(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-02
(45)【発行日】2023-06-12
(54)【発明の名称】振り出し容器
(51)【国際特許分類】
B65D 83/06 20060101AFI20230605BHJP
B65D 47/06 20060101ALI20230605BHJP
【FI】
B65D83/06 F
B65D47/06 400
(21)【出願番号】P 2022080817
(22)【出願日】2022-05-17
【審査請求日】2022-09-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】598104274
【氏名又は名称】株式会社 徳倉
(74)【代理人】
【識別番号】100091904
【氏名又は名称】成瀬 重雄
(72)【発明者】
【氏名】辻 博文
【審査官】杉田 剛謙
(56)【参考文献】
【文献】実開昭55-084279(JP,U)
【文献】韓国登録特許第10-1624996(KR,B1)
【文献】特開2010-120670(JP,A)
【文献】特開2003-165585(JP,A)
【文献】特開2001-301794(JP,A)
【文献】特開平07-330041(JP,A)
【文献】特開2005-145465(JP,A)
【文献】特開2020-037423(JP,A)
【文献】実開昭63-152689(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/06
B65D 47/00、04-32
A45D 33/00-38
A47J 43/22
B07B 1/00-62
B65D 77/04-08、20
B65D 81/32
G01F 11/00-46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に粉体を収容する収容空間(S)を有する筒状の容器本体(1)と、
前記収容空間に面して配置されて、前記粉体を前記容器本体の外部に振り出し可能にする篩部(4)と、
前記収容空間の内部に配置されて、前記篩部への前記粉体の供給量を制限する絞り部(2)とを備えており、
前記絞り部は、
先端が開口した円錐状とされた先細部(22)と、前記先細部の内部を通過した前記粉体の供給量を絞る通過孔(243)とを有しており、
前記先細部の外側面と前記容器本体の内周面と前記篩部の内面とで形成される滞留空間に前記通過孔から供給された前記粉体が前記篩部通過前に
前記篩部の表面上に分散して滞留して、
振り出し動作により前記粉体が前記篩部を通過して前記収容空間の外部に供給される構成となっており、
さらに、前記篩部の面積は、前記
通過孔の面積より大きいものとされていることを特徴とする振り出し容器。
【請求項2】
前記篩部は、対向して配置された2枚の篩部材(71・72)と、前記2枚の篩部材の間に移動可能なように保持されかつ前記2枚の篩部材の対向面に沿って転動する加振部材(73)とを備えており、
前記加振部材は、前記粉体を前記容器本体の外部に振り出す振り出し動作に伴って、前記2枚の篩部材の対向面間で転動しつつ両方の前記対向面に衝突して振動を加えるようになっていることを特徴とする請求項1に記載の振り出し容器。
【請求項3】
前記篩部の外面側に配置された集約部をさらに備えており、
前記集約部には、前記篩部から前記容器本体の外部に振り出された前記粉体を内部において通過させる粉体通路が形成されており、
前記集約部には、前記粉体の振り出し面積を前記篩部よりも減少させる規制部が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の振り出し容器。
【請求項4】
前記集約部における少なくとも一部の側面は、透明とされて、前記粉体通路内における前記粉体を視認可能な目視部とされており、
前記目視部には、前記粉体通路内に保持された前記粉体の量を表示する目盛りが形成されていることを特徴とする請求項3に記載の振り出し容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振り出し容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の振り出し容器としては、例えば下記特許文献1に記載のものがある。この振り出し容器によれば、開口部に篩を取り付けた容器本体の内部に粉体を収容した後、容器本体を傾けつつ振り出し動作を行うことにより、粉体を篩から容器本体の外部に振り出して、必要な対象に散布することができる。
【0003】
しかしながら、この振り出し容器においては、振り出し動作時に、容器本体から篩に供給された粉体が篩を通過できずに目詰まりを生じることがある。目詰まりを生じた場合は、振り出し動作を中断して篩に振動を与えることにより、篩の目詰まりを解消してから、振り出し動作を再開する必要がある。したがって、従来の振り出し容器においては、粉体を振り出す作業の効率の点において改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記のような状況に鑑みてなされたものであり、粉体の目詰まりを抑制することによって振り出し作業の効率を改善することができる振り出し容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1項目に係る振り出し容器は、内部に粉体を収容する収容空間を有する容器本体と、前記収容空間に面して配置されて、前記粉体を前記容器本体の外部に振り出し可能にする篩部と、前記収容空間の内部に配置されて、前記篩部への前記粉体の供給量を制限する絞り部とを備えている。
【0007】
第1項目の振り出し容器によれば、粉体を振り出すための振り出し動作時に収容空間から篩部に供給される粉体の量を絞り部により制限しつつ、粉体を篩部から容器本体の外部に振り出すことができる。このため、振り出し動作時において、篩部に供給された粉体の目詰まりを抑制することができる。よって、粉体を篩部から容器本体の外部に振り出す作業の効率を改善することができる。
【0008】
本発明の第2項目に係る振り出し容器においては、上記第1項目に係る振り出し容器の前記篩部が、対向して配置された複数の篩部材と、前記複数の篩部材の間に、移動可能なように保持された加振部材とを備えている。前記加振部材は、前記粉体を前記容器本体の外部に振り出す振り出し動作に伴って、前記複数の篩部材の少なくとも1つに衝突して振動を加えるようになっている。
【0009】
第2項目の振り出し容器によれば、振り出し動作に伴って加振部材が複数の篩部材の少なくとも1つに衝突して振動させるので、篩部材の目詰まりをさらに確実に抑制することができる。
【0010】
本発明の第3項目に係る振り出し容器は、上記第1項目又は第2項目に係る振り出し容器において、前記篩部の外面側に配置された集約部をさらに備えている。前記集約部には、前記篩部を介して前記容器本体の外部に振り出された前記粉体を内部において通過させる粉体通路が形成されている。前記集約部には、前記粉体の振り出し面積を前記篩部よりも減少させる規制部が設けられている。
【0011】
上記第3項目によれば、集約部を設けたので、振り出し動作による粉体の振り出し範囲を目的の範囲に制約することができる。すなわち、振り出し動作による粉体の散布範囲を集中させることができる。
【0012】
本発明の第4項目に係る振り出し容器においては、上記第3項目に係る振り出し容器の前記集約部における少なくとも一部の側面が透明とされて、前記粉体通路内における前記粉体を視認可能な目視部とされている。前記目視部には、前記粉体通路内に保持された前記粉体の量を表示する目盛りが形成されている。
【0013】
上記第4項目によれば、振り出し動作により篩部から集約部に供給された粉体を粉体通路内で一旦保持し、保持されている粉体の分量を目盛りにより計測した後、集約部から必要な個所に粉体を振り出すことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の振り出し容器によれば、振り出し容器から粉体を散布する作業の効率を改善することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る振り出し容器の分解斜視図である。
【
図2】
図1の振り出し容器の概略的な断面図である。
【
図3】本発明の第2実施形態に係る振り出し容器の分解斜視図である。
【
図4】
図3の振り出し容器の概略的な断面図である。
【
図5】本発明の第3実施形態に係る振り出し容器の分解斜視図である。
【
図6】
図5の振り出し容器の概略的な断面図である。
【
図7】振り出し容器に用いられる篩部の変形例であり、図(a)は篩部の斜視図、図(b)は図(a)のb-b線に沿う拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態の構成)
本発明の第1実施形態に係る振り出し容器100について、
図1及び
図2を参照しながら説明する。ただし、各図における部材の厚さなどは理解の用意のために適宜模式的に記載しており、寸法は正確なものではない。
【0017】
本実施形態の振り出し容器100は、容器本体1と、絞り部2と、篩部4と、集約部5と、蓋6とを備えている。
【0018】
容器本体1は、上面が開口した有底円筒状となっており、その内部は、粉体(図示せず)を収容できる収容空間Sとなっている。本実施形態の容器本体1は、円盤状の底面11の周縁から上方に円筒状の側面12が立ち上がる形状となっている。側面12の外周面上端近傍には、篩部4を容器本体1に取り付けるためのねじ部121が設けられている。容器本体1の全体は、例えば、プラスチックやガラスのように、透明な材質により構成されることが好ましい。湿気防止のため、容器本体1を円筒状のアルミ(つまりアルミ缶形状)により構成してもよい。また、本実施形態の振り出し容器100において使用される粉体としては、特に制約されないが、例えば、粉糖、黄な粉、胡椒、片栗粉などの粉末食品である。複数の粉体の混合物であってもよい。食品以外の粉体にこの容器を用いることもできる。粉体としては、保存時に固結しにくいものが好ましい。
【0019】
絞り部2は、振り出し動作により容器本体1から篩部4へ供給される粉体の量を規制するものである。絞り部2は、全体として、先端が開口した円錐状となっている。絞り部2は、容器本体1の内部に配置されて、収容空間Sの内部を仕切るように設けられている(
図2参照)。絞り部2の内側は、振り出し動作時に粉体が通過できる粉体通路P1を構成している。したがって粉体通路P1は、容器本体1の収容空間Sの一部となっている。絞り部2の全体は、例えば、透明なプラスチックにより構成されているが、特に制約されない。
【0020】
具体的には、本実施形態の絞り部2は、取付部21と、先細部22と、先端部23と、調整部24とを有している。取付部21は、短軸の円筒状とされ、その外周面が容器本体1の内周面に、着脱可能なように取り付けられている。取り付け方法としては例えば、対抗面に形成した小さい凹凸(図示せず)を嵌合させるはめ込み方式とすることができるが、特に制約されず、例えばねじ込み式であってもよい。取付部21は、容器本体1の底面11から上方に若干離間する位置において、容器本体1に取り付けられており、絞り部2の内側に必要量の粉体を収容できるようになっている。
【0021】
先細部22は、取付部21から連続して形成されており、取付部21から先端部23側に向かって徐々に細くなる円錐台状に形成されている。先細部22の傾斜角度(取付部21に対する傾斜角度)としては、粉体が詰まりやすいものであるほど大きいことが好ましい。
【0022】
先端部23は、先細部22に連続して形成された円筒状となっており、上面が開口している。先端部23の内径は、取付部21の内径及び容器本体1の内径よりも小さいもの(例えば断面積が1/3以下)となっている。先端部23の外周面には、調整部24を取り付けるためのねじ部が形成されている。
【0023】
粉体通路P1は、取付部21と先細部22と先端部23との内側を通過するように延在している。粉体通路P1は、取付部21側から先端部23側に向かって連続的に細くなっており、先端部23の内側における粉体通路P1の断面積は、篩部4のメッシュ部42の面積に比較して小さくなっている。
【0024】
調整部24は、先端部23に取り付けられて、振り出し動作による篩部4への粉体の供給量を制限するものである。調整部24は、円筒状の取付部241と、取付部241と一体とされてその端面を閉じる天盤部242とから構成されている。調整部24の材質としては、例えば、プラスチックであるが、特に制約されない。
【0025】
取付部241の内面には、先端部23に調整部24を着脱可能に取り付けるための雌ねじが形成されている。調整部24を先端部23に固定する構造も可能である。
【0026】
天盤部242のほぼ中央には、振り出し動作時に粉体を通過させるための通過孔243が形成されている。通過孔243は、粉体通路P1に連続しており、その内部において粉体を通過させることができるようになっている。通過孔243の開口形状および開口面積は、通過する粉体の量を必要な程度に抑制できるものとなっている。具体的な形状や面積は、使用する粉体の性質などに応じて、例えば実験的に決定できる。
【0027】
篩部4は、全体として有蓋短軸の円筒状に形成されており、容器本体1の上部における開口面を塞ぐように取り付けられている。これにより、篩部4は、収容空間Sに面して配置されたものとなっている。具体的には、本実施形態の篩部4は、短軸円筒状の取付部41と、取付部41と一体に形成された円板状のメッシュ部42とを有している。
【0028】
取付部41の内面には、容器本体1のねじ部121に螺合される雌ねじが形成されている。この雌ねじによって、取付部41は、容器本体1の上部に着脱可能に取り付けられている。取付部41の外周面には、集約部5の取付部51(後述)を取り付けるためのねじ部が形成されている。
【0029】
メッシュ部42には、振り出し動作時に粉体を通過させるための網目Mが形成されている。このメッシュ部42により、容器本体1の収容空間S内の粉体を容器本体1の外部に散布できるようになっている。
【0030】
集約部5は、振り出し動作により容器本体1から篩部4を介して供給された粉体を、振り出しの前に一旦集約するものである。集約部5は、全体的に、上下面が開口した略円錐台状となっている。集約部5は、容器本体1の上部に取り付けられた状態において、篩部4の上方に配置されるようになっている。集約部5の内部は、振り出し動作時に篩部4から供給された粉体を通過させる粉体通路P2となっている。集約部5の全体は、例えば、プラスチックにより構成できるが、その材質は特に制約されない。
【0031】
具体的には、本実施形態の集約部5は、取付部51と、規制部52と、先端部53とを有している。
【0032】
取付部51は、短軸円筒状に形成されており、その内周面には、篩部4の取付部41の外周面に形成されたねじ部に螺合する雌ねじが形成されている。この構成により、取付部51は、篩部4における取付部41の外側に着脱可能に取り付けられるようになっている。もちろん、取付部51と取付部41とを、はめ込み式など他の適宜な構造により相互に取り付け可能とすることは可能である。
【0033】
規制部52は、取付部51と一体に形成されており、取付部51側から先端部53側に向かって細くなる円錐台状に形成されている。
【0034】
先端部53は、規制部52の先端に、規制部52と一体に形成された短軸円筒状に形成されている。先端部53の断面積は、取付部51の内径、容器本体1の内径、及びメッシュ部42の内径(粉体通過部分全体の内径)に比較して細くなっている。本実施形態における先端部53の横断面形状および断面積は、絞り部2における先端部23と同じとなっているが、異なっていてもよい。先端部53の外周面には、蓋6を取り付けるためのねじ部が形成されている。
【0035】
取付部51、規制部52、及び先端部53の内部は全体として、粉体通路P2となっている。
【0036】
集約部5の規制部52により、集約部5からの粉体の振り出し面積は、篩部4からの粉体の振り出し面積よりも減少することになる。本実施形態における規制部52は、全体として透明とされている。そのため、この規制部52の全体は、粉体通路P2内における粉体を外部から視認可能な目視部となっている。規制部(すなわち目視部)52には、粉体通路P2内に保持された粉体の量を計測するための目盛り(図示せず)が形成されている。
【0037】
蓋6は、振り出し動作によりメッシュ部42を用いて粉体通路P2に供給された粉体を、集約部5において一旦保持するためのものである。蓋6は、集約部5の先端部53に取り付けられて、その開口を閉じることができるようになっている。具体的には蓋6の内側には、先端部53の外周に形成されたねじ部に螺合する雌ねじが形成されている。この雌ねじにより、蓋6は、集約部5の先端部53に着脱可能となっている。蓋6の全体は、例えば、プラスチックにより構成されているが、その材質は特に制約されない。
【0038】
(第1実施形態の振り出し容器の使用方法)
次に、本実施形態に係る振り出し容器100の使用方法について説明する。
【0039】
(振り出し容器への粉体の収容方法)
図2の状態を初期状態と仮定して、振り出し容器100に粉体を収容する動作について説明する。まず、集約部5を回転させて、集約部5及び篩部4を順次容器本体1から取り外す。さらに、絞り部2を容器本体1から適宜な方法で取り外す。
【0040】
ついで、容器本体1の上部における開口から収容空間Sに、必要量の粉体を供給する。この状態では、供給された粉体が容器本体1の底面11上に溜まる。その後、絞り部2、篩部4、集約部5を順次元の状態(
図2参照)に戻す。ここで、集約部5には蓋6が取り付けられているものとする。この手順により、絞り部2と容器本体1との間における収容空間Sに粉体を収容することができる。ただし、絞り部2を容器本体1から取り外さずに、漏斗などの適宜な道具を用いて先端部23から粉体を収納空間S(すなわち絞り部2の内側)に収容することもできる。
【0041】
(粉体の振り出し方法)
次に、本実施形態の振り出し容器100に収容された粉体を振り出す方法について説明する。まず、
図2に示す状態の振り出し容器100を手に取り、先端部53が横方向、斜め下方向、あるいは真下方向に向くように傾ける。これにより、容器本体1の底面11に溜まっていた粉体を、絞り部2の粉体通路P1に沿って移動させ、調整部24の通過孔243を介して篩部4のメッシュ部42に供給することができる。
【0042】
続いて、振り出し容器100を振ることにより、メッシュ部42に供給された粉体が分散しつつ次第に網目Mを通過し、集約部5内の粉体通路P2に入る。この状態で、粉体は蓋6により集約部5内に保持される。
【0043】
振り出し容器100を繰り返し振るにつれて、多くの粉体が網目Mから粉体通路P2の内部に入り込んで蓋6に保持される。適当なタイミングで、集約部5の規制部(目視部)52の外側から内部を目視し、集約部5内に保持されている粉体の量を目視部の目盛りにより測定することができる。この粉体の量が所望の程度となった後に蓋6を外して、所望量の粉体を振り出し容器100の外部に振り出すことができる。
【0044】
上記第1実施形態の振り出し容器100によれば、粉体を振り出すための振り出し動作により、容器本体1の収容空間Sから篩部4のメッシュ部42に供給される粉体の量を絞り部2によって制限しつつ、この粉体をメッシュ部42から容器本体1の外部に振り出すことができる。このため、振り出し動作時において、メッシュ部42に供給された粉体の目詰まりを抑制することができる。よって、粉体を容器本体1の外部に散布する動作の効率を改善することができる。
【0045】
また、上記第1実施形態によれば、集約部5によって、振り出し動作による粉体の振り出し先を狭い範囲に制約することができる。このため、振り出し動作により、粉体を飛散させずに狭い範囲に集中的に振り出すことができる。
【0046】
上記第1実施形態において、先細部22の内面形状を、取付部21側から先端部23側に向かって段階状に細くなる形状としてもよい。また、規制部52の内面形状を、取付部51側から先端部53側に向かって段階状に細くなる形状としてもよい。
【0047】
上記第1実施形態においては、調整部24の通過孔243の形状や開口面積を変更することにより、振り出し動作時に篩部4のメッシュ部42に供給される粉体の量を調整することができる。例えば、振り出す粉体が目詰まりしやすいものであれば通過孔243の開口面積を比較的に小さくすることで篩部4の目詰まりを抑制し、振り出す粉体が目詰まりしにくいものであればこの開口面積を比較的に大きくすることで散布量を増やすことができる。したがって、あらかじめ複数の調整部24を用意し、それらを交換することで適切な通過孔243に設定することができる。
【0048】
上記第1実施形態においては、集約部5及び蓋6を省略し、容器本体1の収容空間Sの内部に収容されている粉体を篩部4のメッシュ部42から直接振り出すこともできる。
【0049】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る振り出し容器200について、
図3及び
図4を参照しながら説明する。この振り出し容器200は、振り出し容器100の篩部4に代えて篩部7を備えており、その他の点については振り出し容器100と同様の構成を備えている。第2実施形態の振り出し容器200の説明においては、第1実施形態の振り出し容器100と同様の構成については同じ符号を付すことにより記載を簡潔とする。
【0050】
第2実施形態では、第1実施形態の篩部4に代えて、篩部7が用いられている。篩部7は、下側篩部材71と、上側篩部材72と、2つの球体状の加振部材73とから構成されている。
【0051】
下側篩部材71は、第1実施形態の篩部4と基本的に同様の構成となっており、取付部711と、メッシュ部712とを有している。取付部711の内側には、雌ねじが形成されており、これにより、取付部711を、容器本体1に着脱できるようになっている。メッシュ部712には、振り出し動作時に粉体を通過させるための網目M1が、第1実施形態の網目Mと同様に形成されている。
【0052】
上側篩部材72も第1実施形態の篩部4と基本的に同様の構成となっており、取付部721とメッシュ部722とを有している。取付部721の外周面には、集約部5の取付部51を着脱可能に取り付けるためのねじ部が設けられている。取付部721の下端は、メッシュ部712の上部に適宜な方法で固定されている。メッシュ部722には、振り出し動作時に粉体を通過させるための網目M2が、第1実施形態の網目Mと同様に形成されている。メッシュ部722は、メッシュ部712に対向するように配置されており、それらの間に、加振部材を配置できる間隙が形成されている。
【0053】
2つの加振部材73は、メッシュ部712・722を振動させるためのものである。2つの加振部材73は、メッシュ部712とメッシュ部722との間に、移動可能なように保持されている。2つの加振部材73の材質は特に制約されないが、例えば、シリコンゴムにより構成できる。
【0054】
次に、第2実施形態に係る振り出し容器200から粉体を振り出す動作について説明する。まず、振り出し容器200を横又は下向きに傾ける。これにより、容器本体1内の粉体を、粉体通路P1から篩部7のメッシュ部712に供給できる。
【0055】
続いて、振り出し容器200を振ることにより、2つの加振部材73をメッシュ部712の表面に沿って転動させつつ、上下の篩部材71・72に衝突させることができる。これにより、メッシュ部712・722を振動させることができる。
【0056】
このようにしてメッシュ部712・722を振動させることにより、メッシュ部712・722に供給された粉体の目詰まりをより確実に抑制することができる。したがって、第2実施形態の振り出し容器200によれば、粉体の振り出しをより効率的に、継続的に行うことができる。
【0057】
メッシュ部712・722を通過した粉体は、集約部5に供給された後、必要な個所に散布される。
【0058】
上記第2実施形態における2つの加振部材73は、振り出し動作に伴ってメッシュ部712・722のいずれかに振動を加えることができるものであればよい。加振部材73は、2個に限らず、1個でも3個以上でもよい。また、加振部材73は球体以外の形状(例えば、立方体などの多面体形状)であってもよい。なお、第2実施形態におけるメッシュ部712・722の材質としては、加振部材73が衝突しても破損しにくい、耐久性のあるものであることが好ましく、例えばステンレスワイヤを用いることができる。第2実施形態における前記以外の構成及び利点は、前記した第1実施形態と基本的に同様なので、これ以上詳しい説明は省略する。
【0059】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係る振り出し容器300について、
図5及び
図6を参照しながら説明する。この振り出し容器300は、第1実施形態の振り出し容器100における集約部5及び蓋6に代えて蓋76を用いている。第3実施形態の振り出し容器300についても、第1実施形態の振り出し容器100と基本的に同様の構成については同じ符号を付すことにより説明を簡潔にする。
【0060】
蓋76は、篩部4のメッシュ部42に形成されている網目Mを覆うように設けられる。蓋76の内側には雌ねじが形成されており、この雌ねじにより、蓋76を篩部4の取付部41に着脱可能に取り付けることができるようになっている。振り出し動作時には、蓋6を取付部41から外してから使用する。第3実施形態における前記以外の構成及び利点は、第1実施形態と基本的に同様なので、これ以上詳しい説明は省略する。
【0061】
(変形例)
次に、前述した第1実施形態~第3実施形態で用いた篩部4・7の変形例について、
図7を参照しながら説明する。変形例に係る篩部8は、篩部4・7のメッシュ部42・712・722における網目M・M1・M2に代えて複数の貫通孔Hを設けたものである。網目M1・M2のうちのいずれかを篩部8のように構成してもよい。
【0062】
なお、前記各実施形態の記載は単なる一例に過ぎず、本発明に必須の構成を示したものではない。各部の構成は、本発明の趣旨を達成できるものであれば、上記に限らない。
【0063】
例えば、前記した説明においては、振り出し容器を全体として円筒状としているが、例えば角筒状その他の適宜な形状とすることができる。
【0064】
また、前記した各実施形態では、容器本体1の内側に絞り部2を配置した例を説明したが、容器本体1の上部に絞り部2を取り付ける構造も可能である。この場合、篩部は、絞り部2とメッシュ部とが干渉しないように構成される。
【符号の説明】
【0065】
100・200・300 振り出し容器
1 容器本体
11 容器本体の底面
12 容器本体の側面
121 ねじ部
2 絞り部
21 取付部
22 先細部
23 先端部
24 調整部
241 取付部
242 天盤部
243 通過孔
4 篩部
41 取付部
42 メッシュ部
5 集約部
51 取付部
52 規制部(目視部)
53 先端部
6 蓋
7 篩部
71 下側篩部材
711 取付部
712 メッシュ部
72 上側篩部材
721 取付部
722 メッシュ部
73 加振部材
76 蓋
8 篩部
H 貫通孔
M・M1・M2 網目
P1 容器本体の粉体通路
P2 集約部の粉体通路
S 収容空間
【要約】
【課題】容器本体の外部に粉体を円滑に振り出すことのできる振り出し容器を提供する。
【解決手段】振り出し容器100は、内部に粉体を収容する収容空間Sを有する容器本体1と、収容空間Sに面して配置されて、粉体を容器本体1の外部に振り出し可能にする篩部4と、収容空間Sの内部に配置されて、篩部4への粉体の供給量を制限する絞り部2とを備えている。振り出し容器100は、篩部4の外面側に配置された集約部5をさらに備えており、集約部5には、篩部4から容器本体1の外部に振り出された粉体を内部において通過させる粉体通路P2が形成されている。集約部5には、粉体の振り出し面積を篩部4よりも減少させる規制部52が設けられている。
【選択図】
図1