(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-01
(45)【発行日】2023-06-09
(54)【発明の名称】保持具管理装置、およびメンテナンス処理実行方法
(51)【国際特許分類】
H05K 13/00 20060101AFI20230602BHJP
【FI】
H05K13/00 Z
(21)【出願番号】P 2021553911
(86)(22)【出願日】2019-10-29
(86)【国際出願番号】 JP2019042245
(87)【国際公開番号】W WO2021084594
(87)【国際公開日】2021-05-06
【審査請求日】2021-10-15
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】皆川 正太郎
(72)【発明者】
【氏名】清水 利律
(72)【発明者】
【氏名】星川 和美
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/068673(WO,A1)
【文献】国際公開第2004/086841(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/029731(WO,A1)
【文献】国際公開第2006/035651(WO,A1)
【文献】特開2008-085076(JP,A)
【文献】特開2009-088570(JP,A)
【文献】特開2010-238700(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を保持する保持具のメンテナンス処理を実行する処理実行装置と、
保持具のメンテナンスの要否を示す前記保持具のショット数を記憶する記憶装置と通信を行う通信インタフェースと、
前記処理実行装置の作動を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置が、
前記記憶装置から取得した前記保持具のショット数に基づいて、保持具のメンテナンスの要否を判断し、メンテナンスが必要と判断された保持具のメンテナンス処理を、前記処理実行装置により実行させる保持具管理装置
であって、
前記保持具管理装置が、
保持具を移載する移載装置を備え、
前記処理実行装置が、
前記制御装置によりメンテナンスが必要と判断された保持具のみが前記移載装置の作動により収容器に収容された後に、前記収容器に収容され前記制御装置によりメンテナンスが必要と判断された保持具のみに対して、メンテナンス処理を実行する保持具管理装置。
【請求項2】
前記記憶装置が、
保持具を識別するための識別情報と、当該保持具のメンテナンスの要否を示す前記保持具のショット数とを対応付けて記憶しており、
前記制御装置が、
前記識別情報により識別した保持具のメンテナンスの要否を、当該識別情報と対応付けて前記記憶装置に記憶されている前記保持具のショット数に基づいて判断し、メンテナンスが必要と判断された保持具のメンテナンス処理を、前記処理実行装置により実行させる請求項1に記載の保持具管理装置。
【請求項3】
前記制御装置が、
メンテナンス処理が完了した保持具の識別情報を、当該保持具のメンテナンス処理が完了したことを示す情報とともに、前記記憶装置に送信する請求項2に記載の保持具管理装置。
【請求項4】
前記メンテナンス処理が、保持具の洗浄処理を含む請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の保持具管理装置。
【請求項5】
前記保持具管理装置が、
保持具を移載する移載装置を備え、
前記処理実行装置が、
メンテナンスが必要と判断された保持具が前記移載装置の作動により収容器に収容された後に、前記収容器に収容された保持具に対して、メンテナンス処理を纏めて実行する請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載の保持具管理装置。
【請求項6】
保持具のメンテナンスの要否を示す前記保持具のショット数を記憶する記憶装置から、前記保持具のショット数を取得する取得工程と、
前記記憶装置から取得した前記保持具のショット数に基づいて、保持具のメンテナンスの要否を判断する判断工程と、
前記判断工程においてメンテナンスが必要と判断された保持具のみが移載装置の作動により収容器に収容された後に、前記収容器に収容され前記判断工程においてメンテナンスが必要と判断された保持具のみに対して、メンテナンス処理を、処理実行装置により実行する処理実行工程と、
を含むメンテナンス処理実行方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、部品を保持する保持具のメンテナンス処理を実行する処理実行装置を備えた保持具管理装置等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献には、保持具の洗浄処理などのメンテナンス処理を実行する処理実行装置を備えた保持具管理装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書は、好適に保持具のメンテナンス処理を実行することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本明細書は、部品を保持する保持具のメンテナンス処理を実行する処理実行装置と、保持具のメンテナンスの要否を示す前記保持具のショット数を記憶する記憶装置と通信を行う通信インタフェースと、前記処理実行装置の作動を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置が、前記記憶装置から取得した前記保持具のショット数に基づいて、保持具のメンテナンスの要否を判断し、メンテナンスが必要と判断された保持具のメンテナンス処理を、前記処理実行装置により実行させる保持具管理装置であって、前記保持具管理装置が、保持具を移載する移載装置を備え、前記処理実行装置が、前記制御装置によりメンテナンスが必要と判断された保持具のみが前記移載装置の作動により収容器に収容された後に、前記収容器に収容され前記制御装置によりメンテナンスが必要と判断された保持具のみに対して、メンテナンス処理を実行する保持具管理装置を開示する。
【0006】
また、本明細書は、保持具のメンテナンスの要否を示す前記保持具のショット数を記憶する記憶装置から、前記保持具のショット数を取得する取得工程と、前記記憶装置から取得した前記保持具のショット数に基づいて、保持具のメンテナンスの要否を判断する判断工程と、前記判断工程においてメンテナンスが必要と判断された保持具のみが移載装置の作動により収容器に収容された後に、前記収容器に収容され前記判断工程においてメンテナンスが必要と判断された保持具のみに対して、メンテナンス処理を、処理実行装置により実行する処理実行工程と、を含むメンテナンス処理実行方法を開示する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、保持具管理装置において、通信インタフェースを介して記憶装置から取得した前記保持具のショット数に基づいて、保持具のメンテナンスの要否が判断され、メンテナンスが必要と判断された保持具のメンテナンス処理が実行される。これにより、メンテナンスが必要な保持具に対してのみ、メンテナンス処理を実行することが可能となり、好適に保持具のメンテナンス処理を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図4】ノズル管理装置の内部構造を示す斜視図である。
【
図5】ノズル管理装置の備える制御装置を示すブロック図である。
【
図7】ノズルIDとショット数と作業機情報とを概念的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の好適な実施形態を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0010】
図1に、電子部品装着装置10を示す。先ず、電子部品装着装置10の構成について説明する。電子部品装着装置10は、1つのシステムベース12と、そのシステムベース12の上に隣接された2台の電子部品装着機(以下、装着機と略す場合がある)14とを有している。なお、装着機14の並ぶ方向をX軸方向と称し、その方向に直角な水平の方向をY軸方向と称する。
【0011】
各装着機14は、主に、装着機本体20、搬送装置22、装着ヘッド移動装置(以下、移動装置と略す場合がある)24、装着ヘッド26、供給装置28、ノズルステーション30を備えている。装着機本体20は、フレーム32と、そのフレーム32に上架されたビーム34とによって構成されている。
【0012】
搬送装置22は、2つのコンベア装置40,42を備えている。それら2つのコンベア装置40,42は、互いに平行、かつ、X軸方向に延びるようにフレーム32に配設されている。2つのコンベア装置40,42の各々は、電磁モータ(図示省略)によって各コンベア装置40,42に支持される回路基板をX軸方向に搬送する。また、回路基板は、所定の位置において、基板保持装置(図示省略)によって保持される。
【0013】
移動装置24は、XYロボット型の移動装置である。移動装置24は、スライダ50をX軸方向にスライドさせる電磁モータ(図示省略)と、Y軸方向にスライドさせる電磁モータ(図示省略)とを備えている。スライダ50には、装着ヘッド26が取り付けられており、その装着ヘッド26は、2つの電磁モータの作動によって、フレーム32上の任意の位置に移動させられる。
【0014】
装着ヘッド26は、回路基板に対して電子部品を装着するものである。装着ヘッド26の下端面には、吸着ノズル60が設けられている。吸着ノズル60は、
図2に示すように、胴体筒64とフランジ部66と吸着管68と掛止ピン70とによって構成されている。胴体筒64は、円筒状をなし、フランジ部66は、胴体筒64の外周面に張り出すようにして固定されている。吸着管68は、細いパイプ状をなし、胴体筒64の下端部から下方に向かって延び出した状態で、胴体筒64に軸線方向に移動可能に保持されている。掛止ピン70は、胴体筒64の径方向に延びるように、胴体筒64の上端部に設けられている。吸着ノズル60は、掛止ピン70を利用して、装着ヘッド26にワンタッチで着脱可能に取り付けられる。また、装着ヘッド26には、バネ(図示省略)が内蔵されており、そのバネは、装着ヘッド26に取り付けられる吸着ノズル60の吸着管68に、弾性力を付与する。これにより、その吸着管68は、装着ヘッド26に内蔵されたバネの弾性力によって、胴体筒64の下端部から下方に延び出す方向に付勢されている。また、フランジ部66の上面には、2Dコード74が付されている。2Dコード74には、個別情報として、吸着ノズル60のID(identification)等が示されている。なお、2Dコード74に代えて、バーコード又はRFタグがフランジ部66の上面に付されてもよい。但し、RFタグがフランジ部66の上面に付される場合には、RFタグから個別情報を取得するためのリーダが、後述するノズル管理装置(
図3参照)80の移載ヘッド(
図4参照)120に取り付けられる。
【0015】
また、吸着ノズル60は、負圧エア、正圧エア通路を介して、正負圧供給装置(図示省略)に通じている。吸着ノズル60は、負圧によって電子部品を吸着保持し、保持した電子部品を正圧によって離脱する。また、装着ヘッド26は、吸着ノズル60を昇降させるノズル昇降装置(図示省略)を有している。そのノズル昇降装置によって、装着ヘッド26は、保持する電子部品の上下方向の位置を変更する。
【0016】
供給装置28は、フィーダ型の供給装置であり、
図1に示すように、複数のテープフィーダ72を有している。テープフィーダ72は、テープ化部品を巻回させた状態で収容している。テープ化部品は、電子部品がテーピング化されたものである。そして、テープフィーダ72は、送り装置(図示省略)によって、テープ化部品を送り出す。これにより、フィーダ型の供給装置28は、テープ化部品の送り出しによって、電子部品を供給位置において供給する。
【0017】
ノズルステーション30は、ノズルトレイ76を有している。ノズルトレイ76には、複数の吸着ノズル60が収容されている。このノズルステーション30では、装着ヘッド26に取り付けられている吸着ノズル60と、ノズルトレイ76に収容されている吸着ノズル60との交換等が、必要に応じて行われる。また、ノズルトレイ76は、ノズルステーション30に着脱可能であり、ノズルトレイ76に収容された吸着ノズル60の回収や、ノズルトレイ76への吸着ノズル60の補給等を装着機14の外部において行うことが可能である。
【0018】
次に、装着機14による装着作業について説明する。装着機14では、上述した構成によって、搬送装置22に保持された回路基板に対して、装着ヘッド26によって装着作業を行うことが可能である。具体的には、装着機14の制御装置(図示省略)の指令により、回路基板が、作業位置まで搬送され、その位置において、基板保持装置によって保持される。また、テープフィーダ72は、制御装置の指令により、テープ化部品を送り出し、電子部品を供給位置において供給する。そして、装着ヘッド26が、電子部品の供給位置の上方に移動し、吸着ノズル60によって電子部品を吸着保持する。続いて、装着ヘッド26は、回路基板の上方に移動し、保持している電子部品を回路基板上に装着する。
【0019】
装着機14では、上述したように、テープフィーダ72によって供給された電子部品を、吸着ノズル60によって吸着保持し、その電子部品が回路基板上に装着される。このため、吸着ノズル60に不具合が生じている場合には、装着作業を適切に行うことができない虞があるため、吸着ノズル60を適切に管理する必要がある。そこで、以下に説明するノズル管理装置により、吸着ノズル60の管理が行われる。
【0020】
次に、ノズル管理装置の構成について説明する。ノズル管理装置80は、
図3に示すように、概して直方体形状をなしており、正面に、ノズルトレイ76をノズル管理装置80内に収納、若しくは、ノズル管理装置80からノズルトレイ76を取り出すための扉82が設けられている。その扉82の上方には、各種情報を表示し、各操作が行われるタッチパネル86等が配設されている。
【0021】
ノズル管理装置80は、
図4に示すように、管理装置本体90、パレット収容装置92、ノズル移載装置94、ノズル検査装置96、ノズル洗浄装置98、ノズル乾燥装置100を有している。なお、
図4は、ノズル管理装置80の外殻部材を取り外した状態を示す斜視図であり、ノズル管理装置80の内部構造を示している。また、ノズル管理装置80には、制御装置200が接続されている。なお、制御装置200の詳細な説明は、後述する。
【0022】
管理装置本体90は、フレーム102と、そのフレーム102に上架されたビーム104とによって構成されている。フレーム102は、中空構造とされており、フレーム102内にパレット収容装置92が配設され、パレット収容装置92の上端部が、フレーム102の上面に露出している。
【0023】
パレット収容装置92は、複数のパレット載置棚106と、支持アーム108とを含む。パレット載置棚106は、ノズルパレット110を載置するための棚であり、複数のパレット載置棚106が、フレーム102の内部において、上下方向に並んで配設されている。なお、ノズルパレット110には、複数の吸着ノズル60が収容される。また、支持アーム108は、アーム移動装置(図示省略)の作動により、複数のパレット載置棚106の前方において、上下方向に移動するとともに、パレット載置棚106に接近・離間する。これにより、パレット載置棚106へのノズルパレット110の収納、パレット載置棚106からのノズルパレット110の取出しが、支持アーム108によって行われる。なお、パレット載置棚106から取り出されたノズルパレット110は、支持アーム108が上方に移動することで、フレーム102の上面側に移動する。
【0024】
ノズル移載装置94は、ノズルトレイ76とノズルパレット110との間で吸着ノズル60を移載するための装置であり、ビーム104に配設されている。ノズル移載装置94は、移載ヘッド120とヘッド移動装置122とを有している。移載ヘッド120の下端面には、下方を向いた状態のカメラ126と、吸着ノズル60を保持するための保持チャック128とが取り付けられている。保持チャック128は、2本の保持爪(図示省略)を有しており、それら2本の保持爪を接近させることで、吸着ノズル60を胴体筒64において保持し、2本の保持爪を離間させることで、保持した吸着ノズル60を離脱する。
【0025】
また、ヘッド移動装置122は、移載ヘッド120をフレーム102の上において前後方向、左右方向、上下方向に移動させるXYZ型の移動装置である。なお、フレーム102の前方側の上面には、ノズルトレイ76をセットするための固定ステージ131が3台、設けられており、固定ステージ131にセットされたノズルトレイ76と、パレット収容装置92の支持アーム108に支持されたノズルパレット110との間で、吸着ノズル60が移載される。
【0026】
ノズル検査装置96は、カメラ140とロードセル142とを有している。カメラ140は、上方を向いた状態でフレーム102の上面に配設されており、カメラ140を用いて、吸着ノズル60の先端部が検査される。詳しくは、検査対象の吸着ノズル60が保持チャック128によって保持され、その保持チャック128に保持された吸着ノズル60が、下方からカメラ140によって撮像される。これにより、吸着ノズル60の先端部の撮像データが得られ、その撮像データに基づいて、吸着ノズル60の先端部の状態が検査される。
【0027】
また、ロードセル142は、カメラ140の隣に配設されており、ロードセル142を用いて、吸着ノズル60の先端部の伸縮状態が検査される。詳しくは、検査対象の吸着ノズル60が保持チャック128によって保持され、その保持チャック128に保持された吸着ノズル60の先端部がロードセル142に当接される。吸着ノズル60の先端部は、上述したように、伸縮可能とされており、ロードセル142により測定された荷重に基づいて、吸着ノズル60の先端部の伸縮状態が検査される。
【0028】
なお、フレーム102の上面には、複数の廃棄ボックス148が配設されており、上記検査により不良ノズルと判定された吸着ノズル60は、廃棄ボックス148に廃棄される。また、上記検査により正常なノズルと判定された吸着ノズル60は、ノズルトレイ76若しくは、ノズルパレット110に戻される。
【0029】
ノズル洗浄装置98は、吸着ノズル60の洗浄および乾燥を行う装置であり、パレット収容装置92の隣に配設されている。ノズル洗浄装置98は、洗浄・乾燥機構150と洗浄パレット移動機構152とを備えている。洗浄・乾燥機構150は、内部において吸着ノズル60の洗浄および乾燥を行う機構である。また、洗浄パレット移動機構152は、洗浄パレット158が露出する露出位置(
図4で洗浄パレット158が図示されている位置)と、洗浄・乾燥機構150の内部との間で、洗浄パレット158を移動させる機構である。
【0030】
ノズル乾燥装置100は、吸着ノズル60の乾燥を行う装置であり、露出位置に位置する洗浄パレット158の隣に配設されている。ノズル洗浄装置98では、乾燥も行われるが、吸着ノズル60の内部に水分が残存する場合がある。特に、吸着ノズル60では、胴体筒64と吸着管68とが摺動するため、胴体筒64と吸着管68との摺動面に、水分が残存する場合がある。このため、ノズル乾燥装置100には、上面に開口する乾燥庫160が形成されており、洗浄の完了した吸着ノズル60が保持チャック128によって保持され、その吸着ノズル60が乾燥庫160に挿入される。乾燥庫160の内部には、エアブロー装置(図示省略)が配設されており、乾燥庫160に挿入された吸着ノズル60に、エアブロー装置によりエアが吹き付けられる。これにより、胴体筒64と吸着管68との摺動面の水分を除去し、吸着ノズル60を適切に乾燥することができる。
【0031】
また、制御装置200は、
図5に示すように、コントローラ202と、複数の駆動回路206とを備えている。複数の駆動回路206は、パレット収容装置92、ノズル移載装置94、ノズル検査装置96、ノズル洗浄装置98、ノズル乾燥装置100に接続されている。コントローラ202は、CPU,ROM,RAM等を備え、コンピュータを主体とするものであり、複数の駆動回路206に接続されている。これにより、パレット収容装置92、ノズル移載装置94等の作動が、コントローラ202によって制御される。
【0032】
また、コントローラ202は、通信インタフェース210を介して、PC(Personal Computer)220に接続されている。PC220には、吸着ノズル60のメンテナンス状態を管理するためのプログラム222がインストールされており、そのプログラム222の処理により、吸着ノズル60のメンテナンスの要否を示すノズルメンテナンス画面(
図6参照)230が、PC220のディスプレイ224に表示される。
【0033】
詳しくは、PC220は、メモリ226を備えており、そのメモリ226には、吸着ノズル60のノズルID毎に、メンテナンス情報と作業機情報とが記憶されている。ノズルIDは、吸着ノズル60に示されている2Dコード74により読み取られるIDであり、吸着ノズル60を識別するための識別情報である。また、メモリ226には、ノズルIDに応じた吸着ノズル毎に、吸着ノズル60のメンテナンスが実行された日時(以下、「メンテナンス実行日」と記載する),吸着ノズル60により電子部品が回路基板に装着された回数(以下、「ショット数」と記載する)等も記憶されている。そして、プログラム222は、メンテナンス実行日,ショット数等に基づいて、吸着ノズル60のメンテナンスが必要であるか否かを判断する。
【0034】
具体的には、例えば、メンテナンス実行日から所定の日数が経過していない吸着ノズル60に対して、メンテナンスが不要であると判断され、メンテナンス実行日から所定の日数が経過した吸着ノズル60に対して、メンテナンスが必要であると判断される。また、例えば、ショット数が所定の数未満の吸着ノズル60に対して、メンテナンスが不要であると判断され、ショット数が所定の数以上の吸着ノズル60に対して、メンテナンスが必要であると判断される。そして、プログラム222により判断された吸着ノズル60のメンテナンスの要否に関する情報が、メンテナンス情報として、ノズルIDと対応付けてメモリ226に記憶される。つまり、例えば、ノズルID「001」の吸着ノズルに対して、メンテナンスが必要であると判断されると、ノズルID「001」と、メンテナンスが必要であることを示すメンテナンス情報とが対応付けて、メモリ226に記憶される。また、例えば、ノズルID「003」の吸着ノズルに対して、メンテナンスが不要であると判断されると、ノズルID「003」と、メンテナンスが不要であることを示すメンテナンス情報とが対応付けて、メモリ226に記憶される。
【0035】
また、吸着ノズルのノズルIDには、メンテナンス情報だけでなく、作業機情報も対応付けられている。作業機情報は、吸着ノズルが用いられている装着機14を示す情報であり、例えば、ノズルID「001」の吸着ノズルが装着機Aで用いられている場合に、ノズルID「001」と、作業機情報「A」とが対応付けて、メモリ226に記憶されている。また、例えば、ノズルID「003」の吸着ノズルが装着機Bで用いられている場合に、ノズルID「003」と、作業機情報「B」とが対応付けて、メモリ226に記憶されている。このため、メモリ226には、ノズルID「001」と、メンテナンスが必要であることを示すメンテナンス情報と、作業機情報「A」とが対応付けて記憶されており、ノズルID「003」と、メンテナンスが不要であることを示すメンテナンス情報と、作業機情報「B」とが対応付けて記憶されている。そして、メモリ226に記憶されている情報に基づいて、
図6に示すノズルメンテナンス画面230が、PC220のディスプレイ224に表示される。
【0036】
このように、ノズルメンテナンス画面230がPC220のディスプレイ224に表示されると、作業者は、従来、その画面の指示に従って、メンテナンスの必要な吸着ノズルを回収し、ノズル管理装置80において、回収した吸着ノズルのメンテナンスを行っていた。詳しくは、ノズルメンテナンス画面230において、メンテナンスが必要とされる吸着ノズルは、装着機Aで用いられているノズルID「001」の吸着ノズルとノズルID「004」の吸着ノズル、および、装着機Bで用いられているノズルID「002」の吸着ノズルとノズルID「005」の吸着ノズルである。このため、作業者は、装着機Aのノズルトレイ76からノズルID「001」の吸着ノズルとノズルID「004」の吸着ノズルとを回収し、装着機Bのノズルトレイ76からノズルID「002」の吸着ノズルとノズルID「005」の吸着ノズルとを回収する。そして、回収した吸着ノズルを、装着機のノズルステーション30に装着されているノズルトレイ76と異なるノズルトレイ76にセットし、そのノズルトレイ76を、ノズル管理装置80の固定ステージ131に載置する。これにより、ノズル管理装置80において、メンテナンス処理が実行される。
【0037】
ノズル管理装置80でのメンテナンス処理としては、固定ステージ131にノズルトレイ76が載置されると、載置されたノズルトレイ76の上方に、カメラ126が、ヘッド移動装置122の作動により移動する。この際、カメラ126が、ノズルトレイ76に収容されている吸着ノズル60を撮像し、コントローラ202が、その撮像により得られた撮像データに基づいて、ノズルトレイ76に収容されている吸着ノズル60のIDを取得する。そして、コントローラ202は、取得した吸着ノズル60のIDを利用して、ノズル管理装置80において吸着ノズル60を管理する。
【0038】
そして、ノズルトレイ76に収容されている吸着ノズル60の撮像により、吸着ノズル60のIDが取得されると、ノズルトレイ76に収容されている全ての吸着ノズル60が、ノズル移載装置94によって、ノズル洗浄装置98の洗浄パレット158に移載される。この際、洗浄パレット158は、洗浄パレット移動機構152の作動により、露出位置に移動している。そして、洗浄パレット158への吸着ノズル60の移載が完了すると、洗浄パレット158が、洗浄パレット移動機構152の作動により、洗浄・乾燥機構150の内部に移動し、吸着ノズル60の洗浄および乾燥が行われる。洗浄・乾燥機構150による吸着ノズル60の洗浄および乾燥が完了すると、洗浄パレット158が、洗浄パレット移動機構152の作動により、洗浄・乾燥機構150の内部から露出位置に移動する。この際、露出位置に移動した洗浄パレット158の上方に、保持チャック128が、ヘッド移動装置122の作動により移動する。そして、洗浄パレット158に搭載されている吸着ノズル60に向って、保持チャック128からエア供給装置130の作動により、エアが噴き出される。これにより、洗浄パレット158に搭載されている吸着ノズル60の上面、特に、フランジ部66の上面等から水分が吹き飛ばされる。
【0039】
そして、洗浄パレット158に搭載されている吸着ノズル60が、保持チャック128によって保持され、その吸着ノズル60がノズル乾燥装置100の乾燥庫160に挿入される。この際、乾燥庫160に挿入された吸着ノズル60に、エアブロー装置によりエアが吹き付けられる。これにより、吸着ノズル60が乾燥し、吸着ノズル60の洗浄作業及び乾燥作業が完了する。続いて、洗浄作業及び乾燥作業が完了した吸着ノズル60が、ノズル検査装置96において検査が行われる。つまり、保持チャック128に保持された状態の吸着ノズル60がカメラ140により撮像され、その撮像データに基づいて、吸着ノズル60の先端部の状態が検査される。また、保持チャック128に保持された吸着ノズル60の先端部がロードセル142に当接され、ロードセル142により測定された荷重に基づいて、吸着ノズル60の先端部の伸縮状態が検査される。そして、検査結果の良好な吸着ノズルが、ノズル移載装置94によって、固定ステージ131に載置されたノズルトレイ76に戻される。これにより、ノズル管理装置80でのメンテナンス処理が完了する。そして、ノズル管理装置80でのメンテナンス処理が完了すると、作業者は、固定ステージ131に載置されているノズルトレイ76をノズル管理装置80の外部に取り出して、そのノズルトレイ76に収容されている吸着ノズル60を装着機に戻す。つまり、作業者は、ノズルID「001」の吸着ノズルとノズルID「004」の吸着ノズルを装着機Aのノズルトレイ76に戻し、ノズルID「002」の吸着ノズルとノズルID「005」の吸着ノズルを装着機Bのノズルトレイ76に戻す。
【0040】
このように、作業者は、従来、ノズルメンテナンス画面230の指示に従って、メンテナンスの必要な吸着ノズルを回収し、ノズル管理装置80において、回収した吸着ノズルのメンテナンスを行っていた。しかしながら、このような方法で吸着ノズル60のメンテナンスを行っていては、作業者が、メンテナンスの必要な吸着ノズルと、メンテナンスの不要な吸着ノズルとを区別し、メンテナンスの必要な吸着ノズルのみをピックアップする必要があり、作業者の負担となっていた。また、作業者が、メンテナンス後、つまり、洗浄後の吸着ノズルを、装着機のノズルトレイ76に戻す際に、作業者が吸着ノズルを把持する必要があるが、その際に、洗浄後の吸着ノズルに汚れなどが付着する可能性もある。さらに言えば、装着機のノズルトレイ76と、ノズル管理装置80で用いられるノズルトレイ76との間で、作業者が吸着ノズルを移し替える際に、誤って吸着ノズルを破損させる可能性もある。
【0041】
このため、例えば、装着機のノズルトレイ76から、メンテナンスの必要な吸着ノズルを回収せずに、装着機のノズルトレイを、そのまま、ノズル管理装置80の固定ステージ131に載置することが考えられる。つまり、
図6のノズルメンテナンス画面230に表示されているように、装着機Bのノズルトレイ76には、メンテナンスが必要なノズルID「002」,「005」の吸着ノズルと、メンテナンスが不要なノズルID「003」,「007」の吸着ノズルとが収容されている。そこで、作業者は、メンテナンスの必要な吸着ノズルと、メンテナンスの不要な吸着ノズルとが収容されている装着機Bのノズルトレイ76を、ノズル管理装置80の固定ステージ131に載置する。これにより、そのノズルトレイ76に収容されている4本の吸着ノズルのメンテナンス処理が、ノズル管理装置80において実行される。そして、ノズル管理装置80におけるメンテナンス処理が完了すると、作業者は、そのノズルトレイ76をノズル管理装置80から取り出し、装着機Bのノズルステーション30にセットすればよい。
【0042】
このように、作業者が、装着機のノズルトレイを、そのまま、ノズル管理装置80の固定ステージ131に載置することで、メンテナンスの必要な吸着ノズルの回収作業等を行う必要がなくなり、作業者の負担を軽減することができる。また、作業者は、洗浄後の吸着ノズルが収容されたノズルトレイ76を、そのまま、装着機のノズルステーション30にセットすることができるため、洗浄後の吸着ノズルへの汚れの付着を防止することもできる。さらに言えば、作業者によるノズルトレイ間での移載作業による吸着ノズルの破損をも防止することができる。ただし、このように、装着機のノズルトレイが、そのまま、ノズル管理装置80の固定ステージ131に載置される場合には、メンテナンスの必要な吸着ノズルだけでなく、メンテナンスの不要な吸着ノズルに対しても、メンテナンス処理が実行される。このため、メンテナンス処理に要する時間が長くなり、装着機での装着作業が滞る虞がある。また、メンテナンスが不要な吸着ノズルが無駄に洗浄されることで、吸着ノズルの劣化が促進する虞もある。
【0043】
このようなことに鑑みて、ノズル管理装置80は、PC220と通信を行って、PC220のメモリ226に記憶されているメンテナンス情報を利用して、メンテナンスの必要な吸着ノズルに対してのみ、メンテナンス処理を実行する。具体的には、作業者は、装着機のノズルトレイ76から、メンテナンスの必要な吸着ノズルを回収せずに、装着機のノズルトレイを、そのまま、ノズル管理装置80の固定ステージ131に載置する。そして、ノズル管理装置80では、コントローラ202の指令により、固定ステージ131に載置されたノズルトレイ76が、カメラ126により撮像され、コントローラ202は、撮像データに基づいて、ノズルトレイ76に収容されている吸着ノズル60のID、つまり、ノズルIDを取得する。次に、コントローラ202は、取得したノズルIDをPC220に送信する。これにより、PC220では、プログラム222が、受信したノズルIDと対応付けてメモリ226に記憶されているメンテナンス情報をコントローラ202に送信する。そして、コントローラ202は、受信したメンテナンス情報に基づいて、撮像データに基づいて取得したノズルIDに応じた吸着ノズルのメンテナンスの要否を判断する。
【0044】
このため、例えば、固定ステージ131に装着機Bのノズルトレイ76が載置されている場合に、コントローラ202は、撮像データに基づいて、ノズルID「002」,「003」,「005」,「007」を取得し、そのノズルID「002」,「003」,「005」,「007」をPC220に送信する。そして、PC220のプログラム222は、ノズルID「002」,「003」,「005」,「007」に対応付けてメモリ226に記憶されているメンテナンス情報をコントローラ202に送信する。この際、コントローラ202は、ノズルID「002」,「005」の吸着ノズルが、メンテナンスの必要な吸着ノズルであると判断し、ノズルID「003」,「007」の吸着ノズルが、メンテナンスの不要な吸着ノズルであると判断する。そして、コントローラ202の指令により、ノズルトレイ76に収容されている複数の吸着ノズルのうちの、メンテナンスの必要な吸着ノズル、つまり、ノズルID「002」、「005」の吸着ノズルが、ノズル移載装置94によって、ノズル洗浄装置98の洗浄パレット158に移載される。なお、洗浄パレット158に吸着ノズルが移載されてからの処理は、従来と同様であるため、説明を省略する。
【0045】
このように、PC220のメモリ226に記憶されているメンテナンス情報を利用して、メンテナンス処理を実行することで、メンテナンスの必要な吸着ノズルに対してのみ、メンテナンス処理が実行される。これにより、作業者の負担軽減,吸着ノズルへの汚れの付着の防止,吸着ノズルの破損防止を図るとともに、メンテナンス処理に要する時間の短縮,メンテナンスが不要な吸着ノズルの無駄な洗浄の防止をも図ることが可能となる。
【0046】
なお、ノズル管理装置80でのメンテナンス処理が完了すると、ノズル管理装置80は、メンテナンス処理の完了した吸着ノズルのノズルIDを、メンテナンス処理が完了したことを示す情報とともに、PC220に送信する。この際、PC220のプログラム222は、受信したノズルIDと対応付けられているメンテナンス情報を、メンテナンスが必要であることを示す情報から、メンテナンスが不要であることを示す情報に書き換える。これにより、プログラム222により、常に最新の情報に基づいて、吸着ノズルのメンテナンス状態を管理することが可能となる。
【0047】
また、上記第1の実施形態では、吸着ノズルのメンテナンスの要否を直接的に示すメンテナンス情報に基づいて、吸着ノズルのメンテナンスの要否が判断されているが、吸着ノズルのメンテナンスの要否を間接的に示す情報に基づいて、吸着ノズルのメンテナンスの要否が判断されてもよい。具体的には、上記第1の実施形態では、ノズルIDとメンテナンス情報と作業機情報とが対応付けて、PC220のメモリ226に記憶されていたが、第2の実施形態では、ノズルIDとショット数と作業機情報とが対応付けて、PC220のメモリ226に記憶されている。ショット数は、上述したように、吸着ノズルにより電子部品が回路基板に装着された回数であり、吸着ノズルの使用頻度を示すものである。このため、例えば、
図7に示すように、ノズルIDと、そのノズルIDに応じた吸着ノズルのショット数と、そのノズルIDに応じた吸着ノズルの作業機情報とが対応付けて、メモリ226に記憶されている。
【0048】
そして、作業者は、装着機のノズルトレイ76から、メンテナンスの必要な吸着ノズルを回収せずに、装着機のノズルトレイを、そのまま、ノズル管理装置80の固定ステージ131に載置する。そして、ノズル管理装置80では、コントローラ202の指令により、固定ステージ131に載置されたノズルトレイ76が、カメラ126により撮像され、コントローラ202は、撮像データに基づいて、ノズルトレイ76に収容されている吸着ノズル60のノズルIDを取得する。次に、コントローラ202は、取得したノズルIDをPC220に送信する。これにより、PC220では、プログラム222が、受信したノズルIDと対応付けてメモリ226に記憶されているショット数をコントローラ202に送信する。コントローラ202では、閾値が予め任意の値に設定されており、ショット数が閾値を超えている場合に、吸着ノズルのメンテナンスが必要であると判断され、ショット数が閾値以下である場合に、吸着ノズルのメンテナンスが不要であると判断される。
【0049】
具体的には、例えば、固定ステージ131に装着機Aのノズルトレイ76が載置されており、閾値が0に設定されている場合に、ノズルID「001」,「003」,「004」の吸着ノズルが、メンテナンスの必要な吸着ノズルであると判断され、ノズルID「002」の吸着ノズルが、メンテナンスの不要な吸着ノズルであると判断される。このような場合には、装着機において一度も使用されていない吸着ノズルに対して、メンテナンスが不要であると判断され、装着機において一度でも使用された吸着ノズルに対して、メンテナンスが必要であると判断される。
【0050】
また、例えば、固定ステージ131に装着機Aのノズルトレイ76が載置されており、閾値が100に設定されている場合に、ノズルID「001」,「003」の吸着ノズルが、メンテナンスの必要な吸着ノズルであると判断され、ノズルID「002」,「004」の吸着ノズルが、メンテナンスの不要な吸着ノズルであると判断される。このような場合には、装着機において使用頻度の少ない吸着ノズルに対して、メンテナンスが不要であると判断され、装着機において使用頻度の多い吸着ノズルに対して、メンテナンスが必要であると判断される。
【0051】
そして、メンテナンスが必要であると判断された吸着ノズルのみが、洗浄パレット158に移載され、上記手順に従って、メンテナンス処理が実行される。これにより、第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。さらに、第2の実施形態では、メンテナンスの要否を判断するための閾値を任意に設定することが可能とされているため、管理者の意思に従った頻度で吸着ノズルのメンテナンスを実行することができる。
【0052】
なお、吸着ノズル60は、保持具の一例である。ノズル管理装置80は、保持具管理装置の一例である。ノズル検査装置96は、処理実行装置の一例である。ノズル洗浄装置98は、処理実行装置の一例である。ノズル乾燥装置100は、処理実行装置の一例である。制御装置200は、制御装置の一例である。通信インタフェース210は、通信インタフェースの一例である。メモリ226は、記憶装置の一例である。
【0053】
以上、上記した本実施形態では、以下の効果を奏する。
【0054】
ノズル管理装置80は、PC220のメモリ226からメンテナンス情報若しくはショット数を取得し、取得したメンテナンス情報若しくはショット数に基づいて、吸着ノズルのメンテナンスの要否を判断する。そして、ノズル管理装置80は、メンテナンスが必要であると判断された吸着ノズルのメンテナンス処理を実行する。これにより、作業者の負担軽減,吸着ノズルへの汚れの付着の防止,吸着ノズルの破損防止を図るとともに、メンテナンス処理に要する時間の短縮,メンテナンスが不要な吸着ノズルの無駄な洗浄の防止をも図ることができる。
【0055】
また、PC220のメモリ226には、ノズルIDとメンテナンス情報とが対応付けて記憶されている。若しくは、PC220のメモリ226には、ノズルIDとショット数とが対応付けて記憶されている。そして、ノズル管理装置80では、撮像データに基づいて吸着ノズルのノズルIDが特定され、特定されたノズルIDと対応付けられているメンテナンス情報若しくはショット数に基づいて、メンテナンスの要否が判断される。これにより、複数の吸着ノズルの各々に対して、メンテナンスの要否を適切に判断することができる。
【0056】
また、ノズル管理装置80は、メンテナンス処理を完了すると、メンテナンス処理の完了した吸着ノズルのノズルIDを、メンテナンス処理が完了したことを示す情報とともに、PC220に送信する。この際、PC220のプログラム222は、受信したノズルIDと対応付けられているメンテナンス情報を、メンテナンスが必要であることを示す情報から、メンテナンスが不要であることを示す情報に書き換える。これにより、プログラム222により、吸着ノズルのメンテナンス状態を適切に管理することができる。
【0057】
また、ノズル管理装置80でのメンテナンス処理には、吸着ノズルの洗浄処理が含まれている。これにより、吸着ノズルによる電子部品の適切な保持が担保される。
【0058】
尚、本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することが可能である。具体的には、例えば、上記実施形態では、ノズルトレイ76に収容されている吸着ノズルのメンテナンス処理が完了すると、メンテナンス処理の完了した吸着ノズルが、そのノズルトレイ76に戻されているが、ノズルパレット110に移載されてもよい。つまり、メンテナンス処理が完了した吸着ノズルが、パレット収容装置92に収容されてもよい。また、固定ステージ131にノズルトレイ76が載置され、メンテナンスが必要な吸着ノズルのメンテナンス処理が実行される際に、段取り替え作業が実行されてもよい。つまり、固定ステージ131にノズルトレイ76が載置され、メンテナンスが必要な吸着ノズルのメンテナンス処理が実行される際に、装着機で使用予定の吸着ノズルが、そのノズルトレイ76に収容されてもよい。
【0059】
また、上記実施形態では、メンテナンス処理として、吸着ノズルの洗浄処理,乾燥処理,検査処理が実行されているが、それら複数の処理のうちの少なくとも1以上の処理が実行されればよい。例えば、メンテナンス処理として検査処理が実行され、その検査処理において検査結果が良好でない場合に、検査結果の良好でない吸着ノズルの洗浄処理が実行されてもよい。なお、吸着ノズルの洗浄処理,乾燥処理,検査処理以外の処理が、メンテナンス処理として実行されてもよい。
【0060】
また、上記第2の実施形態では、ショット数に基づいて、吸着ノズルのメンテナンスの要否が判断されているが、種々の情報に基づいて、吸着ノズルのメンテナンスの要否が判断されてもよい。具体的には、例えば、吸着ノズルのメンテナンス履歴,吸着ノズルの使用期間等に基づいて、吸着ノズルのメンテナンスの要否が判断されてもよい。
【0061】
また、上記第2の実施形態では、1の閾値に基づいて、メンテナンスの要否が判断されているが、2以上の閾値に基づいて、メンテナンスの要否が判断されてもよい。具体的には、例えば、ショット数が第1閾値以下である場合に、メンテナンスが不要と判断され、ショット数が第1閾値を超えている場合に、メンテナンスが必要と判断される。そして、第1閾値より大きな値の第2閾値を、ショット数が超えている場合に、メンテナンス処理として、洗浄処理,乾燥処理,検査処理が実行され、ショット数が第1閾値を超えているが、第2閾値以下である場合に、メンテナンス処理として検査処理のみが実行されてもよい。これにより、使用頻度に応じたメンテナンス処理を実行することができる。
【0062】
また、上記実施形態では、固定ステージ131にセットされたノズルトレイ76から、メンテナンスが必要な吸着ノズルが、洗浄パレット158に移載され、その洗浄パレット158に移載された吸着ノズルが纏めて洗浄されているが、別の手法により、メンテナンスが必要な吸着ノズルが洗浄されてもよい。例えば、固定ステージ131にセットされたノズルトレイ76から、メンテナンスが不要な吸着ノズルを、ノズルパレット110等に移載することで、固定ステージ131にセットされたノズルトレイ76に、メンテナンスが必要な吸着ノズルのみが収容された状態とする。そして、ノズルトレイ76に収容された吸着ノズルを、ノズルトレイ76とともに、洗浄してもよい。このような場合には、洗浄・乾燥機構150を、ノズルトレイ76を洗浄・乾燥可能な構成とする必要がある。
【0063】
また、上記実施形態では、吸着ノズルのメンテナンス方法について開示されているが、部品を保持可能な部品保持具であれば、種々の部品保持具に本開示を適用することが可能である。例えば、複数の爪により部品を把持する把持具、所謂、チャックに本開示を適用することが可能である。
【符号の説明】
【0064】
60:吸着ノズル(保持具) 80:ノズル管理装置(保持具管理装置) 96:ノズル検査装置(処理実行装置) 98:ノズル洗浄装置(処理実行装置) 100:ノズル乾燥装置(処理実行装置) 200:制御装置 210:通信インタフェース 226:メモリ(記憶装置)