(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-01
(45)【発行日】2023-06-09
(54)【発明の名称】工作機械用工具測定装置
(51)【国際特許分類】
B23Q 17/24 20060101AFI20230602BHJP
G01N 21/17 20060101ALI20230602BHJP
B23Q 11/08 20060101ALI20230602BHJP
【FI】
B23Q17/24 B
G01N21/17 A
B23Q11/08 Z
(21)【出願番号】P 2021555249
(86)(22)【出願日】2020-03-11
(86)【国際出願番号】 GB2020050581
(87)【国際公開番号】W WO2020183154
(87)【国際公開日】2020-09-17
【審査請求日】2021-11-15
(32)【優先日】2019-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】391002306
【氏名又は名称】レニショウ パブリック リミテッド カンパニー
【氏名又は名称原語表記】RENISHAW PUBLIC LIMITED COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グラハム リチャード ファーガソン
(72)【発明者】
【氏名】ステフェン リンゼー トックネル
【審査官】増山 慎也
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-301649(JP,A)
【文献】特開2001-328049(JP,A)
【文献】特表2010-538850(JP,A)
【文献】国際公開第2018/228998(WO,A1)
【文献】特開2012-086350(JP,A)
【文献】特開平07-060616(JP,A)
【文献】特開2009-270846(JP,A)
【文献】特開2000-024880(JP,A)
【文献】特表2010-513903(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 17/24
B23Q 11/08
G01B 11/00
G01N 21/15、17
G02B 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械のための光学式工具測定装置であって、
工具検知領域に向けて光を照射する光源と、
前記工具検知領域からの光を検出するセンサーと、
前記センサーを汚染から選択的に保護するシャッターアセンブリであって、前記シャッターアセンブリは、前記センサーが前記シャッターアセンブリによって覆われて前記センサーの汚染を防止する閉鎖構成と、前記シャッターアセンブリの第1のアパーチャを介して前記センサーに光を通過させることができる開放構成と、を提供するように構成されている、シャッターアセンブリと、
を備え、
前記シャッターアセンブリは、さらに、前記シャッターアセンブリの第2のアパーチャを介して前記センサーに光を通過させる狭窄構成を提供するように構成され、前記第2のアパーチャは前記第1のアパーチャよりも小さいことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記センサーは、複数のピクセルからなる2次元イメージングアレイを備え、前記開放構成の第1のアパーチャは、前記複数のピクセルの第1のセットに光を通過させる大きさであり、前記狭窄構成の第2のアパーチャは、前記複数のピクセルの第2のセットに光を通過させる大きさであり、前記第2のセットは、前記第1のセットよりも少ないピクセルを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記イメージングアレイは、複数のピクセルのうち第1のセットから画像を取り込むことができるイメージングモードと、第2のセットのピクセルに当たる結果として得られる光強度を測定するエミュレーションモードとで動作可能である、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記シャッターアセンブリは、光が前記センサーを通過するための通路を備えており、前記通路が第1のアパーチャを画定している、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記シャッターアセンブリは、前記第2のアパーチャを画定する狭窄部材を備え、前記狭窄部材は、前記第2のアパーチャが前記通路を狭めるように、前記通路内に移動可能である、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記シャッターアセンブリは閉鎖部材を備え、前記閉鎖部材は前記通路内に移動可能であり、前記通路を閉鎖して前記センサーを覆うことができる、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記狭窄部材と前記閉鎖部材は共通の軸に沿って別々に移動可能であり、前記狭窄部材は、前記閉鎖部材が移動可能な中央キャビティを備えている、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記シャッターアセンブリが、前記第1のアパーチャを画定する第1の部分と、前記第2のアパーチャを画定する第2の部分と、アパーチャを有さない第3の部分と、を備える、シャッター部材を備え、前記シャッター部材は、前記第1、第2、および第3の部分が前記センサーに対して相対的に配置されて、それぞれ開放、狭窄、および閉鎖構成を提供するように、移動可能である、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記シャッターアセンブリが前記閉鎖構成にあるときに、前記センサーが外部環境から実質的に密閉されている、請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記第1のアパーチャおよび前記第2のアパーチャは、それぞれ、前記センサーに対する反復可能な位置を採用することができる、請求項1から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記シャッターアセンブリは保護ユニット内に設けられ、前記センサーは受信ユニット内に設けられ、前記保護ユニットは前記受信ユニットに反復可能な位置で取り外し可能に取り付けられる、請求項1から10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
ガスの供給を受けるために少なくとも1つの入口が設けられており、前記シャッターアセンブリが前記狭窄構成にあるときに、装置内の内部導管によって、受けたガスが第2のアパーチャを介して排出されるようになっている、請求項1から11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記シャッターアセンブリが前記開放構成、前記閉鎖構成、および前記狭窄構成のいずれかに入るように指示するコントローラーを備え、前記コントローラーは、前記シャッターアセンブリが前記狭窄構成にあるときにセンサーによって受信された光を分析し、そこから、前記装置の外部の環境が、前記シャッターアセンブリが前記開放構成に入ることができるほど十分に汚染物質から解放されているかどうかを判断する、請求項1から12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記光源を汚染から選択的に保護する追加のシャッターアセンブリを備え、前記追加のシャッターアセンブリは、前記光源が前記追加のシャッターアセンブリによって覆われて前記光源の汚染を防止する閉鎖構成と、前記光源からの光が前記追加のシャッターアセンブリの
第3のアパーチャを通過することができる開放構成とを提供するように構成され、前記追加のシャッターアセンブリは、さらに、前記光源からの光が前記
追加のシャッターアセンブリの
第4のアパーチャを通過することができる狭窄構成を提供するように構成され、前記
第4のアパーチャは前記
第3のアパーチャよりも小さい、
請求項1から13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記光源は、工具検知領域を通過して前記センサーに至る光ビームを発するように配置され、前記光ビームに挿入された工具は、それによって前記センサーによって受信された光を覆い隠す、請求項1から14のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械用の光学工具測定装置、特に工作機械内の過酷な環境からそのような装置を保護するための改良に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械等で使用するための光学工具測定装置が知られている。このような装置の一例は、工具が狭いレーザービームを遮断したことを検出する、いわゆるレーザーツールセッターである。これにより、長さや直径などの工具測定値を収集できる。特許文献1は、レーザービームが狭いアパーチャを介して装置に出入りできるようなレーザーツールセッターについて説明している。アパーチャからの圧縮空気の流れは、汚染物質などが装置に侵入したり、光路を覆い隠したりするリスクを軽減するために使用される。
【0003】
イメージングセンサーが工具の画像をキャプチャする視覚またはカメラベースの工具測定装置も知られている。ノルウェーのKlaebuにあるConopticaによって販売されているCU2工具測定システムはそのような装置の例である。典型的な視覚ベースの工具設定システムは、工具を照明するための光源と、その工具の画像を収集するための画像センサーとを含む。過酷な工作機械環境から画像センサーを保護するために、メカニカルシャッターがよく使用される。メカニカルシャッターは、工具の検査時には開き、加圧されたクーラントが流れ、大量の切削屑が発生するような機械加工時には、画像センサーを保護するために閉じる。このようなメカニカルシャッターの目的は、画像センサーに汚染物質ができるだけないようにすることである。しかし、シャッターが最初に開かれたとき、汚染物質が工作機械環境にまだ存在する可能性があることがわかっている。
【0004】
特許文献2は、光学工具測定装置のための保護システムのさらなる例を記載している。この装置は、開放位置から閉鎖位置に移動することができるシャッターを含む。開放位置では、光はアパーチャを通過して光センサーに到達する。このアパーチャは、シャッターが閉鎖位置にあるときに密閉され、装置の光学部品の汚染を防ぐ。アパーチャの周囲に配置された一連のノズルは、シャッターが開いているときに汚染物質の侵入を防ぐのに役立つ、アパーチャから離れる管状の空気の流れも提供する。シャッターはまた、シャッターが閉鎖位置から開放位置に移動するときに、シャッターがセンサーに光が通過できる開放位置に到達する前に、一時的な空気の吹き付けがアパーチャから放出されるように配置されている。この一時的な空気の吹き付けは、エアノズルがシャッターを開放位置に保持した状態で管状の空気の流れを提供する前に、アパーチャから破片を取り除くことを目的としている。この配置は、小さなアパーチャには幾らか効果的かもしれないが、カメラベースのシステムに必要な大きなアパーチャにはあまり効果的ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】欧州特許出願公開第1050368号明細書
【文献】米国特許出願公開第2010/0260384号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、工作機械用の光学工具測定装置であって、
工具検知領域に光を向けるための光源と、
工具検知領域からの光を検出するためのセンサーと、および
前記センサーを汚染から選択的に保護するシャッターアセンブリであって、前記シャッターアセンブリは、前記センサーが前記シャッターアセンブリによって覆われて前記センサの汚染を防止する閉鎖構成と、前記シャッターアセンブリの第1のアパーチャを介して前記センサに光が通過可能な開放構成とを提供するように構成されている、シャッターアセンブリと、を備え、
前記シャッターアセンブリは、光が前記シャッターアセンブリの前記第2のアパーチャを通ってセンサーに通過することができる狭窄構成をさらに提供するように構成され、前記第2のアパーチャは前記第1のアパーチャよりも小さいことを特徴とする、装置、が提供される。
【0007】
したがって、本発明は、マシニングセンタ、旋盤などの工作機械用の光学工具測定装置に関する。この装置は、発光ダイオード(LED)およびレンズ、フィルターなどの他の光学部品を含み得る光源を含む。光を検知するためのセンサーも用意されている。センサーには1つまたは複数の感光領域があり、他の光学部品(レンズ、フィルターなど)を含めることもできる。一実施形態では、光源からの光は、ビーム経路に沿って、工具検知領域を介してセンサーに向けられ、工具検知領域は、工具を挿入できる自由空間内の領域となっている。
【0008】
工作機械による機械加工作業の際に発生する汚染(クーラント、削りくず、材料の破片など)からセンサーを保護するためのシャッターアセンブリも用意されている。そのような汚染からセンサーを保護するために、シャッターアセンブリを閉じることができる(すなわち、閉鎖構成を採用する)ことができる。したがって、このような閉鎖(例えば、密閉された)構成は、切断操作中に使用でき、非常に高レベルの汚染保護を提供するが、もちろん、装置を使用して測定を行うことができないことを意味する。シャッターアセンブリはまた、センサーが覆われていない(例えば、完全に覆われていない)開放(例えば、完全に開いている)構成に配置され得る。以下に説明するように、センサーが画像センサーである場合、この開放構成により、工具検知領域に配置された工具の画像を収集することができる。ただし、シャッターを開くことは、工作機械の環境が明確であることが確認できる場合にのみ勧められる。例えば、切削操作が実行された後、一定時間、クーラントミストや屑が工作機械環境に存在する場合がある。この間にシャッターを開くと、汚染物質がシャッターを通過してセンサーに蓄積し、性能が低下する可能性がある。このタイプの劣化は、すぐに、または時間の経過とともに徐々に発生する可能性がある。
【0009】
本発明によれば、シャッターアセンブリはまた、光がシャッターアセンブリの第2のアパーチャを通ってセンサーに通過することができる狭窄構成を提供する。第2のアパーチャは第1のアパーチャよりも小さい。したがって、この小さなアパーチャは、光を検知できる視野または領域を縮小するが、小さなアパーチャは、装置の汚染に対する耐性が向上する。したがって、狭窄構成を使用して、工作機械環境内に汚染が存在する場合でも、工具または他の測定を行うことができるようにすることができる。以下で説明するように、これには、工具のより小さな部分のイメージング、または全体的な受信光レベルを測定して、工具がセンサーに通過する光をブロックするタイミングを決定するエミュレーションモードでの動作が含まれる場合がある。
【0010】
したがって、本発明の装置は、シャッターアセンブリが開いた状態では完全な「視覚」モードで動作し、閉じた状態では汚染物質に対して完全に密閉され、また、狭窄状態で動作する場合は汚染があっても機能的に測定を行うことができる。したがって、より柔軟でユーザーフレンドリーな装置が提供される。特に、レーザーベース(ブレークビーム)ツールセッターの耐汚染性の利点は、視覚またはカメラベースの工具設定システムの追加の工具分析機能と組み合わせることができる。
【0011】
センサーは、受信光の強度を検知するための単一の活性要素を有する光検出器を含み得る。あるいは、センサーは、複数のピクセルまたは光検知領域を含み得る。好ましい実施形態では、センサーは、複数のピクセルを含む2次元イメージングアレイを含む。そのような実施形態では、開放構成の第1のアパーチャは、光が複数のピクセルの第1のセットに通過することを可能にするようなサイズにされ得る。第1のセットは、イメージングアレイのすべてのピクセルを含み得る。第1のセットには、イメージングアレイの一部のピクセルのみが含まれる場合がある。狭窄構成の(より小さな)第2のアパーチャは、光が複数のピクセルの第2のセットに通過することを可能にするようなサイズにすることができる。第2のセットは、好ましくは、第1のセットよりも少ないピクセルを含む。
【0012】
好ましい実施形態では、イメージングアレイは、複数のピクセルの第1のセットから画像をキャプチャすることができるイメージングモードで動作可能である。イメージングモードは、シャッターアセンブリが開放構成にあるときに使用することが好ましい。装置が狭窄構成にある場合でも、画像はより狭い視野で収集および分析される可能性がある。便利なことに、イメージングアレイは、第2のピクセルセットに当たる結果として生じる(全体の)光強度が測定されるエミュレーションモードでも動作可能である。エミュレーションモードは、シャッターアセンブリが狭窄構成にあるときに使用することが好ましい。このようにして、ビジョンとブレークビームツールの測定方法を同じ装置で実行できる。
【0013】
シャッターアセンブリは、様々な方法で提供することができる。一実施形態では、シャッターアセンブリは、光がセンサーに通過するための通路を備える。通路は、第1のアパーチャを画定し得る。あるいは、通路は、第1のアパーチャを画定する物体を含み得る。シャッターアセンブリはまた、第2のアパーチャを画定する狭窄部材を含み得る。第2のアパーチャが通路を狭窄させるように、狭窄部材は通路内に移動可能である。シャッターアセンブリはまた、閉鎖部材を含み得る。閉鎖部材は、有利には、通路内に移動可能であり、通路を閉鎖し、それによってセンサーを覆う。閉鎖部材はまた、汚染がセンサーに到達するのを防ぐために通路を密封し得る。好ましい実施形態では、狭窄部材および閉鎖部材は、共通の軸に沿って別々に移動可能である。狭窄部材は、閉鎖部材がそれを通って移動することができる中央キャビティを含み得る。
【0014】
シャッターアセンブリは、センサーの前で移動することができる複数のシャッター部材を含み得る。そのような複数のシャッター部材の全て、または、いくつかは、単一のアパーチャのみを含み得る。例えば、それぞれ第1および第2のアパーチャを含む第1および第2のシャッター部材を提供することができる。あるいは、複数のアパーチャを含む単一のシャッター部材を提供することができる。例えば、可動シャッター部材は、第1および第2のアパーチャの両方を含み得る。好ましい実施形態では、シャッターアセンブリは、第1のアパーチャを画定する第1の部分、第2のアパーチャを画定する第2の部分、およびアパーチャを有さない第3の部分を含むシャッター部材を含み得る。シャッター部材は、第1、第2、および第3の部分がセンサーに対して配置されて、それぞれ開放、狭窄、および閉鎖構成を提供できるように移動可能(例えば、回転可能、並進可能など)であり得る。例えば、シャッター部材の回転および/または並進は、異なる構成を提供し得る。
【0015】
有利なことに、シャッターアセンブリが閉鎖構成にあるとき、センサーは外部環境から実質的に密閉されている。したがって、シャッターアセンブリは、閉鎖構成にあるときに汚染物質(液体など)の侵入を阻止するための適切なシールを含み得る。
【0016】
再現性があり信頼性の高い測定を提供するために、第1のアパーチャ、特に第2のアパーチャは、開放または狭窄構成が採用されるたびに、センサーに対して同じ位置を採用できることが好ましい。したがって、第1のアパーチャおよび第2のアパーチャはそれぞれ、好ましくは、センサーに対して繰り返し可能な位置をとることができる。例えば、第2のアパーチャは、100μm以内で再現可能なセンサーに対して相対的な位置を採用することができる。より好ましくは、50μm以内まで。より好ましくは、25μm以内まで。より好ましくは、10μm以内まで。
【0017】
シャッターアセンブリとセンサーの両方を含む単一のハウジングを提供することができる。言い換えれば、シャッターアセンブリはセンサーと統合され得る。有利なことに、シャッターアセンブリは保護ユニット内に提供される。便利なことに、センサーは受信機ユニット内に提供される。そのような受信機ユニットのセンサーは、光がシャッターアセンブリに渡される透明な窓を備え得る。透明な窓は、受信機ユニットを密閉し、それによって、その光学部品を、それを通過する汚染から保護することができる(例えば、シャッターアセンブリを介して)。保護ユニットを取り外すと、レシーバーユニットの透明な窓にアクセスできる。これにより、透明な窓を定期的に、または、保護ユニットがすべての汚染を止められなかった場合(たとえば、汚染物質の存在下でシャッターアセンブリが誤って開放構成に配置された場合)、掃除することが可能になる。この取り外し、掃除、および取り付けは、センサーまたは工具測定装置の残りの部分を妨げることなく実行できる。保護ユニットは、好ましくは、繰り返し可能な位置で受信機ユニットに取り外し可能に取り付けることができる。言い換えれば、保護ユニットは、毎回実質的に同じ位置で受信機ユニットに取り付けることができる。これにより、保護ユニットを取り外して交換した場合でも、シャッターアセンブリがセンサーと同じ位置にあることが保証される。したがって、保護ユニットの取り外しおよび交換後に装置を再校正する必要がなくなる。
【0018】
装置は、圧縮空気などの加圧ガスの供給を受けることができる。有利には、装置は、ガスの供給を受けるための少なくとも1つの入口を備える。内部導管はまた、シャッターアセンブリが狭窄構成にあるときに、受け取られたガスが第2のアパーチャを介して排出されることを可能にする装置内に提供され得る。したがって、受け取ったガスは、光が装置に出入りするアパーチャを介して、装置内に導かれ、装置から排出され得る。この装置は、そのような受け取ったガスの流れを制御するための空気圧制御弁などを備えてもよい。追加のガスノズルも提供される場合があり、これらは、装置から破片を吹き飛ばしたり、測定する工具を掃除したりするのに役立たせられる。
【0019】
有利なことに、この装置は、シャッターアセンブリを、開放、閉鎖、および狭窄構成のいずれか1つに入るように指示するためのコントローラーを備える。コントローラーは、センサーおよび/または光源を含むケーシング内に全体的または部分的に配置され得る。あるいは、コントローラーは、全体的または部分的に工作機械筐体の外側に配置されてもよい。シャッターアセンブリによって採用される構成は、(例えば、工作機械コントローラーからの)受信された指示に基づくことができる。あるいは、コントローラーは、特定のシャッターアセンブリ構成を採用できる時期を制限する場合がある。有利なことに、コントローラーは、シャッターアセンブリが狭窄構成にあるときにセンサーが受け取る光を分析し、そこから、装置の外部環境に汚染物質が十分になく、シャッターアセンブリが開放構成に入ることができるかどうかを判断する。言い換えれば、開放構成は、狭窄構成で実行されたチェックが汚染レベルが十分に低いと判断した場合にのみ採用することができる。チェックは、受け取った光の強度を測定すること、および/または、強度の特徴的な変動について画像を分析することを含み得る。狭窄構成は、汚染レベルをチェックするためにのみ使用できる。狭窄構成は、工具の測定にのみ使用できる。有利なことに、狭窄構成は、汚染レベルのチェックと工具の測定の両方に使用できる。
【0020】
シャッターアセンブリは、任意の適切な手段を使用して作動させることができる。例えば、シャッターアセンブリは、空気圧で作動させることができる(すなわち、1つまたは複数のガスラインを介した圧縮ガスの供給によって)。シャッターアセンブリは電気的に作動させることができる。シャッターアセンブリは、力が加えられていない場合(例えば、電気アクチュエーターまたは加圧ガスの供給から)に1つの構成(例えば、閉鎖構成)が採用されるようにする少なくとも1つのばねを含み得る。このようにして、電源またはガスの供給が遮断された場合、装置はデフォルトで閉じた構成になり、それによってセンサーに最大限の保護を提供する。
【0021】
装置は、センサーを保護するための上記のような単一のシャッターアセンブリを含み得る。光源は、シャッターアセンブリによる保護を必要としない場合がある(例えば、大きくて広角の光源を使用して工具を正面から照らす場合)。しかしながら、好ましい実施形態では、光源はまた、センサーを保護するシャッターアセンブリに関連して上記の特徴のいずれか1つまたは複数を有するシャッターアセンブリによって保護される。したがって、装置は、光源を汚染から選択的に保護するための追加のシャッターアセンブリを備えることができる。追加のシャッターアセンブリは、光源が追加のシャッターアセンブリによって覆われ、それによって光源の汚染を防止する閉鎖構成を提供するように構成され得る。追加のシャッターアセンブリはまた、光源からの光が追加のシャッターアセンブリの第1のアパーチャを通過することができる開放構成を提供し得る。追加のシャッターアセンブリはまた、光源からの光がシャッターアセンブリの第2のアパーチャを通過することができる狭窄構成を提供するように構成され得、第2のアパーチャは第1のアパーチャよりも小さい。光源は、レンズ、透明窓などの光学要素を含み得ることに留意されたい。
【0022】
センサーは、工具検知領域に配置された工具から反射される光源からの光を検出するように構成され得る。例えば、正面から撮影された工具画像を取得することができ、および/または、反射工具測定装置を実装することができる。好ましい実施形態では、光源は、工具検知領域を通過してセンサーに向かう光ビームを放出するように配置されている。これにより、光ビームに挿入された工具が、センサーが受け取る光を覆い隠す。これにより、工具の逆光画像を取得できる。また、ビームがいつ壊れたかを分析することにより、工具の存在を確認することもできる。光源によって生成される光は、任意の適切な波長を有することができる(例えば、必要に応じて、スペクトルの赤外線から紫外線部分まで)。センサーは、好ましくは、光源によって放出される光の波長に敏感であるように選択される。
【0023】
また、本明細書では、機械工具環境で使用するための光学装置用のシャッターアセンブリであって、シャッターアセンブリは、光がシャッターアセンブリを通過するのを防ぐ閉鎖構成、光がシャッターアセンブリの第1のアパーチャを通過できる開放構成、および、光がシャッターアセンブリの第2のアパーチャを通過することができる狭窄構成を提供するように構成され、第2のアパーチャは第1のアパーチャよりも小さい。シャッターアセンブリは、工具設定装置の送信機(光源)および/または受信機(センサー)に取り付けることを可能にする機能を有し得る、シャッターアセンブリが記載されている。
【0024】
また、本明細書では、工作機械用の光学式工具測定装置であって、工具検知領域に向けて光を照射する光源と、工具検知領域からの光を検出するセンサーと、センサーを汚染から保護する保護装置であって、保護装置は、シャッターアセンブリを備え、シャッターアセンブリがセンサーを覆って光がセンサーに到達するのを防ぐ閉じた構成を採用することができるシャッターアセンブリと、センサーの第1の領域に光が当たるように、センサーが覆われていない開放構成と、センサーの第1の領域よりも小さいセンサーの第2の領域に光が当たるように、シャッターアセンブリによってセンサーが部分的に覆われている部分開放構成とがある。シャッターアセンブリは、1つまたは複数のアパーチャを備え得る、装置が記載されている。装置はまた、本明細書に記載されている他の特徴のいずれかを含み得る。
【0025】
工作機械用の光学工具測定装置も本明細書に記載されている。装置は、工具検知領域に向けて光を向けるための光源を含み得る。工具検知領域からの光を検出するためのセンサーが提供され得る。装置はまた、汚染からセンサーを選択的に保護するためのシャッターアセンブリを含み得る。シャッターアセンブリは、閉鎖構成を提供するように構成することができる。閉鎖構成では、シャッターアセンブリがセンサーを覆い、それによってセンサーの汚染を防ぐことができる。シャッターアセンブリは、開放構成を提供するように構成することができる。開放構成では、光は、シャッターアセンブリの第1のアパーチャを通ってセンサーに通過することができる。シャッターアセンブリはまた、狭窄構成を提供し得る。狭窄構成では、光は、シャッターアセンブリの第2のアパーチャを通ってセンサーに通過すし得る。有利には、第2のアパーチャは第1のアパーチャよりも小さい。装置はまた、本明細書に記載されている他の特徴のいずれかを含み得る。
【0026】
光学部品(例えば、センサーまたは光源など)を汚染から選択的に保護するためのシャッターアセンブリも本明細書に記載されている。シャッターアセンブリは、第1のシャッター部材および第2のシャッター部材を含み得る。第1のシャッター部材および/または第2のシャッター部材は、実質的に平面であり得る。第1のシャッター部材は、第2のシャッター部材に対して移動するように配置され得る。例えば、第1および第2のシャッター部材の平面は、互いに係合し、移動(スライド)することができる(すなわち、それらは、スライド接触することができる)。第1および第2のシャッター部材は、前後に移動し、および/または互いに対して回転することができる。一例では、第1および第2のシャッター部材は、互いに対して回転することができる第1および第2のディスクを含み得る。第1のシャッター部材と第2のシャッター部材との間の潤滑剤の層(例えば、工作機械の冷却剤)は、シャッター部材間の滑り接触のために発生する可能性のある摩擦および/または摩耗を低減し得る。
【0027】
シャッターアセンブリは、第1のシャッター部材と第2のシャッター部材との間に相対運動を提供するための作動機構を備え得る。例えば、作動機構は、相対運動を提供するためのアクチュエーター(例えば、電気または空気圧アクチュエーター)を含み得る。作動機構はまた、または代替的に、第1および第2のシャッター部材を所定の相対位置(すなわち、静止位置)に付勢するための付勢手段(例えば、1つまたは複数のばね)を含み得る。そのような構成では、アクチュエーターは、付勢力に打ち勝って、第1および第2のシャッター部材の所定の(静止)位置からの相対的な動きを引き起こすことができる。シャッターアセンブリは、シャッターハウジングを含み得る。第1のシャッター部材は、シャッターハウジングに対して固定された(不変の)位置を有し得る。そのような例では、作動機構は、シャッターハウジング(および第1のシャッター部材)に対して第2のシャッター部材を移動させることができる。
【0028】
上記のシャッターアセンブリの第1のシャッター部材は、単一のアパーチャを含み得る。保護されるべき光学部品は、第1のシャッター部材のアパーチャに隣接して配置され得る(すなわち、光が第1のシャッター部材のアパーチャを通過して光学部品に出入りすることができる)。第2のシャッター部材は、アパーチャを含み得る。第1および第2のシャッター部材の相対運動は、第2のシャッター部材のアパーチャを第1のシャッター部材のアパーチャと整列させることができ、次に、光は、光学部品に出入りすることができる。第2のシャッター部材は、第2のシャッター部材の固体部分が第1のシャッター部材のアパーチャを遮断するように、位置合わせされた位置から離れるように移動することができ、この閉じた状態または密閉された状態は、光学部品を汚染から保護する。シャッターアセンブリは、開放状態と閉鎖状態のみを提供することができる。あるいは、第2のシャッター部材は、第1および第2のシャッター部材の相対位置を変更することによって複数の異なる状態(例えば、開放状態および部分的に開いた状態または狭窄状態)を提供することを可能にする複数のアパーチャ(例えば、異なるサイズのアパーチャ)を含み得る。
【0029】
上記のシャッターアセンブリは、工作機械の過酷な環境から光学部品(例えば、レーザー、光検出器、画像センサーなど)を保護するために使用することができる。シャッターアセンブリが開いた状態にあるときでさえ、保護されている光学部品の汚染を防ぐのを助けるために、ガス(例えば、空気)の流れがアパーチャ部を介して放出され得る。好ましい例では、非接触工具設定装置は、上記のようなシャッターアセンブリを含み得る。シャッターアセンブリは、保護されている光学部品と一体的に形成され得るか、またはそのような光学部品に取り付け可能(例えば、解放可能に取り付け可能)であり得る。上記のシャッターアセンブリ、特にシャッター部材のスライド配置は、異なる状態間を移動するときに、屑がシャッターアセンブリによって捕捉または捕捉される可能性を低減する一方で、閉じた状態では冷却剤および他の汚染物質に対して良好な流体シールを提供することが見出された。
【図面の簡単な説明】
【0030】
ここで、添付の図面を参照して、単に一例として本発明を説明する。
【
図1】
図1は、本発明のツールセッターを示している。
【
図2a】
図2aは、
図1の装置のシャッターアセンブリの3つの構成を示している。
【
図2b】
図2bは、
図1の装置のシャッターアセンブリの3つの構成を示している。
【
図2c】
図2cは、
図1の装置のシャッターアセンブリの3つの構成を示している。
【
図3】
図3は、ディスク状の回転可能なシャッターを示している。
【
図4】
図4は、回転可能なディスクを備えたシャッターアセンブリを示している。
【
図5a】
図5aは、デュアルコーンシャッターアセンブリを示している。
【
図5b】
図5bは、デュアルコーンシャッターアセンブリを示している。
【
図5c】
図5cは、デュアルコーンシャッターアセンブリを示している。
【
図6a】
図6aは、対向するコーンの形態のシャッター部材を有するシャッターアセンブリを示している。
【
図6b】
図6aは、対向するコーンの形態のシャッター部材を有するシャッターアセンブリを示している。
【
図6c】
図6aは、対向するコーンの形態のシャッター部材を有するシャッターアセンブリを示している。
【
図7】
図7は、イメージングモードとエミュレーションモードで装置を操作する概念を示している。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1を参照すると、工作機械のベッド4に取り付けられたときの本発明の工具設定装置2が示されている。工具設定装置2は、光ビームを放射するLED光源10を備える。光を検知するための1000×1000ピクセルのアレイ(すなわち、1メガピクセルアレイ)を備える画像センサー14も提供される。光源10およびセンサー14は、適切な光学要素(例えば、レンズなど)を含む。画像センサー14によって収集された強度データを分析するために、分析ユニット16(例えば、プロセッサを備える)が提供される。光源10および画像センサー14は、支柱18によって共通ベース20内に含まれ、それらに固定されている。光源10からの光ビームは、工具検知領域13に配置された不透明な物体(例えば、工具)によってセンサー14に到達するのを遮断される。工具を前面照射(front-lighting)するために、二次光源11がまた提供され得る。
【0032】
工具設定装置2が取り付けられている工作機械はまた、工具32を保持するためのスピンドル30も含む。スピンドルは回転軸Rを中心に回転可能である(つまり、工具をその長手軸を中心に回転させることを可能にする)。スピンドル30は、数値コントローラーまたはプロセッサを含むNC34の制御下で工作機械内で回転および移動する。工具設定装置2もまた、インターフェース36を介してNC34に接続されている。インターフェース36は、電気ケーブル17を介して工具設定装置2に接続されている。インターフェース36は、工具設定装置に電力を供給する。加えて、インターフェース36は、より複雑な処理タスク(画像分析など)を実行するために外部コンピューター31に接続されている。コンピューター31はまた、NC34を直接操作し得ることに留意されたい(例えば、NC34によって作用される一連の移動命令を送信することによって)。インターフェース36は、個別のユニットである必要はなく、NC34または外部コンピューター31の一部として形成され得ることにも留意されたい。使用中、工作機械(NC34の制御下にある)は、必要に応じて工具32を光ビームに出し入れすることができ、それによって工具を測定することを可能にする。
【0033】
工具設定装置2はまた、画像センサー14を保護するための第1のシャッターアセンブリ40と、光源10を保護するための第2のシャッターアセンブリ42とを含む。第1および第2のシャッターアセンブリ40および42はそれぞれ、3つの異なる構成、すなわち、開放、閉鎖、および狭窄構成を採用することができる。第1および第2のシャッターアセンブリの両方が開放構成を採用する場合、第1および第2のシャッターアセンブリは、光の通過のために比較的広いアパーチャを提供する。特に、光源10から画像センサー14に通過する比較的広い光ビーム12aが生成される。障害物がない場合、ビーム12aは、画像センサー14のアクティブ領域(すなわち、1000×1000ピクセル)を完全に照らすように寸法が決められている。このようにして、工具検知領域13に配置された工具は、画像センサー14によって生成された工具のバックライト画像(back-lit image)を使用して検査され得る。第1および第2のシャッターアセンブリが両方とも閉じた構成に配置される場合、第1および第2のシャッターアセンブリは、工作機械環境から光源10およびセンサー14を完全に密閉する。この閉鎖構成では、光源10およびセンサー14は、工作機械が切削操作を実行するときに典型的に存在する大量のクーラントおよび切削屑による汚染から保護されている。もちろん、閉鎖構成では測定をすることはできない。
【0034】
本発明によれば、第1および第2のシャッターアセンブリ40および42はまた、狭窄構成を採用することができる。これは、部分的に開いた、制限された、または限定された構成と呼ばれ得る。そのような狭窄構成では、シャッターアセンブリはそれぞれ、小さなアパーチャ(すなわち、開放構成のアパーチャよりも小さいアパーチャ)を画定する。第1のシャッターアセンブリ40の小さなアパーチャは、センサー14に向けられる光の量を制限する。すなわち、図示された「狭い」光ビーム12bが生成される。第2のシャッターアセンブリ42の小さなアパーチャは、画像センサー14を部分的に覆う。第1および第2のシャッターアセンブリ40および42は、工具がない場合に、狭い光ビーム12bが第2のシャッターアセンブリ42の小さなアパーチャを通過し、画像センサー14に当たるように適切に位置合わせされる。
【0035】
狭窄構成では、工具検知領域13に配置された工具を検知することは依然として可能であるが、装置の視野は縮小される。このより小さな視野にわたって工具の画像をキャプチャすることが可能であるか、または以下でより詳細に説明するように、装置は、センサーに到達する光の総強度が分析されるエミュレーションモードで操作することができる。そのようなエミュレーションモードは、上記のタイプのレーザー工具設装置と同様の方法で、光ビーム12bに出入りする工具の検出を可能にするであろう。狭窄構成は、工作機械環境の清浄度を検知するためにも使用できる。例えば、センサーに到達する光の量またはパターンを分析して、クーラントミストや切削屑などが依然としてローカル環境に存在するかどうかを判断することができる。分析によって環境が十分にクリーンであると判断された場合は、開放構成を採用できる。
【0036】
狭窄構成(つまり、より小さなアパーチャ)を提供することは、(完全な)開放構成の場合よりも汚染に対する高い耐性を提供するという利点を有する。言い換えると、アパーチャが小さいほど、センサーまたは光源に通過することのできる汚染の量が減少する。シャッターアセンブリのアパーチャを介して装置からガス(圧縮空気など)の流れを提供することにより、さらなる保護が可能である。この例では、そのような圧縮空気は、圧縮空気供給管38から受け取られ得る。したがって、狭窄構成は、レーザーベースの非接触工具設定装置と同様の汚染耐性を持つことができるが、必要に応じて(たとえば、シャッターアセンブリが開いた構成の)完全なイメージングモードを採用できるという利点がある(工作機械の環境に、クーラントミストや切削屑がない場合など)。
【0037】
インターフェース36は、装置の動作を制御する。特に、インターフェース36は、装置に、閉鎖、解放、および狭窄構成のいずれかを入力するように命令することができる。これらはすべて安定した構成であり、必要な限り維持することができる。両方のシャッターアセンブリが任意の単一の時点で同じ構成を採用することが想定されているが、第1および第2のシャッターアセンブリ40および42の構成を別々に設定することが可能であろう。インターフェース36は、コントローラー34および/または外部コンピューター31から命令を受け取り、それに応じて適切な構成を設定し得る。
【0038】
図2a、2bおよび2cを参照すると、
図1を参照して説明したタイプのシャッターアセンブリ70の開放(全開)、狭窄(部分的に開放)、および閉鎖構成がより詳細に図示される。
図2aの開放構成は、光ビームが画像センサーの幅よりわずかに大きい幅を通過し得るように寸法が定められた第1の(大きな)アパーチャ72を提供する。
図2bは、狭窄構成の第2の(小さな)アパーチャ74を示す。第2のアパーチャ74は、第1のアパーチャ72よりも小さく、「小さい」および「大きい」という用語は、そのようなアパーチャの相対的なサイズを指すために使用される。
図2cに示すように、閉鎖構成にはアパーチャがなく、この閉鎖構成では、関連する光源またはセンサーを保護する物理的および光学的バリアが提供される。閉鎖構成は液密シールを提供し得る。
【0039】
円形断面のアパーチャが図示されているが、アパーチャは任意の適切な形状を有し得ることに留意されたい。例えば、アパーチャ形状は、センサーの形状に対応するように選択することができる。構成ごとに単一のアパーチャの使用が示されているが、1つの構成が複数のアパーチャを提供することも可能であろう。例えば、狭窄構成は、画像センサーの複数のセクションを照明することを可能にする複数の小さなアパーチャを提供することができる。上記の例はまた、開放構成が画像センサー全体を照らすことを可能にするアパーチャを提供することを前提としているが、これも必須ではない。開放構成では、一部の画像センサーのみが照らされる場合がある。さらに、シャッターアセンブリは、
図2bに示される狭窄構成および少なくとも1つの追加の狭窄構成を提供することができる。追加の構成は、狭窄構成のアパーチャよりも小さいおよび/または大きいアパーチャを有し、および/または1つまたは複数のアパーチャを有し得る。
【0040】
図3を参照すると、シャッターアセンブリの一部を形成することができるシャッター部材100が示されている。シャッター部材100は、大きいアパーチャ102、小さいアパーチャ104、およびアパーチャのない中実領域106を含む。使用時には、センサー(または光源)がシャッター部材の後ろに配置される。次に、シャッター部材100は、その中心を中心に回転することができ、その結果、光は、必要に応じて、小さいアパーチャまたは大きいアパーチャを介してセンサーに到達することができる。
【0041】
図4は、固定ディスク142および回転可能ディスク144を含むシャッターアセンブリ機構140を示している。固定ディスク142は、センサー(または光源)が固定ディスク142に形成されたアクセスホール143に隣接するように(
図4の図の後ろに)、センサー(または光源)を含むハウジングに固定することができる。回転可能なディスク144の中心は、回転可能なディスク144がその中心を中心に回転することを可能にする回転リンケージ145を介して固定ディスク142に取り付けられている。回転可能なディスク144は、第1の(大きい)アパーチャ146および第2の(小さい)アパーチャ148を含む。作動ピストン150は、ばね152をセンタリングすることによって中央位置に保持される。作動ピストン150が
図4に示される中央位置にあるとき、回転可能なディスク144は、アクセスホール143を遮断し、それにより、光がセンサーに到達するのを防ぐ。つまり、閉鎖構成が提供される。作動ピストン150は、前後に移動するように通電することができ、それにより、回転可能なディスク144を回転させる。この回転は、回転方向に応じて、第1の(大きい)アパーチャ146または第2の(小さい)アパーチャ148をアクセスホール143と整列させることができる。このようにして、開放構成と狭窄構成を提供できる。力が加えられていない場合、ばねはアセンブリを閉鎖構成に付勢する。
【0042】
上記の実施形態では、閉鎖、開放、および狭窄構成が説明されているが、回転可能なディスク144は、現在請求されている発明の代替として、単一のアパーチャのみを含み得る。次に、シャッターアセンブリ機構140を使用して、任意の光学部品を選択的に保護することができる(例えば、必要に応じて開閉することによって)。この代替概念はまた、上記でより詳細に説明されており、本明細書でも説明されている他の特徴のいずれか1つまたは複数をさらに含み得る。
【0043】
図5aから5cを参照すると、シャッターアセンブリのさらなる例が、それぞれ、開放状態、狭窄状態、および閉鎖状態で示されている。シャッターアセンブリは、通路202を有するハウジング200を備える。
【0044】
図5aは、通路202が遮られていない開放構成のシャッターアセンブリを示している。したがって、通路202の直径は、(完全に開いた)第1のアパーチャを画定する。この開放構成では、光線204は、シャッターアセンブリを通過することができる(例えば、センサーまたは光源から)が、大きいアパーチャは、シャッターアセンブリによって保護された装置に入る汚染物質に対する最小限の保護しか提供しない。
【0045】
図5bは、狭窄構成のシャッターアセンブリを示している。この狭窄構成では、狭窄部材220は、第1のばね224の作用によって通路202内に押し上げられる。狭窄部材220の上端は、通路202を通過し、ハウジングの本体内に設けられたストップフィーチャ(stop features)222と係合する。狭窄部材220の遠位端およびストップフィーチャ222は、係合したときに、狭窄部材220が通路202およびハウジング200に対して常に同じ位置をとるように配置されている。特に、ストップフィーチャ222および狭窄部材220は、係合したときに同じ(繰り返し可能な)位置を提供する相補的な運動学的または疑似運動学的特徴(例えば、間隔を置いて配置されたボールのセットおよび対応するローラーのセット)を含む。狭窄部材220は不透明であるが、通路内に配置された小さなチャネルまたはアパーチャ226を有する。これにより、光線204の一部がシャッターアセンブリを通過することができる。さらに、狭窄部材220の中空内部に導入された圧縮空気は、小さいアパーチャを介して排出される。空気の供給と組み合わせたこの小さなアパーチャは、シャッターアセンブリを通過する汚染に対して高レベルの保護を提供する。
【0046】
図5cは、閉鎖構成のシャッターアセンブリを示している。この閉鎖構成では、狭窄部材内に配置された閉鎖部材240は、第2のばね242によって上方に押される。閉鎖部材は、狭窄部材220のアパーチャを遮断する。閉鎖部材240はまた、汚染物質の侵入をさらに防止するための液密シールを提供するためのOリング243を含む。したがって、狭窄部材220および閉鎖部材240は、通路202を完全に遮断し、シャッターアセンブリを通過する汚染に対するシールを提供する。
【0047】
上で説明したように、圧縮空気を使用して、第1のばね224および第2のばね242によって加えられるばね力に抗して、狭窄部材220および閉鎖部材240を移動させる。したがって、シャッターアセンブリは、圧縮空気が供給されない場合は閉鎖構成を採用するが、圧縮空気が適切に供給されると、必要に応じて狭窄構成または開放構成が採用される可能性がある。そのような空気圧構成は便利であるが、電気的に作動されるまたは他の作動構成が代替的に提供され得る。
【0048】
図5a~5cに示されるシャッターアセンブリは、工具設定装置(例えば、
図1を参照して上記のような装置)に統合することができる。言い換えれば、それは、通常の保守または使用中に取り外すことができないそのような装置の不可欠な部分として形成され得る。あるいは、保護ユニットは、
図5a~5cに示されるシャッターアセンブリを含み得る。保護ユニットは、シャッターアセンブリが配置されるハウジング200を備えることができる。次に、保護ユニットを工具設定装置の本体に解放可能に取り付けることができる。例えば、工具設定装置の本体は、必要に応じて取り付けおよび取り外しを可能にするために、保護ユニットの対応する機能と協調する機能を有し得る。取り付けは繰り返し可能である。繰り返し可能な取り付けには、運動学的接続が含まれる場合がある。このような実施形態では、保護ユニットは、必要に応じて容易に取り外して交換することができる。この取り外しは、通常シャッターアセンブリによって保護されている部品を清掃するために実行でき、例えば、センサーまたは光源(保護用の透明な窓を含み得る)は、例えば、汚染物質の存在下でシャッターアセンブリが誤って開いた構成に置かれた場合、定期的に洗浄または洗浄され得る。
【0049】
図6aから6cは、
図5aから5cを参照して、上記のシャッターアセンブリの代替案を示している。
【0050】
図6aから6cは、光が検出器に、および/または光源から通過することができる中央通路302を備えたハウジング300を含むシャッターアセンブリを示す。ハウジング300内に含まれる第1の部材310は、直線軸Axに沿って前後に移動可能である。同じくハウジング300内に含まれる第2の部材320もまた、同じ軸Axに沿って前後に移動可能である。第1の部材310は、第1の(大きい)アパーチャ312を含み、第2の部材320は、第2の(小さい)アパーチャ322を含む。上記のように、シャッターアセンブリは、工具設定装置の本体に解放可能に取り付け可能であるか、またはそれと恒久的に統合され得る。
【0051】
シャッターアセンブリの全開放構成を
図6aに示す。この開放構成では、第1の(大きい)アパーチャ312が中央通路302内に配置されるように、第1の部材310が空気圧によって上方に押し上げられる。第1の部材310はまた、第2の部材320と係合し、それを通路302から上方に押し出す。したがって、比較的大きな直径の光ビーム330は、通路302を通過することができる。
【0052】
シャッターアセンブリの狭窄構成を
図6bに示す。この狭窄構成では、第1の部材310は、空気力によって引っ込められる(下向きに動かされる)。第2の部材320は、ばね340によって加えられた力の作用下で通路302に押し込まれる。第2の部材320は、ハウジング内に形成された対応する先細りのフィーチャ344と係合する先細りの表面342を有し、それにより、第2の部材320を通路302に対して必要な位置に配置する。上記のように、適切な特徴(例えば、運動学的フィーチャ)を使用して、必要なレベルの位置再現性を提供することができる。したがって、第2の(小さい)アパーチャ322は、通路302内に配置され、それに応じて通路302を狭窄させる。この構成では、空気を第2のアパーチャ322から排出することもできる。
【0053】
図6cは、閉鎖構成を示している。この構成では、第2の部材320は、ばね340によって加えられる力の作用下で通路302に押し込まれ、狭窄構成と同じ位置をとる。しかしながら、第1の部材310はまた、その関連するばね342によって上方に押し上げられ、第1の部材310の遠位端は、第2の部材320内の中央ギャップに入り、それによって通路302を遮断および密封する。この構成は、空気圧が加えられていない場合に採用される。すなわち、ばね340および342は、シャッターアセンブリへの圧縮空気供給がオフにされている場合、第1および第2の部材をこの閉鎖構成へと付勢する。
【0054】
図7を参照して、ビジョンおよびレーザーエミュレーションモードでの上記の工具設定装置の動作を説明する。上記のように、
図1の装置の画像センサーには、1000x1000のピクセル要素の配列があり、これは、
図7に画像センサー60として示されている。これらの各ピクセル要素は、受信光の強度を検出することができ、すべてのピクセルからの受信光強度は、画像センサー60から読み取ることができる。ただし、100万ピクセルからの強度データの読み取りは、画像センサーのバス速度が約50MHzであっても、約50Hzのレートでしか実行できない。比較のために、典型的な従来技術のレーザーベースのツールセッター(単一のフォトダイオードを使用してビーム強度が測定される)は、20kHzを超える帯域幅を持っている。ビームの特定の割合(たとえば50%)がビームに入る工具によってブロックされたときにトリガー信号が生成される場合、ビーム強度が測定される速度によって、所定の速度で工具を移動させたときに可能な位置測定の精度が決まることになる。したがって、ビーム強度測定の速度を20kHzから50Hzに下げると、測定精度が大幅に低下するか、工具をはるかに遅い速度で移動する必要があることがわかる。
【0055】
狭窄モードにあるとき、装置2は、分析ユニット16を使用して、画像センサー60のピクセルの非常に小さなサブセット62(すなわち、縮小サイズの光ビームによって照らされるピクセルの少なくともいくつか)からビーム強度情報を抽出する。この例では、画像センサー60の100万ピクセルのうちのわずか16ピクセルのサブセット62によって受信された光強度は、分析ユニット16に渡され、これらの16ピクセルは、
図7の挿入
図64に提供されている画像センサー60の拡大図において、実線のブロック66として示されている。このようにして、100kHz以上の速度で強度データ(すなわち、ピクセルのサブセットの16ピクセルについて)を抽出することが可能であることが見出された。
【0056】
次に、分析ユニット16は、画像センサーのピクセルのサブセット62のそれぞれによって測定された強度値を組み合わせて(すなわち、合計して)、結果として得られるビーム強度値を生成する。分析ユニット16はまた、結果として得られるビーム強度値を閾値と比較する。特に、「ビームクリア」強度値は、光ビーム内に物体が配置されていないときに発生する結果として得られるビーム強度値と等しくなるように設定される。次に、分析ユニット16は、結果として得られたビーム強度値をビームクリア強度値と比較し、特定の強度閾値を超えたときにトリガー信号を発することができる。例えば、トリガー信号は、結果として得られたビーム強度値がビームクリア強度値の半分に等しい閾値を超えるときに発せられ得る。次に、このトリガー信号は、インターフェース36を介してNC34に伝達され得る。
【0057】
したがって、この装置は、単一要素のフォトダイオードを含むレーザーベースのツールセッターの動作をエミュレートできる。結果として得られるビーム強度値を生成するための20kHzのフレームレートは、測定が従来技術の工具設定システムと同様の精度を有することを意味する。これはまた、工具設定装置2が、装置で使用される測定ルーチンを変更する必要なしに、既存のレーザーベースのツールセッターを置き換えることを可能にする。言い換えると、既存のレーザーベースのツールセッターとの下位互換性を提供できる。しかしながら、工具設定装置2は、シャッターアセンブリが開放構成にあるときに、視覚ベースの測定機能を提供することもできる。そのようなエミュレーションモードについての詳細は、本出願人の以前に提出されたPCT特許出願PCT/GB2018/052600に見出すことができ、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0058】
上記は本発明の単なる例であることに留意されたい。当業者は、本開示を考慮して、可能であろう上記の例に対する様々な代替および修正を十分に理解するであろう。