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特許7289340複数プローブアブレーションのプランニング
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-01
(45)【発行日】2023-06-09
(54)【発明の名称】複数プローブアブレーションのプランニング
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/10 20160101AFI20230602BHJP
【FI】
A61B34/10
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021165147
(22)【出願日】2021-10-07
(62)【分割の表示】P 2020500086の分割
【原出願日】2018-07-03
(65)【公開番号】P2022002745
(43)【公開日】2022-01-11
【審査請求日】2021-11-01
(31)【優先権主張番号】62/530,040
(32)【優先日】2017-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596130705
【氏名又は名称】キヤノン ユーエスエイ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CANON U.S.A.,INC
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】デサイ デバシュリ エス
(72)【発明者】
【氏名】加藤 貴久
(72)【発明者】
【氏名】オルソン リディア ジー
【審査官】菊地 康彦
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-155881(JP,A)
【文献】特表2015-500664(JP,A)
【文献】特表2013-512748(JP,A)
【文献】特表2007-527729(JP,A)
【文献】特表2014-534831(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0345718(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0008074(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチプローブアブレーションのための術前プランニングを行うための針誘導システムの作動方法であって、
前記針誘導システムのグラフィカルユーザインタフェース(GUI)に、マルチプローブアブレーションによって治療される対象の画像を表示することと、
前記GUIを介して、表示された前記画像上で前記対象のアブレーションゾーン内の第1の点と、前記対象の表面の第2の点とを指定するユーザ入力を受け取ることと、
前記針誘導システムのプロセッサが、前記第1の点及び前記第2の点を通る参照軌道を自動的に生成することと、
前記GUIを介して、前記対象に挿入されるプローブの数を指定するユーザ入力を受け取ることと、
前記針誘導システムの前記プロセッサが、前記第1の点の周囲に、前記対象に挿入される前記プローブの数に対応する数の第3の点を自動的に配置することと、
前記プロセッサが、前記第3の点を前記第2の点に接続することにより、前記対象に挿入される前記プローブの数に等しい数の計画挿入軌道を自動的に生成することと、
を含み、
前記プロセッサは、計画挿入軌道が前記第3の点のうちの1つを通り、かつ前記第2の点を通るように、前記参照軌道に対して幾何学的関係で延びる前記計画挿入軌道を生成し
前記参照軌道は、プローブの挿入軌道を表さないが、前記計画挿入軌道の重心として機能する、
方法。
【請求項2】
前記第2の点を指定することは、前記プローブの全てが前記対象に挿入されるときに通る皮膚進入点を指定することを含み、
前記第2の点は、前記プローブを誘導するためのプローブガイドデバイスが前記対象上に装着される位置に基づいて、ユーザによって指定される、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記GUIに、(a)前記参照軌道と、(b)前記計画挿入軌道のうちの少なくとも1つと、(c)挿入される前記プローブの数とのうちの1つ以上を、表示された前記画像とともに表示させること、
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記GUIに、ユーザによって選択されるプローブパラメータを表示させることと、
前記ユーザに、表示された前記プローブパラメータのうちの1つ以上を選択するように促すことと、
を更に含み、
前記ユーザによって選択される前記プローブパラメータは、プローブ配置と、プローブタイプと、前記対象に挿入される前記プローブの数とのうちの1つ以上を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記計画挿入軌道のうちの1つ以上を編集すること
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記編集することは、前記計画挿入軌道のうちの少なくとも1つが前記アブレーションゾーンと交差しない場合、ユーザに、前記計画挿入軌道の全てが前記アブレーションゾーンと交差するまで、前記第3の点のうちの1つ以上を前記第1の点に対して移動するように促すこと、を更に含み、
前記方法は、前記ユーザが前記第3の点のうちの1つを前記第1の点に対して移動したことに応答して、前記プロセッサに、前記第3の点の全てが前記第1の点から等距離を維持するような相乗的方式で、残りの前記第3の点を自動的に移動させること、を更に含む、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記編集することは、前記計画挿入軌道のうちの少なくとも1つが前記アブレーションゾーンと交差しない場合、前記計画挿入軌道の全てが前記アブレーションゾーンと交差するまで、前記第1の点を移動するか、又は前記参照軌道を移動すること、を更に含み、
前記方法は、前記ユーザが前記第1の点を移動するか又は前記参照軌道を移動することに応答して、前記プロセッサに、前記第3の点のうちの少なくとも2つの間の所定の最大距離又は最小距離を維持しながら前記第3の点の全てが前記第1の点の周りに配置されたままであるような相乗的方式で、前記第3の点の全てを自動的に移動させること、を更に含む、
請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記参照軌道に対して垂直であって前記第2の点を取る参照平面を生成することと、
前記第1の点を通り前記参照平面に対して平行である作業平面を生成することと、
を更に含む、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記第3の点は、前記アブレーションゾーンに挿入される前記プローブの先端を表し、
前記第1の点は、前記アブレーションゾーンの中心にあるか又は隣接し、
前記第3の点を配置することは、挿入される前記プローブの前記先端が前記参照平面に対して同じ深さに配置されるように、前記第1の点から実質的に等距離に、前記作業平面上に前記第3の点のうちの1つ以上を配置することを含む、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の点は、前記アブレーションゾーンの中心にあるか又は隣接し、
前記第3の点を配置することは、挿入される前記プローブの前記先端のうちの少なくとも1つが、参照平面に対して他のプローブの前記先端から異なる深さに配置され得るように、前記作業平面の上又は下に前記第3の点のうちの1つ以上を配置することを含む、
請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記アブレーションゾーンは、マルチプローブアブレーションによって治療される前記対象の腫瘍領域を含み、
前記第1の点を指定することは、表示された前記画像上で、前記アブレーションゾーンの略中心を指定するか、又は前記腫瘍領域の略中心を指定することを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項12】
画像誘導マルチプローブ経皮的インターベンションを制御するための針誘導システムであって、
ディスプレイデバイスと、
前記ディスプレイデバイスに動作可能に結合されたプロセッサと、
を備え、
前記プロセッサは、
前記ディスプレイデバイスのグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を用いて、マルチプローブ経皮挿入によって治療される対象の画像を表示し、
前記GUIを介して、表示された前記画像上で前記対象のアブレーションゾーン内の第1の点と、前記対象の表面の第2の点とを指定するユーザ入力を受け取り、
前記第1の点及び前記第2の点を通る参照軌道を生成し、
前記GUIを介して、前記対象に挿入されるプローブの数を指定するユーザ入力を受け取り、
前記第1の点の周りに、前記対象に挿入される前記プローブの数に等しい数の第3の点を配置し、
記対象に挿入される前記プローブの数に等しい数の計画挿入軌道を生成する、
ように構成され、
前記プロセッサは、前記第3の点を前記第2の点に接続することによって前記計画挿入軌道を生成し、
前記計画挿入軌道は、各計画挿入軌道が前記第3の点のうちの1つを通り、かつ前記第2の点を通るように、前記参照軌道に対して幾何学的関係で延び、
前記参照軌道は、プローブの挿入軌道を表さないが、前記計画挿入軌道の重心として機能する、
システム。
【請求項13】
前記プロセッサは、
前記対象に挿入される前記プローブのプローブパラメータを表示し、
ユーザに、1つ以上のプローブパラメータを選択するように促す、
ように前記GUIを制御するように更に構成され、
前記ユーザによって選択される前記プローブパラメータは、前記対象に挿入される前記プローブについてのプローブの数と、プローブ配置と、プローブタイプとのうちの1つ以上を含む、
請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記アブレーションゾーンは、マルチプローブ経皮挿入によって治療される前記対象の腫瘍領域を含み、
前記プロセッサは、ユーザに、表示された前記画像上で前記アブレーションゾーンの略中心又は前記腫瘍領域の略中心を指定することによって前記第1の点を指定するように促し、かつ、表示された前記画像上で、前記プローブの全てが前記対象に挿入されるときに通る皮膚進入点を指定することによって、前記第2の点を指定するように促すように構成され、
前記第2の点は、プローブガイドデバイスが前記対象上に装着される位置に基づいて、前記ユーザによって指定される、
請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記対象上に装着されるように構成されたプローブガイドデバイス、
を更に備え、
前記プローブガイドデバイスは、前記プローブガイドデバイスの中心を示すマーカを有し、当該中心は、ユーザによって指定された前記第2の点と位置合せされるように構成され、
前記プローブガイドデバイスは、前記プローブガイドデバイスが前記対象に装着されたときに、各プローブが前記第2の点を通り前記計画挿入軌道のうちの1つ以上に沿って前進するように、前記参照軌道に対する幾何学的関係で、前記第2の点を通して前記プローブの各々を誘導するように構成される、
請求項12に記載のシステム。
【請求項16】
前記プロセッサは、第1のプローブが第1の計画挿入軌道に沿って前記対象に挿入される挿入手順の間、前記第1の計画挿入軌道に沿った前記第1のプローブの挿入が完了したか否かを決定するように更に構成され、
前記第1のプローブの挿入が完了したという決定に応答して、前記プロセッサは、前記ユーザに、前記第1の計画挿入軌道とは異なる第2の計画挿入軌道に沿って、前記対象に第2のプローブを挿入するように更に促す、
請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記プロセッサは、前記GUIの複数のビューに、前記対象に装着された前記プローブガイドデバイスの画像と、前記対象に挿入される前記プローブのうちの少なくとも1つとを表示するように更に構成され、
前記複数のビューは、アキシャルビューと、平行ビューと、垂直ビューと、3次元(3D)ビューとのうちの2つ以上を含む、
請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
請求項1~11のいずれか1項に記載の方法をコンピュータに実行させるコンピュータ実行可能コードを格納した非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、2017年7月7日に出願された米国仮特許出願第62530040号からの優先権を主張し、その開示は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0002】
本願の開示は、一般に、画像誘導医療インターベンションに関し、特に、開示される情報は、複数プローブ経皮インターベンションに関する画像誘導外科処置のコンピュータ支援のプランニング、シミュレーション、モデリング及び実行に関する。
【背景技術】
【0003】
腫瘍アブレーションは、動物又はヒトの体の病変組織の破壊を伴う外科処置である。経皮アブレーションの場合、超音波、コンピュータ断層撮影法(CT)又は磁気共鳴イメージング(MRI)による誘導を用いて、アブレーションされる腫瘍又は病変に針状の中空プローブが挿入される。肝臓、前立腺、肺、乳房及び腎臓等に見られる固形腫瘍は、クライオアブレーションを用いてアブレーションされることが多い。クライオアブレーションでは、臨床医は、典型的には、針状の中空プローブの先端が病変組織の内部又は近辺に達するまで、プローブを皮膚進入点から体内に通す。次に、組織細胞内に氷晶が形成され、局部組織が氷結して「アイスボール」と一般に呼ばれる小さなボリュームになるまで、液体窒素等の冷却熱伝導性流体が中空プローブを通して標的組織に送り込まれる。アイスボールが腫瘍を取り囲んだ状態で、氷結組織においてアブレーションが行われ、病変組織が破壊される。病変組織を外科的に破壊する他の方法としては、プローブを用いて電気(高周波療法)、熱(高周波アブレーション又はマイクロ波アブレーション)、レーザ光(レーザアブレーション)、放射性シード(小線源療法等の放射線治療)、又は無水アルコール等の化学物質(化学アブレーション)を導入することが挙げられる。
【0004】
大きな腫瘍(単一のプローブ先端の周囲に形成されるボリュームよりも大きい)を破壊するためには、部分的に重なり合う腫瘍の異なる部分をアブレーションするように、針状プローブ先端を繰り返し位置決めし直す必要がある。このプロセスは、腫瘍全体が複数のアブレーションによって「カバー」されるまで、数回繰り返される必要がある。或いは、複数プローブを同時又は順次に使用することができる。複数プローブの使用は、不規則な形状の腫瘍(ほとんどの腫瘍は球形ではない)をカバーするために、異なる構造(例えば異なる先端サイズ又は形状)を有するプローブを使用することを含む。したがって、複数プローブアブレーションは、2つ以上の異なる別々のプローブを用いることを伴う。プローブは、病変組織の複数の部分をアブレーションするために経時的に順次に使用することができ、又は、並行して使用することができ、この場合、全てのプローブがアブレーションの開始前に挿入され、アイスボールを形成するために一緒に使用される。例えば、病変組織の形状又はサイズが、病変組織全体を含むのに十分な大きさのアイスボールを形成するのに1つのプローブでは十分ではないようなものであると臨床医が決定した場合に、臨床医は複数プローブアブレーションを選択することができる。
【0005】
従来の複数プローブアブレーションでは、臨床医は、典型的には、手作業で第1のプローブの挿入を計画し、次のプローブの各々の挿入を手作業で計画する。すなわち、プロセスは漸進的に行われる。第1のプローブのために、挿入点と、標的点と、挿入点と標的点を接続する軌道とを第1のプローブ計画として計画し、計画に従って第1のプローブを途中まで挿入し、体内の第1のプローブをスキャンし、挿入されたプローブのスキャンに基づいて、必要に応じて第1のプローブ計画に調整又は修正を行い、第1のプローブの挿入を終了し、同様のプロセスに従って別のプローブを挿入する。
【0006】
アブレーションは、極めて複雑な処置を伴う。しかしながら、臨床医は、主に手作業で反復的にアブレーションを行う。複数プローブアブレーション処置において、全てのプローブのために異なる軌道を手作業で計画すると、アブレーションを実行するのに要する時間が増加し(すなわち非効率的である)、エラーを引き起こすおそれがある(例えば、非病変組織に影響を及ぼすおそれがある)。また、臨床医が各軌道において行う必要がある細かな調整が多いほど、臨床医は、別々の作用の総量よりも大きい結合アブレーションゾーンを生じさせるように協働する個々のアブレーションの作成に向ける集中力が低下してしまう。更に、手作業によるプランニングでは、臨床医は、異なる軌道の選択肢を試す意欲を削がれ、むしろ、処置の有効性を制限するおそれがあっても、処置の複雑さを軽減する選択を行う方に向かってしまう。また、手作業によるマルチプローブアブレーションのプランニングと実行に要する時間が増大すると、患者の快適さと回復時間に悪影響を及ぼすおそれがある。手作業によるプランニングに対する改善案に関連する情報は、例えば米国特許出願公開第2016/0113632号及び米国特許第9144461号から取得することができる。
【0007】
既知のアブレーション処置には、単一プローブ又はマルチプローブの画像誘導インターベンションの精度と速度を向上させるために、自動ロボット支援ナビゲーションを用いるものがある。提案されているロボット支援処置は、大きな腫瘍の治療の効率と安全を改善することができ、外科医の作業負荷を軽減することができ、経験の浅い医師の助けとなり得る。しかしながら、ロボット支援ナビゲーションは、扱いにくい針ガイドマニピュレータ及びアクチュエータを使用するので、そのような扱いにくいロボット支援システムを実装するのに要するサイズとコストが原因で、複雑かつ高価になる。提案されているロボット支援針位置決め及びナビゲーションシステムに関連する情報は、例えば米国特許出願公開第2017/0079720号、第20170100195号及びLiuらによる非特許文献“Automatic Multiple-needle Surgical Planning of Robotic-Assisted Microwave Coagulation in Large Liver Tumor Therapy”,the public library of science(PLoS)ONE11(3):e0149482,2016年3月16日公開、http://doi.org/10.1371/journal.pone.0149482から取得することができる。
【0008】
可視化モダリティ及びロボット支援針位置決めシステムを用いる経皮穿刺療法では、ロボットシステム自体が、必要なプローブ軌道を妨げるおそれがあるので、標的組織に達することが難しい。その理由から、外科手術時間と患者の負担を減らすために、可能な限り少ない経路訂正で標的組織に針を位置決めするための針配置マニピュレータの開発が提案されている。具体的には、例えば米国特許出願公開第2014/0275978号及び第2018/0103979号によって、患者の体表面に直接装着される針配置マニピュレータが提案されている。
【0009】
最近になって、アブレーションプローブを患者の標的腫瘍内に前進させる前に、針配置処置をシミュレーションによって仮想的に可視化することができる、アブレーションプランニング技術も提案されている。例えば、MAXIO(商標)の“Integrated planning,navigation and robotic targeting of tumor ablation”,2012年に公開された冊子、及び、Beyerらによる非特許文献“Stereotactically-navigated percutaneous Irreversible Electroporation(IRE)compared to conventional IRE:a prospective trial”,(2016),PeerJ,DOI 10.7717/peerj.2277を参照されたい。これらの既知のアブレーションモダリティの一部、例えばクライオアブレーションは、一般に、1つの腫瘍エリアをアブレーションするために複数プローブとともに使用される。それらのモダリティでは、アブレーション処置中、複数プローブを用いて1つの大きなアブレーションゾーンを作成するために、複数プローブが腫瘍エリアの周囲に特定の構成、例えば三角錐を形成する必要がある。したがって、複数プローブを用いるそのようなアブレーション処置のプランニングは、更に複雑になり、腫瘍エリアの中心に対するプローブ先端位置の直接的な対応を考慮することなく、逆効果となるおそれがある。従来、ユーザが腫瘍エリアについて定めた特定の構成にプローブ先端位置を関連付けることによってマルチプローブ処置のプランニング支援を提供するプランニング技術は、知られていない。
【0010】
より具体的には、このような既知の画像誘導アブレーション及び他の経皮療法の技術において生じる問題は、患者の重要器官を避けたり、腫瘍に関して針ホルダ及び誘導システムを位置決めし直したり、腫瘍のサイズ及び/又は場所の変化に起因して(例えば患者の動作に起因して)軌道を調整したりするために、皮膚進入点と腫瘍位置の間の計画された個々の軌道を動的に更新する必要がある場合が多い、ということである。したがって、標的腫瘍に関して複数プローブの先端の位置及び/又は距離の相乗的調整を計画するための装置及び方法が必要である。
【発明の概要】
【0011】
本開示の一態様によれば、複数プローブ経皮挿入処置を計画するためのコンピュータ実装方法は、検査される対象の画像内の腫瘍領域において第1の点を決定することと、画像において、画像内の対象の表面において複数プローブ挿入に対応する第2の点を決定することと、対象に挿入されるプローブの数に関する数値情報を取得することと、取得された数値情報に関連付けられた、プローブの先端のジオメトリ情報を取得することと、決定された第1の点と取得されたジオメトリ情報とに基づいて、プローブの先端に対応する第3の点を決定することと、プローブの挿入軌道を表す線分を生成することであり、挿入軌道は決定された第3の点を通り、かつ第2の点又はその周囲において対象の表面と交差することと、画像の少なくとも一部及び線分をモニタに表示させることと、を含む。
【0012】
上記一態様による方法は、複数のピクチャを有するグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を表示することを更に含み、各ピクチャはプローブの数に対応し、各ピクチャはプローブの数に対応する情報を示す。上記一態様による方法は、アブレーションサーバがユーザ入力を受け取ることに応答して、プローブの先端に対応する表示された第3の点を移動することを更に含む。上記一態様による方法は、アブレーションサーバが第3の点のうちの1つを移動するユーザ入力を受け取ることに応答して、第3の点のうちの少なくとも2つの間の距離の所定の制限に基づいて、残りの第3の点を移動することを更に含む。一態様による方法では、第1の点は、腫瘍領域の場所の中心に隣接する。
【0013】
本開示の別の態様によれば、経皮マルチプローブ治療を実行する方法は、マルチプローブ経皮挿入によって治療される対象のスキャン画像を取得することと、スキャン画像内の関心領域(ROI)内に第1の点を決定することと、スキャン画像内の対象の表面において1つ以上の第2の点を決定することと、第1の点と1つの第2の点を接続することによって、参照軌道を生成することと、第1の点の周囲に、対象に挿入されるプローブの先端に対応する複数の第3の点を配置することと、挿入されるプローブの数に基づくとともに参照軌道に基づいて、プローブの計画挿入軌道を表す線分を生成することと、スキャン画像に重ね合わせて、参照軌道と、計画挿入軌道のうちの少なくとも1つとをモニタに表示させることと、を含む。計画挿入軌道は、参照軌道に対して幾何学的関係で延び、第3の点を通り、かつ1つ以上の第2の点を通る。実施形態によっては、計画挿入軌道を表示することは、計画挿入軌道を用いて挿入された針によって形成され得るアブレーションゾーンを表示することを含んでよい。
【0014】
本開示の更なる態様によれば、複数プローブアブレーション治療方法が提供される。この方法は、計画挿入軌道に沿ってアブレーションプローブを挿入するという追加のステップとともに、本明細書に記載のプローブ挿入を計画する方法か、又は本明細書に記載のプランニングを実行する方法のいずれかを含む。プランニングステップの前に含めることのできる追加のステップは、患者の皮膚の、腫瘍又は他の関心領域の付近の場所に、患者皮膚表面装着デバイスを取り付けるステップである。
【0015】
本開示の更に別の態様によれば、アブレーションサーバによって実行される複数プローブアブレーション処置においてプローブ挿入を計画する方法は、検査される対象の画像内の腫瘍領域に第1の点を決定することと、画像内の対象の表面において、複数プローブ挿入に対応する第2の点を決定することと、第1の点を第2の点と接続することによって、参照軌道を定めることと、対象に挿入されるプローブの数に関する数値情報を取得することと、取得された数値情報に関連付けられた、当該数のプローブの先端のジオメトリ情報を取得することと、決定された第1の点と取得されたジオメトリ情報とに基づいて、プローブの先端に対応する第3の点を決定することと、当該数のプローブの挿入軌道を表す線分を生成することであり、挿入軌道は、参照軌道に沿ってその幾何学的関係で延び、決定された第3の点を通り、かつ第2において又はその周囲において対象の表面と交差することと、画像の少なくとも一部及び線分をモニタに表示させることと、を含む。
【0016】
一実施形態によれば、本方法は、複数のピクチャを有するグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を表示することであって、各ピクチャはプローブの数に対応し、各ピクチャはプローブの数に対応する情報を示すことと、ユーザに、挿入されるプローブの数を選択するように促すことと、を更に含む。実施形態によっては、GUIは、計画挿入軌道を表示し、計画挿入軌道を用いて挿入された針で形成されるアブレーションゾーンを表示するように構成される。
【0017】
一実施形態によれば、本方法は、アブレーションサーバがユーザ入力を受け取ることに応答して、プローブの先端に対応する表示された第3の点を移動することを更に含む。
【0018】
一実施形態によれば、本方法は、第3の点のうちの1つを移動するユーザ入力をアブレーションサーバが受け取ることに応答して、第3の点のうちの少なくとも2つの間の距離の所定の制限に基づいて、残りの第3の点を移動することを更に含む。
【0019】
一実施形態によれば、第1の点は、腫瘍領域の場所の中心に隣接する。第2の点は、対象の表面上の複数の挿入点の中心位置であり、挿入軌道は、参照軌道に対して平行に延び、決定された第3の点を通り、かつ第2の点から距離をおいて対象の表面と交差する。
【0020】
一実施形態によれば、第2の点は、対象の表面上の挿入点であり、挿入軌道は、参照軌道に関して角度をなして延び、決定された第3の点を通り、かつ実質的に第2の点で対象の表面と交差する。
【0021】
一実施形態によれば、本方法は、参照軌道に対して垂直であって第2の点を通る参照平面を生成することと、参照平面に平行であって第1の点を通る作業平面を生成することと、を更に含む。この実施形態では、第1の点は、腫瘍領域の中心にあるか又は隣接し、第3の点は、作業平面上に、第1の点からほぼ等距離に配置される。
【0022】
一実施形態によれば、本方法は、第3の点のうちの1つを移動するユーザ入力に応答して、第3の点のうちの少なくとも2つの間の所定の最大距離又は最小距離を維持するように、残りの第3の点を移動することを更に含む。この実施形態によれば、本方法は、第3の点を移動することに応答して、参照軌道を更新することなく挿入軌道を更新することを更に含み、更新された挿入軌道は、参照軌道に沿って延び、移動された第3の点を通り、かつ第2の点又は第2の点の周囲で対象の表面と交差する。
【0023】
一実施形態によれば、本方法は、第1の点を移動するユーザ入力に応答して、第3の点が、第3の点のうちの少なくとも2つの間で所定の距離を維持しながら、第1の点の周囲に配置されたままであるように、第3の点の全てを移動することを更に含む。
【0024】
一実施形態によれば、本方法は、参照軌道に沿って参照平面上に配置されたプローブガイドデバイスの画像を生成することと、1つ以上の挿入軌道が重ね合わされたプローブガイドデバイスの画像をモニタに表示することと、を更に含む。一実施形態によれば、アブレーションサーバは、プロセッサによって実行されるとアブレーションサーバに前述の方法のうちの1つ以上を実行させる命令を有するアブレーションアプリケーションを記憶する。
【0025】
本発明の更なる特徴は、添付図面を参照する以下の実施形態の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、患者の経皮複数プローブ治療を実行するための外科システム100を示す図である。
図2図2は、プランニングサーバ200のハードウェアと、サーバ200に接続されたハードウェア入出力デバイスとを示す図である。
図3図3は、患者の経皮複数プローブ治療の実行の概要を示す方法300を示す図である。
図4図4は、経皮複数プローブ治療のための術前計画を作成する方法400を示す図である。
図5図5は、システム100の制御モニタ152又は手術室モニタ126に表示されるプロンプトの例を示す図である。
図6図6は、方法400で作成された計画の実施を開始するために、患者12にプローブガイド112を配置するプロセスを例示する方法600を示す図である。
図7図7は、方法400で作成された計画を患者12に配置されたプローブガイド112と空間的にレジストレーションするレジストレーションプロセスを示す方法700を示す図である。
図8図8は、プローブガイド112のリングを標的位置までナビゲートするためのプロセスを示す方法800を示す図である。
図9図9は、患者12へのプローブ116の挿入時に、ステップ306において作成された術前計画を更新するためのプロセスを例示する方法900を示す図である。
図10図10Aは、ステップ406及びステップ408で実施されるプロセスの例を示す図である。図10Bは、ステップ410及びステップ412で実施されるプロセスの例を示す図である。
図11図11A図11B及び図11Cは、ステップ412~418で実施される例示のプロセスを示す図である。
図12図12A及び図12Bは、システム100によって生成される挿入軌道の例を示す図である。
図13図13は、システム100のグラフィカルユーザインタフェース(GUI)1300の例を示す図である。
図14図14は、プランニング段階中にプランニングソフトウェアによって制御モニタ152に表示することのできる例示の垂直ビューを示す図である。
図15図15は、制御モニタ152に表示することのできる例示の3Dアキシャル方向ビューを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照しながら実施形態を説明する。全図面を通じて、別段の記載がない限り、例示の実施形態の同様の特徴、要素、構成要素又は部分を示すために、同じ参照番号及び参照文字が使用される。本開示は、以下の実施形態に限定されず、以下の実施形態は、それらが適用される装置の個々の構造と様々な条件に応じて、適宜修正又は変更することができる。
【0028】
腫瘍アブレーション等の画像誘導経皮インターベンションは、術前のプランニング(プランニング)と術中の外科的遂行(surgical execution)を必要とする。プランニングは、経路のプランニングと腫瘍カバレッジの最適化を含む。プランニングでは、腫瘍をカバーするのに必要な最小数の軌道を見つけるためと、腫瘍をカバーするために見つかった軌道に沿った最小のアブレーション数とを見つけるために、プローブ配置の患者固有モデリングが実施される。その目的で、患者に対するプローブ挿入数をいかにして制限するか、また、腫瘍の周囲の健康な組織又は他の器官の無用な損傷をいかにして防止するかを計画することも、重要である。
【0029】
図1に、アブレーション等の複数プローブ経皮インターベンションにおける術前プランニング及び術中ナビゲーションのための外科システム100を示す。外科システム100は、手術室110及び制御室150を含み、人々が医療又は外科治療を受ける場所に配置することができる。例えば、外科システム100は病院に配置されてよく、又は、手術室110及び制御室150並びにそれらの装備品は、移動可能なユニット式建物(mobile modular building)の一部であってよく、移動可能なユニット式建物は、世界中で貨物として輸送することができ、人々が医療又は外科治療を受ける場所として単独で配置することができる。実際、手術室110と制御室150は、互いに隣接してもよいし、又は異なる国等、互いに遠く離れていてもよい。
【0030】
制御室150は、制御室ユーザ14等の非滅菌状態のユーザが、臨床医10や看護師11等の滅菌状態のユーザによって使用される手術室110をモニタリングし、手術室110に対して遠隔で支援サービスを提供することのできる、中枢空間の機能を果たす部屋であってよい。臨床医10の役割を果たす人員(滅菌ユーザ)としては、病変/腫瘍を治療するためにアブレーション処置を選択する癌専門外科医、腫瘍とそのサイズを特徴付けるために画像を収集し解析することと、生検処置から得られた結果を評価することが専門であるインターベンショナル・ラジオロジスト(IR)、看護師及び麻酔医が挙げられる。制御室ユーザ14の役割を果たす人員としては、CT又はMRIの技師が挙げられる。制御室150は、アブレーションサーバ200と、アブレーションサーバ200と通信する制御モニタ152とを含む。
【0031】
手術室110は、外科手術を行う装備を備えた1つ以上のオペ室と、滅菌保管場所や手洗い室、患者回復室等の付属設備とのグループであってよい。手術室110内では、外科システム100は、プローブガイド112、アブレーションシステム114(コンソール)及びスキャナ140を含んでよい。複数プローブアブレーション中、臨床医10は、アブレーションデバイス118を用いて1つ以上のプローブ116を患者12に挿入するために、プローブガイド112及びアブレーションシステム114を使用することができ、患者12の内部を見て、挿入されたプローブ116の場所を確認するために、スキャナ140を使用することができる。クライオアブレーションの場合には、挿入されたプローブ116によってアイスボールの形成が生じ、又は、マイクロ波アブレーション又は高周波アブレーションの場合には、アブレーションゾーンが加熱ボリュームを形成する。
【0032】
プローブガイド112は、臨床医10によって用いられる有線又は無線のレジストレーション可能な患者装着デバイスであってよく、病変又は腫瘍等の生体対象の標的点の探索を助け、プローブ標的点及び軌道の決定を助け、また、1つ以上のプローブ116がプローブガイド112を通して患者12に挿入されるときに、プローブ配置を追跡する。例えば、プローブガイド112は、矢印120で示すように回転させることのできる画像平面(image-plane)ローカライザであってよい。臨床医10は、プローブガイド112を患者の上に配置し、患者12内のガイドデバイス画像平面を示すような回転角度で、プローブガイド112上の円弧ガイドを回転させることができる。プローブガイド112がプローブガイド112を通して使用されているプローブ116を追跡している間に、ガイドデバイス画像平面に沿って、患者12内部の画像を取得することができる。画像と、回転角度及びガイドデバイス画像平面に関する情報とは、アブレーションサーバ200に送信されてよい。
【0033】
アブレーションシステム114は、患者12の身体組織を治療するために臨床医10によって使用されてよく、アブレーションデバイス118、ハウジング122、手術室コンピュータ124及び手術室モニタ126を含んでよい。アブレーションデバイス118は、クライオアブレーション、化学アブレーション、高周波療法、高周波アブレーション又はマイクロ波アブレーション、レーザアブレーション及び放射線療法等のアブレーションを実行するために使用される器具であってよい。他の経皮治療では、アブレーションデバイス118は異なる器具に置換されてよく、例えば定位生検処置では、器具は複数の生検針を含んでよい。ハウジング122は、支持及び保管を提供する封入構造(enclosing structure)であってよい。例えば、ハウジング122は、手術室コンピュータ124がアブレーションサーバ200と通信を交わしている間、手術室コンピュータ124を物理的に支持することができ、また、アブレーション流体及び化学物質を格納するとともに、電気、熱及び/又はレーザ光を発生させるアブレーションデバイスを格納する空間を提供することができる。手術室コンピュータ124には、キーボード、マウス及びマイクロフォン等の入力デバイスと、スピーカ及び手術室モニタ126等の出力デバイスが取り付けられてよい。手術室モニタ126については、手術室モニタ126は、アブレーション計画の画像やアブレーションされる標的生体対象の画像等の画像を表示する電子表示デバイス(例えばLCDスクリーン)であってよい。
【0034】
スキャナ140は、患者12の体の生体構造及び生理学的プロセスのピクチャを形成するように構成されたイメージングモダリティを含む。複数プローブアブレーション中、臨床医12は、スキャナ140を用いて画像を周期的に取得して、例えば4インチ(100ミリメートル)の事前計画軌道に沿って、患者12へのプローブ116の反復挿入を追跡することができる。これらの画像を利用するために、スキャナ140は、アブレーションサーバ200と通信を交わすためのスキャナコンピュータ142を含んでよい。スキャナコンピュータ142には、キーボード、マウス及びマイクロフォン等の入力デバイスと、スピーカ及びモニタ等の出力デバイスが取り付けられてよい。スキャナ140は、1つ以上のイメージングモダリティを利用して、X線コンピュータ断層撮影法(CT)、デジタルラジオグラフィ(DR)、内視鏡検査(ES)、磁気共鳴法(MR)、ポジトロン放出断層撮影法(PET)、透視法及び超音波(US)、又はこれらの組合せ等、様々な医用イメージング技術を実行することができる。図1の右上角に示すように、スキャナ140は、複数プローブ116と、腫瘍と、腫瘍の周囲の治療領域との画像を取得するために用いることができ、治療領域は、例えば、アイスボール又は熱的に加熱された関心ボリューム(VOT)である。
【0035】
図1において、外科システム100は、有線ネットワーク222又は無線ネットワーク226を介して手術室110と通信するアブレーションサーバ200を含む。しかしながら、アブレーションサーバ200は、手術室110及び制御室150の外部に、かつ遠く離れて配置することができる。制御モニタ152は、アブレーション計画の画像やアブレーションされる標的生体対象の画像等、画像を表示するために用いられる1つ以上のデバイスであってよい。制御モニタ152は、制御室ユーザ14がアブレーションアプリケーション228(図2)を使用して術前プランニングを行うためのグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を提供する。アブレーションサーバ200との通信において、制御室150は、キーボード154、マウス156(図2)及び臨床医10と処置について話し合うためのマイクロフォン等の入力デバイスと、スピーカ及び制御モニタ152等の他の出力デバイスを含んでよい。制御室ユーザ14は、手術室110内の臨床医10によって提供される作業をモニタリングし、かつ遠隔から支援するために、これらの入出力デバイスを用いて関与することができる。
【0036】
図1に示すように、アブレーションサーバ200は、複数プローブアブレーションを計画し実行する際に臨床医10及び制御室ユーザ14を支援するために、プローブガイド112、アブレーションシステム114、スキャナ140及び制御モニタ152と通信してよい。複数の医用イメージングモダリティからの画像を記憶しアクセスするために、アブレーションサーバ200は、画像保管通信システム(PACS)を含んでよく、その一部であってよく、又はそれに接続されてよい。
【0037】
図2に、アブレーションサーバ200の例示のハードウェアと、アブレーションサーバ200に接続される例示のハードウェア入出力デバイスとを示す。アブレーションサーバ200は、中央演算処理装置(CPU)202と、ランダムアクセスメモリ(RAM)204と、読取り専用メモリ(ROM)206と、ソリッドステートドライブ(SSD)208等の記憶装置と、グラフィックスプロセッシングユニット(GPU)210と、操作インタフェース(I/F)212と、ネットワークインタフェース(I/F)214とを含む。ソリッドステートドライブ(SSD)208又は同様の記憶デバイスは、アブレーションアプリケーション228を含む、様々なプログラム、画像及びファイルをその中に記憶する。プローブガイド112、手術室コンピュータ124及びスキャナコンピュータ142は、アブレーションサーバ200と同様のハードウェアを有してよい。
【0038】
CPU202は、アブレーションサーバ200の他のハードウェアと連携した処理及び制御を通して、アブレーションアプリケーション228等のコンピュータプログラムの命令を実行するための回路を含む。RAM204は、現在の使用のためにデータと命令のマシンコードとを一時的に記憶するストレージの一形態である。例えば、CPU202は、コンピュータプログラムをRAM204にロードし、コンピュータプログラムに含まれる命令を実行して、本開示に記載のプロセスを実行するとともに、基本的な入力、出力、計算、メモリ書込み及びメモリ読込みのプロセスを実行することができる。CPU202は、長期の不揮発性の形態のストレージであるROM206から、又は、データ及びコンピュータプログラムを永続的に記憶することのできるSSD208から、コンピュータプログラムを取得することができる。SSD208は、ハードディスクドライブ、ホログラフィックメモリディスクドライブ、ネットワーク接続ストレージ又はクラウドストレージ、又は光磁気テープ、又はドラム式ストレージ等、ソリッドステートドライブとは異なるメモリ又はストレージデバイスとすることができる。CPU202は、データバス216を通して、アブレーションサーバ200内の残りのハードウェアと接続されてよい。
【0039】
複数プローブアブレーションを伴う外科手術は画像を多用し、グラフィックスプロセッシングユニット(GPU)210は、コンピュータグラフィックス及び画像処理を効率的にマニピュレーションすることによって、ディスプレイデバイス(モニタ152)に出力するための画像の作成を迅速化するために、高速でメモリとやり取りする専用電子回路を提供することができる。GPU210は、ケーブル218を通して制御モニタ152と接続されてよい。一例では、GPU210は、リアルタイムで、複数プローブアブレーションの計画及び実行のステップに関する画像と、イメージング状態や処置中に撮像され手術される標的生体対象に関する他の情報を、制御モニタ152に提供する。代替の実施形態では、CPU202は、GPU210の機能を置換し実行するように構成されてよい。
【0040】
上述のように、アブレーションサーバ200は、操作インタフェース(I/F)212及びネットワークI/F214等のインタフェースを含む。操作I/F212は、ケーブル220を通して、キーボード154及びマウス156と接続されてよい。そのようなものとして、操作I/F212は、キーボード154及びマウス156とCPU202の間での情報の通信を支援することができる。例えば、キーボード154又はマウス156が制御室ユーザ14から入力を受け取る場合、結果として生じる操作信号は、操作I/F212に入力され、CPU202に送信されて、外科システム100に、イメージング、プランニング及び/又は実行の条件を設定若しくは変更するように、かつ/又は、本開示に記載されている方法のいずれかの部分を開始若しくは終了するように指示する。一例では、操作I/F212と接続されるケーブル、コネクタ、通信プロトコル及び電源は、ユニバーサルシリアルバス規格に準拠する。インタフェースとして、ネットワークI/F214は、CPU202とアブレーションサーバ200の外部のデバイスの間での、テキストデータ及び映像等の情報の通信を支援することができる。ネットワークケーブル222は、有線信号を送信及び受信するために、ネットワークI/F214に接続されてよい。ネットワークI/F214は、無線信号226を送信及び受信するために、無線送受信器224を含んでよい。
【0041】
図3は、複数プローブアブレーション処置の実行の概要を示す方法300である。アブレーション処置のための簡略ワークフローは、少なくとも以下の4つのステップを含む。(1)セットアップ:これは、全てのシステム構成要素を接続し、サーバから画像を取得するためにDICOMとの接続をセットアップし、プローブガイド112を画像に自動的にレジストレーションすることを含む。(2)プランニング:これは、プローブの所望の数に応じて挿入軌道を計画することと、プローブ挿入をシミュレーションすることと、アイスボール形成のモデルを見ることとを含む。(3)プローブ挿入:これは、プローブガイド112を作動させて、1つ以上のプローブを選択された標的関心領域にガイドすることと、実際の挿入を実行することとを含む。(4)モニタリング:これは、計画軌道に関して、挿入されたプローブの実際の位置を確認することと、アブレーション後の参照のために処置の画像を保存することとを含む。MRI誘導クライオアブレーション処置は、一般に、MRI室、又は利用可能なMRIマシンを備えたオペ室(OR)で行われる。アブレーション処置については、プローブ挿入部分を除き、ワークフローにおける他の全ての部分は、一般にMRI/OR室に隣接する制御室で行われる。制御室は、医師がスキャンをレビューし検証することができるMRIシステムワークステーションを含むこともできる。
【0042】
方法300は、一例として複数プローブを使用するクライオアブレーション処置を利用するが、方法300は、熱アブレーション処置等の他のアブレーション処置、又は、多針画像誘導生検等の他の経皮処置でも利用されてよい。複数プローブアブレーション処置を支援するために、アブレーションサーバ200は、SSD228(又はROM206)に記憶することのできるアブレーションアプリケーション208を含む専用のプランニング及びナビゲーションソフトウェアを用いて、事前プログラムされる。アブレーションアプリケーション228は、命令を有する専用ソフトウェアの一種であり、命令は、RAM204にロードされCPU202によって実行されると、アブレーションサーバ200に、複数プローブアブレーションに関する外科手術のコンピュータ支援のプランニング、シミュレーション、モデリング及び実行において臨床医10(滅菌状態の人員)及び制御室ユーザ14(非滅菌状態の人員)を支援する動作を実行させる。同等の(coordinate)機能、タスク及び/又はアクティビティを実行するためのアプリケーションプログラムとして、アブレーションアプリケーション228はSSD208内に存在してよく、又は、アプリケーションの部分が複数のサーバ内に存在し、CPU202を通して連携してもよい。
【0043】
図3では、ステップ302において、方法300は処置の準備を含む。これは、手術室110及び患者12を準備することを伴う。例えば、看護師10は、麻酔カート及びプローブ116を含むアブレーションシステム114を手術室110内に移動し、プローブガイド112を含む新しいプローブガイドパッケージを制御室ユーザ14に与えることができる。看護師11は、患者12を手術室110に運び、患者をスキャナ140用のベッドの上に配置することができる。医療処置の無痛実施と患者の動きの低減を可能にするために、麻酔医は、患者12に麻酔を施すことができる。次に、看護師11は、針状プローブ116のための目標とする皮膚進入点及びその周囲に滅菌エリアを作り、滅菌エリア上に使い捨て皮膚マーキンググリッドを貼り付けることができる。皮膚マーキンググリッドは、スキャナ140によってスキャンされた画像内で見るものに物理的寸法を相関させるのに役立つ。ステップ302から、方法300はステップ304に進む。
【0044】
ステップ304において、方法300は、針誘導システムを起動することと、アブレーションアプリケーション228を立ち上げることとを含む。これは、制御室ユーザ14がサーバ200に電源を投入することと、アブレーションアプリケーション228を立ち上げることと、グラフィカルユーザーインタフェース(GUI)を介してアブレーションアプリケーション228にログインすることとを含んでよい。ログインした後、制御室ユーザ14は、遠隔デバイス、例えば病院情報システム(HIS)、放射線科情報システム(RIS)又は画像保管通信システム(PACS)から患者12に関する情報を受け取ることによって、新規症例を開始することができる。患者情報は、新規症例に入力された、名前や診療記録番号(MRN)等の情報を含んでよい。ステップ304は、プローブガイド112が入った未開封の新しいプローブガイドパッケージのバーコードをスキャンして、アブレーションアプリケーション228に取り込むことを含んでもよい。次に、アブレーションアプリケーション228は、プローブガイド112の受け取ったシリアル番号とファームウェアバージョンとを用いて、ローカルデータベース又はインターネットを介するリモートデータベースを検索して、例えばプローブガイド112の有効性を確認してよい。その有効性が確認された後、看護師11は、滅菌プローブガイド112を取り出し、滅菌テーブルに置き、滅菌プローブガイド112をオンにして、手術室110内のプローブガイド112と制御室150内のアブレーションサーバ200の間に通信を確立することができる。
【0045】
麻酔をかけられた患者がスキャナ140内に配置された状態で、アブレーションアプリケーション228は、スキャナ140に、使い捨て皮膚マーキンググリッドを含むエリアのスカウトスキャンを実行させる。コンピュータ断層撮影法(CT)では、スカウトスキャンは、CTシステムを動作させるモードのひとつである。スカウトスキャンは、CT検査の実際の主要部分を実行する前に取得される予備画像である。スカウトスキャンは、直接診断のためではなく、アキシャルCTスライスを指定するためと、スライス位置を表示するために一般に使用される参照画像である。スカウトスキャンを取得する理由はいくつかある場合があり、例えば、関心領域が視野に含まれていることを確認するため、又は露光技術(exposure technique)を確認するため、又は造影剤の投与の前にベースラインを取得するためである。ステップ302のプロセスでは、スカウトスキャンは、関心領域が視野に含まれることを確認するのに役立つ。
【0046】
ステップ304から、方法300は、時系列で、ステップ306からステップ308、310、312及び314へと進む。ステップ306は、予備アブレーション計画(術前計画)を作成して、プローブ116をどこに配置するかを決定することを含み、図4の方法400に関連して詳述される。ステップ308は、プローブガイド112を患者12の表面(皮膚)上に配置することを含み、図6の方法600に関連して詳述される。ステップ310は、基準(fiducial)のレジストレーションを含み、図7の方法700に関連して詳述される。ステップ312は、標的位置に対してプローブガイド112を位置決めすることと、プローブ116を患者12に部分的に挿入することとを含み、図8の方法800に関連して詳述される。ステップ314は、ステップ306で作成された予備アブレーション計画を更新して、プローブ116の挿入を反復的に完了させることを含み、図9の方法900に関連して詳述される。方法300は、ステップ314からステップ316に進む。
【0047】
ステップ316において、方法300は、全てのプローブが患者12に挿入されたか否かを決定する。全てのプローブが患者12に挿入されていない場合(ステップ316でNO)、方法300はステップ312に戻る。全てのプローブが患者12に挿入されている場合(ステップ316でYES)、方法300はステップ318に進む。
【0048】
ステップ318において、方法300はプレアブレーション処置を含む。制御室ユーザ14は、アブレーションアプリケーション228を作動させて、スキャナ140に、スキャナ140を用いて患者12のスキャンを取得させ、また、スキャンをアブレーションアプリケーション228にインポートする。制御室ユーザ14がアブレーションアプリケーション228の機能を進めた後、アブレーションアプリケーション228は、無線送受信器224を自動的に起動して、無線信号226を送受信する(図2)。
【0049】
ステップ320において、方法300は、生体対象(例えば標的組織又は腫瘍)をアブレーションすることを含む。全てのプローブが患者12に挿入され、現在のスキャンが取得されると、アブレーションアプリケーション228は、クライオアブレーションの場合、中空プローブ116を通して生体対象(標的組織)に液体窒素を送り込む。このプロセス中、アブレーションアプリケーション228は、スキャナ140に、アブレーションプロセスが完了するまで、アイスボールの形成を周期的にスキャンさせる。ステップ320から、方法300はステップ322に進む。同様に、このステップでは、熱アブレーションの場合、マイクロ波又は熱エネルギー等のエネルギー源が、プローブ116に送られ(この場合、プローブは中空である必要はない)、生体対象(標的組織)に送られる。このプロセス中、アブレーションアプリケーション228は、スキャナ140に、アブレーションプロセスが完了するまで、熱的に加熱された領域の形成を周期的にスキャンさせる。
【0050】
ステップ322において、方法300は、生体対象(例えば腫瘍)のアブレーションからの結果を記録することを含む。アブレーションアプリケーション228は、スキャナ140に、アイスボールをスキャンさせ、結果として生じた画像をアブレーションアプリケーション228にアブレーション後キースキャンとしてインポートさせる。制御室ユーザ14からの入力に基づいて、アブレーションアプリケーション228は、処置が成功したか否かを臨床医10が評価できるように、プレアブレーションスキャンのアブレーション後キースキャンとのオーバーレイを作成する。アブレーションアプリケーション228は、キースキャンに対する入力された注記をレポートの一部として受け取り、レポートを画像保管通信システム(PACS)にエクスポートする。次に、制御室ユーザ14は、アブレーションアプリケーション228からログアウトする。ステップ322から、方法300はステップ324に進む。
【0051】
ステップ324において、方法300は、次の医療処置に向けて手術室110を準備することを含む。アブレーションが完了した後(例えば事前設定時刻の後)、プローブ116が取り外され、それ以上プローブ挿入が必要ない場合は、例えば患者の挿入点に絆創膏を貼る等、クリーンアップが行われる。処置から出た廃棄物が処分され、滅菌ドレープが取り去られ、麻酔が停止され、患者12が手術室110から搬出され、手術室110が清掃され、アブレーションシステム114のプラグが抜かれ、保管場所に移動される。次の医療処置に向けて手術室110の準備が整うと、方法300は終了する。
【0052】
図4は、複数プローブアブレーション(マルチプローブ経皮処置の例)のための予備アブレーション計画を作成するためのプロセスを示す方法400である。予備アブレーション計画(術前プランニング)は、アブレーションの中心と皮膚進入点とを指定することと、アブレーションの中心を1つの皮膚進入点に接続することによって、1つの軌道ベクトル(又は参照軌道)を定めることとを含む。1つの軌道ベクトルに基づき、軌道ベクトルを参照軌道として用いて、1つ以上のプローブ116の各々について挿入軌道が計画される。
【0053】
ステップ304の終わりに、アブレーションアプリケーション228がスキャナ140に、使い捨て皮膚マーキンググリッドを含むエリアのスカウトスキャンを実行させたことを想起されたい。スカウトスキャンは、スキャンスライスを計画し取得するために用いることができる。方法400のステップ402において、アブレーションアプリケーション228は、このスカウトスキャンをアブレーションサーバ200のSSD208にインポートする。
【0054】
ステップ404において、臨床医10は、スキャンスライスをスクロールして、アブレーション対象の腫瘍又は病変等の生体対象と、その生体対象の候補アブレーションゾーン/エリアの略中心とを、目視で探し出す。
【0055】
ステップ406において、アブレーションアプリケーション228は、臨床医10から、候補アブレーションゾーン又はその略中心を指定する入力を受け取る。すなわち、臨床医10(ユーザ)は、スキャンスライス画像内のエリアを候補アブレーションゾーンとして手動で指定することができ、アブレーションアプリケーション228は、候補アブレーションゾーンの略中心を自動的に推定するように構成することができる。或いは、ユーザは、候補アブレーションゾーンを目視で特定し、次に、候補アブレーションゾーンの略中心を手動で特定することができる。また、或いは、アブレーションアプリケーション228は、1つ以上のスキャンスライスの画像特性(例えばコントラストパターン)を自動的に解析し、現在のスキャンスライスが、特定のレベルのコントラストをもつ少なくとも1つのピクセルを有するか否かを決定することによって、候補アブレーションゾーンの略中心を自動的に推定するように構成されたサブルーチンプログラムを含むことができる。候補アブレーションゾーンが指定される方式にかかわらず、検査される対象(例えば患者12)の画像内の腫瘍領域における第1の点として機能する、少なくとも1つのピクセルを指定することができる。一例では、第1の点は、腫瘍領域等の関心ボリュームの中心に隣接してよく、又は中心にあってよい。本明細書に開示するように、事前プランニングプロセス中に第1の点の場所を手動で調整することができるので、厳密には、ユーザが候補アブレーションゾーンの正確な中心を指定することが必要であるというわけではない。ユーザが、候補アブレーションゾーンの一部として、スキャンスライス内の少なくとも1個又は数個のピクセル(又はボクセル)を指定することができる限り、アブレーションアプリケーション228のプランニングソフトウェアは、指定された第1の点として、ユーザの選択をレジストレーションすることができる。
【0056】
次に、臨床医10は、1つの皮膚進入点を選択するステップに進む。これを行うために、臨床医10は、使い捨て皮膚マーキンググリッドが見つかるまでスキャンスライスをスクロールし、使い捨て皮膚マーキンググリッドに基づいて、1つの皮膚進入点を選択することができる。或いは、スカウトスキャン内に示される対象の縁の周辺をスクロールし、プローブガイド112の位置を推定することによって、スキャン進入点を選択することができる。具体的には、患者に実際のプローブガイドが装着された(テープで留められた)後に挿入点を変更することは困難である。したがって、事前プランニング中に、プローブガイド112からアクセス可能なエリアの十分に内側に腫瘍が確実にあるようにすることが有利である。そうでない場合、医師は、患者にテープで留められたロボットを取り除き、新たなエリアを再び清浄にして、ロボットをテープで留める必要がある。この時間のかかるプロセスを回避するために、インタフェースは、正しい挿入点を決定する迅速な方法を提供することになる。これを行うために、挿入点の適切なエリアに基準ビーズが配置されてから、スカウトスキャンが撮影される。次に、このスキャンを用いて、接近可能エリアの円錐とともに挿入点が試される。医師は、既に指定されている候補アブレーションゾーンをカバーし得る最も適切な挿入点を決定するために、アキシャルスキャンの外縁に沿って、基準(及びそれに付随する円錐)をドラッグすることができる。ここで、医師は、実際の基準配置を参照点として使用することができ、次に、候補アブレーションゾーンの適切なカバレッジを確保するように、必要に応じて挿入点を漸進的に編集することができる。
【0057】
ステップ408において、アブレーションアプリケーション228は、臨床医10によって選択された1つの皮膚進入点を示す入力を受け取る。この1つの皮膚進入点は、画像内の対象(例えば患者12)の表面における第2の点として機能する。1つの皮膚進入点を示す入力を受け取ると、アブレーションアプリケーション228は、ステップ408で、アブレーションゾーンの選択された点(中心)と1つの皮膚進入点を接続することによって、参照軌道を自動的に作成する。
【0058】
図10Aに、ステップ406及びステップ408で実施されるプロセスの例を示す。ステップ406において、ユーザは、スキャンスライスの腫瘍領域1001内に関心点を定める。この実施形態では、関心点は、ユーザが第1の点1002として定める、候補アブレーションゾーンの略中心である。ステップ408において、ユーザは、スキャンスライス内に第2の点1003も定める。第2の点1003は、スキャンスライス内で観察されている使い捨て皮膚マーキンググリッドに基づいて選択される皮膚進入点である。スキャンスライスを取得するときに使い捨て皮膚マーキンググリッドを使用しない場合、ユーザは、第2の点1003を、おおよその場所、例えば第1の点1002と患者12の皮膚1009の間の最接近点として、選択することができる。或いは、上記で説明したように、実際の処置中に使用されるプローブガイド112の推定位置に基づいて、皮膚進入点を選択することが有利であろう。その目的で、スキャンスライス内で観察されている基準マーカに基づいて、また、プローブガイド112からアクセス可能なカバレッジエリア1010(カバレッジの円錐)に基づいて、第2の点1003(皮膚進入点)を選択することができる。
【0059】
第1の点1002及び第2の点1003を定めた後、アブレーションアプリケーション208のプランニングソフトウェアは、第1の点1002と第2の点1003を接続することによって、軌道ベクトル(参照軌道1004)を生成する。同時に、アブレーションアプリケーション228のプランニングソフトウェアは、参照平面1005も生成する。参照平面1005は、参照軌道1004に対して垂直であり、患者の皮膚1009に対して接線方向に第2の点1003を通る。上述のように、参照軌道1004は、指定された皮膚進入点と腫瘍エリアの略中心の間の線である。よって、参照軌道は、単一のスキャン又は複数のスキャンにわたる同じスキャン平面内に定めることができる。これに関して、参照軌道1004は、単一の針軌道を定めることと同様であるとみなすことができよう。しかしながら、本開示によれば、参照軌道1004は、針軌道を定めるのではなく、ユーザによって選択される構成(ジオメトリ及びプローブ数)に基づく複数針軌道に対する「参照」を定める。したがって、マルチプローブ挿入のプランニングでは、参照軌道1004は針軌道と同じではない。計画挿入軌道(針軌道)は、参照軌道に対して幾何学的関係を有するものである。例えば、3本の針が三角形パターンにある場合、参照軌道は、挿入された針によって形成される三角錐の幾何学的中心となる(図12Aを参照)。同様に、4本の針が正方形パターンにある場合、参照軌道は、挿入された針によって形成される四角錐の幾何学的中心となる。他の例では、針軌道が平行である場合、参照軌道は、例えば三角柱(3本の針が三角形パターンにある場合)の幾何学的中心である。同様に、針/プローブの円形配置の場合、参照軌道は、プローブの配置によって形成される円柱の幾何学的軸として機能する。このような計画挿入軌道に対する参照軌道の幾何学的関係により、ユーザは、計画軌道が適切であるか否かをより直観的に決定することができる。
【0060】
参照軌道1004及び参照平面1005は、次のステップにおける複数プローブの配置(ジオメトリ)の代表的な特徴である。この実施形態では、参照軌道1004は、プランニングの開始時において、複数プローブの配置の重心(centroid)となる。同様にして、参照平面1005は、プランニングの開始時において、複数プローブの全ての代表点を含む平面(参照平面)となる。ユーザは、第1の点1002及び第2の点1003を選択することによって、参照軌道1004を定めることができる。第1の点1002は、腫瘍エリアに関係する。臨床医は、治療の意図により、この第1の点1002を選択することができる。概して、腫瘍中心は、第1の点1002の主要な代表点のひとつである。一方、第2の点1003は、挿入点に関係する。この実施形態は、複数プローブが同じ皮膚進入点を共有することになる場合、第2の点1003が複数プローブの皮膚進入点であると想定している(図12A参照)。他の実施形態では、複数の皮膚進入点が用いられる場合、第2の点1003は、複数プローブの皮膚進入点の中心位置とすることができる(図12B参照)。したがって、第2の点1003(及び第1の点と第3の点のいずれか)は、必ずしも数学的な意味での「点」ではない。むしろ、第2の点1003は、プローブ116が指定の標的に向かって進むときに通るおおよその位置を示す場所である。物理的プローブは明確な寸法を有するので、点は、例えば0.2mm~2.0mm又はそれ以上の直径を有してよい。したがって、本明細書及び特許請求の範囲において、プローブが「実質的に」点を通るか又は「実質的に」点に位置することは、使用されている実際のプローブのサイズに基づく一定の許容誤差を考慮している。これに関して、ステップ408において、アブレーションアプリケーション228のプランニングソフトウェアは、スライススキャン内の少なくとも数個のピクセルのユーザ選択を検出することに応答して、選択された皮膚進入点を決定し、それに応じて、プローブ116の実際のサイズに基づいて、進入点のサイズを調整する。
【0061】
ステップ410において、アブレーションアプリケーション228は、制御室ユーザ14に、アブレーション処置に用いられる所望の数のプローブ118を有するプローブ配置を選択するように促す。ここで、アブレーションアプリケーション228は、対象(例えば患者12)に挿入されるプローブ116の数に関する数値情報を取得してよい。同じステップ又は別個のステップにおいて、プローブ先端116のジオメトリ情報が取得されてよい。よって、アブレーションアプリケーション228は、取得された数値情報と相関するこのジオメトリ情報を取得することができる。ジオメトリ情報は、臨床医10によって手動で定められてもよく、又は、挿入されるプローブ116の数に基づいて事前に定められてもよく、又は、それらの何らかの組合せであってもよい(例えば、複数プローブのいくつかの異なるジオメトリが、臨床医がジオメトリを選択しない場合のデフォルトとともに、選択肢として臨床医に対して表示されてよい。
【0062】
図10Bに、ステップ410及びステップ412で実施されるプロセスの例を示す。ステップ410において、ユーザは、関心ボリューム(腫瘍)をカバーするのに必要なプローブの数量(数)及び配置(ジオメトリ)を決定する。その後、アブレーションアプリケーション228のプランニングソフトウェアは、CPU202に、複数の第3の点1007a、1007b、1007cを所定の配置で表示させる(例えばモニタ152に)。第3の点1007a、1007b、1007cは、ユーザが必要であると判断したプローブの数量に応じて、複数プローブ116の各々について代表標的点を定める。例えば、代表点(第3の点1007a、1007b、1007c)の各々は、プローブ116の各々の先端の標的とすることができ、又は、第3の点1007a、1007b、1007cの各々は、各プローブのアブレーションゾーンの中心を表すことができる。可視化及び配置を容易にするために、第3の点1007a、1007b及び1007cは、最初に、プランニングソフトウェアによって作業平面1006に配置することができる。作業平面1006は、参照平面1005に平行な面である。具体的には、プローブの数及びジオメトリを受け取ると、アブレーションアプリケーション228のプランニングソフトウェアは、第1の点1002を通る参照軌道1004に垂直な平面として、作業平面1006を定める。次に、アブレーションアプリケーション228は、作業平面1006上に、第1の点1002からほぼ等距離に第3の点1007a、1007b、1007cを配置する。作業平面1006上に初期(デフォルト)位置として第3の点1007a、1007b及び1007cが配置されることで、ユーザは、第1の点1002に関して、かつ参照軌道1004に関して、第3の点1007a、1007b及び1007cの各々の位置を一目で容易に確認することができる。
【0063】
図5に、モニタ152に表示されるプローブプロンプトの例を示す。一例では、アブレーションアプリケーション228は、プローブの一連のデフォルト配置を表示する。配置は、アブレーション処置のために選択されるプローブの数に基づく所定の幾何学的配置として、表示されてよい(例えば3個のプローブ-三角形、4個のプローブ-正方形又は台形、5個のプローブ-円形等)。図5では、モニタ152は、ユーザに、所望のプローブの数を選択するためのプロンプト510と、プローブのタイプを選択するためのプロンプト512とを提示する。ユーザには、プローブ配置501(1個のプローブ)、502(2個のプローブ)、503(3個のプローブ)、504(4個のプローブ)、505(5個のプローブ)及び506(他の数のプローブ)を表すアイコンが提示されてよい。アイコン501~506のいずれかを選択すると、プランニングソフトウェアは、ユーザに、プローブのタイプ(球型プローブ514,棒型プローブ516、シード型プローブ516等)を表す追加のアイコン514~518を提示する。ユーザが適正な選択を行ったことを確認するために、プランニングソフトウェアは、更に、選択を確定するための追加の選択アイコン520をユーザに提示する。一例では、制御室ユーザ14は、マウス156を使用して3プローブアイコン503をクリックすることによって、三角形パターンの3プローブを選択する。
【0064】
ユーザによって選択されたプローブの数と表示のジオメトリ編成(例えば3個のプローブの場合の三角形)に従って、プランニングソフトウェアは、プローブ先端間の最大距離を設定する。例えば、少なくとも2センチメートルの半径を有する相乗的アイスボールの形成を確実にするためには、2センチメートルのプローブ先端間距離が有効であろう(1センチメートルのオーバーラップを想定)。プローブの先端間の距離が2センチメートルを超えると、非相乗的アイスボールが形成される可能性が高くなり、結果としてアブレーション処置がうまくいかなくなる。他の実施形態では、ルックアップテーブルから、又はプローブ又はエネルギー源パラメータの組合せから等、他の最大距離が臨床医によって手動で設定されてよい。また、最大距離は、腫瘍のサイズに関連付けることによって手動で定められてよく、結果としてユーザは、腫瘍の所与のサイズを用いて合理的でない先端位置決めを行うことを回避することができる。更に、他の実施形態では、臨床医によって最小距離が手動で設定されてよい。特に、プローブ先端間の最小距離は、プローブが互いに衝突する可能性を回避するのに有用であろう。
【0065】
再び図4を参照すると、ステップ412において、方法400は、微調整/編集ステップに移行する。ここで、アブレーションアプリケーション228は、入力を受け取り、プローブ116の全てについて、必要であれば、モニタ152上で配置及び軌道の微調整/編集に関する視覚フィードバックを提供する。これは、アブレーションアプリケーション228が、臨床医10がアブレーションゾーン案に満足したという入力を受け取るまで行われる。このステップでは、微調整は、例えば単一のプローブ位置の微調整であってよもよいし、又は、プローブ配置全体の調整であってもよい。
【0066】
ステップ414において、アブレーションアプリケーション228は、臨床医10に、アブレーションプローブのタイプを選択し、アブレーション設定を選ぶように促す。ここで、図5のプローブプロンプト512は、各プローブの出力の形状に応じたプローブのタイプに対応する様々なアイコン514、516、518も表示する。一例では、制御室ユーザ14は、マウス156を使用して球型アイコン514をクリックすることによって、球形プローブを選択する。ステップ416において、アブレーションアプリケーション228は、制御室ユーザ14が選択ボタン520を押したことに応答して、選択を受け取る。
【0067】
この時点で、アブレーションアプリケーション228は、アブレーションゾーン中心と、1つの皮膚進入点と、この2つの間の軌道と、所定の配置のプローブの数量(例えば三角形パターンの3個のプローブ)と、アブレーションプローブのタイプと、アブレーション設定とを指定する情報を含む。ステップ418において、アブレーションアプリケーション228は、このコア情報を利用して、標的の生体対象を囲むアブレーションゾーン案を生成する。
【0068】
ステップ418におけるアブレーションゾーン案の生成は、様々な決定を伴う。例えば、コア情報に基づいて、3つのプローブ116の各々の皮膚進入点が決定され、腫瘍における3つのプローブの各々の物理的先端の位置案が決定される。ここでのプローブの先端は、各プローブ116のアブレーションゾーンのコアを表し、各プローブ116のアブレーションゾーンのコアは、プローブの物理的先端とはわずかに異なるので、アブレーションアプリケーション228は、ステップ414でプローブのタイプが指定された後、プローブ116の物理的先端を計算し、任意に、プローブが挿入される必要のある正確な深度について臨床医10に知らせるためのメッセージを、手術室モニタ126上に表示する。プローブ116の物理的先端を計算することは、決定された第1の点と取得されたジオメトリ情報とに基づいて、画像内の当該数のプローブ116の先端に対応する第3の点を決定することを含んでよい。
【0069】
図11A図11B及び図11Cに、第1の1002と、第2の点1003と、第3の点1007a、1007b及び1007cとのうちの1つ以上の配置を微調整し編集するために、ステップ412~ステップ418で実行される例示のプロセスを示す。図10Bに示す初期位置から第3の点1007a、1007b及び1007cのうちの1つ以上を修正するために、ユーザは、例えば、図11Aに示すように、2つ以上の点のいずれかの間の距離を変更することによって、作業平面1006上で第3の点1007a、1007b又は1007cを移動することができる。このマニピュレーション中、ユーザは、腫瘍領域1001の輪郭及び第1の点1002を含む作業平面の2次元ビューを確認することができる。また、ユーザは、図11Bに示すように、第3の点1007a、1007b及び1007cのうちの1つ以上を、作業平面1006から離れる方向(上方又は下方)に移動することができる。図11Bでは、ユーザは、第3の点1007aを、作業平面1006に関して垂直に距離Aだけ移動している。同様に、ユーザは、第3の点1007bを、作業平面1006から離れる方向(下方)に距離Bだけ移動している。また、ユーザは、第3の点1007cを、参照軌道1004にほぼ平行な方向に、作業平面1006の上方で距離Cだけ移動している。図11A及び図11Bによって例示したマニピュレーションにより、ユーザは、3次元空間内で第3の点1007a、1007b、1007cのうちの1つ以上の位置を自由に調整することができるとともに、ユーザは、第3の点の各々の、作業平面1006と、第1の点1002と、参照軌道1004と、腫瘍領域1001の輪郭との幾何学的関係を、目視で評価することができる。
【0070】
図11Cに示すように、ユーザは、3次元空間で第1の点1002を移動することもできる。第1の点1002が距離Dだけ移動されると、プランニングソフトウェアは、CPU202に、第1の点102と第3の点1007a、1007b、1007cの間の固定された相対位置及び距離を維持したまま、第3の点1007a、1007b、1007cも第1の点1002と一緒に移動させる。同時に、プランニングソフトウェアは、第1の点1002と第2の点1003を接続することによって、参照軌道1004を更新する。言い換えると、ユーザが第1の点1002を3次元空間内でいずれかの方向に移動することに応答して、アブレーションアプリケーション228のプランニングソフトウェアは、CPU202に、参照軌道1004を直ちに更新させ、また、第1の点1002及び参照軌道1004に関して第3の点1007a、1007b、1007cの配置を維持したまま、第3の点1007~1007cも移動させる。このようにして、参照軌道1004に沿った1つの点の移動により、第3の点1007a~1007cの全てを位置決めし直す相乗効果が生じ、これは、複数のプローブ116の先端の相乗的な再位置決めに相当する。同様にして、ユーザは、3次元空間内で第2の点1003を移動することができる。第2の点1003が移動される(例えば挿入場所が変更される)と、プランニングソフトウェアは、第1の点1002と第2の点1003を接続することによって、参照軌道1004を更新する。しかしながら、第2の点1003が参照平面1005内で移動される場合(例えば、挿入場所は変更されるが、参照平面1005と作業平面1006の間の距離は変わらない場合)、プランニングソフトウェアは、第3の点1007a、1007b、1007cの位置を更新しない(移動しない)。
【0071】
第1の点1002、第2の点1003及び第3の点1007a、1007b、1007cの位置を定めた後、プランニングソフトウェアは、参照軌道1004と第1の点、第2の点及び第3の点1002、1003、1007a、1007b、1007cの編集された位置との幾何学的関係に基づいて、各プローブの挿入軌道計画を生成する。ここで、各プローブの挿入軌道計画は、様々な方法で生成することができる。
【0072】
図12A及び図12Bに、アブレーションアプリケーション228のプランニングソフトウェアによって生成された、3つのプローブの各々の挿入軌道の例を示す。図12Aは、第1の点1002及び第2の点1003によって定められた参照軌道1004と、対応する参照平面1005及び作業平面1006とを用いて挿入軌道計画を生成する方法の、第1の実施形態を示す。図2Aに示すこの例では、プランニングソフトウェアは、第2の点1003を第3の点1007a、1007b、1007cの各々に接続することによって、挿入軌道1008a、1008b及び1008cを生成する。参照軌道1004は第1の点1002(腫瘍の中心)及び第2の点1003(皮膚進入点)を含む線によって定められるので、参照軌道1004と挿入軌道1008a~1008cは、第2の点1003を、三角錐を形成する共通点として共有する。有利には、この場合、ユーザは、参照軌道1004を用いて、プローブ挿入軌道1008a、1008b、1008cの間の相対的関係を参照軌道1004及び腫瘍領域1001に照らして確認することができる。図12Aに示すように、単一の皮膚進入点(第2の点1003)を共有することによりプローブ挿入軌道を計画する構成は、患者の不快感を最小限にし、針挿入中に針/プローブガイド112の位置を固定したまま維持する点で特に有利であり、これは、クライオアブレーションでもマイクロ波アブレーションでも有用となる。
【0073】
図12Bに、第1の点1002及び第2の点1003によって定められた参照軌道1004を用いて挿入軌道計画を生成する方法の、第2の実施形態を示す。図12Bに示す例では、プランニングソフトウェアは、第3の点1007a、1007b、1007cの各々を起点として参照軌道1004と同じ向き及び方向に(平行に)延びる複数の線(ベクトル)を生成することによって、参照軌道1004に平行な複数の挿入軌道1008a、1008b、1008cを生成する。図12Bに示す例では、第2の点1003は、皮膚進入点として用いられない。代わりに、アブレーションアプリケーション228のプランニングソフトウェアは、第2の点1003を挿入点の重心として用い、また、参照平面1005を用いて、挿入軌道1008a、1008b、1008cと参照平面1005との交差によって与えられる複数の皮膚進入点1003a、1003b、1003cを生成する。図10Aから想起されるように、参照平面1005は、実質的に患者の皮膚表面において定められる。したがって、図12Bに示す事例では、プランニングソフトウェアは、複数の計画挿入軌道1008a、1008b、1008cだけでなく、複数の計画皮膚進入点1003a、1003b、100cも自動的に定めることができる。第1の点1002及び第2の点1003によって定められた参照軌道104に平行な複数の挿入軌道1008a~1008cを定めるこの構成は、別々のプローブが独立してガイドされ得る不可逆電気穿孔法において特に有用となる。上記の実施形態のいずれにおいても、参照平面1005は、患者の皮膚表面上でのプローブ誘導のためのプローブガイド112(患者装着ユニット)の装着平面となる予定のものとして、定めることができる。図12A及び図12Bに示すプランニングは、複数プローブが同時に挿入されるか順次に挿入されるかにかかわらず、適用可能である。しかしながら、複数プローブの使用は、不規則な形状の腫瘍をカバーするために、異なる構造(例えば異なる先端のサイズ又は形状)を有するプローブの使用を伴うことがあるので、実施形態によっては、当該プランニングは、プローブが同時に挿入される場合に、より有利となる可能性があり、なぜなら、プランニングソフトウェアが、起こり得る障害を考慮に入れて、プローブ軌道を可視化し調整することができるからである。これは、プローブを配置するたびに確認及び/又は調整が必要となる現行の方式とは対照的である。
【0074】
再び図4を参照すると、ステップ420において、アブレーションアプリケーション228は、手術室モニタ126及び制御室モニタ152に、ステップ414で選択されたアブレーション設定に基づくアブレーションゾーン案を表示させる。ここで、アブレーションアプリケーション228は、制御モニタ152、手術室モニタ126又はこれらのモニタの両方に、画像の少なくとも一部と、プローブ116の挿入軌道を表す線分(決定された第2の点と決定された第3の点とを通る)とを表示させてよい。一例では、アブレーションアプリケーション228は、複数のピクチャを有するグラフィカルユーザーインタフェース(GUI)を表示し、複数のピクチャは、各々がプローブの数に対応し、かつ各々がプローブの数に対応する情報を図示する。図13に、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)の例を示す。
【0075】
ステップ422において、アブレーションアプリケーション228は、臨床医10がアブレーションゾーン案に満足していることを示す入力を受け取ったか否かを決定する。ステップ422での入力が、臨床医10がアブレーションゾーン案に満足していることを示す場合(ステップ422でYES)、方法はステップ424に進む。ステップ422での入力が、臨床医10がアブレーションゾーン案に満足していないことを示す場合(ステップ422でNO)、方法400はステップ412に戻る。
【0076】
ステップ422で臨床医10がアブレーションゾーン案に満足せず(ステップ422でNO)、方法400がステップ412に戻ったと想定する。方法400がステップ412で微調整/編集ステップに移行することを想起されたい。ここで、臨床医10は、制御室ユーザ14に、デフォルトのプローブ配置を編集するように指示することができる。プローブ116の配置は、制御モニタ152に、定められた軌道に沿ってグループとして表示されてよい。これに関して、アブレーションアプリケーション228は、配置内の3つのプローブを、個別に選択し編集することなく、全てが一緒に編集されるように制御するように構成される。例えば、制御室ユーザ14は、アブレーションアプリケーション228を用いて、参照軌道1004を選択し所望の場所までドラッグすることによって、プローブの配置をグループとしてまとめて移動することができる。制御室ユーザ14は、アブレーションアプリケーション228を用いて、第3の点1007a、1007b、1007cのうちの1つ又は挿入軌道1008a、1008b、1008cのうちの1つを選択し、GUIの回転矢印を用いることによって、参照軌道1004を中心としてプローブの配置を回転させることができる。一例では、ユーザ入力に応答して、アブレーションアプリケーション228は、プローブ116の先端に対応する表示された第3の点1007a~1007cを移動するように制御を実行する。
【0077】
プローブ116の配置は、定められた軌道に沿ってグループとして制御モニタ152に表示されてよいが、アブレーションアプリケーション228は、制御室ユーザ14がプローブ116の先端を個別に選択しドラッグすることによって、各プローブ位置により細かい調整を行うことができるように、構成されてもよい。これは、図11Bに示すように、第3の点1007a、1007b、1007cのうちの1つを独立して移動することによって、実施することができる。プローブ116の先端を個別にドラッグすると、結果としてアブレーションアプリケーション228は、アブレーションゾーンの形状、サイズ、エリア又はボリュームを変更することになる。一例では、アブレーションアプリケーション228は、制御室ユーザ14がプローブ116の先端を他のプローブ先端に近付けることができるようにするが、他のプローブ先端からの所定の最大距離を超えるプローブ116の先端の移動を防止するように構成される。最大距離を超えるプローブ先端の移動を防ぐ理由は、プローブの先端間の所定の最大距離(例えば2cm)よりも大きいと、アブレーション処置が十分に成功しなくなるところまで、非相乗的アイスボール又は熱領域が形成される可能性が高くなるためである。実施形態によっては、アブレーションアプリケーション228は、プローブ先端が別のプローブ先端からの所定の最大距離よりも大きく移動された場合に、制御室ユーザ14に警告を発する制御を提供する。警告(例えば視覚警告又は音声警告)を発する際に、アブレーションアプリケーション228は、プローブを所定の最大距離よりも大きく移動すべきか否かを検証するようにユーザに促すプロンプトを発することができる。一例では、複数の第3の点が3つ以上の点を含む場合、第3の点のうちの1つに対するユーザ入力に応答して、アブレーションアプリケーション228は、第3の点のうちの少なくとも2つの間の距離の所定の制限に基づいて、第3の点の一部を移動する制御を実行する。
【0078】
また、アブレーションアプリケーション228は、制御室ユーザ14が、仮想皮膚進入点(図11A図11Cの第2の点1003)を選択し、スキャンスライス上の仮想グリッドに沿ってドラッグすることによって、皮膚進入点により細かい調整を行うことができるように、構成される。更に、制御室ユーザ14は、皮膚進入点又はアブレーションゾーンの中心のいずれかとともに軌道線をドラッグすることによって、参照軌道1004に調整を行うことが可能であってよい。
【0079】
ステップ422において、臨床医10がアブレーションゾーン案に満足した(ステップ422でYES)と想定する。ここで、方法はステップ424に進む。ステップ424において、アブレーションアプリケーション228は、別のアブレーション計画を作成する要求が受け取られたか否かを決定する。臨床医10が2つ以上のアブレーション計画を作成することができるようにすることによって、臨床医10は、プローブ配置の異なる選択肢を比較して、症例にとって最も適切なものを選ぶことができるようになる。ステップ424でアブレーションアプリケーション228によって受け取られた入力が、別のアブレーション計画を作成する要求である場合(ステップ424でYES)、方法400はステップ402に戻る。ステップ424でアブレーションアプリケーション228によって受け取られた入力が、別のアブレーション計画を作成しない要求である場合(ステップ424でNO)、方法400は図3のステップ308に進む。ステップ308は、患者12にプローブガイド112を配置することを含み、図6の方法600に関連して詳述される。
【0080】
図6は、方法400で作成されたアブレーション計画の実施を開始するために、患者12にプローブガイド112を配置する方法600である。ステップ602として、アブレーションアプリケーション228は、ナビゲーションのために選択されたアブレーション計画に関する入力を受け取る。ステップ602として、アブレーションアプリケーション228は、手術室モニタ126に、例えば滅菌フィールド上の使い捨て皮膚マーキンググリッドに関して、皮膚進入点の位置を表示させる。一例では、臨床医10は、それに応じて患者12の皮膚進入点に物理的に印を付け、使い捨て皮膚マーキンググリッドを取り除く。臨床医10は、皮膚進入点の周辺を滅菌する。プローブガイド112は、プローブガイド112の中心を示すプローブガイドステッカ(又は任意の適切なマーカ)を含むので、臨床医10は、皮膚進入点を表す印にプローブガイド112の中心を位置合わせすることによって、患者12上でプローブガイド112を位置決めすることができる。臨床医10は、次に、プローブガイドステッカを外し、プローブガイド112を患者の皮膚上に置く。
【0081】
臨床医10がプローブガイド112を患者12の上に位置決めした後、臨床医10は、プローブガイド112が十分にスキャン視野内にあることを確実にするために、プローブガイド112を標識する(landmark)ことができる。ここで、臨床医10は、プローブガイド112を標識するために、例えばスキャナ140からのレーザ光を使用する。ステップ604において、アブレーションアプリケーション228は、プローブガイド112の中心に対してスキャン視野(SFPV)を位置合わせし直す入力を受け取る。方法600は、次に、図3のステップ310に進む。ステップ310は、基準のレジストレーションを含み、図7の方法700に関連して詳述される。
【0082】
図7は、アブレーションアプリケーション228による基準レジストレーションに基づいて、患者12上のプローブガイド112の位置をレジストレーションする方法である。基準又は基準マーカは、スキャナ140によって生成される画像内にオブジェクトが参照点として現れるように、スキャナ140の視野内に配置されるオブジェクトである。ステップ702において、アブレーションアプリケーション228は、患者12上のプローブガイド112のプローブガイドスキャンをスキャナ140に実施させる制御を実行する。ステップ704において、アブレーションアプリケーション228は、プローブガイドスキャンをアブレーションサーバ200のストレージメモリSSD208にインポートする。ステップ706において、アブレーションアプリケーション228は、基準位置に関する情報を自動的に取得し、患者画像に対してプローブガイドをレジストレーションする。更に、アブレーションアプリケーション228は、基準レジストレーション誤差(FRE)を計算し、FREを手術室モニタ126及び/又は制御モニタ152に表示してよい。臨床医10は、手術室モニタ126のGUIを介して、プローブガイド112のレジストレーションを承認することができ、方法700はステップ708に進む。
【0083】
ステップ708において、アブレーションアプリケーション228は、手術室モニタ126に、表示されたプローブガイドスキャン上にプローブガイド112及び計画プローブ軌道の仮想モデルをオーバーレイさせる。プローブガイド112は円弧ガイドを備え、表示される仮想プローブガイド112は仮想円弧ガイドを含む。ステップ710において、アブレーションアプリケーション228は、ガイドデバイス画像平面を定めるためにプローブガイド112の仮想円弧ガイドを回転させるユーザ入力を受け取る。ステップ712において、アブレーションアプリケーション228は、選択された標的を示す入力を受け取る。進入点と標的生体対象の位置とは、この時点では、器官の動き又はプローブガイド112の配置の誤差に起因して、異なる場合がある。ステップ710及びステップ712の代替では、アブレーションアプリケーション228は、レジストレーションされたプローブガイド112の中心と同一に皮膚進入点が維持された状態で、例えば実際の器官の動き又は計算された器官の動きに基づいて、計画軌道に対する調整を受け取ってよい。
【0084】
ステップ714において、アブレーションアプリケーション228は、手術室モニタ126に到達可能エリアオーバーレイを表示させる。ステップ716において、アブレーションアプリケーション228は、標的生体対象が到達可能エリアオーバーレイ内にあることを示す入力を受け取ったか否かを決定する。標的生体対象が到達可能エリアオーバーレイ内にない場合(ステップ716でNO)、ステップS717において、臨床医10は、プローブガイド112を意図された皮膚進入点に対して位置決めし直す(移動する)ように指示され、方法700はステップ702に戻る。標的生体対象が到達可能エリアオーバーレイ内にある場合(ステップ716でYES)、方法700はステップ718に進み、アブレーションアプリケーション228は、標的リング位置を計算し、計算された標的リング位置及びエリアをプローブガイド112に送信する。ステップ718から、方法700は図3のステップ312に進む。ステップ312は、プローブガイド112のリングを標的位置までナビゲートすることと、プローブ116を患者12に部分的に挿入することとを含み、図8の方法800に関連して詳述される。
【0085】
図13に、制御モニタ152及び/又は手術室モニタ126に表示されるグラフィカルユーザインタフェース(GUI)1300の例を示す。図13に示すように、GUIは、患者12(針/プローブを配置する対象)のスキャンスライス(画像)を、様々なビュー(例えばアキシャルビュー、平行ビュー及び垂直ビュー)に表示することができる。GUI1300は、患者12の表面(皮膚)上に載置(配置)されたプローブガイド1312を示す。ユーザがプローブの挿入軌道を直観的に計画するのを支援するために、プランニングソフトウェアは、GUIに、関心ボリューム1316の中心と、プローブガイド1312が配置された平面上に位置する皮膚進入点とによって定められた参照軌道1314を表示させる。更に、ユーザがプローブ先端の配置を可視化することができるように、GUIは、(図5の)プロンプト510及び512を介してユーザにより選択された、事前に定められたプローブ配置1310に対応するプローブ先端の幾何学的配置1320を表示する。
【0086】
プローブガイドは、医師にとって参照点(挿入の点)の役割を果たすことになるので、プローブガイド1312の観点から標的エリア又は腫瘍を見ることは、有利である。次に、プローブガイド1312からの「ダウン・ザ・バレル」を示す医師の視点から見た平面として、垂直ビューが設定される。平行ビューは、医師に腫瘍及びアイスボールをあらゆる面から検査させるように、「ダウン・ザ・バレル」ビューに対して垂直に設定される。
【0087】
図14に、プランニング段階中にプランニングソフトウェアによって制御モニタ152に表示することのできる例示の垂直ビューを示す。図14に示すように、GUIは、ユーザがプローブ先端の位置を「グループとして」編集するか又は「プローブごと」に編集することができるようにする対話型編集メニュー1422を提供する。直観的なグループ編集メニュー1421によって、プローブの幾何学的配置1320及び/又は位置を編集することができる。垂直ビューにより、ユーザは、プローブの幾何学的配置と、関心領域(腫瘍)内のプローブ先端間の距離とを観察することができる。プローブの先端間の距離は、結果として生じるアイスボールの相乗効果を維持するために重要である。その理由から、プローブの先端間の距離は、所定の最大距離(例えば22mm又は2.2cm)を超えるべきではない。プランニング段階中、垂直ビューは、インターベンショナル・ラジオロジストにより、プローブ先端が適切なアイスボールを形成するのを再確認するためにプローブの先端とその間の距離とを常に観察しながら、異なるスキャンスライスをスクロールし、プローブ位置を編集するために使用される。
【0088】
スキャンが具体的に所望の平面に設定される場合を除き、アキシャルビューから他の全てのビューが再構成されるので、アキシャルビューは、一般に最も正確なビューとみなされる。アブレーションアプリケーション228では、アキシャルビューは、計画挿入軌道と、プローブガイド1312によってカバーすることのできるカバレッジエリアとを、有利に示すことができる。図15に、制御モニタ152に表示することのできる例示の3Dアキシャルビューを示す。図15のアキシャルビューでは、ディスプレイは、患者12の表面(皮膚表面)に装着された例示のプローブガイド1312の3D表現を示す。アキシャルビューから、ユーザは、プローブガイド1312によってアクセスすることのできるカバレッジエリア1010(接近可能エリア円錐)を観察することができる。接近可能エリア円錐は、プローブガイド1312を用いてプローブにアクセス可能な患者内部のエリア又はボリュームを定める。候補アブレーションゾーン(腫瘍)は、プローブガイドを用いてプローブを挿入するために、カバレッジエリア1010の十分に内側にあるべきである。この円錐は、ユーザの参照のために、ユーザインタフェースの他の2つのビューにも表示することができる。プローブの先端が円錐の縁からどの程度近いかに応じて、ユーザにプローブの計画挿入軌道を編集することを促すように、又はプローブガイド1312を位置決めし直すことを促すように、警告を表示し又は発することもできる。図8は、プローブガイド112のリングを標的位置までナビゲートする方法800である。ステップ802において、アブレーションアプリケーション228は、患者12に挿入するために選択されたプローブ116を識別する情報を受け取る。ステップ804において、プローブガイド112は、ステップ718でアブレーションサーバ200にあるアブレーションアプリケーション228によって送信された、計算された標的リング位置を受信する。ステップ806において、アブレーションアプリケーション228は、プローブガイド112のベースプレート上の可動リングを回転させる。可動リングが所定のリング位置に達すると、臨床医10は、円弧ガイドをプローブガイド112上に位置決めする。この時点で、臨床医10は、円弧ガイドの角度情報を用いて、選択されたアブレーションプローブ116を部分的に挿入する。ステップ806から、方法800は図3のステップ314に進む。ステップ314は、プローブ116の挿入を完了させるために、ステップ306で作成された予備アブレーション計画を更新することを含み、図9の方法900に関連して詳述される。
【0089】
図9は、プローブ116の挿入を完了させるために、ステップ306で作成された予備アブレーション計画を更新するための方法900である。ステップ902において、アブレーションアプリケーション228は、スキャナ140にスキャンを実施させる制御を実行する。方法900は、次に、図7の方法700のステップ702及び706と同様のステップを実行する。ステップ904において、アブレーションアプリケーション228は、スキャナ140に、患者12上のプローブガイド112のプローブガイドスキャンを実施させる制御を実行する。ステップ906において、アブレーションアプリケーション228は、プローブガイドスキャンをSSD208にインポートする。ステップ908において、アブレーションアプリケーション228は、自動的に基準をレジストレーションし、基準レジストレーション誤差(FRE)を計算し、FREを手術室モニタ126及び制御モニタ152に表示する。臨床医10が手術室モニタ126のGUIを介して基準マーカのレジストレーションを承認すると、方法900はステップ910に進む。
【0090】
ステップ910において、アブレーションアプリケーション228は、図8のステップ806の後に患者12に部分的に挿入されたプローブ116の先端を識別する入力を受け取る。ステップ912において、アブレーションアプリケーション228は、ステップ306で作成されたアブレーション計画において設定された提案された(計画)軌道をオーバーレイされた、プローブ116が患者12内で実際に進んだ軌道を示す画像を表示する。ステップ914において、アブレーションアプリケーション228は、プローブ116が所望の(計画)軌道に沿って挿入されたことを示す情報を受け取ったか否かを決定する。プローブ116が所望の軌道に沿って挿入された場合(ステップ914でYES)、方法900はステップ916に進む。プローブ116が所望の軌道に沿って挿入されていない場合(ステップ914でNO)、方法900はステップ915に進む。ステップ915で、ユーザは、プローブ軌道に小さな変更を行うように、又は計画軌道を編集するように、促されてよい。
【0091】
プローブ軌道に対する変更は、例えば、ガイドのベースプレート上の可動リングをごくわずかな角度だけ、又は数度だけ、わずかに回転させることによって実施することができる。しかしながら、計画挿入軌道と合致するようにプローブ軌道を変更することができない場合、ユーザは、挿入操作中に計画軌道を更新することができる。より具体的には、アブレーションアプリケーション228が、ステップS914で、プローブが予め計画された軌道に沿って挿入されていないと決定した場合、健康な組織を損傷するのを避けるために、又は腫瘍の周囲の傷付きやすい器官に接触するのを避けるために、プローブを計画外の軌道に沿って挿入しなければならない可能性がある。この場合、アブレーションアプリケーション228により、例えば11B及び図11Cに示すように、ユーザが第3の点1007a、1007b、1007のうちの少なくとも1つを移動するだけで、又は第1の点1002を移動するだけで、ユーザは、計画軌道に迅速な修正を行うことができる。上述のように、相乗効果を維持するために、アブレーションアプリケーション228は、図11Cに示すように、第1の点1002が移動された場合、又は第3の点1007a、1007b、1007cのうちの1つのみが移動された場合でも、計画軌道がグループとして移動(更新)されるようにする。
【0092】
したがって、ステップ915で、アブレーションアプリケーション228は、所望の軌道に対する変更を受け取って、プローブ116の先端を、新たに計画された軌道に向け直し、その意図された標的に到達させる。変更がなされた後、アブレーションアプリケーションは、アブレーション計画を更新し、ステップ912に戻って、計画軌道上に実際のプローブ軌道を再表示する。ステップ914において、アブレーションアプリケーション228は、プローブ116が所望の軌道に沿って挿入されたか否かを決定する。プローブ116が所望の軌道に沿って挿入された場合(ステップ914でYES)、方法はステップ916に進む。ステップ916から、方法900はステップ918に進む。
【0093】
ステップ918において、アブレーションアプリケーション228は、プローブ116が所定の深度に達したか否かを決定する。一例では、所定の深度は、患者の皮膚挿入点(第2の点1003)に対して100ミリメートル(約4インチ)である。プローブ116が所定の深度に達していない場合(ステップ918でNO)、臨床医10はプローブ116の患者12への挿入を続け、方法900はステップ914に戻る。S912、S914、S915、S916及びS918のプロセスは、ユーザが、プローブが所望の軌道に沿って挿入されていることを継続的に観察し、所定の深度(例えば腫瘍の深度)に達したことを確認する間、反復的に繰り返される。プローブ116が所定の深度に達した場合(ステップ918でYES)、方法900はステップ920に進む。
【0094】
ステップ920において、アブレーションアプリケーション228は、図4のステップ410で選択された全てのプローブ116が挿入されたか否かを決定する。選択された数量のプローブ116が挿入されていない場合(ステップ920でNO)、臨床医10はプローブガイド112から円弧ガイドを取り外し、方法900はステップ312に進む。選択された数量のプローブ116が挿入された場合(ステップ920でYES)、方法900はステップ318に進む。ステップ318~ステップ324については、図3を参照して上述した。
【0095】
複数プローブアブレーションを計画するためのシステム及び方法は、様々な利点を提供する。アブレーションアプリケーション228を備えたコンピュータ実装システム及び方法を用いて、臨床医10は、皮膚進入点と腫瘍又は病変の中心を接続する線に基づいて参照軌道を1つだけ定めることによって、複数アブレーションプローブの配置を計画することができる。このようにして、臨床医10は、使用する予定のプローブごとに皮膚進入点と標的点を選択する必要がない。その結果、アブレーション処置中に臨床医10が複数プローブを計画するのを支援する際に、アブレーションアプリケーション228が必要とするクリック入力の数が少なくなる。
【0096】
複数プローブの軌道のプランニングは、プローブを参照軌道に沿ってグループとして配置することによって実施されるので、例えば個別のプローブについて障害を回避するために必要でない限り、各プローブの軌道を個別に編集する必要がない。よって、臨床医10がプローブ軌道を微調整している間に考慮に入れる変数を少なくすることができる。この結果、各プローブ軌道を個別に計画する場合と比較して、事前計画プロセスがより迅速になる。アブレーション処置中、臨床医10は、個別のプローブの細かいプローブ配置に集中するのではなく、相乗的なアブレーションゾーンを作成することに集中することができる。アブレーションアプリケーション228によって制御される方法及びシステムにより、ユーザは、1つの相乗的アブレーションゾーンを備えたグループとして、複数プローブを考えることができる。
【0097】
臨床医10は、結果として得られる配置が相乗的アブレーションゾーン(相乗的アイスボールの形成等)を有することになるように、プローブを互いに等距離に配置することができる。アブレーションアプリケーション228が記憶されたアブレーションサーバ200を用いて、臨床医10は、相乗的アブレーションゾーンを作成することができる。選ばれた数のプローブ116を所定の幾何学的配置に配置することによって、アブレーションアプリケーション228は、ユーザが相乗的アブレーションゾーンを難なく作成することができるようにする。
【0098】
時には、臨床医10は、特定の腫瘍をアブレーションするためにどれだけの数のプローブ116が必要であるかを調べるために、異なる数のプローブ116を試してみたい場合がある。臨床医10は、アブレーションアプリケーション288を用いて、プローブの数を選択し、アブレーションアプリケーション228によって表示されたプローブ配置を見ることにより、これを行うことができる場合がある。図9のアルゴリズムを参照して説明したように、アブレーションアプリケーション228は、挿入点と、プローブが進入点に挿入された後のプローブの軌道とを決定するための反復回数を減らすように機能することができる。これは、CTスキャンを扱うときの放射線被曝を減らすのに有益であり、また、CT、MRI、PET又はその他等を含むあらゆるタイプのスキャンを扱うときのスキャンの合計時間を短縮する。
【0099】
本明細書で開示される複数プローブアブレーションを計画するためのシステム及び方法は、本明細書に記載のプランニングアプリケーションと患者皮膚表面装着デバイスとの組合せにより、1つ以上のプローブを計画することと標的部位までガイドすることとの両方にとって、特に有利である。患者皮膚表面装着デバイスは、手動であってよく、計画軌道に従ってプローブを送達することにおいて完全に自動化されてもよく、又はその何らかの組合せであってよく、好ましくは、臨床医10が、プローブが計画軌道に従って挿入されていることを検証することができ、計画処置が患者の需要に対して有効であることを検証することができる点を含む。例示の患者皮膚表面装着デバイスは、例えば、米国特許第9,222,996号、米国特許出願公開第2014/0275978号、第2017/0000581号、第2016/0074063号、第2015/0238266号、第2017/0071626号、第2017/0014200号、第2017/0030557号、第2016/0074063号、第2017/0172458号及び第2018/0103979号、PCT公開WO2016/208711号、WO2017/132505号及びWO2017/180643号、並びに米国特許出願第15/808703号に記載されている。米国特許出願公開第2017/0000581号に記載のレジストレーションプロセスは、本明細書に記載の計画された処置を実行することにより補完することができ、又は、本明細書に記載の計画された処置の実行において使用することができる。本段落における参考文献の各々は、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0100】
本開示の任意の方法及び/又はデータ(アブレーションのプランニング及び/又は実行、放射線療法、又は本明細書で論じられるその他のことを実行するための方法等)は、コンピュータ可読記憶媒体に格納されてよい。一般に使用されるコンピュータ可読及び/又は書込み可能な記憶媒体、例えばハードディスク、フラッシュメモリ、CD、光ディスク(例えばコンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD)等)、光磁気ディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)(RAM204等)、DRAM、読取り専用メモリ(ROM)(ROM206等)、分散コンピュータシステムのストレージ、メモリカード又は同様のもの(例えば不揮発性メモリカード、ソリッドステートドライブ(SSD)、SRAM等の他の半導体メモリ等)、それらの任意の組合せ、サーバ/データベース等のうちの1つ以上等を用いて、プロセッサ(アブレーションサーバ200のプロセッサ又はCPU202等)に、本明細書で開示される方法のステップを実行させることができる。
【0101】
また、実施形態は、記憶媒体(より完全には「非一時的コンピュータ可読記憶媒体」とも呼ばれ得る)に記録されたコンピュータ実行可能命令(例えば1つ以上のプログラム)を読み出して実行して、上記の実施形態の1つ以上の機能を実行し、かつ/又は、上記の実施形態の1つ以上の機能を実行するための1つ以上の回路(例えば特定用途向け集積回路(ASIC))を含むシステム又は装置のコンピュータによって実現されてもよく、また、例えば記憶媒体からコンピュータ実行可能命令を読み出して実行して、前述の実施形態の1つ以上の機能を実行し、かつ/又は上記の実施形態の1つ以上の機能を実行するための1つ以上の回路を制御することによって、システム又は装置のコンピュータによって実行される方法によって実現されてもよい。コンピュータ可読記憶媒体は非一時的コンピュータ可読媒体であってよく、かつ/又は、コンピュータ可読媒体は、一時的な伝搬信号であることを唯一の例外として、全てのコンピュータ可読媒体を含んでよい。コンピュータ可読記憶媒体は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、レジスタメモリ、プロセッサキャッシュ等の、所定期間又は制限された期間又は短期間に、かつ/又は電力の存在下でのみ、情報を記憶する媒体を含むことができる。また、本開示の実施形態は、記憶媒体(より完全には「非一時的コンピュータ可読記憶媒体」とも呼ばれ得る)に記録されたコンピュータ実行可能命令(例えば1つ以上のプログラム)を読み出して実行して、上記の実施形態の1つ以上の機能を実行し、かつ/又は、上記の実施形態の1つ以上の機能を実行するための1つ以上の回路(例えば特定用途向け集積回路(ASIC))を含むシステム又は装置のコンピュータによって実現されてもよく、また、例えば記憶媒体からコンピュータ実行可能命令を読み出して実行して、前述の実施形態の1つ以上の機能を実行し、かつ/又は上記の実施形態の1つ以上の機能を実行するための1つ以上の回路を制御することによって、システム又は装置のコンピュータによって実行される方法によって実現されてもよい。
【0102】
本明細書の開示は特定の実施形態を参照して説明されたが、これらの実施形態は本開示の原理及び用途の例示にすぎない(それに限定されない)ことを理解されたい。したがって、例示的な実施形態に対して多数の修正を行うことができ、本開示の主旨及び範囲から逸脱することなく他の構成を考案することができることを理解されたい。添付の特許請求の範囲は、そのような全ての修正並びに均等の構造及び機能を包含するように、最も広い解釈が与えられるべきである。
【0103】
例示参考文献
本開示は、従来のアブレーションのためのプランニング及びナビゲーションのシステムに対して、顕著な有用な改善を提供する。本開示の読者は、「非本質的事項」とみなされ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、以下の非特許文献(NPL)及び特許公開文献を調べることができる。
1.Liu S,Xia Z,Liu J,Xu J,Ren H,Lu Tら、“Automatic Multiple-Needle Surgical Planning of Robotic-Assisted Microwave Coagulation in Large Liver Tumor Therapy”,the public library of science(PLoS)ONE11(3):e0149482.刊行:2016年3月16日、https://doi.org/10.1371/journal.pone.0149482
2.MAXIO(商標)“Integrated planning,navigation and robotic targeting of tumor ablation”,2012年に公開された冊子
3.Beyerら、“Stereotactically-navigated percutaneous Irreversible Electroporation(IRE)compared to conventional IRE:a prospective trial”,(2016),PeerJ,DOI 10.7717/peerj.2277
3.特許文献は、米国特許出願公開第2014/0275978号、第2018/0103979号、第2017/0079720号、第20170100195号、第2016/0113662号及び米国特許第9144461号を含む。
図1
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