(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-01
(45)【発行日】2023-06-09
(54)【発明の名称】薄い流動床における電磁波の近位および垂直放射のための反応器
(51)【国際特許分類】
B01J 19/12 20060101AFI20230602BHJP
C02F 1/30 20230101ALI20230602BHJP
A61L 2/10 20060101ALI20230602BHJP
【FI】
B01J19/12 C
C02F1/30
A61L2/10
(21)【出願番号】P 2020515917
(86)(22)【出願日】2018-09-14
(86)【国際出願番号】 IB2018057072
(87)【国際公開番号】W WO2019053656
(87)【国際公開日】2019-03-21
【審査請求日】2021-04-01
(31)【優先権主張番号】102017000102853
(32)【優先日】2017-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518232593
【氏名又は名称】ルプニク, カルロ
【氏名又は名称原語表記】RUPNIK, Carlo
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】弁理士法人上野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルプニク,カルロ
【審査官】長谷部 智寿
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-106682(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0144898(US,A1)
【文献】国際公開第2016/021465(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/115394(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/500996(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 19/08-19/12
B01J 19/00
A61L 2/10
A61L 9/00- 9/22
C02F 1/30
C02F 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒形状のEMW(電磁波)を照射するための管状反応器(1、1’)であって、
前記管状反応器(1、1’)は、一対の同心管(2,4)と、一対の対向するEMW放射源と、を備え、
前記同心管(2,4)は、長手方向(L)に延伸し、外管(2)の内壁と外壁により規定される外管(2)と、内管(4)の内壁と外壁により規定される内管(4)とを備え、
前記外管および前記内管は、EMWに対して透明な材料からなり、両端が開口し、前記外管(2)の内壁および前記内管(4)の外壁により規定されるギャップ(6)を形成し、
前記ギャップは、処理される材料の通過に適しており、
前記EMW放射源は、外部線源(10)と内部線源とを備え、前記外部線源と前記内部線源は、それぞれ少なくとも1つのEMW放射器を含み、前記外部線源(10)は、前記外部線源のEMW放射面が前記反応器の内側に面して外管(2)の外壁を巻き、前記内部線源(8)は、前記内部線源のEMW放射面が前記反応器の外側に面して前記内管の内壁を巻くEMW放射源を備え、前記反応器の進展の長手方向(L)に対して垂直に放射するために、前記EMW放射源は、紫外線(UV)と赤外線(IR)の間に含まれる
2つ以上の波長で、EMWを放射
することができ、処理される材料が前記ギャップ(6)を流れるEMW放射源と、を備え
、前記EMW放射源は、前記処理される材料に垂直に前記EMWを放射する反応器。
【請求項2】
EMW(電磁波)照射用層状反応器(20、20’)であって、
長手方向(L)に延伸する矩形の一対の平板(12、14)であって、前記平板(12、14)は、EMWに対して透明な材料で形成され、前記平板(12、14)の長い端部との係合に適する一対の側面(16、18)により互いに接触しないように配置され、前記平板(12、14)と前記側面(16、18)は、前記反応器の外側部分と前記反応器の内側部分を定め、前記内側部分は、処理される材料の薄膜の通過に適する両端部が開口するギャップを規定する、一対の平板(12、14)と、
一対の対向するEMW放射源であって、前記EMW放射源は、前記反応器の外側部分を規定する前記一対の平板(12、14)の表面を覆い、前記反応器の進展の長手方向(L)に垂直に照射するように、前記反応器の内側部分に対してEMWを放射し、処理される前記材料が流れるギャップ
に紫外(UV)線と赤外(IR)線の間の
2つ以上の波長のEMW
を照射
することができる一対のEMW放射源と、を備え
、前記EMW放射源は、前記処理される材料に垂直に前記EMWを放射し、
前記処理される材料と、一対の前記放射源のいずれかとの間の距離は、50μmと30mmとの間に含まれる層状反応器。
【請求項3】
一対の反射器を備え、前記一対の反射器の第1の反射器は、前記一対の放射源の第1の放射源を覆い、前記一対の反射器の第2の反射器は、前記一対の放射源の第2の放射源を覆い、前記第1及び第2の反射器は、ギャップに向けてのEMWの反射に適する請求項1又は2に記載の反応器。
【請求項4】
前記一対の反射器は、0.5から1の範囲のEMWの反射係数を有する材料で形成される請求項3に記載の反応器。
【請求項5】
前記一対の反射器は、20℃で計算して5W/m K以下の熱伝導率を有する材料で形成される請求項3又は4に記載の反応器。
【請求項6】
前記放射源は、互いに異なる波長のEMWを放射する請求項1乃至請求項5記載のいずれか一項に記載の反応器。
【請求項7】
前記処理される材料と、
一対の前記放射源のいずれかとの間の距離は、50μmと30mmとの間に含まれる請求項1
、または請求項1を引用する請求項3乃至請求項6記載のいずれか一項に記載の反応器。
【請求項8】
前記同心円管(2、4)又は平板(12、14)は1mm以下の厚さである請求項1乃至請求項7記載のいずれか一項に記載の反応器。
【請求項9】
各EMW放射源は、放射層を作成するように配置された複数のEMW放射器を備える請求項1乃至請求項8記載のいずれか一項に記載の反応器。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の管状反応器(1、1’)及び/又は層状反応器(20、20’)と、前記反応器(1、1’、20、20’)の運転用の適切な電源と、を備える移動可能なケース(26)内で作られた流体の消毒装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁波を照射するための反応器に関する。
【背景技術】
【0002】
IR用内部抵抗またはUV用水銀放射体を備えた石英管、装甲抵抗器、または石英管で作られたランプの補助あり又は補助なしのプレートに基づく電磁波(EMW)照射システムの使用は、広く使用されているシステムであり、工業用及びいわゆる「民生用機器」、例えば、調理器具、ストーブ、壁や天井のヒーター、環境用、また道具、水、牛乳、ワイン、ビール、水槽用などの対流式ヒーターおよびUV-C滅菌器などの両方について知られている。
【0003】
一般的な意味で、本発明は、当技術分野の周知の主題、および19世紀にすでに公開された、いくつかの特許(すなわち、27.01.1898-US631360 A)を基礎として構築されている。
【0004】
照射原理と構築技術が同じであるにもかかわらず、技術水準は、本明細書に記載されている本発明に包含される複数のEMW周波数のグループについて、以下によりよく説明されていることを理解することは有用である。それは赤外線加熱装置及び短波長紫外線照射システムについてである。それらは、本発明にとって重要なEMWの範囲、すなわち、100ナノメートル(UV-C)とミリメートル(IR-C)の波長との間に含まれる電磁界の両端に位置する。
【0005】
本件出願人によって提出された「Tubular concentrator for concentric irradiation of electromagnetic waves」と題された特許出願WO2017115394に加えて、本発明の主な使用分野における最新技術を分析することが可能である。
【0006】
紫外線アプリケーション
【0007】
UV滅菌は古くから知られており、通常、飲料水の処理から廃水処理、外科手術室およびそこに含まれる機器の消毒、ならびに家庭での消毒、人間および動物の消費のための他の飲料の処理に至るまで、多くの分野で使用されている。
【0008】
現在の用途では、従来の技術は、一般に、蛍光ランプに非常に類似したランプの構成を含み、または最近の歴史では、照明に使用できるようになった現在一般的なLEDと比較すると低いエネルギー収量の結果としてまだ一般的ではないが、LED(発光ダイオード)と呼ばれる発光ダイオードを使用する。
【0009】
いわゆる「従来の」ランプは、低圧および中圧で、水銀蒸気のイオン化を使用して構築されるが、紫外波長では不透明になる従来のホウケイ酸ガラスを使用する代わりに、最高級の管を使用するランプ自体の容器としての純粋な溶融石英(Si02):言い換えると、殺菌用途に使用されるランプは、非常に純粋な溶融石英のアンプルに封入されている。
【0010】
液体用のこのようなランプの使用は、基本的に2つの方法で行われる。
1.殺菌される材料の上、または一般的には、殺菌される環境にランプが配置される。
2.あるいはそれらは、殺菌効果に優れた有害なUV-Cを外部に対して遮断するために、流体の入口と出口に適した2つの直交する接続具を円筒形の外側部分の両端に配置されて備えた、管形状の(通常は)スチール製の容器に挿入される。管の中心には、シリンダーの両端から突出させて殺菌灯を挿入することができる。
【0011】
したがって、第1のシステム(外部に位置する形態)では、放射点は、殺菌される物質から特に遠くに留まり、単一の角度(ランプが複数ある場合を除く)から殺菌が行われることが観察されるのが普通である。第2の解決策(容器を用いる形態)では、放射光源の角度が1つだけであることに加えて、放射された光を液体が吸収する距離が放射源に対して異なることにより、液体は、処理の均一性が不完全なまま、循環流体のフロー圧力に圧力低下を引き起こす特定の変化を強いられる。
【0012】
SurePure Turbulator(以降SPT)の特許文献である WO2016092488A1、およびYpsiconによるUltra Violet/Thermal Pasteurization(以降UVTPY)などのもっと最近の実施形態は、液体、特に牛乳に用いられるシステムであるが、それら2つのシステムは両方とも、本件発明に近いが、実質的な要素はまだ異なる。第1のSPT のWO2016092488A1は、牛乳に渦巻き運動を提供する適切ならせん状の溝によって、牛乳のUV透過の困難さの問題に対処し、内部のUVランプに対して製品をよりよく露光させる。第2のUVTPYは、処理される液体に対して内部および外部の両方から露光を行い、管とランプの間の空間を減少させるが、それでも本発明によって提供される機能および効率のすべての特徴を提示しない。実際、LEDの代わりに従来の水銀/キセノンランプを使用することに加えて、どちらもEMW放射器とミルクなどのレシーバーに対する近接性の概念を実際に考慮しておらず、反応器の効率を高めるために、使用される複数の波長に対して、同時に設ける必要のある反射壁を関連付けるものではない。
【0013】
赤外線
【0014】
赤外線分野において、科学および工業生産の現状においては、プラスチック成形用、加硫プレス用、溶接機、ホットマーキングマシン用、真空オーブン用、滅菌システム、およびその他の小さな加熱パイプを必要とする多くのシステム用のホットランナー射出システム(いわゆる「ホットランナー」)などの多くの産業環境で使用される管状または微小管状ヒーターが知られている。
【0015】
EP0287772A1は、加熱される水が外部ではなく抵抗器の内部を通過する家庭用電気機器用の加熱要素を記載している。
【0016】
US6674054B2は、溶液を加熱するための方法および装置を開示する。
【発明の概要】
【0017】
本発明の目的は、例えば前述の特許出願WO2017115394A1に記載されているタイプの反応器を提案することであるが、性能が改善され、処理される物質の処理に関してさらに効果的な詳細を有する。
【0018】
この目的は、請求項1において、実質的に円筒形の管状反応器1,1’を用いて、EMW(電磁波)の照射によって達成される。その管状反応器1,1’は、以下を備える。
【0019】
管状反応器1,1’は、長手方向Lに延伸し、外管2の内壁および外管2の外壁によって規定される外管2と、内管4の内壁および内管4の外壁によって規定される内管4とを備える一対の同心管2、4を備える。外管2および内管4は、上記EMWに対して透明な材料、たとえば石英でできており、両端が開いており、外管2の内壁および内管4の外壁によって規定されたギャップ6を形成している。ギャップ6は、例えば、固体、液体、気体および/または粉末の形態にある、処理される材料の通過に適している。
【0020】
上記反応器1,1’はさらに、少なくとも1つのEMW放射器によって形成された外部放射源10および内部放射源8の組を含んでいる。外部放射源10は、EMW放射面を反応器1、1’の内側に向けて、外管2の外壁を囲んでいる。内部放射源8は、EMW放射面を反応器1、1’の外側に向けて、内管4の内壁を囲んでいる。それらの放射源8,10は、紫外線(UV)と赤外線(IR)の間に含まれる複数の波長のEMWを、ギャップ6を流れる処理される材料に対して、反応器の延伸の長手方向Lに対して垂直に放射できるようになっている。
【0021】
変形実施形態では、以下を含む層状反応器20が、EMW(電磁波)の照射のために提案される。
【0022】
層状反応器20は、長手方向Lに延びる2枚の矩形の平板12、14を含んでいる。これらの平板12、14は、上記EMWに対して透明な材料、例えば石英でできており、平板12、14の長手方向の端部との係合に適した一対の側面16、18によって、相互に重なって接触することなく配置されている。平板12、14および側面16、18は、反応器の外部部分と反応器の内部部分の境界を定める。その内部部分は、両端が開いており、例えば、固体、液体、気体、および/または粉末の形態の、処理される材料の薄膜の通過に適したギャップ6を画定する。
【0023】
層状反応器20はさらに、一対の対向するEMW放射源8、10を備えている。放射源8、10は、反応器20の外部部分を規定する一対の平板12、14の表面を覆い、反応器20の内側部分に向かってEMWを放射する。放射源8、10は、EMWを反応器の延伸の長手方向Lに対して垂直に、処理される材料が流れるギャップ6へと、紫外線(UV)と赤外線(IR)との間の複数の波長のEMWを照射できるようになっている。
【0024】
好ましい実施形態では、反応器1、1’は、一対の反射器22、24を含み、一対の反射器22、24の第1の反射器22は、2つの放射源のうちの第1の放射源10を覆う。一対の反射器22、24の第2の反射器24は、一対の放射源のうちの第2の放射源8を覆い、第1の反射器22および第2の反射器24は、ギャップ6に向かって上記EMWを反射させるのに適している。
【0025】
一実施形態では、一対の反射器22、24は、上記EMWに対して0.5から1の間の反射係数を有する材料で作られる。
【0026】
一実施形態では、一対の反射器22、24は、20℃で計算して5W / mK未満の熱伝導率を有する材料でできている。
【0027】
一実施形態では、放射源8、10は、互いに異なる波長を有するEMWを放射する。
【0028】
一実施形態によれば、処理される材料と2つの放射源8、10のいずれかの間の距離は、50マイクロメートルと30ミリメートルの間である。
【0029】
例えば、同心管2、4または平板12、14は、1ミリメートル以下の厚さを有する。
【0030】
一実施形態では、各EMW放射源8、10は、複数のEMW放射器を含む。
【0031】
好ましくは、放射源(8および/または10)のEMW放射器は、放射層を形成するように配置される。
【0032】
さらに、本発明の目的はまた、上述のような管状反応器1、1’および/または層状反応器20、20’と、反応器1、1’、20、20’の運転用の適切な電源‘とを備える、可搬ケース26の内部に収容した状態で作成される流体30の消毒装置である。
【0033】
一実施形態では、電磁波を二重に照射できる電磁反応器を提案する。その電磁反応器は、ギャップ6または薄膜上に、電磁波を垂直かつ近接して、高効率で照射するものであり、線源8、10のEMW放射器で、上部と下部、または内部と外部を、外側から完全に覆われた少なくとも1つのギャップ6を備え、外部からシールドされている。その反応器は、液体、気体、粉末、パルプ状などのさまざまな材料を処理または調整することができる。これらは添付図面によって、表される。
【0034】
反応器:
i.それは主にエネルギー移動の手段として電磁放射を使用する。
ii.それは、100ナノメートル(UV-C)とミリメートル(IR-C)の間の波長の複数の領域で、主に近距離の電磁エネルギーを照射する。
iii.これは、システム内を流れる物質に次のような方法で照射する。
1.非常に近い(極端に近接している)、
2.垂直になっている、
3.二重になっている
iV.随意的に、電磁波の放射器が、1ミリメートル未満の厚さの壁を有することができる管に接触して、その管を囲んでいる。
v.真空または圧力下での動作にも適している。
vi.必要に応じて、処理される材料との物理的接触がない状態とできる。
vii.固定形式、モバイル形式、ポータブル形式のいずれでも無差別に実現可能。
【0035】
一実施形態では、反応器は以下を含む:
i.処理される材料の通過を可能にするために両端が開いている少なくとも1つのギャップ6。
ii.この場合、ギャップ6の壁は使用される複数の波長に対して透明であり、たとえば非常に純粋な石英(SiO2)で作られており、2つの管2、4によって形成されるものとできるギャップ6の壁によって、放射器から放射される電磁エネルギーが処理される材料に伝達されるまでの過程で、上記EMWが可能な限り減衰されないようになっている。
iii.少なくとも1つのEMW発生器
iv.例えば、炭化ケイ素または他の抵抗材料からなる抵抗線のコイルによって、また、様々な単一の形態を有する、グループになった、あるいはSMDまたはCOB型の発光ダイオード(LED)の列によって具現される、電磁波の少なくとも1つの放射器(または放射源)が、ギャップ6の外壁に取り付けられ、その外壁を囲んでおりギャップ6自体の内部に向かって放射波を放射する。
v.操作に必要なエネルギーを反応器内に可能な限り閉じ込め、封じ込めるために、放射源の外側に配置された、使用される複数の波長の電磁波を反射する反射材料(または反射器)の少なくとも1つの層。
vi.前述の層(v.)は、結果として、EMW放射器がUVを生成することが決まっているときに過剰な熱を放散することができるという特性を持つ一方で、代わりに本発明の装置を、赤外線または近赤外線の複数の波長で作用させる場合に、反応器の内部に熱を保持する特性を有する適切な材料で作られた少なくとも1つの層となっている。封じ込めまたは高い断熱力の達成のために、20°Cで5 W / m・K未満の低い熱伝導率、さらには反射率1に近い高い反射に加えて、透過率および/または電磁吸収が低減されているか、またはほとんどない材料を意図している。UV放射器によって生成された熱を分散する必要がある場合は、代わりに熱伝導率をできるだけ高くする必要がある。つまり、20°Cで200 W /m・Kを超える値にする。
【0036】
反射機能の理想的な値については、用いられる複数の波長を考慮して、ゼロに近い傾向がある透過係数および吸収係数と関連して、物理的な反射係数が1に近づく傾向を有することを意図している。電磁波を反射するために作られた特別な不透明な水晶の人工物を使用する場合にそうなると考えられる。
【0037】
例えば石英壁で作成されたギャップ6内では、液体、粉末、ガス、スラリー等、様々な性質および特徴を有する様々な材料が流れることができる。それらには、ギャップ6自体の壁の外面に取り付けられた放射器によって生成される電磁波の垂直ビームが照射される。この際、ランバート理論およびシュテファンボルツマンの法則を最大限活用するために、放射器と石英ギャップ6の内部を通過する処理される材料との間の距離を可能な限り減らすことが目標となる。
【0038】
ギャップ6までの距離および放射器とレシーバーとなる材料の間の近接した距離としては、疑似接触、または50マイクロメートルと30ミリメートルの間の測定値を意図しており、この距離は、与えられるパワーに応じて大きくすることができ、つまり、出力されるパワーが大きくなれば、相対的に距離が大きくなってもよい。いずれの場合も、「ほぼ接触」している状態が好ましい。
【0039】
一実施形態では、外部保護部材は、用いられる複数の周波数の範囲で、1に近く、いかなる場合でも0.5より高い電磁反射係数を有する材料で作られる。ここで、電磁反射は、放射器の複数の波長を対象としている。
【0040】
一実施形態では、外部保護部材は、高い断熱能力を反射力に関連付けて有している。言い換えると、上記の反射に加えて、外部保護部材は断熱の役割も果たす。つまり、20°Cで0~5 W / m・Kの低い熱伝導率を持っている。
【0041】
一実施形態では、反応器は、電磁放射または単に熱エネルギーの外向きの分散を低減するタスクを有する効率的な断熱カップの内部に組み込まれる。断熱カップの材質は、機械の設計温度と周波数に応じて選択される。
【0042】
一実施形態では、反応器は、気体が存在しない場合(真空)、または特定の気体ならびに液体が存在する場合に作動するのに適している。
【0043】
一実施形態では、反応器は、例えば反射層または絶縁層など、いかなる種類のスクリーンを用いる必要性も回避できるだけの厚い放射層を形成するEMW放射源を使用する。
【0044】
一実施形態では、反応器は、例えばEMW IRおよびUVの両方を同時に放射する放射源を用いて、2つ以上の周波数で動作する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
本発明による反応器のさらなる特徴および利点は、添付の図面を参照して、非限定的な例として与えられる、実施形態の以下の説明から明らかになるであろう。
【
図1】
図1は、一実施形態における本発明による反応器20’の幾何学的形状の斜視図を示す。
【
図1a】
図1aは、一実施形態における本発明による反応器20’の幾何学的形状の正面図を示す。
【
図1b】
図1bは、一実施形態における本発明による反応器20’の幾何学的形状の軸方向断面図を示す。
【
図2】
図2は、第1の具体的な実施形態における本発明による反応器の斜視図を示す。
【
図2a】
図2aは、一実施形態における本発明による反応器20’の幾何学的形状の正面図で示す。
【
図2c】
図2bで丸で囲まれた細部Cの拡大図である。
【
図2d】
図2aの線B-Bに沿った反応器の断面図である。
【
図3】
図3は、第2の具体的な実施形態における本発明による反応器を斜視図で示す。
【
図3a】
図3aは、第2の具体的な実施形態における本発明による反応器を正面図で示す。
【
図3b】
図3aの線B-Bに沿った反応器の断面図である。
【
図3c】
図3bで円で囲まれた細部Cの拡大図である。
【
図3d】
図3において円で囲まれた詳細Aの拡大図である。
【
図4】第3の実際的な実施形態における反応器の直交図である。
【
図4a】第3の実際的な実施形態における反応器の直交図である。
【
図4b】第3の実際的な実施形態における反応器の直交図である。
【
図4d】
図4cで円で囲まれた細部Bの拡大図である。
【
図5】可搬式流体消毒装置30の斜視図および直交図である。
【
図5a】可搬式流体消毒装置30の斜視図および直交図である。
【
図5b】可搬式流体消毒装置30の斜視図および直交図である。
【
図5c】可搬式流体消毒装置30の斜視図および直交図である。
【
図5d】
図5aの線A-Aに沿ったデバイスの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
図1~1dに示される実施形態では、反応器は、
複数の円筒形の端部28と、反応器20’の長さの大部分
を占めて延びる中央部32とを有し、それにより、より薄い材料の層を作成することができる。反応器20’に流入する処理され
る材料のベース流体の厚さが薄いため、より強力でない放射器
を用いても、容易に処理
することができる。さらに、本発明は、薄い流動床の外観を特徴付けることにより、処理される材料の必要性に比例する狭いギャップ6の構築を常に提示する。
【0047】
実際、EMWを反映する傾向がある材料があり、すると、流体がEMWを横切らないようにするのに数ミリメートルの厚さがあれば十分であり、その数ミリメートルの地点までEMWが透過するのは困難である。そこで、本発明は、その欠点を克服するシステムであることを目的とする。
【0048】
図2~2eに示されている実施形態では、照射される必要
がある狭い部分は、例えば石英の2つの同心管2、4を、放射源8、10と適切に結合することによって得られる。
放射源8、10は、2つの異なる対向する層で作られ、
第1の層である放射源8は、放射面が
内管4の外側に
向くように
配置されて、
内管4の内部に
設けられる。
【0049】
一方で、第2の放射層10は、放射部を内管4に向けて、外管2の外側に配置され、内部に配置された上記他方の放射器8に向かって放射を行う。
【0050】
したがって、2つの管2、4の間に作成されたギャップ6には、EMWの2つ対向する流れがあり、両方ともギャップ6を流れる処理される材料に垂直に作用する。明らかに、これらの対向する流れは、1つの反応器において、異なる波長を有していてもよい。たとえば、一方がUVであって、他方がIRであってもよい。放射器が近接しており、ギャップ6のすぐ隣にあることに気づくことが可能である。
【0051】
設備の必要性に応じて、異なる端末部(terminal)を上記と同じ反応器に設けることができる。
【0052】
図3~3dの例では、反応器は、反応器本体に対してオフセット入口34、すなわち、一実施形態によれば、管2、4の対称軸を構成する長手方向Lから半径方向にオフセットされた入口を有する。すべての反応器には、コアンダプロファイル(Coanda profile)によって最適化された強制空冷を装備できる。
【0053】
図4~4dに示す実施形態では、同じタイプのギャップ6
が、2つの平坦な石英
部品12、14でできて
おり、それらの石英部品12、14は、フレーム16、18に取り付けられて、所定の位置に保持されている。液体、ガス、またはその他の流れは、丸いフランジ36によって開始される。フランジ36は、平らになって、2つの石英表面によって形成されたギャップ6に液体が浸透できるようにする
。それら2つの石英表面は、必要な電磁放射波を放射できる材料の層(図4dに8,10として見えている)が取り付けられ、さらに反射および
放散を行う材料(UV
の場合)または反射および
断熱を行う材料(IR
の場合)でコーティングされ
ている。なお、後者は見えない。
【0054】
この場合も、反応器の内側から外側に向かって、各部分について同一の以下の層構成を見ることが可能である:
処理される材料
石英層
放射材料の層
用いられる複数の波長の電磁波を反射する材料の層
用途に応じて、ヒートシンク層又はエネルギーコンテナ
【0055】
さらなるバージョン
は、水の消毒を目的とした
主にUV-Cの使用に
供される、
図5~5eに示される携帯用
のデバイスまたはモデル30によって表される。このポータブルバージョンの反応器は、前のものとまったく同じ原理に基づいているが、電源と予備
電源の両方
、さらに太陽エネルギー源と、水と電気の両方に接続するために必要なソケット
を同じケースに集積している。
【0056】
ポータブルデバイスは、以下を含む:
38 非飲用水入口
40 飲用水出口
42 USB補助電源入力
44 USB補助電源出力
46 UV-C LED発光器(本発明の変形例で使用可能な光源8、10の例)
48 UV-C LED発光器(本発明の変形例で使用可能な光源8、10の例)
50 反射および放熱用のスクリーン
52 反射および放熱用のスクリーン
54 上部ヒートシンクアンカースライド
56 下部ヒートシンクアンカースライド
58 補助バッテリーアンカースライド
60 太陽電池バッテリー電源
1、1’、20、20’ 処理される水用反応器または石英の容器
1、1’、20、20’ 処理される水用反応器または石英の容器
62 ソーラーパネル
64 電池
66 インターロックおよびヒートシンクボタンホール
68 インターロックおよびヒートシンクボタンホール
70 シーリングガスケット
72 シーリングガスケット。
【0057】
このバージョンはまた、太陽が本発明に組み込まれた適切な太陽電池を介してそのエネルギーを伝達するために利用可能である限り、電気エネルギー源の完全な不在下で使用することができる。
【0058】
外側ではなく、機械自体の内部に向けて加熱エネルギーを使用するためのこれらの言及されたヒーターは、おそらく、本発明の赤外線の部分に最も類似した用途であるが、本発明は同時に以下に関連する:
viii. 電磁放射;
ix. 赤外線と紫外線の間の周波数範囲;
X. 放射器とレシーバーの間にフィルターがない;
xi. 放射器とレシーバーの間の密接した近接性;
xii. 機械内部への照射波の反射;
xiii. 外部への熱伝導を制限するための断熱、または正反対の熱の分散;
xiv. ある場合には石英などの管の細長化によって、また他の場合には非常に近接した2つの壁を設けることによって作成される、流動床の非常に薄い厚さ。
【0059】
以下により分析的に説明されるように、以下の基本的な構造的および概念的詳細の違いを強調するために、比較を以下に示す。既知のヒーターは:
i. それらは、目に見える抵抗線の代わりに、いわゆる「装甲抵抗」を使用して作られ
ている。実際、前述の装甲抵抗器(EP 0287772A1を参照)では、抵抗線は電気絶縁体および熱伝導体の機能を備えたマグネシウム砂(MgO)に浸されている。
ii. EMW放射源は、加熱される材料に比較的「近い」ようには見えない。
iii. それらには、赤外線の周波数域にあるEMWをチューブの内側に反射するスクリーンがない。放射を反射するが、最初に熱伝導によって分散し、次に放射面を通って分散する金属バンドを通さない場合、大量の熱が外部環境に向かい、エネルギー効率が低下する。
iv. それらは、リニアメーターをはるかに超える寸法の一部の産業ニーズに適合できない、比較的限られた長さのために考案および設計された構造である。
V. 上記のUS6674054特許は、メインの管に流入する加熱される材料から加熱管を分離し、全体をさらなる管の中に集積している実施形態でない場合、照射を使用しない。その実施形態においては、本発明と比較して、距離が長く、入射率が異なり、効率が低く、高い建設費を要する。
vi. 上記の特許で、誘導抵抗または導体を石英管に適用するときは常に、エネルギーは放射によって伝達されるのではなく、電磁伝導または誘導によって伝達され、実際に使用される石英管は指定されていない(半透明、透明または不透明のいずれであるとも指定されていない)。
【0060】
これらの違いの組み合わせには、前述のさまざまな電気機械のかなりの多様性が含まれ、ここで説明する本発明の革新を特徴付ける。
【0061】
本発明は、実際には、照射器を示し、その照射器のEMW放射器が以下のすべての特性と同時に関連している:
i. 石英基板に付着しているため、処理される材料に近い。
ii. レシーバー材料を覆うシールドやフィルターがなく、代わりに放射器の周囲に配置された放射波を反射するスクリーンが装備されている。
iii. エネルギーの伝導と放射を防止および/または減速するために放射器の周りに配置された放射反射スクリーンが装備されている。
iv. それは主に伝導/対流/誘導ではなく放射に基づいている(すべて存在するが)。
v. 固体、液体、気体、粉末状の材料を処理するのに有用である。
vi. 熱のみを意図したものではなく、IR-UV周波数域に含まれる全範囲を対象としている。
vii. その独特の特性により、それは省エネを目的としているため、高収率である。
【0062】
放射器の特定の性質は、定常動作温度に高速で達することを示す(より低い熱慣性)。これは、使用方向に向けてスクリーンやフィルターがまったくないため、および鉄製のケース内のマグネシア砂の内部に収容したり、浸漬したりするのではなく、溶融石英管の周りまたは上に「裸」で抵抗材料が配置されているためである。現在の最新技術で知られている管状ヒーターは、抵抗線、赤外線放射源、および加熱される材料の間に2つの異なるスクリーンを挿入する装甲抵抗に基づいている。これらのスクリーンは、抵抗線の巻線と外部の金属容器(通常は鋼鉄または他の同様の金属でできている)を電気的に絶縁するために使用される酸化マグネシウム層(MgO)で構成されている。
【0063】
MgO砂の特徴的な特性は、電流が流れる抵抗線と金属容器(通常は鋼の性質のもの)を電気的に絶縁することと、抵抗の発火によって生じるジュールエネルギーを熱伝導によって伝達することである。(本発明のように熱放射ではなく、熱伝導について話していることに注意してください)。
【0064】
したがって、これらの装甲ヒーターの熱の伝達は、そのままでは部分的にしか放射(照射)によって行われず、とりわけ伝導および対流によって行われることは明らかである。しかし、このタイプのヒーターを本発明と最も差別化する側面は、熱慣性の違いによって表される:微小管ヒーターは、本発明に関して本質的に高い熱慣性を受け、その代わりに、あらゆる種類のフィルターに対抗しない。(石英は赤外線および紫外線放射に対して完全に透明である)。それは、菅(透明)内を移動中の材料をすぐに放射し、それ自体の電磁エネルギーを発生する。これは、空の状態でも、光の速度で起こる(太陽から発生する地上加熱の同じ原理)。
【0065】
実際、ランバートおよびシュテファンボルツマンの原理を主に利用することにより、本発明は、同じ電力が機械に加えられた場合に、現在の技法および技術水準と比較して、加熱される材料により多くのエネルギーを伝達することができる。MgOおよび金属容器の熱伝導率は、平均して、約50(W /(m・K))と推定される:これは、本発明と比較すると、EMW放射器と処理される材料との間に障壁を追加するものとなる。加熱する材料を通過させる石英管を使用する製品があるが、前述の石英管に対して円形に配置された電磁放射の放射源は、人工物の「断熱」壁に埋め込まれたままであり、数センチメートルの距離が放射器とユーザーの間にある。したがって、本発明と比較した場合、少なくとも2次関数で、マシンの効率が低下する。これらの状況は、本発明と同様の構築技術を提供する、すなわち、処理される材料の外側に同心円状に配置された赤外線放射器を備え、加熱するワイヤーを内部に走らせる小さな半透明の石英中央管を使用するいくつかの加熱用物品にも当てはまる。しかし、放射源(抵抗)と加熱される材料との間の距離が比較的大きいため(少なくとも数センチメートルであることを指している)、本発明とは異なる。本発明は、加熱される材料が通過する管と接触するEMW放射源を有し、距離の2乗で機械の効率を高め、処理される材料にすぐに吸収されないすべての放射波をギャップ6の中心に向かって継続的に反射して、一定の冗長効果を得る。
【0066】
電磁波の同心円状放射による管状コンセントレーターの説明
この電気機械(固定式、可動式または携帯式)は、電磁放射の物理的原理を使用してその物理的状態を変更または処理できるEMWによって、固体、液体、気体または複合物質の形態に対して照射するために使用される。
【0067】
基本的な物理法則によれば、反応器の効率に関して、EMW放射器と処理される材料との間の距離をできるだけ減らすことが重要である。距離が減少するほど、効率は高くなる。
【0068】
物質への放射の垂直性に関連して、距離の減少は、コサインのランバートの法則と共に逆2乗の法則を利用する。
【0069】
さらに、主題に関連して重要なことであるが、装置は、処理される材料の層の厚さを1mmよりもさらに低い値に減らすことができる:この事実は、反射の強調された特性を示す材料を放射によって処理するために用いられる。誰にとっても実用的な例として、牛乳を挙げることができる。
【0070】
記載された反応器の別の本質的な特徴は、図面からよりよく理解できるように、管の外側と内側の両方から処理される材料を貫通する照射の二重流によって表される。
【0071】
平坦な実施形態は、一連の同心管2、4から作られていないので内面を持たないが、図から分かるように、2つの石英平板ガラスで形成されている。それは、処理される物質(液体、粉末、スラリー、ガス)が通過する内部空間に向けて放射を集中させるための、平面石英ガラスの外側に配置された放射源を有している。
【0072】
言及したように、装置は異なる方法で実施されるが、同じ反応器の原理を有する:
1.同心管2、4を備えた完全に管状で、様々な層を分割するために使用され、その中では処理される材料が内側
および外側から照射され
る。これは放射器が処理される材料の上下に配置されているため(
図2-2eおよび
図3-d)である。装置は小型化できるため、個人的な方法で使用できる(
図5-5e)。
2.「放射ゾーン」として識別される中央の平坦な部分に向かって流れを開始する2つの丸いカップリングフランジを備えたフラットデバイスは、
処理される材料が流れる非常に薄い内部領域を得るために、近接
した石英の2つの平板12、14で形成される(
図4-4d)、それら両方
の平板が、電磁放射源に覆われる。従って、材料を容易に
薄層化し、サブミリメートルの厚さで照射することができる。デバイスは小型化できるため、個人的な方法で使用できる。
【0073】
加熱体(発熱体または電極)との接触がないことにより、抵抗加熱器の典型的な問題が回避される。この反応器の特性は、対流または伝導によって処理できるが、それらの場合には、本特許のシステムの目的よりも明らかにエネルギー収量が低くなってしまう材料を処理できる点にも関係している。
【0074】
何度も言うように、この機械は非常に効率的である:それは、以下にリストする、有用であると考えられるその特有の構造的特徴を観察することにより容易に感知され得る:
1. 照射ゾーンを画定する複数の壁が近接した構造により、照射を受ける流体がミリメートルよりもさらに薄い厚みを得ることができ、反応器に流入する材料の厚みの内側に向かってエネルギーが容易に到達する。
2. 反射エネルギーをギャップ6の中心に跳ね返す躯体の壁の反射性のために、最も反射性の高い材料が連続照射の対象となる。
3. 適切な材料、特に特殊な照射器によって生成されたIRおよびUVエネルギーの透過用の石英材料、および反射シース(中心に向かって反射させる)を使用した構造は、機械内部にエネルギー分散させるように設計されている。
4. 本発明は、システムの入口と出口に2つの比較的「小さな」開口部しかなく、電気機械のすべての外面が十分かつ適切に断熱され、あるいは必要に応じて冷却されるため、伝導と対流の両方によるエネルギーの分散を大幅に制限する。
【0075】
機械の長さは、柔軟に、各設計者が自分の希望に応じて選択できるため、処理する材料と放射する部品との間の実質的な「接触がない」ことと、内部を材料が通過する速度を速くできることの両方により、本発明をかなり異なる複数のシステムで使用することができる。内部を材料が通過する速度を速くできるのは、照射されたエネルギーの移動が光速で起こり、材料が異なる場合に、それらの材料の吸収力に応じてその速度が変化する「のみ」だからである。また、反応エリアで同時にガスを流すことは、他のシステムよりも非常に簡単で安価である。
【0076】
物理学において、照射の原理によると、2つの物体間のエネルギーの移動に関連する要素は、以下のような一連の変数に基づいている:
i. 物体を構成する物質の組成
ii. それらの表面の形状
iii. 表面の色
iv. 照射波長
v. 照射角度
vi. 照射強度
処理される材料を通過させる2つの面にEMW放射器が配置されているという事実により、照射される材料に常に垂直な電磁波が照射され、他の処理システムと比較して材料自体に伝達されるエネルギー量が増加する。
【0077】
本発明の一態様によれば、円筒であっても、円筒の外側に配置された放射点は、処理される材料の上下に配置される放射点に置き換えられ、したがって、放射によってカバーする距離が大幅に短くなる。
【0078】
これにより、処理される材料を電磁放射源に非常に近づけて、物理的な原理(ランバート/シュテファンボルツマン)を最大限に活用することが可能になり、必要に応じて電気機械で効率を上げることができる。それを他のシステムの放射と比較したい場合は、他のシステムでは、EMW放射器とレシーバーの間の距離がかなり長くなるか、第三者の材料が侵入する。そして、放射波は透過せず、熱放射の代わりに熱伝導の原理を利用する。
【0079】
この電気(静的)機械は、(それだけではないものの)産業で通常使用されるコンポーネントを、電磁放射の目的のために使用するが、革新的な側面は、上と下から常に垂直に非常に近い範囲で材料に当たる放射波の二重照射に関連して、処理される材料の厚さが低減されていることである。システムは外部に向かって完全にシールドされているため、これはすべて、反射された放射波のほぼ完全な反射に関連している。
【0080】
本発明の特定の構造は、照射される材料が放射器の中央に配置され、それを通過するその材料に常に放射波(IRまたはUV)が垂直に当たることを可能にし、したがって、熱エネルギーとUVエネルギーの交換に最適な物理的位置が利用できる。筐体内で反射したEMWも、処理された材料へのエネルギー伝達に大きく貢献する。
【0081】
実際、本発明は、処理される材料が流れる薄層(IRおよびUVに透明な材料でできている)を外から囲む電磁放射(IRおよびUV)の放射器を有することにより、以下の利点および改善された点がある。
i. 放射波の放射点は、処理される材料に常に「近づいて」おり(10分の1 mmまで近づきうる)、放射されるエネルギーのほとんどを利用できる。
ii. 放射点において放射波が主に垂直な角度で材料に当たり、放射波を放射する放射器のカバーの外側に配置されたスクリーンにより、放射波は反応器の内部に常に反射される。
iii. 材料通過体積の断面は完全に一定で計算可能であり、機械の運転中、照射ゾーン内を流れるすべての分子について、照射源からの最大距離と最小距離が分かる(これにより、調整と照射量の決定をより良好に行うことができ、エネルギー消費も低く抑えることができる)。
iv. 選択した石英壁の厚さに応じて、放射波を吸収する必要のある材料への光線の放射器の近接性(1ミリメートル未満の場合もある)が得られる。これは、従来のシステムと比較して、照射されるエネルギーのエネルギー効率が非常に高いことを意味する。
v. 透明なSi02を超えた所に介在する壁がないことで、現状で使用されているシステムで生じるはずの(熱)慣性を大幅に削減できる。
【0082】
これらの特定の機能により、本発明は、特に反射性のある、汚れた、またはそうでなくても電磁放射が透過しにくい材料に対して動作することができる。
【0083】
通常のUV-Cシステムで照射するのが非常に難しいことで有名な牛乳のような白い液体は、本発明によって容易に対処できる。また、完全には解明されていない、水処理プラントに由来する廃水に対しても、本発明が、新しい用途に向けて液体をリサイクルするための殺菌の有用な手段となるであろう。
【0084】
実現
この機械の実現には、以下が必要である。
必要な電力に基づいて計算され、
振幅と周波数の観点から必要とされる電磁波の発生に適した発電機
(添付の図面には示されていない)と、ここにリストされているシステムの1つ:
A)同心円状にオーバーラップする管(チューブ)システム2、4、たとえば、
図2または3
に示すもの:
2つの同心管2、4
は、石英(SiO2)または代替材料
よりなり、半透明または透明
であり、いずれの場合も、目的の光線の波長
の透過に最も適した材料
よりなり、
相対的に用途に関連した壁の厚さを持
つ。それらの同心管に対してそれぞれ
以下のようにする:2つの同心円状のもののうち外側
の管2については、放射部分を
管の内側に向けて照射源
が外を囲んでいる(
図2および3)。内側
の管4については、
放射面を管の外側に向けてEMW放射器で囲んだ空のシリンダーを管の内側に挿入する。外部に放射器がある外側の
管2
と、内部に放射器がある内側
の管4との2つの同心管2、4
の間に形成される空間は、反応器で処理される材料が流れるギャップ6を形成する。
B)フラットシステムの場合:
反応器は、石英(Si02)または代替材料の2つの平板12、14で形成され、半透明または透明で、いずれの場合も、目的の放射
波の波長
の透過に最も適した材料で形成され
、相関する厚さを有する。2つの板12、14間にギャップ6を形成するように、2つの板12、14が平行に重なり合って配置され、ギャップ6のスペースは処理される材料用である。2つの板12、14の外側の表面が、抵抗材料、または、放射部がギャップ6に向けられて配置されるように単一のLED、SMDまたはCOBで覆われ
る。2つの平板は反応器で使用される
複数の波長に対して透過性があるため、ギャップ6を外壁を通して照射する。
これらのLEDまたはIR放射器の背面は、処理される材料に向けて放射
波を反射するため
に、使用される
複数の波長を反射する材料で作られたスクリーンによって、
外部に対して保護されている。
赤外線の場合、放射器はLEDに加えて他の適切な材料で構成される。
放射
波を反射
するスクリーン
の外側に、反応器は、反応器の
用途に応じて、過剰な熱を放散またはそれを
削減するためのデバイス
を備えることができる。
【0085】
操作
処理される材料は、非常に近い距離で垂直に作用する放射器により上下を囲まれたギャップ6の内部を通過する。
【0086】
したがって、使用される放射波に対して透明な材料で作られたギャップ6は、ガラス質の性質を有する完全に滑らかで非常に硬い壁(溶融石英)を有し、多くの酸/アルカリに対しても強く、高密度であり、したがって、長い耐久性がある。放射層の外側に配置された反射スクリーンは、エネルギー損失から反応器を保護し、反応器自体の効率を向上させる。最後に、過剰な熱を放散するシステムまたは断熱システムは、装置の最良の動作をさらに保証する。
【0087】
間の空間の長さ、管の厚さ、抵抗、UV-C LEDの使用される電力および周波数は、放射されるエネルギーの量および昇温が必要な材料の質量および性質、また所望の温度差または滅菌プロセスに必要な放射量に比例する。すべては設計された通過速度に依存する。
【0088】
IR処理に関して、加熱に有用なエネルギーの一部が、照射(および誘導)によってだけでなく、対流によっても、加熱される材料に到達することは明らかである。
【0089】
動作中に、放射を受ける材料への放射源の近接性と組み合わせて二重放射を行うことで、反射するかまたは透過することが困難な材料を用いて動作させることが可能となるとともに、より良い効率を得ることが可能となる。
【0090】
ユーティリティ
このように考えられた反応器の有用性は、異なる物理的形態を有する材料、主に液体および気体だけでなく、微粉化固体またはそれらの材料の混合物も処理できることにおいて明らかであり、既知の現在の技術に関して、次の現代的な利点が得られる:
vii. 処理される材料は、電磁放射の放射源に非常に近いが、それらと接触することはない。
viii. 処理された材料は、例えば電気アークなどによって処理された材料のよく知られた望ましくない物理的変性、または電極に典型的な他の問題の対象とは、もはや異なる。
ix. 同じ設備でも、加熱または処理機械を変更する必要なく、さまざまな材料を処理できる。つまり、導電性材料と非導電性材料を同じ設備で処理できる。
X. 対流および伝導システムに照射を広く適用することにより、従来の設備で物理的に介在していた重要な慣性が、「放射」源の物理的な部分との接触がないことにより、代わりに「残留」と定義できる本発明で検出可能なものとほぼ相殺されるため、調整がより簡単かつ迅速になる。
xi. ここで説明するような放射システムを使用する産業プラントの現在の通過速度は低下せず、反応器を実際の生産ニーズに適合させるだけで増加する。
xii. この機械自体の構想と構造の形態については、重要なエネルギー節約が期待される。光線を受ける材料に対する放射器の近接性と、光線の垂直性、光線の反射の組み合わせから得られるのは、全体(したがって、熱とEMW)を効率的に絶縁することができ、エネルギー(大きな広がりで放射された)が電気機械自体の内部に確実に閉じ込められたままとなることに関連して、外部に対して絶縁され、質量が小さく、入口と出口の開口部が小さくなっていることで、今日知られている従来のシステムおよび非従来のシステムと比較して、使用されるエネルギーの効率を非常に高くできる、ということである。
xiii. 紫外線に関する限り、薄膜照射システムで近接して実行される処理は、現在の技術水準を向上させる。
a)単位表面積(したがって体積)ごとに照射される比エネルギーを増加させる。
b)通常の管で使用されている厚さを適用できない反射材料または汚れた材料に関連する問題を排除する。
c)必要な場所にのみUV-C光線を拡散する。
d)材料に主に垂直に照射する。
【0091】
多くの中で実用的な用途のアイデアとして、蒸気を使用することなく、同じラインで、(IRによる)UHT処理および(UVによる)滅菌の両方の実行に成功した乳処理設備を考えることができる。そして、これらすべては非常に小さなスペースで行い、システムの分散(すなわち、蒸気輸送でのエネルギー損失に加えて、起点での熱交換とミルクとの交換器での熱交換を提供する蒸気システム)によって発生するエネルギー損失を非常に低く抑えるものとなる。より一般的な用途に関して、以下は、全てを網羅したものではないが相対的に説明する要約リストである。
i. 瞬間給湯器;
ii. インラインプロセスエア/ガスヒーター;
iii. 瞬間蒸気発生器;
iv. 清潔で不透明な水の消毒;
v. 牛乳の殺菌;
vi. ビール、ワイン、フルーツスムージーなどの飲料の殺菌;
vii. UHT処理施設;
viii. 工業用液体滅菌器;
ix. 管状フラッシュ低温殺菌;
X. インライン式産業用滅菌装置;
xi. 飲料水用ポータブルソーラーフィールド(portable solar field)滅菌器。
【符号の説明】
【0092】
1 管状反応器
1’ 管状反応器
2 外管
4 内管
6 ギャップ
8 内部放射源
10 外部放射源
12 平板
14 平板
16 側面
18 側面
20 層状反応器
20’ 反応器
22 反射器
24 反射器
26 可搬式ケース
28 円筒形の端部
30 消毒装置
32 中央部分
34 オフセット入口
36 カップリングフランジ、特に丸型
38 給水口
40 排水口
42 USB補助電源入力
44 USB補助電源出力
46 UV-C LED発光器
48 UV-C LED発光器
50 スクリーン
52 スクリーン
54 アンカースライド
56 アンカースライド
58 アンカースライド
60 太陽電池
62 ソーラーパネル
64 電池
66 インターロックスロット
68 インターロックスロット
70 シーリングガスケット
72 シーリングガスケット
74 フランジと石英管の間のシーリングガスケット
76 ヒートシンク内に水と冷却空気を通すための穴あきフランジ
78 ヒートシンクにコアンダ効果を生み出す環状の空気分配チャンバー
80 環状チャンバー78に接続された圧縮空気入口チューブ
82 水
84 ボルト
86 コアンダ効果による現象を増幅する高速冷却空気スロット
88 スロット86に接続された圧縮空気入口チューブ
90 冷却空気通路穴;好ましくは、この穴は、コアンダ効果の効率を高めるように最適化されている
92 シール
94 ネジ
L 長手方向