(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-02
(45)【発行日】2023-06-12
(54)【発明の名称】回転電機
(51)【国際特許分類】
H02K 1/24 20060101AFI20230605BHJP
H02K 19/24 20060101ALI20230605BHJP
【FI】
H02K1/24 B
H02K19/24 A
(21)【出願番号】P 2019090810
(22)【出願日】2019-05-13
【審査請求日】2022-04-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000149033
【氏名又は名称】株式会社エクセディ
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100091524
【氏名又は名称】和田 充夫
(74)【代理人】
【識別番号】100172236
【氏名又は名称】岩木 宣憲
(72)【発明者】
【氏名】桂 斉士
(72)【発明者】
【氏名】北村 太一
(72)【発明者】
【氏名】北田 賢司
【審査官】三澤 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-315284(JP,A)
【文献】特開2009-060761(JP,A)
【文献】特開2003-324873(JP,A)
【文献】実開平02-003152(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/24
H02K 19/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非回転部材と、
前記非回転部材に固定された固定子と、
前記非回転部材に固定され、前記固定子の内径側に配置され、界磁コイル鉄心に巻線を巻回した界磁コイルと、
前記固定子および前記界磁コイルの間に回転可能に配置された回転子と
を備え、
前記回転子は、
前記固定子に対向する部分において、前記回転子の回転軸の延在方向の一端と前記延在方向の一端とは異なる部分とで、異なる前記回転子の回転軸に対する径方向の寸法を有し、
前記回転子が、
前記部分において、前記界磁コイル鉄心に対向し、かつ、前記延在方向の一端から前記延在方向の中央に向かうに従って前記界磁コイル鉄心から離れるように傾斜する傾斜面を有し、
前記傾斜面により、前記部分の前記延在方向の一端における前記径方向の寸法と、前記部分の前記延在方向の一端とは異なる部分における前記径方向の寸法とが異なっており、
前記界磁コイルが、
前記回転子の前記傾斜面に沿って延びる前記径方向の外縁を有し、全ての前記径方向に隣接する前記巻線が接触している、回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シャフトと、前記シャフトと一体回転する磁極を備えた回転子と、前記回転子の外側に対向配置された固定子と、前記シャフトを回転自在に支持し、前記回転子および前記固定子を収納するブラケットと、前記ブラケットに固定され、内周面が空隙を介して前記回転子と対向し、前記回転子および前記固定子とともに磁気回路を形成する継鉄部と、前記継鉄部のうち外径が他の部分より小さい薄肉部の外周面と係合するボビンと、前記ボビンに巻回され、磁束を発生させる界磁コイルと、前記薄肉部に接合され、前記ボビンを軸方向に保持する保持材とを備えた回転電機が公知である(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来の回転電機では、回転子から固定子に効率よく磁束を流す構成については考慮されてない。
【0005】
本発明は、回転子から固定子に効率よく磁束を流して、トルクを向上させることが可能な回転電機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するための手段として、以下のように構成する。すなわち、本発明の1つの態様によれば、非回転部材と、前記非回転部材に固定された固定子と、前記非回転部材に固定され、前記固定子の内径側に配置され、界磁コイル鉄心に巻線を巻回した界磁コイルと、前記固定子および前記界磁コイルの間に回転可能に配置された回転子とを備え、前記回転子の前記固定子に対向する部分における前記回転子の回転軸に対する径方向の寸法が、前記回転子の回転軸の延在方向の一端と前記延在方向の一端とは異なる部分とで異なっている、回転電機を提供する。
【発明の効果】
【0007】
前記態様の回転電機によれば、回転子の固定子に対向する部分における径方向の寸法が、回転子の回転軸の延在方向の一端と回転子の回転軸の延在方向の一端とは異なる部分とで異なっている。このような構成により、回転子から固定子に効率よく磁束を流して、回転電機のトルクを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係る回転電機の部分破断斜視図である。
【
図2】
図1のハウジングを示す部分破断斜視図である。
【
図3】
図1の界磁コイル鉄心を示す部分破断斜視図である。
【
図5】他の実施形態に係る回転電機の部分破断斜視図である。
【
図6】他の実施形態に係る回転電機の部分破断斜視図である。
【
図7】他の実施形態に係る回転子の部分破断斜視図である。
【
図8】他の実施形態に係る回転子の部分破断斜視図である。
【
図9】他の実施形態に係る回転子の部分破断斜視図である。
【
図10】他の実施形態に係る回転子および界磁コイル鉄心の部分破断斜視図である。
【
図11】他の実施形態に係る界磁コイル鉄心の部分破断斜視図である。
【
図12】他の実施形態に係る回転電機の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施形態を添付図面に従って説明する。なお、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物、あるいは、その用途を制限することを意図するものではない。
【0010】
本発明の回転電機は、HEV(ハイブリッド電気自動車)、EV(電気自動車)、その他電動機を構成として含む機器に適用できる。本実施形態では、一例としてEV(電気自動車)用の回転電機について説明する。
【0011】
図1は、本実施形態に係る回転電機の部分破断斜視図である。この回転電機は、非回転部材の一例のハウジング1と、ハウジング1の外周面を覆うジャケット2と、ハウジング1内に設けられる、固定子3、界磁コイル鉄心4及び回転子5とを備え、回転子5が、界磁コイル鉄心4のまわりをハウジング1、固定子3及び界磁コイル鉄心4に対して回転するように構成されている。
【0012】
ハウジング1は、
図2に示すように、有底筒状のハウジング本体6と、このハウジング本体6の一端側開口部を覆う蓋体(図示せず)とで構成されている。ハウジング本体6の他端側の壁部7の中央には段付き凹部8が形成されている。段付き凹部8の中心には貫通穴9が形成されている。壁部7の内面側には、段付き凹部8によってガイド部10が形成されている。ガイド部10は、段付き形状で、先端側から第1凸部10a、第2凸部10b及び第3凸部10cで構成されている。壁部7の外端面には、段付き凹部8の周囲の内径側環状リブ11aと、外周縁の外径側環状リブ11bと、径方向に延び、内径側環状リブ11aと外径側環状リブ11bとを接続する複数の直線リブ11cとが形成されている。また、ハウジング本体6の外周面には全周に亘って環状溝12が形成されている。
【0013】
ジャケット2は、
図1に示すように、ハウジング1の外周面を覆う円筒状に形成されている。ジャケット2は、ハウジング1の環状溝12を覆って熱交換媒体の一例としての冷却水を流動させる冷却水路13を区画する。ジャケット2には、冷却水路13に連通する複数の連通穴(図示せず)が形成され、これら連通穴を介して冷却水路13で冷却水を流動できるように構成されている。
【0014】
固定子3は、固定子コア14とコイル15を備える。固定子コア14は、複数の電磁鋼板を積層することにより得られる。固定子コア14は、電磁鋼板の積層方向が界磁コイル鉄心4の軸方向に合致するようにしてハウジング1に取り付けられている。コイル15は、固定子コア14にその軸方向の両端部からはみ出すように巻回されている。
【0015】
界磁コイル鉄心4は、
図3に示すように、界磁コイル鉄心本体16、界磁コイル鉄心鍔部17及び界磁コイル18を備える。界磁コイル鉄心本体16は、鉄心部19と鍔部20で構成されている。鍔部20の端面中央には円形状の位置決め凹部21が形成されている。位置決め凹部21の中心には流動穴22が形成されている。流動穴22は、鉄心部19の長手方向の中央位置を超えて延び、先端近傍に到達している。また鍔部20の端面外周側には環状凸部23が形成されている。界磁コイル鉄心鍔部17は鉄心部19の先端に固定されている。界磁コイル18は、鍔部20との間に形成されるコイル巻回部に巻回されている。
【0016】
界磁コイル鉄心4は、その界磁コイル鉄心鍔部17をハウジング1の壁部7の内面に形成したガイド部10に固定されている。すなわち、界磁コイル鉄心鍔部17の位置決め凹部21にはガイド部10の第1凸部10aが嵌合し、環状凸部23にはガイド部10の第2凸部10bが嵌合している。これにより、界磁コイル鉄心4は、ハウジング1に対していわゆる片持ち状態で支持される。この状態で、ハウジング1の貫通穴9と、界磁コイル鉄心4の流動穴22とが連通する。流動穴22には、貫通穴9を介して、流動穴22よりも小さい外径寸法を有するパイプ24が挿入されている。これにより、パイプ24の中心穴(第1流路)を介して流動穴22内に冷却水を供給すると、この冷却水は、パイプ24の中心穴を通って流動穴22の底部まで到達し、流動穴22とパイプ24の間に形成される環状通路25(第2流路)を貫通穴9側まで流動した後、流動穴22の外部に排出されることになる。なお、環状凸部23と第2凸部10bとが嵌合することにより、第2凸部10bの外周部分に環状につながった溝が形成されている。この溝にはベアリング26が配置されている。
【0017】
回転子5は、
図4に示すように、第1回転子部27と第2回転子部28を備え、界磁コイル鉄心4の外周側で、固定子3および界磁コイル鉄心4に対して回転可能に支持されている。
【0018】
第1回転子部27は、第1環状部29を備える。第1環状部29からは、この第1環状部29よりも小径の筒部30が突出している。第1環状部29は、ベアリング26を介してハウジング1のガイド部10に回転可能に支持されている。また、第1環状部29からは、筒部30とは反対側に複数の第1延在部31が突出している。第1延在部31は、第1環状部29の周方向に所定ピッチで形成され、隣接する2つの第1延在部31の間は第1逃がし部32となっている。第1回転子部27は磁性材料で構成され、界磁コイル18の巻線への通電により例えばS極となる。
【0019】
第2回転子部28は、第2環状部33を備える。第2環状部33は、固定子5および界磁コイル18に対して回転可能に支持されている。第2環状部33からは、この第2環状部33よりも小径の台座部34が突出している。台座部34の中央からは回転軸部35が突出している。回転軸部35の回転力が図示しない被駆動部へと伝達される。また、第2環状部33からは、台座部34とは反対側に、複数の第2延在部36が突出している。第2延在部36は、第2環状部33の周方向に所定ピッチで形成され、隣接する2つの第2延在部36の間は第2逃がし部37となっている。第2回転子部28は磁性材料で構成され、界磁コイル18の巻線への通電により例えばN極となる。
【0020】
第1回転子部27と第2回転子部28は、第1回転子部27の第1延在部31を第2回転子部28の第2逃がし部37に、第2回転子部28の第2延在部36を第1回転子部27の第1逃がし部32にそれぞれ位置させた状態で、電気的に絶縁された位置決めピン38によって互いに連結される。これにより、第1回転子部27と第2回転子部28とは、周方向及び軸方向への位置ずれが防止され、第1延在部31と第2延在部36とで筒状部39が形成される。
【0021】
前記構成の回転電機では、図示しないインバータからコイル15に通電して回転子5を電気的に回転させることにより回転軸部35を介して被駆動部を駆動する。このとき、コイル15への通電によりコイル15自体が発熱する。そこで、ハウジング1とジャケット2とで形成された冷却水路13に冷却水を供給する。供給された冷却水は冷却水路13を流動し、ハウジング1の外周面から内部の熱を吸収する。また、パイプ24を介して界磁コイル鉄心4の流動穴22に冷却水を供給する。供給された冷却水は、流動穴22とパイプ24との間に形成される環状通路25を流動して界磁コイル鉄心4を介して界磁コイル18の熱を吸収する。
【0022】
このように、前記実施形態に係る回転電機によれば、ハウジング1とジャケット2の間の冷却水路13だけでなく、界磁コイル鉄心4内にも冷却水を供給することにより、内側からも冷却できるようにしている。したがって、界磁コイル18を有する界磁コイル鉄心4を回転子5の内径側に配置した構成であるにも拘わらず、界磁コイル18から発生する熱を効果的に除去し、良好な駆動状態を確保できる。
【0023】
なお、本発明は、前記実施形態に記載された構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0024】
前記実施形態では、水冷式としたが、油冷式等の他の熱交換媒体を利用した冷却方式としてもよい。
【0025】
前記実施形態では回転子5の筒状部39は、ほぼ均一厚さの円筒状に形成したが、その一部を、薄肉としたり、あるいは、厚肉としたりしてもよい。
【0026】
図5では、各回転子部27の固定子3に対向する面(すなわち、第1回転子部27の外周面および第2回転子部28の外周面)に、回転子5の回転軸に対する周方向の全周に延びる溝部40(第1環状部29側のみ図示)がそれぞれ形成されている。各溝部40は、一例として、断面略四角形状で、略一定の幅および深さを有している。第1回転子部27の溝部40は、第1延在部31の回転子5の回転軸の延在方向における第2回転子部28の第2環状部33から遠い方の一端に設けられている。また、第2回転子部28の溝部40は、第2延在部36の第1回転子部27の第1環状部29から遠い方の一端に設けられている。この溝部40により、固定子3に対向する部分の回転子5の回転軸の延在方向の一端における回転子5の回転軸に対する径方向の寸法と、固定子3に対向する部分の回転子5の回転軸の延在方向の一端とは異なる部分(例えば、中央)における径方向の寸法とが異なっている。このような構成により、溝部40を有していない回転電機と比較して、固定子3の中央部から回転子5に向かう部分に磁束を集中させることができる。その結果、回転子5から固定子3に効率よく磁束を流して、回転子5の回転状態を安定させつつ、回転電機のトルクを向上させることができる。
【0027】
図6では、第1回転子部27の第1延在部31及び第2回転子部28の第2延在部36の内面が、先端に向かうに従って徐々に外径側に肉厚が除変する湾曲面35aで構成されている。言い換えると、回転子5の各回転子部27、28が、固定子3に対向する部分において、界磁コイル鉄心4に対向し、かつ、回転子5の回転軸の延在方向の一端から中央に向かうに従って界磁コイル鉄心4から離れるように傾斜する傾斜面51を有している。各傾斜面51は、第1回転子部27の第1延在部31および第2回転子部28の第2延在部36の各々における界磁コイル鉄心4に対向して配置され、回転子5の回転軸に対する径方向でかつ界磁コイル鉄心4から離れる方向に湾曲している。つまり、第1延在部31及び第2延在部36の肉厚を基部側で厚く、先端に向かうに従って徐々に薄くなるようにしている。この傾斜面51により、固定子3に対向する部分の回転子5の回転軸の延在方向の一端における回転子5の回転軸に対する径方向の寸法と、固定子3に対向する部分の回転子5の回転軸の延在方向の一端とは異なる部分(例えば、中央)における径方向の寸法とが異なっている。このように構成することで、傾斜面51を有していない回転電機と比較して、第2延在部36の固定子3に対向する部分で、ほぼ均一な磁束分布を得ることができるようにしている。その結果、回転子5から固定子3に効率よく磁束を流して、回転電機のトルクを向上させることができる。
【0028】
この場合、界磁コイル鉄心4の鉄心部19に巻回する界磁コイル18が、回転子5の傾斜面51に沿って延びる径方向の外縁を有するのが好ましい。
図6では、界磁コイル18は、一例として、段付き形状、すなわち、径方向の外縁が回転子5の回転軸の延在方向において中央から両端に向かうに従って径方向において界磁コイル鉄心4に接近する階段状を有している。ここでは、界磁コイル18を、複数の階段状を成すように巻回することで、全体としてラグビーボール状または楕円形状または紡錘形状とし、第1延在部31及び第2延在部36の内面形状に沿うように形成している。これにより、回転子5の内側のスペースを有効利用して、界磁コイル18の有効断面積を大きくすることができる。また、界磁コイル18の巻き数を多くすることができるので、
図1の回転電機と比較して、回転子5の回転軸の延在方向における界磁コイル18の巻回長さを短くすることができる。その結果、界磁コイル鉄心4を回転子5の回転軸の延在方向に短くして、回転子5の回転軸の延在方向において回転電機を小型化することができる。なお、界磁コイル18の外縁が、階段状ではなく、直線状あるいは湾曲状であっても、同様の効果を得ることができる。
【0029】
前記実施形態では、パイプ24および環状通路25で構成された流路を設けているが、この流路は、省略することができる。すなわち、本発明は、流路が設けられていない回転電機にも適用できる。
【0030】
また、例えば、
図12に示すように、界磁コイル18が、回転子5の回転軸の延在方向における固定子3の両端にそれぞれ設けられた回転電機にも適用できる。なお、
図12では、回転子5の回転軸を一点鎖線で示している。
【0031】
前記実施形態では、第1回転子部27と第2回転子部28を位置決めピン38で連結するようにしたが、次のように構成してもよい。
【0032】
図7では、第1回転子部27と第2回転子部28の間に、非磁性材料で構成された第1中間部材41が配置されている。詳しくは、第1中間部材41は、第1延在部31と第2延在部36の周方向の隙間を埋めるようにして配置されている。第1延在部31と第2延在部36には、幅方向の中心に、先端から基部側に向かって溝36a(第1延在部31側は図示せず)が形成されている。第1中間部材41の両側面には、幅方向の中心に長手方向に延び、この溝に嵌合する突条部41aがそれぞれ形成されている。溝36a及び突条部41aは、断面矩形状であってもよいが、断面T字形とすることにより端面側からスライドさせて係合させる構成とすれば、径方向への位置ずれを確実に防止できる点で好ましい。
【0033】
図8では、第1回転子部27と第2回転子部28の間に、永久磁石で構成された第1中間部材41が配置されている。
【0034】
図9では、さらに、第1延在部31の先端と第2逃がし部37の間、及び、第2延在部36の先端と第1逃がし部32の間に、永久磁石で構成された第2中間部材42が配置されている。また、第2中間部材42も、前記第1中間部材41と同様に非磁性体で構成することも可能である。この場合も、前記第1中間部材41と同様に、第1回転子部27と第2回転子部28に溝を形成する一方、第2中間部材42に突条部を形成して両者を嵌合するようにすればよい。これにより、回転子5の周方向には第1中間部材41によって、回転子5の軸方向には第2中間部材42によってそれぞれ位置ずれが防止される。
【0035】
図10では、回転子5の内径側に補強リング43が配置されている。補強リング43は、中空の円筒状で、両端開口縁から長手方向に延びる複数のスリット44がそれぞれ形成されている。補強リング43の一端側では、第1回転子部27の各第1延在部31にそれぞれ対応する位置に形成され、他端側では、第2回転子部28の各第2延在部36にそれぞれ対応する位置に形成されている。各第1延在部31及び各第2延在部36には、各スリット44に係合する断面T字形の突条部36b(第1延在部31側は図示せず)がそれぞれ形成されている。
図10の構成によれば、
図9に示すような第1中間部材41や第2中間部材42を不要としても、回転子5の回転強度を向上しつつ、第1回転子部27と第2回転子部28を位置決めすることができる。
【0036】
前記実施形態では、界磁コイル鉄心4の鉄心部19の中心に流動穴22を形成するようにしたが、この流動穴22は次のように構成することもできる。
【0037】
図11では、鉄心部19の外周側の同一円周上に複数の流動穴45が形成されている。各流動穴45は鉄心部19の両端に貫通している。界磁コイル鉄心鍔部17には、前記複数の流動穴45が連通する溝46が形成されている。この構成により、鉄心部19の一端側からいずれかの流動穴45から流入した熱交換媒体は、他端側へと流動した後、溝46を流動して残る他の流動穴45のいずれかを介して一端側へと流動する。これによれば、鉄心部19の外周側での冷却が可能となり、中心部に設ける場合に比べてより一層冷却効果を発揮させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、例えば、HEV(ハイブリッド電気自動車)、EV(電気自動車)、その他電動機を構成として含む機器に適用できる。
【符号の説明】
【0039】
1…ハウジング
2…ジャケット
3…固定子
4…界磁コイル鉄心
5…回転子
6…ハウジング本体
7…壁部
8…段付き凹部
9…貫通穴
10…ガイド部
11…リブ
12…環状溝
13…冷却水路
14…固定子コア
15…コイル
16…界磁コイル鉄心本体
17…界磁コイル鉄心鍔部
18…界磁コイル
19…鉄心部
20…鍔部
21…位置決め凹部
22…流動穴
23…環状凸部
24…パイプ(流路)
25…環状通路(流路)
26…ベアリング
27…第1回転子部
28…第2回転子部
29…第1環状部
30…筒部
31…第1延在部
32…第1逃がし部
33…第2環状部
34…台座部
35…回転軸部
36…第2延在部
37…第2逃がし部
38…位置決めピン
39…筒状部
40…溝部
41…第1中間部材
42…第2中間部材
43…補強リング
44…スリット
45…流動穴
46…溝
51…傾斜面