IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ PayPay株式会社の特許一覧

特許7289412情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム
<>
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム 図1
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム 図2
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム 図3
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム 図4
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム 図5
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム 図6
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム 図7
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム 図8
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム 図9
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム 図10
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム 図11
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-01
(45)【発行日】2023-06-09
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/06 20120101AFI20230602BHJP
   G06Q 40/02 20230101ALI20230602BHJP
【FI】
G06Q20/06 300
G06Q40/02
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023008379
(22)【出願日】2023-01-23
【審査請求日】2023-03-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519110124
【氏名又は名称】PayPay株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大塚 千壽子
(72)【発明者】
【氏名】柳瀬 将良
(72)【発明者】
【氏名】柴田 直良
【審査官】岡北 有平
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-170568(JP,A)
【文献】特開2021-135904(JP,A)
【文献】特開2010-3111(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
振込先及び振込金額に関する情報を含む振込依頼を受け付ける受付部と、
前記振込先に紐付く電子マネー口座がある場合は、当該電子マネー口座の残高に対して、前記振込金額を反映させる反映部と、
前記振込先に紐づく前記電子マネー口座がない場合は、前記振込先に前記振込金額を振り込む振込処理部と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記振込先に紐付く前記電子マネー口座に入金できない状態である場合、前記振込金額を入金できないことを前記振込依頼の依頼元に通知する通知部をさらに有する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記通知部は、
前記受付部が前記振込依頼を受け付けたタイミングで、前記状態である場合、前記振込金額を入金できないことを前記依頼元に通知する
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記通知部は、
前記反映部が前記振込金額を反映させるタイミングで、前記状態である場合、前記振込金額を入金できないことを前記依頼元に通知する
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記反映部は、
前記振込先の第1の名義と、前記振込先に紐付く前記電子マネー口座の第2の名義と、が同じである場合、前記電子マネー口座の前記残高に対して、前記振込金額を反映させる
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記反映部は、
前記電子マネー口座の前記残高に対して、前記振込金額を反映させると、前記電子マネー口座の前記残高の上限を超える場合、前記上限を超える金額を、前記電子マネー口座を所有する利用者が指定する指定口座に入金する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記電子マネー口座が紐付く前記振込先は、仮想口座である、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
コンピュータが
振込先及び振込金額に関する情報を含む振込依頼を受け付ける受付工程と、
前記振込先に紐付く電子マネー口座がある場合は、当該電子マネー口座の残高に対して、前記振込金額を反映させる反映工程と、
前記振込先に紐づく前記電子マネー口座がない場合は、前記振込先に前記振込金額を振り込む振込処理工程と、
を実行することを特徴とする情報処理方法。
【請求項9】
コンピュータに
振込先及び振込金額に関する情報を含む振込依頼を受け付ける受付手順と、
前記振込先に紐付く電子マネー口座がある場合は、当該電子マネー口座の残高に対して、前記振込金額を反映させる反映手順と、
前記振込先に紐づく前記電子マネー口座がない場合は、前記振込先に前記振込金額を振り込む振込処理手順と、
を実行させることを特徴とする情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、主に企業と個人との間の商取引におけるキャッシュレス決済手段が広く消費者に認知されている。特に、その利便性から、ユーザ個人が所有するスマートフォンなどのユーザ端末を用いてオンラインで行われる電子決済サービスが広く消費者の間に浸透しつつある。例えば、電子決済サービスを提供するサービス事業者は、サービス利用者に個別に割り当てられるアカウントに対して、サービス利用者が利用可能な電子マネー口座の残高を関連付けて管理する。そして、サービス事業者は、サービス利用者からの取引要求に応じて、電子マネーを用いた決済を行うための取引手段をサービス利用者に提供する。
【0003】
また、昨今、政府では、資金移動業を営む資金移動業者に対し、上述の電子マネーや仮想通貨といったデジタルマネーにより給与の支払いを認める、所謂「給与のデジタル払い」の導入が検討され始めている。なお、上述のサービス事業者が資金移動業者を兼ねる場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-4122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の従来技術では、給与のデジタル払いが解禁された場合、給与のデジタル払いの利用を促進する上で少なからず課題が残されている。たとえば、資金移動業者が、給与のデジタル払いに対応する場合、給与の支払い元の企業に対して法人用の資金移動アカウント(又は、ウォレット)を提供する必要があるが、法人用のアカウントの整備は工数を要するので、迅速なサービス提供が難しい。
【0006】
また、給与の支払い元の企業が資金移動業者として対応することも考えられる。しかしながら、資金移動業を営むためには、事前に内閣総理大臣の登録を受ける必要があり、給与の支払い元の企業の負担が大きい。
【0007】
このように、仮に、給与のデジタル払いが解禁されたとしても、現状では、銀行口座に対して給与の振込を行う既存のスキームから給与のデジタル払いへの乗り換えがあまり進まない可能性がある。
【0008】
本願は、上記に鑑みてなされたものであって、給与のデジタル払いの利用を促進できる情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願に係る情報処理装置は、受付部と、反映部と、振込処理部と、を有する。受付部は、振込先及び振込金額に関する情報を含む振込依頼を受け付ける。反映部は、前記振込先に紐付く電子マネー口座がある場合は、当該電子マネー口座の残高に対して、前記振込金額を反映させる。振込処理部は、前記振込先に紐づく前記電子マネー口座がない場合は、前記振込先に前記振込金額を振り込む。
【発明の効果】
【0010】
実施形態の一態様によれば、給与のデジタル払いの利用を促進できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態に係る情報処理の概要を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る受付処理の概要を示す図である。
図3図3は、実施形態に係るチャージ処理の概要を示す図である。
図4図4は、実施形態に係る振込処理の概要を示す図である。
図5図5は、実施形態に係る情報処理システムの構成例を示す図である。
図6図6は、実施形態に係る決済サーバの構成例を示す図である。
図7図7は、実施形態に係る依頼情報記憶部に記憶される情報の一例を示す図である。
図8図8は、実施形態に係る対応情報記憶部に記憶される情報の一例を示す図である。
図9図9は、実施形態に係るウォレット情報記憶部に記憶される情報の一例を示す図である。
図10図10は、実施形態にかかる受付処理の処理手順例を示すフローチャートである。
図11図11は、実施形態にかかる支払処理の処理手順例を示すフローチャートである。
図12図12は、実施形態に係る決済サーバの機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本願に係る情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムを実施するための形態(以下、「実施形態」と呼ぶ)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本願に係る情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムが限定されるものではない。また、以下の各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0013】
〔1.実施形態に係る情報処理の一例〕
図1図4を用いて、本実施形態の情報処理装置等により実現される情報処理について説明する。
【0014】
〔1-1.実施形態に係る情報処理の概要〕
図1は、実施形態に係る情報処理の概要を示す図である。
【0015】
図1に示すように、本実施形態に係る情報処理システムSYSは、事業者XシステムSYS-1と、事業者YシステムSYS-2と、を含む。以下の説明において、事業者XシステムSYS-1を事業者Xと記載し、事業者YシステムSYS-2を事業者Yとする場合がある。
【0016】
事業者XシステムSYS-1は、たとえば、所定の事業を営む事業者Xにより運営及び管理される事業管理システムである。事業者XシステムSYS-1は、たとえば、単独のサーバ装置やワークステーション、複数のサーバ装置及び複数のストレージ装置が協働して動作するクラウドシステムなどにより実現される。
【0017】
なお、事業者Xは、事業者XシステムSYS-1の代わりに、たとえば、スマートフォンや、タブレット型端末や、ノート型PC(Personal Computer)や、デスクトップPCや、携帯電話機や、PDA(Personal Digital Assistant)や、ウェアラブル端末などの情報処理装置を利用してもよい。
【0018】
事業者YシステムSYS-2は、デジタルマネーに関する各種サービスを提供する事業を営む事業者Yにより運営及び管理される事業管理システムである。事業者YシステムSYS-2は、実施形態に係る情報処理装置の一例である決済サーバ100を含む。
【0019】
なお、図1は、事業者YシステムSYS-2の一例を示している。説明は省略するが、事業者YシステムSYS-2が、決済手段や決済サービスにおける決済処理を実行する決済システム(たとえば、サーバ装置)などが含まれていてもよい。
【0020】
決済サーバ100は、単独のサーバ装置やワークステーション、複数のサーバ装置及び複数のストレージ装置が協働して動作するクラウドシステムなどにより実現される。
【0021】
決済サーバ100は、事業者Yが提供する電子決済サービスを利用するために、各サービス利用者が所有するデジタルマネーの口座(以下、「マネー口座」と称する)に対する入出金を管理する。サービス利用者には、取引対象の提供者である事業者などのビジネスユーザや、事業者などから取引対象の提供を受ける一般消費者などの個人ユーザが含まれ得る。
【0022】
決済サーバ100は、サービス利用者からのチャージ指示に従って、マネー口座間においてデジタルマネーの移動を行うことで、マネーチャージを実現する。なお、デジタルマネーとは、たとえば、各種企業が独自に用いるポイントや通貨などであってもよく、日本円やドルなどの国家により提供される貨幣を電子的に取引可能としたものであってもよい。
【0023】
決済サーバ100は、事業者Yがサービス利用者に提供するデジタルマネー(電子マネー)に関する各種サービスに関する処理を実行する。
【0024】
上述した各種サービスは、決済手段や決済サービスのように、商品の購入や役務の提供に対する対価の提供(債務の精算)のためのものに限定されるものではない。たとえば、上述した各種サービスは、複数の利用者が有する口座間の送金に関する機能を有していてもよい。すなわち、上述した各種サービスは、サービス利用者や店舗など、デジタルマネーの所有者と紐づく任意の所有者の口座間におけるデジタルマネーの送受信を制御するサービスを含んでよい。すなわち、実施形態に係る各種サービスは、デジタルマネーのやり取りを実現するための各種制御(電子マネーを介した各種の口座間送金制御のみならず、電子マネー口座と銀行口座間のやり取りに関する制御や、分割、ボーナス払いに伴う処理といった各種債権処理、その他電子マネーを含む財産のやり取りに関する各種制御)を実行する取引手段や取引サービスであれば、任意の態様で提供されるものであってもよい。また、このような取引手段や取引サービスが実現する各種の制御には、決済に関する制御と送金に関する制御の両方が含まれていてもよく、いずれか一方のみが含まれていてもよい。すなわち、「取引」とは、電子マネーに関する「決済」のみならず、電子マネーの「送金」やその他各種の処理をも含む概念である。すなわち、決済サーバ100は、任意の所有者間における電子マネーのやり取りを制御する取引手段を実現するサーバ装置などの情報処理装置であってもよい。
【0025】
また、事業者Yが提供するデジタルマネーに関する各種サービスには、サービス利用者に対して、事業者Yが保有する口座と1対1に紐付く電子マネーアカウントを提供するアカウントサービスが含まれる。また、事業者Yが提供するデジタルマネーに関する各種サービスには、デジタルマネーを所定のアカウントにチャージするマネーチャージサービスが含まれる。
【0026】
電子マネーアカウントには、サービス利用者に付与されるアカウントに紐付くウォレットが含まれる。ウォレットは、デジタルマネーの入金(残高の加算)と、デジタルマネーの出金(残高の払出)を受け付ける。
【0027】
以下、事業者Xが、事業者Yにより提供されるサービスのサービス利用者である場合を題材として、事業者YシステムSYS-2により実行される情報処理について事例を交えつつ説明する。
【0028】
図1では、事業者YシステムSYS-2が、例えば雇用者である事業者Xから被雇用者のウォレットや口座への給与の支払いを代行する支払い代行サービスを実行する。
【0029】
なお、決済サーバ100は、1つのウォレット又は1つの口座への支払いを代行してもよく、複数のウォレット及び複数の口座への支払いを代行してもよい。すなわち、決済サーバ100は、1以上のウォレット及び1以上の口座の少なくとも一方への支払いを代行しうる。
【0030】
また、図1は、本実施形態に係る情報処理システムSYSの一例を示しており、事業者Xや事業者Xの被雇用者が利用する銀行により運営及び管理される銀行システムなど、図1には示されていない他の装置が含まれていてもよい。
【0031】
図1に示すように、事業者YシステムSYS-2は、事業者Xが操作する事業者XシステムSYS-1から振込依頼を受け付ける(ステップS1)。
【0032】
事業者Xにより送信される振込依頼は、「取引番号」の項目と、「金融機関」の項目と、「店番」の項目と、「種別」の項目と、「口座名義」の項目と、「支払金額」の項目と、「支払日」の項目と、を含む。
【0033】
「金融機関」、「店番」、「種別」及び「口座名義」の項目には、事業者Xが給与を支払う被雇用者が有する口座に関する情報が記録される。「支払金額」の項目には、事業者Xが被雇用者に支払う給与の金額に関する情報が記録される。「支払日」の項目には、事業者Xが被雇用者に給与を支払う日付に関する情報が記録される。
【0034】
図1では、5つの振込依頼が示されている。なお、事業者Xが行う振込依頼は4つ以下であっても6つ以上であってもよい。
【0035】
図1の例では、取引番号:「001」が、金融機関:「XXバンク」の店番:「818」の口座名義:「AAAA」に支払額:「300,000」を支払日:「10/21」に支払う振込依頼である。
【0036】
取引番号:「002」は、金融機関:「XXバンク」の店番:「123」の口座名義:「BBBB」に支払額:「600,000」を支払日:「10/21」に支払う振込依頼である。
【0037】
取引番号:「003」は、金融機関:「A銀行」の店番:「234」の口座名義:「CCCC」に支払額:「800,000」を支払日:「10/21」に支払う振込依頼である。
【0038】
なお、図1では、事業者Xが1つの振込依頼で複数の支払い(取引)を依頼する例を示しているが、1つの振込依頼で1つの支払い(取引)を依頼してもよい。
【0039】
決済サーバ100は、振込依頼を依頼元である事業者Xから受け付けると、振込依頼の振込先に紐付く電子マネー口座(ウォレット)があるか否か、紐付き判定処理を行う(ステップS2)。例えば、決済サーバ100は、利用者の口座と電子マネー口座(ウォレット)との対応関係を記憶している。決済サーバ100は、この対応関係に基づき、振込依頼の振込先である口座が電子マネー口座(ウォレット)に紐付いているか否かを判定する。
【0040】
ここで、例えば、電子マネー口座が紐付けられた口座は、電子マネー口座を利用する利用者(被雇用者)に紐付くバーチャル口座(仮想口座)である。例えば、決済サーバ100は、電子マネー口座の利用者からの要求に応じて電子マネー口座に紐付くバーチャル口座を貸し出す。利用者は、事業者Yに対して、給与の支払い口座としてこのバーチャル口座を指定する。決済サーバ100は、貸し出したバーチャル口座と電子マネー口座とを紐付けて管理する。
【0041】
振込先を示す口座に紐付くウォレット(電子マネー口座)がある場合、決済サーバ100は、当該ウォレットに対してチャージ処理を実行し(ステップS3)、ウォレットの残高に対して振込金額を反映させる。
【0042】
一方、振込先を示す口座に紐付くウォレット(電子マネー口座)がない場合、決済サーバ100は、当該口座に対して振込処理を実行し(ステップS4)、振込先である金融機関口座に振込金額を振り込む。
【0043】
このように、本実施形態に係る情報処理は、依頼元から振込依頼を受け付ける受付処理と、ウォレットに振込金額をチャージするチャージ処理と、口座に振込金額を振り込む振込処理と、に分けられる。
【0044】
〔1-1-1.実施形態に係る受付処理の概要〕
図2は、実施形態に係る受付処理の概要を示す図である。受付処理は、例えば、事業者Xから振込依頼があった場合に、決済サーバ100によって実行される。
【0045】
図2に示すように、決済サーバ100は、事業者XシステムSYS-1から振込依頼を受け付ける(ステップS11)。
【0046】
決済サーバ100は、振込依頼に含まれる振込先(口座)に対応するウォレット(以下、対応ウォレットとも記載する)の有無を判定する(ステップS12)。決済サーバ100は、例えば、図1の紐付き判定処理を実行することで、対応ウォレットの有無を判定する。
【0047】
決済サーバ100は、振込依頼に関する振込情報を更新する(ステップS13)。例えば、決済サーバ100は、対応ウォレットがある振込先に対して、当該対応ウォレットをあることを示す情報を当該振込先と対応付けることで振込情報を更新する。図2の例では、決済サーバ100は、対応ウォレットが存在する振込先に識別子(図2では星印)を付すことで、振込先と対応ウォレットとを対応付ける。
【0048】
決済サーバ100は、振込依頼を実行した場合に発生する費用を事業者Xに請求するため、事業者Xに請求書を発行する(ステップS14)。例えば、決済サーバ100は、振込金額及び振込手数料を合わせた金額を請求金額として請求書を発行する。この振込手数料は、事業者Yが行う振込に対する手数料であり、金融機関口座に振込を行う場合の手数料とは異なっていてもよい。
【0049】
決済サーバ100は、事業者Xから請求金額の入金を受け付ける(ステップS15)。決済サーバ100は、例えば、事業者Xから請求金額の入金を受け付けることで受付処理を終了する。
【0050】
なお、決済サーバ100は、ステップS12で、対応ウォレットの有無に加え、当該対応ウォレットの状態を確認するようにしてもよい。例えば、決済サーバ100は、対応ウォレットが存在する場合、この対応ウォレットが入金不可か(例えば、使用停止(凍結)の状態か)否かを確認する。なお、対応ウォレットが入金不可な(使用停止)状態として、例えば、上述した電子マネー口座(対応ウォレット)が凍結された状態の他に、電子マネー口座の残高が上限額に達していてそれ以上入金できない状態がありうる。
【0051】
対応ウォレットが入金不可(例えば、使用停止の状態)である場合、決済サーバ100は、このウォレットに対応する口座が入金不可である旨を事業者Xに通知しうる。決済サーバ100は、ステップS14で発行する請求書と併せて入金不可の口座に関する情報を事業者Xに通知してもよい。あるいは、決済サーバ100は、請求書とは別に入金不可の口座に関する情報を事業者Xに通知してもよい。
【0052】
なお、図2に示す受付処理は一例であり、受付処理として上述した処理以外の処理が行われてもよい。例えば、決済サーバ100が、ステップS11において、振込依頼を受け付けたタイミングで、事業者Xから入金を受け付けてもよい。すなわち、振込依頼を受け付けるタイミングと入金を受け付けるタイミングが同じであってもよい。この場合、決済サーバ100は、ステップS14の請求書の発行を省略しうる。
【0053】
また、振込依頼を受け付けてから、入金を受け付けるまでの期間が短い場合、決済サーバ100が、ステップS15の後に、ステップS12、S13の処理を実行するようにしてもよい。例えば、決済サーバ100は、振込依頼を受け付けた後に入金を受け付けた場合、入金を受け付けた後に対応ウォレットの有無の判定及び振込情報の更新を行いうる。
【0054】
〔1-1-2.実施形態に係るチャージ処理の概要〕
図3は、実施形態に係るチャージ処理の概要を示す図である。チャージ処理は、例えば、支払日に、決済サーバ100によって実行される。ここでは、決済サーバ100は、振込情報(図2参照)において口座に紐付けられたウォレット(図3ではウォレット#1、#3)に振込金額をチャージする。
【0055】
まず、決済サーバ100は、ウォレット#1の残高超過を判定する(ステップS21)。例えば、ウォレットには、残高の上限が設定されている場合、チャージ後の金額が上限を超える場合、それ以上(上限額以上)のチャージは行えない。
【0056】
そこで、決済サーバ100は、振込金額をウォレット#1の残高に反映させた場合、上限額を超えるか否かを判定する。ウォレット#1の場合、振込金額を反映させても、残高は上限額を超えないとする。
【0057】
この場合、決済サーバ100は、振込金額をウォレット#1に反映させる(ステップS22)。
【0058】
次に、決済サーバ100は、ウォレット#3の残高超過を判定する(ステップS23)。ウォレット#3の場合、振込金額を反映させると、残高が上限額を超えるとする。
【0059】
この場合、決済サーバ100は、振込金額の一部をウォレット#3に反映させる(ステップS24)。決済サーバ100は、ウォレット#3の残高が上限額になるように、ウォレット#3にチャージを行う。あるいは、決済サーバ100は、ウォレット#3の利用者が設定する残高になるようにチャージを行ってもよい。
【0060】
決済サーバ100は、ウォレット#3の超過分の振込を金融機関(図3ではA銀行)に指示する(ステップS25)。例えば、決済サーバ100は、振込金額のうち、ウォレット#3にチャージした金額をのぞく残りの振込金額を利用者が指定する指定口座に入金するようA銀行に指示する。A銀行は、決済サーバ100からの指示に従い、ウォレット#3の利用者の指定口座(ウォレット#3指定口座)に超過分を振込する(ステップS26)。
【0061】
図3の例では、ウォレット#3の利用者がA銀行の口座を指定している。この場合、例えば、決済サーバ100は、事業者Yが保有するA銀行の口座(以下、事業者Y口座とも記載する)からウォレット#3の利用者が指定する指定口座に超過分を振り込む。なお、事業者YがA銀行の口座を保有していない場合、決済サーバ100は、他の銀行の事業者Y口座から指定口座に振込を行いうる。
【0062】
なお、決済サーバ100は、入金結果を事業者Xに通知するようにしてもよい。このとき、決済サーバ100は、入金した旨、あるいは、入金不可のため入金できなかった旨を事業者Xに通知しうる。これは、例えば、決済サーバ100が振込依頼を受け付けた際には入金が可能であった対応ウォレットが、支払日までに何らかの理由で入金不可(例えば使用停止(凍結)等)になっている場合があるためである。
【0063】
また、ここでは、ウォレットの残高に上限が設定されているとしたが、この残高の上限額以外にも別の上限額がウォレットに設定されていてもよい。例えば、チャージ金額の上限がウォレットの利用者によって指定されていてもよい。この場合、決済サーバ100は、金額(上限額)以上のチャージは行えない。
【0064】
このチャージ上限額の設定は、ウォレットに対して行われてもよく、あるいは、ウォレットに紐付く口座への入金に対して行われてもよい。すなわち、利用者は、振込元にかかわらずウォレットにチャージされる場合のチャージ上限額を設定してもよく、あるいは、事業者Xからの給与振り込みに限定してチャージ上限額を設定してもよい。
【0065】
チャージ上限額が設定されており、かつ、振込金額がチャージ金額を超える場合、決済サーバ100は、振込額のうち設定された上限額の金額をウォレットの残高に反映させ、残りの金額をウォレットの利用者が指定する口座に振り込む。
【0066】
〔1-1-3.実施形態に係る振込処理の概要〕
図4は、実施形態に係る振込処理の概要を示す図である。振込処理は、例えば、支払日に、決済サーバ100及び各銀行によって実行される。決済サーバ100は、振込処理を実行することで、振込情報(図2参照)において対応するウォレットがない口座に振込金額を振り込む。
【0067】
まず、決済サーバ100は、各銀行に振込金額の振り込みを指示する(ステップS31)。
【0068】
図4の例では、決済サーバ100は、A銀行に対して、口座名義:「CCCC」の口座に振込金額の振り込みを指示する。決済サーバ100は、B銀行に対して、口座名義:「DDDD」の口座に振込金額の振り込みを指示する。
【0069】
決済サーバ100は、XXバンクに対して、口座名義:「BBBB」の口座に振込金額の振り込みを指示する。決済サーバ100は、XXバンクに対して、Y銀行の口座名義:「GGGG」の口座に振込金額の振り込みを指示する。
【0070】
次に、各銀行は、指定された口座に振込金額を振込する(ステップS32)。各銀行は、事業者Y口座から指定された口座へ振り込みする。銀行は、指定された口座が自身の銀行口座である場合、事業者Y口座から指定された口座に振込する。指定された口座が自身の銀行口座出ない場合、銀行は、事業者Y口座から他の銀行の指定された口座に振込する。
【0071】
図4の例では、A銀行は、事業者Y口座から口座名義:「CCCC」の口座に振込金額を振り込む。B銀行は、事業者Y口座から口座名義:「DDDD」の口座に振込金額を振り込む。XXバンクは、事業者Y口座から口座名義:「BBBB」の口座に振込金額を振り込む。XXバンクは、事業者Y口座からY銀行の口座名義:「GGGG」の口座に振込金額を振り込む。
【0072】
なお、決済サーバ100は、振込結果を事業者Xに通知するようにしてもよい。このとき、決済サーバ100は、振込した旨、あるいは、振込できなかった旨を事業者Xに通知しうる。
【0073】
また、1つの銀行に複数の振込を指示する場合、決済サーバ100は、1件ずつ銀行に振り込みを指示してもよく、リストなどを用いて1度に複数の振込を指示してもよい。
【0074】
また、決済サーバ100は、「振込名義人」を設定して各銀行に振込を指示しうる。例えば、決済サーバ100は、事業者Xが指定する「振込名義人」を設定して各銀行に振り込みを指示する。これにより、振込先(例えば、被雇用者)は、振込元が事業者Xであることをより容易に確認することができる。
【0075】
本実施形態によれば、決済サーバ100は、振込依頼の振込先(口座)に紐付く電子マネー口座(例えば、ウォレット)がある場合、当該電子マネー口座の残高に振込金額を反映させる。一方、決済サーバ100は、振込依頼の振込先(口座)に紐付く電子マネー口座(例えば、ウォレット)がない場合、振込先の口座に振込金額を振り込む。なお、決済サーバ100は、どの口座がどの電子マネー口座に紐付いているかに関する情報を予め保持しているものとする。
【0076】
給与を支払う事業者Xは、被雇用者の給与の振込先(口座)が電子マネー口座に紐付いているか否かを認識する必要がなく、他の銀行振込と同様に、給与の振込先を管理することができる。
【0077】
これにより、決済サーバ100は、給与のデジタル払いの利用を促進することができる。
【0078】
また、決済サーバ100は、振込先が電子マネー口座に紐付く場合、銀行を介さずに、直接電子マネー口座の残高に振込金額を反映させる。そのため、決済サーバ100は、銀行に支払う振込手数料をより低減することができる。このように、決済サーバ100は、給与の振込にかかる費用をより低減することができる。
【0079】
なお、ここでは、決済サーバ100が支払日にチャージ処理及び振込処理の少なくとも一方を実行するとしたが、決済サーバ100がチャージ処理及び振込処理の少なくとも一方を実行する日は支払日に限定されない。
【0080】
例えば、決済サーバ100が、事業者Xからの入金を受け付けた後に、支払日まで待たずにチャージ処理及び振込処理の少なくとも一方を実行するようにしてもよい。例えば、事業者Xから支払日の指定がない場合、決済サーバ100は、入金を受け付けた後(換言すると受付処理を実行した後)すぐに、チャージ処理及び振込処理の少なくとも一方を実行しうる。例えば、支払日ではなく、この日までに支払を完了するよう指示する支払期日が事業者Xによって指定されている場合、決済サーバ100は、受付処理を実行後、指定された支払期日までに、チャージ処理及び振込処理の少なくとも一方を実行する。
【0081】
なお、受付処理を実行するタイミングとチャージ処理及び振込処理の少なくとも一方を実行するタイミングとが近い場合、決済サーバ100は、受付処理のウォレットの有無の判定、及び、振込情報の更新(図2のステップS12、S13参照)を省略しうる。
【0082】
例えば、決済サーバ100は、取引1件ずつ順にウォレットの有無を判定し、判定結果に応じてチャージ処理又は振込処理を実行する。あるいは、受付処理で振込依頼を受け付けたと同時に(又は、近いタイミングで)入金を受け付けた場合、決済サーバ100は、入金後、ウォレットの有無の判定後に、判定結果に応じてチャージ処理又は振込処理を実行してもよい。このように、決済サーバ100は、受付処理の中でチャージ処理及び振込処理の少なくとも一方を実行しうる。
【0083】
〔2.情報処理システムの構成〕
〔2.1.情報処理システムの全体構成〕
図5は、実施形態に係る情報処理システムSYSの構成例を示す図である。情報処理システムSYSは、利用者端末10と、銀行サーバ20と、決済サーバ100と、を含む。
【0084】
利用者端末10、銀行サーバ20、及び、決済サーバ100は、ネットワークNを介して有線又は無線により相互に通信可能に接続される。ネットワークNは、例えば、インターネットなどのWAN(Wide Area Network)である。
【0085】
なお、図5に示した情報処理システムSYSには、複数の利用者端末10や、複数の銀行サーバ20や、複数の決済サーバ100が含まれていてもよい。
【0086】
(決済サーバ100)
図5に示す決済サーバ100は、上述した情報処理を実行する情報処理装置であり、サーバ装置やクラウドシステムなどにより実現される。
【0087】
例えば、決済サーバ100は、利用者端末10を用いた電子決済に関する電子決済サービス(コード決済による電子マネーのやり取りを制御する所定の取引手段を提供するサービス)をサービス利用者に提供する。
【0088】
決済サーバ100は、電子決済サービスに関する情報処理を実行する。具体的には、決済サーバ100は、コード決済を実現するための利用者端末10用のアプリケーションプログラム(以下、適宜「ユーザアプリ」と称する)を、サービス利用者である一般消費者に配布する。
【0089】
決済サーバ100は、ユーザアプリ専用のインターフェイスを介して、ユーザアプリからの取引要求を受け付けた場合は、その取引要求に従って、口座間における電子マネーの送金処理などを含む情報処理を実行する。ユーザアプリは、決済先、決済元、及び決済額などの情報を含む取引情報を決済サーバ100に送信する。
【0090】
なお、取引情報には、上述の各情報の他、取引を個別に特定するための取引コードや、取引が行われた日時を特定するための日時情報(タイムスタンプ)などの情報が含まれていてもよい。
【0091】
また、決済サーバ100は、上述のサービスの1つとして、電子マネーによる振込入金サービスを提供する。たとえば、決済サーバ100は、電子マネーによる給与の振込入金や、給与以外の各種振込入金を受け付けるサービスを提供する。
【0092】
なお、給与の振込入金や、各種振込入金を受け付けるサービスは、コード決済を実現するためのユーザアプリ内で起動するミニアプリとして構成されてもよいし、このユーザアプリとは独立して用意された固有のアプリケーションプログラムであってもよい。
【0093】
(利用者端末10)
図5に示す利用者端末10は、店舗から取引対象の提供を受ける一般消費者であり、決済サーバ100により提供されるサービスを利用する利用者によって利用される情報処理装置である。
【0094】
利用者端末10は、たとえば、スマートフォンや、タブレット型端末、ノート型PC(Personal Computer)、デスクトップPC、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)などにより実現される。利用者端末10は、決済サーバ100によって配信される情報を、ウェブブラウザやアプリケーションにより表示する。
【0095】
なお、利用者端末10は、所定の情報処理を実現する制御情報を決済サーバ100から受け取った場合には、制御情報に従って情報処理を実現する。ここで、制御情報は、たとえばJavaScript(登録商標)などのスクリプト言語やCSS(Cascading Style Sheets)などのスタイルシート言語、Java(登録商標)などのプログラミング言語、HTML(HyperText Markup Language)などのマークアップ言語などにより記述される。なお、決済サーバ100から配信される所定のアプリケーションそのものを制御情報とみなしてもよい。
【0096】
(銀行サーバ20)
図5に示す銀行サーバ20は、希望者により開設された銀行口座を管理する銀行(「金融機関」の一例)に属する情報処理装置であり、サーバ装置やクラウドシステムなどにより実現される。たとえば、銀行サーバ20は、銀行口座の利用履歴として、各カード会社や、各種サービスの提供者による銀行口座からの引き落としに関する情報(引き落とした金額、及び、引き落とした日時など)や、現在の口座情報(口座残高など)などを、口座名義人に対応付けて管理する。
【0097】
(利用者端末10を用いた決済について)
ここで、利用者端末10を用いたコード決済(電子決済)の一例について説明する。以下の説明では、店舗Z(図示省略)に配置された2次元コード(QRコード(登録商標))であって、店舗Zを識別する店舗識別情報を示す2次元コードを用いて、店舗Zから取引対象の提供を受ける利用者が利用者端末10を用いた決済を行う例について説明する。
【0098】
なお、以下に説明するコード決済の一例は、任意の利用者が任意の利用者端末10を用いて、任意の店舗にて決済を行う場合においても適用可能である。また、店舗識別情報を示す2次元コードは、QRコードのみならず、バーコードや所定のマーク、番号などであってもよい。また、2次元コードは、紙などの媒体に印字された印刷物により物理的に構成される例に限られず、任意の端末に表示される画像情報により構成されていてもよい。
【0099】
例えば、利用者が店舗Zにて各種の商品やサービスといった取引対象の購入や利用に伴う決済を行う場合、利用者は、利用者端末10に予めインストールされたユーザアプリを起動する。
【0100】
そして、利用者は、ユーザアプリを介して、店舗Zに設置された2次元コードを撮影する。この場合、利用者端末10は、取引対象の価格を入力するための画面を表示し、利用者あるいは店舗Zの店員から決済金額の入力を受け付ける。
【0101】
利用者端末10は、利用者を識別する利用者識別情報と、店舗識別情報(もしくは、店舗識別情報が示す情報、すなわち、店舗Zを示す情報(たとえば、店舗ID))と、決済額とを含む取引情報を決済サーバ100へと送信する。
【0102】
決済サーバ100は、利用者端末10から取引情報を受け付けると、利用者識別情報が示す利用者の口座(あるいは、ウォレット)から、店舗識別情報が示す店舗Zの口座へと、決済額に相当する分の電子マネーを移行させる。このとき、決済サーバ100は、決済額に相当する分の電子マネーから店舗Zに課金する所定の手数料を差し引いてから、店舗Zの口座へ移行させてもよい。
【0103】
そして、決済サーバ100は、取引が完了した旨の通知を利用者端末10へと送信する。この場合、利用者端末10は、取引が完了した旨の画面や所定の音声を出力することで、電子マネーによる取引が完了した旨を利用者に通知する。
【0104】
あるいは、決済サーバ100は、利用者識別情報が示す利用者の口座から決済額に相当する分の電子マネーを引き出して店舗Zの売り上げ情報として管理し、所定のタイミングで売上に相当する額の現金を店舗Zが保有する銀行口座に振り込んでもよい。この場合、決済サーバ100は、利用者の口座から決済額に相当する分の電子マネーを引き出したタイミングで、電子マネーによる取引が完了した旨を利用者に通知してもよい。
【0105】
なお、利用者端末10を用いた決済は、上述した処理に限定されるものではない。たとえば、利用者端末10を用いた決済は、店舗Zに設置された端末装置(以下、「店舗端末」と称する)を用いたものであってもよい。
【0106】
具体的には、まず、利用者端末10は、利用者を識別するための利用者識別情報を示すコード情報を画面上に表示させる。この場合、店舗端末は、利用者端末10に表示されたコード情報から利用者識別情報を読み取り、読み取った利用者識別情報(もしくは、利用者識別情報が示す情報、すなわち、利用者を示す情報(たとえば、利用者ID))と、決済額と、店舗Zを識別する情報とを含む取引情報を決済サーバ100へと送信する。
【0107】
決済サーバ100は、店舗端末から取引情報を受け付けると、利用者識別情報が示す利用者の口座から、店舗Zの口座へと、決済額に相当する分の電子マネーを移行させる。そして、決済サーバ100は、店舗端末あるいは利用者端末10に対し、取引が完了した旨の通知を送信する。店舗端末あるいは利用者端末10は、取引が完了した旨の画面や所定の音声を出力することで、電子マネーによる取引が完了した旨を利用者に通知する。
【0108】
また、決済サーバ100は、利用者識別情報が示す利用者の口座から決済額に相当する分の電子マネーを引き出して店舗Zの売り上げ情報として管理し、所定のタイミングで売上に相当する額の現金を店舗Zが保有する銀行口座に振り込んでもよい。この場合、決済サーバ100は、利用者の口座から決済額に相当する分の電子マネーを引き出したタイミングで、電子マネーによる取引が完了した旨を店員あるいは利用者に通知してもよい。
【0109】
また、利用者端末10を用いた決済は、利用者が予め電子マネーをチャージした口座から店舗Zの口座へと電子マネーを移行させる処理に加え(又は代えて)、例えば、利用者が予め登録したクレジットカードを用いた決済であってもよい。この場合、例えば、利用者端末10は、店舗Zの口座に対して決済金額が示す額の電子マネーを移行させるとともに、利用者のクレジットカードの運用会社に対し、決済金額が示す額を請求してもよい。
【0110】
また、利用者端末10を用いた決済は、利用者の口座から店舗Zの口座へと電子マネーを移行させる処理に加え(又は代えて)、例えば、利用者の口座から他のユーザの口座へと電子マネーを移行させる決済(すなわち、ユーザ間での送金)であってもよい。
【0111】
例えば、送金元の利用者が利用する利用者端末10は、送金先のユーザを識別する利用者識別情報(例えば、送金先の利用者が利用する端末装置に表示される利用者識別情報)を読み取り、利用者から送金金額の入力を受け付ける。利用者端末10は、読み取った識別情報と、送金金額と、利用者を識別する利用者識別情報とを示す情報を決済サーバ100へと送信する。
【0112】
この場合、決済サーバ100は、利用者の口座から、送金先のユーザの口座へと、送金金額が示す額の電子マネーを移行させる。そして、決済サーバ100は、利用者端末10又は送金先のユーザが利用する端末装置に対し、送金が完了した旨の画面や所定の音声を出力させることで、送金が行われた旨を通知してもよい。
【0113】
なお、利用者端末10を用いた送金は、上述した処理に限定されるものではない。例えば、利用者端末10を用いた送金は、送金先のユーザの電話番号や、送金先のユーザを示す情報(たとえば、利用者ID)を利用者端末10に入力することにより行われてもよい。
【0114】
具体的な例を挙げると、利用者端末10は、送金先のユーザの電話番号又は利用者IDと、送金金額との入力を利用者から受け付け、入力された電話番号又は利用者IDと、送金金額と、利用者を識別する利用者識別情報とを決済サーバ100へと送信する。そして、決済サーバ100は、利用者の口座から、送信された電話番号又は利用者IDに紐づけられたユーザの口座へと、送金金額が示す額の電子マネーを移行させる。
【0115】
ここで、送金先のユーザの電話番号や利用者IDは、当該ユーザに関する情報と紐付けてユーザアプリに予め登録されていてもよい。この場合、利用者端末10は、ユーザアプリに登録されたユーザ(送金先)の指定と、当該ユーザへの送金金額の入力とを利用者から受け付ける。利用者端末10は、指定されたユーザに紐付けられた電話番号又は利用者IDと、送金金額と、利用者を識別する利用者識別情報と、を決済サーバ100へと送信する。
【0116】
また、たとえば、利用者端末10を用いた送金は、送金金額を受け取るためのリンク情報を送金先のユーザに提供することにより行われてもよい。
【0117】
具体的な例を挙げると、利用者端末10は、利用者から送金金額の入力を受け付けると、送金金額を受け取るためのリンク情報を生成し、リンク情報を含む電子メールを送信する。あるいは、利用者端末10は、リンク情報を含む投稿情報をSNS(Social Networking Service)に投稿してもよい。これにより、利用者端末10は、送金先のユーザが利用する端末装置にリンク情報を提供する。
【0118】
そして、送金先のユーザがリンク情報を選択して受け取り操作を行った場合、決済サーバ100は、利用者の口座から、送金先のユーザの口座へと、送金金額が示す額の電子マネーを移行させる。
【0119】
なお、上述した決済手段や決済サービスは、商品の購入や役務の提供に対する対価の提供(債務の精算)のためのものに限定されるものではない。例えば、上述したように、決済手段や決済サービスは、複数のユーザが有する口座間の送金に関する機能を有していてもよい。
【0120】
すなわち、上述した決済手段や決済サービスは、ユーザ及び店舗など、電子マネーの所有者と紐づく任意の所有者の口座間における電子マネーの送受信を制御するサービスであればよい。
【0121】
すなわち、実施形態に係る決済手段や決済サービスは、電子マネーのやり取りを実現するための各種制御(電子マネーを介した各種の口座間送金制御に加え(又は代えて)、電子マネー口座と銀行口座間のやり取りに関する制御や、分割、ボーナス払いに伴う処理といった各種債権処理、その他電子マネーを含む財産のやり取りに関する各種制御)を実行する取引手段や取引サービスであれば、任意の態様で提供されるものであってもよい。
【0122】
また、このような取引手段や取引サービスが実現する各種の制御には、決済に関する制御と送金に関する制御の両方が含まれていてもよく、いずれか一方が含まれていてもよい。すなわち、「取引」とは、電子マネーに関する「決済」のみならず、電子マネーの「送金」やその他各種の処理をも含む概念である。すなわち、決済サーバ100は、任意の所有者間における電子マネーのやり取りを制御する取引手段を実現する情報処理装置であってもよい。
【0123】
〔2.2.決済サーバの構成〕
図6は、実施形態に係る決済サーバ100の構成例を示す図である。図6に示すように、決済サーバ100は、通信部110と、記憶部120と、制御部130とを有する。
【0124】
(通信部110)
通信部110は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。そして、通信部110は、ネットワークNと有線又は無線で接続され、利用者端末10や、銀行サーバ20などとの間で情報の送受信を行う。
【0125】
(記憶部120)
記憶部120は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、又は、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。図6に示すように、記憶部120は、依頼情報記憶部121と、対応情報記憶部122と、ウォレット情報記憶部123とを有する。
【0126】
(依頼情報記憶部121)
図7は、実施形態に係る依頼情報記憶部121に記憶される情報の一例を示す図である。依頼情報記憶部121は、依頼元である事業者Xからの振込依頼に関する依頼情報を記憶する。
【0127】
図7に示すように、依頼情報は、「取引番号」の項目、「金融機関」の項目、「店番」の項目、「種別」の項目、「口座名義」の項目、「支払金額」の項目、及び、「支払日」の項目の少なくとも1つを有する。なお、図7は、本実施形態に係る依頼情報の一例を示すものであり、図7に示す例とは異なる形態で構成されていてもよい。
【0128】
「取引番号」の項目には、事業者Xと事業者Yとの間の取引を識別する番号が記憶される。
【0129】
「金融機関」、「店番」、「種別」及び「口座名義」の項目には、事業者Xが給与を支払う被雇用者が有する口座に関する情報が記録される。「金融機関」の項目には、口座が開設された金融機関(例えば銀行)名が記憶される。「店番」の項目には、口座が開設された金融機関の店番が記憶される。なお、ここでは、依頼情報に「金融機関」及び「店番」に関する情報が含まれるとしたが、これらの代わりに(又はこれらに加えて)、金融機関を識別するための識別情報、支店コード、及び、支店番号などが含まれてもよい。
【0130】
「種別」の項目には、口座の種別が記憶される。「口座名義」の項目には、口座の名義人の氏名が記憶される。この氏名は、例えば、事業者Xが給与を支払う被雇用者の氏名である。
【0131】
「支払金額」の項目には、事業者Xが被雇用者に支払う給与の金額が記録される。「支払日」の項目には、事業者Xが被雇用者に給与を支払う日付が記録される。
【0132】
なお、図7では、依頼情報に、対応ウォレットの有無に関する対応ウォレット情報が含まれる。例えば、図7では、口座に対応付けられたウォレット(対応ウォレット)があることを示す対応ウォレット情報は、星印で示している。すなわち、星印が付された振込取引(例えば、取引番号:「001」、「006」)の振込先口座には対応ウォレットが存在する。
【0133】
また、依頼情報には、上述した項目以外の項目が含まれていてもよい。例えば、依頼情報に「口座番号」などの情報が含まれていてもよい。
【0134】
ここでは、対応ウォレット情報が星印である場合について示したが、対応ウォレット情報は星印に限定されない。例えば、依頼情報に対応ウォレットの有無を記憶する「ウォレット」の項目が含まれていてもよい。この場合、決済サーバ100は、例えば、対応ウォレットがある場合、「ウォレット」の項目にその旨を示す情報を記憶させる。
【0135】
(対応情報記憶部122)
図8は、実施形態に係る対応情報記憶部122に記憶される情報の一例を示す図である。対応情報記憶部122は、口座に紐付くウォレット(対応ウォレット)に関する対応情報を記憶する。
【0136】
対応情報は、口座に関する情報、及び、電子マネー口座(ウォレット)に関する情報を含む。なお、図8は、本実施形態に係る対応情報の一例を示すものであり、図8に示す例とは異なる形態で構成されていてもよい。
【0137】
口座に関する情報は、「金融機関」の項目、「店番」の項目、及び、「口座名義」の項目の少なくとも1つを含む。「金融機関」の項目、「店番」の項目、及び、「口座名義」の項目には、依頼情報に含まれる同名の項目と同じ情報が記憶される。
【0138】
電子マネー口座(ウォレット)に関する情報は、「ウォレットID」の項目及び「ステータス」の項目を含む。「ウォレットID」には、ウォレットの識別情報が記憶される。「ステータス」の項目には、「ウォレットID」で識別されるウォレットの状態が記憶される。ウォレットの状態として、例えば、使用されている状態(「使用中」)、及び、凍結などによって使用不可である状態(「停止中」)などが挙げられる。
【0139】
図8の例では、金融機関:「XXバンク」の店番:「818」の口座名義:「AAAA」にウォレットID:「ウォレットID#1」のウォレットが紐付けられている。このウォレットのステータスは、「使用中」である。
【0140】
金融機関:「XXバンク」の店番:「818」の口座名義:「FFFF」にウォレットID:「ウォレットID#3」のウォレットが紐付けられている。このウォレットのステータスは、「使用中」である。
【0141】
金融機関:「XXバンク」の店番:「818」の口座名義:「HHHH」にウォレットID:「ウォレットID#8」のウォレットが紐付けられている。このウォレットのステータスは、「停止中」である。
【0142】
金融機関:「XXバンク」の店番:「818」の口座名義:「SSSS」にウォレットID:「ウォレットID#12」のウォレットが紐付けられている。このウォレットのステータスは、「使用中」である。
【0143】
なお、ウォレットに紐付く口座は、上述したように提携先の銀行から貸し出しを受けた仮想口座である。仮想口座の金融機関及び店番が共通である場合、口座情報から「金融機関」の項目及び「店番」の項目が省略されてもよい。
【0144】
また、上述した口座に関する情報は一例である。口座に関する情報は、依頼情報の口座を特定するために使用される情報が含まれていればよい。例えば、口座に関する情報に仮想口座を識別するための情報(例えば仮想口座番号)が含まれていてもよい。
【0145】
また、上述したウォレットに関する情報は一例である。ウォレットに関する情報は、口座に紐付いたウォレットを特定するために使用される情報が含まれていればよい。例えば、ウォレットに関する情報にウォレットの名義人の氏名に関する情報が含まれていてもよい。
【0146】
なお、仮想口座及びこの口座に対応するウォレットは、同じ名義であってもよく、異なる名義であってもよい。例えば、仮想口座の口座名義(例えば、第1の名義)とウォレットの名義(例えば、第2の名義)とが異なっている場合、決済サーバ100はその旨を事業者Xに通知しうる。名義の確認は、例えば決済サーバ100が対応ウォレットの有無を判定するタイミングで行われうる。
【0147】
この場合、決済サーバ100は、例えば、請求書の発行と同時に名義が異なる旨を事業者Xに通知しうる。決済サーバ100は、仮想口座の名義とウォレットの名義が同じ場合に当該ウォレットの残高に振込金額を反映させる。一方、決済サーバ100は、仮想口座の名義とウォレットの名義が異なる場合に当該ウォレットの残高に振込金額を反映させ内。これにより、決済サーバ100は、よりセキュアに対応ウォレットへの振込を行うことができる。
【0148】
(ウォレット情報記憶部123)
図9は、実施形態に係るウォレット情報記憶部123に記憶される情報の一例を示す図である。ウォレット情報記憶部123は、ウォレットに関するウォレット情報を記憶する。なお、図9は、本実施形態に係るウォレット情報の一例を示すものであり、図9に示す例とは異なる形態で構成されていてもよい。
【0149】
図9に示すように、ウォレット情報は、「ウォレット」の項目及び「金融機関口座」の項目の少なくとも1つを有する。「ウォレット」の項目は、「ウォレットID」の項目及び「残高」の項目を含む。
【0150】
「ウォレットID」の項目には、ウォレットを識別するための識別情報であるウォレットIDが記憶される。「残高」の項目には、ウォレットのマネー残高を示す情報が記憶される。「金融機関口座」の項目には、ウォレットに紐付けられる金融機関の口座を示す口座番号が記憶される。この口座番号は、ウォレットの残高の払出先として利用される。
【0151】
例えば、ウォレット情報は、ウォレットごとに記憶される。図9の例では、ウォレットID:「ウォレット#1」の残高は「残高EX1」である。また、ウォレットID:「ウォレット#1」の払出先は「口座#001」である。
【0152】
(制御部130)
図6に示す制御部130は、コントローラ(controller)である。制御部130は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などによって、決済サーバ100内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。
【0153】
また、制御部130は、たとえば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路により実現され得る。
【0154】
実施形態に係る制御部130は、図6に示すように、受付部131と、判定部132と、発行部133と、依頼実行部134と、通知部135と、を有する。制御部130は、これらの各部により、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現又は実行する。
【0155】
(受付部131)
受付部131は、事業者Xからの振込依頼を受け付ける。また、受付部131は、通知部135が通知する請求書に対する事業者Xからの入金を受け付ける。
【0156】
受付部131は、受け付けた振込依頼を依頼情報として依頼情報記憶部121に記憶する。また、受付部131は、振込依頼を判定部132に通知する。
【0157】
(判定部132)
振込依頼に含まれる振込先の口座に紐付くウォレット(対応ウォレット)があるか否かを判定する。このとき、判定部132は、ウォレットの状態を確認しうる。また、判定部132は、ウォレットの名義と振込先の口座名義とが一致するか否かを判定しうる。
【0158】
判定部132は、対応ウォレットの有無の判定結果に基づき、依頼情報記憶部121が記憶する依頼情報を更新する。
【0159】
また、判定部132は、対応ウォレットの有無の判定結果を発行部133に通知する。判定部132は、ウォレットの状態、及び、名義一致/不一致の判定結果を発行部133に通知しうる。
【0160】
(発行部133)
発行部133は、振込依頼及び対応ウォレットの有無の判定結果に基づいて請求書を発行する。発行部133は、振込依頼に含まれる振込金額の総額、及び、振込取引に応じた手数料に基づいて事業者Xへの請求金額を決定する。発行部133は、決定した請求金額の請求書を発行する。発行部133は、発行した請求書を通知部135に出力する。
【0161】
このとき、発行部133は、対応ウォレットがあるか否か、換言すると金融機関への振込があるか否かに応じて振込取引の手数料の額を変更してもよい。例えば、対応ウォレットがある場合、決済サーバ100は、金融機関を介した振込を行わず、直接対応ウォレットに入金を行う。そのため、対応ウォレットがある場合、決済サーバ100は、金融機関に振込手数料を支払う必要がなく、振込にかかる費用をより低減することができる。
【0162】
そこで、例えば、本実施形態にかかる決済サーバ100は、対応ウォレットがある場合の振込取引の手数料を、ない場合と比較して低く設定する。これにより、事業者Xは、より多くの対応ウォレットに給与を支払うことで、振込依頼にかかる費用をより低減することができ、給与のデジタル払いの利用を促進することができる。また、事業者Xは、事業者Yに給与支払いの代行を依頼することで、被雇用者の銀行口座に直接給与を振り込む場合と比較して、振込にかかる費用を低減することができる。
【0163】
また、発行部133は、ウォレットの状態が「停止中」である場合、このウォレットへの振込金額及び入金にかかる手数料を請求しないようにしてもよい。この場合、発行部133は、このウォレット(又は対応する仮想口座)への振込が行えない旨を事業者Xに通知するよう通知部135に指示しうる。
【0164】
また、発行部133は、ウォレットの名義と仮想口座の名義が一致しない場合、このウォレットへの振込金額及び入金にかかる手数料を請求しないようにしてもよい。この場合、発行部133は、このウォレット(又は対応する仮想口座)への振込が行えない旨(あるいは名義が異なる旨)を事業者Xに通知するよう通知部135に指示しうる。
【0165】
(依頼実行部134)
依頼実行部134は、振込依頼によって指定される支払日に、振込先への振込を実行する。依頼実行部134は、反映部1341と、振込処理部1342と、を有する。
【0166】
(反映部1341)
反映部1341は、振込依頼によって指定される支払日に、対応ウォレットへの入金を行う。反映部1341は、チャージ処理(図3参照)を実行する。図6の反映部1341は、対応ウォレットの残高に振込金額を反映する。また、反映部1341は、振込金額のうち、対応ウォレットの上限額を超過した分を対応ウォレットの払出先の金融機関口座に振り込む。
【0167】
反映部1341は、入金結果を通知部135に通知する。例えば、反映部1341は、対応ウォレットの状態が「停止中」で入金できなかった場合、その旨を通知部135に通知する。また、反映部1341は、対応ウォレットの払出先に超過額を振り込んだ場合、その旨を通知部135に通知しうる。
【0168】
(振込処理部1342)
振込処理部1342は、振込依頼によって指定される支払日に、振込先として指定された口座へ振り込みを行う。振込処理部1342は、振込処理(図4参照)を実行する。振込処理部1342は、例えば各銀行に開設している事業者Y口座から各銀行に開設されている振込先の口座に振込金額を振り込む。
【0169】
図6の振込処理部1342は、振込結果を通知部135に通知する。例えば、振込処理部1342は、口座が存在しない(あるいは凍結されていた)などによって振込できなかった場合、その旨を通知部135に通知する。
【0170】
(通知部135)
通知部135は、各種情報を事業者Xに通知する。例えば、通知部135は、発行部133が発行した請求書を事業者Xに通知する。また、通知部135は、請求書とともに、振込が行えない口座に関する情報を事業者Xに通知しうる。
【0171】
通知部135は、反映部1341による対応ウォレットへの入金結果、及び、口座への振込結果を事業者Xに通知する。なお、通知部135は、入金(又は振込)できなかった分の振込金額を事業者Xに返金しうる。
【0172】
〔3.処理手順例〕
〔3.1.受付処理〕
図10は、実施形態にかかる受付処理の処理手順例を示すフローチャートである。図10の受付処理は、決済サーバ100によって実行される。
【0173】
図10に示すように、受付部131は、振込依頼を受け付ける(ステップS101)。受付部131は、受け付けた振込依頼を依頼情報として記憶部120に記憶する。
【0174】
次に、判定部132は、振込依頼に含まれる振込先である口座を1つ選択する(ステップS102)。判定部132は、選択した口座に対応するウォレット(対応ウォレット)があるか否かを判定する(ステップS103)。
【0175】
対応するウォレットがない場合(ステップS103;No)、判定部132は、ステップS106に進む。一方、対応するウォレットがある場合(ステップS103;Yes)、判定部132は、選択した口座に対応するウォレットのステータスを確認する(ステップS104)。
【0176】
判定部132は、選択した口座の依頼情報を更新する(ステップS105)。例えば、判定部132は、選択した口座に対応ウォレットがあることを示す付加情報を依頼情報に追加する。
【0177】
判定部132は、振込依頼に含まれる全ての口座を選択したか否かを判定する(ステップS106)。まだ選択していない口座がある場合(ステップS106;No)、判定部132は、ステップS102に戻り、まだ選択していない口座の中から口座を1つ選択する。
【0178】
判定部132が全ての口座を選択した場合(ステップS106;Yes)、発行部133は、振込依頼に対する請求書を発行し(ステップS107)、受付処理を終了する。この請求書は、例えば通知部135を介して振込依頼を行った事業者Xに送付される。
【0179】
〔3.2.支払処理〕
図11は、実施形態にかかる支払処理の処理手順例を示すフローチャートである。図11の支払処理は、決済サーバ100によって支払日に実行される。支払処理は、上述したチャージ処理(図3参照)及び振込処理(図4参照)を含む。
【0180】
図11に示すように、まず、依頼実行部134は、依頼情報の中から口座を1つ選択する(ステップS201)。次に、依頼実行部134は、依頼情報に基づき、選択した口座に対応ウォレットがあるか否かを判定する(ステップS202)。
【0181】
対応ウォレットがない場合(ステップS202;No)、振込処理部1342は、銀行口座から選択した口座(振込先)へ振込金額を振り込む(ステップS203)。
【0182】
一方、対応ウォレットがある場合(ステップS202;Yes)、反映部1341は、ウォレット情報の対応ウォレットの残高に基づき、対応ウォレットに振り込むと上限を超過するか否かを判定する(ステップS204)。
【0183】
上限を超過しない場合(ステップS204;No)、反映部1341は、対応ウォレットの残高に振込金額を反映させる(ステップS205)。
【0184】
一方、上限を超過する場合(ステップS204;Yes)、反映部1341は、対応ウォレットの上限まで入金(チャージ)を反映する(ステップS206)。すなわち、反映部1341は、対応ウォレットの残高を上限額に変更する。
【0185】
反映部1341は、超過分を対応ウォレットの利用者が指定する指定口座(ウォレット情報に含まれる金融機関口座)に振り込む(ステップS207)。
【0186】
依頼実行部134は、依頼情報のうち、支払日に該当する口座全てを選択したか否かを判定する(ステップS208)。
【0187】
まだ選択していない口座がある場合(ステップS208;No)、依頼実行部134は、ステップS201に戻り、まだ選択していない口座の中から口座を1つ選択する。
【0188】
依頼実行部134が全ての口座を選択した場合(ステップS208;Yes)、依頼実行部134は、通知部135を介して振込結果を事業者Xに通知(ステップS209)、支払処理を終了する。
【0189】
〔4.変形例〕
上述の実施形態では、情報処理システムSYSに含まれる決済サーバ100が、電子決済サービスに関する処理を行うとともに、振込入金サービスに関する処理を行う例を説明した。しかし、実施形態に係る情報処理システムSYSの構成は、このような例には特に限定される必要はなく、電子決済サービスに関する処理を行うサーバ装置と、振込入金サービスに関する処理を行うサーバ装置とが、それぞれ物理的に異なる個別のサーバであってもよい。又は、それぞれのサーバ装置が異なるシステムに属するサーバ装置であってもよい。この場合、それぞれのサーバ装置がそれぞれの処理に必要な情報を相互にやり取り可能な状態で通信可能に接続される。
【0190】
また、上述の実施形態では、振込依頼が事業者Xから被雇用者への給与の支払いである例を説明した。しかし、振込依頼が給与の支払いに限定される必要はなく、決済サーバ100が、給与以外の支払い(振込)依頼を受け付けてもよい。
【0191】
また、上述の実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行うこともでき、逆に、手動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0192】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【0193】
また、上記してきた各実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0194】
〔5.効果〕
上述してきたように、実施形態にかかる決済サーバ100は、受付部131と、反映部1341と、振込処理部1342と、を有する。受付部131は、振込先及び振込金額に関する情報を含む振込依頼を受け付ける。反映部1341は、振込先に紐付く電子マネー口座(対応ウォレット)がある場合は、当該電子マネー口座の残高に対して、前記振込金額を反映させる。振込処理部1342は、振込先に紐づく電子マネー口座がない場合は、振込先に振込金額を振り込む。
【0195】
これにより、依頼元(事業者X)は、振込先に紐付く電子マネー口座(ウォレット)があるか否かを認識することなく、振込依頼を行うことができる。すなわち、事業者Xは、電子マネーで振り込むか否かを認識しなくとも、通常の金融機関の口座に振込を行う場合と同じ手続きで電子マネーへの支払いを行うことができる。これにより、決済サーバ100は、給与のデジタル払いの利用を促進することができる。
【0196】
また、決済サーバ100は、通知部135をさらに有する。通知部135は、振込先に紐付く電子マネー口座に入金できない状態である場合、振込金額を入金できないことを振込依頼の依頼元に通知する。
【0197】
これにより、依頼元は、電子マネー口座の状態に応じて振込金額が入金されないことを知ることができる。
【0198】
また、通知部135は、受付部131が振込依頼を受け付けたタイミングで、電子マネー口座に入金できない状態である場合、振込金額を入金できないことを依頼元に通知する。
【0199】
これにより、依頼元は、振込依頼を行ったタイミングで、振込金額が入金されないことを知ることができる。
【0200】
また、通知部135は、反映部1341が振込金額を反映させるタイミングで、電子マネー口座に入金できない状態である場合、振込金額を入金できないことを依頼元に通知する。
【0201】
これにより、依頼元は、振込先への振込が行われるタイミングで、振込金額が入金されないことを知ることができる。
【0202】
また、反映部1341は、振込先の第1の名義と、振込先に紐付く電子マネー口座の第2の名義と、が同じである場合、電子マネー口座の残高に対して、振込金額を反映させる。
【0203】
これにより、決済サーバ100は、より確実に正しい振込先へ振込を行うことができる。
【0204】
また、反映部1341は、電子マネー口座の残高に対して、振込金額を反映させると、電子マネー口座の残高の上限を超える場合、上限を超える金額を、電子マネー口座を所有する利用者が指定する指定口座に入金する。
【0205】
これにより、決済サーバ100は、振込金額を反映させると電子マネー口座の上限額を超える場合でも利用者に対して支払いを行うことができる。
【0206】
電子マネー口座が紐付く振込先は、仮想口座である。これにより、決済サーバ100は、振込先と電子マネー口座とをより適切に紐付けて管理することができる。
【0207】
〔6.ハードウェア構成〕
また、上述してきた本実施形態に係る決済サーバ100は、たとえば、図12に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。図12は、実施形態に係る決済サーバ100の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。
【0208】
コンピュータ1000は、出力装置1010、入力装置1020と接続され、演算装置1030、一次記憶装置1040、二次記憶装置1050、出力IF(Interface)1060、入力IF1070、ネットワークIF1080がバス1090により接続された形態を有する。
【0209】
演算装置1030は、一次記憶装置1040や二次記憶装置1050に格納されたプログラムや入力装置1020から読み出したプログラムなどに基づいて動作し、各種の処理を実行する。一次記憶装置1040は、RAMなど、演算装置1030が各種の演算に用いるデータを一次的に記憶するメモリ装置である。また、二次記憶装置1050は、演算装置1030が各種の演算に用いるデータや、各種のデータベースが登録される記憶装置であり、ROM(Read Only Memory)、HDD、フラッシュメモリ等により実現される。
【0210】
出力IF1060は、モニタやプリンタといった各種の情報を出力する出力装置1010に対し、出力対象となる情報を送信するためのインターフェイスであり、たとえば、USB(Universal Serial Bus)やDVI(Digital Visual Interface)、HDMI(登録商標)(High Definition Multimedia Interface)といった規格のコネクタにより実現される。また、入力IF1070は、マウス、キーボード、及びスキャナなどといった各種の入力装置1020から情報を受信するためのインターフェイスであり、たとえば、USBなどにより実現される。
【0211】
なお、入力装置1020は、たとえば、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)などの光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、又は半導体メモリなどから情報を読み出す装置であってもよい。また、入力装置1020は、USBメモリなどの外付け記憶媒体であってもよい。
【0212】
ネットワークIF1080は、ネットワークNを介して他の機器からデータを受信して演算装置1030へ送り、また、ネットワークNを介して演算装置1030が生成したデータを他の機器へ送信する。
【0213】
演算装置1030は、出力IF1060や入力IF1070を介して、出力装置1010や入力装置1020の制御を行う。たとえば、演算装置1030は、入力装置1020や二次記憶装置1050からプログラムを一次記憶装置1040上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。
【0214】
たとえば、コンピュータ1000が本実施形態に係る情報処理装置の一例である決済サーバ100として機能する場合、コンピュータ1000の演算装置1030は、一次記憶装置1040上にロードされたプログラム(たとえば、情報処理プログラム)を実行することにより、制御部130と同様の機能を実現する。すなわち、演算装置1030は、一次記憶装置1040上にロードされたプログラム(たとえば、情報処理プログラム)との協働により、本実施形態に係る決済サーバ100による処理を実現する。
【0215】
〔7.その他〕
以上、本願の実施形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【0216】
また、上述した決済サーバ100は、機能によっては外部のプラットフォームなどをAPI(Application Programming Interface)やネットワークコンピューティングなどで呼び出して実現するなど、構成は柔軟に変更できる。
【0217】
また、特許請求の範囲に記載した「部」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。例えば、制御部は、制御手段や制御回路に読み替えることができる。
【符号の説明】
【0218】
10 利用者端末
20 銀行サーバ
100 決済サーバ
110 通信部
120 記憶部
121 依頼情報記憶部
122 対応情報記憶部
123 ウォレット情報記憶部
130 制御部
131 受付部
132 判定部
133 発行部
134 依頼実行部
135 通知部
1341 反映部
1342 振込処理部
SYS 情報処理システム
【要約】
【課題】給与のデジタル払いの利用を促進する。
【解決手段】本願に係る情報処理装置は、受付部と、反映部と、振込処理部と、を有する。受付部は、振込先及び振込金額に関する情報を含む振込依頼を受け付ける。反映部は、振込先に紐付く電子マネー口座がある場合は、当該電子マネー口座の残高に対して、振込金額を反映させる。振込処理部は、振込先に紐づく電子マネー口座がない場合は、振込先に振込金額を振り込む。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12