(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-01
(45)【発行日】2023-06-09
(54)【発明の名称】システム、プログラム、撮像装置、及び、ソフトウェア
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20230602BHJP
G08G 1/01 20060101ALI20230602BHJP
G01C 21/26 20060101ALI20230602BHJP
G07C 5/00 20060101ALN20230602BHJP
【FI】
G08G1/16 C
G08G1/01 K
G01C21/26 C
G07C5/00 Z
(21)【出願番号】P 2021179311
(22)【出願日】2021-11-02
(62)【分割の表示】P 2020124113の分割
【原出願日】2012-09-28
【審査請求日】2021-11-02
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】391001848
【氏名又は名称】株式会社ユピテル
(72)【発明者】
【氏名】小田桐 義則
【審査官】武内 俊之
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-008147(JP,A)
【文献】特開2010-236994(JP,A)
【文献】特開平11-211486(JP,A)
【文献】特開2009-162697(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/16
G08G 1/01
G01C 21/26
G07C 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
警報対象物と所定の接近状態になったとき警報を発する機能を備えたシステムであって、
前記警報対象物と所定の接近状態になった時期に基づく画像を前記警報として表示手段に表示させる機能を備え、
前記警報対象物と所定の接近状態になった時期に基づく画像として、同一の前記警報対象物について、異なる時期の画像を複数記憶しており、
前記複数記憶された前記異なる時期の画像から前記警報対象物と所定の接近状態になった時期と整合する画像を選択して前記警報として表示手段に表示させる機能を備え、
さらに、前記警報対象物と所定の接近状態になった時期に基づく画像として前記警報対象物と所定の接近状態になった時期と整合しない画像を
前記複数記憶された前記異なる時期の画像から選択して前記警報として表示手段に表示させる機能を備え
、
前記警報対象物と所定の接近状態になった時期と整合しない画像を
前記複数記憶された前記異なる時期の画像から選択して前記警報として表示手段に表示させる機能として、夜間に日中の画像を表示する機能を備えること
を特徴とするシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムの機能をコンピュータに実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、車両の運転者に所定の情報を与えるレーダ探知機やカーナビゲーションシステムなどのシステム等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、レーダ探知機やカーナビゲーションシステムなどのシステムが一般に普及している。このシステムは、速度測定装置、取締エリア、検問エリア等の警報対象物への接近をユーザに報知する機能を備えている。
例えば、本出願人は、車両が警報対象物と所定の接近状態になったとき、又は速度測定装置から発射されたマイクロ波を検出したときに、当該警報対象物のCG(Computer Graphics)を液晶ディスプレイ装置などの表示手段に表示するレーダ探知機を提案している(特許文献1の
図19を参照)。なお、警報対象物の有無は、警報音で報知することもできるが、かかるディスプレイ表示によれば、警報対象物の位置の認識を可能にする。
【0003】
また、実際の速度測定装置、取締エリア、検問エリア等の警報対象物を含む写真を表示して実写警報を行なうものがある。
このレーダ探知機は、例えば車両が警報対象物の1km手前まで接近したときは、実写警報を小さく表示し、車両が警報対象物の500m手前まで接近したときには、実写警報を大きく表示する構成となっている。
また、予め視界のよい時に撮像された映像データファイルを表示装置上で見ることによって、作業が夜間や積雪時で踏切位置が確認し難いときであっても、踏切位置を正確に把握することができる除雪車の運転警告システムが開示されている(特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-9546号公報
【文献】特開2006-44367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1のレーダ探知機では、速度測定装置、取締エリア、検問エリア等の種類や内容に応じた共通のCGを表示して警報を行なう構成となっていたため、画面に表示されるCGと、車両が接近しつつある実際の警報対象物との間に関連性はなかった。これに対し、レーダ探知機では、車両が接近しつつある実際の警報対象物を含む写真(実写警報)が表示される。
【0006】
しかし、従来の実写警報は静止画であったため、速度測定装置を含む写真の撮像場所が、車両の走行に伴って変化する実際の前方風景と一致するとは限らず、前方風景中のどこに車両測定装置があるのか特定が困難であった。
【0007】
即ち、従来の実写警報の静止画は、画像中に警報対象物を含ませるために、警報対象物の直前で撮像した画像であった。このような直前で撮像した静止画を、例えば、警報対象物の1km手前、500m手前で表示しても、静止画の画像と、前方風景とが一致しない。車両が警報対象物の直前まで接近したところで、はじめて静止画の画像と、前方風景とが一致する。
【0008】
また、取締エリア、検問エリア等を報知するための実写警報は、当該エリアの一部(例えば、エリアの中心部)で撮像した写真であったため、この写真を見ただけでは、当該エリアがどこからどこまでなのか範囲を特定することができなかった。
【0009】
特許文献2の除雪車の運転警告システムでは、実際には確認し難い踏切位置を、視界のよい時に撮像された踏切の映像で確認するためのものであり、そもそも表示装置の映像と、実際の前方風景とが一致しないことを前提としている。
【0010】
また、踏切は黒と黄色の目立つ外観となっており、低速で線路上を移動する除雪車から撮像した前方風景の映像であれば、この映像中のどこに踏切があるのか容易に特定することができる。
しかし、車両の前方風景には、道路、他の車両、建物、標識や街灯などの構造物が含まれ、車両は除雪車よりも高速で移動する。このため移動する車両の前方風景中から、特に目立つ外観でもない速度測定装置を特定することは難しい。
【0011】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、移動する車両の前方風景と対応する実写動画を用いて警報を行ない、実車動画中の警報対象物を分かりやすく指示することで、車両が接近しつつある実際の警報対象物を容易に特定することができるシステム、プログラム、撮像装置、及び、ソフトウェアの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)上記目的を達成するために、本発明のシステムは、現在の車両の位置情報と、予め定められた所定の警報対象物の位置情報とに基づいて、車両が前記警報対象物に所定の接近状態になったと判別したときに、少なくとも前記警報対象物に接近する過程の風景を撮像した実写動画を表示手段に表示させる制御手段を備えた構成としてある。
【0013】
上記構成によれば、実際の警報対象物に接近する過程の実写動画を表示して警報を行なうことにより、実写動画の映像と、車両の走行に伴って変化する実際の前方風景とを一致させることができる。例えば、警報対象物が速度測定装置の場合は、実写動画中の警報対象物を分かりやすく指示することで、ユーザは、前方風景中の実際の速度測定装置を容易に特定することが可能となる。
また、例えば、警報対象物が取締又は検問などのエリアの場合は、当該エリアの開始点から終了点までの範囲を含む実写動画を表示することで、ユーザは、前方風景中の実際のエリアを容易に特定することが可能となる。このような本発明の車載電子機器によれば、ユーザによる警報対象物の特定が容易となり、ユーザに安全運転を促すことが可能となる。
【0014】
ここで、本発明のシステムは、例えば、レーダ探知機やカーナビゲーションシステムなどの車載用電子機器の形態で実施してもよい。
さらに、本発明のシステムは、主として、位置情報の取得手段、警報対象物に接近する過程の風景を撮像した実写動画の映像データ、実写動画の表示手段、及び上述した制御処理を実行する制御手段などを備えていれば、実現することが可能である。
従って、汎用のパーソナルコンピュータ、携帯電話機、スマートフォン、携帯ゲーム機等のハードウエアを利用して本発明のシステムを実施してもよい。この場合、これら汎用の携帯端末を本発明のシステムとして動作させるためのソフトウエア、実写動画の映像データをサーバに格納し、インターネットを介して携帯端末に提供する構成としてもよい。
【0015】
なお、本明細書における「実写動画」の記載は、実際の風景を撮像した動画であって、表示手段に表示される視認可能な映像を意味する。特に「実写動画の映像」と記載しない場合でも、「実写動画」は、表示手段に表示された映像を意味する。映像ではなくデータを指す場合は「実写動画の映像データ」と記載する。
【0016】
(2)好ましくは、前記実写動画の映像データには撮像時の位置情報が関連付けてあり、前記制御手段は、前記車両の位置情報と、前記映像データの位置情報とに基づいて、前記実写動画を表示させるタイミングを決定する構成にするとよい。
(3)より好ましくは、前記制御手段は、前記車両の位置情報と、前記映像データの位置情報とが一致するタイミングで前記実写動画を前記表示手段に表示させる構成にするとよい。
(4)より好ましくは、前記制御手段は、現在の前記車両の位置情報と、前記映像データの位置情報とが一致する数~数十秒前のタイミングで実写動画を表示させる構成にするとよい。
【0017】
上記構成によれば、現在の車両の位置情報と、実写動画の撮像時の位置情報とに基づいて、実写動画の最適な表示タイミングを決定することができ、実写動画の映像と、実際の前方風景との間に任意の対応関係をもたせることが可能となる。なお、上記(1)における、車両が前記警報対象物に所定の距離まで接近したか否かの判別は、例えば、単独で記憶した警報対象物の位置情報、又は上記(2)の映像データに関連付けた位置情報のいずれに基づいて行なう構成としてもよい。
【0018】
例えば、現在の車両の位置情報が、実写動画の撮像時の位置情報と一致するタイミングで実写動画を表示させることにより、実写動画の表示開始の時点で、実写動画の映像を、実際の前方風景と一致させることができる。以後、実写動画の再生速度を車速と同期させることにより、ユーザは、実写動画と前方風景とを対比して、実際の警報対象物を容易に特定することができる。
【0019】
また、例えば、現在の車両の位置情報が、実写動画の位置情報と一致する数~数十秒前のタイミングで実写動画を表示させることにより、以後、現時点よりも数秒先の前方風景の実写動画が表示されることとなる。この結果、ユーザは、実写動画中の警報対象物を事前に確認し、その後、車両が前記実写動画の撮像地点に到達したときに、前方風景中から実際の警報対象物を容易に特定することができる。
【0020】
ここで、本発明における実写動画の映像データは、例えば、ドライブレコーダをレーダ探知機に連動させた専用の撮像装置を用いて取得することができる。即ち、レーダ探知機は、全国の警報対象物の位置情報を記憶しており、いずれかの警報対象物に対して、現在の車両の位置が所定の接近関係になった場合に、接近警報の出力を開始し、警報対象物を通過すると接近警報の出力を停止する構成となっている。
【0021】
一方、ドライブレコーダには、連続録画の開始、終了のボタンが設けられている。そこで、レーダ探知機が接近警報の出力を開始するタイミングで、ドライブレコーダに対して開始ボタンを押下するのと同様の信号を与え、レーダ探知機が接近警報の出力を停止するタイミングで、ドライブレコーダに対して終了ボタンを押下するのと同様の信号を与える撮像装置を構成する。このような構成の撮像装置を用いて、全国の警報対象物を通過すれば、警報対象物の通過前から通過後にわたる実写動画を撮像することができる。
【0022】
また、ドライブレコーダが撮像した映像には、撮像時の車両の位置情報、速度情報、撮像時刻などが関連付けて記録される。上記構成からなる専用の撮像装置を用いて、例えば、警報対象物の到達前20秒から通過後10秒の映像と位置情報とを自動的に記録し、又は警報対象物の到達前1kmから通過後500mの映像と位置情報とを自動的に記録して、全国の警報対象物にそれぞれ対応する実写動画の映像データを取得することが可能となる。
【0023】
(5)好ましくは、前記制御手段が、車両の速度情報に基づいて、前記実写動画の再生速度を、現在の車両の速度と同期させる構成にするとよい。
【0024】
上記構成によれば、車両の速度に実写動画の再生速度を同期させることで、警報時の車両の速度に応じて、実際の前方風景と実写動画との一定の対応関係を維持することが可能となる。これにより、警報時の車両の速度、車両の速度変化に応じた再生速度で実写動画を表示させることができ、常に適切な警報を行なうことが可能となる。
【0025】
(6)好ましくは、前記実写動画が、前記警報対象物の通過前の地点で撮像した前記警報対象物を含まない風景の映像を含む構成にするとよい。
【0026】
上記構成によれば、未だ警報対象物を視認することができない接近状態、例えば、警報対象物の1km手前、500m手前で実写動画を表示させた場合でも、これら実写動画と、実際の前方風景とが一致するので、警報対象物を含まない実写動画を見て、実際に車両が警報対象物に接近しつつある状況を容易に理解することができる。
【0027】
(7)好ましくは、前記実写動画が、前記警報対象物の通過前から通過後までの風景を撮像した一連の映像である構成にするとよい。
【0028】
上記構成によれば、警報の開始から解除までを一連の実写動画でユーザに報知することができる。ここで、上述した従来のレーダ探知機における警報は、いずれも静止画であったため、警報対象物の通過前の静止画を表示させるに止まり、警報対象物の通過後の静止画を表示させるものはなかった。このため、警報解除のタイミングが不明確であった。これに対し、上記構成からなる本発明のシステムでは、警報対象物の通過後までの映像を連続的に表示させることで、警報の解除をユーザに直感的に伝えることができる。
【0029】
(8)好ましくは、前記制御手段が、前記表示手段に地図を表示させるとともに、車両が前記警報対象物に所定の距離まで接近したときに、前記地図上に前記実写動画を重ねて表示させる構成にするとよい。
【0030】
上記構成によれば、レーダ探知機やカーナビゲーションシステムなどのシステムにおいて、警報対象物の位置や車両の位置を画面上の地図に表示し、この地図上に実写動画の警報を重ねて表示することが可能となる。これにより、実際の警報対象物を実写動画で確認しつつ、車両と警報対象物との接近状態を地図上のアイコン等で客観的に把握することができる。
【0031】
(9)好ましくは、前記制御手段が、車両から前記警報対象物までの距離に応じて、前記地図上に表示させる前記実写動画の表示面積を変化させる構成にするとよい。
【0032】
上記構成によれば、地図上に表示される実写動画の表示面積により、車両と警報対象物との接近状態をユーザに報知することができる。例えば、車両と警報対象物とが所定の距離まで接近したときに、最も小さな表示面積で実写動画を表示させ、その後、車両と警報対象物とが接近するにつれて実写動画の表示面積を大きくする。
これにより、実写動画の大きさで車両と警報対象物との接近状態を相対的に報知することができるとともに、車両が警報対象物に接近するほど実写動画の表示面積が大きくなって、実写動画中の警報対象物の特定が容易となる。また、車両が警報対象物に接近するほど実写動画の表示面積が大きくなり、実写動画中に多くの情報を付加することが可能となる。
【0033】
(10)好ましくは、前記実写動画に、当該実写動画中に含まれる前記警報対象物を視覚的に特定するための指示表示を付加した構成にするとよい。
【0034】
上記構成によれば、実写動画の前方風景中に含まれる警報対象物を、指示表示によって容易に特定することができる。実写動画の前方風景には、道路、他の車両、建物、標識や街灯などの構造物が含まれ、このような前方風景中から速度測定装置などの警報対象物を特定することは難しい。車両の速度が速いほど、実写動画中の警報対象物を特定することは困難になる。そこで、実写動画中に指示表示を追加することで、ユーザは実写動画中の警報対象物を一見して特定することが可能となる。
【0035】
ここで、上述した「指示表示」には、実写動画中の警報対象物を指示する表示が広く含まれ、例えば、実写動画中の警報対象物を指し示す矢印、警報対象物に関する情報を含む吹き出し、警報対象物全体への着色、警報対象物の輪郭をなぞる線などの表示が広く含まれる。
このような指示表示は、例えば、実写動画の映像中に埋め込む構成としてもよいが、映像の前面に描画する構成とするのがよい。例えば、実写動画中の警報対象物の画面内における座標位置、指示表示の大きさ、指示表示の方向などの情報を、所定フレーム毎に記録しておき、これら情報に基づいて、実写動画の映像の前面に指示表示を表示するとよい。
【0036】
(11)好ましくは、前記実写動画中に含まれる前記警報対象物に追従して、前記指示表示の位置又は大きさの少なくとも一方を変化させる構成にするとよい。
【0037】
上記構成によれば、車両と警報対象物との接近に伴って、位置や大きさが変化する実写動画中の警報対象物を、動的な指示表示で的確に指し示すことができ、ユーザは実写動画中の警報対象物をより容易に特定することが可能となる。例えば、車両から警報対象物までの距離が遠い警報開始時は、実写動画中に小さく写し出された警報対象物を小さい矢印で指し示し、車両が警報対象物に接近するに従って大きい矢印で警報対象物を指し示すようにする。
【0038】
また、このような動的な指示表示は、実写動画中でプログラムに従った人工的な動作を行なうので、車両の走行に伴って自然に変化する実写動画中でも特に目立ち、ユーザの注意を瞬時に引き付けることができる。
【0039】
(12)好ましくは、前記実写動画中に含まれる前記警報対象物が複数の構成要素からなる場合に、前記警報対象物の各構成要素に、前記指示表示をそれぞれ付加した構成にするとよい。
【0040】
上記構成によれば、警報対象物が速度測定装置の場合に、速度測定に寄与する重要な構成要素を指示表示で指し示すことができ、ユーザの注意を喚起して安全運転を促すことが可能となる。
例えば、速度測定装置がレーダ式、ループコイル式、Hシステム、LHシステムの場合には、これら速度測定装置のカメラの位置を矢印で指し示す。また、速度測定装置がループコイル式、LHシステムの場合には、舗装路に埋め込まれたループコイルを線でなぞって指し示す。これにより、速度測定装置の目的や機能をユーザに直感させ、より効果的な警報が行えるとともに、実写動画による警報を見たユーザの注意を喚起して安全運転を促すことができる。
【0041】
(13)好ましくは、同一の前記警報対象物について、異なる時期に撮像した複数の前記実写動画の映像データを対応させ、前記制御手段は、現在の時期情報に基づいて、異なる時期に撮像したいずれかの前記映像データを選択し、前記実写動画を前記表示手段に表示させる構成にするとよい。
(14)より好ましくは、同一の前記警報対象物について、少なくとも日中及び夜間に撮像した2種類の前記実写動画を対応させ、前記制御手段は、現在の時期情報に基づいて、日中又は夜間のいずれかの前記映像データを選択し、前記実写動画を前記表示手段に表示させる構成にするとよい。
【0042】
上記構成によれば、実写動画による警報を行う時期と、表示手段に表示される実写動画の撮像時期とを対応させて、例えば、実写動画の映像と、実際の前方風景との環境条件を一致又は近似させることができる。ここで、本発明における「異なる時期」としては、実写動画に表示される範囲を車両で走行した際に、実際の走行時の前方風景と、表示された実車動画とが異なるとユーザが感じられる「時期」を選択するとよい。
【0043】
例えば、春、夏、秋、冬、月、日、時、朝、昼、夕、晩など、風景の変化の少ないある幅をもった期間毎に実写動画を備えるとよい。このような本発明の速度測定装置によれば、例えば、車両が警報対象物と所定の接近状態になった時期が、日中ならば日中の実写動画、夕方ならば夕方の実写動画、夜間ならば夜間の実写動画を表示させることが可能となる。但し、本発明は、実写動画の映像と、実際の前方風景との環境条件を整合させる場合に限らず、例えば、視界の悪い夜間に、視界の良好な日中の実写動画を表示させてもよいし、これと同様の観点から、雪の降る冬に、夏の実写動画を表示させてもよい。
【0044】
(15)好ましくは、前記夜間に撮像した前記実写画像の映像データが、ナイトビジョンを用いて夜間に撮像したものにするとよい。
【0045】
警報対象物の周辺が街灯の少ない暗所の場合は、通常のカメラで夜間の映像を撮像しても、警報対象物自体やその周辺の状況を実写動画に収めることができない。そこで、上記構成のように、ナイトビジョンを用いて夜間の映像を撮像すれば、警報対象物自体やその周辺の状況を視認可能に実写動画に収めることができる。
これにより、実写動画と、実際の前方風景との環境条件の整合を図りつつ、夜間の暗所において、前方風景中の実際の警報対象物が視認しにくい場合でも、実写動画のナイトビジョン映像を参考にして、実際の警報対象物の位置や範囲を特定することが可能となる。
【0046】
(16)上記目的を達成するために、本発明のプログラムは、携帯端末を、上述したいずれかの本発明のシステムとして機能させる構成としてある。
【0047】
本発明のプログラムによれば、例えば、携帯電話、スマートフォン又は携帯ゲーム機などの携帯端末にダウンロードし、当該携帯端末に搭載されたコンピュータに、上述した制御手段の制御処理を実行させ、車両が警報対象物と所定の接近状態になったときに、当該携帯端末の表示手段に実写動画を表示させて、上述した本発明のシステムとして機能させることができる。なお、実写動画の画像データは、例えば、携帯端末に内蔵された記憶手段に記憶する構成としてもよいし、インターネット上のサーバ内に記憶する。
【0048】
(17)上記目的を達成するために、本発明の撮像装置は、上述した(1)~(15)のいずれかのシステムに用いられる実写動画の映像データを取得するための撮像装置であって、既に設置された前記警報対象物の位置情報を記憶する記憶手段と、車両の位置情報を取得する位置情報取得手段と、走行中の前記車両から前方の風景の動画撮像が可能な撮像手段と、前記車両の位置情報と前記警報対象物の位置情報とに基づいて、前記車両が前記警報対象物に所定の接近状態になったと判別したときに、前記撮像手段に動画撮像を開始させ、前記車両が前記警報対象物を通過したと判別したときに、前記撮像手段に動画撮像を終了させる撮像制御手段と、を備えた構成としてある。
【0049】
(18)好ましくは、前記位置情報取得手段及び前記記憶手段を含むレーダ探知機と、前記撮像手段を含むドライブレコーダとを組み合わせ、前記撮像制御手段によって、前記ドライブレコーダの撮像開始タイミング及び撮像終了タイミングを制御する構成にするとよい。
【0050】
(19)上記目的を達成するために、本発明のソフトウエアは、上述した(17)又は(18)の撮像装置によって取得した前記実写動画の映像データと、前記実写動画を前記表示手段に表示させる機能をコンピュータに実現させるためのプログラムとを含む構成としてある。
【0051】
(20)上記目的を達成するために、本発明の撮像方法は、上述した(1)~(15)のいずれかのシステムに用いられる実写動画の映像データを取得するための撮像方法であって、既に設置された前記警報対象物の位置情報を記憶手段に記憶し、位置情報取得手段によって、車両の位置情報を取得し、撮像制御手段が、前記車両の位置情報と前記警報対象物の位置情報とに基づいて、走行中の前記車両から前方の風景の動画撮像が可能な撮像手段を制御し、前記撮像制御手段は、前記車両が前記警報対象物に所定の接近状態になったと判別したときに、前記撮像手段に動画撮像を開始させ、前記車両が前記警報対象物を通過したと判別したときに、前記撮像手段に動画撮像を終了させる手順としてある。
【0052】
(21)好ましくは、前記位置情報取得手段及び前記記憶手段を含むレーダ探知機と、前記撮像手段を含むドライブレコーダとを組み合わせ、前記撮像制御手段によって、前記ドライブレコーダの撮像開始タイミング及び撮像終了タイミングを制御するとよい。
【0053】
(22)上記目的を達成するために、本発明のソフトウエアは、上述した(20)又は(21)の撮像装置によって取得した前記実写動画の映像データと、前記実写動画を前記表示手段に表示させる機能をコンピュータに実現させるためのプログラムとを含む構成としてある。
【0054】
実写動画の映像データを取得するための撮像装置又は撮像方法の基本原理については、レーダ探知機とドライブレコーダとの組み合わせを例に挙げて、既に説明したとおりである。
本発明の撮像装置又は撮像方法によれば、既に設置された警報対象物を通過するだけで、当該警報対象物の通過前から通過後にわたる実写動画を簡単に撮像することができる。これにより、全国に設置された多数の警報対象物の実写動画を極めて容易に取得することが可能となり、豊富な実写動画の映像データを備えたシステムを実現することができる。
【発明の効果】
【0055】
本発明のシステム、プログラム、撮像装置、及び、ソフトウェアによれば、移動する車両の前方風景と対応する実写動画を用いて警報を行ない、実車動画中の警報対象物を分かりやすく指示することで、車両が接近しつつある実際の警報対象物を容易に特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【
図1】本発明の好適な第1の実施形態であるレーダ探知機の構成を示す図であり、(a)は、レーダ探知機の斜視図、(b)は、レーダ探知機の側面図である。
【
図3】
図1のレーダ探知機の表示部の表示態様の一例を示し、(a)は、待ち受け画面を示す図、(b)は、レーダスコープを示す図、(c)は、GPS警報の表示例を示す図である。
【
図4】
図1のレーダ探知機のレーダ波警報機能における警報画面の表示例を示す図である。
【
図5】実写動画の表示画像の一実施例を模式的に示す図であり、
図5(a)は警報対象物に近接する前の画像、
図5(b)は警報対象物に近接時の画像、
図5(c)は警報対象物通過後の画像である。
【
図6】実写動画の表示画像の他の実施例を模式的に示す図であり、
図6(a)は警報対象物に近接する前の画像、
図6(b)は警報対象物に近接時の画像である。
【
図7】第2の実施形態における表示画像の一実施例を模式的に示す図であり、
図7(a)は警報対象物に接近したとの判定をした直後の画像、
図7(b)は警報対象物に近接する前の画像、
図7(c)は警報対象物に近接時の画像である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
以下、図面に示す実施の形態により本発明をさらに詳細に説明する。なお、これにより本発明が限定されるものではない。
【0058】
[システムの第1の実施形態]
図1、
図2は、本発明のシステムとして好適な第1の実施形態であるレーダ探知機の構成を示している。本レーダ探知機は通常ダッシュボード上に取り付けられる。本レーダ探知機は通常ダッシュボード上に台座33のプレート33bの底面を貼りつけて固定される。台座33の上部にはボールジョイント受け部33aを設けており、ケース本体1の底面から下方に伸びる支柱部31の下端部に設けたボール部をこのボールジョイント受け部33aに挿し込み、ボール部をその可動範囲内の任意の角度・姿勢で保持させることができる。
【0059】
台座33は、その上面所定位置に球面状の凹部を備えており、台座33は、ゴム等の弾性変形可能で、適度な摩擦係数を有する材質から構成している。ボール部の外径と、凹部の内径とはほぼ等しく設定している。これにより、ボール部が凹部内に入り込んだ状態では、ボール部の外形状と凹部の内形状とが略符合し、ボール部は球面に沿って任意の方向に回転・移動できるようになる。そして、両者の径をほぼ一致させると共に、凹部の内形状に適度な摩擦係数を持たせることで、ボール部を任意の角度・姿勢で保持させることができる。
【0060】
さらに、台座33は弾性変形が可能であるので、
図1(b)に示す状態から台座33を保持しつつケース本体1を上方に引き上げる方向に付勢すると、凹部の開口部の径が広がりボール部を凹部から離脱させることができる。逆に、台座33とボール部とが分離した状態の場合、ボール部を凹部の開口部に押し当て、その状態のまま台座33に向けて押し込むように付勢すると、凹部の弾性変形によりその開口部が一旦広がり凹部内にボール部が収納される。
【0061】
その後は、台座33の弾性復元力により凹部の形状は元に戻り、ボール部が簡単に凹部から離脱するのが抑制される。また、台座33の底面には、粘着シートや両面接着テープや面ファスナー等の接着部材の一面が装着され、その接着部材の他の面がダッシュボード等の車室内の所定位置に取り付けられる。これにより、係る車室内の所定位置に台座33が固定される。
【0062】
本レーダ探知機は、
図1(a)、(b)に示すように、ケース本体1の上面にソーラーパネル2及びスイッチ部3を配置し、ケース本体1の前面側(車両前方へ配置される側(フロントガラス側))の内部に速度測定装置の発する周波数帯のマイクロ波を検知するマイクロ波受信器4を配置する。一方、ケース本体1の後面側(車両後方へ配置される側(ユーザ側(ドライバー側))には、表示部5と警報ランプ6と赤外線通信機7とリモコン受信器16を配置している。
【0063】
また、ケース本体1の上面側内部には、GPS受信器8を配置する。さらに、ケース本体1の一方の側面には、アダプタージャック9を配置し、他方の側面には電源スイッチ10並びにDCジャック21を配置する。ケース本体の底面側内部には図示略すバッテリを備え、このバッテリにはソーラーパネル2及びDCジャック21から供給される電力を充電し、各部に電力を供給する。また、ケース本体1内には、スピーカ20も内蔵している。
【0064】
本実施形態では、表示部5はバックライトを有する2.4インチの小型カラードットマトリックス液晶ディスプレイであり、ケース本体1の後面側(車両後方へ配置される側(ユーザ側(ドライバー側))を表示面としている。表示部5を実装するケース本体1の後方側の高さHは、その他の部位の高さH0よりも大きくしている。
【0065】
図2に示すように、赤外線通信機7は携帯電話機12等の赤外線通信機を内蔵した通信装置との間でデータの送受を行なう。アダプタージャック9は、メモリカードリーダ13を接続する端子である。アダプタージャック9にメモリカードリーダ13を接続することで、そのメモリカードリーダ13に装着されたメモリカード14に格納されたデータを内部に取り込んだり、位置情報、警報対象物に接近する過程の風景を撮像した実写動画の映像データなどを格納したデータベース19や制御部18のメモリの内容をメモリカード14に書き込んだりすることができる。
【0066】
具体的には、メモリカード14に格納されたデータに、新規な警報対象物の情報(経度・緯度を含む位置情報、種別情報等)などの更新情報がある場合、その更新情報を制御部18が本レーダ探知機に内蔵されるデータベース19に格納(ダウンロード)し、データベース19のデータを更新する。なお、メモリカードリーダ13の機能は、本体ケース1内に内蔵するように構成してもよい。
【0067】
データベース19は、制御部18のマイコン内あるいはマイコンに外付けした不揮発性メモリ(例えば、EEPROM)である。データベース19には、出荷時に一定の警報対象物に関する情報を登録しており、その後に追加された警報対象物についてのデータ等は上記のようにしてデータ更新することができる。また、データ更新は、赤外線通信機7を介して行なうこともできる。DCジャック21は、図示省略のシガープラグコードを接続するためのもので、そのシガープラグコードを介して車両のシガーソケットに接続して電源供給を受け得るようにする。
【0068】
無線受信器15は、飛来する所定周波数の無線を受信する。リモコン受信器16は、赤外線によりリモコン(携帯機:子機)17とデータ通信をし、本装置に対する各種の設定を行なう。また、スイッチ部3も制御部18に接続され(図示省略)、リモコン17と同様の設定を行えるようになっている。リモコン17には、待受切替ボタン、設定ボタン、選択ボタン、取消ボタン、決定ボタン、リセットボタン、上下左右の十字ボタンを備えている。
【0069】
また、本実施形態のレーダ探知機は、
図2に示すように車両に実装されているOBD-II(IIはローマ数字の「2」であり、以下「OBD-II」を「OBD2」と記す)コネクタに接続する接続ケーブル22を備え、この接続ケーブル22の先端には、車両のOBD2コネクタに着脱自在に装着できるコネクタ端子23が取り付けられている。OBD2コネクタは、故障診断コネクタとも称され、車両のECUに接続され、各種の車両情報が出力される。
【0070】
さらに、接続ケーブル22の他端には、レーダ探知機のケース本体1の側面に設けたソケット口24と接続するためのコネクタ端子25を設けており、レーダ探知機に対しても接続ケーブル22を着脱できるようにしている。もちろん、接続ケーブル22をレーダ探知機に直接接続するようにしても良い。
【0071】
そこで、この接続ケーブル22に取り付けられたコネクタ端子23と、車両本体側のOBD2コネクタとを連結することで、制御部18は、各種の車両情報を一秒おきに取得する。この車両情報としては、車速、エンジン回転数、エンジン負荷率、スロットル開度、燃料流量、瞬間燃費、吸入空気量(MAF)、インジェクション開時間、残燃料量、アクセル開度、ウインカー情報(左右のウインカーの動作(ON/OFF))、ハンドルの回転操舵角情報等がある。本実施形態のレーダ探知機では、上記のようにOBD2コネクタを介して車両から取得した車両情報を車両情報表示画面として表示する車両情報表示機能を備える。車両情報表示画面は、エンジン負荷率を主として表示する画面であり、例えば、車両情報のうち、エンジン負荷率の現在値に加え、スロットル開度、燃料流量、瞬間燃費の現在値と、本レーダ探知機を車両に取り付けたときから現在までに1秒おきに取得した瞬間燃費の平均値である平均燃費を表示するとともに、エンジン負荷率の大きさに応じて表示態様を変化させて表示する。
【0072】
また、制御部18は、CPU、ROM、RAM、不揮発性メモリ、I/O等を備えるマイコンであり、上記の各種の入力機器から入力される情報に基づき所定の処理を実行し、上記の各種の出力機器を利用して所定の警報・メッセージや情報を出力する。
【0073】
本実施形態のレーダ探知機における機能は、制御部18に有するコンピュータが実行するプログラムとして制御部18のEEPROM上に格納され、これを制御部18に有するコンピュータが実行することで実現される。
【0074】
制御部18の有するプログラムによってコンピュータが実現する機能としては、GPSログ機能、待ち受け画面表示機能、レーダスコープ表示機能、GPS警報機能、レーダ波警報機能、無線警報機能、上述した車両情報表示機能、さらに本実施形態のレーダ探知機の最も顕著な特徴である実写動画表示機能などがある。
【0075】
GPSログ機能は、制御部18が1秒ごとにGPS受信器8によって検出された現在位置をその検出した時刻および速度(車速)と関連づけて位置履歴として不揮発性メモリのデータベース19に記憶する機能である。この位置履歴は、例えばNMEA形式で記録する。
【0076】
待ち受け画面表示機能は、
図3(a)に示すように、GPS受信器8によって検出した車両の速度、緯度、経度、高度を表示部5に表示する機能である。
レーダスコープ表示機能は、
図3(b)に示すように、GPS受信器8によって検出した現在位置から所定の範囲内(例えば約1kmの範囲内)にある警報対象物をデータベース19に記憶された位置情報に基づいて検索し、車両位置と警報対象物の位置との相対的な位置関係を表示部5に表示させる機能である。
図3(b)中の左側の「W」が西、右側の「E」が東、上側の「N」が北の方角を示し、「W」と「E」を結ぶ左右方向の線と「N」から下へ伸びる上下方向の線との交点にあるアイコンが車両位置を示している。また「L」「RD」「P」「N」等の文字を有するアイコンが警報対象物の種類と位置を示す。
【0077】
図3(a)に示すような待ち受け画面表示機能実行中にリモコン17に設けた待受切替ボタンの押下が検出された場合、
図3(b)に示すようなレーダスコープ表示機能に切り替える。また、レーダスコープ表示機能実行中にリモコン17に設けた待受切替ボタンの押下が検出された場合、車両情報表示機能に切り替える処理を行なう。また、車両情報表示機能実行中にリモコン17に設けた待受切替ボタンの押下が検出された場合、待ち受け画面表示機能に切り替える処理を行なう。
【0078】
制御部18は、待ち受け画面表示機能、レーダスコープ表示機能、車両情報表示機能(以下、これらの機能を総称して待受機能と称する)の実行中に、発生したイベントに応じて、GPS警報機能、レーダ波警報機能、無線警報機能等の各機能を実現する処理を実行し、当該機能の処理終了時には元の待受機能の処理に戻る。各機能の優先度は、高いほ うから、レーダ波警報機能、無線警報機能、GPS警報機能の順に設定している。実写動画表示機能は、GPS警報機能を実現した場合に、それの一部として、またはそれと連関して、実現する処理を実行する。処理終了時にはGPS警報機能の処理または元の待受機能の処理に戻る。
【0079】
GPS警報機能は、制御部18に有するタイマーからのイベントにより所定時間間隔(1秒間隔)で実行される処理であり、データベース19に記憶された警報対象物の緯度経度とGPS受信器8によって検出した現在位置の緯度経度から両者の距離を求め、求めた距離が所定の接近距離(例えば500m以内)になった場合に、表示部5に
図3(c)に示すようなGPS警報表示をし、スピーカ20からその旨を示す接近警告の音声を出力する処理である。
【0080】
警報対象物は、居眠り運転事故地点、レーダ、Hシステム、LHシステム、制限速度切替りポイント、取締エリア、検問エリア、駐禁監視エリア、Nシステム、交通監視システム、交差点監視ポイント、信号無視抑止システム、警察署、交番、事故多発エリア、車上狙い多発エリア、急/連続カーブ(高速道)、分岐/合流ポイント(高速道)、ETCレーン事前案内(高速道)、サービスエリア(高速道)、パーキングエリア(高速道)、ハイウェイオアシス(高速道)、スマートインターチェンジ(高速道)、PA/SA内
ガソリンスタンド(高速道)、トンネル(高速道)、ハイウェイラジオ受信エリア(高速道)、県境告知、道の駅及びビューポイントパーキング等がある。そして、データベース19に、これら警報対象物の種別情報及びその位置を示す緯度経度情報と、表示部5に表示する模式図、実写動画の映像データ及び音声データとを対応付けて格納している。
【0081】
レーダ波警報機能は、マイクロ波受信器4によって速度測定装置(移動式レーダ等(以下、単に「レーダ」と称する))から発せられる周波数帯のマイクロ波に対応する信号が検出された場合に、表示部5に対して警報画面を表示するとともに、スピーカ20から警報音を出力する警報機能である。例えば、レーダの発するマイクロ波の周波数帯のマイクロ波がマイクロ波受信器4によって検出された場合に、
図4に示すように、データベース19に記憶されたレーダの模式図または写真を表示部5に警報画面として表示するとともに、データベース19に記憶された音声データを読み出して「レーダです。スピード注意」という音声をスピーカ20から出力する。音声出力中は、警報ランプ6を点燈させる。
【0082】
無線警報機能は、無線受信器15によって、緊急車両等の発する無線電波を受信した場合に、その走行等の妨げとならないよう、警報を発する機能である。無線警報機能においては、取締無線、カーロケ無線、デジタル無線、特小無線、署活系無線、警察電話、警察活動無線、レッカー無線、ヘリテレ無線、消防ヘリテレ無線、消防無線、救急無線、高速道路無線、警備無線等の周波数をスキャンし、スキャンした周波数で、無線を受信した場合には、データベース19に無線種別ごとに記憶されたその周波数に対応する無線を受信した旨の模式図を警報画面として表示部5に表示するとともに、データベース19に無線種別ごとに記憶された音声データを読み出して、スピーカ20からその無線の種別を示す警報音声を出力する。例えば、取締無線を受信した場合には「取締無線です。スピード注意」のように音声を出力する。音声出力中は、警報ランプ6を点燈させる。
【0083】
実写動画表示機能は、GPS警報機能により、データベース19に記憶された警報対象物の緯度経度とGPS受信器8によって検出した現在位置の緯度経度から両者の距離を求め、求めた距離が所定の接近距離(例えば500m以内)になった場合に、その警報対象物に接近する過程の風景を撮像した実写動画を表示部5に表示させる機能である。この場合、従来のように、表示部5に
図3(c)に示すようなGPS警報表示をし、スピーカ20からその旨を示す接近警告の音声を出力した後、実写動画の表示を開始させてもよく、または、
図3(c)の画面を表示しないで実写動画の表示を開始させてもよい。この選択は、予めスイッチ部3やリモコン17などにより設定してもよい。実写動画の表示の開始判断は、従来のGPS警報表示の判断を行う場合と同様な処理で行い、制御部18は、警報対象物が所定の近接距離と判定した場合、データベース19より順次映像データを読み出して表示部5にそれを送信する。
【0084】
データベース19に格納されている映像データは、後述する本発明による撮像装置によって取得される。また、実写動画の映像データには撮像時の位置情報が関連付けてあり、制御部18は、車両の位置情報と、映像データの位置情報とに基づいて、実写動画を表示させるタイミングを決定する。具体的には、車両の位置情報と、映像データの位置情報とが一致するタイミングで実写動画を表示部5に表示させる。例えば、制御部18は、車両の速度情報に基づいて、実写動画の再生速度を、現在の車両の速度と同期させる構成にするとよい。
【0085】
車両の速度に実写動画の再生速度を同期させることで、警報時の車両の速度に応じて、実際の前方風景と実写動画との一定の対応関係を維持することが可能となる。これにより、警報時の車両の速度、車両の速度変化に応じた再生速度で実写動画を表示させることができ、常に適切な警報を行なうことが可能となる。
【0086】
図5は、実写動画の表示画像の一実施例を模式的に示す図であり、
図5(a)は警報対象物に近接する前の画像、
図5(b)は警報対象物に近接時の画像、
図5(c)は警報対象物通過後の画像である。警報対象物であるHシステム40に接近距離(例えば500m以内)になった場合に
図5(a)のように実写動画の表示を開始し、
図5(b)のように近接して、
図5(c)のように通過するまでの一連の映像を表示する。ユーザは警報対象物を通過する前から通過後まで実際の風景と同じ画像を表示部5で視認することにより、実際の警報対象物をより明確に認識することができる。なお、表示画面の右上は現在の時刻を示している。
【0087】
実写動画の表示が開始されたことにより、ユーザは警報対象物が接近していることが認識できるが、本実施例においては、実写動画中に含まれる警報対象物を視覚的に特定するための指示表示を付加した表示画像としており、指示表示を矢印41とした場合の一例を示している。矢印41は、実写動画中に含まれる警報対象物に追従してその大きさを変化させる構成とし、車両から警報対象物までの距離が遠い警報開始時は、実写動画中に小さく写し出された警報対象物を小さい矢印で指し示し、車両が警報対象物に接近するに従って大きい矢印で警報対象物を指し示すようにしている。これにより位置や大きさが変化する実写動画中の警報対象物をより容易に特定することが可能となる。
【0088】
図6は、実写動画の表示画像の他の実施例を模式的に示す図であり、
図6(a)は警報対象物に近接する前の画像、
図6(b)は警報対象物に近接時の画像である。
図6においては、指示表示を囲い42で行い、さらに、警報対象物の内容を表示する表記部43を付加している。なお、囲い42の大きさは警報対象物に追従して変化させている。また、警報対象物を通過時には通過した旨のコメントを実写動画の表示画像に表示してもよい。
【0089】
上記のような構成によれば、警報対象物が
図5、
図6のような速度測定装置の場合に、速度測定に寄与する重要な構成要素を指示表示で指し示すことができ、ユーザの注意を喚起して安全運転を促すことが可能となる。また、このような動的な指示表示は、実写動画中でプログラムに従った人工的な動作を行なうので、車両の走行に伴って自然に変化する実写動画中でも特に目立ち、ユーザの注意を瞬時に引き付けることができる。
【0090】
[システムの第2の実施形態]
次に、本発明によるシステムの第2の実施形態について説明する。本実施形態のシステムは、基本的な構成が第1の実施形態と同様なレーダ探知機であり、制御部18の有するプログラムによってコンピュータが実現する機能のうち、実写動画表示機能のみが第1の実施形態と異なっている。
【0091】
図7は、本実施形態における表示画像の一実施例を模式的に示す図であり、
図7(a)は警報対象物に接近したとの判定をした直後の画像、
図7(b)は警報対象物に近接する前の画像、
図7(c)は警報対象物に近接時の画像である。
図7に示すように、本実施形態においては、制御部18は、表示部5に地
図50を表示させるとともに、車両が警報対象物であるHシステム40に所定の距離(例えば1km)まで接近したときに、その地
図50上に実写動画51を重ねて表示させる構成にしている。さらに、車両から警報対象物であるHシステム40までの距離に応じて、地
図50上に表示させる実写動画51の表示面積を変化させる構成としている。また、
図5と同様に、実写動画51においては、指示表示として矢印41を用い、実写動画51中に含まれる警報対象物に追従してその大きさを変化させる構成としている。具体的には、車両と警報対象物とが所定の距離まで接近したときに、
図7(a)のように最も小さな表示面積で実写動画51を表示させ、その後、車両と警報対象物とが接近するにつれて実写動画51の表示面積を大きくする。なお、地図画面の右上は現在の時刻を示している。
【0092】
また、
図7においては、警報対象物であるHシステム40の位置52や車両の位置53を地
図50の中に表示し、この地
図50上に実写動画51による警報を重ねて表示することが可能となる。これにより、実際の警報対象物であるHシステム40を実写動画51で確認しつつ、車両と警報対象物との接近状態を地
図50上の位置を示すアイコン等で客観的に把握することができる。
【0093】
これにより、実写動画51の大きさで車両と警報対象物との接近状態を相対的に報知することができるとともに、車両が警報対象物に接近するほど実写動画51の表示面積が大きくなって、実写動画51中の警報対象物の特定が容易となる。また、車両が警報対象物に接近するほど実写動画51の表示面積が大きくなり、実写動画中に多くの情報を付加することが可能となる。例えば、
図6のように警報対象物の内容を表示することや車両と警報対象物との間の距離などを表示することができる。なお、これらの情報は、速度などの他の走行情報と共に実写動画51の外側の地
図50内に表示してもよい。また、
図7(a)、(b)、(c)においては地
図50の画面は固定されているが、現在位置が常に表示画面上の一定の位置となるように地図が変化するようにしてもよい。また、本実施形態のシステムにおいては、待ち受け画面表示機能として、地図画面を表示し、そこに車両の位置や速度などを表示してもよい。
【0094】
[撮像装置の実施形態]
次に、本発明による撮像装置の実施形態について説明する。上記の実施形態のシステムにおいて使用する実写動画の映像データは本実施の形態の撮像装置によって取得することができる。本実施の形態の撮像装置は、既に設置された警報対象物の位置情報を記憶する記憶手段と、車両の位置情報を取得する位置情報取得手段と、走行中の車両から前方の風景の動画撮像が可能な撮像手段と、車両の位置情報と警報対象物の位置情報とに基づいて、車両が警報対象物に所定の接近状態になったと判別したときに、撮像手段に動画撮像を開始させ、車両が警報対象物を通過したと判別したときに、撮像手段に動画撮像を終了させる撮像制御手段とを備えている。
【0095】
具体的には、位置情報取得手段及び記憶手段を含むレーダ探知機と、撮像手段である撮像カメラを含むドライブレコーダとを組み合わせ、撮像制御手段によって、ドライブレコーダの撮像開始タイミング及び撮像終了タイミングを制御する構成とする。例えば、撮像制御手段は、車両が警報対象物に所定の接近状態になったと判別したときに、撮像カメラに動画撮像を開始させ、車両が警報対象物を通過したと判別したときに、撮像手段に動画撮像を終了させる。
【0096】
ドライブレコーダには、連続録画の開始、終了のボタンが設けられている。そこで、レーダ探知機が接近警報の出力を開始するタイミングで、ドライブレコーダに対して開始ボタンを押下するのと同様の信号を与え、レーダ探知機が接近警報の出力を停止するタイミングで、ドライブレコーダに対して終了ボタンを押下するのと同様の信号を与えることにより撮像制御手段を実現する。このような本実施形態の撮像装置を用いて、全国の警報対象物を通過すれば、警報対象物の通過前から通過後にわたる実写動画を容易に撮像することができる。
【0097】
ドライブレコーダが撮像した映像には、撮像時の車両の位置情報、速度情報、撮像時刻などが関連付けて記録される。本実施形態の撮像装置を用いて、例えば、警報対象物の到達前20秒から通過後10秒の映像と位置情報とを自動的に記録し、又は警報対象物の到達前1kmから通過後500mの映像と位置情報とを自動的に記録して、全国の警報対象物にそれぞれ対応する豊富な実写動画の映像データを取得することができる。
【0098】
[システムの実施形態の変形例]
本発明は、上述した本発明の実施形態の記載内容に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、本発明のシステムとして次のように実施しても良い。
【0099】
(1)制御部18は、現在の車両の位置情報と、実写動画の映像データの位置情報とが一致する数~数十秒前のタイミングで実写動画を表示させる構成にしてもよい。この場合、現在の車両の位置情報と、実写動画の撮像時の位置情報とに基づいて、実写動画の最適な表示タイミングを決定することができ、実写動画の映像と、実際の前方風景との間に任意の対応関係をもたせることが可能となる。
【0100】
(2)実写動画中に含まれる警報対象物を視覚的に特定するための指示表示を付加する場合、警報対象物に関する情報を含む吹き出しで示すこと、警報対象物全体への着色、警報対象物の輪郭をなぞる線で表示すること、速度測定装置がループコイル式、LHシステムの場合には、舗装路に埋め込まれたループコイルを線でなぞって指し示すことなどが可能である。
【0101】
(3)同一の警報対象物について、異なる時期に撮像した複数の実写動画の映像データを対応させて記憶させてもよい。この場合、制御部18は、異なる時期に撮像した複数の映像データから1つの映像データを選択し、その選択した映像データによる実写動画を表示部5に表示する。
【0102】
例えば、上記の異なる時期を日中及び夜間の2種類とし、同一の警報対象物に対してそれらの2種類の実写動画を対応させ、制御部18は、現在の時期情報に基づいて、日中又は夜間のいずれかの映像データを選択し、その実写動画を表示部5に表示してもよい。
【0103】
また、上記の異なる時期として、春、夏、秋、冬、月、日、時、朝、昼、夕、晩などの風景の変化の少ないある幅をもった期間毎に対応させてそれぞれの実写動画を備えてもよい。車両が警報対象物と所定の接近状態になった時期に合わせ、例えば、その季節または月日と同じ季節または月日の実写動画、日中ならば日中の実写動画、夕方ならば夕方の実写動画、夜間ならば夜間の実写動画をそれぞれ表示する。但し、必ずしも実写動画の映像と実際の前方風景との環境条件を整合させる必要はなく、警報対象物をより明確に認識するために、視界の悪い夜間に視界の良好な日中の実写動画を表示すること、また、雪の降る冬に夏の実写動画を表示することなども可能である。
【0104】
夜間に撮像した実写画像の映像データは、撮像装置において、ナイトビジョンを用いて夜間に撮像することにより得られる。これにより、警報対象物の周辺が街灯の少ない暗所であっても、警報対象物自体やその周辺の状況が視認可能な実写動画の映像データが取得できる。従って、実写動画と実際の前方風景との環境条件の整合を図りつつ、夜間の暗所において、前方風景中の実際の警報対象物が視認しにくい場合でも、実写動画のナイトビジョン映像を参考にして、実際の警報対象物の位置や範囲が特定できる。
【0105】
本実施の形態のシステムをレーダ探知機の例で説明したが、各種の電子機器の機能として実施することができる。例えば、ナビゲーション装置、ドライブレコーダ及びカーオーディオの機能として組み込んでもよい。また、制御部18に、各機能や警報の優先順位をリモコン17等からの指示に基づいて設定する機能を設け、この設定された優先順位に基づいて制御部18の各処理を行なってもよい。
【0106】
制御部18のEEPROM上に格納されたプログラムを、汎用のパーソナルコンピュータ、携帯電話機、スマートフォン、携帯ゲーム機などの携帯端末にダウンロードし、携帯端末に搭載されたコンピュータに、制御部18の制御処理を実行させ、車両が警報対象物と所定の接近状態になったときに、携帯端末の表示手段に実写動画を表示させてもよい。この場合、実写動画の画像データは、携帯端末に内蔵された記憶手段に記憶してもよい。また、インターネット上のサーバ内に記憶してもよい。
【0107】
また、本実施の形態のシステムでは、制御部18のコンピュータを実現させるためのプログラムのみを有するが、プログラムを複数のコンピュータに分散配置し、分散処理するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明のシステムは、車両の運転者に所定の情報を与える車両情報システムとして利用できる。
【符号の説明】
【0109】
1 ケース本体
2 ソーラーパネル
3 スイッチ部
4 マイクロ波受信器
5 表示部
6 警報ランプ
7 赤外線通信機
8 GPS受信器
9 アダプタージャック
10 電源スイッチ
11 撮像装置
12 携帯電話機
13 メモリカードリーダ
14 メモリカード
15 無線受信器
16 リモコン受信器
17 リモコン
18 制御部
19 データベース
20 スピーカ
21 DCジャック
22 接続ケーブル
23 コネクタ端子
40 Hシステム
41 矢印
42 囲い
43 表記部
50 地図
51 実写動画
52、53 位置