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特許7289447道路橋梁用の伸縮部とその伸縮部を有する伸縮装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-02
(45)【発行日】2023-06-12
(54)【発明の名称】道路橋梁用の伸縮部とその伸縮部を有する伸縮装置
(51)【国際特許分類】
   E01C 11/02 20060101AFI20230605BHJP
   E01D 19/06 20060101ALI20230605BHJP
【FI】
E01C11/02 C
E01D19/06
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019084298
(22)【出願日】2019-04-25
(65)【公開番号】P2020180486
(43)【公開日】2020-11-05
【審査請求日】2022-04-11
(73)【特許権者】
【識別番号】503357470
【氏名又は名称】株式会社 クリテック工業
(74)【代理人】
【識別番号】110002011
【氏名又は名称】弁理士法人井澤国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100072039
【弁理士】
【氏名又は名称】井澤 洵
(74)【代理人】
【識別番号】100123722
【弁理士】
【氏名又は名称】井澤 幹
(74)【代理人】
【識別番号】100157738
【弁理士】
【氏名又は名称】茂木 康彦
(72)【発明者】
【氏名】若林 正志
【審査官】彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-1436298(KR,B1)
【文献】韓国登録実用新案第20-0475436(KR,Y1)
【文献】特開2018-168525(JP,A)
【文献】特表2009-545687(JP,A)
【文献】特開2019-116788(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0064602(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 11/02
E01D 19/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
路面の伸縮を吸収するため互いにかみ合い、伸縮方向と直交する方向において所定幅を有するフィンガージョイントと、
前記フィンガージョイントの一方を支持する第1固定部と、
前記フィンガージョイントの他方を支持する第2固定部と、
前記第1固定部と、前記第2固定部との間を渡すように、防水シートと、を有し、
前記防水シートは、前記所定幅より余剰部だけ長く構成され、
前記余剰部の端部に、防水ファスナにおける第1エレメントと、を有する第1伸縮部。
【請求項2】
前記請求項1記載の第1伸縮部と接続する第2の伸縮部は、
路面の伸縮を吸収するため互いにかみ合い、伸縮方向と直交する方向において所定の第2の幅を有する第2フィンガージョイントと、を具備し、
前記第2フィンガージョイントの一方を支持する第3固定部と、
前記第2フィンガージョイントの他方を支持する第4固定部と、
前記第3固定部と、前記第4固定部と、の間を渡すように、他の防水シートと、を有し、前記他の防水シートは、前記所定の第2の幅より他の余剰部だけ長く構成され
前記他の余剰部の端部に、前記防水ファスナにおける第2エレメントと、を有する第2伸縮部。
【請求項3】
前記請求項1記載の第1伸縮部と、前記請求項2記載の第2伸縮部と、を有し、
前記第1伸縮部における第1エレメントと、前記第2伸縮部における第2エレメントと、を接続し、
前記第1伸縮部における余剰部と、前記第2伸縮部における他の余剰部とに、配置する第3フィンガージョイントさらに有する伸縮装置
【請求項4】
前記防水シートおよび他の防水シートの下部にさらに防水シート受け台を配置した請求項3に記載の伸縮装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路橋梁に使用される伸縮部とその伸縮部を有する伸縮装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
わが国の橋梁は戦後の高度経済成長時に建設されたものが多く、すでにその建設から50年が経過している。一般的に橋梁等の寿命は50年といわれ、近年それらの橋梁がすでにその寿命を迎えているといわれている。
【0003】
そこで、それらの橋梁等の状態を調査した結果、建設から50年経が過した多くの橋梁において、その橋桁の下に流れる雨水により、その橋桁の下に配置されている支承が劣化し、その中には損傷しているものが存在することが判明した。これは橋桁の下に流れる雨水によって、錆などが発生することで劣化し、損傷したものと考えられている。特に雨水に融雪剤が含まれた場合に、そのような劣化が著しいものと考えられている。
【0004】
一般的に、橋桁と道路を接続するために、従来のフィンガージョイントとよばれる道路橋梁用伸縮装置500が使用されている。これは、図10において示されるように橋桁Bと、高速道路Rと、の伸縮を吸収するために設けられるものであり、多くの橋梁等に使用されている。この従来のフィンガージョイント500から雨水が浸入することで、上述の問題が生じることが判明した。
【0005】
そこで、雨水の浸入を防止するために特開2003-64613号において、一定の桁遊間を存して対向している橋桁の上端間を、フィンガージョイントを介して伸縮自在に接続していると共にこのフィンガージョイントの下面側における橋桁の対向端面に固着した鋼板製ウエブ間に樋を橋桁の幅方向に配設し、この樋の両側壁部上端を対向する橋桁のウエブの上端部側に固着してなる橋梁における伸縮継手部において、上記樋の外面に、上記ウエブの対向面に連なる伸縮性並びに止水性を有する合成樹脂層を層着してなることを特徴とする橋梁における伸縮継手部の構造が開示されている。
【0006】
これは、止水性を有する合成樹脂層を有することで、雨水が、地中に染み込むことを防止することで、その橋桁Bの下に配置されている支承600の劣化を防止するというものである。しかしながら、新設の工事であれば、このような構造のものを適用することができるものの、道路橋梁用伸縮装置の交換工事においては、適当ではない。これは以下の理由によるものである。
【0007】
すなわち、例えば道路橋梁用伸縮装置500の交換工事において、その道路はすでに使用に供されていることから、その道路を全面的に通行止めにして工事を行うことができず、たとえば、走行車線と追い越し車線との2車線道路においては1車線ごとに交換工事を行うことになる。その場合に、走行車線の伸縮装置を交換した後に、追い越し車線の伸縮装置の交換をすると、走行車線側の止水性を有する合成樹脂層と、追い越し車線側の止水性を有する合成樹脂層同士の接続を行う必要がある。この場合、合成樹脂層をフィンガージョイントが覆っているために、上方から、その合成樹脂層を密着させ、防水性を有するような接続作業をすることができない。従って、下方から、その合成樹脂層を接着することになる。
【0008】
その場合において、橋桁Bは地上から高所に配置されていることから、高所作業者が必要となり、また、そもそも、橋桁Bと道路Rとの接続部分においては、そのような、合成樹脂層の接続作業をするための下方の空間が存在しない場合がある。すなわち図10に示すように躯体620や橋脚630が、障害となり、従来の伸縮装置500の下方に作業者がもぐりこむことができずに、その接続作業そのものを行うことができない。仮にもぐりこむことができるにしてもその作業に支障が生じ、その作業に困難が生じることは想像に難くない。
【0009】
その場合においては防水機能を有する合成樹脂層を配置してから、それらの継ぎ目を密着し、その後フィンガージョイント本体を設置するという工程が必要であり、そのような工程では工期の短縮化を図ることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2003-64613号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は前記の点に着目してなされたもので、その課題は、防水機能を有し、工期の短縮化を図るべく、伸縮装置の下部から防水シートの接続作業を行う必要のない伸縮部とその伸縮部を有する伸縮装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記の課題を解決するために、第1観点の第1伸縮部は、路面の伸縮を吸収するため互いにかみ合い、所定幅を有するフィンガージョイントと、フィンガージョイントの一方を支持する第1固定部と、フィンガージョイントの他方を支持する第2固定部と、第1固定部と、第2固定部と、の間を渡すように、防水シートと、を有し、防水シートは、所定幅より余剰部だけ長く構成され、その余剰部に、防水ファスナにおける第1エレメントと、を有するというものである。
【0013】
また、第2観点は、第1観点における第1伸縮部と接続する第2伸縮部は、路面の伸縮を吸収するため互いにかみ合い、所定の第2の幅を有する第2フィンガージョイントと、を具備し、第2フィンガージョイントの一方を支持する第3固定部と、第2フィンガージョイントの他方を支持する第4固定部と、第3固定部と、第4固定部と、の間を渡すように、他の防水シートと、を有し、他の防水シートは、他の所定幅より余剰部だけ長く構成され、他の余剰部に、防水ファスナにおける第2エレメントと、を有するというものである。
【0014】
また、第3観点の伸縮装置は、第1観点の伸縮部と、第2観点の第2伸縮部と、を有し、第1伸縮部における第1エレメントと、第2伸縮部における第2エレメントと、を接続し、第1伸縮部における余剰部と、第2伸縮部における他の余剰部と、に、配置する第3フィンガージョイントさらに有するというものである。
【0015】
また、第4観点の伸縮装置は、第3観点において、防水シートおよび他の防水シートの下部にさらに防水シート受け台を配置したというものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明は以上のように構成され、かつ、作用するものであるから、防水機能を有し、工期の短縮化を図るべく、伸縮装置の下部から防水シートの接続作業を行う必要のない伸縮部とその伸縮部を有する伸縮装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】伸縮装置の斜視図である。
図2】伸縮装置における第1伸縮部と、第2伸縮部と、第3フィンガージョイントとに分離した状態の斜視図である。
図3】伸縮装置における第1伸縮部と、第2伸縮部とを接続し、第3フィンガージョイントを配置しようとする状態の斜視図である。
図4】第1伸縮部の分解斜視図である。
図5】Aは、第1伸縮部の平面図である。Bは、第1伸縮部の側面図である。Cは、第1伸縮部の右側面図である。
図6】走行車線に伸縮装置を施工している状態図である。
図7】走行車線の施工が完了し、車両が通行できる状態において、追越車線において他の伸縮装置を施工し、それぞれのエレメントを締めた状態の図である。
図8】余剰部と他の余剰部において第3ジョイントを配置した状態の図である。
図9】高速道路において、伸縮装置を配置する施工が完了した状態の図である。
図10】橋桁と道路との状態を示す概念図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図示の実施形態を参照して本実施例について説明する。本実施例の伸縮装置10は、第1伸縮部11と、第2伸縮部12と、第3フィンガージョイント14とを有するものである。ここで第1伸縮部11と、第2伸縮部12とは、それぞれ後述する余剰部45と他の余剰部45′を有し、その余剰部45と他の余剰部45′同士を後述する防水ファスナ50によって接続することで、漏水を防止しつつ、その余剰部45と他の余剰部45′のスペースS(図3参照)に上述の第3フィンガージョイント14を配置することで、例えば路面Rと橋桁Bと間の隙間に配置され、それら路面Rと橋桁Bとの伸縮を吸収する本実施例の伸縮装置10を構成するものである。
【0019】
本実施例の伸縮装置10における第1伸縮部11は、路面の伸縮を吸収するため互いに櫛歯状にかみ合うように配置されたフィンガージョイント20と、そのフィンガージョイント20の一方を支持するため第1固定部30と、そのフィンガージョイント20の他方を支持するための第2固定部130と、その第1固定部30と、前記第2固定部130と、を渡すように、防水シート40を配置し、その防水シート40は、前記フィンガージョイント20の幅Hより余剰部45だけ長く構成され、その余剰部45の端部46に、防水ファスナ50における第1エレメント51を有するものである。なお、一方と他方については、後述する。
【0020】
フィンガージョイント20は、所定の間隔をあけて櫛歯状に複数配置する第1荷重支持部25と、所定の間隔をあけて櫛歯状に複数配置する第2荷重支持部125と、を有する。また、第1荷重支持部25は、後述する第2フィンガー部126と互いにかみ合うように配置するための第1フィンガー部26と、路面に埋めて固定する第1アンカー部27と、を有するものである。
【0021】
また、第1固定部30は、第1荷重支持部25を一定の間隔をあけて複数固定するためのものであり、複数の第1アンカー部27を下部から支えるために水平に配置された板状の第1下部固定部31と、その第1下部固定部31から立設するようにその第1下部固定部31に対しほぼ垂直に配置された板状の第1上部固定部32と、複数の第1フィンガー部26を下部から支えるために水平に配置された板状の第2下部固定部33と、を有するものである。この第1固定部30によって、対向する1の第2荷重支持部125が入り込むための間隔を複数有するように、複数の第1荷重支持部25を配置固定することができる。ここで、上述の一方とは、複数の第1荷重支持部25において複数の第1フィンガー部26と、複数の第1アンカー部27と、のそれぞれの境界部分K1をいう。このそれぞれの境界部分K1を貫くように第1固定部30における第1上部固定部32が配置されている。また、板状の第1上部固定部32は、複数の第1フィンガー部26に進入した雨水を、第1アンカー部27側へその雨水が浸水することを防止するものである。
【0022】
第2荷重支持部125は、第1フィンガー部26と互いにかみ合うように配置する第2フィンガー部126と、路面に生めて固定する第2アンカー部127と、を有するものである。また、第2固定部130は、第2荷重支持部125を所定の間隔をあけて複数固定するためのものであり、複数の第2アンカー部127を下部から支えるために水平に配置された板状の第3下部固定部131と、その第3下部固定部131から立設するようにその第3下部固定部131に対しほぼ垂直に配置された板状の第3上部固定部132とを有するものである。この第2固定部130によって、対向する1の第1荷重支持部25が入り込むための間隔を複数有するように、複数の第3上部固定部132を配置することができる。また、第2固定部130は、複数の第2フィンガー部126を下部から支えるために水平に配置された板状の第4下部固定部133と、を有する。ここで、上述の他方とは、複数の第2荷重支持部125において複数の第2フィンガー部126と、複数の第2アンカー部127と、のそれぞれの第2境界部分K2をいう。このそれぞれの第2境界部分K2を貫くように第2固定部130における第3上部固定部132が配置されている。また、板状の第3上部固定部132は、複数の第2フィンガー部126に進入した雨水を、第2アンカー部127側へその雨水が浸水することを防止するものである。
【0023】
上記構成のフィンガージョイント20は、上述のとおり、互いに対向するように上述の一方と他方にそれぞれ配置した第1固定部30と第2固定部130とを有する。また、その第1固定部30と第2固定部130とを渡すように防水シート40を配置することで、第1フィンガー部26と、第2フィンガー部126と、の隙間から進入する雨水をその防水シート40上に溜めることで地下への浸水を防止している。また、防水シート40はその中央付近に、伸縮を許容する蛇腹部41を有する。また、防水シート40は、ゴム製のシートが好ましい。具体的には、クロロプレンゴム(CR)またはエチレンプロピレンゴム(EPDM)が好ましい。
【0024】
防水シート40は、第1固定部30と、第2固定部130とを渡すことができるように縦方向Vに充分な長さを有する。上記のとおり、雨水は、第1フィンガー部26と第2フィンガー部126との間から侵入するために、その浸入した雨水を地下に浸透させないようにするためである。なお、第1アンカー部27と、第2アンカー部127は、いずれも路面に埋めて固定されているために、この部分からの浸水はない。
【0025】
また、防水シート40は、間隔を複数有するように配置された第1荷重支持部25と、間隔を複数有するように配置された第2荷重支持部125と、を互いにかみ合うように配置したフィンガージョイント20の幅Hより余剰部45だけ長く構成されている。余剰部45は、防水シート40の一部を構成しており、後述するように第2伸縮部12と接続したときに、後述する第3フィンガージョイント14を配置するためのスペースSの一部を構成するためのものである。
【0026】
防水シート40における余剰部45の端部46に、防水ファスナ50における第1エレメント51を有するものである。防水ファスナ50は具体的には、YKK株式会社製のアクアシールと呼ばれる防水ファスナを使用することが好ましい。この防水ファスナ50は、後述する第2伸縮部12における他の余剰部45′の端部46′にも、その防水ファスナ50における第2エレメント52を有するものである。従って、防水ファスナ50における第1エレメント51と第2エレメント52は、それぞれ、伸縮部11における余剰部45の端部46に配置されるともに、第2伸縮部12における他の余剰部45′の端部46′に配置され、それらが一体となって防水ファスナ50を構成する。
【0027】
また防水シート40の下部に、互いにかみ合うように配置された、防水シート受け台70が配置されている。これは図4に示すように一対のかみ合い部71、72を有し、それらはそれぞれ、防水シート40を介して、第1固定部30と第2固定部130にそれぞれ固定されている。防水シート受け台70は、防水シート40に雨水が滞留したときに、その重みで、防水シート40がたるむことを防止するとともに、その防水シート40を保護するために、設けることができるものである。
【0028】
また、第1伸縮部11と接続するための第2伸縮部12は、第1伸縮部11とほぼ同様の構成であり相違点は、第1伸縮部11の幅Hと比べて短いことである。すなわち、第1伸縮部11を構成するフィンガージョイント20の幅Hに比べ、第2伸縮部12を構成する第2フィンガージョイント20′における所定の第2の幅H′が短いことであり、それらを構成する第1荷重支持部25と第2荷重支持部125の数が第1伸縮部11に比べ少ないことである。従って、第1伸縮部11と同様の構成については、同様の符号を付し、その説明を省略することがある。
【0029】
上述の第1伸縮部11と接続する第2の伸縮部12は、路面の伸縮を吸収するため互いに櫛歯状にかみ合い、所定の第2の幅H′を有する第2フィンガージョイント20′と、を具備し、その第2フィンガージョイント20′一方を支持する第3固定部30′と、第2フィンガージョイント20′の他方を支持する第4固定部130′と、第3固定部30′と、第4固定部130′と、の間を渡すように、他の防水シート40′と、を有し、他の防水シート40′は、所定の第2の幅H′より余剰部45′だけ長く構成され、その他の余剰部45′に、前記防水ファスナ50における第2エレメント52と、を有するものである。このように防水シート40の余剰部45と他の防水シート40′の他の余剰部45′は同一の構成でも好ましい。
【0030】
第2フィンガージョイント20′は、互いに対向するように、一方に第3固定部30′と他方に第4固定部130′と、を有する。また、第3固定部30′と、第4固定部130′と、の間を渡すように、他の防水シート40′を配置し、その他の防水シート40′は、第2フィンガージョイント20′の所定の第2の幅H′より余剰部45だけ長く構成され、その他の余剰部45′の端部46′に、防水ファスナ50における第2エレメント52を有するものである。なお、一方とは、上述のとおり、複数の第1荷重支持部25において複数の第1フィンガー部26と、複数の第1アンカー部27と、のそれぞれの境界部分K1をいう。また、他方とは、上述のとおり、複数の第2荷重支持部125において複数の第2フィンガー部126と、複数の第2アンカー部127と、のそれぞれの第2境界部分K2をいう。
【0031】
伸縮部11におけるフィンガージョイント20と第2伸縮部12における第2フィンガージョイント20′との相違は、上記のとおり、第1荷重支持部25と、第2荷重支持部125の数量の相違である。例えば、伸縮部11は、特に高速道路Rにおいては、走行車線R1の幅は、5メートルでありそのときの第1荷重支持部25と、第2荷重支持部125の数量は、それぞれ44本を配置することが好ましい。これに対して、第2伸縮部12は、第1荷重支持部25と、第2荷重支持部125の数量は、それぞれ40本である。追い越し車線R2に第2伸縮部12を配置した場合において、後述するように、後工程において走行車線R1を先に施工して開通させるために、伸縮部11における余剰部45と、第2伸縮部12における他の余剰部45′と、をその追い越し車線R2に配置するために、フィンガージョイント20の幅Hと第2フィンガージョイント20′の所定の第2の幅H′を相違するように構成されている。もっとも道路の幅に応じてその数量を増減できることはいうまでもない。また、搬送時の利便性を高めるために、その数量を増減できることは言うまでもない。
【0032】
また伸縮部11と第2伸縮部12を接続した場合に、それらの余剰部45と他の余剰部45′に配置するための第3フィンガージョイント14について説明する。第3フィンガージョイント14は、互いにかみ合うように所定の第1間隔をあけて少数配置する第1荷重支持部25と、所定の第2間隔をあけて少数配置する第2荷重支持部125と、少数の第1荷重支持部25を前記所定の第1間隔をあけて固定する第5固定部30′′と、前記少数の第2荷重支持部125を前記所定の第2間隔をあけて固定する第6固定部130′′と、を有する。ここで言う少数とは、上述の複数より少ない数量を意味し、伸縮部11における余剰部45と第2伸縮部12における他の余剰部45′と、を接続した際のそれら余剰部45と他の余剰部45′とのスペースSに、第3フィンガージョイント14を配置するために、必要な第1荷重支持部25と、第2荷重支持部125の数量である。このときの第1荷重支持部25と、第2荷重支持部125と間隔は、フィンガージョイント20と第2フィンガージョイント20′との間隔と同様である。従って図示するように、伸縮装置10は、一様に第1荷重支持部25と、第3フィンガージョイント14と、第2荷重支持部125が配置されている(図1参照)。
【0033】
本実施例において、第3フィンガージョイント14における第1荷重支持部25と、第2荷重支持部125と、の数量は、それぞれ、4本が好ましい。従って、伸縮部11における余剰部45と第2伸縮部12における余剰部45と、を接続した際のそれら余剰部45と、他の余剰部45′とのスペースSに、4本の第1荷重支持部25と4本の第2荷重支持部125を配置することができる。余剰部45と、他の余剰部45′とのスペースSを設けたのは、施工者が、その防水ファスナ50における第1エレメント51と第2エレメント52とを図示しない引き手を引き上げて、伸縮部11における防水シート40と、第2伸縮部12における防水シート40とを接続するための作業に必要なスペースSを確保するためである。なお、第1固定部30と、第3固定部30′と第5固定部30′′との相違点は、幅Hと幅H′と、幅H′′とが互いに異なる点である。また、同様に第2固定部130と、第4固定部130′と第6固定部130′′との相違点は、幅Hと幅H′と、幅H′′とが互いに異なる点である。
【0034】
伸縮装置10の施工方法について説明する。図示するように、たとえば高速道路における橋桁Bと高速道路Rを接続するために、伸縮部11と第2伸縮部12と、第3フィンガージョイント14と、を以下の構成で施工する。この場合、例えば高速道路Rが2車線道路の場合に、走行車線R1と橋桁Bの走行車線B1を、通行止めをし、走行車線R1における橋桁Bと高速道路Rとを接続する部分に、伸縮部11を配置する。このとき、橋桁Bの走行車線B1と走行車線R1のそれぞれに所定の大きさの溝を設け、その溝の部分に伸縮部11を配置し、伸縮部11における複数の第1アンカー部27を、アスファルトで埋めて固定する(図6参照)。これにより橋桁Bの走行車線B1と走行車線R1は走行可能となる。この場合、伸縮部11における余剰部45は、橋桁Bの追い越し車線B2と追い越し車線R2に配置される(伸縮部11の配置工程)。
【0035】
次に2車線道路である高速道路Rにおける追い越し車線R2と橋桁Bの追い越し車線B2を、通行止めをし、追い越し車線B2と追い越し車線R2における橋桁Bと高速道路Rとを接続する部分に、第2伸縮部12を配置する。このとき、橋梁と道路部分のそれぞれに所定の大きさの溝を設け、その溝の部分に第2伸縮部12を配置する(第2伸縮部12の配置工程)。
【0036】
次に、上記伸縮部11の配置工程によって、追い越し車線R2、B2に配置された伸縮部11における余剰部45と、第2伸縮部12の配置工程によって、追い越し車線R2、B2内に配置された第2伸縮部12における他の余剰部45′とを接続する(伸縮部11と第2伸縮部12との接続工程)。具体的には、施工者が、伸縮部11における余剰部45の端部に配置された第1エレメント51と第2伸縮部12における他の余剰部45′の端部に配置された第2エレメント52とを接続する。これは防水ファスナ50であるので、その防水ファスナ50の図示しない引き手を引くだけで接続することができる(図7参照)。尚、さらに図3に示すようなシール部材60を取り付けて防水性をさらに高めるようにしても好ましい。
【0037】
次に、追い越し車線B2、R2に配置された伸縮部11における余剰部45と、第2伸縮部12における余剰部45′とのスペースSに、第3フィンガージョイント14を配置固定する(第3フィンガージョイント配置固定工程)(図8参照)。
【0038】
次に、追い越し車線R2,B2に配置された第2伸縮部12および第3フィンガージョイント14におけるにおける複数の第1アンカー部27と複数の第2アンカー部127を、アスファルトで埋めて固定する(第2伸縮部固定工程)(図9参照)。なお、それらの固定方法は、ボルト類を使用した従来の方法を使用することができる。
【0039】
このように施工することにより、伸縮装置10の上部からの工事で足り、防水シート40の下部にもぐりこんでその接続作業をする必要がないので伸縮装置10の交換施工が極めて短期に完了することができる。また、防水機能を有するので、これらの下部に配置された支承600に雨水が流入することがない。
【符号の説明】
【0040】
10 伸縮装置
11 第1伸縮部
12 第2伸縮部
14 第3フィンガージョイント
20 フィンガージョイント
20′第2フィンガージョイント
25 第1荷重支持部
125 第2荷重支持部
26 第1フィンガー部
126 第2フィンガー部
27 第1アンカー部
127 第2アンカー部
30 第1固定部
30′第3固定部
130 第2固定部
130′第4固定部
40 防水シート
40′他の防水シート
45 余剰部
45′他の余剰部
50 防水ファスナ
51 第1エレメント
52 第2エレメント
70 防水シート受け台
S スペース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10