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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-02
(45)【発行日】2023-06-12
(54)【発明の名称】三輪ペダル車
(51)【国際特許分類】
   B62K 5/10 20130101AFI20230605BHJP
   B62M 3/00 20060101ALI20230605BHJP
【FI】
B62K5/10
B62M3/00 D
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021503223
(86)(22)【出願日】2019-04-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-19
(86)【国際出願番号】 IB2019052746
(87)【国際公開番号】W WO2019193523
(87)【国際公開日】2019-10-10
【審査請求日】2022-03-14
(31)【優先権主張番号】102018000004264
(32)【優先日】2018-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】520386512
【氏名又は名称】クラウディオ・ベルナルディ
【氏名又は名称原語表記】Claudio BERNARDI
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100113170
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 和久
(72)【発明者】
【氏名】クラウディオ・ベルナルディ
【審査官】福田 信成
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第03860264(US,A)
【文献】国際公開第2005/120939(WO,A1)
【文献】特開2002-362461(JP,A)
【文献】特開2008-273462(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62K 5/10
B62M 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペダル車(100)であって、
サドル(1)と、前輪(2)と、支持体(6)またはフレームと、一対のペダル(5、5’)と、一対の後輪(3、3’)とを備え、
前記前輪(2)の前記支持体(6)と、前記後輪(3、3’)との間に揺動機構(4)を備え、
当該揺動機構は、前記ペダル車(100)の平衡を実現し前記後輪(3)を傾斜可能とすることによって、前記ペダル車(100)の操向を決め
前記前輪(2)は、前記揺動機構(4)のロッド(4’’)に対して、前記前輪(2)の中心(C)を通過する軸(Z)に沿って揺動するため、当該軸(Z)は地面に略水平である、
ペダル車(100)。
【請求項2】
前記揺動機構(4)はロッド(4’)を備え、前記ロッド(4’)は、軸(16)に沿って枢着され、前記支持体(6)の傾斜およびユーザの傾斜に基づいて右または左へ前記軸(16)を動かすカーソルとして構成されており、前記後輪(3、3’)をその垂直軸に沿って相互に同期的に回動させる、
請求項1に記載のペダル車(100)。
【請求項3】
前記揺動機構(4)は弾性手段(15、15’)を備え、前記弾性手段(15、15’)は、静止から動き出すときおよび運動しているときに、ならびに、直線移動中および操向段階中に、前記ペダル車(100)の安定性を確保するように、前記軸(16)に沿って設けられており、または、前記軸(16)と前記ロッド(4’)との間に設けられている、
請求項2に記載のペダル車(100)。
【請求項4】
前記後輪(3、3’)はリブ(17)によって相互に接続されており、前記リブ(17)は、前記ペダル車(100)において安定性およびバランスを確保するように構成されている、
請求項1~3のいずれか1項に記載のペダル車(100)。
【請求項5】
前記サドル(1)は、垂直軸(X)に対する後方位置において、前記支持体(6)の上部と確実に接続されており、前記垂直軸(X)は、前記ペダル(5、5’)を接続する水平線分(Y)の中心を通過する、
請求項1~4のいずれか1項に記載のペダル車(100)。
【請求項6】
前記サドル(1)は、前記ペダル(5、5’)を接続する水平線分(Y)の中心を通過する垂直軸(X)に対して角度(α)をなすように傾斜しており、前記角度(α)は15°から35°の範囲内に含まれている、
請求項4に記載のペダル車(100)。
【請求項7】
前記ペダル(5、5’)は、前記前輪(2)の中心(C)に対する偏心位置において前記支持体(6)に取り付けられている、
請求項1~6のいずれか1項に記載のペダル車(100)。
【請求項8】
前記ペダル車(100)の運動機構は、前記前輪(2)に位置しており、前記ペダル(5、5’)を含み、前記ペダル(5、5’)のそれぞれは、歯付きクラウン(12、12’)と、チェーン(14、14’)によって対応する前記歯付きクラウン(12、12’)に接続された一対のピニオン(13、13’)と一体になっている、
請求項1~のいずれか1項に記載のペダル車(100)。
【請求項9】
前記歯付きクラウン(12、12’)は、24歯を有し、直径が約100mmであり、前記ピニオン(13、13’)は、16歯を有し、直径が約75mmである、
請求項に記載のペダル車(100)。
【請求項10】
長さの範囲が70cmから85cmであり、幅の範囲が35cmから50cmであり、高さの範囲が70cmから90cmである、
請求項1~のいずれか1項に記載のペダル車(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、斬新なペダル車に関し、特には、三輪車に関し、運搬されることおよび都市に利用されることに特に好適であるが、これらの応用に限らない。
【背景技術】
【0002】
知られているように、多くのペダル車は、レジャーのために利用されるとともに、都市内における日常移動のための車としても利用される。また、近年では、都市交通については、環境にやさしく容易に利用できる運送手段が好ましくなっている。
【0003】
これらの運送手段は、特に、多くのイタリアの地方自治体によってユーザに利用可能なすべての伝統的な自転車は、伝統的な運送手段(バス、列車および地下鉄)の代わりに利用される。しかしながら、伝統的な自転車は、すべてのタイプのユーザに好適なことではなく、例えば、安定性に問題を抱えている人には好適ではない。
【0004】
長年にわたって知られていて市販品が入手可能な自転車は、折り畳み可能で運搬可能な二輪手段である。
【0005】
しかしながら、伝統的なペダル車は、一般的には運搬しやすくなる異なる形態に折り畳み可能であることにも関わらず、運搬しにくい。伝統的なペダル車は、一般的には特に小さい輪を有し、よって、利用が難しく、相当なペダル踏力を必要とする。
【0006】
したがって、既存のペダル装置の欠点を克服し、運転に特にコンパクトで特に快適であり、かつ、歩行者に利用可能な斬新な運送装置についての需要がある。
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、独立請求項によって特定されたように、長さと高さとの寸法が特にコンパクトであるため、運搬しやすく、利用しやすく、任意タイプのユーザに好適であるペダル車を提供することであり、当該ペダル車は、特別な運転スキルまたはペタリングスキルを必要としない。
【0008】
この目的は、一連の構造上の手法および寸法上の手法で、当の運送手段によって達成される。多くの技術テストの結果、当該運送手段によれば、快適性、利用容易性、および運転中の安全性が特に確保される。
【0009】
従属請求項は本発明の特にかつさらに有利な実施態様を記載している。
【0010】
本発明を実行する異なる方法は、添付図面を参照しながら例示的な手段によって説明される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に基づくペダル車の一側の斜視図
図2図1の車の背面図
図3】動作中、特に操向段階中の図1の車の斜視図
図4】動作中、特に操向段階中の図1の車の背面図
図5A】内部の機構の詳細が示された、本発明に基づく車の斜面図
図5B】後方の操向機構の詳細が示された、本発明に基づく車の断面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
前述した図面を参照しながら、斬新なペダル車100を説明する。車100は、サドル1と、前輪2と、前輪2を覆う支持体6と、一対のペダル5、5’と、一対の後輪3、3’と、揺動機構4と、を備え、揺動機構4は前輪2と後輪3、3’との間の接続のためのものである。揺動機構4によって輪3、3’の傾斜および曲りが可能となり、よって、輪3、3’がそれぞれの垂直軸に対して同期的に操向され、その結果、ペダル車100の操向が決められる。支持体6はフレームに代替可能である。
【0013】
有利なことに、よりよいペダル車100のコンパクト性を得るために、三つの輪が部分的に並んでおり、よって、後輪3、3’の全体的な寸法は減少される。特に、後輪3、3’の軸方向には前輪2と部分的に重なっている。これらの特徴によって、ペダル車100は特に抑えた全体的な長さが得られる。
【0014】
さらに、三輪手段の存在によって、当該車は、利用時と立っている時ともに自分でバランスを保つことができる。その結果、三脚などの追加的なサポートが必要とされなければ、交通信号を待つときなどの停止期間にわたってユーザがその足を地面に付く必要もない。よって、この車の操縦は非常に簡単で直感的であり、操縦のために特に敏捷性または制約を必要としない。
【0015】
有利なことに、実際に、揺動機構4による後輪3、3’の回動によれば、ユーザは手の補助を用いなくても曲がることおよび操向することができ、ペダリング中に手が自由である。よって、このペダル車100には操向輪が省かれる。
【0016】
通常の自転車のように、標準タイプの前輪2は、例えば、直径が700mmの28インチの輪である。標準タイプの前輪2は荷重支持体6に取り付けられている。支持体6は、輪2の後方部分を完全に覆い、輪2の前方部分を開放する。このようにすれば、衝突がある場合、支持体6は損傷を受けない。支持体6の当該具体的な形状は、ユーザに対して泥よけおよび保護の機能も提供する。代替的な実施例において、支持体6は後輪3、3’も覆う。
【0017】
有利なことに、前輪2は、既存のペダル手段の輪よりも大きい寸法を有するため、穴や歩道などの障害物に対抗することができる。
【0018】
標準タイプの前輪2との方案を適用した後、現在のペダル車を長さにコンパクトさせるために、サドル1は支持体6の上部に固定されている。さらに、サドル1は、ペダル5、5’に対する、および、ペダル5、5’を接続する水平線分Yの中心点を通過する垂直軸Xに対する後方位置に設けられている。
【0019】
全体的な寸法を減少させるために、座部は、ユーザの股下より少しだけ高いように、低く設けられている。また、比較的低く置かれる重心は、ペダリングおよびユーザ自身のバランスを容易にする。ただし、任意の場合において、サドル1は高さに調節可能である。
【0020】
同様に全体的な寸法を減少させるために、ペダル5、5’は、支持体6において前輪2の中心Cに対する偏心位置に取り付けられている(図1)。さらに精確に、ペダルは支持体6において前方かつ比較的低い部分に(すなわち、地面に向いて)取り付けられており、よって、サドル1に座っているユーザは快適かつよりバランスよくペダルを操縦することができる。有利なことに、ペダリングをさらに快適にさせるために、サドル1は、ペダル5、5’の水平線分Yの中心を通過する垂直軸Xに対して角度αをなすように傾斜しており、当該角度αは15°から35°の範囲内に含まれている。
【0021】
図5Aに示されているように、ユーザの脚から輪2に動力を伝達する運動機構、すなわち、ペダル車100の部品の動作機構は、前輪2自身に対して対称的に設けられている。当該運動機構は、ペダル5、5’を含み、当該ペダル5、5’のそれぞれは、歯付きクラウン12、12’と、一対のピニオン13、13’と一体になっている。当該一対のピニオン13、13’は、それぞれのチェーン14、14’によって対応する歯付きクラウン12、12’に接続されている。一対のピニオン13、13’は前輪2の軸に位置している。各自にそれぞれに前輪2の各側に位置しているクラウン12、12’およびピニオン13、13’は、より小さい設置面積(footprint)およびより低い輪の重心を得るように、相互に分離している。
【0022】
さらに、ペダル5、5’は相互に拘束されておらず、すなわち、前輪2において相互に接続されていない。このような接続があると、輪自体のスポークの動作を妨げる。
【0023】
歯付きクラウン12、12’は、例えば、24歯を有し直径が約100mmのタイプであり、ピニオン13、13’は、例えば、16歯を有し直径が約75mmのピニオンである。
【0024】
有利なことに、例えば、登りが多い場所でペダリングをより容易にするために、クラウンおよびピニオンの寸法を変更してもよい。
【0025】
伝統的な自転車において、運動チェーンの一端は輪であり、チェーンは駆動トルクを地面に伝達してペダル車の動作を生み出す。本発明の代替的方案において、チェーンテンショナはチェーンの緩い分岐(loose branch、ゆるみ側とも呼ばれている)、すなわち、低い方の分岐(下側とも呼ばれている)に設けられている。
【0026】
揺動機構4は、操向輪の補助またはユーザの手の利用がなしでペダル車100の操向を容易にし、支持体6と傾斜可能な後輪3との間の接続を構築する。当該輪3、3’は、最小バルクを達成するように構成された軸16によって相互に結合されており、車100の操向機能を実行する。同時に、ペダル車100の剛性およびバランスは曲線状のリブ17によって確保されている。当該リブ17は、車100の支持体6に向いて湾曲する凹面を有し、同様に最小バルクを達成するように構成されている。図3および図4に示されているように、操向するために、ユーザはその重量を右または左にシフトするだけでいい。このようにすれば、前輪2および支持体6に一体化された揺動機構4は、まず前輪2が傾斜され、続いて支持体6に一体化された揺動機構4が傾斜される。
【0027】
有利なことに、前輪2は、前輪2の中心Cと揺動機構4のロッド4’とを通過する軸Zに沿って揺動するため、当該軸Zは地面に略水平である。
【0028】
その結果、揺動機構4は、輪3、3’をそれらの垂直軸を中心として右または左へ同期的に回動させ、車に操向の実行をさせる。特に、揺動機構4はロッド4’を備え、ロッド4’は、軸16に沿って枢着され、カーソルとして動作する。当該カーソルは、支持体(6)の傾斜およびユーザの傾斜に基づいて右または左へ軸16を倒す。軸16のこの動作によって、後輪3、3’がその垂直軸に沿って相互に同期的に回動し、その結果、ペダル車100が操向される。
【0029】
弾性手段15、15’、例えば、つる巻きばねはペダル車100が静止から動き出すときおよび運動しているときに、ならびに、直線移動中および操向段階中に、ペダル車100の安定性を確保するように、軸16に沿って設けられており、または、軸16とロッド4’との間に設けられている。
【0030】
有利なことに、後輪3、3’は、前輪2よりも著しく小さい寸法を有し、例えば、直径が180mmである。後輪3、3’間には距離があるため、本発明に係る車の容易なペダリングと高いコンパクト性とが同時に達成できる。後輪3、3’のホイールベースの長さは約400mmである。
【0031】
運送手段100、保護対象として、とても小さい寸法を有し、長さの範囲が70cmから85cmであり、幅の範囲が35cmから50cmであり、高さの範囲が70cmから90cmであり、その結果、5kgの最小値から15kgの最大値までの間に変更可能な、限られた重量を有する。運送手段100の高さは、ユーザの高さおよびタイプに基づいて、例えば、ユーザのタイプが男性、女性、または子供であることに基づいて、変更可能である。
【0032】
これらの特徴によれば、運送が容易であり、任意場所での利用が可能となり、例えば、エレベータ、列車、バス、自動車などでの利用が可能となる。
【0033】
本発明の代替的な構成において、本発明に基づく手段は、ペダル補助(pedal assistance)によっても実現できる。さらに、有利なことに、前輪は、固定されてもよく、フリーホイールであってもよい。
【0034】
本発明の代替的な構成において、この最後の2つの構成(フリーホイールまたはペダル補助)には、ブレーキを備えるブレーキシステムを搭載してもよい。当該ブレーキは、後輪3、3’に設けられており、背もたれによって座部1と接続しており、必要があるときに作動され、制動のために後輪に作用する。
【0035】
有利なことに、当該手段は、座っている人と立っている人とを共に運送するためのカート、フロントライト、およびリアライトを備えてもよい。
【0036】
さらに、盗難を回避するために、結合システムのポール(pole)が支持体6に接続され得る。
【0037】
有利なことに、前述したように、本発明に係る手段は(ハンドルバーを有しないので)手を必要としないため、その利用時にユーザの手は完全に自由であり、例えば、自由に傘を差したり、電話で喋ったり、何かを備えたりすることができる。サドル1に座っているユーザの前方にハンドルバーまたはハンドルがないため、必要な場合または迅速に降りる場合においては障害にならない。
【0038】
さらに、理解すべきなのは、実現例または前述した実施例は例示に過ぎず、発明、その応用、またはその構成についての保護範囲をいかなる方式で制限しようとしないことである。一方、概要及び詳細な説明によれば、当業者は、概要および詳細な説明は少なくとも1つの例示的な実施例の工業的実施のための便利なガイドを当業者に提供し、請求項およびその技術的・法的な均等物によって確立された本発明の保護範囲から逸脱することなく、ここで説明した要素の機能および機構に関して、多くの変形例が想到できることは明らかである。
図1
図2
図3
図4
図5A-5B】