(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-02
(45)【発行日】2023-06-12
(54)【発明の名称】階段構造
(51)【国際特許分類】
E04F 11/17 20060101AFI20230605BHJP
【FI】
E04F11/17 100Z
(21)【出願番号】P 2019020907
(22)【出願日】2019-02-07
【審査請求日】2021-10-27
(31)【優先権主張番号】P 2018024173
(32)【優先日】2018-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000413
【氏名又は名称】永大産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 聡子
【審査官】吉村 庄太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-279900(JP,A)
【文献】特開2005-058907(JP,A)
【文献】特開2003-073986(JP,A)
【文献】特開2006-198985(JP,A)
【文献】特開2015-031090(JP,A)
【文献】特開2002-133942(JP,A)
【文献】特開平03-072157(JP,A)
【文献】特開2000-145084(JP,A)
【文献】特開昭63-059372(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 11/00-11/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
階段状に配置された複数の踏み板を少なくとも備えた階段構造であって、
前記各踏み板の踏み面には、前記階段構造の上段側から下段側に進むに従って、連続的に変化した色が、印刷により配色されて
おり、
前記踏み板の段鼻には、前記踏み板の前記踏み面の下段側の端部の色と同じ色、または、前記踏み板の前記踏み面の下段側の端部の色から下方に進むに従って連続的に変化した色が、配色されていることを特徴とする階段構造。
【請求項2】
階段状に配置された複数の踏み板を少なくとも備えた階段構造であって、
前記各踏み板の踏み面には、前記階段構造の上段側から下段側に進むに従って、連続的に変化した色が、印刷により配色されて
おり、
前記階段構造は、前記踏み板同士の間に蹴込み板をさらに備えており、
上段の踏み板と下段の踏み板との間に配置された前記各蹴込み板の前面には、前記下段の踏み板の踏み面の上段側の端部の色と同じ色、または、前記下段の踏み板の踏み面の上段側の端部の色から上方に進むに従って連続的に変化した色が、配色されていることを特徴とする階段構造。
【請求項3】
階段状に配置された複数の踏み板を少なくとも備えた階段構造であって、
前記各踏み板の踏み面には、前記階段構造の上段側から下段側に進むに従って、連続的に変化した色が、印刷により配色されて
おり、
前記各踏み板の前記踏み面とは反対側の裏面は、視認可能に配置されており、
前記各踏み板の裏面には、前記上段側から前記下段側に進むに従って連続的に変化した色が、配色されていることを特徴とする階段構造。
【請求項4】
階段状に配置された複数の踏み板を少なくとも備えた階段構造であって、
前記各踏み板の踏み面には、前記階段構造の上段側から下段側に進むに従って、連続的に変化した色が、印刷により配色されて
おり、
前記各踏み板の一対の側面のうちの少なくとも一方の側面は、視認可能に配置されており、
前記各踏み板の視認可能な側面には、前記上段側から前記下段側に進むに従って連続的に変化した色が、配色されていることを特徴とする階段構造。
【請求項5】
階段状に配置された複数の踏み板を少なくとも備えた階段構造であって、
前記各踏み板の踏み面には、前記階段構造の上段側から下段側に進むに従って、連続的に変化した色が、印刷により配色されて
おり、
前記各踏み板の踏み面には、前記上段側から前記下段側に進むに従って、大きさが単調に変化した複数の同じ形状からなる模様が、前記印刷により付されていることを特徴とする階段構造。
【請求項6】
前記踏み板の段鼻には、前記踏み板の前記踏み面の下段側の端部の色と同じ色、または、前記踏み板の前記踏み面の下段側の端部の色から下方に進むに従って連続的に変化した色が、配色されていることを特徴とする請求項
2~4のいずれか一項に記載の階段構造。
【請求項7】
前記各踏み板の踏み面には、同じ配色がなされていることを特徴とする
請求項1~6のいずれか一項に記載の階段構造。
【請求項8】
前記各踏み板の踏み面に配色された色の明度は、前記上段側から前記下段側に進むに従って高くなっていることを特徴とする
請求項1~4のいずれか一項に記載の階段構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の踏み板を少なくとも備えた階段構造に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅等の建物内に設置される階段構造として、階段状に配置された複数の踏み板および蹴込み板と、これらを左右で固定する側板とを備えた階段構造が知られている。具体的には、このような階段構造では、踏み面となる所要段数の踏み板が、水平姿勢で左右の側板間に上下および前後に所定間隔をあけて段状に差しわたされて取り付けられ、各踏み板間には蹴込み板が、配在されている。
【0003】
このような階段構造として、たとえば、特許文献1には、踏み面の段鼻側に、他の表面に比べて明度の異なる着色が施されてなる視認部を有した複数の踏み板を備えた階段構造が開示されている。この階段構造によれば、踏み板の踏み面に視認部を設けることにより、各段の踏み面の視認性を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に係る階段構造では、各段の踏み板の踏み面の視認性を高めることができるが、踏み板の踏み面のうち視認部が形成された領域の明度が、他の表面の領域の明度とは明らかに異なるため、踏み面全体に対して視認部が明らかに目立ってしまう。これにより、踏み面の色彩に違和感が生じることがある。
【0006】
本発明は、前記課題を鑑みてなされたものであり、階段の踏み外しを防止することができるとともに、踏み面の色彩等に違和感が生じ難い階段構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を鑑みて、本発明に係る階段構造は、階段状に配置された複数の踏み板を少なくとも備えた階段構造であって、前記各踏み板の踏み面には、前記階段構造の上段側から下段側に進むに従って、連続的に変化した色が、印刷により配色されていることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、各踏み板の踏み面に、階段構造の上段側から下段側に進むに従って、連続的に変化した色が印刷により配色されているので、階段構造を見下ろした際に、踏み面の色彩に違和感が生じることなく、各踏み板の段鼻側の踏み面の部分を容易に視認することができる。これにより、踏み板の段鼻の視認性を目的とした踏み面の溝加工や樹脂の埋め込みを省略することができる。また、踏み板の視認性が高まるため、歩行者の階段の踏み外しを防止することができる。
【0009】
本発明でいう「各踏み板の踏み面に、階段構造の上段側から下段側に進むに従って、連続的に変化した色が、印刷により配色されている」とは、踏み面の上段側から下段側(段鼻側)に進むに従って、踏み面の上段側の端部の色から、踏み面の下段側の端部の色に、その色が近づくように(すなわちグラデーションに)配色されていることをいう。具体的には、CIE1976表色系(JIS Z 8729)に規定されるL*、a*、およびb*において、上段側から下段側に進むに従って、L*、a*、b*を単調に変化させることにより、印刷により、踏み面が配色されていることをいう。なお、L*は明度指数であり、a*およびb*は、クロマティクネス指数である。また、「踏み板の段鼻」とは、踏み板の前面(下階側から見て正面となる面)のことをいう。
【0010】
より好ましい態様としては、前記各踏み板の前記踏み面には、同じ配色がなされている。この態様によれば、各踏み板の踏み面が、同じ配色がなされているので、各踏み面の色彩に統一感があり、色彩に違和感のない階段構造となる。
【0011】
さらに好ましい態様としては、前記各踏み板の踏み面に配色された色の明度は、前記上段側から前記下段側に進むに従って高くなっている。この態様によれば、各踏み板の踏み面の下段側(すなわち段鼻側)の色の明度が高くなっているので、階段構造を見下ろした際に、各踏み板の段鼻側の踏み面をより鮮明に視認することができ、歩行者が階段をより安全に上り下りすることができる。
【0012】
さらに好ましい態様としては、前記階段構造は、前記踏み板同士の間に蹴込み板をさらに備えており、上段の踏み板と下段の踏み板との間に配置された前記各蹴込み板の前面には、前記下段の踏み板の踏み面の上段側の端部の色と同じ色、または、前記下段の踏み板の踏み面の上段側の端部の色から上方に進むに従って連続的に変化した色が、配色されている。
【0013】
この態様によれば、上段の踏み板と下段の踏み板との間に配置された蹴込み板の前面には、下段の踏み板の踏み面の上段側の端部の色と同じ色、または、下段の踏み板の踏み面の上段側の端部の色から上方に進むに従って連続的に変化した色が、配色されているので、蹴込み板の色と、上段の踏み板の段鼻近傍の色との色差が大きくなる。このため、階段構造を下階から見た際に、上段の踏み板の段鼻をより鮮明に視認することができる。
【0014】
さらに好ましい態様としては、前記踏み板の段鼻には、前記踏み板の前記踏み面の下段側の端部の色と同じ色、または、前記踏み板の前記踏み面の下段側の端部の色から下方に進むに従って連続的に変化した色が、配色されている。
【0015】
この態様によれば、踏み板の段鼻には、踏み板の踏み面の下段側の端部の色と同じ色、または、踏み板の踏み面の下段側の端部の色から下方に進むに従って連続的に変化した色、が配色されているので、上段の踏み板の段鼻近傍の色と、下段の踏み板の踏み面の上段側の色との色差が大きくなる。このため、階段構造を下階から見た際に、上段の踏み板の段鼻をより鮮明に視認することができる。
【0016】
さらに好ましい態様としては、前記各踏み板の前記踏み面とは反対側の裏面は、視認可能に配置されており、前記各踏み板の裏面には、前記上段側から前記下段側に進むに従って連続的に変化した色が、配色されている。
【0017】
この態様によれば、各踏み板の裏面には、上段側から下段側に進むに従って連続的に変化した色が、配色されているので、階段構造を裏側(下側)から見た際に、踏み板の裏面の色彩に違和感が生じることがない。また、各踏み板の段鼻とは反対側の部分を鮮明に視認することができるので、階段構造下の歩行者等が踏み板に頭等をぶつけるのを抑制することができる。
【0018】
さらに好ましい態様としては、前記各踏み板の一対の側面のうちの少なくとも一方の側面は、視認可能に配置されており、前記各踏み板の視認可能な側面には、前記上段側から前記下段側に進むに従って連続的に変化した色が、配色されている。
【0019】
この態様によれば、各踏み板の視認可能な側面には、上段側から下段側に進むに従って連続的に変化した色が、配色されているので、階段構造を側方から見た際に、踏み板の側面の色彩に違和感が生じることがない。また、各踏み板の側面を鮮明に視認することができるので、階段構造の横の歩行者等が踏み板に頭等をぶつけるのを抑制することができる。
【0020】
さらに好ましい態様としては、前記各踏み板の踏み面には、前記上段側から前記下段側に進むに従って、大きさが単調に変化した複数の同じ形状からなる模様が、前記印刷により付されている。
【0021】
この態様によれば、各踏み板の踏み面に、階段構造の上段側から下段側に進むに従って、大きさが単調に変化した複数の同じ形状からなる模様が印刷により付されているので、階段構造を見下ろした際に、踏み面の模様および色彩に違和感なく、各踏み板の段鼻側における踏み面の部分を容易に視認することができる。
【0022】
本発明の別の階段構造は、階段状に配置された複数の踏み板を少なくとも備えた階段構造であって、前記各踏み板の踏み面には、前記階段構造の上段側から下段側に進むに従って、大きさが単調に変化した複数の同じ形状からなる模様が、印刷により付されている。
【0023】
この態様によれば、各踏み板の踏み面に、階段構造の上段側から下段側に進むに従って、大きさが単調に変化した複数の同じ形状からなる模様が印刷により付されているので、階段構造を見下ろした際に、踏み面の模様に違和感なく、各踏み板の段鼻側における踏み面の部分を容易に視認することができる。これに伴い、踏み板の段鼻の視認性を目的とした溝加工や樹脂の埋め込みを省略することができる。また、踏み板の視認性が高まるため、歩行者の階段の踏み外しを防止することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の階段構造によれば、階段の踏み外しを防止することができるとともに、踏み面の色彩等に違和感が生じ難い。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る階段構造の模式的斜視図である。
【
図2】
図1に示す階段構造の踏み板と蹴込み板との関係を示した模式図である。
【
図3】
図1に示す階段構造を下階から見た時の模式図である。
【
図4】
図1に示す階段構造を上階から見下ろした時の模式図である。
【
図5】
図1に示す第1実施形態の階段構造の変形例の模式的斜視図である。
【
図6】本発明の第2実施形態に係る階段構造の模式的斜視図である。
【
図7】
図6に示す階段構造を下階から見た時の模式図である。
【
図8】
図6に示す階段構造を上階から見下ろした時の模式図である。
【
図9】本発明の第3実施形態に係る階段構造の模式的斜視図である。
【
図10】
図9に示す階段構造を下階から見た時の模式図である。
【
図11】本発明の第4実施形態に係る階段構造の模式的斜視図である。
【
図12】
図11に示す階段構造を下階から見た時の模式図である。
【
図13】
図11に示す階段構造を上階から見下ろした時の模式図である。
【
図14】本発明の第5実施形態に係る階段構造の模式的斜視図である。
【
図15】
図14に示す第5実施形態の階段構造の変形例の模式的斜視図であり、階段構造を上側から示す図である。
【
図16】
図15に示す階段構造を下側から示す模式的斜視図である。
【
図17】本発明の第1変形例の階段構造の模式的斜視図である。
【
図18】本発明の第2変形例の階段構造の模式的斜視図である。
【
図19】本発明の第3変形例の階段構造の模式的斜視図である。
【
図20】本発明の第4変形例の階段構造の模式的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照しながら、本発明のいくつかの実施形態を説明する。
【0027】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る階段構造1の模式的斜視図である。
図2は、
図1に示す階段構造1の踏み板11~17と蹴込み板21~27との関係を示した模式図である。
図3は、
図1に示す階段構造1を下階から見た時の模式図である。
図4は、
図1に示す階段構造1を上階から見下ろした時の模式図である。
図5は、
図1に示す第1実施形態の変形例の模式的斜視図である。
【0028】
図1に示すように、階段構造(階段)1は、住宅等の建物内に設置されるものである。
図1に示すように、本実施形態では、7段の段差により構成される階段構造1であるが、後述する色を付すことができるのであれば、その段数は特に限定されるものではない。例えば、本実施形態に係る階段構造1の段数が、一般的な住宅の階段の如く、13~15段であってもよい。
【0029】
図1および
図2に示す階段構造1は、上階と下階とを繋ぐものであり、踏み板11~17および蹴込み板21~27と、これらを固定する一対の側板41、42と、を備えている。具体的には、各踏み板11~17は、水平姿勢で左右の側板41、42の間に上下および前後に所定間隔をあけて段状に差しわたされて取り付けられ、上段の踏み板と下段の踏み板の間には蹴込み板が配在されている。蹴込み板21~27も、左右の側板41、42の間に差しわたされるとともに、下段の踏み板の踏み面から上段の踏み板裏面まで上下方向に延在するように、取り付けられている。
【0030】
踏み板11~17、蹴込み板21~27、および側板41、42の材料は、後述するように、色を付す箇所の表面に、インクジェット印刷などの印刷を行うことができるのであれば、特に限定されるものではない。本実施形態では、これらの材料は、木質系材料からなり、木質系材料としては、無垢材、パーティクルボード(PB)、木質繊維板(インシュレーションボード・ハードボード、MDFなど)、配向性ストランドボード(OSB)、LVL、集成材、または、これらを積層したものなどを挙げることができ、これらの材料を基材として、その表面に化粧材が被覆されていてもよい。
【0031】
化粧材の材料としては、印刷可能な表面を有した材料であれば特に限定されるものではなく、たとえば、熱可塑性樹脂などからなる樹脂シート、クラフト紙などの紙材、クラフト紙にメラミン樹脂が含浸された含浸紙、または木質系の化粧単板などを挙げることができる。化粧単板としては、たとえば、ビーチ、オーク、メイプル、ケヤキ、ウォールナット、シナ、ナラ、ヤチダモ、キリ、ヒノキ、スギ、マホガニー、チーク、ローズウッド、トチ、クロガキ、シオジ、ニレ、カバ、シタン、またはコクタンなどを挙げることができる。化粧単板である場合には、0.1~1.0mm程度の突板などが用いられる。
【0032】
本実施形態では、各踏み板11~17の踏み面11a~17aには、階段構造1の上段側から下段側に進むに従って、連続的に変化した色が印刷により配色(着色)されている。さらに、各踏み板11~17の踏み面11a~17aに配色された色は、上段側から下段側に進むに従って、配色された色の明度(具体的には後述するL*値)が高くなっている。
【0033】
本実施形態では、各踏み板11~17の各踏み面11a~17aの上段側の端部11c~17cの色は、第1の色であり、下段側(段鼻11b~17b側)の端部11d~17dの色は、第1の色と異なる第2の色であり、第2の色は、第1の色よりも明度が高い。したがって、各踏み板11~17の踏み面11a~17aには、階段構造1の上段側から下段側に進むに従って、第1の色から第2の色に変化した色(グラデーションとなる色)が配色されている。
【0034】
本実施形態では、各踏み板11~17の踏み面11a~17aには、同じ配色がなされている。すなわち、踏み面11a~17aの色彩に区別は無い。これにより、各踏み面11a~17aの色彩に統一感があり、色彩に違和感のない階段構造1となる。
【0035】
ここで、第1の色と第2の色とは、異なる色であり、第1の色と第2の色とが無彩色である場合には、CIE1976表色系(JIS Z 8729)に規定されるL*、a*、b*において、第1の色と第2の色との色差△Eが、10~100であることが好ましい。
【0036】
また、第1の色と第2の色とが有彩色である場合には、第1の色と第2の色との色差△Eが、10~50であることが好ましく、より好ましくは、13~26である。第1の色と第2の色との色差△Eが、このような範囲を満たせば、いわゆる同色系の範囲となる場合が有り、各踏み面11a~17aの色の変化を、自然な色の変化の如く視認することができる。
【0037】
なお、上述したL*、a*、b*で規定される表色系において、L*値は明度指数であって、大きいほど明るく、小さいほど暗い。a*値は赤緑間の知覚色度(クロマティクネス)指数であって、この値が大きいほど赤みが強く、小さいほど緑みが強い。b*値は黄青間の知覚色度指数であって、大きいほど黄みが強く、小さいほど青みが強い。
【0038】
たとえば、本実施形態では、その一例として、第1の色と第2の色とが無彩色であり、第1の色が黒色であり、第2の色が白色である。したがって、上述した表色系で説明すると、第1の色は、L*=0、a*=0、b*=0、第2の色は、L*=100、a*=0、b*=0等で表すことができ、第1の色と第2の色との色差△Eは、100となる。
【0039】
したがって、各踏み板11~17の踏み面11a~17aに配色される色は、各踏み板11~17の踏み面11a~17aの上段側の端部11c~17cから、下段側(段鼻11b~17b側)の端部11d~17dに進むに従って、白味を帯びた色となる。
【0040】
具体的には、各踏み板11~17の踏み面11a~17aに配色される色は、各踏み板11~17の踏み面11a~17aの上段側の端部11c~17cから、下段側(段鼻11b~17b側)の端部11d~17dに進むに従って、L*値が、0から100に単調増加しながら連続して変化している。
【0041】
なお、各踏み面11a~17aのa*、b*の値は、略同じで変化がない、または、変化があったとしても、目視では、これらのパラメータによる色の変化がほとんど視認できない程度である。
【0042】
この他の例として、第1の色と第2の色とが有彩色であり、たとえば、第1の色がこげ茶色であり、第2の色が赤茶色である場合には、各踏み板11~17の踏み面11a~17aに配色される色は、各踏み板11~17の踏み面11a~17aの上段側の端部11c~17cから、下段側(段鼻11b~17b側)の端部11d~17dに進むに従って、赤味を帯びた明るい茶色となる。
【0043】
具体的には、各踏み板11~17の踏み面11a~17aの上段側の端部11c~17cの第1の色が、こげ茶色であり、踏み面11a~17aの下段側(段鼻11b~17b側)の端部11d~17dの第2の色が赤茶色である場合には、第1の色は、L*=18、a*=25、b*=13であり、第2の色は、L*=36、a*=46、b*=49等で表すことができ、この場合には、第1の色と第2の色との色差△Eは、45となる。
【0044】
したがって、各踏み板11~17の踏み面11a~17aに配色される色は、踏み面11a~17aの上段側の端部11c~17cから下段側(段鼻11b~17b側)の端部11d~17dに進むに従って、第1の色のL*、a*、b*の値から、第2の色のL*、a*、b*の値に近づくように、連続して単調増加するように変化している。
【0045】
さらに、本実施形態では、階段構造1は、下段の踏み板11と上段の踏み板12との間に配置された蹴込み板22の前面22aには、下段の踏み板11の踏み面11aの上段側の端部11cの色と同じ色が配色されている。本実施形態では、第1の色が黒色であったので、蹴込み板22の前面22aも同じ黒色が配色されている。同様に、踏み板12と踏み板13の間の蹴込み板23、踏み板13と踏み板14の間の蹴込み板24、踏み板16と踏み板17の間の蹴込み板27も同様に黒色が配色されている。
【0046】
なお、
図5に示す変形例のように、階段構造1は、下段の踏み板11と上段の踏み板12との間に配置された蹴込み板22の前面22aに、上段の踏み板12の段鼻12bの色と同じ色が配色されていてもよい。この変形例では、第2の色が白色であったので、蹴込み板22の前面22aも同じ白色が配色されている。同様に、踏み板12と踏み板13の間の蹴込み板23、踏み板13と踏み板14の間の蹴込み板24、踏み板16と踏み板17の間の蹴込み板27も同様に白色が配色されている。これにより、階段1を下階から見た時に、踏み板11~17と、蹴込み板21~27との色彩の調和を図ることができる。
【0047】
このように、本実施形態では、
図1、
図3、
図4、および
図5に示すように、各踏み板11~17の踏み面11a~17aに、階段構造1の上段側から下段側に進むに従って、連続的に変化した色が印刷により配色されている。したがって、
図4に示すように、階段構造1を上階から見下ろした際に、各踏み板11~17の段鼻11b~17bを容易に視認することができるので、階段を下りる際に踏み板11~17の踏み外しを防止することができるとともに、踏み面の色彩に違和感が生じ難い。
【0048】
特に、本実施形態では、各踏み板11~17の踏み面11a~17aの下段側(すなわち段鼻11b~17b側)の明度が高くなっているので、階段構造1を上階から見下ろした際に、各踏み板11~17の段鼻11b~17b側の踏み面11a~17aの領域をより鮮明に視認することができ、歩行者が階段をより安全に下りることができる。
【0049】
さらに、本実施形態では、下段の踏み板11と上段の踏み板12との間に配置された蹴込み板22の前面22aに、下段の踏み板11の踏み面11aの上段側の端部11cの色と同じ色(具体的には黒色)を配色した。したがって、階段構造1を下階から見た際に、蹴込み板22の色と、上段の踏み板12の段鼻12b近傍の踏み面12aの色との色差△Eが大きくなるため、上段の踏み板12の段鼻12bをより鮮明に視認することができる。その他の蹴込み板23~27の前面23a~27aの配色も同様にしたので、踏み板13~17の段鼻13b~17bも、同様に鮮明に視認することができる。
【0050】
なお、本実施形態では、蹴込み板22の前面22aには、下段の踏み板11の踏み面11aの上段側の端部11cの色と同じ色を配色したが、たとえば、下段の踏み板11の踏み面11aの上段側の端部11cの色から、上方に進むに従って連続的に変化した色が、配色されていてもよい。蹴込み板23~27の前面23a~27aも同様である。
【0051】
このような場合、たとえば、蹴込み板22の前面22aに、上方に進むに従って、踏み板12の踏み面12aの下段側の端部12dの色に対して色差△Eが大きくなるように、連続的に変化した色を配色することが好ましい。蹴込み板23~27の前面23a~27aも同様である。
【0052】
たとえば、下段の踏み板11の踏み面11aの上段側の端部11cの色(第1の色)が、灰色である場合には、蹴込み板22の前面22aに、上方に進むに従って、(例えば、L*が小さくなるように)より黒味の帯びた灰色を配色する。たとえば、下段の踏み板11の踏み面11aの上段側の端部11cの色(第1の色)が、こげ茶色などの有彩色である場合には、蹴込み板22の前面22aに、上方に進むに従って、(例えば、L*が小さくなるように)より黒味の帯びたこげ茶色を配色する。
【0053】
これにより、階段構造1を下階から見た際に、蹴込み板22の上側の色と、上段の踏み板12の段鼻12b近傍の踏み面12aの色との色差△Eがより大きくなるため、上段の踏み板12の段鼻12bをより鮮明に視認することができ、踏み板13~17の段鼻13b~17bも、同様に鮮明に視認することができる。
【0054】
なお、各踏み板11~17の踏み面11a~17aには、上述した色が、印刷により、均一に配色されていてもよく、例えば、木目模様などの模様とともに上述した色が、印刷により配色されていてもよい。さらに、上述した色が付された踏み面11a~17aに、光透過性樹脂からなる保護層がさらに形成されていてもよい。
【0055】
本実施形態では、各踏み板11~17の踏み面11a~17a、各蹴込み板21~27に対して、紫外線硬化型のインクを、未硬化の状態でインクジェット印刷により粒状に付着させて、上述した色を配色する。本実施形態では、インクジェット印刷を行うことにより、たとえば、ロールコータによる着色、スプレー塗装による着色などに比べて、極めて簡単に、上述した色を印刷領域に付すことができる。
【0056】
具体的には、インクジェット印刷に使用される紫外線硬化型のインクは、反応性オリゴマーまたは反応性モノマーに光重合開始剤が添加された紫外線硬化型樹脂と、着色剤とを少なくとも含む。たとえばイエロー、マゼンダ、シアン、およびブラックの4色の着色剤を、前記紫外線硬化型樹脂に個別に含有した4種のインクを準備し、これらのインクを用いて、各踏み面11a~17aに印刷し、踏み面11a~17aに上述した色を配色する。
【0057】
各踏み面11a~17aからなる印刷領域の印刷は以下のようにして行うことができる。まず、予め第1の色から第2の色まで色が変化したグラデーションの画像等を準備する。この画像を、各踏み面11a~17aに割り当て、割り当てられた画像に応じて、インクジェット印刷により各踏み面11a~17aに対して印刷を行う。
【0058】
インクジェット印刷はインクジェットプリンタにより行われる。インクジェットプリンタは、一般的な印刷に用いられるインクを収容し、印刷すべき木目模様等の所定の模様および色に合わせて各インクを個別に噴射するヘッドと、踏み板11~17を送るフィーダとを備えている。また、この他にも、踏み板11~17を吸着固定し、ヘッドのみを移動させて印刷を行ってもよい。
【0059】
インクジェットプリンタは、各踏み板11~17の踏み面11a~17aに対して略直交した方向からヘッドで噴射しながら、フィーダで各踏み板11~17を所定方向に送り、踏み面11a~17aに上述した色を付し、これにより、未硬化の印刷層(図示せず)を得る。未硬化の印刷層に対して、紫外線を照射することにより、印刷層を硬化させる。必要に応じて、印刷層を保護すべく、印刷層の表面に光透過性樹脂を塗装してもよく、光透過性樹脂からなるシート材をラミネートしてもよい。
【0060】
本実施形態では、紫外線硬化型のインクを用いたが、踏み面11a~17aの色を保持することができるのであれば、水性系インク、溶剤系インク、またはラテックス系インクなどであってもよい。
【0061】
〔第2実施形態〕
図6は、本発明の第2実施形態に係る階段構造1の模式的斜視図である。
図7は、
図6に示す階段構造1を下階から見た時の模式図である。
図8は、
図6に示す階段構造1を上階から見下ろした時の模式図である。第1実施形態のものと相違する点は、踏み面11a~17aの配色であり、蹴込み板21~27の前面21a~27aには、印刷により色を配色せず、踏み板11~17の段鼻11b~17bに配色した点である。したがって、本実施形態では、この相違点を主に説明し、他の構成の説明は省略する。
【0062】
本実施形態では、各踏み板11~17の踏み面11a~17aには、階段構造1の上段側から下段側に進むに従って、連続的に変化した色が印刷により配色(着色)されている。さらに、各踏み板11~17の踏み面11a~17aに配色された色は、第1実施形態とは異なり、上段側から下段側に進むに従って、配色された色の明度(具体的にはL*値)が低くなっている。これにより、階段構造1を見下ろした際に、各踏み板11~17の段鼻11b~17bを容易に視認することができるので、階段を上り下りする際に踏み板11~17の踏み外しを防止することができるとともに、踏み面11a~17aの色彩に違和感が生じ難い。
【0063】
本実施形態では、各踏み板11~17の踏み面11a~17aの上段側の端部11c~17cの色は、第1の色としてたとえば白色であり、下段側(段鼻11b~17b側)の端部11d~17dの色は、第1の色と異なる第2の色としてたとえば黒色である。
【0064】
図6に示すように、各踏み板11~17の段鼻11b~17bには、踏み板11~17の踏み面11a~17aの下段側の端部11d~17dの色と同じ色(黒色)が配色してある。
【0065】
これにより、
図7に示すように、階段構造1を下階から見た際に、たとえば、上段の踏み板12の段鼻12b近傍の色と、下段の踏み板11の踏み面11aの上段側の色との色差△Eが大きくなるため、上段の踏み板12の段鼻12bをより鮮明に視認することができる。その他の段鼻13b~17bの配色も同様にしたので、踏み板13~17の段鼻13b~17bも、同様に鮮明に視認することができる。
【0066】
なお、本実施形態では、踏み板11~17の段鼻11b~17bに、踏み板11~17の踏み面11a~17aの下段側の端部11d~17dの色と同じ色(黒色)を配色したが、たとえば、踏み板11~17の段鼻11b~17bに、踏み板11~17の踏み面11a~17aの下段側の端部11d~17dの色から、下方に進むに従って連続的に変化した色が配色されていてもよい。
【0067】
このような場合、段鼻11b~17bに、下方に進むに従って、踏み板11~17の踏み面11a~17aの下段側の端部11d~17dの色に対して色差△Eが大きくなるように、連続的に変化した色を配色することが好ましい。
【0068】
たとえば、踏み板11~17の踏み面11a~17aの下段側の端部11d~17dの色(第2の色)が、灰色である場合には、段鼻11b~17bに、下方に進むに従って、より白味の帯びた灰色(例えば、よりL*値が大きくなる色)を配色する。たとえば、踏み板11~17の踏み面11a~17aの下段側の端部11d~17dの色(第2の色)が、こげ茶色などの有彩色である場合には、段鼻11b~17bに、下方に進むに従って、より明るい茶色(例えば、よりL*値が大きくなる色)を配色する。
【0069】
これにより、階段構造1を下階から見た際に、段鼻11b~17bの色が際立つため、踏み板11~17の段鼻11b~17bをより鮮明に視認することができる。
【0070】
〔第3実施形態〕
図9は、本発明の第3実施形態に係る階段構造1の模式的斜視図である。
図10は、
図9に示す階段構造1を下階から見た時の模式図である。第3実施形態に係る階段構造1が、第1実施形態のものと相違する点は、段鼻および蹴込み板の前面の配色である。したがって、本実施形態では、この相違点を主に説明し、他の構成の説明は省略する。
【0071】
本実施形態では、踏み板11~17の段鼻11b~17bと、蹴込み板21~27の前面21a~27aが、下方に進むに従って、踏み板11~17の下段側(段鼻11b~17b側)の端部11d~17dの色(第2の色)から、踏み板11~17の上段側の端部11c~17cの色(第1の色)に近づくように、連続して変化した色が配色されている。
【0072】
これにより、
図10に示すように、階段構造1は、自然な色彩となり、階段構造1を下階から見た際に、段鼻11b~17bの色が際立ち、これをより鮮明に視認することができる。
【0073】
〔第4実施形態〕
図11は、本発明の第4実施形態に係る階段構造の模式的斜視図である。
図12は、
図11に示す階段構造を下階から見た時の模式図である。
図13は、
図11に示す階段構造を上階から見下ろした時の模式図である。第4実施形態に係る階段構造1が、第1実施形態のものと相違する点は、踏み板に模様を付した点である。したがって、本実施形態では、この相違点を主に説明し、他の構成の説明は省略する。
【0074】
本実施形態では、階段構造1の各踏み板11~17の踏み面11a~17aには、階段構造1の上段側から下段側に進むに従って、大きさが単調に変化した複数の同じ形状からなる模様が印刷により付されている。
【0075】
具体的には、本実施形態では、各踏み板11~17の踏み面11a~17aに付される形は、円形状からなる模様であり、階段構造1の上段側から下段側に進むに従って、その円形状が大きくなっている。本実施形態では、円形状からなる模様であったが、たとえば、多角形、楕円であってもよく、太さが変化する線であってもよく、階段構造1の上段側から下段側に進むに従って、その形状の大きさが小さくなってもよい。
【0076】
本実施形態によれば、各踏み板11~17の踏み面11a~17aに、階段構造1の上段側から下段側に進むに従って、大きさが単調に変化した複数の同じ形状からなる模様が印刷により、同一色で付されているので、
図12および
図13に示すように、階段構造1を見下ろした際に、各踏み板11~17の段鼻側における踏み面11a~17aを容易に視認することができる。この結果、階段を上り下りする際に踏み板の踏み外しを防止することができるとともに、踏み面11a~17aの模様に違和感が生じ難い。
【0077】
また、各踏み板11~17の踏み面11a~17aには、階段構造1の上段側から下段側に進むに従って、大きさが単調に変化した(単調に大きくなるように変化した)同じ模様が、印刷により付されているので、各踏み面11a~17aの模様に統一感があり、違和感のない階段構造となる。本実施形態では、踏み面11a~17aの模様は、同一色で付されているが、たとえば、第1または第2実施形態の如く、この模様に付された配色を変化させてもよい。
【0078】
〔第5実施形態〕
図14は、本発明の第5実施形態に係る階段構造の模式的斜視図である。
図15は、
図14に示す第5実施形態の階段構造の変形例の模式的斜視図であり、階段構造を上側から示す図である。
図16は、
図15に示す階段構造を下側から示す模式的斜視図である。第5実施形態に係る階段構造1が、第1実施形態のものと相違する点は、一対の側板41、42および蹴込み板21~27が設けられていない点である。したがって、本実施形態では、この相違点を主に説明し、他の構成の説明は省略する。なお、本実施形態では、8段の段差により階段構造が構成されている。
【0079】
本実施形態では
図14に示すように、階段構造1には一対の側板41、42および蹴込み板21~27が設けられていない。本実施形態の階段構造1は、いわゆる片持ち階段であり、各踏み板11~18は、長手方向(階段幅方向)の一方端が壁50に支持されている。より具体的には、各踏み板11~18の一方端は、壁50内に設けられた支持体(図示せず)に固定されている。
【0080】
本実施形態では、上記第1実施形態と同様、各踏み板11~18の踏み面11a~18aには、階段構造1の上段側から下段側に進むに従って、連続的に変化した色が印刷により配色されている。これにより、階段構造1を見下ろした際に、各踏み板11~18の段鼻11b~18bを容易に視認することができるので、階段を上り下りする際に踏み板11~18の踏み外しを防止することができるとともに、踏み面11a~18aの色彩に違和感が生じ難い。
【0081】
なお、一対の側板41、42を設けない場合、
図14に示したように各踏み板11~18の側面11e~18e及び裏面(踏み面11a~18aとは反対側の面)は、視認可能となる。
【0082】
そこで、
図15および
図16に示す変形例のように、各踏み板11~18の視認可能な側面11e~18eには、上段側から下段側に進むに従って連続的に変化した色が、配色されている。本実施形態では、各側面11e~18eには、踏み面11a~18aと同様、上段側から下段側に進むに従って、明度が高くなるように配色されている。
【0083】
このように、本実施形態では、各踏み板11~18の視認可能な側面11e~18eには、上段側から下段側に進むに従って連続的に変化した色が、配色されているので、階段構造1を側方から見た際に、踏み板11~18の側面11e~18eの色彩に違和感が生じることがない。また、各踏み板11~18の側面11e~18eを鮮明に視認することができるので、階段構造1の横の歩行者等が踏み板11~18に頭等をぶつけるのを抑制することができる。
【0084】
また、各踏み板11~18の裏面11f~18fには、上段側から下段側に進むに従って連続的に変化した色が、配色されている。本実施形態では、各裏面11f~18fには、踏み面11a~18aと同様、上段側から下段側に進むに従って、明度が高くなるように配色されている。
【0085】
このように、本実施形態では、各踏み板11~18の裏面11f~18fには、上段側から下段側に進むに従って連続的に変化した色が、配色されているので、階段構造1を裏側(下側)から見た際に、踏み板11~18の裏面11f~18fの色彩に違和感が生じることがない。また、各踏み板11~18の後部(段鼻とは反対側の部分)を鮮明に視認することができるので、階段構造1の下の歩行者等が踏み板11~18に頭等をぶつけるのを抑制することができる。
【0086】
また、各踏み板11~18の後面(段鼻とは反対側の面)11g~18gには、踏み面11a~18aの上段側の端部11c~18cの色と同じ色(黒色)が配色されている。これにより、後面11g~18gと他の面(踏み面11a~18a等)との色彩に統一感を持たせることができる。
【0087】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。
【0088】
たとえば、第1実施形態では、蹴込み板に色を配色し、踏み板の段鼻には色を配色していないが、たとえば、第2実施形態で示したように、踏み板の段鼻に色を配色してもよい。
【0089】
第4実施形態では、踏み面に、階段構造の上段側から下段側に進むに従って、大きさが単調に変化した複数の同じ形状からなる模様を付したが、例えば同じ形状および同じ大きさの複数の図形(線を含む)を、階段構造の上段側から下段側に進むに従って、これらの間隔が単調に変化するように配列した模様を、踏み板の踏み面に付してもよい。
【0090】
また、第5実施形態では、側板41、42が設けられていない階段構造1として、片持ち階段を例にして説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、
図17に示す本発明の第1変形例の階段構造1のように、踏み板11~15と、踏み板11~15を支持する一対のササラ桁61、62と、を含むササラ桁階段であってもよい。また、
図18に示す本発明の第2変形例の階段構造1のように、踏み板11~15と、踏み板11~15を支持する力桁63と、を含む力桁階段であってもよい。また、
図19に示す本発明の第3変形例の階段構造1のように、円弧状の踏み板11~20と、踏み板11~20を支持する支柱64と、を含む螺旋階段であってもよい。また、
図20に示す本発明の第4変形例の階段構造1のように、片持ち階段を構成する各踏み板11~19の壁50とは反対側の端部を吊り材65によって支持する吊り階段であってもよい。また、図示しないが、踏み板の下に引き出し等の箱型の収納部を備えた箱階段であってもよい。
【0091】
また、第5実施形態では、各踏み板11~18の一方の側面11e~18eのみが視認可能となっているため、一方の側面11e~18eのみに上段側から下段側に進むに従って連続的に変化した色が配色されている例について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、
図17または
図18に示した階段構造1のように各踏み板11~18の両方の側面が視認可能となっている場合には、各踏み板11~18の両方の側面に上段側から下段側に進むに従って連続的に変化した色が配色されていることが好ましい。すなわち、各踏み板の6面(踏み面、裏面、段鼻、後面、一対の側面)の全てが、印刷により配色されていてもよい。
【0092】
また、第1~第4実施形態では、階段構造1に蹴込み板21~27を設ける例について示したが、本発明はこれに限らない。側桁41、42を備えた階段構造1に蹴込み板21~27を設けなくてもよい。
【0093】
逆に、第5実施形態および
図17~
図20の変形例において、蹴込み板が設けられていてもよい。この場合、蹴込み板の側面および後面(上段側の面)は、視認可能となる。このため、蹴込み板の側面および後面も、例えば蹴込み板の前面と同様に配色されていてもよい。
【0094】
また、上述した実施形態および変形例の構成を適宜組み合わせて得られる構成についても、本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0095】
1:階段構造、11~20:踏み板、11a~18a:踏み面、11b~18b:段鼻、11c~18c:上段側の踏み面の端部、11d~17d:下段側の踏み面の端部、11e~18e:側面、11f~18f:裏面、21~27:蹴込み板、21a~27a:蹴込み板21~27の前面、41,42:側板