(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-01
(45)【発行日】2023-06-09
(54)【発明の名称】屠殺後の家禽の熱処理のためのデバイス及び方法
(51)【国際特許分類】
A22C 21/04 20060101AFI20230602BHJP
A22C 21/00 20060101ALI20230602BHJP
【FI】
A22C21/04
A22C21/00 Z
(21)【出願番号】P 2022538982
(86)(22)【出願日】2020-03-06
(86)【国際出願番号】 EP2020056022
(87)【国際公開番号】W WO2021175438
(87)【国際公開日】2021-09-10
【審査請求日】2022-06-23
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】314003661
【氏名又は名称】バーダー・フード・システムズ・デンマーク・エイ/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】イェンスン,ヨーナス
(72)【発明者】
【氏名】ニルスン,カーステン
(72)【発明者】
【氏名】トールプ,ピア
【審査官】川口 聖司
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-544312(JP,A)
【文献】特表2018-509918(JP,A)
【文献】特公昭48-041996(JP,B1)
【文献】実開昭60-191192(JP,U)
【文献】実開昭53-128284(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2005/0107022(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0042496(US,A1)
【文献】米国特許第02649615(US,A)
【文献】米国特許第02727273(US,A)
【文献】米国特許第03343477(US,A)
【文献】米国特許第04947518(US,A)
【文献】米国特許第05232394(US,A)
【文献】中国実用新案第209420791(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A22C 21/00-21/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屠殺後の家禽(11)の熱処理のために構成及び適合された装置(10)であって、前記装置(10)は:全ての側面が側壁(12、13)及び端壁(14、15)によって閉鎖され、底部が底壁(16)によって閉鎖され、上部が開いている、液体の熱処理媒体(18)を受け入れて保持するための細長い熱処理タンク(17)と;前記家禽(11)を前記熱処理タンク(17)内に吊り下げた状態で、複数の熱処理チャネルセクションで形成される熱処理チャネル(20)に沿って、入口領域(E)から出口領域(A)まで輸送するための、前記熱処理タンク(17)の上方に配設された輸送手段(19)とを備え、前記家禽(11)のための少なくとも2つの輸送ライン(21、22、23)が、前記熱処理タンク(17)内に、それぞれ前記熱処理タンク(17)の一方の端壁から前記熱処理タンク(17)の反対側の端壁まで形成され、前記輸送ライン(21、22、23)は、180°の方向転換のための湾曲接続ライン(24、25)によって互いに接続され、各前記輸送ライン(21~23)及び各接続ライン(24、25)は、輸送方向Tに対して横方向に互いから離間して配設された2つの隔壁(26、27)と、1つの底壁(28)とによってその範囲を画定され、これによって、上部が開いている直線状熱処理チャネルセクションと、上部が開いている湾曲した熱処理チャネルセクションとが形成され、隣接する熱処理チャネルセクションの隔壁(26、27)、及び熱処理タンク(17)の外壁に隣接して配置された隔壁(26、27)は、互いから離間して配設され、これによって前記熱処理媒体(18)のための自由空間(29)が形成され、前記熱処理媒体(18)の供給及び/又は加熱のための手段(30)は、少なくとも、隣接する熱処理チャネルセクションの前記自由空間(29)に関連付けられ、前記熱処理チャネル(20)の少なくとも一部の下、即ち少なくとも前記直線状熱処理チャネルセクションの前記底壁(28)と前記熱処理タンク(17)の前記底壁(16)との間には、熱処理媒体(18)の受容区画(31)が形成され、前記受容区画(31)は、前記自由空間(29)と共に、前記熱処理タンク(17)内で前記熱処理媒体(18)の乱流及び/又は流れを生成するための少なくとも1つの乱流生成体(33)が関連付けられた、共通チャンバ(32)を形成する、装置(10)において、
前記受容区画(31)が前記熱処理チャネル(20)全体の下に、即ち前記直線状熱処理チャネルセクション及び前記湾曲熱処理チャネルセクションの前記底壁(28)と、前記熱処理タンク(17)の前記底壁(16)との間に延在し、結果として前記湾曲熱処理チャネルセクションの領域内まで延在する前記受容区画(31)内には、少なくとも1つのポンプデバイス(34)が、前記熱処理チャネル(20)全体に沿って作用する圧力チャンバ(35)を形成するための乱流生成体(33)として存在することを特徴とする、装置(10)。
【請求項2】
少なくとも2つのポンプデバイス(34)が各輸送ライン(21~23)に沿って配設され、各ポンプデバイス(34)は、回転駆動可能なタービン(40)及び駆動装置(41)を伴う垂直方向を向いた駆動シャフト(39)を有するポンプ本体(38)を備え、ここで少なくとも前記タービン(40)は、1つの前記熱処理チャネルセクション又は各前記熱処理チャネルセクションの前記底壁(28)の領域において、前記熱処理タンク(17)内に配設され、前記駆動装置(41)は前記熱処理タンク(17)の外側に配設されることを特徴とする、請求項1に記載の装置(10)。
【請求項3】
少なくとも1つの別個のポンプデバイス(34)が、各直線状熱処理チャネルセクションに関連付けられることを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置(10)。
【請求項4】
少なくとも1つの共通のポンプデバイス(34)が、隣接して互いに対して平行に延在する少なくとも2つの熱処理チャネルセクションに関連付けられることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項5】
少なくとも
1つのポンプデバイス(34)の列を形成して、前記直線状熱処理チャネルセクションの長手方向延長部に対して横向きに配設し、ここで、前記湾曲熱処理チャネルセクションからの前記ポンプデバイス(34)の最大距離は
3.5mであることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項6】
2つのポンプデバイス(34)の列を形成して、前記直線状熱処理チャネルセクションの長手方向延長部に対して横向きに配設し、ここで、前記湾曲熱処理チャネルセクションからの前記ポンプデバイス(34)の最大距離は
3.5mであることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項7】
1つの列の2つ以上のポンプデバイス(34)が1つのポンプユニット(42)を形成し、前記ポンプユニット(42)は、直線状熱処理チャネルセクションの部分を有する中央のユニット(43)、並びに直線状熱処理チャネルセクションの部分及び湾曲熱処理チャネルセクションの部分を有する端部のユニット(44)と共に、連続した熱処理チャネル(20)を有するモジュール構成の装置(10)を形成することを特徴とする、
請求項5または6に記載の装置(10)。
【請求項8】
熱処理チャネルセクションの範囲を画定する隣接する隔壁(26、27)は異なる高さを有し、これにより、前記家禽(11)の背中側に面する隔壁(27)は、前記家禽(11)の胸側に面する反対側の隔壁(26)よりも低くなることを特徴とする、請求項
1~7のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項9】
前記背中側に面する前記隔壁(27)は、
少なくとも1センチメートルだけ、前記胸側に面する前記隔壁(26)より低いことを特徴とする、請求項
8に記載の装置(10)。
【請求項10】
前記背中側に面する前記隔壁(27)は、
少なくとも2センチメートルだけ、前記胸側に面する前記隔壁(26)より低いことを特徴とする、請求項
8に記載の装置(10)。
【請求項11】
前記背中側に面する前記隔壁(27)は、
少なくとも3センチメートルだけ、前記胸側に面する前記隔壁(26)より低いことを特徴とする、請求項
8に記載の装置(10)。
【請求項12】
各熱処理チャネルセクションの前記隔壁(26、27)のうちの少なくとも一方の高さは、可変的に調整可能となるように構成されることを特徴とする、請求項
1~11のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項13】
熱処理チャネルセクションの前記隔壁(26、27)のうちの少なくとも一方は、少なくとも前記輸送ライン(21~23)に面する内側において、いくつかの領域において前記家禽(11)の輪郭に適合されている形状を有することを特徴とする、請求項
1~12のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項14】
前記家禽(11)の前記輸送方向の反対方向の対向流を形成するために、前記熱処理タンク(17)からの前記家禽の前記出口領域(A)に、
清浄な水を導入するための少なくとも1つのノズルデバイスが配設され、前記熱処理タンク(17)への前記家禽(11)の前記入口領域(E)には、汚染水を排出するための少なくとも1つの流出口が形成されることを特徴とする、請求項
1~13のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項15】
前記家禽(11)の前記輸送方向の反対方向の対向流を形成するために、前記熱処理タンク(17)からの前記家禽の前記出口領域(A)に、
加熱された水を導入するための少なくとも1つのノズルデバイスが配設され、前記熱処理タンク(17)への前記家禽(11)の前記入口領域(E)には、汚染水を排出するための少なくとも1つの流出口が形成されることを特徴とする、請求項
1~13のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項16】
各ポンプデバイス(34)のタービン(40)は、前記熱処理チャネルセクションの前記底壁(28)の中断部(49)の領域に配設され、これによって熱処理チャネルセクションと前記受容区画(31)との間の流体接続が確立され、ここで前記タービン(40)は、前記タービン(40)から離間して配設及び形成されたカバー(50)によって、少なくとも前記熱処理チャネルに対して少なくとも部分的にシールドされることを特徴とする、請求項
3、5~15のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項17】
各ポンプデバイス(34)のタービン(40)は、少なくとも2つの熱処理チャネルセクションの底壁(28)及び/又は隔壁(26、27)の中断部(52)の領域に配設され、これにより、少なくとも2つの隣接する熱処理チャネルセクションと前記受容区画(31)との間の流体接続が確立され、ここで前記タービン(40)は、隣接する熱処理チャネルセクションの隣接する隔壁(26、27)の間に形成される前記自由空間(29)に対して完全にシールドされることを特徴とする、請求項
4~15のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項18】
前記熱処理チャネル(20)に沿って、少なくとも1つの乱流生成体が、前記熱処理媒体(18)の乱流及び/又は流れを生成するための手段として配設され、前記乱流生成体は、水平に配向され、かつ前記家禽(11)の前記輸送方向Tに対して横向きの、駆動シャフトによって、回転駆動できることを特徴とする、請求項
1~17のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項19】
前記圧力チャンバ(35)へのアクセスのための、少なくとも1つの閉鎖可能な開口(54)が、
前記熱処理タンク(17)の前記側壁(12、13)の領域に形成されることを特徴とする、請求項
1~18のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項20】
前記圧力チャンバ(35)へのアクセスのための、少なくとも1つの閉鎖可能な開口(54)が、
前記入口領域(E)の領域に形成されることを特徴とする、請求項
1~18のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項21】
少なくとも1つの流出口バルブ(48)が前記熱処理タンク(17)に関連付けられることを特徴とする、請求項
1~20のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項22】
少なくとも前記熱処理媒体(18)を加熱するための前記手段(30)の制御及び/又は調節のための制御デバイスが、前記装置(10)に関連付けられることを特徴とする、請求項
1~21のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項23】
屠殺後の家禽(11)を熱処理するための方法であって、前記方法は:
‐足で吊り下げられた前記家禽(11)を、液体の熱処理媒体(18)が少なくとも部分的に充填された熱処理タンク(17)を通して、輸送手段(19)によって、熱処理チャネル(20)に沿って入口領域(E)から出口領域(A)まで、輸送方向Tに輸送するステップであって、前記熱処理チャネル(20)は直線状熱処理チャネルセクション及び湾曲熱処理チャネルセクションを備える、ステップ;
‐前記熱処理媒体(18)の加熱及び/又は供給のための手段(30)によって、前記熱処理媒体(18)を加熱及び/又は供給するステップ;並びに
‐少なくとも1つの乱流生成体(33)によって、前記熱処理タンク(17)内の前記熱処理媒体(18)中に乱流を生成し、これによって前記熱処理媒体(18)は、前記熱処理チャネル(20)の下の受容区画(31)のいくつかの領域から前記熱処理チャネル(20)内へと上から戻るようにガイドされる、ステップ
を含む、方法において、
前記熱処理媒体(18)は、少なくとも1つのポンプデバイス(34)によって前記熱処理チャネル(20)の下から吸い出され、前記熱処理チャネル(20)の全長にわたって、即ち前記直線状熱処理チャネルセクション及び前記湾曲熱処理チャネルセクションの領域で、前記熱処理チャネル(20)内へと、その両側において上から戻るようにポンピングされることを特徴とする、方法。
【請求項24】
前記家禽(11)は、相互に対向する隔壁(26、27)によって範囲を画定された前記熱処理チャネル(20)を通って横方向に輸送され、これにより前記家禽(11)は輸送される際に、背中側が一方の隔壁(27)に面し、胸側が他方の隔壁(26)に面するように配向され、ここで、前記胸側に面する前記隔壁(26)よりも、前記背中側に面する前記隔壁(27)を越えて、より大量の熱処理媒体が前記熱処理チャネル(20)に上から戻るように供給されることを特徴とする、請求項
23に記載の方法。
【請求項25】
前記家禽(11)の前記輸送方向Tの反対方向の対向流を生成するために、前記出口領域(A)から前記入口領域(E)に向かう方向に新鮮な水が供給され、従って前記家禽(11)は、前記新鮮な水の流れに対向して輸送され、汚染された熱処理媒体(18)は前記入口領域(E)で回収され、前記家禽(11)は前記出口領域(A)に向かう方向に、ますます清浄になる熱処理媒体(18)を通って輸送されることを特徴とする、請求項
23又は24に記載の方法。
【請求項26】
前記熱処理チャネル(20)を通して前記家禽(11)を輸送する際、前記家禽(11)は、前記熱処理媒体(18)に完全に浸漬されているか、部分的に浸漬されているか、又は全く浸漬されていないことを特徴とする、請求項
23~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記熱処理媒体(18)は、フィルタデバイスを用いて清掃されることを特徴とする、請求項
23~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記熱処理媒体(18)は、それ自体が前記熱処理タンク(17)内を循環し、即ち前記熱処理チャネル(20)から吸い出されて、両側での溢れとして前記熱処理チャネル(20)へと戻るように供給され、事前に加熱された新鮮な水が、前記出口領域(A)において、前記熱処理チャネル(20)内へと、前記輸送方向Tの反対方向に圧力下でポンピングされることを特徴とする、請求項
23~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記熱処理媒体(18)は、複数のポンプデバイス(34)によって、
前記熱処理チャネル(20)の底壁(28)の領域から吸い出され、前記熱処理チャネル(20)の両側において上向きにポンピングされることにより、両側において上から前記熱処理チャネル(20)内に戻るように流れ、ここで少なくとも1つのポンプデバイス(34)は、1つの熱処理チャネルセクション又は少なくとも2つの熱処理チャネルセクションへの供給を行うことを特徴とする、請求項
23~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
請求項
1~22の
いずれか一項に記載の装置(10)を用いて実施されることを特徴とする、請求項
23~29のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屠殺後の家禽の熱処理のために構成及び適合された装置に関し、上記装置は:全ての側面が側壁及び端壁によって閉鎖され、底部が底壁によって閉鎖され、上部が開いている、液体の熱処理媒体を受け入れて保持するための細長い熱処理タンクと;上記家禽を上記熱処理タンク内に吊り下げた状態で、複数の熱処理チャネルセクションで形成される熱処理チャネルに沿って、入口領域から出口領域まで輸送するための、熱処理タンクの上方に配設された輸送手段とを備え、上記家禽のための少なくとも2つの輸送ラインが、上記熱処理タンク内に、それぞれ上記熱処理タンクの一方の端壁から上記熱処理タンクの反対側の端壁まで形成され、上記輸送ラインは、180°の方向転換のための湾曲接続ラインによって互いに接続され、各上記輸送ライン及び各接続ラインは、輸送方向に対して横方向に互いから離間して配設された2つの隔壁と、1つの底壁とによってその範囲を画定され、これによって、上部が開いている直線状熱処理チャネルセクションと、上部が開いている湾曲熱処理チャネルセクションとが形成され、隣接する熱処理チャネルセクションの隔壁、及び熱処理タンクの外壁に隣接して配置された隔壁は、互いから離間して配設され、これによって上記熱処理媒体のための自由空間が形成され、上記熱処理媒体の供給及び/又は加熱のための手段は、少なくとも、隣接する熱処理チャネルセクションの上記自由空間に関連付けられ、上記熱処理チャネルの少なくとも一部の下、即ち少なくとも上記直線状熱処理チャネルセクションの上記底壁と上記熱処理タンクの上記底壁との間には、熱処理媒体の受容区画が形成され、上記受容区画は、上記自由空間と共に、上記熱処理タンク内で上記熱処理媒体の乱流及び/又は流れを生成するための少なくとも1つの乱流生成体が関連付けられた、共通チャンバを形成する。
【0002】
本発明は更に、屠殺後の家禽を熱処理するための方法に関し、上記方法は:足で吊り下げられた上記家禽を、液体の熱処理媒体が少なくとも部分的に充填された熱処理タンクを通して、輸送手段によって、直線状熱処理チャネルセクション及び湾曲熱処理チャネルセクションを備える熱処理チャネルに沿って入口領域から出口領域まで、輸送方向Tに輸送するステップ;上記熱処理媒体の加熱及び/又は供給のための手段によって、上記熱処理媒体を加熱及び/又は供給するステップ;並びに少なくとも1つの乱流生成体によって、上記熱処理タンク内の上記熱処理媒体中に乱流を生成し、これによって上記熱処理媒体は、上記熱処理チャネルの下の受容区画のいくつかの領域から前記熱処理チャネル内へと上から戻るようにガイドされる、ステップ。
【背景技術】
【0003】
このような装置及び方法は、家禽処理産業で使用される。特に鶏、七面鳥、アヒル、ガチョウ、並びに羽を有し食品産業における加工の対象である他の鳥及び水鳥を含む家禽の羽毛を、実際の羽の除去又は引き抜きのために準備するために、加熱された熱処理媒体によって、羽軸の領域をいわば軟化させる、又は緩める。この目的のために、熱処理チャネルに沿って、家禽を例えば高温の蒸気又は熱湯等の熱処理媒体に曝露する。足及び/又は脚で吊り下げられた家禽が、熱処理チャネルに沿って、又は熱処理チャネル内を、輸送方向Tに輸送される際、この家禽は熱処理タンク内の熱処理媒体に部分的に又は全く浸漬されないため、ある程度の熱処理媒体によって家禽の周囲が洗い流される。具体的には、家禽を熱処理媒体中に完全に又は部分的に浸漬させる、即ち熱処理媒体が熱処理タンク内で熱処理チャネルの下の受容区画内だけでなく、熱処理チャネル全体に沿って熱処理チャネル全体の中に存在するような液位となっている、装置及び方法の場合、家禽は熱処理チャネルを通って輸送される際に熱処理媒体によって引っ張られるため、輸送速度によって、足/脚で吊り下げられた家禽が浮遊してしまう。換言すれば、熱処理媒体は抵抗を形成して家禽に「ブレーキをかけ」るため、更に輸送するとその結果として家禽は傾斜した位置へと引っ張られ、最も好ましくないケースでは液面まで達してしまう。これを「浮遊する(float)」と表現する。
【0004】
十分に長い熱処理ラインを形成するために、熱処理チャネルは少なくとも2つの輸送ラインを有する。各輸送ラインは、一方の端壁から反対側の端壁まで直線状に延在し、また側壁に対して略平行に延在する。これらの直線状輸送ラインを接続するために、180°の方向転換のための接続ラインを設ける。直線状輸送ライン及び湾曲接続ラインは、互いから離間して配設された2つの隔壁と、1つの底壁とで形成され、これにより、断面がU字型である直線状又は湾曲熱処理チャネルセクションが形成される。2つの輸送ラインを有する装置では、2つの直線状熱処理チャネルセクションがこれに対応して形成され、これらは1つの湾曲熱処理チャネルセクションによって接続されて方向転換される。3つの輸送ラインの場合、3つの直線状熱処理チャネルセクションが形成され、これらは2つの湾曲熱処理チャネルセクションによって接続されて方向転換される。従って、2つ以上の輸送ラインを有する既知の装置では、輸送ラインは熱処理タンクを通っていわば蛇行するようにガイドされ、その結果、家禽を入口領域から出口領域まで輸送するための方向転換が発生する。輸送方向に応じて、入口領域を出口領域にすることも、その逆も可能である。入口領域及び出口領域は、一方の端壁又は反対側の端壁に配設できる。
【0005】
家禽を熱処理媒体に浸漬するのに加えて、熱処理チャネルに沿ったいくつかの領域において、熱処理媒体が、熱処理チャネルの下に位置する受容区画から流出して、熱処理チャネルの範囲を画定する隔壁の自由縁部を越えて上から熱処理チャネルに戻るように、液体の熱処理媒体中に乱流を生成することによって、熱処理タンク内を循環している熱処理媒体に、家禽を曝露する。特に熱処理チャネル内において熱処理媒体に全く又は部分的にしか浸漬されていない場合には、家禽はこれによって、初めて又は追加で、熱処理媒体を供給されるか又は熱処理媒体に曝露される。
【0006】
熱処理媒体は通常温水であり、これは既に加熱された状態で供給され、及び/又は熱処理タンクに入るまでは加熱されない。しかしながら熱処理媒体を、添加剤が加えられた水、又は他のいずれの流動可能な媒体とすることもできる。熱処理媒体は、少なくとも熱処理タンクの底壁の領域において、熱処理チャネルの下の受容区画内に配置される。隣接する熱処理チャネルセクションの隔壁の間、並びに隔壁と熱処理タンクの側壁及び端壁との間に形成される自由空間、並びに受容区画は、互いに流体接続されて1つのチャンバを形成する。乱流は、1つの乱流生成体又は各乱流生成体によって熱処理媒体内で生成され、熱処理媒体は、既知の装置では直線状熱処理チャネルセクションの下のみに形成される受容区画から、自由空間を通って上向きに流出した後、熱処理チャネルの範囲を画定する隔壁の自由縁部を越えて上から熱処理チャネルに再び流入するが、このような溢れが発生するのは、受容区画が下に配置されている直線状熱処理チャネルセクションに限られる。このような溢れによって、家禽は直線状熱処理チャネルセクションに沿って熱処理媒体に曝露される。受容区画又は上記チャンバ内で生成される流れによって、熱処理媒体は、直線状熱処理チャネルセクションの領域において熱処理チャネルからいわば吸い出され、自由空間に沿って上向きにガイドされ、そこで熱処理媒体は、滝のように隔壁の自由縁部を越えて熱処理チャネルに戻るように流れる。直線状熱処理チャネルセクションの底壁の領域における吸引効果は、家禽が少なくとも部分的に熱処理媒体中に浸漬されている場合に、熱処理チャネル内を輸送される家禽を、垂直方向下向きの引張力によって下向きに引っ張り、吊り下げられて垂直方向を向いた位置で、浮遊効果に対抗して安定させる。湾曲熱処理チャネルセクションでは、熱処理媒体が上から熱処理チャネルへと溢れることと、垂直方向下向きの家禽の位置を安定させるための吸引効果との両方が存在しない。具体的には、湾曲熱処理チャネルセクションの領域では、熱処理プロセスは少なくとも一部で中断されるか又は低減され、これは不均一な、満足の行かない熱処理結果につながる。
【0007】
上述のような装置及び方法の効率に関してますます高い要求がなされている。換言すれば、より高いスループット率が要求されており、これは熱処理タンクを通る輸送の速度を上昇させることによって達成される。しかしながら、輸送速度を上昇させると、上述のような望ましくない効果が強まるため、熱処理結果が更に損なわれる。従って、既存の装置及び方法は、許容可能な熱処理結果に関して、その性能の限界に達しているか、又は既に限界を超えている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の基礎となる目的は、熱処理タンクを通した家禽の輸送速度の高さを保証しながら、最適な熱処理結果をもたらす装置を提供することである。対応する方法を提案することも更なる目的である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、受容区画が熱処理チャネル全体の下に、即ち直線状熱処理チャネルセクション及び湾曲熱処理チャネルセクションの底壁と、熱処理タンクの底壁との間に延在するという点で、上述の特徴を有する装置によって達成され、ここで、結果として上記湾曲熱処理チャネルセクションの領域内まで延在する上記受容区画内には、少なくとも1つのポンプデバイスが、上記熱処理チャネル全体に沿って延在する圧力チャンバを形成するための乱流生成体として存在する。上記熱処理タンク全体をカバーする、即ちその吸引及びポンピング効果を、その全長にわたって、即ち1つの上記ポンプデバイス又は各上記ポンプデバイスが上記熱処理チャネルに沿ったどの位置に位置決めされているかにかかわらず、上記熱処理チャネルに継続的に印加する、圧力チャンバを形成することによって、液体の上記熱処理媒体を、1つの上記ポンプデバイス又は各上記ポンプデバイスによって、上記低壁の領域において上記熱処理チャネルから下向きに吸い出し、そして、液体の上記熱処理媒体が両側の上記隔壁の自由縁部を越えて、即ち上記直線状熱処理チャネルセクション及び上記湾曲熱処理チャネルセクションに沿って、流れるように、上記受容区画及び上記自由空間を介して上記熱処理チャネルへと戻るように上向きにポンピングする。本発明による装置のこのような構成によって、二重の効果が驚くほど単純かつ効果的に達成される。一方では、1つの上記ポンプデバイス又は各上記ポンプデバイスは、上記熱処理チャネル全体の中で上記熱処理チャネル全体に沿って、即ち直線状熱処理チャネルセクション及び湾曲熱処理チャネルセクションの両方において、吸引効果を発生させ、これにより、上記熱処理チャネル内に位置する上記家禽は、少なくとも部分的に上記熱処理媒体中に浸漬されている場合に、下向きに引っ張られ、これによって垂直方向を向いた位置に整列されて安定させられる。その結果、特に方向転換領域、即ち上記湾曲熱処理チャネルセクションでの、浮遊効果が、輸送速度が特に速い場合であっても、効果的に打ち消される。従って上記家禽は、上記熱処理媒体に最大限に曝露されるよう、全体又は一部が上記熱処理媒体の下に確実に保持される。換言すれば、上記熱処理チャネルの全長にわたって作用する上記吸引効果によって、熱処理結果を同等に維持しながら、又は改善さえしながら、上記装置を通して上記家禽をより高速で輸送できる。他方では、上記熱処理チャネル全体に沿って、即ち上記直線状熱処理チャネルセクション及び上記湾曲熱処理チャネルセクションの両方において、両側に生成される、上記隔壁を越える流れは、上記熱処理タンクの充填レベルが低いことによって、上記家禽が上記熱処理媒体中に全く又は部分的にしか浸漬されていない場合であっても、上記熱処理媒体の液面の上方に自由に吊り下げられた、又は上記熱処理媒体に部分的にしか浸漬されていない上記家禽の、上記熱処理媒体に対する十分で均一で連続的な曝露を保証する。上記熱処理媒体は両側において上から上記家禽に向かって流れるため、上記家禽は更に下向きに押される。上記家禽に対して上から作用する、両側における一定の強い水流によって、上記家禽は、上記熱処理媒体による上記熱処理タンクの充填レベルにかかわらず、即ち「低液位(low level)」状態及び「高液位(high level)」状態の両方並びにいずれの中間状態において、垂直方向下向きに、また輸送方向Tに対して横向きに、上記熱処理チャネルの中央に継続的に位置決めされる。本発明による上記装置の実施形態の特徴の組み合わせにより、より高いスループットで、改善された熱処理結果が得られる。
【0010】
更なる利点は、上記熱処理媒体が両側において上記隔壁を越えて継続的に流れることにより、上記熱処理タンク内の上記熱処理媒体の充填レベルを低減できるという点からなり、これにより、一方では、上記家禽の輸送速度を、悪影響を伴うことなく上昇させることができる。充填レベルが低下すると上記家禽に対する「ブレーキ(braking)」効果が低下するため、浮遊のリスクが低下するが、それにもかかわらず、両側での溢れによって、上記家禽が全体的に、均一かつ連続的に、上記熱処理媒体に曝露されることが保証される。また他方では、上記熱処理媒体をろ過するために、溢れた上記熱処理媒体の少なくとも一部分を、ふるい等を通るようにガイドできる。
【0011】
上記装置の特に好ましい実施形態は、少なくとも2つのポンプデバイスが各輸送ラインに沿って配設され、各ポンプデバイスが、回転駆動可能なタービン及び駆動装置を伴う垂直方向を向いた駆動シャフトを有するポンプ本体を備え、ここで少なくとも上記タービンが、1つの上記熱処理チャネルセクション又は各上記熱処理チャネルセクションの上記底壁の領域において、上記熱処理タンク内に配設され、上記駆動装置が上記熱処理タンクの外側に配設されることを特徴とする。「垂直方向を向いた駆動シャフト」とは、上記駆動シャフトが上記底壁に対して略垂直に配向されていることを意味する。上記駆動シャフトは、上記熱処理タンクの上記底壁から、上記熱処理チャネルの上記底壁の方向に、上向きに延在する。これによって一方では、上記方向転換領域への各輸送ラインの全長にわたって、高い吸引効果が保証される。他方では、上記駆動装置を上記熱処理タンクの外側に位置決めすることにより、上記駆動装置が熱処理媒体の進入から効果的に保護されることが保証される。場合によって変更可能な上記ポンプデバイスの個数及び位置決めによって、上記熱処理チャネル全体の下の上記チャンバ内で過圧を生成する実施形態が提供され、上記過圧は、上記熱処理媒体を上記熱処理チャネルから全長にわたって吸い出し、この熱処理媒体を、上記自由空間を通って、上記熱処理媒体を加熱するための手段を通過するように、垂直方向上向きにポンピングするために、十分なものであり、これによって、(再び)加熱された上記熱処理媒体が、両側において上から上記熱チャネル内へと戻るように流れる。上記駆動シャフトの好ましい配向は、少なくとも1つのポンプデバイスを有する実施形態にも当然適用される。
【0012】
ある好ましい実施形態では、少なくとも1つの別個のポンプデバイスが、各直線状熱処理チャネルセクションに関連付けられる。換言すれば、少なくとも1つのポンプデバイス、ただし好ましくは2つ、そして上記輸送ラインの長さに応じて3つ以上でもあるポンプデバイスを、輸送ラインに沿って配設する。これらのポンプデバイスはそれぞれ、1つの輸送ラインのみに作用する。これは特に、上記タービンの直径が好ましくは上記輸送ラインの幅に略対応し、上記底壁の領域において単一の輸送ラインのみに関連付けられることを意味する。各輸送ラインに対するポンプデバイスの個数は、上記輸送ラインの長さに依存する。上記ポンプデバイスの容量に応じて、原則として直径3.5mという上記タービンの最大範囲が想定されており、上記ポンプデバイスの互いからの距離は、3.5m以下である必要がある。容量がより小さい場合には、より小さな距離を選択することもできる。
【0013】
特に好ましい更なる実施形態では、少なくとも1つの共通のポンプデバイスが、隣接して互いに対して平行に延在する少なくとも2つの熱処理チャネルセクションに関連付けられる。従って各ポンプデバイスは、上記底壁の領域において2つの輸送ラインの間に配設されることが好ましく、これにより上記タービンは、少なくとも2つの輸送ラインに動作可能に接続される。換言すれば、2つ以上の隣接する輸送ラインは、1つの共通のポンプデバイスに接続される。上記タービンは、上記熱処理チャネルセクションの底部領域に、少なくとも2つの輸送ラインの一部分にわたって、上記輸送方向に対して横向きに延在する。複数のこのようなポンプデバイスは、上記輸送ラインに沿って、上記輸送方向Tにおいて前後になるように配設できる。互いからの距離及び上記湾曲熱処理チャネルセクションからの距離については、上述の内容が適宜適用される。
【0014】
少なくとも1つ、好ましくは2つの、ポンプデバイスの列を構成し、上記直線状熱処理チャネルセクションの長手方向延長部に対して横向きに配設すると有利であり、ここで、上記湾曲熱処理チャネルセクションからの上記ポンプデバイスの最大距離は約3.5mである。1つの列は、少なくとも2つ、他の実施形態では3つ以上のポンプデバイスを備え、これらは好ましくは、上記輸送方向に対して横方向の線状に配設される。しかしながら、1つの列の個々のポンプデバイスを、互いに対してオフセットして配設することもできる。1つの列の複数の上記ポンプデバイスは、1つのポンプユニットを形成する。複数のこのようなポンプユニットを設けることが好ましい。各ポンプデバイスのタービンに関連付けられる駆動デバイスは、上記ポンプユニットの片側、又は対向する両側に配設できる。駆動トルクを垂直方向の駆動軸に伝達するためには、ベルトドライブを使用することが好ましい。しかしながら、他の駆動コンセプトも同様に使用できる。
【0015】
好ましい更なる発展形態では、1つの列の2つ以上のポンプデバイスが1つのポンプユニットを形成し、これは、直線状熱処理チャネルセクションの部分を有する中央のユニット、並びに直線状熱処理チャネルセクション及び湾曲熱処理チャネルセクションの部分を有する端部のユニットと共に、連続した熱処理チャネルを有するモジュール構成の装置を形成する。装置のモジュール構成の結果として、異なる複数の条件に対する適応を簡単に実施できる。特に、1つのポンプユニット若しくは各ポンプユニットの簡単な交換、及び/又はポンプユニットの追加もまた、装置を例えば様々な長さ及び/又は様々な性能レベルに適応させることができるため、有利である。
【0016】
ある特に有利な実施形態は、熱処理チャネルセクションの範囲を画定する隣接する隔壁が異なる高さを有し、これにより、上記家禽の背中側に面する隔壁が、上記家禽の胸側に面する反対側の隔壁よりも低くなることを特徴とする。上記隔壁の上記異なる高さは、上記直線状熱処理チャネルセクション及び上記湾曲熱処理チャネルセクションの両方に適用されるため、この効果は上記熱処理チャネルの全長にわたって延在できる。輸送手段及び上記熱処理タンクは、家禽が上記熱処理チャネルを通していわば横向きに輸送されるように、互いに対して配設及び適合され、従って上記背中側及び上記胸側は、上記熱処理チャネルの範囲を画定する上記2つの隔壁に面する。任意に、例えば目標を定めたポンプ制御によって、上記背中側及び上記胸側を異なる容積に曝露できる。しかしながら、上記熱処理チャネルの範囲を画定する上記2つの隔壁の構造的高さが異なることにより、高さが低い隔壁の場合によって、胸側に比べて背中側に上記熱処理媒体がより速く、より多量に当たるようにすることが、特に簡単かつ効果的である。従って、家禽は胸側よりも背中側に、より多くの羽、及び緩めるのがより困難な羽を有するため、胸側に比べて背中側において、より大量の熱処理量でのより強力な熱処理プロセスが求められるという事実に対して、目標を定めた行動を取ることができ
【0017】
背中側に面する上記隔壁は、好ましくは少なくとも1センチメートル、任意に少なくとも2センチメートル、更に任意に少なくとも3センチメートルだけ、胸側に面する上記隔壁より低い。ある熱処理チャネルセクションの上記隔壁間の高さの差が1センチメートルである場合、総体積流量は約40:60(胸側/背中側)の比率で、高さの差が2センチメートルである場合、約30:70(胸側/背中側)の比率で、高さの差が3センチメートルである場合、約20:80(胸側/背中側)の比率で分割される。
【0018】
ある特定の有利な実施形態では、各熱処理チャネルセクションの上記隔壁のうちの少なくとも一方の高さは、可変的に調整可能となるように構成される。例えば、一方の隔壁、好ましくは背中側に面する上記隔壁を、少なくともいくつかの領域において、その高さに関して伸縮自在の形態とすることができる。また、単純な差し込み要素を用いて高さの差を変更することもできる。更なる選択肢は、例えばモータで調整可能なソリューションによって形成される。従って、一方又は両方の隔壁の調整可能性の技術的実装に関係なく、例えば熱処理対照の家禽のサイズに応じて、背中側又は胸側を流れる体積の個別の適合が達成され、これによって熱処理結果が改善される。
【0019】
上記装置のある好ましい変形例は、ある熱処理チャネルセクションの上記隔壁のうちの少なくとも一方が、少なくとも上記輸送ラインに面する内側において、いくつかの領域において家禽の輪郭に適合されている形状を有することを特徴とする。原則として、ある熱処理チャネルセクションの、相互に離間した上記隔壁は、例えば平面状とすることができる。上記隔壁は平行に、又は上記底壁に向かって収束するように、配設できる。しかしながら特に好ましくは、両方の隔壁は、少なくとも熱処理対象の家禽に面する内向きの内側において、輪郭成形される。上記輪郭のコースは様々であってよい。ある好ましい輪郭は、溢れた上記熱処理媒体が家禽に向かう方向にガイドされることによって、上記熱処理媒体が、より強い力及びより速い速度で、家禽へと向かい家禽に当たるように、上記熱処理チャネルの幅が少なくともいくつかの領域において減少する状態を提供する。このような効果により、上記熱処理媒体は、皮膚に向かう方向に、外層の比較的強い覆羽により効率的に侵入して、皮膚への移行領域において羽を緩めることができ、これによって熱処理結果が改善される。更に、上記隔壁のうちの一方のみ、好ましくは背中側に面する上記隔壁が、対応する形状を有することもできる。
【0020】
ある特に好ましい実施形態は、上記家禽の上記輸送方向の反対方向の対向流を形成するために、上記熱処理タンクからの上記家禽の上記出口領域に、清浄な、好ましくは加熱された水を導入するための少なくとも1つのノズルデバイスが配設され、上記熱処理タンクへの上記家禽の上記入口領域には、汚染水を排出するための少なくとも1つの流出口が形成されることを特徴とする。これにより、いわゆる「真の対向流(true counterflow)」が提供される。上記出口領域、例えば上記熱処理タンクの端壁の領域に、単一のノズルを配設することが好ましく、このノズルによって、上記入口領域に向かう方向、かついかなる場合においても上記家禽の上記輸送方向の反対方向に、新鮮な水が、好ましくは調整可能な圧力でポンピングされる。しかしながら、上記ノズルデバイスは上記出口領域に複数のノズルを有することもできる。また、上記ノズルデバイスは、各輸送ライン内において上記対向流を上記輸送方向の反対方向に「推進(drive)」するために、上記熱処理タンクの対向する端壁上に位置決めされた複数のノズルを備えることもできる。従って新鮮な水は常に上記輸送方向に対向して流れ、これによって上記家禽の汚れが少なくとも部分的に落とされ、また羽が少なくとも部分的に緩められ、これらの汚染物質は上記流れによって上記入口領域に向かう方向の流れによって同伴される。従って、上記対向流は、上記入口領域に向かう方向にますます汚れてゆくが、上記家禽、及び上記熱処理媒体は、上記出口領域に向かう方向にますます清浄になってゆく。上記入口領域に向かう方向の新鮮な水の流れを支援するために、上記ノズル、又は他のいずれの投入手段を、上記出口領域において、上記熱処理タンク上の、上記入口領域の1つの上記流出口又は各上記流出口よりも高い位置に配設される。対向流として供給される新鮮な水の「清掃機能」に加えて、供給される新鮮な水は、羽毛への吸収によって熱処理プロセス中にこの水を取り去ってしまうという事実によって引き起こされる水の損失の補償をもたらすこともできる、又は上記補償のために使用することもできる。
【0021】
上記家禽が、上記熱処理チャネルに沿って輸送される際に熱処理媒体を取り込むため、即ち熱処理水の一部が、上記家禽によって、特に羽毛によって吸収されるため、任意にノズルデバイスのみによってバランスをとって、水の損失を補償する。特にこれを用いて、上記入口領域における汚染水の排出の結果として発生する水の損失を補償できる。上記熱処理チャネルに沿って配設された上記ポンプデバイスは、主に、また好ましくはもっぱら、上記熱処理媒体を上記熱処理タンク内で内部循環させるために機能し、好ましくは上記熱処理タンク内の水の量に影響しない。最終的には、上記圧力チャンバ内で循環する水の循環は、上記「真の対向流」からいわば分離又は隔離される。
【0022】
上述のように、ポンプデバイスは輸送ライン又は熱処理チャネルのみに関連付けることができる。この目的のために、各ポンプデバイスのタービンは、有利には、上記熱処理チャネルセクションの上記底壁の中断部の領域に配設され、これによって上記熱処理チャネルセクションと上記受容区画との間の流体接続が確立され、ここで上記タービンは、上記タービンから離間して配設及び形成されたカバーによって、少なくとも上記熱処理チャネルに対して少なくとも部分的にシールドされる。上記カバーはグリッドとすることができる。しかしながら上記カバーはランプ(ramp)状のキャップ等とすることもでき、これは、好ましくは上記熱処理チャネルの全幅にわたって延在し、上記低壁から始まる上記輸送方向において閉鎖され、斜め上向きに延在し、その一方で上記カバーの上記輸送方向の反対側には開口が形成され、この開口を介して、上記受容区画との流体接続が確立される。しかしながら、他の構成及び配置も当然可能である。
【0023】
他の実施形態では、上述のように、1つの上記ポンプデバイス又は各上記ポンプデバイスは、少なくとも2つの輸送ライン、又は熱処理チャネルセクションへの供給を行う。この目的のために、各ポンプデバイスのタービンは好ましくは、少なくとも2つの熱処理チャネルセクションの底壁及び/又は隔壁の中断部の領域に配設され、これにより、少なくとも2つの隣接する熱処理チャネルセクションと上記受容区画との間の流体接続が確立され、ここで上記タービンは、隣接する熱処理チャネルセクションの隣接する隔壁の間に形成される自由空間に対して完全にシールドされる。ある好ましい実施形態は、上記自由空間の範囲を画定する各上記底壁の部分中断部及び2つの上記隔壁の部分中断部によって、上記熱処理チャネルセクションと上記受容区画との間の接続を確立する。上記自由空間自体は、上記タービンに対して、従って上記ポンプデバイスに対して、キャップ等によって閉鎖されているため、上記キャップは隔壁間にそれぞれ延在する3つの壁セクションを有する。これらのキャップの領域では、上記熱処理媒体の垂直方向上向きのポンピングが効果的に防止される。上記キャップの輸送方向前方及び後方では、上記熱処理媒体の垂直方向上向きのポンピングが可能である。これにより、上記隔壁の両側の溢れが、上記タービンが配設されている領域においても、連続したものとなることが保証される。しかしながら、他の構成及び配置も当然可能である。特に、上記輸送方向に対して横断方向を向いた壁部分が隔壁間に延在することによって上記自由空間を閉鎖し、これを上記隔壁の高さ全体にわたって上記タービンに対してシールドするように、上記自由空間を上記ポンプデバイスの領域において中断又は省略できる。
【0024】
有利な更なる発展形態では、上記熱処理チャネルに沿って、少なくとも1つの乱流生成体を、上記熱処理媒体の乱流及び/又は流れを生成するための手段として配設し、この乱流生成体は、水平に配向され、かつ上記家禽の上記輸送方向Tに対して横向きの、駆動シャフトによって、回転駆動できる。上記乱流生成体は好ましくは、インペラ、プロペラ等を備える。上記乱流生成体として渦水タービンを設けることが特に好ましく、これは低速(例えば300rpm)で極めて高いポンピング能力を有するため、エネルギ効率の高い乱流及び/及び又は流れの生成を保証し、上記ポンプデバイスのポンピング能力を支援する。よって、特に上記渦水タービンが方向転換の領域に配設されている場合に、上記利点を更に支援できる。
【0025】
上記圧力チャンバへのアクセスのための、少なくとも1つの閉鎖可能な開口を、上記熱処理タンクの側壁の領域、好ましくは外部輸送ラインの上記入口領域の領域に形成すると有利である。例えば、閉鎖可能なドア、フラップ等を設けることができ、これらは、上記熱処理タンクへの上からのアクセスを可能にするだけでなく、上記底壁の領域における上記熱処理タンクへのアクセス、又は上記圧力チャンバへの直接のアクセスを可能にする。このような清掃用フラップは、特に好ましくは、上記入口領域に配設される。
【0026】
少なくとも1つの流出口バルブを上記熱処理タンクに関連付けると便利である。1つの上記流出口バルブ又は各上記流出口バルブは好ましくは上記入口領域に配設される。しかしながら、上記流出口バルブの個数、及び上記流出口バルブの位置は、変更可能である。
【0027】
少なくとも上記熱処理媒体を加熱するための上記手段の制御及び/又は調節のための、制御デバイスを、上記装置に関連付けると有利である。しかしながら、任意に、例えば上記熱処理タンク及び/又は1つの上記流出口バルブ若しくは各上記流出口バルブ内における上記熱処理媒体の充填レベルを決定するための手段を、上記制御デバイスに接続することもできる。上記制御デバイスの更なる接続及びネットワークへの統合も、同様に可能である。
【0028】
上述の目的はまた、上記熱処理媒体が少なくとも1つのポンプデバイスによって上記熱処理チャネルの下から吸い出され、上記熱処理チャネルの全長にわたって、即ち上記直線状熱処理チャネルセクション及び上記湾曲熱処理チャネルセクションの領域で、上記熱処理チャネル内へと、その両側において上から戻るようにポンピングされるという、上述の複数のステップを有する方法によって達成される。
【0029】
上記家禽は好ましくは、相互に対向する隔壁によって範囲を画定された上記熱処理チャネルを通って横方向に輸送され、これにより上記家禽は輸送される際に、背中側が一方の隔壁に面し、胸側が他方の隔壁に面するように配向され、ここで、上記胸側に面する上記隔壁よりも、上記背中側に面する上記隔壁を越えて、より大量の熱処理媒体が上記熱処理チャネルに上から戻るように供給される。
【0030】
有利には、上記家禽の上記輸送方向Tの反対方向の対向流を生成するために、上記出口領域から上記入口領域に向かう方向に新鮮な水が供給され、従って上記家禽は、上記新鮮な水の流れに対向して輸送され、汚染された熱処理媒体は上記入口領域で回収され、上記家禽は上記出口領域に向かう方向に、ますます清浄になる熱処理媒体を通って輸送される。
【0031】
上記熱処理チャネルを通して上記家禽を輸送する際、上記家禽は任意に、上記熱処理媒体に完全に浸漬されているか、部分的に浸漬されているか、又は全く浸漬されていない。上記家禽が上記熱処理媒体に全く浸漬されていない場合、充填レベル「低液位」が存在する。上記家禽が上記熱処理媒体に(好ましくは足/脚を除いて)完全に浸漬されている場合、充填レベル「高液位」が存在する。「低液位」と「高液位」との間のいずれの充填レベルも実現可能であり、ここで、上記熱処理チャネルを通した輸送中に上記家禽に対して上記熱処理媒体によって生成される抵抗は、充填レベルの低下と共に低下し、「低液位」の場合には排除される。
【0032】
フィルタデバイスを用いて上記熱処理媒体を清掃すると便利である。清掃は、上記装置の動作中、及び/又は動作の中断中に実施できる。
【0033】
好ましい更なる発展形態は、上記熱処理媒体自体が上記熱処理タンク内を循環し、即ち上記熱処理チャネルから吸い出されて、両側での溢れとして上記熱処理チャネルへと戻るように供給され、事前に加熱された新鮮な水が、上記出口領域において、上記熱処理チャネル内へと、上記輸送方向Tの反対方向に圧力下でポンピングされることを特徴とする。
【0034】
有利には、上記熱処理媒体は、複数のポンプデバイスによって、上記熱処理チャネルの上記底壁の領域から吸い出され、上記熱処理チャネルの両側において上向きにポンピングされることにより、両側において上から上記熱処理チャネル内に戻るように流れ、ここで少なくとも1つのポンプデバイスは、1つの熱処理チャネルセクション又は少なくとも2つの熱処理チャネルセクションへの供給を行う。
【0035】
特に好ましくは、上記方法は、請求項1~17の1項以上に記載の装置を用いて実施される。
【0036】
本発明による方法から生じる利点は、上記装置に関連して既に詳述されているため、繰り返しを避けるために、対応する節を参照する。
【0037】
上記装置と、上記方法に関連する対応するステップとに関連する、更なる便利及び/又は有利な特徴並びに更なる発展形態は、従属請求項及び以下の説明から明らかになる。上記装置及び上記方法の特に好ましい実施形態について、添付の図面を参照して更に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】
図1は、カバーキャップを伴わない、本発明による装置の概略斜視図である。
【
図4】
図4は、第1の断面図のカバーキャップを伴う、
図1による装置の正面図である。
【
図5】
図5は、更なる断面図のカバーキャップを伴う、
図1による装置の正面図である。
【
図6】
図6は、
図3による装置のポンプユニットの第1の実施形態の底面図である。
【
図7】
図7は、カバーキャップを伴う、
図1による装置の終端ユニットの斜視図である。
【
図8】
図8は、カバーキャップを伴わない、
図7による終端ユニットの図である。
【
図9】
図9は、ポンプユニットの更なる実施形態の、正面上方からの斜視図である。
【
図12】
図12は、ポンプユニットの更なる実施形態の正面図である。
【
図17】
図17は、接続された2つのモジュール構成の熱処理装置の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図示されている装置は、鶏の熱処理に役立つものであり、鶏は上下逆向きに吊り下げられ、熱処理タンク内で熱処理媒体を通るように、即ち鶏の少なくとも一部が熱処理媒体の液面よりも下になるように輸送され、これにより、鶏は、輸送ライン内の熱処理媒体に加えて、端部及び上部においてチャネルから流出する熱処理媒体に曝露される。鶏が熱処理媒体に全く浸漬されず、従って鶏が熱処理チャネルに上から流れ込む熱処理媒体のみに曝露されるように、熱処理媒体の液位を更に低くすることも、又は鶏が熱処理媒体に完全に浸漬され、従って鶏が輸送ライン内の熱処理媒体と、熱処理チャネルに上から流れ込む熱処理媒体との両方に曝露されるように、更に高くすることも、当然可能である。本発明は、七面鳥、アヒル、ガチョウ、並びに他の鳥及び水鳥に対しても対応させて使用できる。
【0040】
装置10は、屠殺後の家禽11の熱処理のために構成及び適合され、また:全ての側面が側壁12、13及び端壁14、15によって閉鎖され、底部が底壁16によって閉鎖され、上部が開いている、液体の熱処理媒体18を受け入れて保持するための細長い熱処理タンク17と;家禽11を熱処理タンク17内に吊り下げた状態で、複数の熱処理チャネルセクションで形成される熱処理チャネル20に沿って、入口領域Eから出口領域Aまで輸送するための、熱処理タンク17の上方に配設された輸送手段19とを備え、家禽11のための少なくとも2つの輸送ライン21、22、23が、熱処理タンク17内に、それぞれ熱処理タンク17の一方の端部から熱処理タンク17の反対側の端部まで形成され、輸送ライン21~23は、180°の方向転換のための湾曲接続ライン24、25によって互いに接続され、各輸送ライン21~23及び各接続ライン24、25は、輸送方向に対して横方向に互いから離間して配設された2つの隔壁26、27と、1つの底壁28とによってその範囲を画定され、これによって、上部が開いている直線状熱処理チャネルセクションと、上部が開いている湾曲熱処理チャネルセクションとが形成され、隣接する熱処理チャネルセクションの隔壁26、27、及び熱処理タンクの外壁に隣接して配置された隔壁26、27は、互いから離間して配設され、これによって熱処理媒体18のための自由空間29が形成され、熱処理媒体18の供給及び/又は加熱のための手段30は、少なくとも、隣接する熱処理チャネルセクションの自由空間29に関連付けられ、熱処理チャネル20の少なくとも一部の下、即ち少なくとも直線状熱処理チャネルセクションの底壁28と熱処理タンク17の底壁16との間には、熱処理媒体18の受容区画31が形成され、受容区画31は、自由空間29と共に、熱処理タンク17内で熱処理媒体18の乱流及び/又は流れを生成するための少なくとも1つの乱流生成体33が関連付けられた、共通チャンバ32を形成する。
【0041】
本発明によると、この装置10は、受容区画31が熱処理チャネル20全体の下に、即ち直線状熱処理チャネルセクション及び湾曲熱処理チャネルセクションの底壁28と、熱処理タンク17の底壁16との間に延在することを特徴とし、ここで、結果として湾曲熱処理チャネルセクションの領域内まで延在する受容区画31内には、少なくとも1つのポンプデバイス34が、熱処理チャネル20全体に沿って作用する圧力チャンバ35を形成するための乱流生成体33として存在する。
【0042】
以下に記載の特徴及び更なる発展形態は、個別に、及び互いに組み合わせて考慮される、好ましい実施形態を表す。請求項及び/若しくは本説明及び/若しくは図面において組み合わされる特徴、又はある一般的な実施形態に記載される特徴は、機能的に独立した様式で上述の装置10を更に発展させることもできることを、明確に指摘しておく。
【0043】
熱処理タンク17は、底部を底壁16によって、側部/外側を側壁12、13及び端壁14、15によって画定される、トラフ状の本体である。熱処理タンク17は、輸送手段19の輸送方向Tの長手方向に延在する。端壁14、15は側壁12、13よりも大幅に短く、熱処理タンク17の範囲を画定して、熱処理媒体18のための受け入れ容積を形成し、これによって熱処理媒体を受け入れて保持、即ち貯蔵できる。熱処理媒体18は、水、又は別の流体、例えば少なくとも1つの添加剤が加えられた水等とすることができる。底壁16は、水平な平面状、V字型、又は他の形状となるように構成できる。熱処理タンク17は、ワンピース型、又はモジュール若しくはセグメント形状とすることができ、図示されている変形例では、好ましくは約8~10mの全長を有する。しかしながら、熱処理タンク17の寸法は変更可能である。
【0044】
図示されている装置10では、熱処理タンク17内に3つの輸送ライン21~23が形成されており、これらは平行に延在し、その長手方向範囲において隔壁26、27によって少なくとも部分的に互いから分離されている。入口領域E及び出口領域Aは、熱処理タンク17の対向する側部に配設される。特に輸送ライン21~23が偶数である場合、入口領域E及び出口領域Aを、熱処理タンク17の同一の側部上に配設することもできる。好ましい実施形態では、輸送手段19は、オーバーヘッドコンベアの形態の吊り下げ式コンベアであり、家禽11は輸送ライン21~23に沿って、その足をシャックル36で吊り下げられた状態で搬送される。吊り下げ式コンベア、又はそのコンベアレールは一方では、コンベアレールが熱処理タンク17の端壁14、15において180°方向転換するように、熱処理タンク17の底壁16に対して平行に、蛇行してガイドされ、これにより、家禽11を一方の輸送ライン21又は22から他方の輸送ライン22又は23へと切り替えることができる。入口領域E及び出口領域Aでは、コンベアレールは、底壁16に対して垂直なそのプロファイルを、熱処理タンク17の端壁14、15の自由縁部を越えて家禽11を持ち上げ、熱処理タンク17内の熱処理チャネル20内へと家禽11を下ろし、またその逆も行うように適合される。熱処理タンク17は任意にカバーキャップ37を有することができ、これは輸送手段19を実質的に取り囲む。輸送手段19とカバーキャップ37との衝突を回避するため、入口領域E及び出口領域Aのそれぞれにおいてカバーキャップ37に開口を設け、コンベアレールはこの開口を通って熱処理タンク17に出入りできる。
【0045】
熱処理媒体18の供給及び/又は加熱のための手段30を用いて、蒸気又は熱湯を任意に熱処理タンク17に供給できる。しかしながら、手段30は主に、自由空間29内を隔壁26、27の自由縁部の方向に垂直方向上向きに流れる熱処理媒体18を加熱するために構成される。手段30は、単純な熱交換器とすることができる。しかしながら、他の加熱手段又は加熱素子も同様に使用できる。手段30は自由空間29内に、熱処理チャネル20の輸送ライン21~23に対してシールドされるように配設されているため、家禽11は直接的な熱照射から保護される。
【0046】
少なくとも2つのポンプデバイス34が、各輸送ライン21~23に沿って配設され、各ポンプデバイス34は、回転駆動可能なタービン40及び駆動装置41を伴う垂直方向を向いた駆動シャフト39を有するポンプ本体38を備え、ここで少なくともタービン40は、1つの上記熱処理チャネルセクション又は各上記熱処理チャネルセクションの底壁28の領域において、熱処理タンク17内に配設され、駆動装置41は、熱処理タンク17の外側に配設される。この例示的実施形態では、駆動シャフト39の垂直な配向とは、熱処理タンク17の底壁16に対して垂直であることを意味する。タービン40は、例えばインペラ又はプロペラの形態とすることができる。ポンプデバイス34の詳細な説明を以下で行う。各ポンプデバイス34は好ましくは、固有の駆動装置41を備える。しかしながら、2つ以上のポンプデバイス34が共通の駆動装置41を使用することもできる。駆動装置41から駆動シャフト39への駆動トルクの伝達は、図示されている実施形態ではベルトドライブで達成される(例えば
図6を参照)。しかしながら、他の従来の駆動コンセプトも同様に使用できる。
【0047】
好ましくは、少なくとも1つの別個のポンプデバイス34を、各直線状熱処理チャネルセクションに関連付ける。換言すれば、各輸送ライン21~23は少なくとも1つのポンプデバイス34を有する。
図3~6による例では、2つのポンプデバイス34が、3つの輸送ライン21~23それぞれに関連付けられている。各ポンプデバイス34は1つの輸送ライン21~23のみに対して作用する。これは、各ポンプデバイス34の吸引及びポンピング作用が、単一の輸送ライン21~23に実質的に限定されることを意味する。この目的のために、タービン40は、熱処理チャネル20の底壁28の下の中央に配置される。ポンプデバイス34の個数は原則として変更でき、個々の輸送ライン21~23の間で異なっていてもよい。しかしながら、隣接する輸送ライン21~23のポンプデバイス34は、輸送方向Tに対して横向きに並べて配設されるのが好ましい。
【0048】
更なる好ましい実施形態(例えば
図9~14を参照)では、少なくとも1つの共通のポンプデバイス34が、隣接して互いに対して平行に延在する少なくとも2つの熱処理チャネルセクションに関連付けられている。各ポンプデバイス34は、2つの輸送ライン21、22又は22、23に作用する。これは、ポンプデバイス34が、2つの輸送ライン21、22又は22、23から熱処理媒体18を吸い出し、それを、自由空間29を介して、熱処理チャネル20の2つの隣接する輸送ライン21、22又は22、23に戻すようにポンピングすることを意味し、これは、タービン40が、2つの輸送ライン21、22又は22、23の間の中央に、即ち2つの輸送ライン21、22又は22、23を互いから隔てる自由空間29の下の略中央に、配設されることによるものである。更に、1つのポンプデバイス34を3つ以上の輸送ライン21~23に関連付けることもできる。
【0049】
少なくとも1つ、好ましくは2つの、ポンプデバイス34の列を形成し、上記直線状熱処理チャネルセクションの長手方向延長部に対して横向きに配設することが好ましく、ここで、上記湾曲熱処理チャネルセクションからのポンプデバイス34の最大距離は約3.5mである。ポンプデバイス34が単一の輸送ライン21、22、23に関連付けられているか、2つ以上の輸送ライン21~23に関連付けられているかにかかわらず、ポンプユニット42を形成するためのポンプデバイス34の列形成は好ましい。ポンプデバイス34の駆動装置41は、ポンプユニット42の片側又は両側に配設できる。このようなポンプユニット42は、直線状熱処理チャネルセクションの部分を有する中央のユニット43、並びに直線状熱処理チャネルセクション及び湾曲熱処理チャネルセクションの部分を有する端部のユニット44と共に、連続した熱処理チャネル20を有するモジュール構成の装置10を形成する。ユニット42、43、44で形成されたこのような装置10は、単一の熱処理装置として使用できる。しかしながら、2つ以上のこのような単一の熱処理装置を任意に一体に接続して、熱処理ライン45を形成することもできる(例えば
図17を参照)。ユニット42~44の個数は様々であってよく、個別に適合させることができる。熱処理タンク17の全ての領域において、熱処理チャネル20の全長にわたって十分な吸引及びポンピング能力を提供するために、上述のように、湾曲熱処理チャネルセクションから、即ち方向転換領域内の湾曲接続ライン24、25からのポンプデバイス34の最大距離だけでなく、輸送方向Tにおける個々のポンプデバイス34の間の最大距離もまた、3.5mとする必要がある。この距離を短縮すること当然可能である。ポンピング能力に応じて、ポンプデバイス34の、互いからの及び/又は湾曲接続ライン24、25からの距離をより大きくすることも、原則として可能である。
【0050】
各輸送ライン21~23及び各接続ライン24、25の側部で熱処理チャネル20の範囲を画定する隔壁26、27は、熱処理チャネル20の開放端部に自由縁部を有し、この自由縁部には好ましくは、熱処理媒体18が両側の隔壁26、27を越えて熱処理チャネル20へと流れ込む際に、熱処理媒体18の方向を指定してガイドするための、ガイド要素46、47が配設される。ガイド要素46、47の形状は様々である。図示されている実施形態では、ガイド要素46、47は、熱処理媒体18が熱処理チャネル20に、家禽11の輸送方向Tに対して略横向きに流れ込むように、成形されている。他の実施形態では、例えば、特に家禽11の輸送速度が特に速い場合に、熱処理チャネル20内にある熱処理媒体18を通るように家禽11を更に輸送方向Tに押すために、溢れた熱処理媒体18が略輸送方向Tに熱処理チャネル内へと配向されるように、ガイド要素46、47を異なる形状及び/又は配向とすることもできる。隔壁26、27は、隔壁26、27を接続する底壁28から、同一の高さを有することができる。好ましくは、1つの熱処理チャネルセクションの範囲を画定する隣接する隔壁26、27は、家禽11の背中側に面する隔壁27が家禽11の胸側に面する反対側の隔壁26よりも低くなるように、異なる高さを有する。隔壁26、27の異なる高さは、熱処理チャネル20全体に沿って、即ち直線状輸送ライン21~23及び湾曲接続ライン24、25に沿って、連続して提供できる。任意に、この高さの差をいくつかの領域のみで提供することもできる。上記高さの差の程度に関して、背中側に面する隔壁27は、胸側に面する隔壁26よりも、少なくとも1センチメートル、任意に少なくとも2センチメートル、更に任意に少なくとも3センチメートル低くすることができる。この差は当然、3センチメートルより大きくても、1センチメートルより小さくてもよい。更に、隔壁26、27間の高さの差を、熱処理チャネル20に沿って、例えば直線状ライン21~23の領域で1センチメートル、湾曲接続ライン24、25の領域で3センチメートル設けることもできる。各熱処理チャネルセクションの隔壁26、27のうちの少なくとも一方の高さを、可変的に調整可能となるように構成することが特に好ましい。これは例えば、背中側に面する隔壁27の機械的な及び/又はモータ駆動による調整機能とすることができる。任意に、両方の隔壁26、27が高さに関して調整可能である。
【0051】
隔壁26、27は、底壁28から始まって、垂直上向きかつ平面状となるように構成できる。上述のように、隔壁26、27はその自由縁部にガイド要素46、47を有し、これらは例えば、隔壁26、27の延長部として(特に10を参照)、又は別個のものとして形成される。特に好ましくは、熱処理チャネルセクションの隔壁26、27のうちの少なくとも一方は、少なくとも輸送ライン21~23に面する内側において、少なくともいくつかの領域が家禽11の輪郭に適合されている形状を有する。これは必ずしも、家禽11の体型の正確な再現を説明するものではない。そうではなく、輪郭への適合とは、熱処理媒体18を家禽11の特に必要な領域に対してガイドする形状を指す。図示されていない実施形態では、背中側に面する隔壁27の内側のみが、そのように構成される。しかしながら好ましくは、両方の隔壁26、27は、熱処理チャネル20が部分的に狭くなるように構成される。この目的のために、隔壁26、27は平面状ではなく、自由縁部、及び初めは底壁28に対して垂直なプロファイルから始まって、熱処理媒体18をまず熱処理対象の家禽11の方向に向かって内向きにガイドする内向きのプロファイルを有し、それに続いて、熱処理対象の家禽11の領域において、熱処理チャネル20が狭くなるように底壁28に対して垂直に配向され、その後再び外側を向いて、熱処理チャネル20の元の幅まで延在し、最後に再び底壁28に対して垂直方向を向いて終端する。隔壁26、27の他の形状及び輪郭プロファイルも同様に使用できる。熱処理対象の家禽11の外形に事実上適合させた形状は、一方の隔壁26若しくは27に、又は両方の隔壁26、27にも、実装できる。
【0052】
熱処理タンク17には原則として、いかなる方法で熱処理媒体18を充填できる。任意に、手段30を用いた充填が保証される。好ましくは、輸送方向Tの反対方向に(新鮮な)熱処理媒体18を導入して対向流を形成するために、熱処理タンク17からの家禽11の出口領域Aに、清浄な、好ましくは加熱された水を導入するための少なくとも1つのノズルデバイス(明示せず)を配設し、熱処理タンク17への家禽11の入口領域Eには、汚染水を排出するための少なくとも1つの流出口(明示せず)を形成する。ノズルデバイスの、及び/又は1つの上記流出口若しくは各上記流出口の位置は、様々であってよく、熱処理タンク17の端壁14、15に限定されない。対向流を生成して供給された水の少なくとも一部を排出するための、ノズルデバイス及び流出口とは無関係に、熱処理タンク17には、熱処理媒体18を排出するため及び/又は熱処理タンク17の充填レベルを変更するための少なくとも1つの流出口バルブ48が関連付けられる。流出口バルブ48の個数及び位置は様々であってよい。熱処理媒体18を清掃するために、明治されていないフィルタデバイスが任意に設けられ、これを用いて、汚染された熱処理媒体18を熱処理タンク17から取り出し、任意に清掃した後、熱処理タンク17に戻すことができる。フィルタデバイスは例えば、単純なふるいとすることができる。他の実施形態では、フィルタデバイスは例えば、対応するフィルタを備えたポンプで構成することもできる。
【0053】
1つのポンプデバイス34又は各ポンプデバイス34が単一の輸送ライン21~23のみに関連付けられている実施形態については、既に上述されている。この目的のために、各ポンプデバイス34のタービン40は、熱処理チャネルセクションの底壁28の中断部49の領域に配設され、これにより、熱処理チャネルセクションと受容区画31との間の流体接続が確立され、タービン40は、タービン40から離間して配設及び形成されたキャップ又はカバー50(特に
図4及び5を参照)によって、熱処理チャネルセクションに対して少なくとも部分的にシールドされる。カバー50は様々な構成を有することができ、少なくとも1つの開口51を備える。熱処理チャネル20内にある熱処理媒体18、及び両側において隔壁26、27を越えて流れる熱処理媒体18は、底壁28の領域において、1つの開口51又は各開口51及び中断部49を介して、熱処理チャネル20から受容区画31へと吸い出され、自由空間29を介して、熱処理チャネル20へと再び戻るように上から供給され、これによって熱処理媒体の循環が保証される。上述のような、出口領域Aから入口領域Eに向かう方向の新鮮な水の対向流を、この循環に加えて使用できる。
【0054】
1つのポンプデバイス34又は各ポンプデバイス34が少なくとも2つの輸送ライン21~23に関連付けられている実施形態については、少なくとも2つの隣接する熱処理チャンネルセクションと受容区画31との間の流体接続を確立するために、各ポンプ装置34のタービン40が、それぞれの底壁28および/または少なくとも2つの熱処理チャンネルセクションの隔壁26または27の中断部52の領域に配置され、タービン40は、隣接する熱処理チャンネルセクションの隣接する隔壁26、27の間に形成される自由空間29から完全にシールドされる。特に、図9から図11による実施形態では、自由空間29に対してシールドするために、単純なカバーキャップ53が配置または形成されている。熱処理チャネル20内に位置し、両側の隔壁26、27を超えて流れる熱処理媒体18は、底壁28の領域で吸引され、隔壁26若しくは27を介して、又は中断部52を介して、熱処理チャネル20から受容区画31に引き出され、自由空間29を介して上方から熱処理チャネル20内に送られて、熱処理媒体の循環が確保される。なお、この循環に加えて、出口領域Aから入口領域Eに向かう方向の新鮮な水の対向流を、この循環に加えて使用できる。
【0055】
上述の1つのポンプデバイス34若しくは各ポンプデバイス34に代えて、又は好ましくはこれらに加えて、少なくとも1つの乱流生成体(明示せず)が、熱処理媒体18の乱流及び/又は流れを生成するための手段として、熱処理チャネル20に沿って配設され、この乱流生成体は駆動シャフトによって回転駆動でき、上記駆動シャフトは水平に配向され、また家禽11の輸送方向Tに対して横向きに配向される。このようないわゆる渦水タービンは、特に湾曲接続ライン24、25の領域に配設されるが、結局のとこと、熱処理チャネル20に沿ったいずれの位置に位置決めすることもできる。
【0056】
熱処理タンク17の側壁12、13の領域には、好ましくは入口領域Eに、圧力チャンバ35へのアクセスのための少なくとも1つの閉鎖可能な開口54が形成される。この閉鎖可能な開口54は例えば、フラップ又はドアである。複数のこのようなフラップ/ドアを、側壁12、13に沿って、また当然ながら端壁14、15に、形成できる。
【0057】
装置10に関連付けられるのは、少なくとも熱処理媒体18を加熱するための手段30の制御及び/又は調節のための、制御デバイス55である。手段30に加えて、更なる構成部品、例えば:1つの流出口バルブ48又は各流出口バルブ48;ノズルユニット;ポンプデバイス34の駆動装置41;例えば1つの隔壁26、27又は各隔壁26、27の高さを変更するための、可能性のあるアクチュエータ;及び更なる構成部品も、制御デバイスに接続できる。
【0058】
既に上述したように、熱処理タンク17は、異なる複数の熱処理媒体状態、例えば「低液位」LL及び「高液位」HLを有することができる。「低液位」LLの場合、熱処理タンク17内にはわずかな熱処理媒体18しか存在しないため、熱処理タンク17内、特に熱処理チャネル20の下の受容区画31内にある熱処理媒体18の液面の上で、家禽11を自由に輸送でき、かつ重力によって下向きに配向できる。その後、家禽11は溢れた熱処理媒体18のみに曝露され、これは熱処理チャネル20内の家禽11に、熱処理チャネル20の全長にわたって、両側の上から当たる。「高液位」HLの場合、家禽11は熱処理媒体18中に完全に、特に足まで浸漬されるため、家禽11の全身が熱処理媒体18を通って引っ張られる。これとは無関係に、熱処理媒体18は両側において上から熱処理チャネル20内へと溢れることもできる。熱処理媒体18はまた、「低液位」LLと「高液位」HLとの間のいずれの高さを有することもでき、従って家禽11は部分的に浸漬された状態で、熱処理チャネル20を通して輸送される。1つのポンプデバイス34又は各ポンプデバイス34による吸引は、熱処理媒体18を底部において熱処理チャネル20から吸い出すだけではない。この吸引効果はまた、家禽11を浮遊位置から、略下向きに吊り下げられた、従って安定した位置へと「引っ張る(pull)」。上から溢れた熱処理媒体18は、等距離に整列された家禽11に当たるか、又は効率的な熱処理プロセスのための家禽11の整列を支援する。
【0059】
装置10は、180°の方向転換に限定されない。当然ながら、2つ又は3つ以上の輸送ライン21~23が例えば90°の方向転換で接続された実施形態も存在する。180°の方向転換に関する両側での溢れ及び他の実施形態の、本発明による実装は、90°の方向転換、及び他のいずれの方向転換に対しても、これらに即して適用される。また、ポンプデバイス34を1つの湾曲熱処理チャネルセクション又は各湾曲熱処理チャネルセクションに配設することもできる。
【0060】
1つのポンプデバイス34又は各ポンプデバイス34は、熱処理媒体18を熱処理チャネル20から吸い出すため、及び自由空間29を介して熱処理媒体18を熱処理チャネル20に戻すようにポンピングするために、受容区画31に配設され、従ってこれは熱処理媒体18内に常に位置し、またこれはポンプ本体38に作用する。垂直方向を向いた駆動シャフト39は軸受スリーブ56に設置され、これは、円錐形のカバー57を介して熱処理タンク17の底壁16を通るようにガイドされて、この底壁16に接続される。駆動シャフト39は、軸受スリーブ56から出た駆動シャフト39の流出口領域において、第1のシール58によって軸受スリーブ56に対して封止される。更に、追加のラビリンスシール59が更に設けられ、これはタービン40から始まって、軸受スリーブ56内のシール58の後方に配置され、軸受リング60、61を水の侵入から保護する。略ラビリンスシール59の高さにおいて、軸受スリーブ56に開口62が設けられ、この開口は、軸受スリーブ56に入った水を、ラビリンスシール59及び軸受リング60、61に到達する前に軸受スリーブ56の外へとガイドする。しかしながら、ポンプ本体38及び駆動シャフト39の設置及び/又は固定に関する他の実施形態も、同様に可能である。
【0061】
これより、図面を参照して上記方法を更に詳細に説明する。
【0062】
本発明は、屠殺後の家禽11を熱処理するための方法に関する。この目的のために、足で(「脚で」も同義として理解されるものとする)吊り下げられた家禽11を、液体の熱処理媒体18が少なくとも部分的に充填された熱処理タンク17を通して、輸送手段19によって、直線状輸送チャネルセクション及び湾曲輸送チャネルセクションを備える輸送チャネル20に沿って入口領域Eから出口領域Aまで、輸送方向Tに輸送する。加熱された熱処理媒体18を熱処理タンク17に供給するか、あるいは既に存在する熱処理媒体18を、熱処理媒体18の加熱及び/又は供給のための手段30によって、加熱する。少なくとも1つの乱流生成体33によって、熱処理タンク17内の熱処理媒体18中に乱流を生成し、これにより熱処理媒体18は、熱処理チャネル20の下の受容区画31のいくつかの領域から熱処理チャネル20内へと、上から戻るようにガイドされる。この熱処理プロセスは、家禽11を熱処理チャネル20に沿って輸送することによって実施される。
【0063】
この方法は、本発明によると、熱処理媒体18が少なくとも1つのポンプデバイス34によって、熱処理チャネル20の下から吸い出され、熱処理チャネル20の全長にわたって、即ち直線熱処理チャネルセクション及び湾曲熱処理チャネルセクションの領域において、熱処理チャネル20に、その両側において上から戻るようにポンピングされることを特徴とする。従って熱処理媒体18は、輸送ライン21~23及び接続ライン24、25に沿って熱処理チャネル20内へと、両側の上から流れ込み、吊り下げられた家禽11に均一に当たり、家禽11は好ましくは継続的に輸送される。充填レベル「低液位」LLの場合、家禽11の熱処理は、両側で溢れる熱処理媒体18のみによって行われる。「低液位」LLと「高液位」HLとの間の充填レベルの場合、及び充填レベル「高液位」HLの場合、熱処理は、熱処理チャネル20内にある熱処理媒体18と、輸送ライン21~23及び接続ライン24、25に沿って熱処理チャネル20内へと、両側の上から流れ込む熱処理媒体18との組み合わせによって行われる。
【0064】
家禽11は好ましくは、相互に対向する隔壁26、27によって範囲を画定された熱処理チャネル20を通って横方向に輸送され、これにより家禽11は輸送される際に、背中側が一方の隔壁27に面し、胸側が他方の隔壁26に面するように配向され、ここで、上記胸側に面する隔壁26よりも、上記背中側に面する隔壁27を越えて、より大量の熱処理媒体が熱処理チャネル20に上から戻るように供給される。この選択肢は、直線状ライン21~23及び湾曲接続ライン24、25の両方に対して存在する。熱処理媒体18の内部循環に加えて更に、家禽11の輸送方向Tの反対方向の対向流を生成するために、出口領域Aから入口領域Eに向かう方向に新鮮な水を供給することもでき、これによって家禽11は、上記新鮮な水の流れに対向して輸送され、汚染された熱処理媒体18は入口領域Eで回収され、家禽11は出口領域Aに向かう方向に、ますます清浄になる熱処理媒体18を通って輸送される。熱処理媒体18の一部又は全ては、熱処理プロセス中に、又は動作の中断時に、フィルタデバイスによって清掃できる。
【0065】
熱処理媒体18の内部循環のために、熱処理媒体は熱処理チャネル20から吸い出されて、両側での溢れとして熱処理チャネル20へと戻るように供給される。この目的のために、熱処理媒体18は、複数のポンプデバイス34によって、熱処理チャネル20の底壁28の領域から吸い出され、熱処理チャネル20の両側において上向きに、自由空間29を通してポンピングされることにより、両側において上から熱処理チャネル20内に戻るように流れ、ここで各場合において、少なくとも1つのポンプデバイス34は、1つの熱処理チャネルセクション又は少なくとも2つの熱処理チャネルセクションへの供給を行う。更に「真の対向流」を熱処理タンク17に導入するために、新鮮な水、好ましくは事前に加熱された新鮮な水を、出口領域Aにおいて熱処理チャネル20内へと、輸送方向Tの反対に、圧力下でポンピングする。(新鮮な)水のアクセスによって出口領域Aに供給された新鮮な水は、より低い高さに位置する(汚染された)水の流出口に向かう方向に、下向きに流れる。
【0066】
最後に、隔壁26、27の自由縁部を越えて上から熱処理チャネル20に流れ込む、溢れた熱処理媒体18を、熱処理チャネル20内へと、輸送方向Tに対して横向きだけでなく、家禽11の輸送方向Tにもガイドする選択肢も存在する。この目的のために、熱処理媒体18を個別に、また究極的には全ての側部から、又は全ての方向に、熱処理チャネル20内へと配向するように、ガイド要素46、47がこれに対応して成形及び/又は配設される。
【0067】
タービン40の駆動速度に関するポンプデバイス34の好ましい設定は、熱処理媒体18による熱処理タンク17の充填レベルが「低液位」L
Lである場合、及び「低液位」L
Lと「高液位」H
Lとの間である場合、約900rpmである。充填レベル「高液位」H
Lの場合、約540rpmのタービンの駆動速度が好ましい(特に
図10を参照)。他の駆動速度も当然実装可能である。
【0068】
特に好ましくは、上記方法は上述のように、請求項1~17の1項以上に記載の装置を用いて実施される。