IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アポロ インテリジェント ドライビング テクノロジー(ペキン)カンパニー リミテッドの特許一覧

特許7289284自動運転車両のカーブ通行制御方法、装置、機器及び媒体
<>
  • 特許-自動運転車両のカーブ通行制御方法、装置、機器及び媒体 図1
  • 特許-自動運転車両のカーブ通行制御方法、装置、機器及び媒体 図2
  • 特許-自動運転車両のカーブ通行制御方法、装置、機器及び媒体 図3
  • 特許-自動運転車両のカーブ通行制御方法、装置、機器及び媒体 図4
  • 特許-自動運転車両のカーブ通行制御方法、装置、機器及び媒体 図5
  • 特許-自動運転車両のカーブ通行制御方法、装置、機器及び媒体 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-01
(45)【発行日】2023-06-09
(54)【発明の名称】自動運転車両のカーブ通行制御方法、装置、機器及び媒体
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/10 20060101AFI20230602BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20230602BHJP
   B60W 40/06 20120101ALI20230602BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20230602BHJP
【FI】
B60W30/10
B60W60/00
B60W40/06
G08G1/16 C
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020171225
(22)【出願日】2020-10-09
(65)【公開番号】P2021066429
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2020-10-09
(31)【優先権主張番号】201910995131.0
(32)【優先日】2019-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】321009845
【氏名又は名称】アポロ インテリジェント ドライビング テクノロジー(ペキン)カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
(72)【発明者】
【氏名】ユー, ニン
(72)【発明者】
【氏名】シュウ, ジンジン
(72)【発明者】
【氏名】ヤオ, ドンチュン
【審査官】増子 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-040914(JP,A)
【文献】特開2011-051570(JP,A)
【文献】特開2018-101400(JP,A)
【文献】特開2019-172113(JP,A)
【文献】特開2006-137263(JP,A)
【文献】特開2016-203817(JP,A)
【文献】特開平10-338057(JP,A)
【文献】特開2019-069659(JP,A)
【文献】特開2017-146794(JP,A)
【文献】特開2015-098233(JP,A)
【文献】特開2019-172068(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0120631(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00 - 10/30
B60W 30/00 - 60/00
G08G 1/00 - 99/00
G01C 21/00 - 21/36
G01C 23/00 - 25/00
B60T 7/12 - 8/1769
B60T 8/32 - 8/96
B62D 6/00 - 6/10
F02D 29/00 - 29/06
G06T 1/00 - 1/40
G06T 3/00 - 5/50
G06T 9/00 - 9/40
G06T 1/00
G06T 11/60 - 13/80
G06T 17/05
G06T 19/00 - 19/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動運転車両のカーブにおける現在の位置に基づいて、前記自動運転車両の現在の走行方向における感知領域内に位置するカーブ境界を決定するステップと、
前記自動運転車両の現在の走行パラメータと前記カーブ境界とを用いて、前記自動運転車両の前記カーブにおける現在の安全停車距離を決定するステップと、
前記現在の安全停車距離と、前記自動運転車両のブレーキパラメータと、前記現在の位置に対応するカーブの曲率とに基づいて、前記自動運転車両の速度閾値を決定するステップと、
前記速度閾値を超えないように前記自動運転車両の速度を制御するステップと、を含み、
前記自動運転車両の現在の走行パラメータと前記カーブ境界とを用いて、前記自動運転車両の前記カーブにおける現在の安全停車距離を決定するステップが、
前記自動運転車両の前記現在の走行パラメータを用いて、前記自動運転車両の前記現在の走行方向におけるフィッティング直線を決定するステップであって、前記現在の走行パラメータが、前記現在の位置の座標と、前記現在の位置における自動運転車両の走行方向角度とを含むステップと、
前記フィッティング直線と前記カーブ境界に対応する曲線との交点を決定するステップと、
前記交点と前記現在の位置の座標との間の距離を前記自動運転車両の前記カーブにおける前記現在の安全停車距離として決定するステップと、
を含む自動運転車両のカーブ通行制御方法。
【請求項2】
前記自動運転車両のカーブにおける現在の位置に基づいて、前記自動運転車両の現在の走行方向における感知領域内に位置するカーブ境界を決定するステップが、
前記自動運転車両の前記カーブにおける現在の位置に基づいて、地図上で位置マッチングを行うことによって、前記カーブの地図データを決定するステップと、
前記自動運転車両の前記現在の走行方向における感知領域に対応する感知角度を用いて、前記カーブの地図データから前記カーブ境界を抽出するステップと、を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記フィッティング直線と前記カーブ境界に対応する曲線との交点を決定するステップが、
前記フィッティング直線及び前記曲線のそれぞれ対応する方程式を共同で解いて、前記交点を取得するステップ、又は、
前記曲線上の各位置点をトラバーサルして、各位置点と前記フィッティング直線との間の点線距離を決定し、取得された点線距離が距離閾値未満である場合の対応する位置点を前記交点として決定するステップを含む請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記自動運転車両のブレーキパラメータが、ブレーキ命令に対する前記自動運転車両の応答時間と、前記自動運転車両のターゲット加速度と、前記自動運転車両のタイヤのターゲット横方向摩擦係数と、を含み、
これに応じて、前記現在の安全停車距離と、前記自動運転車両のブレーキパラメータと、前記現在の位置に対応するカーブの曲率とに基づいて、前記自動運転車両の速度閾値を決定するステップが、
前記現在の安全停車距離と、ブレーキ命令に対する前記自動運転車両の応答時間と、前記自動運転車両のターゲット加速度と、車体と前記カーブ境界との間の予め設定された安全距離とに基づいて、前記自動運転車両の前記現在の位置における第1のターゲット速度を決定するステップと、
前記自動運転車両のタイヤのターゲット横方向摩擦係数と前記現在の位置に対応するカーブの曲率とに基づいて、前記自動運転車両の前記現在の位置における第2のターゲット速度を決定するステップと、
前記第1のターゲット速度及び前記第2のターゲット速度のうちの最小値を前記自動運転車両の速度閾値とするステップと、
を含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記自動運転車両のカーブにおける現在の位置に基づいて、前記自動運転車両の現在の走行方向における感知領域内に位置するカーブ境界を決定するステップの前に、
前記自動運転車両の前記カーブにおける前記現在の位置に基づいて、前記自動運転車両の現在の走行方向における前記感知領域内に障害物が存在するか否かを決定するステップと、
前記障害物が存在する場合、前記障害物のタイプ及び/又は移動状態を決定し、前記タイプ及び/又は移動状態に基づいて、前記自動運転車両が前記障害物を回避する方式を決定して、前記自動運転車両が、回避方式によって決定された候補位置に基づいて、前記候補位置を通過する時の速度閾値を決定するステップと、
を含む請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記障害物が存在する場合、
前記現在の走行方向における前記感知領域内の、カーブ道路区間の中心線上の各位置点に対応するカーブの曲率とカーブの幅とを取得するステップと、
各カーブの曲率のうちの最大曲率値及び各カーブの幅のうちの最大幅値がそれぞれ対応する閾値よりも小さいか否かを決定するステップと、
前記最大曲率値及び前記最大幅値がそれぞれ対応する閾値よりも小さい場合、前記タイプ及び/又は移動状態に基づいて決定された前記自動運転車両が前記障害物を回避する方式が、停車待機式回避と後退式迂回回避とを含むステップと、
を含む請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記最大曲率値及び前記最大幅値がそれぞれ対応する閾値よりも小さい場合、前記タイプ及び/又は移動状態に基づいて、前記自動運転車両が前記障害物を回避する方式を決定するステップが、
前記障害物が動的障害物であり、前記動的障害物の移動方向が前記自動運転車両の前記現在の走行方向から離れていく場合、前記現在の位置で予め設定された時間だけ停車するように前記自動運転車両を制御し、前記予め設定された時間が終了した後に、前記速度閾値以下の速度で前記現在の位置を通過するように前記自動運転車両を制御するステップを含む請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記最大曲率値及び前記最大幅値がそれぞれ対応する閾値よりも小さい場合、前記タイプ及び/又は移動状態に基づいて、前記自動運転車両が前記障害物を回避する方式を決定するステップが、
前記障害物が静的障害物であり、又は前記障害物の移動方向と前記自動運転車両の前記現在の移動方向との夾角が夾角閾値未満である場合、前記現在の位置から予め設定された距離だけ後退するように前記自動運転車両を制御し、前記自動運転車両が前記予め設定された距離だけ後退した後に位置する候補位置に基づいて、前記障害物の回避経路を計画するステップと、
前記回避経路内の前記候補位置に対応する走行方向における前記自動運転車両の感知領域内の候補カーブ境界を決定し、前記候補カーブ境界に基づいて、前記自動運転車両が前記候補位置を通過する時の候補速度閾値を決定するステップと、
を含む請求項に記載の方法。
【請求項9】
自動運転車両のカーブにおける現在の位置に基づいて、前記自動運転車両の現在の走行方向における感知領域内に位置するカーブ境界を決定するように構成されるカーブ境界決定モジュールと、
前記自動運転車両の現在の走行パラメータと前記カーブ境界とを用いて、前記自動運転車両の前記カーブにおける現在の安全停車距離を決定するように構成される現在の安全停車距離決定モジュールと、
前記現在の安全停車距離と、前記自動運転車両のブレーキパラメータと、前記現在の位置に対応するカーブの曲率とに基づいて、前記自動運転車両の速度閾値を決定するように構成される速度閾値決定モジュールと、
前記速度閾値を超えないように前記自動運転車両の速度を制御するように構成される速度制御モジュールと、
を備え
前記現在の安全停車距離決定モジュールが、
前記自動運転車両の前記現在の走行パラメータを用いて、前記自動運転車両の前記現在の走行方向におけるフィッティング直線を決定するように構成される直線フィッティングユニットであって、前記現在の走行パラメータが、前記現在の位置の座標と、前記現在の位置における自動運転車両の走行方向角度とを含む直線フィッティングユニットと、
前記フィッティング直線と前記カーブ境界に対応する曲線との交点を決定するように構成される交点決定ユニットと、
前記交点と前記現在の位置の座標との間の距離を前記自動運転車両の前記カーブにおける前記現在の安全停車距離として決定するように構成される現在の安全停車距離決定ユニットと、
を備える自動運転車両のカーブ通行制御装置。
【請求項10】
少なくとも一つのプロセッサと、
該少なくとも一つのプロセッサに通信可能に接続されたメモリと、を備える電子機器であって、
前記メモリには、前記少なくとも一つのプロセッサによって実行可能な命令が記憶され、前記命令が前記少なくとも一つのプロセッサによって実行されることにより、前記少なくとも一つのプロセッサが、請求項1からのいずれか一項に記載の自動運転車両のカーブ通行制御方法を実行可能である電子機器。
【請求項11】
コンピュータ命令が記憶されている非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、
前記コンピュータ命令が、コンピュータに請求項1からのいずれか一項に記載の自動運転車両のカーブ通行制御方法を実行させる非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項12】
コンピュータプログラムが実行される場合、コンピュータに請求項1からのいずれか一項に記載の自動運転車両のカーブ通行制御方法を実行させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願の実施例は、コンピュータ技術の分野に関し、特に、自動運転技術の分野に関し、具体的には、自動運転車両のカーブ通行制御方法、装置、機器及び媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
カーブは、交通事故が多発する道路区間であり、カーブを走行する車両の合理的な移動状態制御を行うことによって、車両がカーブをスムーズに通過することを確保し、カーブにおける交通事故の発生を低減ことができる。
【0003】
現在、自動運転車両について、従来技術では、通常、予め設定された車速調整値を用いて、カーブにおける車の速度を制御することによって、車両がカーブをスムーズに通過するようにしているが、当該予め設定された調整値は、よく変化するカーブ環境に適応できず、速度調整が合理でない現象がよく存在して、カーブにおける車両の通行の成功率が低い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本出願の実施例は、狭いカーブにおける自動運転車両の通行の成功率を向上させ、運転の安全を確保することができる自動運転車両のカーブ通行制御方法、装置、機器及び媒体を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様では、本出願の実施例は、自動運転車両のカーブにおける現在の位置に基づいて、前記自動運転車両の現在の走行方向における感知領域内に位置するカーブ境界を決定するステップと、前記自動運転車両の現在の走行パラメータと前記カーブ境界とを用いて、前記自動運転車両の前記カーブにおける現在の安全停車距離を決定するステップと、前記現在の安全停車距離と、前記自動運転車両のブレーキパラメータと、前記現在の位置に対応するカーブの曲率とに基づいて、前記自動運転車両の速度閾値を決定するステップと、前記速度閾値を超えないように前記自動運転車両の速度を制御するステップと、を含む自動運転車両のカーブ通行制御方法を開示する。
【0006】
上記出願の一実施例は、カーブを走行する自動運転車両の安全停車距離と、ブレーキパラメータと、カーブの曲率とを包括的に考慮し、自動運転車両の位置が変化するプロセスで自動運転車両の曲がる速度閾値をリアルタイムで決定し、曲がる速度をリアルタイムで制御することによって、従来技術における自動運転車両の曲がる速度の制御が合理でない問題を解決し、自動運転車両の異なるカーブにおける通行の成功率を向上させるだけでなく、カーブ通行の道路安全性を向上させ、曲がっている間に自動運転車両が制御できなくなって横転したり、停車に間に合わずにカーブ境界から飛び出したりするというリスクも回避することができるという利点又は有益な効果を奏する。
【0007】
選択可能に、前記自動運転車両のカーブにおける現在の位置に基づいて、前記自動運転車両の現在の走行方向における感知領域内に位置するカーブ境界を決定するステップが、前記自動運転車両の前記カーブにおける現在の位置に基づいて、地図上で位置マッチングを行うことによって、前記カーブの地図データを決定するステップと、前記自動運転車両の前記現在の走行方向における感知領域に対応する感知角度を用いて、前記カーブの地図データから前記カーブ境界を抽出するステップと、を含む。
【0008】
選択可能に、前記自動運転車両の現在の走行パラメータと前記カーブ境界とを用いて、前記自動運転車両の前記カーブにおける現在の安全停車距離を決定するステップが、前記自動運転車両の前記現在の走行パラメータを用いて、前記自動運転車両の前記現在の走行方向におけるフィッティング直線を決定するステップであって、前記現在の走行パラメータが、前記現在の位置の座標と、前記現在の位置における自動運転車両の走行方向角度とを含むステップと、前記フィッティング直線と前記カーブ境界に対応する曲線との交点を決定するステップと、前記交点と前記現在の位置の座標との間の距離を前記自動運転車両の前記カーブにおける前記現在の安全停車距離として決定するステップと、を含む。
【0009】
選択可能に、前記フィッティング直線と前記カーブ境界に対応する曲線との交点を決定するステップが、前記フィッティング直線及び前記曲線のそれぞれに対応する方程式を共同で解いて、前記交点を取得するステップ、又は、前記曲線上の各位置点をトラバーサルして、各位置点と前記フィッティング直線との間の点線距離を決定し、取得された点線距離が距離閾値未満である場合の対応する位置点を前記交点として決定するステップを含む。
【0010】
選択可能に、前記自動運転車両のブレーキパラメータが、ブレーキ命令に対する前記自動運転車両の応答時間と、前記自動運転車両のターゲット加速度と、前記自動運転車両のタイヤのターゲット横方向摩擦係数と、を含み、これに応じて、前記現在の安全停車距離と、前記自動運転車両のブレーキパラメータと、前記現在の位置に対応するカーブの曲率とに基づいて、前記自動運転車両の速度閾値を決定するステップが、前記現在の安全停車距離と、ブレーキ命令に対する前記自動運転車両の応答時間と、前記自動運転車両のターゲット加速度と、車体と前記カーブ境界との間の予め設定された安全距離とに基づいて、前記自動運転車両の前記現在の位置における第1のターゲット速度を決定するステップと、前記自動運転車両のタイヤのターゲット横方向摩擦係数と前記現在の位置に対応するカーブの曲率とに基づいて、前記自動運転車両の前記現在の位置における第2のターゲット速度を決定するステップと、前記第1のターゲット速度及び前記第2のターゲット速度のうちの最小値を前記自動運転車両の速度閾値とするステップと、を含む。
【0011】
上記出願一実施例は、自動運転車両の走行中にリアルタイムで算出された第1のターゲット速度及び第2のターゲット速度のうちの最小値を自動運転車両の速度閾値とすることによって、曲がる間に自動運転車両が制御できなくなって横転したり、停車に間に合わずにカーブ境界から飛び出したりするというリスクを回避し、カーブ通行の道路安全性も向上させることができるという利点又は有益な効果を奏する。
【0012】
選択可能に、前記自動運転車両のカーブにおける現在の位置に基づいて、前記自動運転車両の現在の走行方向における感知領域内に位置するカーブ境界を決定するステップの前に、前記自動運転車両の前記カーブにおける前記現在の位置に基づいて、前記自動運転車両の現在の走行方向における前記感知領域内に障害物が存在するか否かを決定するステップと、前記障害物が存在する場合、前記障害物のタイプ及び/又は移動状態を決定し、前記タイプ及び/又は移動状態に基づいて、前記自動運転車両が前記障害物を回避する方式を決定して、前記自動運転車両が、回避方式によって決定された候補位置に基づいて、前記候補位置を通過する時の速度閾値を決定するステップと、を含む。
【0013】
上記出願の一実施例は、自動運転車両が障害物を回避する方式を合理的に採用することによって、カーブを走行している自動運転車両が障害物を安全に回避することを確保することで、自動運転車両のカーブにおける通行の成功率を向上させ、カーブ走行の安全性を確保することができるという利点又は有益な効果を奏する。
【0014】
選択可能に、前記障害物が存在する場合、前記現在の走行方向における前記感知領域内の、カーブ道路区間の中心線上の各位置点に対応するカーブの曲率とカーブの幅とを取得するステップと、各カーブの曲率のうちの最大曲率値及び各カーブの幅のうちの最大幅値がそれぞれ対応する閾値よりも小さいか否かを決定するステップと、前記最大曲率値及び前記最大幅値がそれぞれ対応する閾値よりも小さい場合、前記タイプ及び/又は移動状態に基づいて決定された、前記自動運転車両が前記障害物を回避する方式が、停車待機式回避と後退式迂回回避とを含むステップと、を含む。
【0015】
上記出願の一実施例は、特殊なカーブに対して、時間又は位置で衝撃緩和する障害物回避方式を採用することによって、狭いカーブの通行安全を確保する前提で障害物の合理的な回避を実現することができるという利点又は有益な効果を奏する。
【0016】
選択可能に、前記最大曲率値及び前記最大幅値がそれぞれ対応する閾値よりも小さい場合、前記タイプ及び/又は移動状態に基づいて、前記自動運転車両が前記障害物を回避する方式を決定するステップが、前記障害物が動的障害物であり、前記動的障害物の移動方向が前記自動運転車両の前記現在の走行方向から離れていく場合、前記現在の位置で予め設定された時間だけ停車するように前記自動運転車両を制御し、前記予め設定された時間が終了した後に、前記速度閾値以下の速度で前記現在の位置を通過するように前記自動運転車両を制御するステップを含む。
【0017】
上記出願の一実施例は、障害物の合理的な回避を実現し、経路を再計画する必要がないという利点又は有益な効果を奏する。
【0018】
選択可能に、前記最大曲率値及び前記最大幅値がそれぞれ対応する閾値よりも小さい場合、前記タイプ及び/又は移動状態に基づいて、前記自動運転車両が前記障害物を回避する方式を決定するステップが、前記障害物が静的障害物であり、又は前記障害物の移動方向と前記自動運転車両の前記現在の移動方向との夾角が夾角閾値未満である場合、前記現在の位置から予め設定された距離だけ後退するように前記自動運転車両を制御し、前記自動運転車両が前記予め設定された距離だけ後退した後に位置する候補位置に基づいて、前記障害物の回避経路を計画するステップと、前記回避経路内の前記候補位置に対応する走行方向における前記自動運転車両の感知領域内の候補カーブ境界を決定し、前記候補カーブ境界に基づいて、前記自動運転車両が前記候補位置を通過する時の候補速度閾値を決定するステップと、を含む。
【0019】
上記出願の一実施例は、自動運転車両と障害物との間の距離を増加させ、自動運転車両が障害物を迂回する軌跡の円弧度を緩やかにし、自動運転車両のカーブにおける走行経路全体の緩やかさを確保し、障害物を回避するプロセスで自動運転車両が横転したり、曲がる死角領域に入ったりするというリスクを低減すると共に、自動運転車両が狭い道路でそのまま障害物に近づける状態で経路計画を行う時に発生しやすい経路計画の失敗現象を回避することができるという利点又は有益な効果を奏する。
【0020】
第2の態様では、本出願の実施例は、自動運転車両のカーブにおける現在の位置に基づいて、前記自動運転車両の現在の走行方向における感知領域内に位置するカーブ境界を決定するように構成されるカーブ境界決定モジュールと、前記自動運転車両の現在の走行パラメータと前記カーブ境界とを用いて、前記自動運転車両の前記カーブにおける現在の安全停車距離を決定するように構成される現在の安全停車距離決定モジュールと、前記現在の安全停車距離と、前記自動運転車両のブレーキパラメータと、前記現在の位置に対応するカーブの曲率とに基づいて、前記自動運転車両の速度閾値を決定するように構成される速度閾値決定モジュールと、前記速度閾値を超えないように前記自動運転車両の速度を制御するように構成される速度制御モジュールと、を備える自動運転車両のカーブ通行制御装置を開示する。
【0021】
第3の態様では、本出願の実施例は、少なくとも一つのプロセッサと、該少なくとも一つのプロセッサに通信可能に接続されたメモリと、を備える電子機器であって、前記メモリには、前記少なくとも一つのプロセッサによって実行可能な命令が記憶され、前記命令が前記少なくとも一つのプロセッサによって実行されることにより、前記少なくとも一つのプロセッサが、本出願の実施例のいずれかに記載の自動運転車両のカーブ通行制御方法を実行可能である電子機器を開示する。
【0022】
第4の態様では、本出願の実施例は、コンピュータ命令が記憶されている非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、前記コンピュータ命令が、コンピュータに本出願の実施例のいずれかに記載の自動運転車両のカーブ通行制御方法を実行させる非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を開示する。
【発明の効果】
【0023】
本出願の実施例の技術案によれば、自動運転車両の曲がる速度の上限を決定する時に、走行方向における感知領域内のカーブ境界と自動運転車両との間の安全停車距離と、自動運転車両のブレーキパラメータと、カーブの曲率とを包括的に考慮し、異なるカーブ運転の環境に応じて車速上限の算出及び車速制御をリアルタイムで行うことによって、従来技術における自動運転車両の曲がる速度の制御が合理でない問題を解決し、自動運転車両の異なるカーブにおける通行の成功率を向上させるだけでなく、特に、狭いカーブに対して、カーブ通行の道路安全性を向上させ、曲がっている間に自動運転車両が制御できなくなって横転したり、停車に間に合わずにカーブ境界から飛び出したりするというリスクも回避することができる。上記の選択可能な形態が有する他の効果は、具体的な実施例を組み合わせて以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図面は、本技術案をよりよく理解するために使用されるものであり、本出願を限定するものではない。
図1】本出願の実施例に係る自動運転車両のカーブ通行制御方法のフローチャートである。
図2】本出願の実施例に係る別の自動運転車両のカーブ通行制御方法のフローチャートである。
図3】本出願の実施例に係る自動運転車両の曲がるプロセスにおける安全停車距離の概略図である。
図4】本出願の実施例に係るさらに別の自動運転車両のカーブ通行制御方法のフローチャートである。
図5】本出願の実施例に係る自動運転車両のカーブ通行制御装置の概略構成図である。
図6】本出願の実施例に係る電子機器のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して本出願の例示的な実施例を説明する。理解を容易にするために、その中には本出願の実施例の様々な詳細が含まれているが、それらは単なる例示的なものと見なされるべきである。したがって、当業者は、本出願の範囲及び主旨から逸脱することなく、ここで説明される実施例に対して様々な変更と修正を行うことができることを認識されたい。同様に、明確及び簡潔のために、以下の説明では、周知の機能及び構造の説明を省略している。
【0026】
図1は、本出願の実施例に係る自動運転車両のカーブ通行制御方法のフローチャートである。本実施例は、自動運転車両又は無人車のカーブ走行中に、自動運転車両のカーブ通行を合理的に制御する場合に適用可能であり、カーブ道路区間は、路面幅が狭く且つカーブ角度が小さい道路区間を含む。本実施例の方法は、自動運転車両のカーブ通行制御装置によって実行することができ、当該装置は、ソフトウェア及び/又はハードウェアの方式で実現することができるとともに、自動運転車両制御システム又は車載機器にも統合することができる。
【0027】
図1に示すように、本実施例に係る自動運転車両のカーブ通行制御方法は、以下のステップS101~S104を含むことができる。
S101において、自動運転車両のカーブにおける現在の位置に基づいて、自動運転車両の現在の走行方向における感知領域内に位置するカーブ境界を決定する。
【0028】
自動運転車両がカーブを走行している時、自動運転車両上のセンサの配置状況に基づいて、自動運転車両の現在の走行方向における感知領域をリアルタイムで決定することができる。次に、画像認識技術又は地図マッチング技術を利用して、当該感知領域内の環境情報を認識し抽出し、当該感知領域内のカーブ境界を決定し、当該カーブ境界は、カーブの外側境界と内側境界とを含む。自動運転車両の感知領域に基づいてカーブ境界を決定するプロセスでは、カーブの外側境界と内側境界とを同時に決定することができるし、自動運転車両の現在の位置に基づいて、自動運転車両の位置に近い境界を選定することもでき、例えば、自動運転車両がカーブの外側の車線で走行している場合、カーブの外側境界を選定することができる。決定されたカーブ境界が自動運転車両の現在の安全停車距離の決定に用いられることにより、自動運転車両がカーブで緊急停車する時にカーブから飛び出して道路事故を引き起こすことを回避することができる。
【0029】
選択可能に、自動運転車両のカーブにおける現在の位置に基づいて、現在の走行方向における感知領域内に位置するカーブ境界を決定するステップは、自動運転車両のカーブにおける現在の位置に基づいて、地図上で位置マッチングを行うことによって、カーブの地図データを決定するステップと、自動運転車両の現在の走行方向における感知領域に対応する感知角度を用いて、カーブの地図データからカーブ境界を抽出するステップと、を含む。
【0030】
ここで、位置マッチングに使用される地図は、高精度の地図を含み、地図データには各道路の情報が含まれ、各道路の情報は、道路標識、道路名、道路に含まれる車線情報、及び道路上の各点の位置座標などを含むが、これらに限定されない。位置決め装置を用いて自動運転車両の現在の位置をリアルタイムで決定し、地図マッチングによって、自動運転車両が現在走行しているカーブを地図上で決定する。次に、カーブ標識又はカーブ名に基づいて、地図データベースから当該カーブの地図データを決定する。最後に、感知角度に基づいて、決定されたカーブ地図データから、道路境界に属する一連の離散座標点を抽出する。感知角度は、センサの自動運転車両上の配置状況、センサ自体の機能パラメータ及びカーブ環境に関連するものであり、実際の状況に応じて決定することができる。
【0031】
自動運転車両のカーブにおける現在の位置に基づいて、現在の走行方向における感知領域内に位置するカーブ境界を決定するステップの前に、本実施例の技術案は、自動運転車両における位置決め装置又は位置決めモジュールによって取得された自動運転車両の現在の位置に基づいて、前進方向の曲がり、後退方向の曲がり、自動Uターン、自動停車、車線への合流など、自動運転車両の実際の運転タスクを組み合わせて、自動運転車両がカーブを走行しているか否か、又はカーブに入ろうとするか否かを決定し、自動運転車両の実際の運転タスクは、自動運転車両の走行方向を决定するステップをさらに含むことができる。具体的には、自動運転車両がリアルタイムで走行している軌跡点に対応する曲率の変化傾向と走行道路境界の変化傾向とに基づいて、自動運転車両の現在の走行道路がカーブであるか否かを決定し、又は、自動運転車両の現在の位置を地図に投影して、走行車線を決定する。地図データ内の車線には、直進、左折、右折、Uターンなどを含む車線タイプがラベリング付けされており、地図にラベル付けされた車線タイプを利用して、自動運転車両が現在カーブを走行しているか否か、又は自動運転車両が予め設定された距離だけ走行した後に曲がるか否かを決定することができる。自動運転車両がカーブを走行しているか、又はカーブに入ろうとすることが決定された後に、後続の使用に備えるために、高精度の地図データを利用して、カーブ方向、カーブ最大角度、カーブの曲率、及び道路の幅などを含む、当該カーブ道路区間の道路特徴を取得することができる。
【0032】
S102において、自動運転車両の現在の走行パラメータとカーブ境界とを用いて、自動運転車両のカーブにおける現在の安全停車距離を決定する。
【0033】
自動運転車両の現在の走行パラメータは、現在の位置の座標、及び現在の位置における自動運転車両の走行方向角度などの情報を含むことができ、自動運転車両の走行方向角度とは、地面座標系において、自動運転車両の質量中心の速度と横軸との夾角を指し、自動運転車両の現在の位置における走行方向を特徴付けるために使用することができる。幾何学シミュレーション計算によって、自動運転車両の現在の位置とカーブ境界との間の最短距離を自動運転車両の現在の安全停車距離として決定する。自動運転車両がカーブを走行している間に、任意の位置における安全停車距離は、自動運転車両が曲がっている間に速度が速すぎてカーブ境界から飛び出すことがなく、道路事故が発生しないことを確保するためのものである。
【0034】
S103において、現在の安全停車距離と、自動運転車両のブレーキパラメータと、現在の位置に対応するカーブの曲率とに基づいて、自動運転車両の速度閾値を決定する。
【0035】
S104において、速度閾値を超えないように自動運転車両の速度を制御する。
【0036】
例として、運動学の原理を利用して、自動運転車両の現在の安全停車距離と、自動運転車両のブレーキパラメータと、現在の位置に対応するカーブの曲率とを包括的に考慮し、自動運転車両の現在の位置における速度閾値、すなわち、自動運転車両の現在の位置における速度の上限を算出して、当該速度閾値を超えない速度、すなわち当該速度閾値以下の速度で現在の位置を通過するように自動運転車両を制御する。自動運転車両が曲がっている間の位置の変化に伴って、各走行位置に対応する速度閾値を決定し、自動運転車両が曲がっている間の速度の合理的な制御を実現し、自動運転車両がカーブを成功に通過することを確保し、速度が速くてカーブの死角領域に入って正常に走行できなくなることを回避することができると共に、横転も回避することができる。特に、角度が小さく且つ道路幅が狭いカーブについて、曲がる速度の制御が不合理であれば、自動運転車両がカーブの死角領域に入り易く、又は横転し易くなる。本技術案は、曲がっている間に車の速度上限の算出及び制御をリアルタイムで行うことによって当該現象の発生を回避することができると共に、自動運転車両がカーブで緊急停車する時の安全性を確保し、自動運転車両が制御できなくなった時に速度が速すぎて道路境界から飛び出すリスクを回避することもできる。異なる自動運転車両について、決定された速度閾値は、自動運転車両の位置決め誤差と自動運転システムの制御誤差とにも関連し、自動運転車両がカーブをスムーズに通過することを確保した上で、これらの誤差は、いずれも制御可能な範囲内にある。
【0037】
また、自動運転車両がカーブを走行している間に、自動運転車両の速度閾値をリアルタイムで算出し、車速を合理的に制御し、自動運転車両の走行経路を変更してもよいし、既存の計画経路を継続的に走行してもよく、具体的には、実際のカーブ環境に基づいて決定することができ、例えば、カーブには自動運転車両の現在の走行経路に影響を与える障害物が存在する場合、障害物情報に基づいて回避経路を再計画する必要がある。
【0038】
本出願の実施例の技術案によれば、自動運転車両の曲がる速度の上限を決定する時に、走行方向における感知領域内のカーブ境界と自動運転車両との間の安全停車距離と、自動運転車両のブレーキパラメータと、カーブの曲率とを包括的に考慮し、異なるカーブ運転の環境に応じてリアルタイムの車速上限の算出及び車速制御を行うことによって、従来技術における自動運転車両の曲がる速度の制御が合理でない問題を解決し、自動運転車両の異なるカーブにおける通行の成功率を向上させるだけでなく、カーブ通行の道路安全性を向上させ、曲がっている間に自動運転車両が制御できなくなって横転したり、停車に間に合わずにカーブ境界から飛び出したりするというリスクも回避することができる。
【0039】
図2は、本出願の実施例に係る別の自動運転車両のカーブ通行制御方法のフローチャートである。上記実施形態に基づいてさらに最適化し拡張し、上記の実施形態内の選択可能な各技術案と組み合わせることができる。図2に示すように、当該方法は、以下のステップ201~ステップ208を含むことができる。
【0040】
S201において、自動運転車両のカーブにおける現在の位置に基づいて、自動運転車両の現在の走行方向における感知領域内に位置するカーブ境界を決定する。
S202において、自動運転車両の現在の走行パラメータを用いて、自動運転車両の現在の走行方向におけるフィッティング直線を決定し、現在の走行パラメータは、現在の位置の座標と、現在の位置における自動運転車両の走行方向角度とを含む。
【0041】
本実施例では、自動運転車両の曲がる速度の制御を行うプロセスにおいて、自動運転車両の走行方向には回避する必要のある障害物が存在しない場合、自動運転車両は、曲がる前に既に決定された走行経路に沿って走行し続けて、自動運転車両の実行する必要のある計算量を省くことができる。走行経路が予め決定された場合、自動運転車両の走行位置は、運転軌跡上の各軌跡点:Traj:{P1,P2,P3,……,Pn}となる。曲がっている間に、自動運転車両の現在の位置情報をP(X,Y,Q)とし、ここで、(X,Y)は、位置座標を示し、Qは、自動運転車両の走行方向角度を示す。点(X,Y)を通過し且つQ角の方向に沿って、一つの直線を決定することができ、当該直線方程式は、A+B+C=0で示すことができ、ここで、A,B及びCは、直線パラメータを示し、簡単な代数計算によって決定することができる。
【0042】
S203において、フィッティング直線とカーブ境界に対応する曲線との交点を決定する。
【0043】
カーブ境界は、同様に、一連の離散座標点で示され、曲線フィッティングによって境界曲線を決定することができる。自動運転車両の現在の位置Piに基づいて、自動運転車両の現在の走行方向における自動運転車両の感知領域内又は自動運転車両の視野範囲内で切り取られた道路境界離散座標点をR:{R、R、R……、R}とし、曲線フィッティングによって境界曲線Y=F(X)を取得し、当該境界曲線は、カーブ境界の輪郭にできる限り近づけるべきである。次に、フィッティング直線と境界曲線とに対して代数計算を行って、両者の交点を取得し、当該交点は、自動運転車両が現在の位置を通過する時に、自動運転車両の速度が速い場合、自動運転車両が制御できなくなってカーブ境界から飛び出す可能性のある位置点である。
【0044】
選択可能に、フィッティング直線とカーブ境界に対応する曲線との交点を決定するステップは、フィッティング直線及び曲線のそれぞれに対応する方程式を共同で解いて交点を取得するステップ、又は、曲線上の各位置点をトラバーサルして、各位置点とフィッティング直線との間の点線距離を決定し、取得された点線距離が距離閾値未満である場合の対応する位置点を交点として決定するステップを含む。ここで、距離閾値は、計算精度に基づいて決定することができ、フィッティング直線からの距離が最も小さい曲線位置点を選出することを目的とする。曲線上の位置点が比較的密集している場合、すなわち、隣接する位置点間のステップ長が0.1メートル未満など小さい場合、点線距離を用いて交点を決定することが好ましい。これにより、曲線フィッティングの操作を省略することができ、また、曲線位置点間の密集性も、交点の決定の合理性及び精度を確保することができる。
【0045】
S204において、交点と現在の位置の座標との間の距離を自動運転車両のカーブにおける現在の安全停車距離として決定する。
【0046】
例として、座標点間の距離計算式を用いて交点と現在の位置座標との間の距離を取得することができる。
【0047】
S205において、現在の安全停車距離と、ブレーキ命令に対する自動運転車両の応答時間と、自動運転車両のターゲット加速度と、車体とカーブ境界との間の予め設定された安全距離とに基づいて、自動運転車両の現在の位置における第1のターゲット速度を決定する。
【0048】
本実施例では、自動運転車両のブレーキパラメータは、ブレーキ命令に対する自動運転車両の応答時間T、自動運転車両のターゲット加速度a、及び自動運転車両のタイヤのターゲット横方向摩擦係数&micro;を含む。ここで、ターゲット加速度aは、自動運転車両の支持する最大加速度を指し、自動運転車両のタイヤのターゲット横方向摩擦係数&micro;は、自動運転車両のタイヤの最大横方向摩擦係数を指してもよい。a、&micro;、Tは、いずれも自動運転車両の性能に関する既知の量である。自動運転車両の現在の位置における第1のターゲット速度をVmax1とし、現在の安全停車距離をLとし、車体とカーブ境界との間の予め設定された安全距離をLとし、通常、Lを0.5メートルにすることができ、Vmax1T+V max1/2a+L≦Lという式を利用して、当該第1のターゲット速度を決定することができる。
ここで、L=Vmax1Tは、自動運転車両制御システムがブレーキ命令を受信した時から当該ブレーキ命令の実行開始までの自動運転車両の前進距離を示し、L=V max1/2aは、自動運転車両がブレーキ命令を実行してからの緊急ブレーキ距離を示す。L、L、T、aは、いずれも既知の量であり、上記の式を解くことによって、自動運転車両の現在の位置における第1のターゲット速度を取得することができる。本出願の実施例に係る自動運転車両の曲がるプロセスにおける安全停車距離の概略図を示す図3を例とする。カーブ外側境界に対して完全停車距離を決定することを例とし、図3に示すように、S、Sは、それぞれカーブの外側境界及び内側境界を示し、点Pは、自動運転車両の現在の位置を示し、点Qは、現在のフィッティング直線とカーブ境界曲線との交点を示し、点Pと点Qとの間の距離は、自動運転車両の現在の安全停車距離であり、自動運転車両が曲がっている間に、自動運転車両が制御できなくなって当該安全停車距離内に停車した場合、自動運転車両カーブの外側境界から飛び出すことを回避し、自動運転車両の安全を確保することができる。
【0049】
S206において、自動運転車両のタイヤのターゲット横方向摩擦係数と現在の位置に対応するカーブの曲率とに基づいて、自動運転車両の現在の位置における第2のターゲット速度を決定する。
【0050】
具体的には、自動運転車両の現在の位置における第2のターゲット速度Vmax2は、Vmax2=√(g&micro;/K)の式を利用して決定することができる。ここで、Kは、自動運転車両の現在の位置に対応するカーブの曲率を示す。
【0051】
S207において、第1のターゲット速度と第2のターゲット速度とのうちの最小値を自動運転車両の速度閾値とする。
【0052】
すなわち、自動運転車両の現在の位置における曲がる速度の上限は、Vmax=min(Vmax1,Vmax2)である。
【0053】
S208において、速度閾値を超えないように自動運転車両の速度を制御する。
【0054】
本出願の実施例の技術案によれば、まず、自動運転車両の現在の走行方向に沿って直線フィッティングを行い、自動運転車両の現在の感知領域内のカーブ境界曲線を組み合わせて、自動運転車両の現在の安全停車距離を決定する。次に、自動運転車両の現在の安全停車距離と、自動運転車両のブレーキパラメータと、現在の位置のカーブの曲率とを包括的に考慮し、自動運転車両の現在の位置における曲がる速度の上限を決定する。これにより、曲がる速度の閾値の合理的な決定を実現し、従来技術における自動運転車両の曲がる速度の制御が合理でない問題を解決し、自動運転車両の異なるカーブにおける通行の成功率を向上させるだけでなく、カーブ通行の道路安全性を向上させ、曲がっている間に自動運転車両が制御できなくなって横転したり、停車に間に合わずにカーブ境界から飛び出したりするというリスクも回避することができる。
【0055】
図4は、本出願の実施例に係るさらに別の自動運転車両のカーブ通行制御方法のフローチャートである。上記の実施形態に基づいてさらに最適化し拡張し、上記の実施形態内の選択可能な各技術案と組み合わせることができる。図4に示すように、当該方法は、以下のステップ301~ステップ306を含むことができる。
S301において、自動運転車両のカーブにおける現在の位置に基づいて、自動運転車両の現在の走行方向における感知領域内に障害物が存在するか否かを決定する。
【0056】
障害物の決定については、画像の認識及び検出などの、従来技術における任意の利用可能な障害物認識技術を用いて実現することができ、本実施例では、具体的に限定されない。本実施例の障害物とは、自動運転車両の通常走行に影響を与える任意の物体を指す。
【0057】
S302において、障害物が存在する場合、障害物のタイプ及び/又は移動状態を決定し、当該タイプ及び/又は移動状態に基づいて、自動運転車両が障害物を回避する方式を決定して、自動運転車両が、回避方式によって決定された候補位置に基づいて、候補位置を通過する時の速度閾値を決定する。
【0058】
障害物のタイプは、歩行者、他の車両、バリケードなどの、障害物の属性によって区別することができ、移動状態は、障害物の移動傾向を示すためのものであり、具体的には、障害物の移動速度、移動方向、及び移動軌跡などの情報を含むことができる。障害物の移動状態に応じて、障害物を静的障害物と動的障害物とに分類することができる。
【0059】
自動運転車両の走行方向に障害物が存在すると決定された場合、従来技術における障害物の速度検出方法を用いて障害物の移動速度を決定し、長短期記憶ネットワーク(Long Short-Term Memory,LSTM)に基づくニューラルネットワークモデル又は隠れマルコフモデルの予測アルゴリズムを用いて障害物の移動方向及び移動軌跡を予測することができる。
【0060】
自動運転車両の現在の走行方向に障害物が存在すると決定された後、障害物タイプ及び移動状態のうちの少なくとも一つの要素を用いて現在の回避方式を決定することを実際の状況に応じて決定することができる。一例として、移動特性のない障害物について、自動運転車両が一定の距離だけ後退して迂回して回避することを選択することができ、移動特性のある障害物について、障害物の移動方向及び移動軌跡に基づいて、それぞれ自動運転車両の現在の走行方向及び現在の走行経路と比較して、自動運転車両が障害物を回避する方式を決定することができる。例えば、予測された障害物の移動軌跡と自動運転車両の現在の走行経路とを統合させて処理することができ、具体的には、障害物の移動軌跡及び自動運転車両の現在の走行経路をFrenet座標系(又はFrenet―Serret式という)にそれぞれ投影して比較及び分析を行い、自動運転車両と障害物との衝突確率を決定し、さらに、自動運転車両の走行経路を再計画して障害物の回避を実現する。
【0061】
S303において、回避方式によって決定された自動運転車両の候補位置に基づいて、当該候補位置に対応する走行方向における自動運転車両の感知領域内の候補カーブ境界を決定する。
【0062】
自動運転車両のカーブにおける障害物回避方式が決定された後、自動運転車両の候補位置とは、回避方式を決定する前の自動運転車両の位置を指してもよいし、回避方式を決定した後に回避方式によって決定された一つの新しい位置を指してもよい。回避方式が決定された後、自動運転車両の曲がる速度の制御は、自動運転車両の候補位置に基づいて実現され、すなわち、自動運転車両の当該候補位置は、一つの新しい現在の位置に相当する。
【0063】
S304において、自動運転車両の当該候補位置における走行パラメータとカーブ境界とを用いて、自動運転車両のカーブにおける候補安全停車距離を決定する。
【0064】
自動運転車両の当該候補位置における走行パラメータは、当該候補位置の座標及び候補位置における自動運転車両の走行方向角度などの情報を含むことができる。
【0065】
S305において、候補安全停車距離と、自動運転車両のブレーキパラメータと、候補位置に対応するカーブの曲率とに基づいて、自動運転車両の候補速度閾値を決定する。
【0066】
S306において、候補速度閾値を超えないように自動運転車両の速度を制御する。すなわち、決定された候補位置を当該候補速度閾値を超えない速度で通過するように自動運転車両を制御する。
【0067】
選択可能に、現在の走行方向における感知領域内に障害物が存在すると決定された場合、当該方法は、現在の走行方向における感知領域内の、カーブ道路区間の中心線上の各位置点に対応するカーブの曲率とカーブの幅とを取得するステップであって、当該カーブの曲率とカーブの幅とは、地図データを用いて取得可能であるステップと、各カーブの曲率のうちの最大曲率値及び各カーブの幅のうちの最大幅値がそれぞれ対応する閾値よりも小さいか否かを決定するステップと、最大曲率値及び最大幅値がそれぞれ対応する閾値よりも小さい場合、障害物のタイプ及び/又は移動状態に基づいて決定された、自動運転車両が障害物を回避する方式は、停車待機式回避と後退式迂回回避とを含むステップと、をさらに含む。
【0068】
自動運転車両の感知領域内において、各カーブの曲率の最大曲率値及び各カーブの幅の最大幅値がそれぞれ対応する閾値よりも小さい場合、自動運転車両が現在位置するカーブが、曲がる角度が小さく且つ道路幅が狭い特殊なカーブであることを表す。従来技術を用いてそのまま走行位置で障害物を回避する場合、速度が速いか、又は回避角度が大きいことに起因して、自動運転車両がカーブの死角領域に入って正常に通行できなくなるか、又は回避事故を引き起こす現象が非常に容易に発生する。従って、本実施例の技術案は、特殊なカーブに対して、時間又は位置バッファ式の障害物回避方式を採用して、狭いカーブの通行安全を確保する前提で、障害物の合理的な回避を実現する。カーブの曲率閾値及びカーブの幅閾値は、自動運転車両のサイズと自動運転車両の最小曲がる半径とに基づいて合理的に決定することができ、本実施例では、具体的に限定されない。
【0069】
具体的には、停車待機式回避とは、自動運転車両が、障害物のタイプ及び/又は移動状態に基づいてまず停車し、障害物が予め設定された時間だけ移動し続けた後、自動運転車両が既存の走行経路に沿って走行し続け、走行中にリアルタイムで曲がる速度の閾値算出及び速度制御を行うことによって、障害物の合理的な回避を実現することを指す。ここで、予め設定された時間は、衝突を回避する前提で、障害物の移動速度に基づいて適宜に決定することができる。後退式迂回回避とは、自動運転車両が、障害物のタイプ及び/又は移動状態に基づいて、現在の位置から予め設定された距離だけ後退した後、カーブ走行の制約条件に基づいて走行経路を再計画し、新しい走行経路に基づいた走行中に曲がる速度の閾値算出及び速度制御をリアルタイムで行うことによって、障害物の回避を実現することを指す。ここで、予め設定された距離は、道路走行の安全性に基づいて適宜に決定することもできる。自動運転車両がそのまま障害物を迂回する場合に比べて、自動運転車両が予め設定された距離だけ後退するほうは、自動運転車両と障害物との間の距離を増加させ、自動運転車両が障害物を迂回する軌跡の円弧度を緩やかにすることができ、自動運転車両のカーブにおける走行経路全体の緩やかさを確保することができるため、障害物を回避する間に自動運転車両が横転したり、曲がる死角領域に入ったりするというリスクを低減することができると共に、障害物が存在するカーブでの自動運転車両の通行性も向上させることができる。また、自動運転車両が狭い道路内でそのまま障害物に近づける状態で経路計画を行う場合に発生しやすい経路計画の失敗現象も回避することができる。
【0070】
例1として、最大曲率値及び最大幅値がそれぞれ対応する閾値よりも小さい場合、タイプ及び/又は移動状態に基づいて、自動運転車両が障害物を回避する方式を決定するステップは、障害物が動的障害物であり、動的障害物の移動方向が自動運転車両の現在の走行方向から離れていく場合、現在の位置で予め設定された時間だけ停車するように自動運転車両を制御し、予め設定された時間が終了した後に、速度閾値以下の速度で現在の位置を通過するように自動運転車両を制御するステップを含む。当該動的障害物が歩行者であることを例とし、予め設定された時間は、統計された歩行者の行走速度に基づいて決定することができ、当該予め設定された時間内に、歩行者が自動運転車両の現在の位置から徐々に離れていき、予め設定された時間が終了した後、歩行者と自動運転車両との間の距離が既に安全距離に達し、衝突事故が発生しないため、自動運転車両は、経路を変更する必要がなく、既存の走行経路に基づいて走行し続けることができ、走行中に上記の方法に従って速度の合理的な制御を行い、カーブを安全に通過することができる。
【0071】
例2として、最大曲率値及び最大幅値がそれぞれ対応する閾値よりも小さい場合、タイプ及び/又は移動状態に基づいて、自動運転車両が障害物を回避する方式を決定するステップは、障害物が静的障害物であり、又は障害物の移動方向と自動運転車両の現在の移動方向との夾角が夾角閾値未満である場合、現在の位置から予め設定された距離だけ後退するように自動運転車両を制御し、自動運転車両が予め設定された距離だけ後退した後に位置する候補位置に基づいて、障害物の回避経路を計画するステップと、回避経路に内の候補位置に対応する走行方向における自動運転車両の感知領域内の候補カーブ境界を決定し、候補カーブ境界に基づいて自動運転車両が候補位置を通過する時の候補速度閾値を決定するステップと、を含む。
【0072】
障害物の移動方向と自動運転車両の現在の移動方向との夾角が夾角閾値未満ということは、自動運転車両が当該移動障害物に衝突するリスクがあることを指し、夾角閾値は、衝突リスクの統計分析に基づいて決定することができる。障害物の移動方向と自動運転車両の現在の移動方向との夾角が夾角閾値以上である場合、当該移動障害物が自動運転車両に衝突するリスクがなく、自動運転車両が回避を実行する必要がないと考えられる。自動運転車両は、当該候補位置に基づいて経路を再計画するプロセスにおいて、当該候補位置における曲がる速度閾値を同時に算出し、自動運転車両の位置変化に伴って、速度閾値の算出及び速度制御をリアルタイムで実行して、障害物を安全に回避してカーブをスムーズに通過する効果を奏する。
【0073】
また、障害物が存在しない場合でも、自動運転車両がカーブを走行している時に、引っかかって停止する現象が発生した場合、一定の距離だけ後退して走行経路を再計画することによって、カーブ道路区間の通行性を向上させることもできる。
【0074】
本出願の実施例の技術案によれば、自動運転車両がカーブ走行している間に、カーブに障害物が存在する場合、障害物のタイプ及び/又は移動状態に基づいて、自動運転車両が障害物を回避する方式を決定して、自動運転車両が、回避方式によって決定された候補位置に基づいて、候補位置を通過する時の速度閾値を決定する。これにより、カーブを走行している自動運転車両が障害物を安全且つ合理的に回避することを確保した上で、自動運転車両のカーブ通行の成功率を向上させ、カーブ走行の安全性を確保し、カーブを走行している自動運転車両が障害物を回避することに起因して横転したり、カーブの死角領域に入ったりするという現象が発生し易いことを回避することができる。
【0075】
図5は、本出願の実施例に係る自動運転車両のカーブ通行制御装置の概略構成図である。本実施例は、自動運転車両又は無人車のカーブ走行中に、自動運転車両の曲がる通行を合理的に制御する場合に適用可能であり、カーブ道路区間は、路面幅が狭く且つカーブ角度が小さい道路区間を含む。当該装置は、ソフトウェア及び/又はハードウェアの方式で実現することができ、車両制御システム又は車載機器に統合することができる。
【0076】
図5に示すように、本実施例に係る自動運転車両のカーブ通行制御装置400は、カーブ境界決定モジュール401、現在の安全停車距離決定モジュール402、速度閾値決定モジュール403、及び速度制御モジュール404を備えることができる。
カーブ境界決定モジュール401は、自動運転車両のカーブにおける現在の位置に基づいて、自動運転車両の現在の走行方向における感知領域内に位置するカーブ境界を決定するように構成される。
現在の安全停車距離決定モジュール402は、自動運転車両の現在の走行パラメータとカーブ境界とを用いて、自動運転車両のカーブにおける現在の安全停車距離を決定するように構成される。
速度閾値決定モジュール403は、現在の安全停車距離と、自動運転車両のブレーキパラメータと、現在の位置に対応するカーブの曲率とに基づいて、自動運転車両の速度閾値を決定するように構成される。
速度制御モジュール404は、速度閾値を超えないように自動運転車両の速度を制御するように構成される。
【0077】
選択可能に、カーブ境界決定モジュール401は、自動運転車両のカーブにおける現在の位置に基づいて、地図上で位置マッチングを行うことによって、カーブの地図データを決定するように構成される地図データ決定ユニットと、自動運転車両の現在の走行方向における感知領域に対応する感知角度を用いて、カーブの地図データからカーブ境界を抽出するように構成されるカーブ境界抽出ユニットと、を備える。
【0078】
選択可能に、現在の安全停車距離決定モジュール402は、自動運転車両の現在の走行パラメータを用いて、自動運転車両の現在の走行方向におけるフィッティング直線を決定するように構成される直線フィッティングユニットであって、現在の走行パラメータは、現在の位置の座標と、現在の位置における自動運転車両の走行方向角度とを含む直線フィッティングユニットと、フィッティング直線とカーブ境界に対応する曲線との交点を決定するように構成される交点決定ユニットと、交点と現在の位置の座標との間の距離を自動運転車両のカーブにおける現在の安全停車距離として決定するように構成される現在の安全停車距離決定ユニットと、を備える。
【0079】
選択可能に、交点決定ユニットは、具体的には、フィッティング直線及び曲線のそれぞれに対応する方程式を共同で解いて、交点を取得し、又は、曲線上の各位置点をトラバーサルし、各位置点とフィッティング直線との間の点線距離を決定し、取得された点線距離が距離閾値未満である場合の対応する位置点を交点として決定するように構成される。
【0080】
選択可能に、自動運転車両のブレーキパラメータは、ブレーキ命令に対する自動運転車両の応答時間と、自動運転車両のターゲット加速度と、自動運転車両のタイヤのターゲット横方向摩擦係数と、を含み、これに応じて、速度閾値決定モジュール403は、現在の安全停車距離と、ブレーキ命令に対する自動運転車両の応答時間と、自動運転車両のターゲット加速度と、車体とカーブ境界との間の予め設定された安全距離とに基づいて、自動運転車両の現在の位置における第1のターゲット速度を決定するように構成される第1のターゲット速度決定ユニットと、自動運転車両のタイヤのターゲット横方向摩擦係数と現在の位置に対応するカーブの曲率とに基づいて、自動運転車両の現在の位置における第2のターゲット速度を決定するように構成される第2のターゲット速度決定ユニットと、第1のターゲット速度及び第2のターゲット速度のうちの最小値を自動運転車両の速度閾値とするように構成される速度閾値決定ユニットと、を備える。
【0081】
選択可能に、当該装置は、カーブ境界決定モジュール401が自動運転車両のカーブにおける現在の位置に基づいて、現在の走行方向における感知領域内に位置するカーブ境界を決定する操作を実行する前に、自動運転車両のカーブにおける現在の位置に基づいて、現在の走行方向における感知領域内に障害物が存在するか否かを決定するように構成される障害物決定モジュールと、障害物が存在する場合、障害物のタイプ及び/又は移動状態を決定し、タイプ及び/又は移動状態に基づいて、自動運転車両が障害物を回避する方式を決定して、自動運転車両が、回避方式によって決定された候補位置に基づいて、候補位置を通過する時の速度閾値を決定するように構成される回避方式決定モジュールと、をさらに備える。
【0082】
選択可能に、障害物が存在する場合、回避方式決定モジュールは、現在の走行方向における感知領域内内の、カーブ道路区間の中心線上の各位置点に対応するカーブの曲率とカーブの幅とを取得するように構成されるカーブの曲率及びカーブの幅取得ユニットと、各カーブの曲率のうちの最大曲率値及び各カーブの幅のうちの最大幅値がそれぞれ対応する閾値よりも小さいか否かを決定するように構成される閾値比較ユニットと、最大曲率値及び最大幅値がそれぞれ対応する閾値よりも小さい場合、タイプ及び/又は移動状態に基づいて決定された、自動運転車両が障害物を回避する方式は、停車待機式回避と後退式迂回回避とを含むように構成される回避方式決定ユニットと、を備える。
【0083】
選択可能に、最大曲率値及び最大幅値がそれぞれ対応する閾値よりも小さい場合、回避方式決定ユニットは、障害物が動的障害物であり、動的障害物の移動方向が自動運転車両の現在の走行方向から離れていく場合、現在の位置で予め設定された時間だけ停車するように自動運転車両を制御し、予め設定された時間が終了した後に、速度閾値以下の速度で現在の位置を通過するように自動運転車両を制御するように構成される停車待機回避サブユニットを備える。
【0084】
選択可能に、最大曲率値及び最大幅値がそれぞれ対応する閾値よりも小さい場合、回避方式決定ユニットは、障害物が静的障害物であり、又は障害物の移動方向と自動運転車両の現在の移動方向との夾角が夾角閾値未満である場合、現在の位置から予め設定された距離だけ後退するように自動運転車両を制御し、自動運転車両が予め設定された距離だけ後退した後に位置する候補位置に基づいて、障害物の回避経路を計画するように構成される回避経路計画サブユニットと、回避経路内の候補位置に対応する走行方向における自動運転車両の感知領域内の候補カーブ境界を決定し、候補カーブ境界に基づいて、自動運転車両が候補位置を通過する時の候補速度閾値を決定するように構成される候補速度閾値決定サブユニットと、を備える。
【0085】
本出願の実施例に係る自動運転車両のカーブ通行制御装置400は、本出願の実施例に係るいずれかの自動運転車両のカーブ通行制御方法を実行することができ、方法の実行に対応する機能モジュール及び有益な効果を有する。本実施例で詳細に説明されていない内容は、本出願のいずれかの方法の実施例の説明を参照することができる。
【0086】
本出願の実施例によれば、本出願は、電子機器及び読み取り可能な記憶媒体をさらに提供する。
【0087】
図6に示すように、図6は、本出願の実施例の自動運転車両のカーブ通行制御方法を実現するための電子機器のブロック図である。電子機器は、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ワークステーション、携帯情報端末、サーバ、ブレードサーバ、メインフレームコンピュータ、及び他の適切なコンピュータなど、様々な形式のデジタルコンピュータを表すことを目的とする。電子機器は、任意の車載デバイスを表すことができ、パーソナルデジタル処理、携帯電話、スマートフォン、ウェアラブルデバイス、他の同様のコンピューティングデバイスなど、様々な形式のモバイルデバイスを表すこともできる。本明細書で示されるコンポーネント、それらの接続と関係、及びそれらの機能は単なる例であり、本明細書で説明された及び/又は要求された本出願の実施例の実現を制限することを意図したものではない。
【0088】
図6に示すように、当該電子機器は、一つ又は複数のプロセッサ501と、メモリ502と、高速インタフェースと低速インタフェースとを含む各コンポーネントを接続するためのインタフェースと、を備える。各コンポーネントは、異なるバスで相互に接続され、共通のマザーボードに取り付けられるか、又は必要に基づいて他の方式で取り付けることができる。プロセッサは、外部入力/出力装置(インタフェースに結合されたディスプレイデバイスなど)にグラフィカルユーザインタフェース(Graphical User Interface,GUI)の図形情報を表示するためにメモリに記憶されている命令を含む、電子機器内で実行される命令を処理することができる。他の実施形態では、必要であれば、複数のプロセッサ及び/又は複数のバスを、複数のメモリとともに使用することができる。同様に、複数の電子機器を接続することができ、各機器は、一部の必要な操作を提供し、例えば、サーバアレイ、1セットのブレードサーバ、又はマルチプロセッサシステムとする。図6では、一つのプロセッサ501を例とする。
【0089】
メモリ502は、本出願の実施例により提供される非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体である。ここで、前記メモリには、少なくとも一つのプロセッサによって実行される命令が記憶されているため、前記少なくとも一つのプロセッサが本出願の実施例により提供される自動運転車両のカーブ通行制御方法を実行することができる。本出願の実施例の非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体には、コンピュータに本出願の実施例により提供される自動運転車両のカーブ通行制御方法を実行させるためのコンピュータ命令が記憶されている。
【0090】
メモリ502は、非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体として、本出願の実施例に係る自動運転車両のカーブ通行制御方法に対応するプログラム命令/モジュールのような、非一時的なソフトウェアプログラム、非一時的なコンピュータ実行可能なプログラム及びモジュールを記憶するように構成され、例えば、図4に示すカーブ境界決定モジュール401、現在の安全停車距離決定モジュール402、速度閾値決定モジュール403、及び速度制御モジュール404を記憶するように構成される。プロセッサ501は、メモリ502に記憶されている非一時的なソフトウェアプログラム、命令及びモジュールを実行することによって、サーバの様々な機能アプリケーション及びデータ処理を実行し、すなわち、上記の方法の実施例に係る自動運転車両のカーブ通行制御方法を実現する。
【0091】
メモリ502は、ストレージプログラム領域とストレージデータ領域とを含むことができ、ここで、ストレージプログラム領域は、オペレーティングシステム、少なくとも一つの機能に必要なアプリケーションプログラムを記憶することができ、ストレージデータ領域は、本出願の実施例に係る自動運転車両のカーブ通行制御方法を実現するように構成される電子機器の使用のために作成されたデータなどを記憶することができる。また、メモリ502は、高速ランダムアクセスメモリを備えることができ、少なくとも一つのディスクストレージデバイス、フラッシュメモリデバイス、又は他の非一時的なソリッドステートストレージデバイスなど、非一時的なメモリをさらに備えることができる。いくつかの実施例では、メモリ502は、プロセッサ501に対して遠隔に設置されたメモリを備えることができ、これらの遠隔メモリは、ネットワークを介して、本出願の実施例に係る自動運転車両のカーブ通行制御方法を実現するように構成される電子機器に接続することができる。上記のネットワークの例は、インターネット、イントラネット、ローカルエリアネットワーク、モバイル通信ネットワーク、及びその組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0092】
本出願の実施例に係る自動運転車両のカーブ通行制御方法を実現するための電子機器は、入力装置503と出力装置504とをさらに備えることができる。プロセッサ501、メモリ502、入力装置503、及び出力装置504は、バス又は他の方式で接続することができ、図6では、バスで接続することを例とする。
【0093】
入力装置503は、入力された数字又はキャラクタ情報を受信するとともに、本出願の実施例に係る自動運転車両のカーブ通行制御方法を実現するための電子機器のユーザ設定及び機能制御に関するキー信号入力を生成することができ、例えば、タッチスクリーン、キーパッド、マウス、トラックパッド、タッチパネル、ポインティングスティック、一つ又は複数のマウスボタン、トラックボール、ジョイスティックなどの入力装置である。出力装置504は、ディスプレイデバイス、補助照明デバイス、及び触覚フィードバックデバイスなどを備えることができ、補助照明デバイスは、例えば、発光ダイオード(Light Emitting Diode,LED)であり、触覚フィードバックデバイスは、例えば、振動モータなどである。当該ディスプレイデバイスは、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display,LCD)、LEDディスプレイ、及びプラズマディスプレイを備えることができるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、ディスプレイデバイスは、タッチスクリーンであってもよい。
【0094】
本明細書で説明されたシステム及び技術の様々な実施形態は、デジタル電子回路システム、集積回路システム、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit,ASIC)、コンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、及び/又はそれらの組み合わせで実現することができる。これらの様々な実施形態は、一つ又は複数のコンピュータプログラムで実施され、当該一つ又は複数のコンピュータプログラムは、少なくとも一つのプログラマブルプロセッサを含むプログラム可能なシステムで実行及び/又は解釈することができ、当該プログラマブルプロセッサは、特定用途向け又は汎用プログラマブルプロセッサであってもよく、ストレージシステム、少なくとも一つの入力装置、及び少なくとも一つの出力装置からデータ及び命令を受信し、データ及び命令を当該ストレージシステム、当該少なくとも一つの入力装置、及び当該少なくとも一つの出力装置に伝送可能であることを含むことができる。
【0095】
これらのコンピュータプログラムは、プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、又はコードとも呼ばれ、プログラマブルプロセッサの機械命令を含み、ハイレベルのプロセス及び/又はオブジェクト指向プログラミング言語、及び/又はアセンブリ/機械言語でこれらのコンピューティングプログラムを実施することができる。本明細書に使用されるように、「機械読み取り可能な媒体」及び「コンピュータ読み取り可能な媒体」という用語とは、機械命令及び/又はデータをプログラマブルプロセッサに提供するための任意のコンピュータプログラム製品、機器、及び/又は装置、例えば、磁気ディスク、光ディスク、メモリ、プログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device,PLD)を指し、機械読み取り可能な信号である機械命令を受信する機械読み取り可能な媒体を含む。「機械読み取り可能な信号」という用語とは、機械命令及び/又はデータをプログラマブルプロセッサに提供するための任意の信号を指す。
【0096】
ユーザとのインタラクションを提供するために、ここで説明されたシステム及び技術をコンピュータ上で実施することができ、当該コンピュータは、陰極線管(Cathode Ray Tube,CRT)又はLCDモニタなどのユーザに情報を表示するためのディスプレイ装置と、マウス又はトラックボールなどのキーボード及びポインティングデバイスとを有する。ユーザは、当該キーボード及び当該ポインティングデバイスによって入力をコンピュータに提供することができる。他の種類の装置は、ユーザとのインタラクションを提供するために用いることもできる。例えば、ユーザに提供されるフィードバックは、視覚フィードバック、聴覚フィードバック、又は触覚フィードバックなどの任意の形式のセンシングフィードバックであってもよく、音響入力、音声入力、又は触覚入力を含む任意の形式でユーザからの入力を受信することができる。
【0097】
ここで説明されるシステム及び技術は、データサーバなどのバックエンドコンポーネントを含むコンピューティングシステムで実施することができ、又はアプリケーションサーバーなどのミドルウェアコンポーネントを含むコンピューティングシステムで実施することができ、又はグラフィカルユーザインタフェース又はウェブブラウザを有するユーザコンピュータなどのフロントエンドコンポーネントを含むコンピューティングシステムで実施することができる。ユーザは、当該グラフィカルユーザインタフェース又は当該ウェブブラウザによって、ここで説明されたシステム及び技術の実施形態とインタラクションし、又はこのようなバックエンドコンポーネント、ミドルウェアコンポーネント、又はフロントエンドコンポーネントの任意の組み合わせを含むコンピューティングシステムで実施することができる。通信ネットワークなどの任意の形式又は媒体のデジタルデータ通信を介してシステムのコンポーネントを相互に接続することができる。通信ネットワークの例は、ローカルエリアネットワーク(Local Area Network,LAN)と、ワイドエリアネットワーク(Wide Area Network,WAN)と、インターネットとを含む。
【0098】
コンピュータシステムは、クライアント側とサーバとを含むことができる。クライアント側とサーバは、通常互いに離れており、通常に通信ネットワークを介してインタラクションする。対応するコンピュータ上で実行され、且つ互いにクライアント側―サーバ関係を持つコンピュータプログラムによってクライアント側とサーバとの関係が生成される。
【0099】
本出願の実施例の技術案によれば、自動運転車両の曲がる速度の上限を決定する時に、走行方向における感知領域内のカーブ境界と自動運転車両との間の安全停車距離と、自動運転車両のブレーキパラメータと、カーブの曲率とを包括的に考慮し、異なるカーブ走行環境に基づいて、車速上限算出及び車速制御をリアルタイムで行うことによって、従来技術における自動運転車両の曲がる速度の制御が合理ではない問題を解決し、自動運転車両の異なるカーブにおける通行の成功率を向上させるだけでなく、カーブ通行の道路安全性を向上させ、曲がっている間に自動運転車両が制御できなくなって横転したり、停車に間に合わずにカーブ境界を飛び出したりするというリスクを回避し、障害物のタイプ及び/又は移動状態に基づいて、自動運転車両が障害物を回避する方式を決定し、カーブで障害物の合理的な回避も実現することができる。
【0100】
なお、上記の様々な形式のフローを用いて、ステップを並べ替え、追加、又は削除することができることを理解されたい。例えば、本出願に記載されている各ステップは、並列に実行されてもよいし、順次的に実行されてもよいし、異なる順序で実行されてもよいが、本出願で開示されている技術案の所望の結果を実現することができれば、本明細書では限定されない。
【0101】
上記の具体的な実施形態は、本出願の保護範囲を制限するものではない。当業者は、設計要求と他の要因に応じて、様々な変更、組み合わせ、サブ組み合わせ、及び代替を行うことができる。本出願の趣旨と原則内で行われるあらゆる変更、同等の置換、及び改良などは、いずれも本出願の保護範囲内に含まれるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6