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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-01
(45)【発行日】2023-06-09
(54)【発明の名称】紙ログ製造用巻き返し機
(51)【国際特許分類】
   B65H 23/198 20060101AFI20230602BHJP
   B65H 19/22 20060101ALI20230602BHJP
【FI】
B65H23/198
B65H19/22
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020560762
(86)(22)【出願日】2019-05-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-11
(86)【国際出願番号】 IT2019050110
(87)【国際公開番号】W WO2019244182
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2021-08-02
(31)【優先権主張番号】102018000006447
(32)【優先日】2018-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】506180062
【氏名又は名称】フューチュラ エス ピー エー
(74)【代理人】
【識別番号】100147935
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 進介
(74)【代理人】
【識別番号】100080230
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 詔二
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアーニ、ジョヴァッキーノ
(72)【発明者】
【氏名】ベッティ、ガブリエレ
(72)【発明者】
【氏名】タマニーニ、マノロ
【審査官】山本 健晴
(56)【参考文献】
【文献】特表平11-503397(JP,A)
【文献】特表2014-501211(JP,A)
【文献】特開2001-322755(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 23/198
B65H 19/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1巻き取りロ-ラ(R1)及び第2巻き取りロ-ラ(R2)によって紙を巻くための巻き取りステ-ション(W)と、第3巻き取りロ-ラ(R3)と、を含む、紙材料のログを製造するための巻き返し機であって、
前記第1及び第2巻き取りロ-ラ(R1,R2)は、1つ又は複数の紙プライからなる紙ウェブ(3)がその間を通って供給されそしてログ(L)を形成するように当該ステ-ション(W)において巻き取られるように作用するニップ(N)の範囲を、それぞれの外面において、定めるように適合されており、
前記第3巻き取りロ-ラ(R3)は、前記ウェブ(3)が供給される方向(F3)に対して、前記第1及び第2巻き取りロ-ラ(R1,R2)の下流に配置され、
前記第2巻き取りロ-ラ(R2)は、前記第1巻き取りロ-ラ(R1)よりも低い位置に配置され、
前記第1巻き取りロ-ラ(R1)、第2巻き取りロ-ラ(R2)及び第3巻き取りロ-ラ(R3)の回転軸は水平で且つ互いに平行であり、即ち、それらはウェブ(3)が供給される方向(F3)に対して横方向に配向されており、
前記第3巻き取りロ-ラ(R3)はアクチュエ-タ(A3)に接続され、当該アクチュエ-タは、前記ログの製造中に前記第3巻き取りロ-ラ(R3)の位置が他の2つの巻き取りロ-ラ(R1,R2)に対して変動するように、前記第3巻き取りロ-ラ(R3)がニップ(N)に対して周期的に接近離間運動して移動することを可能にし、
そして前記巻き取りロ-ラ(R1,R2,R3)の各々は、対応する電気モ-タ(M1,M2,M3)に接続されたそれ自体の軸の周りを回転し、
当該巻き返し機は、所定の検出時に、前記巻き取りステ-ション(W)内の各ログの実際の位置を検出することができる光学手段(5,50)と、前記光学手段(5,50)に接続され且つ前記検出時に前記ログの実際の位置を所定の理論位置と比較するようにプログラムされたプログラム可能な電子ユニット(UE)とをさらに含み、
前記電子ユニット(UE)は、前記電気モ-タ(M1,M2,M3)の少なくとも1つに接続され、また前記実際の位置と前記理論位置との間の偏差(E,E’)が予め設定された値を超えた場合に、前記少なくとも1つの電気モ-タ(M1,M2,M3)の角速度を変更するようにプログラムされ、
前記少なくとも1つの電気モ-タ(M1,M2,M3)の角速度は、前記偏差(E,E’)の正又は負の符号に応じて増減され、
前記電子ユニットは、また前記検出時に前記光学手段を動作させるようにもプログラムされていることを特徴とする巻き返し機。
【請求項2】
前記電子ユニット(UE)は、前記実際の位置と前記理論位置との間の偏差が予め設定された値を超えた場合に、前記少なくとも1つの電気モ-タ(M1,M2,M3)の角速度を漸進的に変更するようにプログラムされることを特徴とする請求項1記載の巻き返し機。
【請求項3】
前記電子ユニット(UE)は、前記第2巻き取りロ-ラ(R2)を駆動する前記モ-タ(M2)の角速度を変更するようにプログラムされることを特徴とする請求項1記載の巻き返し機。
【請求項4】
前記電子ユニット(UE)は、前記第3巻き取りロ-ラ(R3)を駆動する前記モ-タ(M3)の角速度を変更するようにプログラムされていることを特徴とする請求項1記載の巻き返し機。
【請求項5】
前記ログの実際の位置と理論位置との間の偏差が、ログ形成段階中に検出されることを特徴とする請求項1記載の巻き返し機。
【請求項6】
前記ログの実際の位置と理論位置との間の偏差が、前記巻き取りステ-ション(W)からのログの排出段階において検出されることを特徴とする請求項1記載の巻き返し機。
【請求項7】
前記電子ユニット(UE)は、前記実際の位置と前記理論位置との間の偏差(E,E’)の値に従って、前記少なくとも1つの電気モ-タ(M1,M2,M3)の角速度を所定の値だけ変更するようにプログラムされることを特徴とする請求項1記載の巻き返し機。
【請求項8】
前記電子ユニット(UE)は、前記実際の位置と前記理論位置との間の偏差(E,E’)が5mmを超える場合に、前記少なくとも1つの電気モ-タ(M1,M2,M3)の角速度を0.3%だけ変更するようにプログラムされることを特徴とする請求項1記載の巻き返し機。
【請求項9】
前記電子ユニット(UE)は、前記実際の位置と前記理論位置との間の偏差(E,E’)がゼロではなく且つ5mm未満である場合に、前記少なくとも1つの電気モ-タ(M1,M2,M3)の角速度を0.1%だけ変更するようにプログラムされることを特徴とする請求項1記載の巻き返し機。
【請求項10】
前記偏差(E,E’)は、所定の検出数(n)において検出された前記偏差の平均値に対応することを特徴とする請求項1記載の巻き返し機。
【請求項11】
前記所定の検出数(n)が5であることを特徴とする請求項10記載の巻き返し機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙ログを製造するための巻き返し機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、トイレットペ-パ-のロ-ルまたはキッチンペ-パ-のロ-ルが得られる紙材料ログの製造は1つ以上の重ねられた紙プライによって形成された紙ウェブを、それに沿って種々の操作が行われてからログの形成に進む所定の通路上に供給することを含み、これには、それを分離可能なシ-トに分割するプレ切断線を形成するためのウェブの横方向のプレ切り込みが含まれることが知られている。
【0003】
ログの形成は通常「コア」と呼ばれる厚紙チュ-ブの使用を伴い、その表面上に所定量の接着剤が分配されて、一般に「巻き返し機」と呼ばれるログを製造する装置に漸次導入されるコア上の紙ウェブの結合を可能にし、そこにはコア上のウェブの巻き取りを決定する巻き取りロ-ラが配置される。コアがその凹状構造のために、一般に「クレ-ドル」と呼ばれる末端部分を含む対応する通路に沿って通過するときに、接着剤はコア上に分配される。
【0004】
さらに、ログの形成はそれぞれのコアの長手方向軸の周りの回転を引き起こす巻き取りロ-ラの使用を意味し、それにより、同じコア上のウェブの巻き取りを決定する。当該作業は所定数のシ-トがコア上に巻かれたときに終了し、最後のシ-トのフラップを、そのように形成されたロ-ルの下にある1つに接着する(いわゆる「フラップ接着」操作)。当該コアに巻かれる所定枚数のシ-トに到達すると、完成されているログの最後のシ-トは、例えば、対応するプレ切断線に向けられた圧縮エアの噴流の手段によって、次のログの最初のシ-トから分離される。この時点で、ログは巻き返し機から取り外される。
【0005】
特許文献1は、上述の作業方式に従って作業する巻き返し機を開示している。次いで、このようにして製造されたログは、バッファマガジンに搬送され、バッファマガジンは1つ以上の切断機に供給し、当該切断機によって、ログの横方向切断が行われて、所望の長さのロ-ルが得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】EP1700805
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、特に、巻き返し機内のログの位置の制御に関し、そして、例えば、巻き取りロ-ラの表面摩耗及び/又は巻き取りロ-ラの表面上の破片の存在及び/又は用紙の表面特性に起因する位置の起こり得る誤差を補正するために、ログの現位置に従って巻き取りロ-ラの速度を自動的に調節するための制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この効果は、請求項1に示される特徴を有する巻き返し機を提供することによって達成される。他の特徴は、本従属クレ-ムの主題である。
【発明の効果】
【0009】
本発明が提供する利点の中には、例えば、巻き返し機の制御が経時的に一定であり、機械を運転するオペレ-タの経験に依存しないこと、市販の光学装置を使用することができること、制御システムの費用が本発明によって提供される利点に関連して非常に低いことが挙げられる。
本発明のこれら及びさらなる利点及び特徴は、例示として提供される以下の記載及び添付の図面に基づいて全ての当業者によってよりよく理解されるであろうが、これらの例示は限定的な意味で考慮されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】成形段階においてログ(L)を有する紙材料のログを製造するための巻き返し機の概略側面図である。
図2図1の細部を示す図面である。
図3図1に示した巻き返し機の巻き取りステ-ションにおけるコア軸の理論位置「P0」と「P」を示す図面である。
図4】プログラム可能な電子ユニット(UE)に関する簡略化されたブロックダイアグラムである。
図5】本実施形態に係る巻き返し機において実行されるチェックに関するダイアグラム1である。
図6】本実施形態に係る巻き返し機において実行されるチェックに関するダイアグラム2である。
図7】本実施形態に係る巻き返し機において実行されるチェックに関するダイアグラム3である。
図8】本実施形態に係る巻き返し機において実行されるチェックに関するダイアグラム4である。
図9】本実施形態に係る巻き返し機において実行されるチェックに関するダイアグラム5である。
図10】本実施形態に係る巻き返し機において実行されるチェックに関するダイアグラム6である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る制御装置は、例えば、図1及び図2に示す形式の巻き返し機(RW)の動作を制御するために適用可能である。巻き返し機は、それぞれの外面で、ニップ(N)を画定するようになっている第1巻き取りロ-ラ(R1)及び第2巻き取りロ-ラ(R2)によって紙を巻き取るためのステ-ション(W)を備え、当該ニップ(N)を通して、1つまたは複数の紙プライによって形成された紙ウェブ(3)が供給され、そしてログ(L)を形成するために管状コア(4)の周りに巻き取られるようになっている。ウェブ(3)には、一連の横方向の切り込みが設けられており、この切込によりウェブ自体が連続した個々のシ-トに分割され且つ個々のシ-トの分離が容易になる。
【0012】
横方向の切り込みは、巻き取りステ-ション(W)の上流の紙ウェブ(3)が通過する通路に沿って配置された一対のプレ切断ロ-ラによって、それ自体公知の方法で作られる。各ログ(L)は、コア(4)に巻き付けられる所定数のシ-トからなる。
【0013】
ログの形成中、ログの直径は、ウェブ(3)の所定の長さに対応する最大値まで、または所定の枚数のシ-トまで増加する。巻き取りステ-ション(W)には、ウェブ(3)が通過する方向に対して、第1及び第2巻き取りロ-ラ(R1,R2)の下流に第3巻き取りロ-ラ(R3)が設けられている。
【0014】
さらに、第2巻き取りロ-ラ(R2)は、第1巻き取りロ-ラ(R1)よりも低い位置に配置されている。添付図面に示す例によれば、第1ロ-ラ(R1)、第2ロ-ラ(R2)及び第3ロ-ラ(R3)の回転軸は水平であり、互いに平行であり、即ち、ウェブ(3)が通過する方向に対して横方向に配向されている。
【0015】
第3ロ-ラ(R3)は第2ロ-ラ(R2)に対して接離自在に移動することができるアクチュエ-タ(A3)に連結されており、即ち、第3ロ-ラを前述のニップ(N)に対して接離自在に移動させることができるようになっている。前記ロ-ラ(R1,R2,R3)の各々はその長手軸を中心に回転し、当該長手軸はそれぞれの駆動部材(M1,M2,M3)に連結されている。コア(4)はコンベアによってニップ(N)内に連続的に導入され、当該コンベアは、図1に図示された実施形態に示されるように、電動ベルト(5)と協働する固定プレ-ト(40)の下に配置された当該電動ベルト(5)を含み、当該電動ベルトがコア(4)を直線通路(45)に沿って回転させることによって移動させる。
【0016】
前記直線通路は、導入装置(RF)が配置されたコア供給部と、第1巻き取りロ-ラ(R1)の下に配置されたクレ-ドル(30)との間に展開している。前記通路(45)に対応して、ノズル(6)は各コア(4)に塗布される接着剤を供給するように配置され、各新しいログの最初のシ-トがコア自体に接着し、最後のログシ-トを下にあるシ-トに接着することを可能にする。上述した形式の巻き返し機の動作は、それ自体公知である。
【0017】
本発明の目的のために、コア(4)を巻き取りステ-ション(W)に供給するための装置、並びにコア(4)上に接着剤を分配する方法及び手段は、任意の他の方法で実現できることが理解される。前記モ-タ(M1,M2,M3)及びアクチュエ-タ(A3)は、後述するプログラム可能な電子ユニット(UE)によって制御される。
【0018】
有利には、本発明によれば、所定の時間にステ-ション(W)内に形成されるログの実際の位置と、同時に形成されるログが所定の通路路に沿って理論的に占めるべき位置との間で比較が行われる。実際の位置と、所定の限界値を超える理論位置との間の差に対応する可能な位置誤差は、1つまたは複数の巻き取りロ-ラの角速度を変更することによって補正される。各時間「t」におけるログの理論位置は、例えば、ニップ(N)の下流のコア(4)の直線通路(RP)を仮定して、以下の式に基づいて決定することができる。
【数1】
【0019】
ここで、Pは時点tにおけるコア(4)の軸の位置、t0はコア(4)のニップ(N)への入り込み時点、即ち、コア(4)がニップ(N)の所定点(P0)を通過する時点、Vp1は第1巻き取りロ-ラ(R1)の周速度、Vp2は第2巻き取りロ-ラ(R2)の周速度である。位置(P)は、所定のシステム座標で決定される。
【0020】
記載された例を参照すると、前記座標系は、垂直面内、即ち、前記ロ-ラ(R1,R2,R3)の回転軸に直交する平面内の所定の点(OS)に原点を有する二次元デカルト系である。例えば、前記点(OS)は、前記第2巻き取りロ-ラ(R2)の回転軸から所定の値(例えば、200mm)だけ離間した点である。例えば、前記点(OS)は、図3に示すように、前記軸の右側に位置する。
【0021】
前記第2巻き取りロ-ラが可動式の巻き取りロ-ラ、即ち、前記上部ロ-ラ(R1)との間を移動する形式の巻き取りロ-ラであれば、前記点(OS)は、例えば、第2巻き取りロ-ラ(R2)の揺動軸に属する点とすることができる。
【0022】
t0、Vp1及びVp2の値は既知である。何故なら、前記コア(4)がニップ(N)に入る時間t0が既知であり、そして前記ロ-ラ(R1)及び(R2)の外径及び角速度も既知であるからである。前記ログの理論位置(P)の計算は、t0、Vp1及びVp2の値が記憶され又は入力される計算ユニット(PL)によって実行される。
【0023】
前記コア(4)の実際の位置を検出するためには、例えば、巻き取りステ-ション(W)内の前記コア(4)の画像を撮像するようにしたカメラ(5)からなる光ビジョンシステムを用いることができる。前記カメラ(5)は、形成されているログの一端部の画像を撮るように配置されている。従って、前記カメラ(5)によって検出される各ログ(L)の画像は、そのエッジがいわゆる「エッジ検出」アルゴリズムを使用して実行される光強度の不連続解析によって検出される2次元形状に対応する。これらのアルゴリズムは画像のエッジが2つの異種領域間の境界とみなすことができ且つ本質的に物体の輪郭が光度のレベルの急激な変化に対応する原理に基づいている。
【0024】
実験試験は、OMRON FH L 550制御装置を備えたOMRON FHSM 02カメラを使用して、出願人によって行われた。前記カメラ(5)は、当該カメラで生成された信号を受信するプログラム可能な電子ユニット(UE)に接続されている。前記カメラはプログラム可能な電子ユニット(UE)に、前記座標系におけるログの中心(CL)及び直径を提供する。この例では、前記制御装置(50)が前述のように検出されたエッジ(EL)の3つ、好ましくは4つの点(H)を通過する円周の方程式を計算し、そしてその中心(CL)を計算するようにプログラムされている。
【0025】
このようにして計算される前記中心(CL)の位置は、前記巻き取りステ-ション(W)における前記ログ(L)の実際の位置と考えられる。例えば、前記時間「t」は、前記アクチュエ-タ(A3)が前記ロ-ラ(R3)の下降を完了した時の時間である。この時間「t」は既知のデ-タである。
【0026】
前記ユニット(UE)は、値及び符号において、値(P)と値(CL)との間の偏差(E)を決定する計算ユニット(PL)によって計算される前記コアの軸の理論位置(P)を比較する。特に、前記ユニット(UE)は、線分CL-P0の長さ及び線分P-P0の長さを計算する。偏差(E)は、これらの長さの値及び符号における差である。偏差(E)は、ゼロと異なる場合、選択された基準系において理論的に占めるべき位置(P)についての形成中の前記ログの位置の誤差を表す。
【0027】
前記誤差(E)が所定の限界値を超える場合、前記ユニット(UE)は当該誤差(E)を予め設定された限界値よりも低い値に戻すように、ロ-ラ(R1)と(R2)との間の相対速度の変更を指令する。前記誤差が正(図6に模式的に示すように、理論位置に対してログ(L)の実際の位置は進んでいる)の場合、前記ロ-ラ(R1,R2)間の相対速度は減少する。
【0028】
逆に、前記誤差が負(前記ログ(L)の実際の位置が理論位置よりも遅れている)の場合、前記ロ-ラ(R1,R2)間の相対速度は増加する。例えば、前記ロ-ラ(R2)単体の角速度を変更することができる。これにより、例えば、前記誤差(E)が正の場合には、前記ロ-ラ(R2)の角速度を増大し、前記誤差(E)が負の場合には、前記ロ-ラ(R2)の角速度を減少する。
【0029】
前記ロ-ラ(R2)の角速度の増減は、前記誤差の絶対値(E)に応じて予め決めることができる。例えば、E>5mmの場合、前記ロ-ラ(R2)の角速度の増減は0.3%とすることができる。さらに、例えば、E≦5mmであれば、前記ロ-ラ(R2)の角速度の増減は0.1%とすることができる。
【0030】
好ましくは、前記値(E)が前記ログ(L)の実際の位置の所定の数「n」(例えば、n=5)の連続する検出において検出された誤差の値の算術平均によって与えられ、その結果、前記ロ-ラ(R1,R2)の相対速度を変更することからなる変更動作は前記「n」の検出の実施後に実施される。換言すれば、好ましくは、前記ロ-ラ(R1,R2)間の相対速度は瞬間的には変化しないが、前記ログ(L)の実際の位置の所定の数「n」の連続する検出の後に変化する。
【0031】
また、上記光学系は、前記完成したログの排出段階を自動的に調整するために使用することもできる。
【0032】
また、この場合、各ログが所定の通路に沿って理論的に占めるべき位置と当該ログの実際の位置との間で比較が行われる。上記所定の通路は、また、この場合、前記巻き取りフェ-ズの終了時にログの軸が占める位置(時刻t0’で占める位置)と次の時刻t’で上記同じ軸が占める位置(所定量の紙の巻き取りに対応する時刻以降に占める位置、例えば300mm)との間に展開する直線的な通路である。
【0033】
前記コア(4)がたどる直線通路(EP)を仮定すると、一般的な時間t’における排出段階における前記ログの理論位置は、以下の式によって与えられる:
【数2】
【0034】
ここで、P’はt’時点におけるコア(4)の軸の位置、t0’は巻き付け段階の終了時点、即ち、コア(4)上への紙ウェブの巻き付けが完了した時点、Vp3は第3巻き取りロ-ラ(R3)の周速度、Vp2は第2巻き取りロ-ラ(R2)の周速度である。位置P’は前述の座標系で計算される。t0’、Vp3及びVp2の値は既知である。何故なら、時間t0’は前記コア(4)上の所定量の紙の巻き取りが終了する時間に相当し且つ当該時間は既知のデ-タであり、そして前記ロ-ラ(R3)及び(R2)の外径及び角速度も既知であるからである。前記ログの理論位置(P)の計算は前述の計算ユニット(PL)によって行われる。
【0035】
この段階では、前記カメラ(5)によって生成された画像が前述のように処理されて、前記完成したログ(LK)の終端エッジを検出する。前記カメラ(5)に関連する前記制御装置(50)は、前述のように検出されたエッジの1セットの4点(K1,K2,K3,K4)のうちの3点を通過する3円周の方程式を計算しそして前述の座標系における各円周の中心(C1,C2,C3)を計算するようにプログラムされている。
【0036】
本発明によれば、前記制御装置(50)は、全ての前記円周の中でより小さな直径の円周のみの有効中心(CE)として仮定されるようにプログラムされる。図10のダイアグラムは、実線で描かれた円周が最小径(中心CE)の円周、一点鎖線で描かれた円周が中間径(中心C3)の円周、破線で描かれた円周が最大径(中心C1)の円周である。図8及び図10のダイアグラムでは、点「K4」が一般にログの残りの部分から距離を置くことができるログの最終エッジの点である。
【0037】
前記プログラム可能な電子ユニット(UE)は前記線分P0’-CE及びP0’-P’の長さ間の差(E’)を計算し、その結果、値及び符号における偏差又は誤差を検出する。誤差が正(理論位置に対して進んだ前記ログの位置)の場合、第3巻き取りロ-ラ(R3)の角速度が減少する。
【0038】
逆に、誤差が負(理論位置よりも遅れたログの実際の位置)の場合、第3巻き取りロ-ラ(R3)の角速度は増大する。この場合も、前記誤差(E’)の絶対値に応じて、前記ロ-ラ(R3)の角速度の増減を予め決定することができる。例えば、E’>5mmであれば、前記ロ-ラ(R3)の角速度の増減を0.3%とすることができる。さらに、例えば、E’≦5mmであれば、前記ロ-ラ(R3)の角速度の増減を0.1%とすることができる。
【0039】
好ましくは、この場合においても、前記値(E’)は、前記ログ(L)の実際の位置の所定数「n」(例えば、n=5)の連続する検出において検出された誤差の値の算術平均によって与えられ、そして前記ロ-ラ(R2,R3)の相対速度を変更することからなる変更動作は、前記「n」個の測定の実施後に実施される。換言すれば、好ましくは、前記ロ-ラ(R2,R3)間の相対速度は瞬間的には変更されないが、前記ログ(L)の実際の位置の所定数「n」の連続する検出の後に変更される。
【0040】
従って、本発明による巻き戻し機は、所定の検出時に、前記巻き取りステ-ション(W)内の各ログの実際の位置を検出することができる光学手段(5,50)と、前記光学手段(5,50)に接続され且つ前記検出時に前記実際の位置をログの所定の理論位置と比較するようにプログラムされるプログラム可能な電子ユニット(UE)と、によって特徴付けられ、前記電子ユニット(UE)は前記電気モ-タ(M1;M2;M3)の少なくとも1つに接続され、そしてまた前記実際の位置と前記理論位置との間の偏差(E,E’)が所定の値を超えた場合、前記少なくとも1つの電気モ-タ(M1;M2;M3)の角速度を変更するようにプログラムされ、前記少なくとも1つの電気モ-タ(M1;M2;M3)の角速度は前記偏差(E,E’)の正又は負の符号に応じて増減され、前記電子ユニットもまた前記検出時に前記光学手段を動作させるようにプログラムされている。
【0041】
本発明によれば、前記電子ユニット(UE)は、前記実際の位置と前記理論位置との間の偏差が予め設定された値を超えた場合に、前記少なくとも1つの電気モ-タ(M1;M2;M3)の角速度を漸進的に変更するようにプログラムすることができる。
【0042】
さらに、前記電子ユニット(UE)は第2の巻き取りロ-ラ(R2)を駆動する前記モ-タ(M2)の角速度を変更するようにプログラムすることができ、又は前記第3ロ-ラ(R3)を駆動する前記モ-タ(M3)の角速度を変更するようにプログラムすることができる。
【0043】
本発明によれば、ログの実際の位置と理論位置との間の偏差は、前記巻き取りステ-ション(W)からの前記ログの排出段階またはログ形成段階中に検出される。
【0044】
本発明によれば、前記電子ユニット(UE)は、前記実際の位置と前記理論位置との間の偏差(E,E’)の値に従って、前記少なくとも1つの電気モ-タ(M1;M2;M3)の角速度を所定の値だけ変更するようにプログラムされる。
【0045】
実際には、実施の詳細が、いずれの場合であっても、採用された技術的範囲から逸脱することなく、記載され且つ図示された個々の要素及びそれらの相互の配置に関して均等な方法で変更することができ、従って、添付のクレ-ムによる本特許によって与えられる保護範囲内に含まれるものである。
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図10