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  • 特許-光バリア装置を動作させるための方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-02
(45)【発行日】2023-06-12
(54)【発明の名称】光バリア装置を動作させるための方法
(51)【国際特許分類】
   G01V 8/20 20060101AFI20230605BHJP
【FI】
G01V8/20 R
【請求項の数】 18
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018231357
(22)【出願日】2018-12-11
(65)【公開番号】P2019105638
(43)【公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-08-12
(31)【優先権主張番号】01518/17
(32)【優先日】2017-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(73)【特許権者】
【識別番号】599022719
【氏名又は名称】エレスタ・ゲーエムベーハー・オストフィルダーン・(ディイー)・ツヴァイクニーダーラッスング・バド ラガーツ
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルナー,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】マフィオリ,マッシモ
(72)【発明者】
【氏名】フォーゲル,ミヒャエル
【審査官】野田 華代
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0221204(US,A1)
【文献】特開2007-274432(JP,A)
【文献】特開2010-175487(JP,A)
【文献】特開平9-83330(JP,A)
【文献】特開2004-214899(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01V 1/00-15/00;99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの第1の光バリア及び少なくとも1つの第2の光バリアを備える光バリア装置を動作させる方法であって、
前記第1の光バリアは、第1の送信機ユニット(11)及び第1の受信機ユニット(15)を有し、
前記第2の光バリアは、第2の送信機ユニット(13)及び第2の受信機ユニット(17)を有し、
前記第1の送信機ユニット(11)及び前記第1の受信機ユニット(15)の全ての送信機は、第1のサイクル(31)の実行中に連続的に起動されて単一光パルス(45、46、47)を放出し、
前記第2の送信機ユニット(13)及び前記第2の受信機ユニット(17)の全ての送信機は、第2のサイクル(33)の実行中に連続的に起動されて単一光パルス(41、42、43)を放出する、方法において、
前記第1のサイクル(31)の期間は、第1の位相オフセットΔA(35)の期間だけ延長又は短縮され、前記第2のサイクル(33)の期間は、第2の位相オフセットΔB(37)の期間だけ延長又は短縮され、
ある前記単一光パルス(41、42、43、45、46、47)の所与のパルス幅Tpuls(39)に関して、及び所与の平均中間パルス時間TTask(38)に関して、前記第1の位相オフセットΔA(35)及び前記第2の位相オフセットΔB(37)を決定するために、以下の不等式:
【数1】



が適用され、ここで、
∀nZyklus={1, ..., (Nsamples-1)}
∀NBeamsA=符号化Aを用いる光バリアのビームの数に関するもの
∀NBeamsB=符号化Bを用いる光バリアのビームの数に関するもの
であり、
前記第1の位相オフセットΔA(35)及び前記第2の位相オフセットΔB(37)の決定に、以下の制限:
|ΔA|≧Tpuls
|ΔB|≧Tpuls
ΔA≠ΔB
が適用されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
ある前記サイクル(31、33)中、各前記光バリアの単一の前記送信機の中間パルス時間TTask(38)は、前記位相オフセットΔA(35)及び前記位相オフセットΔB(37)の前記期間だけ短縮又は延長されること;並びに
各前記光バリアの全ての他の前記送信機における前記中間パルス時間TTask(38)は、同一の長さであること
を特徴とする、請求項1に記載の光バリア装置を動作させる方法。
【請求項3】
ある前記光バリアの全ての前記送信機に関して、ある前記サイクル(31、33)中、前記中間パルス時間TTask(38)は、前記位相オフセットΔA(35)及び前記位相オフセットΔB(37)の前記期間だけ比例的に短縮又は延長されることを特徴とする、請求項1に記載の光バリア装置を動作させる方法。
【請求項4】
前記第1の位相オフセットΔA(35)及び前記第2の位相オフセットΔB(37)の決定に、更に以下の制限:
|ΔA|=|ΔB|
が適用されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の光バリア装置を動作させる方法。
【請求項5】
前記光バリアは、以下の動作モード:
‐前記第1の位相オフセットΔA(35)の期間だけ短縮若しくは延長される前記第1のサイクル(31)を用いる動作;又は
‐前記第2の位相オフセットΔB(37)の期間だけ短縮若しくは延長される前記第2のサイクル(33)を用いる動作;又は
‐不変のサイクル期間を用いる動作
で動作できることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の光バリア装置を動作させる方法。
【請求項6】
前記送信機は、互いに光学的に同期されること;及び
前記送信機の起動と同時に、前記送信機に割り当てられた受信機が起動されること
を特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の光バリア装置を動作させる方法。
【請求項7】
前記位相オフセットΔA(35)及び前記位相オフセットΔB(37)は、被干渉サイクルに対して、最小数の後続のサイクルが干渉を受けないように、選択されることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の光バリア装置を動作させる方法。
【請求項8】
前記第1の位相オフセットΔA(35)及び前記第2の位相オフセットΔB(37)は、前記送信機の数、及び従って光線の数が同一である前記光バリア装置に関して決定されることを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載の光バリア装置を動作させる方法。
【請求項9】
前記光バリア装置の各前記光バリアが、前記光バリア装置の他の前記光バリアの全ての他の位相オフセットと異なる位相オフセットで動作することを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の光バリア装置を動作させる方法。
【請求項10】
少なくとも1つの第1の光バリア及び少なくとも1つの第2の光バリアを有する光バリア装置であって、
前記第1の光バリアは第1の送信機・受信機ユニット(11)を有し、前記第2の光バリアは第2の送信機・受信機ユニット(13)を有し、
前記第1の光バリアの全ての送信機は、第1のサイクル(31)の実行中に連続的に起動されて単一光パルス(45、46、47)を放出でき、前記第2の光バリアの全ての送信機は、第2のサイクル(33)の実行中に連続的に起動されて単一光パルス(41、42、43)を放出できるよう前記光バリア装置はパルス生成器を有しており光バリア装置において、
請求項1~9のいずれか1項に記載の方法における使用に関して、前記第1の光バリアは、前記第1のサイクル(31)の期間が第1の位相オフセットΔA(35)の期間だけ延長又は短縮されるよう構成され、前記第2の光バリアは、前記第2のサイクル(33)の期間が第2の位相オフセットΔB(37)の期間だけ延長又は短縮されるよう構成されることを特徴とする、光バリア装置。
【請求項11】
前記光バリアの各前記送信機はLEDを有し、前記LEDには、前記単一光パルス(41、42、43、45、46、47)を生成するため及び中間パルス時間TTask(38)を制御するために、前記LEDの制御のための前記パルス生成器が割り当てられ、
各前記光バリアの前記パルス生成器は、2つの隣接する前記送信機間の前記中間パルス時間TTask(38)を前記位相オフセットΔA(35)及び前記位相オフセットΔB(37)の期間だけ短縮又は延長するよう構成されること、並びに
前記パルス生成器は、前記光バリアの全ての他の前記送信機に関して、前記中間パルス時間TTask(38)を同一の長さに維持するよう構成されること
を特徴とする、請求項10に記載の光バリア装置。
【請求項12】
前記パルス生成器は、ある前記サイクル(31、33)中に、ある前記光バリアの全ての前記送信機の前記中間パルス時間TTask(38)を、前記位相オフセットΔA(35)及び前記位相オフセットΔB(37)の前記期間だけ比例的に短縮又は延長するよう構成されることを特徴とする、請求項10に記載の光バリア装置。
【請求項13】
前記位相オフセットΔA(35)及び前記位相オフセットΔB(37)は、被干渉サイクルに対して、最小数の後続のサイクルが干渉を受けないように、前記パルス生成器によって設定されることを特徴とする、請求項10~12のいずれか1項に記載の光バリア装置。
【請求項14】
前記光バリア装置の各前記光バリアは、前記光バリア装置の他の前記光バリアの全ての他の位相オフセットとは異なる位相オフセットで動作するよう構成されることを特徴とする、請求項10~13のいずれか1項に記載の光バリア装置。
【請求項15】
請求項1~9のいずれか1項に記載の方法を実装するための、又は請求項10~14のいずれか1項に記載の光バリア装置において使用するための、送信機・受信機ユニットを有する光バリアであって、
前記光バリアは、少なくとも以下の動作モード:
‐第1の位相オフセットΔA(35)の期間だけ短縮若しくは延長される第1のサイクル(31)を用いる動作;又は
‐第2の位相オフセットΔB(37)の期間だけ短縮若しくは延長される第2のサイクル(33)を用いる動作;又は
‐不変のサイクル期間を用いる動作
で動作可能であることを特徴とする、光バリア。
【請求項16】
前記動作モードは、前記光バリアに取り付けられた制御要素を用いて設定できることを特徴とする、請求項15に記載の光バリア。
【請求項17】
前記動作モードは、ソフトウェアによってサポートされた制御コマンドを用いて設定できることを特徴とする、請求項15に記載の光バリア。
【請求項18】
前記送信機が前記受信機と光学的に同期されること、及び
前記送信機の起動と同時に、前記送信機に割り当てられた前記受信機が起動されることを特徴とする、請求項15~17のいずれか1項に記載の光バリア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分による、光バリア装置を動作させるための方法に関する。本発明は、請求項12の前提部分による光バリア装置、及び請求項17の前提部分による光バリアにも関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は概して、例えば自動作業ロボット等の自動動作システム又は機械に起因する危険から人間又は材料資産を保護するという意味において、安全技術の分野に属する。典型的な保護対策は、危険領域への立ち入りを防止するよう、又は危険な動作状況の停止、オフ若しくはその他の方法での回避をもたらすよう、上記システムの危険領域を遮断することである。このような危険領域を遮断するために、機械的防護柵又は防護扉が頻繁に用いられる。しかしながら、多くの場合において、保護された危険領域への立ち入りが必要である。というのは、操作者は機械に定期的に接近する必要があるため、又は材料を危険領域の中へ若しくは危険領域の中から輸送しなければならないためである。このような場合、光電子防護デバイス、特に光バリア(設計及び構成に応じて光格子又は光カーテンとも呼ばれる)が用いられることが多い。要件に応じて、このような光バリアは、EN/IEC61496-1/-2/-3による指、手又は身体の保護を保証するよう設計される。
【0003】
産業環境では、複数の光バリアを互いに近接させて設置することは一般的である。従って、第1の光バリアの送信機が第2の光バリアの受信機と光学的に交差するのを排除できない。しかしながらこのような場合において、影響を受けた光バリアは依然として、中断することなく動作しなければならない。
【0004】
この目的のために、極めて多様な解決策が従来技術から公知である。例えば、特許文献1では、光バリア装置を動作させる方法が記載され、上記光バリア装置は、2つの同期して動作する送信機/受信機ペアを有し、2つの送信機はそれぞれ、二重パルスの形態の特定の識別子を有する光信号を発信する。この設計は、上記2つの送信機/受信機ペアが同期されていることを必要とする。これは実装が困難である。
【0005】
特許文献2からは、光電子センサ装置を動作させるための方法が公知であり、ここでは複数の光送信機が監視領域に光信号を発し、少なくとも上記光信号は、異なる基底変調周波数を有する。これにより、受信された光信号がどの光送信機から発されたかを識別できる。この設計は、確実に変調を生成及び検出できるようにするために、送信機ユニット及び受信機ユニットの両方を技術的に複雑な様式で設計しなければならないことを意味する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】欧州特許第0797109号
【文献】欧州特許第2230538号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、空間的に近接して配設された少なくとも2つの光バリアを確実に、安定して、中断することなく動作させるための、別の方法及び別の構成の光バリア装置を確立することである。更に、本発明の目的は、上記方法及び上記光バリア装置のための光バリアを提供することである。これらの目的は、方法に関する請求項1において示された特徴により、及び例えば請求項17による光バリアを有する光バリア装置に関する請求項12において示された特徴により、達成される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の起点は、請求項1の前提部分による、光バリア装置を動作させるための方法であり、上記方法は、第1の送信機・受信機ユニットを有する少なくとも1つの第1の光バリアと、第2の送信機・受信機ユニットを有する少なくとも1つの第2の光バリアとを有する光バリア装置のためのものであり、上記第1の送信機ユニットの全ての送信機は、第1のサイクルの実行中に連続的に起動されて、それぞれ単一光パルスを放出し、また上記第2の送信機ユニットの全ての送信機は、第2のサイクルの実行中に連続的に起動されて、それぞれ単一光パルスを放出し、上記サイクルは略同時に行われる。ここで本発明によると、上記第1のサイクルの期間は、第1の位相オフセットΔAの期間だけ延長又は短縮され、上記第2のサイクルの期間は、第2の位相オフセットΔBの期間だけ延長又は短縮される。このようにして、異なる長さのサイクル時間が、2つの光バリアのために生成される。上記第1の位相オフセットΔA及び上記第2の位相オフセットΔBの適切な選択により、特定数のサイクルに関して干渉の不在が保証される。2つの上記光バリア間の同期は不要である。本発明による方法により、所定数のサイクルに関して、2つの上記光バリアの単一光パルスは常に、最小数のサイクル中に最大1回しか全体的に重複しない、即ち干渉しないことが保証される。明確にするために、サイクル又はサイクル時間は、単一光パルスを放出又は受信するために、ある光バリアのある送信機・受信機ユニットの全ての送信機及び受信機が連続的に起動されるまでに経過する時間であると理解されることに留意されたい。上記第1の光バリア及び上記第2の光バリアのサイクルは、略同時に行われることも更に明らかとなる。従って時間に関して、これらの光バリアのこれらのサイクルは並行して行われる、即ち両方の光バリアはそれぞれのサイクルを略同時に開始する。
【0009】
本発明による方法の更なる発展形態は、従属請求項2~11に示される。本発明による方法は例えば、あるサイクル中、各光バリアの単一の送信機のための中間パルス時間TTaskが位相オフセットΔA、ΔBの期間だけ短縮又は延長されることによって有利に実装でき、ここで光バリアの全ての他の送信機における中間パルス時間TTaskは等しい長さに維持される。従って具体的には、好ましくはサイクルの終わりに、最後に起動された送信機の中間パルス時間TTaskを調整できる。ここで、複数の送信機及び受信機を有する光バリアを用いる場合、中間パルス時間は、2つの隣接する送信機による単一光パルスの放出と放出との間に経過する時間として理解されることに留意されたい。
【0010】
あるいは、光バリアの全ての送信機に関して、サイクル中、中間パルス時間TTaskを、位相オフセットΔA、ΔBの期間だけ比例的に短縮又は延長することも可能である。これは、全ての送信機の中間パルス時間TTaskを若干調整しなければならないことを意味する。
【0011】
単一光パルスの所与のパルス幅Tpulsに関して、及び所与の平均中間パルス時間TTaskに関して、第1の位相オフセットΔA及び第2の位相オフセットΔBを決定するために、以下の不等式が適用される:
【0012】
【数1】
【0013】
ここで、
∀nZyklus={1, ..., (Nsamples-1)}
∀NBeamsA=符号化Aを用いる光バリアのビームの数に関するもの
∀NBeamsB=符号化Bを用いる光バリアのビームの数に関するもの
である。
【0014】
ここで、
|ΔA|:第1の光バリアの位相オフセット
|ΔB|:第2の光バリアの位相オフセット
puls:単一光パルスのパルス幅
Zyklus:実際のサイクル
BeamsA:第1の光バリアの光ビームの数(送信機の数及び従って受信機の数に対応する)
BeamsB:第1の光バリアの光ビームの数(送信機の数及び従って受信機の数に対応する)
Task:2つの隣接する単一光パルスの放出の間の時間(中間パルス時間)
samples:光ビームのサンプルの数
である。
【0015】
特に、以下の制限を維持しなければならない:
|ΔA|≧Tpuls
|ΔB|≧Tpuls
ΔA≠ΔB
及び好ましくは
|ΔA|=|ΔB|
【0016】
上記不等式は数的に解くことができる。上記条件が満たされ、そして位相オフセットΔA及び位相オフセットΔBをそれに応じて選択すると、1つの被干渉サイクルの後、次のNsamples-1サイクルは干渉を受けないことが保証される、即ち単一光パルスの重複を排除できる。パラメータTpuls、TTask、ΔA、ΔB及びNsamplesの選択は、光バリアの必要な応答時間及び堅牢性が得られるように行わなければならない。上記不等式では、光ビームNBeamsA及びNBeamsBの数が考慮される。従って本発明を、光バリアが異なる長さを有する光バリア装置及び方法にも使用できる。例えば、第1の光バリアは第1の長さを有することができ、第2の長さを有する第2の光バリアと共に動作でき、ここで上記長さは好ましくは、150mm~1800mmの値を有することができ、150mm単位とすることができる。
【0017】
各光バリアの送信機及び受信機は好ましくは、互いに光学的に同期される。従って、送信機の起動と同時に、この送信機に割り当てられた受信機が起動される。
【0018】
1つの光バリア装置に3つ以上の光バリアが使用される場合に関して、本発明によると、本方法は、光バリア装置の各光バリアが、上記光バリア装置の他の光バリアの全ての他の位相オフセットと異なる位相オフセットで動作するよう、構成される。
【0019】
本発明は、少なくとも1つの第1の光バリア及び少なくとも1つの第2の光バリアを有する光バリア装置にも関し、上記第1の光バリアは第1の送信機・受信機ユニットを有し、第2の光バリアは第2の送信機・受信機ユニットを有し、上記第1の光バリアの全ての送信機は、第1のサイクルの実行中に連続的に起動されて単一光パルスを放出でき、上記第2の光バリアの全ての送信機は、第2のサイクルの実行中に連続的に起動されて単一光パルスを放出でき、上記サイクルは略同時に行われる。特に本発明による方法における使用に関して、上記第1の光バリアは、上記第1のサイクルの期間が第1の位相オフセットΔAの期間だけ延長又は短縮されるよう構成され、第2の光バリアは、上記第2のサイクルの期間が第2の位相オフセットΔBの期間だけ延長又は短縮されるよう構成される。
【0020】
光バリアの送信機はLED、特にIR-LEDとして設計されること、及びこのようなLEDはそれぞれ、単一光パルスを生成して中間パルス時間TTaskを制御するために、その制御のためのパルス生成器を割り当てられることが、従来技術から公知である。ここで本発明によると、パルス生成器は、あるサイクル中に、2つの隣接する送信機間の中間パルス時間TTaskを位相オフセットΔA、ΔBの期間だけ短縮又は延長するよう構成でき、ここで上記パルス生成器は、関連する光バリアの全ての他の送信機において、中間パルス時間TTaskを同一の長さに維持するよう設計される。
【0021】
光バリア装置の有利な更なる発展形態は、従属請求項13~16に示される。
【0022】
あるいはパルス生成器を例えば、光バリアの全ての送信機ユニットにおいて、あるサイクル中に、中間パルス時間TTaskを位相オフセットΔA、ΔBの期間だけ比例的に短縮又は延長するよう構成できる。
【0023】
更に、光バリア装置の一実施形態では、位相オフセットΔA(35)及び位相オフセットΔB(37)は、被干渉サイクルに対して、最小数の後続のサイクルが干渉を受けないように、パルス生成器によって設定できる。
【0024】
1つの光バリア装置に3つ以上の光バリアが組み込まれている場合、光バリア装置の各光バリアは、上記光バリア装置の他の光バリアの全ての他の位相オフセットとは異なる位相オフセットで動作するよう構成される。
【0025】
更に本発明は、特に本発明による方法を実装するための、又は本発明による光バリア装置において使用するための、送信機・受信機ユニットを有する光バリアに関し、ここで上記光バリアは、少なくとも以下の動作モードで動作可能である:
a)第1の位相オフセットΔAの期間だけ短縮若しくは延長される第1のサイクルを用いる動作;又は
b)第2の位相オフセットΔBの期間だけ短縮若しくは延長される第2のサイクルを用いる動作;又は
c)不変のサイクル期間を用いる動作。
【0026】
これらの動作モードを個々の光バリアに対して設定できる場合、これは、例えば製造施設を保護するために、本発明による光バリア装置を構成する間しか、光バリアの動作モードを定義する必要がないという利点を有する。
【0027】
有利な一実施形態では、光バリアは、動作モードを設定するための制御要素を有する。あるいはこれを、ソフトウェアによってサポートされた制御コマンドを用いて実施できる。
【0028】
送信機が光バリアの受信機と光学的に同期され、送信機の起動と同時に、この送信機に割り当てられた受信機が起動されると、更に有利である。
【0029】
本発明による方法又は本発明による光バリア装置又は本発明光バリアは特に、公知の従来技術と比較して、以下に説明する利点を有する。例えば、サンプリングサイクル毎の単一光パルスの放出は、パルス群をビーム符号化として用いる光バリアの実施形態と比べて、送信機におけるLEDの寿命を増大させる。更に、送信機及び受信機のクロック生成器の精度はあまり重要ではないため、単一光パルスを評価するためのハードウェアに対する要求は低下し、従って受信回路の費用も下がる。
【0030】
更に、溶接装置によって発生し得るような干渉光パルスが、光パルス中のいずれの符号化情報を破壊する蓋然性は、符号化されていない単一光パルスを使用する場合、低下する。従って、単一光パルスはパルス群よりも堅牢である。更に、単一光パルスの評価において、より単純なアルゴリズムを用いることができる。また、より複雑な符号化方法は一般に、より多くの実装費用を必要とし、従ってメモリの使用及びCPUの利用に関して非効率的である。
【0031】
上記の任意の特徴は、これらが相互に排他的にならない限り、いずれの組み合わせで実現できる。本発明の更なる利点及び特徴は、概略図を参照した、以下の本発明の説明から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1図1は、光バリア装置の概略図である。
図2図2は、同一の長さの光バリアを用いた位相オフセットの実装の概略図であり、ここで時間は概念上のx軸上にプロットされる。
図3図3は、単一光パルスの時間的シーケンスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、本発明による光バリア装置を示す。この光バリア装置は危険領域19を保護し、これは一方では壁21、23によって範囲を画定されており、また、2つの光バリアによって保護される2つの出入口を有する。第1の光バリアは、第1の送信機ユニット11及び第1の受信機ユニット15から実質的になり、光ビームを第1の光バリアの主ビーム方向25に放出する。これと同様に、第2の光バリアは、第2の送信機ユニット13及び第2の受信機ユニット17から本質的になり、光ビームを第2の光バリアの主ビーム方向27に放出する。各送信機ユニット11、13は、少なくとも1つの送信機(図示せず)を有し、これはパルス生成器(同様に図示せず)によって公知の方法で制御される。ここで、1つのパルス生成器を各送信機に割り当てることができるか、又は1つのパルス生成器が複数の送信機を順次制御できる。光バリアの各受信機ユニット15、17は、光バリアが有する送信機と同数の受信機を有する。
【0034】
空間的な近接を原因として、第1の光バリアの送信機ユニット11によって放出された光ビームが第2の光バリアの受信機ユニット17へとジャンプし、これが誤検出をもたらすことを、排除することはできない。
【0035】
従ってこれを回避するために、本発明に従って、第1の光バリアのサイクル時間31には位相オフセットΔA35が適用され、第2の光バリアのサイクル時間33には位相オフセットΔB37が適用される。ここで、図2は、同一の長さを有する、又はより正確には、同数の送信機及び受信機を有する、若しくは同数の光ビームを放出する光バリアに関する時間的状況を概略的に示すことに留意されたい。
【0036】
図3は、単一光パルスの時間的シーケンスを示す図である。一番上の時間軸上に、第2の光バリアの単一光パルス41、42、43が示され、その下の時間軸上に、サイクルnZyklusにおける第1の光バリアの単一光パルス45、46、47が示される。単一光パルス41と45、42と46、43と47は同時に発生することが明白であり、この図示したサイクルnZyklusにおいて、2つの光バリアの単一光パルスは、互いに重複するか又は干渉する。更に、単一光パルス41、42、43又は45、46、47は互いに時間的に離間しており、この離間は中間パルス時間TTaskである。全ての単一光パルスは同一のパルス幅Tpulsを有する。
【0037】
図3は、下方の2つの時間軸上に、サイクルnZyklus+1における単一光パルス41、42、43又は45、46、47の時間的状況を示す。ここでは、単一光パルス45及び後続の単一光パルス46、47が、サイクルnZyklusにおける場合よりも位相オフセットΔA35だけ早く放出されることが認識できる。単一光パルス41、及び後続の単一光パルス42、43は、サイクルnZyklusにおける場合よりも位相オフセットΔB37だけ遅く放出されることが認識できる。2つの光バリアの単一光パルス41、42、43又は45、46、47は、このサイクルに関しては重複しないことが認識できる。干渉を受けない動作が保証される。
【0038】
Zyklus+2(図示せず)では、第2の光バリアの単一光パルス41、42、43及び他の単一光パルス(図示せず)は、位相オフセットΔA35だけ再び早く放出され、第1の光バリアの単一光パルス45、46、47及び他の単一光パルス(図示せず)は、ここでも位相オフセットΔB37だけ遅く放出される。単一光パルスの時間的に異なる分布が生じるものの、重複はここでも、計算によって推定された最小数のサイクルが達成されるまで排除される。
【0039】
よって、本発明による方法又は本発明による光バリア装置により、所定数のサイクルのうち最大1つが常に全体的に干渉されるが保証される。これは特に、第1及び第2の光格子における異なる長さのサイクル時間により達成される。
【0040】
本発明による方法又は本発明による光バリア装置を、影響を与える可能性のある2つの光バリアに関して示している。しかしながら、本発明による着想の範囲において、より多数の光バリアを選択することもできる。
【0041】
全体として、本明細書では一般的用語「光バリア」又は「光バリア装置」を常に使用したことに留意されなければならない。この用語は、本発明の範囲内において、光格子及び光カーテン、又は光格子装置及び光カーテン装置も包含する。更に、本発明を単一光パルスに基づいて説明したことに留意されたい。しかしながら、言うまでもないことであるが、本発明は、例えば二重パルス等の複数の光パルスを用いる光バリアと共に使用することもできる。ここで、本発明によると、上記複数の光パルスが重複しないことに留意されたい。これは最も単純な場合において、位相オフセットの計算に際して、上記複数の光パルスの放出の期間を、単一光パルスを用いる光バリアに関する単一光パルスのパルス幅Tpulsと等しくする必要があることを意味する。
【符号の説明】
【0042】
11 第1の光バリアの送信機ユニット
13 第2の光バリアの送信機ユニット
15 第1の光バリアの受信機ユニット
17 第2の光バリアの受信機ユニット
19 危険領域
21 壁
23 壁
25 第1の光バリアの主ビーム方向
27 第2の光バリアの主ビーム方向
31 第1の光バリアのサイクル時間
33 第2の光バリアのサイクル時間
35 第1の光バリアの位相オフセットΔA
37 第2の光バリアの位相オフセットΔB
38 第1の光バリアのパルス中間時間TTask
39 単一光パルスのパルス幅Tpuls
41 光バリアの第1の送信機ユニットの第2の単一光パルス
42 第2の光バリアの第2の送信機ユニットの単一光パルス
43 第2の光バリアの第3の送信機ユニットの単一光パルス
45 第1の光バリアの第1の送信機ユニットの単一光パルス
46 第1の光バリアの第2の送信機ユニットの単一光パルス
47 第1の光バリアの第3の送信機ユニットの単一光パルス
図1
図2
図3