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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-01
(45)【発行日】2023-06-09
(54)【発明の名称】自動車用フェンダー及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/18 20060101AFI20230602BHJP
   B62D 65/16 20060101ALI20230602BHJP
   B29D 7/00 20060101ALI20230602BHJP
   B32B 5/26 20060101ALI20230602BHJP
【FI】
B62D25/18 F
B62D65/16 Z
B29D7/00
B32B5/26
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022539455
(86)(22)【出願日】2020-09-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-20
(86)【国際出願番号】 CN2020117330
(87)【国際公開番号】W WO2021063238
(87)【国際公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-03-02
(31)【優先権主張番号】201910944056.5
(32)【優先日】2019-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522082252
【氏名又は名称】無錫吉興汽車部件有限公司
【氏名又は名称原語表記】WUXI GISSING AUTO PARTS CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】322# North Youyi Rd., Xishan Economic Development District Wuxi, Jiangsu 214191 China
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】李 方亮
【審査官】林 政道
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第104175661(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104213360(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0333510(US,A1)
【文献】特開2008-132972(JP,A)
【文献】中国特許第110654465(CN,B)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 25/18
B62D 65/16
B29D 7/00
B32B 5/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下地層(2)と表面層(1)とを含み、前記下地層(2)と前記表面層(1)とがニードルパンチングプロセスによって複合される自動車用フェンダーであって、前記表面層(1)に用いられる材料は、表面層主繊維と表面層接着繊維とを含み、前記下地層(2)に用いられる材料は、下地層主繊維と下地層補助繊維と下地層接着繊維とを含み、前記表面層接着繊維の融点は、前記表面層主繊維の融点より低く、且つ、前記表面層主繊維と前記表面層接着繊維との融点は、前記下地層主繊維の融点より低い、自動車用フェンダー。
【請求項2】
前記表面層(1)は、前記表面層主繊維と前記表面層接着繊維とが混合され、メッシュにされてから、ニードルパンチングによって成型される、請求項1に記載の自動車用フェンダー。
【請求項3】
前記下地層(2)は、前記下地層主繊維と前記下地層補助繊維と前記下地層接着繊維とが混合され、メッシュにされてから、ニードルパンチングによって成型される、請求項1に記載の自動車用フェンダー。
【請求項4】
前記表面層(1)において、重量百分率で、前記表面層主繊維が60%~80%を占め、前記表面層接着繊維が20%~40%を占める、請求項2に記載の自動車用フェンダー。
【請求項5】
前記表面層に(2)において、重量百分率で、前記下地層主繊維が40%~60%を占め、前記下地層補助繊維が20%~30%を占め、前記下地層接着繊維が20%~30%を占める、請求項3に記載の自動車用フェンダー。
【請求項6】
前記自動車用フェンダーの単位面積当たりの重量は、600g/m2~1800g/m2である、請求項1に記載の自動車用フェンダー。
【請求項7】
前記表面層(1)の単位面積当たりの重量は、200g/m2~500g/m2であり、前記下地層(2)の単位面積当たりの重量は、400g/m2~1300g/m2である、請求項6に記載の自動車用フェンダー。
【請求項8】
請求項1に記載の自動車用フェンダーを製造することに用いられ、
前記表面層(1)と前記下地層(2)とを準備することと、
前記表面層(1)と前記下地層(2)との2層の材料を上下に敷いてから、ニードルパンチングプロセスによって2層の材料を1つに束ねることを含む、ニードルパンチング複合を行うことと、
前記表面層主繊維と前記表面層接着繊維とを溶解し、且つ、前記下地層主繊維を溶解しないように、前記表面層(1)と前記下地層(2)とを1つに束ねて得た複合材料を、オーブントンネルによって、加熱することを含む、オーブン加熱を行うことと、
オーブントンネルから出た複合材料を、冷ロールによって、直ちに、厚さを制御するように定型することを含み、冷ロールを通過する前に、前記表面層主繊維と前記表面層接着繊維とが溶融状態である、冷ロール定型を行うことと、
必要に応じて、前記冷ロール定型を行った複合材料を、裁切することを含む、裁切を行うことと、を含む、自動車用フェンダーの製造方法。
【請求項9】
前記裁切の後に、前記裁切を行った複合材料を加熱し、ベーキング温度が250℃~320℃に設定し、50s~70s保持し後、複合材料の表面温度が170℃~180℃である時に、複合材料をモールドに投入してから、型締プレスし、冷却成型すること、をさらに含む、請求項8に記載の自動車用フェンダーの製造方法。
【請求項10】
前記表面層(1)と前記下地層(2)とを準備することは、前記表面層主繊維と前記表面層接着繊維をプリセット比率に従ってほぐし機に投入し、混合してから、カーディングしてメッシュ状材料にし、メッシュ状材料を積層し、ニードルパンチングして、表面層の材料にして用意することと、前記下地層主繊維と前記下地層補助繊維と前記下地層接着繊維とをプリセット比率に従ってほぐし機に投入し、混合してから、カーディングしてメッシュ状材料にし、メッシュ状材料を積層し、ニードルパンチングして、下地層の材料にして用意することと、を含む、請求項8または9に記載の自動車用フェンダーの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、出願日が2019年9月30日で、出願番号が201910944056.5の中国特許出願の優先権を主張し、該出願のすべての内容が引用により本願に援用される。
【0002】
本願は自動車外装部品の技術分野に関し、例えば自動車用フェンダー及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
フェンダーは、自転車タイヤの上方、板金の下方に、取り付けられ、自動車外装部品に属し、タイヤノイズ、雨水、泥水を遮断するために用いることができる。自動車の走行中は、タイヤと路面との摩擦、衝撃によりノイズが発生し、車両の運転体験に深刻な影響を与える。同時に、一部の国では、すでに車両の外装部品規制の要求に、車外ノイズが追加されている。また、車両が氷雪の天候で走行する場合、タイヤに引かれ、氷雪がフェンダーに付着しやすい。氷の層が厚すぎると、走行中にタイヤが上下に揺れフェンダーに衝突し、一方でフェンダーの荷重が大きすぎて、脱落しやすい。さらに自動車の走行中に、砂利等の物体が飛び散り、フェンダーに衝撃を与えると損傷しやすい。
【0004】
現在、関連技術におけるゴム、樹脂材料からなるフェンダーは、ノイズリダクション、耐着氷、耐衝撃の要求を、同時に満たすことができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願は、自動車用フェンダーにあるノイズリダクション、耐着氷、耐衝撃の要求を同時に満たすことができない状況に対処できる自動車用フェンダーを提供する。
【0006】
本願は、自動車用フェンダーの製造方法によって製造された自動車用フェンダーがノイズリダクション、耐着氷、耐衝撃の要求を同時に満たすことができない状況に対処できる自動車用フェンダーの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施例は、下地層と表面層とを含み、前記下地層と前記表面層とがニードルパンチングプロセスによって複合される自動車用フェンダーであって、前記表面層に用いられる材料は、表面層主繊維と表面層接着繊維とを含み、前記下地層に用いられる材料は、下地層主繊維と下地層補助繊維と下地層接着繊維とを含み、前記表面層接着繊維の融点は、前記表面層主繊維の融点より低く、且つ、前記表面層主繊維と前記表面層接着繊維との融点は、前記下地層主繊維の融点より低い、自動車用フェンダーを提供する。
【0008】
一実施例は、上記自動車用フェンダーを製造することに用いられ、
前記表面層と前記下地層とを準備することと、
前記表面層と前記下地層との2層の材料を上下に敷いてから、ニードルパンチングプロセスによって2層の材料を1つに束ねることを含む、ニードルパンチング複合を行うことと、
前記表面層主繊維と前記表面層接着繊維とを溶解し、且つ、前記下地層主繊維を溶解しないように、前記表面層と前記下地層とを1つに束ねて得た複合材料を、オーブントンネルによって、加熱することを含む、オーブン加熱を行うことと、
オーブントンネルから出た複合材料を、冷ロールによって、直ちに、厚さを制御するように定型することを含み、冷ロールを通過する前に、前記表面層主繊維と前記表面層接着繊維とが溶融状態である、冷ロール定型を行うことと、
必要に応じて、前記冷ロール定型を行った複合材料を、裁切することを含む、裁切を行うことと、を含む、自動車用フェンダーの製造方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本願の具体的な実施例1に係る自動車用フェンダーの吸音試験テスト結果図である;
図2】一実施例に係る自動車用フェンダーの構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施例1
図2に示すように、本実施例における自動車用フェンダーは、下地層2と表面層1とを含み、下地層2と表面層1とは、ニードルパンチングプロセスによって複合される。表面層1に用いられる材料は、ポリプロピレン(Polypropylene、PP)繊維と、低融点ポリエチレンテレフタラート(Polyethylene terephthalate、PET)繊維とが、7:3の比率に従って混合されてから、ニードルパンチングプロセスによって成型され、表面層の材料には、PP繊維が表面層主繊維とされ、低融点PET繊維が表面層接着繊維とされ、且つ、表面層の材料の単位面積当たりの重量は、250g/m2である。下地層2に用いられる材料は、PET繊維と低融点PET繊維とPP繊維とが、5:3:2の比率に従って混合されてから、ニードルパンチングプロセスによって成型され、下地層の材料には、PET繊維が下地層主繊維とされ、低融点PET繊維が下地層接着繊維とされ、PP繊維が下地層補助繊維とされ、且つ、下地層の材料の単位面積当たりの重量は、850g/m2である。そのうち、表面層主繊維と表面層接着繊維と下地層接着繊維とが溶融する時、下地層主繊維が溶融しないように、表面層接着繊維の融点は、表面層主繊維の融点より低く、且つ、表面層主繊維と表面層接着繊維との融点は、下地層主繊維の融点より低い。
【0011】
上記自動車用フェンダーを製造することに用いられる自動車用フェンダーの製造方法であって、以下のステップを含む。
【0012】
ステップ1、表面層1と下地層2とを準備する。PP繊維と低融点PET繊維が、7:3の比率に従って、ほぐし機に投入され、混合されてから、カーディングされてメッシュ状材料にされ、嵩高なメッシュ状材料が積層され、ニードルパンチングされて、表面層の材料にして用意し、表面層の材料の単位面積当たりの重量は、250g/m2である。PET繊維と低融点PET繊維とPP繊維とが、5:3:2の比率に従って、ほぐし機に投入され、混合されてから、カーディングされてメッシュ状材料にされ、嵩高なメッシュ状材料が積層され、ニードルパンチングされて、下地層の材料にして用意し、下地層の材料の単位面積当たりの重量は、850g/m2である。表面層1と下地層2との準備は、対応する設備によって、単独で又は同時に、準備する。単独で準備する場合、前後の順序はない。
【0013】
ステップ2、ニードルパンチング複合を行う。ステップ1で得た表面層1と下地層2との2層の材料を上下に敷いてから、ニードルパンチングプロセスによって2層の材料が1つに束ねられる。
【0014】
ステップ3、オーブン加熱を行う。ステップ2で得た複合材料を、オーブントンネルによって、加熱する。加熱する時、表面層主繊維と表面層接着繊維とが溶解され、且つ、下地層主繊維が溶解されないように保証する必要があり、表面温度は、180℃に制御される。
【0015】
ステップ4、冷ロール定型を行う。オーブントンネルから出た複合材料を、隙間が5mmである冷ロールによって、直ちに、定型する。このステップでは、冷ロールを通過する前に、表面層主繊維と表面層接着繊維とが溶融状態であることが必要である。
【0016】
ステップ5、裁切を行う。冷ロール定型を行った複合材料の外観を検査し、表面損傷と、色差と、汚れと、変形とがないことを確認し、必要に応じて、冷ロール定型を行った複合材料を、裁切し、積み重ねる。
【0017】
ステップ6、プレス成型を行う。上記ステップ5を行った複合材料を加熱し、ベーキング温度を285℃にし、60s保持し後、複合材料の表面温度が180℃である時に、複合材料をモールドに投入してから、型締プレスし、冷却成型し、上型と下型の平均隙間は4mmである。
【0018】
本実施例の吸音試験のテスト結果は以下のとおりである。
【0019】
サイズが1m×1.2mの実施例1のサンプルを、Alpha Cabinに入れ、テストを行い、環境温度が摂氏22.3度であり、相対湿度が64%である。第1のテスト方法では、表面層1が上向きにされ、下地層2が下向きにされ、下地層2と地面の間に厚さ10mmの空気層が残される。第2のテスト方法では、下地層2が上向きにされ、表面層1が下向きにされ、表面層1と地面の間に厚さ10mmの空気層が残され、テスト結果は図1に示すとおりである。
【0020】
耐着氷性テストの結果は以下のとおりである。
【0021】
サイズが200mm×200mmの実施例1のサンプルを、環境ボックス-15℃の条件下で、1h置いてから、サンプル上でΦ50mmサイズの領域を選択し、温度5℃の水10mlをΦ50mmの範囲に垂らし、30min待って凍結を確認した後、再び水10mlを追加し、完全に凍結するまで、120min待つ。最大剥離力を測定するために、張力計で氷を垂直に上向きに引っ張る。テスト結果は、4.1Nであった。
【0022】
耐衝撃性テストの結果は以下である。
【0023】
サイズが200mm×200mmの実施例1のサンプルは、クランプを使用して固定されてから、地面に対して45°の角度を成すように、角度を調整する。その後、100kgのM6ナットを使用して、サンプルの中央のΦ30mmの領域に衝撃を与え、衝撃後の外観状態を観察する。テストの結果は、表面層1は損傷がなく、明らかな変形がなかった。
【0024】
実施例2
本実施例における自動車用フェンダーは、下地層2と表面層1とを含み、下地層2と表面層1とは、ニードルパンチングプロセスによって複合される。表面層1に用いられる材料は、PP繊維と低融点PET繊維とが、8:2の比率に従って混合されてから、ニードルパンチングプロセスによって成型され、表面層の材料には、PP繊維が表面層主繊維とされ、低融点PET繊維が表面層接着繊維とされ、且つ、表面層の材料の単位面積当たりの重量は、200g/m2である。下地層2に用いられる材料は、PET繊維と低融点PET繊維とPP繊維とが、4:3:3の比率に従って混合されてから、ニードルパンチングプロセスによって成型され、下地層の材料には、PET繊維が下地層主繊維とされ、低融点PET繊維が下地層接着繊維とされ、PP繊維を下地層補助繊維とされ、且つ、下地層の材料の単位面積当たりの重量は、400g/m2である。そのうち、表面層主繊維と表面層接着繊維と下地層接着繊維とが溶融する時、下地層主繊維が溶融しないように、表面層接着繊維の融点は、表面層主繊維の融点より低く、且つ、表面層主繊維と表面層接着繊維との融点は、下地層主繊維の融点より低い。
【0025】
上記自動車用フェンダーを製造することに用いられる自動車用フェンダーの製造方法であって、以下のステップを含む。
【0026】
ステップ1、表面層1と下地層2とを準備する。PP繊維と低融点PET繊維が、8:2の比率に従って、ほぐし機に投入され、混合されてから、カーディングされてメッシュ状材料にされ、嵩高なメッシュ状材料が積層され、ニードルパンチングされて、表面層の材料にして用意し、表面層の材料の単位面積当たりの重量は、200g/m2である。PET繊維と、低融点PET繊維と、PP繊維とが、4:3:3の比率に従って、ほぐし機に投入され、混合されてから、カーディングされてメッシュ状材料にされ、嵩高なメッシュ状材料が積層され、ニードルパンチングされて、下地層の材料にして用意し、下地層の材料の単位面積当たりの重量は、400g/m2である。表面層1と下地層2との準備は、対応する設備によって、単独で又は同時に、準備する。単独で準備する場合、前後の順序はない。
【0027】
ステップ2、ニードルパンチング複合を行う。ステップ1で得た表面層1と下地層2との2層の材料を上下に敷いてから、ニードルパンチングプロセスによって2層の材料が1つに束ねられる。
【0028】
ステップ3、オーブン加熱を行う。ステップ2で得た複合材料を、オーブントンネルによって、加熱する。加熱する時、表面層主繊維と表面層接着繊維とが溶解され、且つ、下地層主繊維が溶解されないように保証する必要があり、表面温度は、170℃に制御される。
【0029】
ステップ4、冷ロール定型を行う。オーブンから出た複合材料を、隙間が4mmである冷ロールによって、直ちに、定型する。このステップでは、冷ロールを通過する前に、表面層主繊維と表面層接着繊維とが溶融状態であることが必要である。
【0030】
ステップ5、裁切を行う。冷ロール定型を行った複合材料の外観を検査し、表面損傷と、色差と、汚れと、変形とがないことを確認し、必要に応じて、冷ロール定型を行った複合材料を、裁切し、積み重ねる。
【0031】
ステップ6、プレス成型を行う。上記ステップ5を行った複合材料を加熱し、ベーキング温度を300℃にし、50s保持した後、複合材料の表面温度が170℃である時に、複合材料をモールドに投入し、型締プレスし、冷却成型し、上型と下型の隙間は3mmである。
【0032】
実施例3
本実施例における自動車用フェンダーは、下地層2と表面層1とを含み、下地層2と表面層1とは、ニードルパンチングプロセスによって複合される。表面層1に用いられる材料は、PP繊維と、低融点PET繊維とが、6:4の比率に従って混合されてから、ニードルパンチングプロセスによって成型され、表面層の材料には、PP繊維が表面層主繊維とされ、低融点PET繊維が表面層接着繊維とされ、且つ、表面層の材料の単位面積当たりの重量は、500g/m2である。下地層2に用いられる材料は、PET繊維と低融点PET繊維とPP繊維とが、6:2:2の比率に従って混合されてから、ニードルパンチングプロセスによって成型され、下地層の材料には、PET繊維が下地層主繊維とされ、低融点PET繊維が下地層接着繊維とされ、PP繊維を下地層補助繊維とされ、且つ、下地層の材料の単位面積当たりの重量は、1300g/m2である。そのうち、表面層主繊維と表面層接着繊維と下地層接着繊維とが溶融する時、下地層主繊維が溶融しないように、表面層接着繊維の融点は、表面層主繊維の融点より低く、且つ、表面層主繊維と表面層接着繊維との融点は、下地層主繊維の融点より低い。
【0033】
上記自動車用フェンダーを製造することに用いられる自動車用フェンダーの製造方法であって、以下のステップを含む。
【0034】
ステップ1、表面層1と下地層2とを準備する。PP繊維と低融点PET繊維が、6:4の比率に従って、ほぐし機に投入され、混合されてから、カーディングされてメッシュ状材料にされ、嵩高なメッシュ状材料が積層され、ニードルパンチングされて、表面層の材料にして用意し、表面層の材料の単位面積当たりの重量は、500g/m2である。PET繊維と、低融点PET繊維と、PP繊維とが、6:2:2の比率に従って、ほぐし機に投入され、混合されてから、カーディングされてメッシュ状材料にされ、嵩高なメッシュ状材料が積層され、ニードルパンチングされて、下地層の材料にして用意し、下地層の材料の単位面積当たりの重量は、1300g/m2である。表面層1と下地層2との準備は、対応する設備によって、単独で又は同時に、準備する。単独で準備する場合、前後の順序はない。
【0035】
ステップ2、ニードルパンチング複合を行う。ステップ1で得た表面層1と下地層2との2層の材料を上下に敷いてから、ニードルパンチングプロセスによって2層の材料が1つに束ねられる。
【0036】
ステップ3、オーブン加熱を行う。ステップ2で得た複合材料を、オーブントンネルによって、加熱する。加熱する時、表面層主繊維と表面層接着繊維とが溶解され、且つ、下地層主繊維が溶解されないように保証する必要があり、表面温度は、180℃に制御される。
【0037】
ステップ4、冷ロール定型を行う。オーブンから出た複合材料を、隙間が7mmである冷ロールによって、直ちに、定型する。このステップでは、冷ロールを通過する前に、表面層主繊維と表面層接着繊維とが溶融状態であることが必要である。
【0038】
ステップ5、裁切を行う。冷ロール定型を行った複合材料の外観を検査し、表面損傷と、色差と、汚れと、変形とがないことを確認し、必要に応じて、冷ロール定型を行った複合材料を、裁切し、積み重ねる。
【0039】
ステップ6、プレス成型を行う。上記ステップ5を行った複合材料を加熱し、ベーキング温度を320℃にし、70s保持した後、複合材料の表面温度が180℃である時に、複合材料をモールドに投入し、型締プレスし、冷却成型し、上型と下型の隙間は6mmである。
【0040】
本願の有益な効果は以下のとおりである。
【0041】
1)表面層1と下地層2とがいずれも繊維類の材料を使用し、形成したメッシュ状構造は、より効果的に、音を取り込んで吸収することができるので、吸音性能がよい。
【0042】
2)表面層1と下地層2とは、ニードルパンチングを採用して成型し、繊維が絡み合うことで、その後の使用において層間剥離される可能性を回避する。
【0043】
3)成型する時、表面層1の加熱温度を制御するによって、繊維を溶解し、冷ロール定型によって、プラスチックに類似する滑らかな表面を形成できる。この方法によって、製品表面への泥水の付着力を効果的に低減することができ、耐着氷性に優れている。同時に、表面層の繊維は、溶融した後、硬度が増加し、砂利などの衝撃を受けた時、効果的に製品の外観を保証できる。下地層2の嵩高な構造のエネルギー吸収効果と組み合わせると、製品の耐衝撃性が優れている。
図1
図2