(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-01
(45)【発行日】2023-06-09
(54)【発明の名称】画像取得装置を備えた飲料製造装置
(51)【国際特許分類】
A47J 31/36 20060101AFI20230602BHJP
A47J 31/44 20060101ALI20230602BHJP
【FI】
A47J31/36 124
A47J31/44 510
(21)【出願番号】P 2020549551
(86)(22)【出願日】2019-02-28
(86)【国際出願番号】 IB2019051619
(87)【国際公開番号】W WO2019180522
(87)【国際公開日】2019-09-26
【審査請求日】2021-11-01
(31)【優先権主張番号】102018000003890
(32)【優先日】2018-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】514028558
【氏名又は名称】カフィタリー システム エス.ピー.エー.
【氏名又は名称原語表記】CAFFITALY SYSTEM S.p.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100173794
【氏名又は名称】色部 暁義
(72)【発明者】
【氏名】ジョヴァンニ アキュルシ
(72)【発明者】
【氏名】マウリツィオ ディアマンティ
【審査官】川口 聖司
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-500969(JP,A)
【文献】特開2004-258293(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0325620(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/00-31/60
G07F 13/00-15/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料製造装置(1)であって、前記飲料製造装置(1)は、
飲料製造用の食品物質を含むカプセルを受け入れるのに適した抽出チャンバー(21)と、
前記カプセルを前記飲料製造装置(1)に挿入するための挿入開口部(31)と、
前記挿入開口部(31)を前記抽出チャンバー(21)に連結するカプセル移送チャネル(32)と、
使用時に前記カプセルの一部の少なくとも1つの画像を取得するための画像取得装置(4)であって、使用時に前記カプセルが配置されるか通過する画像捕捉ゾーン(40)の方に向いた光学センサー(42)を含み、前記画像捕捉ゾーン(40)は前記
カプセル移送チャネル(32)の伸長部である、画像取得装置(4)と、
前記
光学センサ(42)と前記画像捕捉ゾーン(40)との間に配置された透明材料からなる観察窓(45)であって、前記光学センサ(42)に面する第1の面(451)および前記画像捕捉ゾーン(40)に面する第2の面(452)を有する、観察窓(45)と、
加熱装置(6、22)と、
を備え、
前記加熱装置(6、22)が前記飲料製造装置(1)の第1の領域(11)に配置され、前記観察窓(45)が前記飲料製造装置(1)の第2の領域(12)に配置され、前記第1の領域(11)が前記第2の領域(12)よりも低い高さにあり、
前記第1の領域(11)および前記第2の領域(12)が互いに連通しており、それにより前記第1の領域(11)から前記第2の領域(12)への空気の流れが可能であり、
前記
飲料製造装置(1)は、使用時に、前記加熱装置(6、22)が前記第1の領域(11)の空気を加熱し、前記加熱された空気が前記第2の領域(12)に流入し、前記加熱された空気が前記観察窓(45)の前記第1の面(451)および/または前記第2の面(452)と接触し、前記観察窓(45)を加熱することができるように構成されている、
飲料製造装置(1)。
【請求項2】
使用時に、煙突効果により生じる自然換気によって前記第1の領域(11)から前記第2の領域(12)への前記加熱された空気の流れを生じる、請求項1に記載の飲料製造装置(1)。
【請求項3】
前記加熱装置(6、22)が、飲料製造のために水を加熱するためのヒータ(22)であるか、または前記ヒータを含む、請求項1または2に記載の飲料製造装置(1)。
【請求項4】
ヒータ(22)が外部シェル(60)を備え、前記外部シェル(60)の少なくとも一部が前記第1の領域(11)内にあり、前記外部シェルが前記ヒータ(22)の使用中に加熱されるため、前記加熱装置(6、22)が前記外部シェル(60)と空気との熱交換によって前記第1の領域(11)内の前記空気を加熱する、請求項1~3のいずれか一項に記載の飲料製造装置(1)。
【請求項5】
画像取得装置(4)が、前記
カプセル移送チャネル(32)の側方に存在する座部(33)に配置され、前記観察窓(45)が前記
カプセル移送チャネル(32)から離れて
、前記第2の領域(12)が前記観察窓(45)と前記カプセル移送チャネル(32)との間にあるため、使用時に、前記加熱された空気が前記観察窓(45)の第2の面(452)と接触できる、請求項1~4のいずれか一項に記載の飲料製造装置(1)。
【請求項6】
前記第2の領域(12)が前記
カプセル移送チャネル(32)と連通しており、または前記第2の領域(12)が前記
カプセル移送チャネル(32)の一部であるため、使用時に、前記加熱された空気が前記観察窓(45)の前記第2の面(452)と接触するとともに前記
カプセル移送チャネル(32)に入ることができ、その後前記挿入開口部(31)から出ることができる、請求項1~5のいずれか一項に記載の飲料製造装置(1)。
【請求項7】
前記画像取得装置(4)が、前記光学センサ(42)が収容された内部チャンバ(50)を囲む箱形筐体(5)を含み、前記観察窓(45)が前記箱形筐体(5)の一部であり、前記加熱装置(6、22)が前記箱形筐体(5)の下に配置されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の飲料製造装置(1)。
【請求項8】
前記箱形筐体(5)の底壁(52)と前記加熱装置(6、22)との間に空気通路(57)があり、前記空気通路(57)が前記第1の領域(11)と前記第2の領域(12)と連通し、前記第1の領域(11)から前記第2の領域(12)への前記加熱された空気の流れが前記空気通路(57)内に存在する、請求項7に記載の飲料製造装置(1)。
【請求項9】
前記空気通路(57)は、前記ヒータ(22)の前記外部シェル(60)と前記箱形筐体(5)の前記底壁(52)との間に形成されている、請求項4に従属する請求項8に記載の飲料製造装置(1)。
【請求項10】
前記
飲料製造装置(1)は、使用済みカプセル用の収集チャンバ(15)を備え、前記収集チャンバ(15)が
前記抽出チャンバー(21)の下にあり、前記抽出チャンバ(21)を通って前記
カプセル移送チャネル(32)に連通しており、
前記
飲料製造装置(1)は、前記収集チャンバ(15)を前記第1の領域(11)から分離する少なくとも1つの隔壁(18)を備え、前記第1の領域(11)が、前記
飲料製造装置(1)の外部シェル(10)の少なくとも1つの開口部またはスリット(19)によって前記
飲料製造装置(1)の外部環境と連通している、請求項1~9のいずれか一項に記載の飲料を製造するための
飲料製造装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料を製造する装置の分野に関する。特に、本発明は、食品物質を含むカプセルを使用する飲料製造装置であって、使用するカプセルの一部の少なくとも1つの画像を取得する画像取得装置を備えた装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、飲料を製造し得る多くのタイプの従来装置があり、それらは、一般に、使用時に、食品物質を含むカプセルを挿入することができる抽出チャンバが形成された抽出ユニットを備える。
【0003】
抽出ユニットは、第1の部分と第2の部分とを備え、第1の部分および第2の部分は、互いに離間して、抽出チャンバ内にカプセルを配置できるように抽出チャンバが開放されるホーム位置と、互いに結合して、抽出チャンバを閉じる抽出位置と、の間で少なくとも一方が他方に対して移動することができる。
【0004】
また、水(特に、温水および加圧水)を閉鎖抽出チャンバ内に収容されたカプセルを通して循環させ、それによって飲料を製造し、その飲料を装置の外部に供給する飲料製造手段もある。
【0005】
この分野では、装置に供給されるカプセルのタイプを検出し得る従来技術の装置があり、 この装置は、検出されたカプセルのタイプに基づいて、カプセルのタイプに最適な抽出および供給パラメータ(カプセルに供給される水の温度や圧力など)を採用する。
【0006】
その目的のために現在使用されている1つの特定の技術は、抽出チャンバの上流または抽出チャンバ内に位置する画像取得装置によるカプセルの光学的認識を含む。画像取得装置は、カプセルに存在するバーコードまたはQRコードまたは別の認識可能なコードを読み取るのに適している。
【0007】
しかしながら、この技術に対する従来技術の解決策にはいくつかの欠点がある。
【0008】
特に、画像取得装置は、抽出チャンバからおよび/または使用済みカプセル用の収集ドロワから到来する水蒸気または湿った空気が存在する可能性がある装置の一部に配置される。冷たい表面と接触すると、気相中の水分がその表面に結露および曇りを生じ得る。これは、特に、画像取得装置の光学センサを認識すべきカプセルが通過する領域から分離する透明な材料からなる観察窓で起こる。この欠点は、環境の温度が低いほど大きくなる。
【0009】
画像取得装置の観察窓の結露および曇りは、装置自体の動作を妨害するか、さらには妨げる可能性があり、多かれ少なかれ深刻な読み取りエラーをもたらす可能性がある。
【0010】
したがって、画像取得装置の正しい動作を妨げる可能性のある結露または曇りの形成を防ぐ必要がある。
【0011】
いくつかの従来技術の解決策では、観察窓に強制空気流を生成するためのファンを設けるか、または観察窓をユーザが容易にアクセスおよび清掃できるように配置している。しかしながら、従来技術の解決策は、完全に満足できるものでも、効果的なものでもないのみならず、技術的な複雑さ、追加のコスト、またはユーザによる手動介入を必要性とするものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
これに関連して、本発明の基礎を成す技術的目的は、上記の欠点を克服または少なくとも軽減するか、または先行技術の解決策に代わる解決策を提供する、飲料製造装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
特定の技術的目的および示された狙いは、請求項1に記載の飲料製造装置によって実質的に達成される。本発明の特定の実施形態は、対応する従属請求項で特定される。
【0014】
本発明の一態様によれば、飲料製造装置は、装置の第1の領域に配置された加熱装置を備え、画像取得装置の観察窓が装置の第2の領域に配置される。第1の領域は、第2の領域よりも低い高さにあり、2つの領域は、例えば、それらを結合するチャネルを介して互いに連通し、それにより、第1の領域から第2の領域への空気の流れを可能にする。使用中、加熱装置が第1の領域の空気を加熱し、加熱された空気が第2の領域に流れ込み、その領域にて加熱された空気が観察窓と接触することができる。
【0015】
これは、観察窓自体の近くに特別な装置を配置する必要がない簡単な方法で、観察窓を加熱して、観察窓上での結露の形成を防止または軽減するために役立つ。また、第2の領域の換気を生成し、その領域に湿った空気が滞留するのを防ぐのにも役立つ。特に、第1の領域から第2の領域への加熱された空気の流れは、煙突効果により発生する自然換気であり、その結果、機械的なファンを必要としない。
【0016】
本質的に、第2の領域を流れる加熱された空気は、観察窓上の結露または曇りの形成を妨げるまたは防止することができる。
【0017】
一実施形態では、加熱装置は、飲料製造のために水を加熱するためのヒータであるか、または該ヒータを含む。この場合、本装置に空気を加熱するための特別な加熱装置を装備する必要はなく、代わりに、抽出用にすでに設けられているヒータを使用することができる。使用中、空気を加熱するための熱エネルギーは、抽出空気の加熱の副産物である。この解決策は、装置のコストを増加しないために有利である。さらに、使用中のヒータの加熱は、曇りの原因となる湿った空気が生じる前に起こるため、観察窓は前もって加熱され、よって結露の形成が防止される。
【0018】
さらに具体的には、ヒータは外部筐体またはシェルを含み、該外部筐体またはシェルは少なくとも部分的に第1の領域にあり、ヒータの使用中に熱くなるため、加熱装置は、第1の領域内の空気を外部シェルと空気との熱交換により加熱する。この解決策は、先行技術の装置ですでに使用可能なヒータに実質的な変更を必要としないために有利である。
【0019】
一実施形態では、画像取得装置は、光学センサが収容される内部チャンバを囲む箱形筐体を含む。観察窓は箱形筐体の一部であり、加熱装置(特に上記のヒータ)は箱形筐体の下方に配置される。これは、コンポーネントのレイアウトを最適化し、加熱装置と観察窓の間の加熱空気の経路を最小化するのに有用である。
【0020】
例えば、箱形筐体の底壁と加熱装置との間には、第1の領域を第2の領域と連通させる空気流通チャネルがある。具体的には、ヒータの外部シェルと箱形筐体の底壁との間に空気通路チャネルが形成されている。第1の領域から第2の領域への加熱された空気の流れは、空気流通チャネル内で発生する。
【0021】
一実施形態では、加熱装置が配置される第1の領域は、装置の外部筐体またはシェル内の少なくとも1つの開口部またはスリットによって、装置の外部環境と連通する。これは、空気が外部から第1の領域に入るのを可能にするのに有用であり、その空気が加熱装置によって加熱され、第2の領域に流入することが意図されている。外部からの空気の流入は特に有益であり、それは、装置内にすでに存在する空気と比較して、外部の空気は、装置で生成された蒸気、たとえば、抽出チャンバまたは使用済みカプセルの収集チャンバから到来する蒸気が含まれていないので、より乾燥しているためである。
【0022】
本発明のさらなる特徴および利点は、画像取得装置を備える飲料製造装置の好ましい非限定的な実施形態を参照して、以下の詳細な説明でより明らかになる。添付の図面が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図3】
図1の装置の内部ユニットの斜視図であり、その内部ユニット自体が装置から取り出され、示されている。
【
図6】
図3の内部ユニットの拡大詳細斜視縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
上記の図を参照するに、符号1は本発明による飲料製造装置の全体を示す。飲料を製造するために、装置1は、カプセル(図示せず)、特に、例えばコーヒー粉末などの食品物質を含む使い捨てカプセルを使用する。装置1は概略的に示されており、特に、本発明の理解に関係のない既知の態様に関するいくつかの詳細は、図から省略されている。
【0025】
装置1は、装置1自体の内部構成要素を囲んで保護するシェル10または外部筐体を有する。内部構成要素について以下で説明する。
【0026】
まず、装置1は抽出ユニット2を備え、抽出ユニット2内には食品物質を含むカプセルを受け入れるのに適した抽出チャンバ21が形成されている。
【0027】
抽出チャンバ21に関連して、飲料製造手段があり、それらは既知の方法に従って製造することができ、本発明の革新的な特徴に直接関連しないので、図には詳細に示されていない。使用時には、飲料製造手段は、水(特に温水)を閉鎖抽出チャンバ21に収容されたカプセルを通して循環させ、それにより飲料を製造させ、製造された飲料を装置1の外部に供給するのに適している。
【0028】
飲料製造手段は、水を加熱するためのヒータ22、抽出チャンバ21に水(加圧されているかまたはされていない)を供給するための供給回路、および製造された飲料を外部に供給するための供給ダクトを含む。例えば、ヒータ22は、ジュール加熱効果により水を加熱する電気抵抗器を含む。
【0029】
加熱される水はタンク13から取り出され、水供給回路はポンプを含む。
【0030】
飲料製造手段はまた、水をカプセルに供給するための第1の穴をカプセルにあけるための第1の穿孔手段23と、カプセルから飲料を流出させるための第2の穴をあけるための第2の穿孔手段24を備えることができる。
【0031】
飲料製造手段の詳細は、本発明の革新的な態様の一部ではなく、それ自体が従来技術のものと同様であるため、本明細書では簡単に説明されるだけである。
【0032】
抽出ユニット2は、抽出チャンバ21が開くホーム位置と、抽出チャンバ21が閉じる抽出位置との間で、少なくとも一方が他方に対して可動である第1の部分25および第2の部分26を備える。それらがホーム位置にあるとき、抽出ユニット2の第1の部分25と第2の部分26は、カプセルを抽出チャンバ21に挿入することができるように十分離れているが、それらが抽出位置にあるとき(
図2および4に示されている)、第1の部分25と第2の部分26は、抽出チャンバ21内のカプセルを閉じるように一緒に結合される。ホーム位置と抽出位置との間の第1の部分25および第2の部分26の動き、およびその逆は、装置1のフレームで旋回するレバー14によって、ユーザにより手動で駆動される。これらの態様は、それ自体既に知られており、さらに詳しい説明はしない。
【0033】
図に示される実施形態では、抽出ユニット2は水平型であり、第1の部分25と第2の部分26は、抽出チャンバによって規定される中心軸に平行な水平移動線で、互いに対して移動可能である。さらに、抽出チャンバ21は、有利には、実質的に完全に第1の部分25または第2の部分26のいずれか一方(具体的には、第2の部分26)に作られ、他方の部分は抽出チャンバ21の閉鎖要素としてのみ機能する。
【0034】
具体的には、抽出チャンバ21内に置かれたカプセルは、その中心軸が実質的に水平であり、抽出チャンバ21の中心軸と一致する。
【0035】
カプセルの位置決めのために、装置1は、挿入開口部31と、挿入開口部31を抽出チャンバ21に連結する移送チャネル32とを備える。カプセルは、挿入開口部31を通して装置1に挿入された後、移送チャネル3に沿って移動し、ホーム位置にある抽出ユニット2の第1の部分25と第2の部分26との間の受け座に到達する。
【0036】
特に、挿入開口部31は、移送チャネル32の最上部の口であり、上向きである。図に示すように、挿入開口部31は、シェル10の最上部に配置されている。
【0037】
移送チャネル32は、実質的に上から下に(垂直に、または必要に応じて、斜めに)延在し、カプセルは、重力のおかげでその中を移動し、下に落ちる。必要に応じて、移送チャネル32は、移送チャネル32の両側に配置され、移送チャネル32の長さに平行に延在する2つの案内溝(図示せず)を備えてもよい。案内溝はカプセル最上部の突出する環状フランジを受け入れ、カプセルが移送チャネル32に沿って落下するときにカプセルを案内し、落下時にカプセル自体が回転するのを防止する機能を有する。
【0038】
抽出ユニット2の第1の部分25および第2の部分26がホーム位置にあるとき、移送チャネル32の底部は、第1の部分25と第2の部分26との間に介在する空間によって形成される受け座に開口する。抽出ユニット2の第1の部分25および第2の部分26が抽出位置にあるとき、移送チャネル32の底部は、第2の部分26と共に移動する可動壁27によって閉じられる。
【0039】
装置1はまた、第1の部分25および第2の部分26がホーム位置にあるとき、それらの抽出位置へのシフトの少なくとも一部の間、カプセルを待機位置に保持するカプセル保持手段(既知の方法で作製できる)、および第1の部分25および第2の部分26がホーム位置へ戻る間、飲料供給の終わりに抽出チャンバ21からカプセルを排出させるカプセル排出手段(これも既知の方法で作製できる)を備えることもできる。
【0040】
装置1はまた、使用済みカプセルの収集チャンバ15も含み、使用後のカプセルは抽出チャンバ21から排出後、収集チャンバ15に落ちる。収集チャンバ15は、抽出チャンバ21の下、実質的に底部に位置し、落下チャネル16で抽出チャンバ21に連結されている。収集チャンバ15は抽出チャンバ21を介してカプセル移送チャネル32と連通している。
【0041】
収集チャンバ15は、例えば、引き出しの一部であり、これは、装置1の本体から取り出し可能であり、使用済みカプセルの定期的な除去および排除を可能にする。特に、取り出し可能な引き出しは、装置1によって供給される飲料を受け取るカップ用の支持体17も含む。
【0042】
装置1は、カプセルの一部の少なくとも1つの画像を取得することを目的とする画像取得装置4を備える。具体的には、画像取得装置4は、カプセルの少なくとも1つの識別部分、すなわち、バーコードまたはそれ自体が視認可能で認識可能な別のグラフィック要素が存在する部分の1つまたは複数の画像を取得するために使用される。例えば、そのグラフィック要素は、好ましくは登録された単語または図形マークで構成され、したがって、当該カプセルが装置1と互換性があり、装置1の製造者によって承認されていることを消費者に示すことができる。
【0043】
特に、画像取得装置4は、移送チャネル32と関連し、使用時に、カプセルが抽出チャンバ21に到達する前に、カプセルの一部の少なくとも1つの画像を取得する。実際には、画像取得装置4は、抽出チャンバ21の外側に、カプセル供給通路に沿って配置される。したがって、画像取得装置4は、カプセルが使用中位置するまたは通過する画像捕捉ゾーン40にあるときに、そのカプセルの1つ以上の画像を取得するように構成される。具体的には、画像捕捉ゾーン40は、移送チャネル32の伸長部である。
【0044】
第1に、画像取得装置4は、画像捕捉ゾーン40の方に向いた少なくとも1つの光学センサ42を備える。光学センサ42は、例えば、CMOS技術を用いたセンサであり、特に少なくとも可視光スペクトルで動作する。画像取得装置4はまた、使用時に、画像捕捉ゾーン40および該ゾーン内のカプセルを照明するための少なくとも1つの発光要素を備える。少なくとも1つの発光素子は、例えば、白色光を生成する1つ以上のLEDから構成される。
【0045】
装置1は、光学センサ42と画像捕捉ゾーン40との間に介在する透明な材料(例えば、ポリメチルメタクリレート)で作られた観察窓45を備える。観察窓45は、光学センサ42の方に向いた第1の面451と、画像捕捉ゾーン40の方に向いた第2の面452を有する。
【0046】
例えば、観察窓45は、移送チャネル32自体から来る汚れまたは蒸気から光学センサ42を保護するために、移送チャネル32内の画像捕捉ゾーン40から光学センサ42を分離する壁である。使用中、光学センサ42は、観察窓45を通して画像捕捉ゾーン40内のカプセルを見る。
【0047】
特に、画像取得装置4は、光学センサ42が収容される内部チャンバ50を取り囲む箱形筐体を含む。観察窓45は、箱形筐体5の一部であり、その前壁である。
【0048】
箱形筐体5はまた、底壁52を含む側壁を備え、それらの壁は前壁に連結されて内部チャンバ50を横方向に区切る。必要に応じて、前壁と側壁は一体に作られる。箱形筐体5はまた、前壁とは反対側にあり、したがって画像捕捉ゾーン40からさらに遠い後壁54を備えることもできる。その後壁54は、例えば側壁に固定され、内部チャンバ50の後部を閉鎖するパネルなどの別個の部品としてもよい。画像取得装置4の光学センサ42、発光素子、および他の電子構成要素は後壁54によって支持してもよい。
【0049】
湿気または汚れが内部チャンバ50に侵入することを防止するために、箱形筐体5は実質的に気密封止される。装置1は、画像取得装置4を管理し、光学センサ42から得られた画像を処理するのに適した電子処理ユニットを備える。
【0050】
図示の実施形態では、画像取得装置4は、移送チャネル32に対して外側座部33に配置されている。
図4~
図6に示すように、観察窓45は、移送チャネル32から離れており、外側座部33の後方位置にある。この特徴のおかげで、観察窓45は、抽出チャンバ21からおよび/または使用済みカプセル収集チャンバ15から移送チャネル32内を上昇する湿った空気または水蒸気に直接当たらない。
【0051】
しかしながら、この特徴はそれ自体では観察窓45上での結露および曇りの形成を防止するのに十分ではない可能性がある。この欠点を防止または少なくとも低減するために、本発明による装置1は、後述するように、観察窓45が位置する領域に加熱された空気の換気を生じるように構成される。
【0052】
装置1は加熱装置6を備え、該加熱装置は装置1の第1の領域11内に配置され、たとえば加熱装置6の周囲の空気など、第1の領域11内にある空気を加熱するのに適している。実際には、第1の領域11は、装置1の第1のチャンバであるか、またはその一部である。加熱装置6はその第1のチャンバに配置され、第1のチャンバ内の空気は加熱装置6と接触しているため、装置1の使用中に、加熱装置から空気への熱伝達がある。
【0053】
観察窓45は、装置1の第2の領域12、特に移送チャネル32に対して前記外側座部33に配置される。実際には、第2の領域12は、装置1の第2のチャンバであるか、またはその一部であり、観察窓45は、第2のチャンバ上に配置されるか、またはそれに面している。第2のチャンバ内の空気は、観察窓45の面451、452の少なくとも1つと接触している。
【0054】
第1の領域11および第2の領域12は、開口部、通路、チャネルまたはダクトを介して互いに連通している。したがって、第1領域11から第2領域12への気流が可能である。
【0055】
さらに、第1の領域11は、第2の領域12よりも低い高さにある。通常の使用中に装置1が置かれる水平な支持面に対して、その支持面から第1の領域11までの距離は同じ支持面からの第2の領域12のまでの距離より小さい。実際には、第1の領域11の空気は、第2の領域12の空気が観察窓45と接触する高さよりも低い高さで加熱装置6から熱を受け取る。特に、加熱装置6は、観察窓45が配置されている高さよりも低い高さに配置されている。
【0056】
装置1の使用中、加熱装置6は、第1の領域11の空気を加熱し、2つの領域11、12間の連通およびそれらの異なる高さの相対的配置のおかげで、加熱された空気は第2の領域12に入り、そこで加熱された空気は、観察窓45の第1の面451および/または第2の面452と接触することができる。
【0057】
その結果、観察窓45が加熱された空気によって加熱され、したがって、すでに形成された結露が蒸発されるとともに、観察窓45自体の加熱により、観察窓45上でのさらなる結露の形成が防止される。さらに、加熱された空気の流れは換気を生成し、観察窓45の近くの湿った空気を運び去り、よって露点が下がる。
【0058】
したがって、本発明による装置1は、画像取得装置4の動作を改善するのに有用であり、画像取得装置4が結露による観察窓45の曇りに悩まされることを防ぐことができる。
【0059】
具体的には、加熱された空気は、煙突効果により発生する自然換気により、第1領域11から第2領域12に流れる。装置1の構成は、第1の領域11の加熱された空気が自然に第2の領域12に入るように構成されている。実際、空気は第1の領域11で加熱され、第1の領域は第2の領域12より低い高さにあって第2の領域と連通しているので、加熱された低い密度の空気が上昇して第2の領域12に入る。
【0060】
この自然換気は、図示の実施形態のように、第2の領域12がカプセル移送チャネル32と連通している(または第2の領域12もカプセル移送チャネル32の一部である)という事実によって、さらに促進される。したがって、使用時に、加熱された空気は、観察窓45の第2の面452と接触し、カプセル移送チャネル32に入り、挿入開口部31を通って出ることができる。実際には、移送チャネル32が第1の領域11で加熱された空気のための出口煙突を構成し、第2の領域12が第1の領域11と出口煙突との間に介在する。
【0061】
具体的には、図に示すように、第2の領域12は、観察窓45と移送チャネル32との間にある。
【0062】
別の実施形態では、あまり有利ではないが、加熱された空気は、観察窓45の第1の面41(すなわち、光学センサ42に面している)と接触させることができ、第2の面452は観察窓45の熱伝導によって加熱され得る。図示された実施形態では、既に述べたように、観察窓45は、光学センサ42を含む内部チャンバ50を囲む箱形筐体5の一部である。
【0063】
特に、加熱装置6は、箱形筐体5の下に配置される。
【0064】
さらに、第1の領域11と第2の領域12を連通する空気通路57は、箱形筐体5の底壁52と加熱装置6との間にある。空気通路57の経路は、
図5に一点鎖線で示されている。箱形筐体5の底壁52は加熱装置6から離れており、それらの間の空間に空気通路57が画定され、このチャネルは一方の側で第1の領域11(加熱装置6の上)に開口し、反対側では、第2の領域12(観察窓45のすぐ下)に開口している。第1の領域11から第2の領域12への加熱された空気の流れは前記空気通路57内にある。
【0065】
第1の領域11は、装置1の外部シェルまたは筐体10の少なくとも1つの開口部またはスリット19によって装置1の外部環境と連通している。したがって、第2の領域12に入る加熱された空気は開口部またはスリット19を通って第1の領域11に入る外部から空気と置き換えられる。これは、加熱された空気が、外部からの空気よりも湿っている可能性がある装置1の内部からの空気と置換されるのを防ぐのに役立ち、よって、次に加熱されたときに、 観察窓45が曇ることがないようにすることができる。具体的には、開口部またはスリット19は第1の領域11において直接開口している。
【0066】
代替の実施形態では、開口部またはスリット19は存在せず、外部からの空気は、気密に密封されずに、外側シェルまたは筐体10を構成する様々な部品間の接触ゾーンに残存する通路を通って第1の領域11に入る。第1の領域11と第2の領域12との間を通る加熱された空気の流れは、外部からの必要な空気の流れと同様に、比較的小さいことに注意すべきである。
【0067】
図示の実施形態では、装置1はまた、収集チャンバ15を第1の領域11から分離する少なくとも1つの仕切り壁18を備える。これは、使用済みカプセルから立ち上る湿った空気が第1の領域11に到達し、そこから第2の領域121に到達するのを防ぐのに役立つ。
【0068】
図示の実施形態では、加熱装置6は、抽出チャンバ21のための水を加熱するためのヒータ22であるか、または該ヒータを含む。実際には、抽出のための温水の準備がヒータ22の主な機能であり、このヒータは二次的効果として、第1の領域11の空気も加熱する。これは、追加の特別な装置を設ける必要なしに、さらなる利点(すなわち、観察窓の曇り防止を得るのに役立つ。
【0069】
飲料を作る前にヒータ22が作動するので、抽出室または使用済みカプセルから湿った空気が放出される前に加熱が行われ、したがって、観察窓45の曇りが、装置1の動作開始直後から防止される。
【0070】
特に、ヒータ22は、外部シェル(または筐体)60を含み、該外部シェルは少なくとも部分的に第1の領域11内にあり、ヒータ22の使用中に加熱されるため、加熱装置6は、第1の領域11内の空気を外部シェル60と空気との熱交換によって加熱する。実際には、これは、そのシェルを通して失われるだろうヒータ22による熱の有効利用を可能にする。
【0071】
さらに、図に示すように、ヒータ22の外部シェル60は、画像取得装置4の箱形筐体5の底壁52から離れているので、空気通路57は、外部シェル60と底壁52との間に形成される。
【0072】
装置1の既知の態様の詳細については、例えば、本出願人による国際出願公開第2015/019248号、同第2015/019249号および同第2017/134544号に記載されている内容を参照されたい。それらの内容はすべて参照により本明細書に組み込まれる。
【0073】
上述した本発明は、添付の請求の範囲から逸脱することなく、いくつかの方法で変更および適応させることができる。
【0074】
すべての詳細は、他の技術的に等価な要素に置換することができ、使用される材料、ならびに、様々な構成要素の形状および寸法は、要求に応じて変更することができる。