりも画角が広いレンズである。広角レンズ114は、標準のレンズよりも焦点距離が短い。ドライブレコーダー100は広角レンズ114を用いて撮影する撮影手段を有する。ドライブレコーダー100の撮影手段は、撮影し、撮影した画像を示す画像データを生成する。画像は、動画像及び静止画像のいずれでもよいが、典型的には動画像である。広角レンズ114を用いて撮影された画像においては、広角レンズ114に起因する歪み(画像歪みともいう。)が含まれる。この画像においては、画像中央部から端部に近づくにつれて歪みが大きくなる。本実施の形態では、広角レンズ114は、ケース116が車両のフロントガラスに取り付けられるべき姿勢で取り付けられたとき、鉛直下方向を挟んだ両側にわたり240°の画角を有する。これにより、ドライブレコーダー100は、鉛直下方向を挟んだ両側にわたる広範な領域を撮影できる。なお、広角レンズの画角は240°に限定されず、鉛直下方向を挟んだ両側にわたり200°より大きな画角X°を有してもよい。画角X°は、180°よりも大きい画角で、例えば220°、270°、360°またはその他の画角でもよい。なお、広角レンズ114は超広角レンズ又は準広角レンズでもよい。広角レンズ114は魚眼レンズでもよい。広角レンズ114の画角は各方向で均一である必要はなく、例えば、車両の前後方向の画角が車両の幅方向の画角よりも大きくなる特性を有するレンズであってもよい。
【0060】
ケース116は、広角レンズ114を保持し、ブラケット112に対する相対的な姿勢を変化させることにより、図3(a)及び(b)に矢印で示す広角レンズ114の光軸114Aの目測で確認可能な方向に対する角度を調整可能にするケースである。ケース116は、本発明の保持手段に相当する。ケース116は、後述する撮像素子130と、第1のLTEアンテナモジュール126及び第2のLTEアンテナモジュール122と、GPSアンテナモジュール128と、無線LANアンテナモジュール134等のアンテナモジュールとを収容できる。ケース116は、ブラケット112と接続される部分が広角レンズ114とともに鉛直下方向と交差する方向に延びる軸回り、本実施の形態では、ケース116の左側面から右側面方向に延びる軸回りに回転できる。これにより、ケース116は、広角レンズ114の光軸114Aの鉛直下方向に対する角度を調整できる。
【0061】
穴118は、ケース116に備えられる放熱のための穴である。穴118は、本発明の放熱穴に相当する。図4(a)及び(b)に示されるように、穴118は、正姿勢にあるケース116の上側及び下側に備えられる。なお、穴118は、ドライブレコーダー100から生じる熱を拡散させるための穴であるから、例えば、ケース116の左側面及び右側面の少なくとも1つの側面に設けられてもよい。ドライブレコーダー100は、放熱の促進のためにヒートシンクその他の放熱部材をさらに備えてもよい。
【0062】
操作面120は、ケース116に設けられている。操作面120には、操作ボタン124が設けられている。操作ボタン124を押す方向は、ケース116が正姿勢にあるときに水平方向を向く。正姿勢は、ケース116が車両のフロントガラスに取り付けられるべき姿勢である。正姿勢は、ドライブレコーダー100を使用するときに設定されるべき姿勢としてあらかじめ決められた撮影姿勢である。正姿勢は、例えば、ドライブレコーダー100の設計または製造段階で決められる。正姿勢について詳しくは、図5を参照して後で説明する。また、操作面120は、ケース116が正姿勢にあるときに法線が水平方向を向く平坦面を有する。ユーザーは、操作面120が有する平坦面の法線を目測で水平方向にすることにより、ケース116が正姿勢にあることを確認できる。すなわち、操作面120は、本発明の確認手段に相当する。なお、上記の実施の形態では、平坦面を有する操作面120が確認手段として機能したが、確認手段は、ケース116が正姿勢にあるときに法線が水平方向を向く表示パネルが設けられた表示面であってもよいし、操作ボタンと表示パネルとが設けられた操作表示面であってもよい。また、確認手段は、平坦面に限られず、ケース116が正姿勢にあるときに、それ自体が水平方向を向く部材又は標記であってもよい。確認手段は、複数設けられてもよい。
【0063】
第2のLTEアンテナモジュール122は、通信規格LTEを利用している通信方式に利用される第2のアンテナモジュールである。ドライブレコーダー100は、第2のLTEアンテナモジュール122を利用して、外部装置と通信する。第2のLTEアンテナモジュール122は、ケース116から露出して、図4(a)に示されるようにケース116の上面に備えられている。なお、第2のLTEアンテナモジュール122は、後述する図6に示されるように、第1のLTEアンテナモジュール126から離れる方向に飛び出すようにできる。
【0064】
操作ボタン124は、ドライブレコーダー100を操作するボタンである。操作ボタン124は、本発明の操作手段に相当する。なお、操作ボタン124は、物理的なボタンに限定されず、例えば、タッチパネル等でもよい。また、操作ボタン124は、複数設けられてもよい。
【0065】
発光部129は、ドライブレコーダー100の状態に応じて発光する。発光部129は、例えばドライブレコーダー100の電源がオンされている状態のときは左側の発光素子が緑色で発光し、ドライブレコーダー100が撮影中のときには右側の発光素子が赤色で発光する。発光部129の発光素子は、例えば発光ダイオードであるが、これに限らない。ドライブレコーダー100の状態と発光パターンとの関係は問わない。
【0066】
図5は、本発明に係る第1の実施の形態のドライブレコーダー100を左側面方向から見たときの、操作面120が有する平坦面と広角レンズ114の光軸114Aとの位置関係を示す図である。図5に示す状態において、ドライブレコーダー100は正姿勢である。
【0067】
操作面120が有する平坦面の法線は水平方向120Hを向いており、広角レンズ114の光軸114Aが鉛直下方向に対して操作面120が存在する側とは反対側に所定の角度θ傾いている。鉛直下方向は、ユーザーが目測で確認可能な方向の一例である。「ユーザーが目測で確認可能な方向」とは、ユーザーが目測でどの方向であるかを確認できる方向である。ユーザーが目測で確認可能な方向は、鉛直方向(例えば、鉛直下方向)、水平方向、及び運転席に座ったユーザーと対面する方向等から任意に選ばれる。ユーザーは、広角レンズ114が真下を向いている場合、光軸114Aが鉛直下方向を向いていると確認できる。ユーザーは、広角レンズ114が、車両の前方向または後方向のいずれか一方の水平方向に向いている場合、光軸114Aが水平を向いていると確認できる。このように、絶対的な方向として、鉛直方向や水平方向は、ユーザーが目測で確認することが可能な方向である。また、例えばユーザーが運転席または助手席に座っているときに、広角レンズ114がユーザーと対面している場合、光軸114Aの方向が、広角レンズ114の光の入射面から自身に向かう方向と確認できる。このような相対的な方向もユーザーが目測で確認することができる。一方、例えば、広角レンズ114が、これら以外の方向を向いている場合、ユーザーは目測で光軸114Aの方向を確認できない場合がある。例えば、光軸114Aが鉛直下方向から上方に20°傾いている場合、この角度の大きさが20°であることをユーザーが目測で確認することが不可能である。このように、方向には、ユーザーが目測で確認することが可能な方向と、そうではない方向とがある。
【0068】
本実施の形態では、広角レンズ114の光軸114Aが、ユーザーが目測で確認可能な方向である鉛直下方向に対して車両のフロントガラスがある前方向に所定の角度θ傾いている。ケース116が車両のフロントガラスに取り付けられたときのこの姿勢が正姿勢である。また、画角X1°は、ケース116が正姿勢にあるときに、鉛直下方向に対して操作面120が存在する側の画角であり、画角X2°は、ケース116が正姿勢にあるときに、鉛直下方向に対して操作面120が存在する側とは反対側の画角である。画角X°と、画角X1°と、画角X2°とは、X°=X1°+X2°という関係を満たす。広角レンズ114は、ケース116に対して角度が固定されている。
【0069】
所定の角度θは、広角レンズ114の画角X°に対して、次の式(1)を満たす。
θ=((X-200)×0.5)° ・・・(1)
式(1)を満たすように所定の角度θを設定することにより、ドライブレコーダー100は、広角レンズ114の光軸114Aが、鉛直下方向に対して操作面120の存在する側とは反対側に((X-200)×0.5)°傾き、水平方向120Hよりも上の(X-190)°の領域を含む、上下に広範な領域を撮影できる。
【0070】
例えば、広角レンズ114の画角X°が240°のときは、所定の角度θは20°、画角X1°は100°、画角X2°は140°となり、ドライブレコーダー100は、水平方向120Hよりも上の50°の領域を含む、上下に広範な領域を撮影できる。広角レンズ114で撮影すると、撮影された像の端が歪むため、歪みを小さく撮影できる画角として10°小さい画角を設定したとしても、ドライブレコーダー100は、水平方向120Hよりも上の40°の領域まで撮影できる。これにより、ドライブレコーダー100が正姿勢のとき、例えばユーザーが運転しているときに斜め上方向に見える信号機や道路標識等も、ドライブレコーダー100が撮影する領域に含まれる。ドライブレコーダー100が正姿勢のとき、撮影領域には、車両の前方向及び運転席が含まれる。車両の後方向も含まれてよいが、車両の前方向及び運転席の占める割合のほうが大きい。これにより、特に撮影すべき車両の前方側の撮影領域が広くなる。また、撮影領域に車両の側方側の領域が含まれると、なおよい。
【0071】
なお、広角レンズ114は、ケース116に対して、鉛直下方向を挟んだ両側に所定の可変角度範囲内で角度調整が可能でもよい。例えば、車両のフロントガラスに取り付けられたドライブレコーダー100において鉛直下方向を挟んだ両側とは、車両の前後方向でもよい。また、所定の可変角度範囲とは、例えば、ドライブレコーダー100が上下に広範な領域を撮影できるように、広角レンズ114の光軸114Aを中心として、広角レンズ114の画角X°との関係で設定される可変角度の範囲でもよい。可変角度範囲は、例えば、広角レンズ114の画角が240°であり、広角レンズ114の光軸114Aの中心が20°傾いているときは、-20°<可変角度≦20°の範囲等でもよい。このとき、広角レンズ114は、ケース116に対して、鉛直下方向に対して操作面120の存在する側とは反対側に0°から40°の範囲内で角度調整が可能である。なお、可変角度範囲は、鉛直下方向を挟んで両側を含む範囲であればよく、例えば鉛直下方向を挟んで車両の前後に非対称の角度範囲でもよい。また、可変角度範囲は鉛直下方向から車両の前方向のみを範囲に含んでもよく、このように、鉛直下方向を挟んだ両側は、当該両側の一方が鉛直下方向である場合を含んでもよい。
【0072】
図6(a)は、本発明に係る第1の実施の形態のドライブレコーダー100であって、ブラケット112及びケース116を備えているときの斜視図である。図6(b)は、本発明に係る第1の実施の形態のドライブレコーダー100であって、ブラケット112及びケース116の上半面を備えていないときの斜視図である。
【0073】
図6(a)に示されるように、第2のLTEアンテナモジュール122は、ケース116から露出し、折り畳み可能な構成のアンテナモジュールである。第2のLTEアンテナモジュール122は、第1のLTEアンテナモジュール126から離れる方向に突き出すことが可能である。このとき、第2のLTEアンテナモジュール122の先端は、ケース116の側面よりも外に突き出ている。第1のLTEアンテナモジュール126は、GND(接地点)を規定する第1のアンテナモジュールである。一方、図6(b)に示されるように、第1のLTEアンテナモジュール126は、ケース116の上側内側面に収容されている。また、GPSアンテナモジュール128はケース116に収容されている。
【0074】
図7(a)は、本発明に係る第1の実施の形態のドライブレコーダー100の広角レンズ114の光軸114Aを通る断面を含む斜視図である。図7(b)は、本発明に係る第1の実施の形態のドライブレコーダー100の広角レンズ114の光軸114Aを通る断面を含む右側面図である。
【0075】
図7(a)及び(b)に示されるように、撮像素子130は、広角レンズ114を通過した光をデータに変換できる位置に配置される。本実施の形態では、撮像素子130は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサーである(以下、撮像素子130を「CMOS130」ともいう。)。なお、撮像素子130は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサー等でもよい。ドライブレコーダー100の撮影手段は、撮像素子130及び広角レンズ114を含んで構成される。
【0076】
また、広角レンズ114の光軸114Aが鉛直下方向に対して操作面120の存在する側とは反対側に所定の角度20°だけ傾いている。そのため、CMOS130及びプリント基板132A~D(以下、これらを総称して「プリント基板132」という。)は、当該光軸114Aが法線となる平面に平行に配置されている。すなわち、CMOS130及びプリント基板132は、ケース116が正姿勢にあるときに、水平方向に対して所定の角度20°だけ傾いて配置されている。これにより、ケース116内には、ケース116の下側の穴118から上側の穴118に熱が伝搬するための空間が確保されている。
【0077】
また、GPSアンテナモジュール128は、プリント基板132が配置されている平面に対して交差する方向に傾けて配置されている。本実施の形態では、GPSアンテナモジュール128は、プリント基板132が配置されている平面に対して垂直である。すなわち、GPSアンテナモジュール128は、広角レンズ114の光軸114Aと同じ方向に所定の角度20°だけ傾いて配置される。そのため、GPSアンテナモジュール128は、撮影範囲が存在する方向に感度を有する。
【0078】
図8は、本発明に係る第1の実施の形態のドライブレコーダー100の構成を示す図である。ドライブレコーダー100は、撮影部140と、記憶部142と、制御部144とを備える。
【0079】
撮影部140は、広角レンズ114及びCMOS130を備える撮影装置である。広角レンズ114を通過した光は、CMOS130によりデータに変換される。なお、ドライブレコーダー100は、広角レンズ114を通過した光がCMOS130の長手方向を直径とするイメージサークルを形成する。これにより、ドライブレコーダー100は、広角レンズ114を通過した光がCMOS130の短手方向を直径とするイメージサークルを形成する場合と比較して、長手方向をより広く撮影できる。例えば、ドライブレコーダー100において、CMOS130の長手方向が車両の前後方向に平行になるようにCMOS130が配置されているときは、ドライブレコーダー100は、車両の前後方向をより広く撮影できる。
【0080】
記憶部142は、データを記憶できるメモリーである。メモリーは、例えば、揮発性メモリー(例えば、RAM(Random Access Memory))、不揮発性メモリー(例えば、ROM(Read Only Memory))等である。メモリーは、例えば、HDD(Hard Disc Drive)等の内蔵メモリーでも、SDメモリーカード、USBメモリー等の外付けメモリーでもよい。記憶部142は、制御部144が実行するドライブレコーダー100のプログラム及びドライブレコーダー100が撮影した画像を記憶する。
【0081】
制御部144は、操作部146と、通信部148とに電気的に接続され、各部を制御する制御装置である。制御部144は、中央処理装置(Central Processing Unit:CPU)を備える。制御部144は、記憶部142に記憶されたドライブレコーダー100のプログラムを実行することにより、各部の機能を実現する。なお、各部の機能は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の個別のハードウェアにより実現されてもよい。
【0082】
操作部146は、ドライブレコーダー100を操作する操作ボタン124を含む。なお、上述したように、操作ボタン124は、物理的なボタンに限定されず、例えば、タッチパネル等でもよい。
【0083】
通信部148は、GPSアンテナモジュール128と、第1のLTEアンテナモジュール126と、第2のLTEアンテナモジュール122とを含む。ドライブレコーダー100は、通信部148により、外部装置と通信する。なお、通信部148は、例えば、GPSアンテナモジュール128と、第1のLTEアンテナモジュール126及び第2のLTEアンテナモジュール122と、後述する無線LANアンテナモジュール134との少なくとも1つを備えていてもよい。
【0084】
(第1の実施の形態の実施例)
以下では、上述した第1の実施の形態の構成により実現されるドライブレコーダー100の実施例を説明する。
【0085】
図9(a)は、本発明に係る第1の実施の形態のドライブレコーダー100が水平方向から上側に角度φ1傾いたフロントガラス160に取り付けられたときの左側面方向から見たときの図である。図9(b)は、本発明に係る第1の実施の形態のドライブレコーダー100が水平方向から上側に角度φ1より大きい角度φ2傾いたフロントガラス162に取り付けられたときの左側面方向から見たときの図である。
【0086】
図9(a)に示されるように、ユーザーがドライブレコーダー100を車両のフロントガラス160に取り付けるときは、ブラケット112を車両のフロントガラス160に取り付け、ブラケット112に対してケース116を回転させ、操作面120が有する平坦面を車両に対して水平方向120Hに向ける。ユーザーが目測で確認し、操作面120が有する平坦面が車両に対して水平方向120Hを向いていれば、ケース116は正姿勢である。
【0087】
また、図9(b)に示されるように、図9(a)に示す車両のフロントガラス160よりも傾きの角度が大きいフロントガラス162を備える車両にドライブレコーダー100を取り付けるときは、図9(a)に示したブラケット112に対してケース116を回転させるよりも大きくブラケット112に対してケース116を回転させ操作面120が有する平坦面を車両に対して水平方向120Hに向ける。ユーザーが目測で確認し、操作面120が有する平坦面が車両に対して水平方向120Hに向いていれば、ケース116は正姿勢である。
【0088】
以上のように、本実施の形態のドライブレコーダー100は、広角レンズ114を用いて撮影範囲を広くできる。また、広角レンズ114の光軸114Aが、ケース116が正姿勢にあるときに、ユーザーが目測で確認可能な方向である鉛直下方向に対して操作面120が存在する側とは反対側に所定の角度だけ傾くため、ドライブレコーダー100は、当該反対側を広く撮影できる。また、ユーザーは、例えば運転席または助手席が存在する領域にいる状態でドライブレコーダー100の姿勢の調整を行うが、ケース116が正姿勢にあるとき、広角レンズ114の位置をユーザーは目視することができない。ケース116が正姿勢であるときの光軸114Aは、ユーザーが目測で確認することが不可能な方向を向いている。この場合でも、ドライブレコーダー100が備える確認手段としての操作面120があることで、ユーザーは、操作面120が有する平坦面の法線が水平方向120Hを向くようにドライブレコーダー100を取り付けることにより、ケース116が正姿勢にあることを目測で確認できる。よって、ユーザーはドライブレコーダー100の正姿勢への調整を行いやすくなる。例えばユーザーがドライブレコーダー100の取り付けに不慣れな場合であっても、ユーザーが広角レンズ114を目視できる方向に向けるといった誤った調整が行われる可能性もが低くなる。
【0089】
また、本実施の形態のドライブレコーダー100は、ユーザーが目測で確認可能な方向における寸法の増大を抑えられる。ドライブレコーダー100においては、ケース116のうちのブラケット112と接続されている部分(本実施の形態では、ネジ溝が形成されている部分)が回転し、この回転に伴い、同じくケース116に設けられた広角レンズ114の光軸114Aの方向が変化する。このため、ケースのうちのブラケットと接続されている部分が回転せずに、当該部分から離れた部分(例えば、ブラケット112と接続されている部分よりも下方の部分)に広角レンズが回転するための機構が設けられる場合に比べて、鉛直方向における寸法の増大が抑えられる。そのため、車両のフロントガラスの上端側付近(例えば、上端側20%以内の範囲)にドライブレコーダー100を容易に取り付けられる。
【0090】
また、本実施の形態のドライブレコーダー100は、第1のLTEアンテナモジュール126及び第2のLTEアンテナモジュール122と、撮影範囲が存在する方向に指向性を有するGPSアンテナモジュール128とを備える。ドライブレコーダー100の位置から見て撮影範囲が存在する方向には、撮影に障害となる物が存在する可能性は低く、通常はフロントガラスが存在するだけである。そのため、ドライブレコーダー100と外部装置との間でデータ通信ができる。
【0091】
また、本実施の形態のドライブレコーダー100は、第2のLTEアンテナモジュールがケース116から露出し第1のLTEアンテナモジュール126から離れる方向に飛び出しているため、アンテナ長を短くできる。さらに、第1のLTEアンテナモジュール126がケース116に収容されているため、第1のLTEアンテナモジュール126も露出しているドライブレコーダーと比較して、見た目がよいということもできる。さらに、第1のLTEアンテナモジュール126がケース116の内側内側面に収容されているため、ドライブレコーダー100を車両に設置したときに、LTEアンテナモジュールがケース116内部で比較的温度が低いドライブレコーダー100の上側に備えられ、熱によるLTEアンテナモジュールの故障の可能性を低くすることができる。ここまでで説明したドライブレコーダー100の要素の中では、LTEアンテナモジュールが最も熱に弱い可能性があるため、このような配置とすることが望ましい。
【0092】
また、本実施の形態のドライブレコーダー100は、ケースに収容されている基板が傾き、基板が水平の場合と比較してケースの下側から上側に抜ける空気の流路が確保されているため、ドライブレコーダー100が駆動することにより発生する熱の放熱効率を高め、熱によるドライブレコーダー100の故障の可能性を低くすることができる。
【0093】
(第2の実施の形態の構成)
第2の実施の形態の基本的な構成は、第1の実施の形態の構成と同じであるが、第1の実施の形態の確認手段は、操作面120が有する平坦面であるのに対して、第2の実施の形態の確認手段は、操作面120に設けられている操作ボタン124である点で相違する。
【0094】
(第2の実施の形態の実施例)
図10(a)は、本発明に係る第2の実施の形態の撮影装置200を有するドライブレコーダー(以下、「ドライブレコーダー200」ともいう。)が車両のフロントガラス160に取り付けられたときの左側面方向から見たときの図である。
【0095】
図10(a)に示されるように、ユーザーがドライブレコーダー200を車両のフロントガラス160に取り付けるときは、ブラケット112を車両のフロントガラス160に取り付け、ブラケット112に対してケース116を回転させ、操作ボタン124を押す方向を水平方向120Hに向ける。ユーザーが目測で確認し、操作ボタン124を押す方向が水平方向120Hに向いていれば、ケース116は正姿勢である。
【0096】
以上のように、第2の実施の形態のドライブレコーダー200は、確認手段としての操作ボタン124を備える。操作ボタン124は、ケース116が正姿勢にあるときに車両に対して水平方向120Hを向く。そのため、ユーザーは、操作ボタン124が車両に対して水平方向120Hを向くようにドライブレコーダー200を取り付けることにより、ケース116が正姿勢にあることを目測で確認できる。
【0097】
(第3の実施の形態の構成)
第3の実施の形態の基本的な構成は、第1の実施の形態の構成と同じであるが、第1の実施の形態の確認手段は、操作面120が有する平坦面であるのに対して、第3の実施の形態の確認手段は、ケース116の左側面に設けられた「ABCXYZ」という標記320である点で相違する。「ABCXYZ」は、例えばドライブレコーダー300の製造者(例えば企業名)を意味する。
【0098】
(第3の実施の形態の実施例)
図10(b)は、本発明に係る第3の実施の形態の撮影装置300を有するドライブレコーダー(以下、「ドライブレコーダー300」ともいう。)が車両のフロントガラス160に取り付けられたときの左側面方向から見たときの図である。
【0099】
図10(b)に示されるように、ユーザーは、ドライブレコーダー300を車両のフロントガラス160に取り付けるときは、ブラケット112を車両のフロントガラス160に取り付け、ブラケット112に対してケース116を回転させ、「ABCXYZ」という標記320を車両に対して水平方向120Hに向ける。ユーザーが目測で確認し、「ABCXYZ」というロゴである標記320が車両に対して水平方向120Hを向いていれば、ケース116は正姿勢である。
【0100】
以上のように、第3の実施の形態のドライブレコーダー300は、確認手段として「ABCXYZ」という標記320を備える。「ABCXYZ」という標記320は、ケース116が正姿勢にあるときに、車両に対して水平方向120Hを向く。そのため、ユーザーは、「ABCXYZ」という標記320が車両に対して水平方向120Hを向くようにドライブレコーダー300を取り付けることにより、ケース116が正姿勢にあることを目測で確認できる。標記320は、製造者(例えば企業名)に限られない。標記320は、ドライブレコーダー300の製品名(例えば機種名)若しくは型番、またはドライブレコーダー300が有する機能の名称のロゴであってもよいし、ロゴ化したものでなくてもよい。標記320は、その天地方向が分かる標記であればよく、文字、図形、記号、もしくはその他の標記、またはこれらの組み合わせのいずれでもよい。標記320は、「この面が水平方向を向くように取り付けてください。」というようなドライブレコーダー300の取付方法を説明した文を含んでもよい。このようにすれば、ユーザーは、ドライブレコーダー300の正姿勢への調整を行いやすくなる。
【0101】
(第4の実施の形態の構成)
第4の実施の形態の基本的な構成は、第1の実施の形態の構成と同じであるが、第1の実施の形態の確認手段は、操作面120が有する平坦面であるのに対して、第4の実施の形態の構成における確認手段は、ケース116の左側面に設けられた細長い長方形状の部材420である点で相違する。
【0102】
(第4の実施の形態の実施例)
図10(c)は、本発明に係る第4の実施の形態の撮影装置400を有するドライブレコーダー(以下、「ドライブレコーダー400」ともいう。)が車両のフロントガラス160に取り付けられたときの左側面方向から見たときの図である。
【0103】
図10(c)に示されるように、ユーザーは、ドライブレコーダー400を車両のフロントガラス160に取り付けるときは、ブラケット112を車両のフロントガラス160に取り付け、ブラケット112に対してケース116を回転させ、部材420を車両に対して水平方向120Hに向ける。ユーザーが目測で確認し、部材420が車両に対して水平方向120Hを向いていれば、ケース116は正姿勢である。
【0104】
以上のように、第4の実施の形態のドライブレコーダー400は、確認手段として部材420を備える。部材420は、ケース116が正姿勢にあるときに車両に対して水平方向120Hを向く。そのため、ユーザーは、部材420が車両に対して水平方向120Hを向くようにドライブレコーダー400を取り付けることにより、ケース116が正姿勢にあることを目測で確認できる。
【0105】
(第5の実施の形態の構成)
第5の実施の形態の基本的な構成は、第1の実施の形態の構成と同じであるが、第1の実施の形態の構成とは異なり、第5の実施の形態の構成は、穴118と第1のLTEアンテナモジュール126及び第2のLTEアンテナモジュール122とを備えず、また、ブラケット112が固定板112Bを備え、ケース116がリング部を備えている。また、第1の実施の形態の確認手段は、操作面120が有する平坦面であるのに対して、第5の実施の形態の確認手段は、表示面520が有するLCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)150である点で相違する。LCD150はドライブレコーダー500が有する表示画面に相当する。
【0106】
図11から図13は、本発明に係る第5の実施の形態のドライブレコーダー500の正面図(図11(a))、背面図(図11(b))、左側面図(図12(a))、右側面図(図12(b))、平面図(図13(a))、底面図(図13(b))である。
【0107】
ドライブレコーダー500は、固定板112Bを備えるブラケット112と、広角レンズ114と、ケース116と、操作ボタン124と、LCD150を有する表示面520とを備える。
【0108】
表示面520はケース116に設けられている。表示面520は、ケース116が正姿勢にあるときに法線が水平方向を向くLCD150を有する。LCD150は、記憶部142に記憶されたデータを表示するディスプレイである。なお、LCD150に代えて、例えばOLED(Organic Light Emitting Diode)等の他のディスプレイが採用されてもよい。
【0109】
(第5の実施の形態の実施例)
第1の実施の形態の実施例における操作面120が有する平坦面と同様に、第5の実施の形態におけるLCD150は、ケース116が正姿勢にあるときに車両に対して水平方向120Hを向く。そのため、ユーザーは、ドライブレコーダー500を車両のフロントガラス160に取り付けるときは、ブラケット112を車両のフロントガラス160に取り付け、ブラケット112に対してケース116を回転させ、LCD150を車両に対して水平方向120Hに向ける。ユーザーが目測で確認し、確認手段520が有するLCD150が車両に対して水平方向120Hを向いていれば、ケース116は正姿勢である。
【0110】
以上のように、第5の実施の形態のドライブレコーダー500は、表示面520が有するLCD150を備える。表示面520が有するLCD150は、ケース116が正姿勢にあるときに車両に対して水平方向120Hを向く。そのため、ユーザーは、表示面520が有するLCD150が車両に対して水平方向120Hを向くようにドライブレコーダー500を取り付けることにより、ケース116が正姿勢にあることを目測で確認し、ドライブレコーダー500を容易に取り付けられる。
【0111】
(第6の実施の形態の構成及び実施例)
第6の実施の形態の基本的な構成及び実施例は、第1の実施の形態の構成及び実施例と同じであるが、第1の実施の形態におけるアンテナモジュールは、第1のLTEアンテナモジュール126及び第2のLTEアンテナモジュール122と、GPSアンテナモジュール128とを備えるのに対して、第6の実施の形態におけるアンテナモジュールは、無線LANアンテナモジュールである点で相違する。以下、当該相違点について説明する。
【0112】
図14は、本発明に係る第6の実施の形態のドライブレコーダー600の広角レンズ114を通る断面を含む左側側面図である。ドライブレコーダー600は、広角レンズ114と、ケース116と、平坦面を有する操作面120と、撮像素子130と、プリント基板132と、無線LANアンテナモジュール134とを備える。無線LANアンテナモジュール134は、ブラケット112よりも広角レンズ114に近い位置に配置される。すなわち、無線LANアンテナモジュール134は、広角レンズ114の横に配置される。
【0113】
以上のように、第6の実施の形態のドライブレコーダー600は、広角レンズ114の周囲は撮影の障害物がないため、無線LANアンテナモジュール134を障害物から離れた位置に配置して通信の妨害を避けることができる。例えば、ドライブレコーダー600では、無線LANアンテナモジュール134をブラケット112よりも広角レンズ114に近い位置に配置すると、車両の天井鉄板による通信の妨害を極力避けることができる。これにより、無線LANアンテナモジュール134を車外及び車両内に対して指向性をもったアンテナモジュールにできる。
【0114】
図15(a)は、ドライブレコーダー100を用いて撮影した画像の一例を示す図である。図15(b)は当該画像の歪みを少なくする補正をした後の画像の一例である。図15(b)は、図15(a)に示す画像の下半分の領域の天地方向を反転させている。図15(a)及び(b)に示すように、撮影領域には、車両の前方向及び運転席が含まれる。車両の後方領域も含まれてよいが、車両の前方向及び運転席の占める割合のほうが大きい。これにより、特に撮影すべき車両の前方側の撮影領域が広くなる。ドライブレコーダー100は、車両の側方も撮影できる。ドライブレコーダー100は、CMOS130の長手方向が車両の前後方向、短手方向が車両の幅方向に対応するように取り付けられるため、車両の前後方向を車両の幅方向よりも広く撮影できている。その結果、車両の運転中に撮影することが特に必要な範囲を広い範囲にわたって撮影できる。例えば、他車両が煽り運転その他の危険運転をしているときの自車両の前方向や運転者の様子を撮影した画像は、後の対処において有用な場合がある。
【0115】
(変形例1)
上述した第1~4の実施の形態では、無線LANアンテナモジュール134を備えていないが、GPSアンテナモジュール128に代えて無線LANアンテナモジュール134を備えてもよいし、第1のLTEアンテナモジュール126及び第2のアンテナモジュール122に代えて無線LANアンテナモジュール134を備えてもよい。また、上述した第1~4の実施の形態において、無線LANアンテナモジュール134をさらに備えてもよい。
【0116】
(変形例2)
上述した第5の実施の形態では、第1のLTEアンテナモジュール126及び第2のアンテナモジュール122と、無線LANアンテナモジュール134とを備えていないが、GPSアンテナモジュール128に代えて、第1のLTEアンテナモジュール126及び第2のアンテナモジュール122、又は無線LANアンテナモジュール134を備えてもよい。また、上述した第5の実施の形態において、第1のLTEアンテナモジュール126及び第2のアンテナモジュール122と、無線LANアンテナモジュール134との少なくとも1つをさらに備えてもよい。
【0117】
(変形例3)
上述した第6の実施の形態では、第1のLTEアンテナモジュール126及び第2のアンテナモジュール122と、GPSアンテナモジュール128とを備えていないが、無線LANアンテナモジュール134に代えて、第1のLTEアンテナモジュール126及び第2のアンテナモジュール122、又はGPSアンテナモジュール128を備えてもよい。また、上述した第6の実施の形態において、第1のLTEアンテナモジュール126及び第2のアンテナモジュール122と、GPSアンテナモジュール128との少なくとも1つをさらに備えてもよい。
【0118】
(変形例4)
上述した第1~6の実施の形態の構成において、無線LANアンテナモジュール134、第1のLTEアンテナモジュール126及び第2のアンテナモジュール122は、それぞれ他方式(例えば、5G)のアンテナモジュールに置き換えられてもよい。また、アンテナモジュールの形態は特に問わず、バーアンテナ、ホイップアンテナその他のアンテナでもよい。
【0119】
(変形例5)
上述した第1から第6の実施の形態の撮影装置及び撮影装置を有するドライブレコーダーにおいて、車両における取付位置はフロントガラスであるが、例えば、天井、サンバイザ、リアガラス等でもよい。車両における取付位置が天井、サンバイザのときは、撮影装置及び撮影装置を有するドライブレコーダーは、車両の前方向を広く撮影してもよい。このとき、車両の後方向及び運転席が少なくとも撮影領域に含まれるが、天井のうちのフロントガラスとの境界付近の領域がさらに含まれてもよい。一方、車両における取付位置がリアガラスのときは、車両の後方向を広く撮影してもよい。このとき、車両の後方領域及び後部座席が少なくとも撮影領域に含まれるが、天井のうちのリアガラスとの境界付近の領域がさらに含まれてもよい。また、ドライブレコーダーが取り付けられる移動体は、線路またはそれに準じる軌道の上を走行する車両でもよく、このような車両としては、電車やモノレール、リニアモーターカー等がある。この場合、ドライブレコーダーは客室や貨物室等に取り付けられてもよい。また、撮影装置100は、ドライブレコーダーが有するものに限定されず、例えば、防犯カメラ等が有していてもよい。防犯カメラを用途とする場合、撮影装置100は、例えば、留守中の施設(例えば、家屋やオフィスビル)の内部を撮影するように天井又はその付近に取り付けられたり、施設の窓の外を撮影するように窓際に取り付けられたりする。
【0120】
(変形例6)
上述した第1から第6の実施の形態の撮影装置及び撮影装置を有するドライブレコーダーは、正姿勢になったことをユーザーに報知する機能を有してもよい。ドライブレコーダーは、例えば、正姿勢になったことを発光部129の発光、電子的又は機械的な音声の出力、表示、振動その他の人間が知覚可能な方法により報知してもよい。このようにすれば、ユーザーは、ドライブレコーダーが正姿勢になったことを把握することができる。
【0121】
なお、本発明の範囲は、明細書に明示的に説明された構成や限定されるものではなく、本明細書に開示される本発明の様々な側面の組み合わせをも、その範囲に含むものである。本発明のうち、特許を受けようとする構成を、添付の特許請求の範囲に特定したが、現在の処は特許請求の範囲に特定されていない構成であっても、本明細書に開示される構成を、将来的に特許請求の範囲とする意思を有する。
【0122】
本願発明は上述した実施の形態に記載の構成に限定されない。上述した各実施の形態や変形例の構成要素は任意に選択して組み合わせて構成するとよい。また各実施の形態や変形例の任意の構成要素と、発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素または発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素を具体化した構成要素とは任意に組み合わせて構成するとよい。これらについても本願の補正または分割出願等において権利取得する意思を有する。た「~の場合」「~のとき」という記載があったとしてもその場合やそのときに限られる構成として記載はしているものではない。これらの場合やときでない構成についても開示しているものであり、権利取得する意思を有する。また順番を伴った記載になっている箇所もこの順番に限らない。一部の箇所を削除したり、順番を入れ替えた構成についても開示しているものであり、権利取得する意思を有する。
【0123】
また、意匠登録出願への変更により、全体意匠または部分意匠について権利取得する意思を有する。図面は本装置の全体を実線で描画しているが、全体意匠のみならず当該装置の一部の部分に対して請求する部分意匠も包含した図面である。例えば当該装置の一部の部材を部分意匠とすることはもちろんのこと、部材と関係なく当該装置の一部の部分を部分意匠として包含した図面である。当該装置の一部の部分としては、装置の一部の部材としても良いし、その部材の部分としても良い。全体意匠はもちろんのこと、図面の実線部分のうち任意の部分を破線部分とした部分意匠を、権利化する意思を有する。また、装置の筐体の内部のモジュール・部材・部品等についても、図面に表示されているものは、いずれも独立して取引の対象となるものであって、同様に、意匠登録出願への変更を行って権利化を行う意思を有するものである。
【符号の説明】
【0124】
100~600・・・ドライブレコーダー
112 ・・・ブラケット
112A・・・リング部
112B・・・固定板
113 ・・・締め付け部材
114 ・・・広角レンズ
116 ・・・ケース
118 ・・・穴
120~520・・・確認手段
122 ・・・第2のLTEアンテナモジュール
124 ・・・操作ボタン
126 ・・・第1のLTEアンテナモジュール
128 ・・・GPSアンテナモジュール
129 ・・・発光部
130 ・・・撮像素子
132 ・・・プリント基板
134 ・・・無線LANアンテナモジュール
140 ・・・撮影部
142 ・・・記憶部
144 ・・・制御部
146 ・・・操作部
148 ・・・通信部
150 ・・・LCD
図1
図2
図3
図4
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図10
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