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特許7289351イオン輸送を介して金属表面を研磨するための乾式電解質におけるスルホン酸の使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-01
(45)【発行日】2023-06-09
(54)【発明の名称】イオン輸送を介して金属表面を研磨するための乾式電解質におけるスルホン酸の使用
(51)【国際特許分類】
   C25F 3/16 20060101AFI20230602BHJP
【FI】
C25F3/16 Z
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021520383
(86)(22)【出願日】2019-11-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-13
(86)【国際出願番号】 ES2019070753
(87)【国際公開番号】W WO2020099700
(87)【国際公開日】2020-05-22
【審査請求日】2022-01-20
(31)【優先権主張番号】P201831092
(32)【優先日】2018-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】ES
(31)【優先権主張番号】P201930148
(32)【優先日】2019-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】ES
(73)【特許権者】
【識別番号】518360830
【氏名又は名称】ドライライテ エス.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】サルサネダス ミレット パウ
(72)【発明者】
【氏名】サルサネダス ジムペラ マルク
(72)【発明者】
【氏名】ソト エルナンデス マルク
【審査官】池ノ谷 秀行
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/186992(WO,A1)
【文献】特開2008-196047(JP,A)
【文献】特開2017-214615(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25F 1/00-7/02
C23F 1/00-4/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン輸送を介して金属表面を研磨するための乾式電解質の使用であって、
前記乾式電解質は、導電性液体と、前記導電性液体が含侵される多孔質粒子とを含み、
前記導電性液体は、前記多孔質粒子が前記導電性液体を遊離させずに保持する最大量である飽和点未満の量で前記多孔質粒子に含侵され、
前記導電性液体は、スルホン酸を含み、
前記多孔質粒子はポリスチレン-ジビニルベンゼンのイオン交換樹脂を含むことを特徴とする、イオン輸送を介して金属表面を研磨するための乾式電解質の使用。
【請求項2】
前記乾式電解質の前記導電性液体がメタンスルホン酸を含むことを特徴とする、請求項1に記載のイオン輸送を介して金属表面を研磨するための乾式電解質の使用。
【請求項3】
前記導電性液体中のスルホン酸の濃度が1~70%の範囲にあることを特徴とする、請求項1又は請求項に記載のイオン輸送を介して金属表面を研磨するための乾式電解質の使用。
【請求項4】
前記乾式電解質の前記導電性液体が錯化剤を含むことを特徴とする、請求項1から請求項のいずれか1項に記載のイオン輸送を介して金属表面を研磨するための乾式電解質の使用。
【請求項5】
前記錯化剤がポリエーテルを含むことを特徴とする、請求項に記載のイオン輸送を介して金属表面を研磨するための乾式電解質の使用。
【請求項6】
前記ポリエーテルが直鎖状アルキルであることを特徴とする、請求項に記載のイオン輸送を介して金属表面を研磨するための乾式電解質の使用。
【請求項7】
前記ポリエーテルがポリエチレングリコールであることを特徴とする、請求項に記載のイオン輸送を介して金属表面を研磨するための乾式電解質の使用。
【請求項8】
前記ポリエチレングリコールが200~500Daの範囲の分子量を有することを特徴とする、請求項に記載のイオン輸送を介して金属表面を研磨するための乾式電解質の使用。
【請求項9】
前記ポリエーテルがポリプロピレングリコールであることを特徴とする、請求項に記載のイオン輸送を介して金属表面を研磨するための乾式電解質の使用。
【請求項10】
前記錯化剤がキレート剤を含むことを特徴とする、請求項6に記載のイオン輸送を介して金属表面を研磨するための乾式電解質の使用。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の使用に用いられる乾式電解質であることを特徴とする乾式電解質。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、金属表面を平滑化、艶出し及び研磨することに焦点を当てた産業の分野であり、例えば、特に歯科、医療、自動車及び航空の産業界等の分野で応用される。
【0002】
本発明の目的
本発明の目的は、スルホン酸を電解質として含有する自由固形体を使用するイオン輸送の使用を特徴とする、金属表面を平滑化及び研磨するための方法に関し、この方法を実施するためのスルホン酸を含有する自由固形体にも関する。このスルホン酸を含有する自由固形体の使用は、公知の最新技術と比較して、際立った利点及び特徴を有し、これは顕著な新規性を意味する。
【背景技術】
【0003】
何らの担体にも結合されていない粒子、つまり自由固形体、の使用を特徴とする、金属を研磨するために確立されたシステムが存在する。この粒子は、粒子と処理される表面との間の相対的な移動に起因する摩擦によって機械的な摩耗を生成する。上記粒子は、処理される材料よりも硬いということが必要である。
【0004】
機械的な摩耗に基づくシステムは、摩耗の効果が表面と粒子との間の圧力に関連するという事実に起因して、平坦性を欠く。つまり、突出している金属部分は、閉塞している部分よりも多くの摩耗を受ける。このため、一般的には、処理対象の部品の頂点やエッジが過度に丸くなってしまう。これは、精度又はシャープなエッジを必要とする金属において機械的な摩耗システムを使用する際の大きな障害となる。
【0005】
加えて、機械的な摩耗に基づくシステムは、粒子のサイズに応じたレベルで変形が金属表面に生じる。このプロセスでは、金属表面は、粒子に由来する介在物によって汚染される。金属表面の組成のこれらの改変は、例えば耐薬品性、引張強度又は耐久性の低下を生じることが多い。
【0006】
液体電解質に浸した金属に対する電流の使用を特徴とする、金属を研磨するために確立されたシステムもある。これらの電解研磨システムは、結果として外来介在物のない金属表面を与える。
【0007】
しかしながら、電解研磨システムは、マイクロメートルオーダーの粗さを平滑化する効果を有する。従来の市販の電解研磨システムは、多くの場合、当初の粗さに対して50~60%の範囲の粗さの減少を謳っている。多くの応用例において、この平滑化レベルは十分ではない。
【0008】
加えて、電解研磨システムは、その本質的な動作のため、金属の下層の結晶構造、又は生成する金属塩若しくは金属酸化物を露わにする傾向がある。これは、階段状表面、穴及び他の関連する欠陥を金属構造に生じさせる。従って、電解研磨システムは、化学特性に起因してこれらの制約を本質的に克服できる金属及び合金、例えばアルミニウムで拡大している。しかしながら、電解研磨システムは、多くの他の金属及び合金では、これらの欠点なしには使用することができない。
【0009】
機械的な摩耗に基づく金属研磨システム及び電解研磨システムの課題のいくつかは、イオン輸送を介して金属表面を研磨するための自由固形体の使用によって解決された。同一出願人は、「metodo para alisar y pulir metales a traves del transporte de iones por medio de cuerpos solidos libres(自由固形体によるイオン輸送を介して金属を平滑化及び研磨する方法)(...)」に言及するスペイン特許出願公開第2604830A1号を所有する。上記自由固形体は、所定量の液体を保持する多孔質粒子と、その粒子に保持される液体の導電性電解質、好ましくは1~10%の範囲のHF水溶液とのセットによって構成されるイオン輸送を行うことができる。しかしながら、上記電解質は、例えば鉄及び鉄合金等の多くの金属において満足できる結果を与えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】スペイン特許出願公開第2604830A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、自由固形体によるイオン輸送を介して金属を平滑化及び研磨する方法において使用するための改善された乾式電解質を開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
イオン輸送を介して金属表面を研磨するための自由固形体又は粒子におけるスルホン酸の使用は、金属研磨の分野における新規性であり、以下の本文で説明される利点及び特徴を有する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
乾式電解質は、所定量の導電性液体を保持する能力を有す多孔質粒子と、所定量の液体と、の一組を含む。
【0014】
本発明は、具体的には、所定量の液体を保持する能力を有する多孔質粒子と、少なくとも1種のスルホン酸を含有する導電性液体の所定量と、を含む乾式電解質に関する。
【0015】
本発明では、上記導電性液体は、少なくとも1種のスルホン酸を含む。このスルホン酸は、一般式RSOHを有し、式中、Rは、アルキルであるか又は芳香族である任意の有機置換基、別の官能基又は又はハロゲン原子であることができる。これは、スルホン酸の一般的な構造である。
【化1】
【0016】
好ましくは、使用されるスルホン酸は、水又は別の選ばれた溶剤に高い溶解度を有するスルホン酸である。加えて、好ましくは、それらのスルホン酸は関連する金属と可溶性の塩を形成する。例えば、限定する目的はないが、メタンスルホン酸CHSOH、トリフルオロメタンスルホン酸CFSOH、フルオロスルホン酸FSOH、クロロスルホン酸ClSOH、パラ-トルエンスルホン酸4-CHSOH及びスルファミン酸NHSOH等のスルホン酸を使用することができ、これらのスルホンさんのすべては、下記のように表される。
【化2】
【0017】
上記スルホン酸は、作業温度において液体である場合には純粋な形態で使用することができるし、又は溶液として使用することができる。スルホン酸の最適濃度は、選ばれるスルホン酸、溶剤に、並びに処理される部品のパラメータ、例えば金属の種類、全体の表面及び形状にも依存するので、経験的に決定されることになる。溶液中では、溶剤の好ましい選択肢は、電気伝導率及び溶解度の理由から、水又は極性溶剤である。好ましくは、水は上記の選ばれた溶剤である。1~70%という導電性液体中のスルホン酸の濃度は、このプロセスで活性であることが実証されている。2~40%の濃度が好ましい。これらの濃度は、当該乾式電解質が調製される方法によらず、乾式電解質中の導電性液体の最終濃度を指す。
【0018】
スルホン酸は強酸であり、古典的な電解研磨においてそれらが使用される場合のように、液体状態で又は溶液としてスルホン酸を取り扱うことは、多くの取り扱いリスクを抱えていた。液体状態又は溶液で、これらのスルホン酸は金属表面への望まれない攻撃を引き起こすことができる。それゆえ、古典的な電解研磨においてスルホン酸を使用した後は、さらなる中和工程が必要とされることが多い。
【0019】
しかしながら、スルホン酸が多孔質粒子に限定される場合には、取り扱いは容易になり、表面での望まれない攻撃のリスクは防がれる。加えて、粒子の中に拘束されているため、効果は表面粗さのピーク部分に絞り込まれることになり、従って、効果が必要とされる場所でより強い効果が表れる。加えて、金属部品に対する粒子の相対的な移動により、粒子-金属の接触時間は比較的短くなり、これにより、表面上での局所的な作用が優先的に生じる。
【0020】
有機残基を伴うスルホン酸、例えば、限定する目的はないが、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸及びパラ-トルエンスルホン酸は、無機酸よりもはるかに極性が低い。それゆえ、これらのスルホン酸の低下した局所的な極性により、無極性の樹脂を通るそれらの移動が容易になる。つまり、有機残基を含有するより小さいスルホン酸、メタンスルホン酸、は、立体障害を持たずにこの効果にとって有益である。
【0021】
加えて、錯化剤等の他の化合物を上記導電性液体に添加することができる。これらの薬剤は、生成した金属イオンを捕捉することができ、表面から金属酸化物及び塩を取り除く能力を高めることができる。
【0022】
複数の官能基を有する錯化剤はキレート剤として知られている。金属イオンを捕捉して移動させる効果は、クエン酸、EDTA又はホスホネート類等のキレート剤の使用によってさらに高くなるであろう。上記薬剤は、表面で生成した金属イオンに起因して高い親和性を有するであろうし、上記イオンを上記粒子に運ぶのを補助するであろう。
【0023】
好ましい実施形態では、錯化キレート剤はポリエーテルである。
【0024】
ポリエーテルは、構造において複数のエーテル基(C-O-C)を含む化合物として定義され、このポリエーテルは、エステル、酸、アミノ、アミド等の他の官能基をさらに含むことができる。
【0025】
上記粒子に含有される液体の配合物にポリエーテルを添加することで、イオン金属を移動させる速度が上昇し、それゆえ研磨プロセスの速度が上昇するということが確かめられている。
【0026】
さらにより好ましい実施形態では、上記ポリエーテルは直鎖状アルキルポリエーテルである。ポリエーテルの群の中には、特に、クラウンエーテル及びアルキルポリエーテルが含まれる。アルキルポリエーテルは、直鎖状、星型、分枝状又はくし型等の様々な形状を有することができる。当該電解研磨プロセスについては、本発明者らは、直鎖状アルキルポリエーテルが、金属錯体を形成する瞬間により活性であるため、プロセスにおいて最良の結果をもたらすということを見出した。
【0027】
直鎖状アルキルポリエーテルキレート形成錯化剤のカテゴリーの中で、ポリエチレングリコール又はPEは際立っており、それは、ポリ(オキシ-1,2-エタンジイル)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリオキシエチレン、ポリエチレンオキシド、及び商品名のCarbowax(カーボワックス)又はMacrogol(マクロゴール)等とも呼ばれ、
直鎖状アルキルポリエーテルキレート形成錯化剤のカテゴリーの中で、ポリプロピレングリコール又はPPGも際立っている。
【0028】
PEG及びPPGは下記式で表され、式中、Rは、任意のラジカル又は官能基であることができ、好ましくはH又はCHである。繰り返し単位を繰り返す回数「n」は、重要な因子である。ポリエーテルを有する金属錯体は、ほとんどが四面体又は八面体の配置をとり、つまり、金属イオンは、それぞれ4つ又は6つの酸素原子によって取り囲まれる、これは、最適の繰り返し数がn=6のあたりにある理由である。というのも、n=6のあたりの数は両方の可能性に対応するからである。
【化3】
【0029】
PEGの場合については、200~500Daの分子量が好ましい。特に、PEG300は最も好ましい。
【0030】
これらのポリマーPEG及びPPGを、スルホン酸を含有する乾式電解質を調製する際に使用される導電性液体に添加すると、高速で、劇的な最終仕上げの電解研磨プロセスをもたらす。この効果は、自明というわけではないが、一連の蓄積した因子に起因する:上記ポリマーは、それがスルホン酸を見つける相に可溶であり、上記ポリマーは、取り除かれる金属イオンと錯体を形成する能力を有し、上記ポリマーは、上記粒子に保持された液体と粒子自身のゲル相との間の相間移動剤として作用し、上記ポリマーは、プロセスが曝される電圧及び電流強度に対して安定であり、加えて、上記ポリマーは、生物学的に安全である。
【0031】
多孔質粒子を含侵するための所定量の導電性液体は、乾式電解質を介して測定可能な電気伝導率を可能にするために十分高いことが必要である。加えて、この量は、観察できる遊離液体が存在せず、従って「乾式」電解質であるために、多孔質粒子の飽和点未満である必要がある。好ましくは、導電性液体の量は、上記多孔質粒子の飽和点に近いが飽和点未満である。この量は、使用されるスルホン酸、樹脂の種類、温度、溶剤及び濃度に依存するので、この量は、経験的に決定される必要がある。一例として、水分保持能力52~58%を有するAMBERLITE 252RFHでは、水中の32%のメタンスルホン酸からなる導電性液体の最適量は、上記樹脂の絶対乾燥重量に対して35~50%の範囲にある。
【0032】
使用される多孔質粒子の材料は、好ましくはスルホン酸ポリマーに基づき、つまり、多孔質粒子の材料には、活性なスルホン酸基RSOH又はRSO が結合している。好ましくは、多孔質粒子スルホン酸ポリマーは、スチレンコポリマー及びジビニルベンゼンに基づく。特に、多孔質粒子はイオン交換樹脂であることができ、その例としては、限定する目的はないが、1.7当量/lのイオン交換能力、1.24g/mlの密度、0.6~0.8mmの範囲の直径、及び52~58%の範囲の水分保持容量を有するAMBERLITE 252RFHが挙げられる。
【0033】
ポリマーに結合されたスルホン酸の基と導電性液体中のスルホン酸との間の協働作用は興味深い。自明ではないが、これらの基は異なる状態にあるものの同じ化学構造を有するという事実が、導電性液体からポリマーマトリクスへの金属イオンの循環を補助するということが見出されている。溶液中の金属イオン(溶液中でスルホン酸によって錯化されている)及びポリマー中の金属イオン(ポリマーに結合しているスルホン酸によって錯化されている)の直接の化学環境は同様である。それゆえ、これらの状態の間のエネルギー準位の差は、非常に低いはずであり、これはおそらくは低エネルギーの遷移状態を示唆し、これはより高速の液体-固体移動へと変換される。このことは、プロセスにとって2つの正の効果を有し、一方では、そのプロセスはより高速になり、他方で、上記樹脂が金属イオンの受容体として作用する一般的能力は向上し、これは、乾式電解質の有用な寿命を延ばす。
【0034】
従って、イオン輸送を介して金属表面を研磨するために乾式電解質においてスルホン酸を使用するときのこれらの自明ではない異なる効果の総体によって、上記より高速のプロセスが劇的な結果を得ることが可能になり、同時に乾式電解質の有用な寿命を延ばすことが可能なる。
【0035】
スルホン酸を含有する乾式電解質も本発明の目的である。
【実施例
【0036】
例示的な実施形態
以降、いくつかの例示的な場合を、限定を目的とせずに提示する。
【0037】
例1
1.5kgのイオン交換樹脂AMBERLITE 252RFHを550mLの、メタンスルホン酸の4%水溶液と混合し均質化することで乾式電解質を調製した。この乾式電解質を、5cmの表面積を有する、%で表される以下の組成を有する鉄合金の部品を研磨するために使用する:C(0.17~0.23)、Si(0.40)、Mn(0.65~0.95)、V(0.025)、S(0.050)、Cr(0.35~0.70)、Ni(0.40~0.70)、Mo(0.15~0.55)、Cu(0.35)、Al(0.050)。対電極は、チタン上のイリジウムの網目であった。使用した電流は20Vの50Hzの電流の陽性波であり、これは0.1Aの強度を与えた。この部品を約4Hzで下向き/上向きに移動させ、上記乾式電解質容器を振動に供した。5分間のこのプロセスの後、この金属表面は劇的な特性を獲得した。
【0038】
例2
5.3kgのイオン交換樹脂AMBERLITE 252RFHを1950mLの、メタンスルホン酸の32%水溶液と混合し均質化することで乾式電解質を調製した。この乾式電解質を、36cmの表面積を有する、上記と同じ組成の鉄合金の部品を研磨するために使用する。対電極はチタン上のイリジウムの網目であった。使用した電流は30Vの50Hzの電流の陽性波であった。この部品を約4Hzで上向き/下向きに移動させ、上記乾式電解質容器を振動に供した。10分間のこのプロセスの後、この金属表面は劇的な特性を獲得した。
【0039】
例3
550mLのメタンスルホン酸70%、160mLのPEG及び3000mLの脱イオン水を用いて溶液を調製した。この溶液を6.7kgのイオン交換樹脂AMBERLITE 252RFHと混合し均質化して、乾式電解質を製造した。この乾式電解質を、36cmの炭素鋼の部品を研磨するために使用した。使用した対電極はチタン上のイリジウムの網目であった。使用した電流は30Vの50Hzの電流の陽性波であった。この部品を約4Hzで下向き/上向きに移動させ、上記乾式電解質を振動に供した。5分間のこのプロセスの後、この金属表面は劇的な特性を獲得した。
【0040】
これらの説明があれば、当業者は何らのさらなる問題もなくこれらの結果を再現することができると予想される。