(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-01
(45)【発行日】2023-06-09
(54)【発明の名称】回路遮断器
(51)【国際特許分類】
H01H 73/18 20060101AFI20230602BHJP
H01H 33/20 20060101ALI20230602BHJP
【FI】
H01H73/18 A
H01H33/20
(21)【出願番号】P 2019130059
(22)【出願日】2019-07-12
【審査請求日】2022-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【氏名又は名称】石田 喜樹
(72)【発明者】
【氏名】加藤 裕明
(72)【発明者】
【氏名】山中 佑太
【審査官】関 信之
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-027935(JP,U)
【文献】特開2013-037895(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 73/18
H01H 33/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定接点が設けられている固定接触子と、
前記固定接点と接触又は離隔するように動く可動接点が設けられた可動接触子と、
前記可動接点が前記固定接点と接触する導通状態と接触しない非導通状態との間を遷移するように、前記可動接触子を駆動する機構部と、
前記導通状態から前記非導通状態に遷移する際に発生するアーク放電の消滅を促進させる消弧装置と、を備え、
前記機構部は、少なくとも一対の第1外部端子及び第2外部端子の間における導通が前記導通状態と前記非導通状態との間を遷移するように前記可動接触子を駆動するもので、
前記消弧装置は、前記第1外部端子側に設けられている一方、
前記固定接点と前記可動接点とが接触する導通箇所と前記消弧装置との間に、前記可動接点と同電位になるようにアーク伝達部が設けられ
ており、
前記アーク伝達部は、前記導通箇所に近接するアーク受取部分と、前記アーク受取部分に繋がり、前記消弧装置に向かうアーク拡散部分と、前記第2外部端子に電気的に繋がる接続部分とを有していることを特徴とする回路遮断器。
【請求項2】
固定接点が設けられている固定接触子と、
前記固定接点と接触又は離隔するように動く可動接点が設けられた可動接触子と、
前記可動接点が前記固定接点と接触する導通状態と接触しない非導通状態との間を遷移するように、前記可動接触子を駆動する機構部と、
前記導通状態から前記非導通状態に遷移する際に発生するアーク放電の消滅を促進させる消弧装置と、を備え、
前記固定接点と前記可動接点とが接触する導通箇所と前記消弧装置との間に、前記可動接点と同電位になるようにアーク伝達部が設けられているとともに、
更に、前記固定接触子、前記可動接触子、前記機構部、前記消弧装置、及び前記アーク伝達部を内容するハウジングを備え、
前記ハウジングは、開口部が設けられた有底容器状に形成されており、
前記固定接触子、前記可動接触子、前記機構部、前記消弧装置、及び前記アーク伝達部は、前記開口部から前記ハウジングに組み付け可能なように構成されていることを特徴とする回路遮断器。
【請求項3】
請求項2に記載の回路遮断器であって、
前記機構部は、少なくとも一対の第1外部端子及び第2外部端子間における導通が前記導通状態と前記非導通状態との間を遷移するように前記可動接触子を駆動するものであって、
前記消弧装置は前記第1外部端子側に設けられ、
前記アーク伝達部は、前記第2外部端子に電気的に繋がる接続部分を有し、
前記接続部分は、前記ハウジングの底部に沿った第1接続部分と、前記底部から前記第2外部端子に延びる第2接続部分と、を有しており、
前記第2接続部分は、前記第2外部端子に対して付勢力が働くように前記第1接続部分に繋がれている。
【請求項4】
請求項3に記載の回路遮断器であって、
前記アーク伝達部は、前記第2外部端子と前記ハウジングとの間に前記第2接続部分が挟み込まれることで保持される。
【請求項5】
請求項2から4のいずれか1項に記載の回路遮断器であって、
前記アーク伝達部は、前記ハウジングに対して、絶縁性材料で構成された固定部材によって保持される。
【請求項6】
請求項5に記載の回路遮断器であって、
前記アーク伝達部は、前記導通箇所に近接するアーク受取部分と、前記消弧装置の端部に向かうアーク拡散部分と、前記アーク受取部分から前記第2外部端子に電気的に繋がる接続部分と、を有し、
前記固定部材は、前記接続部分を前記ハウジングとの間に挟むことで前記アーク伝達部を保持する。
【請求項7】
請求項6に記載の回路遮断器であって、
前記固定部材は、前記第1外部端子と前記ハウジングとの間に挟み込まれることで保持される。
【請求項8】
請求項7に記載の回路遮断器であって、
前記固定部材は、前記第1外部端子と前記ハウジングとの間で、前記アーク受取部分を挟むように設けられるアーク伝達促進部を有し、
前記アーク伝達促進部は、磁性体材料によって形成される金属部材を含む。
【請求項9】
請求項8に記載の回路遮断器であって、
前記固定部材は、アーク放電に伴って発生するアークガスを冷却するための消弧ガスを発生する材料によって形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、回路遮断器に関する。
【背景技術】
【0002】
回路遮断器において、固定接点と可動接点とが離れる際にアークが発生する。アークが発生した場合、可及的速やかに消弧することが好ましい。この観点から下記特許文献1に記載の回路遮断器が提案されている。
【0003】
下記特許文献1に記載されている回路遮断器は、可動接触子に設けられた可動接点が固定接触子に設けられた固定接点から開離する軌道近傍に消弧装置を配している。消弧装置は一定間隔で複数のグリッドを積層並設し、グリッド同士をアーク電流で溶断可能な導電部材で接続すると共に、一端を固定接触子に接触させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されている回路遮断器においても、発生したアークを消弧することが可能である。しかしながら、消弧装置の性能をより発揮させつつ、より迅速にアークを消弧することが求められている。
【0006】
本開示は、消弧装置の性能をより発揮させつつ、より迅速にアークを消弧することが可能な回路遮断器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、回路遮断器であって、固定接点が設けられている固定接触子と、固定接点と接触又は離隔するように動く可動接点が設けられた可動接触子と、可動接点が固定接点と接触する導通状態と接触しない非導通状態との間を遷移するように、可動接触子を駆動する機構部と、導通状態から非導通状態に遷移する際に発生するアーク放電の消滅を促進させる消弧装置と、を備え、固定接点と可動接点とが接触する導通箇所と消弧装置との間に、可動接点と同電位になるようにアーク伝達部が設けられている。
【0008】
本開示では、アーク伝達部が可動接点と同電位になるように設けられているので、アーク放電が発生した場合にアーク伝達部に向けてアーク放電が移行する。アーク伝達部は、導通箇所と消弧装置との間に設けられているので、導通箇所において固定接点から可動接点が離れたことによって発生するアーク放電を消弧装置に向けて移行させることができ、消弧装置の機能をより確実に発揮させることができる。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、消弧装置の性能をより発揮させつつ、より迅速にアークを消弧することが可能な回路遮断器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本実施形態における回路遮断器を説明するための断面図である。
【
図2】
図2は、本実施形態におけるアーク伝達部を説明するための図である。
【
図3】
図3は、本実施形態の変形例における回路遮断器を説明するための断面図である。
【
図4】
図4は、本実施形態の変形例における回路遮断器を説明するための斜視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら本実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0012】
図1は、本実施形態における回路遮断器10を説明するための断面図である。回路遮断器10は、例えば電源と負荷との間を接続する電路上に設けられ、電路の導通及び遮断を切り替える装置である。
図1に示されるように、回路遮断器10は、第1ハウジング部21と、第2ハウジング部22と、電源側端子座3と、負荷側端子座4と、固定接触子5と、可動接触子6と、ハンドル24と、消弧装置7と、アーク伝達部8と、機構部9と、を備えている。
【0013】
回路遮断器10のハウジングは、第1ハウジング部21及び第2ハウジング部22に加えて、図示しないカバーとしての第3ハウジング部を組み合わせることで構成される。
図1は、カバーとしての第3ハウジング部を取り外し、基台としての第1ハウジング部21及び第2ハウジング部22を示したものである。
【0014】
第1ハウジング部21及び第2ハウジング部22には、電源側端子座3と、負荷側端子座4と、固定接触子5と、可動接触子6と、ハンドル24と、消弧装置7と、アーク伝達部8と、が収容されている。
【0015】
第1ハウジング部21及び第2ハウジング部22は、第1壁部201と、第2壁部202と、第3壁部203とを有している。第1壁部201と第2壁部202とは、互いに対向するように配置されている。第3壁部203は、第1壁部201と第2壁部202とを繋ぐように設けられている。
【0016】
回路遮断器10が、分電盤のベース板といった取り付け部分に取り付けられた場合に、第1壁部201は電路の電源側に配置され、第2壁部202は電路の負荷側に配置され、第3壁部203はベース板側に配置される。
【0017】
電源側端子座3は、第2ハウジング部22の電源側取付部221に取り付けられている。電源側端子座3は、第1壁部201において、第1ハウジング部21及び第2ハウジング部22の外部に露出するように配置されている。
【0018】
電源側端子座3には、ねじ32によって圧着端子33が取り付けられている。圧着端子33は、電源側の外部配線が繋がっている。
【0019】
固定接触子5は、電源側端子座3と同一平面を形成するように、導電性の板状の金属部材により一体的に設けられている。固定接点51は、固定接触子5の電源側端子座3とは反対側の端部に設けられている。固定接点51は、可動接触子6の一端に設けられた可動接点61の移動軌道上に設けられている。
【0020】
負荷側端子座4は、第2ハウジング部22の負荷側取付部222に取り付けられている。負荷側端子座4は、第2壁部202において、第1ハウジング部21及び第2ハウジング部22の外部に露出するように配置されている。
【0021】
負荷側端子座4には、ねじ42によって圧着端子43が取り付けられている。圧着端子43は、負荷側の外部配線が繋がっている。
【0022】
可動接触子6は、電路を導通及び遮断するために第1ハウジング部21及び第2ハウジング部22の内部に設けられている可動部品である。ハンドル24は、可動接触子6を操作するために設けられている可動部品である。
【0023】
可動接触子6は、内部配線を通じて負荷側端子座4に電気的に接続されている。可動接触子6は、一端に可動接点61が形成されている。可動接触子6は、他端を軸としてハンドル24の手動操作や、機構部9の作動に基づいて揺動する。可動接触子6が揺動することにより、可動接点61が固定接点51に対して接触及び離隔する。
【0024】
可動接点61が固定接点51と接触しているとき、可動接触子6は、固定接触子5と略平行に保持される。可動接点61が固定接点51から離れているとき、可動接触子6は、
図1に示される遮断位置において保持される。
【0025】
第1ハウジング部21及び第2ハウジング部22の内部には、排気通路223が設けられている。排気通路223は、可動接点61が固定接点51から離れる際に発生するアークガスを外部に排気するための通路である。第1壁部201には、排気通路223が外部に連通する排気口201aが設けられている。
【0026】
消弧装置7は、第1ハウジング部21及び第2ハウジング部22内において、アークガスの排気通路223に設けられている。消弧装置7は、複数のグリッドを有しており、アークガスを消弧する。
【0027】
本実施形態における回路遮断器10は、固定接点51が設けられている固定接触子5と、固定接点51と接触又は離隔するように動く可動接点61が設けられた可動接触子6と、可動接点61が固定接点51と接触する導通状態と接触しない非導通状態との間を遷移するように、可動接触子6を駆動する機構部9と、導通状態から非導通状態に遷移する際に発生するアーク放電の消滅を促進させる消弧装置7と、を備え、固定接点51と可動接点61とが接触する導通箇所と消弧装置7との間に、可動接点61と同電位になるようにアーク伝達部8が設けられている。
【0028】
本開示では、アーク伝達部8が可動接点61と同電位になるように設けられているので、アーク放電が発生した場合にアーク伝達部8に向けてアーク放電が移行する。アーク伝達部8は、導通箇所と消弧装置7との間に設けられているので、導通箇所において固定接点51から可動接点61が離れたことによって発生するアーク放電を消弧装置7に向けて移行させることができ、消弧装置7の機能をより確実に発揮させることができる。
【0029】
図1に示されるように、アーク伝達部8は、導通箇所に近接するアーク受取部分81と、アーク受取部分81に繋がり、消弧装置7に向かうアーク拡散部分82とを有している。
【0030】
アーク受取部分81は、導通箇所に近接するように設けられているので、導通箇所において固定接点51から可動接点61が離れたことによって発生するアーク放電を引き寄せることができる。アーク拡散部分82は、アーク受取部分81に繋がり消弧装置7の端部に向かうので、アーク受取部分81が引き寄せたアーク放電を拡散しながら消弧装置7に向かわせることができる。
【0031】
本実施形態において、機構部9は、少なくとも一対の第1外部端子としての電源側端子座3及び第2外部端子としての負荷側端子座4の間における導通が導通状態と非導通状態との間を遷移するように可動接触子6を駆動するものである。消弧装置7は、第1外部端子としての電源側端子座3側に設けられ、アーク伝達部8は、第2外部端子としての負荷側端子座4に電気的に繋がる接続部分(第1接続部分83及び第2接続部分84を含む)を有する。
【0032】
接続部分が第2外部端子としての負荷側端子座4に電気的に繋がっているので、接続部分が負荷側端子座4と同電位となり、アーク受取部分81及びアーク拡散部分82も負荷側端子座4と同電位とすることができるので、アーク放電の消弧装置7への移行をより確実に行うことができる。
【0033】
本実施形態における回路遮断器10は、更に、固定接触子5、可動接触子6、機構部9、消弧装置7、及びアーク伝達部8を内容するハウジングを備えている。ハウジングは、少なくとも第1ハウジング部21と第2ハウジング部22とを組み合わせることによって構成されている。第1ハウジング部21及び第2ハウジング部22は、開口部が設けられた有底容器状に形成されており、固定接触子5、可動接触子6、機構部9、消弧装置7、及びアーク伝達部8は、開口部から第1ハウジング部21及び第2ハウジング部22に組み付け可能なように構成されている。
【0034】
有底容器状の第1ハウジング部21及び第2ハウジング部22に設けられた開口部から、固定接触子5、可動接触子6、機構部9、消弧装置7、及びアーク伝達部8を組み付けることができるので、アーク伝達部8を有する回路遮断器10を容易に組み立てることができる。
【0035】
アーク伝達部8は、第1ハウジング部21に設けられている電源側固定壁211と負荷側固定壁212との間に収められている。電源側固定壁211は、電源側端子座3側に設けられている。負荷側固定壁212は、負荷側端子座4側に設けられている。
【0036】
本実施形態において、機構部9は、少なくとも一対の第1外部端子としての電源側端子座3及び第2外部端子としての負荷側端子座4間における導通が導通状態と非導通状態との間を遷移するように可動接触子6を駆動するものであって、消弧装置7は第1外部端子としての電源側端子座3側に設けられている。アーク伝達部8は、第2外部端子としての負荷側端子座4に電気的に繋がる接続部分を有し、接続部分は、第1ハウジング部21の底部に沿った第1接続部分83と、底部から第2外部端子としての負荷側端子座4に延びる第2接続部分84と、を有している。
【0037】
図2に示されるように、第2接続部分84は、第2外部端子としての負荷側端子座4に対して付勢力が働くように第1接続部分83に繋がれている。具体的には、
図2(A)に示されるように、無負荷状態では、第2接続部分84が基準位置(
図2(B)に示される位置)よりも外側に傾斜するようになっている。アーク伝達部8を第1ハウジング部21に収めると、
図2(A)から
図2(B)の状態に遷移し、第2接続部分84が、第2外部端子としての負荷側端子座4に対して付勢力が働くように形成されている。
【0038】
アーク伝達部8を第1ハウジング部21及び第2ハウジング部22に組み付けると、第2外部端子である負荷側端子座4に対して第2接続部分84が付勢されるように構成されているので、第2外部端子である負荷側端子座4と第2接続部分84とを確実に当接させることができ、アーク伝達部8を確実に第2外部端子と同電位とすることができる。
【0039】
本実施形態において、アーク伝達部は、第2外部端子である負荷側端子座4とハウジングを構成する第2ハウジング部22との間に第2接続部分が挟み込まれることで保持されるように構成されてもよい。このように構成されるアーク伝達部8Aについて、
図3及び
図4を参照しながら説明する。
【0040】
図3は、アーク伝達部8Aが設けられている回路遮断器10Aの断面図である。
図4は、アーク伝達部8Aが設けられている回路遮断器10Aの斜視断面図である。アーク伝達部8Aは、アーク受取部分81と、アーク拡散部分82と、第1接続部分83と、第2接続部分84Aと、を有している。アーク受取部分81、アーク拡散部分82、及び第1接続部分83は、アーク伝達部8と同様である。
【0041】
第2接続部分84Aは、第1接続部分83から負荷側取付部222に向かって立ち上がり、負荷側取付部222に沿うように折り曲げられている。第2接続部分84Aの折り曲げられた端部は、負荷側取付部222と負荷側端子座4との間に挟み込まれて保持されている。
【0042】
第2接続部分84Aが第2外部端子である負荷側端子座4と第2ハウジング部22の負荷側取付部222との間に挟み込まれることで保持されるので、第2外部端子である負荷側端子座4と第2接続部分84Aとを確実に当接させることができ、アーク伝達部8Aを確実に第2外部端子である負荷側端子座4と同電位とすることができる。
【0043】
本実施形態において、アーク伝達部8,8Aは、ハウジングである第1ハウジング部21及び第2ハウジング部22に対して、絶縁性材料で構成された固定部材25によって保持される。
【0044】
ハウジングである第1ハウジング部21及び第2ハウジング部22に対するアーク伝達部8,8Aの保持を、絶縁性材料で構成された固定部材25によって行うので、アーク伝達部8,8Aの電位に影響を与えることなく保持することができる。
【0045】
本実施形態において、アーク伝達部8,8Aは、導通箇所に近接するアーク受取部分81と、消弧装置7の端部に向かうアーク拡散部分82と、アーク受取部分81から第2外部端子である負荷側端子座4に電気的に繋がる接続部分である第1接続部分83及び第2接続部分84,84Aと、を有し、固定部材25は、接続部分としての第1接続部分83をハウジングである第1ハウジング部21及び第2ハウジング部22との間に挟むことでアーク伝達部8,8Aを保持する。
【0046】
接続部分としての第1接続部分83を固定部材25で挟むことで、アーク受取部分81及びアーク拡散部分82を固定部材25で固定する必要が無くなり、アーク受取部分81及びアーク拡散部分82におけるアーク放電伝達機能を阻害せず、アーク放電の消弧装置7への移行をより確実に行うことができる。
【0047】
本実施形態において、固定部材25は、第1外部端子である電源側端子座3とハウジングである第1ハウジング部21及び第2ハウジング部22との間に挟み込まれることで保持される。
【0048】
第1外部端子である電源側端子座3とハウジングである第1ハウジング部21及び第2ハウジング部22との間に挟み込むことで固定部材25を保持するので、ハウジング部に対する部品の組み付けを利用し、新たな部材の追加をせずに保持することができる。
【0049】
本実施形態において、固定部材25は、第1外部端子である電源側端子座3とハウジングである第1ハウジング部21及び第2ハウジング部22との間で、アーク受取部分81を挟むように設けられるアーク伝達促進部251を有し、アーク伝達促進部251は、磁性体材料によって形成される金属部材を含んでいる。
【0050】
磁性体材料によって形成される金属部材を含むアーク伝達促進部251を、アーク受取部分81を挟むように設けることで、発生したアーク放電をアーク受取部分81側に引き込むことができる。
【0051】
本実施形態において、固定部材25は、アーク放電に伴って発生するアークガスを冷却するための消弧ガスを発生する材料によって形成されている。
【0052】
アーク受取部分81側に引き込んだアーク放電に対し、固定部材25から消弧ガスを発生させることができるので、より確実に消弧機能を発揮させることができる。
【0053】
以上、具体例を参照しつつ本実施形態について説明した。しかし、本開示はこれらの具体例に限定されるものではない。これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、条件、形状などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。上記説明では、第1外部端子を電源側端子座3と、第2外部端子を負荷側端子座4として説明したが、第1外部端子を負荷側端子座4とし、第2外部端子を電源側端子座3としてもよい。
【符号の説明】
【0054】
10,10A:回路遮断器
201a:排気口
21:第1ハウジング部
22:第2ハウジング部
221:電源側取付部
222:負荷側取付部
223:排気通路
25:固定部材
251:アーク伝達促進部
3:電源側端子座
4:負荷側端子座
5:固定接触子
51:固定接点
6:可動接触子
61:可動接点
7:消弧装置
8,8A:アーク伝達部
81:アーク受取部分
82:アーク拡散部分
83:第1接続部分
84,84A:第2接続部分
9:機構部