(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-02
(45)【発行日】2023-06-12
(54)【発明の名称】射精促進器
(51)【国際特許分類】
A61F 5/453 20060101AFI20230605BHJP
A61F 5/41 20060101ALI20230605BHJP
【FI】
A61F5/453
A61F5/41
(21)【出願番号】P 2020095033
(22)【出願日】2020-05-29
【審査請求日】2022-06-10
(73)【特許権者】
【識別番号】513093575
【氏名又は名称】株式会社エンジョイトイズ
(74)【代理人】
【識別番号】100115842
【氏名又は名称】秦 正則
(72)【発明者】
【氏名】成田 慶彦
【審査官】杉▲崎▼ 覚
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3208982(JP,U)
【文献】国際公開第2006/022433(WO,A1)
【文献】実開昭61-018518(JP,U)
【文献】特開2017-029668(JP,A)
【文献】特開2015-169067(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 5/453
A61F 5/41
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向の両端が開口された開口部が形成され、手で握ることが可能な筒状の形状とされた外装ケースと、
当該外装ケースの一方の開口部を開閉する、取り外し可能な蓋体と、
前記外装ケースの軸方向を中心に回転可能で、前記外装ケースの他方の開口部を塞ぐ回転ハンドル部と、
前記外装ケースの内部に形成された収容部に収容され、前記一方の開口部に挿入口を配し、当該挿入口から内部に延びる空間を備えた挿入部が形成された筒状の内装部材と、を備え、
前記回転ハンドル部と、長手方向から見て前記内装部材の前記挿入口と反対側の部分が固定一体化され、
前記回転ハンドル部の回転により、前記内装部材及び前記挿入部が前記回転ハンドル部の回転方向と同じ方向に捻れることを特徴とする射精促進器。
【請求項2】
前記外装ケースの他方の開口部と及び前記回転ハンドル部の開口部の接する部分にそれぞれジグザグ形状が形成されており、
2つの前記ジグザグ形状が噛み合うようにして、前記回転ハンドル部が前記外装ケースに取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の射精促進器。
【請求項3】
前記回転ハンドル部の内側に、前記外装ケースの内部に向かって延びる少なくとも1本の棒状の接続体が形成され、
当該接続体を、前記内装部材の前記挿入口と反対側の部分に形成された少なくとも1つの固定穴に挿入することで、前記回転ハンドル部と前記内装部材が固定一体化されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の射精促進器。
【請求項4】
前記内装部材の長手方向の一端に、略中央に前記挿入口が形成された円盤形状のフランジを備え、
当該フランジが、前記外装ケースの一方の開口部から外側に現れた状態で、前記外装ケースに前記内装部材が収容されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の射精促進器。
【請求項5】
前記外装ケースの内部壁面に前記内装部材が固定されていないことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の射精促進器。
【請求項6】
前記内装部材の外面に、長手方向に延びるスリットが形成されていることを特徴とする請求項1ない
し請求項5のいずれかに記載の射精促進器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射精促進器に関する。さらに詳しくは、男性の陰茎に刺激を与えることにより、射精を促進・誘発するとともに、精子(精液)採取装置としても使用可能な射精促進器に関する。
【背景技術】
【0002】
射精促進器ないし精子(精液)採取器(以下、単に「射精促進器等」とする場合もある。)は、陰茎(ペニス)を挿入する内装部材について、陰茎との密着性や刺激等を高めるために、陰茎のサイズや形状等に応じて内部構造等にいろいろな工夫がなされている。また、このような射精促進器は、精子の採取器(精子採取器、精子採取装置等)として、医学的な研究や治療等の見地に加えて、個人的な性的欲求を解消させることによる性犯罪の予防等の社会的な要求という見地からも、極めて重要とされている。
【0003】
ここで、従来の射精促進器等としては、例えば、緩衝材を内挿した円筒状の外装体に形成された空間に、陰茎を挿入するための筒状の空間となる挿入部を内部に有する弾性変形自在なエラストマー等の合成樹脂等からなる内装部材を配設し、かかる内装部材の挿入部の内壁に、女性の膣の内部形状を模した形状等の複数の小突起や襞形状が形成された構造とされるものが知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2を参照。)。
【0004】
なお、内装部材の挿入部の内壁に形成された小突起や襞形状としては、例えば、直線または波線状のリブや、ポリープ状の小突起や襞形状を呈することにより膣構造を模すような形状とされており、陰茎を内装部材の挿入部に挿入した際には、陰茎に対して膣に挿入されたと同様な刺激が与えられるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-4292号公報
【文献】特開2015-112317号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の射精促進器等は、挿入された陰茎に対する締め付け感の調整は、内装部材を収容した外装ケースを使用者が使用中に握りしめることによって、締め付け感が内装部材と外装ケースの間に介在されるスポンジ等の緩衝材を介して陰茎に伝わる程度であり、射精促進器としての締め付け感の調整は、実質的にはできなかった。
【0007】
本発明の目的は、前記の課題に鑑みてなされたものであり、使用時の陰茎に対する締め付け感の調整ができ、陰茎に与える刺激にバリエーションを持たせることが可能であるとともに、かかる調整の操作性も良好な射精促進器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の課題を解決するために、本発明に係る射精促進器は、
長手方向の両端が開口された開口部が形成され、手で握ることが可能な筒状の形状とされた外装ケースと、
当該外装ケースの一方の開口部を開閉する、取り外し可能な蓋体と、
前記外装ケースの軸方向を中心に回転可能で、前記外装ケースの他方の開口部を塞ぐ回転ハンドル部と、
前記外装ケースの内部に形成された収容部に収容され、前記一方の開口部に挿入口を配し、当該挿入口から内部に延びる空間を備えた挿入部が形成された筒状の内装部材と、を備え、
前記回転ハンドル部と、長手方向から見て前記内装部材の前記挿入口と反対側の部分が固定一体化され、
前記回転ハンドル部の回転により、前記内装部材及び前記挿入部が前記回転ハンドル部の回転方向と同じ方向に捻れることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る射精促進器は、前記した本発明において、前記外装ケースの他方の開口部と及び前記回転ハンドル部の開口部の接する部分にそれぞれジグザグ形状が形成されており、2つの前記ジグザグ形状が噛み合うようにして、前記回転ハンドル部が前記外装ケースに取り付けられていることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る射精促進器は、前記した本発明において、前記回転ハンドル部の内側に、前記外装ケースの内部に向かって延びる少なくとも1本の棒状の接続体が形成され、当該接続体を、前記内装部材の前記挿入口と反対側の部分に形成された少なくとも1つの固定穴に挿入することで、前記回転ハンドル部と前記内装部材が固定一体化されていることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る射精促進器は、前記した本発明において、前記内装部材の長手方向の一端に、略中央に前記挿入口が形成された円盤形状のフランジを備え、当該フランジが、前記外装ケースの一方の開口部から外側に現れた状態で、前記外装ケースに前記内装部材が収容されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の射精促進器。
【0012】
本発明に係る射精促進器は、前記した本発明において、前記外装ケースの内部壁面に前記内装部材が固定されていないことを特徴とする。
【0013】
本発明に係る射精促進器は、前記した本発明において、前記内装部材の外面に、長手方向に延びるスリットが形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る射精促進器は、内装部材と一体化された回転ハンドル部が軸方向を中心に回転可能とされており、かかる回転ハンドル部の回転により、内装部材及び使用者の陰茎が挿入される挿入部が外装ケースの回転と同じ方向に捻れるため、通常の状態と比較して使用者の陰茎への締め付けを強くすることができる等、挿入部の締め付け感の調整を簡便に実施することができる。また、かかる調整の操作も、回転ハンドルを軸方向に回転させるという簡便なものであるので、操作性も良好である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係る射精促進器の一態様を示す斜視図である。
【
図2】
図1において、蓋体、外装ケース及び回転ハンドル部を長手方向に分割して、外装ケース等の内部を現した状態を示した図である。
【
図3】
図2において、内装部材を長手方向に分割して、内装部材の内部を現した状態を示した図である。
【
図4】
図3において、蓋体を下方にずらして外した状態を示した図である。
【
図6】
図3において、回転ハンドル部を上方にずらした状態を示した図である。
【
図7】
図6において、回転ハンドル部及び蓋体を取り外した状態を示した斜視図である。
【
図9】回転ハンドル部と外装ケースの取り付け状態を示した模式図である。
【
図10】2つのジグザグ形状の噛み合いの一例を示した模式図である。
【
図12】内装部材を挿入口のある方向から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態の例を、図面に基づいて説明する。
【0017】
(I)射精促進器1の基本構成:
図1は、本発明に係る射精促進器1の一態様を示した斜視図、
図2は、
図1において、蓋体3、外装ケース2及び回転ハンドル部4を長手方向に分割して、外装ケース2等の内部を現した状態を示した図、
図3は、
図2において、内装部材5を長手方向に分割して、内装部材5の内部を現した状態を示した図、をそれぞれ示す。ここで、
図1等において、1は射精促進器、2は外装ケース、21は一方の開口部、22は他方の開口部、26は収容部、3は蓋体、4は回転ハンドル部、41は接続体、5は内装部材、51は挿入口、52は挿入部、53はハンドル接続部、54は固定穴、55はスリット、7はフランジ、をそれぞれ示す。
【0018】
本実施形態に係る射精促進器1は、精子(精液)を採取する装置(精子採取装置)としても使用することができ、
図1~
図3に示すように、長手方向(
図1等参照。以下、「長手方向」について同じ。)の両端が開口された開口部(一方の開口部21,他方の開口部22)が形成され、手で握ることが可能な筒状の形状とされた外装ケース2と、かかる外装ケース2の一方の開口部21を開閉する、取り外し可能な蓋体3と、外装ケース2の他方の開口部22を塞ぐように取り付けられ、外装ケース2の軸方向を中心に回転可能な回転ハンドル部4と、外装ケース2の内部に形成された収容部26に収容され、一方の開口部21に挿入口51を配し、かかる挿入口51から内部に延びる空間を備えた挿入部52が形成された筒状の内装部材5と、を基本構成として備える。
【0019】
(II)外装ケース2:
射精促進器1において、外装ケース2は、内装部材5を収容する空間となる収容部26を内部に有し、長手方向の両端がそれぞれ開口(一方の開口部21,他方の開口部22)された筒体である。なお、本発明において、「開口部」とは、開口と、各部材(外装ケース2、蓋体3、回転ハンドル部4。)におけるかかる開口を形成する部分である、開口された空間の周縁及びその付近を含む概念である。特に、外装ケース2の他方の開口部22と回転ハンドル部4の開口部42の関係にあっては、かかる周縁(外装ケース2の他方の開口部22における周縁を後記する
図7に周縁22r、回転ハンドル部4の空間部42における周縁を後記する
図8に周縁42rとしてそれぞれ載せている。)及びその付近に存在する、外装ケース2(の開口部22)と回転ハンドル部4(の開口部42)が接する部分となる、複数の段から構成される段部22a(後記する
図7等参照。)や段部42a(後記する
図8等参照。)を含むものである。
【0020】
外装ケース2の一方の開口部21は、外装ケース2に着脱可能に形成された蓋体3により開閉される。なお、
図1~
図3は、蓋体3により外装ケース2の開口部21が閉められた状態を示している。また、外装ケース2の他方の開口部22は、かかる他方の開口部22を塞ぐように取り付けられ、外装ケース2の軸方向を中心に回転可能な回転ハンドル部4が取り付けられている。
【0021】
外装ケース2の形状は、一方の開口部21から陰茎を挿入した状態で、図示しない使用者等の手で握ることが可能な筒状の形状とされていれば特に制限はなく、本実施形態にあっては、
図1等に示すように、長手方向の略中央に、平面視でなだらかな山状となる小径部23と、かかる小径部23を挟んで、小径部23より大きな径からなる2つの大径部24,25が、小径部23の中央に対して対称に形成されている。使用者は、大径部24,25と小径部23の境界Bに手の親指と人差し指をかけて握ることができるため、使用者にとって握りやすい形状となる。
【0022】
なお、本発明にあって、回転ハンドル部4(及び蓋体3)の回転は、外装ケース2の軸方向(
図1等参照。以下、「軸方向」について同じ。なお、回転ハンドル部4及び蓋体3の回転される方向は、
図1に点線矢印で示している。)を中心に行われるが、外装ケース2等の軸方向と内装部材5の挿入部52の軸方向は、内装部材5が外装ケース2に収容される場合も含めて共通することとなる。よって、外装ケース2の回転が外装ケース2の軸方向を中心に行われることは、回転が内装部材5の軸方向を中心になされることと共通するものとなる。
【0023】
(III)蓋体3:
蓋体3及びかかる蓋体3による外装ケース2の一方の開口部21の開閉について説明する。
図4は、
図3において、蓋体3を下方にずらして外した状態を示した図、
図5は、蓋体3の内部を示す斜視図、をそれぞれ示す。
【0024】
蓋体3は、本実施形態にあっては、カップ状(椀状)に形成された開口された(開口部32を有した)部材を示しており、
図5等に示すように、外装ケース2の円形状の開口部21に対応する円形状の天面部31と、天面部31から外方へ延びるように形成された側面部33を備え、連続した側面部33により開口部32が形成されている。
【0025】
また、蓋体3を外装ケース2の開口部21に取り付けた場合にあっては、蓋体3の側面部33は、外装ケース2の大径部23,24に沿って段部を感じさせず繋がるようになり、使用者にとって握りやすい形状を維持することになる。
【0026】
蓋体3は、外装ケース2の軸方向を中心に回転させることにより開閉可能とされていることが好ましい。このようにすることにより、蓋体3を外装ケース2から簡便に着脱することができる。
【0027】
蓋体3により外装ケース2の開口部21を開閉するための手段については、例えば、蓋体3の側面部33の内側と外装ケース2の一方の開口部21の外側に螺合可能な図示しないねじ山をそれぞれ形成するようにして、蓋体3と外装ケース2の開口部21を螺合させて開閉させるようにしてもよい。
【0028】
図5に示す蓋体3の開口部32における周縁32rの内部には、凸部34が形成されており、蓋体3により外装ケース2の一方の開口部21を開閉するには、
図4及び
図5に示すように、一方の開口部21の外側に凸部34を格納可能な凹形状からなる凸部格納部27(後記する
図7参照。)を形成して、次のようにしてもよい。
【0029】
すなわち、蓋体3により一方の開口部21を閉じるには、外装ケース2の凸部格納部27に凸部34を入れ、蓋体3を外装ケース2の軸方向を中心に軽く回転させて、凸部34を凸部格納部27に移動させることにより、開口部21に蓋体3を固定して、開口部21を閉じることができる。
【0030】
一方、この状態から、蓋体3を前記の方向とは逆方向に軽く回転させて、凸部34を凸部格納部27から出すことにより、外装ケース2の開口部21から蓋体3を取り外して、一方の開口部21を開けた状態とすることができる。
【0031】
このようにして、射精促進器1の外装ケース2の一方の開口部21に対して蓋体3を取り付けたり取り外したりすることにより、一方の開口部21を蓋体3により開閉することができる。
【0032】
(IV)回転ハンドル部4等:
回転ハンドル部4及び回転ハンドル部4による内装部材5の回転(捻じれ)について説明する。
図6は、
図3において、回転ハンドル部4を上方にずらした状態を示した図、
図7は、
図6において、回転ハンドル部4及び蓋体3を取り外した状態を示した斜視図、
図8は、回転ハンドル部4の内部を示す斜視図、
図9は、回転ハンドル部4と外装ケース2の取り付け状態(回転ハンドル部4をわずかに上方にずらした状態)を示した模式図、をそれぞれ示す。
【0033】
前記した
図1~
図4、及び
図6、
図9等に示すように、射精促進器1における外装ケース2の他方の開口部22には、かかる他方の開口部22を塞ぐように、外装ケース2の軸方向を中心に回転可能な、カップ状(椀状)の回転ハンドル部4が取り付けられている。射精促進器1にあって、回転ハンドル部4と内装部材5(内装部材5の詳しい構成は後記する。)は、回転ハンドル部4と、長手方向から見て内装部材5の挿入口51と反対側(他方の開口部22側であり、回転ハンドル部4と対面する側)の部分であるハンドル接続部53が固定一体化されている。
【0034】
カップ状の回転ハンドル部4は、その内側に、棒状の接続体41が形成されている。かかる接続体41は、回転ハンドル部4を外装ケース2の他方の開口部22に取り付けた場合には、外装ケース2の内部に向かって延びるように位置することになる。かかる棒状の接続体41は、本実施形態にあっては、カップ状の回転ハンドル部4の内部に、対称となる位置に1本ずつ、計2本が配設されている。
【0035】
棒状の接続体41は、後記する内装部材5における、挿入口51と反対側の部分であるハンドル接続部53に形成された固定穴54に挿入されることにより、回転ハンドル部4と内装部材5のかかる部分(ハンドル接続部53)が固定一体化されことになる。
【0036】
本実施形態にあって、かかる固定穴54は、接続体41が配設される位置に対応して1つずつ、計2つがハンドル接続部53に形成されている。本実施形態にあって、回転ハンドル部4と内装部材5の固定一体化は、以上のような構成でなされており、単純な構成でありながら、回転ハンドル部4と内装部材5のハンドル接続部53を簡便かつ確実に固定一体化することができる。
【0037】
このように回転ハンドル部4と内装部材5が一体化された状態で、回転ハンドル部4を外装ケース2(内装部材5)の軸方向を中心に回転させることにより、回転ハンドル部4の回転に連動して、外装ケース2に収容された内装部材5が外装ケース2の軸方向(内装部材5の挿入部52の軸方向。)を中心に、回転ハンドル部4の回転と同じ方向に回転して捻れることになる。
【0038】
かかる捻れにより、内装部材5の内側に形成された挿入部52も捻れ、挿入された使用者の陰茎(図示しない。)を締め付けることができ、使用者の陰茎に対する締め付けについて、回転ハンドル部4を回転させない状態(以下、「通常の状態」とする場合がある。)と比較して高くすることができる。
【0039】
内装部材5の挿入部52に挿入された陰茎に対する締め付け感の調整は、このように、外装ケース2の他方の開口部22に取り付けられたカップ状の回転ハンドル部4を、外装ケース2の軸方向を中心に回転させることにより実施される。
【0040】
図6~
図9にも示すように、本実施形態における外装ケース2の他方の開口部22と、回転ハンドル部4の開口部42には、これらが接する部分となる、複数の段から構成される段部(他方の開口部22に形成された段部22aと、開口部42に形成された段部42a)が形成されており、外装ケース2の他方の開口部22に形成された段部22aの嵌合部22bを、回転ハンドル部4の開口部42に形成された段部42aの嵌合部42bに嵌め込んで(嵌合部22bを嵌合部42bの内側に嵌め込む。)ことにより、回転ハンドル部4が回転可能な状態で、回転ハンドル部4が外装ケース2(の他方の開口部22)に取り付けられている。
【0041】
また、
図6~
図9に示すように、本実施形態における外装ケース2の他方の開口部22と、回転ハンドル部4の開口部42における段部22a,42aのそれぞれにジグザグ形状Zが形成されている。本実施形態では、外装ケース2の他方の開口部22の段部22a、回転ハンドル部4の開口部42における段部42aのそれぞれに一周にわたってジグザグ形状Zが形成されている態様を示している。
【0042】
図10は、2つのジグザグ形状Zの噛み合いの一例を示した模式図である。前記した
図6~
図9、及び
図10に示すように、本実施形態にあっては、かかる2つのジグザグ形状Zが噛み合うようにして、回転ハンドル部4が外装ケース2の他方の開口部22に取り付けられている。このように、外装ケース2と回転ハンドル部4の接する部分である段部22a,42aのジグザグ形状Zの噛み合いがなされた状態で、回転ハンドル部4を回転させることによりなされるので、締め付けた状態を確実に固定することができる上で、締め付けをさらに強くする操作や、締め付けを緩めるという操作も、ジグザグ形状Zに沿って固定されつつ、比較的スムースかつ確実になされることになる。
【0043】
図10に示したジグザグ形状Zは、2つのジグザグ形状Zが噛み合った状態からのさらなる回転等の動きをスムースにするため、段部22aに形成されるジグザグ形状Zと段部42aに形成されるジグザグ形状Zを共通するものとすることが好ましい。また、ジグザグ形状Zは、山の形状と谷の形状を共通とすることが好ましく、
図10等では、略二等辺三角形の頂部を平担にした略台形状の態様を示している。
【0044】
なお、以上説明した外装ケース2や蓋体3、及び回転ハンドル部4は、例えば、従来公知の合成樹脂や金属材料等で構成することができ、軽量性、加工性、コスト面等の観点から合成樹脂で構成されることが好ましい。
【0045】
(V)内装部材5:
次に、外装ケース2の内部の空間である収容部26に収容される内装部材5について説明する。
図11は、内装部材5の一態様を示した斜視図、
図12は、内装部材5を挿入口51のある方向から見た図、をそれぞれ示す。
【0046】
本実施形態に係る射精促進器1を構成する、いわゆるコア部材となる内装部材5は、外装ケース2の内部に形成された空間である収容部26に収容され、外装ケース2の一方の開口部21にその一端、他方の開口部22にその他端が配置される筒状の部材である。
【0047】
内装部材5の長手方向の一端(外装ケース2の一方の開口部21側に位置する一端。)には、円盤状のフランジ7が形成され、
図12等に示すように、フランジ7の略中央に挿入口51が形成されている。内装部材5は、かかる挿入口51から繋がる挿入部52が内部に形成されている。
【0048】
内装部材5は、本実施形態にあっては、前記した
図3等に示すように、使用者の陰茎(図示しない。)が挿入される空間を備えた挿入部52が形成された本体部6と、かかる本体部6の一端に形成された、円盤形状のフランジ7と、本体部6の他端に形成された、挿入口51と反対側の部分となるハンドル接続部53により構成されており、本体部6、フランジ7及びハンドル接続部53が一体となって形成されている。
【0049】
内装部材5は、外装ケース2の収容部26の形状にあわせた形状とされた本体部6と、その両端にフランジ7とハンドル接続部53を配し、本体部6の外面には、本実施形態にあっては、長手方向に延びる複数本のスリット55が形成されている(なお、各図において、スリットに対する符号55は、全てのスリットに対して付していない。)。
【0050】
本実施形態における内装部材5は、外面に対するかかるスリット55の形成により、内装部材5に柔軟性を持たせるとともに、回転ハンドル部4を外装ケース2ないしは内装部材5の軸方向に回転させた場合は、内装部材5が回転方向に捻られやすくなり、また、締め付けを内装部材5に形成された挿入部52(に挿入されている使用者の陰茎。)に伝えやすくなる。また、スリット55の形成は、内装部材5を構成する樹脂量を減らすことができる。
【0051】
一般に、外装ケース2の間に形成される空間である収容部26には、スポンジ等に代表される図示しない介在物(緩衝材)が、外装ケース2と内装部材5との間の隙間に充填されることが多い。一方、前記したように、回転ハンドル部4の回転による内装部材5ないしは挿入部52の捻れをスムースに実施し、また、前記したように圧迫感を軽減するため、介在物を存在させないことが好ましく、かかる圧迫感の軽減も含め、内装部材5の本体部6に前記した複数本のスリットを長手方向に延びるように形成させるようにしている。スリット55の形状や本数は、特に制限はなく、所望の形状及び本数(本実施形態では複数本としている。)とすることができる。
【0052】
回転ハンドル部4を外装ケース2の軸方向を中心に回転させることで、外装ケース2の内部の空間である収容部26に収容された内装部材5及び内部の挿入部52がかかる回転と連動して捻られるためには、前記したように、外装ケース2の内部壁面と内装部材5は、固定されていないことが好ましい。
【0053】
ここで、外装ケース2の内部壁面と内装部材5が固定されている場合には、回転ハンドル部4を回転させても、内装部材5がかかる回転と連動して動きにくくなるため、内装部材5の回転(捻じれ)がスムースに実施されず、所望の締め付けを得ることが難しくなる場合がある。
【0054】
本実施形態にあっては、内装部材5は、略中央に挿入口51が形成された円盤形状のフランジ7を備えている。内装部材5を外装ケース2に収容するためには、外装ケース2の一方の開口部21から、内装部材5のハンドル接続部53を挿入し、本体部6を収容した上で、フランジ7が外装ケース2の一方の開口部21から外側に現れた状態になるようにして(フランジ7を外装ケース2の内部(収容部26)に入れないで、外装ケース2の一方の開口部21から外部に張り出すようにして。)外装ケース2に内装部材5が収容される。内装部材5を外装ケース2にこのようにして収容すれば、内装部材5は、外装ケース2の内部壁面に対して何ら固定されることなく、外装ケース2に内装部材5が収容されることになる。
【0055】
図3、
図4及び
図6等に示すように、内装部材5は、フランジ7の略中心に形成されている挿入口51から繋がるように挿入部52が長手方向に形成されており、挿入部52の内壁には、使用者の陰茎(図示しない。)を刺激する部分(刺激部S)が形成されている。
【0056】
陰茎を刺激する部分(刺激部S)の形状の例としては、例えば、女性の膣の内部形状を模した、突起や襞形状、疣(いぼ)形状、蛇腹形状等が挙げられ、これらの刺激部Sを所定の配置で形成することができる。
図3等には、刺激部Sの一例である疣(いぼ)形状等を所定の配置で形成した態様を示している。
【0057】
刺激部Sは、かかる挿入口51付近と、挿入部52の略中央付近とは、異なる形状や配置を採用することが好ましい。このようにすれば、陰茎の一部(例えば、亀頭等。)に、他の部分と異なる種類の刺激を与えることができる。
【0058】
フランジ7を含む内装部材5を構成する材料としては、適当な弾力、伸縮性、柔軟性を備えた材料を使用することが理想的であり、例えば、各種エラストマー(スチレン系エラストマー、熱可塑性エラストマー等。)等のゲル状樹脂材料、ゲル状のゴム、各種ゴム材料、シリコーン系樹脂、ポリスチレン系樹脂等により構成されることが好ましい。
【0059】
(VI)射精促進器1の使用方法等:
以下、本実施形態に係る射精促進器1の使用方法の一例を説明する。まず、射精促進器1の外装ケース2の蓋体3を外して、外装ケース2の一方の開口部21を開いた状態とする。この場合、開口部21を開いた状態としたことにより現れる内装部材5の挿入口51から潤滑剤(ローション)(図示しない。)を注ぎ込んで塗りつけ、内装部材5の挿入部52に潤滑剤をまんべんなく行きわたらせることが好ましい。また、かかる潤滑剤は、陰茎にも塗りつけておくことが好ましい。
【0060】
前記のように潤滑剤を使用する場合において、本発明の射精促進器1を、精子(精液)を採取するための精子(精液)採取器(精子採取装置)としても使用するに際しては、殺精子薬を含有しない、潤滑を主たる目的として用いられる単なる潤滑剤を使用するようにすることが好ましい。
【0061】
次に、使用者の陰茎(図示しない。)を、開口されている外装ケース2の一方の開口部21から確認できるフランジ7に形成される挿入口51から挿入部52へと挿入するようにする。陰茎は、ある程度勃起した状態で挿入した方が使用上好ましい。
【0062】
挿入口51から挿入部52へ陰茎を挿入した後、使用者は射精促進器1を握り、好ましくは陰茎の長手方向に沿って適度に上下に動かすことにより、陰茎は、内装部材5の挿入部52の内部に形成された疣(いぼ)形状及び蛇腹形状等の刺激部Sにより刺激されることになる。
【0063】
また、使用者が射精促進器1の外装ケース2を握りしめることによって、外装ケース2の収容部26の空間を介して、内装部材5から陰茎が圧迫されることになり、締め付け感が伝わる。
【0064】
使用者が、陰茎に対して締め付け感を上げる(きつく締め付ける)ことを希望する場合には、カップ状の回転ハンドル部4を外装ケース2に対して回転させ、挿入部52を捻った状態とさせることにより、挿入された陰茎を締め付けることができる。本発明は、このような回転ハンドル部4の回転により、陰茎に対する締め付け感を簡便に調整することができる。
【0065】
締め付け感の調整は、前記のように、回転ハンドル部4の回転によりなされる。ここで、本実施形態にあっては、回転ハンドル部4と外装ケース2の接する部分のジグザグ形状Zの噛み合いがなされた状態で、回転ハンドル部4を回転させるので、回転ハンドル部4と外装ケース2の接する部分がともに平坦で、ジグザグ形状Zの噛み合いがない場合と比較して、締め付けた状態を確実に固定することができる。加えて、締め付けをさらに強くする操作(すでに回転させた方向にさらに回転させる。)や、締め付けを緩めるという操作(すでに回転させた方向と逆の方向に回転させる(戻す)。)も比較的スムースになされることになる。
【0066】
前記のような操作により使用者が射精した後は、陰茎を射精促進器1から抜き、挿入口51から所望の量の精子(精液)を採取するとともに、内装部材5の内部空間である挿入部52等に残った精子(精液)等を洗浄するようにする。また、蓋体3も洗浄するようにする。なお、前記した精子(精液)の採取は、挿入口51にスポイト等を差し込んで吸引することにより実施するようにしても構わない。
【0067】
また、射精促進器1の製造に関し、
図1等に示した射精促進器1を組み立てて製造するには、例えば、以下のようにすればよい。まず、前記した材料等で形成された外装ケース2、蓋体3、回転ハンドル部4及び内装部材5について、外装ケース2の一方の開口部21から内装部材5のハンドル接続部53を挿入し、内装部材5のフランジ7が、外装ケース2の一方の開口部21から外側に現れた状態になるようにして、外装ケース2に内装部材5を収容する。
【0068】
次に、外装ケース2の一方の開口部21に蓋体3を取り付けて塞ぎ、内装部材5のハンドル接続部53に形成された固定穴54に、回転ハンドル部4の棒状の接続体41を挿入して、回転ハンドル部4と内装部材5のハンドル接続部53を固定一体化する。
【0069】
このような状態で、外装ケース2の他方の開口部22に形成された段部22a(の嵌合部22b)を、回転ハンドル部4の開口部42に形成された段部42a(の嵌合部42b)に嵌め込むことにより、回転ハンドル部4を、外装ケース2の他方の開口部22に、外装ケース2の軸方向を中心に回転可能に取り付けることにより、射精促進器1を簡便に組み立てることができる。
【0070】
(VII)本発明の効果:
以上説明した本発明に係る射精促進器1は、内装部材5と一体化された回転ハンドル部4が軸方向を中心に回転可能とされており、かかる回転ハンドル部4の回転により、内装部材5及び使用者の陰茎が挿入される挿入部52が回転ハンドル部4の回転と同じ方向に捻れるため、通常の状態と比較して使用者の陰茎への締め付けを強くすることができる等、挿入部52の締め付け感の調整を簡便に実施することができる。また、かかる調整の操作も、回転ハンドル部4を軸方向に回転させるという簡便なものであるので、操作性も良好である。
【0071】
本発明に係る射精促進器1は、男性の射精を促進する装置として使用できるが、男性から精子を採取する装置(精子採取装置)として、医療目的に使用することができる。また、その際にも、射精能力が低下した男性について射精を促進することが可能となる。加えて、男性の性的衝動等を抑制することにより、健全な社会構築等の手助けとなる。
【0072】
(VIII)実施形態の変形:
なお、以上説明した態様は、本発明の一態様を示したものであって、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の構成を備え、目的及び効果を達成できる範囲内での変形や改良が、本発明の内容に含まれるものであることはいうまでもない。また、本発明を実施する際における具体的な構造及び形状等は、本発明の目的及び効果を達成できる範囲内において、他の構造や形状等としても問題はない。本発明は前記した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形や改良は、本発明に含まれるものである。
【0073】
前記した実施形態では、内装部材5の挿入部52の内壁に形成される、陰茎を刺激する部分(刺激部S)の形状の一例について、疣(いぼ)形状等を所定の配置で形成した態様を
図3、
図4及び
図6等に示して説明したが、刺激部Sの形状については前記したもの以外でもよく、刺激を与える可能性を有する形状を適宜採用することができる。
【0074】
前記した実施形態では、外装ケース2の形状について、長手方向の略中央に、平面視でなだらかな山状となる小径部23と、かかる小径部23を挟んで、小径部23より大きな径からなる2つの大径部24,25が、小径部23の中央に対して対称に形成されている態様を、
図1~
図5等に示して説明したが、外装ケース2の形状はこれには限定されず、使用者等の手で握ることが可能な筒状であれば形状等は任意に決定することができる。
【0075】
また、蓋体3による外装ケース2の開口部21を開閉する手段については、その他、蓋体3を一方の開口部21に対して物理的に嵌め込み可能とする等、蓋体3により外装ケース2の一方の開口部21を開閉できるのであれば、その手段は特に限定されない。
【0076】
前記した実施形態では、回転ハンドル部4と内装部材5のハンドル接続部53を固定一体化するための構成として、内装部材5のハンドル接続部53に形成された固定穴54に、回転ハンドル部4の棒状の接続体41を挿入する態様を例に挙げて説明したが、かかる態様は一例であり、回転ハンドル部4と内装部材5のハンドル接続部53を固定一体化する手段としてはこれ以外の構成を用いてもよい。また、接続体41の本数(前記実施形態では2本)及び固定穴54の数(前記実施形態では2つ)についても、これらは一例であり、所望の本数、数を適宜決定することができる。
【0077】
なお、前記した実施形態では、使用時に、内装部材5の挿入部52に潤滑剤を注ぎ込むようにした使用方法を例に挙げて説明したが、本発明に係る射精促進器1は、潤滑剤を挿入部52等にあらかじめ注ぎ込んだ状態で蓋体3を閉めてパッケージングして流通、販売するようにしてもよい。また、その際には、挿入口51に、使用時に容易に取り外すことができる図示しないスポンジ等からなる略円形の板状部材を載置したり、使用時に容易に取り外すことができる図示しない栓等をすることにより、流通時等の潤滑剤の漏れ等を防止することが好ましい。
【0078】
また、潤滑剤は、別途図示しない容器等に入れた状態で射精促進器1に付属させてもよく、例えば、潤滑剤が入った図示しない容器等を、蓋体3の内部等に取り外し可能に取り付けて付属させてもよい。
その他、本発明の実施の際の具体的な構造及び形状等は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造等としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、医療用途はもちろんのこと、男性の性的衝動等を抑制することにより、健全な社会構築等の手助けとなることができるため、産業上の利用可能性は極めて高い。
【符号の説明】
【0080】
1 …… 射精促進器
2 …… 外装ケース
21 …… 一方の開口部
22 …… 他方の開口部
22a …… 段部(接する部分)
22b …… 嵌合部
22r …… 周縁
23 …… 小径部
24,25 …… 大径部
26 …… 収容部
27 …… 凸部格納部
3 …… 蓋体
31 …… 天面部
32 …… 開口部
32r …… 周縁
33 …… 側面部
34 …… 凸部
4 …… 回転ハンドル部
41 …… 接続体
42 …… 開口部
42a …… 段部(接する部分)
42b …… 嵌合部
42r …… 周縁
5 …… 内装部材
51 …… 挿入口
52 …… 挿入部
53 …… ハンドル接続部
54 …… 固定穴
55 …… スリット
6 …… 本体部
7 …… フランジ
B …… 境界
S …… 刺激部
Z …… ジグザグ形状