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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-02
(45)【発行日】2023-06-12
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1334 20060101AFI20230605BHJP
   G02F 1/1343 20060101ALI20230605BHJP
【FI】
G02F1/1334
G02F1/1343
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019043826
(22)【出願日】2019-03-11
(65)【公開番号】P2020148819
(43)【公開日】2020-09-17
【審査請求日】2022-02-03
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 幸次朗
(72)【発明者】
【氏名】奥山 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】中村 天風
【審査官】近藤 幸浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-012230(JP,A)
【文献】特開2002-296618(JP,A)
【文献】特開2002-090540(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0038643(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1334
G02F 1/1343
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子と、
第1透明基板と、走査線と、前記走査線を覆う第1無機絶縁膜と、前記第1無機絶縁膜の上において前記走査線と交差する信号線と、前記走査線及び前記信号線と電気的に接続されたスイッチング素子と、前記走査線、前記信号線、及び、前記スイッチング素子の直上に配置され格子状に形成された有機絶縁膜と、前記スイッチング素子と電気的に接続された画素電極と、を備えた第1基板と、
前記発光素子と対向する側面を備えた第2透明基板と、前記画素電極に重畳する共通電極と、を備えた第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に設けられ、第1方向に沿って延出した筋状のポリマーと、液晶分子とを含む液晶層と、を備え、
前記有機絶縁膜は、前記走査線、前記信号線、及び、前記スイッチング素子で囲まれた領域に前記第1無機絶縁膜まで貫通した開口部を有し、
前記画素電極は、前記開口部に設けられ、
前記液晶層は、前記有機絶縁膜に重畳し且つ前記画素電極に重畳しない第1領域の第1ポリマーと、前記開口部において前記画素電極に重畳し且つ前記有機絶縁膜と交差する第2領域の第2ポリマーと、を含み、
前記第1基板は、さらに、容量電極と、前記容量電極と前記画素電極との間に介在する第2無機絶縁膜と、を備え、
前記容量電極は、前記開口部において前記第1無機絶縁膜に接し、前記有機絶縁膜を介して前記信号線に対向し、前記有機絶縁膜及び前記第1無機絶縁膜を介して前記走査線に対向し、
前記第1ポリマーの密度は、前記第2ポリマーの密度より高い、表示装置。
【請求項2】
前記第2基板は、前記走査線及び前記信号線と重畳する位置に遮光層を備えていない、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記側面は、平面視において、前記第1方向に沿って延出している、請求項に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1ポリマー及び前記第2ポリマーは、同一材料によって形成されている、請求項1乃至のいずれか1項に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光に対して散乱性あるいは透明性を呈する光変調素子を備えた照明装置が種々提案されている。一例では、光変調素子は、光変調層として高分子分散液晶層を備えている。光変調素子は、導光板の背後に配置され、導光板の側面から入射した光を散乱するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-151081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本実施形態の目的は、表示品位の低下を抑制することが可能な表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態によれば、
発光素子と、第1透明基板と、前記第1透明基板の上に設けられた配線と、前記配線と電気的に接続されたスイッチング素子と、前記スイッチング素子と電気的に接続された画素電極と、を備えた第1基板と、前記発光素子と対向する側面を備えた第2透明基板と、前記画素電極に重畳する共通電極と、を備えた第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に設けられ、第1方向に沿って延出した筋状のポリマーと、液晶分子とを含む液晶層と、を備え、前記液晶層は、前記配線に重畳する領域の第1ポリマーと、前記画素電極に重畳する領域の第2ポリマーと、を含み、前記第1ポリマーは、前記第1方向とは異なる方向に延出した第1部分を含み、前記第2ポリマーは、前記第1方向とは異なる方向に延出した第2部分を含み、前記第1部分の密度は、前記第2部分の密度より高い、表示装置が提供される。
本実施形態によれば、
発光素子と、第1透明基板と、前記第1透明基板の上に設けられ開口部を規定する格子状の絶縁膜と、前記開口部に設けられた画素電極と、を備えた第1基板と、前記発光素子と対向する側面を備えた第2透明基板と、前記画素電極に重畳する共通電極と、を備えた第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に設けられ、第1方向に沿って延出した筋状のポリマーと、液晶分子とを含む液晶層と、を備え、前記液晶層は、前記絶縁膜に重畳する領域の第1ポリマーと、前記開口部に重畳する領域の第2ポリマーと、を含み、前記第1ポリマーの密度は、前記第2ポリマーの密度より高い、表示装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、本実施形態の表示装置DSPの一構成例を示す平面図である。
図2図2は、図1に示した画素PXの一例を示す平面図である。
図3図3は、図2に示した第1基板SUB1に設けられる絶縁膜ILの一例を示す平面図である。
図4図4は、図3に示した第2領域A2を含むA-B線に沿った表示パネルPNLの一例を示す断面図である。
図5図5は、図3に示した第1領域A1を含むC-D線に沿った表示パネルPNLの一例を示す断面図である。
図6図6は、本実施形態の表示装置DSPの一例を示す断面図である。
図7図7は、比較例の液晶層LCに印加する電圧と、液晶層LCの散乱度(輝度)との関係を表すグラフである。
図8図8は、本実施形態の液晶層LCに印加する電圧と、液晶層LCの散乱度(輝度)との関係を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0008】
図1は、本実施形態の表示装置DSPの一構成例を示す平面図である。一例では、第1方向X、第2方向Y、及び、第3方向Zは、互いに直交しているが、90度以外の角度で交差していてもよい。第1方向X及び第2方向Yは、表示装置DSPを構成する基板の主面と平行な方向に相当し、第3方向Zは、表示装置DSPの厚さ方向に相当する。本実施形態においては、第1方向X及び第2方向Yで規定されるX-Y平面を見ることを平面視という。
【0009】
本実施形態においては、表示装置DSPの一例として、高分子分散型液晶を適用した液晶表示装置について説明する。表示装置DSPは、表示パネルPNLと、配線基板1と、ICチップ2と、複数の発光素子LDと、を備えている。
【0010】
表示パネルPNLは、第1基板SUB1と、第2基板SUB2と、液晶層LCと、シールSEと、を備えている。第1基板SUB1及び第2基板SUB2は、X-Y平面と平行な平板状に形成されている。第1基板SUB1及び第2基板SUB2は、平面視で、重畳している。第1基板SUB1及び第2基板SUB2は、シールSEによって接着されている。液晶層LCは、第1基板SUB1と第2基板SUB2との間に保持され、シールSEによって封止されている。図1において、液晶層LC及びシールSEは、異なる斜線で示している。
【0011】
図1において拡大して模式的に示すように、液晶層LCは、ポリマー31と、液晶分子32と、を含む高分子分散型液晶を備えている。一例では、ポリマー31は、液晶性ポリマーである。ポリマー31は、第1方向Xに沿って延出した筋状に形成され、第2方向Yに並んでいる。液晶分子32は、ポリマー31の隙間に分散され、その長軸が第1方向Xに沿うように配向される。ポリマー31及び液晶分子32の各々は、光学異方性あるいは屈折率異方性を有している。ポリマー31の電界に対する応答性は、液晶分子32の電界に対する応答性より低い。
【0012】
一例では、ポリマー31の配向方向は、電界の有無にかかわらずほとんど変化しない。一方、液晶分子32の配向方向は、液晶層LCにしきい値以上の高い電圧が印加された状態では、電界に応じて変化する。液晶層LCに電圧が印加されていない状態では、ポリマー31及び液晶分子32のそれぞれの光軸は互いに平行であり、液晶層LCに入射した光は、液晶層LC内でほとんど散乱されることなく透過する(透明状態)。液晶層LCに電圧が印加された状態では、ポリマー31及び液晶分子32のそれぞれの光軸は互いに交差し、液晶層LCに入射した光は、液晶層LC内で散乱される(散乱状態)。
【0013】
表示パネルPNLは、画像を表示する表示部DAと、表示部DAを囲む額縁状の非表示部NDAと、を備えている。シールSEは、非表示部NDAに位置している。表示部DAは、第1方向X及び第2方向Yにマトリクス状に配列された画素PXを備えている。
図1において拡大して示すように、各画素PXは、スイッチング素子SW、画素電極PE、共通電極CE、液晶層LC等を備えている。スイッチング素子SWは、例えば薄膜トランジスタ(TFT)によって構成され、走査線G及び信号線Sと電気的に接続されている。走査線Gは、第1方向Xに並んだ画素PXの各々におけるスイッチング素子SWと電気的に接続されている。信号線Sは、第2方向Yに並んだ画素PXの各々におけるスイッチング素子SWと電気的に接続されている。画素電極PEは、スイッチング素子SWと電気的に接続されている。共通電極CEは、複数の画素電極PEに対して共通に設けられている。画素電極PEの各々は、第3方向Zにおいて共通電極CEと対向している。液晶層LC(特に、液晶分子32)は、画素電極PEと共通電極CEとの間に生じる電界によって駆動される。容量CSは、例えば、共通電極CEと同電位の電極、及び、画素電極PEと同電位の電極の間に形成される。
【0014】
後に説明するが、走査線G、信号線S、スイッチング素子SW、及び、画素電極PEは、第1基板SUB1に設けられ、共通電極CEは、第2基板SUB2に設けられている。第1基板SUB1において、走査線G及び信号線Sは、配線基板1あるいはICチップ2と電気的に接続されている。
【0015】
配線基板1は、第1基板SUB1の延出部Exに実装されている。延出部Exは、第1基板SUB1のうち第2基板SUB2と重畳しない部分に相当する。配線基板1は、例えば折り曲げ可能なフレキシブルプリント回路基板である。ICチップ2は、配線基板1に実装されている。ICチップ2は、例えば、画像表示に必要な信号を出力するディスプレイドライバなどを内蔵している。なお、ICチップ2は、延出部Exに実装されてもよい。
【0016】
複数の発光素子LDは、平面視で延出部Exに重畳している。これらの発光素子LDは、第1方向Xに沿って間隔をおいて並んでいる。発光素子LDは、例えば、発光ダイオードであり、詳述しないが、赤発光部、緑発光部、及び、青発光部を備えている。これらの発光素子LDは、第2基板SUB2の端部E21に沿って配置され、端部E21に向けて光を出射する。端部E21は、平面視において、第1方向Xに沿って延出している。
【0017】
図2は、図1に示した画素PXの一例を示す平面図である。第1基板SUB1は、走査線G1及びG2と、信号線S1及びS2と、スイッチング素子SWと、画素電極PEと、を備えている。
走査線G1及びG2は、第2方向Yに間隔を置いて並んでいる。信号線S1及びS2は、走査線G1及びG2と交差し、第1方向Xに間隔を置いて並んでいる。ここでは、走査線G1及びG2の延出方向を第1方向Xとし、信号線S1及びS2の延出方向を第2方向Yとする。図2に示した画素PXは、隣接する走査線G1及びG2と、隣接する信号線S1及びS2とで規定された領域に相当する。
スイッチング素子SWは、走査線G1及び信号線S1の交差部に設けられている。スイッチング素子SWは、半導体層SCを備えている。半導体層SCは、走査線G1と一体のゲート電極SWGに重畳している。信号線S1と一体のソース電極SWS、及び、ドレイン電極SWDは、それぞれ半導体層SCと電気的に接続されている。画素電極PEは、走査線G1及びG2の間、及び、信号線S1及びS2の間に設けられている。画素電極PEは、ドレイン電極SWDに重畳し、コンタクトホールCHを介してスイッチング素子SWと電気的に接続されている。
【0018】
図3は、図2に示した第1基板SUB1に設けられる絶縁膜ILの一例を示す平面図である。絶縁膜ILは、各画素PXにおいて、開口部OPを規定する格子状に形成されている。すなわち、絶縁膜ILは、第1方向Xに沿って延出した部分ILXと、第2方向Yに沿って延出した部分ILYと、を有している。絶縁膜ILは、走査線G1及びG2、信号線S1及びS2、及び、スイッチング素子SWにそれぞれ重畳している。図3において一点鎖線で示す画素電極PEは、開口部OPに重畳するように設けられている。画素電極PEの周縁部は、部分ILX及び部分ILYに重畳している。図2に示したコンタクトホールCHは、開口部OPに設けられている。絶縁膜ILは、例えば有機絶縁膜であるが、無機絶縁膜であってもよい。
【0019】
X-Y平面で平面視した際に、液晶層LCに含まれるポリマー31のうち、配線の一例である走査線G1に重畳する第1領域A1のポリマー、あるいは、絶縁膜ILに重畳する第1領域A1のポリマーは、図3において拡大して示す第1ポリマー31Aに相当する。画素電極PEに重畳する第2領域A2のポリマー、あるいは、開口部OPに重畳する第2領域A2のポリマーは、図3において拡大して示す第2ポリマー31Bに相当する。第1ポリマー31Aの密度は、第2ポリマー31Bの密度より高い。これらの第1ポリマー31A及び第2ポリマー31Bは、同一材料によって形成されている。つまり、第1ポリマー31A及び第2ポリマー31Bは、同一のモノマーを原料として形成されている。
ここでの第1ポリマー31A及び第2ポリマー31Bのそれぞれの密度は、液晶層LCをX-Y平面で平面視した際、単位面積当たりの各ポリマーの本数、あるいは、単位面積当たりの各ポリマーの全長で規定される。
なお、本実施形態の密度は、液晶層LCをX-Z平面あるいはY-Z平面で断面視した際、単位面積当たりの各ポリマーの本数、あるいは、単位面積当たりの各ポリマーの全長で規定されてもよい。また、本実施形態の密度は、単位体積当たりの各ポリマーの本数、あるいは、単位体積当たりの各ポリマーの全長、あるいは、単位体積当たりの各ポリマーの体積で規定されてもよい。
【0020】
図4は、図3に示した第2領域A2を含むA-B線に沿った表示パネルPNLの一例を示す断面図である。
【0021】
第1基板SUB1は、透明基板(第1透明基板)10と、絶縁膜11及び12と、信号線S1及びS2と、絶縁膜ILと、容量電極Cと、画素電極PEと、配向膜AL1と、を備えている。絶縁膜11は、透明基板10の上面に設けられている。信号線S1及びS2は、絶縁膜11の上に設けられ、絶縁膜ILの部分ILYによって覆われている。容量電極Cは、開口部OPにおいて絶縁膜11の上に設けられ、絶縁膜12によって覆われている。また、容量電極Cは、部分ILYに重なり、信号線S1及びS2と対向している。画素電極PEは、開口部OPにおいて絶縁膜12の上に設けられ、配向膜AL1によって覆われている。つまり、容量電極Cは、透明基板10と画素電極PEとの間に設けられている。画素電極PEは、絶縁膜12を挟んで容量電極Cと対向し、画素PXの容量CSを形成している。図2に示したコンタクトホールCHは、絶縁膜12を貫通するものである。配向膜AL1は、液晶層LCに接している。
【0022】
第2基板SUB2は、透明基板(第2透明基板)20と、共通電極CEと、配向膜AL2と、を備えている。共通電極CEは、透明基板20の主面に設けられ、配向膜AL2によって覆われている。なお、第2基板SUB2において、スイッチング素子SW、走査線G、及び、信号線Sの直上にそれぞれ遮光層が設けられてもよい。また、透明基板20と共通電極CEとの間、あるいは、共通電極CEと配向膜AL2との間に、透明な絶縁膜が設けられてもよい。共通電極CEは、複数の画素電極PEと対向している。また、共通電極CEは、容量電極Cと電気的に接続されており、容量電極Cとは同電位である。配向膜AL2は、液晶層LCに接している。
【0023】
液晶層LCは、第1基板SUB1と第2基板SUB2との間に設けられている。液晶層LCは、筋状の第2ポリマー31Bと、液晶分子32とを含んでいる。
【0024】
図5は、図3に示した第1領域A1を含むC-D線に沿った表示パネルPNLの一例を示す断面図である。第1基板SUB1は、さらに、走査線G1を備えている。走査線G1は、透明基板10の上面に設けられ、絶縁膜11によって覆われている。走査線G1の直上には、絶縁膜ILの部分ILXが設けられている。部分ILXは、絶縁膜11の上に設けられている。容量電極Cは、部分ILXに重なっている。
第2基板SUB2においては、図4及び図5に示すように、配線の一例である走査線G1、信号線S1及びS2の各々と重畳する位置に遮光層を備えていない。
【0025】
液晶層LCは、筋状の第1ポリマー31Aと、液晶分子32とを含んでいる。図4及び図5に示すように、X-Z平面において液晶層LCを断面視した際に、第1ポリマー31Aの密度は、第2ポリマー31Bの密度より高い。
また、第1ポリマー31Aは、第1方向Xとは異なる方向に延出した第1部分311を含んでいる。図4に示した第2ポリマー31Bは、第1方向Xとは異なる方向に延出した第2部分312を含んでいる。なお、ここでの第1部分311とは、筋状の第1ポリマー31Aの一部分であってもよいし、筋状の第1ポリマー31Aから分岐した部分であってもよい。第2部分312とは、筋状の第2ポリマー31Bの一部であってもよいし、筋状の第2ポリマー31Bから分岐した部分であってもよい。第1方向Xとは異なる方向とは、第2方向Yでもよいし、第3方向Zでもよいし、第2方向Y及び第3方向Zのいずれとも異なる方向であってもよい。第1部分311の密度は、第2部分312の密度より高い。
【0026】
ここでの第1部分311及び第2部分312のそれぞれの密度は、液晶層LCをX-Z平面で断面視した際、単位面積当たりの各部分の本数、あるいは、単位面積当たりの各部分の全長で規定される。
なお、本実施形態の密度は、液晶層LCをX-Y平面で平面視した際、単位面積当たりの各部分の本数、あるいは、単位面積当たりの各部分の全長で規定されてもよい。また、本実施形態の密度は、液晶層LCをY-Z平面で断面視した際、単位面積当たりの各部分の本数、あるいは、単位面積当たりの各部分の全長で規定されてもよい。また、本実施形態の密度は、単位体積当たりの各部分の本数、あるいは、単位体積当たりの各部分の全長、あるいは、単位体積当たりの各部分の体積で規定されてもよい。
【0027】
透明基板10及び20は、ガラス基板やプラスチック基板などの絶縁基板である。絶縁膜11は、例えば、シリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコン酸窒化物などの透明な無機絶縁膜である。絶縁膜ILは、例えば、アクリル樹脂などの透明な有機絶縁膜である。絶縁膜12は、シリコン窒化物などの透明な無機絶縁膜である。容量電極C、画素電極PE、及び、共通電極CEは、インジウム錫酸化物(ITO)やインジウム亜鉛酸化物(IZO)などの透明導電材料によって形成された透明電極である。配向膜AL1及びAL2は、X-Y平面に略平行な配向規制力を有する水平配向膜である。一例では、配向膜AL1及びAL2は、第1方向Xに沿って配向処理されている。なお、配向処理とは、ラビング処理であってもよいし、光配向処理であってもよい。
【0028】
図6は、本実施形態の表示装置DSPの一例を示す断面図である。なお、表示パネルPNLについては、主要部のみを図示している。
第1基板SUB1において、画素電極PEは、画素PX毎に設けられている。第2基板SUB2において、共通電極CEは、複数の画素PXに亘って配置され、第3方向Zにおいて、複数の画素電極PEと対向している。
透明基板30は、透明な接着層ADにより透明基板20に接着されている。透明基板20は、第3方向Zにおいて、液晶層LCと透明基板30との間に位置している。なお、透明基板30は、省略してもよい。
【0029】
透明基板30は、ガラス基板やプラスチック基板などの絶縁基板であり、透明基板10と同等の屈折率を有している。接着層ADは、透明基板20及び30と同等の屈折率を有している。なお、ここでの「同等」とは、屈折率差がゼロの場合に限らず、屈折率差が0.03以下の場合を含む。
【0030】
透明基板10は側面10Cを備え、透明基板20は側面20Cを備え、透明基板30は側面30Cを備えている。側面20Cは、図1に示した第2基板SUB2の端部E21に相当する。延出部Exは、第2方向Yに沿って側面10Cと側面20Cとの間の領域に相当する。側面30Cは、側面20Cの直上に位置している。
発光素子LDは、第2方向Yにおいて、側面20C及び側面30Cと対向している。発光素子LDは、配線基板Fに電気的に接続されている。なお、発光素子LDと、側面20C及び30Cとの間に、透明な導光体が配置されてもよい。
【0031】
次に、図6を参照しながら、発光素子LDから出射される光L1について説明する。
発光素子LDは、側面20C及び30Cに向けて光L1を出射する。発光素子LDから出射された光L1は、第2方向Yを示す矢印の向きに沿って進行し、側面20Cから透明基板20に入射するとともに、側面30Cから透明基板30に入射する。透明基板20及び30に入射した光L1は、繰り返し反射されながら、表示パネルPNLの内部を進行する。電圧が印加されていない液晶層LCに入射した光L1は、ほとんど散乱されることなく液晶層LCを透過する。また、電圧が印加された液晶層LCに入射した光L1は、液晶層LCで散乱される。表示装置DSPは、透明基板10側から観察可能であるとともに、透明基板30側からも観察可能である。また、表示装置DSPが透明基板10側から観察された場合であっても、透明基板30側から観察された場合であっても、表示装置DSPを介して、表示装置DSPの背景を観察可能である。
【0032】
本実施形態によれば、図5に示す第1ポリマー31Aの密度が図4に示す第2ポリマー31Bの密度より高く、また、第1ポリマー31Aに含まれる第1部分311の密度が第2ポリマー31Bに含まれる第2部分312の密度より高い。このため、配線(例えば走査線)に重畳する第1領域A1において、液晶分子32の動きは、第1ポリマー31Aによって規制される傾向にある。このため、第1領域A1においては、液晶分子32が初期配向状態に維持される(つまり、液晶層LCにしきい値未満の電圧が印加された状態に維持される)。したがって、液晶層LCのうち、第1領域A1は、透明状態が保たれ、不所望な散乱による表示品位の低下を抑制することができる。
加えて、発光素子LDからの出射光が第2方向Yに沿って伝播するに際して、不所望な散乱による光の損失を抑制することができる。
また、第1領域A1における不所望な散乱が抑制されるため、配線に重畳する遮光層を省略することができ、透明状態での表示パネルPNLの透過率を向上することができる。
【0033】
一方で、画素電極PEに重畳する第2領域A2において、液晶分子32の動きは、第1領域A1と比較してスムースである。このため、第2領域A2においては、液晶分子32の電圧に対する応答特性を向上することができる。
【0034】
図7は、液晶層LCに印加する電圧と、液晶層LCの散乱度(輝度)との関係を表すグラフである。なお、図7では、比較例の表示パネルにおける電圧と散乱度との関係を示している。比較例の表示パネルが備える液晶層は、画素電極PEに重畳する領域が図3の第1領域A1と同様に高密度の第1ポリマー31Aを含んでいる。
【0035】
グラフ中の実線の曲線C1は、液晶層LCに印加する電圧を所定値まで上昇させる場合の散乱度に相当する。一方、グラフ中の破線の曲線C2は、液晶層LCに印加する電圧を上記所定値から低下させる場合の散乱度に相当する。
曲線C1及びC2のいずれにおいても、電圧が高いほど散乱度が大きくなり、電圧が十分に大きくなると散乱度が飽和する。表示品位の観点からは、曲線C1及びC2が一致することが好ましい。しかしながら、図7に示す例においては、高電圧の領域においては曲線C1及びC2がほぼ一致するが、低電圧の領域においては同じ電圧でも曲線C2の散乱度が曲線C1の散乱度よりも大きい。このような応答特性のヒステリシスは、電圧印加によって初期配向方向とは異なる方向に配向した液晶分子32がその周辺のポリマー31によって拘束されたため、液晶層LCに印加する電圧を低下させても元の配向状態に復帰しにくくなって生ずるものと推定されている。
【0036】
図8は、液晶層LCに印加する電圧と、液晶層LCの散乱度(輝度)との関係を表すグラフである。なお、図8では、本実施形態の表示パネルにおける電圧と散乱度との関係を示している。
本実施形態によれば、低電圧の領域から高電圧の領域に亘って、曲線C1及びC2がほぼ一致していることが確認された。すなわち、上記の通り、画素電極PEに重畳する領域の液晶層LCにおいて、液晶分子32の周辺のポリマー31は、液晶分子32を拘束するほどの密度を有していない。このため、電圧印加によって初期配向方向とは異なる方向に配向した液晶分子32は、液晶層LCに印加する電圧を低下させた際に元の配向状態に迅速に復帰することができる。したがって、応答特性のヒステリシスが緩和される。また、上記のヒステリシスが一因となりうる焼き付きを抑制することができる。
【0037】
以上説明したように、本実施形態によれば、表示品位の低下を抑制することが可能な表示装置を提供することができる。
【0038】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0039】
DSP…表示装置 PNL…表示パネル LD…発光素子
SUB1…第1基板 SUB2…第2基板
LC…液晶層 31…ポリマー 32…液晶分子
G…走査線 S…信号線 SW…スイッチング素子 PE…画素電極 CE…共通電極
10…透明基板 20…透明基板 IL…絶縁膜 OP…開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8