(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-02
(45)【発行日】2023-06-12
(54)【発明の名称】生海苔の乾燥装置と、乾海苔生成システム
(51)【国際特許分類】
A23L 17/60 20160101AFI20230605BHJP
F26B 9/06 20060101ALI20230605BHJP
F26B 25/00 20060101ALI20230605BHJP
F26B 21/00 20060101ALI20230605BHJP
【FI】
A23L17/60 103Z
F26B9/06 K
F26B25/00 A
F26B21/00 A
(21)【出願番号】P 2019081519
(22)【出願日】2019-04-23
【審査請求日】2022-02-04
(73)【特許権者】
【識別番号】391008294
【氏名又は名称】フルタ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083068
【氏名又は名称】竹中 一宣
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100165489
【氏名又は名称】榊原 靖
(72)【発明者】
【氏名】古田 成広
(72)【発明者】
【氏名】鰐部 幸政
(72)【発明者】
【氏名】山内 宏則
【審査官】澤田 浩平
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-082696(JP,A)
【文献】特開昭61-185172(JP,A)
【文献】特開昭61-085176(JP,A)
【文献】特開昭59-078670(JP,A)
【文献】特開2005-287502(JP,A)
【文献】特開昭63-167771(JP,A)
【文献】特開昭58-104484(JP,A)
【文献】特開平03-039072(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L,F26B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱風生成器を備えた乾燥機と、天窓、側面窓の開放部、及び、湿度調整機を備えた海苔乾燥室で構成した海苔乾燥装置において、
前記乾燥機に設けた温湿度センサーによる温度検出値、及び、湿度検出値をそれぞれ取込み、この温度検出値、及び、この湿度検出値と、定めた温度設定値、及び、定めた湿度設定値を、比較検討可能な温湿度コントローラを備え、
前記湿度調整機は、加湿器、及び屋上扇であり、
前記海苔乾燥室には、前記乾燥機より取り出した乾海苔を一枚ずつ水分検知可能な水分検出機器を備え、
この水分検出機器の水分検出値を取込み、かつこの水分検出値と定めた水分設定値を比較検討可能な前記温湿度コントローラを備え、
前記温湿度検出値の比較検討結果が入力された前記温湿度コントローラからの指令(一つのフィードバック条件)により、前記熱風生成器、前記開放部、及び、前記湿度調整機の制御を図り、かつ前記水分検出値の比較検討結果が入力された前記温湿度コントローラからの指令(他の一つのフィードバック条件)により、前記熱風生成器、前記開放部、及び、前記湿度調整機の制御を図
りつつ、及び/又は、海苔簀のスピード制御を図る構成とした生海苔の乾燥装置に於いては、次のフィードバック条件で操作する構成とし、
先ず、第1フィードバック条件は、前記温湿度コントローラの制御による前記乾燥室内の運転状況は、スタート(ST-1)し、前記乾燥機が稼働(ST-2)し、稼働後に前記温湿度センサーの働き(ST-3)で、前記乾燥機内の温湿度を検出(検知)し、前記温湿度検出値が、第2回路(B)を介し、前記温湿度コントローラに入力(ST-4)し、前記温湿度検出値と、前記温湿度コントローラ内の前記温湿度設定値とを比較検討し、この結果に基づき、第3回路(C)・第4回路(D)を介し、1)温度が低い状況では、熱風を供給するために、熱風生成器用のバーナをオンするか、又は逆の場合には前記バーナをオフ(ST-5-1)し、2)湿度が低い状況では、湿度を供給するために、前記加湿器をオン、及び/又は、前記屋上扇をオフに制御し、又は逆の場合には前記加湿器をオフ、及び/又は、前記屋上扇をオンに制御(ST-5-2・3)し、これらの制御の結果は、前記スタート(ST-1)に戻るか、又は終了(ST-6)とし、
また、第2フィードバック条件における、前記温湿度コントローラの制御による前記乾燥室内の運転状況は、スタート(ST-10)を経て、前記乾燥機が稼働(ST-11)し、前記乾燥機の稼動で乾海苔が、順次、生成される(ST-12)とし、剥離装置し、一枚、又は数枚の乾海苔を前記水分検出機器により計測し(ST-13)し、乾海苔の前記水分検出値を検出(検知)し、前記水分検出値が、第1回路(A)を介し、前記温湿度コントローラに入力され(ST-14)、前記水分検出値と、前記温湿度コントローラ内の前記水分設定値とを比較検討し、結果に基づいて、前記第3回路(C)・前記第4回路(D)を介し、1)未乾燥では、熱風を供給するために、前記バーナをオンし、逆の場合には前記バーナをオフ(ST-15-1)し、2)過乾燥では、湿度を供給し、前記加湿器をオン、及び/又は、前記屋上扇をオフ制御し、逆の場合には前記加湿器をオフ、及び/又は、前記屋上扇をオン制御(ST-15-2・3)し、終了(ST-16)し、制御の結果は、前記スタート(ST-10)に戻るか、又は前記終了(ST-16)とし、
たことを特徴とする生海苔の乾燥装置。
【請求項2】
前記水分検出機器は、複数枚の乾海苔を、連続検査できる構成とした請求項
1に記載の生海苔の乾燥装置。
【請求項3】
前記温湿度コントローラからの制御信号は、前記熱風生成器のバーナへのオンオフ信号である請求項
1に記載の生海苔の乾燥装置。
【請求項4】
前記水分検出機器は
、乾海苔を、繰り返し検出し、その水分検出値を、前記温湿度コントローラに、送り込むことを特徴とする請求項1~請求項
3の何れか一項に記載の生海苔の乾燥装置。
【請求項5】
請求項
1の熱風生成器を備えた乾燥機と、天窓、側面窓の開放部、及び、湿度調整機を備えた海苔乾燥室において、
前記海苔乾燥室には、前記乾燥機より取り出した乾海苔を一枚ずつ水分検知可能な水分検出機器を備え、
この水分検出機器の水分検出値を、前記温湿度コントローラにフィードバックする前記第1回路
(A)を備え、前記乾燥機に設けた前記温湿度センサーの前記温湿度検出値をそれぞれ、前記温湿度コントローラにフィードバックする前記第2回路
(B)を備え、
前記水分検出値、及び、前記温湿度検出値を、それぞれ設定値と比較検討し、かつ前記熱風生成器に指令を伝える前記第3回路
(C)と、
前記天窓、前記側面窓の開放部、及び、前記湿度調整機に指令を伝える前記第4回路
(D)と、
を備えた生成された乾海苔の未乾燥海苔や、過乾燥海苔の生成を回避することを目的とする乾海苔生成システム
に於いては、次のフィードバック条件で操作する構成とし、
先ず、第1フィードバック条件は、前記温湿度コントローラの制御による前記乾燥室内の運転状況は、スタート(ST-1)し、前記乾燥機が稼働(ST-2)し、稼働後に前記温湿度センサーの働き(ST-3)で、前記乾燥機内の温湿度を検出(検知)し、前記温湿度検出値が、第2回路(B)を介し、前記温湿度コントローラに入力(ST-4)し、前記温湿度検出値と、前記温湿度コントローラ内の前記温湿度設定値とを比較検討し、この結果に基づき、第3回路(C)・第4回路(D)を介し、1)温度が低い状況では、熱風を供給するために、熱風生成器用のバーナをオンするか、又は逆の場合には前記バーナをオフ(ST-5-1)し、2)湿度が低い状況では、湿度を供給するために、前記加湿器をオン、及び/又は、前記屋上扇をオフに制御し、又は逆の場合には前記加湿器をオフ、及び/又は、前記屋上扇をオンに制御(ST-5-2・3)し、これらの制御の結果は、前記スタート(ST-1)に戻るか、又は終了(ST-6)とし、
また、第2フィードバック条件における、前記温湿度コントローラの制御による前記乾燥室内の運転状況は、スタート(ST-10)を経て、前記乾燥機が稼働(ST-11)し、前記乾燥機の稼動で乾海苔が、順次、生成される(ST-12)とし、剥離装置し、一枚、又は数枚の乾海苔を前記水分検出機器により計測し(ST-13)し、乾海苔の前記水分検出値を検出(検知)し、前記水分検出値が、第1回路(A)を介し、前記温湿度コントローラに入力され(ST-14)、前記水分検出値と、前記温湿度コントローラ内の前記水分設定値とを比較検討し、結果に基づいて、前記第3回路(C)・前記第4回路(D)を介し、1)未乾燥では、熱風を供給するために、前記バーナをオンし、逆の場合には前記バーナをオフ(ST-15-1)し、2)過乾燥では、湿度を供給し、前記加湿器をオン、及び/又は、前記屋上扇をオフ制御し、逆の場合には前記加湿器をオフ、及び/又は、前記屋上扇をオン制御(ST-15-2・3)し、終了(ST-16)し、制御の結果は、前記スタート(ST-10)に戻るか、又は前記終了(ST-16)とし、
たことを特徴とする乾海苔生成システム。
【請求項6】
前記過乾燥海苔の生成を回避し、燃料倹約、
及び、の等級を確保する構成とした請求項
5に記載の乾海苔生成システム。
【請求項7】
前記未乾燥海苔の生成を回避し、品質確保、
及び、乾海苔の等級
を確保する構成とした請求項
5に記載の乾海苔生成システム。
【請求項8】
前記水分検出機器は
、乾海苔を、繰り返し検出し、
前記水分検出値を、前記温湿度コントローラに、送り込むことを特徴とする請求項
5の何れか一項に記載の乾海苔生成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生海苔の乾燥装置と、乾海苔生成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人が提案した、特公平6-28551号公報によれば、「海苔自動乾燥機内に於いて、乾燥工程途中の恒率乾燥期間の海苔の表面温度を直接検出し、かつ、その乾燥雰囲気の湿球温度を検出し、この各検出した値をコンピュータに入力し、その検出した値の差により乾燥度合いを自動判断し、適正な乾燥条件を自動設定制御する海苔乾燥度合いの自動検出による海苔の乾燥法」の発明である。
【0003】
この発明では、海苔乾燥の全自動化に係わる乾燥度合いを、海苔の表面より直接、かつ自動検出し、検出値に基づいて、海苔の乾燥を、コンピュータ制御により自動制御するものである。しかしながら、この発明は、乾燥途中の水分検出値を、フィードバックし、機外の温湿度コントローラを制御し、乾燥機内の温湿度(熱風、加湿、又は換気制御)、及び/又は、海苔簀のスピード等を制御する。従って、この発明では、仕上がり乾海苔の水分は正確に制御できないと考えられる。
【0004】
また、水分検出機器により、乾海苔の乾燥度合いを検出する手段としては、次の二つの文献が挙げられる。
【0005】
特開2016-73208号公報によれば、上下一対の転送ローラで一枚ずつ転送する状態において、電極で複数枚の乾海苔を計測するとともに、一枚当たりの平均的な水分率(含水率)を計測することを意図する。そして、計測された平均含水率を基準として、制御装置での指令に基づいて乾燥機を制御する。例えば、乾燥度合いが十分でないときは(未乾燥海苔では)、乾燥機から、所定温度の熱風を供給する。また、逆に、乾燥が進みすぎたときは(過乾燥海苔では)、適度に加湿する。との説明がある。しかしながら、説明では熱風の制御に留まっている。従って、海苔製造機の温湿度調整、及び/又は例えば、乾燥室の換気に関しての総合的な配慮と、乾海苔の水分率の適正化(未乾燥とか、過乾燥の乾海苔を無くすこと)を図るには、更なる改良が望まれる。そして、熱風の生成・供給源として、乾燥機との記載があるが、曖昧であり、所期の目的達成には、疑問視される。
【0006】
その他として、実開平4-16594号公報によれば、乾燥機内の水分計測値の平均値に基づいて、乾燥室の温湿度、無端回動コンベアの速度を調整する等の制御をする構成であり、水分計は、乾燥室に設置し、海苔簀の海苔を計測データとして捉える考案である。従って、対象の海苔は、乾海苔でなく、本来の目的達成には有効でないと考えられる。換言すると、中途半端である。尚、明細書では、水分計は、乾燥室の出口部や奥部等に配備してもよいとの記載があって、曖昧であり、正確性に疑問がある。
【文献】特公平6-28551号公報
【文献】特開2016-73208号公報
【文献】実開平4-16594号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述の如く、従来例では、乾燥室内の温湿度センサーは、温湿度検出値を計測し、この温湿度検出値と温湿度設定値を比較検討し、乾燥度条件を設定し(第1フィードバック条件を決め)、乾燥機を自動制御するか、又は乾燥室内の乾燥途中の乾海苔等の乾燥度合い(水分検出値)を自動計測し、水分検出値と、水分設定値を比較検討し、乾燥機を自動制御する。
【0008】
従って、乾燥室内の温湿度センサーは、温湿度検出値を計測し、この温湿度検出値と温湿度設定値を比較検討し、乾燥条件を設定し(第1フィードバック条件を決め)、乾燥機を自動制御する乾燥方法に、併せて乾燥機から取り出した乾燥終了の乾海苔(仕上がり商品となる乾海苔)の水分率(水分量)を、直接、自動計測し、この水分検出値と、水分設定値を比較検討し、乾海苔条件を設定し(第2フィードバック条件を決め)、このフィードバック条件を、温湿度コントローラを介して、乾燥機、及び乾燥室に転送し、未乾燥海苔を無くすことと、過乾燥海苔を無くすことに関しては、十分とは考えられない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明は、乾海苔としての適度の水分率を、確保し、例えば、未乾燥海苔を無くす(濡れ防止)、過乾燥海苔を無くす(燃料の無駄を無くす)ことと、品質・経済性の向上を図ることを意図する。そのための手段として、請求項1-11の構成を提案する。所謂、第1フィードバック条件を決めるとともに、第2フィードバック条件を決めることで、乾燥機を自動制御する構成である。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明は、
熱風生成器を備えた乾燥機と、天窓、側面窓の開放部、及び、湿度調整機を備えた海苔乾燥室で構成した海苔乾燥装置において、
乾燥機に設けた温湿度センサーによる温度検出値、及び、湿度検出値をそれぞれ取込み、この温度検出値、及び、この湿度検出値と、定めた温度設定値、及び、定めた湿度設定値を、比較検討可能な温湿度コントローラを備え、
湿度調整機は、加湿器、及び屋上扇であり、
海苔乾燥室には、乾燥機より取り出した乾海苔を一枚ずつ水分検知可能な水分検出機器を備え、
この水分検出機器の水分検出値を取込み、かつこの水分検出値と定めた水分設定値を比較検討可能な温湿度コントローラを備え、
温湿度検出値の比較検討結果が入力された温湿度コントローラからの指令(一つのフィードバック条件)により、熱風生成器、開放部、及び、湿度調整機の制御を図り、かつ水分検出値の比較検討結果が入力された温湿度コントローラからの指令(他の一つのフィードバック条件)により、熱風生成器、開放部、及び、湿度調整機の制御を図りつつ、及び/又は、海苔簀のスピード制御を図る構成とした生海苔の乾燥装置に於いては、次のフィードバック条件で操作する構成とし、
先ず、第1フィードバック条件は、温湿度コントローラの制御による乾燥室内の運転状況は、スタート(ST-1)し、乾燥機が稼働(ST-2)し、稼働後に温湿度センサーの働き(ST-3)で、乾燥機内の温湿度を検出(検知)し、温湿度検出値が、第2回路(B)を介し、温湿度コントローラに入力(ST-4)し、温湿度検出値と、温湿度コントローラ内の温湿度設定値とを比較検討し、この結果に基づき、第3回路(C)・第4回路(D)を介し、1)温度が低い状況では、熱風を供給するために、熱風生成器用のバーナをオンするか、又は逆の場合にはバーナをオフ(ST-5-1)し、2)湿度が低い状況では、湿度を供給するために、加湿器をオン、及び/又は、屋上扇をオフに制御し、又は逆の場合には加湿器をオフ、及び/又は、屋上扇をオンに制御(ST-5-2・3)し、これらの制御の結果は、スタート(ST-1)に戻るか、又は終了(ST-6)とし、
また、第2フィードバック条件における、温湿度コントローラの制御による乾燥室内の運転状況は、スタート(ST-10)を経て、乾燥機が稼働(ST-11)し、乾燥機の稼動で乾海苔が、順次、生成される(ST-12)とし、剥離装置し、一枚、又は数枚の乾海苔を水分検出機器により計測し(ST-13)し、乾海苔の水分検出値を検出(検知)し、水分検出値が、第1回路(A)を介し、温湿度コントローラに入力され(ST-14)、水分検出値と、温湿度コントローラ内の水分設定値とを比較検討し、結果に基づいて、第3回路(C)・第4回路(D)を介し、1)未乾燥では、熱風を供給するために、バーナをオンし、逆の場合にはバーナをオフ(ST-15-1)し、2)過乾燥では、湿度を供給し、加湿器をオン、及び/又は、屋上扇をオフ制御し、逆の場合には加湿器をオフ、及び/又は、屋上扇をオン制御(ST-15-2・3)し、終了(ST-16)し、制御の結果は、スタート(ST-10)に戻るか、又は終了(ST-16)とし、
たことを特徴とする生海苔の乾燥装置である。
【0011】
従って、請求項1では、乾燥機と、天窓等の開放部、及び、湿度調整機を備えた乾燥室で構成した海苔乾燥装置において、温湿度センサーによる温度検出値、及び、湿度検出値と、温度設定値/湿度設定値を、比較検討可能で、かつ乾燥機より取り出した乾海苔の水分検出値と水分設定値を比較検討可能な温湿度コントローラを備え、温湿度センサー、及び、水分検出機器からのデータが入力された温湿度コントローラからの指令により、熱風生成器、湿度調整機等の制御を図る構成の生海苔の乾燥装置であり、第1フィードバック条件を決めるとともに、第2フィードバック条件を決めることで、乾燥機を自動制御する構成であって、温湿度、及び乾海苔としての水分率を、確保し、例えば、未乾燥海苔を無くす(濡れ防止)、乾海苔のくすみ・カビ等の発生を無くしつつ、品質向上を図り、又は歩留まり低下を回避する。又は、過乾燥海苔を無くし、燃料の無駄を無くすことと、品質・経済性の向上が図れる効果等がある。
【0016】
請求項2の発明では、水分検出機器は、複数枚の乾海苔を、連続検査できる構成とした生海苔の乾燥装置である。
【0017】
従って、請求項2では、請求項1の効果を達成しつつ、最適な水分検出機器を提供する。
【0018】
請求項3の発明では、温湿度コントローラからの制御信号は、熱風生成器のバーナへのオンオフ信号である生海苔の乾燥装置である。
【0019】
従って、請求項3では、請求項1の効果を達成しつつ、熱風生成器のバーナの制御に最適な手段(指令信号)を提供する。
【0020】
請求項4の発明では、水分検出機器は、乾海苔を、繰り返し検出し、水分検出値を、温湿度コントローラに、送り込むことを特徴とする生海苔の乾燥装置である。
【0021】
従って、請求項4では、請求項1の効果を達成するのに最適な、水分検出機器の使用機構を提供する。
【0022】
請求項5の発明では、請求項1の熱風生成器を備えた乾燥機と、天窓、側面窓の開放部、及び、湿度調整機を備えた海苔乾燥室において、
海苔乾燥室には、乾燥機より取り出した乾海苔を一枚ずつ水分検知可能な水分検出機器を備え、
水分検出機器の水分検出値を、温湿度コントローラにフィードバックする第1回路を備え、乾燥機に設けた温湿度センサーの温湿度検出値をそれぞれ、温湿度コントローラにフィードバックする第2回路を備え、
水分検出値、及び、温湿度検出値を、それぞれ設定値と比較検討し、かつ熱風生成器に指令を伝える第3回路(C)と、
天窓、側面窓の開放部、及び、湿度調整機に指令を伝える第4回路(D)と、
を備えた生成された乾海苔の未乾燥海苔や、過乾燥海苔の生成を回避することを目的とする乾海苔生成システムに於いては、次のフィードバック条件で操作する構成とし、
先ず、第1フィードバック条件は、温湿度コントローラの制御による乾燥室内の運転状況は、スタート(ST-1)し、乾燥機が稼働(ST-2)し、稼働後に温湿度センサーの働き(ST-3)で、乾燥機内の温湿度を検出(検知)し、温湿度検出値が、第2回路(B)を介し、温湿度コントローラに入力(ST-4)し、温湿度検出値と、温湿度コントローラ内の温湿度設定値とを比較検討し、この結果に基づき、第3回路(C)・第4回路(D)を介し、1)温度が低い状況では、熱風を供給するために、熱風生成器用のバーナをオンするか、又は逆の場合にはバーナをオフ(ST-5-1)し、2)湿度が低い状況では、湿度を供給するために、加湿器をオン、及び/又は、屋上扇をオフに制御し、又は逆の場合には加湿器をオフ、及び/又は、屋上扇をオンに制御(ST-5-2・3)し、これらの制御の結果は、スタート(ST-1)に戻るか、又は終了(ST-6)とし、
また、第2フィードバック条件における、温湿度コントローラの制御による乾燥室内の運転状況は、スタート(ST-10)を経て、乾燥機が稼働(ST-11)し、乾燥機の稼動で乾海苔が、順次、生成される(ST-12)とし、剥離装置し、一枚、又は数枚の乾海苔を水分検出機器により計測し(ST-13)し、乾海苔の水分検出値を検出(検知)し、水分検出値が、第1回路(A)を介し、温湿度コントローラに入力され(ST-14)、水分検出値と、温湿度コントローラ内の水分設定値とを比較検討し、結果に基づいて、第3回路(C)・第4回路(D)を介し、1)未乾燥では、熱風を供給するために、バーナをオンし、逆の場合にはバーナをオフ(ST-15-1)し、2)過乾燥では、湿度を供給し、加湿器をオン、及び/又は、屋上扇をオフ制御し、逆の場合には加湿器をオフ、及び/又は、屋上扇をオン制御(ST-15-2・3)し、終了(ST-16)し、制御の結果は、スタート(ST-10)に戻るか、又は終了(ST-16)とし、
たことを特徴とする乾海苔生成システムである。
【0023】
従って、請求項5では、請求項1の効果を達成できることと、この特徴を達成できる最適な乾海苔生成システムを提供できる。
【0026】
請求項6の発明は、過乾燥海苔の生成を回避し、燃料倹約、及び/又は、乾海苔の等級を確保する構成とした乾海苔生成システムである。
【0027】
従って、請求項6では、請求項5の効果を達成しつつ、品質の安定した生海苔の提供と、歩留まり向上とか、併せて、過乾燥防止に最適な乾海苔生成システムを提供できる。
【0028】
請求項7の発明は、未乾燥海苔の生成を回避し、品質の確保とか、及び/又は、乾海苔の等級を確保する構成とした乾海苔生成システムである。
【0029】
従って、請求項7では、請求項5の効果を達成しつつ、未乾燥防止に最適な乾海苔生成システム、又は、請求項6と同様に最適な乾海苔生成システムを提供できる。
【0030】
請求項8の発明では、水分検出機器は、乾海苔を、繰り返し検出し、水分検出値を、温湿度コントローラに、送り込むことを特徴とする乾海苔生成システムである。
【0031】
従って、請求項8では、請求項5の効果を達成するに最適な、水分検出機器の使用機構を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図2】本発明の温湿度コントローラの制御1による乾燥室1内の運転状況を示すフローチャート(第1フィードバック条件のフローチャート)
【
図3】本発明の温湿度コントローラの制御2による乾燥室1内の運転状況を示すフローチャート(第2フィードバック条件のフローチャート)
【
図4】本発明の温湿度コントローラの制御2による乾燥室1内の他の運転状況を示すフローチャート(第2フィードバック条件のフローチャート)
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の好ましい一実施例を、図面を参照して説明する。
【0034】
図1に示した乾燥室1(乾燥小屋)には、換気用の屋上扇100と天窓、側面窓(図示しない)を備える。そして、乾燥室1の室内には乾燥機2と、乾燥機2に熱風を供給する熱風生成器、即ち、バーナ200で、重油等の燃料に着火し、熱風を作る。そして、この熱風を乾燥機2に順次、かつ効率的に送り、生海苔の乾燥に役立てる。
【0035】
また、乾燥機2の所定の箇所には、乾海苔剥離装置(図示しない)を付設し、乾海苔を、順次、乾燥室1に取り出す構造である。図示しないが、乾燥機2に隣接する箇所に付設することも有り得る。尚、乾燥室1、及び、乾燥機2の所定の箇所には、乾海苔の水分を検出する水分検出機器7(水分計)を配備する。
【0036】
この乾燥室1は、例えば、乾燥機2内の温湿度検知用センサー201とか、加湿機器5とか、図示しないが、湿度調整用の加湿器、及び、除湿用センサー等の他の機器を備えている。
【0037】
そして、乾燥室1の内部適所(一例であり、その他、例えば、乾燥室1の外部も有り得る)には、温湿度コントローラ3(制御機器・制御パラメータ)を備えている。この温湿度コントローラ3の働きを説明すると、センサー201の温湿度検出値の信号が送られる第2回路Bを備えていることから、この計測した温湿度検出値と、温湿度コントローラ3に設定されている温湿度設定値とが比較検討される。その結果により、例えば、第3回路Cを介して、バーナ200のオンオフとか、第4回路Dを介して、屋上扇100のオンオフの制御がされる。そして、必要により、その他として、例えば、加湿機器5(加湿器とか、除湿ファン等)のオンオフの制御等がなされる。
【0038】
乾燥機2内の乾燥終了した乾海苔は、前述の如く、乾海苔剥離装置(図示しない)で、連続、及び/又は、間欠的に取出し可能である。
【0039】
図1中の7は水分検出機器で、乾燥室1内の適所に設けられていて、望ましくは、前記剥離装置(図示しない)の近傍に設けられる。この水分検出機器7は、水分検出値の信号が送られる第1回路Aを備えており、計測された水分検出値と、温湿度コントローラ3に設定されている水分設定値とが比較検討される。その結果により、例えば、第3回路Cを介して、バーナ200のオンオフ(熱風制御)とか、第4回路Dを介して、屋上扇100のオンオフ(湿度制御)の制御がされる。そして、必要により、その他として、例えば、加湿機器5(加湿器とか、除湿ファン等)のオンオフの制御等がなされる。
【0040】
そして、水分検出機器7は、乾海苔を一枚ずつ検知するが、より望まくは、一枚全体を隈なく、かつ正確に繰り返し水分検知する。その理由は、乾海苔の厚みの違いとか、乾燥機2において、生海苔への熱風の当り具合で、乾海苔の水分が異なることが有り得る。この水分が異なる状況を把握し、かつ乾海苔の水分量の均一化を図るために、このように、乾海苔の一枚全体を隈なく、かつ正確に繰り返し水分検知する。含水率の正確性が担保されない状況に鑑み、繰り返し水分検知することが最適である。従って、本発明もこの考えを踏襲するものである。水分検出機器7は、光学的センサー、電子機器とか、重量センサー、或いは赤外線サーモグラフィ等が採用可能である。尚、通常は有り得ないが、水滴が発生しやすい箇所とか、水滴が切れない箇所のような状況も有り得ることに鑑み、同様な手法を採用する。
【0041】
次に、
図2に示した、第1フィードバック条件における、温湿度コントローラ3の制御1による乾燥室1内の運転状況を、フローチャートに基づいて説明すると、スタート(ST-1)し、乾燥機2が稼働する(ST-2)。この稼働後にセンサー201の働きで(ST-3)、乾燥機2内の温湿度が検出(検知)され、その温湿度検出値が、第2回路B(配線B)を介して、温湿度コントローラ3に入力される(ST-4)。そして、この温湿度検出値と、温湿度コントローラ3内の温湿度設定値とを比較検討する。この結果に基づいて、第3回路C・第4回路Dを介して、例えば、1) 温度が低い状況では、熱風を供給するために、熱風生成器用のバーナ200をオンとする。逆の場合にはバーナ200をオフとする(ST-5-1)。また、2) 例えば、湿度が低い状況では、湿度を供給するために、加湿機器5(加湿器をオン、
及び屋上扇100をオフ「動作時」)を制御する。逆の場合には加湿機器5(加湿器をオフ、及び/又は
、屋上扇100をオン「停止時」)を制御する(ST-5-2・3)。この制御の結果は、スタート(ST-1)に戻るか、又は終了(ST-6)である。
【0042】
続いて、
図3に示した、第2フィードバック条件における、温湿度コントローラ3の制御2による乾燥室1内の運転状況を、フローチャートに基づいて説明すると、スタート(ST-10)し、乾燥機2が稼働する(ST-11)。この乾燥機2の稼動で乾海苔が、順次、生成される(ST-12)。その中で、剥離装置(図示しない)で取り出した、一枚、又は数枚の乾海苔を水分検出機器7により計測し(ST-13)、乾海苔の水分検出値を
検出(検知)すると、その水分検出値が、第1回路Aを介して、温湿度コントローラ3に入力される(ST-14)。そして、この水分検出値と、温湿度コントローラ3内の水分設定値とを比較検討する。この結果に基づいて、第3回路C・第4回路Dを介して、例えば、1) 未乾燥では、熱風を供給するために、バーナ200をオンする。逆の場合にはバーナ200をオフとする(ST-15-1)。また、2) 例えば、過乾燥では、湿度を供給するために、加湿機器5(加湿器をオン、及び/又は
、屋上扇100をオフ「動作時」)を制御する。逆の場合には加湿機器5(加湿器をオフ、
及び屋上扇100をオン「停止時」)制御する(ST-15-2・3)。以上で終了である(ST-16)。この制御の結果は、スタート(ST-10)に戻るか、又は終了(ST-16)である。
【0043】
尚、
図4に示した、第2フィードバック条件における、温湿度コントローラ3の制御2による乾燥室1内の運転状況を、フローチャートに基づいて説明すると、原則として、
図3のフローチャートを踏襲する機構であり、相違点は、水分検出機器7において、繰り返し水分検出し、更に正確な水分検出を行うものであって、(ST-13-1)を加えた構成であり、その他は、前述の例に準ずる。この実施例では、更なる正確な水分検出が可能となり、品質・歩留まり向上等に寄与できる。
【0044】
以上の説明では、
図2のフローチャート(第1フィードバック条件)と、
図3のフローチャート(第2フィードバック条件)を個別に説明したが、本発明では、原則としてセンサー201の温湿度検出値(第1フィードバック条件)と、水分検出機器7による乾海苔の水分検出値(第2フィードバック条件)を、併用することで、品質の一定した乾海苔の生成ができることと、乾海苔の歩留まり向上が期待できる。
【0045】
尚、乾燥室1、及び、乾燥機2の加湿は、通常、乾燥室1内で海苔を乾燥処理する枚数が少なくなった際に、行われる手段であって、通常では、加湿の処置は行われない。又は乾海苔の葉体の急激な乾燥による、物理的な収縮も回避することが、高品質と歩留まり向上に有益である。従って、熱風生成器の制御には、十分、配慮と高乾燥回避に注意する必要性がある。
【0046】
以上で説明した各構造・特徴等は、本発明の好ましい一例の説明である。従って、本発明は上述した各実施例に限定されるものではなく、発明の趣旨の範囲において構成の一部を変更する構造とか、同じ特徴と効果を達成できる構造、等は、本発明の範疇である。
【符号の説明】
【0047】
1 乾燥室
100 屋上扇
2 乾燥機
200 バーナ
201 センサー
3 温湿度コントローラ
5 加湿機器
7 水分検出機器
A 第1回路
B 第2回路
C 第3回路
D 第4回路