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<図1A>
  • 特許-商品管理システム及び商品管理方法 図1A
  • 特許-商品管理システム及び商品管理方法 図1B
  • 特許-商品管理システム及び商品管理方法 図1C
  • 特許-商品管理システム及び商品管理方法 図1D
  • 特許-商品管理システム及び商品管理方法 図2
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  • 特許-商品管理システム及び商品管理方法 図4A
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  • 特許-商品管理システム及び商品管理方法 図6A
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  • 特許-商品管理システム及び商品管理方法 図7
  • 特許-商品管理システム及び商品管理方法 図8
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-02
(45)【発行日】2023-06-12
(54)【発明の名称】商品管理システム及び商品管理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/20 20120101AFI20230605BHJP
   G06Q 30/06 20230101ALI20230605BHJP
   G07G 1/00 20060101ALI20230605BHJP
   G07C 9/00 20200101ALI20230605BHJP
   A47F 5/00 20060101ALI20230605BHJP
【FI】
G06Q20/20 360
G06Q30/06
G07G1/00 301D
G07C9/00
A47F5/00 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018035719
(22)【出願日】2018-02-28
(65)【公開番号】P2019150123
(43)【公開日】2019-09-12
【審査請求日】2021-02-26
(73)【特許権者】
【識別番号】500087198
【氏名又は名称】株式会社ヴィンクス
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久保田 明
(72)【発明者】
【氏名】能登 一樹
【審査官】関 博文
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-521780(JP,A)
【文献】特開2014-170582(JP,A)
【文献】特開2017-169787(JP,A)
【文献】特開2001-325647(JP,A)
【文献】特開2009-009231(JP,A)
【文献】特開2019-079153(JP,A)
【文献】特表2020-506457(JP,A)
【文献】特表2009-535687(JP,A)
【文献】国際公開第2015/186317(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
A47F 5/00
G07G 1/00
G07C 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無人レジスタを採用する店舗の陳列エリアを1つまたは複数に区分した個別エリアそれぞれに陳列されている商品と前記店舗の利用者を管理するサーバと、
前記個別エリアに陳列されている前記商品の配置位置での重量の変化を検出して第1通知として前記サーバに通知する第1のセンサと、
前記個別エリアに陳列されている前記商品との間の距離の変化を検出して第2通知として前記サーバに通知する第2のセンサと、
前記個別エリアに存在する利用者の顔と足元を含む映像を撮影し、撮影した前記顔と足元を含む映像を第3通知として前記サーバに通知する第3のセンサと、
前記利用者が前記店舗の入退における操作について前記サーバに援助を要求する援助要求手段と
を備え、
前記サーバは、前記第1のセンサ及び前記第2のセンサからの第1通知及び第2通知によって前記重量の変化と前記距離の変化が共に検出されたとき、前記商品が前記個別エリアから取り出されたと判定し、前記第3通知として通知された前記顔と足元を含む映像と予め登録してある顔と足元の映像と比較することで、前記利用者を特定して、取り出されたと判定された商品と特定された利用者についての登録処理を行い、前記登録処理の結果に基づいて前記無人レジスタによる決済処理を行い、前記援助要求手段による要求があった場合には前記店舗の入退における操作の援助処理を行う
商品管理システム。
【請求項2】
さらに、前記店舗の利用者の入店を確認する入店確認手段を備え、
前記入店確認手段は、入店時に前記店舗の正当な利用者に発行される会員番号を読み取って前記サーバに通知するリーダと、前記店舗に入店する利用者の顔と足元とを撮影しその映像を前記サーバに通知するカメラとを備え、
前記サーバは、前記入店確認手段から通知される会員番号及び前記映像に基づいて前記店舗に入店する利用者が正当な利用者であることを確認する、
請求項1記載の商品管理システム。
【請求項3】
さらに、前記店舗の利用者の退店時に正当性を確認する退店確認手段を備え、
前記退店確認手段は、前記サーバから前記商品の決済完了通知を受けた場合、前記店舗の利用者の退店を許可する、
請求項2記載の商品管理システム。
【請求項4】
前記サーバは、前記商品を移動した前記利用者を特定した際に、前記商品を前記利用者が移動した旨を前記利用者に通知する、
請求項1に記載の商品管理システム。
【請求項5】
前記サーバは、前記利用者に前記店舗の今後の特売商品情報、あるいは前記利用者の購入履歴に基づくお勧め商品情報を提示する、
請求項1に記載の商品管理システム。
【請求項6】
サーバによって無人レジスタを採用する店舗の陳列エリアを1つまたは複数に区分した個別エリアそれぞれに陳列されている商品と前記店舗の利用者を管理し、
第1のセンサによって前記個別エリアに陳列されている前記商品の配置位置での重量の変化を検出して第1通知として前記サーバに通知し、
第2のセンサによって前記個別エリアに陳列されている前記商品との間の距離の変化を検出して第2通知として前記サーバに通知し、
第3のセンサによって前記個別エリアに存在する利用者の顔と足元を含む映像を撮影し、撮影した前記顔と足元を含む映像を第3通知として前記サーバに通知し、
前記利用者の前記店舗の入退における操作の援助要求を受け付けて前記サーバに通知し、
前記サーバが、前記第1のセンサ及び前記第2のセンサからの第1通知及び第2通知によって前記重量の変化と前記距離の変化が共に検出されたとき、前記商品が前記個別エリアから取り出されたと判定し、前記第3通知として通知された前記顔と足元を含む映像と予め登録してある顔と足元の映像と比較することで前記利用者を特定して、取り出されたと判定された商品と特定された利用者についての登録処理を行い、前記登録処理の結果に基づいて前記無人レジスタでの決済処理を行い、前記援助要求があった場合は前記店舗の入退における操作の援助処理を行う
商品管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
一実施形態は、商品管理システム及び商品管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
店舗にある商品を購入する購入者が、購入する商品を自らチェックして支払いを行う無人レジの導入が進んでいる。無人レジは、店舗運営の効率化や商品購入の際の決済にかかる時間の短縮化が見込まれるため、今後ますます導入が進む可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-532932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した無人レジは、購入する商品を決済する際に店舗利用者自身に購入商品をチェックさせる等、商品を購入するために必要となる作業を店舗利用者に負担させるものがある。
【0005】
また、店舗利用者が購入商品として選択した商品を画像認識により判別することで、決済する際の購入商品のチェックを省くシステムも存在している。しかしこのシステムは、商品を選択する際の商品と店舗利用者との位置関係によっては、店舗利用者が選択した商品を画像認識により正しく判別できない場合もある。
【0006】
そこで本実施形態では、商品購入の際に店舗利用者の作業負担を軽減し、かつ店舗利用者が選択した商品を正しく判別する無人レジにおける、商品管理システム及び商品管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態の商品管理システムは、サーバと第1、第2及び第3のセンサ、援助要求手段とを備える。前記サーバは、無人レジスタを採用する店舗の陳列エリアを1つまたは複数に区分した個別エリアそれぞれに陳列されている商品と前記店舗の利用者を管理する。前記第1のセンサは、前記個別エリアに陳列されている前記商品の配置位置での重量の変化を検出して第1通知として前記サーバに通知し、第2のセンサは、前記個別エリアに陳列されている前記商品との間の距離の変化を検出して第2通知として前記サーバに通知し、第3のセンサは、前記個別エリアに存在する利用者の顔と足元を含む映像を撮影し、撮影した前記顔と足元を含む映像を第3通知として前記サーバに通知し、前記利用者の前記店舗の入退における操作の援助要求を受け付けて前記サーバに通知する。前記サーバ、前記第1のセンサ及び前記第2のセンサからの第1通知及び第2通知によって前記重量の変化と前記距離の変化が共に検出されたとき、前記商品が前記個別エリアから取り出されたと判定し、前記第3通知として通知された前記顔と足元を含む映像と予め登録してある顔と足元の映像と比較することで前記利用者を特定して、取り出されたと判定された商品と特定された利用者についての登録処理を行い、前記登録処理の結果に基づいて前記無人レジスタでの決済処理を行い、前記援助要求があった場合は前記店舗の入退における操作の援助処理を行う
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A図1Aは、一実施形態に係る商品移動検出装置の全体図である。
図1B図1Bは、入店確認操作パネルの一例を示す図である。
図1C図1Cは、陳列エリアの上に配置されるレールの配置の一例を示す図である。
図1D図1Dは、退店確認操作パネルの一例を示す図である。
図2図2は、本実施形態の商品移動検出装置を備える店舗の利用者が、店舗を利用するための事前登録から実際に商品を購入して店舗から退店するまでの行動様式とその際に必要となるデバイスとの関係を示した図である。
図3図3は、図2のS1の事前登録の手順を示した図である。
図4A図4Aは、図2のS2の入店確認の様子を示した図である。
図4B図4Bは、入店確認の処理フローを示した図である。
図5A図5Aは、図2のS3の商品選択の様子を示した図である。
図5B図5Bは、利用者Aが、棚の陳列エリアに陳列されている商品を自由に見たり選択したりしている様子を、真上から見た図である。
図6A図6Aは、個別エリアに配置される距離センサと重量センサの配置の例を示した図である。
図6B図6Bは、取り出された商品とその商品を取り出した利用者Aとを特定する場合の、距離センサと重量センサの処理フローを示した図である。
図6C図6Cは、取り出された商品とその商品を取り出した利用者Aとを特定する場合の、サーバの処理フローを示した図である。
図6D図6Dは、足元認証を行う場合の、入店確認の処理フローを示した図である。
図6E図6Eは、図6DのS643の足元の部分を撮影する処理の詳細フローの一例を示した図である。
図6F図6Fは、足元認証を行う場合の、取り出された商品とその商品を取り出した利用者Aとを特定する場合の、サーバの処理フローを示した図である
図7図7は、図2のS5の退店確認の様子を示した図である。
図8図8は、商品を陳列する棚の他の形態の例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0010】
図1Aは、一実施形態にかかる商品移動検出装置の全体図である。
【0011】
1は、一実施形態にかかる商品移動検出装置を備える店舗1である。
【0012】
100は、店舗1の入店ゲートである。店舗1の来店者は、店舗1に入店する際に、店舗1の正当な利用者であることを確認する入店確認を行う。確認の結果正当な利用者であると判断されると、来店者は入店ゲート100を通過して店舗1に入店することができる。入店ゲート100は、来店者に入店を許可するあるいは入店を許可しないことを通知する手段として、例えば通知音を出すスピーカ(図示しない)や通知ランプを光らせるLED(Light Emitting Diode)を備えてもよい。
【0013】
110は、店舗1の正当な利用者であることを来店者が確認する入店確認を行うための入店確認操作パネルである。入店確認操作パネル110は、図1Bに示すように、店舗1の正当な利用者に発行される会員番号を読み取るリーダ110-1と来店者の顔の部分を撮影するカメラ110-2とを備える。リーダ110-1が読み取った会員番号とカメラ110-2が撮影した顔の部分の映像とは、ネットワーク201を介してサーバ200に通知され、店舗1の来店者が正当な利用者であることの確認が行われる。
【0014】
会員番号は、文字で表示されてもよいし、例えばQRコード(登録商標)で表示されていてもよい。また入店確認操作パネル110は、入店確認操作パネル110の操作方法が分からない場合や操作上トラブルが発生した場合に、店舗1の店員を呼ぶためのおたすけボタン110-3を備えていてもよい。
【0015】
会員番号および顔の部分の顔認証による入店確認の結果、店舗1の来店者が正当な利用者であると判断されると、来店者は入店ゲート100を通過して店舗1に入店することができる。店舗1の正当な利用者となるためには、事前の登録が必要となる。事前の登録の手順については、図3を用いて説明する。
【0016】
120は、横、奥行、高さ方向にある大きさを持つ持ち、店舗1の商品を陳列するための棚である。
【0017】
121は、棚120が持つ、商品1つ1つを陳列するための板状に広がる陳列エリアである。陳列エリア121は、1段あるいは積層された複数段であってもよい。図1の棚120の例は、陳列エリア121が1段目の陳列エリア121-1、2段目の陳列エリア121-2、3段目の陳列エリア121-3、4段目の陳列エリア121-4、5段目の陳列エリア121-5である5段に積層された陳列エリアから構成されている例である。
【0018】
122は、陳列エリア121を、適度な幅で棚120の高さ方向に仕切る仕切り板である。隣り合う仕切り板122の間隔は、利用者1人が陳列エリア121に陳列されている商品を見たり、手に取ったりするのに必要にして十分な間隔であることが望ましい。その間隔は、例えば1メートル程度である。
【0019】
123は、板状に広がる陳列エリア121の上に配置されているレールである。このレール123は、板状の広がる陳列エリア121に対して垂直方向にある高さをもち、棚120の前に立った利用者から見て、仕切り板122に沿って棚120の奥行き方向に延びるように陳列エリア121の上に配置される。このレール123により、陳列エリア121は複数の個別エリア124に分かれる。陳列エリア121の上に配置されるレール123の配置の例は、図1Cを用いて説明する。
【0020】
124は、レール123により陳列エリア121を分割することで構成される個別エリアである。個別エリア124は、商品を一列に並べるためのエリアである。1つの個別エリア124には、1種類の商品が同じ向きに陳列される。したがって、1つの個別エリア124を構成する隣り合うレール123の間隔は、陳列される商品の大きさ合うように変えることが可能である。このように陳列エリア121は、1つまたは複数の個別エリア124から構成される。個別エリア124には、ユニークに個別エリア識別番号が割り振られている。個別エリア識別番号を特定することで、その番号が割り振られた個別エリア124の場所を特定することができる。
【0021】
1つの個別エリア124には、1つの距離センサ131と重量センサ132とが配置されている。距離センサ131と重量センサ132は、ネットワーク201を介してサーバ200と通信可能である。
【0022】
111は、店舗1の利用者が図2で示すバスケットに登録した商品の決済を完了していること確認する退店確認を行う退店確認操作パネルである。退店確認操作パネル111は、決済完了通知を読み取るリーダ111-1を備える。退店確認操作パネル111の構成は、図1Dを用いて説明する。
【0023】
決済完了通知とは、図2を用いて説明するバスケットに登録されている商品を購入するために決済を行うと、店舗1のサーバ200から利用者の携帯端末に送られる通知のことである。決済の処理については、図2および図7を用いて説明する。
【0024】
101は、店舗1の退店ゲートである。利用者は、退店確認操作パネル111のリーダ111-1に決済完了の通知を読み取らせ、購入した商品の決済が完了していることの確認が完了すると、退店ゲート101を通過して店舗1から退店することができる。退店ゲート101は、利用者に退店を許可するあるいは入店を許可しないことを通知する手段として、例えば通知音を出すスピーカ(図示しない)や通知ランプを光らせるLED(図示しない)を備えてもよい。
【0025】
130は、棚120に設置されている、利用者を特定するためのカメラである。隣り合う仕切り板122の間には、少なくとも1台のカメラ130が任意の位置に設置されており、この設置されているカメラ130は、棚120に向かって立つ利用者の顔の部分を撮影するのに十分な画角を持つ。またカメラ130は、ネットワーク201を介してサーバ200と接続されており、撮影した映像を逐次サーバ200に送る。
【0026】
200は、店舗1のサーバである。サーバ200は、入店確認操作パネル110、退店確認操作パネル111、距離センサ131、重量センサ132およびカメラ130とネットワーク201を介して通信可能である。
【0027】
サーバ200は、距離センサ131および重量センサ132から送られてくる検出結果をもとに、商品が陳列エリア121から除去されたことを判定する。またサーバ200は、カメラ130から送られてくる映像を、事前登録で登録された顔イメージと比較することで、棚120の前に立つ利用者を特定する。
【0028】
また入店確認操作パネル110による入店確認時、退店確認操作パネル111による退店確認時にも、送られてきたデータをもとに入店確認や退店確認の処理を行う。
【0029】
さらにまたサーバ200は、図2で説明する事前登録を行った店舗1の利用者が自身の携帯端末にインストールした特定アプリケーションとも通信を行う。またサーバ200は、特定アプリケーションを用いて行った事前登録の内容も保存する。
【0030】
サーバ200は、制御部と称してもよい。またサーバ200が置かれる場所は、限定しない。サーバ200は例えば、棚120ごとに設置されてもよいし、陳列エリア121ごとに設置されてもよい。あるいはサーバ200は、ネットワーク201で接続された店舗1とは別の場所にあってもよい。
【0031】
図1Bは、入店確認操作パネル110の一例を示す図である。入店確認操作パネル110は、店舗1の正当な利用者に発行される会員番号を読み取るリーダ110-1と、来店者の顔部分を撮影して、リーダ110-1で読み取った会員番号を持つ利用者本人であることを顔認証により判定するためのカメラ110-2を備える。また入店確認操作パネル110は、操作方法が分からない場合や操作上トラブルが発生した場合に店舗1の店員を呼ぶためのおたすけボタン110-3を備えていてもよい。
【0032】
図1Cは、陳列エリア121の上に配置されるレール123の配置の一例を示す図である。レール123は、板状の広がる陳列エリア121に対して垂直方向にある高さをもち、棚120の前に立った利用者から見て、仕切り板122に沿って棚120の奥行き方向に延びるように陳列エリア121の上に配置される。図1Cの例は、レール123-1からレール123-2までの幅と、レール123-2からレール123-3までの幅とが異なった例である。商品は、同じ向きに一列に陳列されているのが望ましい。またレール123は、直線状でも任意の形状でも構わないが、直線状であることが望ましい。
【0033】
図1Dは、退店確認操作パネル111の一例を示す図である。退店確認操作パネル111は、決済完了通知を読み取るリーダ111-1を備える。また退店確認操作パネル111は、完了した決済の内容を再度確認できるように、表示画面111-2を備えてもよい。また退店確認操作パネル111は、操作方法が分からない場合や操作上トラブルが発生した場合に店舗1の店員を呼ぶためのおたすけボタン111-3を備えていてもよい。表示画面111-2は、完了した決済の内容を表示するだけなく、店舗1の今後の特売情報等を表示してもよい。あるいは利用者のこれまでの購入履歴から、次回来店時に購入を勧める商品の一覧を出してもよい。
【0034】
図2は、本実施形態の商品移動検出装置を備える店舗1の利用者が、店舗1を利用するための事前登録から実際に商品を購入して店舗から退店するまでの行動様式とその際に必要となるデバイスとの関係を示した図である。
【0035】
本実施形態の商品移動検出装置を備える店舗1の利用希望者は、店舗1を利用するために事前登録を行う(S1)必要がある。
【0036】
事前登録とは、店舗1の利用希望者が、店舗1の利用資格を得るための登録作業である。事前登録は、店舗1の利用希望者が、店舗1が提供する特定アプリケーションを携帯端末にインストールし、そのインストールした特定アプリケーションを用いて行う。事前登録により店舗1の利用希望者には、会員番号が発行される。また店舗1のサーバ200には、利用希望者に発行される会員番号と顔の部分の映像のセットが会員個別情報として登録される。事前登録の手順については、図3を用いて説明する。
【0037】
店舗1の来店者は、店舗1を訪れた際に入店確認を行う(S2)。入店確認とは、店舗1の来店者が行う、店舗1の正当な利用者であることの確認作業である。
【0038】
来店者は、入店確認操作パネル110のリーダ110-1に会員番号を読み取らせるとともに、カメラ110-2で自身の顔の部分を撮影される。リーダ110-1に読み取られた会員番号およびカメラ110-2で撮影された顔の部分の映像は、店舗1のサーバ200に送られる。サーバ200は、入店確認操作パネル110から送られてきた会員番号と顔の部分の映像を受信すると、事前登録(S1)で登録した会員個別情報と比較を行い、来店者が正当な利用者であるかの判断を行う。
【0039】
なお会員個別情報に登録されている顔の部分の映像は、入店確認の際にカメラ110-2で撮影された顔の部分の映像により逐次更新されてもよい。
【0040】
入店確認の流れについては、図4を用いて説明する。
【0041】
店舗1の来店者は、入店確認(S2)の結果、店舗1の正当な利用者Aであることが確認されると、入店ゲート100を通過して店舗1に入店することが出来る。
【0042】
店舗1に入店した利用者Aは、棚120の陳列エリア121に陳列されている商品を自由に見たり選択したりする(S3)ことができる。利用者Aが、棚120に陳列されている商品を購入するために、陳列エリア121から商品Aを取り出すと、商品Aを取り出した個別エリア124に配置されている距離センサ131および重量センサ132により、商品Aが取り出されたことが特定される。また商品Aを選択した利用者A自身は、棚120に設置されているカメラ130により顔の部分が撮影される。撮影された利用者Aの顔の部分の映像は、ネットワーク201を介してサーバ200に送られ、事前登録(S1)で登録された会員個別情報として登録されている顔の部分の映像と比較して認証を行うことで、商品Aを選択した人物が利用者Aであると特定される。
【0043】
このように棚120に配置されている距離センサ131および重量センサ132により、どの商品が選択されたかが特定され、棚120に配置されているカメラ130が撮影した映像により、誰が選択したかが特定される。この特定された利用者Aと利用者Aが個別エリア124から取り出した商品Aとの情報は、サーバ200に蓄えられる。サーバ200は、利用者Aと利用者Aが個別エリア124から取り出した商品Aの情報を、利用者AのバスケットAに登録する。
【0044】
なお利用者を映像により特定する方法は、顔の部分の映像を用いるだけでなく、店舗1に入店して退店するまでの間において、利用者の外観のうち変化が少ないと思われる部分の映像を加えてもよい。
【0045】
入店して退店するまでの間において、利用者の外観のうち変化が少ないと思われる部分の映像は、例えば履いている靴やサンダル等を含む足元の部分の映像である。
【0046】
バスケットとは、S3で利用者Aが個別エリア124から取り出した商品Aの情報をサーバ200に登録するための、利用者ごとの保存エリアである。バスケットは、事前登録時に作成された会員個別情報の1つとして管理される。利用者AがS3で商品を個別エリア124から取り出すごとに、利用者AのバスケットAには取り出した商品の情報が追加登録される。
【0047】
利用者は、自身の携帯端末にインストールした特定アプリケーションを用いて、バスケットに登録された商品の情報をいつでも参照することが可能である。
【0048】
また利用者は、バスケットに登録された商品を購入する場合は、特定アプリケーションを用いて決済を行うことが出来る。利用者Aが特定アプリケーションを用いてバスケットAに登録されている商品の決済を行う(S4)と、店舗1のサーバ200は、利用者Aの携帯端末に決済完了通知を通知する。
【0049】
決済完了通知には、購入日時、購入した商品の一覧、支払金額、御釣り等の情報が含まれる。
【0050】
利用者Aは、バスケットAに登録されている商品の決済(S4)を完了すると、退店確認操作パネル111を操作して退店確認を行う(S5)ことが出来る。
【0051】
退店確認の確認作業は、自身の携帯端末に送られてき決済完了通知を、退店確認操作パネル111のリーダ111-1に読み取らせることで行われる。リーダ111-1が決済完了通知を読み取ると、リーダ111-1が読み取った決済完了通知は、ネットワーク201を介してサーバ200に通知される。通知を受け取ったサーバ200は、利用者Aの決済が完了しているかの確認を行う。決済が完了している場合、サーバ200はその旨を退店確認操作パネル111に通知し、通知を受けた確認操作パネル111が、利用者Aが店舗1から退店できるように退店ゲート101を開放する。
【0052】
図3は、図2のS1の事前登録の手順を示した図である。店舗1の利用希望者は、店舗1を利用するための事前登録に必要な特定アプリケーションを自身の携帯端末301にインストールする必要がある。携帯端末301は、スマートフォン、タブレット、モバイルPC等、ユーザが携帯できる通信可能な端末ならいずれであってもよい。
【0053】
図3(A)は、店舗1の利用希望者が、携帯端末301の表示画面310に表示されている特定アプリケーションの指示に従って事前登録するために必要な、入力情報の一例である。
【0054】
店舗1の利用希望者は、特定アプリケーションの指示に従って、利用希望者自身の顔を含む写真310-1、名前310-2、性別310-3、店舗1からの通知の送信先アドレス310-4を入力する。
【0055】
利用希望者自身の顔を含む写真310-1は、複数枚登録することが望ましい。また複数枚のそれぞれの顔を含む写真310-1は、撮影のアングルや顔の表情、ポーズ等が異なるものであることが望ましい。図3の例は、5種類の顔を含む写真310-1を登録した例である。
【0056】
送信先アドレスは、例えばメールのアドレスであったり、SNS(Social NetworkingService)のアドレスであったりと、店舗1が使用する通信手段のいずれのアドレスであってもよい。また送信先アドレスは、複数入力可能であってもよい。
【0057】
店舗1の利用希望者は、事前登録に必要な情報の入力を完了すると、特定アプリケーションが管理するボタン310-5を押下する。特定アプリケーションは、登録ボタン310-5が押下されたのを認識すると、入力済みの事前登録に必要な情報を、サーバ200に送信する。
【0058】
サーバ200は、携帯端末301から送られてきた事前登録に必要な情報を受信すると、会員個別情報としてサーバ200の保存エリアに保存するとともに、会員番号を発行して携帯端末301に対して送信する。発行した会員番号も、会員個別情報の1つとしてサーバ200に保存される。
【0059】
図3(B)は、サーバ200から送られてきた会員番号を、携帯端末301の表示画面310に表示した場合の表示の一例である。
【0060】
サーバ200からの会員番号の通知を受けた携帯端末301の特定アプリケーションは、その通知された会員番号を表示画面310に表示する。会員番号の表示の方法は、例えば数値で表示したものであってもよいし、例えば数値で表現された会員番号をQRコードに変化して表示したものであってもよい。図3(B)の例は、会員番号の数値をQRコード311に変換して表示画面310に表示した例である。このようにして店舗1の利用希望者は、店舗1を利用する際に必要となる会員番号を取得することができる。
【0061】
図4Aは、図2のS2の入店確認の様子を示した図である。店舗1の来店者10は、入店確認操作パネル110の前に立ち、店舗1に入るための入店確認を行う。
【0062】
図4Bは、入店確認の処理フローを示した図である。
【0063】
来店者10が入店確認操作パネル110のリーダ110-1に、会員番号が表示された例えば会員カードや携帯端末の表示画面をかざすと、入店確認操作パネル110は、入店確認の処理を開始する(S400)。入店確認操作パネル110のリーダ110-1は、かざされた会員カードや携帯端末の表示画面の中から会員番号を読み取る(S401)。
【0064】
会員番号の読み取りが完了すると、入店確認操作パネル110は、カメラ110-2を用いて来店者10の顔の部分の撮影を行う(S402)。入店確認操作パネル110は、リーダ110-1が読み取った会員番号とカメラ110-2が撮影した顔の部分の映像とを、サーバ200に送る(S403)。
【0065】
サーバ200は、事前登録時に登録済みの会員個別情報と入店確認操作パネル110から送られてきた会員番号と顔の部分の映像の情報との比較を行う(S404)。
【0066】
比較を行った(S405)結果、入店確認操作パネル110から送られてきた会員番号と顔の部分の映像の情報にマッチする会員個別情報が存在する場合(S405のYes)、サーバ200は、来店者10を店舗1の正当な利用者であると判断する(S406)。
【0067】
サーバ200は、来店者10の入店を許可する旨を入店確認操作パネル110に通知する(S407)。来店者10の入店を許可する旨を受信した入店確認操作パネル110は、来店者10の店舗1への入店を許可する処理を行い(S408)、入店確認処理を終了する(S409)。
【0068】
入店を許可する処理は、例えば入店ゲート100の扉を開いたり、音声により「ご入店ください」とアナウンスしたり、入店ゲート100の通知ランプを青色に光らせたりする処理である。
【0069】
比較を行った(S405)結果、入店確認操作パネル110から送られてきた会員番号と顔の部分の映像の情報にマッチする会員個別情報が存在しない場合(S405のNo)、サーバ200は、来店者10を店舗1の正当でない利用者であると判断する(S410)。
【0070】
サーバ200は、来店者10の入店を許可しない旨を入店確認操作パネル110に通知する(S411)。
【0071】
来店者10の入店を許可しない旨を受信した入店確認操作パネル110は、来店者10の店舗1への入店を許可しない処理を行い(S412)、入店確認処理を終了する(S409)。
【0072】
入店を許可しない処理は、例えば入店ゲート100の扉を閉じたままにして音声により「入店できません」とアナウンスしたり、入店ゲート100の通知ランプを赤色に光らせたりする処理である。入店を許可しない処理は、入店が許可されない利用者を導くために、例えば「おたすけボタンを押して係員とお話しください」とアナウンスする処理を加えてもよい。
【0073】
図5Aは、図2のS3の商品選択の様子を示した図である。
【0074】
来店者10は、店舗1の正当な利用者Aと判定されると入店ゲート100を通過して店舗1に入店することができる。
【0075】
利用者Aは、棚120の陳列エリア121に陳列されている商品を自由に見たり選択したりすることができる。
【0076】
図5Bは、利用者Aが、棚120の陳列エリア121に陳列されている商品を自由に見たり選択したりしている様子を、真上から見た図である。図5B(A)に示すように、棚120を構成する仕切り板122は、陳列エリア121より利用者が立つ位置の方向に出ているのが望ましい。図5B(B)に示すように、仕切り板122とは別体のパーティション122-Pを配置してもよい。
【0077】
以上のように棚120の仕切り板122を、陳列エリア121より利用者が立つ位置の方向に出すことで、陳列エリア121の前に立つ利用者を少数にすることが可能となり、カメラ130の撮影による個別エリア124に陳列してある商品を取り出す利用者の特定を、より容易にしている。
【0078】
図6Aは、個別エリア124に配置される距離センサ131と重量センサ132の配置の例を示した図である。図6Aに示すように、1つの個別エリア124には1つの距離センサ131と重量センサ132が配置されている。
【0079】
距離センサ131は、個別エリア124に陳列されている商品と対向する、個別エリア124の縁のうち、利用者が立つ位置に近い側の縁に配置することが望ましい。
【0080】
重量センサ132は、個別エリア124に陳列されている商品の下に配置されることが望ましい。
【0081】
図6Aの例は、外装が変形しにくい厚紙で出来た箱状の商品と外装が変形しやすい袋状の商品とが、個別エリア124に陳列されている例である。外装が変形しやすい商品は、例えば、カメラ130で撮影した映像だけを用いて商品を特定する場合、外装の変形により特定が困難な場合がある。これに対して本実施形態の商品移動検出装置は、外装が変形しやすい物に対しても距離センサ131と重量センサ132を組み合わせることで、確実に商品を特定することができる。
【0082】
図6Bおよび図6Cは、図2のS3で利用者Aが個別エリア124に陳列されている商品を個別エリア124から取り出した場合の、距離センサ131の検出結果、重量センサ132の検出結果およびカメラ130が撮影した映像を用いて、取り出された商品とその商品を取り出した利用者Aとを特定する処理フローを示した図である。
【0083】
図6Bは、取り出された商品とその商品を取り出した利用者とを特定する場合の、距離センサ131と重量センサ132の処理フローを示した図である。個別エリア124ごとに配置されている距離センサ131と重量センサ132は、特定処理(S600)を開始すると、逐次にセンシング処理を行う(S602)。
【0084】
センシング処理(S602)の結果、距離センサ131が距離の変化を検出した場合(S603のYes)、距離センサ131は、距離に変化があった旨を距離の変化量とともにサーバ200に通知する(S604)。
【0085】
同様にセンシング処理(S602)の結果、重量センサ132が重量の変化を検出した場合(S605のYes)、重量センサ132は、重量に変化があった旨を重量の変化量とともにサーバ200に通知する(S606)。なお、それぞれの通知は、距離センサ131および重量センサ132が配置されている個別エリア124の個別エリア識別番号を含む。
【0086】
なおS602のセンシング処理のタイミングは、任意に調整することができる。センシングのタイミングは、例えばカメラ130による映像の撮影結果と連携することも可能である。つまり、利用者が近くに存在する場合だけ、その近傍の個別エリア124に配置されている距離センサ131と重量センサ132だけがセンシング処理(S602)を行ってもよい。このように、店舗1にいる利用者の位置あるいは店舗の大きさ等、いろいろな条件に合わせてよりセンシング処理(S602)を行うタイミングを制御することが可能であり、店舗1を効率的に運営することができる。S602のセンシング処理のタイミングは、例えばサーバ200により管理制御してもよい。
【0087】
またS603の処理における距離の変化の検出、およびS605の処理における重量の変化の検出は、予め設定した閾値を超えたかどうかで判定する。この閾値は、個別エリア124ごとに自由に変えることができる。具体的には例えば、個別エリアAに配置された距離センサ131が距離の変化を検出する閾値を1cm、他の個別エリア124に配置された距離センサ131が距離の変化を検出する閾値を2cm、というように距離センサ131に設定する閾値は、個別エリア124ごとに変えてもよい。
【0088】
同様に、例えば、個別エリアBに配置された重量センサ132が重量の変化を検出する閾値を2g、他の個別エリア124に配置された重量センサ132が重量の変化を検出する閾値を10g、というように重量センサ132に設定する閾値は、個別エリア124ごとに変えてもよい。
【0089】
あるいはまたS603の処理における距離の変化の検出の精度、およびS605の処理における重量の変化の検出は、各々の検出精度を個別エリア124ごとに自由に変えることができる。また検出精度は、上述した閾値の大きさに合わせて自由に変えることができる。例えば個別エリアAに比較的小さい商品が陳列されている場合、個別エリアAに配置する距離センサ131の距離の検出精度を、他の個別エリア124に配置する距離センサ131の検出精度に比べて高くなるように設定してもよい。具体的には例えば、個別エリアAに配置された距離センサ131が距離を検出する検出精度を0.5cm単位、他の個別エリア124に配置された距離センサ132が距離を検出する検出精度を1cm単位、というように距離センサ131に設定する検出精度は、個別エリア124ごとに変えてもよい、あるいは検出精度が異なる距離センサ131を個別エリア124ごとに配置してもよい。
【0090】
同様に、例えば個別エリアBには軽い商品が陳列されている場合、個別エリアBに配置された重量センサ132の重量の検出精度を、他の個別エリア124に配置された重量センサ132の検出精度に比べて高くなるように設定してもよい。具体的には、個別エリアBに配置された重量センサ132が重量を検出する検出精度を1g単位、他の個別エリア124に配置された重量センサ132が重量を検出する検出精度を5g単位、というように重量センサ132に設定する検出精度は、個別エリア124ごとに変えてもよい、あるいは検出精度が異なる重量センサ132を個別エリア124ごとに配置してもよい。
【0091】
閾値や検出精度が設定可能な場合、例えばサーバ200により閾値や検出精度を管理制御してもよい。
【0092】
例えば個別エリア124に大きさの小さい商品が陳列されている場合、カメラ130で撮影した映像だけを用いて商品を特定する方法があるが、大きさ、形状、重さ等商品の特徴に応じてカメラの性能を変えることは難しいため、撮影した映像だけを用いて1つ1つの商品を特定することが困難な場合がある。これに対して本実施形態の商品移動検出装置は、距離センサ131と重量センサ132とを用いて商品の移動の検出を行うが、距離センサ131と重量センサ132の検出精度を商品ごとの特徴に応じて変えることで、確実に商品を特定することができる。
【0093】
このように本実施形態の商品移動検出装置は、個別エリア124に陳列される商品の大きさや重さや形状等商品個々の特徴に応じて、商品が取り出されたことを検出するための閾値や精度を自由に変えることが可能であるため、商品の取り出しの検出を確実に実行することが可能である。
【0094】
図6Cは、取り出された商品とその商品を取り出した利用者Aとを特定する場合の、サーバ200の処理フローを示した図である。
【0095】
サーバ200は、特定処理(S620)を開始すると、距離センサ131あるいは重量センサ132から通知があるごとに受信処理を行う(S622)。サーバ200は、距離センサ131あるいは重量センサ132から通知された内容を解析し、同じ個別エリア識別番号を持つ距離センサ131からの通知と重量センサ132から通知との両方の通知を受信したかの確認を行う(S623)。確認結果、同じ個別エリア識別番号を持つ距離センサ131からの通知と重量センサ132からの通知の両方を受信した場合(S623のYes)、サーバ200は、両方の通知に含まれている距離の変化量と重量の変化量から、個別エリア124から商品が除去されたかを判定する(S624)。
【0096】
判定(S624)の結果、除去されている場合(S625のYes)、カメラ130から逐次送られてくる顔の部分の映像データのうち、S622で距離センサ131からの通知あるいは重量センサ132からの通知を受信したタイミングの近傍の映像データと会員個別情報として登録されている顔の部分の映像とを比較して認証することで、商品を除去した利用者を利用者Aとして特定する(S626)。
【0097】
サーバ200は次に、特定した利用者AのバスケットAに、S624で除去されたと判定した商品の情報を登録する(S627)。
【0098】
判定(S625)の結果、除去されていない場合(S625のNo)、サーバ200は、何も処理を行わずに、次の通知を待つ。
【0099】
利用者Aが個別エリア124に陳列されている商品を取り出すたびに、距離センサ131、重量センサ132およびサーバ200は、以上の取り出された商品の特定、商品を取り出し利用者の特定、特定した利用者のバスケットに取り出されたと特定した商品の情報の登録、の処理を繰り返し行う。これにより、個別エリア124から利用者Aによって取り出された商品は、すべて利用者AのバスケットAに登録される。
【0100】
なおS626の処理で、カメラ130から逐次送られてくる映像データを用いて商品を除去した利用者を特定する際に、顔以外の部分の映像を加えてもよい。顔以外の部分の映像を用いる場合その映像は、利用者の外観のうち、入店して退店するまでの間において、変化が少ないと思われる部分の映像であることが望ましい。
【0101】
先に説明したように、入店して退店するまでの間において、利用者の外観のうち変化が少ないと思われる部分の映像は、例えば履いている靴やサンダル等を含む足元の部分の映像である。足元の部分は、来店者が履いている靴やサンダル等を含み、さらに足首や脛の部分に相当する高さまでを含んでいることが望ましい。足元の部分の映像を用いて、個別エリア124に陳列されている商品を除去した利用者を特定する方法は、足元認証と称してもよい。
【0102】
足元認証を行う場合、図2のS2における入店確認において、利用者の足元の部分をカメラにより撮影する必要がある、また図2のS3における商品の選択において、商品を選択した利用者を特定する際に、顔の部分をカメラにより撮影するのに加え足元の部分もカメラにより撮影する必要がある。またサーバ200は、サンダルやスニーカー、ブーツ等の靴の種類ごとの特徴点、また人間の足の指やかかと等の人物の足の特徴点、等足元認証に必要な特徴的な画像パターンのデータを蓄積している。
【0103】
S2における入店確認において利用者の足元の部分を撮影するカメラ110-4(図示せず)は、入店確認操作パネル110の下部に設置してもよい。またS3における商品の選択において利用者の足元の部分を撮影するカメラ130は、棚120の下部に設置してもよい。
【0104】
図6Dは、足元認証を行う場合の、入店確認の処理フローを示した図である。図4Bの処理フローと比べて、カメラ110-4により足元の部分を撮影する処理(S643)が追加されている点が相違点である。それ以外のS630からS642の処理は、図4のS400からS412の処理と同一である。
【0105】
図6Eは、図6DのS643の足元の部分を撮影する処理の詳細フローの一例を示した図である。
【0106】
入店確認操作パネル110は、カメラ110-4から入力される映像とサーバ200から取得して内部に保存する足元認証に必要な特徴的な画像パターンとを照合して、カメラ110-4のアングルを調整することで利用者の足元の部分を特定する(S651)。これにより入店確認操作パネル110は、足元認証に必要な利用者が履いている靴や足の形状等を認識する。
【0107】
入店確認操作パネル110は、アングルの調整が完了すると、この状態で写真を撮影する。これにより入店確認操作パネル110は、利用者が履いている靴や足の形状等の画像情報を取得する(S652)。
【0108】
さらに入店確認操作パネル110は、さらに利用者が履いている靴下、またズボンやスカートの裾の部分等、利用者の脛のあたりの高さまでの映像も取得するためにカメラ110-4のアングルをさらに調整する(S653)。
【0109】
入店確認操作パネル110は、アングルの調整が完了すると、この状態で写真を撮影する。これにより入店確認操作パネル110は、利用者が履いている靴や足の形状だけでなく脛のあたりの高さまでの外観の画像情報を取得する(S654)。
【0110】
入店確認操作パネル110がカメラ110-4により取得した映像は、逐次サーバ200に送られ(S655)、顔の部分の映像とともに会員個別情報に登録される。
【0111】
図6Fは、足元認証を行う場合の、取り出された商品とその商品を取り出した利用者Aとを特定する場合の、サーバ200の処理フローを示した図である。図6Cの処理フローと比べて、カメラから送られてくる顔の部分の映像および足元の部分の映像を用いて、商品を除去した利用者を特定(S666)に変更されている点が相違点である。それ以外のS660からS665とS667以降の処理は、図6CのS620からS625とS627以降の処理と同一である。サーバ200は、カメラから送られてくる顔の部分の映像データに加え足元の部分の映像データも、会員個別情報として登録されている足元の部分の映像と比較して認証することで商品を除去した利用者を利用者Aとして特定する(S666)
映像により利用者を特定する場合、このように顔の部分の映像に加え、顔以外の部分の映像を用いることで、特定の精度を上げることができる。
【0112】
また顔の部分の撮影に対しては、利用者によっては抵抗感を示す場合もある。このような利用者の感情に配慮する意味から、顔の部分の映像を用いた利用者の特定と顔以外の部分の映像を用いた利用者の特定を、カメラを設置する場所等に応じて使い分けてもよい。このように、顔の部分の映像を用いた利用者の特定に加えて、顔以外の部分の映像を用いた利用者の特定は、店舗1の利用者の満足度向上の観点から非常に効果的である。
【0113】
サーバ200は、S624の処理で除去された判定した商品の情報を、利用者AのバスケットAに登録する際に、除去された商品が陳列されていた個別エリア124がもつ個別エリア識別番号から具体的な商品名に置き換えて登録する。
【0114】
例えばある商品Aが、個別エリア識別番号Aをもつ個別エリアAに陳列されていたとする。利用者Aが、この商品Aを個別エリアAから取り出した場合、S624の処理においては、個別エリア識別番号Aをもつ個別エリアAに陳列された商品Aを利用者が取り出し、という情報だけが存在している。この個別エリア識別番号Aをもつ個別エリアAに陳列された商品が、例えばスナックAである場合、個別エリア識別番号Aをもつ個別エリアAに陳列された商品という情報を、利用者がわかるスナックAという具体的な商品名の情報に変換する必要がある。
【0115】
サーバ200は、このようにある個別エリア識別番号をもつある個別エリア124に陳列された商品の情報を、利用者がわかる具体的な商品名に変換する変換テーブルおよび変換機能を有している。サーバ200は、S627の処理において、この変換テーブルおよび変換機能により、利用者Aが個別エリア124から取り出した商品の情報を、バスケットAに登録する際に、利用者がわかる具体的な商品名に変換して登録する。
【0116】
なお距離センサ131および重量センサ132から送られてくる通知に、時刻情報が含まれていてもよい。また、カメラ130から逐次送られてくる撮影した映像にも時刻情報が付随していてもよい。この場合サーバ200は、例えばS623の処理やS627の処理において、それぞれ距離センサ131、重量センサ132、カメラ130から送られ情報に含まれる時刻情報も含めて処理することで、より効率的に特定処理を行うことが可能である。
【0117】
さらにサーバ200は、S627において、S624で除去されたと判定した商品Aの情報を利用者AのバスケットAに登録するだけでなく、バスケットAに商品Aが登録されたことを利用者Aに通知するようにしてもよい。
【0118】
バスケットAに商品Aが登録されたことを利用者Aに通知するとは、例えば個別エリア124ごとに通知音を出すスピーカ(図示せず)や通知ランプを光らせるLED(図示せず)を設置して、商品Aが陳列されていた個別エリアAに設置されたスピーカから通知音を出したり通知ランプを光らせたりすることである。またバスケットAに商品Aが登録されたことを利用者に通知するとは、図2に示す事前登録(S1)で登録された利用者Aの送信先アドレス宛に、商品Aがバスケットに登録された旨の通知であってもよい。
【0119】
利用者Aは、これらの通知音や通知ランプやメール等による通知により、個別エリア124から商品Aを取り出したこと、またその取り出し商品AがバスケットAに登録されたことを認識することが出来る。これにより利用者Aは、個別エリア124から他人が取り出した商品が間違って自らのバスケットAに登録されたことをすぐに気づくことが可能となり、商品の選択における問題をいち早く解決することが可能となる。
【0120】
図7は、図2のS5の退店確認の処理フローを示した図である。
【0121】
利用者Aが店舗1から退店するために退店確認操作パネル111のリーダ111-1に決済完了通知が表示された携帯端末の表示画面をかざすと、退店確認操作パネル111は、退店確認の処理を開始する(S700)。退店確認操作パネル111のリーダ111-1は、かざされた携帯端末の表示画面の中から決済完了通知を読み取る(S701)。退店確認操作パネル111は、リーダ110-1が読み取った決済完了通知を、サーバ200に送る(S702)。
【0122】
サーバ200は、退店確認操作パネル111から送られてきた決済完了通知を受信すると、会員個別情報に保存されているバスケットに登録されていた商品の決済状況と比較を行う(S703)。
【0123】
比較を行った結果、正しく決済が完了している場合(S704のYes)、サーバ200は、利用者Aの退店を許可する旨を退店確認操作パネル111に通知する(S705)。利用者Aの退店を許可する旨を受信した退店確認操作パネル111は、利用者Aの店舗1からの退店を許可する処理を行い(S706)、退店確認処理を終了する(S707)。
【0124】
退店を許可する処理は、例えば退店ゲート101の扉を開いたり、音声により「ご利用ありがとうございました」とアナウンスしたり、退店ゲート101の通知ランプを青色に光らせたりする処理である。
【0125】
比較を行った結果、正しく決済が完了していない場合(S704のNo)、サーバ200は、利用者Aの退店を許可しない旨を退店確認操作パネル111に通知する(S708)。利用者Aの退店を許可しない旨を受信した退店確認操作パネル111は、利用者Aの店舗1からの退店を許可しない処理を行い(S709)、退店確認処理を終了する(S707)。
【0126】
退店を許可しない処理は、例えば退店ゲート100の扉を閉じたままにして音声により「退店できません」とアナウンスしたり、退店ゲート101の通知ランプを赤色に光らせたりする処理である。退店を許可しない処理は、退店が許可されない利用者を導くために、例えば「おたすけボタンを押して係員とお話しください」とアナウンスする処理を加えてもよい。
【0127】
さらに退店確認操作パネル111は、バスケットに登録されている商品の決済を完了した利用者に対して、決済済み商品に貼るシールを発行する機能を有してもよい。
【0128】
決済済み商品に貼るシールは、決済が済んだ商品に店舗1の利用者が自ら貼る決済済み表示シールであり、例えば貼ったシールを剥がそうとするとシールが裂ける特殊な切れ目加工がされている。
【0129】
この決済済み商品に貼るシールは、S706の退店を許可する処理の1つとして、退店確認操作パネル111に接続されたシール発行機から発行される。発行されるシールは、決済済みの商品の商品名が記載されていてもよい。また発行されるシールの大きさは、決済済みの商品の大きさに応じて任意に変えてもよい。
【0130】
上記で説明した商品選択の処理は、利用者が個別エリア124に陳列されている商品を自ら取り出す場合であるが、利用者によっては自ら商品を取り出すことが困難な場合もある。
【0131】
図8は、商品を陳列する棚120の他の形態の例を示した図である。
【0132】
自ら商品を取り出すことが困難な利用者を想定して、棚120に例えばモニター135を配置してもよい。このモニター135は、例えば店舗1の店員が常駐しているサービスコーナー140とネットワーク201で接続されており、利用者が店員と対話したり、購入したい商品をサービスコーナー140で受け取るための取り置きの指示を出したりすることが可能である。
【0133】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。さらにまた、請求項の各構成要素において、構成要素を分割して表現した場合、或いは複数を合わせて表現した場合、或いはこれらを組み合わせて表現した場合であっても本発明の範疇である。また、複数の実施形態を組み合わせてもよく、この組み合わせで構成される実施例も発明の範疇である。
【0134】
また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。また請求項を制御ロジックとして表現した場合、コンピュータを実行させるインストラクションを含むプログラムとして表現した場合、及び前記インストラクションを記載したコンピュータ読み取り可能な記録媒体として表現した場合でも本発明の装置を適用したものである。また、使用している名称や用語についても限定されるものではなく、他の表現であっても実質的に同一内容、同趣旨であれば、本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0135】
100・・・入店ゲート、101・・・退店ゲート、110・・・入店確認操作パネル、111・・・退店確認操作パネル、120・・・棚、121・・・陳列エリア、122・・・仕切り板、123・・・レール、124・・・個別エリア、130・・・カメラ、131・・・距離センサ、132・・・重量センサ
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図7
図8