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特許7289444デッキボード用ストラップおよびこれを備えるデッキボード
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-02
(45)【発行日】2023-06-12
(54)【発明の名称】デッキボード用ストラップおよびこれを備えるデッキボード
(51)【国際特許分類】
   B60R 5/04 20060101AFI20230605BHJP
   F16B 2/22 20060101ALI20230605BHJP
【FI】
B60R5/04 T
F16B2/22 C
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019040854
(22)【出願日】2019-03-06
(65)【公開番号】P2020142653
(43)【公開日】2020-09-10
【審査請求日】2022-01-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000244280
【氏名又は名称】盟和産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】魚川 龍
【審査官】瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-123989(JP,A)
【文献】特開2017-094801(JP,A)
【文献】特開2016-011003(JP,A)
【文献】特開2010-052638(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102015116481(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 5/00
F16B 2/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納室の上部開口を開閉可能に覆うデッキボードに用いられ、前記収納室の上部開口を開閉可能に覆う板状のボード本体の裏面端部に配設されて、該ボード本体の開放姿勢を保持するためのデッキボード用ストラップであって、
ストラップロープと、該ストラップロープの基端部を自身に固定するとともに自身が前記ボード本体に固定されるブラケットと、を備え、
前記ストラップロープは、前記ブラケットに固定される基端部と、前記開放姿勢を保持する際の掛け止め部となる環状部と、該環状部と前記基端部との間を繋ぐ長尺紐状で可撓性を有する延設部と、が一のロープ部材から構成されてなり、
前記ブラケットは、前記ストラップロープの基端部を自身に固定する固定部と、前記ストラップロープの延設部を巻回してその状態を保持するための掛止部と、前記ストラップロープの環状部を挟み込み可能な挟持部と、前記ボード本体裏面の装着位置に自身を固定するための装着部と、を有し、
前記挟持部は、前記延設部全体を前記掛止部に巻回したときに、当該挟持部に前記環状部を挟み込み可能な位置に設けられて、前記ストラップロープを前記ブラケットに収納可能に構成されていることを特徴とするデッキボード用ストラップ。
【請求項2】
前記掛止部は、前記ブラケットの両側に設けられるとともに、各掛止部に、前記延設部の巻回状態を保持するように、前記ボード本体裏面との対面方向での移動を拘束する折返部が形成されている請求項1に記載のデッキボード用ストラップ。
【請求項3】
前記掛止部は、前記ブラケットの片側に設けられるとともに、該掛止部に、前記延設部の巻回状態を保持するように、前記ボード本体裏面との対面方向での移動を拘束する折返部が形成されている請求項1に記載のデッキボード用ストラップ。
【請求項4】
前記ストラップロープの基端部は、前記ブラケットの固定部にインサート成形されている請求項1~3のいずれか一項に記載のデッキボード用ストラップ。
【請求項5】
前記ストラップロープは、前記一のロープ部材を二等分にしてヘアピン状に折り返すことにより前記延設部が二筋のロープによって構成され、該折り返された部分が、前記環状部とされ、該折り返された二筋のロープ両端の部分それぞれが、前記基端部とされている請求項1~4のいずれか一項に記載のデッキボード用ストラップ。
【請求項6】
前記ストラップロープは、前記延設部が一筋のロープによって構成され、前記延設部の一端側が、該一端側の端部近傍を、環状をなすように折り返して前記環状部が形成され、前記延設部の他端が、前記基端部とされている請求項1~4のいずれか一項に記載のデッキボード用ストラップ。
【請求項7】
車室内に設けられた収納室の上部開口を開閉可能に覆うデッキボードにおいて、
前記収納室の上部開口を開閉可能に覆う板状のボード本体と、該ボード本体の裏面端部に配設されて該ボード本体の開放姿勢を保持するためのストラップと、を備えるデッキボードであって、
前記ストラップとして、請求項1~6のいずれか一項に記載のデッキボード用ストラップを有することを特徴とするデッキボード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の荷室等に設けられる収納室の上部開口を開閉可能に覆うデッキボードに用いられ、デッキボードの開放姿勢を保持するためのストラップに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のストラップとして、例えば特許文献1には、デッキボード本体の剛性を向上させる補強用凹部に、フックを収納可能なフック収納部を形成したデッキボードが開示されている。同文献記載の技術では、デッキボードにヒモを介して連結されたS字フックが、デッキボードの裏面側に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-91644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、同文献記載のデッキボードは、車両後部に配置された状態において、ヒモが収納室に垂れ下がって収納物に引っ掛かる場合があり、デッキボードの開閉をスムーズに行えない場合があるという問題がある。
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、部品点数を削減するとともに、収容性に優れたデッキボード用ストラップおよびこれを備えるデッキボードを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係るデッキボード用ストラップは、収納室の上部開口を開閉可能に覆うデッキボードに用いられ、前記収納室の上部開口を開閉可能に覆う板状のボード本体の裏面端部に配設されて、該ボード本体の開放姿勢を保持するためのデッキボード用ストラップであって、ストラップロープと、該ストラップロープの基端部を自身に固定するとともに自身が前記ボード本体に固定されるブラケットと、を備え、前記ストラップロープは、前記ブラケットに固定される基端部と、前記開放姿勢を保持する際の掛け止め部となる環状部と、該環状部と前記基端部との間を繋ぐ長尺紐状で可撓性を有する延設部と、が一のロープ部材から構成されてなり、前記ブラケットは、前記ストラップロープの基端部を自身に固定する固定部と、前記ストラップロープの延設部を巻回してその状態を保持するための掛止部と、前記ストラップロープの環状部を挟み込み可能な挟持部と、前記ボード本体裏面の装着位置に自身を固定するための装着部と、を有することを特徴とする。
【0006】
また、上記課題を解決するために、本発明の一態様に係るデッキボードは、車室内に設けられた収納室の上部開口を開閉可能に覆うデッキボードにおいて、前記収納室の上部開口を開閉可能に覆う板状のボード本体と、該ボード本体の裏面端部に配設されて該ボード本体の開放姿勢を保持するためのストラップと、を備えるデッキボードであって、前記ストラップとして、本発明の一態様に係るデッキボード用ストラップを有することを特徴とする。
【0007】
本発明の一態様に係るデッキボード用ストラップによれば、ストラップロープ自身によって開放姿勢を保持する際の掛け止め部となる環状部がロープ先端に形成されているので、例えば後部座席の背面の係合部に対して、ストラップロープ先端の環状部を容易に着脱可能であり、S字フックを廃止して部品点数を削減できる。
そして、本発明の一態様に係るデッキボード用ストラップによれば、ストラップロープの延設部をブラケットの掛止部に巻回させ、挟持部により環状部を挟み込んで保持できる。これにより、本発明によれば、ストラップロープにおける延設部が垂れ下がらずにブラケットに対してその周囲に巻回保持できる。そのため、見栄えを損なうことがなく、また、ストラップが収納室からの荷物の出し入れ等の邪魔になることもない優れた収容性を奏する。
【発明の効果】
【0008】
上述のように、本発明によれば、部品点数を削減するとともに、収容性に優れたデッキボード用ストラップおよびこれを備えるデッキボードを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一態様に係るデッキボードを後部座席後方の荷室内に装備した車室の一実施形態を説明する模式的側面図である。
図2図1のデッキボードを裏面側上方から見た斜視図である。
図3図2のA部拡大図である。
図4図1のデッキボードに装備されるストラップの斜視図であり、同図(a)は、ストラップロープを引き出した展開状態を示し、同図(b)はストラップロープをブラケットに巻回した収容状態を示している。
図5】本発明の一態様に係るストラップの第一変形例を説明する斜視図である。
図6】本発明の一態様に係るストラップの第二変形例を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。なお、図面は模式的なものである。そのため、厚みと平面寸法との関係、比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記の実施形態に特定するものではない。
【0011】
図1に示すように、車両の後部に設けられた荷室1には、後部座席2後方のフロア3に、収納室4が設けられている。収納室4は、中空直方体状の箱型に形成されており、収納室4の上部は開口部4tになっている。
また、車室内における収納室4の上方には、後部座席2の背面の上部の位置に、鉤状の係合部(フック部)5が固定されている。なお、係合部5は、いわゆるレジ袋を掛け置くための掛け置き部としても使用できるように、軽量の荷を入れたレジ袋を掛け置き可能な大きさと強度とを有する。
ここで、本実施形態のデッキボード10は、収納室4の上部の開口部4tを覆うものである。デッキボード10は、同図に示すように、略矩形板状のボード本体12と、ボード本体12の裏面の上端部に設けられたストラップ20と、を有する。
【0012】
ボード本体12は、図2に単体の斜視図を示すように、表裏2枚の部材からなる合成樹脂製基材(PP)からブロー成形により中空状に形成されている。なお、ボード本体12の内部に、発泡体を介在させたり、適所に補強用の金属部材を配置したりしてもよい。
これにより、ボード本体12は、強度を低下させることなく軽量化及び製造コストの低下を実現している。ボード本体12の上面には、不織布等からなる表皮材が全面に貼着され、デッキボード10の意匠性及び美感の向上が図られている。
【0013】
ボード本体12の基端部には、複数の溝部が間隔をおいて幅方向の適所に形成され、図1に示すように、ヒンジ11によって収納室4の奥側の上縁部に連結される。ボード本体12はこのヒンジ11を中心として、ボード本体12と平行な平面よりも上方に回動可能となっている。使用者は、ボード本体12を開放させるだけで収納室4内の荷物の出し入れを行うことができる。
ストラップ20の配設位置の裏側上縁部には、デッキボード10を開閉させる際に使用者に把持される取手となる把持部14(図1参照)が、凹の段部によって幅方向に形成され、使用者によるデッキボード10の移動の作業性を向上させている。
【0014】
また、ボード本体12の上面先端部分には、荷物をデッキボード10上に載せた状態で、車両のバックドアを開けた時に、荷物が車両の後ろ側に落ちないようにするための傾斜面15が形成されている。
ストラップ20は、図3にボード本体12の先端要部を拡大図示するように、ボード本体12の裏面上側の中央右寄り部分に、ボード側凹部13が形成され、このボード側凹部13にブラケット30が設けられている。
【0015】
次に、図4図6を適宜参照して、ストラップ20について詳しく説明する。
ストラップ20は、長尺紐状(ロープ状)のロープ部材であるストラップロープ21と、ストラップロープ21の基部に設けられたブラケット30と、を有する。
ブラケット30は、熱可塑性樹脂からなる射出成形品である。ブラケット30の材質としては、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、ポリカボネート(PC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、高密度ポリスチレン(HPS)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリエステル、ポリアセタール(POM)、ポリアミド(PA)などが適用可能である。
【0016】
図3に示したように、デッキボード10の裏面には、ブラケット30を装着するために、矩形状に凹むボード側凹部13が形成されているが、ブラケット30は、ボード側凹部13の内部に収容可能な大きさに形成されている。
ブラケット30は、図4に示すように、ボード側凹部13の底面に装着されるベース面部31を有する。ベース面部31には、ベース面部31の左右に離隔した二箇所に固定穴32が装着部として設けられ、二箇所の固定穴32が不図示のリベットによってデッキボード10のボード側凹部13に固定されて装着される。
【0017】
ここで、本実施形態のストラップ20では、ブラケット30に対してストラップロープ21をデッキボード10の右寄り且つ時計周りに巻回する使用態様である。これに対し、本実施形態では、図3に示すように、ボード側凹部13へのブラケット30の装着位置は、向かって右側が広くなるように、ボード側凹部13の左寄りに偏倚した位置に装着されて左右非対称になっている。
これにより、本実施形態のストラップ20は、ブラケット30に対してストラップロープ21をデッキボード10の右寄り且つ時計周りに巻回するに際し、右利き用としての操作性および利便性が高く、また、使用者に対して収容方向の示唆を与えることができる。
【0018】
特に、本実施形態のストラップ20は、一本のストラップロープ21によって二筋の延設部23が構成されている。詳しくは、ストラップロープ21は、一般的に使用されている、ポリプロピレン(PP)製の素材が織り込まれて形成された長尺紐状の可撓性を有する一のロープ部材からなる。本実施形態では、ストラップロープ21は、直径が約φ5mm程度のロープ部材を材質としている。但し、ストラップロープ21の材質や直径はこれに限らず、長尺紐状に形成された可撓性を有するロープ部材であれば、ナイロン等、他の材質を用いてもよい。
【0019】
そして、本実施形態では、ストラップロープ21は、その一のロープ部材が全長の中央の位置で二等分にしてヘアピン状に折り返され、ストラップロープ21全体が環状(ループ状)とされている。これにより、延設部23が二筋のロープによって構成されるとともに、ストラップロープ21が折り返されたヘアピン状の端の部分(自由端側の先端)が環状部24とされている。
【0020】
さらに、折り返された二筋の延設部23の両端部分それぞれが基端部22とされ、各基端部22がブラケット30の固定部33にインサート射出成形で固定されている。なお、ストラップロープ21の基端部22の位置において、ブラケット30の各固定部33に矩形状の穴が形成されているのは、インサート射出成形時に、ストラップロープ21の各基端部22を型で挟むために形成されたものである。
【0021】
これにより、本実施形態では、ストラップロープ21の2箇所の基端部22が、基部となるブラケット30に固定され、ストラップロープ21の環状部24は、ストラップロープ21の2箇所の基端部22をブラケット30に固定することにより、ストラップロープ21の先端側にループ状の環状部24を形成している。
そして、ブラケット30は、図2に示すように、ストラップロープ21の自由端側先端の環状部24が外側上方に延びるように、ボード本体12の裏面の外側端部に対してリベットによってデッキボード10のボード側凹部13に固定される。
【0022】
ここで、本実施形態のブラケット30には、図4(a)に示すように、ストラップロープ21の延設部23を巻回してその状態を保持するための掛止部34と、ストラップロープ21の環状部24を挟み込み可能な凸状をなす2つの挟持部38,39と、が設けられている。
そして、本実施形態のストラップロープ21は、上述のように、長尺紐状に形成された可撓性を有するロープ部材なので、ブラケット30の掛止部34に対して延設部23が巻回自在となっている。
【0023】
本実施形態では、掛止部34は、ブラケット30の片側に設けられるとともに、掛止部34に、ストラップロープ21の延設部23の巻回状態を保持するように、ボード本体12の裏面との対面方向での移動を拘束する折返部35が形成されている。
本実施形態のブラケット30においては、図4(b)に示すように、使用者が、ブラケット30の外周に対し、時計回りの側からストラップロープ21の延設部23を掛止部34に回し込み、掛止部34を用いてストラップロープ21を掛止部34に引っ掛ける。
【0024】
さらに、延設部23を掛止部34に巻回した後に、2つの挟持部38,39を用いて、先端に環状部24を構成する二筋の延設部23それぞれを、2つの挟持部38,39同士の間と、挟持部38とこれに隣り合う固定部33との間に挟み込むことで、ストラップ20をブラケット30に収納可能になっている。
なお、2つの挟持部38,39相互の対向面と、挟持部38とこれに隣り合う固定部33との対向面には、複数の凹凸の段が形成され、網紐からなるロープへの挟持時の保持力がより確実に保持されるようになっている。
【0025】
特に、本実施形態において、ストラップロープ21の延設部23の長さ、および、ブラケット30の掛止部34の幅方向の寸法、並びに、2つの挟持部38,39の配置位置は、延設部23を掛止部34に巻回したときに、端部の環状部24が、丁度ぴったり2つの挟持部38,39による挟持位置に位置する長さに設定されている。
これにより、本実施形態のストラップ20によれば、ストラップロープ21が垂れ下がることなくブラケット30にストラップロープ21を収容した時の見栄えが良く、また、簡単な構成によって、ブラケット30の外周に沿った収容状態を確実に保持可能になっている。
【0026】
次に、本実施形態のストラップ20の使用方法について説明する。
上述したように、デッキボード10のボード本体12裏面には、長尺紐状のストラップ20が配設され、ストラップ20の自由端側に環状部24が形成され、基端部22がブラケット30に固定されてボード本体12裏面に繋がっている。
そのため、デッキボード10の姿勢を開放姿勢Hで保持する場合には、使用者は、環状部24をブラケット30から巻回状態を手で解いて引き出し(図4(a))、図1に示すように、ストラップ20の延設部23を上方に引き延ばす。
【0027】
そして、同図に示すように、収納室4の上方には、ストラップ20の延設部23の長さに整合させた位置に、鉤状の係合部(フック部)5が設けられているので、使用者は、環状部24を係合部5に手で直接係合させることで、デッキボード10の姿勢を開放姿勢Hに容易に保持できる。
また、環状部24と係合部5との係合による張設の支持状態は緩く、重力による姿勢保持なので、開放姿勢Hで姿勢が保持されているデッキボード10に何らかの力が加えられた場合でも、ストラップ20や係合部5等が破損する前に、係合部5から環状部24が容易に外れるため破損を防止できる。
【0028】
このように、本実施形態のストラップ20によれば、使用者は、ストラップ20の環状部24を、後部座席2の背面の鉤状の係合部5に手で引っ掛けて係合させれば、容易にストラップ20を張設してデッキボード10の開口姿勢Hを保持できる。これにより、デッキボード10を開いた状態を保持して、収納室4に収められている工具や荷物等の収納物を出し入れ可能に開口状態を保持できる。
【0029】
さらに、本実施形態のストラップ20によれば、長尺紐状のストラップロープ21をボード本体12裏面に取付けるだけの簡素な構成である。そのため、デッキボード10の姿勢を開放姿勢Hに保持する場合には、デッキボード10を開いた時に、ブラケット30からストラップロープ21の巻回状態を外して、ストラップ20先端の環状部24を後部座席2の係合部5に掛けることでデッキボードの開放姿勢Hを保持できる。よって、部品点数が少なく、必要な機能を安価に装備できる。
【0030】
また、本実施形態のストラップ20によれば、デッキボード10の姿勢を開放姿勢Hに保持しない場合には、使用者は、図1に符号Mを付した破線で示すように、ストラップ20先端の環状部24を係合部5から手で取り外す。
そして、使用者は、デッキボード10のボード本体12裏面に設けられたブラケット30の周囲に、掛止部34を用いてストラップロープ21の延設部23を巻回するとともに、2つの挟持部38,39を用いて環状部24を挟み込んで保持して、図4(b)に示した収容状態とする。
【0031】
次いで、使用者は、ボード本体12を、図1に符号Tを付した破線で示すように閉じることで、収納室4を閉止姿勢Tにすれば、ストラップ20をブラケット30の周囲にコンパクトに収納できるとともに、その状態で閉止姿勢Tにできる。そのため、デッキボード10の閉止時にストラップ20が垂れ下がることなく収容状態が保持される。
これにより、本実施形態のストラップ20によれば、ストラップロープ21における延設部23が垂れ下がらずにブラケット30に対してその周囲に巻回保持されるので、見栄えを損なうことがなく、また、ストラップ20が収納室4からの荷物の出し入れ等の邪魔になることもない。よって、デッキボード用ストラップとして収容性に優れている。
【0032】
また、本実施形態のストラップ20によれば、ストラップロープ21は、延設部23がブラケット30からボード本体12の外側に向けて上方に延びるように固定されているので、デッキボード10を収納室4の側に閉じる際に、デッキボード10の裏面と収納室4の上部周縁との間にストラップロープ21が挟まり難くなっている。
そして、本実施形態のストラップ20によれば、ストラップロープ21の環状部24は、ブラケット30の装着位置が、デッキボード10のボード本体12の裏面上縁部の近傍に位置している。
【0033】
そのため、デッキボード10が収納室4に対し閉止姿勢Tにある状態であっても、使用者は、環状部24ないし延設部23または把持部15を把持してデッキボード10を容易に引き起こすことができる。
さらに、本実施形態のストラップ20によれば、ストラップロープ21が一のロープ部材を二等分にしてヘアピン状に折り返すことにより延設部23が二筋のロープによって構成され、折り返された部分がループ状になって環状部24を構成しているため、使用者は、環状部24を手で持って巻回状態を解いて環状部24を容易に把持できる。
【0034】
以上説明したように、本実施形態のデッキボード10によれば、ストラップ20が、可撓性を有する長尺紐状のロープ部材からなる1つのストラップロープ21と、このストラップロープ21をブラケット30の周囲に巻回保持可能に構成されたブラケット30と、によって構成している。
そのため、デッキボード10の構成部品点数を削減して製造コストを低下させるとともに、ストラップ20によって、ボード本体12の開放姿勢Hでの姿勢保持を容易に行うことができる上、ボード本体12の開閉作業性とストラップ20の収容性に優れている。
【0035】
なお、本発明に係るデッキボード用ストラップおよびこれを備えるデッキボードは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しなければ種々の変形が可能である。
例えば、上記実施形態では、デッキボード10の裏面に1つのストラップ20を配設した例を示したが、これに限らず、ストラップ20の配設位置や数は適宜変更が可能である。
つまり、係合するフック部5との対向距離等に応じて、ストラップロープ21の長さを適宜変更可能である。また、この場合において、ストラップロープ21の延設部23が長尺であれば、ブラケット30の周囲への巻回数についても、一重巻に限定されず、二重に巻回するように構成してもよい。
【0036】
具体的には、図5に第一変形例を示すように、第一変形例のストラップ20は、第二の掛止部36が追加されることで、ブラケットの両側に掛止部34、36が設けられるとともに、各掛止部34、36に、延設部23の巻回状態を保持するように、ボード本体12の裏面との対面方向での移動を拘束する折返部35,37がそれぞれに形成されている。このような構成であれば、より長尺な延設部23を有するストラップ20を巻回するような場合に好適である。
【0037】
また、上記実施形態では、環状部24のループ形状が、ストラップロープ21全体を二等分にしてヘアピン状に折り返すことにより二筋の延設部23の先端部分によって形成される例を示したが、これに限らず、使用者がブラケット30に係合しやすい環状部分を有する形状とすれば、ストラップロープ21全体によるループ状に限るものではない。
例えば、図6に第二変形例を示すように、ストラップロープ21の先端部のみを折り返すことにより環状に形成して環状部24を構成してもよい。
つまり、同図に示す第二変形例では、ストラップロープ21は、延設部23が一筋のロープによって構成されている。
【0038】
そして、その一筋の延設部23の一端側が、この一端側の端部近傍を環状に折り返すとともに、その折り返した部分を、固定具25を用いて延設部23の一端側近傍で固定している。これにより、第二変形例では、一筋の延設部23の先端に環状部24が形成され、延設部23の他端が一の基端部22とされている。この第二変形例の構成によっても、上記実施形態同様の作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 荷室
2 後部座席
3 フロア
4 収納室
5 係合部(フック部)
10 デッキボード
11 ヒンジ
12 ボード本体
13 ボード側凹部
14 把持部
15 傾斜面
20 ストラップ
21 ストラップロープ
22 基端部
23 延設部
24 環状部
25 固定具
30 ブラケット
31 ベース面部
32 固定穴(装着部)
33 基端部インサート用の固定部
34 延設部巻回用の(第一の)掛止部
35 掛止部の先端の(第一の)折返部
36 延設部巻回用の(第二の)掛止部
37 掛止部の先端の(第二の)折返部
38 環状部保持用の一対の挟持部
39 環状部保持用の一対の挟持部
T 閉止姿勢
H 開放姿勢
図1
図2
図3
図4
図5
図6