(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-01
(45)【発行日】2023-06-09
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 29/78 20060101AFI20230602BHJP
H01L 29/06 20060101ALI20230602BHJP
H01L 29/423 20060101ALI20230602BHJP
H01L 29/49 20060101ALI20230602BHJP
【FI】
H01L29/78 652N
H01L29/78 652F
H01L29/78 652S
H01L29/78 652H
H01L29/78 652M
H01L29/06 301D
H01L29/06 301R
H01L29/06 301V
H01L29/78 652D
H01L29/78 653C
H01L29/78 652P
H01L29/78 652Q
H01L29/06 301G
H01L29/58 G
(21)【出願番号】P 2019211037
(22)【出願日】2019-11-22
【審査請求日】2022-04-26
(73)【特許権者】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】酒井 敦
(72)【発明者】
【氏名】徳田 悟
(72)【発明者】
【氏名】梅本 竜二
(72)【発明者】
【氏名】永久 克己
(72)【発明者】
【氏名】柳川 洋
【審査官】杉山 芳弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-165441(JP,A)
【文献】特開2019-033151(JP,A)
【文献】特開2012-204795(JP,A)
【文献】特開2012-023272(JP,A)
【文献】特開2006-332607(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/06
H01L 29/78
H01L 21/336
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦型MOSFETが形成されたセル部と、
前記セル部に隣接して配置された終端部と、を含み、
前記終端部は、第1方向に沿って設けられた接続用トレンチゲートを含み、
前記セル部は、
前記第1方向と交差する第2方向に沿って設けられた複数の第1コラム領域と、
隣接する2つの前記第1コラム領域の間に2つのトレンチゲートが配置されるように、前記第2方向に沿って設けられた複数のトレンチゲートと、を含み、
前記複数のトレンチゲートは、前記セル部から前記終端部に延伸して、前記接続用トレンチゲートに接続され、
前記複数の第1コラム領域は、前記セル部から前記終端部に延伸し、
前記終端部は、前記複数の第1コラム領域と異なる複数の第2コラム領域を含む、
半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記複数の第2コラム領域は、
前記終端部に延伸した前記複数の第1コラム領域の端部と前記接続用トレンチゲートとの間、および、前記終端部の前記複数のトレンチゲートとの間、に配置される、半導体装置。
【請求項3】
請求項2に記載の半導体装置において、
前記複数の第2コラム領域は、ドット状に配置され、
前記複数の第2コラム領域は、前記接続用トレンチゲートに最も近接して配置される複数の第3コラム領域を含み、
前記複数の第3コラム領域と前記接続用トレンチゲートとの間には、所定の距離が設けられている、半導体装置。
【請求項4】
請求項3に記載の半導体装置において、
前記複数の第2コラム領域は、前記セル部に最も近接して配置される複数の第4コラム領域を含み、
前記複数の第4コラム領域のおのおのは、前記終端部に延伸した前記複数の第1コラム領域の端部の間に配置されている、半導体装置。
【請求項5】
請求項2に記載の半導体装置において、
前記終端部に延伸した前記複数の第1コラム領域の端部と前記接続用トレンチゲートとの間に配置される前記複数の第2コラム領域は、ストライプ形状であり、
前記複数の第2コラム領域のおのおのの前記第1方向の幅は、前記複数の第1コラム領域のおのおのの前記第1方向の幅と比較して、細い、半導体装置。
【請求項6】
請求項5に記載の半導体装置において、
前記終端部の前記複数のトレンチゲートとの間に配置される前記複数の第2コラム領域は、ドット状に配置される、半導体装置。
【請求項7】
請求項5に記載の半導体装置において、
前記終端部の前記複数のトレンチゲートとの間に配置される前記複数の第2コラム領域は、ストライプ形状であり、
前記複数の第2コラム領域のおのおのの前記第1方向の幅は、前記複数の第1コラム領域のおのおのの前記第1方向の幅と比較して、細い、半導体装置。
【請求項8】
請求項1に記載の半導体装置において、さらに、
前記セル部および前記終端部を囲む様に設けられた外周部を含み、
前記外周部は、複数の第5コラム領域を含み、
前記複数の第5コラム領域は、
ドット状、または、環状に配置される、半導体装置。
【請求項9】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記複数のトレンチゲートおよび前記接続用トレンチゲートのおのおのは、溝に形成されたゲート電極を含み、
前記複数のトレンチゲートの前記ゲート電極と前記接続用トレンチゲートの前記ゲート電極とは接続されており、
前記接続用トレンチゲートの前記第2方向の幅は、前記複数のトレンチゲートのおのおのの前記第1方向の幅と比較して、広い、半導体装置。
【請求項10】
請求項1に記載の半導体装置において、
第1導電型の半導体層からなるドリフト領域を有する半導体基板と、
前記ドリフト領域の表面に形成され、前記第1導電型と反対の第2導電型の半導体層からなるベース領域と、
前記ベース領域の下部に配置され、前記ドリフト領域中に所定の間隔で配置された前記第2導電型の半導体層からなる前記複数の第1コラム領域と、
隣接する前記複数の第1コラム領域間の前記ドリフト領域中に配置され、前記ベース領域よりも深い位置に底面が達するように形成された複数の溝と、
前記複数の溝内に埋め込むように形成され、前記溝の表面に形成されたゲート絶縁膜を介して形成された複数のゲート電極と、
前記ベース領域中に形成され、前記複数のゲート電極の各々の側部に形成された第1導電型の半導体層からなる複数のソース領域と、を有する、半導体装置。
【請求項11】
請求項10に記載の半導体装置において、
前記複数の第1コラム領域と前記複数のゲート電極は、平面視において、前記第2方向に沿うストライプ形状で形成される、半導体装置。
【請求項12】
請求項10に記載の半導体装置において、
前記複数の第1コラム領域の底面および前記複数の第2コラム領域の底面は、前記複数の溝の前記底面よりも深い位置の前記ドリフト領域中に位置する、半導体装置。
【請求項13】
請求項10に記載の半導体装置において、
前記複数のゲート電極のうち、隣接する前記ゲート電極間には、平面視において、前記複数の第1コラム領域が配置されていない、半導体装置。
【請求項14】
請求項10記載の半導体装置において、
前記複数の第1コラム領域および前記複数の第2コラム領域は、前記ベース領域の底面に接続するように配置されている、半導体装置。
【請求項15】
請求項10記載の半導体装置において、
前記複数の第1コラム領域および前記複数の第2コラム領域は、前記半導体基板の厚さ方向において、前記ベース領域の底面と所定の間隔離れて配置されている、半導体装置。
【請求項16】
縦型MOSFETが形成されたセル部と、
前記セル部に隣接して配置された終端部と、を含み、
前記終端部は、第1方向に沿って設けられた複数の接続用トレンチゲートを含み、
前記セル部は、
前記第1方向と交差する第2方向に沿って設けられた複数の第1コラム領域と、
隣接する2つの第1コラム領域の間に2つのトレンチゲートが配置されるように、前記第2方向に沿って設けられた複数のトレンチゲートと、を含み、
前記複数のトレンチゲートは、前記セル部から前記終端部に延伸して、隣接する2つの第1コラム領域の間に配置された2つのトレンチゲートが1つの接続用トレンチゲートに接続され、
前記複数の第1コラム領域は、前記セル部から前記終端部に延伸し、
前記1つの接続用トレンチゲートは、前記終端部において、前記隣接する2つの第1コラム領域のおのおのの端部の間に配置される、
半導体装置。
【請求項17】
請求項16に記載の半導体装置において、
前記複数のトレンチゲートおよび前記接続用トレンチゲートのおのおのは、溝に形成されたゲート電極を含み、
前記2つのトレンチゲートの前記ゲート電極と前記1つの接続用トレンチゲートの前記ゲート電極とは接続されており、
前記複数の接続用トレンチゲートのおのおのの前記第2方向の幅は、前記複数のトレンチゲートのおのおのの前記第1方向の幅と比較して、広い、半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置に関し、トレンチゲートを有する縦型MOSFET(Vertical type Metal Oxide Field Effect Transistor)を備えた半導体装置に関し、特に、p型ベース領域の底部からn型ドリフト領域へ向かって突出するように形成されたp型コラム領域を有する所謂スーパージャンクション構造(以下、SJ構造と称する)を有する半導体装置に適用して有効な技術である。
【背景技術】
【0002】
SJ構造を有する半導体装置は、例えば、n型ドリフト領域を有する半導体基板と、n型ドリフト領域の表面に形成されたp型ベース領域と、p型ベース領域に接続され、n型ドリフト領域中に所定の間隔で配置された複数のp型コラム領域と、隣接するp型コラム領域間に配置され、p型ベース領域の底面に達する溝内に形成されたゲート電極と、p型ベース領域中に形成され、ゲート電極の側部に形成されたn型ソース領域と、を有している。
【0003】
SJ構造を有する半導体装置の一例が特開2017-168501号公報(特許文献1)に記載されている。同文献には、平面視において、ストライプ状に形成された複数のp型コラム領域と、隣接するp型コラム領域の間に配置され、p型コラム領域に沿って形成されたストライプ状のゲート電極を有する縦型MOSFETが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以下に説明する技術は、公知とされた技術ではなく、本願発明者により検討された技術である。
【0006】
SJ構造を有する縦型MOSFETは、高電圧、大電流を制御するパワー半導体装置であり、低オン抵抗であり、かつ、高耐圧であることが望ましい。本願発明者らは、SJ構造を有する縦型MOSFETにおいて、オン抵抗を低減させる技術として、隣接する2本のp型コラム領域の間に、2本または2本以上のトレンチゲートを設ける構成を見出した。この構成の場合、縦型MOSFETが形成されたセル領域の耐圧よりも、セル領域が終端する終端部の耐圧が低下してしまうことを見出した。
【0007】
本開示の課題は、終端部の耐圧を向上することが可能な技術を提供することにある。
【0008】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
【0010】
一実施の形態に係る半導体装置は、
縦型MOSFETが形成されたセル部と、
前記セル部に隣接して配置された終端部と、を含み、
前記終端部は、第1方向に沿って設けられた接続用トレンチゲートを含み、
前記セル部は、
前記第1方向と交差する第2方向に沿って設けられた複数の第1コラム領域と、
隣接する2つの前記第1コラム領域の間に2つのトレンチゲートが配置されるように、前記第2方向に沿って設けられた複数のトレンチゲートと、を含み、
前記複数のトレンチゲートは、前記セル部から前記終端部に延伸して、前記接続用トレンチゲートに接続され、
前記複数の第1コラム領域は、前記セル部から前記終端部に延伸し、
前記終端部は、前記複数の第1コラム領域と異なる複数の第2コラム領域を含む。
【0011】
また、一実施の形態に係る半導体装置は、
縦型MOSFETが形成されたセル部と、
前記セル部に隣接して配置された終端部と、を含み、
前記終端部は、第1方向に沿って設けられた複数の接続用トレンチゲートを含み、
前記セル部は、
前記第1方向と交差する第2方向に沿って設けられた複数の第1コラム領域と、
隣接する2つの第1コラム領域の間に2つのトレンチゲートが配置されるように、前記第2方向に沿って設けられた複数のトレンチゲートと、を含み、
前記複数のトレンチゲートは、前記セル部から前記終端部に延伸して、隣接する2つの第1コラム領域の間に配置された2つのトレンチゲートが1つの接続用トレンチゲートに接続され、
前記複数の第1コラム領域は、前記セル部から前記終端部に延伸し、
前記1つの接続用トレンチゲートは、前記終端部において、前記隣接する2つの第1コラム領域のおのおのの端部の間に配置される。
【発明の効果】
【0012】
上記一実施の形態に係る半導体装置によれば、SJ構造を有する縦型MOSFETにおいて、オン抵抗を低減しつつ、終端部の耐圧を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、実施の形態1による縦型MOSFET構造を備える半導体装置の平面図である。
【
図2】
図2は、
図1の点線で示すセル領域の拡大平面図である。
【
図3】
図3は、
図2におけるユニットセルUCの要部断面図である。
【
図4】
図4は、比較例に係る縦型MOSFET構造を備える半導体装置のセル領域の拡大平面図である。
【
図5】
図5は、
図4におけるユニットセルUCの要部断面図である。
【
図6】
図6は、実施の形態1による縦型MOSFETと比較例による縦型MOSFETの耐圧BVdssと規格化オン抵抗Rspの関係を示すグラフである。
【
図7】
図7は、実施の形態1による縦型MOSFET構造を備える半導体装置の終端部の構成を説明する平面図である。
【
図8】
図8は、実施の形態1による縦型MOSFET構造を備える半導体装置の外周部の構成を説明する平面図である。
【
図9】
図9は、
図8に示された四角い領域RRを拡大して示す平面図である。
【
図11】
図11は、比較例に係る縦型MOSFET構造を備える半導体装置の終端部の構成を説明する平面図である。
【
図15】
図15は、ストライプ状のp型コラム領域を接続用トレンチゲートの下側まで延伸させた状態を説明する平面図である。
【
図17】
図17は、
図15のE-E線に沿う断面に対応するストライプ状のp型コラム領域および環状のp型コラム領域の製造工程を説明する部分的な断面図である。
【
図19】
図19は、変形例1に係る終端部および外周部に配置するp型コラム領域を示す平面図である。
【
図20】
図20は、変形例2に係る終端部および外周部に配置するp型コラム領域を示す平面図である。
【
図21】
図21は、変形例3に係る終端部および外周部に配置するp型コラム領域を示す平面図である。
【
図22】
図22は、実施の形態2による縦型MOSFET構造を備える半導体装置の平面図である。
【
図26】
図26は、変形例5に係る半導体装置のセル領域の拡大平面図である。
【
図28】
図28は、一実施の形態による縦型MOSFET構造を備える半導体装置の製造工程を示す要部断面図である。
【
図29】
図29は、
図28に続く、縦型MOSFET構造を備える半導体装置の製造工程を示す要部断面図である。
【
図30】
図30は、
図29に続く、縦型MOSFET構造を備える半導体装置の製造工程を示す要部断面図である。
【
図31】
図31は、
図30に続く、縦型MOSFET構造を備える半導体装置の製造工程を示す要部断面図である。
【
図32】
図32は、
図31に続く、縦型MOSFET構造を備える半導体装置の製造工程を示す要部断面図である。
【
図33】
図33は、
図32に続く、縦型MOSFET構造を備える半導体装置の製造工程を示す要部断面図である。
【
図34】
図34は、
図33に続く、縦型MOSFET構造を備える半導体装置の製造工程を示す要部断面図である。
【
図35】
図35は、
図34に続く、縦型MOSFET構造を備える半導体装置の製造工程を示す要部断面図である。
【
図36】
図36は、
図35に続く、縦型MOSFET構造を備える半導体装置の製造工程を示す要部断面図である。
【
図37】
図37は、
図36に続く、縦型MOSFET構造を備える半導体装置の製造工程を示す要部断面図である。
【
図38】
図38は、一実施の形態による縦型MOSFET構造を備える半導体装置の変形例6を示すセル領域の拡大平面図である。
【
図39】
図39は、一実施の形態による縦型MOSFET構造を備える半導体装置の変形例7を示すセル領域の拡大平面図である。
【
図40】
図40は、一実施の形態による縦型MOSFET構造を備える半導体装置の変形例8を示すセル領域の拡大平面図である。
【
図41】
図41は、一実施の形態による縦型MOSFET構造を備える半導体装置の変形例9を示すセル領域の拡大平面図である。
【
図42】
図42は、一実施の形態による縦型MOSFET構造を備える半導体装置の変形例10を示すセル領域の拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施形態、および、実施例について、図面を用いて説明する。ただし、以下の説明において、同一構成要素には同一符号を付し繰り返しの説明を省略することがある。なお、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0015】
以下、一実施の形態に係る半導体装置について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本細書および各図面において、同一の構成要件または対応する構成要件には、同一の符号を付し、重複する説明は省略する場合がある。また、各実施の形態と各変形例との少なくとも一部は、互いに任意に組み合わされてもよい。尚、各断面図において、空洞でないことを示す斜線は、図面を見やすくするために省略する場合がある。空洞を示す場合には、別途空洞であること明細書中で明記することとする。
【0016】
符号「-」および「+」は、導電型がn型のまたはp型の不純物の相対的な濃度を表しており、例えばn型の不純物の場合は、「n--」、「n-」、「n」、「n+」、「n++」の順に不純物濃度が高くなる。
【0017】
(実施の形態1)
本実施の形態の半導体装置である縦型MOSFET1について、
図1乃至
図3を用いて説明する。
図1は、実施の形態1による縦型MOSFET構造を備える半導体装置の平面図である。
図1に示すように、縦型MOSFET1は、半導体基板100の主面上に、ゲートパッド101及びソースパッド102を有している。ゲートパッド101は、ゲートパット101に接続される配線1011を有し、配線1011はソースパット102を囲む様に設けられている。半導体基板100は、一例では、平面視において、矩形形状の半導体チップとされ、第1方向Xに沿って設けられた第1辺S1と、第1辺S1に対向する第2辺S2と、第1辺S1と第2辺S2との間に設けられ、第1方向Xと交差する第2方向Yに沿って設けられた第3辺S3と、第3辺S3に対向する第4辺S4と、を有する。
【0018】
ソースパッド102の下面に位置する半導体基板100の主面上には、セル領域CELが設けられている。セル領域CELには、縦型MOSFETが形成されている。セル領域CELの左右の半導体基板100の主面上には、複数の終端部TERが設けられている。複数の終端部TERは、セル領域CELと第1辺S1との間、および、セル領域CELと第2辺S2との間において、セル領域CELに隣接する様に設けられている。終端部TERは、縦型MOSFETが形成されていない領域であり、終端領域と言うこともできる。
【0019】
また、セル領域CELと複数の終端部TERとを囲む様に、外周部PERが半導体基板100の主面上に設けられる。外周部PERは、第1辺S1ないし第4辺S4とセル領域CELおよび複数の終端部TERとの間に設けられている。外周部PERは、外周領域やチップ周辺領域と言うこともできる。
【0020】
図2は、
図1の点線103で示すセル領域の拡大平面図である。第2方向Yに沿って複数のp型コラム領域104と複数のトレンチゲート105が平行に配置されている。p型コラム領域104の間隔Pcolとトレンチゲート105の間隔Ptrは、夫々、一定間隔に設定され、本実施の形態では、好適値として、間隔Pcolは、間隔Ptrの2倍となっている。さらに、第1方向Xにおけるトレンチゲート105の幅をWtrとした場合、隣接するp型コラム領域104を仮想的に結ぶ線を辿るとき、必ず幅Wtrの2倍以上のトレンチゲート105との重なりがあるようにユニットセルUCが設計されている。
【0021】
図3は、
図2におけるユニットセルUCの要部断面図である。
図3は、
図2におけるA-A線に沿う断面図である。
図3に示すように、隣接するトレンチゲート105間にはp型ベース領域106とp
+型ベースコンタクト領域107が第1方向Xにおいて繰り返して間隔Ptrで平行に形成されている。
【0022】
縦型MOSFETの各ユニットセルUCは、半導体基板100中に形成され、n-型エピタキシャル層で形成されたドリフト領域108と、ドリフト領域108の下部に形成された高不純物濃度のn+型半導体層で形成されたドレイン領域109と、ドレイン領域109の下面に電気的に接続されたドレイン電極110とを有する。
【0023】
ベース領域106中には、高不純物濃度のn+型半導体層で形成されたソース領域111が形成されている。ソース領域111は、半導体基板100の厚さ方向である第3方向Zにおいて、ベース領域106より浅く、p型コラム領域104はベース領域106より深く形成されている。隣接するp型コラム領域104の間には、ドリフト領域108の表面をエッチングすることによって形成された2つのトレンチ内に埋め込むように形成されたトレンチゲート105が形成されている。ドリフト領域108とトレンチゲート105との界面にはゲート酸化膜112が形成されている。ドリフト領域108の上面には、トレンチゲート105及びソース領域111を覆うように絶縁膜113が形成されており、絶縁膜113の上面にはソース電極114が形成されている。
【0024】
ソース電極114は、隣接するトレンチゲート105間において、絶縁膜113中に形成されたストライプ状のコンタクトホールCH1を介して、ソース領域111より深く、かつ、ベース領域106より浅い位置まで達するように形成され、ベースコンタクト領域107に接続されている。更に、ソース電極114は、絶縁膜113中に形成されたストライプ状のコンタクトホールCH2を介して、コラム領域104上に形成されたベースコンタクト領域107に接続されている。
【0025】
上述した実施の形態1に係る縦型MOSFETの構成と比較するために、
図4及び
図5に、
図2及び
図3で説明した縦型MOSFETの比較例を示す。
図4は、比較例に係る縦型MOSFET構造を備える半導体装置のセル領域の拡大平面図である。
図5は、
図4におけるユニットセルUCの要部断面図である。尚、
図5は
図4におけるB-B断面図である。
図4及び
図5に示す縦型MOSFETは、隣接するトレンチゲート105間にp型コラム領域104を必ず配置する構成になっている。つまり、隣接するp型コラム領域104の間には、平面視においてストライブ状のトレンチゲート105は、一本のみ配置された構成となっている。
【0026】
一方、実施の形態1に係る縦型MOSFETは、
図4及び
図5の比較例に対して、平面視で、ユニットセルUC当たりのp型コラム領域104の占有率が低減されることによって、より広い電流パスを確保することができる。さらにトレンチゲート105の繰り返し間隔Ptrを縮小して、ゲート密度を向上させた場合でも、p型コラム領域とドリフト領域(nコラムとも称する)の繰り返し間隔PcolはPtrの2倍の距離を確保できるので、p型コラム領域とドリフト領域の不純物濃度を過剰に高濃度にする必要なくオン抵抗を低減することができる。
【0027】
図6は、縦型MOSFETの最大耐圧が得られるときのp型コラム領域/n型コラム領域の電荷量のチャージインバランス率(p型及びn型コラム領域の電荷量のバランス)と耐圧BVdssおよび規格化オン抵抗Rspの関係を示している。
【0028】
図4及び
図5に示した縦型MOSFETの比較例は、ある耐圧以上を満たすチャージインバランスマージンを保ったまま規格化オン抵抗Rspを低減させるにはPcol/Ptrを縮小し、かつ、p型及びn型コラム領域を高濃度化する必要がある。そのためチャージインバランス率に対する耐圧および規格化オン抵抗Rspの感度が高くなる課題があった。
【0029】
一方、実施の形態1の縦型MOSFET構造は、チャージインバランス率に対する耐圧BVdssおよび規格化オン抵抗Rspの感度を高くすることなく規格化オン抵抗Rspを大幅に低減することができる。従って、基本性能の向上だけでなく、製造ばらつきに強くなり製品歩留りをも向上させることができる。
【0030】
図7は、実施の形態1に係る縦型MOSFET構造を備える半導体装置の終端部の構成を説明する平面図である。
図8は、実施の形態1による縦型MOSFET構造を備える半導体装置の外周部の構成を説明する平面図である。
【0031】
図7に示されるように、セル部CELには、複数のp型コラム領域104と複数のトレンチゲート105が第2方向Yに沿って延在して設けられている。複数のp型コラム領域104と複数のトレンチゲート105は、第2方向Yに、平行に配置され、第1方向Xに配列されている。複数のp型コラム領域104の各々はストライプ形状とされている。2つの隣接するp型コラム領域104の間には、2本のトレンチゲート105が配置されている。終端部TERには、2本のトレンチゲート105に挟まれるように、第2方向Yに沿って、p型コラム領域104の端部と、p型コラム領域(第1コラム領域)104と異なる複数のp型コラム領域(第2コラム領域)1041とが配置されている。また、p型コラム領域104が設けられていない部分では、2本のトレンチゲート105に挟まれるように、第2方向Yに沿って、複数のp型コラム領域1041が配置されている。複数のp型コラム領域1041は、一例では、おのおのが矩形形状とされ、かつ、矩形形状の複数のp型コラム領域1041がドット状に配置されている。
【0032】
また、終端部TERには、第1方向Xに沿って設けられた複数の接続用トレンチゲート(繋ぎトレンチともいう)1051が設けられている。複数のトレンチゲート105の両端は、接続用トレンチゲート1051に接続されている。各接続用トレンチゲート1051には、ゲートパッド101や配線1011に接続するためのゲートコンタクト電極が接続されている。複数のp型コラム領域1041は、平面視において、トレンチゲート105および接続用トレンチゲート1051と接しないように設けられている。接続用トレンチゲート1051の第2方向Yの幅は、トレンチゲート105の第1方向Xの幅と比較して、広く形成されている。
【0033】
トレンチゲート105は終端部TERで終端させると、トレンチ形状の曲率が大きく,ひいては内壁のゲート酸化膜の曲率も大きくなってゲート破壊し易くなる。このため、トレンチゲート105の終端をお互いに接続用トレンチゲート1051によって繋いで、トレンチ形状の曲率を小さくし、ゲート破壊を防止する。また、接続用トレンチゲート1051に埋め込まれたゲートポリシリコンとゲートパッド101や配線1011を接続する。接続用トレンチゲート1051に埋め込まれたゲートポリシリコンにゲートコンタクト電極を接続して、ゲートパッド101や配線1011のアルミ配線に接続する場合、ゲートコンタクトホールの加工寸法には限界があるため、接続用トレンチゲート1051の第2方向Yの幅は、セル部CELのトレンチゲート105の第1方向Xの幅よりも広くする必要がある。
【0034】
また、ゲートパッド101の下側にも、複数のp型コラム領域1041が設けられている。
【0035】
なお、
図7において、隣接する2本のp型コラム領域の間に、2本のトレンチゲートを設けた構成が示されているが、これに限定されない。隣接する2本のp型コラム領域の間に、2本または2本以上のトレンチゲートを設ける構成としてよい。
【0036】
図8に示す様に、外周部PERには、複数のp型コラム領域(第5コラム領域)1042が設けられている。複数のp型コラム領域1042は、一例では、ドット状に配置されている。接続用トレンチゲート1051の周りは、ドット状に配置したp型コラム領域(1041、1042)によって囲まれている。つまり、終端部TERにおいて、ドット状のp型コラム領域1041は、セル部CELから延伸したストライプ形状のp型コラム領域104の端部と接続用トレンチゲート1051の間、および、ストライプ形状のp型コラム領域104が配置されていないトレンチゲート105間に配置される。また、ドット状のp型コラム領域1042は、接続用トレンチゲート1051の外側の外周部PERに配置される。これにより、後述するように、空乏化されない領域を縮小することが可能となるので、半導体装置1の耐圧を向上させることができる。
【0037】
図9は、
図8に示された四角い領域RRを拡大して示す平面図である。
図10は、
図9のC-C線に沿う断面図である。
図10において、
図3と同様な部分については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0038】
図9に示す様に、セル部CELにおいて、ソース電極114(または、ソースパッド102)に接続するためのソースコンタクト電極114Cがp型コラム領域104の上側、および、隣接するトレンチゲート105間に配置されている。ソース電極114は、ソースコンタクト電極114Cによって、
図3に示す3つのベースコンタクト領域107に接続される。
【0039】
終端部TERにおいて、トレンチゲート105は接続用トレンチゲート1051に接続されており、接続用トレンチゲート1051の上側には、ゲートパッド101に接続された配線1011と接続用トレンチゲート1051とを接続するためのゲートコンタクト電極1011Cが配置される。これにより、トレンチゲート105内のポリシリコンゲートが、接続用トレンチゲート1051のポリシリコンゲートに接続され、そして、ゲートコンタクト電極1011Cを介して、ゲートパッド101に接続された配線1011に接続される。
【0040】
終端部TERに配置される複数のp型コラム領域(第2コラム領域)1041は、以下の様に、配置されている。
1)セル部CELから延伸したストライプ状のp型コラム領域104の端部Tpと接続用トレンチゲート1051との間に、複数のp型コラム領域1041が配置される。一例では、3つのp型コラム領域1041が配置される。
【0041】
2)ストライプ状のp型コラム領域104が配置されていないトレンチゲート105間に、複数のp型コラム領域1041が配置される。一例では、3つのp型コラム領域1041が配置される。
【0042】
3)接続用トレンチゲート1051に隣接して配置された複数のp型コラム領域1041(第3コラム領域)(a)のおのおのと接続用トレンチゲート1051との間には、所定の距離Lが設けられている。つまり、接続用トレンチゲート1051に最も近接して配置される複数のp型コラム領域1041(a)のおのおのは、平面視において、接続用トレンチゲート1051に重ならないように、所定の距離Lを隔てて、配置されている。複数のp型コラム領域1041(a)は、一例では、第1方向Xに、整列して配置されている。これにより、複数のp型コラム領域1041を形成するときに利用されるボロンイオンの注入によって、接続用トレンチゲート1051に設けられるゲート酸化膜にダメージが発生することを防止できる。したがって、半導体装置1の信頼性を向上することができる。
【0043】
4)ストライプ状のp型コラム領域104が配置されていないトレンチゲート105間に配置される複数のp型コラム領域1041において、セル部CEL側に最も近接して配置される複数のp型コラム領域1041(第4コラム領域)(b)のおのおのは、2つのp型コラム領域104の端部Tpの間に配置されている。
【0044】
5)複数のp型コラム領域1041(a)を除く他の複数のp型コラム領域1041において、p型コラム領域104の端部Tpとp型コラム領域1041(a)との間に配置される2つのp型コラム領域1041とp型コラム領域104が配置されていないトレンチゲート105間に配置される2つのp型コラム領域1041とは、第2方向Yにおいて、整列することなく、位置をずらして配置されている。つまり、p型コラム領域104の端部Tpとp型コラム領域1041(a)との間に配置される3つのp型コラム領域1041の配置されるピッチは、p型コラム領域104が配置されていないトレンチゲート105間に配置される3つのp型コラム領域1041の配置のピッチと比較して、狭くされている。
【0045】
以上の様に、複数のp型コラム領域1041を終端部TERに配置する。これにより、後述するように、空乏化されない領域又は空乏化され難い領域を縮小することが可能となる。したがって、半導体装置1の耐圧を向上させることができる。
【0046】
なお、p型コラム領域1041の数、形状および配置は、p型コラム領域1041の不純物濃度とドリフト領域108の不純物濃度との関係、および、p型コラム領域1041の電荷とドリフト領域108の電荷との関係により、決定するのが好ましい。また、
図7、
図8や
図9において、p型コラム領域104は矩形形状として描かれているが、これに限定されない。p型コラム領域104の端部Tpの角部は丸みを帯びた形状とされても良い。つまり、p型コラム領域104は、その両端が丸みを帯びたストライプ形状とされても良い。また、複数のp型コラム領域1041、1042のおのおのは矩形形状に描かれているが、これに限定されない。複数のp型コラム領域1041、1042のおのおのの角部は、丸みを帯びた形状とされても良い。また、複数のp型コラム領域1041、1042のおのおのは、円形形状でも良いし、楕円形状でも良い。
【0047】
図10に示す様に、p型コラム領域1041、1042は、p型コラム領域104と同時に形成され、ベース領域106の下側に、ベース領域106に接して設けられている。p型コラム領域1041は、p型コラム領域104と接続用トレンチゲート1051との間に形成されている。接続用トレンチゲート1051は、p型コラム領域1041とp型コラム領域1042との間に形成されている。ゲート酸化膜112は、ベース領域106の上面と、接続用トレンチゲート1051の両方の側面とベース領域106との間と、および、ドリフト領域108とトレンチゲート105の底面との間とに形成されている。接続用トレンチゲート1051は、ドリフト領域108の表面をエッチングすることによって形成されたトレンチ(溝)内に埋め込むように形成されている。ゲート酸化膜112の上面と接続用トレンチゲート1051のゲートコンタクト電極1011Cの接続部分を除く上面とを覆う様に、絶縁膜113が形成されており、絶縁膜113の上面には、ゲートパッド101に接続された配線1011が形成されている。配線1011は、ゲートコンタクト電極1011Cによって、接続用トレンチゲート1051のポリシリコンゲートに接続されている。
【0048】
(比較例)
次に、
図8に対する比較例を説明する。
図11は、比較例に係る縦型MOSFET構造を備える半導体装置の終端部の構成を説明する平面図である。
図11が
図8と異なる点は、
図11の終端部TERにおいて、セル部CELから延伸して設けられたストライプ状のp型コラム領域104が接続用トレンチゲート1051の近傍まで配置されている点である。また、
図11では、外周部PERにおいて、セル部CELおよび終端部TERを囲む様に、環状(リング状)または円弧状に形成された3本のp型コラム領域1042rが配置されている。さらに、ゲートパッド101の下側には、ストライプ状の複数のp型コラム領域104gが配置されている。
【0049】
図12は、
図11に示された四角い領域RRを拡大して示す平面図である。
図13は、
図12のD-D線に沿う断面図である。
図13において、
図10と同様な部分については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
図12、
図13が
図9、
図10と異なる点は、
図11で説明した様に、セル部CELから延伸して設けられたストライプ状のp型コラム領域104が接続用トレンチゲート1051の近傍まで配置されている点である。また、p型コラム領域1042rが外周部PERに配置されている。
【0050】
図14は、
図12における空乏化領域を説明する平面図である。ドリフト領域108であるドレインと、p型コラム領域104であるソースの間に電圧が印可されることにより、ドリフト領域108が空乏化される。
図14は、ストライプ状のp型コラム領域104およびp型コラム領域1042rを起点として発生される空乏層の状態を灰色の領域(空乏化領域)として示している。
図14において、空乏化領域DR1は、ストライプ状のp型コラム領域104に基づく空乏層の広がる領域を示している。空乏化領域DR2は、環状のp型コラム領域1042rに基づく空乏層の広がる領域を示している。
図14に示す様に、空乏化領域DR1と空乏化領域DR2とが重ならない領域(空乏化されない領域、又は、非空乏化領域)NDRが発生してしまう場合がある。このため、半導体装置の耐圧が低下してしまう。
【0051】
この対策として、非空乏化領域NDRの面積を縮小させる手法として、ストライプ状のp型コラム領域104を接続用トレンチゲート1051の下側まで延伸させる手法が考えられる。
図15は、ストライプ状のp型コラム領域104を接続用トレンチゲート1051の下側まで延伸させた状態を説明する平面図である。
図16は、
図15における空乏化領域を説明する平面図である。
図17は、
図15のE-E線に沿う断面に対応するストライプ状のp型コラム領域104および環状のp型コラム領域1042rの製造工程を説明する部分的な断面図である。
【0052】
図15に示す様に、ストライプ状のp型コラム領域104の先端を接続用トレンチゲート1051の下側まで延伸させた場合、
図16において、
図14と同様に、空乏化領域DR1はストライプ状のp型コラム領域104に基づく空乏層の広がる領域を示している。空乏化領域DR2は、環状のp型コラム領域1042rに基づく空乏層の広がる領域を示している。
図16に示す様に、空乏化領域DR1と空乏化領域DR2とが重ならない領域(空乏化されない領域、又は、非空乏化領域)NDRの面積は、
図14の非空乏化領域)NDRの面積と比較して、縮小することができる。しかしながら、
図17に示す様に、p型コラム領域104、1041rを、たとえば、絶縁膜15、16およびフォトレジスト膜17で形成されたハードマスクをホウ素Bのイオン注入マスクとして利用して形成する場合、p型コラム領域104,1041rの形成のためのイオン注入により、ゲート酸化膜112にダメージが発生する場合がある。この場合、半導体装置の信頼性が低下する懸念がある。
【0053】
(
図9における空乏化領域の説明)
図18は、
図9における空乏化領域を説明する平面図である。
図18において、空乏化領域DR1はストライプ状のp型コラム領域104に基づく空乏層の広がる領域(範囲)を示している。空乏化領域DR12は、ドット状に配置したp型コラム領域1041に基づく空乏層の広がる領域(範囲)を示している。空乏化領域DR21は、ドット状に配置したp型コラム領域1042rに基づく空乏層の広がる領域(範囲)を示している。
図18に示す様に、空乏化領域DR1、DR12、DR21が重なり合っており、
図14や
図16に示したような非空乏化領域NDRが縮小されている。この例では、非空乏化領域NDRが発生していない。
【0054】
ドリフト領域108に空乏化されない領域が存在すると、その領域ではドレイン電圧がそのまま残っていることになり、電界強度が上昇し易く、低いドレイン電圧でアバランシェ降伏し、電流が流れる。これにより、半導体装置の耐圧が低下することになる。
【0055】
実施の形態1の半導体装置1は、セル部CELにおいて、p型コラム領域104がストライプ状であり、かつ、隣接するp型コラム領域104の間に2本以上のトレンチゲート105を有する構造であるため、2本のp型コラム領域104の間隔が広く、空乏化も広く大きく取る。そのため、
図14に示す様に、終端部TERにおいて、接続用トレンチゲート1051の近傍の微小な領域で空乏化されない領域NDRが生じる懸念があった。実施の形態1では、
図8、
図9に示す様に、その箇所(空乏化されない領域NDRに対応する)に、ドット状のp型コラム領域1041を配置し、空乏化されない領域NDRを縮小させる。また、終端部TERにおいて、ストライプ状のp型コラム領域104が配置されていないトレンチゲート105間の箇所にも、ドット状のp型コラム領域1041を配置して、空乏化されない領域NDRを縮小させる(
図18参照)。これにより、電界強度の上昇を抑えることができるので、半導体装置1の耐圧の低下を防止することができる。
【0056】
半導体装置1において、新たにドット状のp型コラム領域1041を配置した領域は、セル部CELでは無く、終端部TERである。終端部TERはゲート電極とソース電極の分離部分であたるため、終端部TERにドット状のp型コラム領域1041を配置しても、縦型MOSFETのオン電流経路は阻害されない。そのため、縦型MOSFETのオン抵抗が上昇することはなく、低い値を維持できる。したがって、縦型MOSFETの特性の悪化はない。
【0057】
実施の形態1によれば、以下の1または複数の効果を得ることができる。
【0058】
1)SJ構造を有する縦型MOSFETを含む半導体装置のオン抵抗を低減させることができる。
【0059】
2)SJ構造を有する縦型MOSFETを含む半導体装置において、終端部TERのおける耐圧を向上できる。これにより、半導体装置の耐圧を向上することができる。また、耐圧の向上を追加工程なしに行うことができる。
【0060】
3)SJ構造を有する縦型MOSFETを含む半導体装置において、接続用トレンチゲート1051のゲート絶縁膜のダメージを防止できる。これにより、半導体装置の信頼性を向上することができる。
【0061】
次に、終端部TERおよび外周部PERに配置するp型コラム領域の変形例をいくつか説明する。なお、下記変形例1~3では、ソースコンタクト電極114Cおよびゲートコンタクト電極1011Cの図示が省略されているが、
図9と同様に、ソースコンタクト電極114Cおよびゲートコンタクト電極1011Cは設けられているものとする。
【0062】
(変形例1)
図19は、変形例1に係る終端部および外周部に配置するp型コラム領域を示す平面図である。
図19が
図12と異なる点は、
図19において、外周部PERに、
図11で説明した環状の3本のp型コラム領域1042rが配置されている点である。
図19の他の構成は、
図12と同じであるので、説明は省略する。変形例1においても、実施の形態1と同様な効果を得ることができる。
【0063】
(変形例2)
図20は、変形例2に係る終端部および外周部に配置するp型コラム領域を示す平面図である。
図20が
図12と異なる点は、
図12において、セル部CELから延伸したストライプ形状のp型コラム領域104の端部と接続用トレンチゲート1051とに間に、ストライプ形状のp型コラム領域1041bが配置されている点である。p型コラム領域1041bの第1方向Xの幅は、p型コラム領域104の第1方向Xの幅と比較して、細く形成されている。p型コラム領域1041bの端部と接続用トレンチゲート1051との間の距離は、p型コラム領域1041(a)と接続用トレンチゲート1051との間の距離L(
図12参照)と同様にされている。
図19の他の構成は、
図12と同じであるので、説明は省略する。変形例2においても、実施の形態1と同様な効果を得ることができる。
【0064】
なお、
図20において、外周部PERには、
図19で説明した環状の3本のp型コラム領域1042rを配置しても良い。
【0065】
(変形例3)
図21は、変形例3に係る終端部および外周部に配置するp型コラム領域を示す平面図である。
図21が
図20と異なる点は、
図21において、ストライプ形状のp型コラム領域104が配置されていないトレンチゲート105間に、ストライプ形状のp型コラム領域1041cが配置されている点である。p型コラム領域1041cの第1方向Xの幅は、p型コラム領域104の第1方向Xの幅と比較して、細く形成されている。p型コラム領域1041cの幅は、p型コラム領域1041bの幅と、同じとされても良い。p型コラム領域1041b、1041cの端部と接続用トレンチゲート1051との間の距離は、p型コラム領域1041(a)と接続用トレンチゲート1051との間の距離L(
図12参照)と同様にされている。p型コラム領域1041cの第2方向Yの長さ(長手方向の長さ)は、p型コラム領域1041bの第2方向Yの長さ(長手方向の長さ)と比較して、長くされている。p型コラム領域1041cの端部において、接続用トレンチゲート1051の側の端部と異なる端部は、第2方向Yにおいて、セル部CELから延伸したストライプ状のp型コラム領域104の端部と重なるように配置されている。
図21の他の構成は、
図20と同じであるので、説明は省略する。変形例3においても、実施の形態1と同様な効果を得ることができる。
【0066】
(変形例4)
図21において、p型コラム領域1041bを、
図8や
図19に示す様なドット状の3つのp型コラム領域1041へ置き換えても良い。
【0067】
(実施の形態2)
図22は、実施の形態2による縦型MOSFET構造を備える半導体装置の平面図である。
図23は、
図22に示された四角い領域RRを拡大して示す平面図である。
図24は、
図23のF-F線に沿う断面図である。
図25は、
図24における空乏化領域を説明する平面図である。
【0068】
図22に示す半導体装置1aでは、外周部PERに、環状の3本のp型コラム領域1041rが設けられている。
図22および
図23に示す様に、終端部TERにおいて、隣接するp型コラム領域104間に設けられた2本のトレンチゲート105は接続用トレンチゲート1051aに接続されている。隣接する2本のp型コラム領域104の間に設けられた2本のトレンチゲート105の両端のおのおのは、接続用トレンチゲート1051aに接続されている。そして、p型コラム領域104の各々は、セル部CELから終端部TERまで、延伸して配置される。p型コラム領域104の端部のおのおのは、接続用トレンチゲート1051aを挟む様な領域まで延伸している。つまり、接続用トレンチゲート1051aのおのおの側壁は、セル部CELから延伸した2本のp型コラム領域104の端部の間に配置されている。これにより、空乏化されない領域又は空乏化され難い領域を縮小することが可能となる。
【0069】
図24に示す様に、接続用トレンチゲート1051aのおのおのには、ゲートコンタクト電極1011Cが接続されている。
図24に示す様に、p型コラム領域104は、p型コラム領域1041rの近傍まで配置されている。
【0070】
図25において、空乏化領域DR1はストライプ状のp型コラム領域104に基づく空乏層の広がる領域(範囲)を示している。また、空乏化領域DR2は、環状のp型コラム領域1042rに基づく空乏層の広がる領域を示している。
図25に示す様に、空乏化領域DR1、DR12が重なり合っており、
図14や
図16に示したような非空乏化領域NDRが縮小されている。この例では、非空乏化領域NDRが発生していない。これにより、半導体装置の耐圧を向上することができる。
【0071】
実施の形態2によれば、実施の形態1と同様な効果を得ることができる。
【0072】
次に、セル部の変形例や半導体装置の製造方法等を説明する。
【0073】
(変形例5)
変形例5を
図26及び
図27に示す。
図26は、一実施の形態による縦型MOSFET構造を備える半導体装置の変形例5を示すセル領域の拡大平面図である。
図27は、
図26におけるユニットセルUCの要部断面図である。
【0074】
実施の形態1と比較して、変形例5の変更点は、トレンチゲート105の繰り返し間隔を間隔Ptr1及び間隔Ptr2の2種類とし、p型コラム領域104及びトレンチゲート105の繰り返し間隔を間隔Pcolとした場合、間隔Pcolは、間隔Ptr1と間隔Ptr2の加算の関係を持っている。
【0075】
このような関係を有することで、実施の形態1と比較して、ユニットセルの設計自由度が高くなり、p型コラム領域104とトレンチゲート105間の距離を大きく取れるため、p型コラム領域104によるチャネル抵抗への影響を抑制できる。さらにp型コラム領域とn型コラム領域(n型ドリフト領域108)のPN接合部とトレンチゲート105の距離を大きく取れるため、PN接合部とトレンチゲート105の下部のそれぞれで高くなる電界強度のカップリングを緩和できるため耐圧を向上させることができる。
【0076】
(製造方法)
以下、実施の形態1、2に係る縦型MOSFETの製造方法を説明する。
【0077】
図28に示すように、例えば(100)結晶面を有し、n型高濃度半導体層からなるシリコン基板SB上にエピタキシャル層EPが形成された半導体基板100を準備する。
【0078】
次に、
図29に示すように、エピタキシャル層EPの上面に絶縁膜10とフォトレジスト膜11で形成されたハードマスクHM1を形成する。
【0079】
次に、
図30に示すように、ハードマスクHM1から露出するエピタキシャル層EPの上面をエッチングし、トレンチゲート用および接続用トレンチゲートの溝12を形成する。
【0080】
次に、ハードマスクHM1を除去した後、
図31に示すように、溝12内を絶縁膜13で埋め込んだ後に、エピタキシャル層EPの上面に、絶縁膜14、絶縁膜15及び絶縁膜16を順次形成する。絶縁膜14及び絶縁膜16は、例えばCVD法で形成されたシリコン酸化膜が用いられる。絶縁膜15は、CVD法で形成されたシリコン窒化膜が用いられる。
【0081】
次に、
図32に示すように、フォトレジスト膜17と絶縁膜16で形成されたハードマスクHM2を通常のフォトリソグラフィ及びエッチング技術で形成する。次に、ハードマスクHM2を不純物導入のマスクとして、例えば、ホウ素等のp型不純物をエピタキシャル層EP中にイオン注入し、p型コラム領域104、1041、1041b、1041c、1042、1042rを形成する。
【0082】
次に、ハードマスクHM2、絶縁膜15、絶縁膜14を除去した後、
図33に示すように、溝12の表面を含むエピタキシャル層EPの表面に、例えば、熱酸化処理により、ゲート酸化膜112を形成する。
【0083】
次に、
図34に示すように、溝12を埋め込むように、トレンチゲート105、接続用トレンチゲート1051または1051aを形成する。トレンチゲート105、接続用トレンチゲート1051または1051aは、例えば、n型不純物がドープされた多結晶シリコン膜で形成され、多結晶シリコン膜を半導体基板100の全面上に堆積した後、CMPによりエッチバックすることにより、溝12内に選択的に形成される。
【0084】
次に、
図35に示すように、ホウ素等のp型不純物をエピタキシャル層EP中に選択的にイオン注入し、p型ベース領域106を形成する。p型ベース領域106は、隣接するトレンチゲート105間に形成され、p型コラム領域104に接続されるように形成され、また、トレンチゲート105の底面部よりも浅い位置に形成される。また、p型ベース領域106は、p型コラム領域1041、1041b、1041c、1042、1042rに接続されるように形成される。
【0085】
次に、
図36に示すように、ヒ素等のn型不純物をエピタキシャル層EP中に選択的にイオン注入し、n型ソース領域111を形成する。n型ソース領域111は、ベース領域106の表面に形成され、トレンチゲート105の端部に位置するように形成される。
【0086】
次に、絶縁膜113を半導体基板100の全面上に形成した後、フォトレジスト膜18を用いた通常のフォトリソグラフィ及びエッチング技術により、絶縁膜113をパターニングし、絶縁膜113中にコンタクトホールCH1及びCH2を形成する。コンタクトホールCH1及びCH2は、隣接するトレンチゲート105間とp型コラム領域104上に夫々が位置するよう形成される。また、コンタクトホールCH1及びCH2の底面は、p型ベース領域106に達するように、エピタキシャル層EPの表面が一部エッチングされて形成される。
【0087】
次に、フォトレジスト膜18及び絶縁膜113をマスクとするp型不純物のイオン注入により、コンタクトホールCH1及びCH2から露出するp型ベース領域106中に、ベースコンタクト領域107を形成する。
【0088】
次に、フォトレジスト膜18を除去した後、
図37に示すように、例えば、アルミニウムを主成分とするソース電極114を形成し、更に、半導体基板100の下面に例えば、Au/Cu/Niからなる積層構造のドレンイ電極110を形成し、縦型MOSFETが完成する。
【0089】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0090】
例えば、本発明は、nチャネルの縦型MOSFETを示したが、pチャネルの縦型MOSFETにも適用できる。その場合は、ソース領域、ドレイン領域、ベース領域(チャネル形成領域とも称する)、ドリフト領域を構成する半導体層の導電型を逆に構成すればよい。
【0091】
また、実施の形態1、2に示したストライプ状のp型コラム領域104は、
図38乃至
図41に示すように、平面視において千鳥配置、又はメッシュ配置にして、n型ドリフト領域中に点在して配置してもよい。
【0092】
この場合、
図38乃至
図41に示すように、平面視におけるp型コラム領域104の占有率は、
図38及び
図40に示す千鳥配置が最も低くなっており、電流パスの広さが広くなっているので、オン抵抗低減の効果が高い。また、
図39及び
図41に示す四角形メッシュ配置の場合も、実施の形態1、2に示すストライプ状のp型コラム領域104の配置よりも、電流パスの広さが広くなっているので、オン抵抗低減の効果が高い。
【0093】
一方、高耐圧を得るために必要な空乏化の容易さはp型コラム領域間の距離が短く、p型コラム領域とn型コラム領域(n型ドリフト領域)とで形成されるPN接合の関係が一様なほどよいため、オン抵抗低減の容易さとは反対となり、ストライプ配置、四角形メッシュ配置、千鳥配置の順で高耐圧化に適している。
【0094】
なお、
図38乃至
図41に示すように、セル部CELに、平面視において、p型コラム領域104を、千鳥配置又はメッシュ配置の様に、ドット状に点在して配置させる場合、p型コラム領域104間の間隔(ピッチ)は、
図9の終端部TERにドット状に配置するp型コラム領域104間の間隔(ピッチ)よりも、広くする。
【0095】
また、
図42に示すように、p型コラム領域104は、p型ベース領域106の底面に直接接続されていなくてもよい。p型コラム領域104は、p型ベース領域106の底面と所定の間隔(T1)だけ離して配置してよい。p型コラム領域1041、1041b、1041c、1042、1042rも、p型ベース領域106の底面に直接接続されていなくてもよい。この場合、p型コラム領域104は、n型ドリフト領域108に周囲を囲まれた状態になり、電位はフローティング状態となるが、p型ベース領域106とp型コラム領域104間のn型領域の厚さ(間隔)T1を、縦型MOSFETの実動作時に、p型ベース領域106からp型コラム領域104に正孔が供給可能な障壁に抑える程度の厚さに設定すればよい。p型コラム領域104間のn型領域の厚さT1は、例えば0.5μm程度を好適な値として提示できる。
【0096】
このような構成とすることで、
図3に示す構造よりも空乏層の分布を最適化できるので縦型MOSFETの耐圧向上に寄与できる。
【符号の説明】
【0097】
1、1a:半導体装置
100:半導体基板
101:ゲートパッド
102:ソースパッド
104:p型コラム領域(第1コラム領域)
1041:p型コラム領域(第2コラム領域)
1041(a):p型コラム領域(第3コラム領域)
1041(b):p型コラム領域(第4コラム領域)
1041b、1041c:p型コラム領域
1042、1042r:p型コラム領域(第5コラム領域)
105:トレンチゲート
1051、1051a:接続用トレンチゲート
106:p型ベース領域
107:p+型ベースコンタクト領域
108:n-型ドリフト領域
109:n+型ドレイン領域
110:ドレイン電極
111:n+型ソース領域
112:ゲート酸化膜
113:絶縁膜
114:ソース電極
CEL:セル部
TER:終端部
PER:外周部
Pcol:p型コラム領域の間隔
Ptr:トレンチゲートの間隔
Wtr:トレンチゲート幅
UC:ユニットセル
T1:n型領域の厚さ