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特許7289425受給者管理システム、受給者管理方法、および、受給者管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-02
(45)【発行日】2023-06-12
(54)【発明の名称】受給者管理システム、受給者管理方法、および、受給者管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/26 20120101AFI20230605BHJP
【FI】
G06Q50/26
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021131164
(22)【出願日】2021-08-11
(65)【公開番号】P2023025802
(43)【公開日】2023-02-24
【審査請求日】2022-09-06
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)集会での発表による公開 開催日:令和2年10月16日、公開先:奈良市役所(奈良市長、奈良市CIO、奈良市福祉部次長、奈良市福祉部保健課課長)、公開場所:奈良市役所市長室(奈良県奈良市二条大路南1丁目1-1) 開催日:令和2年12月21日、公開先:笹川経済支援機構、公開場所:カフェ(東京都中央区日本橋室町2-1-1三井二号館1F) 開催日:令和3年 1月 3日、公開先:國持一真、公開場所:静岡県静岡市清水区辻3-6-41 開催日:令和3年 1月 6日、公開先:株式会社M&Aクラウド、公開場所:オンライン開催 開催日:令和3年 1月12日、公開先:株式会社Ventus、公開場所:オンライン開催 開催日:令和3年 1月14日、公開先:株式会社リンクアンドモチベーション、公開場所:オンライン開催 開催日:令和3年 1月18日、公開先:萱沼多聞、公開場所:オンライン開催 開催日:令和3年 1月21日、公開先:セブンリッチ会計事務所、公開場所:オンライン開催 開催日:令和3年 1月21日、公開先:Google、公開場所:オンライン開催 開催日:令和3年 1月22日、公開先:品川区議会議員、公開場所:オンライン開催 開催日:令和3年 1月25日、公開先:コモングッド株式会社、公開場所:東京都目黒区目黒1-24-9 MFPR目黒タワー1606 開催日:令和3年 1月27日、公開先:HAN’S株式会社、公開場所:東京都渋谷区恵比寿2丁目13番15号 開催日:令和3年 1月27日、公開先:衆議院議員、公開場所:衆議院議員会館(東京都千代田区永田町2丁目1-1) 開催日:令和3年 1月28日、公開先:株式会社グランデータ、公開場所:株式会社ガバナンステクノロジーズ取締役 梅原 和宏 宅(東京都渋谷区代官山町17-1) 開催日:令和3年 1月29日、公開先:新里翔、公開場所:東京都目黒区目黒1-24-9 MFPR目黒タワー1606
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)のつづき 開催日:令和3年 2月 1日、公開先:皆川和子、福井博之、公開場所:日本ビジネス協会(東京都中央区銀座7丁目4-12銀座メディカルビル) 開催日:令和3年 2月 4日、公開先:スカラHD、公開場所:ヒカリエ(東京都渋谷区渋谷2-21-1渋谷ヒカリエ17F) 開催日:令和3年 2月 4日、公開先:自由民主党静岡市議会議員団、静岡市福祉課、公開場所:静岡市役所 自民会議室(静岡県静岡市葵区追手町5-1) 開催日:令和3年 2月 4日、公開先:飯能市市議会議員、公開場所:オンライン開催 開催日:令和3年 2月 5日、公開先:品川区福祉課、公開場所:品川区役所(東京都品川区広町2丁目1-36) 開催日:令和3年 2月 8日、公開先:川島崇公認会計士事務所、公開場所:オンライン開催 開催日:令和3年 2月 9日、公開先:株式会社クリークアンドリバー、公開場所:株式会社クリーク・アンド・リバー本社(東京都港区新橋4丁目1-1新虎通りCORE) 開催日:令和3年 2月18日、公開先:大阪市職員、公開場所:オンライン開催 開催日:令和3年 2月24日、公開先:土屋 雄太郎、公開場所:居酒屋ピーマン(東京都渋谷区渋谷3-22-11) 開催日:令和3年 2月25日、公開先:株式会社ゼロスタ、公開場所:東京都目黒区目黒1-24-9 MFPR目黒タワー1606 開催日:令和3年 2月25日、公開先:第二地方銀行協会、公開場所:オンライン開催 開催日:令和3年 3月 5日、公開先:株式会社TITコンサルティング、株式会社デジタルアイデンティティ、公開場所:季美の森ゴルフ倶楽部(千葉県大網白里市季美の森南2-49) 開催日:令和3年 3月 8日、公開先:一般社団法人ワークスデザイン、公開場所:居酒屋ピーマン(東京都渋谷区渋谷3-22-11) 開催日:令和3年 3月 9日、公開先:株式会社パーソンリンク、公開場所:東京都目黒区目黒1-24-9 MFPR目黒タワー1606 開催日:令和3年 3月 9日、公開先;ボードウォーク・キャピタル株式会社、公開場所:株式会社クリーク・アンド・リバー本社(東京都港区新橋4丁目1-1新虎通りCORE)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)のつづき 開催日:令和3年 3月17日、公開先:Houyou株式会社、公開場所:那河投資家オフィス(東京都渋谷区神宮前3丁目7-4) 開催日:令和3年 4月 5日、公開先:株式会社カルティベリーストーリーズ、公開場所:オンライン開催 開催日:令和3年 4月 7日、公開先:株式会社ユピコムホールディングス、公開場所:東京都文京区小石川2丁目23番11号 常光ビル9階 開催日:令和3年 4月13日、公開先:世田谷区議会議員、公開場所:世田谷区役所(東京都世田谷区世田谷4丁目21-27) 開催日:令和3年 4月19日、公開先:アララ株式会社、公開場所:東京都港区南青山2丁目24-15 開催日:令和3年 4月20日、公開先:株式会社CACTAS、公開場所:旬遊紀(飲食店)(東京都目黒区下目黒1丁目8-1) 開催日:令和3年 4月21日、公開先:株式会社ピジョン、公開場所:東京都新宿区西新宿2-6-1 新宿住友ビル14F 開催日:令和3年 5月14日、公開先:流山市議会議員、公開場所:オンライン開催 開催日:令和3年 5月18日、公開先:株式会社MATCHA、公開場所:オンライン開催 開催日:令和3年 6月 1日、公開先:四条畷市総務部人事室、公開場所:オンライン開催 開催日:令和3年 6月10日、公開先:足立区議会議員、公開場所:足立区役所(東京都足立区中央本町1丁目17-1) 開催日:令和3年 6月17日、公開先:世田谷区生活保護課、公開場所:世田谷区役所(東京都世田谷区世田谷4丁目21-27) 開催日:令和3年 6月18日、公開先:流山市議会議員、流山市役所健康福祉部社会福祉課、公開場所:流山市役所(千葉県流山市平和台1丁目1-1) 開催日:令和3年 6月23日、公開先:矢野 雅彦、公開場所:オンライン開催 開催日:令和3年 7月 2日、公開先:株式会社エアトリ、公開場所:東京都港区愛宕2丁目5-1 グリーンヒルズMORIタワー19F 開催日:令和3年 7月 2日、公開先:株式会社PXC代表、公開場所:オンライン開催 開催日:令和3年 7月 2日、公開先:株式会社サイバーエージェント、公開場所:オンライン開催
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)のつづき 開催日:令和3年 7月 5日、公開先:APAMAN株式会社、公開場所:東京都千代田区大手町2丁目6番1号 朝日生命大手町ビル3F 開催日:令和3年 7月 5日、公開先:豊中市議会議員、公開場所:オンライン開催 開催日:令和3年 7月 6日、公開先:京都市議会議員、公開場所:オンライン開催 開催日:令和3年 7月 6日、公開先:合同会社blue circle、公開場所:合同会社blue circle本社(東京都渋谷区松濤1丁目28-2) 開催日:令和3年 7月 7日、公開先:大津市議会議員、公開場所:大津市役所(滋賀県大津市御陵町3-1) 開催日:令和3年 7月 7日、公開先:江東区議会議員、公開場所:江東区役所(東京都江東区東陽4-11-28) 開催日:令和3年 7月 8日、公開先:江東区議会議員、公開場所:江東区役所(東京都江東区東陽4-11-28) 開催日:令和3年 7月 9日、公開先:江東区役所江東区政策経営部、公開場所:江東区役所(東京都江東区東陽4-11-28) 開催日:令和3年 7月10日、公開先:江東区役所生活支援部保護第一課、公開場所:江東区役所(東京都江東区東陽4-11-28) 開催日:令和3年 7月12日、公開先:草加市議会議員、公開場所:草加市役所(埼玉県草加市中央1丁目1-8) 開催日:令和3年 7月12日、公開先:コタエル信託、公開場所:東京都千代田区丸の内2丁目4-1 丸の内ビルディング26階 開催日:令和3年 7月12日、公開先:中村祐貴、公開場所:オンライン開催 開催日:令和3年 7月14日、公開先:株式会社デジタルガレージオープンネットワークラボ推進部共同部長 兼 スマートシティ推進室、公開場所:オンライン開催 開催日:令和3年 7月14日、公開先:衆議院議員、公開場所:衆議院第一会館(東京都千代田区永田町2丁目2-1) 開催日:令和3年 7月19日、公開先:田中祐太、公開場所:オンライン開催 開催日:令和3年 7月22日、公開先:遠家善雄、公開場所:オンライン開催 開催日:令和3年 7月27日、公開先:渋谷区議会議員、公開場所:IMPERIAL株式会社(東京都渋谷区道玄坂2丁目18-11)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)のつづき 開催日:令和3年 7月29日、公開先:札幌市保健福祉局総務部保健自立支援課、公開場所:札幌市役所(北海道札幌市中央区北1条西2丁目) 開催日:令和3年 7月29日、公開先:旭川市役所生活支援課、公開場所:旭川市役所(北海道旭川市6条通9丁目) 開催日:令和3年 7月30日、公開先:相模原市役所生活保護課、公開場所:相模原市役所(神奈川県相模原市中央区中央2丁目11-15) 開催日:令和3年 8月 6日、公開先:渋谷区役所生活保護課、公開場所:渋谷区役所(東京都渋谷区宇田川町1-1) 開催日:令和3年 8月 6日、公開先:鎌倉市議員、公開場所:オンライン開催 開催日:令和3年 8月 9日、公開先:福留大士、公開場所:オンライン開催 開催日:令和3年 8月10日、公開先:川崎市役所川崎市生活保護課、公開場所:川崎市役所(神奈川県川崎市川崎区宮本町1) 開催日:令和3年 8月11日、公開先:福岡市生活保護課、公開場所:オンライン開催2.守秘義務のない者への技術説明による公開 開催日:令和3年 6月22日、公開先:千葉市議会議員、公開場所:電話 開催日:令和3年 7月22日、公開先:西宮市議会議員、公開場所:電話 開催日:令和3年 7月22日、公開先:高知市議会議員、公開場所:電話 開催日:令和3年 8月 4日、公開先:高松市議会議員、公開場所:電話
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521354536
【氏名又は名称】株式会社ガバナンステクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】車谷 拓海
(72)【発明者】
【氏名】香坂 健太
【審査官】松野 広一
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-245211(JP,A)
【文献】特開2016-200926(JP,A)
【文献】特開2002-215800(JP,A)
【文献】特開2001-101482(JP,A)
【文献】特開2003-044644(JP,A)
【文献】特開2014-182787(JP,A)
【文献】特開2013-210764(JP,A)
【文献】株式会社TMSエデュケーション,「奉行Jクラウド」導入ガイドブック,第1版,日本,株式会社泰文堂 中藤 文男,2017年06月10日,p.81
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受給者を特定する受給者情報と、前記受給者が有する口座を示す情報を対応付けて格納するとともに、前記受給者情報と、前記受給者が所属する自治体の担当者を特定する担当者情報とを対応付けて格納する手段と、
前記口座への入金履歴を含む口座情報を取得する手段と、
対応付けて格納された前記受給者情報及び前記担当者情報と、取得された前記口座情報に基づいて、表示処理要求を行った前記担当者の利用端末に対して出力するために、前記受給者の前記口座への前記入金履歴を表示処理する手段と、
取得された前記口座情報における前記入金履歴が示す入金額と、入金名目の分類を示すカテゴリに応じて予め定められた閾値とに基づき、前記入金額が異常値を示すかを判別する手段と、
前記判別の結果、前記入金額が異常値を示した場合、前記担当者の利用端末に対して異常値検知の警告を行う手段と、
を備える受給者管理システム。
【請求項2】
前記受給者が有する通帳を撮像する手段と、
撮像された前記通帳の画像に写る文字列をテキスト化する手段と、を更に備え、
前記テキスト化された文字列に基づき前記口座情報が取得される請求項1に記載の受給者管理システム。
【請求項3】
前記口座情報前記口座への振込名義を更に含むとき前記入金名目の分類を示すカテゴリを前記振込名義により識別する手段を更に備える、請求項1又は2に記載の受給者管理システム。
【請求項4】
前記カテゴリは、前記自治体ごとに設定される、請求項3に記載の受給者管理システム。
【請求項5】
前記識別する手段は、前記振込名義の自然言語処理を行うことでキーワードを検出し、前記キーワードを優先順位順に並べ替えることで、対応表に応じて前記振込名義の前記カテゴリを識別する、請求項3又は4に記載の受給者管理システム。
【請求項6】
前記対応表は、前記自治体ごとに設定される、請求項5に記載の受給者管理システム。
【請求項7】
前記識別する手段は、前記振込名義の自然言語処理を行うことでキーワードを検出し、機械学習モデルに基づき前記振込名義の前記カテゴリを識別する、請求項3又は4に記載の受給者管理システム。
【請求項8】
前記機械学習モデルは、前記自治体ごとに学習が行われる、請求項7に記載の受給者管理システム。
【請求項9】
コンピュータを、
受給者を特定する受給者情報と、前記受給者が有する口座を示す情報を対応付けて格納するとともに、前記受給者情報と、前記受給者が所属する自治体の担当者を特定する担当者情報とを対応付けて格納する手段と、
前記口座への入金履歴を含む口座情報を取得する手段と、
対応付けて格納された前記受給者情報及び前記担当者情報と、取得された前記口座情報に基づいて、表示処理要求を行った前記担当者の利用端末に対して出力するために、前記受給者の前記口座への前記入金履歴を表示処理する手段と、
取得された前記口座情報における前記入金履歴が示す入金額と、入金名目の分類を示すカテゴリに応じて予め定められた閾値とに基づき、前記入金額が異常値を示すかを判別する手段と、
前記判別の結果、前記入金額が異常値を示した場合、前記担当者の利用端末に対して異常値検知の警告を行う手段と、
として機能させる受給者管理プログラム。
【請求項10】
受給者を特定する受給者情報と、前記受給者が有する口座を示す情報を対応付けて格納するとともに、前記受給者情報と、前記受給者が所属する自治体の担当者を特定する担当者情報とを対応付けて格納するステップと、
前記口座への入金履歴を含む口座情報を取得するステップと、
対応付けて格納された前記受給者情報及び前記担当者情報と、取得された前記口座情報に基づいて、表示処理要求を行った前記担当者の利用端末に対して出力するために、前記受給者の前記口座への前記入金履歴を表示処理するステップと、
取得された前記口座情報における前記入金履歴が示す入金額と、入金名目の分類を示すカテゴリに応じて予め定められた閾値とに基づき、前記入金額が異常値を示すかを判別するステップと、
前記判別の結果、前記入金額が異常値を示した場合、前記担当者の利用端末に対して異常値検知の警告を行うステップと、
をコンピュータが実行する受給者管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受給者管理システム、受給者管理方法、および、受給者管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
生活保護制度は、資産や能力等すべてを活用してもなお生活に困窮する者に対し、困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障し、その自立を助長する制度である。しかし、従来の生活保護制度では、申請の際における虚偽の申告や収入の申告漏れ等によって不正受給が発生することは公知であり、また、不正受給を防止する為のシステム等が開発されていることも同様に公知である。
【0003】
特許文献1では、対象者の口座の情報を取得する金融資産調査を、複数の金融口座に対して行い、調査結果を自治体(調査依頼者)に報告する発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-206067号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載の発明は、複数の金融機関の口座における調査結果を、対象者の自治体に提供することは記載されているが、当該調査結果にどのような情報が含まれるのかが不明である。また、特許文献1に記載の発明は、生活保護の審査等の際の、受給資格の有無を審査する際の調査を想定したものであり、受給者の口座の継続的な監視を行い、不正受給が疑われる振込の発見を支援することはできなかった。
【0006】
上記事情を鑑みて、本発明は、受給者の管理にかかる新規な技術を提供することを、解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、受給者、及び、前記受給者が有する口座を示す情報を対応付けて格納するとともに、前記受給者、及び、前記受給者の担当者を対応付けて格納する手段と、前記口座への入金履歴を含む口座情報を取得する手段と、前記口座情報に基づいて、表示処理要求を行った前記担当者と対応付けられた前記受給者の前記入金履歴を表示処理する手段と、を備えることを特徴とする。このような構成とすることで、本発明は、受給者が有する口座の継続的な監視を行い、受給者による不正な受給を防止することができる。
【0008】
本発明の好ましい形態では、前記受給者管理システムは更に、前記受給者が有する通帳を撮像する手段と、撮像された前記通帳の画像に写る文字列をテキスト化する手段と、を備え、前記テキスト化された文字列に基づき前記口座情報が取得されることを特徴とする。このような構成とすることで、本発明は、インターネットバンキングを経由した口座連携を行うことが難しい受給者に対しても、当該受給者の有する口座の監視を行うことができる。
【0009】
本発明の好ましい形態では、取得した前記口座情報における入金額、及び、閾値に基づき、前記入金額が異常値を示すかを判別する手段と、前記判別の結果、前記入金額が異常値を示した場合、前記担当者に対し警告を行う手段を備えることを特徴とする。このような構成とすることで、本発明は、受給者の不正な受給が疑われた場合、自治体担当者による迅速な対応が可能となる。
【0010】
本発明の好ましい形態では、前記口座情報は更に、前記口座への振込名義を含み、前記受給者管理システムは更に、前記振込名義から、前記振り込みが何れのカテゴリに属するかを識別する手段を備えることを特徴とする。このような構成とすることで、本発明は、振込名義が属するカテゴリと対応する閾値と、入金額と、を対比することで異常値を示す入金を検出することができる。
【0011】
本発明の好ましい形態では、前記カテゴリは、前記自治体ごとに設定されることを特徴とする。このような構成とすることで、本発明は、自治体ごとに形式が異なる申請に対応することができる。
【0012】
本発明の好ましい形態では、前記識別する手段は、前記振込名義の自然言語処理を行うことでキーワードを検出し、前記キーワードを優先順位順に並べ替えることで、対応表に応じて前記振込名義の前記カテゴリを識別する。このような構成とすることで、本発明は、振込名義が何れのカテゴリに対応するかを識別することができる。
【0013】
本発明の好ましい形態では、前記対応表は、前記自治体ごとに設定されることを特徴とする。このような構成とすることで、本発明は、自治体ごとに設定されたカテゴリの識別を行うことができる。
【0014】
本発明の好ましい形態では、前記識別する手段は、前記振込名義の自然言語処理を行うことでキーワードを検出し、機械学習モデルに基づき前記振込名義の前記カテゴリを識別する。このような構成とすることで、本発明は、振込名義が何れのカテゴリに対応するかを識別することができる。
【0015】
本発明の好ましい形態では、前記機械学習モデルは、前記自治体ごとに学習が行われることを特徴とする。このような構成とすることで、本発明は、自治体ごとに設定されたカテゴリの識別を行うことができる。
【0016】
上記課題を解決するために、本発明は、コンピュータを、受給者、及び、前記受給者が有する口座を示す情報を対応付けて格納するとともに、前記受給者、及び、前記受給者の担当者を対応付けて格納する手段と、前記口座への入金履歴を含む口座情報を取得する手段と、前記口座情報に基づいて、表示処理要求を行った前記担当者と対応付けられた前記受給者の前記入金履歴を表示処理する手段と、として機能させることを特徴とする。
【0017】
上記課題を解決するために、本発明は、受給者、及び、前記受給者が有する口座を示す情報を対応付けて格納するとともに、前記受給者、及び、前記受給者の担当者を対応付けて格納するステップと、前記口座への入金履歴を含む口座情報を取得するステップと、前記口座情報に基づいて、表示処理要求を行った前記担当者と対応付けられた前記受給者の前記入金履歴を表示処理するステップと、をコンピュータが実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、受給者の口座の継続的な監視を行い、不正受給が疑われる振込の発見の支援にかかる新規な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態1にかかる概要図を示す。
図2】本発明の実施形態1にかかるハードウェア構成図を示す。
図3】本発明の実施形態1にかかる機能ブロック図を示す。
図4】本発明の実施形態1にかかる処理フローチャートを示す。
図5】本発明の実施形態1にかかるカテゴリ識別の処理フローチャートを示す。
図6】本発明の実施形態1にかかる被保護者リスト表示画面0w1を示す。
図7】本発明の実施形態1にかかる口座明細表示画面0w2を示す。
図8】本発明の実施形態2にかかる概要図を示す。
図9】本発明の実施形態2にかかるハードウェア構成図を示す。
図10】本発明の実施形態2にかかる機能ブロック図を示す。
図11】本発明の実施形態2にかかる処理フローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<実施形態1>
本明細書は、本発明の一実施形態にかかる構成や作用効果等について、図面を交えて、以下に説明する。本発明は、以下の一実施形態に限定されず、様々な構成を採用し得る。
【0021】
本発明は、以下の実施形態に限定されず、様々な構成を採用し得る。また、本発明の実施形態は、各実施形態のそれぞれにおける構成の一部を、本発明が目的とする作用効果の実現を阻害しない範囲で互いに採用してよい。
【0022】
例えば、本実施形態では受給者管理システムの構成、動作等について説明するが、実行される方法、コンピュータプログラム等によっても、同様の作用効果を奏することができる。本実施形態におけるプログラムは、コンピュータが読み取り可能な非一過性の記録媒体として提供されてもよいし、外部のサーバからダウンロード可能に提供されてもよいし、受給者管理システムでその機能を実現する為に外部のコンピュータにおいて当該プログラムを起動させてもよい(いわゆるクラウドコンピューティング)。
【0023】
また、本実施形態において「手段」とは、例えば、広義の回路によって実施されるハードウェア資源と、これらハードウェア資源によって具体的に実現され得るソフトウェアの情報処理とを合わせたものも含み得る。本実施形態において「情報」とは、例えば電圧・電流を表す信号値の物理的な値、0又は1で構成される2進数のビット集合体としての信号値の高低、又は量子的な重ね合わせ(いわゆる量子ビット)によって表され、広義の回路上で通信・演算が実行され得る。
【0024】
広義の回路とは、回路(Circuit)、回路類(Circuitry)、プロセッサ(Processor)及びメモリ(Memory)等を適宜組み合わせることによって実現される回路である。即ち、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等を含むものである。
【0025】
<全体構成>
図1は、本実施形態における受給者管理システムの概要図である。受給者管理システムは、サーバ1と、複数の自治体端末2と、金融データプラットフォームと、を備える。
【0026】
本実施形態において、金融データプラットフォームは、銀行のオープンAPIを介して金融データの集約を行うAPIである。本発明において利用される金融データプラットフォームは、任意のAPIであってよい。なお、本実施形態では、金融データプラットフォームを経由して口座情報を取得する構成であるが、銀行と提携することで、金融データプラットフォームを介さず、サーバ1が銀行のオープンAPIから直接口座情報の取得を行う構成であってもよい。
【0027】
<ハードウェア構成>
図2(a)に例示されるように、サーバ1は、既知または慣用のコンピュータの態様をとり、例として、演算デバイス101、主記憶デバイス102、補助記憶デバイス103、入力デバイス104、出力デバイス105、通信デバイス106およびバスインタフェースを有し、本発明が発揮する作用効果を実現する上で適宜、用いられる。
【0028】
本発明の実施形態におけるサーバ1は、1つのサーバ装置として説明するが、複数台のサーバ装置からなるコンピュータ群であってもよい。ここで、コンピュータ群は、ウェブサーバ及び/又はデータベースサーバを含んでよい。コンピュータ群の態様となる場合、あるコンピュータに、後述する各機能部の全部が備えられる必要はなく、コンピュータ群全体で、後述の機能構成要素が実現される。
【0029】
サーバ1は、本発明の一実施形態で扱われる各種情報の少なくとも一部が格納されるデータベースDBを有する。データベースDBは、上記データベースサーバであってよく、補助記憶デバイス103により構成されてよく、クラウドストレージであってよい。
【0030】
図2(b)に例示されるように、自治体端末2は、既知または慣用のコンピュータの態様をとり、例として、演算デバイス201、主記憶デバイス202、補助記憶デバイス203、入力デバイス204、出力デバイス205、通信デバイス206およびバスインタフェースを有し、本発明が発揮する作用効果を実現する上で適宜、用いられる。
【0031】
本発明の実施形態における自治体端末2は、1又は複数のコンピュータからなり、PC(Personal Computer)、スマートフォン、タブレット及びラップトップ等のような任意のコンピュータ装置を用いることを想定する。なお、本実施形態において、自治体端末2は、受給者管理システムを利用するにあたって自治体が使用する任意のコンピュータ装置であればよい。例として、自治体端末2は、自治体以外から提供されたコンピュータ装置であってもよい。
【0032】
演算デバイス101および201は、命令セットを実行可能なプロセッサである。
【0033】
主記憶デバイス102および202は、命令セットを記憶可能な揮発性メモリである。
【0034】
補助記憶デバイス103および203は、プログラム等を記録可能な記録媒体である。
【0035】
入力デバイス104および204は、意思入力が可能なインタフェースである。当該インタフェースは、キーボードやタッチパネルなどのインタフェースである。
【0036】
出力デバイス105および205は、報知を可能とするインタフェースである。当該報知は、例として、視覚的な報知である。
【0037】
通信デバイス106および206は、ネットワークのへの接続・参加を実現するための有線方式又は無線方式に基づくインタフェースを有する。
【0038】
<機能ブロック>
図3に例示されるように、サーバ1は、格納手段11と、取得手段12と、識別手段13と、判別手段14と、警告手段15と、出力処理手段16と、を有する。
【0039】
また、図3に例示されるように、自治体端末2は、出力手段21と、入力手段22と、を有する。
【0040】
図3に例示されるように、サーバ1と、自治体端末2と、は既知または慣用のネットワークNWを介して、相互に通信可能である。
【0041】
また、図示はしていないが、本実施形態では、サーバ1と、金融データプラットフォームと、は既知または慣用のネットワークNWを介して、相互に通信可能である。
【0042】
格納手段11は、受給者の登録情報1001と、当該受給者が有する1又は複数の口座を示す情報と、受給者ごとにサーバ1が生成する生成情報1002と、を対応付けてデータベースDBに格納する。
【0043】
ここで、本実施形態における登録情報1001は、生活保護受給者の氏名や受給者が設定したパスワード等を含む個人情報である。生成情報1002は、サーバ1が生成する金融データプラットフォームから口座情報を取得する為のメールアドレス及びパスワードを含む情報である。サーバ1が生成するメールアドレスは、登録情報1001に基づいて生成されてよく、サーバ1が生成するパスワードは、受給者が設定したパスワードと同一であってよい。
【0044】
口座を示す情報は、例として、金融データプラットフォームにログインする際に発行されるセキュリティ識別子であるアクセストークン等の情報を含む。本実施形態においては、金融データプラットフォームへの連携画面から金融データプラットフォームの認証ページに利用者を転送し、利用者によるログインを行わせる。この際、利用者によって入力されたパスワードやIDは、自治体が有する端末等に記憶されてよい。利用者が金融データプラットフォームへログインを行うと、金融データプラットフォームにおいて認証トークンが発行され、当該認証トークンが予め指定されたURL(コールバックURL)に送信され、サーバ1に共有される。サーバ1は、認証トークンを利用して金融データプラットフォームにログインすることでアクセストークンを獲得し、当該アクセストークンをデータベースDBに保存する。
【0045】
サーバ1は、アクセストークンを利用しAPIにリクエストを送信することで、金融データプラットフォームから特定の口座の口座情報を取得する。サーバ1は、取得した口座情報と、口座を示す情報と、を対応付けて記憶してよい。なお、本実施形態では、銀行のオープンAPIとの連携を完了した後であっても、再度認証が求められてよい。再度認証が求められた場合、利用者に再度のログイン及び認証を行わせてよく、また、上記記憶したパスワードやIDに基づき自治体の担当者がログイン及び認証を行ってもよい。
【0046】
格納手段11は更に、データベースDBに格納された登録情報1001に、受給者が所属する自治体の担当者を示す情報を対応付けてデータベースDBに記憶する。自治体の担当者を示す情報は、担当者の氏名、担当者の所属する自治体、及び、担当者のパスワードを含む情報である。
【0047】
また、金融データプラットフォームは、銀行のオープンAPIから発行されたアクセストークン、及び、口座情報等のデータを記憶する。
【0048】
なお、登録情報1001の登録は、自治体端末2で行われるものとしてよい。受給者が所属する自治体は、受給者が登録情報1001の登録を行った自治体であってよく、受給者を担当する担当者は、受給者の所属する自治体が決定してよい。
【0049】
取得手段12は、金融データプラットフォームを介して、口座情報を取得する。本実施形態において、口座情報は、銀行の各口座を監視するための情報である。例として、対象の銀行を識別するための「銀行ID」、受給者が有する口座を識別するための「口座ID」、口座に入金されている総額等の口座残高を示す「口座残高」、及び、口座を利用した取引の内容を示す「取引内容」等を含む。取引内容は、例として、入金履歴、及び、振込名義を含む。入金履歴は、例として、入金された日時を示す「入金日時」、口座に入金された金額を示す「入金額」等を含む。
【0050】
識別手段13は、取得手段12が取得した口座情報に基づき、口座に対する入金の振込名義が何れのカテゴリに属するかの識別を行う。
【0051】
判別手段14は、識別手段13が識別したカテゴリに基づき、口座に対する入金額が異常値を示すかの判別を行う。
【0052】
警告手段15は、入金額が異常値を示した場合、受給者が所属する自治体が使用する自治体端末2に対し、警告のメッセージを送信する。
【0053】
出力処理手段16は、自治体端末2からのリクエストに応じて、所定の画面を表示処理し、表示処理結果を返送する。自治体端末2は、サーバ1から受け取った情報に基づいて、種々の画面を出力手段21に表示させる。これにより、自治体端末2において、後述する種々の画面が表示される。
【0054】
出力手段21は、自治体端末2が出力デバイス205として備えており、液晶ディスプレイや有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ等を用いて構成された表示パネル及び駆動部を含むディスプレイである。
【0055】
入力手段22は、キーボード、操作ボタン、マウス、出力手段21上に設けられたタッチセンサ等の入力デバイス204を利用して、外部からなされる操作を受け付け、当該操作に応じた信号を自治体端末2に入力する。
【0056】
<情報処理手順>
図4が示すように、本発明にかかる一連の処理は以下のステップを含む。なお、図4に示される各ステップの順序は一例であり、指定がない限り適宜、当該順序は変更され得る。
【0057】
取得手段12は、金融データプラットフォームを介して、口座情報を取得する(ステップS101)。金融データプラットフォームは、銀行のオープンAPIから発行されたアクセストークンに基づいて、銀行のオープンAPIと通信を行い、口座情報を取得する。この口座情報の取得には、公知のスクレイピングや、銀行API等の技術が用いられる。当該口座情報の取得は、1日に一度定められた時間に行われるが、自治体端末2を介した自治体の担当者からの要求に応じて行われてもよい。
【0058】
ここで、金融データプラットフォームが取得した口座情報は、生成情報1002と対応付けてサーバ1に送信されてよく、また、口座を示す情報と対応付けてサーバ1に送信されてよい。
【0059】
識別手段13は、取得した口座情報に基づき、振込名義のカテゴリの識別(自動仕訳)を行う(ステップS102)。本実施形態において、識別手段13による自動仕訳は、図5(a)又は図5(b)に示されるフローチャートの手順に沿って行われる。なお、本実施形態における自動仕訳の手順を示すフローチャートは一例であり、振込名義から自動仕訳が可能な方法であれば、下記の2つ以外の手法を採用してもよい。また、ステップS102において提示されるカテゴリは、1つの振込名義に対して複数提示されてもよい。
【0060】
本実施形態において、カテゴリは、受給者が有する口座に対する入金が、どのような名目で行われたかを示す分類科目である。例として、「就労による収入(基本給、残業代、諸手当など)」、「農業や自営業の収入」、「臨時アルバイトや不安定就労による収入(月額15,000円を超えるもの)」、「仕送り、贈与、財産収入」、及び、「不動産又は動産の処分による収入、保険料等の臨時収入」等の定義が予め設定されている。なお、上記カテゴリは一例であり、自治体ごとに設定されるカテゴリが異なってもよい。
【0061】
また、本実施形態においてサーバ1は、カテゴリと、カテゴリごとにおける閾値と、を対応付けて記憶してよく、当該閾値は予め定められた任意の値であってよい。
【0062】
また、受給者管理システムでは、自動仕訳に加えて、自動仕訳とは異なるカテゴリアルゴリズムを同時に実行してカテゴリの識別を行うことで、自動仕訳の結果をカテゴリアルゴリズムで検証する手法を採用してもよい。本実施形態におけるカテゴリアルゴリズムは、キーワード対応表に基づいた自動仕訳や機械学習モデルに基づいたカテゴリの識別であってよく、金融データプラットフォーム等の外部のAPIが有する機械学習モデルによるカテゴリの識別であってよい。また、本実施形態において、自動仕訳とは異なるカテゴリアルゴリズムは、受給者以外の住民の口座情報である学習用のデータセットや、仮想的に作成したデータセットによって学習を行ってよい。なお、自動仕訳によるカテゴリの識別と、カテゴリアルゴリズムによるカテゴリの識別と、が異なる結果を示した場合、自動仕訳による識別の結果が優先される。この場合、後述の入金詳細表示部0w2Bにおいてカテゴリの表示が行われる際、識別手段13におけるカテゴリの識別精度が低いことを示し、自治体の担当者の目視による確認を促してもよい。
【0063】
<キーワード対応表に基づいた自動仕訳>
図5(a)は、キーワード対応表に基づいた自動仕訳の手順を示すフローチャートである。
【0064】
識別手段13は、振込名義に含まれる文字列(テキストデータ)の自然言語処理を行うことで語句に分割し、キーワードを抽出する(ステップS201)。当該自然言語処理は、Wecab(登録商標)を一例とする形態素解析エンジンを用いて行われる。ここで、形態素解析とは、自然言語で書かれた文を形態素(言語で意味を持つ最小単位)に分割する、コンピュータによる自然言語処理技術である。このような形態素解析については、分析情報を生成する。
【0065】
識別手段13は、ステップS201で抽出したキーワードを優先順位順に並び替える(ステップS202)。なお、各キーワードの優先順位は、予め定められた順位の設定に基づく。
【0066】
識別手段13は、予め定められたキーワード対応表に応じてカテゴリの予測を行う(ステップS203)。カテゴリが自治体ごとに設定される場合、キーワードの優先順位及びキーワード対応表も同様に、自治体ごとに設定される。
【0067】
識別手段13は、ステップS203で行われたカテゴリの予測に基づき、銀行口座に対する入金のカテゴリの識別を行う(ステップS204)。本発明において、識別手段13は、優先順位の最も高いキーワードに対応するカテゴリを入金のカテゴリとしてよく、優先順位の高いキーワードの中から複数選択し、選択されたキーワードに対応するカテゴリを入金のカテゴリとしてよい。また、優先順位の高い複数のキーワードが同じカテゴリと対応する場合、当該カテゴリを入金のカテゴリとしてもよい。例として、最も優先順位の高いキーワードがAのカテゴリと対応しており、また、優先順位が2番目と3番目に高いキーワードがBのカテゴリと対応していた場合、Bのカテゴリを入金のカテゴリとしてよい。
【0068】
<機械学習モデルに基づいたカテゴリの識別>
図5(b)は、機械学習モデルに基づいたカテゴリの識別手順を示すフローチャートである。
【0069】
識別手段13は、振込名義に含まれる文字列(テキストデータ)の自然言語処理を行うことで語句に分割し、キーワードを抽出する(ステップS301)。
【0070】
識別手段13は、ナイーブベイズを用いた機械学習モデルによる予測分類を行う(ステップS302)。本実施形態においては、受給者管理システム全体でカテゴリの設定がされており、機械学習は受給者管理システム全体で行われる。なお、自治体ごとにカテゴリの設定がされる場合、機械学習は自治体ごとに行われる。
【0071】
本実施形態では、入金が行われる際に入力されることが想定される振込名義を用意し、「ナラシヤクショ」や「コクミンネンキンジムショ」等の振込人名義を入力値とし、「雇用保険」や「国民年金」等のカテゴリを出力値とする教師データにより上記機械学習モデルの生成を行う。また、上記教師データは、例として、上記振込人名義と上記振込名義人による振込額のセットを入力値とし、「雇用保険」や「国民年金」等のカテゴリを出力値としてもよい。機械学習モデルは、振込名義ごとにおける生活保護申請カテゴリの出現率の計算と、カテゴリごとに用いられる振込名義中の単語の出現率の計算と、を行う。前記計算を行った確率に基づき、振込名義と対応するカテゴリの中で、最も対応する確率が高いカテゴリを決定する。
【0072】
識別手段13は、ステップS302で行われたカテゴリの予測に基づき、銀行口座に対する入金のカテゴリの識別を行う(ステップS303)。
【0073】
判別手段14は、入金額が異常値であるか否かを判断する(ステップS103)。この際、判別手段14は、同一の銀行口座に対する他の入金と比較して、入金額が異常値であるかを判断してよい。例として、他の入金の中で最も大きい額と比較して桁が1つ大きい入金であった場合、5割以上大きな額の入金であった場合、及び、予め定められた金額よりも大きな入金額であった場合等に、当該入金額が異常値であると判断してよい。また、識別手段14は、識別手段13が識別したカテゴリに基づき入金額が異常値であるか否かを判断してもよい。このとき、判別手段14は、入金額と、カテゴリと対応付けて記憶される閾値と、を対比し、入金額が閾値よりも高い値であった場合、異常値であると判断してよい。
【0074】
サーバ1は、ステップS103において、入金額が異常値でないと判断された場合、情報処理を終了する。
【0075】
警告手段15は、ステップS103において、入金額が異常値であると判断された場合、口座を有する受給者が所属する自治体の自治体端末2への警告を行う(ステップS104)。警告手段15が自治体端末2への警告を行った後、サーバ1は情報処理を終了する。なお、本実施形態における警告は、閾値を超える額の入金が行われた口座を有する受給者の担当者に対し、当該入金に関する詳細の確認を促すための通知を示す。
【0076】
担当者は、図6の被保護者リスト表示画面0w1から、受給者を指定することで、口座明細表示画面0w2を表示させることができる。
【0077】
<被保護者リスト表示画面の表示例>
図6に例示されるように、出力手段21、自治体の担当者に対応付けて記憶された受給者の一覧である被保護者リスト表示画面0w1を表示する。被保護者リスト表示画面0w1では、警告が行われた口座を有する受給者が、他の受給者と異なる態様で表示された視覚的に分かりやすい形で表示されてよい。例として、受給者の氏名の色を入金額が異常値ではないと判断された口座のみを有する受給者とは別の色で表示する、受給者の氏名の横に警告が行われたことを示すマークを表示する、等である。
【0078】
被保護者リスト表示画面0w1では、自治体の担当者に対応付けて登録された受給者を、受給者の氏名に基づいて検索し、一覧形式での表示を行うことができる。また、受給者の登録日や口座明細表示画面0w2の更新日に基づいて表示を行うことができる。また、自治体端末2は、被保護者リスト表示画面0w1に表示される編集ボタン又は削除ボタンを押下することで、対応する受給者に関連する情報の編集又は削除を行うことができる。
【0079】
自治体端末2が、入力手段21を介して受給者の氏名を指定すると、サーバ1は、受給者の氏名と対応する口座情報を取得し、口座情報や判別手段14による異常値の判別の結果等に基づき、口座明細表示画面0w2の表示処理を行い、表示処理結果を自治体端末2に返送する。
【0080】
<口座明細表示画面の表示例>
図7に例示されるように、出力手段21は、過去の月における入金合計や画面表示時における入金残高を表示するための入金残高表示部0w2Aと、振込名義、入金額、入金が行われた日付及びカテゴリ等の情報を表示するための入金詳細表示部0w2Bと、入金や自治体担当者による対応が行われた日時や詳細等を表示するための口座動向表示部0w2Cと、を含む口座明細表示画面0w2の表示を行う。入金残高表示部0w2Aは、入力手段22を介して、登録情報1001と対応付けられたインターネットバンキング情報1003の削除や、受給者の登録情報1001に対し、受給者が有する他の口座に関するインターネットバンキング情報1003を対応付けることができる。また、入金残高表示部0w2Aでは、過去の月における入金合計が全件表示されてよく、単月や指定された期間内における各月の入金合計が表示されてよい。入金詳細表示部0w2Bは、入金が行われた期間を指定して表示することができる。なお、口座動向表示部0w2Cにおいて表示される情報は、入金残高表示部0w2Aと、入金詳細表示部0w2Bと、において表示されてよく、その場合、口座明細表示画面0w2は口座動向表示部0w2Cを含まなくてよい。また、口座明細表示画面0w2は、口座動向表示部0w2Cにおいて表示される情報を含まなくてもよい。
【0081】
口座明細表示画面0w1では、異常値と判断された入金について、異常値と判断されていない入金とは異なる色で表示されてよく、また、当該入金が異常値を示している旨の記載を表示してよい。
【0082】
<実施形態2>
以下、本発明の実施形態2に係る受給者管理システムについて説明する。なお、実施形態1と同様の構成については、同様の符号を付してその説明を省略する。
【0083】
<全体構成>
図8に例示されるように、実施形態2における受給者管理システムは、サーバ1と、自治体端末2と、OCR(光学文字認識)と、を備える。本実施形態において、OCRは自治体端末2が取得した画像中の文字をテキスト化する外部のAPIであってよい。
【0084】
また、実施形態1における銀行のオープンAPIを介した口座情報の取得は、本実施形態においても同様に行われてよい。
【0085】
<ハードウェア構成>
図9に例示されるように、自治体端末2は、既知または慣用のコンピュータの態様をとり、例として、演算デバイス201、主記憶デバイス202、補助記憶デバイス203、入力デバイス204、出力デバイス205、通信デバイス206、撮像デバイス207およびバスインタフェースを有し、本発明が発揮する作用効果を実現する上で適宜、用いられる。
【0086】
撮像デバイス207は、撮像処理を可能とするような既知のイメージセンサである。
【0087】
<機能ブロック>
図10に例示されるように、サーバ1は、格納手段11と、取得手段12と、識別手段13と、判別手段14と、警告手段15と、出力処理手段16と、出力手段17と、入力手段18と、を有する。
【0088】
また、図10に例示されるように、自治体端末2は、出力手段21と、入力手段22と、撮像手段23と、を有する。
【0089】
出力手段17は、サーバ1が出力デバイス105として備えており、液晶ディスプレイや有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ等を用いて構成された表示パネル及び駆動部を含むディスプレイである。
【0090】
入力手段18は、キーボード、操作ボタン、マウス、出力手段17上に設けられたタッチセンサ等の入力デバイス104を利用して、外部からなされる操作を受け付け、当該操作に応じた信号をサーバ1に入力する。
【0091】
撮像手段23は、受給者が所属する自治体の担当者による自治体端末2に対する操作に応じて、当該受給者が有する通帳の撮像処理を行う。ここで、当該撮像処理にかかる通帳の寸法、解像度及びポストエフェクトに制限はない。
【0092】
<情報処理手順>
図11が示すように、本発明にかかる一連の処理は以下のステップを含む。なお、図11に示される各ステップの順序は一例であり、指定がない限り適宜、当該順序は変更され得る。
【0093】
撮像手段23は、受給者が有する通帳の撮像処理を行い、入出金明細が印字された通帳の画像を取得する(ステップS401)。本実施形態では、当該通帳の全てのページの撮像処理を行うものとするが、前回撮像処理を行った後に印字されたページのみ撮像処理を行ってもよい。
【0094】
自治体端末2は、ステップS401で取得した通帳の画像をサーバ1へ送信する(ステップS402)。
【0095】
サーバ1は、ステップS402で受信した通帳の画像をOCRに送信する。OCRは、受信した画像に写る入出金明細を含む情報のテキスト化を行う(ステップS403)。本実施形態においては、通帳の全てのページの撮像処理を行うことから、当該テキスト化された情報は、受給者が利用する銀行の統一金融機関コード、店番号、口座番号、及び、入出金明細等を含んでいる。そのため、本実施形態におけるテキスト化された情報は、銀行の各口座を監視するための情報であり、実施形態1における口座情報と等しいものである。
【0096】
明細入力者は、入力手段18を介して、ステップS403でテキスト化された情報の入力を行う(ステップS404)。明細入力者は、当該入力された情報と、受給者の登録情報1001と、を対応付けてデータベースDBに記憶してよい。また、サーバ1は、明細入力者が入力した情報に口座番号や受給者の氏名等が含まれていた場合、データベースDBに記憶されている登録情報1001から、入力された情報と対応付けて記憶され得る受給者の候補を1又は複数提示してよい。明細入力者は、提示された候補の中から、受給者を選択する。サーバ1は、当該選択された受給者の登録情報1001と、上記入力された情報と、を対応付けてデータベースDBに記憶する。本実施形態において、明細入力者は、出力手段17上に表示されるテキスト化された入出金明細の入力を、入力手段18を介して行う者である。なお、本実施形態では、OCRによって撮像された通帳の画像に写る入出金明細のテキスト化を行うが、OCRに代えて、明細入力者による目視での画像の確認によって、通帳に印字された入出金明細のテキスト化を行ってもよい。
【0097】
本実施形態では、ステップS404で情報の入力が行われた後、実施形態1と同様に、ステップS102以降の情報処理が行われてよい。当該入力された情報には、口座情報と同様にカテゴリの識別や異常値の判別が行われてよい。
【0098】
本発明によれば、自治体担当者に対し口座情報に基づいた出力を行うことにより、不正受給が疑われる振込の発見の支援にかかる新規な技術を提供することができる。
【符号の説明】
【0099】
1 :サーバ
2 :自治体端末
101 :演算デバイス
102 :主記憶デバイス
103 :補助記憶デバイス
104 :入力デバイス
105 :出力デバイス
106 :通信デバイス
201 :演算デバイス
202 :主記憶デバイス
203 :補助記憶デバイス
204 :入力デバイス
205 :出力デバイス
206 :通信デバイス
207 :撮像デバイス
11 :格納手段
12 :取得手段
13 :識別手段
14 :判別手段
15 :警告手段
16 :出力処理手段
17 :出力手段
18 :入力手段
21 :出力手段
22 :入力手段
23 :撮像手段

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11