(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-01
(45)【発行日】2023-06-09
(54)【発明の名称】計量装置
(51)【国際特許分類】
G01G 23/01 20060101AFI20230602BHJP
G01G 3/14 20060101ALI20230602BHJP
G01G 19/02 20060101ALI20230602BHJP
【FI】
G01G23/01 C
G01G3/14
G01G19/02 B
(21)【出願番号】P 2018082202
(22)【出願日】2018-04-23
【審査請求日】2021-02-05
【審判番号】
【審判請求日】2022-05-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000208444
【氏名又は名称】大和製衡株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【氏名又は名称】松田 朋浩
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【氏名又は名称】西木 信夫
(72)【発明者】
【氏名】奥ノ園 明成
(72)【発明者】
【氏名】松本 一哉
(72)【発明者】
【氏名】上野 愛
【合議体】
【審判長】岡田 吉美
【審判官】波多江 進
【審判官】濱野 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開平1-232221(JP,A)
【文献】特開2016-109640(JP,A)
【文献】米国特許第4592435(US,A)
【文献】特開平1-232221(JP,A)
【文献】特開2016-109640(JP,A)
【文献】米国特許第4592435(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G 19/02 - 19/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎面上に設備される計量装置であって、
矩形平板状を呈し、上面に荷重が印加される計量台と、
上記計量台の短手方向に延び、上記計量台を支持する第1部材と、
上記基礎面と上記第1部材との間に配置され、上記第1部材を支持するロードセルと、
上記第1部材と上記計量台との間に介在され、上記短手方向に延びる第2部材と、を備え
、
上記第2部材の上記計量台の中央側端縁と、上記ロードセルの中心軸との距離は、
上記第1部材の上記計量台の中央側端縁と、上記中心軸との距離よりも小さい、計量装置。
【請求項2】
基礎面上に設備される計量装置であって、
矩形平板状を呈し、上面に荷重が印加される計量台と、
上記計量台の短手方向に延び、上記計量台を支持する第1部材と、
上記基礎面と上記第1部材との間に配置され、上記第1部材を支持するロードセルと、
上記第1部材と上記計量台との間に介在され、上記短手方向に延びる第2部材と、を備え、
上記計量台に荷重が印加されたときの上記計量台と上記第2部材とが接触する部位と、上記ロードセルの中心軸との距離は、
上記第1部材の上記計量台の中央側端縁と、上記中心軸との距離よりも小さい、計量装置。
【請求項3】
上記第2部材の幅は、上記第1部材の幅よりも小さい
請求項1又は2に記載の計量装置。
【請求項4】
上記第2部材の上面が曲面である
請求項1から3のいずれかに記載の計量装置。
【請求項5】
上記第2部材は、上記第1部材の上面において上記計量台の長手方向の中央に配置される
請求項1から4のいずれかに記載の計量装置。
【請求項6】
上記第2部材は、上面視で上記中心軸と重なる状態で配置される
請求項1から5のいずれかに記載の計量装置。
【請求項7】
上記計量台は、上記第2部材と当接する第3部材を備え、
上記第3部材の下面は、上記計量台の下面よりも上方に位置する
請求項1から6のいずれかに記載の計量装置。
【請求項8】
上記計量台は、第3部材を備え、
上記第3部材の下面に上記第2部材が取り付けられ、
上記第2部材の下面は、上記計量台の下面よりも上方に位置する
請求項1から6のいずれかに記載の計量装置。
【請求項9】
上記計量台は、上記第1部材と当接する第3部材を備え、
上記第3部材の下面は、上記計量台の下面よりも上方に位置する
請求項1に記載の計量装置。
【請求項10】
上記第1部材と上記ロードセルとの間に、当該ロードセルと当接する第4部材が更に介在され、
上記第4部材の下面は、上記第1部材の下面よりも上方に位置する
請求項1から9のいずれかに記載の計量装置。
【請求項11】
上記第1部材と上記ロードセルとの間に、
当該ロードセルと当接する第4部材と、
上記第4部材の上下方向の位置を調節可能な状態で上記第4部材を支持する支持機構とが更に介在され、
上記支持機構は、上記第1部材及び上記第4部材の一方に設けられた雌ネジと、上記第1部材及び上記第4部材の他方に設けられ上記雌ネジと螺合する雄ネジにより構成される
請求項1から9のいずれかに記載の計量装置。
【請求項12】
上記計量台と上記第1部材とを相対移動可能な状態で結合する結合機構を更に備える
請求項1から11のいずれかに記載の計量装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計量装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両の重量を測定する計量装置が知られている。特許文献1に記載されたトラックスケールは、矩形平板状の計量台を備える。計量台は、当該計量台の四隅の近傍に設けられた4つのロードセルによって支持される。ロードセルは、基礎面の上に設置されている。ロードセルの上下の端部は、球面状に形成されている。そして、ロードセルの上方の端部は、計量台の受け金具の下面に可動的に接触し、ロードセルの下方の端部は、基礎面の受け金具の上面に可動的に接触する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
計量台の上面に車両が載置されると、その車両の重量に応じた大きさの撓みが計量台に生じる。この撓みによって、計量台の受け金具の下面は傾斜し、これに伴いロードセル自体も傾斜する。そうすると、ロードセルの出力信号に、ロードセルの傾斜に起因する誤差が現れる。そこで、従来のトラックスケールでは、計量台の長手方向に延びる部材(主桁)の強度を高めて、計量台に発生する撓みを小さくしている。そして、ロードセルが受ける影響ができるだけ小さくなるように、計量台の受け金具は、強度の高い主桁に設けられる。すなわち、ロードセルは、強度が高い主桁に当接して、計量台を支持するのが一般的であった。特許文献1のトラックスケールにおいても、上側金具が、計量台の長手方向に延びる支持梁に取り付けられている。ロードセルは、上側金具を介して支持梁と当接して、計量台を支持する。
【0005】
しかしながら、主桁の強度を高めるために部材の厚さや寸法を大きくすると、コストが嵩む上に、計量台の重量が増加して計量精度に悪影響が生じる虞がある。また、主桁の撓みを抑制するには、主桁の上下方向の寸法を大きくすることが効果的であるが、トラックスケールの全体の高さが増加するため好ましくない。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、計量台の撓みに起因する計量精度の悪化を抑制した計量装置を実現する手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 本発明に係る計量装置は、基礎面上に設備される計量装置であって、矩形平板状を呈し、上面に荷重が印加される計量台と、上記計量台の短手方向に延び、上記計量台を支持する第1部材と、上記基礎面と上記第1部材との間に配置され、上記第1部材を支持するロードセルと、を備える。
【0008】
上記構成によれば、ロードセルと当接する第1部材は、計量台の短手方向に延びる部材であるから、計量台の長手方向に延びる部材よりも撓みにくい。また、第1部材と計量台とが別の部材、すなわち分割構造となっている。これにより、計量台に荷重が印加されて計量台が撓んだ場合でも、ロードセルが計量台の長手方向に延びる部材と当接して計量台を支持する場合に比べて、ロードセルの傾斜が抑制される。従って、計量台の撓みに起因する計量精度の悪化を抑制することができる。
【0009】
(2) 好ましくは、上記計量装置は、上記第1部材と上記計量台との間に介在され、上記短手方向に延びる第2部材を更に備える。上記第2部材の上記計量台の中央側端縁と、上記ロードセルの中心軸との距離は、上記第1部材の上記計量台の中央側端縁と、上記中心軸との距離よりも小さい。
【0010】
計量台に荷重が印加されて計量台が撓んだとき、計量台の下面は、計量台の端部から中央に進むにつれて下方に傾斜する。そうすると、計量台は、第2部材の計量台の中央側端縁において、第2部材と当接する。従って、計量台から第2部材に作用する力の作用点は、第2部材の中央側端縁となる。一方、第1部材が第2部材を備えない場合には、計量台は、第1部材の計量台の中央側端縁において、第1部材と当接する。従って、計量台から第1部材に作用する力の作用点は、第1部材の中央側端縁となる。ここで、力の作用点がロードセルの中心軸から遠いほど、力のモーメントが大きくなり、ロードセルの出力に現れる誤差が大きくなる。上記構成によれば、第2部材の中央側端縁とロードセルの中心軸との距離は、第1部材の中央側端縁と中心軸との距離よりも小さい。その結果、第1部材が第2部材を備えない場合に比べて、第1部材が第2部材を備える場合には、生じる力のモーメントが小さくなる。従って、計量台の撓みに起因する計量精度の悪化を更に抑制することができる。
【0011】
(3) 好ましくは、上記計量装置は、上記第1部材と上記計量台との間に介在され、上記短手方向に延びる第2部材を更に備える。上記計量台に荷重が印加されたときの上記計量台と上記第2部材とが接触する部位と、上記ロードセルの中心軸との距離は、上記第1部材の上記計量台の中央側端縁と、上記中心軸との距離よりも小さい。
【0012】
計量台に荷重が印加されて計量台が撓んだとき、計量台の下面は、計量台の端部から中央に進むにつれて下方に傾斜する。第1部材が第2部材を備えない場合には、計量台は、第1部材の計量台の中央側端縁において、第1部材と当接する。従って、計量台から第1部材に作用する力の作用点は、第1部材の中央側端縁となる。ここで、力の作用点がロードセルの中心軸から遠いほど、力のモーメントが大きくなり、ロードセルの出力に現れる誤差が大きくなる。上記構成によれば、計量台に荷重が印加されたときの計量台と第2部材とが接触する部位と、ロードセルの中心軸との距離は、上記第1部材の上記計量台の中央側端縁と、上記中心軸との距離よりも小さい。その結果、第1部材が第2部材を備えない場合に比べて、第1部材が第2部材を備える場合には、生じる力のモーメントが小さくなる。従って、計量台の撓みに起因する計量精度の悪化を更に抑制することができる。
【0013】
(4) 好ましくは、上記第2部材の幅は、上記第1部材の幅よりも小さい。
【0014】
(5) 好ましくは、上記第2部材の上面が曲面である。
【0015】
上記構成によれば、計量台と当接する第2部材の上面が曲面である。そのため、計量台に荷重が印加されて計量台が撓んだときに、計量台と第2部材との接点が当該曲面に沿って連続的に移動する。これにより、第1部材に支持された計量台が不安定になることを抑制することができる。
【0016】
(6) 好ましくは、上記第2部材は、上記第1部材の上面において上記計量台の長手方向の中央に配置される。
【0017】
(7) 好ましくは、上記第2部材は、上面視で上記中心軸と重なる状態で配置される。
【0018】
(8) 好ましくは、上記計量台は、上記第2部材と当接する第3部材を備える。上記第3部材の下面は、上記計量台の下面よりも上方に位置する。
【0019】
上記構成によれば、計量台は、計量台の下面より上方に位置する第3部材の下面において、第2部材と当接する。従って、計量台の下面において第2部材と当接する場合に比べて、計量装置の全高を低くすることができる。
【0020】
(9) 好ましくは、上記計量台は、第3部材を備え、上記第3部材の下面に上記第2部材が取り付けられ、上記第2部材の下面は、上記計量台の下面よりも上方に位置する。
【0021】
上記構成によれば、第1部材と計量台との間に介在される第2部材が、第3部材の下面に取り付けられる。そして、第2部材の下面は、計量台の下面よりも上方に位置する。従って、計量台の下面において計量台と第1部材とが当接する場合に比べて、計量装置の全高を低くすることができる。
【0022】
(10) 好ましくは、上記計量台は、上記第1部材と当接する第3部材を備え、上記第3部材の下面は、上記計量台の下面よりも上方に位置する。
【0023】
上記構成によれば、計量台は、計量台の下面より上方に位置する第3部材の下面において、第1部材と当接する。従って、計量台の下面において第1部材と当接する場合に比べて、計量装置の全高を低くすることができる。
【0024】
(11) 好ましくは、上記第1部材と上記ロードセルとの間に、当該ロードセルと当接する第4部材が更に介在される。上記第4部材の下面は、上記第1部材の下面よりも上方に位置する。
【0025】
上記構成によれば、第1部材は、第1部材の下面よりも上方に位置する第4部材の下面においてロードセルと当接する。従って、第1部材の下面においてロードセルと当接する場合に比べて、計量装置の全高を低くすることができる。
【0026】
(12) 好ましくは、上記第1部材と上記ロードセルとの間に、当該ロードセルと当接する第4部材と、上記第4部材の上下方向の位置を調節可能な状態で上記第4部材を支持する支持機構とが更に介在される。上記支持機構は、上記第1部材及び上記第4部材の一方に設けられた雌ネジと、上記第1部材及び上記第4部材の他方に設けられ上記雌ネジと螺合する雄ネジにより構成される。
【0027】
上記構成によれば、第4部材の上下方向の位置を、雌ネジと雄ネジにより構成される支持機構により調節可能であるから、計量台の水平調整を容易に行うことができる。
【0028】
(13) 好ましくは、上記計量装置は、上記計量台と上記第1部材とを相対移動可能な状態で結合する結合機構を更に備える。
【0029】
上記構成によれば、計量台と第1部材とを相対移動可能な状態で結合する結合機構を備えるので、計量台を第1部材に対して固定する場合に比べて計量精度の悪化を抑制しつつ、計量台と第1部材とを一体化して、メンテナンス性を高めることができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、計量台の撓みに起因する計量精度の悪化を抑制した計量装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図7】撓み影響防止板70を備えるトラックスケール100において、計量台10に撓みが生じた状態を示す図である。
【
図8】撓み影響防止板70を備えないトラックスケール100において、計量台10に撓みが生じた状態を示す図である。
【
図11】変形例に係る撓み影響防止板70を備えるトラックスケール100において、計量台10に撓みが生じた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の好ましい実施形態が、適宜図面が参照されつつ説明される。なお、本実施形態は、本発明の一態様にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で実施態様が変更されてもよいことは言うまでもない。
【0033】
[概略構成と特徴点]
【0034】
本実施形態では、
図1に示されるトラックスケール100が説明される。トラックスケール100は、基礎面1上に設備される。トラックスケール100は、計量台10と、一対の支持部30と、4つのロードセル50と、を備える。計量台10は、矩形平板状を呈し、上面11に荷重が印加される。支持部30は、左右方向9に延び、計量台10に下方から当接して計量台10を支持する。ロードセル50は、基礎面1と支持部30との間に配置され、支持部30に下方から当接して支持部30を支持する。本実施形態の特徴とするところは、トラックスケール100が支持部30を備えている点と、支持部30と計量台10との間に介在される撓み影響防止板70を備えている点である。トラックスケール100は、特許請求の範囲に記載された計量装置の一例である。支持部30は、特許請求の範囲に記載された第1部材の一例である。撓み影響防止板70は、特許請求の範囲に記載された第2部材の一例である。
【0035】
以下の説明では、
図1における左右方向がトラックスケール100の前後方向8であり、
図1における上下方向がトラックスケール100の上下方向7である。トラックスケール100の左右方向9(
図2参照)は、トラックスケール100を前方から視たときの左右方向である。
【0036】
[計量台10]
図1に示されるように、計量台10は、その上面11が水平面となる姿勢で配置される。計量台10の上面11に、被計量物としての車両(図示なし)が載置される。計量台10は、上面視で長方形である。計量台10は、長手方向が前後方向8と一致し、短手方向が左右方向9と一致する姿勢で配置される。計量台10の長手方向の寸法(長さ)は、計量台10の短手方向の寸法(幅)よりも大きい。例えば、計量台10の長さは約8mであり、幅は約3mである。前後方向8は、計量台の長手方向の一例である。左右方向9は、計量台の短手方向の一例である。
【0037】
図1~
図3に示されるように、計量台10は、8本の主桁12と、6本の横桁13と、床盤14と、一対の側板15と、一対の上板16と、4つの補強板17とを備える。
【0038】
図3に示されるように、主桁12は、例えばH形綱(又はI形綱)である。
図2及び
図3に示されるように、8本の主桁12は、フランジ部が上下に配置される姿勢にて、且つ、前後方向8に沿って伸びる姿勢にて、互いに平行に配置される。
【0039】
図1に示されるように、横桁13は、例えば上面視で長方形の板である。
図1及び
図2に示されるように、横桁13は、左右方向9に沿って伸びる姿勢にて、互いに平行に配置される。
図2に示されるように、1本の横桁13は、4本の主桁12の下側フランジの下方に配置されており、4本の主桁12と接合されている。そして、右方の4本の主桁12、及び左方の4本の主桁12が、それぞれ、3本の横桁13により互いに接合されている。
【0040】
主桁12の上に、床盤14が載置される。床盤14は、上面視で長方形の板である。床盤14の上面が、計量台10の上面11である。主桁12の下面、すなわち、主桁12の下方のフランジ部の下面が、計量台10の下面18である。
【0041】
図1、
図2、及び
図4に示される一対の側板15は、長方形の板状の部材であって、その長手方向が左右方向9に一致し、その短手方向が上下方向7に一致する姿勢にて配置される。
図4に示される前方の側板15は、主桁12の前方の端部に接合されている。後方の側板15は、主桁12の後方の端部に接合されている。側板15の上面は、床盤14の上面と面一となっている。
【0042】
図1、
図2、及び
図4に示される一対の上板16は、長方形の板状の部材であって、その長手方向が左右方向9に一致し、その短手方向が前後方向8に一致する姿勢にて配置される。
図4に示される前方の上板16は、前方の側板15の前方の面に接合されている。後方の上板16は、後方の側板15の後方の面に接合されている。上板16の上面は、側板15の上面及び床盤14の上面と面一となっている。
図4に示されるように、上板16の下面19は、計量台10の下面18よりも上方に位置する。上板16には、後述する結合機構6のボルト81が挿入される貫通孔20が形成されている。上板16は、第3部材の一例である。
【0043】
図2~
図4に示される4つの補強板17は、概ね三角形の板状の部材であって、その一辺が上板16の下面に接合され、他の一辺が側板15の側面に接合される。
図2に示されるように、2つの補強板17が、前方の上板16の左右方向9の両端に配置され、上板16の下面と側板15の前面とに接合される。2つの補強板17が、後方の上板16の左右方向9の両端に配置され、上板16の下面と側板15の後面とに接合される。
【0044】
[支持部30]
図1~
図3に示されるように、支持部30は、概ね角柱状の部材であって、左右方向9に延びる姿勢にて、計量台10の前方の端部と後方の端部とに配置される。支持部30の上に、計量台10が載置される。
【0045】
図2~
図6に示されるように、支持部30は、主部材31と、一対の側板32と、一対の上板33と、4つの補強板34と、4つの受け金具45とを備える。そして、支持部30の上面40に、撓み影響防止板70が配置される。受け金具45は、第4部材の一例である。
【0046】
図4に示されるように、主部材31は、例えばH形綱(又はI形綱)である。
図3及び
図4に示されるように、主部材31は、フランジ部が上下に配置される姿勢にて、且つ左右方向9に沿って延びる姿勢にて配置される。
【0047】
図3及び
図4に示される一対の側板32は、概ね正方形の板状の部材であって、その一辺が上下方向7に一致し、他の一辺が前後方向8に一致する姿勢にて配置される。
図3に示されるように、右方の側板32は、主部材31の右方の端部に接合されている。左方の側板32は、主部材31の左方の端部に結合されている。側板32の上面は、主部材31の上面と面一となっている。
【0048】
図3及び
図4に示される一対の上板33は、概ね正方形の板状の部材であって、その一辺が前後方向8に一致し、他の一辺が左右方向9に一致する姿勢にて配置される。
図3に示されるように、右方の上板33は、右方の側板32の右方の面に接合されている。左方の上板33は、左方の側板32の左方の面に接合されている。上板33の上面は、側板32の上面及び主部材31の上面と面一となっている。
【0049】
図3、
図4及び
図6に示される補強板34は、板状の部材であって、その一辺が上板33の下面に接合され、他の一辺が側板32の側面に接合される。
図3に示されるように、2つの補強板34が、前方の支持部30の左右方向9の両端に配置され、上板33の下面と側板32の側面とに接合される。2つの補強板34が、後方の支持部30の左右方向9の両端に配置され、上板33の下面と側板32の側面とに接合される。
【0050】
図3、
図4に示される受け金具45は、概ね円柱状の部材であって、その中心軸が上下方向7に一致する姿勢にて、上板33の下面に配置されている。受け金具45は、後述する支持機構5を介して、上板33に取り付けられている。4つの受け金具45は、前方の支持部30の一対の上板33と、後方の支持部30の一対の上板33とに、それぞれ取り付けられている。受け金具45の下面47が、ロードセル50の上面と当接する。受け金具45の下面47は、支持部30の下面よりも上方に位置する。
【0051】
[ロードセル50]
本実施形態では、ロードセル50は、
図4に示される円筒形状の筐体の内部に、上下方向7の両端が凸面状且つ球面状に形成された起歪体(図示なし)を有する、ダブルコンベックス型のロードセルである。ロードセル50は、
図4に示されるように、支持部30の受け金具45と、基礎面1に固定された受け金具60との間に、ロードセル50の上面(起歪体の上方の端面)と受け金具45の下面47とが当接し、且つ、ロードセル50の下面(起歪体の下方の端面)と受け金具60の上面とが当接した状態で、配置される。本実施形態では、起歪体の上下方向7の両端の、球面形状の中心を通る直線を、ロードセル50の中心軸51とする。
【0052】
受け金具45の下面47、及び、受け金具60の上面は、共に平坦な面である。受け金具45は、その下面が水平面となるように、配置される。受け金具60は、その上面が水平面となるように、配置される。そして、ロードセル50の上下の端面は、受け金具45の下面47、及び受け金具60の上面に、可動的に接触する。
【0053】
4つのロードセル50は、前方の支持部30の左右方向9の両端に配置された受け金具45、及び、後方の支持部30の左右方向9の両端に配置された受け金具の下方に配置される。すなわち、4つのロードセル50は、計量台10の前方の上板16の左右方向9の両端、及び、後方の上板16の左右方向9の両端の下方に配置される。4つのロードセル50の下方には、4つの受け金具60が、基礎面1に固定された状態で配置される。
【0054】
ロードセル50の起歪体には、起歪体に印加される荷重に応じた歪みが発生する。ロードセル50は、起歪体に発生する歪みに応じた荷重信号を出力する。そのために、起歪体には、複数の歪みゲージが貼着されている。そして、この歪みゲージは、図示しない荷重検出回路(例えば、ホイートストンブリッジ回路)を構成している。当該回路が、荷重信号を出力する。出力された荷重信号は、図示しないデータプロセッサに入力される。当該データプロセッサは、4つのロードセル50から受信した荷重信号に基づいて、被計量物の重量を算出する。
【0055】
[撓み影響防止板70]
図4~
図6に示される撓み影響防止板70は、長方形の平板状の部材であって、その長手方向が左右方向9に一致し、その短手方向が前後方向8に一致する姿勢にて、支持部30の上面40に配置されている。支持部30の上に計量台10が載置されたとき、撓み影響防止板70は、前方の支持部30の上面40と、後方の支持部30の上面40とに配置されている。換言すると、撓み影響防止板70は、支持部30の主部材31、側板32、及び上板33の上面に接合されている。撓み影響防止板70は、支持部30と計量台10との間に介在される。
【0056】
図4及び
図6に示されるように、撓み影響防止板70の幅(前後方向8の寸法)は、支持部30の幅(前後方向8の寸法)よりも小さい。そして、撓み影響防止板70は、支持部30の前後方向8の中央に配置される。
図6に示されるように、撓み影響防止板70は、上面視で、ロードセル50の中心軸51と重なる状態で配置される。
【0057】
図4を参照して、前方の支持部30の上面40に配置され、計量台10の中央よりも前方に位置する撓み影響防止板70について、以下説明する。撓み影響防止板70の後方の端縁71と、ロードセル50の中心軸51との距離をD1とする。支持部30の後方の端縁35と、ロードセル50の中心軸51との距離をD2とする。本実施形態では、距離D1は、距離D2よりも小さい。端縁71は、第2部材の計量台の中央側端縁の一例である。端縁35は、第1部材の計量台の中央側端縁の一例である。
【0058】
計量台10に被計量物が載置され、計量台10に撓みが生じた状態が、
図7に示されている。計量台10が撓んだことにより、計量台10の上板16が傾斜する。これにより、計量台10の上板16と、撓み影響防止板70とは、撓み影響防止板70の端縁71にて接触することになる。そうすると、計量台10から撓み影響防止板70を介して支持部30へ作用する力F1の作用点は、端縁71となる。力F1の作用点である端縁71と、ロードセル50の中心軸51との距離は、D1である。従って、力F1により生じるモーメントの大きさは、F1×D1となる。端縁71は、計量台に荷重が印加されたときの計量台と第2部材とが接触する部位の一例である。
【0059】
ここで、トラックスケール100が撓み影響防止板70を備えない場合について検討する。この場合の、計量台10に被計量物が載置され、計量台10に撓みが生じた状態が、
図8に示されている。計量台10の上板16が傾斜したことにより、計量台10の上板16と、支持部30とは、支持部30の端縁35にて接触することになる。そうすると、計量台10から支持部30へ作用する力F2の作用点は、端縁35となる。力F2の作用点である端縁35と、ロードセル50の中心軸51との距離は、D2である。従って、力F2により生じるモーメントの大きさは、F2×D2となる。本実施形態では、距離D1は距離D2よりも小さい。従って、力F1と力F2とが同程度の大きさであれば、撓み影響防止板70を備えない場合(
図8)に比べて、撓み影響防止板70を備える場合(
図7)の方が、生じるモーメントが小さくなる。
【0060】
以上、
図4に示される、計量台10の中央よりも前方に位置する撓み影響防止板70について説明したが、計量台10の中央よりも後方に位置する撓み影響防止板70についても同様である。当該撓み影響防止板70の前方の端縁と、ロードセル50の中心軸との距離は、支持部30の前方の端縁と、ロードセル50の中心軸との距離よりも小さい。すなわち、撓み影響防止板70の、計量台10の中央の側の端縁と、ロードセル50の中心軸との距離は、支持部30の、計量台10の中央の側の端縁と、ロードセル50の中心軸との距離よりも小さい。
【0061】
[支持機構5]
図9を参照して、支持機構5について説明する。支持機構5は、受け金具45の上下方向7の位置を調節可能な状態で、受け金具45を支持する機構である。支持機構5は、支持部30の上板33に形成された雌ネジ36と、受け金具45の外面に形成された雄ネジ46とにより構成される。雌ネジ36は、上板33の下面に設けられた穴37の内部に形成されている。上板33の雌ネジ36に、受け金具45の雄ネジ46が螺合して、受け金具45が上板33の穴37に取り付けられる。受け金具45を回転させると、受け金具45は上板33に対して上下方向7に移動する。これにより、受け金具45の上下方向に位置が調節されて、計量台10の水平調整が行われる。
【0062】
支持機構5は、更に、ロックナット55と止めネジ56とを備えている。ロックナット55は、受け金具45の雄ネジ46と螺合している。受け金具45の位置が決定されると、ロックナット55が上板33に向けて締め込まれる。これにより、受け金具45の位置が固定される。止めネジ56は、ロックナット55に設けられたネジ穴57に取り付けられている。ロックナット55が締め込まれると、止めネジ56が締め込まれて上板33の下面と当接する。これにより、ロックナット55の緩みが抑制される。
【0063】
[結合機構6]
図10を参照して、結合機構6について説明する。結合機構6は、計量台10と支持部30とを相対移動可能な状態で結合する機構である。本実施形態では、2つの結合機構6が、前方の上板16の左右方向9の両端に設けられる。2つの結合機構6が、後方の上板16の左右方向9の両端に設けられる。
【0064】
結合機構6は、ボルト81と、ボス82と、ナット83とにより構成される。ボス82は、円筒状の部材である。ボス82は、上板33の穴38に上方から挿入されている。ナット83は、上板33の穴39に下方から挿入されている。ボルト81が、上板16の貫通孔20に上方から挿入され、ナット83と螺合している。これにより、計量台10と支持部30とが結合され、計量台10と支持部30とが一体化される。例えば、計量台10が上方に持ち上げられると、計量台10と共に支持部30が上方に持ち上げられる。
【0065】
ここで、ボス82の外径は、穴38の内径よりも小さい。これにより、計量台10は支持部30に対して左右方向9及び前後方向8に移動可能である。また、計量台10に被計量物が載置されて撓んだ場合にも、計量台10の上板16は、支持部30の上板33に対して傾斜することができる。
【0066】
[変形例1]
上記実施形態では、撓み影響防止板70が長方形の平板状の部材である例が説明された。本変形例では、撓み影響防止板70の上面72が曲面である例が説明される。以下では、上記の実施形態と同一の構成には同一の符号を付され、説明が省略される。
【0067】
本変形例の撓み影響防止板70は、
図11に示されるように、長方形の板状の部材であって、その上面72が円弧状に形成されている。円弧状である上面72の頂点73は、前後方向8に関して、ロードセル50の中心軸51と同じ位置にある。
【0068】
図11は、計量台10に被計量物が載置され、計量台10に撓みが生じ、計量台10の上板16が傾斜した状態を示している。このとき、計量台10の上板16と撓み影響防止板70とは、端縁71と頂点73との間に位置する点74にて接触する。そうすると、計量台10から撓み影響防止板70を介して支持部30へ作用する力F3の作用点は、点74となる。力F3の作用点である点74と、ロードセル50の中心軸51との距離をD3とする。力F3により生じるモーメントの大きさは、F3×D3となる。距離D3は、距離D1(端縁37と中心軸51との距離)よりも小さい。従って、力F1と力F2とが同程度の大きさであれば、撓み影響防止板70の上面72が平坦な場合(実施形態、
図7)に比べて、撓み影響防止板70の上面が曲面である場合(本変形例、
図11)の方が、生じるモーメントが小さくなる。点74は、計量台に荷重が印加されたときの計量台と第2部材とが接触する部位の一例である。
【0069】
なお、本変形例では、撓み影響防止板70の上面72の全体が円弧状に形成されている例が説明されたが、上面72は円弧以外の曲面であってもよい。また、上面72の一部が円弧状に形成されていてもよい。
【0070】
[変形例2]
上記実施形態では、撓み影響防止板70が、支持部30の上面に取り付けられた部材である例が説明された。撓み影響防止板70が、計量台10の下面18に取り付けられて、計量台10と支持部30との間に介在してもよい。詳しくは、撓み影響防止板70が、計量台10の上板16の下面19に取り付けられて、計量台10と支持部30との間に介在してもよい。この場合、撓み影響防止板70の下面が、計量台10の下面18よりも上方に位置することになる。
【0071】
[変形例3]
上記実施形態では、支持部30と計量台10との間に撓み影響防止板70が介在する例が説明されたが、トラックスケール100が撓み影響防止板70を備えず、
図8に示されるように、支持部30が直接、計量台10を支持してもよい。詳しくは、計量台10の上板16の下面19に、支持部30の上板33が下方から当接してもよい。計量台10の上板16の下面19は、計量台10の下面18よりも上方に位置する。
【0072】
[他の変形例]
上記実施形態では、撓み影響防止板70が、支持部30の左方の端から右方の端まで一繋がりの部材である例が説明された。撓み影響防止板70が、左右方向9に複数に分割された部材であってもよい。
【0073】
上記実施形態では、撓み影響防止板70が、支持部30の前後方向8の中央に配置される例が説明された。撓み影響防止板70は、支持部30の前後方向8の中央からオフセットされて配置されてもよい。例えば、撓み影響防止板70が、前後方向8について計量台10の端部の方にオフセットされて、撓み影響防止板70の端縁71と支持部30の端縁35との間にロードセル50の中心軸51が位置してもよい。例えば、撓み影響防止板70の端縁71と、ロードセル50の中心軸51とが、上面視で一致する位置に、撓み影響防止板70が配置されてもよい。
【0074】
上記実施形態では、結合機構6が、計量台10の上板16と支持部30の上板33とを結合する例が説明された。結合機構6が、計量台10の側板15と支持部30の補強板34とを結合する形態も可能である。すなわち、結合機構6のボルト81が、前後方向8に沿って延びる形態も可能である。
【0075】
上記実施形態では、受け金具45が、支持機構5を介して、支持部30の上板33に取り付けられる例が説明された。受け金具45が、支持機構5を介して、計量台10に取り付けられてもよい。すなわち、トラックスケール100が支持部30を備えない形態も可能である。この形態では、基礎面1上に設備されるトラックスケール100は、矩形平板状を呈し、上面11に荷重が印加される計量台10と、基礎面1と計量台10との間に配置され、計量台10に下方から当接して計量台10を支持するロードセル50を備える。計量台10とロードセル50との間に、ロードセル50と当接する受け金具45と、当該受け金具45の上下方向7の位置を調節可能な状態で受け金具45を支持する支持機構5とが更に介在される。
【符号の説明】
【0076】
1・・・基礎面
5・・・支持機構
6・・・結合機構
10・・・計量台
16・・・上板(第3部材)
30・・・支持部(第1部材)
45・・・受け金具(第4部材)
50・・・ロードセル
51・・・中心軸
70・・・撓み影響防止板(第2部材)
100・・・トラックスケール(計量装置)