(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-02
(45)【発行日】2023-06-12
(54)【発明の名称】デバイス-患者モニタリング並びに患者-担当者位置調整及び分離システムを組み込んだ多目的内視鏡
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20230605BHJP
A61B 1/233 20060101ALI20230605BHJP
A61B 5/145 20060101ALI20230605BHJP
A61B 5/08 20060101ALI20230605BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20230605BHJP
【FI】
A61B1/00 552
A61B1/00 650
A61B1/233
A61B5/145
A61B5/08
A61B5/00 M
A61B5/00 N
(21)【出願番号】P 2021514596
(86)(22)【出願日】2019-09-17
(86)【国際出願番号】 US2019051523
(87)【国際公開番号】W WO2020061053
(87)【国際公開日】2020-03-26
【審査請求日】2022-09-12
(32)【優先日】2018-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】308032460
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ コロラド,ア ボディー コーポレイト
【氏名又は名称原語表記】THE REGENTS OF THE UNIVERSITY OF COLORADO,a body corporate
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】フリードランダー,ジョエル
(72)【発明者】
【氏名】プレガー,ジェレミー
(72)【発明者】
【氏名】デボア,エミリー
(72)【発明者】
【氏名】デターディング,ロビン
【審査官】▲高▼木 尚哉
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0146839(US,A1)
【文献】特開2018-121686(JP,A)
【文献】国際公開第2013/137372(WO,A1)
【文献】特開2010-246933(JP,A)
【文献】特開2013-178639(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00-1/32
A61B 5/00-5/01
A61B 5/06-5/22
G02B 23/24-23/26
G06T 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位端と遠位端との間に延在する長手方向長さを有する内視鏡と、
患者の頭部に取付け可能な
視界遮断デバイスであって、
前記視界遮断デバイスが前記患者の視界を少なくとも部分的にさえぎるように構成され、
前記視界遮断デバイスが近位部分及び遠位部分を備え、前記近位部分が、前記患者の自然な視線と位置合せされ、前記遠位部分が、前記近位部分に対して上向きに角度をなして配置されている、
視界遮断デバイスと、
前記長手方向長さに沿って間隔を空けて配置された複数のマーカと、
前記視界遮断デバイスに組み込まれたセンサであって、前記内視鏡の前記長手方向長さの上の前記マーカを検出するように構成されているセンサと、
を備え、
前記センサが、前記患者の体内における前記内視鏡の位置を決定するように前記内視鏡上の前記マーカを検出するように構成され、
前記視界遮断デバイスがゴーグルを備え、前記ゴーグルが、前記患者の前記視界を少なくとも部分的にさえぎるように前記患者の顔面に取付け可能であり、前記ゴーグルが、前記患者が観るための映像を表示するように構成された画面を備え、前記センサが前記ゴーグルのノーズピース内に組み込まれていることを特徴とするシステム。
【請求項2】
近位端と遠位端との間に延在する長手方向長さを有する内視鏡と、
患者の頭部に取付け可能な視界遮断デバイスであって、前記視界遮断デバイスが前記患者の視界を少なくとも部分的にさえぎるように構成され、前記視界遮断デバイスが近位部分及び遠位部分を備え、前記近位部分が、前記患者の自然な視線と位置合せされ、前記遠位部分が、前記近位部分に対して上向きに角度をなして配置されている、視界遮断デバイスと、
前記長手方向長さに沿って間隔を空けて配置された複数のマーカと、
前記視界遮断デバイスに組み込まれたセンサであって、前記内視鏡の前記長手方向長さの上の前記マーカを検出するように構成されているセンサと、
を備え、
前記内視鏡が経鼻内視鏡であり、前記視界遮断デバイスが、前記患者が観るための映像又は画像を表示するように構成された少なくとも1つの画面を備え、前記遠位部分の上向きの角度により、前記視界遮断デバイスが前記患者の頭部に取り付けられたときに前記患者の鼻通路へのアクセスが可能になり、
前記視界遮断デバイスが、前記視界遮断デバイスが前記患者の頭部に取り付けられたときに前記患者の鼻通路へのアクセスを可能にする逃げ切取部をさらに備え、
前記上向きの角度が、前記患者の自然な視線から約5度~約25度であり、前記センサが、処置中に前記内視鏡の位置に関する情報を提供するように構成され、前記センサが、前記視界遮断デバイスのノーズピース内に組み込まれた距離センサを含むことを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記内視鏡が経鼻内視鏡であり、
前記視界遮断デバイスが、前記患者が観るための映像又は画像を表示するように構成された少なくとも1つの画面を備え、前記遠位部分の上向きの角度により、
前記視界遮断デバイスが前記患者の頭部に取り付けられたときに前記患者の鼻通路へのアクセスが可能になることを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項
3に記載のシステムにおいて、
前記視界遮断デバイスは、
前記視界遮断デバイスが前記患者の頭部に取り付けられたときに前記患者の鼻通路へのアクセスを可能にする逃げ切取部をさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項5】
請求項
4に記載のシステムにおいて、前記上向きの角度が5~25度であることを特徴とするシステム。
【請求項6】
請求項
2に記載のシステムにおいて、
前記視界遮断デバイスがゴーグルを備え、前記ゴーグルが、前記患者の前記視界を少なくとも部分的にさえぎるように前記患者の顔面に取付け可能であり、前記ゴーグルが、前記患者が観るための映像を表示するように構成された画面を備えることを特徴とするシステム。
【請求項7】
請求項
1または6に記載のシステムにおいて、
前記ゴーグルが、前記患者に没入型及び/又はインタラクティブ体験を提供するように構成された画面を備えることを特徴とするシステム。
【請求項8】
請求項
2に記載のシステムにおいて、前記センサが、前記患者の体内における前記内視鏡の位置を決定するように前記内視鏡上の前記マーカを検出するように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項9】
請求項
1または2に記載のシステムにおいて、前記センサが、前記内視鏡の前記長手方向長さの上の前記マーカの検出を介して前記患者の体内における前記内視鏡の位置を検出するように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項10】
請求項
1または8に記載のシステムにおいて、前記センサが、前記マーカの存在を検出するように構成されている磁気センサであり、前記マーカが、前記磁気センサによって検出可能な鉄系材料を含むことを特徴とするシステム。
【請求項11】
請求項
1または8に記載のシステムにおいて、前記センサが、前記マーカの存在を検出するように構成されている光センサであり、前記マーカが、前記光センサによって検出可能な光を放出又は反射することを特徴とするシステム。
【請求項12】
請求項
1または8に記載のシステムにおいて、前記センサが、前記マーカの存在を検出するように構成されている機械式センサであり、前記マーカが、前記機械式センサによって検出可能であるように前記内視鏡の前記長手方向長さの表面に対して隆起していることを特徴とするシステム。
【請求項13】
請求項
1または8に記載のシステムにおいて、
前記視界遮断デバイスに凹部をさらに備え、前記凹部が、電子機器モジュールを取外し可能に収納するように構成され、前記電子機器モジュールが、患者の心拍数、パルスオキシメトリ、血圧、汗中成分、ガス呼気レベル、体温、呼気音、呼吸数、皮膚の弾力性、眼圧、瞳孔径、瞳孔間距離、鼓膜コンプライアンス、補聴器機能、及び体腔の管腔圧のうちの少なくとも1つを検出するように構成された1つ又は複数の追加のセンサを備えることを特徴とするシステム。
【請求項14】
請求項
1または8に記載のシステムにおいて、前記患者のパルスオキシメトリレベルをモニタリングするように構成された第2センサをさらに
備えることを特徴とするシステム。
【請求項15】
請求項14に記載のシステムにおいて、前記センサが、処置中に前記内視鏡の位置に関する情報を提供し、前記内視鏡の
体腔管腔圧を読み取るように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項16】
請求項15に記載のシステムにおいて、
前記視界遮断デバイスが、前記患者に対する分離体験
であって、処置中の不快感、痛み、不安又は恐怖から患者の注意を転換させる分離体験と、前記内視鏡を使用して前記患者の前記1つ又は複数の評価を行う前記医師に対するストレスが低減した体験とを提供するように
構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項17】
請求項
2に記載のシステムにおいて、前記内視鏡の少なくとも一部分が、前記患者の意識がある間に、前記逃げ切取部を介して前記患者の鼻通路内に挿入されるように構成されていることを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照、関連出願、及び参照による援用
本出願は、2018年9月17日に出願された米国仮特許出願第62/732,272号に対する優先権を主張する。本出願は、2015年6月24日に出願された米国仮特許出願第62/184,077号の利益を主張する、2016年12月29日に国際公開第2016/210322号として公開された、2016年6月24日に出願された国際特許出願PCT/US16/39352号に対する利益を主張するとともに、その出願の国内移行段階である、2017年12月22日に出願された米国特許出願第15/853,521号の一部継続出願でもある。本出願は、2017年12月21日に出願された米国特許出願第15/850,939号の一部継続出願でもある。
【0002】
前述の出願と、前述の出願で又はそれらの審査中に引用されているすべての文献(「出願引用文献」)と、出願引用文献において引用又は参照されているすべての文献と、本明細書において引用又は参照されているすべての文献(「本明細書中の引用文献」)と、本明細書中の引用文献において引用又は参照されているすべての文献とは、本明細書において又は参照により本明細書に援用する任意の文献において言及されている任意の製品に関する、任意の製造業者の指示書、説明書、製品仕様書及び製品シートとともに、参照により本明細書に援用されるものであり、本発明の実施の際に採用することができる。より具体的には、すべての参照文献は、各個々の文献が参照により援用されているように具体的且つ個々に示されているのと同程度に、参照により援用される。
【0003】
本発明は、複数の症状を評価するためのデバイス及びその使用に関する。本明細書に記載するデバイスは、たとえば、経鼻内視鏡、経鼻食道鏡、経鼻胃内視鏡、経鼻十二指腸内視鏡、経鼻腸内視鏡、トリプル内視鏡、気管支鏡、喉頭鏡、経鼻胃内視鏡、気道消化器内視鏡、及び/又は適合する任意の体腔を視覚化するために使用される内視鏡デバイス等の、内視鏡を含む、複数の最終用途に使用することができる可能性がある。
【0004】
本明細書に記載するように、デバイスは、使いやすさ及び/又は患者の快適さを可能にする所定のサイズ及び患者の姿勢を維持しながら、複数の機能を包含することができる。場合により、たとえば、小児科又は小柄な成人等における、獣医学及び/又は医学では、機能性を維持しながら、より小さな直径を有するデバイスを作成することが必要である場合がある。十分な機能を備えたこうした小型デバイスを作成するとともに、非鎮静下患者を担当者と相互に関わりながら適切な姿勢で維持することは、複雑であり且つ達成することが技術的に困難である。たとえば、小児、小柄な成人における、及び消化器処置室又は手術室が利用できない外来診療又は緊急の現場における、好酸球性食道炎、食道炎、バレット食道、食道癌、胃炎、セリアック病、胃感染、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、及び気道消化器疾患の評価及び治療は、特に興味深い場合がある。より具体的には、本発明のいくつかの実施形態は、小児又は成人の経鼻内視鏡と患者及び担当者の注意転換(distraction)及び相互関係デバイスとに関するものであり得る。
【背景技術】
【0005】
好酸球性食道炎(EoE)は、米国では1/10,000の推定発病率で小児及び成人が罹患する一般化しつつある慢性炎症性疾患である[Dellon ES,Gonsalves N,Hirano I,et al.ACG clinical guideline:Evidenced based approach to the diagnosis and management of esophageal eosinophilia and eosinophilic esophagitis(EoE).Am J Gastroenterol 2013;108:679-92;quiz 693]。好酸球性食道炎が進行して食道狭窄が起こる可能性と、症状が常に好酸球増多の程度と相関するとは限らないという事実とから、治療後の食道粘膜治癒を確実にするために食道粘膜の繰返しの評価に多くの注意が払われてきた。対照的に、従来の鎮静下上部消化管内視鏡検査(esophagogastroduodenoscopy)(EGD)に関連するリスク、コスト及び時間的拘束が著しく、担当者と親とに同様に懸念を生じさせてきた[Gleich SJ,Flick R,Hu D,et al.Neurodevelopment of children exposed to anesthesia:Design of the Mayo Anesthesia Safety in Kids(MASK)study.Contemp Clin Trials 2014;41C:45-54]。これらのジレンマにより、胃腸科医は、EoEでのEGDの使用が、有効な治療、低コストのケア、及び最適且つ安全な医療体験を提供するために、医療においてBerwickの3つの目的の目標を満たしているか否かの熟考を迫られる[Berwick DM,Nolan TW,Whittington J.The triple aim:care,health,and cost.Health Aff(Millwood)2008;27:759-69]。総合的症状に関わらず各治療的変化後に生検を伴うEGDを行うべきか、治療に対して臨床的に好反応を示していない患者に対してEGDを控えるべきか、又は患者の体調が良い場合にEGDを再び行うべきではないか。
【0006】
これらの問題に対処するために、食道炎症を測定する代替方法が緊急に必要とされている。生検を伴う食道鏡検査は、依然として、粘膜炎症を評価するための至適基準技法であるが、考えられる代替技法として、Cytosponge、食道ストリングテスト及び共焦点係留式顕微内視鏡等の他の技術が登場してきた[Furuta GT,Kagalwalla AF,Lee JJ,et al.The oesophageal string test:a novel,minimally invasive method measures mucosal inflammation in eosinophilic oesophagitis.Gut 2013;62:1395-405;Tabatabaei N,Kang D,Wu T,et al.Tethered confocal endomicroscopy capsule for diagnosis and monitoring of eosinophilic esophagitis.Biomed Opt Express 2013;5:197-207;Katzka DA,Geno DM,Ravi A,et al.Accuracy,safety,and tolerability of tissue collection by Cytosponge vs endoscopy for evaluation of eosinophilic esophagitis.Clin Gastroenterol Hepatol 2015;13:77-83 e2.]。今日まで、これらのツールは低侵襲性であるが、依然として研究の現場でのみ利用可能である[Dellon ES,Gonsalves N,Hirano I,et al.Am J Gastroenterol 2013;108:679-92;quiz 693;Furuta GT,Kagalwalla AF,Lee JJ,et al.,Gut 2013;62:1395-405]。
【0007】
近年の研究により、成人の食道粘膜を評価する経鼻内視鏡/食道鏡検査(TNE)の開発に至った[Birkner B,Fritz N,Schatke W,et al.A prospective randomized comparison of unsedated ultrathin versus standard esophagogastroduodenoscopy in routine outpatient gastroenterology practice:does it work better through the nose?Endoscopy 2003;35:647-51;Dumortier J,Josso C,Roman S,et al.Prospective evaluation of a new ultrathin one-plane bending videoendoscope for trans-nasal EGD:a comparative study on performance and tolerance.Gastrointest Endosc 2007;66:13-9;Dumortier J,Ponchon T,Scoazec JY,et al.Prospective evaluation of trans-nasal esophagogastroduodenoscopy:feasibility and study on performance and tolerance.Gastrointest Endosc 1999;49:285-91;Hu CT.Gauze pledgetting versus endoscopic-guided aerosolized spray for nasal anesthesia before trans-nasal EGD:a prospective,randomized study.Gastrointest Endosc 2010;71:11-20;Mokhashi MS,Wildi SM,Glenn TF,et al.A prospective,blinded study of diagnostic esophagoscopy with a superthin,stand-alone,battery-powered esophagoscope.Am J Gastroenterol 2003;98:2383-9;Mulcahy HE,Riches A,Kiely M,et al.A prospective controlled trial of an ultrathin versus a conventional endoscope in unsedated upper gastrointestinal endoscopy.Endoscopy 2001;33:311-6;Yagi J,Adachi K,Arima N,et al.A prospective randomized comparative study on the safety and tolerability of trans-nasal esophagogastroduodenoscopy.Endoscopy 2005;37:1226-31]。従来のEGDと対照的に、TNEは、外来患者の診療室で行うことができ、麻酔又は鎮静が不要であり、成人が忍容できる成人経鼻胃内視鏡を使用し、バレット食道の評価に適切な試料を取得することを含む利点を提供する[Shariff MK,Bird-Lieberman EL,O’Donovan M,et al.Randomized crossover study comparing efficacy of trans-nasal endoscopy with that of standard endoscopy to detect Barrett’s esophagus.Gastrointest Endosc 2012;75:954-61;Saeian K,Staff DM,Vasilopoulos S,et al.Unsedated trans-nasal endoscopy accurately detects Barrett’s metaplasia and dysplasia.Gastrointest Endosc 2002;56:472-8]。しかしながら、成人の処置で使用される内視鏡は、小児の場合での使用には適しておらず、多くの成人に対して大きすぎる。TNEを達成するために、多くの特徴が取り除かれており、遠位操縦の喪失及び視覚化の低減等の犠牲が払われてきた。さらに、成人内視鏡及び経鼻内視鏡は、大型で嵩張る頭部を有し、多くの小児サイズ又は小柄な成人の鼻腔に適合せず、手の小さな人による制御は困難であり、操作性の向上のための任意選択的な補剛能力を有しておらず、フット制御部又は完全なアレイのハンドボタン制御部を有しておらず、レポートの音声ディクテーションに接続されないか又は音声ディクテーションを可能にせず、小児又は小柄な成人に使用することができず、気管支鏡検査に使用することができない。したがって、必要なものは、上記の組織の十分に満足のいく評価も可能にしながら、診断及び治療を可能にするのに十分に大きな、完全なアレイの操縦装置及びチャネルを用いて、鎮静下及び非鎮静下の両方において小児及び小柄な成人における食道粘膜、胃粘膜、十二指腸粘膜、気管粘膜及び気管支粘膜を評価するようにTNEを適合させるために使用できる、デバイス及び関連方法である。本発明は、この重要な必要を満たすツール及び技法を提供する。医療デバイスにおいて、内視鏡技術を用いる治療又は診断状態を支援するために、光を使用することができる。特に、光は、組織を刺激するためにプローブで使用することができる。たとえば、参照により援用されるMcAlinden(McAlinden,Niall and Massoubre,David and Richardson,Elliot and Gu,Erdan and Sakata,Shuzo and Dawson,Martin D and Mathieson,Keith(2013)Thermal and optical characterization of micro-LED probes for in vivo optogenetic neural stimulation.Optics Letters,38(6).pp.992-94.http://dx.doi.org/10.1364/OL.38.000992)によって開示されているように、感光性組織を刺激するために、プローブに窒化ガリウムマイクロLEDが使用されてきた。
【0008】
内視鏡処置中、患者は、多くの場合、恐怖を感じるとともに不安であり、不快感を覚え、したがって、患者の注意を自身の感覚を刺激することから転換するようにすることが望ましく、それにより、患者に対して処置が精神的に且つ身体的により容易となる。しかしながら、これは、患者が多くの場合、自身の担当者又は体験から分離される(disassociated)必要があるため、十分ではない。担当者は、適切な位置と着座した患者との相互関係を維持する必要もある。至近距離から医療デバイスを見るか又は自身の担当者の眼をのぞき込む恐れがある。さらに、非鎮静での処置を行っている担当者は、多くの場合、こうした処置において通常使用されるように麻酔又は鎮静なしに処置を実施する危惧により、自身の患者から分離される必要がある。この同じ担当者が、患者をじっとさせ、限られた方法で自身の患者と相互に関わることができる必要がある。こうした仕事は、本質的には、薬剤又は薬物を使用しない麻酔である。本開示は、この担当者及び患者の分離と適切な着座位置調整とを達成しながら、体腔における内視鏡の容易な挿入も可能にする。これらの概念は、小児を治療する場合に特に当てはまり、それは、小児が、臨床環境で、且つ、体内に長く且つ不快なデバイスが挿入される内視鏡処置を通して、じっとしている可能性が低く、著しい不安を感じるためである。
【0009】
本出願におけるいかなる文献の引用又は特定も、そうした文献が本発明に対する従来技術として利用可能であることを認めるものではない。
【発明の概要】
【0010】
本開示の1つの態様では、システムが提供される。本システムは、近位端と遠位端との間に延在する長手方向長さを有する内視鏡を備え、内視鏡は、長手方向長さに沿って間隔を空けて配置された複数のマーカをさらに備える。本システムは、患者-担当者分離(disassociation)デバイスをさらに備え、このデバイスは、患者の視界を少なくとも部分的にさえぎり、それにより、患者に分離及び/又は注意転換環境を提供し、適切な着座位置調整を提供し、内視鏡が挿入されている体腔への容易なアクセスを可能にするように構成されている。本システムは、分離デバイスに組み込まれたセンサをさらに備え、センサは、内視鏡の長手方向長さの上のマーカを検出するように構成することができる。センサは、他の検知事象のためにも有用であり得るか、又は、他の検知事象に対して追加のセンサを使用することができる。
【0011】
本開示の別の態様では、分離デバイスはゴーグルを備えることができ、ゴーグルは、患者の視界を少なくとも部分的にさえぎるように患者の顔面に取付け可能であり、ゴーグルは、分離体験を提供するように患者が観るための、限定されないが映像、画像、文字、絵文字、しるし、デザイン、絵等を含む、情報を表示するように構成された、ディスプレイ、画面等を含むことができる、可視エリア又は領域を備える。別の態様では、可視エリア又は領域は、ディスプレイ又は画面を有するモバイルデバイスを含むことができ、ゴーグルは、モバイルデバイスをゴーグルに着脱式に取り付ける取付機構をさらに備える。さらに別の態様では、可視エリア又は領域は、ゴーグルに組み込まれた1つ又は複数のディスプレイ又は画面を含むことができる。可視画面は、担当者による鼻腔への容易なアクセスを可能にするように、ゴーグルの設計を介して位置決めすることができる。これは、ゴーグルデバイスのレンズ角度及び形状を介して行われる。これは、小児及び成人に対する鼻アクセスも可能にする。さらに別の態様では、ゴーグルは、患者及び検査者に音声刺激を提供するように構成されたヘッドフォン又は開放型音声伝送デバイスとして構成された、電気音響変換器又はスピーカをさらに備えることができる。さらなる態様では、センサは、内視鏡の長手方向長さの上のマーカの検出を介して患者の体内における内視鏡の位置を検出するように構成することができる。さらなる態様では、センサは磁気センサとすることができ、マーカは金属材料を含むことができ、磁気センサは、マーカの存在を検出するように構成される。別の態様では、センサは光センサとすることができ、マーカは光を放出又は反射することができ、光センサは、マーカの存在を検出するように構成される。さらに別の態様では、センサは機械式センサとすることができ、マーカは、内視鏡の長手方向長さの表面に対して隆起させることができ、機械式センサは、内視鏡の先端からさまざまな距離でマーカの存在又は内視鏡上に体腔によって伝達される圧力を検出するように構成される。さらなる態様では、ゴーグルのノーズピース内にセンサを組み込むことができる。別の態様では、内視鏡は経鼻内視鏡であり得る。さらに別の態様では、センサ(又は複数のセンサ)は、患者の心拍数、パルスオキシメトリ、血圧、汗中成分、ガス呼気レベル、体温、呼気音、呼吸数、皮膚の弾力性、眼圧、瞳孔径、瞳孔間距離、鼓膜コンプライアンス及び補聴器機能のうちの少なくとも1つ又は複数を検出するようにさらに構成することができる。1つの態様では、注意転換デバイスは、電子機器モジュールを取外し可能に収納するように構成された凹部をさらに備えることができ、電子機器モジュールは、上述したセンサのうちの1つ又は複数を備える。
【0012】
本開示の別の態様では、近位端と遠位端との間に延在する長手方向長さを有する内視鏡を備えるシステムが提供される。本システムは、患者の頭部に取付け可能な注意転換及び分離デバイスをさらに備え、注意転換デバイスは、医療処置のために鼻孔への容易なアクセスを可能にするように患者の視界及び可視像を少なくとも部分的にさえぎるように構成されている。患者は、座位で位置調整することができる。さらに、注意転換デバイスは、近位部分及び遠位部分を備え、近位部分は、患者の自然な視線と位置合せされ、遠位部分は、近位部分に対して角度をなして配置されている。
【0013】
1つの態様では、内視鏡は経鼻内視鏡とすることができ、注意転換及び分離デバイスは、患者が観るための映像又は画像を表示するように構成された少なくとも1つの画面を備えることができ、遠位部分の角度により、注意転換デバイスが患者の頭部に取り付けられたときに患者の鼻通路へのアクセスが可能になる。注意転換デバイスは、注意転換デバイスが患者の頭部に取り付けられたときに患者の鼻通路へのアクセスを可能にする切取部もさらに備えることができる。
【0014】
本開示の別の態様では、患者と近接する担当者によって患者に対して内視鏡検査を行う方法が提供される。本方法は、患者の視界を少なくとも部分的にさえぎるように患者の眼の上に注意転換及び分離デバイスを配置するステップを含み、注意転換デバイスは、患者の自然な視線と位置合せされる近位部分と、患者の鼻通路を露出させるように患者の自然な視線よりも上方に角度をなして配置された遠位部分とを備える。この同じデバイスにより、デバイスの形状に起因して鼻孔への容易なアクセスが可能になる。本方法は、患者の鼻通路内に内視鏡の少なくとも一部分を挿入するステップと、内視鏡を使用して患者の1つ又は複数の評価を行うステップとをさらに含む。
【0015】
したがって、いかなる既知の製品、製品を製造するプロセス、又は製品を使用する方法も本発明に含むことは本発明の目的ではなく、本出願人らは権利を留保し、いかなる既知の製品、プロセス又は方法も除外することをこれにより開示する。さらに、本発明は、米国特許商標庁の書面による記載及び実施可能要件(米国特許法第112条第1段落)又は欧州特許庁の書面による記載及び実施可能要件(欧州特許条約(EPC)の83条)を満たさない、いかなる製品、プロセス、製品の製造、又は製品を使用する方法も本発明の範囲に含めることを意図せず、本出願人らが権利を留保し、これにより、上述した製品、製品を製造するプロセス、又は製品を使用する方法を除外することをこれにより開示することに、さらに留意されたい。本発明の実施では、条項53(c)EPC及び規則28(b)及び(c)EPCを順守することが有利であり得る。本出願の系統における、又は他の任意の系統における、又は第三者の任意の先願における出願人の付与された特許の主題である任意の実施形態を明示的に除外するすべての権利は、明示的に留保される。本明細書におけるいずれも保証として解釈されるべきではない。
【0016】
本開示において、特に特許請求の範囲及び/又は段落において、「備える」、「備えた」、「備えている」等の用語は、米国特許法においてそれらに属する意味を有することができ、たとえば、これらの用語は、「含む」、「含んだ」、「含んでいる」等を意味することができ、「~から本質的になっている」及び「~から本質的になる」等の用語は、米国特許法においてそれらに帰する意味を有し、たとえば、それらは、明示的に列記されない要素を考慮するが、従来技術に見い出される要素、又は本発明の基礎的な又は新規の特徴に影響を与える要素を排除することに留意されたい。
【0017】
これら及び他の実施形態は、以下の詳細な説明により開示されるか又は明らかであり、且つ以下の詳細な説明に包含される。
【0018】
本特許又は出願書類は、カラーで作成された少なくとも1つの図面を含む。カラー図面を伴う本特許又は特許出願公開のコピーは、請求と必要な手数料の支払いとに応じて特許庁によって提供される。
【0019】
例として与えられるが、記載する具体的な実施形態のみに本発明を限定するように意図されていない、以下の詳細な説明は、添付の図面と併せて最も良く理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、標準2.8mmEGD鉗子を用いた、活動性EoEを有する生検を示す画像である。表面積は0.10mm
2である。
【
図2】
図2は、TNE1.2mm鉗子を用いた、活動性EoEを有する同じ患者からの生検を示す画像である。表面積は0.12mm
2である。
【
図3】
図3は、活動性溝及び好酸性白斑を有する対象から撮影された画像である。
【
図4】
図4は、小児経鼻内視鏡の例示的な例を示す図である。
【
図5】
図5は、小児経鼻内視鏡生検鉗子の例示的な例を示す図である。
【
図6】
図6は、内視鏡を組み込んだシステムを図示するブロック図である。
【
図7A】
図7Aは、内視鏡の遠位要素及び長尺状要素の例示的な例の分解図である。
【
図7B】
図7Bは、内視鏡の遠位要素及び長尺状要素の例示的な例の分解図である。
【
図8】
図8は、内視鏡用の遠位要素の例示的な例の端面図を示す図である。
【
図9】
図9は、内視鏡用の遠位要素の例示的な例の断面図を示す図である。
【
図10】
図10は、内視鏡用の遠位要素の例示的な例の斜視図を示す図である。
【
図11】
図11は、内視鏡用の遠位要素の例示的な例の端面図を示す図である。
【
図12】
図12は、内視鏡用の遠位要素の例示的な例の断面図を示す図である。
【
図13】
図13は、内視鏡用の遠位要素の例示的な例の斜視図を示す図である。
【
図14】
図14は、内視鏡用の遠位要素の例示的な例の上面図を示す図である。
【
図15】
図15は、内視鏡用の遠位要素の例示的な例の端面図を示す図である。
【
図16】
図16は、内視鏡用の遠位要素の例示的な例の端面図を示す図である。
【
図17】
図17は、内視鏡用の遠位要素の例示的な例の断面図を示す図である。
【
図18】
図18は、内視鏡用の遠位要素の例示的な例の斜視図を示す図である。
【
図19】
図19は、内視鏡用の遠位要素の例示的な例の上面図を示す図である。
【
図20】
図20は、内視鏡用の遠位要素の例示的な例の端面図を示す図である。
【
図21】
図21は、内視鏡用の遠位要素の例示的な例の断面図を示す図である。
【
図22】
図22は、内視鏡用の遠位要素の例示的な例の斜視図を示す図である。
【
図23】
図23は、内視鏡用の遠位要素の例示的な例の上面図を示す図である。
【
図24】
図24は、内視鏡用の遠位要素の例示的な例の端面図を示す図である。
【
図25】
図25は、内視鏡用の遠位要素の例示的な例の斜視図を示す図である。
【
図26】
図26は、内視鏡用の遠位要素の例示的な例の側面図を示す図である。
【
図27】
図27は、内視鏡用の遠位要素の例示的な例の端面図を示す図である。
【
図28】
図28は、内視鏡用の遠位要素の例示的な例の断面図を示す図である。
【
図29】
図29は、内視鏡用の遠位要素の例示的な例の斜視図を示す図である。
【
図30】
図30は、内視鏡用の遠位要素の例示的な例の上面図を示す図である。
【
図31】
図31は、内視鏡用の遠位要素のオーバーモールドの例示的な例の端面図を示す図である。
【
図32】
図32は、内視鏡用の遠位要素のオーバーモールドの例示的な例の端面図を示す図である。
【
図33】
図33は、内視鏡用の遠位要素のオーバーモールドの例示的な例の端面図を示す図である。
【
図34】
図34は、内視鏡用の制御要素の例示的な例の上面斜視図を示す図である。
【
図35】
図35は、内視鏡用の制御要素の例示的な例の正面斜視図を示す図である。
【
図36】
図36は、内視鏡用の制御要素の例示的な例の上面斜視図を示す図である。
【
図37】
図37は、内視鏡用の制御要素の例示的な例の側面斜視図を示す図である。
【
図38】
図38は、内視鏡用の制御要素の例示的な例の側面斜視図を示す図である。
【
図39】
図39は、内視鏡を組み込んだシステムを図示するブロック図である。
【
図40】
図40は、内視鏡を組み込んだシステムを図示するブロック図である。
【
図41】
図41は、システムの設定用ディスプレイのスクリーンショットである。
【
図42】
図42は、システムの作業用ディスプレイのスクリーンショットである。
【
図44】
図44は、例示的な注意転換デバイスの別の図である。
【
図45】
図45は、例示的な注意転換デバイスの側面図である。
【
図46】
図46は、任意選択的な一体化センサを示す例示的な注意転換デバイスの図である。
【
図47】
図47は、取外し可能な電子機器モジュールを図示する例示的な注意転換デバイスのさらに別の図である。
【
図48】
図48は、ゴーグルで使用される電話取付機構の図である。
【
図49】
図49は、ゴーグルで使用される電話取付機構の別の図である。
【
図50】
図50は、着脱式遠位部分を備えた内視鏡の図である。
【
図51】
図51は、着脱式遠位部分を備えた内視鏡の別の図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本開示は、EoEを有する小児対象において食道粘膜、胃粘膜、十二指腸粘膜、気管粘膜及び気管支粘膜を評価するために、これらの極細径可撓性内視鏡を用いる、生検を伴うTNEの性能について記載する。一部には、TNEに対する親及び患者対象の反応の評価と、疾患をモニタリングするために適切である試料を取得することができる能力の評価と、有害事象のモニタリングと、処置時間及び発生した料金の記録とを通して、こうした性能を評価した。この評価により、本明細書に開示する小児経鼻内視鏡及びを胃内視鏡及び食道鏡及び十二指腸内視鏡を用いる非鎮静下経鼻内視鏡検査が、鎮静下上部消化管内視鏡検査に対する優れた代替技法を提供することが示された。
【0022】
成人における非鎮静下経鼻内視鏡検査(TNE)は、鎮静下上部消化管内視鏡検査(EGD)よりも安全且つ低コストである。適切なツール及び技法を用いて、好酸球性食道炎(EoE)又は上部消化管の他の病状を有する小児の食道粘膜、胃粘膜及び十二指腸粘膜をモニタリングするための有効なツールとして、生検を伴うTNEを適合させることができる。この技法により、安全性を劇的に向上させ、小児のケアにおけるコストを削減することができる。本開示は、小児EoEにおける生検を伴うTNEの性能の進展について記載する。
【0023】
本研究では、8~17歳のEoEを有する対象及びその親を登録した。非鎮静下TNEを行った。2.8mm(1.2mmチャネル)として気管支鏡検査用に設計された現在入手可能な小型の内視鏡、又は4mm可撓性気管支鏡(2mmチャネル)を使用して、食道生検を取得した。これらの内視鏡は、本出願人らのここで提案する小児経鼻内視鏡よりも短く、水路、吸引、空気、フット制御部、高精細度光学系又は補剛能力がなかった。TNEの生検分析、時間、有害事象及び請求料金を評価した。TNEの直後及び最短2週間後に、mGHAA-9(modified Group Health Association of America)及び選好質問票にそれぞれ回答した。
【0024】
登録した22人の対象のうちの21人がTNEを完了した。TNEは、深刻な有害事象なしに忍容された。組織病理学的分析により、0eos/hpf(n=12)、<15eos/hpf(n=4)及び>15eos/hpf(n=5)が明らかとなり、標準内視鏡鉗子によって取得されたものと比較して、いずれのTNE鉗子からの粘膜生検試料の総上皮表面積も統計的に異ならなかった。すべての親及び対象の76.2%が再度TNEを受けることになった。TNEは、親の85.7%及び対象の52.4%により、EGDよりも好まれた。mGHAA-9により、高い満足度(平均43.19±2.6最大スコア45)が明らかとなった。TNEに関連する料金は、以前のEGDよりも60.1%低かった。この研究の結果により、非鎮静下TNEは、EoEを有する小児の食道粘膜をモニタリングするときに、好ましく、効果的であり、且つより低コストの処置であることが示された。
【0025】
EoEの発生により、食道炎症の発症機序を判断することと、粘膜治癒を評価するための食道粘膜のサンプリングとに対して新たな関心が持たれるようになった。診断基準、治療、及びEoE患者に著しく影響を及ぼす可能性がある発症機序に関する新規の遺伝子の確立が急速に進歩したにも関わらず、EoEの自然な経過を文書化するために入手可能なデータは限られている。このような理解の不足が、治療後に好酸球増多症が解消したか否かを確かめるための食道粘膜の高コストでよりリスクの高い複数回の鎮静下評価という現在の臨床診療につながっている。好酸球増多症が解消すると、EoE関連の合併症の可能性が低下しているという断定的な判断が下される。好酸球増多症が持続している場合、総合的症状に関わらず炎症を消散させる努力がなされ、炎症は、その後の生活の質及び治療費に影響を及ぼす。これに関して、新規なデバイス及びサンプリング方法が緊急に必要とされる。これに対処し且つEoEの評価において新たなツールを提供するために、本出願人らは、TNEが、忍容性がよく且つ適切な方法で食道粘膜をサンプリングできるか否かを判断しようと努めてきた。EoEにおける食道粘膜評価のより効率的な方法が緊急に必要であることを考慮して、本出願人らは、小児集団において生検を伴うTNEを行うために、集学的チーム内でこの研究を行った。本出願人らは、麻酔の反復リスクを最小限に抑え、EoE病因の理解を深め、最終的に新しい治療標的を同定することが緊急に必要であるため、この集団を選択する。
【0026】
非鎮静下TNEは、複数の小児及び成人下位専門分野において確立された技法であるが、小児胃腸科医により使用されてこなかった[Birkner B,Fritz N,Schatke W,et al.Endoscopy 2003;35:647-51;Dumortier J,Josso C,Roman S,et al.Gastrointest Endosc 2007;66:13-9;Dumortier J,Ponchon T,Scoazec JY,et al.Gastrointest Endosc 1999;49:285-91;Hu CT.Gastrointest Endosc 2010;71:11-20;Mokhashi MS,Wildi SM,Glenn TF,et al.Am J Gastroenterol 2003;98:2383-9;Mulcahy HE,Riches A,Kiely M,et al.Endoscopy 2001;33:311-16;Yagi J,Adachi K,Arima N,et al.Endoscopy 2005;37:1226-31]。複数の研究がTNE使用の利点、限界及び課題について説明しており、2010年に、米国消化器内視鏡学会(America Society of Gastrointestinal Endoscopy)は、成人におけるTNEの使用に対するガイドラインを策定した[Committee AT,Rodriguez SA,Banerjee S,et al.Ultrathin endoscopes.Gastrointest Endosc 2010;71:893-98;Faulx AL,Catanzaro A,Zyzanski S,et al.Patient tolerance and acceptance of unsedated ultrathin esophagoscopy.Gastrointest Endosc 2002;55:620-23;Faulx AL,Vela S,Das A,et al.The changing landscape of practice patterns regarding unsedated endoscopy and propofol use:a national Web survey.Gastrointest Endosc 2005;62:9-15;Tatsumi Y,Harada A,Matsumoto T,et al.Current status and evaluation of trans-nasal esophagogastroduodenoscopy.Dig Endosc 2009;21:141-46]。このガイドラインはコスト抑制に対する注目を高め、食道疾患に対する最近の関心の高まりにより、この技法に対して新たな関心が持たれるようになった[Faulx AL,Catanzaro A,Zyzanski S,et al.Gastrointest Endosc 2002;55:620-3;Chak A,Alashkar BM,Isenberg GA,et al.Comparative acceptability of trans-nasal esophagoscopy and esophageal capsule esophagoscopy:a randomized,controlled trial in veterans.Gastrointest Endosc 2014;80:774-82;Lin LF,Shen HC.Unsedated trans-nasal percutaneous endoscopic gastrostomy carried out by a single physician.Dig Endosc 2013;25:130-5;Cho S,Arya N,Swan K,et al.Unsedated trans-nasal endoscopy:a Canadian experience in daily practice.Can J Gastroenterol 2008;22:243-6]。最新の研究は、バレット食道の成人におけるTNEの有用性についても論証した[Tatsumi Y,Harada A,Matsumoto T,et al.Current status and evaluation of trans-nasal esophagogastroduodenoscopy.Dig Endosc 2009;21:141-46;Chak A,Alashkar BM,Isenberg GA,et al.Comparative acceptability of trans-nasal esophagoscopy and esophageal capsule esophagoscopy:a randomized,controlled trial in veterans.Gastrointest Endosc 2014;80:774-82;Bush CM,Postma GN.Trans-nasal esophagoscopy.Otolaryngol Clin North Am 2013;46:41-52]。今日まで、1つの研究のみが小児における非鎮静下経口内視鏡を評価し、それが腹痛、消化不良及び嚥下困難の評価のために21人の小児を評価する際の時間及び安全性を改善したと結論付けた[Bishop PR,Nowicki MJ,May WL,et al.Unsedated upper endoscopy in children.Gastrointest Endosc 2002;55:624-30]。
【0027】
EoEの罹患率の急速な上昇、その病態生理学に関する知識が限られていること、及び食道粘膜を評価することが新たに臨床的に必要となっていることにより、本出願人らは、小児EoEにおけるTNEが実現可能且つ効果的なツールであるか否かを判断しようとした。本出願人らの研究の結果により、鎮静下EGDを受けた患者及び患者の親はTNEをよく忍容し、患者及び患者の親がEGDと比較してTNEを好むことが明らかとなった。副作用プロファイルが限られており、且つ重大な有害事象が全くないことが、小児対象の52.4%(4人の対象がEGDもTNEも好まなかった)及び親の85.7%(1人の親がTNEもEGDも好まなかった)が鎮静下EGDよりも非鎮静下TNEを好んだという所見の一因であった可能性がある。親は、小児における処置に関して判断を行うことが多く、小児の大部分がその処置を好むという点で、これらの割合は、EGDに代わる非常に成功した代替技法であることを示す。患者に対するこの選好の直接の利益としては、麻酔をなくすことによる患者の満足度の向上と安全性の向上とが挙げられる。
【0028】
多くの点で、本出願人らの結果は成人調査において報告された結果と極めて類似している。たとえば、Choらによる大規模なカナダでの調査は、ルーチンTNEに対して平均年齢57歳の231人の患者を評価し、その調査により、TNEは忍容性が良好で、安全で且つ実現可能であることも分かった[Cho S,Arya N,Swan K,et al.Unsedated trans-nasal endoscopy:a Canadian experience in daily practice.Can J Gastroenterol 2008;22:243-6]。しかしながら、この調査は、患者が主に成人であり、使用した内視鏡が大型であり(5.3mm)、十二指腸挿管が行われたという点で異なっていた。本出願人らの調査は、2つのより小型の内視鏡の使用と、より小型の生検鉗子の使用と、小児におけるTNE性能とを評価した。本出願人らの所見と同様の成人の調査との相違のいくつかの範囲としては、(1)本出願人らの調査では親及び小児対象の両方が本技法を事後評価したことと、(2)EoEにおける食道粘膜を評価するためのより小型の鉗子の妥当性が評価されたことと、(3)以前に複数回EGDを受けた対象によって好ましいとされる、観念的なタイプではなく実際のタイプの将来の内視鏡検査が検査されたこととが挙げられる。これらの発見は、この研究の結果と、成人及び小児の内視鏡診療の実施へのその潜在的な応用とを補う。
【0029】
本出願人らは、特に、いくつかの理由から本出願人らの発見により後押しされる。第1に、患者及び親間でこの処置に大きな関心があった。本出願人らは、ここで報告した21人の対象を登録するために、22人の対象を検査するのみでよかった。このことは、EoE患者集団が、代替方法を直ちに見つけようとしている、非常に積極的に関心を抱いており、経験があり且つ知識がある集団を表すということによっておそらく説明される。本出願人らは、これが技術的に実現可能な処置であることを強く確信しており、気道消化器疾患及びEoEを有する小児の治療を専門とする集学的小児チームによって容易になった処置の迅速な全体的成功によってさらに後押しされる。本出願人らの調査は、EoEの自然な経過に対する新規な洞察を提供する手法であって、EoEを有する小児の生活をより安全で、費用効率が高く且つ有効な方式で大幅に改善するこの手法を検証するための、より大規模な調査への強力な支持を提供する。
【0030】
第2に、本出願人らの調査により、TNEを繰り返すことに対する高度な満足度及び熱意が分かった。患者及び親の圧倒的多数が満足し、標準EGDと比較して非鎮静下TNEを好んだ。定性調査での対象反応は、麻酔がないこと、処置中の親の立会い、処置の時間が限られていること、及び迅速な回復を含む重大な要素を明らかにした。TNEは、その後の治療又は評価を必要とする1つ又は複数の深刻な有害事象がないという事実によって証明されるように、安全であった。TNEにより対象及び親が直後に学校及び仕事に戻り食事をすることが可能になったため、対象及び親は、TNEによるその生活の質の向上を認識した。実際に、いくつかの家族は、TNE後に患者が学校又はスポーツ活動に戻ったと述べた。CHCOでの標準EGDのための時間は、TNEの60~90分(TNEだけでなく、リサーチプロトコル文書化も含む時間)と比較して3時間である。EGDのためのこの3時間の処置センターの時間には、通常、受付手続きと、看護、胃腸病学及び麻酔による術前評価と、処置自体と、回復と、退院指導とが含まれる。診療所でのTNEの60~90分の時間には、リサーチ文書化と、処置前文書化と、処置自体と、退院指導とが含まれていた。上述した、時間の削減及び満足度の向上におけるこれらの改善の大部分は、TNEに対して麻酔又は鎮静をなくすという効果に関する。この実施は、患者及び親の満足度を向上させるようであるだけでなく、有害な薬物反応、吸込み、及び成長中の小児の脳への起こり得る影響のリスクを低減させる可能性も高い[Gleich SJ,Flick R,Hu D,et al.Contemp Clin Trials 2014;41C:45-54]。これは、小児麻酔科医の間での新たな関心事である。鎮静又は全身麻酔なしの小児対象は、軽い咽頭痛及び吐き気を示したが、これは非常にわずかであったため、大部分がその最初の調査処置後に自らのEoE評価のために経過観察TNEを選択した。これは、単に仮定に基づく質問にとどまらないものとして確認されており、調査が終了した後に本出願人らの対象の何人かは経過観察TNEを要求した。
【0031】
本出願人らの調査の第3の肯定的な成果は、粘膜試料の完全性に関する。粘膜食道試料を評価する際の技法の有効性に関して、本出願人らは、好酸球数の評価に必要な上皮表面積が、TNEの2mm又は1.2mm生検鉗子のいずれと比較しても標準EGD2.8mm生検鉗子と著しく異ならないことを発見した。この発見により、TNEの時点で取得された試料が、至適基準EGD生検鉗子で得られたものと比較して同じ表面積を有するという高度な確信が与えられる。2mm鉗子は、粘膜固有層を取得することもできた。
【0032】
この調査での最終的に関心のある範囲は、コストの削減及び効率の向上であった。TNEの金銭上の利益には、標準鎮静下小児EGDと比較した場合に、TNEでは、かかる料金がより少なく、且つ仕事及び学校から離れる時間がより少なくて済むという事実が含まれる。この研究計画は、料金の60.1%という大幅な低下を論証した。このコストの削減の大部分は、TNE中に麻酔がない/麻酔科医がいないことに関する。このことの重要性を控えめに述べることはできない。たとえば、本出願人らの機関が、EoEに対して年間100の鎮静下EGDを、全身麻酔が提供される内視鏡検査の受診毎に9,390ドルの仮想平均の非保険査定料金で行った場合、これは、EoEに対して年間939,000ドルの総額になる。この金額は、すべての施設使用料、医師、病理及び麻酔の費用を含む。EoEに対するこれらの100回のEGDが非鎮静下TNEに変更された場合、年間564,000ドルの医療制度料金の節約になる可能性がある。しかしながら、これらはあり得る料金であり、それぞれの保険料ではない。
【0033】
将来の評価において、いくつかの範囲が対処される。第1に、実際的な理由から、本出願人らは、TNEのために2つの異なるサイズの内視鏡を使用する必要があった。将来の研究では、患者の快適さ及び生検サイズに対してこれが標準化されるであろう。第2に、1.2mm鉗子は粘膜固有層を取得することができなかったが、この調査での2mm鉗子は、粘膜固有層を得ることができた。組織のこの部分は、線維症を分類するために使用されてきたが、この測定基準は、標準化されていなかったか、又は臨床的評価に対する至適基準とはならなかった。本出願人らの調査は、小児における実現可能性を論証するが、安全性及び他の測定基準について著しい検出力を達成するために、はるかに大きいコホートを評価する必要がある。本出願人ら自身の機関の品質及び安全性データに基づく検出力分析では、単一の深刻な有害事象を見つけるために10,000回を超える内視鏡検査が必要となる。これは、本出願人らの機関での又は小児における本技法の使用を評価する国家プログラムでの本技法の使用が増えているため、さらなるデータベースの発展により少なくすることができる。最後に、本出願人らは、本出願人らの小児肺疾患及び耳鼻咽喉学の同僚とともに集学的共同でこの調査を行った。この調査は、小児におけるTNE進行中の患者の快適さと、胃腸科医、耳鼻咽喉科医及び呼吸器科医による気道消化器及び好酸球疾患への同様に強い関心と、異なる単一の専門診療所で提示される、EoEを診断及び管理するより実際的な集合的手法の必要性とを最大化するための、調査設計のために行われた。調査開始以来、胃腸科医、耳鼻咽喉科医及び呼吸器科医は、コスト及び効率、診断、並びにEoEの管理のための照会をさらに改善する、生検を伴う単一の医師によるTNEで経験を積んだ。
【0034】
結論として、小児EoEの評価のための、小児胃腸病学におけるTNEの実施は、安全であり、患者及び親に同様に好まれ、コストを劇的に削減する可能性がある。したがって、TNEは、3つの目的についてのBerwickの説明、すなわち、治療体験の改善の追求、全住民の健康を向上させるべきであること、1人当たりの医療のコストを削減すべきであることにより、小児EoE管理において非常に有効な診療として評価されると思われる[Berwick DM, Nolan TW,Whittington J.Health Aff(Millwood)2008;27:759-69]。このことは、TNEの使用が、小児EoEの経過観察評価のための標準鎮静下EGD又は食道鏡検査の代替技法として大いに考慮されるべきであることを示唆している。本技法は、高度化及び改善され続け、治療に対する反応をモニタリングし、経過観察評価を取得し、且つEoEにおけるリサーチを行う際に本技法が使用される多くの機会を提供する。
【0035】
図4を参照すると、小児においてTNEを行うように小児経鼻内視鏡10が開発された。小児経鼻内視鏡10は、約1.05メートルの長さと約3.5mmの幅とを有する、滑らかなコーティングが施された医療グレードの滑り易い(疎水性等の)材料から作製された可撓性内視鏡シャフト20を含む。恐らくは単一材料の押出成形品としての可撓性内視鏡シャフト20は、内視鏡シャフトの長さにわたって延びる生検チャネル30を有するとともに、小児経鼻内視鏡生検鉗子又は他の医療デバイス70(
図3を参照)をチャネルの内腔内に摺動式に受け入れるように又は吸引若しくはイリゲーションを可能にするように適合されている。30。可撓性内視鏡シャフト20の遠位端部40は、丸みを帯びており、且つ平坦状とすることができ、又はエンドユーザが希望する場合、任意選択的で取外し可能な軟質シリコーン先端41で終端されるように設計することができる。可撓性内視鏡シャフト20の遠位端部40はまた、先端において光を提供する高ルーメンLED又はマイクロLED42と、可撓性内視鏡シャフト20の遠位端部40の領域において画像又は映像を取り込む高解像度映像取込デバイス44とを含む。可撓性内視鏡シャフト20の近位端部50は、内視鏡の先端の変位を制御するための単一の4方向先端偏向制御レバー52と、内視鏡の報告システム能力に関連する写真若しくは映像及び/又は自動文字起こし機能を起動するためのボタン54と、空気及び/又は水の吸引を動作させるためハンド制御部56と、コンピュータモニタ等の撮像システムへのライン出力端子57と、気道消化器医術での使用を可能にする任意選択的な内視鏡補剛デバイス58とを含むことができる。水流及び空気吸引並びに/又は内視鏡の他の制御機能を起動及び制御するために、内視鏡にフットペダル60も結合することができる。
【0036】
上述したように、可撓性内視鏡シャフト20は、内視鏡の長さにわたって延びる生検チャネル30を有するとともに、小児経鼻内視鏡生検鉗子70(
図5を参照)をチャネル30の内腔内に摺動式に受け入れるように適合されている。
図5を参照すると、例示的な小児経鼻内視鏡生検鉗子70が図示されている。小児経鼻内視鏡生検鉗子70は、生検チャネル30の長さよりもわずかに長い約1.2メートルの長さと、約1.8~2mmの幅と、遠位端部71及び近位端部72を形成する両端部とを有する。遠位端部71は、約2.8mmから完全に開いたときの5mmまでの開口部を備えたカップ状の尖頭先端を含む。近位端部72は、鉗子70の遠位端部71における先端を開閉するためのアクチュエータを含む。後に提示する実施例1及び2は、小児経鼻内視鏡を用いて小児における食道粘膜を評価するための経鼻内視鏡検査/食道鏡検査(TNE)の発展形態について記載する。
【0037】
本明細書では、内視鏡デバイス、その要素、及び/又は内視鏡を利用するシステムのさらなる実施形態について記載する。内視鏡は、内視鏡の能力を高めるために且つ/又は内視鏡を使用することができる使用回数を増加させるために、システム内の他の要素と組み合わせて使用することができる。
【0038】
図6に、内視鏡62を含むシステムを示す。図示するように、内視鏡62は、遠位要素63と、長尺状要素64と、制御要素65とを含む。内視鏡は、材料の外部供給源及び/又はリザーバに結合することができる。
図6の例示的な例に示すように、内視鏡62は、空気供給源66と、液体供給源67と、吸引部68とに結合される。さらに、内視鏡62は、インタフェース要素69、73を含む。内視鏡62は、コンピュータ制御ユニット75及びコンピュータ76に結合される。
【0039】
制御要素は、材料を標的領域に提供し且つ/又は材料を標的領域から除去するために使用されるポート又は複数のポートを含むことができる。たとえば、ポートは、所定の測定量の水、空気及び/又は薬剤等の流体を標的領域に供給し、且つ/又はそうした流体を標的領域から除去するために使用することができる。いくつかの実施形態では、インタフェース要素は、処置、プロトコル、患者の要求(たとえば患者のサイズ)及び/又は操作者の選好に基づいて使用中に操作者により1つ又は複数の所定量の水、空気及び/又は薬剤を送達するように構成することができる。代替実施形態では、インタフェース要素は、所定量の流体を除去するように構成することができる。
【0040】
いくつかの例では、吸引部は、標的領域に対して吸引を行うためにポートに接続することができる。ポートは、さまざまな送達システムを制御要素に結合する結合構造を含むことができる。
【0041】
制御要素のいくつかの実施形態は、インタフェース要素を含むことができる。たとえば、インタフェース要素を使用して、遠位要素の位置決め及び/又は機能、長尺状要素の一部分、長尺状要素及び/若しくは遠位要素に沿って位置決めされたデバイス並びに/又はセンサの機能を制御することができる。特定の実施形態では、インタフェース要素を使用して、挿入点からの距離を決定し且つ/又は内腔体の所見を測定することができる。たとえば、食道又は気管支等の管腔の直径を求めること、及び/又は、管腔及び/又は胃ポリープ若しくは胃潰瘍等の管腔内の所見のサイズを測定すること。たとえば、インタフェース要素は、光学システムの態様を制御することができる。いくつかの実施形態では、インタフェース要素は、画像取込、映像録画及び/又は音声録音を制御することができる。
【0042】
たとえば、
図6に図示するように、インタフェース要素69は、撮像素子を制御することができる。特に、いくつかの例では、インタフェース要素は、異なるユーザインタラクションがシステムによって異なるコマンドとして認識され得るようにプログラムすることができる。特に、インタフェース要素69は、瞬時の接触で画像を取り込むようにプログラムすることができる。対照的に、インタフェース要素69は、インタフェース要素が長押しされたときに映像取込を開始及び/又は終了するようにプログラムすることができる。さらに、インタフェース要素73は、長押し動作によりデバイスが音声を録音するように指示される一方で、接触、たとえば、瞬時の接触により、デバイスがレポートの一部に自動入力するように指示が与えられ得るように、プログラムすることができる。たとえば、自動入力機能により、制御要素内のマイクロフォンから報告システムに音声を送信することができ、この報告システムでは、音声が報告システムに自動的に文字起こしこされる。
【0043】
いくつかの実施形態では、自動入力機能を使用して、文字起こしされた音声データ、音声ファイル、映像ファイル、センサによって測定された測定基準、特に、内視鏡の寸法、位置、及び/又は視認される身体又は身体の一部分内の他の生理学的状態を、フォームの任意の部分に入力することができる。いくつかの実施形態では、内視鏡による記録及び情報を、読映及び協議のために遠隔の医師に送信することができる。
【0044】
制御要素は、操縦機構を含むことができる。たとえば、
図6は、操縦機構として使用することができるユーザインタフェース74を示す。いくつかの実施形態では、操縦機構は、4方向機構である。たとえば、操縦機構は、片手操作及び操縦を可能にするように、ジョイスティック及び/又はローラボールのラインに沿って構成することができる。
【0045】
制御要素は、新たに開発された技術だけでなく、本技術分野で既知の標準方法も使用して構成されたハウジングを有することができる。たとえば、制御要素は、3次元印刷を使用して構成されるハウジングを有することができる。
【0046】
図7A及び
図7Bは、内視鏡77の部分切欠分解図を示す。特に、
図7Aに示すように、遠位要素63は、長尺状要素64に近接して位置決めされる操縦用カラー78に近接して位置決めされている。図示するように、撮像素子79の一部分は遠位要素から延在し、その一方で、一部分は、遠位要素63の導管22内に位置決めされるとともに、操縦用カラー78を貫通して長尺状要素77の導管24内に延在している。
【0047】
内視鏡の遠位要素は、丸みを帯びた端部、平坦な端部及び/又はこれらの組合せを有することができる。いくつかの実施形態では、遠位要素の端部は、軟質先端、たとえば軟質シリコーン先端を含むことができる。
【0048】
図7A、
図7B、
図8、
図11、
図15、
図18、
図22、
図26、
図29に、遠位要素の端面図のさまざまな実施形態を図示する。遠位要素は、限定されないが、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリカーボネート(PC)、ポリカーボネート-アクリロニトリルブタジエンスチレン(PC/ABS)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリアミド(PA)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルブロックアミド、ポリプロピレン(PP)及び/又はポリ塩化ビニル(PVC)等のプラスチック、アルミニウム、ステンレス鋼、炭素鋼、チタン、マグネシウム等の金属、及び/又はこれらの組合せを含む、1種又は複数種の材料から構成することができる。内視鏡の材料及びすべての封入された材料は、覆いのない単一材料の押出成形品からもたらすことができる。これらのさまざまな実施形態に示す材料を、使用の必要性に基づいて組み合わせることができる。遠位要素の例示的な例は、ステンレス鋼を含む。
【0049】
図7A~
図7Bの長尺状要素77は、操縦用カラー78と、押出要素26と、管状要素28と、収縮要素29とを含む。
図7A~
図7Bに示すように、押出要素は、管状要素28によって少なくとも一部が包囲されており、この管状要素28は、収縮要素29によって包囲されている。
図7A~
図7Bの両方の図で分かるように、操縦用ガイド25は、押出要素26における溝27内に位置決めされている。
図7Aは、溝27において操縦用カラー78に接続された操縦用ガイドを示す。
【0050】
図8に示すように、遠位要素80の端部は、複数の導管82、83、84を示す。一実施形態では、導管82、83、84を使用して、内視鏡の機能に必要であるデバイス及び/又はその一部を収納することができる。特定の実施形態では、1つ又は複数の導管を使用して、光ファイバを収納することができる。内視鏡の設計と内視鏡内のさまざまな要素の位置肌理に応じて、導管は、長尺状要素の遠位端部から近位端部に延在することができる。代替実施形態では、導管の1つ又は複数は、長尺状要素の中央から端部に延在することができる。たとえば、照明源が、長尺状要素の中央に対応する点に位置決めされる場合、遠位要素に光を提供するために光ファイバを収納する導管は、遠位要素から、長尺状要素の中央に位置する照明源の位置まで延びることができる。
【0051】
遠位要素80はチャネル85を含む。
図8に示すように、チャネル85は、部分的に開放しているものであり得る。
図9は、線A-Aに沿った
図8の断面を示す。
図9に示すように、遠位要素80は、導管82及びチャネル85を含み、導管82及びチャネル85の両方は、遠位要素80の長さに沿って延在している。見て分かるように、導管82の幾何学形状は、遠位要素の長さに沿って変化することができる。たとえば、内径を変化させることができる。遠位要素の外径を変化させることができ、たとえば、
図9で分かるように、遠位要素は、長尺状要素に取り付けることができる。
図9で分かるように、遠位要素80の面は成形されている。
【0052】
図10は、単一の導管102と開チャネル104とを有する遠位要素の実施形態の斜視図を示す。さらに、
図10において、遠位要素100の外径の長さが変化していることが分かる。結合部分106は、遠位要素の残り部分よりも小さい直径を有する。結合部分は、長尺状要素に結合するような方法で作製することができる。
【0053】
図11は、複数の導管112、114を有する遠位要素110の端部を示す。導管114は、滑らかに切断された経路を用いて切断されている。
図12は、遠位要素110の断面図を示す。
図12で分かるように、導管114の経路は、遠位要素の長さに沿って変化する。特に、導管114の経路は、遠位要素110の縁部から遠位要素110の中央へ進む。導管112の幾何学形状は、遠位要素110の長さに沿って変化する。
図12で分かるように、導管112の断面は矩形形状を有し、且つ導管112のさらなる断面は実質的に円形の形状を有する。
図12に示すように、遠位要素110の外径は、遠位要素の長さに沿って変化する。
【0054】
図13は、
図11、
図12、
図14に示す遠位要素110の斜視図を示す。
図13で分かるように、導管112は、切取部132を含む。切取部は、デバイス、管類及び/又は他の要素の形状に適合することができる。いくつかの例では、切取部は、要素が導管内に配置されるのに役立つことができる。
図13に示すように、外径及び幾何学形状は、遠位要素110の長さに沿って変化する。切取部134は、遠位要素110の外面に位置決めされる。いくつかの実施形態では、切取部134は、長尺状要素と結合するように設計することができる。
【0055】
一実施形態は、センサ、撮像素子、光源等のデバイス、ケーブル、ワイヤ及び/又は光ファイバ要素を収納するように設計された切取部を含むことができる。
図14は、遠位要素110の上面斜視図を示す。この図から、遠位要素の長さに沿った幾何学形状の変化が視認可能である。
【0056】
図15に示すように、遠位要素150は、複数の導管152、154、156とチャネル156とを含む。導管152は、残りの導管よりも大きな直径を有する。導管152は、作業導管として機能することができる。チャネル156は、部分的に開放している。いくつかの実施形態では、部分的に開放しているチャネルは、カメラセンサ及び/又は光ファイバを収納することができる。
【0057】
図16~
図19は、スライス層を用いて作製された遠位要素のさまざまな図を示す。スライス層構造は、より複雑な幾何学形状を可能にすることができる。標準的な作製方法の加工制限によって、設計がこれらの要素の所与のサイズ範囲に制限される場合があり、これにより、3次元印刷等のスライス層構造及び/又は付加製造を使用することが望ましい場合がある。たとえば、スライス層作製プロセスは、遠位要素の導管内の滑らかに切断された経路の使用を可能にすることができる。
【0058】
図16及び
図17に示すように、スライス層は、遠位要素の長さに沿って導管162の高さを変化させることができる。導管164は、遠位要素160の長さに沿って幾何学形状が変化する。
図18は、遠位要素160の斜視図を示す。遠位要素は、導管162、164とともにチャネル166を含む。
【0059】
図20~
図23に図示するように、遠位要素202は、複数の部分から作製されている。遠位要素における複数の部分の使用により、アンダーカットを抑制することができる。遠位要素202は、導管204と開チャネル206とを含む。
図20は、光パイプ、光ファイバ要素又は透明エポキシ等の照明要素用のチャネル208を含む、遠位要素202の端面図を示す。
図21は、線A-Aに沿った
図20に示す遠位要素202の断面図を示す。光源210は、光源がチャネル208を通して標的領域に光を提供するように、導管204に近接して位置決めされている。光源は、限定されないが、キセノン光、有機発光ダイオード(「OLED」)光、発光ダイオード(「LED」)光、たとえば、高ルーメンLED及び/又はマイクロLED光を含むことができる。
図22及び
図23は、遠位要素202の外面に位置決めされたチャネル222を示す。
【0060】
図24は、導管245を画定する可撓性部材242及び剛体244から作製された遠位要素240の端面図を示す。導管248は、遠位要素の斜視図を示す
図25に明確に図示されている。
図26に、遠位要素240の側面図を示す。
【0061】
図27は、卵形の面を有する遠位要素の端面図を示す。遠位要素270は、導管272、274、276を含む。
図28に、線A-Aに沿った
図27の断面図を示す。導管272、276は両方とも、遠位要素の長さに沿ってさまざまな直径を有するように示されている。導管272は、作業導管又は作業チャネルであり得る。一実施形態では、導管276は、光学センサを収納することができる。
【0062】
図29~
図30は、遠位要素270の斜視図及び上面図をそれぞれ示す。チャネル292、294は、遠位要素270の外面に位置決めされている。
図30は、遠位要素の長さに沿って変化する外径を明確に示す。
【0063】
オーバーモールドの図は、遠位要素を作製するのに必要なツールを反映している。
図31~
図33で分かるように、遠位要素の幾何学形状に対応するさまざまな構成が作製された。
【0064】
図9に示すように、遠位要素80は、導管82及びチャネル85を含み、導管82及びチャネル85の両方は、遠位要素80の長さに沿って延在している。見て分かるように、導管82の幾何学形状は、遠位要素の長さに沿って変化することができる。たとえば、内径を変化させることができる。遠位要素の外径も変化させることができ、たとえば、
図9で分かるように、遠位要素は、長尺状要素に取り付けることができる。
図9で分かるように、遠位要素80の面は成形されている。
【0065】
内視鏡は、追加のデバイス又は要素のための開口部を有する遠位要素を含むことができる。たとえば、遠位要素は、光ファイバケーブル、光及び/若しくは光源等の照明要素、並びに/又はカメラ等の光学素子のための開口部を含むことができる。
【0066】
光学素子は、60°よりも大きい視野を有するデバイスを含むことができる。いくつかの実施形態では、光学素子の視野は、85°よりも大きいか又は150°程度の広さであり得る。さらに、視野深さは、15mmよりも5mm大きい程度の小ささであり得る。いくつかの例では、視野深さは、20cmよりも大きい場合がある。カメラ、たとえば高解像度カメラ又はビデオスコープ等の光学素子は、限定されないが、小型ビデオスコープ等のデバイスを含むことができる。
【0067】
遠位要素はまた、所定の場所での操作、空気、液体、医薬品、デバイス等の材料の送達、及び/又は、組織、デバイス、流体等の材料の回収を可能にすることができる開口部を含むことができる。一実施形態では、遠位要素は、所定の場所及び/又は標的領域での吸引の使用を可能にする開口部を含むことができる。
【0068】
長尺状要素は、遠位要素と制御要素の両方に結合することができる。長尺状要素の長さは、0.5~1.5メートルの範囲であり得る。たとえば、長尺状要素は、いくつかの実施形態では、約0.8~1.2メートルの範囲の長さを有することができる。長尺状要素の外径は、約4.5ミリメートル未満であり得る。いくつかの実施形態では、長尺状部材の外径は、4.0ミリメートル未満であり得る。たとえば、長尺状要素は、一実施形態では、約3.5ミリメートル未満の外径を有することができる。
【0069】
さらなる例示的な例は、4mm~5mmの範囲の直径を有する長尺状部材及び/又はシャフトを含む。長尺状部材又はシャフトを貫通して延在するチャネルは、約2.5~3.0mmの範囲の直径を有することができる。こうした例では、複数の軸線上を移動することができるカメラを使用することが望ましい場合がある。たとえば、4方向の偏向が可能なカメラを使用することができる。
【0070】
1つの例示的な例では、内視鏡の長尺状部材は、4.3~4.5mmの範囲の外径と、約2.8~3.0mmの範囲の直径を有するチャネル又は導管とを有することができる。こうした内視鏡は、開口部がより大きいものであり得るか、は内視鏡が追加の要素のための追加の空間を必要とする用途に、利用することができる。これは、成人に関わる用途及び/又はシミュレータ等のデバイスでのトレーニングに特に当てはまる可能性がある。
【0071】
長尺状要素の剛性は、その長さに沿って変化することができる。長さの少なくとも一部分は可撓性があり得る。いくつかの実施形態では、長尺状要素の長さに沿った可変の剛性は、可変の断続的な螺旋パターンでレーザ切断されるステンレス鋼管を用いてもたらすことができる。切断が多いほど、除去される材料も多くなり、シャフトの可撓性がより高くなる。したがって、長尺状要素は、きつい曲げを調整し且つ/又は患者の快適さを改善できるように遠位要素に近接して高い可撓性を有する一方でトルクを伝達することができるように、制御要素に近接してより剛性の高い領域を有するように設計することができる。代替実施形態では、長尺状要素は、可変の剛性をもたらすように編組金属部分を含むことができる。別の実施形態は、適切な操縦、方向及び剛性を達成するように溶接を通して一緒にされたさまざまな剛性の単一プラスチックの押出成形品を含むことができる。
【0072】
いくつかの実施形態では、長尺状要素の可撓性部分の長さは、約30~約50ミリメートルの範囲であり得る。たとえば、長尺状部材の可撓性部分は、約35~45ミリメートルの範囲の長さを有することができる。実施形態では、長尺状要素の可撓性部分の長さは、およそ40mmであり得る。
【0073】
長尺状要素は、1つ又は複数の導管を含むことができる。導管は、さまざまな構成を有することができる。たとえば、導管は、同軸であり、互いに近接して位置決めされ、且つ/又は長尺状要素の断面の両側に位置決めされ得る。導管は、1つ又は複数の内腔を含むことができる。
【0074】
導管は、長尺状要素に挿入される要素のためのハウジングとして機能することができる。いくつかの実施形態では、長尺状要素は、標的領域へのアクセスを可能にするようにデバイス及び/又はセンサを受け入れるように構成された1つ又は複数の導管を有することができる。
【0075】
いくつかの実施形態では、導管は、材料が遠位要素及び/又は標的領域に達するための経路を提供することができる。さらに、導管を使用して、標的領域から制御要素に、又は、場合により制御要素の外部の位置に、材料を搬送することができる。
【0076】
長尺状要素62は、内視鏡の長尺状要素の長さにわたって延びる導管24を含む。いくつかの例では、導管は、経鼻内視鏡生検鉗子70(
図5を参照)等の、器具を導管の内腔内に摺動式に受け入れ、且つ/又は吸引若しくはイリゲーションを可能にすることができる。
【0077】
長尺状要素内の作業導管は、約2.0ミリメートルよりも大きい内径を有することができる。さらに、作業導管の内径は、いくつかの実施形態では、約2.1ミリメートルよりも大きい場合がある。
【0078】
長尺状要素を通る少なくとも1つの導管は、約1.3ミリメートルよりも大きい内径を有することができる。いくつかの実施形態は、約1.4ミリメートル以上の内径を有する導管を含むことができる。
【0079】
処置全体を通して測定を行うためにセンサアレイを使用することができる。たとえば、センサアレイは、距離測定、たとえば、内視鏡が体内を移動した距離、直径、長さ及び/若しくは容積等の内腔測定、定量的変化、温度等の体内の生理学的測定、パルスオキシメトリ測定等を行うことができる。
【0080】
内視鏡は、可撓性部分を有する長尺状要素を含むことができる。長尺状要素のこの可撓性部分は、医療グレードの材料から作製することができる。特に、疎水性材料を使用することができる。疎水性材料は、滑りやすい表面を形成することがあり、この滑りやすい表面により、デバイスをより容易に且つ/又はそれほど不快感なしに患者の体内に挿入することが可能となる。
【0081】
内視鏡の長尺状部材62はまた、撮像素子79と照明要素36とを含む。たとえば、光を提供するために高ルーメンLED又はマイクロLEDを使用することができ、且つ内視鏡の遠位端部の領域において画像及び/又は映像を取り込むように高解像度映像取込デバイスを使用することができる。
【0082】
図6及び
図34~
図42に示すように、制御要素は、ポート、インタフェース要素及び/又はインジケータの任意の組合せを含むことができる。いくつかの例では、インタフェース要素は、内視鏡の遠位要素及び/又は光学素子の移動及び/又は変位を制御することができる操縦要素を含むことができる。たとえば、遠位要素の正常位置からの偏向度は、少なくとも1方向において90°よりも大きい場合がある。たとえば、遠位要素の正常位置からの偏向度は、3方向において90°であるとともに、4方向において90°よりも大きい場合がある。偏向は、全4方向において180度で達成することができる。偏向は、操縦用ガイド、たとえば、操縦用ワイヤ又は感圧物質を引くか又は押すことによって達成することができる。
【0083】
インタフェース要素は、操作者の使いやすさを提供するように制御要素上に位置決めすることができる。たとえば、いくつかの実施形態では、インタフェース要素は、制御要素の上面、側面、及び/又は下側に沿って位置決めすることができる。インタフェース要素の一実施形態は、遠位要素の移動を制御するために、ジョイスティックのように作用することができる。
【0084】
図34は、手の形状に適合するように設計された制御要素3602を示す。インタフェース要素3604は、使いやすくするために、ローラボールと同様の方法で制御される。さらに、インタフェース要素3606、3608は、音声録音及び画像取込をそれぞれ制御することができる。いくつかの実施形態では、インタフェース要素3606は、音声録音及び文字起こしを制御することができる。これらのインタフェース要素は、複数の設定を有し得る。たとえば、早押しにより、撮像するか、又は所定量の音声を録音することができ、その一方で、これらの要素の長押しにより、映像録画又は延長される音声録音を起動することができる。さらに、インタフェース要素は、1つ又は複数のレポート、データベース、又はプロセッサへのデータの自動報告を開始するようにプログラムすることができる。データは、たとえば、音声データ、視覚データ、位置決めデータ及び時間データ、並びに身体的及び生理学的測定値を含むことができる。このデータは、内視鏡から遠隔地にあるコンピュータまで無線で送信することができる可能性がある。
【0085】
いくつかの例では、インタフェース要素の機能は、使いやすいようにユーザによってプログラム可能であり得る。代替実施形態では、インタフェース要素の機能は、デバイスの使用によって規定することができる。たとえば、内視鏡デバイスが供給管をモニタリングするために使用される場合、その必要性は、内視鏡デバイスがTNEを実施するために使用される場合とは異なる場合がある。
図35は、手の形状に適合する制御要素3702の正面斜視図を示す。
図35で分かるように、ポート3704、3706は、インタフェース要素と、内視鏡の態様を制御できるユーザの能力とに干渉しないように位置決めすることができる。たとえば、ポート3704は、吸引のための接続点としての役割を果たし、その一方で、ポート3706は、流体、特に空気及び/又は水の接続を可能にする。ポート3708は、長尺状要素3710を貫通して延びる導管及び/又はチャネルへのアクセスを提供する。
【0086】
いくつかの実施形態では、制御要素は、複数のポートを含むことができる。少なくとも1つのポートは、長尺状部材内のチャネル及び/又は導管へのアクセスを提供することができる。挿入要素、たとえば器具を、ポートを使用して長尺状要素の導管内に挿入することができる。さらに、長尺状要素内の導管及び/又はチャネルへのアクセスを提供するポートにおいて、器具を制御要素に結合することができる。挿入要素は、限定されないが、鉗子、特に生検鉗子等の器具、供給管、センサ用のケーブル、センサ、付属品、照明要素及び/又は光学素子を含むことができる。さらに、インタフェース要素は、インタフェース要素が遠位要素の容易な操作性を提供するように制御要素上に位置決めすることができる。
【0087】
いくつかの実施形態では、長尺状要素内への器具の位置決め後に、制御要素を取り外すことができる。さまざまな要素、たとえば、音声素子及び撮像素子、センサ等へのワイヤ及び/又はコネクタは、これらの要素を使用することができるように残ることができる。
【0088】
図36は、制御要素のさらなる実施形態の背面斜視図を示す。制御要素3902は、インタフェース要素3904、3906、3908、3910、3912を含む。ポート3914は、コンピュータ制御要素、ディスプレイ及び/又はコンピュータに接続することができるライン3916に接続する。いくつかの例では、ポート3914は、吸引、空気及び/又は水を提供するとともに、電子機器を収納するために使用される。インタフェース要素3906を使用して、内視鏡の写真又は映像機能を作動させることができ、その一方で、インタフェース3904を使用して、音声入力を制御することができる。インタフェース要素3910、3912を使用して、たとえば、部分的に操縦用カラー(
図7A~
図7Bに示す)を介して遠位要素の移動を制御することができる。インタフェース要素3908は、内視鏡を介して標的領域に提供される流体の量及び/又は持続時間を制御する。たとえば、インタフェース要素3908は、所定の時間枠にわたって所定量の流体を送達するようにプログラムすることができる。これらの設定は、ユーザによって且つ/又は内視鏡の各使用のために設計されたプロトコルによって制御することができる。特に、インタフェース要素3908を短くねじることにより、5mLの水の噴流を標的領域に送達することができる。
【0089】
図37は、制御要素の側面図を示すとともに、制御要素の人間工学的設計を図示する。ポート4006は、吸引用のコネクタを提供し、それにより、標的領域に対して吸引を行うことができる。ポート4004は、標的領域に送達することができる流体用の接続部を提供する。流体の量及び/又は流体のタイプは、インタフェース要素4012を使用して制御することができる。インタフェース要素4014は、遠位要素の位置決めを制御する。ポート4008は、挿入要素4010の用の長尺状要素を貫通して延びる導管を介して標的領域へのアクセスを可能にする。
【0090】
いくつかの実施形態では、気道消化器医術における内視鏡の使用を可能にする内視鏡補剛要素があり得る。たとえば、ワイヤを、長尺状要素内の補剛要素として使用することができる。
【0091】
追加のインタフェース要素を使用して、デバイスのさまざまな態様を制御することができる。たとえば、フットペダルを使用して、流体流及び/又は吸引を駆動及び制御し、撮像デバイス及び/又は音響デバイスを制御することができる。さまざまなシステムに情報を提供することができる入力デバイスとしては、インタフェース要素、たとえば、ボタン、ジョイスティック、トラックボール、フットペダル、仮想現実デバイス、ゴーグル、眼鏡等、センサ、撮像素子、音響要素、及び/又は値を報告するように構成された任意のデバイスを挙げることができる。
【0092】
いくつかの実施形態では、インタフェース要素を、所望の成果を達成するために、操作者の特定の挙動と相互作用するようにプログラムすることができる。したがって、ユーザの必要性及び/若しくは要望並びに/又は用途に基づいて、入力をカスタマイズすることが可能であり得る。たとえば、一部のユーザは、片手又は両手及び/又は片足又は両足からの入力を組み合わせるインタフェース要素の特定の構成を好む場合がある。さらに、いくつかのプロトコルは、他の目的で手を使用するユーザの能力が高まるように入力を変更することが望ましくなる可能性がある、ユーザによる所定の動きが必要である場合がある。
【0093】
本明細書で考察するように、長尺状要素4107は、内視鏡の長さにわたって延びる導管を有するとともに、ポート4106を通して生検鉗子等の挿入要素を導管の内腔に摺動式に受け入れるように適合される。制御要素4102は、コンピュータ制御ユニット、コンピュータ及び/又はディスプレイに接続するためのポート4110も含む。ポート4112、4114は、内視鏡を介して標的領域に流体及び/又はそのようなものを送達するように構成することができる。
【0094】
図38は、制御要素4202のさらなる実施形態の側面図を示す。インタフェース要素4204を使用して、標的領域で発生していることを制御することができる。ポート4206、4208、4210を使用して、標的領域への投入を行い且つ/又は材料を除去することができる。
【0095】
図39に示すように、制御要素4302を、ケーブル4306を介してコンピュータ制御要素4304に接続することができる。さらに、制御要素は、コンピュータ及び/又はディスプレイに接続することができる。
図39は、内視鏡とともに使用される光源の位置を示す。いくつかの実施形態では、光源4308を、遠位要素4310に近接して且つ/又は遠位要素4310内に位置決めすることができる。また、光源4312を、制御要素4302内に位置決めすることができる。さらに、光源4316を、コンピュータ制御ユニット4304上に位置決めすることができる。位置に関わらず、遠位要素4310上に位置決めされた照明要素に光ファイバ又はマイクロLEDのLEDを用いて光を提供することができる。
【0096】
コンピュータ制御要素は、ベンチの上に載るように設計することができる。コンピュータ制御要素のサイズは、30cm×16cm×10cm未満であり得る。いくつかの場合では、コンピュータ制御要素は、搬送しやすいように持ち運び可能であるように設計することができる。
【0097】
図40に示すように、内視鏡4402は、ケーブル4408及び光ファイバ4406を使用してコンピュータ制御要素4404に接続することができる。特に、光ファイバ4406は、コンピュータ制御要素4404内の光源4410を内視鏡上に位置決めされた照明要素と接続することができる。
【0098】
撮像素子で取り込まれた画像は、コンピュータ制御要素に接続されたコンピュータを用いて表示することができる。
図40は、複数のドライバ4412、4414を含むコンピュータ制御ユニット4404に結合された内視鏡4402を含むシステムの例示的な例を示す。特に、光学素子コントローラ4412が、コンピュータ制御要素4404内に位置決めされている。光学素子コントローラ4412からコンピュータ4416及び/又はディスプレイ4418にデータを送信することができる。さらに、プロセッサ4414は、コンピュータ4414にデータを提供する前に、光学素子制御コントローラからのデータを変更することができる。
【0099】
処置中、コンピュータに接続された画面が、患者及び/又は処置に関する情報及び/又は画像が画面上に表示されるように、ソフトウェアによって制御される。
図41に示すように、ソフトウェアは、ディスプレイ上に現れる設定フォーム4500を有することができる。設定フォームの欄は、医師、病院及び/又は処置の要件に従って変更することができる。
【0100】
画像、フォーム及び/又はレポートは、プログラム、ユーザ、音声素子、撮像素子、及び/又はセンサからの1つ又は複数の入力からコンピュータによって生成することができる。コンピュータは、行われる処置のタイプに応じてさまざまな画像を表示する所定のアルゴリズムに従うことができる。たとえば、
図42は、ライブストリーム映像4600、静止画像4602及び/又はレポート4604を示す、処置中に使用されるディスプレイを示す。これらの欄は、医師、病院等のエンドユーザによって決定することができる。コンピュータを用いて、システムは、自動報告するように設計することができる。いくつかの例では、自動報告は、所定の時間間隔、移動間隔及び/又は事象に基づいて行うことができる。さらに、自動報告は、エンドユーザによって制御することができる。
【0101】
図43及び
図44は、上述した内視鏡又は内視鏡システムのうちの任意のものに組み込むことができる分離(又は注意転換)デバイス4700を図示する。この例示的な実施形態では、分離デバイス4700は、経鼻内視鏡4702と関連して使用される。分離デバイス4700は、患者が非鎮静下内視鏡又は他の処置を受けている間に患者と医師との間で分離体験をもたらすために使用することができる。具体的には、分離デバイス4700は、処置中にあらゆる不快感、痛み、不安又は恐怖から患者の注意を転換させる一方で、医師を処置自体に集中させるのに役立つ。具体的に経鼻内視鏡処置の場合、分離デバイス4700を使用しなければ、患者は、処置中、度々医師と目を合わせるか又はさもなければ医師の気を散らし、それにより、処置がより困難且つ長くなり、さらには処置が好結果をもたらさない場合もある。したがって、分離デバイス4700の2つの利点(すなわち、処置から患者の注意を転換させ且つ患者を分離すること、及び、医師が処置自体に集中することができるようにし、非鎮静下処置を実施する医師の不安を取り除くこと)により、患者と医師との両方に対して内視鏡処置をより容易に且つより好結果をもたらすようにすることができる。
【0102】
この実施形態では、分離デバイス4700は、ゴーグル4704の形態であり、ゴーグル4704は、患者の眼の上に配置されて、処置及び他の外部の動揺をもたらすものに対する患者の視界を部分的に又は完全にさえぎる。さらに、ゴーグル4704は、1つ又は複数の画面4706を含むことができ、画面4706は、映画、テレビ番組、ビデオゲーム又は他のビデオクリップ、画像、文字、デザイン、絵文字等、処置中に患者の注意を転換させるさまざまな映像を表示することができる。ゴーグル4704及び画面4706によって促進することができる1つの特に興味深い利益及び利点は、処置から完全に患者の注意を転換させるとともに患者を分離することができる没入型体験である。経鼻内視鏡検査を受けている小児の状況では、小児患者は、処置の前夜から処置の終了まで物語又は環境に没入することができる。たとえば、小児は、医療処置中にゴーグル4704の画面4706で番組又は他の映像においてクライマックスを迎える物語を、処置の前夜に読み始めるか、観始めるか又は聴き始めることができる。こうした没入型体験は、処置から小児を完全に分離することができ、それにより、小児に対するストレスを軽減し、処置をより容易に且つより好結果をもたらすようにすることができる。
【0103】
画面4706は、限定されないが、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオードLCD(LED)及びマイクロLED、又は他の任意の好適な視覚ディスプレイを含む、種々の視覚ディスプレイコンポーネントから作製することができる。分離デバイス4700は、ヘッドフォン4708(有線又は無線)、又は電気音響変換器若しくはスピーカ等の他の何らかの発音デバイスも利用することができ、それにより、ゴーグル4704の画面4706で再生される任意の視聴覚による注意転換の音声成分によっても患者の注意を転換させることができる。別法として、組込み画面4706を備えた分離デバイス4700を使用する代わりに、ゴーグル4704内に電話又は他の同様のデバイスを配置し、視覚的注意転換のためのディスプレイとして使用することができる。画面4706とユーザの眼との間の距離が短いため、ゴーグル4704に1つ又は複数のレンズを組み込んで、ユーザが問題なしに画面に集中することができるようにすることができる。分離デバイス4700は、この実施形態に示すような弾性ストラップ4710等により、本技術分野において既知である種々の方法を使用して、小児から成人まですべての年齢の患者の顔面に取り付けることができる。この弾性体へのゴーグルの所定の取付具及び形状により、このデバイスを、容易な鼻アクセスによって経鼻内視鏡検査を達成しながら、小児年齢及び成人年齢の個々人に取り付けることができる。
【0104】
効率的な、有効な且つ好結果の処置を容易にするために、検査者又は担当者の要求に応じて患者の頭部を移動させ、調整し、回転させ、又は曲げるように、患者に指示するために、患者とインタラクティブに画面4706を使用することができる。たとえば、画面4706は、処置中に映画を表示することができ、そこでは、患者が画面4706上の表示を完全に注視することができ、患者の視線が画面4706上の表示の中心に固定され且つ向けられたままであるように、映画全体が全画面表示である。処置により患者が、見上げるか又は自身の頭部を上向きに動かす等、移動又は調整する必要がある場合、画面4706上の表示を(自動的に又は検査者若しくは担当者による操作時に)「移動させ」て、患者が画面4706上の表示の下半分しか見ないように、画面4706上の表示が患者の先の視線から上方に且つ外れて部分的にしか見えないようにすることができる。画面4706上の表示全体を見るために、患者は、表示が移動した「方向」に観るか又は自身の頭部を動かし、適切な量動かすと、画面4706は、表示の中心を患者の調整した視線に再度合わせる。同じプロセスを使用して、要求に応じて頭部を左に回すか、右に回すか又は曲げるように患者を誘導するか又は促すことができる。患者が環境とインタラクトするこうした環境において、何らかの従来技術は3Dゲーム又はアバターについて記載している場合がある。本明細書に記載するシステムは、検査者が患者のための没入型環境を制御することができ、それにより、患者の医療的な座位の調整によって処置をより安全に且つ有効に実施することができるという点で、一意に異なる。
【0105】
分離デバイス4700が経鼻内視鏡4702と使用される場合、患者の鼻通路は、医師が完全にアクセスすることができるように露出していなければならず、患者は、医師とコミュニケーションをとり且つ医師と相互に関わることができながら、着座してじっとしている姿勢で適切に位置調整されるべきである。従来技術による仮想現実又は同様のディスプレイに基づくゴーグルは、一般に、鼻のすべて又は一部分を覆い、それにより、経鼻内視鏡に対する必要に応じた鼻通路に対するアクセスが困難又は不可能になる。したがって、
図45に示す実施形態では、ゴーグル4704は、適切な着座位置調整を維持するように担当者と相互に関わりながら鼻通路への妨げられないアクセスを可能にするように設計されている。具体的には、ゴーグル4704の画面4706(及びゴーグル4704に設けられた任意のレンズ)は、患者の中立の又は自然な視線4701と直接位置合せされていない。代わりに、ゴーグル4704は、患者が上に向けられた視線4703を有するように、主要な近位部分4709から上向きに角度が付けられている遠位部分4707を有する。この遠位部分4707は、ゴーグル4704の主要な近位部分4709に対して上向きの角度で配置されて、経鼻内視鏡検査を問題なく実施することができるように、患者の鼻通路への妨げのないアクセスを可能にする。角度付き設計により、鼻甲介損傷のリスク、鼻中隔損傷、鼻血/鼻出血のリスクの増大、咽頭扁桃損傷、鼻洞損傷、篩板損傷及び脳への損傷の可能性、間違った方向にある内視鏡からの痛みの増大、並びに技術不足に起因する経験の浅い内視鏡医による損傷の増大を含む、医師が鼻通路に妨げなしにアクセスすることができない場合に増大するさまざまなリスクを制限するのにも役立つ。この例示的な実施形態では、患者の中立の視線4701と上に向けられた視線4703との間の角度4705は、5~25度の任意の範囲とすることができ、好ましくは15度である。しかしながら、この角度4705は、この角度4705により鼻通路へのよりよいアクセスが可能であるとともにユーザの眼に対して過度な歪みがもたらされない限り、この範囲外でさらに変更することができる。さらに、ゴーグル4704は、ユーザがゴーグル4704を装着している間に鼻通路への妨げのないアクセスをさらに確実にする切取部分4711(
図46を参照)を有することができる。
【0106】
分離デバイス4700は、距離センサ4712も含むことができる。この実施形態では、距離センサ4712は、ゴーグル4704のノーズピース内に組み込まれているが、距離センサ4712は分離デバイス4700で、種々の方法で利用することができる。距離センサ4712は、経鼻内視鏡4702に関連して使用して、処置中に経鼻内視鏡4702の位置に関する情報を提供することができ、内視鏡の体腔管腔圧検知機能を読影することができる。距離センサ4712は、種々の方法で経鼻内視鏡4702の位置を検出することができる。
図43及び
図44に示す実施形態では、経鼻内視鏡4702は、経鼻内視鏡4702の長さに沿って間隔を空けて配置された測定マーク4714を含むことができる。これらのマーク4714は、等しい距離、間隔を空けて配置することができる。経鼻内視鏡4702が患者の体内に前進するに従い、距離センサ4712は、各マークの存在を検出し、それにより、各測定マーク4714の間の距離によって決定されるように、経鼻内視鏡4702が患者の体内にある一定の距離前進したことを示す。1つの実施形態では、距離センサ4712は磁気又はホール効果センサであり、測定マーク4714は、ホール効果センサによって検出可能な金属材料から作製されている。別の実施形態では、距離センサ4712は光センサであり、測定マーク4714は、光を放出するか、又は、光センサによって検出可能である内視鏡4702の残りの部分とは異なる反射材料から作製される。さらに別の実施形態では、距離センサ4712は、機械式センサであり、測定マーク4714は、機械式センサによって検出可能である隆起したバンプ又は線である。
【0107】
この実施形態では、距離センサ4712がゴーグル4704に組み込まれているが、種々の他のセンサもゴーグル4704に組み込むことができる。これには、限定されないが、心拍数、パルスオキシメトリ、血圧、汗中成分、二酸化炭素及び他のガスの呼気レベル、人体の体温、呼気音及び呼吸数、皮膚の弾力性、眼圧、瞳孔径及び瞳孔間距離、鼓膜コンプライアンス、補聴器機能、気温、ガス含有量、並びに体腔からの管腔圧測定値の内視鏡による伝達の読影を含む、患者の種々の生命徴候を検出することができるセンサが挙げられる。さらに、ゴーグル4704に組み込まれたセンサは、種々の他の医療処置で使用することができる。
【0108】
図46に示す実施形態では、パルスオキシメトリセンサ4720が、ゴーグル4704の詰め物4724の切欠き4722内に直接組み込まれている。したがって、患者がゴーグル4704を装着すると、パルスオキシメトリセンサは、患者の前頭部と直接接触する。
図47に示す実施形態では、ゴーグル4704は、ゴーグル4704の凹部4726内に取外し可能に挿入可能である電子機器モジュール4728を含む。電子機器モジュール4728は、凹部4726内にスナップフィット若しくは摩擦嵌合するか、又は他の方法で、当技術分野において既知であるさまざまな方法を介して取外し可能に取り付けることができる。電子機器モジュール4728は、上述したセンサのうちの1つ又は複数とともに、センサからコンピュータ又は他のデバイスに信号を送信するために使用される他の任意の電子機器を含むことができいる。
【0109】
上述した実施形態によって提供されるセンサモニタリングは、非鎮静下内視鏡検査、又は座位で配置された(特に、拘束されていないときの)非鎮静下患者に関する他の任意の処置の状況において、特に重要である。こうした処置では、患者は、パニック発作等の急に増大する不安が起こるリスクとともに、処置中に意識を失うこと等により椅子から落ちるリスクがある。上述したもの等の分離デバイス4700がこうした処置で使用される場合、分離デバイス4700は患者の眼及び患者の顔面の一部をさえぎるため、このリスクが増幅される。したがって、医師は、患者の眼及び顔面を観察することができず、したがって、患者が苦しんでいる初期警告徴候を検出することができない。上述した1つ又は複数のセンサは、こうした事象の初期徴候を検出して医師に警告するのに役立つことができる。たとえば、パルスオキシメトリセンサ4720が酸素濃度の低下を検出した場合、患者は、意識を失いかけている可能性があり、医師に対して、警告灯又は警報音で警告することができる。同様に、パルスセンサが心拍数の上昇を検出した場合、患者はパニック発作を起こしかけている可能性があり、パルスオキシメトリセンサ4720警報とは識別可能であるものを含む、同様の警報又は警告が鳴ることができる。本注意転換デバイス4700の1つの態様では、ゴーグル4704自体が、パルスオキシメトリセンサ4720、パルスセンサ、及び上述した他のセンサから受信される入力に基づいて、自動的に作用することができる。たとえば、パルスオキシメトリセンサ4720が酸素濃度の低下を検出するととともに、患者が意識を失うか又は眠りに落ちかかっている可能性がある場合、センサからデータを受信するコンピュータ又は他の処理ユニットにより、患者に呼吸することを思い出させる等、ゴーグル4704内の音声の音量を急に増大させるか、又は画面4706からの警告灯を点滅させるように、ゴーグル4704に対して指示することができる。同様に、パルスセンサが心拍数の上昇を検出するとともに、患者がパニック発作を起こしかけている可能性がある場合、センサからデータを受信するコンピュータ又は他の処理ユニットにより、ゴーグル4704内でより心を落ち着かせ且つリラックスさせる音声又は映像に切り替えるか、又はゆっくりと深く呼吸するように画面4706からリマインダを点滅させるように、ゴーグル4704に対して指示することができる。上述した他のセンサは、同様に、収集されたデータを、分析し所与の作用を出力するコンピュータ又は他の処理ユニットに中継することにより、こうした検出又は他の有用なデータ収集及び分析に役立つことができる。
【0110】
上述したように、分離デバイス4700のゴーグル4704は、1つ又は複数の組込み画面4706を使用することができ、又は別法として、画面として作用する電話若しくは他の同様のデバイスを収納するように設計することができる。
図48及び
図49は、電話4750又は他の同様のデバイスを取外し可能に接続することができるゴーグル4704の一実施形態を示す。
図49に示すように、電話4750は、ゴーグル4704のスロット4752に挿入することができる。ゴーグル4704の本体4754及びドア4756は、スロット4752によって分離されている。本体4754は、1つ又は複数の弾性ストラップ4758を介してドア4756に取り付けられている。
図49に示すように、本体4754からドア4756を引き離すことができ、それにより、弾性ストラップ4758は弾性的に拡張又は伸長する。弾性ストラップ4758は、解放されると、本体4754が休止位置にある状態で収縮しドア4756をともに引き戻す。スロット4752内に電話4750を挿入するために、本体4754からドア4756が引き離され、スロット4752内に電話4750が挿入される。そして、ドア4756はその休止位置に戻るように解放され、それにより、ドア4756と本体4754との間で電話4750を固定する。ゴーグル4704における電話4750の位置をさらに固定するか又は他の方法で調整するように締め付けるか又は緩めること等により、弾性ストラップ4758を調整することができる。
【0111】
上述した概念の大部分は、組込み画面4706を備えるゴーグル4704を有する分離デバイス4700に関して考察したが、これらの概念は、さまざまなサイズの取外し可能な電話4750を組み込むゴーグル4704でもまた同様に使用可能である。
【0112】
図50及び
図51は、任意選択的な着脱式遠位部分4802と回収可能な近位部分4804とを備える内視鏡4800を示す。
図48は、遠位部分4802が取り付けられている内視鏡4800を示し、
図49は、遠位部分4802が取り外されている内視鏡4800を示す。内視鏡4800は、たとえば、
図4に示す実施形態を含む、本開示に含まれる内視鏡の先行する実施形態で記載したようなさまざまな特徴を含むことができる。内視鏡4800に見い出される同様の構造は、
図4の実施形態で使用した参照番号が付されており、これらの構造の説明は、本開示において、
図4の実施形態に関して見い出すことができる。内視鏡4800の操作者は、処置中に遠位部分4802を取り外すように選択し、内視鏡4800の残りの部分を患者の体内から引き抜いた後に患者のモニタリングを継続することができる。遠位部分4802は、体腔への縫合若しくは仮固定、又は当技術分野において既知である他の接合方法等により、連続的にモニタリングするために患者の身体に取り付けるか、又は、遠位部分4802がセンサ入力を受信してデータをコンピュータ又は他の記録デバイスに無線で中継し続ける間に、取り外されて患者の体内を自然に通過することができる。
【0113】
内視鏡4800の遠位部分4802は、種々の方法を介して近位部分4804から取り外すことができる。たとえば、取外しは、電磁石及び他の方法を介して機械式に行うことができる。1つの非限定的な例では、機械式取外しは、内視鏡4800のハンドルのボタン又はレバーを介して係合解除される遠位部分4802と近位部分4804との機械式係合を介して行うことができる。
【0114】
本明細書に記載するデバイス及び/又はシステムの用途は様々であり得る。たとえば、本明細書に記載するデバイス及び/又はシステムを使用して、とりわけ、標的領域に薬剤を送達し、標的領域から組織を除去し、たとえば、生検を行い、止血/焼灼を促進し、異物を除去し、標的領域、特に体液、調査標的領域、特に消化管から試料を採取し、組織、特に咽頭/喉頭/食道/胃/小腸組織を検査することによって既存の疾患及び/又は起こり得る疾患を評価し、疾患又は症状、たとえば、セリアック病、感染症等を診断し、且つ/又は気道を確保することができる。
【0115】
本発明は、気道若しくは消化管又は他の人体内腔のサイズ、気道、消化(GI)管及び/又は咽喉の拡張を測定するため、気道若しくは消化管、咽喉及び/又は他の人体内腔における筋肉組織によって及ぼされる管腔の体腔圧を測定するため、並びに、経腸栄養管及び体内器具を気道及び消化管内に留置するための、本明細書に開示した内視鏡の使用も企図する。
【0116】
本明細書に記載する組立体、方法、及びシステムは、肺、食道、鼻腔、副鼻腔、結腸、血管等の中空器官、又は他の中実器官の外側に位置する組織に影響を及ぼすために使用することができる。エネルギーを出力するために、さまざまタイプの作動可能な要素(たとえば、エネルギーエミッタ)を利用することができる。作動可能な要素は、患者の外傷を最小限に抑えるか又は抑制するために経皮送達を容易にするのに十分に小さなものとすることができる。
【0117】
本明細書に開示する実施形態は、消化器系、泌尿器系、神経系、血管系、婦人科系又は他の系を治療することができる。本明細書に開示する治療システム及びその構成要素は、低侵襲的処置、開腹処置、準開腹処置、又は所望の標的部位へのアクセスを提供する他の外科処置(たとえば、肺容量減少手術)等、他の医療処置中に補助するものとして使用することができる。胸部の種々の外科処置は、肺組織、気管支樹等へのアクセスを提供することができる。標的領域へのアクセスを提供するために使用されるアクセス技法及び処置は、外科医及び/又はロボットシステムによって行うことができる。当業者であれば、標的領域にアクセスすることができる多くの異なる方法があることを認識する。
【0118】
本明細書に開示するデバイスは、1回の使用後に廃棄されるように設計することもでき、又は複数回使用されるように設計することもできる。しかしながら、いずれの場合も、本デバイスは、少なくとも1回の使用後に再使用のために再調整することができる。再調整は、デバイスを分解するステップ、それに続いて特定の部片を洗浄又は交換するステップ、及びその後に再度組み立てるステップの任意の組合せを含むことができる。特に、デバイスを分解することができ、デバイスの任意の数の特定の部片又は部品を、任意の組合せで選択的に交換するか又は取り外すことができる。特定の部品の洗浄及び/又は交換の際に、再調整用の施設で、又は外科処置の直前に外科チームによって、デバイスを後の使用のために再度組み立てることができる。当業者であれば、デバイスの再調整では、分解、洗浄及び/又は交換、並びに再組立のための種々の技術を利用することができることを理解するであろう。こうした技術の使用、及びその結果として得られる再調整されたデバイスはすべて、本出願の範囲内にある。
【0119】
本明細書に記載する内視鏡デバイス及び/又はその要素のうちの任意のものを、システムと併せて使用することができる。内視鏡システムは、本明細書に概説したように、複数の要素を含むことができる。
【0120】
上記の利点、及び前述の説明から明らかになる利点が効率的に得られることと、本発明の範囲から逸脱することなく上記の構成にいくつかの変更を行うことができるため、前述の説明に含まれるか又は添付の図面に示されるすべての事項を限定的な意味ではなく例示的なものとして解釈すべきであることが意図されていることとが、理解されよう。
【0121】
このように本発明の好ましい実施形態を詳細に説明してきたが、上記の段落によって定義される本発明は、本発明の趣旨又は範囲から逸脱することなく実施形態の多くの明らかな変形が可能であるため、上記説明に記載した特定の詳細に限定されるべきでないことが理解されるべきである。
【0122】
続く特許請求の範囲は、本明細書に記載した本発明の包括的且つ具体的な特徴のすべて、並びに、言語の問題として、本発明の範囲に含まれると考えられ得る本発明の範囲のすべての記述を、網羅するように意図されていることも理解されるべきである。
【0123】
本発明について、単に例示目的で与えられ且つ本発明を限定するように意図されたものでは決してない、以下の実施例においてさらに説明する。
【実施例】
【0124】
実施例1-材料及び方法
EoEと明確に診断され且つ少なくとも1回の先行するEGDを麻酔下で受けた、2014年3月~2015年1月の間に年齢が8歳~17歳の対象を、Children’s Hospital Colorado(CHCO)における外来診療所から募集した。予定された臨床的に指示された再診予約時に、対象のプライマリGI担当者が、治療に対する臨床反応を評価するために経過観察食道鏡検査が必要であると感じた場合に、対象にアプローチした。対象に対して、鎮静下EGDの代わりに映画による注意転換を伴う非鎮静下TNEが行われることに興味があるかどうかを質問した。興味があった場合、インフォームドコンセントを得て、人口統計データを収集した。
【0125】
TNE前の2時間は飲食しないように対象に指示した。標準診療室において、外来患者喉頭鏡処置用に設計された椅子に着座するように対象に求めた。局所麻酔を達成するために、鼻孔に4%エアロゾル化リドカインの2~6回の噴霧を適用した。対象の選択する没入型映画又はテレビ番組の鑑賞を容易にするために顔面サイズに応じて、HMZ-T3W 3Dムービーゴーグル(Sony Corporation,Tokyo,Japan)又はCinemizer Goggle(Carl Zeiss AG,Oberkochen,Germany)のいずれかを用いて、対象の注意転換を達成した。調査処置の間、親は室内に残った。調査設計の目的及び患者の快適さのために、2人の指定された呼吸器科医(ED、RD)のうちの1人又は1人の耳鼻咽喉科医(JP)が、Olympus BFXP160F 2.8mm気管支鏡(1.2mm生検チャネル)を11/21人の対象に用い、且つ近位食道内において内視鏡で終端する4mmBPMP160F(2mm生検チャネル)を10/21人の対象に用いて、経鼻喉頭鏡検査を行った。消化器内科医(JF)は、食道鏡検査と生検採取(食道近位から3カ所、食道遠位から3カ所)を行った。生検標本の妥当性の視覚的確認は、内視鏡を引き抜く前に行った。有害事象、対象の症状、最大15分間の5分間隔でのTNEの時間を収集した。処置後に、家族に対して、mGHAA-9(modified Group Health Association of America)内視鏡満足度質問票に回答するように依頼し、家族を帰宅させた。
【0126】
処置の晩と>72時間後に対象に電話をして、任意の有害事象について評価した。TNEの最短2週間後、ただしTNE後10週間を超えずに、対象及び親に、そのTNEの体験に関する電子的定性調査に回答するように依頼した。
【0127】
1人の小児病理医(KC)が、試料のサイズと、好酸球計数を含む炎症所見とを評価するために生検標本を評価した。適切な高倍率視野(hpf)分析を保証するために、好酸球を計数するために用いた総上皮表面積を、グラフィカルなソフトウェア及び分析(cellSens Standard,2013,Olympus America,USA)を用いて分析した。この分析は、標準2.8mm生検鉗子を用いた対象の利用可能な以前の食道生検を、TNE中に収集した1.2又は2mm生検鉗子標本と比較することによって達成された。
【0128】
TNEと対象の以前の単発的な鎮静下EGDとからの料金を収集し、2つの処置のコストを比較した。対象の以前の内視鏡検査における、pHプローブ、pHインピーダンスプローブ、結腸鏡検査又は軟性S状結腸鏡検査等、長期の鎮静を有する可能性がある組み合わされた処置を受けた対象は、この計算から排除した(n=12)。University of Colorado Institutional Review Board(COMIRB-13-2721)は、すべての調査手順を承認した。
【0129】
Red-Cap Secure Database内にデータを記録した。データは、平均(average)、平均値(mean)及び標準偏差(SD)で示すように定性的基準として報告される。スチューデントの対応のあるノンパラメトリックt-検定を用いて、適切な試料サイズを確実にするための表面積分析を行った。対応のないt-検定を用いて料金分析を行った。
【0130】
実施例2-小児経鼻内視鏡の評価
内視鏡検査のために紹介された22人の対象のうちの22人に連絡をとり、21人の対象(95.5%)がこの調査に登録した。1人の女性の対象は、「感覚上の問題」のために参加を選択しなかった。これらの21人の対象の臨床的特徴を表1に示す。平均年齢は13.04歳(±2.7歳SD、8歳~17歳の範囲)であった。対象番号1及び13~21は、4mm内視鏡を用いるTNEを受け、8歳~16歳の範囲の年齢であった。対象番号2~12は、2.8mm内視鏡を用いるTNEを受け、10歳~17歳の範囲の年齢であった。対象コホートに対して以前に行われた内視鏡検査の平均回数は2.19(SD±1.12)であった。すべての対象が深刻な有害事象なしにTNEを忍容した。内視鏡医(JF、ED、JP、RD)がTNEの経験を積むにつれて、TNE処置の時間が短縮された(表2)。最も若い小児は8歳であり、4mm内視鏡を問題なく忍容することができた。TNEに関連する症状には、吐き気及び咽頭痛が含まれた(表3)。何らかの救急部門評価又は意図されない評価若しくは治療に関連した有害事象は全くなかった。1人の対象は、処置前にパニック発作を起こしたが、それにも関わらず、追加の投薬なしにTNEを完了することができた。その対象には不安障害の既往歴があった。
【0131】
処置後評価により、直後及びその後の調査においてTNEでの高度の満足度及び快適さが明らかとなった。mGHAA-9満足度尺度平均スコアは、43.19±2.6n=21、最大45であった。対象の高い割合、すなわち、小児対象(81%)及び親(90.5%)がTNEへの満足度を報告した。これは、TNE調査時に質問したときの、以前の鎮静下EGDに満足した親/子対象の合計である81%に匹敵する。対象は、定性尺度においてTNEよりもEGDに強い関心を表した(それぞれ61.9%対28.6%)。小児の大部分(76.2%)がTNEを繰り返すことになると言い、親対象の100%が自らの子に処置を再度受けさせるのをいとわなかった。半分を超える小児対象(52.4%)がTNEを好み、4人の対象がTNEも鎮静下EGDも好まず、親対象の85.7%が自らの子に対してTNEを好んだ(表4)。親がTNEを好ましいとする理由としては、麻酔がない(61.9%)、処置及び回復が早い(52.3%)、処置中の親の立会い(28.5%)、及びコストが低い(19%)ことが挙げられた。
【0132】
視覚的なTNE所見により、11人の対象が正常な食道鏡検査結果であり、9人に溝があり、1人に溝及び滲出物があることが明らかとなった。視覚的所見は、対象の85.7%における適切な組織学的所見と相関があった。視覚的所見と組織学的所見とに相関がなかった対象では、視覚的溝のある2人の対象は正常な生検を有し、正常に見える粘膜を有する1人は、好酸球15個/hpf未満の好酸球増多の組織学的証拠を示した(画像1、表5)。
【0133】
生検標本は、12の正常生検、好酸球15個/hpf未満の4つの生検、及び好酸球15個/hpfを超える5つの生検を明らかにした(表5、画像1)。TNE生検の総上皮表面積を一致した対象の以前のEGDの生検表面積と比較したときに、有意な差は認められなかった(表5)。外部の機関で最初に評価された1人の対象は、分析に利用可能な以前の生検を有していなかった。標準内視鏡鉗子で取得されたものと比較したTNE鉗子からの粘膜生検試料の総上皮表面積は、統計的に異なっていなかった(0.33mm2±0.09対0.38mm2±0.14mm、p=0.308、n=11;TNE1.2mm鉗子対EGD2.8mm鉗子±SD0.50mm2±0.15対0.52mm2±0.19、p=0.496、n=9;TNE2mm鉗子対EGD2.8mm鉗子±SD)。2つの2.8mm対照群間に表面積の差があるように見える(0.38mm2及び0.52mm2)が、サブ分析により、対応のないノンパラメトリックt-検定を用いて有意な差がないことが明らかとなった(p>0.05)。
【0134】
TNEを受けた21人の対象のうちの11人は、比較可能で且つ分析に利用可能な料金データを有していた。TNEに対する料金は、麻酔、病理、施設使用料、及び医師の診察料を含む、生検を伴う鎮静下EGDよりも60.1%少ないと計算された。
【0135】
これまで、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明してきたが、上記の段落によって定義される本発明は、本発明の趣旨又は範囲から逸脱することなく、実施形態の多くの明らかな変形が可能であるため、上記の説明に記載した特定の詳細に限定されるべきでないことを理解されるべきである。