(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-01
(45)【発行日】2023-06-09
(54)【発明の名称】フレキシブル表示パネルとフレキシブル表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/30 20060101AFI20230602BHJP
【FI】
G09F9/30 308Z
G09F9/30 330
(21)【出願番号】P 2019570372
(86)(22)【出願日】2019-04-22
(86)【国際出願番号】 CN2019083718
(87)【国際公開番号】W WO2019206092
(87)【国際公開日】2019-10-31
【審査請求日】2022-04-18
(31)【優先権主張番号】201820640564.5
(32)【優先日】2018-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510280589
【氏名又は名称】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BOE TECHNOLOGY GROUP CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.10 Jiuxianqiao Rd.,Chaoyang District,Beijing 100015,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】マー ヨンダ
(72)【発明者】
【氏名】ハオ シュエグアン
(72)【発明者】
【氏名】チャオ ヨン
【審査官】川俣 郁子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0256599(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0271617(US,A1)
【文献】特開2017-187581(JP,A)
【文献】特開2018-054675(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0174304(US,A1)
【文献】特開2014-197181(JP,A)
【文献】中国実用新案第206148473(CN,U)
【文献】中国実用新案第206058795(CN,U)
【文献】特開2009-048007(JP,A)
【文献】特開2017-219843(JP,A)
【文献】特開2009-036871(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0105950(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F1/136-1/1368
G09F9/00-9/46
H05B33/00-33/28
44/00
45/60
H10K50/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1絶縁層と、
前記第1絶縁層上に位置し、フレキシブル表示パネルの所定折曲領域を通過する複数のリード線と、
各前記リード線に位置する第2絶縁層とを備え、
少なくとも1本の前記リード線は、前記所定折曲領域内に少なくとも1つの第1透かし部を備え、前記第1絶縁層と前記第2絶縁層とは前記少なくとも1つの第1透かし部を介して接続さ
れ、
同一本の前記リード線は、前記所定折曲領域内に複数の第1透かし部が設けられ、各前記第1透かし部は前記第1絶縁層に向かう第1開口を有し、
前記所定折曲領域では、同一本の前記リード線において、一部分の線幅はもう一部分の線幅よりも大きく、前記一部分中の前記第1透かし部の前記第1開口の面積は、前記もう一部分の中の前記第1透かし部の前記第1開口の面積よりも大きい、フレキシブル表示パネル。
【請求項2】
第1絶縁層と、
前記第1絶縁層上に位置し、フレキシブル表示パネルの所定折曲領域を通過する複数のリード線と、
各前記リード線に位置する第2絶縁層とを備え、
少なくとも1本の前記リード線は、前記所定折曲領域内に少なくとも1つの第1透かし部を備え、前記第1絶縁層と前記第2絶縁層とは前記少なくとも1つの第1透かし部を介して接続され、
各前記リード線は、前記所定折曲領域内において、いずれも前記リード線の延在方向に沿って間隔を空けて配列された複数の前記第1透かし部を備え、
且つ各前記リード線における前記第1透かし部の分布密度は、前記リード線の長さの増加につれて減少する、フレキシブル表示パネル。
【請求項3】
第1絶縁層と、
前記第1絶縁層上に位置し、フレキシブル表示パネルの所定折曲領域を通過する複数のリード線と、
各前記リード線に位置する第2絶縁層とを備え、
少なくとも1本の前記リード線は、前記所定折曲領域内に少なくとも1つの第1透かし部を備え、前記第1絶縁層と前記第2絶縁層とは前記少なくとも1つの第1透かし部を介して接続され、
各前記リード線は、前記所定折曲領域内において、いずれも前記リード線の延在方向に沿って間隔を空けて配列された複数の前記第1透かし部を備え、
且つ各前記リード線における前記第1透かし部の透かしの総体積は、前記リード線の長さの増加につれて減少する、フレキシブル表示パネル。
【請求項4】
同一本の前記リード線は、前記所定折曲領域内に複数の第1透かし部を備え、各前記第1透かし部は前記第1絶縁層に向かう第1開口を有し、
前記所定折曲領域では、同一本の前記リード線において、1つの第1透かし部は、もう1つの
第1透かし部よりも前記所定折曲領域の折曲エッジに近接し、かつ前記もう1つの
第1透かし部よりも前記所定折曲領域の折曲中心から離れ、前記
1つの第1透かし部の第1開口の面積は、前記もう1つの
第1透かし部の第1開口の面積よりも大きい、請求項1
~3のいずれか一項に記載のフレキシブル表示パネル。
【請求項5】
同一本の前記リード線は、前記所定折曲領域内に複数の第1透かし部を備え、
前記所定折曲領域では、同一本の前記リード線において、1つのサブ領域は、もう1つのサブ領域よりも前記所定折曲領域の折曲エッジに近接し、かつ前記もう1つのサブ領域よりも前記所定折曲領域の折曲中心から離れ、前記
1つのサブ領域内の前記第1透かし部の分布密度は、前記もう1つのサブ領域内の前記第1透かし部の分布密度よりも大きい、請求項1
~3のいずれか一項に記載のフレキシブル表示パネル。
【請求項6】
前記リード線は、前記第1絶縁層と接触する底面を有し、
前記
第1透かし部の断面
の境界と前記底面との夾角は、第1夾角であり、前記第1夾角は45°~95°である、請求項1
~3のいずれか一項に記載のフレキシブル表示パネル。
【請求項7】
少なくとも1本の前記リード線は、前記所定折曲領域と前記フレキシブル表示パネルのエッジとの間に位置する第1部分をさらに含み、少なくとも1つの第2透かし部は、前記少なくとも1本のリード線の前記第1部分に位置し、前記第1絶縁層と前記第2絶縁層とは、さらに前記少なくとも1つの第2透かし部を介して接続される、請求項
6に記載のフレキシブル表示パネル。
【請求項8】
前記第2透かし部の断面
の境界と前記底面との夾角は、第2夾角であり、前記第2夾角は前記第1夾角よりも小さい、請求項
7に記載のフレキシブル表示パネル。
【請求項9】
前記所定折曲領域は、前記フレキシブル表示パネルの表示領域と前記フレキシブル表示パネルのエッジとの間に位置し、
前記表示領域内に複数の信号線が設けられ
、前記少なくとも1本のリード線は、前記表示領域と前記所定折曲領域との間に位置し、前記信号線を接続するための第2部分をさらに含み、
第3透かし部は前記少なくとも1本の前記リード線の前記第2部分に位置し、前記第1絶縁層と前記第2絶縁層とは、さらに前記第3透かし部を介して接続される、請求項
6に記載のフレキシブル表示パネル。
【請求項10】
前記第3透かし部の断面
の境界と前記底面との夾角は、第3夾角であり、前記第3夾角は前記第1夾角よりも小さい、請求項
9に記載のフレキシブル表示パネル。
【請求項11】
各前記リード線における前記複数の前記第1透かし部の体積は、ほぼ等しい、請求項
2に記載のフレキシブル表示パネル。
【請求項12】
前記リード線の最小線幅は、前記第1透かし部の前記第1絶縁層から離れた上孔の最大孔径の4/3よりも大きく、且つ前記上孔の最大孔径の3倍よりも小さい、請求項1
~3のいずれか一項に記載のフレキシブル表示パネル。
【請求項13】
請求項1~
12のいずれかに記載のフレキシブル表示パネルを備える、フレキシブル表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施例は、フレキシブル表示パネルとフレキシブル表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
フレキシブル表示パネルは、表示手段をフレキシブルキャリアに作製することによってフレキシブル表示パネルの折曲可能性を実現し、ユーザの操作体験を向上させ、表示パネルの応用場面を拡張させる。
【0003】
フレキシブル表示パネルには、信号を伝送する複数のリード線が設けられているため、リード線が延在して、フレキシブル表示パネルの使用又は生産過程において折曲が発生する領域を通過する場合、折曲による分離力の作用により、リード線と上層絶縁層や下層絶縁層とは、折曲領域内の断面において分離が発生しやすく、導電層(即ち、リード線)と絶縁層との分離不良が発生して、製品性能に影響を及ぼす。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の実施例は、
第1絶縁層と、
前記第1絶縁層上に位置し、前記フレキシブル表示パネルの所定折曲領域を通過する複数のリード線と、
各前記リード線に位置する第2絶縁層とを備え、
少なくとも1本の前記リード線は、前記所定折曲領域内に少なくとも1つの第1透かし部を備え、前記第1絶縁層と前記第2絶縁層とは前記少なくとも1つの第1透かし部を介して接続される、フレキシブル表示パネルを提供する。
【0005】
一例では、同一本の前記リード線は、前記所定折曲領域内に複数の第1透かし部を備え、各前記第1透かし部は前記第1絶縁層に向かう第1開口を有し、
前記所定折曲領域では、同一本の前記リード線において、1つの第1透かし部は、もう1つの透かし部よりも前記所定折曲領域の折曲エッジに近接し、かつ前記もう1つの透かし部よりも前記所定折曲領域の折曲中心から離れ、前記第1透かし部の第1開口の面積は、前記もう1つの透かし部の第1開口の面積よりも大きい。
【0006】
一例では、同一本の前記リード線は、前記所定折曲領域内に複数の第1透かし部を備え、
前記所定折曲領域では、同一本の前記リード線において、1つのサブ領域は、もう1つのサブ領域よりも前記所定折曲領域の折曲エッジに近接し、かつ前記もう1つのサブ領域よりも前記所定折曲領域の折曲中心から離れ、前記サブ領域内の前記第1透かし部の分布密度は、前記もう1つのサブ領域内の前記第1透かし部の分布密度よりも大きい。
【0007】
一例では、前記リード線は、前記第1絶縁層と接触する底面を有し、
前記第1透かし部のフレキシブル表示パネルの表面に垂直な断面を有し、前記断面の前記底面に隣接する境界と前記底面との夾角は、第1夾角であり、前記第1夾角は45°~95°である。
【0008】
一例では、少なくとも1本の前記リード線は、前記所定折曲領域と前記フレキシブル表示パネルのエッジとの間に位置する第1部分をさらに含み、少なくとも1つの第2透かし部は前記少なくとも1本のリード線の前記第1部分に位置し、前記第1絶縁層と前記第2絶縁層とは、さらに前記少なくとも1つの第2透かし部を介して接続される。
【0009】
一例では、前記第2透かし部は前記フレキシブル表示パネルの表面に垂直な断面を有し、前記第2透かし部の断面の、前記底面に隣接する境界と前記底面との夾角は、第2夾角であり、前記第2夾角は前記第1夾角よりも小さい。
【0010】
一例では、前記所定折曲領域は、前記フレキシブル表示パネルの表示領域と前記フレキシブル表示パネルの前記エッジとの間に位置し、
前記表示領域内に複数の信号線が設けられ;前記少なくとも1本のリード線は、前記表示領域と前記所定折曲領域との間に位置し、前記信号線を接続するための第2部分をさらに含み、
第3透かし部は前記少なくとも1本のリード線の前記第2部分に位置し、前記第1絶縁層と前記第2絶縁層とは、さらに前記第3透かし部を介して接続される。
【0011】
一例では、前記第3透かし部は前記フレキシブル表示パネルの表面に垂直な断面を有し、前記第3透かし部の断面の、前記底面に隣接する境界と前記底面との夾角は、第3夾角であり、前記第3夾角は前記第1夾角よりも小さい。
【0012】
一例では、同一本の前記リード線は、前記所定折曲領域内に複数の第1透かし部が設けられ、各前記第1透かし部は前記第1絶縁層に向かう第1開口を有し、
前記所定折曲領域では、同一本の前記リード線において、一部分の線幅はもう一部分の線幅よりも大きく、前記一部分中の前記第1透かし部の前記第1開口の面積は、前記もう一部分の中の前記第1透かし部の前記第1開口の面積よりも大きい。
【0013】
一例では、各前記リード線は、前記所定折曲領域内において、いずれも前記リード線の延在方向に沿って間隔を空けて配列された複数の前記第1透かし部を備え、
各前記リード線における前記第1透かし部の分布密度は、前記リード線の長さの増加に従って減少する。
【0014】
一例では、各前記リード線における前記複数の前記第1透かし部の体積は、ほぼ等しい。
【0015】
一例では、各前記リード線は、前記所定折曲領域内において、いずれも前記リード線の延在方向に沿って間隔を空けて配列された複数の前記第1透かし部を備え、
各前記リード線における前記第1透かし部の透かしの総体積は、前記リード線の長さの増加に従って減少する。
【0016】
一例では、前記リード線の最小線幅は、前記第1透かし部の前記第1絶縁層から離れた上孔の最大孔径の4/3よりも大きく、且つ前記上孔の最大孔径の3倍よりも小さい。
【0017】
本開示の他の実施例は、上記のいずれかに記載のフレキシブル表示パネルを備えるフレキシブル表示装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本開示の実施例の技術案、又は従来技術の技術案をより明確的に説明するために、以下、実施例又は従来技術の説明に必要な図面を簡単に説明する。言うまでもなく、以下の説明における図面は、本開示の実施例の一部に過ぎず、当業者であれば、格別創意を要することなく、これらの図面に基づいて他の図面を得られる。
【0019】
【
図1】本開示の実施例に係るフレキシブル表示パネルの平面視構造を示す図である。
【
図2】
図1におけるA-A’方向の断面構造を示す図である。
【
図3】本開示の実施例に係るフレキシブル表示パネルの平面視構造を示す図である。
【
図4】本開示の実施例に係るフレキシブル表示パネルの平面視構造を示す図である。
【
図5】本開示の実施例に係るフレキシブル表示パネルにおける第1透かし部と第2透かし部の断面比較構造を示す図である。
【
図6】本開示の実施例に係るフレキシブル表示パネルにおける第1透かし部と第3透かし部の断面比較構造を示す図である。
【
図7】本開示の実施例に係るフレキシブル表示パネルの部分平面視構造拡大概略図である。
【
図8】本開示の実施例に係るフレキシブル表示パネルの部分平面視構造拡大概略図である。
【
図9】本開示の実施例に係るフレキシブル表示パネルの部分平面視構造拡大概略図である。
【
図10】本開示の実施例に係るフレキシブル表示装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本開示の実施例の目的、技術案及び利点をより明確にするために、以下、本開示の実施例の図面を参照し、本開示の実施例の技術案について明確かつ完全に説明する。また、記載された実施例はあくまで本開示の実施例の一部に過ぎず、全ての実施例ではないことは明らかである。説明される本開示の実施例に基づき、当業者が格別の創意を必要とせずに容易に想到できる他の実施例は、全て本開示の権利範囲に含まれるものとする。
【0021】
例示的には、本開示の明細書及び特許請求の範囲に用いられる用語「第1」、「第2」及び類似の用語は、いかなる順序、数量又は重要性も示さなく、異なる構成要素を区別するために使用されるだけである。「備える」又は「含む」などの類似の用語は、その用語の前に現れる要素又は部品が、その用語の後に現れる要素又は部品及びその均等物を包含することを意味し、他の要素又は部品を排除するものではない。「上・上方」、「下・下方」などの方位又は位置関係を示す用語は、図面に示す方位又は位置関係に基づくものであり、言及された装置又は要素が特定の方位を有し、特定の方位で構成及び操作されなければならないことを示す又は示唆するものではなく、本開示の実施例の技術案を便利に説明するためのものに過ぎず、従って本開示を限定するものと解釈されるべきではない。
【0022】
本開示の実施例は、フレキシブル表示パネル及びフレキシブル表示装置を提供し、フレキシブル表示パネルにおいて、所定折曲領域内を通過するリード線が、パネルの折曲時に絶縁層と分離不良が発生するという問題を解決し、製品性能を向上させることができる。
【0023】
図1及び
図2に示すように、本開示の実施例は、フレキシブル表示パネル100を提供し、該フレキシブル表示パネル100は、第1絶縁層1(
図1に図示せず)と、第1絶縁層1に設けられた、延在
してフレキシブル表示パネル100の所定折曲領域S1を通過する複数のリード線2と、各リード線2に配置される第2絶縁層3(
図1に図示せず)とを備え;リード線2は、所定折曲領域S1内に第1透かし部21を備え、第1絶縁層1と第2絶縁層3とは第1透かし部21を介して接続される。
【0024】
フレキシブル表示パネルは画面を表示するための表示領域を有し、該領域内に複数の信号線が設けられ、上述したリード線と信号線とは1対1に対応して、それにより信号線に対応する信号を供給する。
【0025】
例えば、
図3に示すように、表示領域S0内の信号線は複数のデータ線4と複数のゲート線5とに分けることができ、両者の間に絶縁層が設けられる。データ線とゲート線とは交差して配置されて、画素領域を画定し、データ線は画素領域に表示信号を供給し、ゲート線は走査スイッチング電界を供給する。
【0026】
例示的には、
図3に示すように、データ線と1対1に接続されるリード線は、例えばデータ線のリード線であってもよい。
【0027】
データ線のリード線は、データ線を製造する時の金属材料を採用して形成することができ、さらに、データ線とデータ線のリード線とは一体的に形成される構造でもよく、即ち同一のパターニング工程で同時に形成されてもよい。
【0028】
ゲート線と1対1に接続されるリード線は、例えばゲート線のリード線であってもよい。
【0029】
ゲート線のリード線は、ゲート線を製造する時の金属材料を採用して形成することができ、さらに、ゲート線とゲート線のリード線とは一体的に形成される構造でもよく、即ち同一のパターニング工程で同時に形成されてもよい。
【0030】
フレキシブル表示パネルにおいて、データ線層の上方と下方には絶縁層が設けられ、データ線に接続された同層に設けられたリード線(即ちデータ線のリード線)に関し、そのリード線の上方と下方の第2絶縁層3及び第1絶縁層1は、データ線層の上方と下方の絶縁層がフレキシブル表示パネルの表示領域以外まで延る部分であってもよい。
【0031】
同様に、フレキシブル表示パネルにおいて、ゲート線層の上方と下方には絶縁層が設けられ、ゲート線に接続された同層に設けられたリード線(即ちゲート線のリード線)に関し、そのリード線の上方と下方の第2絶縁層3及び第1絶縁層1は、ゲート線層の上方と下方の絶縁層がフレキシブル表示パネルの表示領域以外まで延る部分であってもよい。
【0032】
本開示の実施例は、リード線2が第1絶縁層1に設けられ、即ちリード線2に1つの基板が提供される限り、上述したリード線2の上方と下方の第2絶縁層3及び第1絶縁層1の具体的な種類は限定されない;第2絶縁層3は、リード線2に設けられ、且つリード線2における第1透かし部21を介して、対向する下方の第1絶縁層1に接続していればよい。
【0033】
上記の第1透かし部21とは、リード線2に形成された、リード線2を貫通するための貫通構造を指し、該第1透かし部21により、リード線2が形成された後且つ第2絶縁層3がまだ形成されていない時、リード線2における第1透かし部21は、下方の第1絶縁層1を露出することができ、それによりリード線2の後に形成された第2絶縁層3がリード線2を被覆した後、第1透かし部21を介して下方の第1絶縁層1に接続することができる。
【0034】
さらに、本開示の実施例は、各リード線2における第1透かし部21の分布密度(即ち一定の長さ内の第1透かし部21の数)及び形状についても具体的に限定されず、さらなる設計ニーズに応じて柔軟に調整することができる。
【0035】
上記の
図1には、上記のフレキシブル表示パネル100における幾つかのリード線2のみ示されている。リード線2の具体的な数は、フレキシブル表示パネル100の具体的な寸法及び画素密度等の設計パラメータに応じて柔軟に調整することができ、本開示の実施例はこれに限定されない。
【0036】
リード線は金属又は合金等の導電性材料からなるものであり、各リード線は1つの導電層に相当し、その材料構造は絶縁層とは構造的に顕著な相違を有するため、リード線と絶縁層との両者の間の分子結合力は、絶縁層同士の間の分子結合力よりも小さい。こうして、フレキシブル表示パネルがフレキシブルに折り曲げられる時、折曲領域に位置するリード線と絶縁層との間の接触面に分子結合力が小さいため、分離しやすい。
【0037】
これに基づき、本開示の実施例に係る上記のフレキシブル表示パネル100は、リード線2の所定折曲領域内の部分に第1透かし部21を形成することにより、リード線2の下方と上方にそれぞれ位置する第1絶縁層1と第2絶縁層3とを接続させ、即ちリード線と絶縁層との間に一定の界面遷移領域を形成し、第1絶縁層1と第2絶縁層3との間に接着力がより強いという特徴を利用し、接着力を増加させ、これによりリード線2と、接触する上、下層絶縁層とが折り曲げ、特に繰り返し折り曲げられた時に分離する可能性を低減又は回避することができ、製品の歩留まりを向上させることができる。
【0038】
上記各リード線2において、第1透かし部21の形状は、
図1に示す丸孔状を含むがこれに限定されず、各リード線2が正常に信号を伝送できるように、各リード線2に完全な断線領域が生じなければよい。
【0039】
ここで、第1透かし部21が貫通孔である場合を例に取ると、貫通孔の第1絶縁層1から離れた上孔の幅(即ち孔径)とリード線2の線幅との2つの幅の値が比較的近い場合、製造工程のばらつきに起因して、エッチング等の工程で貫通孔を形成する時、リード線2に完全な断線領域が生じやすく、これにより該リード線2が信号を正常に伝送することができなくなる;同時に、貫通孔の第1絶縁層1から離れた上孔の幅(即ち孔径)は、リード線2の線幅より小さすぎると、貫通孔の製造難度も比較的大きい。ここで、上孔は、例えば、貫通孔21がリード線2の第1絶縁層1から離れた表面に形成された孔である。
【0040】
そこで、上記の考察に基づいて、本開示の実施例はさらに一つの実施形態を提供する。リード線2の最小線幅が例えば、貫通孔の第1絶縁層1から離れた上孔の最大孔径の4/3よりも大きく、且つ上孔の最大孔径の3倍よりも小さい。ここで、リード線2の最小線幅とは、
図1に示すように、2つの外側境界の間の最小距離dを指す。
図1において、各リード線2は、ほぼ均一な幅を有している。
【0041】
上述した「最大孔径」とは、貫通孔の上孔径の最も広い寸法を指す。例示的には、上孔のパターンが楕円形である場合、最大孔径が楕円形の長軸幅である;上孔のパターンが円形である場合、最大孔径は円形の直径である。
【0042】
図2に示すように、上記の第1透かし部21は、第1絶縁層1に向う第1開口21aを有し、該第1開口21aで露出する第1絶縁層1の部分は、即ち第2絶縁層3に接続される部分である。
【0043】
図1に示すように、本開示の実施例は、さらに他の実施形態を提供する。少なくとも一本のリード線2は上記の所定折曲領域S1内に該リード線2の延在方向に沿って間隔を空けて配列された複数の第1透かし部21を備え、同一本のリード線2における異なる第1透かし部21の第1開口21aの大きさの違い、および/または同一本のリード線2における第1透かし部21の具体的な分布状況によって、異なる程度の折曲によって生じるリード線と絶縁層との分離力を調整することができる。ここで、リード線2の延在方向は、例えば、リード線の最大寸法が位置する長手方向である。
【0044】
例えば、上記の所定折曲領域S1において、折曲エッジに近接するサブ領域における第1透かし部21の第1開口21aの面積は、折曲中心に近接するサブ領域における第1透かし部21の第1開口21aの面積よりも大きい。ここで、
図1に示すように、所定折曲領域S1の2つの互いに平行な折曲エッジは、破線で示され、且ついずれも所定折曲領域S1に面する表示領域S0のエッジに平行する
。上記フレキシブル表示パネル100が折り曲げられる時、所定折曲領域S1における折曲エッジに近接するサブ領域にとって、該サブ領域は、パネルが折り曲げられる領域と折り曲げられない領域との境界に位置し、その内部に応力分布が不均一になる場合があるため、リード線2と、接触する上、下層絶縁層との分離問題がより一層発生しやすい。
【0045】
これに対して、所定折曲領域S1において折曲中心に近接位置するサブ領域については、該サブ領域全体はパネルが折り曲げられる領域の間に位置するため、パネルが折曲げた後、その内部の応力分布が比較的均一であり、リード線2線と、接触する上、下層絶縁層との分離が発生する度合いが比較的小さい可能性がある。
【0046】
従って、本開示の実施例に係る上記の実施形態はさらに、折曲エッジ(即ち、折曲による応力の分布がより不均一となる領域)に近接するサブ領域に第1開口21aがより大きい第1透かし部21を設けることにより、所定折曲程度が大きいサブ領域において、リード線2の上下両側の第1絶縁層1と第2絶縁層3とが接続する部分がより多くすることができ、これにより、接着力をさらに向上させる。例えば、前記所定折曲領域では、同一本の前記リード線において、折曲エッジに比較的近接する前記第1透かし部の前記第1開口の面積は、この折曲エッジから比較的離れた前記第1透かし部の前記第1開口の面積よりも大きく、且つ折曲中心に比較的近接する前記第1透かし部の前記第1開口の面積は、前記折曲中心から比較的離れた前記第1透かし部の前記第1開口の面積よりも小さい。
【0047】
同様に、上記の所定折曲領域S1において、折曲エッジに近接するサブ領域における第1透かし部21の分布密度を、折曲中心に近接するサブ領域における第1透かし部21の分布密度よりも大きく設定してもよい。例えば、前記所定折曲領域では、同一本の前記リード線において、折曲エッジに比較的近接するサブ領域における前記第1透かし部の分布密度は、この折曲エッジから比較的離れたサブ領域における前記第1透かし部の分布密度よりも大きく、且つ折曲中心に比較的近接するサブ領域における前記第1透かし部の分布密度は、前記折曲中心から比較的離れたサブ領域における前記第1透かし部の分布密度よりも小さい。
【0048】
こうして、折曲エッジ(即ち、折曲による応力分布がより不均一になる領域)に近接するサブ領域により多くの第1透かし部21を設けることにより、所定折曲程度が大きいサブ領域において、リード線2の上下両側の第1絶縁層1と第2絶縁層3とがより多くの第1透かし部21によって接続されることができ、これにより接着力をさらに向上させることができる。
【0049】
上記の説明に基づき、本開示の実施例は、もうひとつの実施形態をさらに提供する。
図2に示すように、上記リード線21は、第1絶縁層1に接触する底面21bを有し;第1透かし部21のフレキシブル表示パネル100の表面に垂直な断面に沿った境界と底面21bとの夾角が第1夾角(
図2ではθ1と表記する)であり、上記の第1夾角の範囲は、例えば45°~95°である。
【0050】
ここで、第1夾角を上記の範囲(該範囲は45°及び95°を含む)に選定することは、角度が小さすぎることによって、第1透かし部21内において第2絶縁層3がリード線2と接触する部分に比較的長い接触境界が存在して、折曲時に第2絶縁層3とリード線21とが比較的長い断面境界で分離が発生する可能性の増加を回避することができ;同時に、角度が大きすぎることによって、第1透かし部21の上下の開口面積の差が大きくなりすぎて、第1透かし部21の製造難度の増加を回避することができる。
【0051】
上記の説明に基づき、
図4に示すように、少なくとも一本のリード線2は、所定折曲領域S1の外側で、且つフレキシブル表示パネルのエッジに近接する部分に第2透かし部22をさらに備え、第1絶縁層1と第2絶縁層3とは、さらに第2透かし部22を介して接続される。
【0052】
ここで、リード線2のフレキシブル表示パネルのエッジに近接する部分は、通常、制御回路上の接続端子(又は信号導出端子ともいう)に接続される部分であり、接続端子に折曲が発生する可能性が低く、リード線2の接続端子に比較的近接する領域に第2透かし部22を設けることによって、リード線2が折り曲げられた時、その内部に発生する応力を分散することができる。
【0053】
さらに、
図5に示すように、フレキシブル表示パネルに垂直な方向に沿って、第2透かし部22の断面境界と底面21bとの間の夾角は第2夾角(
図5ではθ2と表示する)である。1つの実施形態として、第2夾角θ2は、第1透かし部21の第1夾角θ1よりも小さいことにより、リード線2の接続端子に比較的近接す領域における第2透かし部22の断面境界をより長くし、第1絶縁層1、第2絶縁層3を折曲げた時に絶縁層の内部全体に発生する応力をさらに分散させる。
【0054】
ここで、第1透かし部21及び第2透かし部22が貫通孔である場合を例に取ると、第2透かし部22の第1絶縁層から離れたリード線2の表面における開口の面積は、第1透かし部21の第1絶縁層から離れたリード線2の表面における開口の面積より大きく設定してもよい。ドライエッチングが有する異方性の特定によって、同一のエッチング工程の時間内において、形成された貫通孔22の断面境界と底面との夾角が、貫通孔21の断面境界と底面との夾角よりも小さく、これによりリード線2の接続端子に比較的近接する領域における第2透かし部22の断面境界をより長くすることができる。
【0055】
同様に、
図4に示すように、上記の所定折曲領域S1は、フレキシブル表示パネルの表示領域S0とフレキシブル表示パネルのエッジとの間に位置し;表示領域内に複数の信号線(
図4では信号線をデータ線とし、4と表記して説明する)が設けられ;リード線2は表示領域S0とフレキシブル表示パネルのエッジとの間に位置し、信号線4を接続するために用いられ;少なくとも一本のリード線は所定折曲領域S1の外に位置し、且つ表示領域S0に近接する部分に第3透かし部23がさらに設けられ、第1絶縁層1と第2絶縁層3はさらに第3透かし部23を介して接続される。
【0056】
ここで、リード線2の表示領域S0に近接する箇所に折曲が発生する可能性は低く、リード線2の表示領域S0に比較的近接する領域に第3透かし部23を設けることによって、リード線2が折り曲げられた時、リード線全体の内部に発生する応力を分散することができる。
【0057】
さらに、
図6に示すように、フレキシブル表示パネルの垂直方向に沿って、第3透かし部23の断面境界と底面との間の夾角を第3夾角(
図6ではθ3と表記する)とする。別の実施形態として、第3夾角θ3が第1透かし部21の第1夾角θ1よりも小さいことにより、リード線2の表示領域S0に比較的近接す領域における第3透かし部23の断面境界をより長くし、第1絶縁層1、第2絶縁層3を折曲げた時に絶縁層の内部全体に発生する応力をさらに分散させる。
【0058】
ここで、第1透かし部21及び第3透かし部23が貫通孔であることを例として、第3透かし部23のリード線2の第1絶縁層から離れた表面における開口の面積は、第1透かし部21のリード線2の第1絶縁層から離れた表面における開口の面積よりも大きいように設定してもよい。ドライエッチングが有する異方性の特定によって、同一のエッチング工程の時間内において、形成された貫通孔23の断面境界と底面との夾角が、貫通孔21の断面境界と底面との夾角よりも小さく、これによりリード線2の表示領域に比較的近接する領域における第3透かし部23の断面境界をより長くすることができる。
【0059】
即ち、上記のリード線2において、所定折曲領域S1の外に位置し且つフレキシブル表示パネルのエッジに近接する第2透かし部22と、所定折曲領域S1の外に位置し且つ表示領域S0に近接する第3透かし部23とは、一定の遷移効果を奏し、折曲の発生によりリード線2の内部に発生する応力を分散させる。
【0060】
さらに、
図7に示すように、所定折曲領域S1では、リード線において、比較的広い線幅を有する部分における第1透かし部21の第1開口は、比較的狭い線幅を有する部分における第1透かし部21の第1開口よりも大きい。この第1開口は、即ち第1透かし部21の第1絶縁層に向かう開口である。ここで、第1開口は、第1中空部21がリード線2の第1絶縁層に面する表面に形成された第1透かし部21の開口を指すものであってもよい。
【0061】
ここで、線幅が広くなると、リード線2と絶縁層との間の接触面積が大きくなり、折曲げた時にリード線2と絶縁層との分離が発生しやすくなるため、線幅が広くなった部分における第1透かし部21の第1開口をより大きくし、即ちリード線2の上方と下方の絶縁層の接続部分をより多くし、リード線と絶縁層との分離が発生する確率をさらに低減させる。
【0062】
ここで、線幅が広くなる部分の一例としては、複数の透かし構造を有する導線を並べて配列した位置を挙げることができる。
【0063】
第1透かし部21が貫通孔である場合を例に取ると、即ち線幅が広くなった部分における貫通孔の孔径がより大きい。
【0064】
上記の説明に基づき、リード線が表示領域から引き出された後、フレキシブル表示パネルの一側のエッジまで延び且つ接続端子に接続し、これにより対応する信号を受信して表示領域内の信号線(例えばデータ線、ゲート線)に伝送する。フレキシブル表示パネルの折曲を容易にするために、フレキシブル表示パネルの表示領域の幅は、通常、接続端子に近接する側のエッジの幅よりも大きく、即ち表示領域から該側のエッジまでくびれた領域を有する。
【0065】
表示領域における信号線の数が多いため、表示領域から引き出されたリード線の数もそれに応じて多くなり、それにより表示領域と接続端子が近接する側のエッジとの間において、中心位置に位置するリード線は、表示領域から接続端子までの距離が比較的短く(即ちリード線は比較的短く)、それに対して、中心から両側まで延びるエッジの位置におけるリード線は、表示領域から接続端子までの距離が比較的長く(即ちリード線が比較的長く)、それにより表示領域と接続端子が近接する側のエッジとの間の領域において、複数のリード線が中心からエッジまでの長さが徐々に長くなる特性を示す。
【0066】
配線抵抗Rは以下の式で表される。
R=ρ*L/S;
S=d*w;
【0067】
ここで、ρは抵抗率であり、Lは配線長さであり、Sは配線横断面積であり、dは配線厚さであり、wは配線幅である。
【0068】
以上の表現式から明らかなように、抵抗率ρ、配線横断面積Sが同じ配線では、配線長さLが長いほど、その抵抗が大きくなる。
【0069】
フレキシブル表示パネルにおいて、各リード線は、通常、同一のパターニング工程で形成されたものであり、抵抗率ρは全て同一であり、厚さdは全て同一である;また、リード線の数が多いため、各リード線の線幅Wは、通常、同一又は非常に近い。
【0070】
このため、複数のリード線は、中心からエッジまで徐々に長くなる特性を示すため、各リード線の抵抗も異なり、抵抗が大きいほど信号の伝送遅延の度合いも大きくなり、表示品質に影響を与える。
【0071】
従来、関連技術では、異なる位置におけるリード線の抵抗が不一致の問題を解決するために、異なる位置のリード線に長さの異なる折れ線等の蛇行折曲構造を設けることによって、各位置の配線長さを同一又は略同一にする。
【0072】
しかしながら、本発明者らの研究によれば、高精細な表示を有するフレキシブル表示パネルでは、表示画面の解像度がより大きいため、単位面積あたりの画素セルの数もより多く、対応する信号線及びリード線の数もより多く、表示領域周辺の配線スペースがより少ないため、表示領域外に複雑な蛇行配線構造を製造することによって、異なる位置におけるリード線の長さの不一致による抵抗の一致性が比較的悪いという問題を補償できない。
【0073】
これに基づき、本開示の実施例は、異なる位置におけるリード線の長さの不一致による抵抗の一致性が比較的悪いという問題をさらに解決又は改善するため、少なくとも異なるリード線2における第1透かし部21の数及び大きさによって、異なる長さのリード線2の抵抗の相違を調整することができ、以下の2つの調整形態を含む。
【0074】
形態一
図8に示すように、各リード線2は所定折曲領域S1において、いずれもリード線2の延在方向に沿って間隔を空けて配列された複数の第1透かし部21を備え、各リード線2の長さは、中心からエッジに向かうにつれて(指向方向は、
図8に矢印で示すようである)徐々に長くなり、且つ各リード線2における第1透かし部21の分布密度(即ち数の多寡)は、リード線2の長さが長くなるにつれて徐々に低下する。ここで、例えば、各前記リード線における前記複数の前記第1透かし部の体積は、ほぼ等しい。
【0075】
上記の配線抵抗Rの式から明らかなように、ρ、L、dが変化しない場合、線幅wが小さいほど抵抗が大くなる。また、リード線に第1透かし部21を設けることは、リード線の第1透かし部21を設けた位置での線幅を低減することに相当し、抵抗が増加する。
【0076】
リード線の長さが短いほど、その抵抗は小さくなるため、このリード線に分布密度がより大きな第1透かし部21を設けて、その抵抗を大きくすることができる。
【0077】
即ち、リード線の長さが短いほど、それに配置された第1透かし部21がより多くなり;逆に、リード線2の長さが長いほど、それに配置された第1透かし部21がより少なくなり、第1透かし部21の分布密度によって異なるリード線2の抵抗値を調整する。
【0078】
リード線上の第1透かし部21の分布密度が、リード線2の長さの増加につれて徐々に低下する具体的な程度は、対応する計算によって求めることができ、本開示の実施例はこれに限定されない。
【0079】
ここで、
図8に示すように、各リード線2の接続端子に近接する部分にさらに第2透かし部22を設けてもよいし、表示領域に近接する部分にさらに第3透かし部23を設けてもよいし、第2透かし部22及び第3透かし部23は、さらに分布密度がリード線2の長さの増加につれて徐々に低下するように設けてもよい。
【0080】
形態二
図9に示すように、各リード線2は所定折曲領域S1において、いずれもリード線2の延在方向に沿って間隔を空けて配置された複数の第1透かし部21を備え、各リード線2の長さは、中心からエッジに向かうにつれて(指向方向は、
図9に矢印で示すようである)徐々に長くなり、且つ各リード線2における第1透かし部21の透かしの総体積は、リード線2の長さの増加につれて徐々に低下する。
【0081】
ここで、第1透かし部21の体積は、即ちリード線2のくりぬかれた部分の大きさであり、各リード線2が通常、同一の製造工程で形成されるため、厚さが同一又は非常に近く、第1透かし部21の体積の違いは、実際には、該第1透かし部21の開口の大きさに依存する。
【0082】
第1透かし部21が貫通孔であることを例に取ると、第1透かし部21の体積が大きいほど孔径が大きくなり、これは、リード線の第1透かし部21を設けた位置での線幅を低減することに相当し、抵抗が増加する。
【0083】
リード線の長さが短いほど、その抵抗は小さくなるため、このリード線に体積がより大きな第1透かし部21を設けて、その抵抗を大きくすることができる。
【0084】
即ち、リード線の長さが短いほど、それに配置された第1透かし部21の透かしの総体積が大きくなり;逆に、リード線2の長さが長いほど、それに配置された第1透かし部21の透かしの総体積が小さくなり、第1透かし部21の大きさによって異なるリード線2の抵抗値を調整する。
【0085】
リード線上の第1透かし部21の透かしの総体積が、リード線2の長さの増加につれて徐々に低下する具体的な程度は、対応する計算によって求めることができ、本開示の実施例はこれに限定されない。
【0086】
ここで、
図9に示すように、各リード線2の接続端子に近接する部分にさらに第2透かし部22を設けてもよいし、表示領域に近接する部分にさらに第3透かし部23を設けてもよいし、第2透かし部22及び第3透かし部23は、さらに体積がリード線2の長さの増加につれて徐々に低下するように設けてもよい。
【0087】
これに基づき、本開示の実施例に係る上述したフレキシブル表示パネルは、折曲時にリード線と絶縁層との間に界面遷移領域が設けられないことによるリード線と絶縁層との分離問題を解決できる同時に、さらに、異なるリード線における第1透かし部の数及び大きさを調節することによって、長さが異なるリード線の抵抗の不一致の問題を改善することができ、高精細表示製品の表示要求をさらに満たすことができる。
【0088】
上記の説明に基づき、本開示の実施例はフレキシブル表示パネルの製造方法をさらに提供し、この製造方法は以下のステップを含む。
【0089】
ステップS1:第1絶縁層を形成するステップ。
ステップS2:第1絶縁層に複数のリード線を形成するステップ、前記リード線の延在方向がフレキシブル表示パネルの所定折曲領域を通過し、前記リード線は、所定折曲領域内において、第1絶縁層を露出する第1透かし部が形成される。
ステップS3:第2絶縁層を形成するステップ、ここで、第2絶縁層と第1絶縁層とは第1透かし部を介して接続される。
【0090】
ここで、第1絶縁層上に複数のリード線を形成した後、パターニング工程によってリード線に第1絶縁層を露出する第1透かし部を形成することができる。
【0091】
ここで、典型的なパターニング工程とは、マスク(Mask)を1回適用し、膜層表面のフォトレジストを露光(Photo)、現像し、フォトレジストの露出した部分をエッチング(Etch、例えばドライエッチング)することによって、特定のパターンを形成し、さらにフォトレジストを除去する工程を指す。
【0092】
第1透かし部は、貫通孔であってもよい。
【0093】
選択的な形態として、さらに、形成された第1透かし部は、第1絶縁層に向かう第1開口を有し;所定折曲領域において、所定の折曲の程度が大きいサブ領域に位置する第1透かし部の第1開口は、所定の折曲の程度が小さいサブ領域に位置する第1透かし部の第1開口よりも大きい。
【0094】
別の選択的な形態として、さらに、所定折曲領域において、所定の折曲の程度が大きいサブ領域に位置する第1透かし部の分布密度は、所定の折曲の程度が小さいサブ領域に位置する第1透かし部の分布密度よりも大きい。
【0095】
さらに、形成されたリード線は、第1絶縁層と接触する底面を有し;フレキシブル表示パネルの垂直方向に沿って、第1透かし部の断面境界と底面との間の夾角は第1夾角であり、第1夾角は45°~95°である。
【0096】
さらに、少なくとも一本のリード線は所定折曲領域の外に位置し、且つフレキシブル表示パネルのエッジに近接する部分には、第2透かし部がさらに形成され、第1絶縁層と第2絶縁層とは、さらに第2透かし部を介して接続される。
【0097】
さらに、フレキシブル表示パネルの垂直方向に沿って、形成された第2透かし部の断面境界と底面との間の夾角は第2夾角であり、第2夾角は第1夾角よりも小さい。
【0098】
さらに、所定折曲領域は、フレキシブル表示パネルの表示領域とフレキシブル表示パネルのエッジとの間に位置し;表示領域内に複数の信号線が形成され;リード線は表示領域とフレキシブル表示パネルのエッジとの間に形成され、信号線を接続するために用いられ;少なくとも一本のリード線は所定折曲領域の外に位置し、且つ表示領域に近接する部分に第3透かし部がさらに形成され、第1絶縁層と第2絶縁層とはさらに第3透かし部を介して接続される。
【0099】
さらに、フレキシブル表示パネルの垂直方向に沿って、形成された第3透かし部の断面境界と底面との間の夾角は第3夾角であり、第3夾角は第1夾角よりも小さい。
【0100】
さらに、形成された第1透かし部は、第1絶縁層に向かう第1開口を有し;所定折曲領域において、リード線に比較的広い線幅を有する部分における第1透かし部の第1開口は、比較的狭い線幅を有する部分における第1透かし部の第1開口よりも大きい。
【0101】
さらに、各リード線は所定折曲領域内に、いずれもリード線2の延在方向に沿って間隔を空けて配列された複数の第1透かし部が形成され、各リード線の長さは、中心からエッジに向かうにつれて徐々に長くなり、且つ各リード線における第1透かし部の分布密度は、リード線の長さの増加につれて徐々に低下する。
【0102】
さらに、各リード線は所定折曲領域内に、いずれもリード線2の延在方向に沿って間隔を空けて配列された複数の第1透かし部が形成され、各リード線の長さは、中心からエッジに向かうにつれて徐々に長くなり、且つ各リード線における第1透かし部の透かし部体積は、リード線の長さの増加につれて徐々に低下する。
【0103】
上記の説明に基づき、
図10に示すように、本開示の実施例は、上記のフレキシブル表示パネル100を備えるフレキシブル表示装置200をさらに提供する。例えば、前記フレキシブル表示装置200は、前記フレキシブル表示パネル100に対向して配置された対向基板201をさらに含む。
【0104】
上記の表示装置は、具体的には、ディスプレイ、テレビ、携帯電話、タブレットコンピュータ、スマートブレスレット、デジタルフォトフレーム、ナビゲーター等のいかなる表示機能を有する製品又は部品であってよい。
【0105】
以上に説明したのは、本開示の実施例の具体的な実施形態のみであり、本開示の実施例の保護範囲は、これらに限定されない。当業者が本開示の実施例の技術的範囲内に容易に想到できる変更や置換は、いずれも本開示の保護範囲内に含まれるものとする。従って、本開示の保護範囲は、特許請求の範囲に記載された保護範囲を準拠するものとする。
【0106】
この出願は、2018年4月28日に提出された、出願番号が201820640564.5である中国特許出願を基礎とする優先権を主張し、その開示内容の全ては参照により本出願に組み込まれる。