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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-02
(45)【発行日】2023-06-12
(54)【発明の名称】口腔内撮影補助具
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/247 20060101AFI20230605BHJP
   A61B 1/04 20060101ALI20230605BHJP
   G02B 23/26 20060101ALI20230605BHJP
【FI】
A61B1/247
A61B1/04
G02B23/26 D
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022559403
(86)(22)【出願日】2022-02-24
(86)【国際出願番号】 JP2022007546
【審査請求日】2022-09-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519065330
【氏名又は名称】株式会社スクリエ
(74)【代理人】
【識別番号】100177220
【弁理士】
【氏名又は名称】小木 智彦
(72)【発明者】
【氏名】岡本 孝博
【審査官】亀澤 智博
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-2118915(KR,B1)
【文献】特許第6806400(JP,B1)
【文献】中国特許出願公開第111820853(CN,A)
【文献】中国実用新案第208910191(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2019/0216402(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0284580(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0064326(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0293877(US,A1)
【文献】特表2019-522824(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00 - 1/32
G02B 23/24 -23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔内に挿入され該口腔内を反射して映す反射面を有する挿入プレートと、
撮影手段を有するモバイル端末を着脱可能に取付けて保持するホルダと、
前記挿入プレートを前記ホルダに対して所定の角度で、かつ着脱可能に取り付ける着脱機構と、を備え、
前記ホルダは、前記挿入プレートが取り付けられる側とは反対となる後面側に前記モバイル端末の横幅に合わせた幅で切り欠き形成された凹部からなる装着部と、を有することを特徴とする口腔内撮影補助具。
【請求項2】
口腔内に挿入され該口腔内を反射して映す反射面を有する挿入プレートと、
撮影手段を有するモバイル端末を着脱可能に取付けて保持するホルダと、
前記挿入プレートを前記ホルダに対して所定の角度で、かつスライド式で着脱可能に取り付ける着脱機構と、を備え、
前記着脱機構は、前記挿入プレートの基端部に装着されるクリップと、
前記クリップを着脱可能に係合するように前記ホルダに設けられた着脱ガイドと、を有し、
前記着脱機構は、前記挿入プレートを前記ホルダに対してスライド移動させて取付位置を調整可能とした位置調整手段を兼用することを特徴とする口腔内撮影補助具。
【請求項3】
前記装着部は、凹面側に、前記モバイル端末を位置保持する保持面を有することを特徴とする請求項1に記載の口腔内撮影補助具。
【請求項4】
前記着脱ガイドは、前記ホルダからL字状に突設されて横方向に長く形成されたレール部と、
前記レール部の左右両端に、前記クリップの係合子を挿入する際にスムーズに挿入させるための案内テーパと、を有する請求項2に記載の口腔内撮影補助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔内の診察などで該口腔内のカメラ撮影を補助する口腔内撮影補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より口腔内を撮影するために装置や当該撮影を補助する補助具等の技術が開発されている。近時では、患者等が家庭等で口腔内を撮影し、その撮影した静止画や動画等の画像を遠隔の病院や医師等に送信して口腔内画像を解析して、遠隔から口腔内を診察するオンライン診療がある。
【0003】
上記のようなオンラインでの遠隔診察の場合には、患者自身又は患者の家族が該患者の口腔内を撮影する必要がある。患者等が、例えば、広く普及しているスマートフォンを使用して口腔内をカメラ撮影するための口腔内撮影補助具に関する技術が注目されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0004】
出願人は、特許文献1にスマートフォンを利用して患者が容易に自己の口腔内画像を撮影できる口腔内補助具を提案している。
【0005】
特許文献1の口腔内補助具は、口腔内に挿入する挿入プレート基端側に、挿入プレート表面に対して180°を超えて270°未満の角度を成すように形成されたスマートフォン保持プレートと、スマートフォン保持プレートにスマートフォンを固定するためのスマートフォン固定手段を備えるものであった。
【0006】
また、特許文献2には、筒状の本体は、撮像デバイスを挿入可能な開口を有する第1端部と、第1端部とは反対側に位置して、本体の内側から本体の外側への視野を与える窓部を有する第2端部と、第1端部から第2端部に向かって延び、撮像デバイスのスライドを許容する内周面と、を備える口内撮影補助具が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第6806400号公報
【文献】特開2021-040666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
適切に口腔内の遠隔診察を行うには、口腔内の適切な場所を正確に撮影する必要がある。しかも、患者自身が撮影するために、簡単に操作できるものが求められている。
【0009】
しかしながら、上記のような従来の口腔内撮影補助具等では、スマートフォンやタブレット等のモバイル端末のカメラと挿入プレート等の間の適切な角度や位置に取り付けることができず、口腔内を正確にきれいに撮影することが困難な場合があるという問題があった。
【0010】
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、患者自身や患者家族がスマートフォンやタブレット等のモバイル端末を利用して、簡単かつスムーズに、正確に口腔内を撮影することができる口腔内撮影補助具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために本発明は、口腔内に挿入され該口腔内を反射して映す反射面21を有する挿入プレート2と、撮影手段101を有するモバイル端末100を着脱可能に保持するホルダ3と、前記挿入プレート2を前記ホルダ3に対して所定の角度で、かつ着脱可能に取り付ける着脱機構4と、を備えた口腔内撮影補助具1から構成される。
【0012】
前記着脱機構4は、前記挿入プレート2の基端部に装着されるクリップ41と、前記クリップ41を着脱可能に係合するように前記ホルダ3に設けられた着脱ガイド42と、を有することとしてもよい。
【0013】
また、前記ホルダ3は、前記モバイル端末100の取付位置を変更可能に設けられたこととしてもよい。
【0014】
前記ホルダ3の左右のいずれか一方又は両方には、持ち手部32が形成されたこととしてもよい。
【0015】
前記挿入プレート2の反射面21には、曇り止め加工が施されたこととしてもよい。
【0016】
また、前記挿入プレート2には、口腔内での位置合わせ用マーカ5が形成されたこととしてもよい。
【0017】
また、前記挿入プレート2には、口腔内照明用の光源6が設けられたこと。
【発明の効果】
【0018】
本発明の口腔内撮影補助具によれば、口腔内に挿入され該口腔内を反射して映す反射面を有する挿入プレートと、撮影手段を有するモバイル端末を着脱可能に保持するホルダと、前記挿入プレートを前記ホルダに対して所定の角度で、かつ着脱可能に取り付ける着脱機構と、を備えたことから、モバイル端末のカメラアプリを利用して口腔内を撮影するために、口腔内に挿入する挿入プレートと、モバイル端末を保持するホルダとの間に適切な角度をつけて、取り付けることができる。その結果、患者自身や患者家族がスマートフォンやタブレット等のモバイル端末を利用して、簡単かつスムーズに、正確に口腔内を撮影することができる口腔内撮影補助具を提供することにある。また、口腔内撮影補助具を、簡単な構造で実現でき、低コストで製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1の実施形態に係る口腔内撮影補助具の写真であって、(a)は後面側の斜め上から見た説明図、(b)は前面側の斜め上から見た説明図である。
図2図1の口腔内撮影補助具を後面側から見た斜視図である。
図3図1の口腔内撮影補助具の前面側から見た斜視図である。
図4図1の口腔内撮影補助具の側面図である。
図5図1の口腔内撮影補助具の正面図である。
図6図1の口腔内撮影補助具の側面図である。
図7図1の口腔内撮影補助具の後面図である。
図8図1の口腔内撮影補助具の分離説明図である。
図9図5のA-A線断面の拡大図である。
図10図1の口腔内撮影補助具の使用状態の説明図である。
図11図1の口腔内撮影補助具の使用する手順を示したフローチャートである。
図12図1の口腔内撮影補助具のホルダの他の実施例であり、(a)は斜視図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
図13図1の口腔内撮影補助具の挿入プレートの他の実施例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、好適な実施の形態を用いて本発明をさらに具体的に説明する。但し、下記の実施の形態は本発明を具現化した例に過ぎず、本発明はこれに限定されるものではない。
【0021】
本発明に係る口腔内撮影補助具は、患者自身や患者家族がカメラ付きのスマートフォンやタブレット等のモバイル端末(携帯情報端末機)を利用して、口腔内を撮影する際に補助装置である。
【0022】
本実施形態で使用されるモバイル端末100としては、例えば、スマートフォンやカメラ付携帯電話、タブレット等、その他任意のカメラ付きの携帯通信端末でもよい。
【0023】
図1ないし図10は、本発明の口腔内撮影補助具の第1の実施形態を示している。図1図2図3図4に示すように、本実施形態では、口腔内撮影補助具1は、挿入プレート2と、モバイル端末100を保持するホルダ3と、着脱機構4と、を備えている。例えば、着脱機構には、スライド式で着脱可能なスライド機構や、マグネット式で着脱可能なマグネット機構などがある。
【0024】
モバイル端末100をホルダ3に保持させた際に、該モバイル端末100の横幅に沿った方向を左右方向X、同端末100の厚み方向を前後方向Y、同端末100の上下方向に沿った方向を上下方向Z、とする。
【0025】
挿入プレート2は、口腔内に挿入されて該口腔内を反射して映すことにより、モバイル端末の撮影装置で撮影させる撮影用の口腔内反射手段である。
【0026】
図1図2図3図4図5に示すように、本実施形態では、挿入プレート2は、例えば、ステンレス等の金属板で形成され、比較的厚みが薄く一方に長く設けられ、所定の面積で形成されたプレート体からなる。
【0027】
図6にも示すように挿入プレート2は、少なくとも片面に鏡面仕上げとなっており、反射面21が形成されている。挿入プレート2を患者の口腔内に挿入すると、該口腔内が該反射面21に反射して映ることとなる。挿入プレート2の反射面21には、例えば、樹脂フィルムや透明な防曇剤の塗布等でのコーティングにより曇り止め加工が施されている。
【0028】
挿入プレート2は、先端の中央部が凹設されるとともに、その両側はアール形状となっており、口腔内に挿入しても傷つけにくい構造となっている。さらに、挿入プレート2は、長手方向の中間位置には、括れ部が形成されている。
【0029】
なお、挿入プレート2のサイズや形状は任意でよい。例えば、挿入プレート2は、子供用、大人用、男性用、女性用、高齢者用等で種類分けすることとしてもよい。
【0030】
図3図5にも示すように、挿入プレート2の基端部は、後述のクリップ41に着脱可能に装着される。
【0031】
ホルダ3は、カメラ101やカメラアプリ等の撮影手段を有するモバイル端末100を着脱可能に固定するモバイル端末固定手段である。ホルダ3は、着脱機構4を介して挿入プレート2を前方側に向けて所定の角度で傾斜させて突設させた状態で装着させている。
【0032】
ホルダ3は、モバイル端末100を、そのカメラ101の撮影方向を挿入プレート2の反射面21に向けて装着させ、口腔内が反射して映る該反射面21を正確に撮影できるように、該モバイル端末100と挿入プレート2の該反射面21との間を所定の角度θとなるように保持している。本実施形態では、ホルダ3の前面に対して挿入プレート2が角度θで取り付けられる。
【0033】
挿入プレート2とモバイル端末100との角度θは、例えば、180°を超えて270°未満を成すように設定するとよい。より好適には、角度θは、210°~240°程度の範囲で設定するとよい。
【0034】
図1図2図3図10に示すように、本実施形態では、ホルダ3は、例えば、プラスチック等の硬質合成樹脂から形成されており、ある程度前後方向Yに厚みがある扁平状で横長略八角形状の立体からなる。なお、ホルダ3の形状は、例えば、矩形状やその他多角形状、円形状、楕円形状等任意でもよい。
【0035】
ホルダ3は、左右方向Xの略中央の矩形部分位置に、モバイル端末100の装着部31が形成されている。
【0036】
図2図6図7に示すように、装着部31は、例えば、ホルダ3の挿入プレート2が取り付けられる側とは反対となる後面側にスマートフォン等のモバイル端末の横幅に合わせた幅で切り欠き形成された凹部からなる。この装着部31に、モバイル端末100が嵌合状に装着されて固定される。装着部31の凹面側には、モバイル端末101を粘着力や吸着力で位置保持する保持面33が設けられている。
【0037】
装着部31は、上下方向Zに沿ってモバイル端末100の装着位置を調整可能となっている。すなわち、モバイル端末100のカメラ101の位置を変更可能に設けられている。これにより、例えば、機種によって異なるスマートフォン等のモバイル端末のカメラ位置にあわせて、適切に調整し、正確な口腔内の撮影を行える。
【0038】
なお、装着部31は、例えば、フック、ベルト、磁石、粘着部等その他任意の固定手段を利用してもよい。
【0039】
ホルダ3の左右両側には、使用者が手で握れるように左右方向に突設された持ち手部32が一体的に形成されている。持ち手部32は、例えば、ホルダ3の中央部から両外側に向けて次第に上下方向Zの幅が狭くなるとともに、厚み方向Yの幅も狭くなるように形成され、角部分は丸みを帯びた形状となっている。
【0040】
ホルダ3に持ち手部32を設けたことにより、使用者は安定して手で持って、撮影操作できるので、挿入プレート及び撮影位置の調整をスムーズかつ正確に行えることができるとともに、撮影時の手振れや落下等を防止できる。
【0041】
なお、ホルダ3の持ち手部32は、上記構造に限らず、例えば、指や手の形状等にあわせて一部くぼみを設けることとしたり、ゴムや凹凸を設けて滑りにくい加工としたり、指がフィットするような形状としたり、その他持ちやすい構造としてもよい。また、ホルダの左側又は右側のいずれか一方側にのみ持ち手部を形成することとしてもよい。
【0042】
また、図12に示すように、ホルダ3の左右両側に持ち手部を設けないシンプルな構造としてもよい。図12のように、持ち手部を設けないホルダ3の構成では、使用者は片手で持つこととなるため、上記実施形態に比べて使用時の安定性に劣る可能性があるが、構造が簡略化、かつコンパクトとなるので、低コストで製造できたり、持ち運び・保管で有利である。
【0043】
着脱機構4は、挿入プレート2をホルダ3に対して所定の適切な角度で着脱可能に取り付ける取付手段である。例えば、着脱機構4には、スライド式で着脱可能なスライド機構や、マグネット式で着脱可能なマグネット機構などがある。
【0044】
図1図8図9に示すように、本実施形態では、着脱機構4は、例えば、挿入プレート2を装着するクリップ41と、ホルダ3側に設けられ該クリップ42と着脱自在に係合する着脱ガイド42と、を備えている。本実施形態では、着脱機構4は、スライド式で着脱可能なスライド機構について説明する。着脱機構4はスライド機構としたことにより、挿入プレート2をホルダ3に対してスライド移動させて取付位置を調整可能とした位置調整手段を兼用している。もちろん、着脱機構4は、マグネット式で着脱可能なマグネット機構であっても、本実施形態と同様に、挿入プレート2をホルダ3に対して所定の角度で、かつ着脱可能に取り付ける。なお、着脱機構4は、例えば、嵌合式で着脱可能に取付ける構成や、クランプ式で着脱可能に取付ける構成等、その他、挿入プレート2をホルダ3に対して所定の角度で着脱可能に取付ける構造であれば任意の構造でもよい。
【0045】
クリップ41は、例えば、ホルダ3と同じプラスチック等の硬質合成樹脂で形成されている。クリップ41は、挿入プレート2の基端部を嵌合状に挿入させる挿入穴411が形成されている。挿入孔411は、ホルダ3に対して傾斜方向に凹設されており、上記の所定の角度θを設定する。クリップ41の上部側には、盗み孔が形成されている。
【0046】
クリップ41の後面側には、例えば、断面略L字状で横方向に直線状に長く形成された係合子412が突設されている。係合子412は、略L字を互いに逆方向に向けて平行状に対向して2つ設けられている。
【0047】
着脱ガイド42は、例えば、ホルダ3から突設され、クリップ41の係合子412と着脱可能にスライド係合するように設けられた複数のレール部421、422からなる。レール部421,422の間隙内にクリップ41の係合子412が挿入されて、挿入プレート2が装着されたクリップ41は、所定の角度θを保持した状態で、レール部(溝)沿って横方向Xに直線的にスライド移動する。
【0048】
着脱ガイド42は、例えば、ホルダ3から略L字状に突設されて横方向Xに長く形成されたレール部421が対向配置され、クリップ41の係合子412と嵌合状に係合している。また着脱ガイド42には、クリップ41の対向する係合子412どうしの間に配置される中間レール部422が設置されている。レール部421の左右両端には、クリップ41の係合子412を挿入する際にスムーズに挿入させるための案内テーパ423が形成されている。
【0049】
着脱機構4は、前記した構造に限らない。例えば、着脱機構4は、クリップを用いずに、挿入プレートの基端部をホルダ3に直接的に着脱自在に係合する構成としてもよい。また、着脱機構4は、例えば、横方向Xへのスライド移動に加えて上下方向Zにスライド移動する構造としてもよい。
【0050】
次に、本実施形態に係る口腔内撮影補助具1の使用例について説明する。例えば、挿入プレート2と、クリップ41と、ホルダ3と、をそれぞれ分離させた状態でセットとして、収納箱等に収納して、使用者すなわち患者等に販売又は貸出等されることとしてもよい。モバイル端末100は、患者又は患者家族等のものを利用することとしてもよい。
【0051】
口腔内を撮影する際には、各部材を収納箱から取り出す。図11のフローチャートのステップS10において、図に示すように、挿入プレート2の基端部にクリップ41を装着する。
【0052】
次に、ステップS11において、クリップ41の係合子412をホルダ3の着脱ガイド42に係合させる。
【0053】
次のステップS12では、ホルダ3の装着部31にスマートフォン等のモバイル端末100を装着する。この際、必要に応じて、モバイル端末100を上下方向Zにスライドさせて、該モバイル端末100のカメラが、挿入プレート100の反射面を適切に撮影できる位置に調整する。
【0054】
さらに、ステップS13では、必要に応じて、着脱機構4を介して挿入プレート2とクリップ41をホルダ3に対して横方向Xにスライドして、該モバイル端末100のカメラが、挿入プレート100の反射面を適切に撮影できる位置に調整する。
【0055】
ステップS14では、患者の口腔内に口を広げる開口器(図示せず)をはめる。
【0056】
次のステップS15では、図10に示すように、患者自身がホルダ3を手に持って操作し、挿入プレート2の先端を口腔に位置併せて口腔内に挿入プレート2を挿入する。
【0057】
次に、ステップS16では、モバイル端末100のカメラアプリを起動し、口腔内を撮影する。まず、挿入プレート2の反射面21を上向きとして、口腔内に挿入し、該挿入プレート2を下顎に押し付けて安定させた状態で、上顎の状態を撮影する。
【0058】
患者自身で撮影する場合には、例えば、モバイル端末100の画面に映る画像を自分で直接確認したり、或いは、洗面台等の鏡にモバイル端末100の画面を映してその画面を見ながら、撮影される画像を確認しながら、1枚又は複数枚撮影する。
【0059】
さらに、モバイル端末100ごと口腔内撮影補助具1全体を上下反転し、挿入プレート2の反射面21を下向きとして、口腔内に挿入し、該挿入プレート2を上顎に押し付けて安定させた状態で、上記同様の操作を行って下顎の状態を撮影する。
【0060】
このようにして、患者自身等でも簡単かつスムースに、かつ正確に口腔内を撮影することができる。また、患者家族等が撮影を行う際も、より簡単かつ正確に撮影することができる。撮影が終了(END)したら、撮影した画像を病院又は医師等に送信し、オンラインにて口腔内の診療が行われる。
【0061】
なお、図13は、口腔内撮影補助具1の挿入プレート2の他の実施例を示している。図13に示すように、挿入プレート2に、口腔内での位置合わせ用マーカ5を形成することとしてもよい。マーカ5は、例えば、撮影の主対象が歯の場合には、当該撮影対象と重ならないような位置や表示にするとよい。
【0062】
また、挿入プレート2には、口腔内を明るく照らすための照明用の光源6を設けることとしてもよい。
【0063】
以上説明した本発明の口腔内撮影補助具は、上記した実施形態のみの構成に限定されるものではなく、請求の範囲に記載した本発明の本質を逸脱しない範囲において、任意の改変を行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明の口腔内撮影補助具は、家庭で口腔内を簡単に正確に撮影し、病院や医師等に送信してオンラインによる遠隔診療等を行うのに利用することができる。
【符号の説明】
【0065】
1 口腔内撮影補助具
2 挿入プレート
21 反射面
3 ホルダ
32 持ち手部
4 着脱機構
41 クリップ
42 着脱ガイド
5 マーカ
6 光源
100 モバイル端末

【要約】
患者自身や患者家族がスマートフォンやタブレット等のモバイル端末を利用して、簡単かつスムーズに、正確に口腔内を撮影することができる口腔内撮影補助具を提供する。
口腔内に挿入され該口腔内を反射して映す反射面21を有する挿入プレート2と、撮影手段101を有するモバイル端末100を着脱可能に保持するホルダ3と、前記挿入プレート2を前記ホルダ3に対して所定の角度で、かつ着脱可能に取り付ける着脱機構4と、を備える。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13