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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-02
(45)【発行日】2023-06-12
(54)【発明の名称】容量制御弁
(51)【国際特許分類】
   F04B 27/18 20060101AFI20230605BHJP
【FI】
F04B27/18 A
F04B27/18 B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020535829
(86)(22)【出願日】2019-08-07
(86)【国際出願番号】 JP2019031069
(87)【国際公開番号】W WO2020032089
(87)【国際公開日】2020-02-13
【審査請求日】2022-02-18
(31)【優先権主張番号】P 2018149805
(32)【優先日】2018-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000101879
【氏名又は名称】イーグル工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100206911
【弁理士】
【氏名又は名称】大久保 岳彦
(74)【代理人】
【氏名又は名称】溝渕 良一
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100156535
【弁理士】
【氏名又は名称】堅田 多恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【弁理士】
【氏名又は名称】林 道広
(72)【発明者】
【氏名】葉山 真弘
(72)【発明者】
【氏名】福留 康平
(72)【発明者】
【氏名】江島 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】栗原 大千
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 渉
(72)【発明者】
【氏名】白藤 啓吾
【審査官】北村 一
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-132632(JP,A)
【文献】特開2000-345961(JP,A)
【文献】特開2006-307828(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 27/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソレノイドの通電によって流量を制御する容量制御弁であって、
吐出圧力の吐出流体が通過する吐出ポートおよび吸入圧力の吸入流体が通過する吸入ポート並びに制御圧力の制御流体が通過する第1制御ポートおよび第2制御ポートが形成されたバルブハウジングと、
前記バルブハウジング内に配置され前記ソレノイドにより駆動されるロッドと、
前記ロッドの移動により前記第1制御ポートと前記吸入ポートとの間の流体の流れを制御するCS弁と、
前記ロッドの移動により前記第2制御ポートと前記吐出ポートとの間の流体の流れを制御するDC弁と、を備え、
前記ソレノイドへの非通電時に前記CS弁は閉塞かつ前記DC弁は開放し、
前記ソレノイドへの最大電流時に前記CS弁は開放かつ前記DC弁は開放し、
前記ソレノイドの通電制御時に前記CS弁は閉塞から開放状態に移行しかつ前記DC弁は開放から絞られその後開放状態に移行する容量制御弁。
【請求項2】
前記ソレノイドの通電制御時に前記DC弁の絞られた状態は閉塞状態である請求項1に記載の容量制御弁。
【請求項3】
前記DC弁は、スプール弁構造であって、前記ロッドのランド部と前記バルブハウジングの内周に設けられたDC弁座とにより構成されている請求項1または2に記載の容量制御弁。
【請求項4】
前記ロッドは、前記バルブハウジングの内周に配置され、前記吸入ポートと前記吐出ポートを仕切っている請求項1ないし3のいずれかに記載の容量制御弁。
【請求項5】
前記CS弁は、前記第1制御ポートが形成された感圧室に配置され前記ロッドを付勢する感圧体と、前記感圧体と前記バルブハウジングに設けられたCS弁座とにより構成されている請求項1ないし4のいずれかに記載の容量制御弁。
【請求項6】
前記感圧体と前記ロッドとの間には軸方向に付勢力を与えるバネが配置されている請求項5に記載の容量制御弁。
【請求項7】
前記ソレノイド側から、前記吐出ポート、前記第2制御ポート、前記吸入ポート、前記第1制御ポートの順、または前記第2制御ポート、前記吐出ポート、前記吸入ポート、前記第1制御ポートの順に配置されている請求項1ないし6のいずれかに記載の容量制御弁。
【請求項8】
ソレノイドの通電によって流量を制御する容量制御弁であって、
吐出圧力の吐出流体が通過する吐出ポートおよび吸入圧力の吸入流体が通過する吸入ポート並びに制御圧力の制御流体が通過する第1制御ポートおよび第2制御ポートが形成されたバルブハウジングと、
前記バルブハウジング内に配置され前記ソレノイドにより駆動され外周に配置されるランド部により前記第2制御ポートと前記吐出ポートとの間の流体の流れを制御するスプール弁構造のDC弁を構成するロッドと、
前記ロッドの移動に応じて前記第1制御ポートと前記吸入ポートとの間の流体の流れを制御するCS弁を構成する感圧体と、を備え、
前記ソレノイドへの非通電時に前記CS弁は閉塞かつ前記DC弁は開放し、
前記ソレノイドへの最大電流時に前記CS弁は開放かつ前記DC弁は開放し、
前記ソレノイドの通電制御時に前記CS弁は閉塞から開放状態に移行しかつ前記DC弁は開放から絞られその後開放状態に移行する容量制御弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作動流体の容量を可変制御する容量制御弁に関し、例えば、自動車の空調システムに用いられる容量可変型圧縮機の吐出量を圧力に応じて制御する容量制御弁に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の空調システムに用いられる容量可変型圧縮機は、エンジンにより回転駆動される回転軸、回転軸に対して傾斜角度を可変に連結された斜板、斜板に連結された圧縮用のピストン等を備え、斜板の傾斜角度を変化させることにより、ピストンのストローク量を変化させて流体の吐出量を制御するものである。この斜板の傾斜角度は、電磁力により開閉駆動される容量制御弁を用いて、流体を吸入する吸入室の吸入圧力Ps、ピストンにより加圧された流体を吐出する吐出室の吐出圧力Pd、斜板を収容した制御室の制御圧力Pcを利用しつつ、制御室内の圧力を適宜制御することで連続的に変化させ得るようになっている(特許文献1,2,3参照)。
【0003】
容量可変型圧縮機の連続駆動時(以下、単に「連続駆動時」と表記することもある)において、容量制御弁は、制御コンピュータにより通電制御され、ソレノイドで発生する電磁力により弁体を軸方向に移動させ、主弁を開閉して容量可変型圧縮機の制御室の制御圧力Pcを調整する通常制御を行っている。
【0004】
例えば、特許文献1の容量制御弁は、制御室が固定オリフィスを介して吐出室に接続されており、主弁であるCS弁を制御し吸入圧により制御室の圧力を調整している。また、特許文献2の容量制御弁は、制御室が固定オリフィスを介して吸入室に接続されており、主弁であるDC弁を制御し吐出圧により制御室の圧力を調整している。さらに、特許文献3の容量制御弁は、CS弁とDC弁とを制御して制御室の圧力を調整している。
【0005】
容量制御弁の通常制御時においては、容量可変型圧縮機における制御室の圧力が適宜制御されており、回転軸に対する斜板の傾斜角度を連続的に変化させることにより、ピストンのストローク量を変化させて吐出室に対する流体の吐出量を制御し、空調システムが所望の冷却能力となるように調整している。また、容量可変型圧縮機を最大容量で駆動する場合には、容量制御弁の主弁を閉塞して制御室の圧力を低くすることで、斜板の傾斜角度を最大とするようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2017-129042号公報(第9頁、第2図)
【文献】特許第6206274号公報(第8頁、第2図)
【文献】特許第4242624号公報(第7頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1,2にあっては、簡素な構成により容量制御弁を構成できていたが、容量可変圧縮機の制御室に接続された固定オリフィスは流路断面積が一定であるため、通常制御において主弁(CS弁またはDC弁)の制御のみで制御室の圧力を調整するには、制御圧力Pcの制御性に改良の余地があった。また、特許文献3にあっては、CS弁とDC弁とを配置することで制御性が高められているものの、CS弁とDC弁の協働について言及されておらず、通常制御時の制御効率が必ずしも良いものではなかった。
【0008】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、通常制御時の制御効率の良い容量制御弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明の容量制御弁は、
ソレノイドの通電によって流量を制御する容量制御弁であって、
吐出圧力の吐出流体が通過する吐出ポートおよび吸入圧力の吸入流体が通過する吸入ポート並びに制御圧力の制御流体が通過する第1制御ポートおよび第2制御ポートが形成されたバルブハウジングと、
前記バルブハウジング内に配置され前記ソレノイドにより駆動されるロッドと、
前記ロッドの移動により前記第1制御ポートと前記吸入ポートとの間の流体の流れを制御するCS弁と、
前記ロッドの移動により前記第2制御ポートと前記吐出ポートとの間の流体の流れを制御するDC弁と、を備え、
前記ソレノイドへの非通電時に前記CS弁は閉塞かつ前記DC弁は開放し、
前記ソレノイドへの最大電流時に前記CS弁は開放かつ前記DC弁は開放し、
前記ソレノイドの通電制御時に前記CS弁は閉塞から開放状態に移行しかつ前記DC弁は開放から絞られその後開放状態に移行する。
これによれば、CS弁とDC弁との協働により流量を制御するため、効率よく制御圧力を制御することができる。また、通電電流が小電流の領域ではCS弁とDC弁とは逆方向、中電流の領域ではCS弁開度のみ増加、大電流の領域ではCS弁とDC弁とは同方向であり、CS弁による制御圧力の調整量とDC弁による制御圧力の調整量の差分によって制御圧力が制御されるため、電流値に対して制御圧力を細かく制御できる。特に通電電流が大きくなる程、電流値に対して制御圧力を細かく制御できる。
【0010】
前記ソレノイドの通電制御時に前記DC弁の絞られた状態は閉塞状態であってもよい。
これによれば、ソレノイドへの通電電流に応じた制御域が、CS弁はDC弁よりも広く、すなわちCS弁が主体的かつDS弁が補助的となっており、制御効率がよい。
【0011】
前記DC弁は、スプール弁構造であって、前記ロッドのランド部と前記バルブハウジングの内周に設けられたDC弁座とにより構成されていてもよい。
これによれば、DC弁を簡素に構成することができる。
【0012】
前記ロッドは、前記バルブハウジングの内周に配置され、前記吸入ポートと前記吐出ポートを仕切っていてもよい。
これによれば、容量制御弁を簡素に構成できる。
【0013】
前記CS弁は、前記第1制御ポートが形成された感圧室に配置され前記ロッドを付勢する感圧体と、前記感圧体と前記バルブハウジングに設けられたCS弁座とにより構成されていてもよい。
これによれば、吸入圧力に応じてロッドに与える反力が増減する構造となっており、制御圧力の制御性が高くなっている。
【0014】
前記感圧体と前記ロッドとの間には軸方向に付勢力を与えるバネが配置されていてもよい。
これによれば、バネが軸方向に変形移動可能であるため、感圧体の軸方向変形可能量が小さくても、確実にDC弁を動作させることができる。
【0015】
前記ソレノイド側から、前記吐出ポート、前記第2制御ポート、前記吸入ポート、前記第1制御ポートの順、または前記第2制御ポート、前記吐出ポート、前記吸入ポート前記第1制御ポートの順に配置されていてもよい。
これによれば、バルブハウジングを簡素に構成できる。
【0016】
本発明の容量制御弁は、
ソレノイドの通電によって流量を制御する容量制御弁であって、
吐出圧力の吐出流体が通過する吐出ポートおよび吸入圧力の吸入流体が通過する吸入ポート並びに制御圧力の制御流体が通過する第1制御ポートおよび第2制御ポートが形成されたバルブハウジングと、
前記バルブハウジング内に配置され前記ソレノイドにより駆動され外周に配置されるランド部により前記第2制御ポートと前記吐出ポートとの間の流体の流れを制御するスプール弁構造のDC弁を構成するロッドと、
前記ロッドの移動に応じて前記第1制御ポートと前記吸入ポートとの間の流体の流れを制御するCS弁を構成する感圧体と、を備える。
これによれば、CS弁とDC弁との協働により流量を制御するため、効率よく制御圧力を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る実施例の容量制御弁が組み込まれる斜板式容量可変型圧縮機を示す概略構成図である。
図2】実施例の容量制御弁の非通電時においてDC弁が開放され、CS弁が閉塞された様子を示す断面図である。
図3】実施例の容量制御弁の非通電時においてDC弁が開放され、CS弁が閉塞された様子を示す図2の拡大断面図である。
図4】実施例の容量制御弁の通電時(小電流の領域)においてDC弁が開放から閉塞状態へ移行し、CS弁が閉塞から開放状態へ移行する様子を示す断面図である。
図5】実施例の容量制御弁の通電時(中電流の領域)においてDC弁が閉塞され、CS弁が開放された様子を示す断面図である。
図6】実施例の容量制御弁の通電時(大電流の領域)においてDC弁が閉塞から開放状態へ移行し、CS弁が開放された様子を示す断面図である。
図7】実施例の容量制御弁における通電電流(ロッドのストローク)に対するDC弁の開閉状態と、CS弁の開閉状態を説明する図である。尚、横軸の通電電流(ストローク)は、ソレノイドに電流を印加した際にロッドが移動する方向(図2における左から右への方向)で示している。
図8】実施例の容量制御弁の通電状態とCS弁、DC弁の開閉状態を説明する表図である。
図9】変形例の容量制御弁の非通電時においてDC弁が開放され、CS弁が閉塞された様子を示す断面図である。
図10図9の変形例の容量制御弁における通電電流(ロッドのストローク)に対するDC弁の開閉状態と、CS弁の開閉状態を説明する図である。尚、横軸の通電電流(ストローク)は、ソレノイドに電流を印加した際にロッドが移動する方向(図2における左から右への方向)で示している。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係る容量制御弁を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例
【0019】
実施例に係る容量制御弁につき、図1から図8を参照して説明する。以下、図2の正面側から見て左右側を容量制御弁の左右側として説明する。
【0020】
本発明の容量制御弁Vは、自動車等の空調システムに用いられる容量可変型圧縮機Mに組み込まれ、冷媒である作動流体(以下、単に「流体」と表記する)の圧力を可変制御することにより、容量可変型圧縮機Mの吐出量を制御し空調システムを所望の冷却能力となるように調整している。
【0021】
先ず、容量可変型圧縮機Mについて説明する。図1に示されるように、容量可変型圧縮機Mは、吐出室2と、吸入室3と、制御室4と、複数のシリンダ4aと、を備えるケーシング1を有している。
【0022】
また、容量可変型圧縮機Mは、ケーシング1の外部に設置される図示しないエンジンにより回転駆動される回転軸5と、制御室4内において回転軸5に対してヒンジ機構8により偏心状態で連結される斜板6と、斜板6に連結され各々のシリンダ4a内において往復動自在に嵌合された複数のピストン7と、を備え、電磁力により開閉駆動される容量制御弁Vを用いて、流体を吸入する吸入室3の吸入圧力Ps、ピストン7により加圧された流体を吐出する吐出室2の吐出圧力Pd、斜板6を収容した制御室4の制御圧力Pcを利用しつつ、制御室4内の圧力を適宜制御することで斜板6の傾斜角度を連続的に変化させることにより、ピストン7のストローク量を変化させて流体の吐出量を制御している。尚、説明の便宜上、図1においては、容量可変型圧縮機Mに組み込まれる容量制御弁Vの図示を省略している。
【0023】
具体的には、制御室4内の制御圧力Pcが高圧であるほど、回転軸5に対する斜板6の傾斜角度は小さくなりピストン7のストローク量が減少するが、一定以上の圧力となると、回転軸5に対して斜板6が略垂直状態、すなわち垂直よりわずかに傾斜した状態となる。このとき、ピストン7のストローク量は最小となり、ピストン7によるシリンダ4a内の流体に対する加圧が最小となることで、吐出室2への流体の吐出量が減少し、空調システムの冷却能力は最小となる。一方で、制御室4内の制御圧力Pcが低圧であるほど、回転軸5に対する斜板6の傾斜角度は大きくなりピストン7のストローク量が増加するが、一定以下の圧力となると、回転軸5に対して斜板6が最大傾斜角度となる。このとき、ピストン7のストローク量は最大となり、ピストン7によるシリンダ4a内の流体に対する加圧が最大となることで、吐出室2への流体の吐出量が増加し、空調システムの冷却能力は最大となる。
【0024】
図2に示されるように、容量可変型圧縮機Mに組み込まれる容量制御弁Vは、ソレノイド80を構成するコイル86に通電する電流を調整し、容量制御弁VにおけるCS弁50、DC弁53の開閉制御を行い、制御室4内に流入する、または制御室4から流出する流体を制御することで制御室4内の制御圧力Pcを可変制御している。尚、容量制御弁Vの通常制御時において、吐出圧力Pdは制御圧力Pcよりも高い圧力となっており、制御圧力Pcは吸入圧力Ps以上の高い圧力となっている。
【0025】
本実施例において、CS弁50は、感圧体61を構成するアダプタ70とバルブハウジングとしての第1バルブハウジング10の内周面に形成されるCS弁座10aとにより構成されており、アダプタ70の軸方向右側に形成されるテーパ端部70aがCS弁座10aに接離することで、CS弁50が開閉するようになっている。DC弁53は、スプール弁構造であって、ロッド51とバルブハウジングとしての第2バルブハウジング11の内周面に形成されたDC弁座11aとにより構成されており、ロッド51のランド部としての第1ランド部51aがDC弁座11aに接離することで、DC弁53が開閉するようになっている。
【0026】
次いで、容量制御弁Vの構造について説明する。図2に示されるように、容量制御弁Vは、金属材料または樹脂材料により形成された第1バルブハウジング10および第2バルブハウジング11と、第1バルブハウジング10および第2バルブハウジング11の内部に軸方向に往復動自在に配置されたロッド51と、第1弁室20における吸入圧力Psに応じてロッド51に軸方向右方への付勢力を付与する感圧体61と、第2バルブハウジング11に接続されロッド51に駆動力を及ぼすソレノイド80と、から主に構成されている。
【0027】
図2に示されるように、ソレノイド80は、軸方向左方に開放する開口部81aを有するケーシング81と、ケーシング81の開口部81aに対して軸方向左方から挿入されケーシング81の内径側に固定される略円筒形状の固定鉄心82と、固定鉄心82に挿通され軸方向に往復動自在に配置されるロッド51と、ロッド51の軸方向右端部に固着される可動鉄心84と、固定鉄心82と可動鉄心84との間に設けられ可動鉄心84を軸方向右方に付勢するコイルスプリング85と、固定鉄心82の外側にボビンを介して巻き付けられた励磁用のコイル86と、から主に構成されている。
【0028】
ケーシング81には、軸方向左端の内径側が軸方向右方に凹む凹部81bが形成されており、この凹部81bに対して第2バルブハウジング11の軸方向右端部が略密封状に挿嵌・固定されている。
【0029】
固定鉄心82は、鉄やケイ素鋼等の磁性材料である剛体から形成され、軸方向に延びロッド51の軸方向右側の一部が挿通される挿通孔82cが形成される円筒部82bと、円筒部82bの軸方向左端部の外周面から外径方向に延びる環状のフランジ部82dと、を備え、フランジ部82dよりも軸方向左側には円筒部82bの外周面から内径方向に凹む環状凹部82eが形成されている。尚、環状凹部82eにはOリング83が装着されることにより、固定鉄心82と第2バルブハウジング11とが密封状態で接続固定されている。
【0030】
また、固定鉄心82は、フランジ部82dの軸方向右端面をケーシング81の凹部81bの底面に当接させた状態で、ケーシング81の凹部81bに対して挿嵌・固定される第2バルブハウジング11の軸方向右端の内径側が軸方向左方に凹む凹部11cに対して挿嵌・固定されている。
【0031】
また、ケーシング81に対して固定鉄心82および第2バルブハウジング11が取り付けられた状態において、固定鉄心82のフランジ部82dの軸方向左端面と第2バルブハウジング11の凹部11cとの間には、環状の空間Sが形成されている。尚、空間Sは、固定鉄心82の円筒部82bにおいてフランジ部82dと環状凹部82eとの間で径方向に延びる貫通孔82aを介して固定鉄心82の内部の挿通孔82cと連通している。
【0032】
図2に示されるように、第1バルブハウジング10には、容量可変型圧縮機Mの吸入室3と連通する吸入ポートとしてのPsポート13と、容量可変型圧縮機Mの制御室4と連通する第1制御ポートとしての第1Pcポート14と、が形成されている。また、第2バルブハウジング11には、容量可変型圧縮機Mの制御室4と連通する第2制御ポートとしての第2Pcポート15と、容量可変型圧縮機Mの吐出室2と連通する吐出ポートとしてのPdポート16と、が形成されている。尚、これらのポートは、ソレノイド80側から、Pdポート16、第2Pcポート15、Psポート13、第1Pcポート14の順に形成されている。
【0033】
また、第1バルブハウジング10は、軸方向右端の外径部が軸方向左方に凹むことにより段部10bが形成され、第2バルブハウジング11の軸方向左端部が軸方向右方から外嵌されることにより一体に密封状態で接続固定されている。また、第1バルブハウジング10は、その軸方向左端部に仕切調整部材12が略密封状に圧入されることにより有底略円筒形状を成している。尚、仕切調整部材12は、第1バルブハウジング10の軸方向における設置位置を調整することで、感圧体61付勢力を調整できるようになっている。
【0034】
第1バルブハウジング10および第2バルブハウジング11の内部には、ロッド51が軸方向に往復動自在に配置され、第2バルブハウジング11の内周面の一部には、ロッド51の第2ランド部51b(図3図6参照)の外周面が略密封状態で摺接可能な小径のガイド面11bが形成されている。
【0035】
また、第1バルブハウジング10の内部には、Psポート13と連通されロッド51の軸方向左端部が配置される第1弁室20と、第1Pcポート14と連通され感圧体61が配置される感圧室60と、が形成されている。また、第2バルブハウジング11の内部には、第2Pcポート15と連通されロッド51の第2ランド部51b(図3図6参照)が配置される第2弁室30と、Pdポート16と連通されロッド51の第1ランド部51aが配置され第2バルブハウジング11のソレノイド80側に配置される第3弁室40とが形成されている。
【0036】
尚、第1弁室20は、ロッド51の軸方向左端部の外周面と、第1バルブハウジング10のCS弁座10aよりも軸方向右側の内周面と、第2バルブハウジング11の軸方向左端の内径側が軸方向右方に凹む凹部11dの内面とにより画成されている。さらに、第1バルブハウジング10と第2バルブハウジング11とが接続固定された状態で、第1弁室20と第2弁室30は、ロッド51の第2ランド部51bにより仕切られている。また、第2弁室30と第3弁室40は、ロッド51の第2ランド部51bよりも軸方向右側の外周面と、第2バルブハウジング11の内周面により画成されており、DC弁53が閉塞したときには第2弁室30と第3弁室40は隔離され、DC弁53が開放したときには第2弁室30と第3弁室40は連通されている。
【0037】
また、第2バルブハウジング11には、軸方向右側の凹部11cから軸方向左側の凹部11dにかけて軸方向に延びる貫通孔11eが形成されており、この貫通孔11eにより第1弁室20と空間Sとが連通されている。これにより、吸入室3の吸入圧力PsをPsポート13、第1弁室20、第2バルブハウジング11の貫通孔11e、空間S、固定鉄心82の貫通孔82aおよび挿通孔82cを通してソレノイド80を構成する可動鉄心84の背面側である軸方向右側に導入し、ロッド51の軸方向両側における圧力をバランスさせている。
【0038】
図2に示されるように、感圧体61は、コイルスプリング63が内蔵されるベローズコア62と、ベローズコア62の軸方向右端に設けられるアダプタ70と、から主に構成され、ベローズコア62の軸方向左端は、仕切調整部材12に固定されている。
【0039】
また、感圧体61は、感圧室60内に配置されており、コイルスプリング63とベローズコア62によりアダプタ70を軸方向右方に移動させる付勢力によりアダプタ70のテーパ端部70aを第1バルブハウジング10のCS弁座10aに着座させるようになっている。
【0040】
図3図6に示されるように、ロッド51は、軸方向右端部に可動鉄心84(図2参照)が固着される大径部51cと、大径部51cの軸方向左側において大径部51cよりも小径に形成された第1小径部51dと、第1小径部51dの軸方向左側において第1小径部51dよりも小径に形成された第2小径部51eとから主に構成されている。第2小径部51eには、外径方向に延びる円環状の第1ランド部51aおよび第2ランド部51bが形成され、軸方向において第1ランド部51aおよび第2ランド部51bの間は内径方向に環状に凹む形状となっているとともに、第2ランド部51bよりも軸方向左側は小径の形状となっている。
【0041】
第1ランド部51aは、外周面部51hの軸方向左側から内径方向に延びる側面部がロッド51の軸方向に対して直交し、外周面部51hの軸方向右側のから内径方向に延びる側面部がロッド51の軸方向に対してテーパ状に形成され断面視台形状を成し、外周面部51hの軸方向の長さは、第2バルブハウジング11の内周面に形成されたDC弁座11aの軸方向の長さと略同一に設定されている。
【0042】
また、ロッド51の軸方向左端51f、すなわち第2小径部51eの軸方向左端51fは、アダプタ70の軸方向右端の内径側が軸方向左方に凹む凹部70bの底面に対して離間しており、第2小径部51eの軸方向左端部にバネとしてのコイルスプリング54が外嵌されることにより、容量制御弁Vの通電時には、ソレノイド80の軸方向左方への駆動力を感圧体61に作用させるとともに、感圧体61から軸方向右方への反力を受けられるようになっている。
【0043】
また、コイルスプリング54の軸方向左端は、アダプタ70の凹部70bの底面に当接し、コイルスプリング54の軸方向右端は、ロッド51の第2ランド部51bの軸方向左側の側面部51gに当接している。
【0044】
次いで、容量制御弁Vの動作、ロッド51の軸方向移動によるCS弁50およびDC弁53の開閉機構の動作について説明する。
【0045】
先ず、容量制御弁Vの非通電時について説明する。図2および図3に示されるように、容量制御弁Vは、非通電時において、ロッド51には、軸方向右方に向けてソレノイド80を構成するコイルスプリング85の付勢力(Fsp1)と、感圧体61(ベローズコア62およびコイルスプリング63)の付勢力(Fbel)と、感圧体61とロッド51との間に配置されるコイルスプリング54の付勢力(Fsp2)が作用している、すなわち、右向きを正として、ロッド51には、力Frod=Fsp1+Fbel+Fsp2が作用している。これにより、アダプタ70のテーパ端部70aが第1バルブハウジング10のCS弁座10aに着座し、CS弁50が閉塞(全閉)されており、ロッド51の第1ランド部51aが第2バルブハウジング11のDC弁座11aから軸方向右方に離間し、DC弁53が開放されている。また、このとき、コイルスプリング54の伸長度は最大となっている。
【0046】
このように、ソレノイド80への非通電時において、CS弁50は閉塞(全閉)され、DC弁53は開放されており、CS弁50が閉塞された状態では、DC弁53の開口面積、すなわち弁開度は最大となっている(図7および図8参照)。
【0047】
次に、容量制御弁Vの通電時について説明する。図4に示されるように、容量制御弁Vは、通電時(通常制御時、いわゆるデューティ制御時)において、ソレノイド80に電流(小電流の領域の電流値)が印加されることにより発生する電磁力(Fsol1)が力Frodを上回ると、ソレノイド80を構成するコイルスプリング85の付勢力に抗して可動鉄心84が固定鉄心82側、すなわち軸方向左側に引き寄せられ、可動鉄心84に固着されたロッド51が軸方向左方へ移動し、コイルスプリング54を介して感圧体61が軸方向左方に押圧されて収縮することにより、アダプタ70のテーパ端部70aが第1バルブハウジング10のCS弁座10aから離間し、CS弁50が閉塞(全閉)から開放状態に移行する。また、ロッド51の第1ランド部51aは、第2バルブハウジング11のDC弁座11aの軸方向右側から近づくことにより、DC弁53の弁開度が絞られる(図7および図8参照)。
【0048】
図5に示されるように、ソレノイド80への通電電流を中電流の領域の電流値に増加させ、CS弁50を所定の弁開度まで開放、すなわち弁開度を増加させると、ロッド51の第1ランド部51aと第2バルブハウジング11のDC弁座11aとが径方向視で重畳することにより、ロッド51の第1ランド部51aの外周面部51hが第2バルブハウジング11のDC弁座11aに着座し、DC弁53は開放状態、言い換えれば、弁開度が絞られた状態から閉塞(全閉)に移行する(図7および図8参照)。このとき、コイルスプリング54は軸方向に収縮している。
【0049】
さらに、ソレノイド80への通電電流を大電流の領域の電流値に増加させ、CS弁50を所定の弁開度以上に開放、すなわち弁開度を増加させると、ロッド51の第1ランド部51aが第2バルブハウジング11のDC弁座11aから軸方向左方に離間し、DC弁53は閉塞(全閉)から開放状態に移行する。(図7および図8参照)。
【0050】
これによれば、容量制御弁Vの通常制御時には、CS弁50とDC弁53との協働により冷媒の流量を制御するため、制御圧力Pcを効率よく制御することができる。さらに、ソレノイド80への通電電流(電流値)の増加、すなわちロッド51のストロークの増加に伴って、CS弁50は閉塞(全閉)から開放状態に移行し、かつDC弁53は開放から弁開度が絞られて閉塞(全閉)し、その後開放状態に移行する(図7参照)。すなわちソレノイド80への通電電流の増加に伴うCS弁50の弁開度とDC弁53の弁開度とが小電流の領域では逆方向、中電流の領域ではCS弁開度のみ増加、大電流の領域では同方向であり、CS弁50による制御圧力Pcの調整量とDC弁53による制御圧力Pcの調整量の差分によって制御圧力Pcが制御されるため、電流値に対して制御圧力Pcを細かく制御できる。特に通電電流が大きくなる程、電流値に対して制御圧力Pcを細かく制御できる。
【0051】
また、ソレノイド80への通電電流が中電流の領域の電流値では、DC弁53が閉塞(全閉)するように構成されるため、ソレノイド80への通電電流に応じたCS弁50による制御圧力Pcの制御域がDC弁53による制御圧力Pcの制御域よりも広く、すなわち冷媒の必要流量が少ないCS弁50による第1Pcポート14からPsポート13への冷媒の流量制御が主体的、かつ冷媒の必要流量が多いDC弁53によるPdポート16から第2Pcポート15への冷媒の流量制御が補助的となっているため、容量制御弁Vの通常制御時における内部循環冷媒流量を低減することができ、制御圧力Pcの制御効率が良い。これにより、容量可変型圧縮機Mの運転効率を高めることができる。
【0052】
また、DC弁53は、ロッド51の第1ランド部51aと第2バルブハウジング11の内周に設けられたDC弁座11aとによりスプール弁構造に構成されるため、ロッド51が軸方向に所定量以上ストロークすることによりDC弁53が閉塞状態となり、DC弁53を確実に閉塞できる。さらに、例えばソレノイド80への通電電流が中電流の領域の電流値では、振動等の外乱によってロッド51が僅かに軸方向移動してもDC弁53が閉塞された状態に維持されるため、容量制御弁Vは、外乱に強く、制御精度に優れる。
【0053】
第1バルブハウジング10と第2バルブハウジング11とが接続固定された状態で、Psポート13と連通する第1弁室20と第2Pcポート15と連通する第2弁室30とがロッド51の第2ランド部51bにより仕切られているため、容量制御弁Vを簡素に構成することができる。
【0054】
また、ロッド51は、コイルスプリング54により軸方向右方、すなわちソレノイド80側に向けて付勢されているため、容量制御弁Vの非通電時に確実にDC弁53の開放状態を保持することができる。さらに、ロッド51は、第2ランド部51bの外周面と第2バルブハウジング11のガイド面11bとが摺動するため、ロッド51の軸方向移動を安定させることができる。
【0055】
また、CS弁50は、第1Pcポート14が形成された感圧室60に配置され、コイルスプリング54を介してロッド51を軸方向右方に付勢する感圧体61と、第1バルブハウジング10に設けられたCS弁座10aとにより構成されているため、第1弁室20の吸入圧力Psに応じてコイルスプリング54を介してロッド51に与える反力が増減する構造となっており、制御圧力Pcの制御性が高くなっている。
【0056】
また、感圧体61とロッド51との間には、軸方向に付勢力を与えるコイルスプリング54が配置されることにより、ロッド51の軸方向移動に伴いコイルスプリング54が軸方向に変形移動可能となるため、感圧体61の軸方向変形可能量が小さくても、確実にDC弁53を動作させることができる。
【0057】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0058】
例えば、ロッド51のストロークによりDC弁53を開閉するタイミングは、ロッド51における第1ランド部51aの軸方向の配置や第2バルブハウジング11におけるDC弁座11aの軸方向の形成位置、または第1ランド部51aの外周面部51hやDC弁座11aの軸方向の長さを変更することにより適宜調整するようにしてもよい。例えば、図9に示すように、第1ランド部51aの外周面部51hとDC弁座11aとの軸方向距離を前記実施例よりも長くしてもよい。変形例の構成とすることにより、図10に示されるように、小電流の領域の電流値でDC弁53が開放から閉塞状態に移行するタイミング、すなわち弁開度が絞られるタイミングをCS弁50が閉塞から開放状態に移行するタイミングより遅らせることができる。
【0059】
また、ロッド51の第1ランド部51aおよび第2ランド部51bは、ロッド51に別体のリングを固定することにより構成されていてもよい。
【0060】
また、コイルスプリング54は、圧縮バネに限らず、引張バネでもよく、コイル形状以外であってもよい。
【0061】
また、コイルスプリング54は、ソレノイド80のコイルスプリング85および感圧体61のコイルスプリング63よりも縮み代を大きく設定することにより、DC弁53の最大化開度が規制されなくてもよい。また、ロッド51の軸方向左端51fは、例えばCS弁50が開放(全開)されるタイミングでアダプタ70の凹部70bの底面に当接するように軸方向の長さを設定することにより、DC弁53の最大化開度が規制されてもよい。
【0062】
また、コイルスプリング54を配置することなく、ロッド51の軸方向左端51fを感圧体61を構成するアダプタ70の凹部70bに直接当接させてCS弁50を開閉するようにしてもよい。
【0063】
また、第1バルブハウジング10と、第2バルブハウジング11は一体に形成されていてもよい。さらに、第2バルブハウジング11に形成される第2Pcポート15とPdポート16の配置を入れ替えてもよく、各ポートは、ソレノイド80側から、図9に示すように、第2Pcポート15、Pdポート16、Psポート13、第1Pcポート14の順に形成されていてもよい。
【0064】
また、感圧体61は、内部にコイルスプリングを使用しないものであってもよい。
【符号の説明】
【0065】
1 ケーシング
2 吐出室
3 吸入室
4 制御室
10 第1バルブハウジング(バルブハウジング)
10a CS弁座
11 第2バルブハウジング(バルブハウジング)
11a DC弁座
11b ガイド面
12 仕切調整部材
13 Psポート(吸入ポート)
14 第1Pcポート(第1制御ポート)
15 第2Pcポート(第2制御ポート)
16 Pdポート(吐出ポート)
20 第1弁室
30 第2弁室
40 第3弁室
50 CS弁
51 ロッド
51a 第1ランド部(ランド部)
51b 第2ランド部
51c 大径部
51d 第1小径部
51e 第2小径部
51f 軸方向左端
51h 外周面部
51g 側面部
53 DC弁
54 コイルスプリング(バネ)
60 感圧室
61 感圧体
62 ベローズコア
63 コイルスプリング
70 アダプタ
70a テーパ端部
70b 凹部
80 ソレノイド
82 固定鉄心
83 Oリング
84 可動鉄心
85 コイルスプリング
Pc 制御圧力
Pd 吐出圧力
Ps 吸入圧力
V 容量制御弁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10